説明

薬剤霧化器

【課題】貯留された薬剤を無駄なく使用することができる薬剤霧化器を提供する。
【解決手段】薬剤霧化器1を霧化器本体11と薬剤容器12で構成し、霧化器本体11の天板31中央に下方へ没入した没入部32を形成する。没入部32に噴霧口33を開設し、没入部32の周囲部に下方へ向けて延出する円筒状の筒部34を形成する。筒部34内に内嵌部材41を上下動自在に内嵌し、内嵌部材41の外筒42外周面に筒部34に摺接する摺接部44を設ける。外筒42の上方リング状延出部61と内筒43の内嵌リング64との間に霧化装置65の周縁部を挟持固定する。薬剤容器12より延出した芯材121の給液部123を霧化装置65の振動板73に当接した状態で振動板73を振動することによって芯材121で吸い上げられた薬剤122を振動板73の小孔を介して霧化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤等の薬剤を霧化する薬剤霧化器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の薬剤を霧化する薬剤霧化器としては、図8に示すような超音波噴霧装置801が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この超音波噴霧装置801は、液状の薬剤811を貯留する貯液槽812を備えており、該貯液槽812には、転倒防止ガイド813が設けられている。該転倒防止ガイド813には、スプリング814が収容されており、該スプリング814上には、ガイドパイプ815が挿入されている。該ガイドパイプ815内には、保液材816が収容されており、該保液材816上端に設定された給液部817は、振動板818に当接されている。該振動板818は、圧電振動子819に支持されており、該圧電振動子819からの振動が伝達されるように構成されている。
【0004】
前記スプリング814の付勢力によって前記保液材816の前記給液部817が圧接された前記振動板818には、複数の小孔が設けられており、当該振動板818を前記圧電振動子819で振動することによって、前記保液材816で吸い上げられた前記薬剤811を前記振動板818の小孔を介して霧化できるように構成されている。
【特許文献1】特開平6−320083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の超音波噴霧装置801にあっては、薬剤811を吸い上げた保液材816を振動板818に圧接する構造上、前記保液材816をスプリング814で押し上げるように構成されており、前記保液材816と貯液槽812の底面821との間には、前記スプリング814が配置されている。
【0006】
このため、前記貯液槽812内の薬剤811が減少し、その液面831が前記スプリング814で付勢された前記保液材816より低くなると、当該薬剤811を前記保液材816で吸い上げることができなくなる。
【0007】
すると、薬剤811が貯液槽812内に残存するにも関わらず薬剤811が霧化されず、前記貯液槽812の底部の薬剤811が無駄になるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、貯留された薬剤を無駄なく使用することができる薬剤霧化器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の薬剤霧化器にあっては、容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、前記振動板を、上下動自在に支持した状態で前記容器体より延出した前記芯材の上部に配置した。
【0010】
すなわち、容器体より延出した芯材の給液部に当接する振動板は、上下動自在に支持された状態で前記芯材の上部に配置されている。このため、前記振動板には、自重による下方へ向けた力が働き、当該振動板は、この下方へ向けた力によって前記芯材の前記給液部に押し当てられる。
【0011】
また、請求項2の薬剤霧化器においては、ガイド部に内嵌部材を上下動自在に内嵌するとともに、該内嵌部材に前記振動板を設けた。
【0012】
すなわち、前記振動板は、内嵌部材に設けられており、該内嵌部材は、前記ガイド部に上下動自在に内嵌されている。
【0013】
これにより、この内嵌部材に設けられた前記振動板の大きな傾斜が防止される。
【0014】
さらに、請求項3の薬剤霧化器では、前記内嵌部材に、側方に突出して前記ガイド部に摺接する摺接部を設けた。
【0015】
すなわち、前記内嵌部材は、側方に突出した摺接部が前記ガイド部に摺接した状態で摺動自在に支持される。
【0016】
このため、前記内嵌部材の側面が前記ガイド部の壁面に密着する場合と比較して、摺接抵抗が抑えられる。
【0017】
加えて、請求項4の薬剤霧化器にあっては、前記内嵌部材に側方に延出する延出部を設け、該延出部が挿入されるとともに当該延出部を上下動自在に案内するガイド溝を前記ガイド部に設けた。
【0018】
すなわち、前記内嵌部材には、側方に延出する延出部が設けられており、この延出部は、前記ガイド部に設けられたガイド溝に挿入されるとともに、当該ガイド溝に沿って案内される。
【0019】
これにより、前記内嵌部材は、上下移動が自在とされる一方、周方向の回転が阻止される。
【0020】
また、請求項5の薬剤霧化器においては、前記ガイド溝を、前記ガイド部の壁面を貫通するスリットで構成し、前記振動板より延出したリード線を前記ガイド溝を介して前記ガイド部の外側に配索した。
【0021】
すなわち、前記ガイド溝は、前記ガイド部の側壁を貫通するスリットで構成されており、前記振動板より延出したリード線は、前記ガイド溝を介して前記ガイド部の外側に配索される。
【0022】
これにより、前記ガイド部内の前記内嵌部材に設けられた前記振動板のリード線を、前記ガイド溝を介して、前記ガイド部の外側に延出することができる。
【0023】
さらに、請求項6の薬剤霧化器では、前記延出部を、前記摺接部で構成するとともに、該摺接部が摺接する前記ガイド部の部位を後退して前記ガイド溝を形成した。
【0024】
すなわち、前記延出部は、前記摺接部で構成されており、この摺接部が摺接する前記ガイド部の部位を後退することによって、前記ガイド部に前記ガイド溝が形成される。
【0025】
加えて、請求項7の薬剤霧化器にあっては、前記内嵌部材に、該内嵌部材の重心が前記給液部の真下になるように錘を設けた。
【0026】
すなわち、前記ガイド部と前記内嵌部材との間には、若干の隙間が形成されており、輸送時などでは、振動等によって前記内嵌部材が斜めになることがある。すると、この内嵌部材が、前記ガイド部に対して固定される恐れがあり、この場合、前記内嵌部材に設けられた前記振動板が前記芯材の給液部に対して斜めに接触することとなる。
【0027】
そこで、前記内嵌部材に錘を設け、この錘によって当該内嵌部材の重心が前記給液部の真下になるように設定することで、振動等により前記内嵌部材が斜めになり前記振動板が傾斜した場合であっても、やじろべえの平衡原理によって前記振動板の傾斜が解消される。
【0028】
また、前記内嵌部材に設けられた前記錘は、前記振動板を前記芯材の給液部に押し当てる力としても作用する。
【0029】
また、請求項8の薬剤霧化器では、前記ガイド部を、筒状に形成した。
【0030】
これにより、ガイド部構造の簡素化が図れる。
【0031】
また、前記内嵌部材は、筒状のガイド部によって外周部の全周に渡って保持される。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明の請求項1の薬剤霧化器にあっては、前記振動板に働く自重を利用して、当該振動板を前記芯材の前記給液部に押し当てることができる。
【0033】
これにより、芯材と容器体の底面との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材の前記給液部を前記振動板に圧接することができる。このため、芯材が容器体の底面から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記容器体に収容された薬剤の液面が低下した場合であっても、前記芯材による薬剤の吸い上げを確実に行うことができる。
【0034】
したがって、前記容器体に収容された前記薬剤を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0035】
そして、前記芯材を付勢する為のスプリングを廃止し、簡単な構成で上記問題点を解決できるため、低コスト化を図ることができる。
【0036】
また、請求項2の薬剤霧化器においては、前記振動板を、前記ガイド部に内嵌した内嵌部材に設けることにより、当該振動板の大きな傾斜を防止することができる。これにより、前記振動板と前記芯材の前記給液部との大きな接触状態の悪化を防止することができる。
【0037】
そして、前記振動板に、前記内嵌部材の重量も加えることができるため、当該振動板を前記芯材の前記給液部に押し当てる力を増大することができる。
【0038】
さらに、請求項3の薬剤霧化器では、前記内嵌部材の摺接部を前記ガイド部に摺接した状態で、当該内嵌部材を摺動自在に支持することができる。
【0039】
これにより、前記内嵌部材の側面が前記ガイド部の壁面に密着する場合と比較して、摺接抵抗を抑えることができる。
【0040】
加えて、請求項4の薬剤霧化器にあっては、前記内嵌部材に設けられた延出部を、前記ガイド部に設けられた上下動自在にガイド溝に挿入するとともに当該ガイド溝に沿って案内することで、前記内嵌部材の上下移動を許容しつつ、周方向の回転を阻止することができる。
【0041】
これにより、前記内嵌部材に設けられた前記振動板より延出したリード線の絡まりを防止することができる。
【0042】
また、請求項5の薬剤霧化器においては、前記ガイド溝を、前記ガイド部の側壁を貫通するスリットで構成するとともに、前記振動板より延出したリード線を、前記ガイド溝を介して前記ガイド部の外側に配索した。
【0043】
これにより、前記ガイド部内の前記内嵌部材に設けられた前記振動板のリード線を、前記ガイド溝を介して、前記ガイド部の外側に延出することができる。
【0044】
さらに、請求項6の薬剤霧化器では、前記延出部を前記摺接部で構成するとともに、この摺接部が摺接する前記ガイド部の部位を後退することで、前記ガイド部に前記ガイド溝を形成することができる。
【0045】
加えて、請求項7の薬剤霧化器にあっては、前記内嵌部材に錘を設け、この錘によって当該内嵌部材の重心が前記給液部の真下になるように設定することによって、振動等により前記内嵌部材が斜めになり前記振動板が傾斜した場合であっても、やじろべえの平衡原理によって前記振動板の傾斜を解消することができる。
【0046】
したがって、前記振動板と前記芯材に設けられた前記給液部との接触状態を一定に保つことができる。
【0047】
そして、前記内嵌部材に設けられた前記錘は、前記振動板を前記芯材の前記給液部に押し当てる為の力として作用させることができる。
【0048】
また、請求項8の薬剤霧化器では、前記ガイド部を筒状に形成することで、当該ガイド部構造の簡素化を図ることができる。
【0049】
そして、前記内嵌部材を、筒状のガイド部によって、その外周部から全域に渡って保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(第1の実施の形態)
【0051】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる薬剤霧化器1を示す図であり、該薬剤霧化器1は、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の液状の薬剤を霧化する装置である。
【0052】
この薬剤霧化器1は、上部を構成する霧化器本体11と、下部を構成する薬剤容器12とによって構成されており、該薬剤容器12は、前記霧化器本体11に交換自在に取り付けられている。
【0053】
該霧化器本体11は、円筒状の周壁面21を備えており、前記周壁面21の下部には、図1及び図2に示すように、内側に突出する係止爪22,・・・とリブ23,・・・とが等間隔をおいて交互に設けられている。各係止爪22,・・・には、図1に示したように、内蓋24の周縁部に設けられた係合リング25と係合するように構成されており、当該霧化器本体11の下部に、前記内蓋24を着脱自在に嵌着できるように構成されている。
【0054】
前記周壁面21の上縁には、円板状の天板31が設けられており、該天板31の中央部には、下方へ没入した没入部32が形成されている。該没入部32の中央には円形の噴霧口33が開設されており、この没入部32の周囲部には、下方へ向けて延出する円筒状のガイド部としての筒部34が形成されている。これにより、前記没入部32に設けられた前記噴霧口33は、前記筒部34によって包囲されている。
【0055】
この筒部34内には、内嵌部材41が上下動自在に内嵌されており、該内嵌部材41は、その外周部が全域に渡って前記筒部34で包囲されている。この内嵌部材41は、前記筒部34に内嵌した円筒状の外筒42と、該外筒42の内側に内嵌した円筒状の内筒43とによって構成されている。前記外筒42の外周面には、図1及び図2に示すように、前記霧化器本体11の前記筒部34の内周面に摺接する摺接部44,・・・が周方向に等間隔をおいた四カ所に突設されており、各摺接部44,・・・は、上下方向に延設されている。各摺接部44,・・・は、その断面が半円形状に形成されており、前記筒部34の内周面に線接触するように構成されている。
【0056】
また、前記外筒42には、側方に延出する延出部51が形成されており、該延出部51が対向する前記筒部34の部位には、当該延出部51が挿入されるとともに、この延出部51を上下動自在に案内するガイド溝52が上下方向に延設されている。該ガイド溝52は、前記筒部34の側壁を貫通するスリットで構成されており、該ガイド溝52を挿通する前記延出部51下端面には、リード線53が配索される配索溝54が形成されている(図2参照)。
【0057】
前記外筒42の上縁からは、中心部へ向けて延出した上方リング状延出部61が形成されており、該上方リング状延出部61の下面には、円形リング状の外嵌リング62が突設されている。前記内筒43の上縁にも、内側に延出した下方リング状延出部63が形成されており、該下方リング状延出部63の内縁には、上方の突出した円形リング状の内嵌リング64が設けられている。該内嵌リング64は、前記外筒42に設けられた前記外嵌リング62に内嵌するように構成されており、前記内嵌リング64を前記外嵌リング62に内嵌した状態で、前記内嵌リング64上面と前記外筒42の前記上方リング状延出部61下面との間に霧化装置65の周縁部が挟持固定されている。これにより、当該霧化装置65は、前記噴霧口33の下部に配置されている。
【0058】
前記霧化装置65は、図3に示すように、プラスチックやゴム等によってリング状に形成された支持体71,71を介して、前記内嵌リング64上面と前記外筒42の前記上方リング状延出部61下面とで挟持されており、前記支持体71,71に支持された円形リング状の圧電振動子72と、該圧電振動子72に支持された円形板状の振動板73と、前記圧電振動子72に駆動電圧を供給する図外の制御部とによって構成されている。
【0059】
前記圧電振動子72は、円形リング状の圧電素子81を中心に構成されており、該圧電素子81の上面には、円形リング板状の第1電極82が積層されている。また、前記圧電素子81の下面には、円形リング板状の第2電極83が積層されており、前記制御部からリード線を介して供給される駆動電圧が前記第1及び第2電極82,83に印加された際に、前記圧電素子81が振動するように構成されている。
【0060】
この圧電素子81の前記第2電極83の内縁部には、前記振動板73の周縁部が接着剤によって接着されており、前記圧電素子81からの振動が伝達され、当該振動板73が振動するように構成されている。この振動板73は、リング状に形成された前記圧電素子81中央部の開口部を閉鎖するとともに、前記天板31に設けられた前記噴霧口33の下部に配置されるように構成されており、当該振動板73には、上下に貫通する複数の小孔が設けられている。
【0061】
前記霧化器本体11の前記天板31の下面には、図1及び図2に示したように、乾電池91,91がセットされる電池ボックス92が前記筒部34の外周部に設けられており、該筒部34を境とた反対側には、一対の基板支持部93,93が対向して突設されている。両基板支持部93,93には、制御基板94が支持されており、該制御基板94には、前記電池ボックス92に収容された前記乾電池91,91からの電源がリード線95,95を介して供給されるように構成されている。この制御基板94には、前記乾電池91,91からの電源で作動する制御回路が構成されており、該制御回路によって前記制御部が構成されている。
【0062】
前記霧化器本体11に嵌着された前記内蓋24の中央部には、前記上方へ向けて突出した筒状突出部101が形成されており、前記薬剤容器12を着脱自在に取り付けられるように構成されている。この筒状突出部101の上端には、前記薬剤容器12の上端に当接するストッパ102が内側へ向けて延設されており、当該筒状突出部101の内側面には、前記薬剤容器12の離脱を防止する為の横方向に延在した係止片103が突設されている。
【0063】
前記薬剤容器12の上部には、円筒状の首部111が形成されており、該首部111の外周面には、ネジ部112が形成されている。このネジ部112には、販売時に装着されるキャップを着脱可能に螺着できるように構成されており、前記首部111を前記筒状突出部101に挿入した状態で前記係止片103と係合するように構成されている。
【0064】
前記首部111に設けられた開口部は、蓋部で閉鎖されており、該蓋部の中央部には、内部に連通する連通穴が設けられている。該連通穴には、芯材121が挿通されており、該芯材121は、前記連通穴にガイドされることによって、垂直に起立した状態が維持されている。
【0065】
前記芯材121は、ポリエステル等の繊維が接着剤等で収束結合されて棒状に形成されており、当該芯材121は、所定の剛性に設定されている。この芯材121には、液体を吸い上げる為の毛細管が形成されており、前記薬剤容器12内の薬剤122を当該芯材121の上端が形成する給液部123まで吸い上げられるように構成されている。
【0066】
そして、この薬剤容器12の前記首部111を、前記霧化器本体11の前記筒状突出部101に挿入した状態において、前記薬剤容器12より上方に延出した前記芯材121が前記霧化装置65の振動板73の真下に配置されるように構成されており、図3に示したように、前記芯材121の前記給液部123を前記霧化装置65の前記振動板73下面に当接した状態で、該振動板73を振動することによって、前記芯材121によって前記給液部123まで吸い上げられた前記薬剤122を、前記振動板73の前記小孔を介して霧化できるように構成されている。
【0067】
以上の構成にかかる本実施の形態において、薬剤容器12より延出した芯材121の給液部123に当接する霧化装置65の振動板73は、霧化器本体11の筒部34の内側に上下動自在に支持された状態で前記芯材121の上部に配置されている。このため、前記振動板73には、自重による下方へ向けた力が働き、当該振動板73は、この下方へ向けた力によって前記芯材121の前記給液部123に押し当てられる。
【0068】
このように、前記霧化装置65の振動板73に働く自重を利用して、当該振動板73を前記芯材121の前記給液部123に押し当てることができる。これにより、芯材と薬剤容器の底面との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材121の前記給液部123を前記振動板73に圧接することができる。このため、芯材が薬剤容器の底面から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記薬剤容器12に収容された薬剤122の液面が低下した場合であっても、前記芯材121による薬剤122の吸い上げを確実に行うことができる。
【0069】
したがって、前記薬剤容器12に収容された前記薬剤122を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0070】
そして、前記芯材121を付勢する為のスプリングを廃止し、簡単な構成で上記問題点を解決できるため、低コスト化を図ることができる。
【0071】
また、前記霧化装置65の前記振動板73は、円筒状の内嵌部材41に設けられており、該内嵌部材41は、前記霧化器本体11に設けられた前記筒部34に上下動自在に内嵌している。このため、この内嵌部材41に設けられた前記振動板73の傾斜を防止することができる。これにより、前記振動板73と前記芯材121の前記給液部123との接触状態を一定に保つことができる。
【0072】
そして、前記振動板73に、前記内嵌部材41の重量も加えることができるため、当該振動板73を前記芯材121の前記給液部123に押し当てる力を増大することができる。
【0073】
さらに、前記内嵌部材41は、外周面に設けられた摺接部44,・・・が前記筒部34の内周面に摺接した状態で摺動自在に支持されている。
【0074】
これにより、前記内嵌部材41の外周面が前記筒部34の内周面に密着する場合と比較して、摺接抵抗を抑えることができる。
【0075】
加えて、前記内嵌部材41に設けられた前記延出部51を、前記筒部34に設けられたガイド溝52に挿入するとともに、当該ガイド溝52に沿って案内することで、前記内嵌部材41の上下移動を許容しつつ、周方向の回転を阻止することができる。
【0076】
これにより、前記内嵌部材41に設けられた前記霧化装置65の前記振動板73より延出したリード線53の絡まりを防止することができる。
【0077】
また、前記ガイド溝52を、前記筒部34の側壁を貫通するスリットで構成することで、前記振動板73より延出したリード線53を、前記ガイド溝52を介して前記筒部34の外側に配索することができる。
【0078】
これにより、前記筒部34内の前記内嵌部材41に設けられた前記振動板73からのリード線53を、前記ガイド溝52を介して、前記筒部34外側に設けられた制御基板94に接続することができる。
【0079】
(第2の実施の形態)
【0080】
図4は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一又は同等部分に付いては、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分についてのみ説明する。
【0081】
すなわち、前記振動板73が設けられた前記内嵌部材41の下縁部には、その内側面に複数の錘151,・・・が設けられている。各錘151は、前記内嵌部材41の重心が当該内嵌部材41の中心軸線152上であって、前記給液部123の真下になるような位置に設けられており、前記内嵌部材41に内嵌するリング形状が望ましい。
【0082】
この実施の形態にあっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
そして、前記筒部34と前記内嵌部材41との間には、製造上若干の隙間が形成されており、輸送時などでは、振動等によって前記内嵌部材41が前記筒部34に対して斜めになることがある。すると、この内嵌部材41が、前記筒部34に対して固定される恐れがあり、この場合、前記内嵌部材41に設けられた前記振動板73が前記芯材121の給液部123に対して斜めに接触することとなる。
【0084】
そこで、前記内嵌部材41に錘151,・・・を設け、この錘151,・・・によって当該内嵌部材41の重心が前記給液部123の真下になるように設定することで、振動等により前記内嵌部材41が斜めになり前記振動板123が前記給液部123に対して傾斜した場合であっても、やじろべえの平衡原理によって、前記振動板73の傾斜を解消することができる。
【0085】
これにより、前記振動板73を水平に戻して前記給液部123との接触状態を一定に保つことができ、当該振動板73が前記給液部123に密着した状態を維持することができる。
【0086】
そして、前記内嵌部材41に設けられた前記錘151,・・・は、前記振動板73を前記給液部123に押し当てる為の力として作用させることができる。
【0087】
(第3の実施の形態)
【0088】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一又は同等部分に付いては、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分についてのみ説明する。
【0089】
すなわち、第1の実施の形態では、前記内嵌部材41を上下動自在に支持するガイド部を円筒状の筒部34で構成したが、本実施の形態では、前記内嵌部材41に設けられた摺接部44,・・・等と摺接して当該内嵌部材41を支持する複数の壁状のガイド部161,・・・で構成した。
【0090】
これによっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
(第4の実施の形態)
【0092】
図6は、前記第3の実施の形態を応用した第4の実施の形態を示す図であり、第3の実施の形態と同一又は同等部分に付いては、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
すなわち、前記第3の実施の形態では、前記内嵌部材41を円筒状に形成したが、本実施の形態では、前記内嵌部材41を、前記振動板73の四方から垂下するとともに側方へ向けて突出した脚部171,・・・で構成した。
【0094】
これによっても、第1及び第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
(第5の実施の形態)
【0096】
図7は、前記第3の実施の形態を応用した第5の実施の形態を示す図であり、第3の実施の形態と同一又は同等部分に付いては、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分についてのみ説明する。
【0097】
すなわち、第3の実施の形態では、前記内嵌部材41の摺接部44,・・・が摺接するガイド部161,・・・を板状に形成したが、前記摺接部44,・・・が摺接する前記ガイド部161,・・・の部位を後退して断面コ字状にすることによって、当該ガイド部161,・・・に、前記内嵌部材41から延出した延出部としての前記摺接部44,・・・を上下動自在に案内するガイド溝181,・・・を形成した。
【0098】
これによっても、第1及び第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
これに加えて、前記ガイド部161,・・・に前記ガイド溝181,・・・を形成することができるため、このガイド溝181,・・・によって前記内嵌部材41の不用意な回動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】同実施の形態の霧化器本体を示す底面図である。
【図3】同実施の形態の霧化装置を示す模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図8】従来の超音波噴霧装置を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 薬剤霧化器
12 薬剤容器
34 筒部
41 内嵌部材
44 摺接部
51 延出部
52 ガイド溝
53 リード線
73 振動板
121 芯材
122 薬剤
123 給液部
151 錘
161 ガイド部
181 ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、
前記振動板を、上下動自在に支持した状態で前記容器体より延出した前記芯材の上部に配置したことを特徴とする薬剤霧化器。
【請求項2】
ガイド部に内嵌部材を上下動自在に内嵌するとともに、該内嵌部材に前記振動板を設けたことを特徴とする請求項1記載の薬剤霧化器。
【請求項3】
前記内嵌部材に、側方に突出して前記ガイド部に摺接する摺接部を設けたことを特徴とする請求項2記載の薬剤霧化器。
【請求項4】
前記内嵌部材に側方に延出する延出部を設け、該延出部が挿入されるとともに当該延出部を上下動自在に案内するガイド溝を前記ガイド部に設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の薬剤霧化器。
【請求項5】
前記ガイド溝を、前記ガイド部の壁面を貫通するスリットで構成し、前記振動板より延出したリード線を前記ガイド溝を介して前記ガイド部の外側に配索したことを特徴とする請求項4記載の薬剤霧化器。
【請求項6】
前記延出部を、前記摺接部で構成するとともに、該摺接部が摺接する前記ガイド部の部位を後退して前記ガイド溝を形成したことを特徴とする請求項4記載の薬剤霧化器。
【請求項7】
前記内嵌部材に、該内嵌部材の重心が前記給液部の真下になるように錘を設けたことを特徴とする請求項2項乃至6項いずれかの項記載の薬剤霧化器。
【請求項8】
前記ガイド部を、筒状に形成したことを特徴とする請求項2から請求項7にいずれか記載の薬剤霧化器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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