説明

薬品の組合せを吸入するための投薬ユニット、投薬ユニットのパック、および吸入器

【課題】併用治療用の複数の吸入可能な薬品を単一の吸入デバイスを用いて異なる頻度で供給することを可能にする投薬ユニットを提供する。
【解決手段】この投薬ユニットは:−吸入に適した一投薬量の薬物粉末を収容するように各々が適合されておりかつその中身が連続的に吸入されるように空気の流れに順番に露出され得るように連続的に配置されている複数のポケット17を含む投薬キャリアと、−投薬キャリア15のポケット17内に配置される複数の薬物粉末投薬量Xとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入に適した一投薬量の薬物粉末(medication powder)を収容するように各々が適合されておりかつその中身が連続的に吸入されるように空気の流れに順番に露出され得るように連続的に配置されている複数のポケットを含む投薬キャリアと、投薬キャリアのポケット内に配置される複数の薬物粉末投薬量とを有する乾燥粉末吸入器用の投薬ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、このような投薬ユニットでは、すべてのポケットが少なくとも1つの薬学的活性成分と少なくとも1つの賦形剤とのブレンドを含む一薬物投薬量を収容する。
同一の吸入器内で一対のこのような投薬ユニットを使用すること、より具体的には、両方のユニットから同時に薬物粉末を供給するように適合された吸入器を実現することが既に提案されている。これの具体的実例は例えばWO2005/002654およびWO2004/011070に記載されている。これらの参照文献より既知である一部の実施形態では、第1の投薬ユニットが第1の薬物粉末を収容し、第2の投薬ユニットが第1の薬物粉末とは異なる第2の薬物粉末を収容しており、それにより、吸入器が、別個のキャリアに保管されている薬学的に活性な複数の成分を組み合わせて供給するのに使用され得るようになる。これは、安定性のために別個に保管されるが組み合わせて供給されなければならない薬学的活性成分を患者に投与するような特定の治療を特に対象とする。
【0003】
しかし、2つの薬物粉末の組合せだけでなく、2つの薬物を異なる頻度で投与しなければならない場合には、2つの薬物粉末のうちの一方のみを患者に投与することが望ましい場合もある。例えば、第1の薬物粉末を1日に4回(QID)投与して第2の薬物粉末を1日に2回(BID)投与することが望ましい場合があるかもしれない。
【0004】
これは、既知の投薬ユニットおよびそれに付随する吸入器を用いる場合に単一の吸入器で実現することは不可能であり、代わりに、患者は、第1の薬物粉末を吸入するのに第1の吸入器を使用して第1の薬物粉末と第2の薬物粉末との組合せを吸入するのに第2の吸入器を使用する必要がある。
【0005】
この手法は不便であるだけでなく患者を混乱させるものでもあることから、投薬が不正確になる危険性が増す可能性ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2005/002654
【特許文献2】WO2004/011070
【特許文献3】WO03/035599
【特許文献4】WO2007/034325
【特許文献5】WO08/035157
【特許文献6】WO2009/034432
【特許文献7】WO04/032921
【特許文献8】WO05/080313
【特許文献9】WO05/080324
【特許文献10】WO05/090287
【特許文献11】WO05/092840
【特許文献12】WO2007/010356
【特許文献13】WO2007/107828
【特許文献14】WO2008/041095
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題を解決し、併用治療用の複数の吸入可能な薬品を単一の吸入デバイスを用いて異なる頻度で供給することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、少なくとも1つのブランクポケットと一投薬量の薬物粉末を収容する少なくとも1つのポケットとを各々が含む等しいグループのシーケンスに従って1回量がポケット内に規則的に配分されている、本発明による投薬ユニットによって達成される。
【0009】
各ブランクポケットは空のポケットであってよく、あるいは別法として賦形剤粉末を収容するポケットであってもよい。
本発明の第1の実施形態によると、投薬キャリアは円板形の支持構造体を有し、ポケットがその支持構造体内で環状構成となるように保持される。この支持構造体は、ポケットの中身を順番に露出するために乾燥粉末吸入器内に回転可能に装着されるように適合される。
【0010】
好適には、円板形の支持構造体は環状構成の貫通孔を有し、投薬キャリアはポケットを画定する剛体挿入物をさらに有し、この挿入物の各々は、保管位置にあるときはそれぞれの貫通孔内に摺動可能に収容されているが、ポケットの中身を空気流れに露出する際に、上記の保管位置から、円板形の支持構造体から突出する分配位置に変位されるように適合される。
【0011】
本発明の第2の実施形態では、投薬キャリアは、連続する空洞によって形成される細長いストリップを有しており、これらの連続する空洞がストリップの主方向に沿うように配置されるポケットを画定する。
【0012】
好適には、上記の細長いストリップは可撓性でありその形状を曲げることができ、ポケットの中身を順番に露出するために乾燥粉末吸入器内で緩むように適合される。
上記の等しいグループの各々は、一投薬量の薬物粉末を収容する1つのポケットと1つのブランクポケットとから構成されていてよく、それにより、投薬ユニットのポケットではブランクポケットと一投薬量の薬物粉末を含んだものとが交互になる。
【0013】
薬物粉末は薬学的活性単一の成分を含むことができ、この薬学的活性単一の成分は、好適には、ムスカリン様M3受容体アゴニストまたは抗コリン作動薬、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、ムスカリン様アンタゴニスト(dual muscarinic antagonist activity)とβ2−アゴニストの二重作用を有する化合物、ならびに、グルココルチコイド受容体アゴニストからなる群から選択される。
【0014】
より詳細には、上記の薬学的活性単一の成分は、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピン、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ならびにその塩および/または溶媒化合物からなる群から選択されてよい。
【0015】
別法として、薬物粉末には、薬学的活性成分の組合せ、好適にはβ2−アドレナリン受容体アゴニストとグルココルチコイド受容体アゴニストとの組合せが含まれてよい。
より詳細には、上記の薬学的活性成分の組合せは、キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカソンとの組合せまたはブデソニドとフマル酸ホルモテロールの脱水物(formoterol fumarate dehydrate)との組合せであってよい。
【0016】
本発明はまた、上述した第1の投薬ユニットと乾燥粉末吸入器用の第2の投薬ユニットを含むパックにも関連しており、この乾燥粉末吸入器は、
−吸入に適した一投薬量の薬物粉末を収容するように適合されておりかつその中身が連続的に吸入されるように空気の流れに順番に露出され得るように連続的に配置されている複数のポケットを含む投薬キャリアと、
−第2の投薬ユニットのすべてのポケットが薬物粉末投薬量を含むように投薬キャリアのそれぞれのポケット内に配置される複数の薬物粉末投薬量と
を有する。
【0017】
有利には、第1の投薬ユニットの投薬キャリアおよび第2の投薬ユニットの投薬キャリアはポケットの配置が等しい。
第2の投薬ユニットの薬物粉末は、ムスカリン様M3受容体アゴニストまたは抗コリン作動薬、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、二重ムスカリン様アンタゴニスト作用とβ2−アゴニスト作用とを有する化合物、ならびに、グルココルチコイド受容体アゴニストからなる群から好適には選択される薬学的活性単一の成分を含んでいてよい。
【0018】
より詳細には、上記の薬学的活性単一の成分は、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピン、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ならびにその塩および/または溶媒化合物からなる群から選択されてよい。
【0019】
別法として、第2の投薬ユニットの薬物粉末は薬学的活性成分の組合せを含んでいてよい。
本発明はまた、上述したパックと、第1の投薬ユニットのポケットおよびそれに対応する第2の投薬ユニットのポケットのそれぞれの中身を同時に吸入用空気流れに露出するための手段とを有する、薬物粉末を患者に投与するための乾燥粉末吸入器にも関連する。
【0020】
次に、縮尺を合わせて描かれたものではない添付図面を単なる例として参照しながら、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態による投薬ユニットのパックを含むように適合されたタイプの乾燥粉末吸入器の分解図である。
【図2】吸入前の保管位置にある各投薬ユニットの1つのポケットを示している、図1の吸入器の部分的に拡大した概略的な断面図である。
【図3】吸入中の分配位置にあるポケットの部分的に拡大した概略的な断面図である。
【図4】一薬物投薬量の配分パターンを示している、本発明による図1の吸入器に適した投薬ユニットのパックの一バージョンの図である。
【図5】一薬物投薬量の配分パターンを示している、本発明による図1の吸入器に適した投薬ユニットのパックの一バージョンの図である。
【図6】一薬物投薬量の配分パターンを示している、本発明による図1の吸入器に適した投薬ユニットのパックの一バージョンの図である。
【図7】一薬物投薬量の配分パターンを示している、本発明による図1の吸入器に適した投薬ユニットのパックの一バージョンの図である。
【図8】投薬キャリアの剥離可能な蓋が開いた位置にある状態で示されている、本発明の第2の実施形態による投薬ユニットのパックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜3は乾燥粉末吸入器1を示しており、患者はこの乾燥粉末吸入器1から乾燥粉末の形態の連続した一薬物投薬量を吸入することができる。上記の吸入器は、上述した特許明細書WO2005/002654により既知であるタイプの吸入器であり、これは図4〜7に示した本発明の第1の好適な実施形態に適合され得る。
【0023】
図1では、吸入器1がその主軸Zに沿って分解された図で示されている。この主軸Zは図面上では特に根拠無く垂直で描かれているが、この方向付けは、使用時の実際の条件でのこのデバイスの方向付けを反映しているわけではない。
本明細書の説明において、「軸方向」および「径方向」などの位置および方向付けを描写する用語はこの主軸Zを基準にしていると解釈しなければならない。
【0024】
吸入器1は、主に、一対の相補的なシェル3a、3bで作られたハウジングと、一対の投薬ユニット5a、5bと、投薬ユニット5a、5bを収容するための内部構造体7(図2および3)を画定する一対の支持対(図1では片方の7bのみが示されている)と、吸入器を作動させるために患者によって操作され得る機構9とを有する。
【0025】
図1をより具体的に参照すると、ハウジングが、ハウジングの構成要素であるシェル3a、3bの開口により形成される空気取入れ口を有している。図1ではシェル3a上に形成された開口11aのみを確認することができる。ハウジング3a、3bは、各々がそれぞれのシェル上に形成される2つの半体13a、13bで作られたマウスピースをさらに有する。
【0026】
図1〜3に示すように、投薬ユニット5a、5bは、各々が、吸入に適した一投薬量の薬物粉末を収容するように適合された複数のポケット17を備える投薬キャリア15と、投薬キャリア15のポケット17内に配置される複数の薬物粉末投薬量19(図2および3)とを有する。
【0027】
本発明の明細書では、「薬物粉末投薬量」という表現は、患者による吸入に適しておりかつ少なくとも1つの薬学的活性成分を含んでいる一投薬量の粉末として理解しなければならない。本明細書の説明の前置き部分で明記したように、通常、薬物粉末は、1つまたは複数の薬学的活性成分の粒子と1つまたは複数の賦形剤の粒子とのブレンドで作られる。このような調合物はしばしば乾燥粉末調合物と称される。逆に、本明細書の説明の文脈において、薬学的活性成分ではなく賦形剤(複数可)を含む一投薬量の粉末は「薬物粉末投薬量」とみなしてはならない。
【0028】
本発明による薬学的活性成分は、吸入されることにより疾病、障害および病気を治療または予防するのに適した任意の種類の薬品から選択されてよい。このような疾病、疾患および病気の例には、鼻炎、副鼻腔炎、喘息、喘鳴幼児症候群、細気管支炎、気管支炎、気管支肺疾患、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease(COPD))、肺気腫、成人型呼吸窮促迫症候群(acute respiratory distress syndrome(ARDS))、嚢胞性繊維症、間質性肺疾患、肺線維症、気管支攣縮、過敏性肺臓炎(lung hypersensitivity)、他の薬物療法に起因する気道過反応性の再燃、肺動脈高血圧、肺炎、肺塞栓症、結核、かぜ症候群、インフルエンザ、咽頭炎、肺癌などの、アレルギー性疾患、炎症性疾患および/または呼吸器疾患が含まれる。
【0029】
したがって、本発明による薬学的活性成分(複数可)は、例えば、グルココルチコイド受容体アゴニスト、PDE阻害薬(詳細には、PDE4阻害薬)、クロモグリケートナトリウム、ムスカリン様M3受容体アンタゴニストまたは抗コリン作動薬、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、二重ムスカリン様アンタゴニスト作用とβ2−アゴニスト作用とを有する化合物、抗腫瘍壊死因子(anti−TNF−α)試薬、アデノシンA2a受容体アゴニストおよびA2bアンタゴニスト、ヒスタミンH3アンタゴニストおよびH4アンタゴニスト、DP1アンタゴニストを含むプロスタグランジンD2の変調剤、DP2アンタゴニストおよび造血器型プロスタグランジンDシンターゼ(haematopoietic prostaglandin D synthase(hPGDS))の阻害薬、IKK阻害薬などのNFβ経路の変調剤、p38MAPキナーゼ、PI3キナーゼ、JAKキナーゼ、sykキナーゼ、EGFR、MK−2、fynキナーゼまたはITKなどのサイトカインシグナル伝達経路の変調剤などの多くの種類の薬物から選択されてよい。
【0030】
本発明の好適な実施形態によると、薬学的活性成分(複数可)は、
−例えばWO03/035599、WO2007/034325、WO08/035157またはWO2009/034432に記載されているような、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピンなどのムスカリン様M3受容体アゴニストまたは抗コリン作動薬および他のムスカリン様アゴニスト、ならびにその塩および/または溶媒化合物;
−例えばWO04/032921、WO05/080313、WO05/080324、WO05/090287、WO05/092840およびWO2007/010356に記載されているような、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロールなどのβ2−アドレナリン受容体アゴニスト、および他のβ2−アゴニスト、ならびにその塩および/または溶媒化合物;
−例えばWO2007/107828またはWO2008/041095に記載されているような、ムスカリン様アンタゴニストおよびβ2−アゴニストの二重作用を有する化合物;
−プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾンなどのグルココルチコイド受容体アゴニストならびにその塩および/または溶媒化合物;
ならびに、これらの2つまたは3つからなる組合せ
から選択されてよい。
【0031】
薬学的活性成分は、乾燥粉末調合物として使用される前に、吸入による供給に適したサイズで投与されるように用意されていなければならない。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、超臨界流体処理、高圧均一化または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕手法に従って、例えば高剪断湿式粉砕(high shear wet milling)または音響結晶化(sonocrystallisation)を使用して、薬学的活性成分の制御された結晶化と分離とを行うことによって達成される。そのようにして得られた粒子の平均の空気力学的粒度は通常10μm未満であり、好適には6μm未満、より好適には5μm未満である。
【0032】
本発明の文脈において使用される賦形剤は、吸入可能な調合物に関連して使用され得る、生理学的に許容可能な任意の賦形剤であってよい。例えば、上記の賦形剤は、単糖類、二糖類、(オリゴ)多糖類から選択されてよい。このような賦形剤の例には、グルコース、アラビノース、ラクトース、スクロース、マルトース、デキストランが含まれる。好適には単糖類または二糖類が使用される。より好適には、本発明の文脈で使用される賦形剤はラクトースであり、最も好適にはラクトース一水和物である。
【0033】
さらに、本発明による賦形剤粉末は、本明細書において上で説明した1つの含有成分に加えて、ホスファチジルコリンなどのリン脂質、l−ロイシン、マニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能改良剤から例えば選択される他の含有成分を含む、複数の含有成分の混合物で作られていてもよい。メントールおよびレボメントールなどの適切な香料あるいはサッカリンまたはサッカリンナトリウムなどの甘味料が、吸入/鼻腔内投与のための本発明の上記の調合物に添加されてもよい。
【0034】
本発明の文脈において使用されてよい賦形剤粉末は、平均のサイズが200μm未満、好適には100μm未満の粒子で作られる。より好適には、賦形剤粉末は、平均の粒度が10μmと80μmの間、さらに好適には15μmと60μmの間に含まれる粒子で作られる。
【0035】
好適な実施形態では、本発明による薬物粉末投薬量は、本明細書で上述したムスカリン様M3受容体アゴニスト、β2−アドレナリン受容体アゴニストおよび/またはグルココルチコイド受容体アゴニストから選択される1つまたは複数の薬学的活性成分と、賦形剤としてのラクトースとを含む。
【0036】
より好適には、本発明による薬物粉末投薬量は、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピン、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ならびにその塩および/または溶媒化合物から選択される1つまたは複数の薬学的活性成分と、賦形剤としてのラクトースとを含む。
【0037】
さらに好適には、本発明による薬物粉末投薬量は、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピン、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ならびにその塩および/または溶媒化合物から選択される1つまたは複数の薬学的活性成分と、賦形剤としてのラクトース一水和物とを含む。
【0038】
図2および3で確認できるように、各投薬キャリア15は、一方の側からもう一方の側まで延在する複数の貫通孔23を有する剛体円板21の形態の支持構造体と、各々がそれぞれの貫通孔23内に収容される、ポケット17を画定する剛体挿入物25とを有する。
各挿入物25は、その外面が対応する貫通孔23の内面に装着されるようなカップ形であるため、保管位置(図2)から分配位置(図3)へと貫通孔内を軸方向に摺動することができる。挿入物25は、保管位置において円板21の第1の側の平面内を延在する外側平坦面27を備える、カップ形状の閉じた側を画定する底壁を有する。挿入物25は、カップ形状の開いた側では、保管位置において円板21の第2の側の平面内を実質的に延在する周縁部29を有する。同一の投薬キャリア15のすべての挿入物25は同様の形で方向付けられている。すなわち、すべての挿入物25の閉じられた側が円板21の同じ側にある。
【0039】
各投薬キャリア15はまた、中に粉末が収容されている挿入物25を気密封止して格納することによりその粉末を供給するまでいかなる湿気の侵入および汚染からも保護するために、円板21の第1および第2のフェースにそれぞれ取り付けられる一対のフォイル(図示せず)を有する。円板の第2の側に付着されるフォイルは、挿入物25が第1の側から第2の側に向かって軸方向に押し込まれるときに挿入物25の周縁部29によって破断されて開かれるように設計されており、それにより、粉末を空気の流れに露出することが可能となる。
【0040】
再び図1を参照すると、複数の貫通孔23が、軸Zを中心にそれぞれが一定の角度で離間されるような環状の配置でディスク21内に形成されている。
したがって、複数の挿入物25は環状の構成でディスク21内に保持されることになり、それに従って投薬ユニット5a、5bのポケット17の配置も画定される。2つのユニット5a、5bではポケット17の配置が互いに対応しており(すなわちポケット17の配置が互いに等しい)、ポケットの数が等しくかつそれらの間の角度間隔が一定であることにも留意されたい。
【0041】
支持体7a、7bは、各々が、それぞれの投薬ユニット5a、5bに取り付けられるようにかつそれぞれの投薬ユニットと共に回転できるようにハウジング3a、3b内に装着されるように設計されたアンビルプレート(図示せず)および通気プレート(図示せず)を有していてよい。支持体7a、7bによって画定される内部構造体7は、挿入物25をその保管位置から分配位置まで適切に引き抜くことおよび空気取入れ口11aとマウスピース13a、13bの空気出口との間にそれぞれのポケット17を介した吸入用空気流れのための個別の経路を形成することの両方を可能にするように設計されている。
【0042】
図2および3では、分かり易いように、内部構造体7は単一部品として概略的に示されているが、実際にはそうではない。これらの図で確認できるように、構造体7は、各投薬ユニット5a、5bのそれぞれのポケット17に対して空気流れのための経路33を画定しており、その経路33には関連するポケットの上流に区間35およびそのポケットの下流に区間37が存在する。それぞれの経路33の下流区間37は最終的に出口に取り付けられた共通のダクト38に入り込んでいる。
【0043】
挿入物25は、保管位置(図2)では、関連する円板21内に完全に格納されており、分配位置(図3)では、流れ経路33を画定する壁の内側部分となって挿入物に収容されている粉末を空気流れに露出させるために円板から突出する。図3では、投薬ユニット5aに関連する空気流れはFaとして、投薬ユニット5bに関連する空気流れはFbとして示されている。
【0044】
機構9は本明細書ではそれ程詳細には説明しないが、同様の構成が上述の特許明細書WO 2005/002654により知られており、この明細書を参照することにより吸入器1の構成および動作をより詳細に理解することができる。しかし、本発明を理解する際には、機構9が、軸Zを中心に回転することができるようにハウジング3a、3b内に装着される回転可能部品40を有しており、この回転可能部品40が一体に作られたレバー41および回転カム43を有することに特に留意されたい。カム43は一定の角度を覆うように基本的にラジアル平面内を延在しておりかつ軸Zを中心とした回転角度に応じて厚さが変化する環状部分として形成されている。この機構はまた、各々がカム43の角度位置に応じて軸方向に移動可能でありかつ各々がそれぞれの投薬ユニット5a、5bに付随する2つのプロジャー45の形態の2つのカム従動子を有する。
【0045】
機構9にはまた、レバー41が一定の移動角距離だけ操作されるときに支持体7a、7bおよび投薬ユニット5a、5bを一体に軸Zを中心に回転させるための、支持体7a、7b上に設けられた相補的な歯に嵌合される歯車などの手段が設けられる。
【0046】
吸入器1の組み立てられた形態では、投薬ユニット5a、5b、支持体7a、7bおよび機構9がハウジング3a、3b内に格納されているが、レバー41がハウジングによって画定される内部区画から外に延在しており、使用者が握ることができるようになっていることを理解されたい。
【0047】
吸入器1は、ハウジング3a、3bによって回転可能に支持されるマウスピースカバー(図示せず)をさらに有することができ、このマウスピースカバーは、マウスピース13a、13bおよびレバー41を覆っておりそれによりそれらが触れられることおよび吸入器が操作されることを防止する保管位置から、マウスピースおよびレバーを自由に触れられるようになる使用位置まで変位され得る。
【0048】
レバー41は、中立の初期位置から作動されると、順番に、
(i)2つの連続するポケット17の間の角度間隔だけそれぞれの投薬ユニット5a、5bと一体に支持体7a、7bを回転させ、各投薬ユニットの1つの新しいポケットをそれぞれのプロジャー45に一致するように配置させ、
(ii)プロジャー45上のカム43を作動させることにより、2つのプロジャー45を同時に軸方向において変位させ、それにより、図2および3に示すように挿入物25をその保管位置から分配位置まで押圧する。
【0049】
挿入物25は、それぞれのプロジャー45によって貫通孔23の外に押圧されるとき、保護用の蓋フォイルを破裂させて貫通させて粉末を空気流れに適切に露出させる。2つの対応するポケット17からの粉末は、吸入されるとき、図3に示すように、それぞれの空気流れFa、Fb内に同時に分配されて下流のダクト38内で混合される。
【0050】
この操作の終了後、投薬ユニットをそれ以上回転させることなくあるいは逆回転させることなく、レバーが図に示されていない手段によってその初期位置に戻される。
円板21が吸入器のハウジング内に回転可能に装着されるおかげで、投薬ユニット5a、5b内のポケット17の環状構成により、ポケットの中身が空気の流れに順番に露出されて連続的に吸入されるのを可能にする連続的な構成が画定されることを理解されたい。
【0051】
本発明の第1の実施形態の別のバージョンが図4〜5に示されており、ここでは、上述したように、吸入器1内で使用するのに適した2つの投薬ユニットのパックが存在する。
図4のバージョンでは、パック105が、
−図1に関連した投薬ユニット5aで説明したような環状の構成内に、一投薬量の第1の薬物粉末Xを収容するポケットとブランクポケットBとが交互になっているポケットのシーケンスを有する第1の投薬ユニット105aと、
−図1に関連した投薬ユニット5bで説明したような環状の構成内に、好適には第1の薬物粉末Xとは異なる一投薬量の第2の薬物粉末Yをすべてのポケットが収容しているポケットのシーケンスを有する第2の投薬ユニット105bと
を有する。
【0052】
本明細書の説明では、「ブランクポケット」は、薬学的活性成分を含んでいないポケットして理解しなければならない。ブランクポケットは空のポケットであってよいが、好適には、薬学的活性成分を含んでいない賦形剤粉末(ラクトースなど)を収容するポケットであってよく、この場合、ブランクポケットが存在することで使用者の吸入行為および認識が影響を受けることはない。「ブランク」とは反対の「アクティブ」という用語は、本明細書の以下では、薬物粉末を含むポケットを説明するためにいくつかの場面で使用される。
【0053】
第1の薬物粉末Xおよび第2の薬物粉末Yの各々には、薬学的活性単一の成分または2つ以上の薬学的に活性な成分の組合せが含まれてよい。
好適な実施形態に相当する第1の例示の実施例では:
第1の薬物粉末Xには、例えばWO04/032921、WO05/080313、WO05/080324、WO05/090287、WO05/092840、WO2007/010356に記載されているような、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロールなどのβ2−アドレナリン受容体アゴニストおよび他のβ2−アゴニスト、ならびにその塩からなる群から選択される薬学的活性単一の成分が含まれ;
第2の薬物粉末Yには、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾンなどのグルココルチコイド受容体アゴニスト、およびその塩からなる群から選択される単一の成分が含まれる。
【0054】
別の好適な実施形態に相当する第2の例示の実施例では:
第1の薬物粉末Xには、第1の成分が、例えばWO04/032921、WO05/080313、WO05/080324、WO05/090287、WO05/092840、WO2007/010356に記載されているような、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロールなどのβ2−アドレナリン受容体アゴニストおよび他のβ2−アゴニスト、ならびにその塩からなる群から選択され、第2の成分は、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾンなどのグルココルチコイド受容体アゴニスト、およびその塩からなる群から選択される、2つの薬学的活性成分の固定された組合せが含まれ;
第2の薬物粉末Yには、例えばWO03/035599、WO2007/034325、WO08/035157またはWO2009/034432に記載されているような、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピンなどのムスカリン様M3受容体アゴニストまたは抗コリン作動薬および他のムスカリン様アゴニスト、ならびにその塩からなる群から選択される単一の成分が含まれる。
【0055】
別の好適な実施形態に相当する第3の例示の実施例では:
−第1の薬物粉末Xには、キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカソンとの組合せまたはブデソニドとフマル酸ホルモテロール二水和物との組合せのいずれかである活性成分の組合せが含まれ;
−第2の薬物粉末Yには、チオトロピウム、臭素からなる群から選択される単一の成分が含まれる。
【0056】
図4に関連して説明される形態では、同一の吸入器を用いて2つの異なる薬物粉末X、Yを異なる頻度で分配することが可能となり、薬物粉末Yは薬物粉末Xの2倍の頻度で分配される。したがって、例えば、薬物粉末Xを1日に2回(薬物粉末Yと共に)、薬物粉末Yを1日に4回(その内の2回は薬物粉末Xと共に)分配することが可能である。
【0057】
図5のバージョンでは、パック205が、
−2つのブランクポケットBと一投薬量の第1の薬物粉末Xを含む1つのアクティブポケットとのシーケンスを規則的に繰り返す形で有する第1の投薬ユニット205aと;
−すべてのポケットが一投薬量の第2の薬物粉末Yを含んでおりアクティブとなっている第2の投薬ユニット205bと
を有する。
【0058】
この形態では、粉末Yの薬学的活性成分(複数可)を粉末Xの薬学的活性成分(複数可)の3倍の頻度で分配することが可能であることは容易に想像できる。
図6および7のバージョンでは、各投薬ユニットが、ポケットの環状構成を2つ有しており、第1の環状構成の各ポケットは、第2の環状構成内の同じ角度位置のところで径方向に離間された対応するポケットを有する。プロジャー45が2つの対応するポケットを同時に破裂させるように適合されている場合には、このような投薬ユニットが図1〜3に示した吸入器内で使用されるのに適することに留意されたい。
【0059】
図6のバージョンでは、パック305が第1の投薬ユニット305aおよび第2の投薬ユニット305bを有しており:
−第1の投薬ユニット305aは:
・径方向において外側の構成である第1の環状構成内に、ブランクポケットBと各々が一投薬量の第1の薬物粉末X1を含んでいるアクティブポケットとの交互のシーケンスを有し;
・径方向において内側の構成である第2の環状構成内に、各々が一投薬量の第2の薬物粉末X2を含んでいるアクティブポケットのみを有しており;
−第2の投薬ユニット305bは:
・径方向において外側の構成である第1の環状構成内に、各々が一投薬量の第3の薬物粉末Y1を含んでいるアクティブポケットのみを有し;
・径方向において内側の構成である第2の環状構成内に、各々が一投薬量の第4の薬物粉末Y2を含んでいるアクティブポケットのみを有する。
【0060】
この形態では、
(i)組合せX1+X2+Y1+Y2の分配;
(ii)組合せX2+Y1+Y2の分配
のシーケンスを繰り返すことにより、粉末X2、Y1、Y2の薬学的活性成分を同じ頻度で分配し、粉末X1の薬学的活性成分をその半分の頻度で分配することが可能であることを理解されたい。
【0061】
図7のバージョンでは、パック405が第1の投薬ユニット405aおよび第2の投薬ユニット405bを有しており:
−第1の投薬ユニット405aは:
・径方向において外側の構成である第1の環状構成内に、ブランクポケットBと各々が一投薬量の第1の薬物粉末X1を含んでいるアクティブポケットとの交互のシーケンスを有し;
・径方向において内側の構成である第2の環状構成内に、ブランクポケットBと各々が一投薬量の第1の薬物粉末X2を含んでいるアクティブポケットとの交互のシーケンスを有しており(ここでは、第2の構成のブランクポケットは第1の構成のブランクポケットの角度位置からずらされており、2つの構成からの2つの対応するポケットの各ペアには、ブランクポケットと、交互にX1およびX2を含むことになるアクティブポケットとが含まれる);
−第2の投薬ユニット405bは:
・径方向において外側の構成である第1の環状構成内に、各々が一投薬量の第3の薬物粉末Y1を含んでいるアクティブポケットのみを有し;
・径方向において内側の構成である第2の環状構成内に、各々が一投薬量の第4の薬物粉末Y2を含んでいるアクティブポケットのみを有する。
【0062】
この形態では、
(iii)組合せX1+Y1+Y2の分配;
(iv)組合せX2+Y1+Y2の分配
のシーケンスを繰り返すことにより、粉末X1、X2の薬学的活性成分を第1の頻度で分配し、粉末Y1、Y2の薬学的活性成分を第1の頻度の2倍の第2の頻度で分配することが可能であることを理解されたい。
【0063】
上記のすべての形態において、第1の投薬ユニットの複数の薬物粉末投薬量は同じグループのシーケンスに従って規則的にポケット内に配分されており、各グループには、少なくとも1つのブランクポケットと一投薬量の薬物粉末を収容している少なくとも1つのポケットとが含まれる。
【0064】
次に、図8を参照しながら、例えば特許明細書WO004/011070で開示されているタイプの吸入デバイスに関連した本発明の第2の実施形態を説明する。
このデバイスを用いると、細長い可撓性ストリップを有する一対の投薬ユニットから薬物を組み合わせて分配することができる。
【0065】
本発明による投薬ユニット505a、505bのパック505を示している図8でも概略的に示されているように、上記のような吸入器内で使用されるのに適した典型的な投薬ユニット505bは、連続する空洞517により形成される細長いストリップ515の形態の投薬キャリアを有する。吸入粉末(inhalation powder)を収容するためのポケットを画定する上記の空洞517はストリップ515の主方向Δに沿って配置されている。投薬ユニット505bはまた、初期状態ではポケットを気密封止して閉じるためにストリップ515に付着されて密封されている蓋シート524を有しており、この蓋シート524はストリップ515から引き剥がされ得る。
【0066】
この蓋シート524に付随する細長いストリップ515は形状を曲げるのに適しており、WO004/011070により知られているタイプの吸入器内に入るように適合されており、蓋シート524がストリップ515から段階的に引き剥がされるときに徐々に緩められて主方向Δに沿って広がるようになっており、それにより、連続するポケットの中身を吸入用空気流れに露出させることができる。
【0067】
同様に、図8に示されているパック505のもう一方の投薬ユニット505aも、薬物粉末を組み合わせて分配するために、投薬ユニット505bと共に同じタイプの吸入器で使用されるように適合されている。
【0068】
本発明によると、第1の投薬ユニット505aは主方向Δに沿って連続するポケット構成を含んでおり、この構成は、ブランクポケットBと第1の薬物粉末Xを含むアクティブポケットとを交互に有する。
【0069】
本発明によるパック505の第2の投薬ユニット505bは主方向Δに沿って連続するポケット構成を含んでおり、この構成は、第2の活性粉末Yを含むアクティブポケットのみを有する。
【0070】
図4に示した形態と同様に、図8の実施形態でも、同一の吸入器で異なる2つの薬物粉末X、Yを異なる頻度で分配することが可能である。この特定の実施例では、薬物粉末Yは、薬物粉末Yとの組合せで分配される薬物粉末Xの頻度の2倍の頻度で分配される。
【0071】
本発明が、吸入器のタイプおよび付随する投薬キャリアのタイプに関係なく、単一の吸入器を用いて、繰り返すことのできるシーケンスに従って、異なる薬物粉末を異なる頻度で分配することを実現させる手段を提供するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0072】
1 吸入器
3a、3b シェル
5a、5b、105a、105b、205a、205b、305a、305b、405a、405b、505a、505b 投薬ユニット
7 内部構造体(支持体)
9 機構
11a 開口
13a、13b マウスピース(半体)
15 投薬キャリア
17 ポケット
21 剛体円板
23 貫通孔
25 剛体挿入物
27 外側平坦面
29 周縁部
33 流れ経路
35 区間
37 下流区間
38 ダクト
40 回転可能部分
41 レバー
43 回転カム
45 プロジャー
205、305、405、505 パック
515 ストリップ
517 空洞
524 蓋シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−吸入に適した一投薬量の薬物粉末を収容するように各々が適合されておりかつその中身が連続的に吸入されるように空気の流れ(Fa)に順番に露出され得るように連続的に配置されている複数のポケット(17;517)を含む投薬キャリア(15;515、524)と、
−前記投薬キャリア(15)のポケット(17;517)内に配置される複数の薬物粉末投薬量(X;X1、X2)と
を有する乾燥粉末吸入器用の投薬ユニットにおいて、
前記薬物粉末投薬量が、少なくとも1つのブランクポケット(B)と一投薬量の薬物粉末(X;X1、X2)を収容している少なくとも1つのポケットとを各々が含む等しいグループのシーケンスに従って前記ポケット内に規則的に配分されることを特徴とする、
投薬ユニット。
【請求項2】
各ブランクポケット(B)が空のポケットであることを特徴とする、請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項3】
各ブランクポケット(B)が賦形剤粉末を収容するポケットであることを特徴とする、請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項4】
前記投薬キャリア(15)が円板形の支持構造体(21)を有し、前記ポケット(17)が前記支持構造体内で環状の構成で保持され、前記支持構造体が、前記ポケット(17)の中身を順番に露出するために前記乾燥粉末吸入器(1)内に回転可能に装着されるように適合されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の投薬ユニット。
【請求項5】
前記円板形の支持構造体(21)が環状構成の貫通孔(23)を有し、および、前記投薬キャリア(15)が前記ポケット(17)を画定する剛体挿入物(25)をさらに有し、前記挿入物の各々が、保管位置にあるときは前記それぞれの貫通孔(23)内に摺動可能に収容されており、前記ポケットの中身を前記空気流れ(Fa)に露出する際に、前記保管位置から、前記円板形の支持構造体(21)から突出する分配位置に変位されるように適合されることを特徴とする、請求項4に記載の投薬ユニット。
【請求項6】
前記投薬キャリアが連続する空洞(517)によって形成される細長いストリップ(515)を有しており、前記連続する空洞(517)が前記ストリップの主方向(Δ)に沿うように配置される前記ポケットを画定することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の投薬ユニット。
【請求項7】
前記細長いストリップ(515)が可撓性でありその形状を曲げることができ、前記ポケット(517)の中身を順番に露出するために前記乾燥粉末吸入器内で巻き戻されるように適合されることを特徴とする、請求項6に記載の投薬ユニット。
【請求項8】
前記等しいグループの各々が、一投薬量の薬物粉末(X;X1、X2)を収容する1つのポケットと1つのブランクポケット(B)とから構成され、それにより、前記投薬ユニットの前記ポケットではブランクポケット(B)と一投薬量の薬物粉末(X;X1、X2)を含んだものとが交互になることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の投薬ユニット。
【請求項9】
前記薬物粉末(X;X1、X2)が薬学的活性単一の成分を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の投薬ユニット。
【請求項10】
前記薬学的活性単一の成分が、ムスカリン様M3受容体アゴニストまたは抗コリン作動薬、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、ムスカリン様アンタゴニストおよびβ2−アゴニストの二重作用を有する化合物、ならびに、グルココルチコイド受容体アゴニストからなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の投薬ユニット。
【請求項11】
前記薬学的活性単一の成分が、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピン、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ならびにその塩および/または溶媒化合物からなる群から選択される、請求項10に記載の投薬ユニット。
【請求項12】
前記薬物粉末(X;X1、X2)が薬学的活性成分の組合せを含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の投薬ユニット。
【請求項13】
薬学的活性成分の前記組合せが、β2−アドレナリン受容体アゴニストとグルココルチコイド受容体アゴニストとの組合せであることを特徴とする、請求項12に記載の投薬ユニット。
【請求項14】
薬学的活性成分の前記組合せが、キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカソンとの組合せまたはブデソニドとフマル酸ホルモテロール脱水物との組合せである、請求項13に記載の投薬ユニット。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一項による第1の投薬ユニット(105a;205a;305a;405a;505a)と乾燥粉末吸入器用の第2の投薬ユニット(105b;205b;305b;405b;505b)とを含むパックであって、
−吸入に適した一投薬量の薬物粉末を収容するように適合されておりかつその中身が連続的に吸入されるように空気の流れ(Fb)に順番に露出され得るように連続的に配置されている複数のポケット(17;517)を含む投薬キャリア(15;515)と、
−前記第2の投薬ユニット(105b;205b;305b;405b;505b)の前記ポケットのすべてが一薬物粉末投薬量を含むように、前記投薬キャリア(15;515)の前記それぞれのポケット(17;517)内に配置される複数の薬物粉末投薬量(Y;Y1、Y2)と
を有するパック。
【請求項16】
前記第1の投薬ユニット(105a;205a;305a;405a;505a)の前記投薬キャリア(15;515)および前記第2の投薬ユニット(105b;205b;305b;405b;505b)の前記投薬キャリア(15;515)のポケット(17;517)の配置が等しいことを特徴とする、請求項15に記載のパック。
【請求項17】
前記第2の投薬ユニット(105a;205a;505a)の前記薬物粉末(Y)が薬学的活性単一の成分を含むことを特徴とする、請求項15または16に記載のパック。
【請求項18】
前記薬学的活性単一の成分が、ムスカリン様M3受容体アゴニストまたは抗コリン作動薬、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、ムスカリン様アンタゴニストおよびβ2−アゴニストの二重作用を有する化合物、ならびに、グルココルチコイド受容体アゴニストからなる群から選択されることを特徴とする、請求項17に記載のパック。
【請求項19】
前記薬学的活性単一の成分が、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ペレンゼピン、テレンゼピン、エフェドリン、アドレナリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、カルモテロール、アルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルブタモール、ツロブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ならびにその塩および/または溶媒化合物からなる群から選択される、請求項18に記載のパック。
【請求項20】
前記第2の投薬ユニット(105a;205a;505a)の前記薬物粉末(Y)が薬学的活性成分の組合せを含むことを特徴とする、請求項15または16に記載のパック。
【請求項21】
請求項15から20までのいずれか一項によるパック(105;205;305;405;505)と、前記第1の投薬ユニット(105a;205a;305a;405a;505a)のポケットおよびそれに対応する前記第2の投薬ユニット(105b;205b;305b;405b;505b)のポケットのそれぞれの中身を同時に吸入用空気流れ(Fa、Fb)に露出するための手段(9)とを有する、薬物粉末を患者に投与するための乾燥粉末吸入器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−15958(P2011−15958A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−132837(P2010−132837)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England