薬品充填ユニット
【課題】配管に接続でき、破損が防止された薬品充填ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の薬品充填ユニット1は、一定口径の貫通孔11を有する収容体10と、収容体10の貫通孔11内に配置された薬品充填部20と、収容体10の貫通孔11の両端から挿入され、薬品充填部20を挟んで支持する2つの管状の支持部材30,30とを具備し、薬品充填部20は、一対の多孔質板21a,21b間に薬品が充填されてなる。
【解決手段】本発明の薬品充填ユニット1は、一定口径の貫通孔11を有する収容体10と、収容体10の貫通孔11内に配置された薬品充填部20と、収容体10の貫通孔11の両端から挿入され、薬品充填部20を挟んで支持する2つの管状の支持部材30,30とを具備し、薬品充填部20は、一対の多孔質板21a,21b間に薬品が充填されてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品が充填され、配管に接続された薬品充填ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
分析計等の配管には、分析対象の試料や試料に添加する試薬等の流体の除湿や、流体中に含まれる分析時の妨害物質の除去のために、流体に薬品を作用させることを目的として、薬品を充填したユニットを接続することがある。
薬品が充填されたユニットとしては、ガラス管と、ガラス管に充填された薬品と、薬品の両側に配置されたガラスウールとを有するものが知られている。
また、特許文献1には、多孔質ポリテトラフルオロエチレン製のチューブに吸着剤等の薬品を充填することが記載されている。
【特許文献1】特表平4−501229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ガラス製のユニットは破損しやすく、また、ガラスを加工して内部に薬品を補充し、所定の位置にガラスウールを配置しなければならないため、作製には熟練した技術が必要とされ、分析計等の組み立て現場で作製することが困難であるという問題を有していた。
一方、特許文献1に記載されたチューブ状のユニットは、ガラスを用いていないため、破損しにくく、形状や大きさを設置スペースに応じて変化させることは比較的容易であるが、配管に接続するものではない。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、配管に接続でき、破損が防止され、容易に作製および変形できる薬品充填ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 一定口径の貫通孔を有する収容体と、
収容体の貫通孔内に配置された薬品充填部と、
収容体の貫通孔の両端から挿入され、前記薬品充填部を挟んで支持する2つの管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
[2] 第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第2の孔の底面に隣接した薬品充填部と、
収容体の第2の孔に挿入され、前記薬品充填部を第2の孔の底面に押さえ付けて支持する管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
[3] 第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第1の孔および第2の孔の連通部分の近傍にて第1の孔から第2の孔にかけて配置された薬品充填部と、
収容体の第1の孔に挿入された管状の第1の支持部材と、
収容体の第2の孔に挿入された管状の第2の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなり、第1の支持部材と第2の支持部材とに挟まれて支持されていることを特徴とする薬品充填ユニット。
[4] 薬品充填部が2つ以上に分割されている[1]〜[3]のいずれかに記載の薬品充填ユニット。
【発明の効果】
【0005】
本発明の薬品充填ユニットは、配管に接続でき、破損が防止され、容易に作製および変形できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット1は、貫通孔11を有する収容体10と、収容体10の貫通孔11に配置された薬品充填部20と、収容体10の貫通孔11の両端から挿入された2つの管状の支持部材30,30と、収容体10の各端部10a,10bに取り付けられた配管固定用部材40,40とを具備する。
【0007】
[収容体]
本実施形態における収容体10は、外周面に凹凸のない円筒体である。収容体10の貫通孔11は、図2に示すように、一端10aから他端10bにかけて一定口径に形成されている。
収容体10の材質としては特に制限されず、例えば、金属、樹脂などを使用することができる。金属、樹脂のうちでは、加工によって容易に目的の形状にできることから、樹脂が好ましい。
金属としては、例えば、SUS301、SUS304、SUS316等のステンレス鋼などが挙げられる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標))、フッ素樹脂などが挙げられる。樹脂の中でも、ガスや液体等の流体中の成分の吸着防止および流体中の成分との反応防止の点から、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂を用いれば、流体中の成分の吸着を防止でき、また、流体中の成分との反応を防止できる。さらには、フッ素樹脂は耐食性に優れるから、腐食性成分を含む流体の分析にも適用できる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
【0008】
収容体10は一つの管状部材から形成されていてもよいし、複数の管状部材が重ねられて形成されていてもよい。
【0009】
[薬品充填部]
本実施形態における薬品充填部20は、一対の多孔質板21a,21bの間に薬品22が充填されたものである。
多孔質板21a,21bは、円盤状であり、その直径は貫通孔11の口径と同じか僅かに小さくなっている。
多孔質板21a,21bに形成されている孔の径は、後述する配管から流入する流体が通過でき、かつ、薬品が流出しない径である。多孔質板21a,21bのうち流入側に配置された方の孔径が充分に小さい場合には、多孔質板21a,21b自体が流体中の不純物を除去するろ過膜として機能する。
多孔質板21a,21bの材質としては、金属、ガラス、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、収容体10と同様の理由から、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、収容体10と同様のものが挙げられる。
薬品22としては、例えば、シリカゲル、活性炭等の吸着剤、酸化剤、還元剤などが挙げられる。薬品22は、流体を流通させやすいことから、粉状または粒状が好ましい。また、液状の薬品22を多孔質体等に含浸させて充填してもよい。
【0010】
[支持部材]
支持部材30の外径は、収容体10の貫通孔11の口径と同じか僅かに小さくなっている。支持部材30の孔31は、配管を挿入するための孔になっており、孔31の口径は、挿入される配管の外径と同じか僅かに大きくなっている。
支持部材30の厚みT1は厚いことが好ましい。厚みT1が厚ければ、薬品充填部20を確実に支持できる。
このような支持部材30,30が、収容体10の貫通孔11の両端から挿入されることにより、薬品充填部20が挟まれて支持されるようになっている。
【0011】
支持部材30の材質としては特に制限されないが、収容体10と配管との密着性が高くなることから、樹脂が好ましく使用される。樹脂の中でも、流体中の成分の吸着防止および流体中の成分との反応防止の点から、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、収容体10と同様のものが挙げられる。
支持部材30は一つの管状部材から形成されていてもよいし、複数の管状部材が重ねられて形成されていてもよい。
【0012】
[配管固定用部材]
本実施形態における配管固定用部材40は、図3に示すように、円筒状であって、収容体10の一端10aまたは他端10bが挿入される収容体挿入穴41と、収容体挿入穴41に連通し、配管を挿入するための配管挿入穴42とを有する。
収容体挿入穴41の口径は、収容体10の外径と同じか僅かに小さくなっている。
配管挿入穴42の口径は、支持部材30の孔31の口径と同じか僅かに小さくなっている。
【0013】
配管固定用部材40は、収容体挿入穴41に収容体10の一端10aまたは他端10bが挿入されることによって、収容体10に取り付けられている。配管固定用部材40が収容体10に取り付けられた状態では、配管固定用部材40の配管挿入穴42と支持部材30の孔31とが連通するようになっている(図1参照)。
【0014】
配管固定用部材40は弾性高分子材料製であることが好ましい。配管固定用部材40が弾性高分子材料製であれば、容易に変形するため、僅かな力で配管固定用部材40の収容体挿入穴41に収容体10の一端10aまたは他端10bを挿入して取り付けることができる。
また、配管固定用部材40が弾性高分子材料製であり、かつ、配管挿入穴42の口径を収容体10の貫通孔11の口径より僅かに小さくした場合には、配管挿入穴42および収容体10の貫通孔11に挿入する配管に配管固定用部材40を確実に密着させることができる。したがって、配管を強固に固定することができる。
【0015】
弾性高分子材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴムなどのポリオレフィン系エラストマーなどが挙げられる。これらの中でも、半透明であり、収容体10の挿入状態を視認できることから、シリコーンゴムが好ましい。
【0016】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット1は、各種分析計の配管に接続されて使用される。具体的には、図4に示すように、支持部材30,30の各々の孔31に配管L1を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。なお、流体としては、気体が好ましい。
このように薬品充填ユニット1を使用することにより、配管L1を流れる流体に薬品22を作用させることができる。例えば、薬品22が吸着剤である場合には流体中の不純物を吸着でき、酸化剤である場合には流体中の成分を酸化させることができ、還元剤である場合には流体中の成分を還元させることができる。
配管L1の材質としては、収容体10と同様に、金属、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、収容体10と同様の理由から、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、収容体10と同様のものが挙げられる。
【0017】
以上説明した第1の実施形態の薬品充填ユニット1は、薬品充填部20を収容体10の貫通孔11内で支持する支持部材30に配管L1を挿入することによって、配管L1に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット1では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット1は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
【0018】
(第2の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第2の実施形態について説明する。
図5に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット2は、第1の孔51aと第2の孔51bとからなる貫通孔51を有する収容体50と、収容体50の第2の孔51bに配置され、底面51cに隣接している薬品充填部60と、収容体50の第2の孔51bに挿入された管状の支持部材70bと、収容体50の各端部50a,50bに取り付けられた配管固定用部材80a,80bとを具備する。
【0019】
[収容体]
本実施形態における収容体50は、図6に示すように、外周面に凹凸のない円筒体である。また、第2の孔51bの口径は第1の孔51aの口径より大きく、第2の孔51bの底面51cの一部に第1の孔51aが連通している。
収容体50においては、第1の孔51aの口径と第2の孔51bの口径との差が大きく、第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2が大きいことが好ましい。第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2が大きければ、薬品充填部60をより確実に支持できる。
【0020】
収容体50の材質としては、第1の実施形態と同様に、金属、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、第1の実施形態における収容体10と同様のものが挙げられる。
【0021】
[薬品充填部]
本実施形態における薬品充填部60は、一対の多孔質板61a,61bの間に薬品62が充填されたものである。
多孔質板61a,61bは、円盤状であり、その直径は第2の孔51bの口径と同じか僅かに小さくなっている。多孔質板61a,61bに形成されている孔の径は、配管から流入する流体が通過でき、かつ、薬品が流出しない径である。多孔質板61a,61bのうち流入側に配置された方の孔径が充分に小さい場合には、多孔質板61a,61b自体が流体中の不純物を除去するろ過膜として機能する。
多孔質板61a,61bの材質としては、第1の実施形態の多孔質板21a,21bと同様に、金属、ガラス、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、第1の実施形態と同様の理由から、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、第1の実施形態における収容体10と同様のものが挙げられる。
薬品62は、第1の実施形態における薬品22と同様である。
【0022】
[支持部材]
支持部材70bは、管状の部材であって、収容体50の第2の孔51bに密着しながら収容体50に挿入されている。このように支持部材70bが収容体50に挿入されていることにより、薬品充填部60が第2の孔51bの底面51cに押さえ付けられて支持されている。
【0023】
支持部材70bの外径は、収容体50の第2の孔51bの口径と同じか僅かに小さくなっている。支持部材70bの孔71は、配管が挿入されるための孔になっている。したがって、孔71の口径は、挿入される配管の外径と同じか僅かに大きくなっている。
支持部材70bの厚みT3も、第1の実施形態と同様に、厚いことが好ましい。
また、支持部材70bの厚みT3は、第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2より大きくても小さくても構わないが、段差T2と同等または段差T2より小さいことが好ましい。支持部材70bの厚みT3が段差T2より大きい場合には、収容体50の第2の孔51bの口径を第1の孔51aより大きくした意味がないからである。
【0024】
支持部材70bの材質は、第1の実施形態と同様に、フッ素樹脂が好ましい。
支持部材70bは一つの管状部材から形成されていてもよいし、複数の管状部材が重ねられて形成されていてもよい。
【0025】
[配管固定用部材]
本実施形態における配管固定用部材80aは、図3に示すように、円筒状の部材であって、収容体50の、第1の孔51aの開口部51d側の一端50aが挿入される収容体挿入穴81aと、収容体挿入穴81aに連通する配管挿入穴82aとを有する。
収容体挿入穴81aの口径は、収容体50の外径と同じか僅かに小さくなっている。
配管挿入穴82aの口径は、第1の孔51aの口径と同じか僅かに小さくなっている。
【0026】
配管固定用部材80aは、収容体挿入穴81aに、収容体50の、第1の孔51aの開口部51d側の一端50aが挿入されることによって、収容体50に取り付けられている。配管固定用部材80aが取り付けられた状態では、収容体50の第1の孔51aと配管固定用部材80aの配管挿入穴82aとが連通するようになっている(図5参照)。
【0027】
また、配管固定用部材80bは、円筒状の部材であって、収容体50の第2の孔51bの開口部51e側の一端50bが挿入される収容体挿入穴81bと、収容体挿入穴81bに連通する配管挿入穴82bとを有する(図5および図7参照)。
収容体挿入穴81bの口径は、収容体50の外径と同じか僅かに小さくなっている。
配管挿入穴82bの口径は、支持部材70bの孔71の口径と同じか僅かに小さくなっている。
【0028】
配管固定用部材80bは、収容体挿入穴81bに、収容体50の、第2の孔51bの開口部51e側の一端50bが挿入されることによって、収容体50に取り付けられている。配管固定用部材80bが取り付けられた状態では、配管固定用部材80bの配管挿入穴82bと支持部材70bの孔71とが連通するようになっている(図5参照)。
【0029】
本実施形態の配管固定用部材80a,80bは、第1の実施形態と同様に、弾性高分子材料製であることが好ましい。
【0030】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット2は、各種分析計の配管に接続されて使用される。具体的には、図8に示すように、収容体50の第1の孔51aに配管L1を挿入し、支持部材70bの孔71に、配管L1より太い配管L2を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。なお、流体としては、気体が好ましい。
このように薬品充填ユニット2を使用することにより、第1の実施形態と同様に、流体に薬品62を作用させることができる。
配管L1,L2の材質としては、第1の実施形態の配管L1と同様に、金属、ガラス、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、第1の実施形態における収容体10と同様のものが挙げられる。
収容体50の第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2と支持部材70bの厚みT3とが同じである場合には、配管L1の直径と配管L2の直径とが同じとなる。
【0031】
以上説明した第2の実施形態の薬品充填ユニット2は、収容体50の第1の孔51aに配管L1を挿入し、薬品充填部60を収容体50の第2の孔51b内で支持する支持部材70bに配管L2を挿入することによって、配管L1,L2に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット2では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット2は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
【0032】
(第3の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第3の実施形態について説明する。
図9に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット3は、貫通孔11を有する収容体10と、収容体10の貫通孔11に配置された薬品充填部90と、収容体10の貫通孔11の両端から挿入された2つの管状の支持部材30,30と、収容体10の各端部10a,10bに取り付けられた配管固定用部材40,40とを具備する。
なお、本実施形態における収容体10、支持部材30、配管固定用部材40は第1の実施形態の収容体10、支持部材30、配管固定用部材40と同様である。
【0033】
本実施形態における薬品充填部90は、一対の多孔質板91a,91b間に薬品92a,92bが充填されたものである。
また、薬品充填部90は、多孔質板91aに対向する多孔質板91cと、多孔質板91bに対向する多孔質板91dと、多孔質板91c,91dの間に挟持された支持管93とを有して、薬品を充填した部分が2つに分割されている。そして、多孔質板91a,91cの間に薬品92aが充填され、多孔質板91b,91dの間に薬品92bが充填されている。ここで、薬品92aと薬品92bは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0034】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット3は、図10に示すように、支持部材30,30の各々の孔31に配管L1を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。このように薬品充填ユニット3を使用することにより、流体に薬品92a,92bを作用させることができる。
【0035】
以上説明した第3の実施形態の薬品充填ユニット3は、薬品充填部90を収容体10の貫通孔11内で支持する支持部材30に配管L1を挿入することによって、配管L1に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット3では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット3は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
さらに、本実施形態では、多孔質板91c,91dの直径が貫通孔11の口径未満であっても、支持管93を有しており、多孔質板91c,91dを確実に支持できるため、薬品92aと薬品92bとを確実に分けた状態で充填できる。
【0036】
(第4の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第4の実施形態について説明する。
図11に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット4は、第1の孔51aと第2の孔51bとからなる貫通孔51を有する収容体50と、第1の孔51aおよび第2の孔51bの連通部分の近傍にて第1の孔51aから第2の孔51bにかけて配置された薬品充填部100と、収容体50の第1の孔51aに挿入された管状の第1の支持部材70aと、収容体50の第2の孔51bに挿入された管状の第2の支持部材70bと、収容体50の各端部50a,50bに取り付けられた配管固定用部材80a,80bとを具備する。
なお、本実施形態における収容体50、第2の支持部材70b、配管固定用部材80a,80bは第2の実施形態の収容体50、支持部材70b、配管固定用部材80a,80bと同様である。
【0037】
本実施形態における薬品充填部100は、一対の多孔質板101a,101b間に薬品102a,102bが充填されたものである。ここで、多孔質板101aは第1の孔51a内に配置され、多孔質板101bは第2の孔51b内に配置されている。
また、薬品充填部100は、第2の孔51bの底面51cに隣接している多孔質板101cを有して、薬品を充填した部分が2つに分割されている。そして、多孔質板101a,101cの間に薬品102aが充填され、多孔質板101b,101cの間に薬品102bが充填されている。ここで、薬品102aと薬品102bは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0038】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット4は、各種分析計の配管に接続されて使用される。具体的には、図12に示すように、第1の支持部材70aに配管L1を挿入し、第2の支持部材70bに、配管L1より太い配管L2を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。なお、流体としては、気体が好ましい。
このように薬品充填ユニット4を使用することにより、第1の実施形態と同様に、流体に薬品102a,102bを作用させることができる。
【0039】
以上説明した第4の実施形態の薬品充填ユニット4は、第1の支持部材70aに配管L1を挿入し、第2の支持部材70bに配管L2を挿入することによって、配管L1,L2に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット4では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット4は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
【0040】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、本発明の薬品充填ユニットでは、上記配管固定用部材40,80a,80bの代わりに、市販の配管固定用部材を具備してもよい。また、薬品充填ユニットの一端から試料流体を直接採り込む場合には、薬品充填ユニットの一端への配管の取り付けを省略できるから、一方の配管固定用部材を具備していなくてもよい。
また、収容体の外周面の一部または全部が雄ネジ状になっていてもよい。収容体の外周面が雄ネジ状になっている場合には、該雄ネジに対応する雌ネジを有する配管固定用部材を収容体に螺着することができる。また、収容体は、外形が多角柱状(例えば、三角形状、四角形状等。)であってもよい。
また、配管が支持部材を兼ねていても構わない。
【0041】
さらに、収容体、多孔質板、支持部材の材質は全て同一材質である必要はなく、異なる材質の部材を組み合わせてもよい。
また、収容体および支持部材を、例えば、いずれもポリエーテルエーテルケトン製にして、あるいは、ポリエーテルエーテルケトン製とステンレス鋼製との組み合わせにして、圧入により薬品充填ユニットを作製した場合には、流体の圧力を高くすることができる。
【0042】
また、第3の実施形態の薬品充填ユニット3において、多孔質板91dおよび支持管93を除いてもよい。また、第3の実施形態の薬品充填ユニット3は薬品充填部90が2つに分割されていたが、3つ以上に分割されていてもよい。
また、第2の実施形態の薬品充填ユニット2においても、薬品充填部60が2つ以上に分割されていてもよい。
また、第4の実施形態の薬品充填ユニット4では薬品充填部100が2つに分割されていたが、3つ以上に分割されていてもよい。3つ以上に分割される場合、第1の孔51aにて2つ以上に分割されていてもよいし、第2の孔51bにて分割されていてもよいし、第1の孔51aおよび第2の孔51bの両方にて分割されていてもよい。また、薬品充填部100は、多孔質板101cを有さないで、分割されていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図2】第1の実施形態の薬品充填ユニットを構成する収容体を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態の薬品充填ユニットを構成する配管固定用部材を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図6】第2の実施形態の薬品充填ユニットを構成する収容体を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態の薬品充填ユニットを構成する配管固定用部材を示す断面図である。
【図8】第2の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【図9】本発明に係る第3の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図10】第3の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【図11】本発明に係る第4の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図12】第4の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3,4 薬品充填ユニット
10,50 収容体
51,11 貫通孔
51a 第1の孔
51b 第2の孔
51c 底面
51d,51e 開口部
20,60,90,100 薬品充填部
21a,21b,61a,61b,91a,91b,91c,91d,101a,101b,101c 多孔質板
22,62,92a,92b,102a,102b 薬品
30,70a,70b 支持部材
31,71 孔
40,80a,80b 配管固定用部材
41,81a,81b 収容体挿入穴
42,82a,82b 配管挿入穴
93 支持管
L1,L2 配管
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品が充填され、配管に接続された薬品充填ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
分析計等の配管には、分析対象の試料や試料に添加する試薬等の流体の除湿や、流体中に含まれる分析時の妨害物質の除去のために、流体に薬品を作用させることを目的として、薬品を充填したユニットを接続することがある。
薬品が充填されたユニットとしては、ガラス管と、ガラス管に充填された薬品と、薬品の両側に配置されたガラスウールとを有するものが知られている。
また、特許文献1には、多孔質ポリテトラフルオロエチレン製のチューブに吸着剤等の薬品を充填することが記載されている。
【特許文献1】特表平4−501229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ガラス製のユニットは破損しやすく、また、ガラスを加工して内部に薬品を補充し、所定の位置にガラスウールを配置しなければならないため、作製には熟練した技術が必要とされ、分析計等の組み立て現場で作製することが困難であるという問題を有していた。
一方、特許文献1に記載されたチューブ状のユニットは、ガラスを用いていないため、破損しにくく、形状や大きさを設置スペースに応じて変化させることは比較的容易であるが、配管に接続するものではない。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、配管に接続でき、破損が防止され、容易に作製および変形できる薬品充填ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 一定口径の貫通孔を有する収容体と、
収容体の貫通孔内に配置された薬品充填部と、
収容体の貫通孔の両端から挿入され、前記薬品充填部を挟んで支持する2つの管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
[2] 第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第2の孔の底面に隣接した薬品充填部と、
収容体の第2の孔に挿入され、前記薬品充填部を第2の孔の底面に押さえ付けて支持する管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
[3] 第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第1の孔および第2の孔の連通部分の近傍にて第1の孔から第2の孔にかけて配置された薬品充填部と、
収容体の第1の孔に挿入された管状の第1の支持部材と、
収容体の第2の孔に挿入された管状の第2の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなり、第1の支持部材と第2の支持部材とに挟まれて支持されていることを特徴とする薬品充填ユニット。
[4] 薬品充填部が2つ以上に分割されている[1]〜[3]のいずれかに記載の薬品充填ユニット。
【発明の効果】
【0005】
本発明の薬品充填ユニットは、配管に接続でき、破損が防止され、容易に作製および変形できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット1は、貫通孔11を有する収容体10と、収容体10の貫通孔11に配置された薬品充填部20と、収容体10の貫通孔11の両端から挿入された2つの管状の支持部材30,30と、収容体10の各端部10a,10bに取り付けられた配管固定用部材40,40とを具備する。
【0007】
[収容体]
本実施形態における収容体10は、外周面に凹凸のない円筒体である。収容体10の貫通孔11は、図2に示すように、一端10aから他端10bにかけて一定口径に形成されている。
収容体10の材質としては特に制限されず、例えば、金属、樹脂などを使用することができる。金属、樹脂のうちでは、加工によって容易に目的の形状にできることから、樹脂が好ましい。
金属としては、例えば、SUS301、SUS304、SUS316等のステンレス鋼などが挙げられる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標))、フッ素樹脂などが挙げられる。樹脂の中でも、ガスや液体等の流体中の成分の吸着防止および流体中の成分との反応防止の点から、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂を用いれば、流体中の成分の吸着を防止でき、また、流体中の成分との反応を防止できる。さらには、フッ素樹脂は耐食性に優れるから、腐食性成分を含む流体の分析にも適用できる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
【0008】
収容体10は一つの管状部材から形成されていてもよいし、複数の管状部材が重ねられて形成されていてもよい。
【0009】
[薬品充填部]
本実施形態における薬品充填部20は、一対の多孔質板21a,21bの間に薬品22が充填されたものである。
多孔質板21a,21bは、円盤状であり、その直径は貫通孔11の口径と同じか僅かに小さくなっている。
多孔質板21a,21bに形成されている孔の径は、後述する配管から流入する流体が通過でき、かつ、薬品が流出しない径である。多孔質板21a,21bのうち流入側に配置された方の孔径が充分に小さい場合には、多孔質板21a,21b自体が流体中の不純物を除去するろ過膜として機能する。
多孔質板21a,21bの材質としては、金属、ガラス、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、収容体10と同様の理由から、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、収容体10と同様のものが挙げられる。
薬品22としては、例えば、シリカゲル、活性炭等の吸着剤、酸化剤、還元剤などが挙げられる。薬品22は、流体を流通させやすいことから、粉状または粒状が好ましい。また、液状の薬品22を多孔質体等に含浸させて充填してもよい。
【0010】
[支持部材]
支持部材30の外径は、収容体10の貫通孔11の口径と同じか僅かに小さくなっている。支持部材30の孔31は、配管を挿入するための孔になっており、孔31の口径は、挿入される配管の外径と同じか僅かに大きくなっている。
支持部材30の厚みT1は厚いことが好ましい。厚みT1が厚ければ、薬品充填部20を確実に支持できる。
このような支持部材30,30が、収容体10の貫通孔11の両端から挿入されることにより、薬品充填部20が挟まれて支持されるようになっている。
【0011】
支持部材30の材質としては特に制限されないが、収容体10と配管との密着性が高くなることから、樹脂が好ましく使用される。樹脂の中でも、流体中の成分の吸着防止および流体中の成分との反応防止の点から、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、収容体10と同様のものが挙げられる。
支持部材30は一つの管状部材から形成されていてもよいし、複数の管状部材が重ねられて形成されていてもよい。
【0012】
[配管固定用部材]
本実施形態における配管固定用部材40は、図3に示すように、円筒状であって、収容体10の一端10aまたは他端10bが挿入される収容体挿入穴41と、収容体挿入穴41に連通し、配管を挿入するための配管挿入穴42とを有する。
収容体挿入穴41の口径は、収容体10の外径と同じか僅かに小さくなっている。
配管挿入穴42の口径は、支持部材30の孔31の口径と同じか僅かに小さくなっている。
【0013】
配管固定用部材40は、収容体挿入穴41に収容体10の一端10aまたは他端10bが挿入されることによって、収容体10に取り付けられている。配管固定用部材40が収容体10に取り付けられた状態では、配管固定用部材40の配管挿入穴42と支持部材30の孔31とが連通するようになっている(図1参照)。
【0014】
配管固定用部材40は弾性高分子材料製であることが好ましい。配管固定用部材40が弾性高分子材料製であれば、容易に変形するため、僅かな力で配管固定用部材40の収容体挿入穴41に収容体10の一端10aまたは他端10bを挿入して取り付けることができる。
また、配管固定用部材40が弾性高分子材料製であり、かつ、配管挿入穴42の口径を収容体10の貫通孔11の口径より僅かに小さくした場合には、配管挿入穴42および収容体10の貫通孔11に挿入する配管に配管固定用部材40を確実に密着させることができる。したがって、配管を強固に固定することができる。
【0015】
弾性高分子材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴムなどのポリオレフィン系エラストマーなどが挙げられる。これらの中でも、半透明であり、収容体10の挿入状態を視認できることから、シリコーンゴムが好ましい。
【0016】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット1は、各種分析計の配管に接続されて使用される。具体的には、図4に示すように、支持部材30,30の各々の孔31に配管L1を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。なお、流体としては、気体が好ましい。
このように薬品充填ユニット1を使用することにより、配管L1を流れる流体に薬品22を作用させることができる。例えば、薬品22が吸着剤である場合には流体中の不純物を吸着でき、酸化剤である場合には流体中の成分を酸化させることができ、還元剤である場合には流体中の成分を還元させることができる。
配管L1の材質としては、収容体10と同様に、金属、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、収容体10と同様の理由から、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、収容体10と同様のものが挙げられる。
【0017】
以上説明した第1の実施形態の薬品充填ユニット1は、薬品充填部20を収容体10の貫通孔11内で支持する支持部材30に配管L1を挿入することによって、配管L1に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット1では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット1は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
【0018】
(第2の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第2の実施形態について説明する。
図5に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット2は、第1の孔51aと第2の孔51bとからなる貫通孔51を有する収容体50と、収容体50の第2の孔51bに配置され、底面51cに隣接している薬品充填部60と、収容体50の第2の孔51bに挿入された管状の支持部材70bと、収容体50の各端部50a,50bに取り付けられた配管固定用部材80a,80bとを具備する。
【0019】
[収容体]
本実施形態における収容体50は、図6に示すように、外周面に凹凸のない円筒体である。また、第2の孔51bの口径は第1の孔51aの口径より大きく、第2の孔51bの底面51cの一部に第1の孔51aが連通している。
収容体50においては、第1の孔51aの口径と第2の孔51bの口径との差が大きく、第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2が大きいことが好ましい。第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2が大きければ、薬品充填部60をより確実に支持できる。
【0020】
収容体50の材質としては、第1の実施形態と同様に、金属、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、第1の実施形態における収容体10と同様のものが挙げられる。
【0021】
[薬品充填部]
本実施形態における薬品充填部60は、一対の多孔質板61a,61bの間に薬品62が充填されたものである。
多孔質板61a,61bは、円盤状であり、その直径は第2の孔51bの口径と同じか僅かに小さくなっている。多孔質板61a,61bに形成されている孔の径は、配管から流入する流体が通過でき、かつ、薬品が流出しない径である。多孔質板61a,61bのうち流入側に配置された方の孔径が充分に小さい場合には、多孔質板61a,61b自体が流体中の不純物を除去するろ過膜として機能する。
多孔質板61a,61bの材質としては、第1の実施形態の多孔質板21a,21bと同様に、金属、ガラス、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、第1の実施形態と同様の理由から、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、第1の実施形態における収容体10と同様のものが挙げられる。
薬品62は、第1の実施形態における薬品22と同様である。
【0022】
[支持部材]
支持部材70bは、管状の部材であって、収容体50の第2の孔51bに密着しながら収容体50に挿入されている。このように支持部材70bが収容体50に挿入されていることにより、薬品充填部60が第2の孔51bの底面51cに押さえ付けられて支持されている。
【0023】
支持部材70bの外径は、収容体50の第2の孔51bの口径と同じか僅かに小さくなっている。支持部材70bの孔71は、配管が挿入されるための孔になっている。したがって、孔71の口径は、挿入される配管の外径と同じか僅かに大きくなっている。
支持部材70bの厚みT3も、第1の実施形態と同様に、厚いことが好ましい。
また、支持部材70bの厚みT3は、第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2より大きくても小さくても構わないが、段差T2と同等または段差T2より小さいことが好ましい。支持部材70bの厚みT3が段差T2より大きい場合には、収容体50の第2の孔51bの口径を第1の孔51aより大きくした意味がないからである。
【0024】
支持部材70bの材質は、第1の実施形態と同様に、フッ素樹脂が好ましい。
支持部材70bは一つの管状部材から形成されていてもよいし、複数の管状部材が重ねられて形成されていてもよい。
【0025】
[配管固定用部材]
本実施形態における配管固定用部材80aは、図3に示すように、円筒状の部材であって、収容体50の、第1の孔51aの開口部51d側の一端50aが挿入される収容体挿入穴81aと、収容体挿入穴81aに連通する配管挿入穴82aとを有する。
収容体挿入穴81aの口径は、収容体50の外径と同じか僅かに小さくなっている。
配管挿入穴82aの口径は、第1の孔51aの口径と同じか僅かに小さくなっている。
【0026】
配管固定用部材80aは、収容体挿入穴81aに、収容体50の、第1の孔51aの開口部51d側の一端50aが挿入されることによって、収容体50に取り付けられている。配管固定用部材80aが取り付けられた状態では、収容体50の第1の孔51aと配管固定用部材80aの配管挿入穴82aとが連通するようになっている(図5参照)。
【0027】
また、配管固定用部材80bは、円筒状の部材であって、収容体50の第2の孔51bの開口部51e側の一端50bが挿入される収容体挿入穴81bと、収容体挿入穴81bに連通する配管挿入穴82bとを有する(図5および図7参照)。
収容体挿入穴81bの口径は、収容体50の外径と同じか僅かに小さくなっている。
配管挿入穴82bの口径は、支持部材70bの孔71の口径と同じか僅かに小さくなっている。
【0028】
配管固定用部材80bは、収容体挿入穴81bに、収容体50の、第2の孔51bの開口部51e側の一端50bが挿入されることによって、収容体50に取り付けられている。配管固定用部材80bが取り付けられた状態では、配管固定用部材80bの配管挿入穴82bと支持部材70bの孔71とが連通するようになっている(図5参照)。
【0029】
本実施形態の配管固定用部材80a,80bは、第1の実施形態と同様に、弾性高分子材料製であることが好ましい。
【0030】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット2は、各種分析計の配管に接続されて使用される。具体的には、図8に示すように、収容体50の第1の孔51aに配管L1を挿入し、支持部材70bの孔71に、配管L1より太い配管L2を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。なお、流体としては、気体が好ましい。
このように薬品充填ユニット2を使用することにより、第1の実施形態と同様に、流体に薬品62を作用させることができる。
配管L1,L2の材質としては、第1の実施形態の配管L1と同様に、金属、ガラス、樹脂などが挙げられる。これらの中でも、樹脂が好ましく、特にフッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、第1の実施形態における収容体10と同様のものが挙げられる。
収容体50の第1の孔51aと第2の孔51bとの段差T2と支持部材70bの厚みT3とが同じである場合には、配管L1の直径と配管L2の直径とが同じとなる。
【0031】
以上説明した第2の実施形態の薬品充填ユニット2は、収容体50の第1の孔51aに配管L1を挿入し、薬品充填部60を収容体50の第2の孔51b内で支持する支持部材70bに配管L2を挿入することによって、配管L1,L2に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット2では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット2は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
【0032】
(第3の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第3の実施形態について説明する。
図9に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット3は、貫通孔11を有する収容体10と、収容体10の貫通孔11に配置された薬品充填部90と、収容体10の貫通孔11の両端から挿入された2つの管状の支持部材30,30と、収容体10の各端部10a,10bに取り付けられた配管固定用部材40,40とを具備する。
なお、本実施形態における収容体10、支持部材30、配管固定用部材40は第1の実施形態の収容体10、支持部材30、配管固定用部材40と同様である。
【0033】
本実施形態における薬品充填部90は、一対の多孔質板91a,91b間に薬品92a,92bが充填されたものである。
また、薬品充填部90は、多孔質板91aに対向する多孔質板91cと、多孔質板91bに対向する多孔質板91dと、多孔質板91c,91dの間に挟持された支持管93とを有して、薬品を充填した部分が2つに分割されている。そして、多孔質板91a,91cの間に薬品92aが充填され、多孔質板91b,91dの間に薬品92bが充填されている。ここで、薬品92aと薬品92bは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0034】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット3は、図10に示すように、支持部材30,30の各々の孔31に配管L1を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。このように薬品充填ユニット3を使用することにより、流体に薬品92a,92bを作用させることができる。
【0035】
以上説明した第3の実施形態の薬品充填ユニット3は、薬品充填部90を収容体10の貫通孔11内で支持する支持部材30に配管L1を挿入することによって、配管L1に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット3では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット3は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
さらに、本実施形態では、多孔質板91c,91dの直径が貫通孔11の口径未満であっても、支持管93を有しており、多孔質板91c,91dを確実に支持できるため、薬品92aと薬品92bとを確実に分けた状態で充填できる。
【0036】
(第4の実施形態)
本発明の薬品充填ユニットの第4の実施形態について説明する。
図11に、本実施形態の薬品充填ユニットを示す。本実施形態の薬品充填ユニット4は、第1の孔51aと第2の孔51bとからなる貫通孔51を有する収容体50と、第1の孔51aおよび第2の孔51bの連通部分の近傍にて第1の孔51aから第2の孔51bにかけて配置された薬品充填部100と、収容体50の第1の孔51aに挿入された管状の第1の支持部材70aと、収容体50の第2の孔51bに挿入された管状の第2の支持部材70bと、収容体50の各端部50a,50bに取り付けられた配管固定用部材80a,80bとを具備する。
なお、本実施形態における収容体50、第2の支持部材70b、配管固定用部材80a,80bは第2の実施形態の収容体50、支持部材70b、配管固定用部材80a,80bと同様である。
【0037】
本実施形態における薬品充填部100は、一対の多孔質板101a,101b間に薬品102a,102bが充填されたものである。ここで、多孔質板101aは第1の孔51a内に配置され、多孔質板101bは第2の孔51b内に配置されている。
また、薬品充填部100は、第2の孔51bの底面51cに隣接している多孔質板101cを有して、薬品を充填した部分が2つに分割されている。そして、多孔質板101a,101cの間に薬品102aが充填され、多孔質板101b,101cの間に薬品102bが充填されている。ここで、薬品102aと薬品102bは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0038】
[使用方法]
上述した薬品充填ユニット4は、各種分析計の配管に接続されて使用される。具体的には、図12に示すように、第1の支持部材70aに配管L1を挿入し、第2の支持部材70bに、配管L1より太い配管L2を挿入して接続することにより、流体の流路に取り付けられ、使用される。なお、流体としては、気体が好ましい。
このように薬品充填ユニット4を使用することにより、第1の実施形態と同様に、流体に薬品102a,102bを作用させることができる。
【0039】
以上説明した第4の実施形態の薬品充填ユニット4は、第1の支持部材70aに配管L1を挿入し、第2の支持部材70bに配管L2を挿入することによって、配管L1,L2に接続できる。
また、本実施形態の薬品充填ユニット4では、ガラスを用いなくてもよいため、破損が防止されている。
また、本実施形態の薬品充填ユニット4は、ガラス製ではない汎用の部材から構成されているため、容易に作製および変形できる。
【0040】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、本発明の薬品充填ユニットでは、上記配管固定用部材40,80a,80bの代わりに、市販の配管固定用部材を具備してもよい。また、薬品充填ユニットの一端から試料流体を直接採り込む場合には、薬品充填ユニットの一端への配管の取り付けを省略できるから、一方の配管固定用部材を具備していなくてもよい。
また、収容体の外周面の一部または全部が雄ネジ状になっていてもよい。収容体の外周面が雄ネジ状になっている場合には、該雄ネジに対応する雌ネジを有する配管固定用部材を収容体に螺着することができる。また、収容体は、外形が多角柱状(例えば、三角形状、四角形状等。)であってもよい。
また、配管が支持部材を兼ねていても構わない。
【0041】
さらに、収容体、多孔質板、支持部材の材質は全て同一材質である必要はなく、異なる材質の部材を組み合わせてもよい。
また、収容体および支持部材を、例えば、いずれもポリエーテルエーテルケトン製にして、あるいは、ポリエーテルエーテルケトン製とステンレス鋼製との組み合わせにして、圧入により薬品充填ユニットを作製した場合には、流体の圧力を高くすることができる。
【0042】
また、第3の実施形態の薬品充填ユニット3において、多孔質板91dおよび支持管93を除いてもよい。また、第3の実施形態の薬品充填ユニット3は薬品充填部90が2つに分割されていたが、3つ以上に分割されていてもよい。
また、第2の実施形態の薬品充填ユニット2においても、薬品充填部60が2つ以上に分割されていてもよい。
また、第4の実施形態の薬品充填ユニット4では薬品充填部100が2つに分割されていたが、3つ以上に分割されていてもよい。3つ以上に分割される場合、第1の孔51aにて2つ以上に分割されていてもよいし、第2の孔51bにて分割されていてもよいし、第1の孔51aおよび第2の孔51bの両方にて分割されていてもよい。また、薬品充填部100は、多孔質板101cを有さないで、分割されていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図2】第1の実施形態の薬品充填ユニットを構成する収容体を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態の薬品充填ユニットを構成する配管固定用部材を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図6】第2の実施形態の薬品充填ユニットを構成する収容体を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態の薬品充填ユニットを構成する配管固定用部材を示す断面図である。
【図8】第2の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【図9】本発明に係る第3の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図10】第3の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【図11】本発明に係る第4の実施形態の薬品充填ユニットを示す断面図である。
【図12】第4の実施形態の薬品充填ユニットの使用方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3,4 薬品充填ユニット
10,50 収容体
51,11 貫通孔
51a 第1の孔
51b 第2の孔
51c 底面
51d,51e 開口部
20,60,90,100 薬品充填部
21a,21b,61a,61b,91a,91b,91c,91d,101a,101b,101c 多孔質板
22,62,92a,92b,102a,102b 薬品
30,70a,70b 支持部材
31,71 孔
40,80a,80b 配管固定用部材
41,81a,81b 収容体挿入穴
42,82a,82b 配管挿入穴
93 支持管
L1,L2 配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定口径の貫通孔を有する収容体と、
収容体の貫通孔内に配置された薬品充填部と、
収容体の貫通孔の両端から挿入され、前記薬品充填部を挟んで支持する2つの管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
【請求項2】
第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第2の孔の底面に隣接した薬品充填部と、
収容体の第2の孔に挿入され、前記薬品充填部を第2の孔の底面に押さえ付けて支持する管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
【請求項3】
第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第1の孔および第2の孔の連通部分の近傍にて第1の孔から第2の孔にかけて配置された薬品充填部と、
収容体の第1の孔に挿入された管状の第1の支持部材と、
収容体の第2の孔に挿入された管状の第2の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなり、第1の支持部材と第2の支持部材とに挟まれて支持されていることを特徴とする薬品充填ユニット。
【請求項4】
薬品充填部が2つ以上に分割されている請求項1〜3のいずれかに記載の薬品充填ユニット。
【請求項1】
一定口径の貫通孔を有する収容体と、
収容体の貫通孔内に配置された薬品充填部と、
収容体の貫通孔の両端から挿入され、前記薬品充填部を挟んで支持する2つの管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
【請求項2】
第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第2の孔の底面に隣接した薬品充填部と、
収容体の第2の孔に挿入され、前記薬品充填部を第2の孔の底面に押さえ付けて支持する管状の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなることを特徴とする薬品充填ユニット。
【請求項3】
第1の孔と第1の孔より口径が大きい第2の孔とからなる貫通孔を有し、第2の孔の底面の一部に第1の孔が連通している収容体と、
収容体の第1の孔および第2の孔の連通部分の近傍にて第1の孔から第2の孔にかけて配置された薬品充填部と、
収容体の第1の孔に挿入された管状の第1の支持部材と、
収容体の第2の孔に挿入された管状の第2の支持部材とを具備し、
前記薬品充填部は、一対の多孔質板間に薬品が充填されてなり、第1の支持部材と第2の支持部材とに挟まれて支持されていることを特徴とする薬品充填ユニット。
【請求項4】
薬品充填部が2つ以上に分割されている請求項1〜3のいずれかに記載の薬品充填ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−154133(P2009−154133A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338096(P2007−338096)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]