説明

薬品送出技術

【課題】新規な薬剤送出技術の提供。
【解決手段】少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物42を、無針注入の形態で、人間又は動物の体内に送出する方法で、i)水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性であり、人間又は動物の体内に残る3mm未満の直径を有する先駆発射体10を皮膚に貫通させる段階と、ii)少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物42を、先駆発射体10の後に、直接又は実質的に直接導入する段階と、前記少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物が、抑制状態で提供され、送出されるようになっている導入する段階と、から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な薬剤送出技術に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも1つの治療用化合物、又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を患者体内へ送出する方法と;少なくとも1つの治療用化合物、又は、少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、前記方法によって設定される方式で患者体内へ送出するための使い捨て又は再使用可能な装置と;前記方法で使用するための先駆発射体と;前記方法で使用するための処方物と、先駆発射体及び処方物を備えている注入物とに関する。更に、本発明は、先駆発射体又は注入物の何れかを含んでいる使い捨て要素に関する。
【背景技術】
【0002】
治療用化合物を投与する1つの経路は、皮膚を通すものである。皮膚は、口又は肺を経由する送出のような他の標準的な送出経路と比べると、治療用化合物の送出にとってより効率的な経路の内の1つである。
【0003】
皮膚への投与は、液体の治療用化合物で、送出システムとして針と注射器を使って最も一般的に行われている。
【0004】
そのようなシステムには、針に付帯する痛みと恐怖、針は液体を注入するのに最適であるのは事実だが化合物を患者へ送出するのに液体が必ずしも最良の手段ではないということ、及び鋭い針が残るので廃棄上の問題を起こすということを含む多くの関連する問題がある。
【0005】
皮膚を通して液体を注入するのに針を使わない薬剤送出システムも使用されており、これは、非常に細くて高速の液体ジェットを作り、それが皮膚を通る独自の穴を作る送出システムによって行われている。しかしながら、このような方法には、はね返りを含む多くの問題がある。
【0006】
液体送出のこれら両方の形態では、比較的大量の液体を注入するが、液体は圧縮できないので、中に入れるために組織を切り裂かねばならない。
【0007】
しかしながら、皮膚を通して薬剤を注入するのに、薬剤が標準的な液体形態でなければならないわけではない。PowderJectシステムでは固体形態の薬剤が上手く投与されており、このシステムでは、圧縮ガスソースを使って、粉末薬剤を皮膚の外層を貫通できる速度に加速している。このシステムは、通常、直径100ミクロン未満の粉末薬剤粒子を使用しており、人間の組織を貫通するには毎秒数百メートルの速度が必要である。しかしながら、このシステムは、送出制御のような固有の問題を有している。
【0008】
今までに、治療用化合物の固体の棒又はスプリンター(裂片)を、針を使う必要なしに比較的低速度で皮膚内へ押し込むことができることがわかっているが、尤も、これは元々埋め込み用に送出されていた。
【0009】
このように、現在の経皮薬剤送出技法は、薬剤の形態と注入速度に基いて、下記の表1に示すようなグループに分類することができる。
【0010】
【表1】

【0011】
薬剤のダーツについては、数多くの刊行物で開示されている。WO96/40351号(アメリカン・シアナミド社)は、刃の形をした固体プラスチック材料の頭部と、1つ又は複数の持続性薬剤送出埋め込み型パッケージが入っている管状本体とを備えた埋め込み型ダーツについて開示している。可橈性の安定化翼がダーツ頭部のどちらかの側に設けられ、入った後でダーツが抜け出さないように、固定具又は逆棘として機能している。ダーツは外径が約7mm、長さが約45mmで、引き金を弛めると、人間ではなく動物の体内へダーツを打ち込む注入ガンによって送出される。推進機構は、ダーツに40−60mphの高い加速速度を付与するのに十分な力を出す。ダーツを低速度で注入するには、動物に小さな切開部を作り、押出バーを手動で操作する必要がある。
【0012】
米国特許第3,948,263号及び米国特許第4,326,524号も、弾道式送出装置を開示している。米国特許第3,948,263号は、0.25口径のライフルから発射される弾道式埋め込み装置を開示している。発射体は、約274.32m/秒(900ft/秒)で飛び出し、皮膚の下2.54〜5.08cm(1〜2インチ)程度の筋肉内に埋め込まれるまでに6.096〜12.92m(20〜40ft)飛ぶことができる。米国特許第4,326,524号は、全体が、粉末化することのできる固体粒子の形態をした生物学的活性材料と、衝撃時に加えられる応力に耐えることができる結合剤とから成る粘着性混合物で形成されている固体投与弾道式発射体を開示している。発射体は、直径が約4.5mmから7.6mmの本体部を有しており、本体部には円錐形の鼻部が取り付けられ、本体と鼻部との間に僅かな肩部領域が形成されるよう、鼻部の基部直径は本体の直径より小さくなっている。鼻部から遠い側の端部は、飛び易いように凹んでいるのが望ましい。
【0013】
英国特許第2,365,100号は、発射すると500m/秒を上回る速度に達する遠隔弾道式送出装置の別の例を開示している。上記の装置とは対照的に、本装置は、衝撃を受けると減速して、体内には入らず装置の鼻が後退して、針が体内に入り薬剤が注入されるようになっている。このような装置は、針無しではない。
【0014】
カナダ特許第1,019,638号は、従来型のエアガン又は弓で発射する発射体を開示している。発射体は、頭部片と軸部を備えており、頭部片は動物の筋肉を貫き、軸部は砕け散る。或る実施形態では、頭部片は多孔質材料で作られており、発射及び衝撃の間は毛細管作用により液体薬剤を保持し、動物の体内へ挿入されたときには拡散によって薬剤を放出する。第2の実施形態では、頭部片は、硬化したケーキの形態を取っている。貫入し易くするために、金属又はプラスチックの先端を備えていてもよい。皮膚に残る薬剤送出要素は、直径約3mm、長さ約13mmである。
【0015】
米国特許第3,901,158号(Ferb)は、これもライフル又はピストルから発射される皮下注射用発射体を開示している。この発射体は、プラスチック又はガラス製の粉砕可能な前端部を備えており、衝撃を受けると、粉砕して液体の内容物を放出する。
【0016】
上記高速度装置の何れも本発明と類似してはおらず、本発明では、少なくとも1つの治療用化合物、又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物が、皮膚と接触している装置から低速で押し出され、先駆発射体は、水溶性、脂質可溶性、或いは人間又は動物体内で生物分解可能であり、更に非常に小さくて、幅又は直径は、幅3mm未満、望ましくは幅2.5mmから2mm未満、更には1.5mmから約1mmで、高さは、10mm未満、望ましくは約1.5から2mmで、アスペクト比は、1:8未満、望ましくは1:6未満、更に望ましくは1:4未満、更に望ましくは1:3未満、最も望ましくは約1:1.5である。
【0017】
高速液体システムは、米国特許第116,313号(McGregor)によって実証されている。液体は、先ずプローブ内の小さなオリフィスから高速高圧で押し出され、皮膚を貫通し、次に液体の主要充填剤が、最初の貫通によって形成された流路へと低速で押し出される。
【0018】
欧州特許第0,139,286号(住友化学株式会社)は、針状又は棒状形態の持続放出型製剤を開示しており、これは、活性成分と、薬学的に受容可能な生物分解性キャリアを備えている。持続放出型製剤は、中空針を通して押し出して注入するか、又は埋め込みによって、体内に投与される。
【0019】
WO94/22423号(Bukh Meditec A/S)は、薬剤投与システムを開示している。非経口投与の本方法は、人間又は動物の皮膚又は粘膜を、適切に形成された固体薬学組成物から成る本体で貫通することによって薬剤物質を投与する段階を含んでいる。薬学的組成物の本体は、外部貫通装置を省くため針状になっていてもよい。固体薬学組成物は、少なくとも1つの薬剤物質を備えており、貫通を可能にする形状及び/又は強度を有している。
【0020】
この組成物は、望ましくはポリマーである材料及び随意の賦形剤等の材料を活性薬剤物質と混ぜ合わせ、前記混合物を押し出して細長い本体に成形し、それを乾燥させて尖った端部を形成することによって作られる。
【0021】
米国特許第5,542,920号、同第6,117,443号、同第6、120,786号(Cherif Cheikh)は、全て、無針非経口導入装置を開示している。薬物は、皮膚を貫通するだけの構造的完全性を有する尖った端部を備えた固体針の形態に作られている。針は、直径が2mm未満、望ましくは0.2から0.8mmで、長さは10から30mmである。
【0022】
米国特許第6,102,896号(Roser)は、主に、水溶性ガラス針を制御された放出状態で注入するための使い捨て注入器装置を取り扱っている。しかしながら、本特許も、直径約1mm長さ約10mmで、薬物を含んでいるこれらのガラス針を先駆発射体として使用し、組織を貫通する低抵抗の経路を作り、それに沿って(PFC流体の懸濁物質内の薬剤として例示されている)液体懸濁物質が流れるようにすることができることを認めている。この文書は、溶解可能な先駆発射体を使って薬物を導入できることを認識している最初で唯一の文書のようである。しかしながら、同文書は、溶解可能な先駆発射体が、他の形態の薬物を導入するための一般的な技法として使用できることを見落としている。実際、乾燥した粉末状の処方物は、PFC内で懸濁させると非粘性液体になることは、文書から容易に明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】WO96/40351号
【特許文献2】米国特許第3,948,263号
【特許文献3】米国特許第4,326,524号
【特許文献4】英国特許第2,365,100号
【特許文献5】カナダ特許第1,019,638号
【特許文献6】米国特許第3,901,158号
【特許文献7】米国特許第116,313号
【特許文献8】欧州特許第0,139,286号
【特許文献9】WO94/22423号
【特許文献10】米国特許第5,542,920号
【特許文献11】米国特許第6,117,443号
【特許文献12】米国特許第6,120,786号
【特許文献13】米国特許第6,102,896号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、先駆発射体(米国特許第6,102,896号に開示されている)をもっと利用するという概念を取っており、先駆発射体は、自由に流動する非粘性液体以外の形態をした薬物を導入するための手段として使用することができるという出願人の認識から生まれている。
【0025】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、無針注入の形態で、人間又は動物の体内に送出する方法が提供されており、本方法は、
i)水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性であり、人間又は動物の体内に残る3mm未満の直径を有する先駆発射体を皮膚に貫通させる段階と、
ii)少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、先駆発射体の後に、直接又は実質的に直接導入する段階であって、前記少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物が、抑制状態で提供され、送出されるようになっている導入する段階と、
から成っている。
【0026】
抑制状態とは、
i)薄膜の中に入っている液体、
ii)液体が、液体よりも固体に類似している特性を有する、即ち、容積だけでなく定形を有する(容易に自由流動しない)ように、少なくとも5パスカル秒(5000センチポアズ)の粘度(ハチミツの粘度)、更に特定的には少なくとも50パスカル秒(50,000センチポアズ)の粘度(マヨネーズの粘度)、更に好ましくは少なくとも100パスカル秒(100,000センチポアズ)の粘度(ピーナツバターの粘度)を有する液体、
iii)半固体(固体と液体の中間の粘度と剛性を有する)、
iv)ペースト(柔らかい展性のある粘稠度を有する)、
v)ある程度の剛性を有すると考えられるゲル(固体内に分散されている液体)、又は、
vi)固体(物質が固有の形状を保持している状態)
の何れかの状態にあることを意味している。
【0027】
このように抑制状態で薬物を導入するのは、非粘性液体処方物が後に続く場合と比べて、はね返りと滲出を回避でき、送出される投与量をよく制御できるという利点がある。薬物が粘性のある半固体又は固体の性質を持っていれば、確実に、先駆発射体を必要な深さまで押し込み、次いで薬物を発射体の回りに滲出させずに注入できるようになる。半固体、ゲル状、ペースト状及び固体の処方物も、一般的に、液体の処方物より安定しており患者も対応し易い。
【0028】
更に、非粘性液体以外の形態をした薬物を先駆発射体の後ろに導入することによって、薬物の特性を、貫通させるためにではなく、薬物動力学的送出が最適になるように調整できるようになることを理解頂きたい。
【0029】
同様に、先駆発射体は、薬物と無関係に、貫通能力が最適となるように開発することができる。
【0030】
先駆発射体は、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物から、独立しているのが望ましい。
【0031】
別の例では、先駆発射体は、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物から独立していながら、なおその一体の部分を形成している。
【0032】
先駆発射体は、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物に対し、頭部を形成しているのが最も望ましい。
少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、数多くの形態を取ることができる。
【0033】
或る実施形態では、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の薄膜の中に入っている液体である。
【0034】
別の実施形態では、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、例えば、結晶状、粒子状、顆粒状、玉状、棒体、円盤状又はそれらの組み合わせのような固体の形態で提供されている。
【0035】
更に別の実施形態では、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、粘性のある液体、半固体、ゲル又はペーストとして提供されており、必要であれば、更に、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の薄膜によって支持されている。
【0036】
本発明の方法では、皮膚が貫通され、治療用化合物が低速度で投与される。低速度とは、100m/秒未満を意味する。速度は10m/秒未満であるのが望ましく、5m/秒未満であれば更に望ましく、数m/秒程度であるのが最も望ましい。
【0037】
注入物は、高速で発射されるのではなく低速で押し出されるので、確実に、所定の投与量を、常に皮膚の下の正しい(且つ同じ)深さに送出することができる。このことは、皮膚の種類及び皮膚の位置が異なってもこのシステムを用いることができ、所定の投与量が同じ深さに送出されることを意味している。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、無針注入として、人間又は動物の体内へ送出し易くする方法が提供されており、本方法は、
i)水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性であり、人間又は動物の皮膚を貫通できる3mm未満の直径を有する先駆発射体を提供する段階と、
ii)少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、抑制状態で、先駆発射体の後に、直接又は実質的に直接提供する段階と、
から成っている。
【0039】
少なくとも1つの治療用化合物を抑制状態で押し出す行為により、先駆発射体は、人間又は動物の皮膚を貫通し、少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、先駆発射体に続き、人間又は動物の体内に、抑制状態で導入される。
【0040】
本発明は、更に、画期的な先駆発射体に発展する。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性であり、3mm未満の直径を有する先駆発射体であって、人間又は動物の皮膚を貫通でき、これによって少なくとも1つの後続の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物を抑制状態で容易に注入できるようになっている、先駆発射体が提供されており、本先駆発射体は、
i)使用時に、人間又は動物の皮膚を貫通する第1「貫通」面と、
ii)第1面から離れており、注入途上で、中に入っている治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物を通して駆動力が加えられる面である第2「駆動」面と、
を備えており、前記先駆発射体は、1:10未満のアスペクト比(幅対高さ)を有することを特徴としている。
【0042】
先駆発射体は薬物とは別個に開発されているので、その寸法を、長さを、少なくとも10mmから約数ミリメートルへ小さくすることができる。発射体は、後続の、入れられている処方物のための先導頭部又は先端として機能し、2つの構成要素が注入物を形成するように、その形状を最適化することもできる。
【0043】
先駆発射体は、1:8未満のアスペクト比を有するのが望ましく、1:6未満であれば望ましく、1:4未満であれば更に望ましく、1:3未満であれば更に望ましく、約1:1.5であれば最も望ましい。
【0044】
先駆発射体は、幅が3mm未満であれば望ましく、2.5mmから2mm未満、1.5mmから約1mmであれば更に望ましい。
【0045】
先駆発射体は、高さが10mm未満であれば望ましく、約1.5から2mmであれば更に望ましい。高さを最小に減ずることによって、注入される治療用化合物の量を最大にすることができる。この点に関して、組み合わせられている先駆発射体と後続の薬剤処方物が長すぎると、薬剤を最適な深さに送出できないことに注目頂きたい。
【0046】
或る実施形態では、先駆発射体は治療用化合物に拘束されない。別の実施形態では、先駆発射体は少なくとも1つの治療用化合物を含んでいる。従って、例えば、先駆発射体内に例えば抗生物質を含ませておいたり、或いは例えばインシュリン注入の場合に、治療用化合物を処方物とは異なる速度で放出させることもでき有用である。
【0047】
先駆発射体の皮膚貫通面は、侵入しやすいように切断要素を備えているのが望ましい。切断要素は、鋭い先端又は傾斜エッジの形態をしていてもよい。また、皮膚貫通面は鋭くなくてもよいし、緩やかに曲がっていてもよい。
【0048】
或る実施形態では、抑制状態の、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物と接触する面は、平面である。或いは、接触面は、押し易く、容易に処方物を入れることができるように、凹んでいてもよいし、中空であってもよい。
【0049】
先駆発射体は、適していればどの様な材料で作ってもよい。適する材料は、低速で容易に貫通できるだけの硬さと剛性を有する材料である。好適な材料としては、例えばWO98/41188号に記載されている糖ガラスのようなガラス質材料があり、同材料を、参考として本明細書に援用する。「糖」という用語は、トレハロースのような二糖類の糖だけでなく、一糖類の糖と、マンニトール、イノシトール、キシリトール、リビトールなどを含む糖アルコールのような、ガラス形成糖及び糖誘導体を安定させる一般的なクラスを形成する糖類の非還元誘導体とを含んでいる。「糖ガラス(Sugar glasses)」という用語には、トレハロースのような水性環境内で容易且つ迅速に溶解するガラスだけでなく、放出特性を制御できるようにするために、1つ又は複数の疎水性側鎖を付加して糖分子を修正し、ガラスが、身体の流体内に、自然の糖類よりゆっくり溶解するようにした糖ガラスも含まれていると理解頂きたい。
【0050】
場合によっては、先駆発射体は、各成分が互いに反応しないように、少なくとも、抑制状態の治療用化合物と接触する面を覆うバリヤー材料を備えていてもよいし、その逆でもよい。
【0051】
本発明は、更に、画期的な処方物に発展している。
【0052】
本発明の第4の態様によれば、抑制状態に保持されていて、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性で、3mm未満の直径を有する先駆発射体の後に、人間又は動物の体内へ無針注入の形態で導入されるようになっている、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物が提供されている。
【0053】
処方物は、50mm未満の体積中に治療用化合物を50mg未満含んでいるのが望ましく、10mm未満の体積中に治療用化合物を10mg未満含んでいるのが更に望ましい。
【0054】
治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の薄膜内に入っている液体として提供してもよい。
【0055】
別の実施形態では、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、例えば0.001パスカル秒(1センチポアズ)の水又は例えば0.5パスカル秒(500センチポアズ)のグルコースの粘性と同じ粘性を有する従来型の非粘性液体処方物よりも概して安定する傾向にある、例えば結晶状、粒子状、顆粒状、玉状、棒状、円盤状、又はそれらの組み合わせを含む固体形態で提供されている。
【0056】
或る好適な実施形態では、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、半固体、ゲル又はペーストとして提供されている。この形態には特に患者も対応し易く、この治療用化合物は、従来型の非粘性液体処方物である場合よりも、概して安定している傾向にある。
【0057】
治療用化合物又は治療用化合物を含んでいる処方物が粘性のある液体である場合、粘性は、少なくとも10パスカル秒(10,000センチポアズ)あれば望ましく、少なくとも50パスカル秒(50,000センチポアズ)であれば更に望ましく、少なくとも100パスカル秒(100,000センチポアズ)であれば更に望ましい。
【0058】
処方物は、治療用化合物の先に端部部片を備えていてもよいし、「活性」でない治療用化合物を注入して、全治療用化合物が、投与量が不足するか過剰になるかという危険を冒すことなく、一回の投与量が患者に確実に入るようにしてもよい。
【0059】
治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、処方の異なる複数の要素を含んでいてもよい。
【0060】
治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、キャップ、カートリッジ、カローセル又はカセットに詰め込んでもよい。
【0061】
本発明は、更に、先駆発射体と、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物とを備えている注入物に発展している。
【0062】
本発明の第5の態様によれば、注入用の無針注入物が提供されており、本注入物は、
a)水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の、直径が3mm未満の先駆発射体と、
b)抑制状態で先駆発射体の後ろに保持されている、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物と、
を備えている。
【0063】
これらの構成要素については、先に述べた通りである。
【0064】
先駆発射体と、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、共に、程度は異なるが、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性である。
【0065】
先駆発射体と、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物との間には、バリヤーを設けてもよい。
【0066】
注入物は、キャップ、カートリッジ、カローセル又はカセット内に、更に随意で、例えば排出ピンのような先駆発射体をそのコンテナから押し出すための手段と共に、含有させ/詰め込んでもよい。
【0067】
また、先駆発射体と、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物とを、別々のキャップ、カートリッジ、カローセル又はカセット内に含有させ/詰め込んでもよい。
本発明は、更に、先駆発射体と、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物を注入するための装置に発展している。
【0068】
本発明の第6の態様によれば、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性で、3mm未満の直径を有する先駆発射体(10)と、少なくとも1つの抑制状態の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物(42)とを、人間又は動物の体内に注入するための無針装置(60)が提供されており、前記装置は、ストライカ(84)をストライカガイド(86)に沿って移動させる力を作り出すことのできる機構(92)が入っているハウジング(62)を備えており、前記ハウジングは、中に排出ピン(78)が取り付けられている穴(76)と、その下に、先駆発射体(10)と処方物(42)とから成る注入物(40)とを有するケーシング(74)を備えている構成要素(72)と作動的に連通している端面(100)を有しており、使用時には、ストライカが排出ピンと接触し注入物が単一のユニットとしてケーシングから人間又は動物の体内へ押し出されるようになっている。
【0069】
上記参照番号は、制限を加えるものではなく、読者が分かり易いように付しているだけである。
【0070】
「排出ピン」という用語は、ピン、ピストン、ロッド、又は、穴から注入物を押し出すよう機能する同様の部材を含むものとする。
【0071】
押し出しを開始又は支援するための動力源は、例えばコイルばね又はレバーばねの形態をした機械式ばねでもよい。代わりに、気体ばねを使用してもよいし、電動システムであってもよい。機械式ばねであれば、投与と投与の間にユーザーがばねを装填し直さなくてはならないが、送出システムを再利用することができる。そうでなく、製造の際にばね(機械式又は気体)を予め装填しておいてもよいが、その場合は、一回使用するだけでシステム全体を廃棄することになる。再使用装置には、先駆発射体、又は先駆発射体と治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物が入っている使い捨て構成要素がある。
【0072】
本装置は、偶発的な作動を回避するために安全機構を組み込むのが望ましい。作動は、装置上の押しボタンで開始されるが、装置を皮膚に押し当て、作動の際に確実に皮膚と良好に接触させることによって開始されるのが望ましい。
【0073】
再利用装置では、再利用可能な構成要素と使い捨て構成要素は、両者を互いに接続する手段を備えている。
【0074】
本装置は、複数の投与量を順次又は同時に注入できるようになっている。或る実施形態では、本装置は、複数の先駆発射体、又は1つの先駆発射体と1つの治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物とを備えている複数の注入物が入っているカートリッジ、カローセル又はカセットを備えている。
【0075】
他の実施形態では、本装置は、1つの先駆発射体と、一単位の投与量の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物のとが入っているキャップを備えている。
【0076】
上記の様々な態様が、先行技術の送出方法に勝る数多くの利点を有するシステムを作っており、その幾つかを以下の表2に記載する。
【0077】
【表2】




【0078】
本発明の背後にある概念は、薬剤を「抑制」状態で押し込む簡単な無針薬剤送出装置を考慮している。
【0079】
半固体、ペースト又はゲルは、非粘性液体とは違って、先駆発射体に追従するので好適な形態である。(非粘性液体は、「はね返り」、先駆発射体によって形成される軌跡の周りに滲出し易い。)非粘性液体に比べて剛性があるということは、非粘性液体材料より押し込み易いことも意味している。これには硬い方が良い。しかしながら、快適さを考えると、半固体又はペースト又はゲルの方が、患者が受け入れ易く、体内で溶解し易い。
【0080】
そのような注入物(先駆発射体及び処方物)を送出するための送出装置は、数多くの形態を取ることができるが、そのような装置の1つを、例を挙げて説明する。
記載されている装置は、ばねが引き金となってピンを押し出す、ばね式動力供給装置である。次に、ピンは、注入物と係合して注入物を皮膚内へと押し込み、ピンは、装置内の終端ストッパか、又は皮膚の感じる力を低減するためストッパが望ましくは(注入物と比べると)比較的広い面積上で皮膚と接触することによって、止まる。
【0081】
装置を再使用する場合、注入物を保持する構成要素を、装置の残りの部分から取り外して廃棄し、次の注入前に新しい使い捨て構成要素を取り付ける。注入自体は、作動後数ミリ秒で済むので、ユーザーに関する限り瞬時に見える。代わりに、処方物を、例えば管から注入することもでき、その場合、次の注入には新しい先駆発射体が必要となる。
【0082】
以下、図面と実施例を参照しながら、本発明の様々な態様を例を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1(a)〜(e)は、様々な形状及び大きさの先駆発射体の実施形態である。
【図2】図2(a)〜(c)は、中空の駆動面を備えた先駆発射体の実施形態である。
【図3】図3(a)〜(d)は、傾斜切断エッジを備えた先駆発射体の実施形態である。
【図4】図4(a)〜(c)は、傾斜切断エッジと中空駆動面を備えた先駆発射体の実施形態である。
【図5】図5(a)〜(c)は、それぞれ、傾斜切断エッジを備えた先駆発射体の平面図、側面図及び端面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、それぞれ、中央穿孔点と切子状側面を備えた先駆発射体の平面図、側面図及び端面図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、それぞれ、中央切断エッジを備えた先駆発射体の平面図、側面図及び端面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、それぞれ、中央穿孔点を備えた先駆発射体の平面図、側面図及び端面図である。
【図9】支持体又は装置チャンバ内に収容されている本発明の注入物の1つの実施形態である。
【図10】支持体又は装置チャンバ内に収容されている本発明の注入物の別の実施形態である。
【図11】支持体又は装置チャンバ内に収容されている本発明の注入物の又別の実施形態である。
【図12】支持体又は装置チャンバ内に収容されている本発明の注入物の又別の実施形態である。
【図13】支持体又は装置チャンバ内に収容されている本発明の注入物の又別の実施形態である。
【図14】支持体又は装置チャンバ内に収容されている本発明の注入物の又別の実施形態である。
【図15】支持体又は装置チャンバ内に収容されている本発明の注入物の又別の実施形態である。
【図16】本発明の送出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図を見ると、図1(a)は、本発明の或る態様による先駆発射体10の側面図である。発射体は、望ましくは、水溶性で、体内で溶解するガラス質材料(例えば、トレハロース、パラチニット、グルコピラノシル・ソルビトール、グルコピラノシル・マンニトール、ラクチトール、或いはマンニトール又はイノシトールのような単糖アルコールのような糖ガラス)である結晶質又は非晶質材料で作られている。材料は、例えばポビドン(pvp)のような硬化剤を含んでいる。先駆発射体は、1つ又は複数の切子状面を有する貫通面12を備えており、前記貫通面は、中央先端と、(先駆発射体と処方物から成る)注入物を注入するための無針装置の中央穴又はチャンバ内に先駆発射体を案内し、而して確実に先駆発射体が好適な角度で皮膚と交わり貫通を支援できるようにする1つ又は複数のガイド面16と、駆動面14と、を有している。先駆発射体は、約1.25:1のアスペクト比(幅W対高さH)を有している。
【0085】
しかしながら、先駆発射体は、数多くの形態を取ることもでき、幾つかの別の実施形態を図1(b)〜(d)、図2(a)〜2(c)、図3(a)〜(d)、図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)及び図8(a)〜(c)に示している。
【0086】
簡単に言えば、図1(b)は、約1:0.5の非常に小さいアスペクト比を有する先駆発射体を示しており、図1(c)は、約1:2のアスペクト比を有する先駆発射体を示しており、図1(d)は、尖っておらず平坦な貫通面12を有し、アスペクト比が約1:0.2の先駆発射体を示しており、図1(e)は、案内面16を有しておらず貫通面12と駆動面14で構成されている先駆発射体を示している。
【0087】
図2(a)〜2(c)は、駆動面14の変型例を示している。このように、図2(a)では、駆動面は完全に中空であり、少なくとも1つの治療用の化合物又は化合物が入っている処方物を少なくとも部分的には保持することができる空所18を形成している。図2(b)では中空18は平らな底面20を有しており、図2(c)では凹状底面22を有している。
【0088】
勿論、貫通面12は中央先端を有してなくともよく、図3(a)〜(d)及び図4(a)〜(c)は、傾斜切断エッジ24を有する先駆発射体の実施形態を示している。
【0089】
先に述べたように、貫通面の形状は、図5−8に例示するように数多くの形状を取ることができる。これら各図で、図a)は平面図、b)は側面図、c)は端面図である。従って、図5では、先駆発射体は、X断面(図5(a))は円形で、傾斜切断エッジ24(図5(b))と平坦な貫通面12(図5(c))を有している。
【0090】
図6では、先駆発射体は、X断面(図6(a))は円形で、中央先端26(図6(b))と、貫通面12を構成する4つの切子状面28(図6(c))とを有している。
【0091】
図7では、先駆発射体は、X断面(図7(a))は円形で、中央切断エッジ30(図7(b))と、貫通面12を構成する2つの切子状面28(図7(c))を有している。
【0092】
図8では、先駆発射体は、X断面(図8(a))は円形で、点30で頂点に達する円錐状貫通面(図8(b))と、貫通面12(図8(c))を有している。
【0093】
勿論、先駆発射体は、必ずしも断面が円形でなくても、例えば3側面体(三角形)、4側面体(四角形)又は実際に好適なその他の形状であってもよい。
【0094】
先駆発射体は、材料棒の型成形、押出又は分割のような数多くの方法で製造できる。
【0095】
先駆発射体は、用いる材料にも依るが、組織内で数分又は数時間で溶解するのが望ましい。
【0096】
先駆発射体は、少なくとも1つの治療用化合物又は処方物と一つになって注入物を形成する。
【0097】
注入物を、信頼性のある反復できる方法で皮膚に確実に投与できるようにするためには、処方物の物理的特性は非常に重要である。
【0098】
処方物は、数多くの形態を取ることができる。
【0099】
或る実施形態では、ペースト状である。これは、活性薬剤を適切な賦形剤と混ぜ合わせ、練り歯磨きのような粘稠度を有する状態にすることによって達成できる。賦形剤は、活性成分を、製造、保管及び投与の間になお活性状態にあるように維持しなくてはならないことは明白である。
【0100】
別の実施形態では、処方物は、半固体、ゲル、固体、又は閉じ込められている液体である。
【0101】
処方物の治療成分は、以下の1つ又は複数の形態で含まれている。
1.純正薬剤
2.材料の物理的特性を変更する賦形剤を含むもの
3.活性成分の嵩を増やす賦形剤を含むもの
4.活性成分を緩衝する賦形剤を含むもの
5.活性成分の放出曲線を変化させる賦形剤を含むもの
6.2つ以上の治療用化合物の混合物
処方物は、その用途に必要な放出曲線を与えるように設計することができる。これは、身体内に持続的に放出される処方物、又は迅速に溶解して身体内に即座に放出される処方物の何れであるかに関わっている。インシュリン投与のような場合には、処方物は、幾つかの治療用化合物を即座に放出し、次いで処方物内の別の構成成分を持続的に放出することが必要とされる。これは、例えば、処方物を複数の部分に有しているか、又は薬物を先駆発射体内へ組み込むことによって実現することができる。
【0102】
また、治療用化合物は小さな玉に処方してもよい。多数の玉を、装置内の先駆発射体の後ろに並べることができる。装置の作動時、先駆発射体が皮膚を穿孔し、先駆発射体の後ろで玉が皮膚内へ押し込まれる。
【0103】
処方物の治療用成分は、勿論、先駆発射体に用いられる材料又は送出システムに用いられる材料と反応してはならない。
【0104】
図9から図15は、本発明の注入物及び処方物を示す幾つかの実施形態である。
【0105】
図9では、注入物40は、先駆発射体10と処方物42とで構成されている。処方物は、それ自体の粘性又は薄膜44によって支持されて抑制状態にある。従って、処方物は、閉じ込められている液体又は固体である。注入物は、自己支持性でもよいし、装置のチャンバ76又は使い捨て構成要素である随意の支持体46内に含有されていてもよい。
【0106】
図10では、処方物は、高粘度の液体か、ゲルか、ペーストか半固体である。
【0107】
図11は、複数の異なる処方物42a、42b及び42cから成る注入物を示している。これらは、例えば、組み合わせ治療のように、放出曲線又は活性成分が異なる処方物である。図示してはいないが、例えば、水溶性処方物同士の間又は水溶性処方物と端部部片との間に脂質可溶性薄膜を配するように、構成要素間に膜を配してもよい。
【0108】
図12、13及び14は、異なる固体処方物を有する注入物を示している。図12では、固体処方物は玉状物46である。図13及び14では、固体処方物は、顆粒、粒子又は結晶48である。
【0109】
図15で、処方物42と先駆発射体10との間にバリヤー50が示されている。
当業者には勿論理解頂けるように、或る実施形態に関連付けて図示している特徴は、容易に他の実施形態に適用することができる。
【0110】
注入物は、無針方式で注入物を注入する装置を使って、人間又は動物の体内に導入することができる。
【0111】
そのような装置の1つを、例として、図16を使って説明する。
【0112】
無針注入装置60を準備位置で示している。注入装置は、外側ハウジング又はホルダー62を備えており、その最下端部64は、最内側ケーシング68の最上端部66上に滑動可能に取り付けられている。
【0113】
最内側ケーシング68の最下端部70は、例えば薬剤カセットのような使い捨て要素72と嵌合している。使い捨て要素は、中央穴又はチャンバ76を有するケーシング74を備えており、その穴の中に先駆発射体10と処方物42から成る注入物40が取り付けられている。平坦な頭部80と細長い本体82から成る頭部が大きな排出ピン78が、注入物40の上に配置されており、使用時に、ストライカ84が排出ピンに接触すると、ピンは穴又はチャンバ76に沿って患者の体内へと押し出されるようになっている。ゴムブロックのような弾性部材87は、注入後直ぐに排出ピンを後退させる。
【0114】
使い捨て要素72は、例えば、使い捨て装置を、内側ハウジング68の最下端部70へねじ込むことによって、無針注入装置内に装填されている。最内側ハウジング68内にはストライカガイド86が取り付けられており、ストライカガイド86は、戻り止め90を装填位置(図示)に維持し、作動機構即ちばね92及びばねフォロア94を収容する表面88を有している。
【0115】
使い捨て要素72は、皮膚と接触すると、使い捨て要素が作動前に皮膚を予め引っ張るような形状になっている。これは、単に皮膚を伸ばすのではなく、投薬が確実に皮膚を貫通するようにする。
【0116】
注入器ピン78は、装置の端部を(例えば)2.5mm越えるまで、注入物を押し出すよう設計されている。これは、注入器ピンの端部(先駆発射体の端部と同じ形状及び直径を有するのが望ましい)は、皮膚を貫通するだけであるが、確実に、注入物は完全に皮膚内に投与されていることを意味している。
【0117】
作動前に、注入物の先端は皮膚と接触しているかもしれない。しかしながら、先端は、作動前には、皮膚から数ミリメートル離れているのが望ましい。これによって、注入物が皮膚に衝突するときには注入物が動いていることが保証され、更に、装置が皮膚上に配置されたときに皮膚表面からの水分によって注入物の先端が溶解し始め、従って先端が柔らかくなることのないことが保証される。
【0118】
装置60を使用する際は、最外側ケーシングを、最内側ハウジング68に対して滑動させ後退させる(矢印Aの方向に引っ張る)。これによって、ばね92が圧縮され、戻り止めが、垂直位置から、表面88に対して安定して保持される図示の位置へと動く。この過程で、クイルばね96は、表面98に当接することによって戻り止めを安定させる。使い捨て要素を装置60の最内側ハウジング68の端部70へねじ込んで装填する。
【0119】
注入物を皮膚内に押し込む注入器ピン78は、(必ずというわけではないが)作動前に注入物と接触しているのが望ましい。
【0120】
装置を作動させる際、ユーザーは、例えば、装置の外側ハウジング62の周りを、親指を端部キャップ102の上に置いて握る。使い捨て要素72の端面100を患者の皮膚に相対して配置し、教示されたように保持し、外側ハウジング62を矢印Aと逆方向に押す。この動作によって、最外側ケーシングは内側ハウジング68上を滑動する。そうなると、戻し止めが傾斜壁106に乗り上がり、結果的に戻し止めは、自身の軸104の回りに回ることになる。これにより、クイルばね96が(破線で示しているように)押し出される。戻り止めが垂直位置に達すると、コイルばねは、溜めていたエネルギーを放出し、ストライカ84が、注入物40が皮膚を貫くことになる力によって、排出ピン78の頭部80に接触するまで、ストライカガイド86に沿ってストライカ84が確実に移動するよう支援する。排出ピン78は、処方物42を患者の体内へ所望の深さまで押し込み続けるが、この深さは、注入物の長さと、排出ピン78が注入物を押し込む距離によって決まる。ゴムストッパ87は、注入物送出の間は排出ピンの頭部80によって押しつぶされるが、ゴムストッパ87の弾性特性によって、排出ピンの先端は、装置の使い捨て要素72内へと引き込まれることになる。
注入部位
可能性としては、注入物は、人間又は動物の体の様々な部位に注入することができる。注入物を投与する最も容易な方向は皮膚に対して垂直な方向であり、このことは、大部分の皮膚部位に対しては、表皮を貫通して真皮内に到り、皮膚の厚さにも依るが皮下層又は筋肉内に入ることを意味する。従って、「最良の」注入部位は、神経終末部の密度が最も低く、注入に伴う痛みを避けることのできる部位である。これには、背中又は耳朶への注入が含まれる。
【0121】
その他に、注入部位は、厚い表皮を有する部位も含まれ、表皮が厚いと、神経末端部が位置する真皮まで注入物が貫通しない。注入物を皮膚内に斜めに注入し、注入物が結果的に表皮内に留まるようにしてもよい。つまんだ皮膚の襞内へ注入することによっても、同じ結果が得られる。
【0122】
皮膚の弾性特性を利用して、注入物を投与した後で皮膚を密封することもでき、スプリンターの場合にはよく当てはまる。これによって、薬剤が溶解したときに皮膚から漏れないようにすることができる。
【0123】
この技術を使って薬剤を投与する身体の領域として最も良く当てはまるのは腹部であり、それは、脂肪量が多く、自己投薬に関し接触が容易だからである。患者がズボンをはいている場合はアクセスしにくいが、腿も当てはまる。
製品の用途
治療、予防及び診療の用途を含め投与することができるので、この技術には数多くの可能性のある製品の用途がある。限定するわけではないが、分かり易い例として、
・従来のワクチン 第1及び第3世界用途又は獣医学用途、・インシュリン、
・偏頭痛の治療、
・ホルモン、がある。
【0124】
本出願で使用している「少なくとも1つの治療用化合物、又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物」という用語は、治療の用途だけでなく、予防及び診療の用途を範囲に含んでいるものである。
【0125】
本技法を使って送出することのできる最大投与量は、複数の要因によって決まる。しかしながら、全長約4.0mm、直径約1.0mm(19Gベンフロンと同じ)の注入物であれば、1回の投与での標準的な治療に当たる約2mgの投与が十分可能である。この規模の投与であれば、上記事例の各用途に適している。注入物を複数の投与量、同時に送出すれば、更に多量の投与を行うのに使える可能性がある。
【0126】
注入物の送出は非常に迅速で、送出処置に伴う痛みは、同じ寸法の針ほど悪くはないはずである。送出処置が痛ければ、注入前に組織に麻酔を掛けてもよい。針を避けるため、麻酔は、パッチ、スプレー又はクリームによって与えるのがよい。
【0127】
例1.薬剤スプリンター
直径0.9mmの鉛筆の芯のロッドを約6mmの長さに分割し、各長さの一端にサンドペーパーを掛けて先端とし、他端は平面として堅いスプリンターを作った。スプリンターを薬剤パッケージ内に置き、試作の送出システムを使って豚の皮膚に首尾よく投与することができた。
【0128】
例2.堅いロッドが続く先駆発射体
上記例1で詳述したと同じ鉛筆の芯を約3mmの長さに短く切断した。一端にサンドペーパーを掛けて先端とし、他端は平面として先駆発射体を作った。更に、同じ鉛筆の芯のロッドを約4mmの長さに切断し、両端にサンドペーパーを掛け平坦にした。先駆発射体と堅いロッドを薬剤パッケージ内に置き、試作の送出システムを使って豚の皮膚に守備欲投与することができた。
【0129】
例3.柔らかいロッドが続く先駆発射体
金型を通してワックスの柔らかいロッドを押出成形し、約4mmの長さに切断して各端を平面にした。更に、一部を切断し、一端を尖らせ、他端を平面とした。先の尖った部分(形状と寸法は例1で用いたスプリンターと同じ)を、薬剤パッケージを使って豚の皮膚に投与したが、ワックスは皮膚を貫通せず、皮膚表面上で平らになった。同じワックス材料のロッドを、例2で用いた先駆発射体の後ろに置き、薬剤パッケージを使って豚の皮膚に投与したが、先駆発射体とワックス材料の両方を、組織内へ首尾よく送出することができた。この実験で用いたワックス材料は、親指と別の指の間で簡単に潰すことができた。
【0130】
例4.堅い玉が続く先駆発射体
直径が0.5−0.75mmの玉を、例2で詳述した先駆発射体の後ろの薬剤パッケージ内に置いた。先駆発射体と全ての玉は、試作の送出システムを使って豚の皮膚に首尾よく投与することができた。
【0131】
上記に概要した実験は、広範な異なる材料を堅い先駆発射体の後ろで送出できることを示している。理想的には、先駆発射体は、目標の組織内で溶解する薬剤級の化合物で製造するのが望ましい。以下の2つの過程を用いて、そのような先駆発射体を作った。
【0132】
例5
高温溶融糖を作るが、これは後で、先駆発射体に相応しい形状に型成形するか、又は押出成形して長いロッドにすることができるものである。押出成形過程を用いる場合は、先駆発射体を柔らかい押出成形物から切って整形することもできるし、或いは押出成形物が固まるときに、先駆発射体の鋭い端部を形成することもできる。この過程では、非常に堅くでき一端の鋭い先端を組み入れることのできる、飴玉と同じ材料ができる。
【0133】
例6
薬剤級の糖を、ポリビニルピロリドン(PVP)の様な硬化剤と共に使って、混合粉末を作る。配合された粉末は、金型を通して押し出し、化合物の長い棒を作る。配合によっては、押出成形と結合の過程が容易になるよう、水又はエタノールの様な潤滑剤が必要となる場合もある。長いロッドを短い部分に切断して先駆発射体を作る。高温のナイフを使えば、この過程は容易になる。必要ならば、押出成形物の短いロッドにサンドペーパーかやすりを掛けることによって、先駆発射体の先端又は平坦な端部を作ることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、無針注入の形態で、人間又は動物の体内に送出する方法において、
i)水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性であり、人間又は動物の体内に残る3mm未満の直径を有する先駆発射体を皮膚に貫通させる段階と、
ii)前記少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物であって、抑制状態で提供され、送出されるようになっている前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、前記先駆発射体の後に、直接又は実質的に直接導入する段階と、
から成る方法。
【請求項2】
前記先駆発射体は水溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記先駆発射体は、前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物から独立している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記先駆発射体は、前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物から独立していながら、なおその一体の部分を形成している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記先駆発射体は、前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物に対し頭部を形成している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の薄膜の中に入っている液体の形態で提供されている、請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、固体の形態で提供されている、請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物は、半固体、ゲル、又はペーストとして提供されている、請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記固体の形態は、結晶体、粒子、顆粒、玉、棒、円盤又はそれらの組み合わせを含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
皮膚が貫通され、前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物が低速で投与される、上記請求項1から9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記速度は100m/秒未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記速度は10m/秒未満である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの治療用化合物又は少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、無針注入として、人間又は動物の体内へ送出し易くする方法において、
i)水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性であり、人間又は動物の皮膚を貫通できる3mm未満の直径を有する先駆発射体を提供する段階と、
ii)前記少なくとも1つの治療用化合物又は前記少なくとも1つの治療用化合物が入っている処方物を、抑制状態で、前記先駆発射体の後に、直接又は実質的に直接提供する段階と、から成る方法。
【請求項14】
水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性であり、3mm未満の直径を有する先駆発射体であって、人間又は動物の皮膚を貫通でき、少なくとも1つの後続の治療用化合物又は処方物が入っている治療用化合物を抑制状態で容易に注入できるようにする先駆発射体において、
i)使用時に、人間又は動物の皮膚を貫通する第1「貫通」面と、
ii)前記第1面から離れており、注入途上で、前記含有されている治療用化合物又は前記処方物が入っている治療用化合物を通して駆動力が加えられる面である第2「駆動」面と、を備えており、前記先駆発射体が1:10未満のアスペクト比(幅対高さ)を有することを特徴とする先駆発射体。
【請求項15】
前記先駆発射体は水溶性である、請求項14に記載の先駆発射体。
【請求項16】
前記先駆発射体は、1:8未満、望ましくは1:6未満、更に望ましくは1:4未満、更に望ましくは1:3未満、最も望ましくは約1:1.5のアスペクト比を有している、請求項14又は15に記載の先駆発射体。
【請求項17】
約1:1.5のアスペクト比を有している、請求項14から16の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項18】
幅が、3mm未満、更に望ましくは2mm未満、最も望ましくは約1mmかそれ未満である、請求項14から17の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項19】
幅が約1mmである、請求項14から18の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項20】
高さが約10mm未満である、請求項14から19の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項21】
高さが約1.5から2mmである、請求項14から20の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項22】
前記治療用化合物の種類に拘束されることのない、請求項14から21の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項23】
少なくとも1つの治療用化合物を含んでいる、請求項14から21の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項24】
前記皮膚貫通面は切断要素を備えている、請求項14から23の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項25】
前記切断要素は鋭い先端を備えている、請求項24に記載の先駆発射体。
【請求項26】
前記切断要素は傾斜エッジを備えている、請求項24に記載の先駆発射体。
【請求項27】
前記皮膚貫通面は、鋭くないか又は緩やかに曲がっている、請求項14から23の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項28】
前記抑制状態にある前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物と接触する前記面は平面である、上記請求項の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項29】
前記抑制状態にある前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物と接触する前記面は、凹状或いは中空である、請求項14から27の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項30】
ガラス質材料を含んでいる、請求項14から29の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項31】
少なくとも、抑制状態の前記治療用化合物と接触する前記面を覆うバリヤー材料を備えている、請求項14から30の何れかに記載の先駆発射体。
【請求項32】
抑制状態で保持されていて、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性で、3mm未満の直径を有する先駆発射体の後に、人間又は動物の体内へ無針注入の形態で導入されるようになっている、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項33】
50mm未満の体積中に少なくとも1つの治療用化合物を50mg未満含んでおり、更に望ましくは10mm未満の体積中に治療用化合物を10mg未満含んでいる、請求項32に記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項34】
水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の薄膜内に入っている液体として提供される、請求項32又は33に記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項35】
少なくとも10パスカル秒(10,000センチポアズ)の粘性を有し、更に望ましくは少なくとも100パスカル秒(100,000センチポアズ)の粘性を有する液体として提供される、請求項32又は33に記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項36】
固体の形態で提供される、請求項32又は33に記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項37】
半固体、ゲル又はペーストとして提供される、請求項32又は33に記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項38】
前記固体の形態は、結晶体、粒子、顆粒、玉、棒、円盤又はそれらの組み合わせを含んでいる、請求項36に記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項39】
前記治療用化合物又は処方物が入っている治療用化合物の先に端部部片を備えている、請求項32から38の何れかに記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項40】
処方の異なる複数の要素を含んでいる、請求項32から39の何れかに記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項41】
キャップ、カートリッジ、カローセル又はカセットに入っている、請求項32から40の何れかに記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項42】
少なくとも、前記先駆発射体と接触する面を覆うバリヤー材料を備えている、請求項32から40の何れかに記載の治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物。
【請求項43】
注入用の無針注入物において、
a)水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の、直径が3mm未満の先駆発射体と、
b)抑制状態で前記先駆発射体の後ろに保持されている、治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物と
を備えている、無針注入物。
【請求項44】
前記先駆発射体と、前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物とは、程度は異なるが、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性である、請求項43に記載の無針注入物。
【請求項45】
前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性の薄膜の中に入っている液体として提供される、請求項43又は44に記載の無針注入物。
【請求項46】
前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、固体の形態で提供される、請求項43又は44に記載の無針注入物。
【請求項47】
前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、半固体、ゲル又はペーストとして提供される、請求項43又は44に記載の無針注入物。
【請求項48】
前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、少なくとも10パスカル秒(10,000センチポアズ)、更に望ましくは少なくとも100パスカル秒(100,000センチポアズ)の粘性を有する液体である、請求項43又は44に記載の無針注入物。
【請求項49】
前記固体の形態は、結晶体、粒子、顆粒、玉、棒、円盤又はそれらの組み合わせを含んでいる、請求項46に記載の無針注入物。
【請求項50】
前記先駆発射体と、前記治療用化合物又は処方物が入っている治療用化合物との間には、バリヤーが設けられている、請求項43から49の何れかに記載の無針注入物。
【請求項51】
前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物の先に端部部片を更に備えている、請求項43から50の何れかに記載の無針注入物。
【請求項52】
前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物は、処方の異なる複数の要素を含んでいる、請求項43から51の何れかに記載の無針注入物。
【請求項53】
前記注入物は、キャップ、カートリッジ、カローセル又はカセット内に入っている、請求項43から52の何れかに記載の無針注入物。
【請求項54】
前記先駆発射体と、前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物とが、別々のキャップ、カートリッジ、カローセル又はカセット内に入っている、請求項43から52の何れかに記載の無針注入物。
【請求項55】
前記治療用化合物を前記先駆発射体と分離するバリヤー材料を更に備えている、請求項43に記載の無針注入物。
【請求項56】
水溶性、脂質可溶性或いは生物分解性で、3mm未満の直径を有する先駆発射体(10)と、少なくとも1つの含有されている治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物(42)とを、人間又は動物の体内に注入するための無針装置(60)において、
ストライカ(84)をストライカガイド(86)に沿って移動させる力を作り出すことのできる機構(92)が入っているハウジング(62)を備えており、前記ハウジングは、中に排出ピン(78)と、その下の、先駆発射体(10)と処方物(42)とから成る注入物(40)とが装填されている穴(76)を有するケーシング(74)を備えている構成要素(72)と作動時に連通している端面(100)を有しており、使用時には、前記ストライカが前記排出ピンと接触し、前記注入物が単一のユニットとして前記ケーシングから人間又は動物の体内へ押し出されるようになっている無針装置(60)。
【請求項57】
前記先駆発射体を、前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物を介して、少なくとも1つのチャンバから人間又は動物の体内へ押し出すための手段が、ピン、ピストン、ロッド又は類似の部材である、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記押し出しを開始又は支援するための動力源を更に備えている、請求項56又は57に記載の装置。
【請求項59】
前記動力源は機械式ばねである、請求項58に記載の装置。
【請求項60】
前記動力源は気体ばねである、請求項58に記載の装置。
【請求項61】
前記ばねは事前装填される、請求項56又は57に記載の装置。
【請求項62】
前記動力源は再装填できる、請求項56又は57に記載の装置。
【請求項63】
前記装置は手動で駆動される、請求項56又は57に記載の装置。
【請求項64】
再使用可能な構成要素と使い捨て構成要素とを備えている、請求項56から63の何れかに記載の装置。
【請求項65】
前記先駆発射体、或いは、前記先駆発射体と前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物、が入っている構成要素は使い捨て構成要素である、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記再使用可能な構成要素と前記使い捨て構成要素は、両者を互いに接続する手段を備えている、請求項64又は65に記載の装置。
【請求項67】
多数の注入物を、順次又は同時に注入することのできる、請求項56から66の何れかに記載の装置。
【請求項68】
複数の先駆発射体、或いは、前記先駆発射体と前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物とから成る複数の注入物、が入っているカートリッジ、カローセル又はカセットを備えている、請求項66に記載の装置。
【請求項69】
1つの先駆発射体と、前記治療用化合物又は治療用化合物が入っている処方物の一単位の投与量とが入っているキャップを備えている、請求項66に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−185032(P2009−185032A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−54371(P2009−54371)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【分割の表示】特願2003−527732(P2003−527732)の分割
【原出願日】平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願人】(507267045)グライド・ファーマスーティカル・テクノロジーズ・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】