説明

薬学的に活性なアミドの製造における中間体としての1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エステル

本発明は、薬学的に活性な化合物の製造における中間体として有用である、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的に活性な化合物の製造における中間体として有用である、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
第一の局面において、本発明は、式(I’):
【0003】
【化1】

【0004】
の1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体の製造方法であって、式(II):
【0005】
【化2】

【0006】
[式中、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキル(より好ましくは、(C〜C)シクロアルキル)である(好ましくは、Rは、(C〜C)アルキルであり;より好ましくは、Rは、エチル、プロピル、イソプロピルまたはt−ブチルであり、最も好ましくは、エチル、プロピルまたはイソプロピルである)]
のシクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体を、リチウム二級アミドの存在下に、1−ハロ−2−エチルブタンまたは2−エチル−1−ブタノールのスルホン酸エステルのようなアルキル化剤と反応させることを含む方法を提供する。
【0007】
リチウム二級アミドは、市販元から入手できるか、または以下に定義されるような二級アミンをリチウム剤、例えば(C〜C)アルキルリチウム、(C〜C)シクロアルキルリチウムまたはフェニルリチウムと接触させることにより生成されるかのいずれかである。好ましくは、リチウム二級アミドは、リチウムジシクロヘキシルアミドである。
【0008】
アルキル化に続いて、周知の方法を用いることによりエステルが開裂し、式(I):
【0009】
【化3】

【0010】
の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸が得られる。
【0011】
式(II)の化合物は、一般的に、市販元から入手可能であるか、または当業者に周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、L. Goossen, A. Doehring, Adv. Synth. Catal. 2003, 345, 943およびそこに引用されている参照文献を参照されたい)。例えば、式ROHの過剰のアルコール中のシクロヘキサンカルボン酸の溶液を、トルエンスルホン酸を加えた後に加熱すると、式(II)の化合物が得られる。アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、エーテル様溶媒(例えば、THF)、アセトニトリル、DMFまたは/および水のような溶媒中のシクロヘキサンカルボン酸のアルカリ金属塩の溶液に、ハロゲン化アルキルRXを加えることもできる。
【0012】
式(I)の化合物は、有益な薬学的な化合物、例えばEP1,020,439に記載されているものの合成における中間体として使用しうる。
【0013】
したがって、他の態様において、本発明は、以下のスキーム:
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、Xは、I、Br、ClまたはFであり、Rは、(C〜C)アルキルである)
に表される合成工程を含む方法を提供する。特に、その方法は、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸(I)をハロゲン化剤、例えばPX、PX、SOXまたはハロゲン化シアヌルと反応させて、式(III)のハロゲン化アシルを得ることを含む。ハロゲン化工程は、好ましくはトリ−(C〜C)アルキルアミンの存在下に行われる。さらに、その方法は、ハロゲン化アシルをビス(2−アミノフェニル)ジスルフィドと反応させて(2−アミノフェニル)ジスルフィドのアミノ基をアシル化し、アミノ−アシル化ジスルフィド生成物を還元剤、例えばトリフェニルホスフィン、亜鉛または水素化ホウ素ナトリウムで還元してチオール生成物を生成し、さらにチオール生成物中のチオール基をRC(O)X’(式中、X’は、I、Br、ClまたはFである)でアシル化することを含む。
【0016】
さらなる工程を、例えば、Shinkaiら、J. Med. Chem. 43:3566-3572 (2000)およびWO2007/051714に記載の手法に従って、行いうる。
【0017】
好ましくは、ハロゲン化剤は、塩化チオニル、五塩化リン、三臭化リンおよびフッ化シアヌル、最も好ましくは塩化チオニルから選択される。式(III)(式中、XはClである)のハロゲン化アシルが最も好ましい。
【0018】
チオールのアシル化工程において、好ましくは、アシル化剤は、RC(O)X’(式中、X’はClである)である。最も好ましくは、Rは、イソプロピルである。
【0019】
別記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される以下の用語は、下記の意味を有する。
【0020】
用語「ハロ」は、クロロ、ブロモ、ヨードまたはフルオロを意味する。
【0021】
用語「ハロゲン化物」は、塩化物、臭化物、ヨウ化物またはフッ化物を意味する。
【0022】
「(C〜C)アルキル」は、分岐状または直鎖状の炭化水素鎖、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルを指す。
【0023】
「(C〜C)シクロアルキル」は、単一の飽和炭素環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを指す。
【0024】
「(C〜C)アルキルリチウム」は、リチウム原子で置換されている上で定義されたとおりの(C〜C)アルキル鎖、例えばブチルリチウム、ヘキシルリチウム、sec−ブチルリチウムであると理解される。
【0025】
「置換フェニル」は、(C〜C)アルキル、ニトロおよび、フルオロ、ブロモ、クロロのようなハロゲン原子よりなる群から独立して選択される1個または複数個の置換基で置換されているフェニルを指す。
【0026】
「二級アミン」は、式(a):
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、RおよびRは、同一または異なってもよく、独立して、(C〜C)アルキルもしくは(C〜C)シクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、OまたはNから選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含む(C〜C)ヘテロシクロアルカンを形成する。代表的な例として、ピペリジン、4−メチル−ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチルメチルアミン、エチルプロピルアミンおよびメチルプロピルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、二級アミンは、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチルメチルアミン、エチルプロピルアミン、メチルプロピルアミンおよびモルホリン、より好ましくはジエチルアミンまたはジシクロヘキシルアミンから選択される。最も好ましい二級アミンは、ジシクロヘキシルアミンである。
【0029】
「(C〜C)ヘテロシクロアルカン」は、1個または2個の環原子がNまたはOから選択されるヘテロ原子である、4〜8個の環原子の飽和非芳香族環状化合物を指し、ヘテロシクロアルカンは、1個または複数個の(C〜C)アルキル、好ましくは1個の(C〜C)アルキルで場合により置換されていてもよい。
【0030】
プロトン酸は、少なくとも1個のプロトン(H+)を他の化合物に供与するブレンステッド酸を指す。典型的なプロトン酸として、鉱酸、例えば硝酸、硫酸、リン酸、ハロゲン化水素酸、強有機酸、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等ならびに複合酸、例えばテトラフルオロボロン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸およびヘキサフルオロ砒酸が挙げられる。好ましいプロトン酸は、硫酸または臭化水素酸である。
【0031】
「2−エチル−1−ブタノールのスルホン酸エステル」は、置換フェニルおよび(C〜C)アルキル鎖が先に定義されたとおりである、2−エチル−1−ブタノールの、置換もしくは非置換フェニルスルホン酸エステル、非置換ナフタレン−スルホン酸エステルまたは(C〜C)アルキルスルホン酸エステル誘導体を指す。代表的な例として、ベンゼンスルホン酸2−エチル−ブチルエステル、1−ナフタレンスルホン酸2−エチル−ブチルエステル、2−ナフタレンスルホン酸2−エチル−ブチルエステル、トルエン−4−スルホン酸2−エチル−ブチルエステル、4−ニトロ−ベンゼンスルホン酸2−エチル−ブチルエステル、2,4,6−トリメチル−ベンゼンスルホン酸2−エチル−ブチルエステル、エタンスルホン酸2−エチル−ブチルエステル、メタンスルホン酸2−エチル−ブチルエステルおよびブタンスルホン酸2−エチル−ブチルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
他の態様において、本発明は、式(I):
【0033】
【化6】

【0034】
の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸の製造方法であって、プロトン酸が、式(I’):
【0035】
【化7】

【0036】
(式中、Rは、上で定義されたとおりである)
の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体を開裂する、酸開裂を含む方法に関する。
【0037】
さらなる態様において、本発明は、式(I):
【0038】
【化8】

【0039】
の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸の製造方法であって、ヨウ化ナトリウムが、プロトン酸の存在下に、式(I’):
【0040】
【化9】

【0041】
(式中、Rは、上で定義されたとおりである)
の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体の開裂を促進する、酸開裂を含む方法に関する。
【0042】
他の態様において、式(I):
【0043】
【化10】

【0044】
の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸の製造方法であって、以下の工程:
a)シクロヘキサンカルボン酸をエステル化して、式(II):
【0045】
【化11】

【0046】
(式中、Rは、上で定義されたとおりである)
のシクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体を得;
b)該シクロヘキサンカルボン酸エステルをリチウム二級アミドの存在下に、アルキル化剤と反応させ;
c)上で定義されたとおりの化合物(I’)のエステルを開裂して、式(I)の化合物を得る;
を含む方法に関する。
【0047】
好ましくは、エステルの開裂(工程c)は、ヨウ化ナトリウムおよびプロトン酸の存在下に行われる。
【0048】
本発明は、エーテル様溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテルまたはジブチルエーテル)、アルコール溶媒(例えば、メタノールまたはエタノール)、脂肪族炭化水素溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタンまたはペンタン)、飽和脂環式炭化水素溶媒(例えば、シクロヘキサンまたはシクロペンタン)または芳香族溶媒(例えば、トルエンまたはt−ブチル−ベンゼン)のような有機溶媒の存在下に行われる。
【0049】
テトラヒドロフランのような、非プロトン性有機溶媒は、アルキル化において好ましい溶媒であり、単独であっても、別のプロトン性溶媒(例えばヘキサン、ヘプタンおよびt−ブチル−ベンゼンである非極性溶媒群)との組み合わせであってもよい。最も好ましくは、非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0050】
エステルの酸開裂(工程c、プロトン酸の存在下)のために、カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸または酪酸)が好ましい溶媒である。
【0051】
好ましいリチウム剤は、(C〜C)アルキルリチウムであり、ブチルリチウムが最も好ましい。
【0052】
リチウム二級アミドの調製のためには、式(a)の二級アミンに対して0.8〜1.0当量のブチルリチウムが好ましく使用される。より好ましくは、0.85〜0.95当量が使用される。最も好ましくは、0.9当量が使用される。
【0053】
好ましいアルキル化剤は、1−ハロ−2−エチルブタン、最も好ましくは1−ブロモ−2−エチルブタンである。
【0054】
2−エチル−1−ブタノールの好ましいスルホン酸エステルは、トルエン−4−スルホン酸2−エチル−ブチルエステルである。
【0055】
好ましくは、1.1〜1.6当量の1−ブロモ−2−エチルブタンが使用され、より好ましくは、1.2〜1.4当量が使用される。
【0056】
アルキル化は、好ましくは不活性ガス雰囲気下、好ましくはアルゴンまたは窒素下で行われる。リチウムジシクロヘキシルアミドの存在下に、アルキル化は、好ましくは、−10〜10℃、最も好ましくは0℃で行われる。
【0057】
さらなる態様において、本発明は、先に記述された方法および条件のいずれかにより得られる式(I)の化合物の生成を含む、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートの製造方法を提供する。
【0058】
本発明のさらに他の態様において、式(I’):
【0059】
【化12】

【0060】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルであり、好ましくは、Rは、(C〜C)アルキルである)
を有する中間体が提供される。
【0061】
より好ましくは、Rが、エチル、プロピル、イソプロピルまたはt−ブチルである、式I’の中間体である。
【0062】
最も好ましくは、Rが、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、式I’の中間体である。
【0063】
本明細書中に明示的に開示された合成経路がない出発材料および試薬は、一般的に市販元から入手可能であるか、または当業者に周知の方法を用いて容易に調製される。
【0064】
以下の実施例は、さらなる説明の目的で提供されるものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0065】
以下の略記および定義が用いられる。AcOH(酢酸);aq.(水溶液);n−BuLi(n−ブチルリチウム);CDCl(重クロロホルム);d(二重項);DCM(ジクロロメタン);DEA(ジエチルアミン);eq.(当量);g(グラム);GC(ガスクロマトグラフィー);h(時間);HBr(臭化水素酸);HCl(塩酸);KOH(水酸化カリウム);KOtBu(カリウムtert−ブトキシド);M(モル);m(多重項);Me(メチル);MeOH(メタノール);mL(ミリリットル);N(規定度);NaCl(塩化ナトリウム);NaHCO(重炭酸ナトリウム);NaOH(水酸化ナトリウム);NMR(核磁気共鳴);室温(室温);s(一重項);sat.(飽和);t(三重項);TBAB(臭化テトラブチルアンモニウム);TBME(t−ブチルメチルエーテル);THF(テトラヒドロフラン);p−TsOH(p−トルエンスルホン酸一水和物);
【0066】
実施例1.1:シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルの調製
エタノール(100mL)中のシクロヘキサンカルボン酸(23.1g、180mmol)の溶液に、p−TsOH(1.027g、5.4mmol)を加えた。混合物を78〜79℃に加熱し、溶媒を数時間ゆっくりと留去するが、新たなエタノールを加えることによって体積を比較的一定に維持した。撹拌を、還流温度で一晩続けた。追加部分のp−TsOH(685mg、3.6mmol)を加え、反応混合物を、79℃でさらに5時間撹拌した。冷却した反応混合物を、ほぼ1/4の体積まで濃縮し、TBMEで希釈して冷NaHCO水溶液で抽出した。水相をTBMEで抽出した。有機相を、中性になるまで水で洗浄して合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、粗生成物26.5gを得て、これを40℃(0.25mbar)で留去して、シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル24.5g(87%)、GC純度>99%(領域)を得た。1H-NMR(CDCl3, 300 MHz):ppm1.22(t, 3H), 1.08-1.80(m, 8H), 1.85-1.92(m, 2H), 2.23-2.32 (m, 1H), 4.11 (q, 2H)。
【0067】
実施例1.2:シクロヘキサンカルボン酸n−プロピルエステルの調製
THF(80mL)中のシクロヘキサンカルボン酸ナトリウム塩(5.0g、33.3mmol)に、THF(120mL)中の臭化テトラブチルアンモニウム(1.074g、3.33mmol)および1−ブロモプロパン(4.545g、49.95mmol)を加えた。混合物を、50℃で72時間撹拌し、室温に冷まして濾過した。沈殿物をTHFで洗浄した。濾液を濃縮し、残留物をTBMEで希釈した。溶液を水で洗浄し、水相をTBMEで再抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて蒸発させ、シクロヘキサンカルボン酸n−プロピルエステル4.2g(74%)を、液体、GC純度99%(領域)として得た。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):ppm0.94(t, 3H), 1.15-1.36(m, 3H),1.38-1.50(m, 2H), 1.55-1.81(m, 5H), 1.85-1.92(m, 2H), 2.23-2.32(m, 1H), 4.02(q, 2H)。
【0068】
実施例1.3:シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステルの調製
イソプロパノール(66mL)およびシクロヘキサン(44mL)中のシクロヘキサンカルボン酸(22.0g、172mmol)の溶液に、p−TsOH(653mg、3.43mmol)を加えた。混合物を、撹拌しながら70〜73℃まで加熱し、溶媒をゆっくりと留去するが、新たな溶媒混合物を加えることによって体積を比較的一定に維持した。6時間後、p−TsOH(653mg、3.43mmol)の2番目の部分を加え、反応混合物を(溶媒を留去することなく)71℃で一晩撹拌した。合計24時間後、冷却した反応混合物を、1/4の体積まで濃縮した。氷及び飽和NaHCO水溶液を加え、混合物をTBMEで2回抽出した。有機相を、希釈NaCl水溶液で中性になるまで洗浄して合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(28.5g)を40℃(0.2〜0.16mbar)で留去して、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル27.75g(93%)を、無色の液体、GC純度98%(領域)として得た。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):ppm1.21(d, 6H), 1.17-1.34(m, 3H), 1.35-1.49(m,2H), 1.55-1.80(m,3H), 1.82-1.92(m, 2H), 2.20-2.29(m, 1H), 4.94-5.04(m, 1H)。
【0069】
実施例1.4:シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチルエステルの調製
DCM(75mL)中のシクロヘキサンカルボン酸(10.0g、78mmol)の溶液に、濃縮した硫酸(765mg、7.8mmol)を加えた。イソブチレン(10.94g、195mmol)を、−15℃〜−10℃の温度で1時間かけて導入した。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で72時間撹拌した。次に、イソブチレン(10.94g、195mmol)の2番目の部分を、−10℃で1時間かけて導入した。反応混合物を、室温でさらに20時間撹拌し、次にNaHCO(7.864g、93.6mmol)を加え、その後混合物を室温でさらに1時間撹拌した。撹拌しながら水(50mL)を加えた。45分後、反応混合物を、中性になるまで処理して洗浄した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて、ロータリエバポレーターで濃縮した。粗生成物(13.5g)を、Vigreuxカラム上で35℃(0.04mbar)で蒸留して、シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチルエステル10.9g(76%)を、無色の油状物として得た。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):ppm1.12-1.54(m, 14H), 1.55-1.99(m, 5H), 2.12-2.22(m, 1H)。
【0070】
実施例2.1:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステルの調製
THF(35mL)中のジシクロヘキシルアミン(14.24g、78.5mmol)の溶液に、ヘキサン(44.2mL、70.7mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−20℃〜−15℃の温度で50分間かけて加えた。得られた橙色の懸濁液を、−20℃で10分間撹拌し、次にTHF(75mL)中のシクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル(10.0g、58.75mmol)の撹拌した溶液に、テフロンチューブを介して0〜2℃で20分間にわたって加えた。得られた溶液に、THF(37.5mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(13.58g、82.25mmol)を、0℃で15分間かけて加えた。溶液を、0℃で一晩、そしてさらに室温で3時間撹拌した。氷水(25mL)を5℃で、続いて2N HCl(60mL)を加えた。白色の懸濁液を濾過し、フィルターケーキを水及び酢酸エチルで洗浄した。濾液の有機相を、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(15.5g)を60℃(0.05mbar)で蒸留して、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル12.7g(85%)を、無色の油状物、純度99.2%(GC領域)として得た。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):ppm0.80(t, 6H), 1.15-1.39(m, 11H), 1.23(d, 6H), 1.40(d, 2H), 1.51-1.59(m, 2H), 2.02-2.12(m, 2H), 4.95-5.05(m, 1H)。
【0071】
実施例2.2:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステルの調製
THF(10mL)中のジシクロヘキシルアミン(4.263g、23.5mmol)の溶液に、ヘキサン(13.23mL、21.15mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−20℃〜−15℃の温度で20分間かけて加えた。この橙色の懸濁液を、−20℃で10分間撹拌し、次に0℃まで温めた。この橙色の懸濁液に、THF(22mL)中のシクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル(3.0g、17.63mmol)の溶液を、0℃で15分間かけて加えた。得られた溶液を、0℃で30分間撹拌し、次にTHF(11mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(4.073g、24.7mmol)を同じ温度で15分間かけて加えた。撹拌を、0℃で一晩および室温でさらに2時間続けた。冷水(20mL)を5℃で、続いて2N HCl(50mL)を加えた。白色の懸濁液を濾過し、フィルターケーキを水および酢酸エチルで洗浄した。濾液の有機相を、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を、酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(4.7g)を50℃(0.01mbar)で蒸留して、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル3.95g(88%)を、無色の油状物、純度97%(GC領域)として得た。
【0072】
実施例2.3:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステルの調製
THF(7mL)中のジシクロヘキシルアミン(2.85g、15.7mmol)の溶液に、ヘキサン(8.8mL、14.1mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−65℃で20分間かけて加えた。懸濁液を−40℃まで温め、次にTHF(15mL)中のシクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル(2.0g、11.75mmol)の撹拌した溶液に、テフロンチューブを介して−65℃で20分間かけて加えた。得られた溶液を、−65℃で1時間撹拌し、次にTHF(7.5mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(2.715g、16.45mmol)を、−65℃で15分間かけて加えた。溶液を−65℃で1.5時間、次に冷却浴しないでゆっくりと室温に温めながら一晩撹拌した。氷水(15mL)を5℃で、続いて2N HCl(30mL)を加えた。白色の懸濁液を濾過し、フィルターケーキを水および酢酸エチルで洗浄した。濾液の有機相を、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(2.9g)を50℃(0.01mbar)で蒸留して、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル2.5g(84%)を、無色の油状物、純度93%(GC領域)として得た(不純物としてのシクロヘキサンカルボン酸ジシクロヘキシルアミド:蒸留生成物および粗生成物の両方で不検出)。
【0073】
実施例2.4:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステルの調製
THF(9mL)中のジイソプロピルアミン(1.90g、18.75mmol)の溶液に、ヘキサン(10.6mL、16.9mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−65℃で20分間かけて加えた。懸濁液を−40℃まで温め、次にTHF(20mL)中のシクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル(2.393g、14.1mmol)の撹拌した溶液に、テフロンチューブを介して−65℃で20分間かけて加えた。得られた溶液を、−65℃で0.5時間撹拌し、次にTHF(10mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(3.249g、19.68mmol)を、−65℃で15分間かけて加えた。溶液を、−65℃で1.5時間、次に冷却浴しないでゆっくりと室温に温めながら一晩撹拌した。氷水(15mL)を5℃で、続いて2N HCl(30mL)を加えた。有機相を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(3.5g)を55℃(0.01mbar)で蒸留して、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル2.9g(81%)を、無色の油状物、純度93%(GC領域)として得た(不純物としてのシクロヘキサンカルボン酸ジイソプロピルアミド:蒸留生成物中0.9%および粗生成物中0.7%)。
【0074】
実施例2.5:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルの調製
THF(12mL)中のジイソプロピルアミン(2.37g、23.4mmol)の溶液に、ヘキサン(13.2mL、21.09mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−65℃で20分間かけて加えた。懸濁液を−40℃まで温め、次にTHF(20mL)中のシクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(2.196g、14.1mmol)の撹拌した溶液に、テフロンチューブを介して、−65℃で20分間かけて加えた。得られた溶液を、−65℃で1時間撹拌し、次にTHF(10mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(3.714g、22.5mmol)を、−65℃で20分間かけて加えた。溶液を−65℃で1.5時間、次に冷却浴しないでゆっくりと室温に温めながら一晩撹拌した。氷水(15mL)を5℃で、続いて2N HCl(30mL)を加えた。有機相を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(3.4g)を50℃(0.01mbar)で蒸留して、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル2.6g(77%)を、無色の油状物、純度92.6%(GC領域)として得た(不純物としてのシクロヘキサンカルボン酸ジイソプロピルアミド:蒸留生成物中3.8%および粗生成物中3.1%)。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):ppm0.80(t, 6H), 1.12-1.39(m, 11H), 1.24(t, 3H), 1.42(d, 2H), 1.51-1.62(m, 2H), 2.02-2.12(m, 2H), 4.11(q, 2H)。
【0075】
実施例2.6:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルの調製
THF(90mL)中のジシクロヘキシルアミン(15.55g、85.77mmol)の溶液に、ヘキサン(48.0mL、76.8mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−20℃〜−15℃の温度で50分間かけて加えた。橙色の懸濁液を、−20℃で10分間撹拌し、次に0℃まで温めた。この懸濁液に、THF(30mL)中のシクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(10.0g、64.0mmol)の溶液を、0℃で15分間かけて加えた。得られた溶液を、0℃で30分間撹拌し、次にTHF(37.5mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(14.79g、89.6mmol)を、同じ温度で15分間かけて加えた。撹拌を、0℃で5時間、および室温で一晩続けた。冷水(25mL)を5℃で、続いて2N HCl(60mL)を加えた。白色の懸濁液を濾過し、フィルターケーキを水および酢酸エチルで洗浄した。濾液の有機相を、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(16.0g)を60℃(0.05mbar)で蒸留して、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル12.1g(79%)を、無色の油状物、純度97%(GC領域)として得た(不純物としてのシクロヘキサンカルボン酸ジシクロヘキシルアミド:蒸留生成物中不検出および粗生成物中0.7%)。
【0076】
実施例2.7:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの調製
THF(12mL)中のジイソプロピルアミン(2.37g、23.4mmol)の溶液に、ヘキサン(13.2mL、21.09mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−65℃で20分間かけて加えた。懸濁液を−40℃まで温め、次にTHF(20mL)中のシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(2.0g、14.1mmol)の撹拌した溶液に、テフロンチューブを介して、−65℃で15分間かけて加えた。得られた黄色の溶液を、−65℃で10分間撹拌し、次にそれを、THF(10mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(3.714g、22.5mmol)の溶液に、0℃で30分間かけて加えた。溶液を、0℃で1時間、次に冷却浴しないで室温に温めながら一晩撹拌した。氷水(15mL)を5℃で、続いて2N HCl(30mL)を加えた。有機相を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(3.3g)を45℃(0.01mbar)で蒸留し、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル2.1g(66%)を、無色の油状物、純度92.5%(GC領域)として得た。標記化合物の構造を、GC−MS(M=226)により確認した。
【0077】
実施例2.8:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸n−プロピルエステルの調製
THF(27mL)中のジシクロヘキシルアミン(4.281g、23.6mmol)の溶液に、ヘキサン(13.22mL、21.14mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−20℃〜−15℃の温度で50分間かけて加えた。橙色の懸濁液を、−20℃で10分間撹拌し、次に0℃まで温めた。この懸濁液に、THF(9mL)中のシクロヘキサンカルボン酸n−プロピルエステル(3.0g、17.62mmol)の溶液を、0℃で15分間かけて加えた。得られた溶液を、0℃で30分間撹拌し、次にTHF(11.25mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(4.072g、24.67mmol)を、同じ温度で15分間かけて加えた。撹拌を、0℃で5時間、および室温で一晩続けた。冷水(25mL)を5℃で、続いて2N HCl(60mL)を加えた。白色の懸濁液を濾過し、フィルターケーキを水および酢酸エチルで洗浄した。濾液の有機相を、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(5.1g)を60℃(0.05mbar)で蒸留し、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸n−プロピルエステル3.47g(77%)を、無色の油状物、純度97%(GC領域)として得た。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):ppm0.79(t, 6H), 0.96(t, 3H), 1.15-1.42(m, 10H), 1.41-1.43(m, 2H), 1.52-1.61(m, 3H), 1.63-1.70(m, 2H), 2.06-2.14(m, 2H), 4.0(t, 2H)。
【0078】
実施例2.9:1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸t−ブチルエステルの調製
THF(90mL)中のジシクロヘキシルアミン(13.19g、72.72mmol)の溶液に、ヘキサン(40.7mL、65.12mmol)中の1.6M n−BuLiを、撹拌しながら−20℃〜−15℃の温度で50分間かけて加えた。橙色の懸濁液を、−20℃で10分間撹拌し、次に0℃に温めた。この懸濁液に、THF(30mL)中のシクロヘキサンカルボン酸t−ブチルエステル(10.0g、54.3mmol)の溶液を、0℃で15分間かけて加えた。得られた溶液を0℃で30分間撹拌し、次にTHF(37.5mL)中の1−ブロモ−2−エチルブタン(12.54g、76.0mmol)を、同じ温度で15分間かけて加えた。撹拌を、0℃で5時間、および室温で一晩続けた。冷水(25mL)を5℃で、続いて2N HCl(60mL)を加えた。白色の懸濁液を濾過し、フィルターケーキを水およびトルエンで洗浄した。濾液の有機相を、飽和NaHCO水溶液で、およびNaCl水溶液で洗浄した。水相をトルエンで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物(12.9g)を60℃(0.05mbar)で蒸留し、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸t−ブチルエステル7.6g(52%)を、無色の油状物、純度96%(GC領域)として得た。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):ppm0.81(t, 6H), 1.12-1.60(m, 15H), 1.48(s, 9H), 1.95-2.0 (m, 2H)。
【0079】
実施例3.1:イソプロピルエステルからの1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸の調製
AcOH(80mL)中の1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル(10g、39.4mmol)およびヨウ化ナトリウム(886mg、5.91mmol)の混合物を、室温で50分間撹拌し、次に100℃に加熱した。48% HBr水溶液(30mL、265mmol)を30分間かけて滴下し、反応混合物を100℃で28時間撹拌した。冷却した反応混合物を、DCM(120mL)および氷水(120mL)で希釈した。有機相を分離し、希釈NaCl水溶液で洗浄した。水相を、DCMの別の部分で抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。残留物(9.1g)を4N NaOHおよび氷(30g)に取った。アルカリ溶液(pH12)をDCM(2×50mL)で抽出し、HSO水溶液を使用してpH1まで酸性化した。DCM(3×100mL)で抽出し、希釈NaCl水溶液で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させて蒸発させ、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸7.84g(94%)、純度99.3%(GC領域、ジアゾメタンで誘導体化後)を得た。1H-NMR(CDCl3, 300MHz):ppm0.81(t, 6H), 1.15-1.65(m, 15H), 2.05-2.15(m, 2H), 12(広帯域 s, 1H)。
【0080】
実施例3.2:イソプロピルエステルからの1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸の調製
1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸イソプロピルエステル(3.0g、11.8mmol)を、エチレングリコール(48mL)中に溶解した。粉末KOH(6.0g、107mmol)を加え、混合物を160℃で42時間撹拌した。冷却した反応混合物を、氷水(120mL)および4M HSO(40mL)の撹拌した混合物にゆっくりと加え、DCM(2×120mL)で抽出した。有機相を、希釈NaCl水溶液で中性になるまで洗浄して合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。残留物(2.5g)を、4N NaOHおよび氷(30g)に取った。アルカリ溶液(pH12)を、TBME(40mL)で抽出した。TBME相を4N NaOH/氷で2回洗浄した。塩基水相を、HSO水溶液を使用してpH1まで酸性化した。DCM(2×50mL)で抽出し、希釈NaCl水溶液で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させて蒸発させ、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸1.5g(60%)、純度94.1%(GC領域、ジアゾメタンで誘導体化後)を得た。
【0081】
実施例3.3:エチルエステルからの1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸の調製
1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(2.0g、8.32mmol)を、少量の水(225mg、12.5mmol)を含有するTHF(15mL)中のKOtBu(3.735g、33.3mmol)の溶液に、撹拌しながら滴下した。混合物を54℃で20時間撹拌し、室温に冷まし、氷および4N HSOの混合物にゆっくりと注ぎ、pH1に調整してからDCM(2×150mL)で抽出した。有機相を希釈NaCl水溶液(100mL)で洗浄して合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸1.748g(99%)、純度95.2%(内部標準によるGC)を得た。
【0082】
実施例3.4:n−プロピルエステルからの1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸の調製
1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸n−プロピルエステル(2.3g、9.04mmol)を、少量の水(244mg、13.6mmol)を含有するTHF(17mL)中のKOtBu(4.058g、36.2mmol)の溶液に、撹拌しながら滴下した。混合物を54℃で20時間撹拌し、室温に冷まし、氷および4N HSOの混合物にゆっくりと注ぎ、pH1に調整してからDCM(2×150mL)で抽出した。有機相を希釈NaCl水溶液(100mL)で洗浄して合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸1.901g(99%)、純度96%(GC領域)を得た。
【0083】
実施例3.5:t−ブチルエステルからの1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸の調製
AcOH(6mL)中の1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸t−ブチルエステル(2.0g、7.45mmol)の撹拌した溶液に、4M HSO(0.6mL、2.4mmol)を95℃で滴下した。この温度で18時間後、AcOH(4mL)および4M HSO(0.6mL、2.4mmol)の別の部分を加え、95℃で4時間撹拌を続けた。次に、GCにより反応を完了させた。反応混合物を濃縮し、次に抽出により処理して、1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸1.4g(88%)、純度99%(GC領域)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I’):
【化13】


の1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体の製造方法であって、式(II):
【化14】


(式中、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルである)
のシクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体を、リチウム二級アミドの存在下に、アルキル化剤と反応させることを含む方法。
【請求項2】
式(I):
【化15】


の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸の製造方法であって、プロトン酸が、式(I’):
【化16】


(式中、Rは、請求項1で定義されたとおりである)
の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体を開裂する、酸開裂を含む方法。
【請求項3】
ヨウ化ナトリウムが、式(I’)の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体の開裂を促進する酸開裂を含む、式(I)の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸を製造するための請求項2記載の方法。
【請求項4】
式(I):
【化17】


の1−(2−エチル−ブチル)シクロヘキサンカルボン酸の製造方法であって、以下の工程:
a)シクロヘキサンカルボン酸をエステル化して、式(II):
【化18】


(式中、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルである)
のシクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体を得;
b)該シクロヘキサンカルボン酸エステルをリチウム二級アミドの存在下に、アルキル化剤と反応させ;
c)請求項1で定義されたとおりの化合物(I’)のエステルを加水分解して、式(I)の化合物を得る;
を含む方法。
【請求項5】
リチウム二級アミドが、二級アミンとリチウム剤とを接触させることにより生成されたものである、請求項1または4のいずれか記載の方法。
【請求項6】
リチウム二級アミドが、リチウムジシクロヘキシルアミドである、請求項1、4または5のいずれか記載の方法。
【請求項7】
エステルの開裂、工程c)が、ヨウ化ナトリウムおよびプロトン酸の存在下に行われる、請求項4記載の方法。
【請求項8】
アルキル化剤が、1−ブロモ−2−エチルブタンである、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
請求項2で定義されたとおりの式(I)の化合物をハロゲン化して、式(III):
【化19】


(式中、Xは、I、Br、ClまたはFである)
の化合物を得る工程をさらに含む、請求項2または4のいずれか記載の方法。
【請求項10】
式IV’:
【化20】


の化合物を式IIIの化合物でアシル化して、式IV:
【化21】


の化合物を得る工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
式IVの化合物を還元して、式V:
【化22】


の化合物を得る工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
式Vの化合物をRC(O)X’(式中、X’は、I、Br、ClまたはFであり、Rは、(C〜C)アルキルである)でアシル化して、式VI:
【化23】


の化合物を得る工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
式(I’):
【化24】


の化合物の生成を含む、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートの製造方法であって、式(II):
【化25】


(式中、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルである)
のシクロヘキサンカルボン酸エステル誘導体を、リチウム二級アミドの存在下に、アルキル化剤と反応させることを含む方法。
【請求項14】
が、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
式(I’):
【化26】


(式中、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルである)
の化合物。
【請求項16】
が、エチル、プロピル、イソプロピルまたはt−ブチルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
が、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
本明細書に記載の発明。

【公表番号】特表2011−524399(P2011−524399A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513985(P2011−513985)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056993
【国際公開番号】WO2009/153181
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】