説明

薬局用コンピュータ

【課題】レセコン機能と薬歴管理機能を備えた薬局用コンピュータにおいて両機能を有効に連携可能として高度な業務レベル・業務効率を実現できるようにする。
【解決手段】演算処理手段、記憶手段、操作・入力手段、ディスプレイによる表示手段を備えており、レセプトコンピュータ用プログラムが記憶手段に格納されて少なくとも処方・調剤内容入力機能、レセプト作成機能、会計機能を発揮可能であるとともに、薬歴管理用プログラムが記憶手段に格納されて少なくとも薬歴保存・管理機能を発揮可能とされている薬局用コンピュータにおいて、そのレセプトコンピュータ用プログラムによる機能を使用するための表示画面110と薬歴管理用プログラムによる機能を使用するための表示画面120とを1つの画面100上に並列して表示する並列表示機能を備えており、且つ、各々の機能が並列的または連携して発揮可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レセコン機能に加え薬歴管理機能を備えて薬局業務を支援するための薬局用コンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調剤薬局において患者の薬歴は紙ベースにて保存して管理していたが、近年では例えば特開2001−325360号公報等に記載されているように、コンピュータを用いて電子的に薬歴を管理する電子薬歴管理システムが普及している。この場合、データ保存性確保等の観点から、例えば特開2002−236749号公報等に記載されているようなレセコン(レセプトコンピュータ)とはハード的に独立したコンピュータに、薬歴管理プログラムを格納して実施されるのが一般的である。
【0003】
一方、小規模調剤薬局など、配置スペース、資本力、人員に余裕の少ない施設においては、上述した機能ごとに異なるコンピュータを配置することは過大な負担となりやすい。そこで、レセプトコンピュータの機能(以下「レセコン機能」という)に所定レベル以上のデータの保存性、真正性、見読正を確保した電子的薬歴管理機能を加えて、1台でもこれら両機能を発揮することのできる薬局用コンピュータも提示されている。
【0004】
しかしながら、1台で上述した両機能を発揮する薬局用コンピュータは、ソフト的に別々のレセプトコンピュータ用プログラムと薬歴管理用プログラムとが個々にインストールされているのが通常であり、互いにある程度のリンク機能はあるものの、一方の機能を使用しながら他方の機能を並列的に使用、または一方の機能を使用しながらこれに連携して他方の機能を使用しにくいものとなっている。
【0005】
そのため、例えば薬局用コンピュータの使用者である薬剤師が、顧客である患者の過去から現在に至る調剤歴・指導歴を含む薬歴を参照しながら薬におけるコスト面の観点も含んで詳細な説明・指導を行うような場合には、機能ごとに何度も表示画面を切り替える必要が生じて余分な手間と時間を要することになる。また、1台のコンピュータでは両機能による表示内容を対比しながら判断及び説明を行えないことから、患者サービスを含む業務レベルの観点からは未だ不充分であり、業務効率全体としても改善の余地があると言わざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−325360号公報
【特許文献2】特開2002−236749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、レセコン機能と薬歴管理機能を備えた薬局用コンピュータにおいて、両機能を有効に連携可能として、より高度な業務レベル・業務効率を実現できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、演算処理手段、記憶手段、操作・入力手段、ディスプレイによる表示手段を備えており、レセプトコンピュータ用プログラムが記憶手段に格納されて少なくとも処方・調剤内容入力機能、レセプト作成機能、会計機能を発揮可能であるとともに、薬歴管理用プログラムが記憶手段に格納されて少なくとも薬歴保存・管理機能を発揮可能とされている薬局用コンピュータにおいて、そのレセプトコンピュータ用プログラムによる機能を使用するための画面と薬歴管理用プログラムによる機能を使用するための画面とを1つのディスプレイ上に並列して表示する並列表示機能を備えており、且つ、各々の機能が並列的または連携して発揮可能としたことを特徴とした。
【0009】
このように、レセコン機能を使用するための画面と薬歴管理機能を使用するための画面を1つのディスプレイ上に並列表示可能とし、各画面上の操作等で各々の機能を並列的又は連携して発揮可能としたことにより、必要に応じて2つの画面を並べて対比・参照しながら患者に説明・指導を行うなど、両機能を有機的に連携させで活用できることに加え、機能及び画面を切り替えるための手間と時間を大きく削減できるようになる。
【0010】
また、この並列表示機能を使用する場合に、レセプトコンピュータ用プログラムによる画面と薬歴管理用プログラムによる画面とが、選択した同一患者に関するものについて自動的に並列表示され、且つ、使用者が所望する種類又は日付の少なくとも一方による画面を選択して表示可能とすれば、操作手順が省略されて一層業務効率に優れたものとなる。
【0011】
さらに、上述した薬局用コンピュータにおいて、その薬歴管理用プログラムは薬歴保存・管理機能に加え調剤録保存・管理機能及び指導歴保存・管理機能を発揮可能とした場合には、一層省スペース化、省力化、効率化が実現されやすいものとなる。
【発明の効果】
【0012】
レセコン機能による画面と薬歴管理機能による画面とを1つのディスプレイ上に並列表示可能とした本発明によると、両機能を有効に連携させながら活用可能として、より高度な業務レベル・業務効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明における実施の形態の薬局用コンピュータの機能ブロック図である。
【図2】図1の薬局用コンピュータの機能を説明するためのディスプレイの画面である。
【図3】図1の薬局用コンピュータの機能を説明するためのディスプレイの画面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態である薬局用コンピュータの機能ブロック図を示している。この薬局用コンピュータは、保険調剤薬局においてその業務を多面的に支援することを目的としたものであり、CPUによる演算処理手段、ハードディスクによる記憶手段、キーボード等による入力・操作手段、ディスプレイによる表示手段を備えた汎用パーソナルコンピュータに、後述するレセプトコンピュータ用プログラムがインストールされたもの(レセコン)に、薬歴管理用プログラムをインストールして電子薬歴管理機能を付加してなる。
【0016】
この薬局用コンピュータは、その中枢をなす制御部2がレセコン用データベース4と薬歴管理用データベース5に接続されており、使用者がキーボードやバーコード読み取り手段等による入力・操作部6を介して制御部10に指令を送ることにより、1台で後述するレセコン機能及び薬歴管理機能を発揮するようになっており、これらの機能は、主としてディスプレイによる表示部10に表示された画面上でのアイコンのクリックや文字の入力等による操作を介して実現される。
【0017】
尚、前述した制御部2、レセコン用データベース4、薬歴管理用データベース5はハードとして設けられたものではなく、コンピュータの記憶手段にインストールされた前記各プログラムにより機能的に実現されるものである。また、以上の構成部分は従来例にも共通した周知のものである。
【0018】
そして、本発明の薬局用コンピュータにおいては、レセプトコンピュータ用プログラムによる機能を使用するための画面と、薬歴管理用プログラムによる機能を使用するための画面とを、その表示部10において左右に並列的に表示可能とする並列表示機能を備えており、且つ、その状態で各々の機能が並列的に発揮可能とされている点が特徴となっている。
【0019】
このような構成としたことにより、必要に応じてレセコン機能による画面と電子的な薬歴管理機能による画面とを左右に並べて参照しながら、使用者である薬剤師が患者指導を行うなど、両機能を連携させながら充分に活用することができ、他方を参照する度に機能及び画面を切り替える手間と時間を要しないものとなっている。
【0020】
また、この並列表示機能を使用する場合は、そのレセプトコンピュータ用プログラムによる画面と薬歴管理用プログラムによる画面とが、選択した同一患者に関するものについて自動的に並列表示され、且つ、使用者が所望する種類の項目・レイアウトによる画面、所望する日付の内容による画面を、適宜選択して表示可能となっている。これにより、例えば所定の患者について、この左右の画面の組み合わせを日付順やデータ内容順に連続的に表示して参照することも可能とされており、さらなる業務の高度化・効率化を実現しやすくなっている。
【0021】
さらに、上述したレセコン機能には、保険請求のためのレセプト作成、処方・調剤内容の入力、窓口会計の計算等の基本機能のほか、投薬の重複・禁忌・相互作用のチェック(承認)、領収書の発行、薬剤の在庫管理、インターネット回線を使用した電子請求等の機能を含むことが想定されるが、本発明においては、レセコン機能側で入力した処方・調剤内容等のデータは、薬歴管理機能側にリンクされて自動的に更新・保存されるようになっている。
【0022】
一方、上述した薬歴管理機能には、薬歴の保存・管理の基本機能のほか、調剤記録保存・管理、患者に対する指導歴保存・管理の付加機能も含まれており、従来は紙ベースで保存していた前記内容についてもペーパーレス化が進むことに加え、患者の情報管理及び指導業務において、さらなる効率化・高度化が実現しやすい。
【0023】
図2は、本実施の形態によるディスプレイの表示画面の一例を示すものである。この画面100は、最上部に患者の基礎データを表示した横長の患者基礎データ部130が表示され、最下部には左右方向に各種操作用のアイコンが並んだ横長のアイコン操作部140が表示されており、その間のスペースにおいて左側がレセコン機能による表示画面部110とされ、右側が薬歴管理機能による表示画面部120とされて、両者が並列表示されている。
【0024】
この例では、レセコン機能による表示画面部110には、選択されて患者基礎データ部130に表示された患者(山田太郎)についての会計画面111が表示されており、薬歴管理機能による表示画面部120には同患者に対し服薬指導をする際に参照するための服薬指導画面121が表示されている。
【0025】
これらの画面は、初期画面において所定の操作で患者を選択した後、アイコン操作部140において会計画面111を表示するためのアイコンを押すとともに服薬指導画面121を表示するためのアイコンを押すことにより自動的に同患者のものが並列表示され、左右に並んだ表示画面部110,120において、そのレセコン機能及び薬歴管理機能が各々並列的且つ連携して実現される。
【0026】
或いは、例えば同患者の会計時に会計画面111のみがディスプレイの左右に亘って表示された状態から、服薬指導画面121を表示するためのアイコンを押すことにより両者が並列表示されるものとしてもよく、逆に、服薬指導画面121のみ表示している状態から会計画面111を表示するためのアイコンを押しても同様に表示されるものとしてもよい。
【0027】
また、左右の会計画面111、服薬指導画面121は、さらに複数種類の項目(データの種類・構成)による画面が各々表示可能であるとともに、所望の日付や所望の期間の内容としたものが連続的に表示できるようになっている。例えば、図の服薬指導画面121には、服薬指導において必要な各種情報を表示させるためのデータ表示用アイコン部121aが設けられて、各項目による各種データを表示して確認できることに加え、各種検索を行うための検索部121cも付設されている。
【0028】
このような構成としたことにより、使用者である薬剤師が、例えば薬剤・調剤点数表示部111a等のレセコン機能による情報と、薬歴表示部121bによる情報とを対比することにより患者に対してさらに詳細で的確な服薬指導を行うなど、レセコン機能による画面と薬歴管理機能による画面とを並列表示させながら各々の機能を活用することにより、業務のさらなる高レベル化、効率化が期待できるものである。
【0029】
図3は、本実施の形態によるディスプレイ表示画面の他の一例を示すものであり、左側のレセコン機能による表示画面部110は図2のままであるが、右側の薬歴管理機能による表示画面部120が、前述した服薬指導画面121から展開されて、これとは構成及び日付が異なる薬歴画面122が表示された画面101となっている。
【0030】
この薬歴画面122には、薬歴表示部122b、処方履歴部122cに加え、最上部に薬歴管理において必要な各種情報を表示させるためのデータ表示用アイコン部122aが設けられて各項目におけるデータが容易に表示できるようになっている。このように、左右に並列配置された表示画面部110,120において、業務内容に応じて複数種類の画面から所望する種類のデータ・構成の画面を各々表示させることができ、且つ、これらにおいて所望する日付・期間の内容も表示することも可能である。
【0031】
尚、上述した実施の形態では、レセコン機能による表示画面部110と薬歴管理機能による表示画面部120を左右に並列表示する場合を説明したが、ディスプレイの形状に応じて上下に並べて表示可能としてもよく、また必要に応じて一方の画面のみを表示させた状態と、両方を並べて表示させた状態との間で、簡易な操作で切り替え可能としても良い。
【0032】
以上、述べたように、レセコン機能と電子薬歴管理機能を備えた薬局用コンピュータにおいて、両機能を有効に連携可能としてより高い業務レベル・業務効率を実現できるようになった。
【符号の説明】
【0033】
2 制御部、4 レセコン用データベース、5 薬歴管理用データベース、6 入力・操作部、10 表示部、100,101 画面、110,120 表示画面部、111 会計画面、121 服薬指導画面、122 薬歴画面、130 患者基礎データ部、140 アイコン操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算処理手段、記憶手段、操作・入力手段、ディスプレイによる表示手段を備えており、レセプトコンピュータ用プログラムが前記記憶手段に格納されて少なくとも処方・調剤内容入力機能、レセプト作成機能、会計機能を発揮可能であるとともに、薬歴管理用プログラムが前記記憶手段に格納されて少なくとも薬歴保存・管理機能を発揮可能とされている薬局用コンピュータにおいて、前記レセプトコンピュータ用プログラムによる機能を使用するための画面と前記薬歴管理用プログラムによる機能を使用するための画面とを1つの前記ディスプレイ上に並列して表示する並列表示機能を備えており、且つ、各々の前記機能が並列的または連携して発揮可能としたことを特徴とする薬局用コンピュータ。
【請求項2】
前記並列表示機能を使用する場合に、前記レセプトコンピュータ用プログラムによる画面と前記薬歴管理用プログラムによる画面とが、選択した同一患者に関するものについて自動的に並列表示され、且つ、使用者が所望する種類又は日付の少なくとも一方による画面を選択して表示可能としたことを特徴する請求項1に記載した薬局用コンピュータ。
【請求項3】
前記薬歴管理用プログラムは、前記薬歴保存・管理機能に加え調剤録保存・管理機能及び指導歴保存・管理機能を発揮可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載した薬局用コンピュータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−118535(P2011−118535A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273678(P2009−273678)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(596079138)東日本メディコム株式会社 (19)