説明

薬液タンク

【課題】簡易な構成で且つ容易にストレーナをタンク本体内に設置することができる薬液タンクを提供する。
【解決手段】薬液を貯留するタンク本体6と、薬液をポンプに供給するためにタンク本体6内に進入するホース7のその先端に設けられ、薬液を濾過するためのストレーナ8とを備える薬液タンク1において、タンク本体6の底部に、ストレーナ8を配置するための第1水溜部23を設け、第1水溜部23を、ストレーナ8の外形形状に合わせた形状とすると共に、第1水溜部23の内面に、ストレーナ8の上下方向の移動を規制する凸部24a,24bを設けることで、ストレーナ8を第1水溜部23に配置することによりストレーナ8の水平方向及び上下方向の移動を規制し、ブランケットやステー等の係止部材を用いなくとも簡易な構成で且つ容易にストレーナ8をタンク本体6内に設置可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプに供給する薬液を貯留するための薬液タンクであって、薬液を貯留するタンク本体と、薬液をポンプに供給するためにタンク本体内に進入するホースとを備えた薬液タンクが知られている(例えば、特許文献1参照)。この薬液タンクにあっては、底面に一対のリブが上方に凸となるように設けられ、このリブに挟まれた底面に最下点となる窪み部を設けると共に、ホースの先端をはめ込み吸入口を浮上支持するための吸管狭持溝を設けることで、ホースの吸入口が底部や側面に吸い付くことを防止すると共に、タンク本体内に残液を残すことなくポンプへ吸い込むことができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3635323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の従来の薬液タンクのように、ポンプに供給する薬液を貯留する薬液タンクにあっては、薬液をポンプに供給するホースの先端に、薬液を濾過するためのストレーナ(濾過装置)が一般的に取り付けられる。このストレーナがホースに取り付けられた場合には、例えばタンク本体内に設けられた液面を検知するための液面センサとの干渉等といった問題を生じるおそれがある。そこで、ストレーナをタンク本体内に設置することが必要となるが、上記従来の薬液タンクにあっては、ホースが上下方向に移動してしまいストレーナが液面センサと干渉するおそれがあり、従って、ブラケットやステー等の係止部材が必要となる。この場合、タンク本体内の構成が複雑になると共に、タンク本体内におけるストレーナの設置が面倒になるといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、簡易な構成で且つ容易にストレーナをタンク本体内に設置することができる薬液タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による薬液タンク(1)は、ポンプ(20)に供給する薬液を貯留するための薬液タンク(1)であって、薬液を貯留するタンク本体(6)と、薬液をポンプ(20)に供給するためにタンク本体(6)内に進入するホース(7)のその先端に設けられ、薬液を濾過するためのストレーナ(8)とを備えた薬液タンク(1)において、タンク本体(6)の底部(22)には、ストレーナ(8)を配置するための第1水溜部(23)が設けられており、第1水溜部(23)は、ストレーナ(8)の外形形状に合わせた形状とされ、第1水溜部(23)の内面には、ストレーナ(8)の上下方向の移動を規制する凸部(24a,24b)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この薬液タンク(1)によれば、タンク本体(6)の底部(22)には、ストレーナ(8)を配置するための第1水溜部(23)が設けられており、第1水溜部(23)は、ストレーナ(8)の外形形状に合わせた形状であると共に、その内面には、ストレーナ(8)の上下方向の移動を規制する凸部(24a,24b)が設けられているので、ストレーナ(8)を第1水溜部(23)に配置することによって、ストレーナ(8)の外形形状に合わせた第1水溜部(23)によりストレーナ(8)の水平方向の移動が規制されると共に、第1水溜部(23)内面の凸部(24a,24b)によりストレーナ(8)の上下方向の移動が規制される。このため、ブラケットやステー等の係止部材を用いなくとも簡易な構成で且つ容易にストレーナ(8)をタンク本体(6)内に設置することができる。
【0008】
ここで、タンク本体(6)の底部(22)には、薬液の液面を検知する液面センサ(9)を取り付けるための第2水溜部(25)が第1水溜部(23)に隣接し第1水溜部(23)に連通するように設けられていることが好ましい。このような構成を採用した場合、第1水溜部(23)においてストレーナ(8)の上下方向及び水平方向の移動が規制されているので、ストレーナ(8)と液面センサ(9)との干渉を防止することができる。
【0009】
また、液面センサ(9)は、第2水溜部(25)においてホース(7)から離れた位置に取り付けられていることが好ましい。このような構成を採用した場合、ホース(7)と液面センサ(9)との干渉を防止することができる。
【0010】
また、第1水溜部(23)と第2水溜部(25)との間は、ストレーナ(8)の外径寸法よりも幅寸法の小さい連通口(26)により連通されていることが好ましい。このような構成を採用した場合、連通口(26)の幅寸法がストレーナ(8)の外径寸法よりも小さいので、簡易な構成でストレーナ(8)が第1水溜部(23)から第2水溜部(25)に移動することをより確実に防止できる。
【0011】
また、タンク本体(6)は、前輪(16)及び後輪(17)により移動可能とされた台車(2)に搭載され、第1水溜部(23)は、タンク本体(6)内の薬液を排出するための排出口(11)と連通するように設けられており、排出口(11)、第1水溜部(23)及び第2水溜部(25)は、タンク本体(6)の前部で、且つ前輪(16)の車軸(18)の前方に設けられていることが好ましい。このような構成を採用した場合、排出口(11)から薬液を排出する際にこれより後側にある車軸(18)が邪魔にならないため、作業性を確保することができる。また、車軸(18)に対応する高さ位置まで薬液が入り、台車(2)の重心を低位置に設定でき安定化が図られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成で且つ容易にストレーナを設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る薬液タンクを搭載した散布装置を示す側面図である。
【図2】図1に示す薬液タンクの側面図である。
【図3】図2中の水溜部の内側を示す断面平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る薬液タンクの好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る薬液タンクを搭載した散布装置を示す側面図、図2は、図1に示す薬液タンクの側面図、図3は、図2中の水溜部の内側を示す断面平面図、図4は、図3におけるIV−IV矢視図である。
【0015】
図1に示すように、散布装置100は、薬液を貯留するための薬液タンク1と、この薬液タンク1を搭載し、移動可能な台車2と、薬液を薬液タンク1から送り出すためのポンプセット3と、薬液を散布する散布用ホース4を巻き取るためのホースリール5とを備えている。ポンプセット3及びホースリール5は、台車2に支持されて薬液タンク1の上方に配置されている。
【0016】
図1〜図4に示すように、薬液タンク1は、タンク本体6と、図3及び図4に示すように、ホース7と、ストレーナ8と、液面センサ9とを備えている。
【0017】
タンク本体6は、薬液を貯留する部分であり、このタンク本体6には、図1及び図2に示すように、当該タンク本体6に薬液を投入するための投入口10と、タンク本体6内の薬液やタンク本体6内洗浄時の水を排出するための排出口(ドレン口)11とが設けられている。投入口10は、前側上部に設けられ、この投入口10には、当該投入口10を塞ぐための蓋12が着脱可能に取り付けられている。また、排出口11は、前側下部に設けられ、この排出口11には、蓋13が着脱可能に取り付けられている。
【0018】
図3及び図4に示すホース7は、タンク本体6内の薬液をポンプセット3に供給するためのものであり、その大部分がタンク本体6内に進入している。このホース7の一端は、タンク本体6から外部へ延出し、タンク本体6の上方に配置されたポンプセット3のポンプ20(後述)の吸入口に接続され、ホース7の他端は、タンク本体6内においてストレーナ8に接続されている。
【0019】
ストレーナ8は、タンク本体6内の薬液をポンプ20に供給する際、薬液中に含まれる異物(粗ゴミ等)を濾過するための装置であり、濾過部分14と筒状部分15とから構成されている。濾過部分14は、外形が円形状を成しており、内部に異物を捕捉するためのメッシュ(図示しない)等を備えている。筒状部分15は、濾過部分14とホース7とを接続するためのものであり、濾過部分14のメッシュを通過し濾過された薬液をホース7へ供給する。
【0020】
液面センサ9は、フロート式のセンサであり、タンク本体6内の薬液の残量を検知(感知)するためのものである。
【0021】
また、台車2は、図1に示すように、薬液タンク1、ポンプセット3及びホースリール5を搭載し、且つ移動するためのものであり、フレーム構造となっている。この台車2には、当該台車2を移動可能にするための一対の前輪16及び一対の後輪(キャスタ)17が回転自在に取り付けられている。一対の前輪16は、車軸18を介して台車2に取り付けられている。また、台車2には、作業者に把持されるハンドル19が設けられている。
【0022】
ポンプセット3は、上記のポンプ20を含んで構成されている。このポンプ20は、ポンプ作用を行うもので、原動機やバッテリ(図示しない)等を覆うカバー21の側面より突出するように設けられており、前述したように、その吸入口がタンク本体6内に進入するホース7の一端に接続されている。ポンプ20は、タンク本体6から薬液をポンプ20の排出口に送り出し、この排出口に接続された散布用ホース4に排出する。
【0023】
ホースリール5は、散布用ホース4の巻き取り及び繰り出しを行うもので、台車2に対して回転自在に搭載されている。このホースリール5は、台車2のハンドル19に設けられたホースガイド(図示しない)を介して散布用ホース4の巻き取り及び繰り出しを行う。
【0024】
ここで、特に本実施形態においては、図1〜図4に示すように、タンク本体6の底部22に、ストレーナ8を配置するための第1水溜部23が設けられている。この第1水溜部23は、タンク本体6の底部22の前部から下方に突設されている。第1水溜部23は、図3及び図4に示すように、ストレーナ8(濾過部分14)の外形形状に合わせた形状、すなわち内外面が断面円形の円筒状を有しており、その内面は、ストレーナ8が挿入可能な径となっている。
【0025】
また、水溜部23の入口部分の内面には、ストレーナ8の上下方向の移動を規制する一対の凸部24a,24bが対向して設けられている。そして、ストレーナ8は、このストレーナ8の外形形状に合わせた第1水溜部23により水平方向の移動が規制されると共に、第1水溜部23内面の凸部24a,24bにより上下方向の移動が規制され、タンク本体6内に固定支持(設置)される。なお、ストレーナ8は、濾過部分14が凸部24a,24bに干渉しないように、図3中のIV−IV線方向(図示左右方向)に傾けながら第1水溜部23に挿入され、元に戻すことで凸部24a,24bにより上下方向の移動が規制される。
【0026】
この第1水溜部23は、排出口11と連通している。具体的には、排出口11は、第1水溜部23の前側(図示左側)において、第1水溜部23の前面部分から下方に傾斜して設けられている。これにより、第1水溜部23の残液を排出することができる。
【0027】
また、特に本実施形態においては、タンク本体6の底部22に、薬液の液面を検知する液面センサ9を取り付けるための第2水溜部25が第1水溜部23に隣接しこの第1水溜部23に連通するように設けられている。
【0028】
具体的には、第2水溜部25は、第1水溜部23と同様にタンク本体6の底部22の下方に突出し、第1水溜部23の後側(図示右側)に隣接すると共に、この第1水溜部23と連通口26を介して連通するように設けられている。連通口26は、第1水溜部23の外径寸法よりも幅寸法が小さくなっている。第2水溜部25は、平面視において略長方形とされ、その長手方向が、台車2の幅方向となるように配置される。そして、その両端部に、液面センサ9を取り付けるためのセンサ取付部27a,27bを備えている。本実施形態では、図3における上側のセンサ取付部27aに液面センサ9が取り付けられている。このような構成により、図3に示すように、ホース7の配置方向(図示左右方向)と、第2水溜部25の2つのセンサ取付部27a,27bとを結ぶ直線方向(図示上下方向)とが直交することになり、ホース7と液面センサ9とが離間して配置されることになる。
【0029】
また、図4に示すように、上記の第1水溜部23の底部28は、第2水溜部25の底部29と同じ高さとなるように設けられている。そして、第1水溜部23と第2水溜部25を連通させる連通口26も、第1水溜部23及び第2水溜部25の底部28,29と同じ高さとなっている。つまり、第1水溜部23及び第2水溜部25の底部28,29と連通口26とは、面一となっている。これにより、液面センサ9が第2水溜部25において薬液の残量0を検知するときと、第1水溜部23においてポンプ20への薬液の供給が不能となるときとが一致するようになる。
【0030】
以上のように、排出口11、第1水溜部23及び第2水溜部25は、タンク本体6の前側下部に設けられている。そして、更に排出口11、第1水溜部23及び第2水溜部25は、図1に示すように、前輪16の車軸18の前方に設けられている。
【0031】
このように、本実施形態にあっては、タンク本体6の底部22に、ストレーナ8を配置するための第1水溜部23が設けられており、この第1水溜部23は、ストレーナ8の外形形状に合わせた形状であると共に、その内面には、ストレーナ8の上下方向の移動を規制する凸部24a,24bが設けられているので、ストレーナ8を第1水溜部23に配置することによって、ストレーナ8の外形形状に合わせた第1水溜部23によりストレーナ8の水平方向の移動が規制されると共に、第1水溜部23内面の凸部24a,24bによりストレーナ8の上下方向の移動が規制される。このため、ブランケットやステー等の係止部材を用いなくとも簡易な構成で且つ容易にストレーナ8をタンク本体6内に設置することができる。
【0032】
また、タンク本体6の底部22には、薬液の液面を検知する液面センサ9を取り付けるための第2水溜部25が第1水溜部23に隣接し第1水溜部23に連通するように設けられているので、第1水溜部23において上下方向及び水平方向の移動が規制されているストレーナ8と液面センサ9との干渉を防止することができる。
【0033】
また、液面センサ9は、第2水溜部25においてホース7から離れた位置に取り付けられているので、ホース7と液面センサ9との干渉を防止することができる。
【0034】
また、第1水溜部23と第2水溜部25との間は、ストレーナ8の外径寸法よりも幅寸法の小さい連通口26により連通されているので、簡易な構成でストレーナ8が第1水溜部23から第2水溜部25に移動することをより確実に防止できる。
【0035】
また、タンク本体6は、前輪16及び後輪17により移動可能とされた台車2に搭載され、第1水溜部23は、タンク本体6内の薬液を排出するための排出口11と連通するように設けられており、排出口11、第1水溜部23及び第2水溜部25は、タンク本体6の前部で、且つ前輪16の車軸18の前方に設けられているため、排出口11から薬液を排出する際にこれより後側にある車軸18が邪魔にならず、作業性を確保することができる。更に、車軸18に対応する高さ位置まで薬液が入り、台車2の重心を低位置に設定でき安定化を図ることができる。
【0036】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、第1水溜部23を断面円形状としたが、要はストレーナ8の外形形状に合わせた形状であればよい。
【符号の説明】
【0037】
1…薬液タンク、2…台車、6…タンク本体、7…ホース、8…ストレーナ、9…液面センサ、11…排出口、16…前輪、17…後輪、18…車軸、20…ポンプ、22…底部、23…第1水溜部、24a,24b…凸部、25…第2水溜部、26…連通口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ(20)に供給する薬液を貯留するための薬液タンク(1)であって、前記薬液を貯留するタンク本体(6)と、前記薬液を前記ポンプ(20)に供給するために前記タンク本体(6)内に進入するホース(7)のその先端に設けられ、前記薬液を濾過するためのストレーナ(8)とを備えた薬液タンク(1)において、
前記タンク本体(6)の底部(22)には、前記ストレーナ(8)を配置するための第1水溜部(23)が設けられており、
前記第1水溜部(23)は、前記ストレーナ(8)の外形形状に合わせた形状とされ、
前記第1水溜部(23)の内面には、前記ストレーナ(8)の上下方向の移動を規制する凸部(24a,24b)が設けられていることを特徴とする薬液タンク(1)。
【請求項2】
前記タンク本体(6)の底部(22)には、前記薬液の液面を検知する液面センサ(9)を取り付けるための第2水溜部(25)が前記第1水溜部(23)に隣接し当該第1水溜部(23)に連通するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の薬液タンク(1)。
【請求項3】
前記液面センサ(9)は、前記第2水溜部(25)において前記ホース(7)から離れた位置に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の薬液タンク(1)。
【請求項4】
前記第1水溜部(23)と前記第2水溜部(25)との間は、前記ストレーナ(8)の外径寸法よりも幅寸法の小さい連通口(26)により連通されていることを特徴とする請求項2又は3記載の薬液タンク(1)。
【請求項5】
前記タンク本体(6)は、前輪(16)及び後輪(17)により移動可能とされた台車(2)に搭載され、
前記第1水溜部(23)は、前記タンク本体(6)内の前記薬液を排出するための排出口(11)と連通するように設けられており、
前記排出口(11)、前記第1水溜部(23)及び前記第2水溜部(25)は、前記タンク本体(6)の前部で、且つ前輪(16)の車軸(18)の前方に設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載の薬液タンク(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−168081(P2010−168081A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13174(P2009−13174)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】