薬液供給装置
【課題】薬液容器と支持体との嵌合部分から内部に水が浸入した場合でも、緩衝室内に水が浸入するのをできる限り抑制することができる薬液供給装置を提供する。
【解決手段】内部に薬液が収容される薬液容器2と、上部に開口を有するカップ状の支持体3とを備え、支持3体に薬液容器2を嵌め合わせることで組み立てられる薬液供給装置1において、支持体3は、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから内部に浸入する水を内壁面に沿って下方に流す誘導手段10を備えている。誘導手段10は、支持体3の内壁面に設けられた下方に延びる複数の溝11によって構成される。
【解決手段】内部に薬液が収容される薬液容器2と、上部に開口を有するカップ状の支持体3とを備え、支持3体に薬液容器2を嵌め合わせることで組み立てられる薬液供給装置1において、支持体3は、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから内部に浸入する水を内壁面に沿って下方に流す誘導手段10を備えている。誘導手段10は、支持体3の内壁面に設けられた下方に延びる複数の溝11によって構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断続的に流下する水などの液体に薬液を供給する薬液供給装置に関し、例えば、水洗トイレの貯水タンク上部に設けられた手洗い用の給水受皿に設置され、あるいは、便器のリムに取り付けられて、芳香、消臭、洗浄のための薬液を水洗用の水に供給する薬液供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の薬液供給装置としては、例えば、図19〜図21の例、あるいは、図22〜図24の例に示すように、薬液を収容する薬液容器100と、薬液容器100を支持するカップ状の支持体101とを備え、支持体101の下部に設けられた案内部材102が貯水タンクに流入する水と接触するように、貯水タンク上部の給水受皿に設置されるタイプのものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
支持体101は、支持体101内に着脱可能に取り付けられるカバー部材105を備えており、カバー部材105は、薬液容器100の排出口に接続される排出部材103を備えている。薬液容器100内の薬液は、排出部材103の接続部110から細管部111を通じて、下端の流通孔104から案内部材102に供給される。また、支持体101には、薬液容器100から排出される薬液の量を調整する調整機構112が設けられている。この調整機構112は、水との接触などにより薬液容器100の温度が変動したときに、容器の内圧が変化しても、薬液容器100から案内部材102への薬液の余分な流出やその逆流が生じるのを防止するものであり、支持体101とカバー部材105との間に区画形成された薬液を貯留可能な緩衝室106と、緩衝室106に空気を流入可能な空気流通孔107と、緩衝室106および排出部材103を連通させる連通孔108とを備えている。
【0004】
上記構成の薬液供給装置は、次のように作用する。すなわち、温度が上昇し、薬液容器100内の圧力が上昇した場合には、薬液容器100内の薬液は、連通孔108から流れ出して緩衝室106内に流入する。一方、温度が低下し、薬液容器100内の圧力が低下すると、緩衝室106内の薬液が連通孔108を介して薬液容器100内へ引き戻される。このような作用により、温度変化の繰り返しがあっても、薬液が無駄に薬液供給装置から流出するのを防止できる。特に、薬液容器100の温度変化は、室温の変化および給水受皿へ供給される流水との接触の双方で生じるので、これによる薬液の無駄な流出を防止することは、薬液の安定供給を可能にする上で重要である。このように、上記構成の薬液供給装置は、緩衝室106を設けることにより、薬液の余分な流出が防止され、その結果、薬液容器100から薬液を正確な量で排出することが可能となって、安定供給を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−300861号公報
【特許文献2】特開2006−283540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成の薬液供給装置は、薬液容器100を支持体101に嵌合して組み立てた後、給水受皿上の給水管の下方に配置されて使用される。ここで、使用時において、給水管から薬液容器100上に水が落下すると、水の一部が薬液容器100の表面に沿って流れ落ちて薬液容器100と支持体101との嵌合部分Tまで伝わる結果、この嵌合部分Tに不可避的に生じる隙間から水が支持体101内に浸入するおそれがある。支持体101内に水が浸入すると、水の一部が薬液容器100の下端面を伝って支持体101の中央部付近の緩衝室106上まで伝わった後、落下するため、流れ落ちた水が緩衝室106の上部の空気流通孔107から緩衝室106内に浸入するおそれがある。緩衝室106内に水が浸入すると、その水によって緩衝室106内の薬液が薄められ、薄められた薬液が温度変化により薬液容器100内に吸収される結果、薬液容器100内の薬液まで希釈されることになる。これでは、適正な薬液量による薬効が妨げられるばかりか、薬液によっては本来の粘度が低下し、薬液容器100の排出口から過剰に流出して安定供給を損ねることもある。
【0007】
このような問題は、貯水タンク上部の給水受皿に設置されるタイプのみならず、便器のリムに取り付けられるタイプの薬液供給装置においても起こりうる問題である。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、薬液容器と支持体との嵌合部分から内部に水が浸入した場合でも、緩衝室内に水が浸入するのをできる限り抑制して薬液が薄められるのを防止することができ、安定して薬液を供給することができる薬液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、内部に薬液が収容される薬液容器と、上部に開口を有するカップ状の支持体とを備え、前記支持体に前記薬液容器を嵌め合わせることで組み立てられる薬液供給装置において、前記支持体は、前記薬液容器および前記支持体の嵌合部分から内部に浸入する水を内壁面に沿って下方に流す誘導手段を備えている薬液供給装置によって達成される。
【0010】
上記構成の薬液供給装置において、断続的に流下する水などの流体の一部が薬液容器上に落下すると、薬液容器の表面に沿って流れ落ちて薬液容器と支持体との嵌合部分まで伝わり、この嵌合部分に不可避的に生じる隙間から流体が支持体内に浸入するおそれがある。しかしながら、上記構成の薬液供給装置では、前記嵌合部分から浸入した水を、支持体の内壁面に沿って下方へ流れるように誘導する誘導手段を備えているため、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。よって、緩衝室内に水が浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる結果、薬液の戻りによる薬液容器内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた下方に延びる複数の溝によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、薬液容器および支持体の嵌合部分から内部に浸入する水は、溝の毛管作用により支持体の内壁面に導かれて下方へ流れるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0012】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた微細な凹凸部によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、支持体の内壁面に多数の微細な凹凸を設けることで、支持体の内壁面の表面積が増大して、支持体の内壁面の水との接触面積が大きくなる。よって、水が薄い膜状に押し広げられ、支持体の内壁面の水の濡れ性が向上して親水化することで、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、薬液容器の下端面よりも支持体の内壁面に導かれる。その結果、水が支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0013】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、表面に親水性を付与する親水処理剤が塗布された前記支持体の内壁面、あるいは、前記親水処理剤を含有する樹脂材料で成形された前記支持体の内壁面によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、支持体の内壁面を親水処理剤により処理して、支持体の内壁面と水との接触角を低下させることで、水が薄い膜状に押し広げられ、支持体の内壁面の水の濡れ性が向上して親水化するため、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、薬液容器の下端面よりも支持体の内壁面に導かれる。その結果、水が支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0014】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、前記支持体の内壁面と所定間隔をあけて設けられ、前記薬液容器の下端面を伝って内方へ移動する水を遮断する遮断壁によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、遮断壁によって薬液容器の下端面に伝わることが遮断されるので、当該水は支持体の内壁面に伝わり、そして、支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0015】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、合成樹脂粉末の焼結体で成形された前記支持体の内壁面によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、支持体が高い保水性を有する焼結体で成形されているので、支持体が水の吸い込み機能を発揮するため、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、薬液容器の下端面に伝わらずに、支持体の内壁面に一旦、保持される。そして、保持された水が支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記支持体は、前記支持体の内壁面に沿って下方に流れる水を外部に排出する開口を備えていることを特徴としている。この実施態様によると、前記嵌合部分から浸入し、支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちた水を支持体外に排出することができる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記薬液供給装置が、水洗トイレの便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに備え、前記薬液容器から排出される薬液を、前記便器内に直接供給する、または、水洗時に前記便器内に供給される流水によりさらうことで前記便器内に供給するように構成された薬液供給装置であることを特徴としている。
【0018】
本発明のさらに好ましい他の実施態様においては、前記薬液供給装置が、前記支持体が水洗トイレの貯水タンク上部の給水受皿に配置され、前記薬液容器から排出される薬液を、前記貯水タンク内に直接供給する、または、水洗時に前記給水受皿に供給される流水によりさらうことで前記貯水タンク内に供給するように構成された薬液供給装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の薬液供給装置によると、薬液容器と支持体との嵌合部分から内部に水などの流体が浸入した場合でも、緩衝室内に浸入する流体の量を抑制して薬液が薄められるのを防止することができ、安定して薬液を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る薬液供給装置の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の薬液供給装置の分解図である。
【図4】図1の薬液供給装置のカバー部材と支持体の分解斜視図である。
【図5】図4の支持体の平面図である。
【図6】図4の支持体の底面図である。
【図7】図4の支持体の断面図である。
【図8】図4のカバー部材の斜め下方向からの斜視図である。
【図9】図4のカバー部材の平面図である
【図10】図4のカバー部材の断面図である。
【図11】図4のカバー部材を装着した支持体の断面図である。
【図12】誘導手段の変形例を示す支持体の断面図である。
【図13】他の実施形態に係る薬液供給装置の正面図である。
【図14】図13の薬液供給装置の分解図である。
【図15】図14の薬液供給装置の要部の部分断面図である。
【図16】(a)は図14の案内部材9の平面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図17】他の実施形態に係る薬液供給装置の後方から見た斜視図である。
【図18】図17の薬液供給装置の分解図である。
【図19】(a)は従来例の薬液供給装置の正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図20】図19のカバー部材と支持体の分解斜視図である。
【図21】図20のカバー部材を装着した支持体の断面図である。
【図22】(a)は従来例の薬液供給装置の正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図23】図22の薬液供給装置のカバー部材と支持体の分解斜視図である。
【図24】図23のカバー部材を装着した支持体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実態の形態について添付図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態である薬液供給装置1の外観を、図3は、図1および図2の薬液供給装置1を分解した状態を、それぞれ示している。なお、図示例の薬液供給装置1は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗用の給水受皿に設置されるタイプのものを例に挙げている。
【0022】
薬液供給装置1は、芳香、消臭、便器の洗浄のための薬液を収容する薬液容器2と、薬液容器2を支持するカップ状の支持体3とを備えている。支持体3は、支持体3内に着脱可能に取り付けられるカバー部材4(図4に示す)を備えている。また、支持体3は、薬液容器2内から排出される薬液を、支持体3の外部の断続的に流れる液体と接触する位置へ案内する案内部材5を備えている。この薬液供給装置1は、支持体3の案内部材5および長脚部36が給水受皿の排水口(図示せず)に挿入されるようにして設置される。
【0023】
薬液容器2は、薬液を収容可能な薬液収納部20を備え、薬液収納部20の端面(図3では下端面)には、薬液を排出するための排出口21が設けられている。薬液容器2は、一部または全体が透明または半透明の材料で構成され、外部から薬液の残量が確認できる。排出口21には、キャップ22が被せられている。
【0024】
支持体3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製であり、図3〜図7に示すように、上部に開口を有し、平面視において略楕円形状に形成されている。支持体3は、底面部30と側面部31とを備えており、側面部31上端の上部開口縁に薬液収納部20の凹んだ一端部23(図3では下端部)が嵌め合わされるようになっている。
【0025】
底面部30の下面には、2本の長脚部36と、長脚部36の周囲に配置された4本の短脚部38とが立設されている。長脚部36は給水受皿の排水口に挿入可能である。短脚部38は長脚部36が排水口に挿入された状態で、支持体3を給水受皿上にほぼ水平に支持する。底面部30の上面には、後述するカバー部材4の周壁(以下、本実施形態では「内側壁」という。)41の外側に嵌合する略矩形枠状の周壁(以下、本実施形態では「外側壁」という。)32が設けられている。
【0026】
カバー部材4は、図4、図8〜図10に示すように、下端が開放された箱状に形成されており、平面視略矩形状の上面部40と、上面部40から垂下する略矩形枠状の内側壁41とを備えている。内側壁41を支持体3の外側壁32の内側に嵌合することで、カバー部材4が支持体3に装着される。上面部40は、その中央部の円形状の下段部40aと、下段部40aより高い位置にある下段部40aの周囲の上段部40bとからなる。下段部40aの中央部には、薬液容器2の排出口21に接続され、薬液容器2内の薬液を外部へ排出させる排出部材42が設けられている。
【0027】
排出部材42は、カバー部材4の下段部40aに一体形成されており、下段部40aの上面から突き出る円筒状の接続部42aと、接続部42aの下端部に設けられた、接続部42aよりも小径の円筒状の細管部42bとを備える。接続部42aは、薬液容器2の排出口21に接続される。接続部42aと細管部42bとは、流通孔42cを介して連通しており、接続部42aおよび細管部42bの内部は、薬液を薬液容器2から後述する案内部材5に通す薬液通路を構成している。接続部42a内の細管部42bの周囲には、連通孔61が複数(図示例では3個)形成されている。この連通孔61は、後述する調整機構6を構成するものである。
【0028】
カバー部材4の上面部40は、内側壁41の外側に囲繞壁43をさらに備えている。この囲繞壁43は、内側壁41の上端から支持体3の外側壁32の上端を越えて水平に延びる延長部43aと、延長部43aの先端部から垂下する略矩形枠状の垂下壁43bとからなり、垂下壁43bは、外側壁32の外周面から離反している。
【0029】
図3〜図7に戻って、支持体3の底面部30の外側壁32に囲まれた領域の中央部には、円形の底孔34が形成されている。この底孔34に排出部材42の細管部42bが嵌入するようになっている。そして、底孔34の下方には、細管部42bから排出された薬液を下方へと案内する案内部材5が設けられている。案内部材5は、底面部30の下面に一体に設けられており、案内部材5の上端部には、排出部材42の細管部42b内に嵌入する嵌合突部50が一体に設けられている。嵌合突部50の外側面には、上端から下端まで延びる縦溝51が形成されており、縦溝51により、細管部42bの内周面との間に薬液の導出路が形成されている。縦溝51の断面形状は、半円状の他、三角形や四角形などの角状など、種々の形状とすることができる。また、その断面寸法は、毛管作用により薬液が導出路に沿って導出され得る程度とするのが望ましい。底孔34の周囲には、細管部42bと嵌合突部50との嵌合状態を確実に保持するために、細管部42bの外側に嵌合する環状部35が立設されている。
【0030】
案内部材5は、板状に形成されており、上端部が細管部42bの下端に当接している。案内部材5の表裏の板面には、上下方向に延びる多数の細溝52が形成されている。この案内部材5は、2本の長脚部36の間に位置しており、長脚部36とともに給水受皿の排水口に挿入される。ただし、案内部材5は長脚部36よりもやや短く形成されており、その下端部のみが排水口に挿入可能となっている。案内部材5と長脚部36との間には、遮蔽部材37が設けられている。遮蔽部材37は、案内部材5よりもさらに短く形成されており、長脚部36は支持体3を排水口に位置決めし、案内部材5は排水口に流下する水に接することで、案内部材5上の薬液が水に洗い流されて貯水タンクの中に流れ込む。一方、遮蔽部材37は、流下する水が前記導出路から支持体3内に逆流するのを規制している。
【0031】
支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面には、上下方向に延びる多数の溝11が形成されている。この溝11は、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから内部に浸入する水を、毛管作用により側面部31の内側面に導出することで、浸入した水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れるのを促す誘導手段10を構成している。溝11は、側面部31の内側面の全周にわたって形成されており、その断面形状は、本実施形態では、図示は省略するが、三角形状に形成されている。ただし、溝11の断面形状は、四角形状、半円形状の他、他の多角形状や長円形の一部による種々の凹形状とすることができる。また、溝11の幅および深さは、毛管作用により薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから水を導出し得るように決められるが、幅は0.25mm〜1.5mm程度、深さは0.1mm〜1.0mm程度とするのが好ましい。また、溝11の長さとしては、薬液容器2および支持体3の嵌合部分T(図1および図2に示す)である側面部31の上部開口縁付近から側面部31の下端まで延びていてもよいが、図4に示すように、側面部31の上部開口縁付近に溝11が設けられていれば、側面部31の途中までしか溝11が延びていなくてもよい。ただし、下方へ3mm以上は延びているのが望ましく、5mm以上延びているのがより望ましい。
【0032】
支持体3の側面部31には、薬液の芳香成分を外部に拡散させるための開口33が形成されている。また、底面部30の外側壁32の外側位置には、給水受皿に供給された水が支持体3の内部へ浸入したときに、その水を外部へ排出するための開口39が形成されている。この開口33,39は、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから内部に浸入した後、側面部31の内側面に沿って下方へ流れる水を外部に排出するための排水口としても機能する。
【0033】
支持体3は、底面部30の外側壁32の内側に、カバー部材4の内側壁41を嵌合することで組み立てられる。これにより、支持体3には、図11に示すように、カバー部材4との間に、底面部30の外側壁32に囲まれた領域(底壁)と、外側壁32および内側壁41(側壁)と、カバー部材4の上面部40(上壁)とにより囲まれた緩衝室60が形成されており、緩衝室60は、細管部42bとは仕切られた薬液が貯留可能な空間を有している。なお、図11において、一点鎖線は、支持体3に嵌合する容器2の一部分を示している。
【0034】
緩衝室60は、薬液容器2から排出される薬液の量を調整する調整機構6を構成するものであり、調整機構6は、緩衝室60、上述した連通孔61、および、緩衝室60に空気を流入させる空気流通孔62により構成される。連通孔61は、薬液容器2から排出部材42の接続部42aに排出された薬液の一部を、緩衝室60へ導入可能である。
【0035】
空気流通孔62は、本実施形態では、緩衝室60の側壁に設けられている。支持体3の外側壁32の上端部が凹状に切り欠かれることで、外側壁32に貫通穴63が形成されている一方で、カバー部材4の内側壁41には、その上端部から下端部まで上下方向に延びるスリット64が形成されている。このスリット64は、支持体3の外側壁32の貫通穴63に対応する位置に形成されており、カバー部材4を支持体3に装着して、貫通穴63とスリット64とを一致させることで、空気流通孔62が形成される。
【0036】
なお、本実施形態では、空気流通孔62は、平面視略矩形状の緩衝室60の側壁(外側壁32および内側壁41)の対向する2辺の幅中央部に設けられているが、空気流通孔62の配置は、必ずしもこれに限られるものではなく、緩衝室60の側壁のいずれの位置に設けることができる。また、本実施形態では、緩衝室60の側壁の上端部に空気流通孔62が設けられているが、上端部よりも下方位置に設けることもできる。ただし、あまりに下方に配置すると、給水受皿に供給された水が支持体3の内部へ浸入したときに、その水が空気流通孔62を通って緩衝室60内に浸入するおそれがあるので好ましくない。また、本実施形態では、内側壁41に縦長のスリット64を設けることにより空気流通孔62を形成しているが、内側壁41にも外側壁32と同じように貫通穴を設け、貫通穴同士を一致させることで、空気流通孔62を形成してもよい。また、本実施形態では、空気流通孔62は水平方向を向いているが、水平方向よりも下向き(斜め下向き)になるように形成してもよい。
【0037】
また、空気流通孔62は、必ずしも緩衝室60の側壁62に設けられている必要はなく、図19〜図24の例にも示されているように、緩衝室60の上壁に設けられていても構わない。
【0038】
上記した調整機構6は、薬液容器2の温度変化に対して次のように作用をする。例えば、温度が上昇して薬液容器2が暖められた場合には、薬液容器2内の空気が膨張して薬液容器2内は正圧になる。この場合、薬液容器2内の薬液は押し出されて排出口21から排出されるが、排出された薬液は、細管部42bから導出路に流れ込む他、連通孔61を介して緩衝室60にも流れ込むため、薬液が前記導出路へ過剰に流出するのが防止される。
【0039】
一方、流水で冷やされるなどして、薬液容器2の温度が低下すると、薬液容器2内の空気が収縮して薬液容器2内は負圧になる。この場合には、空気流通孔62の作用により大気圧または室内圧となっている緩衝室60内の薬液が、連通孔61を介して薬液容器2内へ吸い込まれる。したがって、案内部材5上の水または薄められた薬液が細管部42bを通って薬液容器2側に戻されるのが抑制される。また、薬液容器2内の負圧によって薬液の排出が制限されるのが防止される。このように、調整機構6によって、温度変化によって薬液容器2内に圧力変化が生じた場合でも、薬液容器2と緩衝室60との間での薬液の流通が生じるため、薬液容器2内の薬液が過剰に流出したり、あるいは、流出が制限されるのを防止することができる。
【0040】
上記構成の薬液供給装置1は、カバー部材4の内側壁41の外側に、支持体3の外側壁32を嵌合して緩衝室60を形成した後、カバー部材4から上方へ延びる排出部材42の接続部42aを薬液容器2の排出口21にキャップ22を貫通して嵌入することにより組み立てられる。そして、水洗トイレ用貯水タンクの給水受皿の排水口に支持体3の長脚部36が挿入されることで、薬液容器2内の薬液は、接続部42aから細管部42bに流入して導出路から案内部材5に排出され、案内部材5上の薬液がフラッシュ時に給水受皿に供給される水に洗い流されて、排水口から貯水タンクに流れ込む。なお、上記構成の薬液供給装置1は、案内部材5上の薬液がフラッシュ時に給水受皿に供給される水に洗い流されることのない場合にも、経時的に薬液を吐出し、薬液容器2内の薬液を直接貯水タンクに供給する機構を備えることもできる。
【0041】
このとき、給水受皿上の給水管から薬液容器2上に落下した水は、薬液容器2の表面に沿って流れ落ちて薬液容器2と支持体3との嵌合部分Tまで伝わると、この嵌合部分Tに不可避的に生じる隙間から支持体3内に浸入する。しかしながら、支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面に、嵌合部分T(側面部30の上部開口縁付近)から通じる多数の溝11が形成されていることにより、嵌合部分Tから浸入した水は、溝11の毛管作用により、薬液容器2の下端面よりも溝11にその大部分が導出され、溝11を伝って、側面部31の内側面を下方へ流れ落ちる。こうして、側面部31の内側面を流れ落ちた水は、開口33,39より外部に排出される。このように、多数の溝11が、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を下方へ誘導する誘導手段10として作用するため、浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制できる。よって、緩衝室60内に水が浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。なお、本実施形態では、緩衝室60の側壁の上端部に空気流通孔62が設けられているため、仮に水が緩衝室60上に流れ落ちても空気流通孔62を介して緩衝室60内に浸入しにくくなっている。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態では、誘導手段10として、支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面に上下方向に延びる多数の溝11を形成しているが、側面部31の内側面に多数の微細な凹凸(図示せず)を形成することにより、誘導手段10を構成してもよい。側面部31の内側面に多数の凹凸を設ける方法としては、例えば、サンドブラスト処理、プラズマ処理、フレーム処理などの物理的処理やエッチング処理などの化学的処理によって表面を粗面化する方法を採用することができる。
【0043】
側面部31の内側面に多数の微細な凹凸を設けることで、側面部31の内側面の表面積が増大すると、側面部31の内側面の水との接触面積が大きくなる。その結果、水が薄い膜状に押し広げられ、側面部31の内側面の水の濡れ性が向上して親水化することで、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水を、薬液容器2の下端面よりも側面部31の内側面に導出させることが可能になる。そして、水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33,39より外部に排出することができる。
【0044】
このように、この実施形態においても、多数の微細な凹凸が、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を側面部31の内側面に沿って下方へ流れるように促す誘導手段10として作用するため、水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、緩衝室60内に浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる。その結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0045】
なお、この実施形態における微細な凹凸は、側面部31の内側面の全周にわたって、その全面、つまり、薬液容器2および支持体3の嵌合部分T(図1および図2に示す)である側面部31の上部開口縁付近から下端まで設けられている必要は必ずしもなく、側面部31の上部開口縁付近にのみ設けられていてもよい。また、微細な凹凸を所定のパターンで側面部31の内側面に設けて、微細な凹凸と平滑な平面部とを組み合わせるようにしてもよい。
【0046】
また、側面部31の内側面に親水性を付与する親水処理剤を塗布して、側面部31の内側面を親水化することで、側面部31自体を、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を側面部31の内側面に沿って下方へ流れるよう促す前記誘導手段10として構成することもできる。また、支持体3を成形するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂材料に前記親水処理剤を含ませて支持体3を成形することで、側面部31の内側面を親水化させてもよい。この場合、親水処理剤の合成樹脂材料に対する配合率は、0.1重量%〜2.0重量%とすることができ、好ましくは0.2重量%〜1.6重量%である。
【0047】
親水処理剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤を含有したものとすることができる。その例としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などのポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテルなどのポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキアルキレンデシルエーテルなどのポリオキアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル;アルキルアルカノールアミド;アルキルポリグルコシド;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどが例示される。好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0048】
このうち、グリセリン脂肪酸エステルは、特に特定されないが、炭素数が12〜36の脂肪酸とグリセリンとのエステルを挙げることができ、好ましくは、炭素数が12〜20の脂肪酸とグリセリンとのエステルを挙げることができる。
【0049】
さらに、グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセライドや有機酸モノグリセライドに係るものが好ましくは選択される。
【0050】
この実施形態では、側面部31の内側面を親水処理剤により処理して、側面部31の内側面と水との接触角を低下させることで、水が薄い膜状に押し広げられる結果、側面部31の内側面の水の濡れ性が向上して親水化する。よって、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水を、薬液容器2の下端面よりも側面部31の内側面に導出させることが可能になる。そして、水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33,39より外部に排出することができる。よって、この実施形態においても、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、緩衝室60内に浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる。その結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0051】
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂粉末を焼結成形した焼結体で支持体3を構成して、支持体3の側面部31の保水性および排水性を十分に高めることで、側面部31自体を、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を側面部31の内側面に沿って下方へ流れるよう促す前記誘導手段10として構成することもできる。
【0052】
この実施形態では、支持体3が高い保水性を有する焼結体で成形されているので、側面部31が水の吸い込み機能を発揮するため、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水は、薬液容器2の下端面に伝わらずに、側面部31に一旦、保持される。そして、保持された水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33より外部に排出することができる。よって、この実施形態においても、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、緩衝室60内に浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる。その結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0053】
なお、支持体3の側面部31の保水性および排水性を十分に高めるために、上記した実施形態では、支持体3を焼結体により成形しているが、何もこれに限られるものではなく、その他、支持体3の側面部31の上部開口縁付近(嵌合部分T)に、水の吸い込み機能を発揮する天然また合成繊維の集束物(繊維束)、織布、不織布、スポンジなどを設けるようにしてもよい。
【0054】
また、図12に示すように、支持体3内に、支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面から所定間隔をあけて遮断壁12を設けることで、この遮断壁12により、前記誘導手段10を構成するようにしてもよい。つまり、側面部31の内側面と緩衝室60の側壁の外周面との間に上下方向に延びる遮断壁12を、遮断壁12の上端部が薬液容器2の薬液収納部20の下端面に当接するか、または、多少間隔が空くように設ける。これにより、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水が、薬液容器2の下端面に伝わることが遮断されるので、当該水は支持体3の側面部31に伝わり、そして、側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33より外部に排出することができる。
【0055】
このように、この実施形態においても、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを防止でき、空気流通孔62を介して緩衝室60内に浸入することを防止できる。その結果、内部に貯留された薬液が薄められることを防止できるため、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0056】
以上、本発明に係る誘導手段10について説明したが、この誘導手段10は、上記した図1〜図11の実施形態のように、薬液容器2の薬液収納部20および排出口21を1つとし、これに対応して支持体3に緩衝室60などを1つ設けたタイプの薬液供給装置1だけでなく、図22〜図24の例に示されているように、これらを各々2つ以上設けたタイプの薬液供給装置に対しても適用することができる。
【0057】
また、上記した図1〜図11の実施形態の薬液供給装置1においては、カバー部材4は、支持体3の外側壁32の内側に内側壁41が嵌合する内側嵌合構造となっているが、図19〜図21の例に示されているように、その逆の、カバー部材4側の周壁が支持体3側の周壁の外側に嵌合する外側嵌合構造の薬液供給装置に対しても、本発明に係る誘導手段10を適用することができる。
【0058】
また、上記した図1〜図11の実施形態の薬液供給装置1では、案内部材5を支持体3の下方へ突出させ、案内部材5を給水受皿の排水口に挿入して案内部材5を介して薬液を排水口に排出しているが、薬液を給水受皿上に直接排出する薬液供給装置に対しても本発明に係る誘導手段10を適用することができる。図13〜図16は、当該実施形態に係る薬液供給装置1´を示している。なお、薬液容器2は、上記した実施形態の構成と同様であり、同一の符号を付することで詳細な説明を省略する。
【0059】
この実施形態の薬液装置1´は、薬液容器2と、薬液容器2が着脱可能に取り付けられるカップ状の支持体7とを備えている。支持体7は、支持体7内に着脱可能に取り付けられるカバー部材8と、カバー部材8と支持体7の底面部70との間に介在する板状の案内部材9とを備えている。支持体7の底面部70の下面には、4本の長脚部72と、長脚部72の周囲に配置された4本の短脚部73とが立設されている。また、支持体7の側面部71には、案内部材9が突出する開口74のほか、薬液の芳香成分を外部に拡散させるための開口75が形成されており、支持体7の底面部70には、支持体7内に水が滞留するのを防止するための開口76が複数形成されている。
【0060】
カバー部材8は、下端が開放された箱状に形成されており、平面視長方形状の上面部80と、側面部81とを備えている。側面部81の下端部に設けられた係止爪82を、支持体7の底面部70に設けられた係合段部(図示せず)に係合させることで、カバー部材8が支持体7に固定される。
【0061】
上面部80は、その中央部の円形状の下段部80aと、下段部80aより高い位置にある下段部80aの周囲の上段部80bとからなり、下段部80aの中央部に、薬液容器2の排出口21に接続され、薬液容器2内の薬液を外部へ排出させる円筒状の接続部83が設けられている。接続部83の下端部の内部には、接続部83よりも小径の円筒状の細管部84が一体に設けられている。接続部83と細管部84とは、流通孔85を介して連通しており、接続部83および細管部84の内部は、薬液を薬液容器2から後述する案内部材9に流す薬液通路を構成している。細管部84の周囲には、連通孔61´が複数形成されている。この連通孔61´は、調整機構6を構成する。
【0062】
案内部材9は、プラスチックで形成され、支持体7の底面部70上に載置される。この案内部材9は、細管部84の一端部がほぼ当接する基部90と、基部90の両側縁(図16(a)の上下辺)から下方へ傾斜する一対の案内板91とを備えている。基部90において細管部84が当接する部分およびその近傍には薬液が流通可能な複数の溝92が幅方向(図16(a)の左右方向)に形成されており、これらの溝92のうち、中央に配置されたものは案内板91の端部まで延びて案内溝93を構成している。この案内溝93は、薬液を基部90から案内板91側へ導くようになっている。各案内板91の端部は、支持体7の開口74から突出している。
【0063】
支持体7の底面部70上に、案内部材9を介在させてカバー部材8を装着することで、支持体7には、案内部材9の基部90(底壁)と、カバー部材8の側面部81(側壁)と、カバー部材8の上面部80(上壁)とで囲まれた薬液が貯留可能な空間を有する緩衝室60´が形成される。この緩衝室60´は、調整機構6を構成し、連通孔61´および空気流通孔62´とともに、上記した実施形態と同様の役割を果たす。
【0064】
上記構成の薬液供給装置1´は、次のように動作する。まず、薬液容器2から薬液が接続部83に排出され、細管部84を通って案内部材9上に流れ出す。案内部材9上では、一部が基部90上に保持されるとともに、案内溝93を伝って案内板91上に流れ出し、この上で保持される。そして、フラッシュ時に給水受皿に水が供給されると、この水が支持体7の開口74から突き出た案内板91上の薬液と接触し、これを洗い流す。こうして薬液は、流水とともに、給水受皿上に流れ出し、排水口から貯水タンクの中に流れ込む。
【0065】
この実施形態においても、図示は省略するが、上記した実施形態と同様に、支持体7の側面部71の内側面に上下方向に延びる多数の溝を形成したり、側面部71の内側面に多数の微細な凹凸を形成したり、側面部71の内側面に親水性を付与する親水処理剤を塗布したり、親水処理剤を含ませた合成樹脂材料により支持体7を成形したり、支持体7を高い保水性を有する焼結体で成形したり、支持体7内に、側面部71の内側面から所定間隔をあけて遮断壁を設けたりなどすることで、薬液容器2および支持体7の嵌合部分Tから支持体7内に浸入した水を側面部71の内側面に沿って下方へ流れるよう促す誘導手段10を支持体7に備えることができる。
【0066】
これにより、使用時に、給水受皿上の給水管から薬液容器2上に落下した水が、薬液容器2および支持体7の嵌合部分Tから内部に浸入したとしても、薬液容器2の下端面に伝わらずに、支持体7の側面部71の内側面に沿って下方へ流れ落ちて、開口74,76から外部に排出されるので、薬液容器2および支持体7の嵌合部分Tから支持体7内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60´上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、空気流通孔62´を介して緩衝室60´内に浸入することを防止できる。その結果、緩衝室60´内部に貯留された薬液が薄められることを防止できるため、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0067】
また、本発明に係る誘導手段10は、水洗トイレの貯水タンク上に配置されるタイプの薬液供給装置だけでなく、便器のリムに吊り掛けられて使用されるタイプの薬液供給装置に対しても、これを適用することができる。このタイプの薬液供給装置1’’も、図17および図18に示すように、薬液が収容された薬液容器2’’と、薬液容器2’’を支持する支持体3’’とを備えており、さらに、当該装置1’’を便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材13を備えている。なお、基本的な構成は、上記した貯水タンク上に設置されるタイプの薬液供給装置の構成と同様である。
【0068】
支持体3’’は、底面部30’’と、側面部31’’とを有している。底面部30’’は、平面視略矩形状の基部30A’’と、基部30A’’の一辺に揺動自在に連結された可動部30B’’とで構成されており、可動部30B’’が設けられている辺以外の3辺に、側面部31’’が平面視コ字状に設けられている。したがって、支持体3’’は、一辺の壁が切り欠かれて開放したカップ状に形成されており、この開放部分30C’’から基部30A’’の一部および可動部30B’’が突出するように構成されている。そして、この開放部分30C’’から支持体3’’内に水が流れ込むようになっている。基部30A’’の中央には、上方へ延びる支柱14が取り付けられており、この支柱14と後述するカバー部材4’’との間の空間に、吊掛部材13が上下動可能に取り付けられている。吊掛部材13は、弾性変形可能に2箇所で折り曲げられた帯状に形成されており、初期状態では、図17に示すように折り畳まれている。また、吊掛部材13は、上下動可能に構成されているため、当該装置1’’とリムとが干渉しないように、リムに対する薬液容器2’’および支持体3’’の高さを調整することができる。
【0069】
支持体3’’は、支持体3’’内に着脱可能に取り付けられる下部材15およびカバー部材4’’を備えており、下部材15の周壁32’’の外側に、カバー部材4’’の周壁41’’を嵌合することで、支持体3には、下部材15の上面部16(底壁)と、周壁32’’,41’’(側壁)と、カバー部材4’’の上面部40’’(上壁)とにより囲まれた緩衝室60’’が形成される。この緩衝室60’’は、調整機構6を構成し、連通孔(図示せず)および空気流通孔62’’とともに、上記した実施形態と同様の役割を果たす。なお、カバー部材4’’の側面には、上方に延びるレール部材17が取り付けられており、このレール部材17は、支柱14との間で、吊掛部材13を収容する空間を形成している。
【0070】
カバー部材4’’の上面部40’’の中央部には、薬液容器2’’の排出口21’’に接続され、薬液容器2’’内の薬液を外部へ排出させる排出部材42’’が設けられている。また、カバー部材4’’の周囲には、4つの空気流通孔62’’が、それぞれ設けられている。
【0071】
下部材15の上面部16の中央部には、円形の底孔34’’が形成されている。また、底孔34’’には、嵌合突部50’’設けられており、底孔34’’の周囲には、環状部35’’が立設されている。
【0072】
支持体3’’の側面部31’’には、フラッシュ時に便器内に供給された水が支持体3’’の内部へ浸入したときに、その水を外部へ排出するための開口33’’が形成されている。また、この開口33’’は、薬液容器2’’および支持体3’’の嵌合部分Tから内部に浸入した水を外部に排出するための排水口としても機能する。
【0073】
上記構成の薬液供給装置1’’は、次のように動作する。まず、薬液容器2’’から薬液が排出部材42’’に排出され、支持体3’’の底面部30’’上に供給される。そして、底面部30’’上に供給される薬液をフラッシュ時に便器内に供給される水によってさらうことで、便器内に薬液が供給される。なお、上記構成の薬液供給装置1’’は、底面部30’’上の薬液がフラッシュ時に便器内に供給される水に洗い流されることのない場合にも、経時的に薬液を吐出し、薬液容器2’’内の薬液を直接便器内に供給する機構を備えることもできる。
【0074】
この実施形態においても、図示は省略するが、上記した実施形態と同様に、支持体3’’の側面部31’’の内側面に上下方向に延びる多数の溝を形成したり、側面部31’’の内側面に多数の微細な凹凸を形成したり、側面部31’’の内側面に親水性を付与する親水処理剤を塗布したり、親水処理剤を含ませた合成樹脂材料により支持体3’’を成形したり、支持体3’’を高い保水性を有する焼結体で成形したり、支持体3’’内に、側面部31’’の内側面から所定間隔をあけて遮断壁を設けたりなどすることで、薬液容器2’’および支持体3’’の嵌合部分Tから支持体3’’内に浸入した水を側面部31’’の内側面に沿って下方へ流れるよう促す誘導手段10を支持体3’’に備えることができる。
【0075】
この便器のリムに吊り掛けられて使用されるタイプの薬液供給装置1’’においても、フラッシュ時に便器内に水が勢いよく供給されたり、供給された水が便器内で飛び散ったりすると、薬液容器2’’の表面に水がかかり、そして、水が薬液容器2’’の表面に沿って流下して薬液容器2’’および支持体3’との嵌合部分Tまで伝わるおそれがある。しかし、この場合でも、当該嵌合部分Tから内部に浸入した水は、誘導手段10の作用により、薬液容器2’’の下端面に伝わらずに、支持体3’’の側面部31’’の内側面に沿って下方へ流れ落ちて、開口33’’から外部に排出される。よって、薬液容器2’’および支持体3’’の嵌合部分Tから支持体3’’内に浸入した水が薬液容器2’’の下端面を伝って緩衝室60’’上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、空気流通孔62’’を介して緩衝室60’’内に浸入することを防止できる。その結果、内部に貯留された薬液が薄められることを防止できるため、薬液の戻りによる薬液容器2’’内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2’’から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 薬液供給装置
2 薬液容器
3 支持体
6 調整機構
10 誘導手段
11 溝
12 遮断壁
39 開口
【技術分野】
【0001】
本発明は、断続的に流下する水などの液体に薬液を供給する薬液供給装置に関し、例えば、水洗トイレの貯水タンク上部に設けられた手洗い用の給水受皿に設置され、あるいは、便器のリムに取り付けられて、芳香、消臭、洗浄のための薬液を水洗用の水に供給する薬液供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の薬液供給装置としては、例えば、図19〜図21の例、あるいは、図22〜図24の例に示すように、薬液を収容する薬液容器100と、薬液容器100を支持するカップ状の支持体101とを備え、支持体101の下部に設けられた案内部材102が貯水タンクに流入する水と接触するように、貯水タンク上部の給水受皿に設置されるタイプのものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
支持体101は、支持体101内に着脱可能に取り付けられるカバー部材105を備えており、カバー部材105は、薬液容器100の排出口に接続される排出部材103を備えている。薬液容器100内の薬液は、排出部材103の接続部110から細管部111を通じて、下端の流通孔104から案内部材102に供給される。また、支持体101には、薬液容器100から排出される薬液の量を調整する調整機構112が設けられている。この調整機構112は、水との接触などにより薬液容器100の温度が変動したときに、容器の内圧が変化しても、薬液容器100から案内部材102への薬液の余分な流出やその逆流が生じるのを防止するものであり、支持体101とカバー部材105との間に区画形成された薬液を貯留可能な緩衝室106と、緩衝室106に空気を流入可能な空気流通孔107と、緩衝室106および排出部材103を連通させる連通孔108とを備えている。
【0004】
上記構成の薬液供給装置は、次のように作用する。すなわち、温度が上昇し、薬液容器100内の圧力が上昇した場合には、薬液容器100内の薬液は、連通孔108から流れ出して緩衝室106内に流入する。一方、温度が低下し、薬液容器100内の圧力が低下すると、緩衝室106内の薬液が連通孔108を介して薬液容器100内へ引き戻される。このような作用により、温度変化の繰り返しがあっても、薬液が無駄に薬液供給装置から流出するのを防止できる。特に、薬液容器100の温度変化は、室温の変化および給水受皿へ供給される流水との接触の双方で生じるので、これによる薬液の無駄な流出を防止することは、薬液の安定供給を可能にする上で重要である。このように、上記構成の薬液供給装置は、緩衝室106を設けることにより、薬液の余分な流出が防止され、その結果、薬液容器100から薬液を正確な量で排出することが可能となって、安定供給を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−300861号公報
【特許文献2】特開2006−283540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成の薬液供給装置は、薬液容器100を支持体101に嵌合して組み立てた後、給水受皿上の給水管の下方に配置されて使用される。ここで、使用時において、給水管から薬液容器100上に水が落下すると、水の一部が薬液容器100の表面に沿って流れ落ちて薬液容器100と支持体101との嵌合部分Tまで伝わる結果、この嵌合部分Tに不可避的に生じる隙間から水が支持体101内に浸入するおそれがある。支持体101内に水が浸入すると、水の一部が薬液容器100の下端面を伝って支持体101の中央部付近の緩衝室106上まで伝わった後、落下するため、流れ落ちた水が緩衝室106の上部の空気流通孔107から緩衝室106内に浸入するおそれがある。緩衝室106内に水が浸入すると、その水によって緩衝室106内の薬液が薄められ、薄められた薬液が温度変化により薬液容器100内に吸収される結果、薬液容器100内の薬液まで希釈されることになる。これでは、適正な薬液量による薬効が妨げられるばかりか、薬液によっては本来の粘度が低下し、薬液容器100の排出口から過剰に流出して安定供給を損ねることもある。
【0007】
このような問題は、貯水タンク上部の給水受皿に設置されるタイプのみならず、便器のリムに取り付けられるタイプの薬液供給装置においても起こりうる問題である。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、薬液容器と支持体との嵌合部分から内部に水が浸入した場合でも、緩衝室内に水が浸入するのをできる限り抑制して薬液が薄められるのを防止することができ、安定して薬液を供給することができる薬液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、内部に薬液が収容される薬液容器と、上部に開口を有するカップ状の支持体とを備え、前記支持体に前記薬液容器を嵌め合わせることで組み立てられる薬液供給装置において、前記支持体は、前記薬液容器および前記支持体の嵌合部分から内部に浸入する水を内壁面に沿って下方に流す誘導手段を備えている薬液供給装置によって達成される。
【0010】
上記構成の薬液供給装置において、断続的に流下する水などの流体の一部が薬液容器上に落下すると、薬液容器の表面に沿って流れ落ちて薬液容器と支持体との嵌合部分まで伝わり、この嵌合部分に不可避的に生じる隙間から流体が支持体内に浸入するおそれがある。しかしながら、上記構成の薬液供給装置では、前記嵌合部分から浸入した水を、支持体の内壁面に沿って下方へ流れるように誘導する誘導手段を備えているため、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。よって、緩衝室内に水が浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる結果、薬液の戻りによる薬液容器内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた下方に延びる複数の溝によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、薬液容器および支持体の嵌合部分から内部に浸入する水は、溝の毛管作用により支持体の内壁面に導かれて下方へ流れるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0012】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた微細な凹凸部によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、支持体の内壁面に多数の微細な凹凸を設けることで、支持体の内壁面の表面積が増大して、支持体の内壁面の水との接触面積が大きくなる。よって、水が薄い膜状に押し広げられ、支持体の内壁面の水の濡れ性が向上して親水化することで、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、薬液容器の下端面よりも支持体の内壁面に導かれる。その結果、水が支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0013】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、表面に親水性を付与する親水処理剤が塗布された前記支持体の内壁面、あるいは、前記親水処理剤を含有する樹脂材料で成形された前記支持体の内壁面によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、支持体の内壁面を親水処理剤により処理して、支持体の内壁面と水との接触角を低下させることで、水が薄い膜状に押し広げられ、支持体の内壁面の水の濡れ性が向上して親水化するため、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、薬液容器の下端面よりも支持体の内壁面に導かれる。その結果、水が支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0014】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、前記支持体の内壁面と所定間隔をあけて設けられ、前記薬液容器の下端面を伝って内方へ移動する水を遮断する遮断壁によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、遮断壁によって薬液容器の下端面に伝わることが遮断されるので、当該水は支持体の内壁面に伝わり、そして、支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0015】
本発明の他の好ましい実施態様においては、前記誘導手段は、合成樹脂粉末の焼結体で成形された前記支持体の内壁面によって構成されることを特徴としている。この実施態様によると、支持体が高い保水性を有する焼結体で成形されているので、支持体が水の吸い込み機能を発揮するため、薬液容器および支持体の嵌合部分から浸入する水は、薬液容器の下端面に伝わらずに、支持体の内壁面に一旦、保持される。そして、保持された水が支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちるので、浸入した水が薬液容器の下端面を伝って緩衝室上に流れ落ちることを抑制できる。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記支持体は、前記支持体の内壁面に沿って下方に流れる水を外部に排出する開口を備えていることを特徴としている。この実施態様によると、前記嵌合部分から浸入し、支持体の内壁面に沿って下方へ流れ落ちた水を支持体外に排出することができる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記薬液供給装置が、水洗トイレの便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに備え、前記薬液容器から排出される薬液を、前記便器内に直接供給する、または、水洗時に前記便器内に供給される流水によりさらうことで前記便器内に供給するように構成された薬液供給装置であることを特徴としている。
【0018】
本発明のさらに好ましい他の実施態様においては、前記薬液供給装置が、前記支持体が水洗トイレの貯水タンク上部の給水受皿に配置され、前記薬液容器から排出される薬液を、前記貯水タンク内に直接供給する、または、水洗時に前記給水受皿に供給される流水によりさらうことで前記貯水タンク内に供給するように構成された薬液供給装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の薬液供給装置によると、薬液容器と支持体との嵌合部分から内部に水などの流体が浸入した場合でも、緩衝室内に浸入する流体の量を抑制して薬液が薄められるのを防止することができ、安定して薬液を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る薬液供給装置の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の薬液供給装置の分解図である。
【図4】図1の薬液供給装置のカバー部材と支持体の分解斜視図である。
【図5】図4の支持体の平面図である。
【図6】図4の支持体の底面図である。
【図7】図4の支持体の断面図である。
【図8】図4のカバー部材の斜め下方向からの斜視図である。
【図9】図4のカバー部材の平面図である
【図10】図4のカバー部材の断面図である。
【図11】図4のカバー部材を装着した支持体の断面図である。
【図12】誘導手段の変形例を示す支持体の断面図である。
【図13】他の実施形態に係る薬液供給装置の正面図である。
【図14】図13の薬液供給装置の分解図である。
【図15】図14の薬液供給装置の要部の部分断面図である。
【図16】(a)は図14の案内部材9の平面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図17】他の実施形態に係る薬液供給装置の後方から見た斜視図である。
【図18】図17の薬液供給装置の分解図である。
【図19】(a)は従来例の薬液供給装置の正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図20】図19のカバー部材と支持体の分解斜視図である。
【図21】図20のカバー部材を装着した支持体の断面図である。
【図22】(a)は従来例の薬液供給装置の正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図23】図22の薬液供給装置のカバー部材と支持体の分解斜視図である。
【図24】図23のカバー部材を装着した支持体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実態の形態について添付図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態である薬液供給装置1の外観を、図3は、図1および図2の薬液供給装置1を分解した状態を、それぞれ示している。なお、図示例の薬液供給装置1は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗用の給水受皿に設置されるタイプのものを例に挙げている。
【0022】
薬液供給装置1は、芳香、消臭、便器の洗浄のための薬液を収容する薬液容器2と、薬液容器2を支持するカップ状の支持体3とを備えている。支持体3は、支持体3内に着脱可能に取り付けられるカバー部材4(図4に示す)を備えている。また、支持体3は、薬液容器2内から排出される薬液を、支持体3の外部の断続的に流れる液体と接触する位置へ案内する案内部材5を備えている。この薬液供給装置1は、支持体3の案内部材5および長脚部36が給水受皿の排水口(図示せず)に挿入されるようにして設置される。
【0023】
薬液容器2は、薬液を収容可能な薬液収納部20を備え、薬液収納部20の端面(図3では下端面)には、薬液を排出するための排出口21が設けられている。薬液容器2は、一部または全体が透明または半透明の材料で構成され、外部から薬液の残量が確認できる。排出口21には、キャップ22が被せられている。
【0024】
支持体3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製であり、図3〜図7に示すように、上部に開口を有し、平面視において略楕円形状に形成されている。支持体3は、底面部30と側面部31とを備えており、側面部31上端の上部開口縁に薬液収納部20の凹んだ一端部23(図3では下端部)が嵌め合わされるようになっている。
【0025】
底面部30の下面には、2本の長脚部36と、長脚部36の周囲に配置された4本の短脚部38とが立設されている。長脚部36は給水受皿の排水口に挿入可能である。短脚部38は長脚部36が排水口に挿入された状態で、支持体3を給水受皿上にほぼ水平に支持する。底面部30の上面には、後述するカバー部材4の周壁(以下、本実施形態では「内側壁」という。)41の外側に嵌合する略矩形枠状の周壁(以下、本実施形態では「外側壁」という。)32が設けられている。
【0026】
カバー部材4は、図4、図8〜図10に示すように、下端が開放された箱状に形成されており、平面視略矩形状の上面部40と、上面部40から垂下する略矩形枠状の内側壁41とを備えている。内側壁41を支持体3の外側壁32の内側に嵌合することで、カバー部材4が支持体3に装着される。上面部40は、その中央部の円形状の下段部40aと、下段部40aより高い位置にある下段部40aの周囲の上段部40bとからなる。下段部40aの中央部には、薬液容器2の排出口21に接続され、薬液容器2内の薬液を外部へ排出させる排出部材42が設けられている。
【0027】
排出部材42は、カバー部材4の下段部40aに一体形成されており、下段部40aの上面から突き出る円筒状の接続部42aと、接続部42aの下端部に設けられた、接続部42aよりも小径の円筒状の細管部42bとを備える。接続部42aは、薬液容器2の排出口21に接続される。接続部42aと細管部42bとは、流通孔42cを介して連通しており、接続部42aおよび細管部42bの内部は、薬液を薬液容器2から後述する案内部材5に通す薬液通路を構成している。接続部42a内の細管部42bの周囲には、連通孔61が複数(図示例では3個)形成されている。この連通孔61は、後述する調整機構6を構成するものである。
【0028】
カバー部材4の上面部40は、内側壁41の外側に囲繞壁43をさらに備えている。この囲繞壁43は、内側壁41の上端から支持体3の外側壁32の上端を越えて水平に延びる延長部43aと、延長部43aの先端部から垂下する略矩形枠状の垂下壁43bとからなり、垂下壁43bは、外側壁32の外周面から離反している。
【0029】
図3〜図7に戻って、支持体3の底面部30の外側壁32に囲まれた領域の中央部には、円形の底孔34が形成されている。この底孔34に排出部材42の細管部42bが嵌入するようになっている。そして、底孔34の下方には、細管部42bから排出された薬液を下方へと案内する案内部材5が設けられている。案内部材5は、底面部30の下面に一体に設けられており、案内部材5の上端部には、排出部材42の細管部42b内に嵌入する嵌合突部50が一体に設けられている。嵌合突部50の外側面には、上端から下端まで延びる縦溝51が形成されており、縦溝51により、細管部42bの内周面との間に薬液の導出路が形成されている。縦溝51の断面形状は、半円状の他、三角形や四角形などの角状など、種々の形状とすることができる。また、その断面寸法は、毛管作用により薬液が導出路に沿って導出され得る程度とするのが望ましい。底孔34の周囲には、細管部42bと嵌合突部50との嵌合状態を確実に保持するために、細管部42bの外側に嵌合する環状部35が立設されている。
【0030】
案内部材5は、板状に形成されており、上端部が細管部42bの下端に当接している。案内部材5の表裏の板面には、上下方向に延びる多数の細溝52が形成されている。この案内部材5は、2本の長脚部36の間に位置しており、長脚部36とともに給水受皿の排水口に挿入される。ただし、案内部材5は長脚部36よりもやや短く形成されており、その下端部のみが排水口に挿入可能となっている。案内部材5と長脚部36との間には、遮蔽部材37が設けられている。遮蔽部材37は、案内部材5よりもさらに短く形成されており、長脚部36は支持体3を排水口に位置決めし、案内部材5は排水口に流下する水に接することで、案内部材5上の薬液が水に洗い流されて貯水タンクの中に流れ込む。一方、遮蔽部材37は、流下する水が前記導出路から支持体3内に逆流するのを規制している。
【0031】
支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面には、上下方向に延びる多数の溝11が形成されている。この溝11は、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから内部に浸入する水を、毛管作用により側面部31の内側面に導出することで、浸入した水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れるのを促す誘導手段10を構成している。溝11は、側面部31の内側面の全周にわたって形成されており、その断面形状は、本実施形態では、図示は省略するが、三角形状に形成されている。ただし、溝11の断面形状は、四角形状、半円形状の他、他の多角形状や長円形の一部による種々の凹形状とすることができる。また、溝11の幅および深さは、毛管作用により薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから水を導出し得るように決められるが、幅は0.25mm〜1.5mm程度、深さは0.1mm〜1.0mm程度とするのが好ましい。また、溝11の長さとしては、薬液容器2および支持体3の嵌合部分T(図1および図2に示す)である側面部31の上部開口縁付近から側面部31の下端まで延びていてもよいが、図4に示すように、側面部31の上部開口縁付近に溝11が設けられていれば、側面部31の途中までしか溝11が延びていなくてもよい。ただし、下方へ3mm以上は延びているのが望ましく、5mm以上延びているのがより望ましい。
【0032】
支持体3の側面部31には、薬液の芳香成分を外部に拡散させるための開口33が形成されている。また、底面部30の外側壁32の外側位置には、給水受皿に供給された水が支持体3の内部へ浸入したときに、その水を外部へ排出するための開口39が形成されている。この開口33,39は、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから内部に浸入した後、側面部31の内側面に沿って下方へ流れる水を外部に排出するための排水口としても機能する。
【0033】
支持体3は、底面部30の外側壁32の内側に、カバー部材4の内側壁41を嵌合することで組み立てられる。これにより、支持体3には、図11に示すように、カバー部材4との間に、底面部30の外側壁32に囲まれた領域(底壁)と、外側壁32および内側壁41(側壁)と、カバー部材4の上面部40(上壁)とにより囲まれた緩衝室60が形成されており、緩衝室60は、細管部42bとは仕切られた薬液が貯留可能な空間を有している。なお、図11において、一点鎖線は、支持体3に嵌合する容器2の一部分を示している。
【0034】
緩衝室60は、薬液容器2から排出される薬液の量を調整する調整機構6を構成するものであり、調整機構6は、緩衝室60、上述した連通孔61、および、緩衝室60に空気を流入させる空気流通孔62により構成される。連通孔61は、薬液容器2から排出部材42の接続部42aに排出された薬液の一部を、緩衝室60へ導入可能である。
【0035】
空気流通孔62は、本実施形態では、緩衝室60の側壁に設けられている。支持体3の外側壁32の上端部が凹状に切り欠かれることで、外側壁32に貫通穴63が形成されている一方で、カバー部材4の内側壁41には、その上端部から下端部まで上下方向に延びるスリット64が形成されている。このスリット64は、支持体3の外側壁32の貫通穴63に対応する位置に形成されており、カバー部材4を支持体3に装着して、貫通穴63とスリット64とを一致させることで、空気流通孔62が形成される。
【0036】
なお、本実施形態では、空気流通孔62は、平面視略矩形状の緩衝室60の側壁(外側壁32および内側壁41)の対向する2辺の幅中央部に設けられているが、空気流通孔62の配置は、必ずしもこれに限られるものではなく、緩衝室60の側壁のいずれの位置に設けることができる。また、本実施形態では、緩衝室60の側壁の上端部に空気流通孔62が設けられているが、上端部よりも下方位置に設けることもできる。ただし、あまりに下方に配置すると、給水受皿に供給された水が支持体3の内部へ浸入したときに、その水が空気流通孔62を通って緩衝室60内に浸入するおそれがあるので好ましくない。また、本実施形態では、内側壁41に縦長のスリット64を設けることにより空気流通孔62を形成しているが、内側壁41にも外側壁32と同じように貫通穴を設け、貫通穴同士を一致させることで、空気流通孔62を形成してもよい。また、本実施形態では、空気流通孔62は水平方向を向いているが、水平方向よりも下向き(斜め下向き)になるように形成してもよい。
【0037】
また、空気流通孔62は、必ずしも緩衝室60の側壁62に設けられている必要はなく、図19〜図24の例にも示されているように、緩衝室60の上壁に設けられていても構わない。
【0038】
上記した調整機構6は、薬液容器2の温度変化に対して次のように作用をする。例えば、温度が上昇して薬液容器2が暖められた場合には、薬液容器2内の空気が膨張して薬液容器2内は正圧になる。この場合、薬液容器2内の薬液は押し出されて排出口21から排出されるが、排出された薬液は、細管部42bから導出路に流れ込む他、連通孔61を介して緩衝室60にも流れ込むため、薬液が前記導出路へ過剰に流出するのが防止される。
【0039】
一方、流水で冷やされるなどして、薬液容器2の温度が低下すると、薬液容器2内の空気が収縮して薬液容器2内は負圧になる。この場合には、空気流通孔62の作用により大気圧または室内圧となっている緩衝室60内の薬液が、連通孔61を介して薬液容器2内へ吸い込まれる。したがって、案内部材5上の水または薄められた薬液が細管部42bを通って薬液容器2側に戻されるのが抑制される。また、薬液容器2内の負圧によって薬液の排出が制限されるのが防止される。このように、調整機構6によって、温度変化によって薬液容器2内に圧力変化が生じた場合でも、薬液容器2と緩衝室60との間での薬液の流通が生じるため、薬液容器2内の薬液が過剰に流出したり、あるいは、流出が制限されるのを防止することができる。
【0040】
上記構成の薬液供給装置1は、カバー部材4の内側壁41の外側に、支持体3の外側壁32を嵌合して緩衝室60を形成した後、カバー部材4から上方へ延びる排出部材42の接続部42aを薬液容器2の排出口21にキャップ22を貫通して嵌入することにより組み立てられる。そして、水洗トイレ用貯水タンクの給水受皿の排水口に支持体3の長脚部36が挿入されることで、薬液容器2内の薬液は、接続部42aから細管部42bに流入して導出路から案内部材5に排出され、案内部材5上の薬液がフラッシュ時に給水受皿に供給される水に洗い流されて、排水口から貯水タンクに流れ込む。なお、上記構成の薬液供給装置1は、案内部材5上の薬液がフラッシュ時に給水受皿に供給される水に洗い流されることのない場合にも、経時的に薬液を吐出し、薬液容器2内の薬液を直接貯水タンクに供給する機構を備えることもできる。
【0041】
このとき、給水受皿上の給水管から薬液容器2上に落下した水は、薬液容器2の表面に沿って流れ落ちて薬液容器2と支持体3との嵌合部分Tまで伝わると、この嵌合部分Tに不可避的に生じる隙間から支持体3内に浸入する。しかしながら、支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面に、嵌合部分T(側面部30の上部開口縁付近)から通じる多数の溝11が形成されていることにより、嵌合部分Tから浸入した水は、溝11の毛管作用により、薬液容器2の下端面よりも溝11にその大部分が導出され、溝11を伝って、側面部31の内側面を下方へ流れ落ちる。こうして、側面部31の内側面を流れ落ちた水は、開口33,39より外部に排出される。このように、多数の溝11が、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を下方へ誘導する誘導手段10として作用するため、浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制できる。よって、緩衝室60内に水が浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。なお、本実施形態では、緩衝室60の側壁の上端部に空気流通孔62が設けられているため、仮に水が緩衝室60上に流れ落ちても空気流通孔62を介して緩衝室60内に浸入しにくくなっている。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態では、誘導手段10として、支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面に上下方向に延びる多数の溝11を形成しているが、側面部31の内側面に多数の微細な凹凸(図示せず)を形成することにより、誘導手段10を構成してもよい。側面部31の内側面に多数の凹凸を設ける方法としては、例えば、サンドブラスト処理、プラズマ処理、フレーム処理などの物理的処理やエッチング処理などの化学的処理によって表面を粗面化する方法を採用することができる。
【0043】
側面部31の内側面に多数の微細な凹凸を設けることで、側面部31の内側面の表面積が増大すると、側面部31の内側面の水との接触面積が大きくなる。その結果、水が薄い膜状に押し広げられ、側面部31の内側面の水の濡れ性が向上して親水化することで、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水を、薬液容器2の下端面よりも側面部31の内側面に導出させることが可能になる。そして、水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33,39より外部に排出することができる。
【0044】
このように、この実施形態においても、多数の微細な凹凸が、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を側面部31の内側面に沿って下方へ流れるように促す誘導手段10として作用するため、水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、緩衝室60内に浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる。その結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0045】
なお、この実施形態における微細な凹凸は、側面部31の内側面の全周にわたって、その全面、つまり、薬液容器2および支持体3の嵌合部分T(図1および図2に示す)である側面部31の上部開口縁付近から下端まで設けられている必要は必ずしもなく、側面部31の上部開口縁付近にのみ設けられていてもよい。また、微細な凹凸を所定のパターンで側面部31の内側面に設けて、微細な凹凸と平滑な平面部とを組み合わせるようにしてもよい。
【0046】
また、側面部31の内側面に親水性を付与する親水処理剤を塗布して、側面部31の内側面を親水化することで、側面部31自体を、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を側面部31の内側面に沿って下方へ流れるよう促す前記誘導手段10として構成することもできる。また、支持体3を成形するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂材料に前記親水処理剤を含ませて支持体3を成形することで、側面部31の内側面を親水化させてもよい。この場合、親水処理剤の合成樹脂材料に対する配合率は、0.1重量%〜2.0重量%とすることができ、好ましくは0.2重量%〜1.6重量%である。
【0047】
親水処理剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤を含有したものとすることができる。その例としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などのポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテルなどのポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキアルキレンデシルエーテルなどのポリオキアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル;アルキルアルカノールアミド;アルキルポリグルコシド;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどが例示される。好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0048】
このうち、グリセリン脂肪酸エステルは、特に特定されないが、炭素数が12〜36の脂肪酸とグリセリンとのエステルを挙げることができ、好ましくは、炭素数が12〜20の脂肪酸とグリセリンとのエステルを挙げることができる。
【0049】
さらに、グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセライドや有機酸モノグリセライドに係るものが好ましくは選択される。
【0050】
この実施形態では、側面部31の内側面を親水処理剤により処理して、側面部31の内側面と水との接触角を低下させることで、水が薄い膜状に押し広げられる結果、側面部31の内側面の水の濡れ性が向上して親水化する。よって、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水を、薬液容器2の下端面よりも側面部31の内側面に導出させることが可能になる。そして、水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33,39より外部に排出することができる。よって、この実施形態においても、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、緩衝室60内に浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる。その結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0051】
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂粉末を焼結成形した焼結体で支持体3を構成して、支持体3の側面部31の保水性および排水性を十分に高めることで、側面部31自体を、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水を側面部31の内側面に沿って下方へ流れるよう促す前記誘導手段10として構成することもできる。
【0052】
この実施形態では、支持体3が高い保水性を有する焼結体で成形されているので、側面部31が水の吸い込み機能を発揮するため、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水は、薬液容器2の下端面に伝わらずに、側面部31に一旦、保持される。そして、保持された水が側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33より外部に排出することができる。よって、この実施形態においても、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、緩衝室60内に浸入して内部に貯留された薬液が薄められることを防止できる。その結果、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0053】
なお、支持体3の側面部31の保水性および排水性を十分に高めるために、上記した実施形態では、支持体3を焼結体により成形しているが、何もこれに限られるものではなく、その他、支持体3の側面部31の上部開口縁付近(嵌合部分T)に、水の吸い込み機能を発揮する天然また合成繊維の集束物(繊維束)、織布、不織布、スポンジなどを設けるようにしてもよい。
【0054】
また、図12に示すように、支持体3内に、支持体3の内壁面、つまり、側面部31の内側面から所定間隔をあけて遮断壁12を設けることで、この遮断壁12により、前記誘導手段10を構成するようにしてもよい。つまり、側面部31の内側面と緩衝室60の側壁の外周面との間に上下方向に延びる遮断壁12を、遮断壁12の上端部が薬液容器2の薬液収納部20の下端面に当接するか、または、多少間隔が空くように設ける。これにより、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから浸入する水が、薬液容器2の下端面に伝わることが遮断されるので、当該水は支持体3の側面部31に伝わり、そして、側面部31の内側面に沿って下方へ流れ落ちることで、浸入した水を開口33より外部に排出することができる。
【0055】
このように、この実施形態においても、薬液容器2および支持体3の嵌合部分Tから支持体3内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60上に流れ落ちることを防止でき、空気流通孔62を介して緩衝室60内に浸入することを防止できる。その結果、内部に貯留された薬液が薄められることを防止できるため、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0056】
以上、本発明に係る誘導手段10について説明したが、この誘導手段10は、上記した図1〜図11の実施形態のように、薬液容器2の薬液収納部20および排出口21を1つとし、これに対応して支持体3に緩衝室60などを1つ設けたタイプの薬液供給装置1だけでなく、図22〜図24の例に示されているように、これらを各々2つ以上設けたタイプの薬液供給装置に対しても適用することができる。
【0057】
また、上記した図1〜図11の実施形態の薬液供給装置1においては、カバー部材4は、支持体3の外側壁32の内側に内側壁41が嵌合する内側嵌合構造となっているが、図19〜図21の例に示されているように、その逆の、カバー部材4側の周壁が支持体3側の周壁の外側に嵌合する外側嵌合構造の薬液供給装置に対しても、本発明に係る誘導手段10を適用することができる。
【0058】
また、上記した図1〜図11の実施形態の薬液供給装置1では、案内部材5を支持体3の下方へ突出させ、案内部材5を給水受皿の排水口に挿入して案内部材5を介して薬液を排水口に排出しているが、薬液を給水受皿上に直接排出する薬液供給装置に対しても本発明に係る誘導手段10を適用することができる。図13〜図16は、当該実施形態に係る薬液供給装置1´を示している。なお、薬液容器2は、上記した実施形態の構成と同様であり、同一の符号を付することで詳細な説明を省略する。
【0059】
この実施形態の薬液装置1´は、薬液容器2と、薬液容器2が着脱可能に取り付けられるカップ状の支持体7とを備えている。支持体7は、支持体7内に着脱可能に取り付けられるカバー部材8と、カバー部材8と支持体7の底面部70との間に介在する板状の案内部材9とを備えている。支持体7の底面部70の下面には、4本の長脚部72と、長脚部72の周囲に配置された4本の短脚部73とが立設されている。また、支持体7の側面部71には、案内部材9が突出する開口74のほか、薬液の芳香成分を外部に拡散させるための開口75が形成されており、支持体7の底面部70には、支持体7内に水が滞留するのを防止するための開口76が複数形成されている。
【0060】
カバー部材8は、下端が開放された箱状に形成されており、平面視長方形状の上面部80と、側面部81とを備えている。側面部81の下端部に設けられた係止爪82を、支持体7の底面部70に設けられた係合段部(図示せず)に係合させることで、カバー部材8が支持体7に固定される。
【0061】
上面部80は、その中央部の円形状の下段部80aと、下段部80aより高い位置にある下段部80aの周囲の上段部80bとからなり、下段部80aの中央部に、薬液容器2の排出口21に接続され、薬液容器2内の薬液を外部へ排出させる円筒状の接続部83が設けられている。接続部83の下端部の内部には、接続部83よりも小径の円筒状の細管部84が一体に設けられている。接続部83と細管部84とは、流通孔85を介して連通しており、接続部83および細管部84の内部は、薬液を薬液容器2から後述する案内部材9に流す薬液通路を構成している。細管部84の周囲には、連通孔61´が複数形成されている。この連通孔61´は、調整機構6を構成する。
【0062】
案内部材9は、プラスチックで形成され、支持体7の底面部70上に載置される。この案内部材9は、細管部84の一端部がほぼ当接する基部90と、基部90の両側縁(図16(a)の上下辺)から下方へ傾斜する一対の案内板91とを備えている。基部90において細管部84が当接する部分およびその近傍には薬液が流通可能な複数の溝92が幅方向(図16(a)の左右方向)に形成されており、これらの溝92のうち、中央に配置されたものは案内板91の端部まで延びて案内溝93を構成している。この案内溝93は、薬液を基部90から案内板91側へ導くようになっている。各案内板91の端部は、支持体7の開口74から突出している。
【0063】
支持体7の底面部70上に、案内部材9を介在させてカバー部材8を装着することで、支持体7には、案内部材9の基部90(底壁)と、カバー部材8の側面部81(側壁)と、カバー部材8の上面部80(上壁)とで囲まれた薬液が貯留可能な空間を有する緩衝室60´が形成される。この緩衝室60´は、調整機構6を構成し、連通孔61´および空気流通孔62´とともに、上記した実施形態と同様の役割を果たす。
【0064】
上記構成の薬液供給装置1´は、次のように動作する。まず、薬液容器2から薬液が接続部83に排出され、細管部84を通って案内部材9上に流れ出す。案内部材9上では、一部が基部90上に保持されるとともに、案内溝93を伝って案内板91上に流れ出し、この上で保持される。そして、フラッシュ時に給水受皿に水が供給されると、この水が支持体7の開口74から突き出た案内板91上の薬液と接触し、これを洗い流す。こうして薬液は、流水とともに、給水受皿上に流れ出し、排水口から貯水タンクの中に流れ込む。
【0065】
この実施形態においても、図示は省略するが、上記した実施形態と同様に、支持体7の側面部71の内側面に上下方向に延びる多数の溝を形成したり、側面部71の内側面に多数の微細な凹凸を形成したり、側面部71の内側面に親水性を付与する親水処理剤を塗布したり、親水処理剤を含ませた合成樹脂材料により支持体7を成形したり、支持体7を高い保水性を有する焼結体で成形したり、支持体7内に、側面部71の内側面から所定間隔をあけて遮断壁を設けたりなどすることで、薬液容器2および支持体7の嵌合部分Tから支持体7内に浸入した水を側面部71の内側面に沿って下方へ流れるよう促す誘導手段10を支持体7に備えることができる。
【0066】
これにより、使用時に、給水受皿上の給水管から薬液容器2上に落下した水が、薬液容器2および支持体7の嵌合部分Tから内部に浸入したとしても、薬液容器2の下端面に伝わらずに、支持体7の側面部71の内側面に沿って下方へ流れ落ちて、開口74,76から外部に排出されるので、薬液容器2および支持体7の嵌合部分Tから支持体7内に浸入した水が薬液容器2の下端面を伝って緩衝室60´上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、空気流通孔62´を介して緩衝室60´内に浸入することを防止できる。その結果、緩衝室60´内部に貯留された薬液が薄められることを防止できるため、薬液の戻りによる薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【0067】
また、本発明に係る誘導手段10は、水洗トイレの貯水タンク上に配置されるタイプの薬液供給装置だけでなく、便器のリムに吊り掛けられて使用されるタイプの薬液供給装置に対しても、これを適用することができる。このタイプの薬液供給装置1’’も、図17および図18に示すように、薬液が収容された薬液容器2’’と、薬液容器2’’を支持する支持体3’’とを備えており、さらに、当該装置1’’を便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材13を備えている。なお、基本的な構成は、上記した貯水タンク上に設置されるタイプの薬液供給装置の構成と同様である。
【0068】
支持体3’’は、底面部30’’と、側面部31’’とを有している。底面部30’’は、平面視略矩形状の基部30A’’と、基部30A’’の一辺に揺動自在に連結された可動部30B’’とで構成されており、可動部30B’’が設けられている辺以外の3辺に、側面部31’’が平面視コ字状に設けられている。したがって、支持体3’’は、一辺の壁が切り欠かれて開放したカップ状に形成されており、この開放部分30C’’から基部30A’’の一部および可動部30B’’が突出するように構成されている。そして、この開放部分30C’’から支持体3’’内に水が流れ込むようになっている。基部30A’’の中央には、上方へ延びる支柱14が取り付けられており、この支柱14と後述するカバー部材4’’との間の空間に、吊掛部材13が上下動可能に取り付けられている。吊掛部材13は、弾性変形可能に2箇所で折り曲げられた帯状に形成されており、初期状態では、図17に示すように折り畳まれている。また、吊掛部材13は、上下動可能に構成されているため、当該装置1’’とリムとが干渉しないように、リムに対する薬液容器2’’および支持体3’’の高さを調整することができる。
【0069】
支持体3’’は、支持体3’’内に着脱可能に取り付けられる下部材15およびカバー部材4’’を備えており、下部材15の周壁32’’の外側に、カバー部材4’’の周壁41’’を嵌合することで、支持体3には、下部材15の上面部16(底壁)と、周壁32’’,41’’(側壁)と、カバー部材4’’の上面部40’’(上壁)とにより囲まれた緩衝室60’’が形成される。この緩衝室60’’は、調整機構6を構成し、連通孔(図示せず)および空気流通孔62’’とともに、上記した実施形態と同様の役割を果たす。なお、カバー部材4’’の側面には、上方に延びるレール部材17が取り付けられており、このレール部材17は、支柱14との間で、吊掛部材13を収容する空間を形成している。
【0070】
カバー部材4’’の上面部40’’の中央部には、薬液容器2’’の排出口21’’に接続され、薬液容器2’’内の薬液を外部へ排出させる排出部材42’’が設けられている。また、カバー部材4’’の周囲には、4つの空気流通孔62’’が、それぞれ設けられている。
【0071】
下部材15の上面部16の中央部には、円形の底孔34’’が形成されている。また、底孔34’’には、嵌合突部50’’設けられており、底孔34’’の周囲には、環状部35’’が立設されている。
【0072】
支持体3’’の側面部31’’には、フラッシュ時に便器内に供給された水が支持体3’’の内部へ浸入したときに、その水を外部へ排出するための開口33’’が形成されている。また、この開口33’’は、薬液容器2’’および支持体3’’の嵌合部分Tから内部に浸入した水を外部に排出するための排水口としても機能する。
【0073】
上記構成の薬液供給装置1’’は、次のように動作する。まず、薬液容器2’’から薬液が排出部材42’’に排出され、支持体3’’の底面部30’’上に供給される。そして、底面部30’’上に供給される薬液をフラッシュ時に便器内に供給される水によってさらうことで、便器内に薬液が供給される。なお、上記構成の薬液供給装置1’’は、底面部30’’上の薬液がフラッシュ時に便器内に供給される水に洗い流されることのない場合にも、経時的に薬液を吐出し、薬液容器2’’内の薬液を直接便器内に供給する機構を備えることもできる。
【0074】
この実施形態においても、図示は省略するが、上記した実施形態と同様に、支持体3’’の側面部31’’の内側面に上下方向に延びる多数の溝を形成したり、側面部31’’の内側面に多数の微細な凹凸を形成したり、側面部31’’の内側面に親水性を付与する親水処理剤を塗布したり、親水処理剤を含ませた合成樹脂材料により支持体3’’を成形したり、支持体3’’を高い保水性を有する焼結体で成形したり、支持体3’’内に、側面部31’’の内側面から所定間隔をあけて遮断壁を設けたりなどすることで、薬液容器2’’および支持体3’’の嵌合部分Tから支持体3’’内に浸入した水を側面部31’’の内側面に沿って下方へ流れるよう促す誘導手段10を支持体3’’に備えることができる。
【0075】
この便器のリムに吊り掛けられて使用されるタイプの薬液供給装置1’’においても、フラッシュ時に便器内に水が勢いよく供給されたり、供給された水が便器内で飛び散ったりすると、薬液容器2’’の表面に水がかかり、そして、水が薬液容器2’’の表面に沿って流下して薬液容器2’’および支持体3’との嵌合部分Tまで伝わるおそれがある。しかし、この場合でも、当該嵌合部分Tから内部に浸入した水は、誘導手段10の作用により、薬液容器2’’の下端面に伝わらずに、支持体3’’の側面部31’’の内側面に沿って下方へ流れ落ちて、開口33’’から外部に排出される。よって、薬液容器2’’および支持体3’’の嵌合部分Tから支持体3’’内に浸入した水が薬液容器2’’の下端面を伝って緩衝室60’’上に流れ落ちることを効果的に抑制でき、空気流通孔62’’を介して緩衝室60’’内に浸入することを防止できる。その結果、内部に貯留された薬液が薄められることを防止できるため、薬液の戻りによる薬液容器2’’内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2’’から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 薬液供給装置
2 薬液容器
3 支持体
6 調整機構
10 誘導手段
11 溝
12 遮断壁
39 開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に薬液が収容される薬液容器と、上部に開口を有するカップ状の支持体とを備え、前記支持体に前記薬液容器を嵌め合わせることで組み立てられる薬液供給装置において、
前記支持体は、前記薬液容器および前記支持体の嵌合部分から内部に浸入する水を内壁面に沿って下方に流す誘導手段を備えている薬液供給装置。
【請求項2】
前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた下方に延びる複数の溝によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項3】
前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた微細な凹凸部によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項4】
前記誘導手段は、表面に親水性を付与する親水処理剤が塗布された前記支持体の内壁面、あるいは、前記親水処理剤を含有する樹脂材料で成形された前記支持体の内壁面によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項5】
前記誘導手段は、前記支持体の内壁面と所定間隔をあけて設けられ、前記薬液容器の下端面を伝って内方へ移動する水を遮断する遮断壁によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項6】
前記誘導手段は、合成樹脂粉末の焼結体で成形された前記支持体の内壁面によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項7】
前記支持体は、前記支持体の内壁面に沿って下方に流れる水を外部に排出する開口を備えている請求項1〜6のいずれかに記載の薬液供給装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の薬液供給装置であって、
水洗トイレの便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに備え、前記薬液容器から排出される薬液を、前記便器内に直接供給する、または、水洗時に前記便器内に供給される流水によりさらうことで前記便器内に供給するように構成された薬液供給装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の薬液供給装置であって、
前記支持体は、水洗トイレの貯水タンク上部の給水受皿に配置され、前記薬液容器から排出される薬液を、前記貯水タンク内に直接供給する、または、水洗時に前記給水受皿に供給される流水によりさらうことで前記貯水タンク内に供給するように構成された薬液供給装置。
【請求項1】
内部に薬液が収容される薬液容器と、上部に開口を有するカップ状の支持体とを備え、前記支持体に前記薬液容器を嵌め合わせることで組み立てられる薬液供給装置において、
前記支持体は、前記薬液容器および前記支持体の嵌合部分から内部に浸入する水を内壁面に沿って下方に流す誘導手段を備えている薬液供給装置。
【請求項2】
前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた下方に延びる複数の溝によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項3】
前記誘導手段は、前記支持体の内壁面に設けられた微細な凹凸部によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項4】
前記誘導手段は、表面に親水性を付与する親水処理剤が塗布された前記支持体の内壁面、あるいは、前記親水処理剤を含有する樹脂材料で成形された前記支持体の内壁面によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項5】
前記誘導手段は、前記支持体の内壁面と所定間隔をあけて設けられ、前記薬液容器の下端面を伝って内方へ移動する水を遮断する遮断壁によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項6】
前記誘導手段は、合成樹脂粉末の焼結体で成形された前記支持体の内壁面によって構成される請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項7】
前記支持体は、前記支持体の内壁面に沿って下方に流れる水を外部に排出する開口を備えている請求項1〜6のいずれかに記載の薬液供給装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の薬液供給装置であって、
水洗トイレの便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに備え、前記薬液容器から排出される薬液を、前記便器内に直接供給する、または、水洗時に前記便器内に供給される流水によりさらうことで前記便器内に供給するように構成された薬液供給装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の薬液供給装置であって、
前記支持体は、水洗トイレの貯水タンク上部の給水受皿に配置され、前記薬液容器から排出される薬液を、前記貯水タンク内に直接供給する、または、水洗時に前記給水受皿に供給される流水によりさらうことで前記貯水タンク内に供給するように構成された薬液供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−79494(P2013−79494A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218779(P2011−218779)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
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