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薬液噴霧装置
説明

薬液噴霧装置

【課題】ダブルチャンバータイプの薬液装置において、薬液を適量自動補給することで、薬液の濃度低下を抑え、噴霧される薬液のミストの薬剤成分濃度を一定に維持することを可能にする。
【解決手段】薬液噴霧装置(1)は、振動を伝達する媒体液を貯留する媒体液容器(32)と、媒体液容器内に配置されて薬液を貯留する薬液貯留カップ(33)と、媒体液を介して薬液貯留カップ内の薬液に超音波振動を伝えて薬液を霧化させる振動発生器(31)と、予測される薬液使用量を自動補給する薬液供給手段(22)と、を備える。これにより、カップ内の薬液が霧化するまでに超音波振動を受ける時間が短くなるので、薬液の濃度低下を抑え、噴霧ミストの薬剤成分濃度を高レベル、かつ、一定に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を超音波振動によって霧化して噴霧する薬液噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液噴霧装置は、殺菌、脱臭を目的として、介護施設、病院、ホテル、大型施設や給食センターの調理室、野菜の鮮度維持などに使用されている。
【0003】
図10は、薬液を貯留する槽を1つだけ使用するタイプの薬液噴霧装置100を示す。薬液噴霧装置100は、専用の薬液ボトル101の装着部102と、装着部102と連通する薬液貯留槽103と、超音波振動発生器104と、ファン105とを備えている。薬液ボトル101は、装着時に開く、弁付きボトルキャップを有している。超音波振動発生器104は、薬液貯留槽103内の薬液106に超音波振動を伝えて霧化するように、該槽103の底面に接続されている。ファン105は、霧化した薬液(噴霧ミスト)を排気口107から噴霧する。
【0004】
下記特許文献1には、前記のタイプの薬液噴霧装置(以下、シングルチャンバータイプの薬液噴霧装置という)が記載されている。また、特許文献2には、薬液を貯留するカップを、超音波振動を伝達する媒体液を収めた媒体液容器内に備え、該媒体液を介してカップ内の薬液を振動して霧化する、いわゆるダブルチャンバータイプの薬液噴霧装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−91240号公報
【特許文献2】特許第2848124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薬液噴霧装置で使用する薬液は、超音波(例えば1600〜2600kHz)振動を受けることによって、有効成分の空気中への揮散、溶液内での自然分解が促進され、有効成分の濃度が低くなって劣化が早まる。前記シングルチャンバータイプの薬液噴霧装置では、薬液槽の深さを、超音波振動と共振する深さ(例えば40mm程)にする必要がある。このため、一度に多量の薬液を槽に注ぐ必要があり、結果、時間当たりに霧化する
薬液の量に比べて多量の薬液が超音波振動を受けて薬液の濃度が低下するという問題がある。
【0007】
一方、前記ダブルチャンバータイプの薬液噴霧装置では、カップに比較的少量の薬液を注ぐだけでよく、前記問題は改善される。しかし、カップに注がれる薬液量が少ないので、空焚き防止のため、薬液の補給を頻繁に行う必要があり、手間がかかる。また、補給の都度、適当な薬液量を補給するのが難しい、という別の問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、ダブルチャンバータイプにおいて、薬液を適量自動補給することで、薬液の濃度低下を抑えることができ、噴霧ミストの薬剤成分濃度を一定に維持することができる薬液噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、振動を伝達する媒体液を貯留する媒体液容器と、該媒体液容器内に配置され、薬液を貯留する薬液貯留カップと、前記媒体液を介して前記薬液貯留カップ内の薬液に超音波振動を伝えて薬液を霧化させる振動発生器と、を備える薬液噴霧装置であって、前記薬液貯留カップに薬液を補給するための薬液を貯留した薬液ボトルの装着部と、超音波振動による時間当たりの薬液の霧化量から求まる薬液使用量を、薬液ボトルから薬液通路を介して前記薬液貯留カップに自動補給する薬液供給手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記薬液噴霧装置において、前記装着部は、前記薬液ボトルを、その吐出口を下方にした逆さまの状態で装着でき、前記薬液噴霧装置は、前記薬液貯留カップの薬液を噴霧するためのエアーを前記薬液貯留カップ内に導入するファン及びエアー通路をさらに備え、前記エアー通路は、前記薬液ボトルの吐出口よりも高い位置に上縁を有し、エアー通路から薬液が装置の外に漏れるのを防ぐ仕切り壁を有していることが好ましい。
【0011】
前記薬液噴霧装置において、前記薬液貯留カップ内の薬液水位を検知する薬液検知センサをさらに備え、前記薬液供給手段による自動補給は、前記センサによる検知信号に応じて行われることが好ましい。
【0012】
前記薬液噴霧装置において、前記媒体液容器の媒体液の表面は、シリコンオイルで覆われていることが好ましい。
【0013】
前記薬液噴霧装置において、前記薬液ボトル内に貯蓄されている薬液は、二酸化塩素水であることが好ましい。
【0014】
前記薬液噴霧装置において、前記薬液供給手段は、前記薬液通路中に配設した通路開閉用の電磁式のバルブ又はポンプと、前記バルブ又はポンプを制御して前記自動補給を行う制御部と、を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薬液貯留カップ内に適量の薬液を自動補給して貯留し、空焚きを防ぎつつ、霧化することができる。この結果、カップ内の薬液が霧化するまで長時間にわたって超音波振動を受けることが無くなり、薬液の濃度低下を抑えることができる。このため、噴霧ミストの薬剤成分濃度は高レベル、かつ、一定(補給前後で変動はあっても、平均して一定であることを意味する)に維持され、安定したものとなる。また、薬液の濃度や噴霧量を変えるだけで、噴霧ミストの濃度は様々なレベルに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例に係る薬液噴霧装置の構成を示す概略断面図。
【図2】上記装置に装着する薬液ボトルの構成を説明するための断面図。
【図3】上記装置に用いられる電磁式のバルブの構成を示し、(a)は開状態を示す断面図、(b)は閉状態を示す断面図。
【図4】上記装置における薬液の自動補給のタイミングチャート。
【図5】本実施例の薬液噴霧装置のカップ内の薬液濃度の時間変化と、従来例の薬液噴霧装置の薬液貯留槽内の薬液濃度の時間変化と、を示す図。
【図6】本発明の第2実施例に係る薬液噴霧装置の構成を示す概略断面図。
【図7】(a)、(b)は、2つの噴霧部6の変形例を示す断面図。
【図8】電磁式のバルブの構成を示し、(a)は開状態を示す断面図、(b)は閉状態を示す断面図。
【図9】上記装置における薬液の自動補給のタイミングチャート。
【図10】従来の薬液噴霧装置の構成を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態の薬液噴霧装置は、振動を伝達する媒体液の容器を介して、該容器内に配置される、薬液貯留カップ内の少量の薬液に超音波振動を伝え、霧化した薬液を噴霧する、いわゆるダブルチャンバータイプの薬液噴霧装置である。該装置は、適当な薬液量として、予測される時間当たりの薬液使用量を、装着されている薬液ボトルから自動補給する薬液供給手段を備える。自動補給することで空焚きを防ぎつつ、ごく少量の薬液を霧化することで、霧化までの間の薬液の濃度低下を抑える。また、補給の都度、薬液貯留カップ内の薬液の量を均一となるように補給する。これにより、薬液貯留カップ内の薬液を、劣化の少ない高濃度の状態に保ち、噴霧ミストの薬剤成分濃度を高レベル、かつ、一定(補給前後で変動はあっても、平均して一定であることを意味する)に維持する。なお、前記時間当たりの薬液使用量とは、自動補給を行う間隔の期間(1分、3分、10分毎等)での薬液使用量を意味する。また、該薬液噴霧装置は、薬液供給手段が故障して、薬液ボトルからの薬液が薬液通路を制限なく通る状態になった場合に薬液ボトル内の圧力と薬液通路外側の圧力とが平衡する水位よりも高い位置(少なくとも薬液ボトルの吐出口よりも高い位置)に、上縁の設定されている仕切り壁を有している。これにより、薬液が装置の外部に漏れ出ることを防ぐ。
【0018】
(第1実施例)
前記特徴を具備した薬液噴霧装置の第1実施例について、添付の図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施例に係る薬液噴霧装置1の構成を説明するための図である。薬液噴霧装置1は、薬液部2と、霧化部3と、を備える。薬液部2は、霧化部3に定量の薬液を自動補給する機構を有している。霧化部3は、いわゆるダブルチャンバータイプの霧化機構を有し、薬液部2から供給された薬液を霧化して噴霧する。後に詳しく説明するが、霧化部3は、薬液が装置の外部に漏れ出ることを防ぐ仕切り壁64を有している。
【0019】
<薬液部>
薬液部2で用いる薬液ボトル5内の薬液5aは、殺菌作用のある液体である。薬液は、一般に、超音波振動を受けることで、有効成分の空気中への揮散、溶液内での自然分解が促進されて、有効成分の濃度が低下し、劣化することが知られている。薬液噴霧装置1は、超音波振動を受けることで著しく劣化することが知られている薬液、例えば、塩素、二酸化塩素水、次亜塩素酸ソーダを薬液として用いる場合に、顕著な薬液劣化防止効果を示す。
【0020】
薬液部2は、専用の薬液ボトル5を下方に向けて逆さ向きに装着する装着部21と、薬液供給手段22と、を備えている。薬液供給手段22は、薬液通路23と、ベローズ方式のバルブ24と、制御部25と、を備えている。薬液通路23は、装着された薬液ボトル5と、霧化部3とを連通する。バルブ24は、装着された薬液ボトル5と薬液通路23との間を開閉する電磁式のバルブである。制御部25は、バルブ24に電気接続されており、予め定めた期間経過毎にバルブ24を開き、薬液5aの自動補給を行う。
【0021】
<霧化部>
霧化部3は、振動発生器31と、媒体液容器32と、薬液貯留カップ33と、噴霧部6と、を備えている。振動発生器31は、例えば1600〜2600kHzの超音波振動を発生する圧電素子31aと、該圧電素子31aの駆動基板31bとを備える。圧電素子31aは、媒体液容器32の底面に、超音波振動を伝達するように、当接して設けられている。
【0022】
媒体液容器32は、振動発生器31上に取り付けられており、薬液貯留カップ33に振動を伝達する媒体液35を容器内に貯留する深さ48mmの容器である。媒体液35は、媒体液容器32底面から伝えられる超音波振動を、薬液貯留カップ33の薬液に効率よく伝達できる粘度の低い流体物、例えば、水を用いる。媒体液35の表面には、媒体液35の蒸発を抑えるため、シリコンオイル36の層が設けられている。媒体液35の蒸発を有効に抑えることができるのであれば、シリコンオイル以外の液体を用いてもよい。なお、媒体液35としてシリコンオイルを用いるのは、シリコンオイルの粘度が高く、超音波振動の伝達率が低いため、好ましくない。
【0023】
媒体液容器32の上面は、蓋37で密閉される。媒体液容器32内には、媒体液35の水位が定めた位置(矢印35aで示す下限位置)にまで低下した場合に、制御部25が備えている警告灯25aを点灯させるフロートスイッチ38が設けられている。該構成を採用することで媒体液35の蒸発を抑え、その水位低下によって超音波振動が薬液貯留カップ33に伝わらなくなることを防ぐとともに、媒体液容器32の空焚きを防ぐ。
【0024】
薬液貯留カップ33は、媒体液容器32より小さく、すり鉢状の底を有し、媒体液35(例えば、350〜400cc)と比べてごく少量(例えば、1〜10cc)の薬液5aを貯留するのに用いる容器である。薬液貯留カップ33は、Oリングシール33a及び固定具33bを用いて蓋37に薬液が漏れ出ないように取り付けられている。薬液貯留カップ33は、その底が媒体液容器32内の媒体液35に浸かり、振動発生器31からの超音波振動が伝わる位置に設けられている。また、霧化効率を高めるため、内部は撥水加工を施すのが好ましい。
【0025】
例えば、薬液貯留カップ33が薄いt0.3mmの樹脂成型品の場合、薬液貯留カップ33は、媒体液容器32内の空気の膨張・収縮により変形する恐れがある。前記媒体液容器32の上側には、内部の空気の膨張・収縮を軽減するための小さな空気穴32aが設けられている。
【0026】
蓋37上には、薬液部2と噴霧部6とを備える薬液・霧化ブロック7がボルト等の固定具(図示せず)で密着固定されている。薬液・霧化ブロック7内において、薬液貯留カップ33上の空間は、薬液通路23と、霧化した薬液を外に噴霧するための噴霧部6の通風管(61、63等)と連通している。
【0027】
噴霧部6は、ミストパイプ61と、ファン62と、エアー通路63と、仕切り壁64と、水滴遮蔽板65と、排気路66と、を備えている。
【0028】
ミストパイプ61は、薬液貯留カップ33の開口部分の直径より小さな外径を有し、該カップ33の上に設けられている。ミストパイプ61は、薬液通路23の吐出口から出る薬液5aが、該ミストパイプ61の外周面に当たり、その後、該外周面に沿って薬液貯留カップ33へと注がれるように、前記薬液・噴霧ブロック7に取り付けられている。ミストパイプ61の上端は、排気路66に連通している。水滴遮蔽板65は、図示するように、傾きをもってミストパイプ61内に設けられており、霧化した薬液5aの内、粒の大きなものを水滴にして再び薬液貯留カップ33に戻す。
【0029】
エアー通路63は、薬液貯留カップ33内で超音波振動によって霧化した薬液を噴霧するためのエアーを、ファン62を用いて薬液貯留カップ33へと導入する。エアー通路63は、薬液・噴霧ブロック7の側面から、ミストパイプ61の外周面の、薬液通路23に向かい合う部分を通って、薬液貯留カップ33へと連通するように設けられている。ファン62は、エアー通路63のエアー入口近傍に設けられている。
【0030】
仕切り壁64は、エアー通路63内に設けられており、図中点線の矢印23aで示す薬液ボトル5の吐出口の位置よりも高い位置に、矢印64aで示す上縁64を有している。仮に、薬液供給手段22が故障して薬液ボトル5からの薬液5aが薬液通路23を制限なく通る状態になった場合、薬液ボトル5内の圧力と薬液ボトル5内の水圧を足した圧力が、ボトル内への気泡の流入が止まり大気圧と平衡する矢印23aの高さまで薬液5aは溢れ出す。仕切り壁64は、このような場合に、薬液5aが薬液噴霧装置1の外側に溢れ出るのを有効に防ぐ。
【0031】
なお、排気路66の出口は、例えば、霧化した薬液を貯める気密な箱状の貯蓄部(図示せず)に連結されてもよい。該箱状の貯蓄部は、霧化した薬液の濃度低下、即ち殺菌効果の低下を防ぎ、中に置かれている被対象物を効率よく消毒・殺菌する。貯蓄部は、例えば、手又は指先を入れて消毒するため、上部に開閉可能な蓋を有するものでもよい。なお、薬液噴霧装置1のファン62上側までの高さは195mm、振動発生器31の幅は125mmで、その奥行きは74mm(図示せず)である。
【0032】
<薬液ボトルと装着部>
図2は、薬液ボトル5と装着部21との構成を示す図である。図2(a)は薬液ボトル5を装着部21に装着する前の状態を示し、図2(b)は装着した状態を示す。薬液ボトル5は、閉止弁51a付きボトルキャップ51と、ボトル本体52と、を備え、ボトルキャップ51を下側に向けた倒立状態で用いる。閉止弁51aは、キャップ51に設けられた開口53と、開口53を開閉する弁54と、弁54の取り付けられた作用棒55と、作用棒55を下方に付勢するばね56と、を備える。閉止弁51aは、本図において作用棒55が押し上げられることによって開く。
【0033】
装着部21は、受部21aと、押し上げピン21bと、流出路22と、を備える。受部21aは、薬液ボトル5のキャップ51に嵌合する形状の凹状部である。押し上げピン21bは、薬液ボトル5の装着部21への装着時、キャップ51の作用棒55を押し上げて閉止弁51aを開く。薬液ボトル5が装着部21に装着された場合、図2(b)に矢印5cで示すように、薬液5bは、薬液ボトル5から、流出路22及びバルブ24を介して薬液通路23へと流れ出る。装着部21とバルブ24との組み合わせは、例えば、薬液ボトル5のボトルキャップ51を上に向けた正立状態で設置し、薬液をポンプで吸い上げて薬液通路23へと供給する場合に比べて、構成が簡単で、コスト低減を図ることができる利点を有する。
【0034】
<バルブ>
図3は、バルブ24の構成を示す図である。図3(a)は、バルブ24が開いている状態を示し、図3(b)は、バルブ24が閉じている状態を示す。バルブ24は、円筒状の本体24aと、本体24a内で摺動可能なプランジャ弁24bと、ばね24cと、磁心を有する電磁コイル24dと、通路24eと、端子24fと、を備える。ばね24cは、プランジャ弁24bを、通路24eを閉じる向きに付勢している。端子24fは、電磁コイル24dから伸びており、制御部25に接続されている。電磁コイル24dは、端子24fにオン信号が入力されている間、プランジャ弁24bをばね24cに抗して引き寄せ、通路24eを開く。
【0035】
制御部25は、例えば、予め定めた期間(以下、期間Lbという)当たりの、超音波振動による薬液の霧化量から、計算により求まる薬液使用量(例えば、1cc)を、期間Lb(例えば、1ccの薬液を3分で霧化する場合、3分)が経過する毎に、薬液ボトル5から薬液通路23を介して薬液貯留カップ33に自動補給する制御を行う。詳しくは、制御部25は、タイマーを備えており、期間Lbが経過する毎に、前記薬液使用量を補給するのに要する期間(以下、期間Paという)だけオン信号を出力する。期間Lb、Paは、計算の他、実験値又は統計データに基づいて定めてもよい。このような制御を行うことによって、薬液を補給するとほぼ同時に霧化を始め、薬液が完全に無くなり、空焚きが始まる直前に自動補給を行うことができる。また、補給の都度、薬液貯留カップ33内の薬液量が均一となるように補給できる。この結果、薬液貯留カップ33内の薬液が霧化するまで長時間にわたって超音波振動を受けることが無くなり、薬液の濃度低下を抑えることができる。このため、噴霧ミストの薬剤成分濃度は高レベル、かつ、一定に維持され、安定したものとなる。それ故、例えば、薬液貯留カップ33内に補給する薬液の濃度を変え、又は、振動発生器31の超音波振動量を制御して噴霧量を変えることによって、噴霧ミストの濃度を様々なレベルに設定することができる。
【0036】
<自動補給>
図4(a)は、制御部25からのオン信号の出力タイミングを示し、図4(b)は、薬液貯留カップ33内の薬液量を示す。制御部25は、装置始動時、期間Paだけオン信号を出力して薬液貯留カップ33に薬液を供給する。制御部25は、この後、期間Lbが経過して前記薬液使用量分の薬液が使用された時に、期間Paだけオン信号を出力する。制御部25は、期間Lbから期間Paを差し引いた期間Taはオフ信号を出力する。オン信号の出力に応じてバルブ24が開き、薬液貯留カップ33に前記薬液使用量の薬液を補給する。図示するように、該制御を行うことで、薬液貯留カップ33内の薬液は、一定の量を保つことができる。
【0037】
<実験結果>
図5は、実験により求められた、薬液噴霧装置1の薬液貯留カップ33内の薬液濃度(ppm)の時間変化(分)を四角の点で示す折れ線グラフと、図9に示した従来例の薬液噴霧装置100の薬液容器内の薬液濃度(ppm)の時間変化(分)を菱形の点で示す折れ線グラフと、を示す。薬液貯留カップ33内の薬液は、数分、即ち薬液濃度が100.0ppmから80.0ppmに低下する間に全て霧化され、その直後に補給される。このため、薬液噴霧装置1は、薬液貯留カップ33内の平均の薬液濃度を高く保つことができる。一方、図9に示した従来例の薬液噴霧装置では、薬液容器内の薬液濃度は、5分経過後に元の略10%に相当する10ppmにまで低下し、15分経過後には、略0ppmにまで低下した。この実験により、薬液噴霧装置1は、薬液貯留カップ33内の薬液量、即ち、薬液濃度を一定に保ちつつ、安定動作することが証明された。例えば、薬液噴霧装置1によって野菜に二酸化塩素水の薬液を噴霧した場合、通常、1週間程度で鮮度が落ちるのに比べて、数週間程度も野菜を新鮮な状態に保つことができた。
【0038】
(第2実施例)
以下、添付の図面を参照しつつ第2実施例に係る薬液噴霧装置について説明する。第2実施例に係る薬液噴霧装置は、薬液貯留カップ内の薬液が、ある水位にまで低下したことを検知するセンサを備え、該センサからの検知信号に応じて薬液の自動補給を行う点で薬液噴霧装置1と主に相違する。該構成を採用することによって、第2実施例の薬液噴霧装置は、製品の製造誤差、設定条件の変化、自然気化等によって、薬液使用量が変化しても、補給の都度、薬液貯留カップ内の薬液の量を均一に保つことができ、図5に示した実験結果よりも、更に安定した高濃度の薬液噴霧を可能にする。
【0039】
図6は、第2実施例に係る薬液噴霧装置8の構成を示す図である。薬液噴霧装置8は、薬液噴霧装置1と異なる構成要素として、薬液ボトル5のガイド板80と、バルブ81と、薬液通路82a、82bと、制御部83と、薬液貯留カップ84と、媒体液容器85と、薬液貯留カップ84の薬液水位検知センサ86と、を備える。薬液噴霧装置1と同等の構成要素には同じ参照番号を付して示し、重複した説明を省く。
【0040】
薬液噴霧装置8は、薬液部2と、霧化部3と、を備える。薬液部2は、専用の薬液ボトル5を下方に向けて逆さ向きに装着するためのガイド板80及び装着部21と、薬液供給手段22と、を備えている。ガイド板80は、矩形の平板(例えば、157.5mm×80mm)であって、直径約70mmの円筒状の薬液ボトル5を差し込み、前記装着部21と共に薬液ボトル5の姿勢を安定させるための開口80aを有している。薬液供給手段22は、電磁式のバルブ81と、薬液通路82a、82bと、制御部83と、を備えている。薬品通路82a、82bは、バルブ81を挟んで連結されている。薬品通路82aの他端は、装着部21の薬液流出口に連結されている。薬品通路82bの他端の薬液吐出口は、薬液貯留カップ84の表面近傍に設けられている。
【0041】
霧化部3は、振動発生器31と、透明の薬液貯留カップ84と、深さ35mmの透明の媒体液容器85と、噴霧部6と、を備えている。薬液貯留カップ84は、媒体液容器85より小さく、すり鉢状の底を有し、媒体液35(例えば、100〜150cc)と比べてごく少量(例えば、1〜10cc)の薬液5aを貯留するのに用いる容器である。薬液貯留カップ84は、Oリングシール84a及び固定具84bを用いて蓋37に薬液が漏れ出ないように取り付けられている。なお、媒体液容器85内の媒体液の膨張・収縮による薬液貯留カップ84の変形を防ぐため、媒体液容器85の上側には小さな空気穴85cが設けられている。薬液貯留カップ84は、その底が媒体液容器85内の媒体液35に浸かり、振動発生器31からの超音波振動が伝わる位置に設けられている。また、媒体液容器85は、該容器を挟むように設けられている一対の発光部と受光部とで光電センサを構成している薬液水位検知センサ86と、媒体液補給口85aと、栓85bと、を備えている。薬液水位検知センサ86は、薬液5aに黄赤色の二酸化塩素水を用いる場合、薬液貯留カップ84内の薬液の水位が、点線86aで示す位置に達した時に、検知信号(トリガ信号tのことであり、以下、検知信号tと記す)を出力する。
【0042】
制御部83は、バルブ81の制御信号入力端子と、薬液水位検知センサ86の検知信号出力端子と、に接続されている。制御部83は、薬液水位検知センサ86からの検知信号tの入力に応じて前記薬液使用量を補給するのに要する期間Paだけバルブ81にオン信号を出力する。
【0043】
薬液噴霧装置8では、薬液部2と噴霧部6とを備える薬液・霧化ブロック7が、支柱87a〜87c等によって、振動発生器31上に間隔をあけて支持されている。該構成を採用することで、透明の媒体液容器85内の媒体液35の残量が目視確認できる。薬液噴霧装置1と同様に、薬液噴霧装置8は、媒体液35上にシリコン層36を設けてもよいし、フロートスイッチ38を備えてもよい(図1を参照)。
【0044】
上記構成の薬液噴霧装置8は、薬液噴霧装置1同様、薬液部2からの薬液を、薬液貯留カップ84内へと注入し、振動発生器31からの超音波振動によって霧化し、噴霧部6から噴霧する。薬液噴霧装置8は、センサ86からの検知信号tに応じて薬液の補給を行うことで、製品の製造誤差、設定条件の変化、自然気化等によって、薬液使用量が変化しても、補給の都度、薬液貯留カップ内の薬液の量を均一に保つことができる。なお、薬液ボトル5のガイド板80までの高さは、300mmであり、振動発生器31の幅は180mmであり、その奥行きは80mmである。
【0045】
図7(a)、(b)は、霧化部6の変形例を示す。図7(a)に示すように、霧化部6のミストパイプ61の直下位置に、水滴遮蔽板65(図1と同じ)を備えてもよい。この場合、粒の大きな水滴が外部に飛散することを防止することができる。また、図7(b)に示すように、霧化部6のミストパイプ61の上方に、傾斜をつけたミスト通路67を設けてもよい。霧化した薬液は実践の矢印に沿って噴霧され、粒の大きな水滴は、点線で示す矢印に沿って薬液貯留カップ84に戻る。該通路を設けることによって、水滴遮蔽板65と同様の効果を得ることができる。
【0046】
図8は、バブル81の構成を示す。図87(a)は、バルブ81が閉じている状態を示し、図8(b)は、バルブ81が開いている状態を示す。バルブ81は、円筒状の本体81aと、本体81a内で摺動可能なプランジャ81bと、ばね81cと、磁心を有する電磁コイル81dと、通路81e、81fと、ダイヤフラム81gと、端子81hと、を備えている。
【0047】
ばね81cは、プランジャ81bを、傘状のダイヤフラム81gを押す方向へと付勢している。電磁コイル81dが通電していない場合、ダイヤフラム81gは、プランジャ81bによって閉塞されている。端子81hは、電磁コイル81dから伸びており、制御部83に接続されている。端子81hにオン信号が入力されている間、電磁コイル81dは、プランジャ81bをばね81cに抗して引き寄せ、図8(b)に示すように、ダイヤフラム81g内の通路81iを薬液5aが通れるようにする。これにより通路81eと通路81fとがつながる。
【0048】
なお、変形例として、ダイヤフラム81gの代わりに、プランジャ81bで1回押下することで、前記薬液使用量の薬液が吐出されるポンプを用いてもよい。例えば、ダイヤフラム81gの代わりに、逆止弁付のダイヤフラムポンプ、チュービングポンプ、または、いわゆるシャンプーディスペンサ型の液体定量吐出器を用いることができる。
【0049】
<自動補給>
図9(a)は、制御部83から期間Paの間出力されるオン信号の出力タイミングを示し、図9(b)は、薬液貯留カップ84内の薬液量を示し、図9(c)は、センサ86の出力する検知信号tを示す。センサ86は、薬液貯留カップ84内の薬液量が予め定めた水位(図6に示した矢印86a)以下になったことを検知し、検知信号tを出力する。前記予め定めた水位とは、薬液貯留カップ84内の薬液が無くなったと判断される空焚き直前の水位が好ましい。制御部83は、この検知信号tの入力を受けてオン信号を出力する。オン信号の出力に応じてバルブ81が開き、薬液貯留カップ84に前記薬液使用量(例えば、1cc)の薬液を補給する。センサ86を用いることで、製品の製造誤差、設定条件の変化、自然気化等によって、薬液使用量が変化しても、補給の都度、薬液貯留カップ84内の薬液の量を均一に保つことができる。また、バルブ81が故障して開きっぱなしの状態になった場合、センサ86からの検知信号tの出力が止まるため、制御部83からの不要なオン信号が出力され続けるのを止めることができるという利点もある。
【0050】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第1実施例の薬液噴霧装置1において、バルブ24、薬液通路23の代わりに、第2実施例の薬液噴霧装置8で用いたバルブ81と薬液通路82a、82bとを用いることができる。または、第1の薬液噴霧装置1において、第2実施例の薬液噴霧装置8で用いた制御部83とセンサ86とを用いて薬液の自動補給を行う構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の薬液噴霧装置は、加湿器、ネブライザー等に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 薬液噴霧装置
5 薬液ボトル
5a 薬液
21 装着部
22 薬液供給手段
31 振動発生器
32 媒体液容器
33 薬液貯留カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を伝達する媒体液を貯留する媒体液容器と、該媒体液容器内に配置され、薬液を貯留する薬液貯留カップと、前記媒体液を介して前記薬液貯留カップ内の薬液に超音波振動を伝えて薬液を霧化させる振動発生器と、を備える薬液噴霧装置であって、
前記薬液貯留カップに薬液を補給するための薬液を貯留した薬液ボトルの装着部と、
超音波振動による時間当たりの薬液の霧化量から求まる薬液使用量を、薬液ボトルから薬液通路を介して前記薬液貯留カップに自動補給する薬液供給手段と、を備えていることを特徴とする薬液噴霧装置。
【請求項2】
前記装着部は、前記薬液ボトルを、その吐出口を下方にした逆さまの状態で装着でき、
前記薬液噴霧装置は、前記薬液貯留カップの薬液を噴霧するためのエアーを前記薬液貯留カップ内に導入するファン及びエアー通路をさらに備え、
前記エアー通路は、前記薬液ボトルの吐出口よりも高い位置に上縁を有し、エアー通路から薬液が装置の外に漏れるのを防ぐ仕切り壁を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の薬液噴霧装置。
【請求項3】
前記薬液貯留カップ内の薬液水位を検知する薬液検知センサをさらに備え、
前記薬液供給手段による自動補給は、前記センサによる検知信号に応じて行われる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薬液噴霧装置。
【請求項4】
前記媒体液容器の媒体液の表面は、シリコンオイルで覆われている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の薬液噴霧装置。
【請求項5】
前記薬液ボトル内に貯蓄されている薬液は、二酸化塩素水である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の薬液噴霧装置。
【請求項6】
前記薬液供給手段は、
前記薬液通路中に配設した通路開閉用の電磁式のバルブ又はポンプと、
前記バルブ又はポンプを制御して前記自動補給を行う制御部と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の薬液噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70631(P2013−70631A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209823(P2011−209823)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000107055)シルバー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】