薬物の皮膚送達のための接着性外皮形成製剤とそれを使用する方法
本発明は、薬物の皮膚送達用の接着性外皮形成製剤に関する。本製剤には、薬物、溶媒担体、及び外皮形成剤を含めることができる。溶媒担体は、1以上の揮発性溶媒を有する揮発性溶媒系と1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系を含んでよく、ここで不揮発性溶媒系は、薬物が持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で送達され得るように、薬物の作用可能な溶解度の範囲内にある薬物の溶解度を有する。本製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有することができる。皮膚へ適用されるとき、本製剤は、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥皮可能層を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、薬物の皮膚送達用に開発された系に概して関する。より特別には、本発明は、皮膚面への適用に適した粘度を有して、持続的に薬物を送達する接着性の固化する剥離可能層を皮膚上に形成する接着性外皮形成製剤に関する。
【0002】
背景技術
従来の皮膚薬物送達系は、概して2つの形態:半固体製剤と皮膚パッチ剤形へ分類することができる。半固体製剤は、軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、又はローション剤を含むいくつかの異なる形態で利用可能であり、皮膚へ局所適用される。皮膚(経皮を含む)パッチ剤形も、マトリックスパッチ構成物及び液体リザバーパッチ構成物を含むいくつかの異なる形態で利用可能である。マトリックスパッチ剤では、バッキングフィルムにコートした接着剤に活性薬を混合する。この薬物を混ぜた接着層は、典型的には直接皮膚上へ適用されて、パッチ剤を皮膚へ固定するための手段としても、薬物の溶媒としても役立つ。逆に、液体リザバーパッチ剤では、薬物は、典型的には、薄い柔軟な容器であり得る薄いバッグにより固定された溶媒系へ取り込まれる。この薄いバッグには、その膜を皮膚へ固定するための接着剤でコートされた透過性又は半透過性の膜表面が含まれる場合がある。この膜は、しばしば、律速膜と呼ばれ(もっとも、それは、送達プロセスにおいて、すべての事例で実際に律速になるわけではない)、薬物を薄いバッグの内側から皮膚へ皮膚送達のために移すことができる。
【0003】
パッチ剤と半固体製剤は、薬物を皮膚の中へ、そして皮膚を通して送達するために広く使用されているが、それらは、ともに重大な限界がある。例えば、ほとんどの半固体製剤は、通常、水及びエタノールのような溶媒を含有するが、それらは揮発性であるので、適用後すぐに蒸発する。そのような溶媒の蒸発は、皮膚薬物送達の有意な減少、又は終結さえ引き起こす場合があり、このことは多くの事例で望まれない場合がある。追加的に、半固体製剤は、しばしば皮膚へ「すり込まれる」が、このことは、薬物製剤が実際に皮膚へ送達されることを必ずしも意味しない。むしろ、この句は、薬物製剤のごく薄い層が皮膚の表面上へ適用されることをしばしば意味する。皮膚へ適用される従来の半固体製剤のそのような薄層は、長い期間の時間にわたる持続的な送達を達成するのに十分な量の活性薬を含有しない可能性がある。追加的に、従来の半固体製剤は、衣類のような物体との接触による非意図的な除去をしばしば受け、これは、持続的な送達を損なう、及び/又は望まれずに衣類を汚す場合がある。半固体製剤中に存在する薬物は、局所の半固体製剤で治療を受けている患者と接触した人へ非意図的に送達される場合もある。
【0004】
マトリックスパッチ剤に関しては、適切に送達されるために、主として溶けた薬物だけが皮膚透過推進力へ貢献するので、薬物は、十分な接着剤中の溶解度を有するべきである。残念ながら、多くの薬物は、十分な皮膚透過推進力を発生するほどは高くない接着剤中の溶解度を有する。さらに、薬物を溶かすのに役立つか又は皮膚透過性を高めるために使用し得る多くの成分(例、液体溶媒と透過エンハンサー)は、多くの接着マトリックス系へ、有効であるのに十分な量で取り込ませることができない場合がある。例えば、機能的なレベルで、これら材料のほとんどは、接着剤の着用特性を不都合に改変する傾向があり得る。添加剤、エンハンサー、賦形剤、等の選択と接着剤ベースのマトリックスパッチ剤における許容量は、それだけで限界的になり得る。例示すると、多くの薬物で、最適な経皮流出は、薬物がある種の液体溶媒系に溶けるときに達成され得るが、典型的なマトリックス剤中の接着剤の薄層は、しばしば、治療上有効であるのに十分な適正な薬物及び/又は添加剤を保持することができない。さらに、密着性及び粘着性のような接着剤の特性は、液体溶媒の存在によって有意に変化させられる場合もある。
【0005】
液体リザバーパッチ剤に関しては、パッチ剤の薄いバッグにより担われる特別な液体又は半固体の溶媒系と薬物が適合したとしても、溶媒系は、透過膜又は半透膜上でコートされる接着層に対しても適合しなければならない;そうでないと、薬物は、接着層により悪影響を受けるかもしれないし、薬物/溶媒系が接着層の粘着性を低下させるかもしれない。これらの剤形の考察に加えて、リザバーパッチ剤は、マトリックスパッチ剤よりかさばり、通常は、製造するのにより高額である。
【0006】
多くのパッチ剤の別の欠点は、バッキングフィルム(マトリックスパッチ剤中の)と薄い液体バッグ(リザバーパッチ剤中の)が典型的には比較的延伸不能な素材から作られるので、それらが通常は、十分に延伸可能でも柔軟でもないことである。身体運動の間に有意に伸ばされる、関節のような皮膚領域上にパッチ剤を適用すれば、パッチ剤と皮膚の間で分離が起こる場合があり、それにより薬物の送達が損なわれる。さらに、皮膚面上のパッチ剤は、身体運動の間の皮膚の広がりを妨げて、不快感を引き起こす場合がある。これらの追加の理由により、パッチ剤は、身体運動の間に広がりと延伸を受ける皮膚領域にとって理想的な剤形ではない。
【0007】
現行の送達系の多くの欠点に照らせば、i)長期の時間にわたりより持続的な薬物送達をもたらす;ii)適用時間の間に、衣類、他の物体、又は人との接触による非意図的な除去を受けない;iii)不快感を引き起こすこと、又は皮膚への不良な接触を伴うことなく、延伸及び広がりを受ける皮膚領域へ適用することができる;及び/又はiv)適用及び使用の後で容易に除去することができる系、製剤、及び/又は方法を提供することが望ましいであろう。
【0008】
発明の要約
皮膚送達の製剤、系、及び/又は方法を、皮膚面への適用に適した粘度を有して、使用の後で容易に剥皮可能又は除去可能である、薬物送達性の固化する剥皮可能層を皮膚上に形成する接着性外皮形成組成物又は製剤の形態で提供することは有利であろうと認識された。このことに従って、薬物の皮膚送達用の接着性外皮形成製剤は、薬物、溶媒担体、及び外皮形成剤を含むことができる。溶媒担体は、1以上の揮発性溶媒を有する揮発性溶媒系と1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系を含んでよく、ここで不揮発性溶媒系は、ほとんどの揮発性溶媒が蒸発した後でも、薬物がある期間の時間にわたり治療上有効な量で送達され得るように、作用可能な溶解度の範囲を薬物に提供する。本製剤は、少なくとも1つの揮発性溶媒の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有することができて、さらに、皮膚面へ適用されるときに、揮発性溶媒の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥皮可能層を該製剤が形成するように、構成され得る。
【0009】
代わりの態様において、薬物を患者へ皮膚送達する方法は、接着性外皮形成製剤を患者の皮膚面へ適用すること、固化する剥皮可能層よりある期間の時間にわたり、そして所望される速度で薬物を皮膚送達すること、及びある期間の時間が経過したか又は所望される量の薬物が送達された後で、固化する剥皮可能層を皮膚より除去することを含むことができる。接着性剥皮可能製剤には、薬物、溶媒担体、及び外皮形成剤を含めることができる。溶媒担体は、1以上の揮発性溶媒を有する揮発性溶媒系と1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系を含んでよく、ここで不揮発性溶媒系は、ほとんどの揮発性溶媒が蒸発した後でも、薬物がある期間の時間にわたり治療上有効な量で送達され得るように、作用可能な溶解度の範囲内にある薬物の溶解度を有する。本製剤は、揮発性溶媒の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有し得る。本製剤を皮膚面へ適用するとき、本製剤は、揮発性溶媒の少なくとも一部が蒸発した後で、固化する剥皮可能層を形成することができる。
【0010】
別の態様において、皮膚薬物送達用の接着性剥皮可能製剤を調製する方法は、皮膚送達に適した薬物を選択する工程;薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内の溶解度を有する1つの不揮発性溶媒から本質的になる不揮発性溶媒系を選択する工程;並びに、薬物と不揮発性溶媒を接着性外皮形成製剤へ製剤化する工程を含むことができる。接着性外皮形成製剤には、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系を含めることができる。接着性外皮形成製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有してよく、皮膚面へ適用してよく、そこでそれは、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥皮可能層を形成する。この態様において、薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な量で送達され続ける。
【0011】
別の態様において、皮膚薬物送達用の接着性外皮形成製剤を調製する方法は、皮膚送達に適した薬物を選択する工程;薬物の溶解度を不揮発性溶媒系に関して作用可能な溶解度の範囲内に位置づける比に従って少なくとも2つの不揮発性溶媒を選択することによって不揮発性溶媒系を形成する工程;並びに薬物と不揮発性溶媒系を接着性外皮形成製剤へ製剤化する工程を含むことができる。接着性外皮形成製剤には、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系を含めてよい。接着性外皮形成製剤はまた、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有してよく、皮膚面へ適用してよく、そこでそれは、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥皮可能層を形成する。薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な量で送達され続けることができる。
【0012】
なお別の態様において、薬物を送達するための固化する剥皮可能層は、薬物、不揮発性溶媒系、及び外皮形成剤を含むことができる。不揮発性溶媒系には、1以上の不揮発性溶媒を含めることができて、薬物が少なくとも2時間の間治療上有効な量で送達され得るように、作用可能な溶解度の範囲を薬物に提供することができる。さらに、剥皮可能層は、裂けること、割れること、又は固化する剥皮可能層が適用される皮膚面からの分離を伴わずに、少なくとも1つの方向において10%まで伸びることができる。
【0013】
なお別の態様において、薬物の皮膚送達用の接着性外皮形成製剤は、薬物、外皮形成剤、及び溶媒担体を含むことができる。溶媒担体には、1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含めてよい。接着性外皮形成製剤を皮膚面へ適用した後で、接着性外皮形成製剤は、第一の領域寸法を有する接触面を有する、固化する剥皮可能層を形成する。固化する剥皮可能層は、第一の領域寸法が、裂けること、割れること、又は外皮形成製剤が適用される皮膚面から分離することなしに、第一の領域寸法より10%大きい第二の領域寸法まで伸ばされることが可能であるように、延伸可能であり得る。さらに、固化する剥離可能層の形成の後で、そして揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、薬物は、治療上有効な量で送達され続ける。
【0014】
本発明の追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明と、本発明の特徴を実施例により例示する図面より明らかになろう。
好ましい態様の詳細な説明
本発明の特別な態様を開示して記載する前に、本明細書に開示する特別な方法及び材料(それ自体、ある程度変動する場合がある)に本発明が限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は、付帯の特許請求項とその同等物によってのみ定義されるので、本明細書に使用する用語は、特別な態様について記載する目的のためだけに使用するのであって、限定することを企図しないことも理解されたい。
【0015】
本発明について記載して特許請求するのに、以下の用語を使用する。
単数形の不定冠詞「a」「an」及び定冠詞「the」には、文脈が明確に他のやり方で指定しなければ、複数の指示物が含まれる。従って、薬物(a drug)への言及には、1以上のそのような組成物への言及が含まれる。
【0016】
本明細書に使用するように、複数の薬物、化合物、及び/又は溶媒は、便宜上、一般的なリストで提示される場合がある。しかしながら、これらのリストは、このリストの各メンバーが別々で独自のメンバーとして個別に同定されるかのように解釈すべきである。従って、そのようなリストのどの個別メンバーも、反対への指摘がなければ、共通群におけるその提示にのみ基づいて、同じリストの他のメンバーの事実上の同等物として解釈してはならない。
【0017】
「皮膚 (skin)」には、ヒトの皮膚、手指、及び足指の爪の表面、並びに、唇、生殖器及び肛門の粘膜、及び鼻腔及び口腔粘膜のように、通常少なくとも部分的に空気へ曝露される粘膜の表面が含まれると定義される。
【0018】
濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で表現又は提示され得る。そのような範囲形式は、単に簡便性と簡潔性のために使用するので、範囲の限界として明確に引用される数値が含まれるだけでなく、その範囲内に含まれる個別の数値又はサブ範囲が(それぞれの数値及びサブ範囲が明確に引用されるかのように)すべて含まれると柔軟に解釈すべきであると理解されたい。例示として、「約0.01〜2.0mm」の数値範囲は、明確に引用される約0.01mm〜約2.0mmの数値が含まれるだけでなく、この指定範囲内の個別の数値及びサブ範囲も含まれると解釈すべきである。従って、この数値範囲に含まれるのは、0.5、0.7、及び1.5のような個別の数値と、0.5〜1.7、0.7〜1.5、及び1.0〜1.5、等のようなサブ範囲である。この同じ原則は、1つだけの数値を引用する範囲へ適用される。さらに、このような解釈は、記載される範囲の幅や特性にかかわりなく適用されるべきである。
【0019】
薬物の「有効量」、「治療上有効な量」、又は「治療上有効な速度」という句は、無毒であるが、薬物が送達される状態を治療する治療上の結果を達成するのに十分な薬物の量又は送達速度を意味する。様々な生物学的要因が、物質の意図されるタスクを遂行するその能力に影響を及ぼす場合があると理解される。故に、「有効量」、「治療上有効な量」、又は「治療上有効な速度」は、いくつかの事例では、そのような生物学的要因に依存する場合がある。さらに、治療効果の達成は、医師や他の有資格の医療従事者により、当該技術分野で知られた評価を使用して測定され得るが、治療に対する個別の変動及び応答により、治療効果の達成が主観的な決定による場合もあると認められている。治療上有効な量又は送達速度の決定は、製薬科学及び医学の当該技術分野の通常の技量内に十分にある。
【0020】
「皮膚薬物送達 (dermal drug delivery)」又は「薬物の皮膚送達 (dermal delivery of drugs)」という句には、経皮と局所の両方の薬物送達が含まれ、皮膚へ、それを通した、又はその中への薬物の送達を意味する。薬物を経皮的に送達するときは、例えば、皮膚、皮膚の真下の組織、皮膚下の局所組織又は臓器、全身循環、及び/又は中枢神経系が標的になり得る。
【0021】
用語「薬物 (drug(s))」は、治療効果を達成するために適応となる皮膚へ、その中へ、又はそれを通して適用される、あらゆる生理活性剤を意味する。これには、伝統的に薬物として確認されている組成物だけでなく、古典的な意味では必ずしも「薬物」とみなされないが、ある状態への治療効果を提供し得る他の生理活性剤(例、過酸化物、湿潤剤、皮膚軟化薬、等)も含まれる。
【0022】
用語「作用可能な溶解度の範囲 (window of operable solubility)」は、ある選択された薬物について不揮発性溶媒系により提供される溶解度範囲を意味する。その薬物の作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度のある不揮発性溶媒系に可溶化した薬物は、許容される皮膚透過推進力(最適又は最適に近い皮膚透過推進力が含まれる)を提供することができる。本発明の接着性剥皮可能製剤中の不揮発性溶媒系の適切な選択物又は製剤は、所望される皮膚又は経皮送達速度をもたらす「作用可能な溶解度の範囲」内に薬物の溶解度があることを確実にするために使用する。言い換えると、皮膚面へ、又はその中への薬物の許容される皮膚送達又は経皮流入/推進力を達成するために、不揮発性溶媒系における薬物の溶解度(これは、その溶媒系の単位容積中に溶かすことができる薬物の最大量である)は、この作用可能な溶解度の範囲内になければならない(例えば、過剰に溶けても、ほとんど溶けなくてもいけない)。
【0023】
一般に、薬物の経皮透過推進力は、溶液が飽和するまでは、不揮発性溶媒系における薬物濃度を高めることによって典型的には増加する。逆に、完全に溶けている所与の薬物濃度では、この推進力は、溶解性を高めるか又は飽和を低めることに伴って、通常減少する。このことは、薬物がより良好な溶解度を有する溶液にはそのままでいる傾向があるという、ある種の物理化学の原理に従って説明することができる。別の言い方をすれば、薬物が溶液と良好な親和性を有する(高い溶解度に反映されるように)場合、薬物は、敢えて溶液の外に出て皮膚へ透過するよりは、溶液状態であり続けようとする。従って、低い経皮流出は、不揮発性溶媒系における不十分な薬物溶解度の結果であり得るばかりでなく、薬物がその不揮発性溶媒系内であまりに「快適である」(高い薬物−不揮発溶媒親和性)ことの結果でもあり得る。故に、許容される薬物送達を達成するには、所与の薬物についての作用可能な溶解度の範囲が存在して、十分な、又は所望される(このことは、必ずというわけではないが、しばしば、最大値に近いことを意味する)経皮推進力を薬物に提供するには、不揮発性溶媒系における薬物の溶解度がその範囲内にあるべきである。この作用可能な溶解度の範囲は、典型的には、各薬物について個別化される。しかしながら、それは、通常、接着性剥皮可能製剤全体の0.01重量%〜40重量%の範囲にあり、多くの薬物で、0.5重量%〜20重量%の範囲にある。
【0024】
この原理をより完全に例証するために、2つの製剤について考察することができる:1つは、1mlの溶媒に100mgの薬物を溶かすことが可能である(溶解度は100mg/mLである)不揮発性溶媒系を有し、もう1つは、同じ薬物について6mg/mlの溶解度の不揮発性溶媒系を有する。5mgの薬物をそれぞれの系の1mLに入れると、いずれもこの薬物を可溶化するであろうが、6mg/mLの不揮発性溶媒系における薬物の推進力のほうが、典型的には、100mg/mLの不揮発性溶媒系によりもたらされる推進力よりずっと大きいであろう。言い換えると、この薬物が両方の系に完全に溶けたとしても、薬物は100mg/mL系とより良好な親和性を有するので、皮膚透過にはより低い推進力を提供することになる。
【0025】
このことは、熱力学と拡散の概念によっても裏付けられる。ここでは、「作用可能な溶解度の範囲」が、皮膚又は粘膜の膜を通して薬物の十分な流出又は量を送達するのに必要とされる、不揮発性溶液における薬物(溶質)活動の範囲を反映する。
【0026】
より定量的には、単位時間の長さ(典型的には、1時間)にわたり皮膚の単位面積(典型的には、1平方センチメートル)を通して透過する薬物の量として定義される、透過の流出量は:
J=PC (1)
[ここで、Cは、溶解した薬物の濃度であり、Pは、皮膚又は粘膜の膜を通過する薬物の透過係数であり、薬物濃度に依存する]により与えられる。Pは、薬物と製剤に依存するが、本発明者が知っているすべてのデータに基づけば、十分に最適化された経皮薬物送達系であっても、通常は、10−5cm/秒より高くはない。
【0027】
等式(1)と観測されるPの上限(cap)は、薬物濃度があまりに低ければ、十分な流出が達成し得ないことを示唆する。薬物濃度は、薬物の製剤中の溶解度により頭打ちになるので、このことは、十分な流出を有するためには、製剤が薬物について一定の溶解度を有さなければならないことを意味する。
【0028】
従って、等式(1)は、その外側では所望されるか又は作用可能な皮膚透過推進力を製剤が生じない、溶解度の範囲が存在するという概念を裏付ける。外皮製剤中の不揮発性溶媒系の適切な選択物、及び/又は製剤を本発明において利用して、所望される経皮特性をもたらすこの「作用可能な溶解度の範囲」内に溶解度があることを確実にする。
【0029】
薬物の「持続送達」へ言及するときの句「実質的に一定」は、ヒト又は無毛マウスの皮膚又は表皮を通過する in vitro 透過性に関して、又は12人以上のヒト患者のプールより回収したデータにより定義することができて、ここでは、特定の期間の時間(2時間又はそれより長い)にわたり平均薬物送達速度の低下が、ピーク薬物送達速度の50%以下である。従って、「実質的に一定」の速度で送達される組成物には、持続期間の時間(例、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、等)の間、実質的に一定で治療上有意な速度で薬物を送達する製剤が含まれる。先に定義したような作用可能な溶解度の範囲を有する不揮発性溶媒系の使用により、持続期間の時間にわたり治療上有意な速度でこの持続送達を達成することができる。
【0030】
「揮発性溶媒系」は、揮発性である単一の溶媒又は溶媒の混合物であってよく、水と水より揮発性である溶媒を含む。
「不揮発性溶媒系」は、水より揮発性でない単一の溶媒又は溶媒の混合物であってよい。ほとんどの不揮発性溶媒系は、揮発性溶媒系の蒸発の後で、ある期間の時間の間に治療効果をもたらすのに十分な流出量で、所与の薬物を患者の皮膚へ、その中へ、又はそれを通して皮膚送達するのに十分な時間の間、固化する剥皮可能層に留まるべきである。ある態様では、活性薬に望まれる溶解度、及び/又は外皮形成剤や製剤の他の成分との適合性を得るために、2以上の不揮発性溶媒の混合物を使用して、不揮発性溶媒系を形成することができる。
【0031】
用語「溶媒担体(solvent vehicle)」は、揮発性溶媒系と不揮発性溶媒系の両方をふくむ組成物について記載する。揮発性溶媒系は、接着性剥皮可能製剤より速やかに蒸発して、固化する剥皮可能層を形成するように選択され、不揮発性溶媒系は、揮発性溶媒系の蒸発の後で薬物の継続送達を達成するために、固化する剥皮可能層とともに実質的に留まるように製剤化又は選択される。典型的には、薬物は、溶媒担体又は製剤全体に一部又は完全に溶かしてよい。同様に、薬物は、揮発性溶媒系が蒸発したならば、不揮発性溶媒系に一部又は完全に溶解可能であってよい。揮発性溶媒系の蒸発の後で薬物が不揮発性溶媒系にごく一部しか溶けない製剤には、薬物送達の間に、溶けた薬物が固化する剥皮可能層より消失するにつれて未溶解の薬物が不揮発性溶媒系へ溶け込むことができるので、より長い期間の持続送達を維持するポテンシャルがある。
【0032】
「接着性剥皮可能製剤 (adhesive peelable formulation)」又は「接着性外皮形成製剤(adhesive peel-forming formulation)」は、その揮発性溶媒の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有して、揮発性溶媒の少なくとも一部の蒸発の後で固化する剥皮可能層(又は外皮)になり得る組成物を意味する。
【0033】
用語「乾燥時間 (drying time)」は、製剤が、標準皮膚及び周囲条件の下で、そして標準の試験法での皮膚への適用の後で固化する非混乱性の表面を形成するのに要する時間を意味する。「標準皮膚」又は「正常皮膚」は、32℃〜36℃の間の表面温度の乾燥した、健康なヒトの皮膚として定義され;標準の周囲条件は、20℃〜25℃で、20%〜80%の相対湿度として定義される。標準試験手順は、以下の通りである。標準の周囲条件で標準皮膚へほぼ0.2mmの層の接着性外皮形成製剤を適用して、乾燥時間を測定する。乾燥時間は、5及び10g/cm2の間の圧力で製剤表面上へ5秒間加圧した100%綿の布切れへの接着により製剤が重量を失わないようにして製剤が非混乱性の表面を形成するのに要する時間として定義される。
【0034】
組成物が皮膚面への「適用に適した (suitable for application)」粘度を有すると言われるとき、このことは、この組成物が、皮膚へ適用された後で組成物が皮膚から実質的に剥がれないほど高い粘度を有するが、それが皮膚上へ容易に広がることができるほどに低い粘度も有することを意味する。この定義に適合する粘度範囲は、100cP〜3,000,000cP(センチポアズ)、そしてより好ましくは、1,000cP〜1,000,000cPに及んでよい。
【0035】
「固化する剥皮可能層 (solidified peelable layer)」又は「外皮 (peel)」は、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後の、接着性外皮形成製剤の固化又は乾燥する層について記載する。外皮は、皮膚に接着したままであり、好ましくは、正常皮膚及び周囲条件の下で、適用の実質的に全体の期間の間、患者の皮膚と良好な接触を維持することが可能である。外皮はまた、1片でも、又はいくつかの大きな切片でも、適用の最後に皮膚から剥がしとることができるほど十分な引張り強さを(皮膚から除去するときに多くの小片へ分裂するか又は砕ける、低い引張り強さの層とは対照的に)明示する。
【0036】
上記の定義を銘記して、本発明は、典型的には、半固体の初期剤形(クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、及び他の粘稠な液剤が含まれる)であり、1つの層として皮膚上へ容易に適用することができて、速やかに(正常皮膚及び周囲条件の下で15秒〜4分)〜やや速やかに(正常皮膚及び周囲条件の下で4〜15分)固化する剥皮可能層又は外皮(例えば、密着性の軟らかい固体層)へ変化する、薬物送達用の新規製剤に関する。このように形成される固化する剥皮可能層又は外皮は、固化する剥皮可能層が形成された後でほとんどの活性薬が送達されるように、実質的に一定の速度で、持続される期間の時間(例えば、数時間〜数十時間)にわたり薬物を皮膚へ、皮膚の中へ、皮膚を通して送達することが可能である。追加的に、この固化する剥皮可能層は、典型的には皮膚へ接着するが、適用の後で比較的速やかに形成され、実質的には、患者が着用しているか又は外皮が意図せずに接触する場合がある衣服や他の物体へ移らないし、他のやり方でそれを汚すことのない、固化する、ほとんど接着しない外面を有する。固化する剥皮可能層はまた、きわめて柔軟で延伸可能であるので、身体運動の間に皮膚が伸びたとしても、膝、指、肘、又は他の関節のような皮膚面との良好な接触を維持することが可能であるように製剤化することができる。
【0037】
使用し得る様々な成分(例、薬物、揮発性溶媒系及び不揮発性溶媒系の溶媒担体、外皮形成剤、等)を選択するときには、様々な考察が浮かび得る。例えば、揮発性溶媒系は、当該技術分野で知られた、医薬品又は化粧品として許容される溶媒より選択することができる。そのような揮発性溶媒系の例には、水、エタノール、プロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、等が含まれる。追加的に、これらの揮発性溶媒は、製剤の残りと適合するように選択すべきである。揮発性溶媒の製剤中の適正な重量百分率を使用することが望ましい。揮発性溶媒系があまりに多いと、乾燥時間が延長される。揮発性溶媒系があまりに少ないと、製剤を皮膚上に広げることが困難になり得る。ほとんどの製剤で、揮発性溶媒の重量百分率は、約2重量%〜約50重量%、そしてより好ましくは、約4重量%〜約30重量%であってよい。
【0038】
不揮発性溶媒系も、外皮形成剤、薬物、揮発性溶媒、及び存在し得る他のあらゆる成分と適合するように選択又は製剤化することができる。例えば、外皮形成剤は、それが不揮発性溶媒系に分散するか又は溶けるように選択してよい。ほとんどの不揮発性溶媒系と溶媒担体は、全体として、実験の後で適切に製剤化する。例えば、ある薬物は、400の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)(PEG400、不揮発性溶媒)に良く溶けるが、グリセロール(不揮発性溶媒)と水(揮発性溶媒)にはほとんど溶けない。しかしながら、PEG400は、ポリビニルアルコール(PVA)を効率よく溶かすことができないので、外皮形成剤のPVAと単独ではあまり適合しない。十分な量の活性薬を溶かして、同時にPVAを外皮形成剤として使用するために、PEG400及びグリセロール(PVAと適合する)を含めた不揮発性溶媒系を適正な比率で製剤化して、適合性の折り合いをつけることができる。適合性のさらなる例として、PVAを含有する外皮製剤へSpan20を製剤化するときには、不揮発性溶媒/フィルム形成剤の不適合性が観察される。この配合であると、Span20は、製剤の外へ分離して、外皮の表面に油層を形成する可能性がある。従って、実施可能な製剤と適合する配合を開発するには、フィルム形成剤/不揮発性溶媒の適正な選択が望ましい。
【0039】
単独で、又は組み合わせて使用して、不揮発性溶媒系を形成する不揮発性溶媒は、多様な医薬的に許容される液剤より選択してよく、それには、限定されないが、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、オイゲノール、メントール、シネオール、又はバラ油のような精油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、オレイン酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、トリアセチン、オレイン酸エチル、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸と他の脂肪酸、及びこれらの混合物が含まれる。上記と他の考察に加えて、不揮発性溶媒系は、固化する剥皮可能層が形成されるときに、この層が柔軟で、延伸可能で、及び/又は他のやり方で「皮膚フレンドリー」であるように、接着性剥皮可能製剤における可塑剤として役立つ場合もある。
【0040】
皮膚に対して刺激性である、ある種の揮発性及び/又は不揮発性溶媒は、薬物の所望される溶解度及び/又は透過性を達成するために使用することが望ましい場合がある。また、皮膚刺激を妨げるか又は抑えることが可能であるとともに、製剤と適合する化合物を加えることが望ましい。例えば、揮発性溶媒が皮膚を刺激することが可能である製剤では、皮膚刺激を抑えることが可能である不揮発性溶媒を使用することが役立つであろう。皮膚刺激を妨げるか又は抑えることが可能であることが知られている溶媒の例には、限定されないが、グリセリン、蜂蜜、及びプロピレングリコールが含まれる。
【0041】
外皮形成剤の選択も、接着性剥皮可能製剤に存在する他の成分を考慮して行ってよい。外皮形成剤は、薬物と溶媒担体(揮発性溶媒と不揮発性溶媒系が含まれる)へ適合するだけでなく、固化する剥皮可能層がひとたび形成されたならばそれへ望ましい物理特性を提供するように選択又は製剤化してよい。薬物、溶媒担体、及び/又は存在し得る他の成分に依存して、外皮形成剤は多様な薬剤より選択してよく、それには、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、ゼラチン、グアーゴム、酸化ポリエチレン、デンプン、キサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースを含めたセルロース誘導体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体と、BASFのKollicoatポリマーのようなメタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、ポリ(メタクリル酸)共重合体及びメチルメタクリレート共重合体のような、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとするポリマー(Rohm & HaasのEudragitポリマー、例えば、Eudragit E、Eudragit RL、Eudragit RSが含まれる)、及び同一又は類似の化学的性質であるが、一般名か又は異なる製品名又は化学品名であるポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。多くの他の膜形成ポリマーも、所与の製剤の溶媒担体成分、薬物、及び特定の機能要件によっては、外皮形成剤として適しているかもしれない。
【0042】
不揮発性溶媒形と外皮形成剤は、互いに適合すべきである。適合性は、i)外皮形成剤は、不揮発性溶媒系の機能に実質的に負の影響を及ぼさない;ii)外皮形成剤は、不揮発性溶媒が実質的に層の外へ漏出しないように、固化する剥皮可能層に不揮発性溶媒系を保持することができる、及びiii)選択される不揮発性溶媒系と外皮形成剤とともに形成される固化する剥皮可能層は、許容される柔軟性、剛性、引張り強さ、伸展性、及び接着性を有するとして定義される。不揮発性溶媒系の外皮形成剤に対する重量比は、約0.01:1〜約2:1であり得る。別の側面において、不揮発性溶媒系と外皮形成剤の間の比は、約0.2:1〜約1.2:1であり得る。
【0043】
いくつかの実際の変数を提供するために、典型的には、活性薬の局所製剤における濃度は、10重量%(製剤全体の重量における活性薬の重量)をめったに上回らない。1つの態様において、製剤の不揮発性溶媒系が製剤全体の重量の30重量%を構成するならば、このことは、この不揮発性溶媒系中の活性薬の濃度が約25重量%であることを意味する。そのような製剤では、この薬物についての不揮発性溶媒系の溶解度が25重量%よりずっと高ければ、透過推進力は、有意に低下するだろう。多くの物理的及び商業的に実施可能な製品における最高の薬物濃度は、有意に10重量%未満であり、このことは、作用可能な溶解度の範囲の上限がその系では有意に低く、よりあり得るには、1重量%〜10重量%の範囲にあることを意味する。
【0044】
皮膚に適用される製剤の層の厚さも、所与の製剤と所望される薬物送達の考察に適正であるべきである。この層が余りに薄ければ、薬物の量は、所望される時間の長さにわたる持続放出を支えるのに十分でないかもしれない。この層があまりに厚ければ、固化する剥皮可能層の非混乱性の外面を形成するのがあまりに長くかかるかもしれない。薬物が非常に強力で、外皮が非常に高い引張り強さを有するならば、0.01mmほどの薄さの層が十分であるかもしれない。薬物がかなり低い効能を有し、外皮が低い引張り強さを有するならば、2〜3mmの厚さの層が必要とされるかもしれない。従って、ほとんどの薬物及び製剤について、適正な厚さは約0.01mm〜約3mm、しかしより典型的には、約0.05mm〜約1mmであり得る。
【0045】
固化する剥皮可能層、又は外皮の柔軟性と延伸可能性は、いくつかの応用では望ましい場合がある。例えば、関節及び筋肉への経皮送達のために、ある種の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を関節及び筋肉へ直接適用することができる。しかしながら、関節とある種の筋肉群の上にある皮膚領域は、身体運動の間にしばしば有意に伸びる。そのような運動は、延伸不能なパッチ剤が良好な皮膚接触を維持することを妨げる。ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、又はその同等物も、上記に述べた理由により使用に適さない場合がある。関節及び/又は筋肉へのNSAIDの経皮送達において、本発明の外皮形成製剤は、それだけで、しばしば独自の利点及び利益を提供することができる。ある応用では、良好な延伸可能性が望まれる場合があることを指摘すべきであるが、本発明の外皮形成製剤が必ずしも延伸可能であることを必要としないのは、本発明のある種の応用が必ずしもこの特性より利益を得ないからである。例えば、にきびを治療するために、顔の狭い領域に本製剤を一晩適用するならば、顔の皮膚は、通常睡眠期の間にさほど伸びないので、外皮が延伸可能でなくても、患者は、不快感と製剤−皮膚の分離をほとんど体験しないだろう。
【0046】
製剤のさらなる特徴は、乾燥時間に関連する。製剤があまりに速く乾燥するならば、使用者には、製剤が固化する前に製剤を皮膚面で薄い層へ広げるのに十分な時間をもてず、不良な皮膚接触をもたらすかもしれない。製剤があまりに遅く乾燥するならば、患者は、固化していない製剤を取り去る可能性がある通常の活動(例、衣服を着ること)を再開する前に長い時間を待たねばならないかもしれない。従って、乾燥時間は、約15秒より長いが約15分よりは短い、そして好ましくは、約0.5分〜約4分であることが望ましい。
【0047】
本発明の固化する剥皮可能層の他の利点には、その材料そのものにより形成され得る物理的障壁の存在が含まれる。例えば、局所麻酔剤とクロニジンのような他の薬剤は、糖尿病性神経障害の疼痛のような、神経障害に関連した疼痛を治療するために局所的に送達することができる。そのような患者の多くは、その皮膚領域にごく穏やかに触れられたときでも激痛を感じるので、固化する剥皮可能層の物理的障壁は、物体や他のものとの偶然の接触により引き起こされる疼痛を防ぐか又は最小化することができる。
【0048】
上記と他の利点は、以下のように要約することができる。本発明の固化する剥皮可能層は、半固体の剤形として適用するのが容易である初期形態で調製することができる。追加的に、揮発性溶媒系の蒸発後すぐに、この剤形は、比較的厚く、従来のクリーム剤、ゲル剤、ローション剤、軟膏剤、ペースト剤、等の典型的な層よりずっと多くの活性薬を含有することができて、さらに、意図しない除去をさほど受けない。揮発性溶媒の蒸発と固化する剥皮可能層の形成の後で、薬物に関するその溶解度が薬物の作用可能な溶解度の範囲内にある、残る不揮発性溶媒系中の薬物は、持続期間の時間にわたり、薬物の望まれる送達速度を提供することができる。さらに、固化する剥皮可能層は接着性で剥皮可能であるので、通常は、溶媒や界面活性剤の助けなしで、固化する剥皮可能層の容易な除去が起こり得る。ある態様では、皮膚への接着と材料の伸展性が、関節や筋肉の上のようなきわめて延伸可能な皮膚領域での皮膚延伸時に、固化する剥皮可能層が皮膚から分離しないほどである。例えば、1つの態様において、固化する剥皮可能層は、割れること、裂けること、又は剥皮可能層が適用される皮膚面から分離することなしに、1つの方向において10%以上まで伸びることができる。別の態様において、皮膚と接触する、固化する剥皮可能層の面積は、割れること、裂けること、又は剥皮可能層が適用される皮膚面から分離することなしに、10%増まで伸びることができる。なおさらに、固化する剥皮可能層は、薬物を有利に送達して、割れることや裂けることなしに、敏感な皮膚領域を保護するように構成することができる。
【0049】
本発明の系、製剤、及び方法より利益を得ることができる応用の具体的な例は、以下の通りである。1つの態様において、糖尿病性及びヘルペス後の神経痛を治療するために、ブピバカイン、リドカイン、又はロピバカインを含む固化する剥皮可能層を製剤化することができる。あるいは、同じ疾患を治療するために、ジブカニンとクロニジンのようなα−2アゴニストを外皮中に製剤化してよい。別の態様において、にきびを治療するために、固化する剥皮可能層においてレチノール酸と過酸化ベンゾイルを配合することができて、またあるいは、にきびを治療するために、1重量%クリンダマイシンと5重量%過酸化ベンゾイルを外皮中に配合してよい。別の態様では、しわを治療するために、レチノール外皮形成製剤(OTC)を調製してよく、また、背痛を治療するためにリドカイン外皮形成製剤を調製してよい。
【0050】
追加の応用には、ある種の皮膚状態、例えば、乾癬、皮膚癌、等(特に、経皮パッチ剤が実用的でない場合がある関節又は筋肉の上で起こるもの)を治療するために薬物を送達することが含まれる。例えば、皮膚癌、一般的ないぼと性器いぼ、及び光化学作用による角化症(actinic keratosis)を治療するために、イミキモドを含有する外皮形成製剤を製剤化することができる。顔や生殖器領域上の口辺ヘルペスのようなヘルペスウイルス感染症を治療するために、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビル、ステロイド、ベヘニルアルコールのような抗ウイルス薬を含有する外皮形成製剤を製剤化することができる。柔組織損傷や、様々な原因の関節及び背中の疼痛のような筋−骨格疼痛を治療するために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、カプサイシン、α−2アゴニスト、及び/又は神経成長因子を含有する外皮形成製剤を製剤化することができる。上記に考察したように、パッチ剤は、特に身体的に活動的な患者では、典型的には、持続期間の時間にわたりこれらの皮膚領域上で良好な接触をもてず、不快感を引き起こす場合もある。同様に、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤のような従来の半固体製剤は、溶媒の蒸発、及び/又は意図しない製剤の除去により、薬物の送達を時期尚早に止めてしまう場合がある。本発明の固化する接着性の製剤は、これらの種類の送達系の両方の欠点に対処する。
【0051】
1つの態様は、神経障害疼痛を治療するために局所適用されるα−2アンタゴニストの群からの薬物を含有する外皮に関連する。α−2アゴニストは、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0052】
追加の態様は、神経障害疼痛を治療するために局所適用されるカプサイシンを含有する外皮製剤に関連する。カプサイシンは、この疼痛を治療するために、持続期間の時間にわたり製剤より徐々に放出される。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0053】
なお別の態様は、背痛、筋肉緊張、又は顔面筋肉痛、又はこれらの組合せの諸症状を治療するために局所適用される、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシンのようなNSAID群より選択される薬物を含有する外皮製剤に関連する。NSAIDは、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0054】
さらなる態様は、神経障害疼痛を治療するために局所適用される、少なくとも1つのα−2アゴニスト薬と少なくとも1つの局所麻酔薬を含有する外皮製剤に関連する。これらの薬物は、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0055】
同様の態様には、皮膚へ局所適用されて疼痛緩和をもたらす、薬物カプサイシンと局所麻酔薬を含有する外皮製剤を含めてよい。別の態様には、局所麻酔薬及びNSAIDの組合せを含有する外皮製剤を含めてよい。上記態様のいずれにおいても、薬物は、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0056】
別の態様では、関節及び筋肉が関連する疾患の原因又は症状を治療する薬物の送達用の外皮形成製剤も、本発明の系、製剤、及び方法より利益を得る場合がある。適用可能であり得るそのような疾患には、限定されないが、骨関節炎(OA)、慢性関節リウマチ(RA)、様々な他の原因の関節及び骨格痛、顔面筋肉痛、筋肉痛、及びスポーツ損傷が含まれる。そのような適用に使用し得る薬物又は薬物群には、限定されないが、ケトプロフェン及びジクロフェナクのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、COX−2選択性NSAID及び薬剤、COX−3選択性NSAID及び薬剤、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインのような局所麻酔薬、デキサメタゾンのようなステロイドが含まれる。
【0057】
にきびや他の皮膚状態の治療用に送達する薬剤も、特に、低い皮膚透過性を有する薬物を送達する場合は、本発明の原理より利益を得る場合がある。現行では、にきびを治療するための局所レチノイド、過酸化物、及び抗生物質は、ほとんどが従来の半固体ゲル剤又はクリーム剤として適用される。しかしながら、上記に記載のような欠点のために、多くの時間にわたる持続送達はあり得ない。例えば、クリンダマイシン、過酸化ベンゾイル、及びエリスロマイシンが有効であり得るのは、十分な量が毛胞へ送達される場合だけである。しかしながら、一般的なにきび医薬品のベンザクリンゲル剤のような半固体製剤は、典型的には、その溶媒(ベンザクリンの場合は、水)の大部分を適用後数分以内に失って、それが薬物の持続送達を実質的に損なう可能性がある。本発明の製剤は、典型的には、この限界を有さない。
【0058】
別の態様において、神経障害疼痛を治療するための薬物の送達も、本発明の方法、系、及び製剤より利益を得る場合がある。局所麻酔剤を含有する、LidodermTMのようなパッチ剤は、ヘルペス後神経痛により引き起こされる疼痛や糖尿病起因性神経障害の疼痛のような、神経障害疼痛を治療するために広く使用される。上記に考察したようなパッチ剤の限界により、本発明に従って調製される固化する剥皮可能層は、いくつかの独自の利益を提供するだけでなく、パッチ剤の使用に対して潜在的により廉価な選択肢を提供する。そのような適用のために送達されることが可能な薬物には、限定されないが、リドカイン、プリロカイン、テトラカイン、ブピビカイン、エチドカインのような局所麻酔薬;並びに、カプサイシンとクロニジンのようなα−2アゴニストが含まれる他の薬物が含まれる。
【0059】
なお別の態様において、いぼや他の皮膚状態を治療するための医薬品の送達も、長期間の持続的な薬物送達より利益を得るだろう。本発明の製剤において使用し得るそのような薬物には、限定されないが、サリチル酸とイミキモドが含まれる。
【0060】
別の態様において、レチノール(ビタミンA)のような天然物質及び栄養素と湿潤剤又は皮膚軟化薬の皮膚への化粧目的での送達も、本発明の系、製剤、及び方法より利益を得る場合がある。
【0061】
さらなる態様は、様々な真菌障害を消失させるか又は緩和するように、シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンのようなアリルアミン誘導体といった抗真菌剤を皮膚へ送達することに関連する。送達は、本発明の系、製剤、及び方法により達成することができる。
【0062】
別の態様では、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せのような抗ウイルス剤の送達。抗ウイルス治療薬は、局所性と全身性の両方のウイルス感染症を治療するために使用し得る。
【0063】
さらなる態様は、局所的及び全身的に標的指向された、抗生物質のような抗感染症薬の送達用の外皮形成製剤に関連する。
使用し得る他の薬物には、湿潤剤、皮膚軟化薬、及び他のスキンケア化合物が含まれる。
【0064】
ある種の薬物及び薬物群の作用可能な溶解度の範囲を以下に例示目的で提供するが、具体的な不揮発性溶媒系がこれらの範囲にある度合いまで影響を及ぼし得ることは留意すべきである。例えば、局所麻酔剤は、約50μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。抗ウイルス剤は、約50μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。非ステロイド性抗炎症剤は、約200μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。イミキモドは、約100μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。テストステロンは、約0.5mg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。α−2アゴニストは、約10μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。抗生物質は、約10μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。カプサイシンは、約10μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。レチノイドは、約5μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。
【0065】
実施例
以下の実施例は、現在のところ最もよくわかっている、本発明の態様を例証する。しかしながら、以下のものは、本発明の原理の応用を例示又は例証するだけであることを理解されたい。当業者は、本発明の精神及び範囲より逸脱することなく、数多くの変更と代わりの組成物、方法、及び系を考案することができる。付帯の特許請求項は、そのような変更と組み合わせ方(arrangements)を含むと企図される。従って、本発明を上記に詳しく述べてきたが、以下の実施例は、本発明の最も実際的で好ましい態様であると現在のところみなされているものに関連して、さらなる詳細を提供するものである。
【0066】
実施例1−皮膚透過性の方法論
本明細書に記載する in vitro 流出試験のモデル膜として無毛マウス皮膚(HMS)を使用した。無毛マウスの腹部より取り出した新鮮に分離した表皮をFranz拡散セルの供与チャンバと受容チャンバの間に慎重に載せた。受容チャンバをpH7.4リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で満たした。試験製剤(実施例2〜5の)を皮膚試料の角質層(SC)上に置くことによって実験を開始した。37℃に維持した加熱ブロックにFranzセルを入れて、HMS温度を35℃に維持した。予め決定した時間間隔で、800μLのアリコートを引き出して、新鮮なPBS溶液に置き換えた。時間に対する透過累積量のプロットの定常状態の傾きより、皮膚流出量(μg/cm2/時間)を決定した。実施例10に記載の in vitro 流出試験では、モデル膜としてヒトの死体の皮膚を使用したことに留意されたい。使用した皮膚のマウンティングとサンプリングの技術は、HMS試験ですでに記載したものと同じであった。
【0067】
実施例2〜5−ケトプロフェンを含む接着性外皮形成製剤と in vitro 試験
ケトプロフェンの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤(これは、皮膚を介した関節及び筋肉への送達に適している)を調製した。これには、飽和量のケトプロフェン(賦形剤混合物中に溶かすことができるより多いケトプロフェン)が賦形剤混合物に含まれて、接着性剥皮可能製剤を形成する(そのいくつかを本発明の態様に従って調製する)。賦形剤混合物は、粘稠で透明な液体であり、表1に示すような成分を使用して調製した。
【0068】
表1.ケトプロフェン外皮形成製剤の成分
【0069】
【表1】
【0070】
実施例2〜5の組成物のそれぞれについて、以下の表2に示すように、ケトプロフェンの流出を試験した:
表2.様々な接着性剥皮可能製剤から無毛マウス皮膚を通過する、ケトプロフェンの35℃での定常状態流出
【0071】
【表2】
【0072】
無毛マウス皮膚の角質層を通して経時的に透過したケトプロフェンの量を図1に示す。
実施例2に記載する製剤に関しては、エタノールと水が揮発性溶媒系を形成するのに対し、グリセロール及びPEG400の1:1混合物が不揮発性溶媒系を形成した。実験により、グリセロールはPEG400よりずっとよくPVAと適合するが、ケトプロフェンには、PEG400のほうがグリセロールに優る溶媒であると判定した。従って、グリセロール及びPEG400の不揮発性溶媒系を一緒に使用して、PVAと適度に適合する一方で、この薬物に適した溶解性を提供した。実施例2の製剤において、PVAとPVPは、外皮形成剤として作用する。さらに、この態様において、グリセロールとPEG400は、揮発性溶媒の蒸発後に形成される接着性剥皮可能製剤中の可塑剤としても作用する。グリセロールとPEGの存在がなければ、PVAとPVPだけで形成される膜は、剛直で、延伸不能であっただろう。図1より見ることができるように、「累積量」対「時間」の間の直線的な関係は、揮発性溶媒の少なくとも一部の蒸発後8時間にわたり、ケトプロフェンが比較的一定の速度で送達されたことを示す。
【0073】
実施例3の製剤に関しては、形成される接着性剥皮可能製剤は、製剤1に類似した物理特性を有したが、無毛マウス皮膚を通過する経皮流出量は、より高かった。このことは、外皮形成剤(実施例2の1:1 PVA:PVP−K−90と実施例3の純PVA)が透過性に影響を及ぼすことを示唆する。
【0074】
実施例4の製剤は、実施例2又は3の製剤より少ないケトプロフェンを送達した。この違いの1つの理由は、不揮発性溶媒系におけるPEG400(ケトプロフェンの良好な溶媒)の低濃度によるものであり、このことがより低い量の溶解ケトプロフェン、ひいてはより低い皮膚流出をもたらしたのかもしれない。治療上有効な量の薬物がこの低い皮膚流出により維持されなければ、本実施例は、溶解度が「作用可能な溶解度の範囲」より低いシナリオを例示する。
【0075】
実施例5の製剤は、実施例2又は3の製剤よりずっと少ないケトプロフェンを送達した。この流出低下の1つのあり得る理由は、不揮発性溶媒系におけるPEG400の高濃度により引き起こされる透過推進力の低下であり、これがケトプロフェンのあまりに高い溶解性をもたらしたと考えられる。これは、溶解度が「作用可能な溶解度」より高いシナリオを例示する。このように、皮膚流出を達成しようとする場合、溶解度があまりに低いことだけが考慮事項になるのではない。この状況では、薬物が不揮発性溶媒系においてあまりに「快適である」か又はあまりに可溶であるので、有効な皮膚流出をもたらすことができなかった。従って、ケトプロフェンの高い溶解度により、有効であるために作用可能な溶解度の範囲の外側に薬物が置かれたのである。
【0076】
実施例3、4、及び5のそれぞれの製剤間の唯一の有意な違いは、不揮発性溶媒系、又はより具体的には、PEG400:グリセロールの重量比に関してである。上記の結果は、皮膚流出に及ぼす不揮発性溶媒系の影響を反映して、治療上有効な量の薬物を皮膚へ、その中へ、又はそれを通して送達するための作用可能な溶解度の範囲内の薬物の溶解度を不揮発性溶媒系が提供するという上記の原理を裏付ける。
【0077】
実施例6−リドカインを含む接着性剥皮可能製剤と in vitro 試験
本発明の態様に従って、飽和量のリドカインが賦形剤混合物に含まれて接着性剥皮可能製剤を形成する、リドカインの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤を調製した。この外皮製剤は、表3に示すような成分より調製した。
【0078】
表3.リドカイン外皮形成製剤の成分
【0079】
【表3】
【0080】
表4.様々な接着性外皮形成製剤から無毛マウス皮膚を通過する、リドカインの35℃での定常状態流出
【0081】
【表4】
【0082】
無毛マウス皮膚の角質層を通して経時的に透過したリドカインの量を図2に示す。
本実施例におけるリドカイン製剤の接着性剥皮可能製剤は、実施例2〜5の製剤に類似した物理特性を有した。無毛マウス皮膚を通過する経皮流出は許容し得るものであり、定常状態の送達が8時間にわたり維持された。
【0083】
実施例7−不揮発性溶媒を使用するロピバカイン流出(ropivacaine flux)
実施例1に記載するようないくつかの飽和不揮発性溶媒において、無毛マウス皮膚を通過するロピバカイン塩基の流出量を定量した。
【0084】
表5.飽和不揮発性溶媒系から無毛マウス皮膚を通過する、ロピバカインの35℃での定常状態流出値
【0085】
【表5】
【0086】
皮膚の神経障害疼痛を治療するには、流出量が10μg/cm2/時間より高い必要があると推定されている。様々な不揮発性溶媒からのロピバカイン流出値の範囲は、いくつかの溶媒が作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有することを例示する。
【0087】
実施例8〜9−ロピバカイン入りの接着性剥皮可能製剤
本発明の態様に従って、特定量のロピバカインが賦形剤混合物に含まれて接着性剥皮可能製剤を形成する、ロピバカインの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤を調製した。この外皮製剤は、以下の成分を含有した:
表6.ロピバカイン剥皮可能製剤の成分
【0088】
【表6】
【0089】
上記の製剤を実施例1に記載のようにHMS皮膚へ適用して、ロピバカイン流出量を測定した。実施例8及び9の製剤で行った in vitro 流出試験からの結果の要約を表7に収載する。
【0090】
表7.様々な接着性剥皮可能製剤から無毛マウス皮膚を通過する、ロピバカインの35℃での定常状態流出
【0091】
【表7】
【0092】
無毛マウス皮膚を通して透過したロピバカインの量を時間の関数として図3に示す。実施例8及び9に記載の製剤に関しては、揮発性溶媒としてエタノールを使用して、不揮発性溶媒系としてISA、グリセロール、及びPGの混合物を使用した。実験により、ISAとプロピレングリコールは、一緒に使用すると、この薬物に適した溶解性を提供する一方で、Eudragit RL−100フィルム形成剤と適合することを確かめた。さらに、この態様において、グリセロールは、エタノール(揮発性溶媒)が蒸発した後で、剥皮可能な製剤中の可塑剤として役立つ。pH調整剤としてのトロラミンの存在は、治療上有効な量の薬物を皮膚中へ送達するのに作用可能な溶解度の範囲内の薬物の溶解性をもたらす。「累積量」対「時間」曲線の直線性は、ロピバカインが8時間の間比較的一定の速度で送達されたことを示す。
【0093】
実施例10−ジクロフェナク(diclofenac)を含む接着性外皮形成製剤
本発明の態様に従って、飽和量のジクロフェナクが賦形剤混合物に含まれて接着性剥皮可能製剤を形成する、ジクロフェナクの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤を調製した。この外皮形成製剤は、以下の成分を含有した:
表8.ジクロフェナク剥皮可能製剤の成分
【0094】
【表8】
【0095】
本製剤は、ヒトの死体の皮膚試料へ適用して、実施例1に記載の方法を使用して皮膚を通過する流出量を測定し、5±2μg/cm2/時間であることを見出した。ヒトの表皮膜を通して経時的に透過したジクロフェナクの量を図4に示す。このジクロフェナク製剤の接着性剥皮可能製剤は、実施例2〜6、及び8、及び9の製剤に類似した物理特性を有した。ヒト皮膚を通過する30時間の経皮流出は、許容し得るものであった。
【0096】
実施例11−接着性剥皮可能製剤の柔軟性
実施例2の製剤組成に類似した製剤(ケトプロフェンなし)を肘関節及び指関節でヒトの皮膚面へ適用して、薄い、透明で、柔軟な、延伸可能な膜を得た。揮発性溶媒(エタノールと水)の蒸発から数分後に、剥皮可能である固化する剥皮可能層が形成された。この延伸可能な膜は、皮膚へ良好に接着して、曲げたときに関節上の皮膚より分離せず、皮膚より容易に剥ぎ取ることができた。
【0097】
実施例12−不揮発性溶媒系と外皮形成剤の適合性
透過性、不揮発性溶媒系と外皮形成剤の間の適合性に及ぼす溶解性の効果を本実施例に示す。イソステアリン酸(ISA)中のロピバカイン塩基の溶解度が約1:4よりやや高いことを実験により確かめた(1グラムのロピバカイン塩基が4グラムのイソステアリン酸に完全に溶け得ることを意味する)。1つの実験では、2種の溶液を作製した:溶液Aには、1分量のロピバカイン塩基と4分量のイソステアリン酸が含まれた。溶液Bには、1分量のロピバカイン塩基、4分量のイソステアリン酸、及び1分量のトロラミンが含まれた(分量は、いずれも重量である)。溶液Aではすべてのロピバカインが溶けたが、溶液Bではごく一部のロピバカインしか溶けなかった。これらの溶液により生じる無毛マウス皮膚を通過する外皮流出を典型的なFranz Cell系により測定して、以下の結果を得た:
表9.無毛マウス皮膚 in vitro を通過する流出量(μg/時間/cm2)
【0098】
【表9】
【0099】
わかるように、溶液Bより産生される流出量は、溶液Aのそれの約4倍である。上記の結果は、トロラミンの添加によるイソステアリン酸(不揮発性溶媒系)中のロピバカイン溶解性の低下が経皮流出を有意に高めたことを実証する。しかしながら、この系をポリビニルアルコール(PVA)ベースの外皮製剤へ取り込む試みは、この製剤中ではPVAが強いpH緩衝剤として作用してトロラミンの効果を阻害したので、失敗した。PVAのpH緩衝能力を打ち消そうとする試みにおいて、さらに多くのトロラミンを添加すると、PVAの所望される外皮形成特性の損失を引き起こした。PVAを別の外皮形成剤、Eudragit RL100(Rohm & Haas)に置き換えると、トロラミンの効果は阻害されず、ほぼ30μg/時間/cm2の流出量を産生することが可能な製剤が得られた。このことは、不揮発性溶媒系と外皮形成剤の間の適合性の利益を実証する。
【0100】
実施例13−ロピバカイン入りの接着性剥皮可能製剤
ロピバカインの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤(関節及び筋肉上の皮膚を介した送達に適している)を以下の成分より調製した:
表10.ロピバカイン外皮形成製剤の成分
【0101】
【表10】
【0102】
上記に収載する成分を以下の手順に従って配合した。Eugragit RL−100とエタノールをガラス瓶に配合して、約60℃へ加熱すると、Eudragit RL−100が完全に溶けた。このEudragit溶液を室温へ冷やしたならば、適正量のロピバカインHClを加えて、1分間徹底的に混合した。この溶液へイソステアリン酸(ISA)を加えて、この混合物を2〜3分間激しく撹拌した。1時間後、この溶液を再び2〜3分間激しく混合した。この溶液へグリセロール、プロピレングリコール、及びトロラミンを連続した順序で加えた。各成分の添加の後で、この溶液を1分間撹拌した。
【0103】
実施例14−ロピバカインの流出
実施例13に従って調製した製剤を実施例1に記載のようにHMSへ適用して、ロピバカイン流出量を測定した。この結果の要約を以下のように表11に収載する:
表11.様々な接着性剥皮可能製剤から無毛マウス皮膚を通過する、ロピバカインの35℃での定常状態流出
【0104】
【表11】
【0105】
実施例13に従って調製したロピバカイン外皮製剤は、許容し得る適用特性(例、サンプル管からの外皮の除去の容易さ、企図される皮膚適用部位で広げることの容易さ、等)を保有して、固化膜を2〜3分のうちに形成した。この固化する剥皮可能層は、2時間のうちにより容易に剥皮可能になり、外皮は、少なくとも12時間の間、意図されない外皮の除去を伴わずに皮膚面へ固定されたままである。企図した使用の最後に、外皮は、1つの連続片で容易に除去される。
【0106】
本発明をある種の好ましい態様を参照に記載したが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修飾、変更、省略、及び代用をなし得ることを理解されよう。故に、本発明は、付帯の特許請求項の範囲によってのみ限定されるべきであると企図される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【図2】図2は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【図3】図3は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【図4】図4は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、薬物の皮膚送達用に開発された系に概して関する。より特別には、本発明は、皮膚面への適用に適した粘度を有して、持続的に薬物を送達する接着性の固化する剥離可能層を皮膚上に形成する接着性外皮形成製剤に関する。
【0002】
背景技術
従来の皮膚薬物送達系は、概して2つの形態:半固体製剤と皮膚パッチ剤形へ分類することができる。半固体製剤は、軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、又はローション剤を含むいくつかの異なる形態で利用可能であり、皮膚へ局所適用される。皮膚(経皮を含む)パッチ剤形も、マトリックスパッチ構成物及び液体リザバーパッチ構成物を含むいくつかの異なる形態で利用可能である。マトリックスパッチ剤では、バッキングフィルムにコートした接着剤に活性薬を混合する。この薬物を混ぜた接着層は、典型的には直接皮膚上へ適用されて、パッチ剤を皮膚へ固定するための手段としても、薬物の溶媒としても役立つ。逆に、液体リザバーパッチ剤では、薬物は、典型的には、薄い柔軟な容器であり得る薄いバッグにより固定された溶媒系へ取り込まれる。この薄いバッグには、その膜を皮膚へ固定するための接着剤でコートされた透過性又は半透過性の膜表面が含まれる場合がある。この膜は、しばしば、律速膜と呼ばれ(もっとも、それは、送達プロセスにおいて、すべての事例で実際に律速になるわけではない)、薬物を薄いバッグの内側から皮膚へ皮膚送達のために移すことができる。
【0003】
パッチ剤と半固体製剤は、薬物を皮膚の中へ、そして皮膚を通して送達するために広く使用されているが、それらは、ともに重大な限界がある。例えば、ほとんどの半固体製剤は、通常、水及びエタノールのような溶媒を含有するが、それらは揮発性であるので、適用後すぐに蒸発する。そのような溶媒の蒸発は、皮膚薬物送達の有意な減少、又は終結さえ引き起こす場合があり、このことは多くの事例で望まれない場合がある。追加的に、半固体製剤は、しばしば皮膚へ「すり込まれる」が、このことは、薬物製剤が実際に皮膚へ送達されることを必ずしも意味しない。むしろ、この句は、薬物製剤のごく薄い層が皮膚の表面上へ適用されることをしばしば意味する。皮膚へ適用される従来の半固体製剤のそのような薄層は、長い期間の時間にわたる持続的な送達を達成するのに十分な量の活性薬を含有しない可能性がある。追加的に、従来の半固体製剤は、衣類のような物体との接触による非意図的な除去をしばしば受け、これは、持続的な送達を損なう、及び/又は望まれずに衣類を汚す場合がある。半固体製剤中に存在する薬物は、局所の半固体製剤で治療を受けている患者と接触した人へ非意図的に送達される場合もある。
【0004】
マトリックスパッチ剤に関しては、適切に送達されるために、主として溶けた薬物だけが皮膚透過推進力へ貢献するので、薬物は、十分な接着剤中の溶解度を有するべきである。残念ながら、多くの薬物は、十分な皮膚透過推進力を発生するほどは高くない接着剤中の溶解度を有する。さらに、薬物を溶かすのに役立つか又は皮膚透過性を高めるために使用し得る多くの成分(例、液体溶媒と透過エンハンサー)は、多くの接着マトリックス系へ、有効であるのに十分な量で取り込ませることができない場合がある。例えば、機能的なレベルで、これら材料のほとんどは、接着剤の着用特性を不都合に改変する傾向があり得る。添加剤、エンハンサー、賦形剤、等の選択と接着剤ベースのマトリックスパッチ剤における許容量は、それだけで限界的になり得る。例示すると、多くの薬物で、最適な経皮流出は、薬物がある種の液体溶媒系に溶けるときに達成され得るが、典型的なマトリックス剤中の接着剤の薄層は、しばしば、治療上有効であるのに十分な適正な薬物及び/又は添加剤を保持することができない。さらに、密着性及び粘着性のような接着剤の特性は、液体溶媒の存在によって有意に変化させられる場合もある。
【0005】
液体リザバーパッチ剤に関しては、パッチ剤の薄いバッグにより担われる特別な液体又は半固体の溶媒系と薬物が適合したとしても、溶媒系は、透過膜又は半透膜上でコートされる接着層に対しても適合しなければならない;そうでないと、薬物は、接着層により悪影響を受けるかもしれないし、薬物/溶媒系が接着層の粘着性を低下させるかもしれない。これらの剤形の考察に加えて、リザバーパッチ剤は、マトリックスパッチ剤よりかさばり、通常は、製造するのにより高額である。
【0006】
多くのパッチ剤の別の欠点は、バッキングフィルム(マトリックスパッチ剤中の)と薄い液体バッグ(リザバーパッチ剤中の)が典型的には比較的延伸不能な素材から作られるので、それらが通常は、十分に延伸可能でも柔軟でもないことである。身体運動の間に有意に伸ばされる、関節のような皮膚領域上にパッチ剤を適用すれば、パッチ剤と皮膚の間で分離が起こる場合があり、それにより薬物の送達が損なわれる。さらに、皮膚面上のパッチ剤は、身体運動の間の皮膚の広がりを妨げて、不快感を引き起こす場合がある。これらの追加の理由により、パッチ剤は、身体運動の間に広がりと延伸を受ける皮膚領域にとって理想的な剤形ではない。
【0007】
現行の送達系の多くの欠点に照らせば、i)長期の時間にわたりより持続的な薬物送達をもたらす;ii)適用時間の間に、衣類、他の物体、又は人との接触による非意図的な除去を受けない;iii)不快感を引き起こすこと、又は皮膚への不良な接触を伴うことなく、延伸及び広がりを受ける皮膚領域へ適用することができる;及び/又はiv)適用及び使用の後で容易に除去することができる系、製剤、及び/又は方法を提供することが望ましいであろう。
【0008】
発明の要約
皮膚送達の製剤、系、及び/又は方法を、皮膚面への適用に適した粘度を有して、使用の後で容易に剥皮可能又は除去可能である、薬物送達性の固化する剥皮可能層を皮膚上に形成する接着性外皮形成組成物又は製剤の形態で提供することは有利であろうと認識された。このことに従って、薬物の皮膚送達用の接着性外皮形成製剤は、薬物、溶媒担体、及び外皮形成剤を含むことができる。溶媒担体は、1以上の揮発性溶媒を有する揮発性溶媒系と1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系を含んでよく、ここで不揮発性溶媒系は、ほとんどの揮発性溶媒が蒸発した後でも、薬物がある期間の時間にわたり治療上有効な量で送達され得るように、作用可能な溶解度の範囲を薬物に提供する。本製剤は、少なくとも1つの揮発性溶媒の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有することができて、さらに、皮膚面へ適用されるときに、揮発性溶媒の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥皮可能層を該製剤が形成するように、構成され得る。
【0009】
代わりの態様において、薬物を患者へ皮膚送達する方法は、接着性外皮形成製剤を患者の皮膚面へ適用すること、固化する剥皮可能層よりある期間の時間にわたり、そして所望される速度で薬物を皮膚送達すること、及びある期間の時間が経過したか又は所望される量の薬物が送達された後で、固化する剥皮可能層を皮膚より除去することを含むことができる。接着性剥皮可能製剤には、薬物、溶媒担体、及び外皮形成剤を含めることができる。溶媒担体は、1以上の揮発性溶媒を有する揮発性溶媒系と1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系を含んでよく、ここで不揮発性溶媒系は、ほとんどの揮発性溶媒が蒸発した後でも、薬物がある期間の時間にわたり治療上有効な量で送達され得るように、作用可能な溶解度の範囲内にある薬物の溶解度を有する。本製剤は、揮発性溶媒の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有し得る。本製剤を皮膚面へ適用するとき、本製剤は、揮発性溶媒の少なくとも一部が蒸発した後で、固化する剥皮可能層を形成することができる。
【0010】
別の態様において、皮膚薬物送達用の接着性剥皮可能製剤を調製する方法は、皮膚送達に適した薬物を選択する工程;薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内の溶解度を有する1つの不揮発性溶媒から本質的になる不揮発性溶媒系を選択する工程;並びに、薬物と不揮発性溶媒を接着性外皮形成製剤へ製剤化する工程を含むことができる。接着性外皮形成製剤には、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系を含めることができる。接着性外皮形成製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有してよく、皮膚面へ適用してよく、そこでそれは、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥皮可能層を形成する。この態様において、薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な量で送達され続ける。
【0011】
別の態様において、皮膚薬物送達用の接着性外皮形成製剤を調製する方法は、皮膚送達に適した薬物を選択する工程;薬物の溶解度を不揮発性溶媒系に関して作用可能な溶解度の範囲内に位置づける比に従って少なくとも2つの不揮発性溶媒を選択することによって不揮発性溶媒系を形成する工程;並びに薬物と不揮発性溶媒系を接着性外皮形成製剤へ製剤化する工程を含むことができる。接着性外皮形成製剤には、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系を含めてよい。接着性外皮形成製剤はまた、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有してよく、皮膚面へ適用してよく、そこでそれは、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥皮可能層を形成する。薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な量で送達され続けることができる。
【0012】
なお別の態様において、薬物を送達するための固化する剥皮可能層は、薬物、不揮発性溶媒系、及び外皮形成剤を含むことができる。不揮発性溶媒系には、1以上の不揮発性溶媒を含めることができて、薬物が少なくとも2時間の間治療上有効な量で送達され得るように、作用可能な溶解度の範囲を薬物に提供することができる。さらに、剥皮可能層は、裂けること、割れること、又は固化する剥皮可能層が適用される皮膚面からの分離を伴わずに、少なくとも1つの方向において10%まで伸びることができる。
【0013】
なお別の態様において、薬物の皮膚送達用の接着性外皮形成製剤は、薬物、外皮形成剤、及び溶媒担体を含むことができる。溶媒担体には、1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含めてよい。接着性外皮形成製剤を皮膚面へ適用した後で、接着性外皮形成製剤は、第一の領域寸法を有する接触面を有する、固化する剥皮可能層を形成する。固化する剥皮可能層は、第一の領域寸法が、裂けること、割れること、又は外皮形成製剤が適用される皮膚面から分離することなしに、第一の領域寸法より10%大きい第二の領域寸法まで伸ばされることが可能であるように、延伸可能であり得る。さらに、固化する剥離可能層の形成の後で、そして揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、薬物は、治療上有効な量で送達され続ける。
【0014】
本発明の追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明と、本発明の特徴を実施例により例示する図面より明らかになろう。
好ましい態様の詳細な説明
本発明の特別な態様を開示して記載する前に、本明細書に開示する特別な方法及び材料(それ自体、ある程度変動する場合がある)に本発明が限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は、付帯の特許請求項とその同等物によってのみ定義されるので、本明細書に使用する用語は、特別な態様について記載する目的のためだけに使用するのであって、限定することを企図しないことも理解されたい。
【0015】
本発明について記載して特許請求するのに、以下の用語を使用する。
単数形の不定冠詞「a」「an」及び定冠詞「the」には、文脈が明確に他のやり方で指定しなければ、複数の指示物が含まれる。従って、薬物(a drug)への言及には、1以上のそのような組成物への言及が含まれる。
【0016】
本明細書に使用するように、複数の薬物、化合物、及び/又は溶媒は、便宜上、一般的なリストで提示される場合がある。しかしながら、これらのリストは、このリストの各メンバーが別々で独自のメンバーとして個別に同定されるかのように解釈すべきである。従って、そのようなリストのどの個別メンバーも、反対への指摘がなければ、共通群におけるその提示にのみ基づいて、同じリストの他のメンバーの事実上の同等物として解釈してはならない。
【0017】
「皮膚 (skin)」には、ヒトの皮膚、手指、及び足指の爪の表面、並びに、唇、生殖器及び肛門の粘膜、及び鼻腔及び口腔粘膜のように、通常少なくとも部分的に空気へ曝露される粘膜の表面が含まれると定義される。
【0018】
濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で表現又は提示され得る。そのような範囲形式は、単に簡便性と簡潔性のために使用するので、範囲の限界として明確に引用される数値が含まれるだけでなく、その範囲内に含まれる個別の数値又はサブ範囲が(それぞれの数値及びサブ範囲が明確に引用されるかのように)すべて含まれると柔軟に解釈すべきであると理解されたい。例示として、「約0.01〜2.0mm」の数値範囲は、明確に引用される約0.01mm〜約2.0mmの数値が含まれるだけでなく、この指定範囲内の個別の数値及びサブ範囲も含まれると解釈すべきである。従って、この数値範囲に含まれるのは、0.5、0.7、及び1.5のような個別の数値と、0.5〜1.7、0.7〜1.5、及び1.0〜1.5、等のようなサブ範囲である。この同じ原則は、1つだけの数値を引用する範囲へ適用される。さらに、このような解釈は、記載される範囲の幅や特性にかかわりなく適用されるべきである。
【0019】
薬物の「有効量」、「治療上有効な量」、又は「治療上有効な速度」という句は、無毒であるが、薬物が送達される状態を治療する治療上の結果を達成するのに十分な薬物の量又は送達速度を意味する。様々な生物学的要因が、物質の意図されるタスクを遂行するその能力に影響を及ぼす場合があると理解される。故に、「有効量」、「治療上有効な量」、又は「治療上有効な速度」は、いくつかの事例では、そのような生物学的要因に依存する場合がある。さらに、治療効果の達成は、医師や他の有資格の医療従事者により、当該技術分野で知られた評価を使用して測定され得るが、治療に対する個別の変動及び応答により、治療効果の達成が主観的な決定による場合もあると認められている。治療上有効な量又は送達速度の決定は、製薬科学及び医学の当該技術分野の通常の技量内に十分にある。
【0020】
「皮膚薬物送達 (dermal drug delivery)」又は「薬物の皮膚送達 (dermal delivery of drugs)」という句には、経皮と局所の両方の薬物送達が含まれ、皮膚へ、それを通した、又はその中への薬物の送達を意味する。薬物を経皮的に送達するときは、例えば、皮膚、皮膚の真下の組織、皮膚下の局所組織又は臓器、全身循環、及び/又は中枢神経系が標的になり得る。
【0021】
用語「薬物 (drug(s))」は、治療効果を達成するために適応となる皮膚へ、その中へ、又はそれを通して適用される、あらゆる生理活性剤を意味する。これには、伝統的に薬物として確認されている組成物だけでなく、古典的な意味では必ずしも「薬物」とみなされないが、ある状態への治療効果を提供し得る他の生理活性剤(例、過酸化物、湿潤剤、皮膚軟化薬、等)も含まれる。
【0022】
用語「作用可能な溶解度の範囲 (window of operable solubility)」は、ある選択された薬物について不揮発性溶媒系により提供される溶解度範囲を意味する。その薬物の作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度のある不揮発性溶媒系に可溶化した薬物は、許容される皮膚透過推進力(最適又は最適に近い皮膚透過推進力が含まれる)を提供することができる。本発明の接着性剥皮可能製剤中の不揮発性溶媒系の適切な選択物又は製剤は、所望される皮膚又は経皮送達速度をもたらす「作用可能な溶解度の範囲」内に薬物の溶解度があることを確実にするために使用する。言い換えると、皮膚面へ、又はその中への薬物の許容される皮膚送達又は経皮流入/推進力を達成するために、不揮発性溶媒系における薬物の溶解度(これは、その溶媒系の単位容積中に溶かすことができる薬物の最大量である)は、この作用可能な溶解度の範囲内になければならない(例えば、過剰に溶けても、ほとんど溶けなくてもいけない)。
【0023】
一般に、薬物の経皮透過推進力は、溶液が飽和するまでは、不揮発性溶媒系における薬物濃度を高めることによって典型的には増加する。逆に、完全に溶けている所与の薬物濃度では、この推進力は、溶解性を高めるか又は飽和を低めることに伴って、通常減少する。このことは、薬物がより良好な溶解度を有する溶液にはそのままでいる傾向があるという、ある種の物理化学の原理に従って説明することができる。別の言い方をすれば、薬物が溶液と良好な親和性を有する(高い溶解度に反映されるように)場合、薬物は、敢えて溶液の外に出て皮膚へ透過するよりは、溶液状態であり続けようとする。従って、低い経皮流出は、不揮発性溶媒系における不十分な薬物溶解度の結果であり得るばかりでなく、薬物がその不揮発性溶媒系内であまりに「快適である」(高い薬物−不揮発溶媒親和性)ことの結果でもあり得る。故に、許容される薬物送達を達成するには、所与の薬物についての作用可能な溶解度の範囲が存在して、十分な、又は所望される(このことは、必ずというわけではないが、しばしば、最大値に近いことを意味する)経皮推進力を薬物に提供するには、不揮発性溶媒系における薬物の溶解度がその範囲内にあるべきである。この作用可能な溶解度の範囲は、典型的には、各薬物について個別化される。しかしながら、それは、通常、接着性剥皮可能製剤全体の0.01重量%〜40重量%の範囲にあり、多くの薬物で、0.5重量%〜20重量%の範囲にある。
【0024】
この原理をより完全に例証するために、2つの製剤について考察することができる:1つは、1mlの溶媒に100mgの薬物を溶かすことが可能である(溶解度は100mg/mLである)不揮発性溶媒系を有し、もう1つは、同じ薬物について6mg/mlの溶解度の不揮発性溶媒系を有する。5mgの薬物をそれぞれの系の1mLに入れると、いずれもこの薬物を可溶化するであろうが、6mg/mLの不揮発性溶媒系における薬物の推進力のほうが、典型的には、100mg/mLの不揮発性溶媒系によりもたらされる推進力よりずっと大きいであろう。言い換えると、この薬物が両方の系に完全に溶けたとしても、薬物は100mg/mL系とより良好な親和性を有するので、皮膚透過にはより低い推進力を提供することになる。
【0025】
このことは、熱力学と拡散の概念によっても裏付けられる。ここでは、「作用可能な溶解度の範囲」が、皮膚又は粘膜の膜を通して薬物の十分な流出又は量を送達するのに必要とされる、不揮発性溶液における薬物(溶質)活動の範囲を反映する。
【0026】
より定量的には、単位時間の長さ(典型的には、1時間)にわたり皮膚の単位面積(典型的には、1平方センチメートル)を通して透過する薬物の量として定義される、透過の流出量は:
J=PC (1)
[ここで、Cは、溶解した薬物の濃度であり、Pは、皮膚又は粘膜の膜を通過する薬物の透過係数であり、薬物濃度に依存する]により与えられる。Pは、薬物と製剤に依存するが、本発明者が知っているすべてのデータに基づけば、十分に最適化された経皮薬物送達系であっても、通常は、10−5cm/秒より高くはない。
【0027】
等式(1)と観測されるPの上限(cap)は、薬物濃度があまりに低ければ、十分な流出が達成し得ないことを示唆する。薬物濃度は、薬物の製剤中の溶解度により頭打ちになるので、このことは、十分な流出を有するためには、製剤が薬物について一定の溶解度を有さなければならないことを意味する。
【0028】
従って、等式(1)は、その外側では所望されるか又は作用可能な皮膚透過推進力を製剤が生じない、溶解度の範囲が存在するという概念を裏付ける。外皮製剤中の不揮発性溶媒系の適切な選択物、及び/又は製剤を本発明において利用して、所望される経皮特性をもたらすこの「作用可能な溶解度の範囲」内に溶解度があることを確実にする。
【0029】
薬物の「持続送達」へ言及するときの句「実質的に一定」は、ヒト又は無毛マウスの皮膚又は表皮を通過する in vitro 透過性に関して、又は12人以上のヒト患者のプールより回収したデータにより定義することができて、ここでは、特定の期間の時間(2時間又はそれより長い)にわたり平均薬物送達速度の低下が、ピーク薬物送達速度の50%以下である。従って、「実質的に一定」の速度で送達される組成物には、持続期間の時間(例、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、等)の間、実質的に一定で治療上有意な速度で薬物を送達する製剤が含まれる。先に定義したような作用可能な溶解度の範囲を有する不揮発性溶媒系の使用により、持続期間の時間にわたり治療上有意な速度でこの持続送達を達成することができる。
【0030】
「揮発性溶媒系」は、揮発性である単一の溶媒又は溶媒の混合物であってよく、水と水より揮発性である溶媒を含む。
「不揮発性溶媒系」は、水より揮発性でない単一の溶媒又は溶媒の混合物であってよい。ほとんどの不揮発性溶媒系は、揮発性溶媒系の蒸発の後で、ある期間の時間の間に治療効果をもたらすのに十分な流出量で、所与の薬物を患者の皮膚へ、その中へ、又はそれを通して皮膚送達するのに十分な時間の間、固化する剥皮可能層に留まるべきである。ある態様では、活性薬に望まれる溶解度、及び/又は外皮形成剤や製剤の他の成分との適合性を得るために、2以上の不揮発性溶媒の混合物を使用して、不揮発性溶媒系を形成することができる。
【0031】
用語「溶媒担体(solvent vehicle)」は、揮発性溶媒系と不揮発性溶媒系の両方をふくむ組成物について記載する。揮発性溶媒系は、接着性剥皮可能製剤より速やかに蒸発して、固化する剥皮可能層を形成するように選択され、不揮発性溶媒系は、揮発性溶媒系の蒸発の後で薬物の継続送達を達成するために、固化する剥皮可能層とともに実質的に留まるように製剤化又は選択される。典型的には、薬物は、溶媒担体又は製剤全体に一部又は完全に溶かしてよい。同様に、薬物は、揮発性溶媒系が蒸発したならば、不揮発性溶媒系に一部又は完全に溶解可能であってよい。揮発性溶媒系の蒸発の後で薬物が不揮発性溶媒系にごく一部しか溶けない製剤には、薬物送達の間に、溶けた薬物が固化する剥皮可能層より消失するにつれて未溶解の薬物が不揮発性溶媒系へ溶け込むことができるので、より長い期間の持続送達を維持するポテンシャルがある。
【0032】
「接着性剥皮可能製剤 (adhesive peelable formulation)」又は「接着性外皮形成製剤(adhesive peel-forming formulation)」は、その揮発性溶媒の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有して、揮発性溶媒の少なくとも一部の蒸発の後で固化する剥皮可能層(又は外皮)になり得る組成物を意味する。
【0033】
用語「乾燥時間 (drying time)」は、製剤が、標準皮膚及び周囲条件の下で、そして標準の試験法での皮膚への適用の後で固化する非混乱性の表面を形成するのに要する時間を意味する。「標準皮膚」又は「正常皮膚」は、32℃〜36℃の間の表面温度の乾燥した、健康なヒトの皮膚として定義され;標準の周囲条件は、20℃〜25℃で、20%〜80%の相対湿度として定義される。標準試験手順は、以下の通りである。標準の周囲条件で標準皮膚へほぼ0.2mmの層の接着性外皮形成製剤を適用して、乾燥時間を測定する。乾燥時間は、5及び10g/cm2の間の圧力で製剤表面上へ5秒間加圧した100%綿の布切れへの接着により製剤が重量を失わないようにして製剤が非混乱性の表面を形成するのに要する時間として定義される。
【0034】
組成物が皮膚面への「適用に適した (suitable for application)」粘度を有すると言われるとき、このことは、この組成物が、皮膚へ適用された後で組成物が皮膚から実質的に剥がれないほど高い粘度を有するが、それが皮膚上へ容易に広がることができるほどに低い粘度も有することを意味する。この定義に適合する粘度範囲は、100cP〜3,000,000cP(センチポアズ)、そしてより好ましくは、1,000cP〜1,000,000cPに及んでよい。
【0035】
「固化する剥皮可能層 (solidified peelable layer)」又は「外皮 (peel)」は、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後の、接着性外皮形成製剤の固化又は乾燥する層について記載する。外皮は、皮膚に接着したままであり、好ましくは、正常皮膚及び周囲条件の下で、適用の実質的に全体の期間の間、患者の皮膚と良好な接触を維持することが可能である。外皮はまた、1片でも、又はいくつかの大きな切片でも、適用の最後に皮膚から剥がしとることができるほど十分な引張り強さを(皮膚から除去するときに多くの小片へ分裂するか又は砕ける、低い引張り強さの層とは対照的に)明示する。
【0036】
上記の定義を銘記して、本発明は、典型的には、半固体の初期剤形(クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、及び他の粘稠な液剤が含まれる)であり、1つの層として皮膚上へ容易に適用することができて、速やかに(正常皮膚及び周囲条件の下で15秒〜4分)〜やや速やかに(正常皮膚及び周囲条件の下で4〜15分)固化する剥皮可能層又は外皮(例えば、密着性の軟らかい固体層)へ変化する、薬物送達用の新規製剤に関する。このように形成される固化する剥皮可能層又は外皮は、固化する剥皮可能層が形成された後でほとんどの活性薬が送達されるように、実質的に一定の速度で、持続される期間の時間(例えば、数時間〜数十時間)にわたり薬物を皮膚へ、皮膚の中へ、皮膚を通して送達することが可能である。追加的に、この固化する剥皮可能層は、典型的には皮膚へ接着するが、適用の後で比較的速やかに形成され、実質的には、患者が着用しているか又は外皮が意図せずに接触する場合がある衣服や他の物体へ移らないし、他のやり方でそれを汚すことのない、固化する、ほとんど接着しない外面を有する。固化する剥皮可能層はまた、きわめて柔軟で延伸可能であるので、身体運動の間に皮膚が伸びたとしても、膝、指、肘、又は他の関節のような皮膚面との良好な接触を維持することが可能であるように製剤化することができる。
【0037】
使用し得る様々な成分(例、薬物、揮発性溶媒系及び不揮発性溶媒系の溶媒担体、外皮形成剤、等)を選択するときには、様々な考察が浮かび得る。例えば、揮発性溶媒系は、当該技術分野で知られた、医薬品又は化粧品として許容される溶媒より選択することができる。そのような揮発性溶媒系の例には、水、エタノール、プロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、等が含まれる。追加的に、これらの揮発性溶媒は、製剤の残りと適合するように選択すべきである。揮発性溶媒の製剤中の適正な重量百分率を使用することが望ましい。揮発性溶媒系があまりに多いと、乾燥時間が延長される。揮発性溶媒系があまりに少ないと、製剤を皮膚上に広げることが困難になり得る。ほとんどの製剤で、揮発性溶媒の重量百分率は、約2重量%〜約50重量%、そしてより好ましくは、約4重量%〜約30重量%であってよい。
【0038】
不揮発性溶媒系も、外皮形成剤、薬物、揮発性溶媒、及び存在し得る他のあらゆる成分と適合するように選択又は製剤化することができる。例えば、外皮形成剤は、それが不揮発性溶媒系に分散するか又は溶けるように選択してよい。ほとんどの不揮発性溶媒系と溶媒担体は、全体として、実験の後で適切に製剤化する。例えば、ある薬物は、400の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)(PEG400、不揮発性溶媒)に良く溶けるが、グリセロール(不揮発性溶媒)と水(揮発性溶媒)にはほとんど溶けない。しかしながら、PEG400は、ポリビニルアルコール(PVA)を効率よく溶かすことができないので、外皮形成剤のPVAと単独ではあまり適合しない。十分な量の活性薬を溶かして、同時にPVAを外皮形成剤として使用するために、PEG400及びグリセロール(PVAと適合する)を含めた不揮発性溶媒系を適正な比率で製剤化して、適合性の折り合いをつけることができる。適合性のさらなる例として、PVAを含有する外皮製剤へSpan20を製剤化するときには、不揮発性溶媒/フィルム形成剤の不適合性が観察される。この配合であると、Span20は、製剤の外へ分離して、外皮の表面に油層を形成する可能性がある。従って、実施可能な製剤と適合する配合を開発するには、フィルム形成剤/不揮発性溶媒の適正な選択が望ましい。
【0039】
単独で、又は組み合わせて使用して、不揮発性溶媒系を形成する不揮発性溶媒は、多様な医薬的に許容される液剤より選択してよく、それには、限定されないが、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、オイゲノール、メントール、シネオール、又はバラ油のような精油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、オレイン酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、トリアセチン、オレイン酸エチル、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸と他の脂肪酸、及びこれらの混合物が含まれる。上記と他の考察に加えて、不揮発性溶媒系は、固化する剥皮可能層が形成されるときに、この層が柔軟で、延伸可能で、及び/又は他のやり方で「皮膚フレンドリー」であるように、接着性剥皮可能製剤における可塑剤として役立つ場合もある。
【0040】
皮膚に対して刺激性である、ある種の揮発性及び/又は不揮発性溶媒は、薬物の所望される溶解度及び/又は透過性を達成するために使用することが望ましい場合がある。また、皮膚刺激を妨げるか又は抑えることが可能であるとともに、製剤と適合する化合物を加えることが望ましい。例えば、揮発性溶媒が皮膚を刺激することが可能である製剤では、皮膚刺激を抑えることが可能である不揮発性溶媒を使用することが役立つであろう。皮膚刺激を妨げるか又は抑えることが可能であることが知られている溶媒の例には、限定されないが、グリセリン、蜂蜜、及びプロピレングリコールが含まれる。
【0041】
外皮形成剤の選択も、接着性剥皮可能製剤に存在する他の成分を考慮して行ってよい。外皮形成剤は、薬物と溶媒担体(揮発性溶媒と不揮発性溶媒系が含まれる)へ適合するだけでなく、固化する剥皮可能層がひとたび形成されたならばそれへ望ましい物理特性を提供するように選択又は製剤化してよい。薬物、溶媒担体、及び/又は存在し得る他の成分に依存して、外皮形成剤は多様な薬剤より選択してよく、それには、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、ゼラチン、グアーゴム、酸化ポリエチレン、デンプン、キサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースを含めたセルロース誘導体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体と、BASFのKollicoatポリマーのようなメタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、ポリ(メタクリル酸)共重合体及びメチルメタクリレート共重合体のような、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとするポリマー(Rohm & HaasのEudragitポリマー、例えば、Eudragit E、Eudragit RL、Eudragit RSが含まれる)、及び同一又は類似の化学的性質であるが、一般名か又は異なる製品名又は化学品名であるポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。多くの他の膜形成ポリマーも、所与の製剤の溶媒担体成分、薬物、及び特定の機能要件によっては、外皮形成剤として適しているかもしれない。
【0042】
不揮発性溶媒形と外皮形成剤は、互いに適合すべきである。適合性は、i)外皮形成剤は、不揮発性溶媒系の機能に実質的に負の影響を及ぼさない;ii)外皮形成剤は、不揮発性溶媒が実質的に層の外へ漏出しないように、固化する剥皮可能層に不揮発性溶媒系を保持することができる、及びiii)選択される不揮発性溶媒系と外皮形成剤とともに形成される固化する剥皮可能層は、許容される柔軟性、剛性、引張り強さ、伸展性、及び接着性を有するとして定義される。不揮発性溶媒系の外皮形成剤に対する重量比は、約0.01:1〜約2:1であり得る。別の側面において、不揮発性溶媒系と外皮形成剤の間の比は、約0.2:1〜約1.2:1であり得る。
【0043】
いくつかの実際の変数を提供するために、典型的には、活性薬の局所製剤における濃度は、10重量%(製剤全体の重量における活性薬の重量)をめったに上回らない。1つの態様において、製剤の不揮発性溶媒系が製剤全体の重量の30重量%を構成するならば、このことは、この不揮発性溶媒系中の活性薬の濃度が約25重量%であることを意味する。そのような製剤では、この薬物についての不揮発性溶媒系の溶解度が25重量%よりずっと高ければ、透過推進力は、有意に低下するだろう。多くの物理的及び商業的に実施可能な製品における最高の薬物濃度は、有意に10重量%未満であり、このことは、作用可能な溶解度の範囲の上限がその系では有意に低く、よりあり得るには、1重量%〜10重量%の範囲にあることを意味する。
【0044】
皮膚に適用される製剤の層の厚さも、所与の製剤と所望される薬物送達の考察に適正であるべきである。この層が余りに薄ければ、薬物の量は、所望される時間の長さにわたる持続放出を支えるのに十分でないかもしれない。この層があまりに厚ければ、固化する剥皮可能層の非混乱性の外面を形成するのがあまりに長くかかるかもしれない。薬物が非常に強力で、外皮が非常に高い引張り強さを有するならば、0.01mmほどの薄さの層が十分であるかもしれない。薬物がかなり低い効能を有し、外皮が低い引張り強さを有するならば、2〜3mmの厚さの層が必要とされるかもしれない。従って、ほとんどの薬物及び製剤について、適正な厚さは約0.01mm〜約3mm、しかしより典型的には、約0.05mm〜約1mmであり得る。
【0045】
固化する剥皮可能層、又は外皮の柔軟性と延伸可能性は、いくつかの応用では望ましい場合がある。例えば、関節及び筋肉への経皮送達のために、ある種の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を関節及び筋肉へ直接適用することができる。しかしながら、関節とある種の筋肉群の上にある皮膚領域は、身体運動の間にしばしば有意に伸びる。そのような運動は、延伸不能なパッチ剤が良好な皮膚接触を維持することを妨げる。ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、又はその同等物も、上記に述べた理由により使用に適さない場合がある。関節及び/又は筋肉へのNSAIDの経皮送達において、本発明の外皮形成製剤は、それだけで、しばしば独自の利点及び利益を提供することができる。ある応用では、良好な延伸可能性が望まれる場合があることを指摘すべきであるが、本発明の外皮形成製剤が必ずしも延伸可能であることを必要としないのは、本発明のある種の応用が必ずしもこの特性より利益を得ないからである。例えば、にきびを治療するために、顔の狭い領域に本製剤を一晩適用するならば、顔の皮膚は、通常睡眠期の間にさほど伸びないので、外皮が延伸可能でなくても、患者は、不快感と製剤−皮膚の分離をほとんど体験しないだろう。
【0046】
製剤のさらなる特徴は、乾燥時間に関連する。製剤があまりに速く乾燥するならば、使用者には、製剤が固化する前に製剤を皮膚面で薄い層へ広げるのに十分な時間をもてず、不良な皮膚接触をもたらすかもしれない。製剤があまりに遅く乾燥するならば、患者は、固化していない製剤を取り去る可能性がある通常の活動(例、衣服を着ること)を再開する前に長い時間を待たねばならないかもしれない。従って、乾燥時間は、約15秒より長いが約15分よりは短い、そして好ましくは、約0.5分〜約4分であることが望ましい。
【0047】
本発明の固化する剥皮可能層の他の利点には、その材料そのものにより形成され得る物理的障壁の存在が含まれる。例えば、局所麻酔剤とクロニジンのような他の薬剤は、糖尿病性神経障害の疼痛のような、神経障害に関連した疼痛を治療するために局所的に送達することができる。そのような患者の多くは、その皮膚領域にごく穏やかに触れられたときでも激痛を感じるので、固化する剥皮可能層の物理的障壁は、物体や他のものとの偶然の接触により引き起こされる疼痛を防ぐか又は最小化することができる。
【0048】
上記と他の利点は、以下のように要約することができる。本発明の固化する剥皮可能層は、半固体の剤形として適用するのが容易である初期形態で調製することができる。追加的に、揮発性溶媒系の蒸発後すぐに、この剤形は、比較的厚く、従来のクリーム剤、ゲル剤、ローション剤、軟膏剤、ペースト剤、等の典型的な層よりずっと多くの活性薬を含有することができて、さらに、意図しない除去をさほど受けない。揮発性溶媒の蒸発と固化する剥皮可能層の形成の後で、薬物に関するその溶解度が薬物の作用可能な溶解度の範囲内にある、残る不揮発性溶媒系中の薬物は、持続期間の時間にわたり、薬物の望まれる送達速度を提供することができる。さらに、固化する剥皮可能層は接着性で剥皮可能であるので、通常は、溶媒や界面活性剤の助けなしで、固化する剥皮可能層の容易な除去が起こり得る。ある態様では、皮膚への接着と材料の伸展性が、関節や筋肉の上のようなきわめて延伸可能な皮膚領域での皮膚延伸時に、固化する剥皮可能層が皮膚から分離しないほどである。例えば、1つの態様において、固化する剥皮可能層は、割れること、裂けること、又は剥皮可能層が適用される皮膚面から分離することなしに、1つの方向において10%以上まで伸びることができる。別の態様において、皮膚と接触する、固化する剥皮可能層の面積は、割れること、裂けること、又は剥皮可能層が適用される皮膚面から分離することなしに、10%増まで伸びることができる。なおさらに、固化する剥皮可能層は、薬物を有利に送達して、割れることや裂けることなしに、敏感な皮膚領域を保護するように構成することができる。
【0049】
本発明の系、製剤、及び方法より利益を得ることができる応用の具体的な例は、以下の通りである。1つの態様において、糖尿病性及びヘルペス後の神経痛を治療するために、ブピバカイン、リドカイン、又はロピバカインを含む固化する剥皮可能層を製剤化することができる。あるいは、同じ疾患を治療するために、ジブカニンとクロニジンのようなα−2アゴニストを外皮中に製剤化してよい。別の態様において、にきびを治療するために、固化する剥皮可能層においてレチノール酸と過酸化ベンゾイルを配合することができて、またあるいは、にきびを治療するために、1重量%クリンダマイシンと5重量%過酸化ベンゾイルを外皮中に配合してよい。別の態様では、しわを治療するために、レチノール外皮形成製剤(OTC)を調製してよく、また、背痛を治療するためにリドカイン外皮形成製剤を調製してよい。
【0050】
追加の応用には、ある種の皮膚状態、例えば、乾癬、皮膚癌、等(特に、経皮パッチ剤が実用的でない場合がある関節又は筋肉の上で起こるもの)を治療するために薬物を送達することが含まれる。例えば、皮膚癌、一般的ないぼと性器いぼ、及び光化学作用による角化症(actinic keratosis)を治療するために、イミキモドを含有する外皮形成製剤を製剤化することができる。顔や生殖器領域上の口辺ヘルペスのようなヘルペスウイルス感染症を治療するために、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビル、ステロイド、ベヘニルアルコールのような抗ウイルス薬を含有する外皮形成製剤を製剤化することができる。柔組織損傷や、様々な原因の関節及び背中の疼痛のような筋−骨格疼痛を治療するために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、カプサイシン、α−2アゴニスト、及び/又は神経成長因子を含有する外皮形成製剤を製剤化することができる。上記に考察したように、パッチ剤は、特に身体的に活動的な患者では、典型的には、持続期間の時間にわたりこれらの皮膚領域上で良好な接触をもてず、不快感を引き起こす場合もある。同様に、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤のような従来の半固体製剤は、溶媒の蒸発、及び/又は意図しない製剤の除去により、薬物の送達を時期尚早に止めてしまう場合がある。本発明の固化する接着性の製剤は、これらの種類の送達系の両方の欠点に対処する。
【0051】
1つの態様は、神経障害疼痛を治療するために局所適用されるα−2アンタゴニストの群からの薬物を含有する外皮に関連する。α−2アゴニストは、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0052】
追加の態様は、神経障害疼痛を治療するために局所適用されるカプサイシンを含有する外皮製剤に関連する。カプサイシンは、この疼痛を治療するために、持続期間の時間にわたり製剤より徐々に放出される。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0053】
なお別の態様は、背痛、筋肉緊張、又は顔面筋肉痛、又はこれらの組合せの諸症状を治療するために局所適用される、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシンのようなNSAID群より選択される薬物を含有する外皮製剤に関連する。NSAIDは、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0054】
さらなる態様は、神経障害疼痛を治療するために局所適用される、少なくとも1つのα−2アゴニスト薬と少なくとも1つの局所麻酔薬を含有する外皮製剤に関連する。これらの薬物は、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0055】
同様の態様には、皮膚へ局所適用されて疼痛緩和をもたらす、薬物カプサイシンと局所麻酔薬を含有する外皮製剤を含めてよい。別の態様には、局所麻酔薬及びNSAIDの組合せを含有する外皮製剤を含めてよい。上記態様のいずれにおいても、薬物は、製剤より徐々に放出されて、持続期間の時間にわたる疼痛緩和を提供する。この製剤は、2〜4分後に、密着した柔らかな固体になり得て、その適用の長さの間、体表へ接着したままである。それは、乾燥後いつでも容易に除去されて、残留の製剤を皮膚面に残さない。
【0056】
別の態様では、関節及び筋肉が関連する疾患の原因又は症状を治療する薬物の送達用の外皮形成製剤も、本発明の系、製剤、及び方法より利益を得る場合がある。適用可能であり得るそのような疾患には、限定されないが、骨関節炎(OA)、慢性関節リウマチ(RA)、様々な他の原因の関節及び骨格痛、顔面筋肉痛、筋肉痛、及びスポーツ損傷が含まれる。そのような適用に使用し得る薬物又は薬物群には、限定されないが、ケトプロフェン及びジクロフェナクのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、COX−2選択性NSAID及び薬剤、COX−3選択性NSAID及び薬剤、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインのような局所麻酔薬、デキサメタゾンのようなステロイドが含まれる。
【0057】
にきびや他の皮膚状態の治療用に送達する薬剤も、特に、低い皮膚透過性を有する薬物を送達する場合は、本発明の原理より利益を得る場合がある。現行では、にきびを治療するための局所レチノイド、過酸化物、及び抗生物質は、ほとんどが従来の半固体ゲル剤又はクリーム剤として適用される。しかしながら、上記に記載のような欠点のために、多くの時間にわたる持続送達はあり得ない。例えば、クリンダマイシン、過酸化ベンゾイル、及びエリスロマイシンが有効であり得るのは、十分な量が毛胞へ送達される場合だけである。しかしながら、一般的なにきび医薬品のベンザクリンゲル剤のような半固体製剤は、典型的には、その溶媒(ベンザクリンの場合は、水)の大部分を適用後数分以内に失って、それが薬物の持続送達を実質的に損なう可能性がある。本発明の製剤は、典型的には、この限界を有さない。
【0058】
別の態様において、神経障害疼痛を治療するための薬物の送達も、本発明の方法、系、及び製剤より利益を得る場合がある。局所麻酔剤を含有する、LidodermTMのようなパッチ剤は、ヘルペス後神経痛により引き起こされる疼痛や糖尿病起因性神経障害の疼痛のような、神経障害疼痛を治療するために広く使用される。上記に考察したようなパッチ剤の限界により、本発明に従って調製される固化する剥皮可能層は、いくつかの独自の利益を提供するだけでなく、パッチ剤の使用に対して潜在的により廉価な選択肢を提供する。そのような適用のために送達されることが可能な薬物には、限定されないが、リドカイン、プリロカイン、テトラカイン、ブピビカイン、エチドカインのような局所麻酔薬;並びに、カプサイシンとクロニジンのようなα−2アゴニストが含まれる他の薬物が含まれる。
【0059】
なお別の態様において、いぼや他の皮膚状態を治療するための医薬品の送達も、長期間の持続的な薬物送達より利益を得るだろう。本発明の製剤において使用し得るそのような薬物には、限定されないが、サリチル酸とイミキモドが含まれる。
【0060】
別の態様において、レチノール(ビタミンA)のような天然物質及び栄養素と湿潤剤又は皮膚軟化薬の皮膚への化粧目的での送達も、本発明の系、製剤、及び方法より利益を得る場合がある。
【0061】
さらなる態様は、様々な真菌障害を消失させるか又は緩和するように、シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンのようなアリルアミン誘導体といった抗真菌剤を皮膚へ送達することに関連する。送達は、本発明の系、製剤、及び方法により達成することができる。
【0062】
別の態様では、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せのような抗ウイルス剤の送達。抗ウイルス治療薬は、局所性と全身性の両方のウイルス感染症を治療するために使用し得る。
【0063】
さらなる態様は、局所的及び全身的に標的指向された、抗生物質のような抗感染症薬の送達用の外皮形成製剤に関連する。
使用し得る他の薬物には、湿潤剤、皮膚軟化薬、及び他のスキンケア化合物が含まれる。
【0064】
ある種の薬物及び薬物群の作用可能な溶解度の範囲を以下に例示目的で提供するが、具体的な不揮発性溶媒系がこれらの範囲にある度合いまで影響を及ぼし得ることは留意すべきである。例えば、局所麻酔剤は、約50μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。抗ウイルス剤は、約50μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。非ステロイド性抗炎症剤は、約200μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。イミキモドは、約100μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。テストステロンは、約0.5mg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。α−2アゴニストは、約10μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。抗生物質は、約10μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは1mg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。カプサイシンは、約10μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。レチノイドは、約5μg/g〜約400mg/g、そして好ましくは100μg/g〜200mg/gの作用可能な溶解度の範囲を有する場合がある。
【0065】
実施例
以下の実施例は、現在のところ最もよくわかっている、本発明の態様を例証する。しかしながら、以下のものは、本発明の原理の応用を例示又は例証するだけであることを理解されたい。当業者は、本発明の精神及び範囲より逸脱することなく、数多くの変更と代わりの組成物、方法、及び系を考案することができる。付帯の特許請求項は、そのような変更と組み合わせ方(arrangements)を含むと企図される。従って、本発明を上記に詳しく述べてきたが、以下の実施例は、本発明の最も実際的で好ましい態様であると現在のところみなされているものに関連して、さらなる詳細を提供するものである。
【0066】
実施例1−皮膚透過性の方法論
本明細書に記載する in vitro 流出試験のモデル膜として無毛マウス皮膚(HMS)を使用した。無毛マウスの腹部より取り出した新鮮に分離した表皮をFranz拡散セルの供与チャンバと受容チャンバの間に慎重に載せた。受容チャンバをpH7.4リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で満たした。試験製剤(実施例2〜5の)を皮膚試料の角質層(SC)上に置くことによって実験を開始した。37℃に維持した加熱ブロックにFranzセルを入れて、HMS温度を35℃に維持した。予め決定した時間間隔で、800μLのアリコートを引き出して、新鮮なPBS溶液に置き換えた。時間に対する透過累積量のプロットの定常状態の傾きより、皮膚流出量(μg/cm2/時間)を決定した。実施例10に記載の in vitro 流出試験では、モデル膜としてヒトの死体の皮膚を使用したことに留意されたい。使用した皮膚のマウンティングとサンプリングの技術は、HMS試験ですでに記載したものと同じであった。
【0067】
実施例2〜5−ケトプロフェンを含む接着性外皮形成製剤と in vitro 試験
ケトプロフェンの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤(これは、皮膚を介した関節及び筋肉への送達に適している)を調製した。これには、飽和量のケトプロフェン(賦形剤混合物中に溶かすことができるより多いケトプロフェン)が賦形剤混合物に含まれて、接着性剥皮可能製剤を形成する(そのいくつかを本発明の態様に従って調製する)。賦形剤混合物は、粘稠で透明な液体であり、表1に示すような成分を使用して調製した。
【0068】
表1.ケトプロフェン外皮形成製剤の成分
【0069】
【表1】
【0070】
実施例2〜5の組成物のそれぞれについて、以下の表2に示すように、ケトプロフェンの流出を試験した:
表2.様々な接着性剥皮可能製剤から無毛マウス皮膚を通過する、ケトプロフェンの35℃での定常状態流出
【0071】
【表2】
【0072】
無毛マウス皮膚の角質層を通して経時的に透過したケトプロフェンの量を図1に示す。
実施例2に記載する製剤に関しては、エタノールと水が揮発性溶媒系を形成するのに対し、グリセロール及びPEG400の1:1混合物が不揮発性溶媒系を形成した。実験により、グリセロールはPEG400よりずっとよくPVAと適合するが、ケトプロフェンには、PEG400のほうがグリセロールに優る溶媒であると判定した。従って、グリセロール及びPEG400の不揮発性溶媒系を一緒に使用して、PVAと適度に適合する一方で、この薬物に適した溶解性を提供した。実施例2の製剤において、PVAとPVPは、外皮形成剤として作用する。さらに、この態様において、グリセロールとPEG400は、揮発性溶媒の蒸発後に形成される接着性剥皮可能製剤中の可塑剤としても作用する。グリセロールとPEGの存在がなければ、PVAとPVPだけで形成される膜は、剛直で、延伸不能であっただろう。図1より見ることができるように、「累積量」対「時間」の間の直線的な関係は、揮発性溶媒の少なくとも一部の蒸発後8時間にわたり、ケトプロフェンが比較的一定の速度で送達されたことを示す。
【0073】
実施例3の製剤に関しては、形成される接着性剥皮可能製剤は、製剤1に類似した物理特性を有したが、無毛マウス皮膚を通過する経皮流出量は、より高かった。このことは、外皮形成剤(実施例2の1:1 PVA:PVP−K−90と実施例3の純PVA)が透過性に影響を及ぼすことを示唆する。
【0074】
実施例4の製剤は、実施例2又は3の製剤より少ないケトプロフェンを送達した。この違いの1つの理由は、不揮発性溶媒系におけるPEG400(ケトプロフェンの良好な溶媒)の低濃度によるものであり、このことがより低い量の溶解ケトプロフェン、ひいてはより低い皮膚流出をもたらしたのかもしれない。治療上有効な量の薬物がこの低い皮膚流出により維持されなければ、本実施例は、溶解度が「作用可能な溶解度の範囲」より低いシナリオを例示する。
【0075】
実施例5の製剤は、実施例2又は3の製剤よりずっと少ないケトプロフェンを送達した。この流出低下の1つのあり得る理由は、不揮発性溶媒系におけるPEG400の高濃度により引き起こされる透過推進力の低下であり、これがケトプロフェンのあまりに高い溶解性をもたらしたと考えられる。これは、溶解度が「作用可能な溶解度」より高いシナリオを例示する。このように、皮膚流出を達成しようとする場合、溶解度があまりに低いことだけが考慮事項になるのではない。この状況では、薬物が不揮発性溶媒系においてあまりに「快適である」か又はあまりに可溶であるので、有効な皮膚流出をもたらすことができなかった。従って、ケトプロフェンの高い溶解度により、有効であるために作用可能な溶解度の範囲の外側に薬物が置かれたのである。
【0076】
実施例3、4、及び5のそれぞれの製剤間の唯一の有意な違いは、不揮発性溶媒系、又はより具体的には、PEG400:グリセロールの重量比に関してである。上記の結果は、皮膚流出に及ぼす不揮発性溶媒系の影響を反映して、治療上有効な量の薬物を皮膚へ、その中へ、又はそれを通して送達するための作用可能な溶解度の範囲内の薬物の溶解度を不揮発性溶媒系が提供するという上記の原理を裏付ける。
【0077】
実施例6−リドカインを含む接着性剥皮可能製剤と in vitro 試験
本発明の態様に従って、飽和量のリドカインが賦形剤混合物に含まれて接着性剥皮可能製剤を形成する、リドカインの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤を調製した。この外皮製剤は、表3に示すような成分より調製した。
【0078】
表3.リドカイン外皮形成製剤の成分
【0079】
【表3】
【0080】
表4.様々な接着性外皮形成製剤から無毛マウス皮膚を通過する、リドカインの35℃での定常状態流出
【0081】
【表4】
【0082】
無毛マウス皮膚の角質層を通して経時的に透過したリドカインの量を図2に示す。
本実施例におけるリドカイン製剤の接着性剥皮可能製剤は、実施例2〜5の製剤に類似した物理特性を有した。無毛マウス皮膚を通過する経皮流出は許容し得るものであり、定常状態の送達が8時間にわたり維持された。
【0083】
実施例7−不揮発性溶媒を使用するロピバカイン流出(ropivacaine flux)
実施例1に記載するようないくつかの飽和不揮発性溶媒において、無毛マウス皮膚を通過するロピバカイン塩基の流出量を定量した。
【0084】
表5.飽和不揮発性溶媒系から無毛マウス皮膚を通過する、ロピバカインの35℃での定常状態流出値
【0085】
【表5】
【0086】
皮膚の神経障害疼痛を治療するには、流出量が10μg/cm2/時間より高い必要があると推定されている。様々な不揮発性溶媒からのロピバカイン流出値の範囲は、いくつかの溶媒が作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有することを例示する。
【0087】
実施例8〜9−ロピバカイン入りの接着性剥皮可能製剤
本発明の態様に従って、特定量のロピバカインが賦形剤混合物に含まれて接着性剥皮可能製剤を形成する、ロピバカインの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤を調製した。この外皮製剤は、以下の成分を含有した:
表6.ロピバカイン剥皮可能製剤の成分
【0088】
【表6】
【0089】
上記の製剤を実施例1に記載のようにHMS皮膚へ適用して、ロピバカイン流出量を測定した。実施例8及び9の製剤で行った in vitro 流出試験からの結果の要約を表7に収載する。
【0090】
表7.様々な接着性剥皮可能製剤から無毛マウス皮膚を通過する、ロピバカインの35℃での定常状態流出
【0091】
【表7】
【0092】
無毛マウス皮膚を通して透過したロピバカインの量を時間の関数として図3に示す。実施例8及び9に記載の製剤に関しては、揮発性溶媒としてエタノールを使用して、不揮発性溶媒系としてISA、グリセロール、及びPGの混合物を使用した。実験により、ISAとプロピレングリコールは、一緒に使用すると、この薬物に適した溶解性を提供する一方で、Eudragit RL−100フィルム形成剤と適合することを確かめた。さらに、この態様において、グリセロールは、エタノール(揮発性溶媒)が蒸発した後で、剥皮可能な製剤中の可塑剤として役立つ。pH調整剤としてのトロラミンの存在は、治療上有効な量の薬物を皮膚中へ送達するのに作用可能な溶解度の範囲内の薬物の溶解性をもたらす。「累積量」対「時間」曲線の直線性は、ロピバカインが8時間の間比較的一定の速度で送達されたことを示す。
【0093】
実施例10−ジクロフェナク(diclofenac)を含む接着性外皮形成製剤
本発明の態様に従って、飽和量のジクロフェナクが賦形剤混合物に含まれて接着性剥皮可能製剤を形成する、ジクロフェナクの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤を調製した。この外皮形成製剤は、以下の成分を含有した:
表8.ジクロフェナク剥皮可能製剤の成分
【0094】
【表8】
【0095】
本製剤は、ヒトの死体の皮膚試料へ適用して、実施例1に記載の方法を使用して皮膚を通過する流出量を測定し、5±2μg/cm2/時間であることを見出した。ヒトの表皮膜を通して経時的に透過したジクロフェナクの量を図4に示す。このジクロフェナク製剤の接着性剥皮可能製剤は、実施例2〜6、及び8、及び9の製剤に類似した物理特性を有した。ヒト皮膚を通過する30時間の経皮流出は、許容し得るものであった。
【0096】
実施例11−接着性剥皮可能製剤の柔軟性
実施例2の製剤組成に類似した製剤(ケトプロフェンなし)を肘関節及び指関節でヒトの皮膚面へ適用して、薄い、透明で、柔軟な、延伸可能な膜を得た。揮発性溶媒(エタノールと水)の蒸発から数分後に、剥皮可能である固化する剥皮可能層が形成された。この延伸可能な膜は、皮膚へ良好に接着して、曲げたときに関節上の皮膚より分離せず、皮膚より容易に剥ぎ取ることができた。
【0097】
実施例12−不揮発性溶媒系と外皮形成剤の適合性
透過性、不揮発性溶媒系と外皮形成剤の間の適合性に及ぼす溶解性の効果を本実施例に示す。イソステアリン酸(ISA)中のロピバカイン塩基の溶解度が約1:4よりやや高いことを実験により確かめた(1グラムのロピバカイン塩基が4グラムのイソステアリン酸に完全に溶け得ることを意味する)。1つの実験では、2種の溶液を作製した:溶液Aには、1分量のロピバカイン塩基と4分量のイソステアリン酸が含まれた。溶液Bには、1分量のロピバカイン塩基、4分量のイソステアリン酸、及び1分量のトロラミンが含まれた(分量は、いずれも重量である)。溶液Aではすべてのロピバカインが溶けたが、溶液Bではごく一部のロピバカインしか溶けなかった。これらの溶液により生じる無毛マウス皮膚を通過する外皮流出を典型的なFranz Cell系により測定して、以下の結果を得た:
表9.無毛マウス皮膚 in vitro を通過する流出量(μg/時間/cm2)
【0098】
【表9】
【0099】
わかるように、溶液Bより産生される流出量は、溶液Aのそれの約4倍である。上記の結果は、トロラミンの添加によるイソステアリン酸(不揮発性溶媒系)中のロピバカイン溶解性の低下が経皮流出を有意に高めたことを実証する。しかしながら、この系をポリビニルアルコール(PVA)ベースの外皮製剤へ取り込む試みは、この製剤中ではPVAが強いpH緩衝剤として作用してトロラミンの効果を阻害したので、失敗した。PVAのpH緩衝能力を打ち消そうとする試みにおいて、さらに多くのトロラミンを添加すると、PVAの所望される外皮形成特性の損失を引き起こした。PVAを別の外皮形成剤、Eudragit RL100(Rohm & Haas)に置き換えると、トロラミンの効果は阻害されず、ほぼ30μg/時間/cm2の流出量を産生することが可能な製剤が得られた。このことは、不揮発性溶媒系と外皮形成剤の間の適合性の利益を実証する。
【0100】
実施例13−ロピバカイン入りの接着性剥皮可能製剤
ロピバカインの経皮送達のための延伸可能な接着性剥皮可能製剤(関節及び筋肉上の皮膚を介した送達に適している)を以下の成分より調製した:
表10.ロピバカイン外皮形成製剤の成分
【0101】
【表10】
【0102】
上記に収載する成分を以下の手順に従って配合した。Eugragit RL−100とエタノールをガラス瓶に配合して、約60℃へ加熱すると、Eudragit RL−100が完全に溶けた。このEudragit溶液を室温へ冷やしたならば、適正量のロピバカインHClを加えて、1分間徹底的に混合した。この溶液へイソステアリン酸(ISA)を加えて、この混合物を2〜3分間激しく撹拌した。1時間後、この溶液を再び2〜3分間激しく混合した。この溶液へグリセロール、プロピレングリコール、及びトロラミンを連続した順序で加えた。各成分の添加の後で、この溶液を1分間撹拌した。
【0103】
実施例14−ロピバカインの流出
実施例13に従って調製した製剤を実施例1に記載のようにHMSへ適用して、ロピバカイン流出量を測定した。この結果の要約を以下のように表11に収載する:
表11.様々な接着性剥皮可能製剤から無毛マウス皮膚を通過する、ロピバカインの35℃での定常状態流出
【0104】
【表11】
【0105】
実施例13に従って調製したロピバカイン外皮製剤は、許容し得る適用特性(例、サンプル管からの外皮の除去の容易さ、企図される皮膚適用部位で広げることの容易さ、等)を保有して、固化膜を2〜3分のうちに形成した。この固化する剥皮可能層は、2時間のうちにより容易に剥皮可能になり、外皮は、少なくとも12時間の間、意図されない外皮の除去を伴わずに皮膚面へ固定されたままである。企図した使用の最後に、外皮は、1つの連続片で容易に除去される。
【0106】
本発明をある種の好ましい態様を参照に記載したが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修飾、変更、省略、及び代用をなし得ることを理解されよう。故に、本発明は、付帯の特許請求項の範囲によってのみ限定されるべきであると企図される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【図2】図2は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【図3】図3は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【図4】図4は、本発明の態様に準拠した4つの別々の固化する接着性製剤より in vitro の生体膜を通過して経時的に送達される薬物の累積量のグラフ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物の皮膚送達用の接着性外皮形成製剤であって:
a)薬物;
b)i)1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で送達可能であるように、薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有する)を含んでなる溶媒担体;並びに
c)外皮(peel)形成剤を含んでなり、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用及び接着に適した粘度を有し、そして皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部の蒸発後に固化する剥皮可能(peelable)層を形成し、ここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で送達され続ける、前記製剤。
【請求項2】
不揮発性溶媒系が前記外皮形成剤の可塑剤として作用する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記揮発性溶媒系が水と、水より揮発性の大きい少なくとも1つの溶媒を含み、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
不揮発性溶媒系が、作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を薬物に提供する、一緒に混合される多数の不揮発性溶媒を包含する、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化(polyglycolyzed)C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸を含めた脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群より選択される1以上の溶媒を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
外皮形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより大きい重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、メタクリレート重合体、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとする共重合体(ポリ(メタクリル酸)共重合体が含まれる)、メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビルステロイド、及びベヘニルアルコールを含めた抗ウイルス薬;及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
薬物がヘルペス感染症を治療するためのステロイドである、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
薬物が口唇ヘルペスを治療するための薬物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
薬物が性器いぼを治療するための薬物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
薬物が筋骨格疼痛を治療するための薬物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
薬物が抗真菌薬である、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
抗真菌薬が、シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体、並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の製剤
【請求項14】
薬物が抗ウイルス薬である、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
抗ウイルス薬が、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、アシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
固化する剥皮可能層が十分に柔軟であり、ヒトの関節で皮膚へ適用されるときに、固化する剥皮可能層は、関節の屈曲時にも皮膚上で実質的にそこなわれない(intact)ままであるように皮膚へ接着する、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
前記剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも2時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも8時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項1に記載の製剤。
【請求項19】
不揮発性溶媒系の外皮形成剤に対する重量比が約0.2:1〜約1.2:1である、請求項1に記載の製剤。
【請求項20】
揮発性溶媒系がヒト皮膚刺激を引き起こすことが可能であり、前記不揮発性溶媒系の少なくとも1つの不揮発性溶媒がその皮膚刺激を抑えることが可能である、請求項1に記載の製剤。
【請求項21】
皮膚刺激を抑えることが可能な不揮発性溶媒が、グリセリン、プロピレングリコール、及び蜂蜜からなる群より選択される、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
固化する剥離可能層が、標準の皮膚及び周囲条件下での皮膚面への適用の15分以内に形成される、請求項1に記載の製剤。
【請求項23】
固化する剥離可能層が、標準の皮膚及び周囲条件下での皮膚面への適用の4分以内に形成される、請求項1に記載の製剤。
【請求項24】
約100〜約3,000,000センチポアズの皮膚適用前の初期粘度を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項25】
揮発性溶媒系の重量百分率が約4重量%〜約30重量%である、請求項1に記載の製剤。
【請求項26】
持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で薬物を患者へ皮膚送達するための、皮膚面へ適用される接着性外皮形成製剤の使用であって、前記製剤は:
a)薬物;
b)i)1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で送達し得るように、薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有する)を含んでなる溶媒担体;並びに
c)外皮形成剤を含んでなり、ここで前記製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用及び接着に適した粘度を有し、そしてここで前記製剤は、皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部の蒸発後に固化する剥皮可能層を形成し、ここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で送達され続ける、前記使用。
【請求項27】
接着性外皮形成製剤が約0.01mm〜約2mmの厚さで適用される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項28】
厚さが約0.05mm〜約1mmである、請求項27に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項29】
不揮発性溶媒系が、一緒に混合される多数の不揮発性溶媒を包含して混合物を形成し、前記混合物は、作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を薬物に提供する、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項30】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸、並びにこれらの混合物からなる群より選択される1以上の溶媒を含む、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項31】
外皮形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより高い重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、メタクリレート重合体、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとする共重合体(ポリ(メタクリル酸)共重合体が含まれる)、メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項32】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビルステロイド、及びベヘニルアルコールを含めた抗ウイルス薬;及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項33】
薬物が、ヘルペス感染症、口唇ヘルペス、又は性器いぼを治療するためのものである、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項34】
薬物が骨格疼痛を治療するためのものである、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項35】
薬物が、シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体、並びにこれらの組合せからなる群より選択される抗真菌薬である、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項36】
薬物が、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、アシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せからなる群より選択される抗ウイルス薬である、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項37】
固化する剥皮可能層が十分に柔軟であり、ヒトの関節で皮膚へ適用されるときに、固化する剥皮可能層は、関節の屈曲時にも皮膚上で実質的にそこなわれないままであるように皮膚へ接着する、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項38】
剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも2時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項39】
剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも8時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項40】
不揮発性溶媒系の外皮形成剤に対する重量比が約0.2:1〜約1.2:1である、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項41】
固化する剥離可能層が、皮膚面への適用の4分以内に形成される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項42】
製剤が約100〜約3,000,000センチポアズの初期濃度を有する、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項43】
皮膚薬物送達用の接着性外皮形成製剤を調製する方法であって:
a)皮膚送達に適した薬物を選択すること;
b)薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有する1つの不揮発性溶媒から本質的になる不揮発性溶媒系を選択すること;及び
c)薬物と不揮発性溶媒系を、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系がさらに含まれる接着性外皮形成製剤へ製剤化することを含んでなり、前記接着性外皮形成製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有し、そしてここで該製剤は、皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥離可能層を形成し、そしてここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な速度で送達され続ける、前記方法。
【請求項44】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、アシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンのようなアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬、並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
不揮発性溶媒が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
皮膚薬物送達用の接着性外皮形成製剤を調製する方法であって:
a)皮膚送達に適した薬物を選択すること;
b)不揮発性溶媒系における薬物の溶解度を作用可能な溶解度の範囲内に位置づける比に従って少なくとも2つの不揮発性溶媒を選択することによって不揮発性溶媒系を形成すること;及び
c)薬物と不揮発性溶媒系を、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系がさらに含まれる接着性外皮形成製剤へ製剤化することを含んでなり、前記接着性外皮形成製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有し、そしてここで該製剤は、皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥離可能層を形成し、そしてここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な速度で送達され続ける、前記方法。
【請求項47】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビルステロイド、及びベヘニルアルコールを含めた抗ウイルス薬;及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸、並びにこれらの混合物の群より選択されるメンバーを包含する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
薬物を送達するための固化する剥離可能層であって:
a)薬物;
b)1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が少なくとも2時間の間治療上有効な速度で送達可能であるように、作用可能な溶解度の範囲を薬物に提供する);及び
c)外皮形成剤を含んでなり、ここで裂けることも割れることも伴わずに、少なくとも1つの方向において10%まで伸びることができる、前記剥離可能層。
【請求項50】
不揮発性溶媒系が外皮形成剤の可塑剤として作用する、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項51】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸、並びにこれらの混合物の群より選択されるメンバーを包含する、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項52】
外皮形成剤が、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより高い重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メタクリル酸重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択されるメンバーを包含する、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項53】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビルを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬、並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項54】
薬物の皮膚送達のための接着性外皮形成製剤であって:
a)薬物;
b)外皮形成剤;並びに
c)i)1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含んでなる溶媒担体を含んでなり、皮膚面へ適用されるとき、接触面を有する固化する剥離可能層を形成し、前記接触面は第一の領域寸法を有し、前記固化する剥離可能層は、第一の領域寸法が、裂けること、割れること、又は皮膚面から分離することなしに、第一の領域寸法より10%大きい第二の領域寸法まで伸ばされることが可能であるように延伸可能であり;そしてここで、前記固化する剥離可能層の形成の後で、そして揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、薬物は、治療上有効な速度で送達され続ける、前記接着性外皮形成製剤。
【請求項55】
前記揮発性溶媒系が、水、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、及びこれらの混合物からなる群より選択されるメンバーを包含する、請求項54に記載の製剤。
【請求項56】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸と他の脂肪酸、並びにこれらの混合物からなる群より選択される1以上の溶媒を含む、請求項54に記載の製剤。
【請求項57】
外皮形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより高い重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、及びこれらの混合物からなる群より選択されるメンバーを包含する、請求項54に記載の製剤。
【請求項58】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、及びザナミビルを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬;並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項54に記載の製剤。
【請求項59】
不揮発性溶媒系の外皮形成ポリマーに対する重量比が約0.2:1〜約1.2:1である、請求項54に記載の製剤。
【請求項60】
固化する剥離可能層が、通常の皮膚及び周囲条件下での皮膚面への適用の15分以内に形成される、請求項54に記載の製剤。
【請求項61】
固化する剥離可能層が、皮膚面への適用の4分以内に形成される、請求項54に記載の製剤。
【請求項62】
薬物の皮膚送達のための接着性外皮形成製剤であって:
a)ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、及びザナミビルを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬;並びにこれらの組合せからなる群より選択される薬物;
b)i)水、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、これらの混合物の群より選択される1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含んでなる溶媒担体(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で送達可能であるように、薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有し;そして前記1以上の不揮発性溶媒は、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸を含めた脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群より選択される);並びに
c)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、酸化ポリエチレン、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとする共重合体(ポリ(メタクリル酸)共重合体が含まれる)、メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体からなる群より選択される外皮形成剤を含んでなり;
揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用及び接着に適した粘度を有し、そして皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部の蒸発後に固化する剥皮可能層を形成し、ここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で送達され続け、ここで標準の皮膚及び周囲条件下で5分以下の乾燥時間を有し、ここで不揮発性溶媒系の外皮形成ポリマーに対する重量比は、約0.2:1〜約1.2:1であり、そしてここで固化する剥離可能層は、割れること、裂けること、又は皮膚から分離することなしに、少なくとも1つの方向において10%まで伸びることができる、前記製剤。
【請求項1】
薬物の皮膚送達用の接着性外皮形成製剤であって:
a)薬物;
b)i)1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で送達可能であるように、薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有する)を含んでなる溶媒担体;並びに
c)外皮(peel)形成剤を含んでなり、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用及び接着に適した粘度を有し、そして皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部の蒸発後に固化する剥皮可能(peelable)層を形成し、ここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で送達され続ける、前記製剤。
【請求項2】
不揮発性溶媒系が前記外皮形成剤の可塑剤として作用する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記揮発性溶媒系が水と、水より揮発性の大きい少なくとも1つの溶媒を含み、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
不揮発性溶媒系が、作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を薬物に提供する、一緒に混合される多数の不揮発性溶媒を包含する、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化(polyglycolyzed)C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸を含めた脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群より選択される1以上の溶媒を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
外皮形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより大きい重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、メタクリレート重合体、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとする共重合体(ポリ(メタクリル酸)共重合体が含まれる)、メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビルステロイド、及びベヘニルアルコールを含めた抗ウイルス薬;及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
薬物がヘルペス感染症を治療するためのステロイドである、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
薬物が口唇ヘルペスを治療するための薬物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
薬物が性器いぼを治療するための薬物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
薬物が筋骨格疼痛を治療するための薬物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
薬物が抗真菌薬である、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
抗真菌薬が、シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体、並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の製剤
【請求項14】
薬物が抗ウイルス薬である、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
抗ウイルス薬が、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、アシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
固化する剥皮可能層が十分に柔軟であり、ヒトの関節で皮膚へ適用されるときに、固化する剥皮可能層は、関節の屈曲時にも皮膚上で実質的にそこなわれない(intact)ままであるように皮膚へ接着する、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
前記剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも2時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも8時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項1に記載の製剤。
【請求項19】
不揮発性溶媒系の外皮形成剤に対する重量比が約0.2:1〜約1.2:1である、請求項1に記載の製剤。
【請求項20】
揮発性溶媒系がヒト皮膚刺激を引き起こすことが可能であり、前記不揮発性溶媒系の少なくとも1つの不揮発性溶媒がその皮膚刺激を抑えることが可能である、請求項1に記載の製剤。
【請求項21】
皮膚刺激を抑えることが可能な不揮発性溶媒が、グリセリン、プロピレングリコール、及び蜂蜜からなる群より選択される、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
固化する剥離可能層が、標準の皮膚及び周囲条件下での皮膚面への適用の15分以内に形成される、請求項1に記載の製剤。
【請求項23】
固化する剥離可能層が、標準の皮膚及び周囲条件下での皮膚面への適用の4分以内に形成される、請求項1に記載の製剤。
【請求項24】
約100〜約3,000,000センチポアズの皮膚適用前の初期粘度を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項25】
揮発性溶媒系の重量百分率が約4重量%〜約30重量%である、請求項1に記載の製剤。
【請求項26】
持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で薬物を患者へ皮膚送達するための、皮膚面へ適用される接着性外皮形成製剤の使用であって、前記製剤は:
a)薬物;
b)i)1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で送達し得るように、薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有する)を含んでなる溶媒担体;並びに
c)外皮形成剤を含んでなり、ここで前記製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用及び接着に適した粘度を有し、そしてここで前記製剤は、皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部の蒸発後に固化する剥皮可能層を形成し、ここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で送達され続ける、前記使用。
【請求項27】
接着性外皮形成製剤が約0.01mm〜約2mmの厚さで適用される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項28】
厚さが約0.05mm〜約1mmである、請求項27に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項29】
不揮発性溶媒系が、一緒に混合される多数の不揮発性溶媒を包含して混合物を形成し、前記混合物は、作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を薬物に提供する、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項30】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸、並びにこれらの混合物からなる群より選択される1以上の溶媒を含む、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項31】
外皮形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより高い重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、メタクリレート重合体、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとする共重合体(ポリ(メタクリル酸)共重合体が含まれる)、メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項32】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビルステロイド、及びベヘニルアルコールを含めた抗ウイルス薬;及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項33】
薬物が、ヘルペス感染症、口唇ヘルペス、又は性器いぼを治療するためのものである、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項34】
薬物が骨格疼痛を治療するためのものである、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項35】
薬物が、シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体、並びにこれらの組合せからなる群より選択される抗真菌薬である、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項36】
薬物が、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、アシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せからなる群より選択される抗ウイルス薬である、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項37】
固化する剥皮可能層が十分に柔軟であり、ヒトの関節で皮膚へ適用されるときに、固化する剥皮可能層は、関節の屈曲時にも皮膚上で実質的にそこなわれないままであるように皮膚へ接着する、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項38】
剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも2時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項39】
剥離可能製剤が、前記固化する剥離可能層の形成後少なくとも8時間の間は実質的に一定の速度で薬物を送達するように構成された、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項40】
不揮発性溶媒系の外皮形成剤に対する重量比が約0.2:1〜約1.2:1である、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項41】
固化する剥離可能層が、皮膚面への適用の4分以内に形成される、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項42】
製剤が約100〜約3,000,000センチポアズの初期濃度を有する、請求項26に記載の接着性外皮形成製剤の使用。
【請求項43】
皮膚薬物送達用の接着性外皮形成製剤を調製する方法であって:
a)皮膚送達に適した薬物を選択すること;
b)薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有する1つの不揮発性溶媒から本質的になる不揮発性溶媒系を選択すること;及び
c)薬物と不揮発性溶媒系を、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系がさらに含まれる接着性外皮形成製剤へ製剤化することを含んでなり、前記接着性外皮形成製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有し、そしてここで該製剤は、皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥離可能層を形成し、そしてここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な速度で送達され続ける、前記方法。
【請求項44】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、アシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビル、及びこれらの組合せを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンのようなアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬、並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
不揮発性溶媒が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
皮膚薬物送達用の接着性外皮形成製剤を調製する方法であって:
a)皮膚送達に適した薬物を選択すること;
b)不揮発性溶媒系における薬物の溶解度を作用可能な溶解度の範囲内に位置づける比に従って少なくとも2つの不揮発性溶媒を選択することによって不揮発性溶媒系を形成すること;及び
c)薬物と不揮発性溶媒系を、外皮形成剤と少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系がさらに含まれる接着性外皮形成製剤へ製剤化することを含んでなり、前記接着性外皮形成製剤は、揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用に適した粘度を有し、そしてここで該製剤は、皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後で固化する剥離可能層を形成し、そしてここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、治療上有効な速度で送達され続ける、前記方法。
【請求項47】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、ペンシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビルステロイド、及びベヘニルアルコールを含めた抗ウイルス薬;及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸、並びにこれらの混合物の群より選択されるメンバーを包含する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
薬物を送達するための固化する剥離可能層であって:
a)薬物;
b)1以上の不揮発性溶媒を有する不揮発性溶媒系(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が少なくとも2時間の間治療上有効な速度で送達可能であるように、作用可能な溶解度の範囲を薬物に提供する);及び
c)外皮形成剤を含んでなり、ここで裂けることも割れることも伴わずに、少なくとも1つの方向において10%まで伸びることができる、前記剥離可能層。
【請求項50】
不揮発性溶媒系が外皮形成剤の可塑剤として作用する、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項51】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、イソステアリン酸、脂肪酸、及び中鎖脂肪酸、並びにこれらの混合物の群より選択されるメンバーを包含する、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項52】
外皮形成剤が、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより高い重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メタクリル酸重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択されるメンバーを包含する、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項53】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、ザナミビルを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬、並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項49に記載の固化する剥離可能層。
【請求項54】
薬物の皮膚送達のための接着性外皮形成製剤であって:
a)薬物;
b)外皮形成剤;並びに
c)i)1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含んでなる溶媒担体を含んでなり、皮膚面へ適用されるとき、接触面を有する固化する剥離可能層を形成し、前記接触面は第一の領域寸法を有し、前記固化する剥離可能層は、第一の領域寸法が、裂けること、割れること、又は皮膚面から分離することなしに、第一の領域寸法より10%大きい第二の領域寸法まで伸ばされることが可能であるように延伸可能であり;そしてここで、前記固化する剥離可能層の形成の後で、そして揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で、薬物は、治療上有効な速度で送達され続ける、前記接着性外皮形成製剤。
【請求項55】
前記揮発性溶媒系が、水、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、及びこれらの混合物からなる群より選択されるメンバーを包含する、請求項54に記載の製剤。
【請求項56】
不揮発性溶媒系が、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸と他の脂肪酸、並びにこれらの混合物からなる群より選択される1以上の溶媒を含む、請求項54に記載の製剤。
【請求項57】
外皮形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、約5,000MWより高い重量平均分子量を有する酸化ポリエチレン、デンプン、セルロース誘導体、及びこれらの混合物からなる群より選択されるメンバーを包含する、請求項54に記載の製剤。
【請求項58】
薬物が、ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、及びザナミビルを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬;並びにこれらの組合せからなる群より選択される、請求項54に記載の製剤。
【請求項59】
不揮発性溶媒系の外皮形成ポリマーに対する重量比が約0.2:1〜約1.2:1である、請求項54に記載の製剤。
【請求項60】
固化する剥離可能層が、通常の皮膚及び周囲条件下での皮膚面への適用の15分以内に形成される、請求項54に記載の製剤。
【請求項61】
固化する剥離可能層が、皮膚面への適用の4分以内に形成される、請求項54に記載の製剤。
【請求項62】
薬物の皮膚送達のための接着性外皮形成製剤であって:
a)ケトプロフェン及びジクロフェナクを含めた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);COX−2選択性NSAID及び薬剤;COX−3選択性NSAID及び薬剤;リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びテトラカインを含めた局所麻酔薬;デキサメタゾンを含めたステロイド;抗生物質、レチノイド、クロニジン、過酸化物、レチノール、サリチル酸、イミキモド、湿潤剤、皮膚軟化薬、アシクロビル、トリフルリジン、イドクスウリジン、ペンシクロビル,ファンシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビル、リバビリン、リマンタジン、及びザナミビルを含めた抗ウイルス薬;シクロピロクス、イミダゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、及びブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含めたアリルアミン誘導体を含めた抗真菌薬;並びにこれらの組合せからなる群より選択される薬物;
b)i)水、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、これらの混合物の群より選択される1以上の揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、及び
ii)1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含んでなる溶媒担体(ここで、不揮発性溶媒系は、薬物が持続期間の時間にわたり治療上有効な速度で送達可能であるように、薬物に関して作用可能な溶解度の範囲内にある溶解度を有し;そして前記1以上の不揮発性溶媒は、グリセロール、約200MW〜800MWの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、鉱油、ワセリン、ヒマシ油、n−メチルピロリドン、植物油、蜂蜜、オレイルアルコール、ジプロピレングリコール、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、ポリオキシエチル化脂肪酸グリセリド、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オイゲノール及びバラ油を含めた精油、オレイン酸、オレイルアルコール、イソステアリン酸、中鎖脂肪酸を含めた脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群より選択される);並びに
c)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、グアーゴム、キサンタンゴム、酸化ポリエチレン、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール共重合体、メタクリル酸及びメタクリレートをベースとする共重合体(ポリ(メタクリル酸)共重合体が含まれる)、メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体からなる群より選択される外皮形成剤を含んでなり;
揮発性溶媒系の蒸発に先立つ皮膚面への適用及び接着に適した粘度を有し、そして皮膚面へ適用されると、揮発性溶媒系の少なくとも一部の蒸発後に固化する剥皮可能層を形成し、ここで薬物は、揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後で送達され続け、ここで標準の皮膚及び周囲条件下で5分以下の乾燥時間を有し、ここで不揮発性溶媒系の外皮形成ポリマーに対する重量比は、約0.2:1〜約1.2:1であり、そしてここで固化する剥離可能層は、割れること、裂けること、又は皮膚から分離することなしに、少なくとも1つの方向において10%まで伸びることができる、前記製剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公表番号】特表2008−501805(P2008−501805A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527680(P2007−527680)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/020099
【国際公開番号】WO2005/120473
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(501127213)ザース・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/020099
【国際公開番号】WO2005/120473
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(501127213)ザース・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
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