説明

薬物及びsiRNAを含有する医薬組成物

本発明は、概して、分子生物学、医学、腫瘍学、及び治療化合物の送達の分野に関する。特に、本発明は、単一の薬物送達系における、疎水性薬物物質及び低分子干渉RNA(siRNA)などの阻害核酸分子を含有する医薬組成物、並びに当該医薬組成物を作製するためのプロセス及び当該医薬組成物を投与するためのプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、分子生物学、医学、腫瘍学、及び治療化合物の送達の分野に関する。特に、本発明は、単一の薬物送達系における、疎水性薬物物質(原薬)(drug substance)及び低分子干渉RNA(siRNA)などの阻害核酸分子を含有する医薬組成物、並びに当該医薬組成物を作製するためのプロセス及び当該医薬組成物を投与するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
水に難溶性であるが、有機溶媒に非常に溶解しやすい薬物物質の数は増え続けている。EPO906(エポチロンB)は、そのような分類に入るパツピロン(patupilone)であり、水に難溶性である(0.1mg/l未満)が、例えばエタノール、酢酸エチル、ジクロロメタンなどの有機溶媒に溶解しやすい。水に難溶性である、すなわち、疎水性の薬物物質は、非経口による投与などの注射剤形における送達についての課題を与える。これらの薬物を含む製剤は、吸収性の形態で所望の吸収部位にその薬物の治療有効量を提供できなければならない。難溶性薬物を送達するための医薬組成物は、その薬物を吸収性の形態に維持しながら、かつ、生理学的に有害な溶媒又は賦形剤の使用を回避しながら、水性環境を通して薬物を運搬しなければならない。経口送達用又は非経口送達用に疎水性薬物を製剤化するためのいくつの手法として、薬物が水中油型エマルション、マイクロエマルション、又はミセル、リポソーム、若しくは他の多層担体粒子の溶液に存在する製剤などが知られている。リポソームは、疎水性領域及び親水性領域の両方を含む脂質などの両親媒性分子からなる微細小胞であり、水性容積を取り囲むことができる。
【0003】
低分子干渉RNA(siRNA)は、長さが19〜27塩基対の二本鎖リボヌクレオチド配列であり、強い負電荷を持ち、主に水に溶解性である。siRNAは、動物及び植物におけるRNA干渉、配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスに関与する。siRNAは、サイレンシングされた遺伝子と相同の、より長い二本鎖RNA(dsRNA)からリボヌクレアーゼIIIによる切断によって生成されるか、又は合成RNAを細胞に送達することによって生成される。インビボでのsiRNAの送達は非常に困難であることが知られているので、siRNAの治療可能性は限定されている。例えば、他の種類の核酸分子に有効である送達法は、必ずしもsiRNAに有効ではない。インビボにおいてsiRNAを用いるほとんどの研究は、動物モデルへの導入又はsiRNAのウイルスベクターへの組込みの前に細胞株における遺伝子発現の操作を含む。インビボでの「裸の」siRNAの送達は、部位特異的注入に制限されているか、又は臨床的に実用的でない高圧手段を介する。更に、全身投与されたsiRNAは、その高い水溶性及び負電荷によって腎臓又は肝臓によって迅速に除去される。したがって、身体においてその循環時間を高め、細胞外ヌクレアーゼによる分解を防ぐ薬物送達系(DDS)にsiRNAを封入することが好ましい。
【0004】
癌を治療するための従来の併用法は、2つの活性薬物物質を送達するために2つの個別の製剤様式を用いる、2つの相乗作用する薬物を個別に投与することを含む。例えば、WO2006113679は、第1の投与のために中性リポソーム内に製剤化されたsiRNAと、第1の投与の前、第1の投与と同時、又は第1の投与の後に実施しうる第2の化学療法剤(例えばドキソルビシンなど)の個別の投与を開示している。既存の従来技術は、不便な、薬物物質の複数段階投与をもたらす、各薬物物質について個別に調整されるDDSの使用を記載している。
【0005】
したがって、簡便な、siRNA及び疎水性薬物物質を含む単一の薬物送達系に関する必要性が存在している。本発明は、少なくとも2つの薬物物質であるsiRNAなどの核酸分子及び疎水性薬物を含む小胞薬物送達系(vesicular drug delivery system)(VDDS)を提供することによって、この必要性を満たす。本発明は、VDDSを作製するプロセス及びVDDSを投与するためのプロセスを更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】核酸siRNA及び疎水性薬物物質、EPO906を含むリポソームを合成するための合成反応スキームを図示する。
【図2】脂質二重層に組み込まれた疎水性薬物EPO906及び任意選択の標的化部分である、薬物送達系に結合された葉酸−PEG−脂質を有する水性封入物中のリポソームによって封入された核酸siRNAを示す小胞薬物送達系の配置を図示する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される低分子干渉リボ核酸(siRNA)分子と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質とを含む、小胞薬物送達系(VDDS)である。本発明によれば、脂質二重層はホスファチジルコリンである中性脂質を含む。本発明は、脂質二重層が、ホスファチジルコリン並びに少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質及び/又は陰イオン性脂質の組み合わせを含む、実施形態を更に含む。
【0008】
本発明は、VDDSによって送達される薬物物質の細胞内送達を改良するために、標的組織を認識するために「標的化部分」又はリガンドがVDDSに結合されている実施形態を更に含む。その標的化部分は親水性ポリマー(例えばPEG)に結合されてもよい。
【0009】
本発明は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層であって、その脂質はホスファチジルコリンを含む、少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質とを含むVDDSを作製する方法を提供する。その方法は、(i)中性脂質のホスファチジルコリン、少なくとも1つの疎水性薬物及び水混和性有機溶媒を含む第1の溶液を形成する工程と、(ii)第1の溶液から水混和性有機溶媒を蒸発させることによって脂質薄膜を形成する工程と、(iii)少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)及び水溶液を含む第2の溶液を形成する工程と、(iv)(ii)の脂質薄膜と(iii)の第2の溶液とを混合して、VDDSを形成する工程とを含む。
【0010】
本発明は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層であって、その脂質は中性脂質のホスファチジルコリン並びに少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質及び/又は陰イオン性脂質の組み合わせを含む、少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質とを含むVDDSを作製する方法を更に提供する。その方法は、(i)中性脂質のホスファチジルコリン、更なる中性脂質(複数可)又は陽イオン性脂質(複数可)又は陰イオン性脂質(複数可)、少なくとも1つの疎水性薬物及び水混和性有機溶媒を含む第1の溶液を形成する工程と、(ii)第1の溶液から水混和性有機溶媒を蒸発させることによって脂質薄膜を形成する工程と、(iii)少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)及び水溶液を含む第2の溶液を形成する工程と、(iv)(ii)の脂質薄膜と(iii)の第2の溶液とを混合して、VDDSを形成する工程とを含む。
【0011】
本発明は更に、少なくとも1つの疎水性薬物物質及び少なくとも1つのsiRNAを対象に同時に両方送達する方法であって、前記方法は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質とを含む小胞薬物送達系を対象に投与する工程を含む方法を提供する。本発明によれば、1つ又は複数の脂質二重層は、ホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質、並びに、任意選択で、少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質及び/又は陰イオン性脂質によって形成される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、単一の薬物送達系(DDS)中に疎水性薬物物質及び低分子干渉RNA(siRNA)などの阻害核酸分子を含有する医薬組成物に関する。本発明のDDSは、疎水性薬物及びsiRNAなどの阻害核酸分子の個別投与の必要性をなくし、治療計画に対する患者のコンプライアンスの向上をもたらす。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「薬物送達系」又は「DDS」とは、哺乳動物、例えばヒトに投与されるべき少なくとも1つの治療薬物物質又は核酸分子を含有する医薬組成物を意味する。医薬組成物は「医薬上許容される」ものであり、この「医薬上許容される」とは、正しい医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、炎症、アレルギー反応及び妥当な有益性/危険性に相関する他の問題のある合併症を有することなく、哺乳動物、特にヒトの組織と接触するのに適している医薬組成物の化合物、物質、組成物及び/又は剤形を指す。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「薬物物質」とは、任意の化合物、物質、医薬、核酸若しくはアミノ酸配列、又は治療的若しくは薬理学的作用を有する活性成分を意味し、その薬物物質は、哺乳動物に対する投与に適している。この用語は、低分子干渉リボ核酸(「siRNA」)及び疎水性薬物のいずれか又は両方を指してもよい。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「低分子干渉RNA」又は「siRNA」とは、典型的に、強い負電荷を持ち、主に水に溶解性である、長さが15〜50塩基対及び好ましくは19〜27塩基対の二本鎖リボヌクレオチド配列を意味する。siRNAは、2つのアニールされたリボヌクレオチド配列又はヘアピン構造を形成する単一のリボヌクレオチド配列のいずれかから構成され得る。当業者は、siRNAが、動物及び植物において、配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスであるRNA干渉に関与することを理解するであろう。siRNAは、サイレンシングされた遺伝子と相同である、より長い二本鎖RNA(dsRNA)からリボヌクレアーゼIIIによる切断によって生成されるか、又は合成RNAを細胞に送達することによって生成される。遺伝子発現の標的化された阻害に使用するためのこのような分子の設計のための技術は当業者に周知である。
【0016】
本発明の薬物送達系は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される低分子干渉リボ核酸(siRNA)分子と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質とを含む小胞薬物送達系(「VDDS」)である。本発明の1つ又は複数の脂質二重層は、ホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質、並びに、任意選択で、少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質及び/又は陰イオン性脂質によって形成される。
【0017】
本発明の一実施形態において、VDDSは、(a)1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層であって、その脂質は、中性脂質のホスファチジルコリン、並びに、任意選択で、少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質及び/又は陰イオン性脂質からなる、少なくとも1つの脂質二重層と、(b)1つの水性キャビティ内に含有される低分子干渉リボ核酸(siRNA)分子と、(c)脂質二重層に埋め込まれている疎水性薬物物質とを含む。
【0018】
本発明の別の実施形態において、VDDSは、(a)いくつかの水性キャビティを取り囲むいくつかの脂質二重層であって、その脂質は、中性脂質のホスファチジルコリン又は中性脂質のホスファチジルコリンと少なくとも1つの更なる中性脂質との組み合わせからなる、脂質二重層と、(b)各々の水性キャビティ内に含有される低分子干渉リボ核酸(siRNA)分子と、(c)いくつかの脂質二重層に埋め込まれている疎水性薬物物質とを含む多層小胞(すなわち、多数の二重層を有するリポソーム)から構成される。
【0019】
上述の実施形態のいずれかにおいて、利便性及び必要性に従って種々の成分を決めてもよい。例えば、特定のヌクレオチド配列を有するsiRNAをVDDSの水性キャビティに封入していてもよい。代替として、異なるヌクレオチド配列を有する種々のsiRNA分子をVDDSの1又は複数の水性キャビティに封入してもよい。同様に、1つの特定の疎水性薬物が脂質二重層に埋め込まれていてもよく、又は、種々の異なる疎水性薬物が脂質二重層に埋め込まれていてもよい。
【0020】
本発明のVDDSは、リポソームを形成する、好ましくは、ホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質を含む脂質の1つ又は複数の脂質の二重層を含む。例としては、単層小胞薬物送達系(ULVDDs)又は多層小胞薬物送達系(MLVDDS)が挙げられる。ULVDDSは水性キャビティを包囲する1つの単一の脂質二重層を含有するが、一方、MLVDDは多数の水性区画と二重層を含有する。二重層の間の水性流体に捕捉された疎水性薬物物質及び/又は二重層に組み込まれた疎水性薬物物質は、各々の二重層が分解して放出されると薬物物質の持続放出を提供するように、本発明の薬物物質はMLVDDSに含まれてもよい。本発明のVDDSは、50から250nmの間、好ましくは50から150nmの間、及び最も好ましくは50から100nmの間の範囲の粒径を有することが望まれる。
【0021】
リポソームを形成する脂質は周知であり、一般に、正味中性であるか又は負電荷を有するリン脂質を含む。用語「リン脂質」とは、天然であっても又は合成であってもよい、少なくとも1つのリン基を含む疎水性分子を指す。例えば、リン脂質は、リン含有基及びOH、COOH、オキソ、アミンで任意選択に置換された飽和若しくは不飽和アルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基を含んでもよい。リン脂質は、それらのアシル(acylic)鎖の長さ及び飽和度が互いに異なる。当業者は、リン脂質が所望の最終的なVDDSのサイズに基づいて選択され得ることを理解するだろう。
【0022】
陽イオン性リポソームは、PCT公開公報WO02/100435A1、WO03/015757A1、及びWO04029213A2;米国特許第5,962,016号、米国特許第5,030,453号、及び米国特許第6,680,068号;並びに米国特許出願公開第2004/0208921号に記載されている。更に、中性脂質が、siRNAを種々の細胞種類に送達するために使用されている陽イオン性リポソームに組み込まれている。
【0023】
本発明に使用されるリポソームを形成する1つ又は複数の脂質は、ホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質を含む。本明細書に使用される用語「ホスファチジルコリン」とは、ホスファチジルコリン及びその誘導体の両方を指す。本発明における使用に適切なホスファチジルコリンの例としては、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ホスファチジルコリン(PLPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジラウリルオイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン(PMPC)、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、パルミトイルオエオイルホスファチジルコリン(palmitoyloeoyl phosphatidylcholine)(POPC)、リソホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
最も好ましい実施形態において、本発明において使用されるホスファチジルコリンは、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ホスホコリン(DOPC)、及びジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)からなる群から選択される。
【0025】
本発明は、ホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質並びに少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質、及び/又は陰イオン性脂質の組み合わせが、本発明のVDDSにおいて脂質二重層を形成するために使用される実施形態を含む。
【0026】
好ましくは、中性脂質は、本発明のVDDSにおいてホスファチジルコリンと組み合わされる。本発明に使用され得る中性脂質の例としては、コレステロール、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ホスホコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ホスファチジルコリン(PLPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジラウリルオイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン(PMPC)、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DAPC)、1,2−ジアラキドイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DBPC)、1,2−ジエイコセノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DEPC)、パルミトイルオエオイルホスファチジルコリン(POPC)、リソホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、パルミトイルオエオイルホスファチジルエタノールアミン(palmitoyloeoyl phosphatidylethanolamine)(POPE)、リソホスファチジルエタノールアミン又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
本発明のVDDSにおいてホスファチジルコリンと組み合わされる中性脂質としては、ポリエチレングリコール(PEG)が結合した脂質が挙げられ得る。本発明において使用され得るポリエチレングリコール(PEG)が結合した脂質の例としては、カルボニルメトキシポリエチレングリコール−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−750−DSPE、−MPEG−2000−DSPE及びMPEG−5000−DSPE)、カルボニルメトキシポリエチレングリコール−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−2000−DPPE及びMPEG−5000−DPPE)、カルボニルメトキシポリエチレングリコール−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−2000−DMPE及びMPEG−5000−DMPE)及びそれの誘導体が挙げられる。
【0028】
最も好ましい実施形態において、中性脂質は、コレステロール、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ホスホコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、及びmPEG−2000−DMPEからなる群から選択される。
【0029】
本発明のための適切な陽イオン性脂質としては、例えば、N−1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(4’−トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール(DOTB)、1,2−ジオレオイル−3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル(DOSC)、コレステリル(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノエート(ChoTB)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド DORI、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、O,O’−ジドデシル−N−p−(2−トリメチルアンモニオエチルオキシ)ベンゾイル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、リポスペルミン、DC−Chol(3a−N−(N’,N’’−ジメチルアミノエタン)カルボニルコレステロール)、リポポリ(L−リシン)、N−(a−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
本発明のための適切な陰イオン性脂質としては、例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、脳ホスファチジルセリン(BPS)、ジラウリルオイルホスファチジルグリセロール(DLPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
医薬上許容される賦形剤が、本発明のVDDSに更に使用されてもよい。本発明に使用され得る医薬上許容される賦形剤の例としては、脂質酸化阻害剤(米国特許第5,605,703号及びWO9202208)、ステロール、ポリエチレングリコール(PEG)又はトコフェロールなどの安定剤、α−トコフェロール又はその酢酸塩などの抗酸化剤;ビタミンE;β−カロテン;α−カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチンなどのカロテノイド;及びクエン酸緩衝剤、トリス緩衝剤、リン酸緩衝剤などの緩衝剤;又はクエン酸、マレイン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸などの酸性化剤が挙げられる。
【0032】
疎水性、すなわち水に不溶の薬物又は少なくとも1つの疎水性薬物を含む薬物の組み合わせが本発明において使用されてもよい。適切な薬物としては、抗高血圧剤、抗生物質剤、及び抗癌剤又は抗腫瘍剤が挙げられる。本発明のVDDSのリン脂質二重層(複数可)に組み込まれ得る疎水性薬物の例としては、限定されないが、窒素化マスタード類似体系のシクロホスファミド;メルファラン;イホスファミド;又はトロホスファミド;チオテパなどのエチレンイミン;ニトロソウレア系のカルムスチン;テモゾロマイドなどの専用剤(leased agent);又はダカルバジン;メトトレキサート又はラルチトレキセドなどの葉酸の類似代謝拮抗物質;チオグアニン、クラドリビン又はフルダラビンなどのプリン類似体;ピリミジン類似体系のフルオロウラシル、テガフール又はゲムシタビン;ビンブラスチン、ビンクリスチン又はビノレルビンなどのビンカアルカロイド及び類似体;エトポシドなどのポドフィロトキシン誘導体、ドセタキセル又はパクリタキセルなどのタキサン;アントラサイクリン並びにドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びミトキサントロンなど;ブレオマイシン及びマイトマイシンなどの他の細胞毒性抗生物質;シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンなどの白金化合物;リツキシマブなどのモノクローナル抗体;ペントスタチン、ミルテホシン、エストラムスチン、トポテカン、イリノテカン、ビカルタミド、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合剤、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナム、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、タキソイド、カンプトテシン、ドキソルビシン、ミケラミンB及びビンクリスチンなどの他の抗悪性腫瘍薬、又はそれらの組み合わせが挙げられる。用語「タキソイド」とは、パクリタキセル、セファロマンニン、バッカチンIII、10−デアセチルバッカチンIII、デアセチルパクリタキセル及びデアセチル−7−エピパクリタキセル並びにそれらの誘導体及び前駆体を指す。
【0033】
本発明の一実施形態において、疎水性薬物物質は、水に難溶性である(0.1mg/l未満)が、有機溶媒(エタノール、エチルアセテート、ジクロロメタンなど)に溶解しやすいEPO906(エポチロンB)である。したがって、投与の間の有効濃度を高めるために、VDDS、好ましくはリポソームVDDSにEPO9906を組み込むことは利点がある。
【0034】
機構的に、siRNA及びEPO906はそれらの作用機序が異なる。EPO906は、細胞死を導く細胞のチューブリン構造を破壊するが、一方、siRNAは、対象の遺伝子(「標的遺伝子」)のmRNAの相補的核酸配列を用いることによって対象の特異的遺伝子配列を標的とすることができる。このようなsiRNAの方向付けは、RISC(RNA induced silencing complex:RNA誘導サイレンシング複合体)と呼ばれている多タンパク質複合体による標的mRNAの触媒分解、及びそれによるこのmRNAによってコードされるタンパク質の下方制御を導く。
【0035】
本発明は、高分子構造のリポソーム又は多層小胞に組み込むことによって、EPO906及び他の水に難溶性の薬物の溶解性の問題を克服する。本発明はまた、siRNAを、リポソーム又は多層小胞の水溶性内部ケージに組み込むことによって、急速に分解され、排泄されるsiRNAの欠点を克服することに加えて、細胞取り込みを媒介することによって両方の薬物物質の薬物動態及び薬力学プロファイルを同時に上昇させる。2つの物理化学的に異なる医薬上活性な薬物物質を1つの薬物送達に組み込む、このいわゆる「組み合わせ」アプローチは、個々の2つの薬物物質の一連の欠点を克服する。例えば、(i)水に難溶性の薬物の有効な局所濃度を高め、(ii)疎水性薬物及びsiRNAの両方の加水分解及び/又は特定の酵素(エステラーゼ、ヌクレアーゼ)による分解からの保護を増加させ、(iii)両方の薬物物質の薬物動態及び薬力学プロファイルを高め、並びに(iv)2つの別個の分子経路から標的細胞を攻撃すること(例えば、EPO906の場合のチューブリン阻害及びmRNAの標的特異的分解)による相乗効果を生じる。
【0036】
siRNAの使用は当該技術分野において周知である。本発明のVDDSを設計する際に、少なくとも1つのsiRNAは、このmRNAによってコードされるタンパク質の下方制御を導く対象の特異的遺伝子配列を標的とする。対象の任意の新薬の開発につながるような(drugable)遺伝子、又は新薬の開発につながらないような遺伝子は、対象のmRNAに相同なsiRNA配列を設計することによって標的とされ得る。現在配列決定されている全ヒトゲノムについて、それらの任意の部分が、本発明のVDDSに使用するためのsiRNAを設計する際の標的配列として役立ち得る。例えば、siRNAは、BCl−2などの癌遺伝子を標的とするように設計されてもよく、これにより、癌細胞増殖の下方制御及び防止を生じる。多くの癌遺伝子の配列は、公知であり、容易に入手可能である。例としては、EphA2、接着斑キナーゼ(focal adhesion kinase)(FAK)、β−アドレナリン受容体(βAR)、ESR1、腫瘍抑制タンパク質pRB、MDR−1、NKカッパB及びNek2が挙げられる。
【0037】
このように、本発明における使用のためのsiRNAのための配列は、血漿DNA又はヒトゲノムから得られ得る。siRNAは、サイレンシングされた遺伝子と相同である、より長い二本鎖RNA(dsRNA)からリボヌクレアーゼIIIによる切断によって生成されても、又は合成RNAを細胞に送達することによって生成されてもよい。標的遺伝子配列は、新薬の開発につながってもよく、又は新薬の開発につながらなくてもよい。本発明のVDDSに使用するためのsiRNAはまた、公知のアンチセンス配列から誘導されてもよい。
【0038】
本発明に使用するためのsiRNAは、典型的に、強い負電荷を持ち、主に水溶性である、長さが15〜50塩基対の二本鎖リボヌクレアーゼ配列である。好ましくは、本発明のsiRNA配列は、長さが約19〜約27塩基対の範囲であり、標的配列と高度の相同性があるか、又は100%相同である。siRNAは、平滑末端とされてもよく、又は塩基対オーバーハングを有してもよい。siRNAは、更に、セリン−アスパラギン酸−トレオニンからなる繰り返しアミノ酸配列及び/又はホスホロチオエート骨格修飾を含んでもよい。
【0039】
種々のタイプのRNAは、本発明のVDDSに使用するためのsiRNAとして機能し得る。例えば、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)又はそれらの組み合わせが使用されてもよい。
【0040】
本発明に使用される脂質対siRNAの比は、10:1(質量)〜20:1(質量)の範囲であってもよい。好ましくは、本発明に使用される脂質:siRNAの比は約14:1である。
【0041】
本発明の一実施形態において、本発明のVDDS及び本発明のVDDSを含む医薬組成物は、種々の適切な製剤に製剤化されてもよく、エアロゾル形態で経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内(intraperitoneally)、腹腔内(interperitoneally)、直腸、局所的、及び経膣的に投与されてもよい。
【0042】
好ましくは、VDDSは医薬上許容される担体と混合され、静脈内(iv)、腹腔内(ip)又は局所的(tp)に投与される。iv又はipによる投与は、注入部位の炎症などの副作用の危険性の減少をもたらす。
【0043】
本発明によれば、標的組織を認識するために「標的化部分」又はリガンドがVDDSに結合されてもよく、これにより、VDDSよって送達される薬物物質、例えば、抗体、抗体フラグメント、多糖、糖、及び他のリガンド若しくは他の薬剤の細胞内送達並びに/又は当業者に公知の他の方法(Klibanovら,J.Liposome Res.,2(3):321(1992))が改良される。ガングリオシド、多糖及びポリエチレングリコールなどのポリマーをVDDSに結合させて、インビボでの網内系によるそれらの非特異的取り込みを減少させてもよい。種々の細胞タンパク質及びウイルスタンパク質もまた、標的化の目的のため、及びそれらの融合特性のために、リポソーム内に組み込まれている。本発明の一実施形態によれば、標的化特性を修飾するために、標的化部分が親水性ポリマー(例えばPEG)に結合される。本発明の一実施形態によれば、標的化部分は、葉酸−mPEG−DSPEトランスフェリン、アルファ−トコフェロール、レチノイン酸又はRGDペプチドである。
【0044】
本発明は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む中性脂質のホスファチジルコリンを含む少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質を含むVDDSを作製する方法を提供する。その方法は、(i)中性脂質のホスファチジルコリン、少なくとも1つの疎水性薬物及び水混和性有機溶媒を含む第1の溶液を形成する工程と、(ii)第1の溶液から水混和性有機溶媒を蒸発させることによって脂質薄膜を形成する工程と、(iii)少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)及び水溶液を含む第2の溶液を形成する工程と、(iv)(ii)の脂質薄膜と(iii)の第2の溶液とを混合して、VDDSを形成する工程とを含む。
【0045】
本発明のVDDSを作製するために使用される脂質対siRNAの比は、10:1(質量)〜20:1(質量)の範囲であってもよい。好ましくは、本発明に使用される脂質対siRNAの比は、約14:1である。
【0046】
本発明に使用される「水混和性有機溶媒」は、溶媒中の疎水性薬物の溶解性、溶媒が水に混和する程度、及び溶媒の毒性に応じて選択される。使用され得る溶媒の例としては、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド、エタノール、グリコール、グリセリン、プロピレングリコール、及び種々のポリエチレングリコールなどの種々のアルコールが挙げられる。本発明の一実施形態によれば、VDDSを作製する方法は、水混和性有機溶媒としてエタノールを使用して、少なくとも1つのリン脂質及び少なくとも1つの疎水性薬物を含む混合物を形成し、それを、少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)を含む水溶液と更に混合して、VDDSを形成する。
【0047】
siRNAを含有する第2の溶液を形成するために使用される水溶液は、3〜6の間のpH、好ましくは4のpHの緩衝剤及び金属塩の両方を含む。この水溶液は、siRNAの溶解度に応じて選択される。当業者は、本発明における水溶液のための緩衝剤及び金属塩を選択する方法を理解しているだろう。適切な緩衝剤の例としては、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムを含む、酢酸のいずれかの塩、コハク酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、HEPES、PBS及び当該技術分野において公知の任意の他の緩衝剤が挙げられる。適切な金属塩の例としては、塩化カルシウム、塩化亜鉛及び塩化マグネシウムが挙げられる。
【0048】
薬物物質の安定性を高めるか、又は毒性を減少させる、VDDSに対する添加剤、例えば脂質酸化阻害剤(米国特許第5,605,703号及びWO9202208)及びステロール、ポリエチレングリコール(PEG)又はトコフェロールなどの安定剤が添加されてもよい。VDDSに含まれる場合、コレステロールなどのステロールは、低分子及びイオンをほとんど透過させない二重層(複数可)を作製し、その二重層の間のタンパク質の輸送を減少させることによって安定性を促進する。
【0049】
標的組織を認識するための「標的化部分」又はリガンドは、当業者に公知の方法(Klibanovら,J.Liposome Res.,2(3):321(1992))を用いてVDDSに結合され得る。これらの公知の方法は本明細書に参照として組み込まれる。
【0050】
遊離した非リポソーム薬物及びsiRNAの除去は、タンジェンシャル(膜)フロー濾過(TFF)システム又は透析を用いて達成され得る。
【0051】
本発明は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む、中性脂質のホスファチジルコリン並びに少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質及び/又は陰イオン性脂質の組み合わせを含む少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質とを含むVDDSを作製する方法を更に提供する。この方法は、(i)中性脂質のホスファチジルコリン、更なる中性脂質(複数可)又は陽イオン性脂質(複数可)又は陰イオン性脂質(複数可)、少なくとも1つの疎水性薬物及び水混和性の有機溶媒を含む第1の溶液を形成する工程と、(ii)第1の溶液から水混和性有機溶媒を蒸発させることによって脂質薄膜を形成する工程と、(iii)少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)及び水溶液を含む第2の溶液を形成する工程と、(iv)(ii)の脂質薄膜と(iii)の第2の溶液とを混合して、VDDSを形成する工程とを含む。
【0052】
本発明のVDDSを作製するために使用される脂質対siRNAの比は、10:1(質量)〜20:1(質量)の範囲であってもよい。好ましくは、本発明に使用される脂質対siRNAの比は約14:1である。
【0053】
本発明のVDDSの好ましい製剤は、81.9:15.4:2:0.7(モル濃度)のPC:chol:DMPE−PEG2000:D,L−α−トコフェロール(ビタミンE)の比を有し、ここで、「PC」はホスファチジルコリンであり、「chol」はコレステロールであり、「DMPE−PEG2000」はジミリスチルホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール2000である。脂質対siRNAの好ましい比は14:1(質量)である。リポソーム二重層内に挿入する薬物の量は特定の薬物に応じる。EPO906の場合、0.5mg/mLの最終濃度を脂質二重層に挿入することが好ましい。リポソームの水性内部におけるsiRNA蓄積は、好ましくは、約1〜1.2mg/mLの最終濃度である。
【0054】
本発明は、少なくとも1つの疎水性薬物物質及び少なくとも1つのsiRNAを対象に同時に両方送達する方法を更に提供し、前記方法は、(a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層と、(b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)と、(c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質とを含む小胞薬物送達系を対象に投与する工程を含む。本発明によれば、脂質二重層はホスファチジルコリンである中性脂質を含む。本発明は更に、脂質二重層が、ホスファチジルコリン並びに少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質及び/又は陰イオン性脂質の組み合わせを含む、実施形態を含む。
【0055】
本発明のVDDSは、種々の疾患の治療、特に腫瘍への適用に有用である。例えば、EPO906及びsiRNAを含むVDDSは、卵巣癌を治療するために使用されてもよく、その治療において、投与は、好ましくは、腹腔内又は全身/非経口投与である。EPO906及びsiRNAを含む本発明のVDDSはまた、乳癌、肺癌、黒色腫、腹膜癌、卵管癌、及び結腸直腸癌の治療に使用してもよい。好ましい用量範囲は、個々の適用当たり0.1〜10mg/kgのsiRNAであり、これは、個々の適用当たり0.05〜5mg/kgのEPO906と一致する。
【0056】
以下に実施例を示すが、本明細書に記載されている本発明の範囲を限定するために与えるものではない。この実施例は、本発明を実施する方法を示唆することのみを意図する。
【実施例1】
【0057】
標的化部分を有さない脂質薄膜の調製:
ホスファチジルコリン(PLPC、104.4mg)、コレステロール(10mg)、MPEG−2000−DMPE(9mg)、及びD,L−α−トコフェロール(0.49mg)を、2mLのエタノールに溶解して、62.01mg/mL(又は0.0840mmol/mL)を得る。EPO906(22.14mg)を加えて、完全に溶解する。この溶液から、1129μLを別の丸底フラスコにピペットで取り、全てのエタノールを蒸発させて、脂質薄膜を生成する。
【0058】
標的化部分を有する脂質薄膜の調製:
この実施例に使用する標的化部分は、FA−mPEG−DSPEである。ホスファチジルコリン(PLPC、104.1mg)、コレステロール(10.22mg)、mPEG−2000−DMPE(9mg)、FA−PEG3000−DSPE(2.2mg)及びD,L−α−トコフェロール(0.52mg)を、2mLのエタノールに溶解して、62.92mg/mL(又は0.084mmol/mL)を得る。EPO906(22.46mg)を加え、完全に溶解する。この溶液から、1113μLを別の丸底フラスコにピペットで取り、エタノールを蒸発させて、脂質薄膜を生成する。
【0059】
siRNA水溶液の調製:
この実施例において、ルシフェラーゼ遺伝子特異的siRNAを使用する。1000μLのsiRNAストック(5mg/mL)、125μLのCaCl(0.1M)、125μLの酢酸緩衝溶液(pH4、1M)及び250μLの水のsiRNA溶液を、混合することによって調製する。そのsiRNA溶液を45℃の水浴中で加温する。
【0060】
VDDSの調製:
特定の脂質薄膜を混合し、siRNA水溶液で水和して、リポプレックス溶液を形成する。そのリポプレックス溶液を、45℃の温水浴中に30分間置いておき、その後、1000μLのエタノールを加える。リポプレックス溶液を、液体窒素を用いて凍結させ、45℃の温水浴中で加温する。水溶性薬物物質についての捕集効率を増加させるために、凍結し、加温する工程を3回繰り返し、本発明のVDDSを得る。粒子の分析により、ゲル電気泳動によって測定すると、80%のカプセル化効率を有し、140±56nmの平均サイズ及び0.5のPDIが示される。
【0061】
遊離した非リポソームEPO906及びsiRNAの除去は、タンジェンシャル(膜)フロー濾過(TFF)システムを用いて達成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの水性キャビティを取り囲む少なくとも1つの脂質二重層であって、前記脂質はホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質を含む、少なくとも1つの脂質二重層と、
b)前記少なくとも1つの水性キャビティ内に含有される少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)と、
c)前記少なくとも1つの脂質二重層に埋め込まれている少なくとも1つの疎水性薬物物質と、
を含む、小胞薬物送達系。
【請求項2】
前記脂質が、少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質又は陰イオン性脂質を更に含む、請求項1に記載の小胞薬物送達系。
【請求項3】
前記少なくとも1つのsiRNAが、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項4】
前記siRNAのヌクレオチド配列が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血漿DNA又はヒトゲノムに由来する、請求項1又は2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項5】
前記疎水性薬物が、タキソイド、ドセタキセル、パクリタキセル、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合剤、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナム、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、シクロスポリン、ミケラミンB、ブリオスタチン−1、ハロモン、シスプラチン、EPO906又はそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項6】
前記疎水性薬物がEPO906である、請求項5に記載の小胞薬物送達系。
【請求項7】
前記少なくとも1つの更なる中性脂質が、コレステロール、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ホスホコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ホスファチジルコリン(PLPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジラウリルオイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン(PMPC)、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DAPC)、1,2−ジアラキドイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DBPC)、1,2−ジエイコセノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DEPC)、パルミトイルオエオイルホスファチジルコリン(POPC)、リソホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、パルミトイルオエオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、リソホスファチジルエタノールアミン、カルボニルメトキシポリエチレングリコール−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−750−DSPE、−MPEG−2000−DSPE及びMPEG−5000−DSPE)、カルボニルメトキシポリエチレングリコール−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−2000−DPPE及びMPEG−5000−DPPE)、カルボニルメトキシポリエチレングリコール−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−2000−DMPE及びMPEG−5000−DMPE)又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項8】
前記中性脂質が、DPPC、DSPC、DOPC、DMPC、PLPC、PE、MPEG−2000−DMPE又はそれらの組み合わせである、請求項7に記載の小胞薬物送達系。
【請求項9】
前記少なくとも1つの更なる陽イオン性脂質が、N−1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(4’−トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール(DOTB)、1,2−ジオレオイル−3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル(DOSC)、コレステリル(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノエート(ChoTB)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド DORI、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、O,O’−ジドデシル−N−p−(2−トリメチルアンモニオエチルオキシ)ベンゾイル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、リポスペルミン、DC−Chol(3a−N−(N’,N’’−ジメチルアミノエタン)カルボニルコレステロール)、リポポリ(L−リシン)、N−(a−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG)、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項10】
前記少なくとも1つの更なる陰イオン性脂質が、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、脳ホスファチジルセリン(BPS)、ジラウリルオイルホスファチジルグリセロール(DLPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項11】
更なる医薬上許容される賦形剤を更に含む、請求項1又は2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項12】
前記更なる医薬上許容される賦形剤が、コレステロール、ポリエチレングリコール(PEG)、又はトコフェロールからなる群から選択される、安定剤である、請求項11に記載の小胞薬物送達系。
【請求項13】
前記siRNAが、過形成細胞又は癌性細胞の増殖を促進する遺伝子の翻訳を阻害する、請求項1又は2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項14】
前記siRNAが15〜50個の核酸塩基である、請求項1又は2に記載の小胞薬物送達系。
【請求項15】
前記遺伝子が、EphA2、接着斑キナーゼ(FAK)、[ベータ]2−アドレナリン受容体([ベータ]2AR)、ESR1、腫瘍抑制タンパク質pRB、MDR−1、NKカッパB及びNek2からなる群から選択される、請求項13に記載の小胞薬物送達系。
【請求項16】
標的化部分を更に含む、請求項1に記載の小胞薬物送達系。
【請求項17】
前記標的化部分が、葉酸−mPEG−DSPEトランスフェリン、アルファ−トコフェロール、レチノイン酸及びRGDペプチドからなる群から選択される、請求項16に記載の小胞薬物送達系。
【請求項18】
コレステロール、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンポリエチレングリコール2000(DMPE−PEG2000)及びトコフェロールを更に含む、請求項9に記載の小胞薬物送達系。
【請求項19】
PC:コレステロール:DMPE−PEG2000:トコフェロールの比が、約81.9:15.4:2:0.7(モル濃度)である、請求項18に記載の小胞薬物送達系。
【請求項20】
脂質:siRNAの比が、10:1(質量)から20:1(質量)の間の範囲である、請求項1に記載の小胞薬物送達系。
【請求項21】
リン脂質:siRNAの比が、14:1(質量)である、請求項20に記載の小胞薬物送達系。
【請求項22】
前記疎水性薬物の濃度が少なくとも約0.5mg/mLである、請求項1に記載の小胞薬物送達系。
【請求項23】
前記siRNAの濃度が約1〜1.2mg/mLである、請求項1に記載の小胞薬物送達系。
【請求項24】
請求項1に記載の小胞薬物送達系を作製する方法であって、前記方法は、
a)ホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質、少なくとも1つの疎水性薬物及び水混和性有機溶媒を含む第1の溶液を形成する工程と、
b)前記第1の溶液から前記水混和性有機溶媒を蒸発させることによって脂質薄膜を形成する工程と、
c)少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)及び水溶液を含む第2の溶液を形成する工程と、
d)前記(b)の脂質薄膜と前記(c)の第2の溶液とを混合して、前記小胞薬物送達系を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項25】
請求項2に記載の小胞薬物送達系を作製する方法であって、前記方法は、
a)ホスファチジルコリンである少なくとも1つの中性脂質;少なくとも1つの更なる中性脂質、陽イオン性脂質又は陰イオン性脂質;少なくとも1つの疎水性薬物及び水混和性有機溶媒を含む第1の溶液を形成する工程と、
b)前記第1の溶液から前記水混和性有機溶媒を蒸発させることによって脂質薄膜を形成する工程と、
c)少なくとも1つの低分子干渉リボ核酸(siRNA)及び水溶液を含む第2の溶液を形成する工程と、
d)前記(b)の脂質薄膜と前記(c)の第2の溶液とを混合して、前記小胞薬物送達系を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項26】
標的化部分が前記(a)の第1の溶液に加えられる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記疎水性薬物が、タキソイド、カンプトテシン、ドキソルビシン、ミケラミンB、ビンクリスチン、ブリオスタチン−1、ハロモン、シスプラチン、EPO906、ドセタキセル、パクリタキセル、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合剤、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナム、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、及びシクロスポリン、又はそれらの組み合わせである、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
前記水混和性有機溶媒が、アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド又はポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項29】
前記水混和性有機溶媒が、メタノール、グリコール、グリセロール、プロピレングリコール又はエタノールからなる群から選択されるアルコールである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの更なる中性脂質が、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ホスホコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ホスファチジルコリン(PLPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジラウリルオイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン(PMPC)、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DAPC)、1,2−ジアラキドイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DBPC)、1,2−ジエイコセノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DEPC)、パルミトイルオエオイルホスファチジルコリン(POPC)、リソホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、パルミトイルオエオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、及びリソホスファチジルエタノールアミン又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項31】
安定剤が前記(a)の第1の溶液に加えられる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項32】
前記安定剤が、コレステロール、ポリエチレングリコール(PEG)又はトコフェロールである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
疎水性薬物物質及びsiRNAを対象に同時に両方送達する方法であって、前記方法は、請求項1に記載の小胞薬物送達系を前記対象に投与する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−521389(P2012−521389A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501288(P2012−501288)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053802
【国際公開番号】WO2010/108934
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】