説明

薬物含有貼付剤

【課題】製品名や薬効などの印刷表示により医療事故防止に寄与し、さらには異物混入品の市場への流出を防止するための検査が効率的に実施でき、かつ支持体側と被覆材側との識別性にも優れた薬物含有貼付剤を提供すること。
【解決手段】単色の印刷表示が施された支持体と、薬物含有粘着剤層と、該薬物含有粘着剤層の表面を被覆する被覆材であって支持体への印刷色とは異なる単色の印刷表示が施された被覆材とを備える薬物含有貼付剤であって、該支持体に施された印刷表示と該被覆材に施された印刷表示とのLab表色系における色度差|△a|及び|△b|がそれぞれ20以下であり、かつ、色差ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2が10以上30以下であることを特徴とする、薬物含有貼付剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に貼付して用いる薬物含有貼付剤に関する。より具体的には、本発明は、支持体及び被覆材に印刷表示(特に、薬物含有貼付剤の製品名及び/又は含有薬物の薬効の印刷表示)が施された薬物含有貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物を生体内へ投与する手段として薬物を含有する粘着シートを皮膚に貼付する方法が一般的に知られており、パップ剤、プラスター剤などの局所作用を目的とするものや、虚血性心疾患治療効果、喘息治療効果など全身的効果を目的とするものなど、多種多様な薬物含有貼付剤が汎用されている。
【0003】
薬物含有貼付剤が一般に認知され、普及する中、薬物の情報提供義務の法制化などにより、薬物含有貼付剤を封入する包装材には製品名が従来から表記されているものの、薬物含有貼付剤自体へ製品名などを表記させた例は数少ない。
従って、患者が貼付している状態の薬物含有貼付剤の薬効は医療従事者であっても判別ができないため、これが、特に急患の場合には、迅速で適切な処置の妨げとなるという問題点があった。
医療現場からも、医薬品使用の安全性確保や患者の服薬指導の面から、薬物含有貼付剤の薬効や製品名を確認できるよう薬物含有貼付剤自体への製品名等の表記が求められ、厚生労働省からも医薬品による医療事故防止に向けた対策をとるよう医薬品製造業界に対して求めが出されていた。
【0004】
特許文献1には、貼付剤自体への表記に関して、不織布からなる支持体にエンボス加工により文字を刻印した外用貼付剤が開示されているが、エンボス加工による文字の刻印は、視認性の点で印刷に劣るという問題点があった。
【0005】
製品への塵、毛髪、昆虫などの異物混入は、特に医薬品においては重大な不良であるが、通常、製品に印刷表示を施すことは異物の検出を困難にするという問題を生じる。つまり、印刷表示を施すことで製品の外観が複雑化するため、印刷物の表面に生じる汚れや印刷物内部に混入した塵等の異物などを検査する場合には、印刷部の影響が排除された異物検査が必要となる。印刷部の影響が排除された異物検査としては、印刷部をいわば消去(印刷部の色情報を消去)して全面を検査する方法と、印刷部を検査対象から除外して検査する方法とが知られている。
特許文献2には、印刷部をいわば消去して全面を検査する方法として、印刷部が単色の印刷のみからなる場合には、光学フィルタを用いて印刷部の色情報を消去する方法が記載されている。
上述の印刷部をいわば消去して全面を検査する方法により、支持体と被覆材とを備える薬物含有貼付剤を検査する場合、支持体と被覆材の印刷表示が同色である場合が最も検出能力への影響が小さい。しかしながら、支持体と被覆材の印刷表示が同色であると、使用時に被覆材を剥離する際、使用者にとって支持体側と被覆材側の識別が困難であるため、使用者が貼付前に貼付剤の粘着面に必要以上に触れてしまい、貼付剤の皮膚接着性が損なわれてしまうという問題点があった。
【0006】
支持体と被覆材の印刷表示が同色である場合には、文字サイズを変えたり、一方の表示を文字ではなく図柄にしたりすることで、それぞれの面の識別を容易にさせることは可能であるが、貼付剤のサイズが小さい場合や使用者が高齢の場合には十分な識別効果が得られにくい。従って、支持体面と被覆材面の最も識別が容易な方法は、支持体と被覆材に、それぞれ異なる印刷色で印刷表示を施すことであると言える。
しかしながら、支持体と被覆材の印刷表示に異なる色を使用した場合には、上述の印刷部をいわば消去して全面を検査する方法では、光学フィルタによる印刷部の色情報の消去が不十分となるため、上述の印刷部を検査対象から除外して検査する方法を採用することとなる。
【0007】
印刷部を検査対象から除外して検査する方法としては、いわゆるパターンマッチングによって印刷部を検出し、当該検出した印刷部をマスクして検査する方法や、印刷部が長手方向に周期的に配列されたシート状被検材について、前回の印刷部を検査した際の撮像画像に基づき今回の検査の際の印刷部をマスクする方法(特許文献3)が知られている。
しかし、これらの方法では、マスクに要する処理時間が長くなり効率の良い検査が行えないことが懸念される。また、特許文献3に記載の方法は、印刷部が周期的に配列されていることが必須であるため、汎用性に乏しい。
【特許文献1】特開2001−231812号公報
【特許文献2】特開2005−181260号公報
【特許文献3】特許第2597370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、製品名や薬効などの印刷表示により医療事故防止に寄与し、さらには異物混入品の市場への流出を防止するための検査が効率的に実施でき、かつ支持体側と被覆材側との識別性にも優れた薬物含有貼付剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、単色の印刷表示が施された支持体と、薬物含有粘着剤層と、該薬物含有粘着剤層の表面を被覆する被覆材であって支持体への印刷色とは異なる単色の印刷表示が施された被覆材とを備える薬物含有貼付剤において、該支持体及び該被覆材に施された印刷表示の色度差及び色差を特定の範囲に最適化することにより、反射光を用いた異物検査においても異物検出感度への影響が小さく、かつ支持体側と被覆材側が識別し易い貼付剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 単色の印刷表示が施された支持体と、薬物含有粘着剤層と、該薬物含有粘着剤層の表面を被覆する被覆材であって支持体への印刷色とは異なる単色の印刷表示が施された被覆材とを備える薬物含有貼付剤であって、
該支持体に施された印刷表示と該被覆材に施された印刷表示とのLab表色系における色度差|△a|及び|△b|がそれぞれ20以下であり、かつ、色差ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2が10以上30以下であることを特徴とする、薬物含有貼付剤。
〔2〕 最高透過率波長が360〜470nmである光学フィルタを用いた、反射光による異物検査において、支持体の印刷表示及び被覆材の印刷表示の映り込みが生じない、上記〔1〕記載の薬物含有貼付剤。
〔3〕 被覆材の印刷表示のLab表色系における色度a値及びb値がともに負の値である、上記〔2〕記載の薬物含有貼付剤。
〔4〕 支持体及び被覆材への印刷表示が硬化性のインキを用いて施されたものである、上記〔1〕記載の薬物含有貼付剤。
〔5〕 支持体への印刷表示が薬物含有粘着剤層側と反対側の面に施されている、上記〔1〕記載の薬物含有貼付剤。
〔6〕 支持体に施された印刷表示が薬物含有貼付剤の製品名及び/又は含有薬物の薬効である、上記〔1〕記載の薬物含有貼付剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の薬物含有貼付剤に比べ医療事故防止効果が期待できるとともに、異物検査において検出感度を低下させることがなく効率的な検査が行えるので、異物混入品の市場への流出リスクを抑制することができる。
また、急患で、医療従事者との意思疎通が困難な状態であっても、医療従事者が、何の薬剤を貼付しているのかを即座に判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の薬物含有貼付剤は、単色の印刷表示が施された支持体と、薬物含有粘着剤層と、該薬物含有粘着剤層の表面を被覆する被覆材であって支持体への印刷色とは異なる単色の印刷表示が施された被覆材とを備える薬物含有貼付剤である。
本発明の薬物含有貼付剤において、支持体に施された印刷表示と被覆材に施された印刷表示とのLab表色系における色度差|△a|及び|△b|はそれぞれ20以下であり、色差ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2が10以上30以下である。好ましくは、支持体に施された印刷表示と被覆材に施された印刷表示とのLab表色系における色度差|△a|及び|△b|はそれぞれ10以下であり、色差ΔEは20以上26以下である。|△a|及び|△b|が上記の範囲を外れる場合ならびにΔEが30を超える場合は、異物検査での光学フィルタを介した撮像において、支持体又は被覆材のいずれか一方の印刷が白く又は黒く写り、いずれの場合にもこれらが異物として検出されてしまう。一方、ΔEが15を下回る場合は、支持体に施された印刷表示と被覆材に施された印刷表示との色差が小さすぎるため、それぞれの面を識別しにくくなる。
【0012】
本発明の薬物含有貼付剤の異物検査を行う場合、印刷表示の影響を受けない異物検査であればいかなる方法も用いることができるが、薬物含有貼付剤に光を照射する過程と、光学フィルタを介してその反射光を撮像する過程と、撮像した画像を2値化等の画像処理を施すことによって異常を顕在化させる過程とを含む方法による異物検査が特に効果的である。ここで使用される光学フィルタとしては、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)社製の赤色光を選択的に透過するR−62、青系統の色を選択的に透過するB−410、緑系統の色を選択的に透過するG−530など、市販のフィルタを印刷表示の色に応じて適宜用いることができるが、最高透過率波長が360〜470nmの光学フィルタが好ましい。
例えば、上記色度の条件を満たしかつ被覆材の印刷表示のLab表色系における色度a値及びb値がともに負の値をとるような青系統の色を印刷色として選択した場合は、B−390の光学フィルタを用いて印刷部を消去することができる。
【0013】
支持体及び被覆材への印刷表示は、硬化性のインキを用いて施すことが好ましい。硬化性のインキを用いることにより、本発明の薬物含有貼付剤の保存中における、粘着剤中の液状成分等のしみ出しによるインキの溶解、本発明の薬物含有貼付剤の貼付中における、入浴や発汗などによるインキの滲み及び皮脂成分によるインキの溶解を防ぐことが可能となる。
【0014】
インキの硬化性の種類は、UV硬化性や、硬化剤の添加により付与した任意の硬化性など特に限定されない。
本発明の薬物含有貼付剤の製造において用いられる硬化性のインキとしては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ポリエステル系の樹脂から構成されるインキが挙げられる。なかでも、ウレタン系インキであって、鉛、六価クロム、カドミウム、水銀などの重金属やモノクロロベンゼン、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化合物を含まないものが特に好ましい。
【0015】
支持体及び被覆材の印刷表示は、単色での印刷であれば、文字、図柄、これらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0016】
支持体に施された印刷表示は、薬物含有貼付剤の製品名及び/又は含有薬物の薬効であることが好ましい。
【0017】
支持体及び被覆材への印刷表示は、薬物含有粘着剤層側と反対側の面(すなわち、薬物含有粘着剤層と接触する面と反対側の面)に施されていることが好ましい。印刷表示が薬物含有粘着剤層側に施されている場合は、粘着剤層中の成分と印刷表示に用いるインキなどの相互作用によりインキの溶解、又は粘着剤に含有される薬物の分解などを引き起こす可能性がある。
【0018】
支持体及び被覆材へ印刷表示を施す方法は特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷など一般的な印刷方法を用いることができるが、支持体への印刷はフレキソ印刷が好ましく、被覆材への印刷はグラビア印刷が好ましい。貼付剤に用いられる支持体は薄くて柔軟であることが望ましく、不織布を積層したものも多いが、樹脂製の印刷版を使用するフレキソ印刷はこのような素材への印刷を容易に行うことができる。
【0019】
本発明に用いられる支持体は、支持体上に薬物含有粘着層を形成可能なものであれば特に限定されないが、柔軟で薬物含有粘着剤層中の成分を非透過性のフィルム、シート又は不織布であることが好ましい。そのような支持体としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレンなどの単独フィルム、シート、不織布、あるいはこれらの積層体などが挙げられる。なかでも、ポリエステル製のフィルム、シート、不織布、及びこれらの積層体が好ましい。
支持体の厚みは、特に限定されないが、貼付剤としてのソフト感を損なわない点から、通常2〜200μm、好ましくは5〜100μmである。
【0020】
本発明に用いられる被覆材は、薬物含有粘着層の成分を非透過性のものであれば特に限定されないが、例えば、薬物含有粘着剤層との接触面に易剥離処理を施したプラスチック製または紙製のシート又はフィルムが挙げられる。特に、ポリエステル製のシート又はフィルムが好ましい。
【0021】
薬物含有粘着剤層を構成する粘着剤は、薬物を含有させることが可能な粘着剤であれば特に限定されないが、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ビニルエーテル系、ウレタン系、酢酸ビニル系などの重合体粘着剤が挙げられる。なかでも、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好ましい。
【0022】
粘着剤層に含有される薬物は、経皮吸収性を有するものであれば特に限定されず、全身作用及び局所作用のいずれを期待する薬物であってもよい。本発明で使用される薬物としては、例えば、全身麻酔薬、催眠・鎮静薬、抗てんかん薬、解熱鎮痛消炎薬、鎮暈薬、精神神経用薬、局所麻酔薬、骨格筋弛緩薬、自律神経用薬、鎮痙薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、強心薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、動脈硬化用薬、循環器用薬、呼吸促進薬、鎮咳去痰薬、ホルモン薬、化膿性疾患用外用薬、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎用薬、寄生性皮膚疾患用薬、止血用薬、痛風治療用薬、糖尿病用薬、抗悪性腫瘍用薬、抗生物質、化学療法薬、麻薬などが挙げられる。
【0023】
さらに、薬物含有粘着剤層には、必要に応じ、様々な添加剤を添加することができる。添加剤の例としては、経皮吸収促進剤、可塑剤、粘着付与剤、安定化剤などが挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において部および%は、重量部および重量%をそれぞれ意味する。
【0025】
[実施例1〜4及び比較例1〜4]
(粘着剤溶液の調製)
アクリル酸2・エチルへキシル95部、アクリル酸5部を不活性ガス雰囲気下、酢酸エチル中で重合させて、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
【0026】
(印刷表示された支持体の製造)
ポリエステル製フィルム(厚さ5μm)にポリエステル系接着剤をグラビアコーターによって乾燥塗布量が5g/mになるように塗布し、加熱しながらポリエステル不織布(20g/m)を圧着することによってラミネートした。この支持体の不織布面に、フレキソ用油性インキ(フレキソNCI又はフレキソPS、大阪印刷インキ製造(株)製)を表1の印刷色に調合し、フレキソ印刷により印刷した。
【0027】
(印刷表示された被覆材の製造)
ポリエステル製フィルム(厚さ75μm)にグラビア印刷によって印刷を施し、印刷面と反対の面に易剥離処理を施した。
【0028】
(薬物含有貼付剤の製造)
上記で得られた粘着剤溶液に、薬物としてツロブテロールを5%添加し、混合して膏体溶液を得た。表1に示した各被覆材上に乾燥後の厚みが40μmとなるように塗布し、乾燥して薬物含有粘着剤層を作製した。次に、この粘着剤層上に表1に示した印刷を施した各支持体を積層し、本発明の薬物含有貼付剤を得た。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
A:ポリエステルフィルム(厚さ6μm)−ポリエステル不織布(目付け量20g/m)の積層体
(ポリエステルフィルム側に粘着剤層を積層する)
B:ポリエステルフィルム(厚さ2μm)−ポリエステル不織布(目付け量12g/m)の積層体
(不織布側に粘着剤層を積層する)
C:白色ポリエステルフィルム(厚さ75μm)
【0032】
色度測定条件
測定機器:カラーアナライザーTC−1800MK−II(東京電色製)
測定方法:反射光
視野 :2度視野
標準光 :D65
【0033】
[実験例1]
実施例及び比較例で得られた薬物含有貼付剤を、KP−F100B(日立国際電気社製)を用い、B−390光学フィルタを介して撮像し、得られた画像に支持体または被覆材の印刷が写りこむかどうかを評価した(n=3)。
【0034】
[実験例2]
実施例及び比較例で得られた薬物含有貼付剤について、支持体側と被覆材側の識別しやすさを目視で評価した(n=3)。
【0035】
【表3】

【0036】
実施例1〜4で得られた薬物含有貼付剤は、光学フィルタを介した撮像において、印刷が映り込むことがないため、薬物含有貼付剤の異物検査に影響しないことが分かる。また、実施例1〜4で得られた薬物含有貼付剤は、支持体側と被覆材側とが識別しやすかった。一方、比較例1〜3で得られた薬物含有貼付剤は、支持体側と被覆材側は識別しやすいものの、比較例1及び2は印刷の|Δa|又は|Δb|が大きすぎるため、また比較例3はΔEが大きすぎるため、光学フィルタを介しても支持体の印刷の映り込みが認められた。比較例4で得られた薬物含有貼付剤は印刷の映り込みはないものの、支持体と被覆材の印刷表示の色差が小さいため、それぞれの面を識別し難かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単色の印刷表示が施された支持体と、薬物含有粘着剤層と、該薬物含有粘着剤層の表面を被覆する被覆材であって支持体への印刷色とは異なる単色の印刷表示が施された被覆材とを備える薬物含有貼付剤であって、
該支持体に施された印刷表示と該被覆材に施された印刷表示とのLab表色系における色度差|△a|及び|△b|がそれぞれ20以下であり、かつ、色差ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2が10以上30以下であることを特徴とする、薬物含有貼付剤。
【請求項2】
最高透過率波長が360〜470nmである光学フィルタを用いた、反射光による異物検査において、支持体の印刷表示及び被覆材の印刷表示の映り込みが生じない、請求項1記載の薬物含有貼付剤。
【請求項3】
被覆材の印刷表示のLab表色系における色度a値及びb値がともに負の値である、請求項2記載の薬物含有貼付剤。
【請求項4】
支持体及び被覆材への印刷表示が硬化性のインキを用いて施されたものである、請求項1記載の薬物含有貼付剤。
【請求項5】
支持体への印刷表示が薬物含有粘着剤層側と反対側の面に施されている、請求項1記載の薬物含有貼付剤。
【請求項6】
支持体に施された印刷表示が薬物含有貼付剤の製品名及び/又は含有薬物の薬効である、請求項1記載の薬物含有貼付剤。

【公開番号】特開2008−1642(P2008−1642A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173018(P2006−173018)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月23日 インターネットアドレス「http://www.nitto.co.jp/company/release/2006/06_05_23/index.html」に発表
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】