説明

薬物設計の方法

本発明は、(a)分子多様性をスキャンするために、式(1)の化合物の第1ライブラリーを設計することであって、ライブラリーの各化合物が、以下に定義される少なくとも2つのファーマコフォア基R1〜R5を有し、かつライブラリーの化合物が、同数のファーマコフォア基を有すること;(b)1つまたは複数の生物学的アッセイにおいて化合物の第1ライブラリーをアッセイすること;(c)第2ライブラリーを設計することであって、第2ライブラリーの各化合物が、第1ライブラリーに対して1つまたは複数の更なるファーマコフォア基を含有すること;を含む、生物活性化合物を同定する方法であって、第1および第2ライブラリーのその/各成分が、式(1)の化合物であるような方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物活性化合物を同定する方法、化合物のライブラリーに関する。
【背景技術】
【0002】
酵素であれ、受容体であれ、治療標的との分子相互作用に関与する小分子は、標的と直接相互作用する結合性要素またはファーマコフォア基、および生物活性分子のフレームワークを形成する非結合性成分に関して記述されている場合が多い。例えば、ペプチドリガンドまたは基質の場合には、通常、多くのアミノ酸側鎖が、その受容体または酵素との直接的相互作用を形成するのに対して、ペプチド主鎖の特定の折り畳み(および他のアミノ酸残基)が、これらの側鎖の相対的な位置決めを制御する構造または足場(scaffold)を提供する。換言すれば、ペプチドの三次元構造は、治療標的に結合するのに適している、必要な様式で特定の側鎖を提示する役割を果たす。問題は、潜在的な活性化合物を同定するために莫大な量の化合物を合成する必要があるために、かかるモデルでは薬物候補を迅速に同定することができないことである。
【0003】
これらのライブラリーのコンテクストにおけるファーマコフォア基は、分子に薬理活性を与える付加基または置換基、またはその一部である。
【0004】
分子多様性は、ファーマコフォア基の組み合わせの多様性(置換基の多様性)およびこれらのファーマコフォア基が提示される様式での多様性(形状の多様性)からなると考えられ得る。置換基の多様性または形状の多様性、またはこれらのパラメーターの両方が系統的に変化される、化合物のライブラリーは、分子多様性をスキャンすると言われている。炭水化物の足場は、ファーマコフォア基を変化させることによって、系統的方法でファーマコフォア基の足場および結合位置を変化させることによって、構造的に多様な分子のライブラリーを作成するための固有の機会を提供する。かかる多様性ライブラリーによって、生物学的標的との相互作用に必要とされる、少なくとも2つのファーマコフォア基を含有する最小成分またはフラグメントを迅速に同定することが可能となる。これらの断片をさらに最適化して、薬物設計のための強力な分子を提供することができる。したがって、これらの種類の炭水化物ライブラリーは、分子多様性をスキャンするための優れた基盤を提供する。
【0005】
先の出願(国際公開第2004014929号パンフレットおよび国際公開第2003082846号パンフレット)において、本発明者らは、コンビナトリアル法で新規な化合物のアレイを合成することができることを実証した。これらの発明に記載の分子のライブラリーは、ある範囲の化学的足場の周囲のファーマコフォア基の位置、配向、および化学的特性が修飾かつ/または制御されることができるような方法で合成された。これらの出願によって、多くの新規な化学的実体の合成および生物活性が実証されている。
【0006】
受容体の天然リガンドの生物活性コンフォメーションの知識が欠如していること、または受容体の天然リガンドの生物活性コンフォメーションを上手く模倣することができないことから、多くの薬物発見戦略は失敗に終わっている。本発明の化合物のライブラリーによって、標的の生物活性コンフォメーションを同定するための、高次構造空間の系統的「スキャニング」が可能となる。
【0007】
一般に先行技術では、分子多様性に基づくライブラリーは、系統的方法ではなくランダムな方法で作製されている。分子多様性についてスキャンするために、この種類のランダムなアプローチには、大量の化合物がライブラリーに含まれる必要がある。さらに、このアプローチの結果、すべての有効分子空間に効果的に到達するわけではないことから、モデルのギャップも生じ得る。
【0008】
したがって、先行技術における問題の一つは、潜在的な活性化合物を同定するために莫大な量の化合物を合成する必要があることである。Sofiaら(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2003)13,2185−2189)によって、糖足場を用いてペプチドミメティックを開発する試みがなされている。Sofiaは、特に足場上の置換箇所としてカルボン酸基、マスクされたアミノ基(N)、およびヒドロキシル基を含有する単糖足場の合成を記述しており、残りの2つのヒドロキシル基は、そのメチルエーテルに変換される。Sofiaは、本発明によって包含されない足場の特異的なサブセットを教示しているが、ファーマコフォア基の最適化を単純化する方法は検討していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、より広範囲の様々なファーマコフォア基を有する化合物から設計されたライブラリーを効果的にスキャンする方法を提供することが依然として必要とされている。
【0010】
本発明は、反復スキャンライブラリーを用いた薬物設計の方法であって、第1ライブラリーにおける選択数のファーマコフォア(例えば、2つ)から開始し、第1ライブラリーからのSAR情報に基づき、更なるファーマコフォアを有する次のライブラリーを設計する方法に関し、その結果として薬物候補が驚くほど効率的に同定される。
【0011】
本発明は、活性分子を迅速に同定する新規な方法を提供することができる。
【0012】
実施形態において、かつ本発明の多用性を実証するために、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の1つ;ソマトスタチン受容体(SST受容体)を標的として選択した。テトラデカペプチドソマトスタチンは、内分泌および外分泌系に広く分布しており、ホルモン分泌[1−3]の調節において必須の役割を有する。今まで5つの異なるサブタイプが同定されており(SST1〜5)、それらは身体の様々な組織全体に様々な比で発現する。ソマトスタチン受容体は、腫瘍においても発現し、オクトレオチド、ランレオチド、バプレオチドおよびセグリチド[4−7]などの主にSST5に影響するソマトスタチンのペプチド類似体は、増殖抑制作用を有する。それらは、ホルモン産生下垂体、膵臓、および腸管腫瘍の治療に臨床的に使用されている。SST5は、血管形成にも関係しており、例えば腫瘍学において使用される、SST5受容体に作用する抗血管新生薬物を開発する可能性をもたらす。その生物活性を担うソマトスタチンにおける「コア配列」は、2つの芳香族基のモチーフおよび正電荷を表すPhe−Trp−Lys(FWK)であり、ほぼすべてのSST受容体活性化合物において見出される。
【0013】
先行技術文献が本明細書において参照される場合、この参考文献は、その文献が豪州または他の国における当技術分野の一般的な知識の一部を形成することを認めるものではないことは明確に理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一形態において、本発明は、
(a)分子多様性をスキャンするために、式1の化合物の第1ライブラリーを設計すること(前記ライブラリーの各化合物が、以下に定義される少なくとも2つのファーマコフォア基R1〜R5を有し、かつ前記ライブラリーの化合物が、同数のファーマコフォア基を有する);
(b)1つまたは複数の生物学的アッセイにおいて、化合物の前記第1ライブラリーをアッセイすること;および
(c)第2ライブラリーを設計すること(前記第2ライブラリーの各化合物が、前記第1ライブラリーに対して1つまたは複数の更なるファーマコフォア基を含有する);
を含む、生物活性化合物を同定する方法であって、前記第1および第2ライブラリーの前記成分/各成分が、式1:
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、環がいずれかの立体配置をとり得;
Zは、硫黄、酸素、CH、C(O)、C(O)NR、NH、NRまたは水素であり、Zが水素である場合には、Rは存在せず、Rは、R〜Rについて定義されるセットから選択され、あるいはZおよびR1は一緒になって複素環を形成し、
Xは、式Iの少なくとも1つのXが窒素であるという条件で酸素または窒素であり、Xは、R〜Rのうちの1つと独立して一緒になってアジドを形成することもでき、
〜Rは、以下の非ファーマコフォア基、H、メチルおよびアセチルから独立して選択され、並びにファーマコフォア基R〜Rは、限定されないが、C〜C20アルキルまたはアセチルを除外したアシル;C〜C20アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル;C〜C20アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルを含む群から独立して選択され(任意に置換されかつ分岐状または直鎖状であることができる)、またはXおよび対応するR部分、R〜Rがそれぞれ一緒になって複素環を形成する)
の化合物であるような方法を提供する。
【0017】
他の形態において、本発明は、上述の方法によって同定される場合、生物活性化合物を含む。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明は、第1ライブラリーにおいて、置換基R〜Rのうちの3つが、非ファーマコフォア基であり、かつ水素またはメチルまたはアセチルから選択される、前記方法に関する。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明は、第1ライブラリーにおいて、置換基R〜Rのうちの2つが、非ファーマコフォア基であり、かつ水素またはメチルまたはアセチルから選択される、前記第1方法に関する。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明は、Zが硫黄または酸素である、前記第1方法に関する。
【0021】
好ましい実施形態において、本発明は、ファーマコフォア基のうちの少なくとも1つが、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたはアシルから選択される、前記第1方法に関する。
【0022】
好ましい実施形態において、本発明は、第1ライブラリーにおいて、前記第1方法の従って使用した場合に、非ファーマコフォア基R〜Rのうちの3つが、水素またはメチルまたはアセチルである、式1の化合物から選択される化合物のライブラリーに関する。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明は、第2ライブラリーにおいて、前記第1方法の従って使用した場合に、非ファーマコフォア基R〜Rのうちの2つが、水素またはメチルまたはアセチルである、式1の化合物から選択される化合物のライブラリーに関する。
【0024】
好ましい実施形態において、本発明は、ライブラリーのその/各成分が、式2または式3または式4
【0025】
【化2】

【0026】
から選択される化合物である、前記第1方法に関する。
【0027】
好ましい実施形態において、本発明は、ライブラリーのその/各成分が、式2または式3または式4から選択される化合物であり、かつその/各化合物が、グルコまたはガラクトまたはアロ立体配置である、前記第1方法に関する。
【0028】
好ましい実施形態において、本発明は、ライブラリーのその/各成分が、式2または式3または式4から選択される化合物であり、その/各化合物が、ガラクト立体配置である、前記第1方法に関する。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明は、ライブラリーのその/各成分が、式2または式3または式4から選択される化合物であり、かつその/各化合物が、グルコ立体配置である、前記第1方法に関する。
【0030】
好ましい実施形態において、本発明は、ライブラリーのその/各成分が、式2または式3または式4から選択される化合物であり、かつその/各化合物が、アロ立体配置である、前記第1方法に関する。
【0031】
好ましい実施形態において、本発明は、ライブラリーの設計が、分子多様性を評価するための分子モデリングを含む、前記第1方法に関する。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明は、R〜Rの任意の置換基が、OH、NO、NO、NH、N、ハロゲン、CF、CHF、CHF、ニトリル、アルコキシ、アリールオキシ、アミジン、グアニジニウム、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アミノアルキル、アミノジアルキル、アミノトリアルキル、アミノアシル、カルボニル、置換または非置換イミン、スルフェート、スルホンアミド、ホスフェート、ホスホルアミド、ヒドラジド、ヒドロキサメート、ヒドロキサム酸、ヘテロアリールオキシ、アミノアリール、アミノヘテロアリール、チオアルキル、チオアリールまたはチオヘテロアリールを含み、任意にさらに置換されていてもよい、前記第1方法に関する。
【0033】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素または臭素を意味する。
【0034】
単独で、または「任意に置換されたアルキル」、「任意に置換されたシクロアルキル」、「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」などの化合物の単語で使用される「アルキル」という用語は、直鎖状、分岐状または環状アルキル、好ましくはC1〜20アルキルまたはシクロアルキルを意味する。直鎖状および分岐状アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル(5−methylbexyl)、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7メチルオクチル、1−、2−、3−、4−または5−エチルヘプチル、1−、2−または3プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−または6−エチルオクチル、1−、2−、3または4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8または9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−または5−プロピルオクチル、1−、2−または3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−または6−プロピルノニル、1−、2−、3−または4−ブチルオクチル、1−2ペンチルヘプチル等が挙げられる。環状アルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の単環式または多環式アルキル基が挙げられる。
【0035】
単独で、または「任意に置換されたアルキレン」など化合物の単語で使用される「アルキレン」という用語は、更なる水素が除去されて二価基が形成されていることを除いては、上記で定義される「アルキル」と同じ基を意味する。任意の置換基が、アルキレン鎖の一部に結合することができる、またはアルキレン鎖の一部を形成し得ることは理解されよう。
【0036】
単独で、または「任意に置換されたアルケニル」などの化合物の単語で使用される「アルケニル」という用語は、上記で定義されるエチレン性モノ−、ジ−、またはポリ不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を含む、直鎖状、分岐状または環状アルケンから形成される基、好ましくはC2〜6アルケニルを意味する。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニルおよび1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。
【0037】
単独で、または「任意に置換されたアルキニル」などの化合物の単語で使用される「アルキニル」という用語は、直鎖状、分岐状またはモノ−またはポリ−または環状アルキンから形成される基、好ましくはC2〜6アルキニルを意味する。
【0038】
アルキニルの例としては、エチニル、1−プロピニル、1−および2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、10−ウンデシニル、4−エチル−1−オクチン−3−イル、7−ドデシニル、9−ドデシニル、10−ドデシニル、3−メチル−1−ドデシン−3−イル、2−トリデシニル、11トリデシニル、3−テトラデシニル、7−ヘキサデシニル、3−オクタデシニル等が挙げられる。
【0039】
単独で、または「任意に置換されたアルコキシ」などの化合物の単語で使用される「アルコキシ」という用語は、直鎖状または分岐状アルコキシ、好ましくはC1〜7アルコキシを意味する。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、nプロピルオキシ、イソプロピルオキシおよび異なるブトキシ異性体が挙げられる。
【0040】
単独で、または「任意に置換されたアリールオキシ」などの化合物の単語で使用される「アリールオキシ」という用語は、芳香族、ヘテロ芳香族、アリールアルコキシまたはヘテロアリールアルコキシ、好ましくはC6−13アリールオキシを意味する。アリールオキシの例としては、フェノキシ、ベンジルオキシ、1−ナフチルオキシ、および2−ナフチルオキシが挙げられる。
【0041】
単独で、または「任意に置換されたアシル」または「ヘテロアリールアシル」などの化合物の単語で使用される「アシル」という用語は、カルバモイル、脂肪族アシル基、および芳香族アシルと呼ばれる芳香族環を含有するアシル基、または複素環式アシルと呼ばれる複素環式環を含有するアシル基を意味する。アシルの例としては、カルバモイル;ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、およびアイコサノイルなどの直鎖状または分岐状アルカノイル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tブトキシカルボニル、t−ペンチルオキシカルボニルおよびヘプチルオキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル;シクロプロピルカルボニル シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニルおよびシクロヘキシルカルボニルなどのシクロアルキルカルボニル;メチルスルホニルおよびエチルスルホニルなどのアルキルスルホニル;メトキシスルホニルおよびエトキシスルホニルなどのアルコキシスルホニル;ベンゾイル、トルオイルおよびナフトイルなどのアロイル;フェニルアルカノイル(例えば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチル、フェニルペンタノイルおよびフェニルヘキサノイル)およびナフチルアルカノイル(例えば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイルおよびナフチルブタノイル)などのアラルカノイル;フェニルアルケノイル(例えば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリリル、フェニルペンテノイルおよびフェニルヘキセノイルおよびナフチルアルケノイル(例えば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイルおよびナフチルペンテノイル)などのアラルケノイル;フェニルアルコキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル)などのアラルコキシカルボニル;フェノキシカルボニルおよびナフチルオキシカルボニルなどのアリールオキシカルボニル;フェノキシアセチルおよびフェノキシプロピオニルなどのアリールオキシアルカノイル;フェニルカルバモイルなどのアリールカルバモイル;フェニルチオカルバモイルなどのアリールチオカルバモイル;フェニルグリオキシロイルおよびナフチルグリオキシロイルなどのアリールグリオキシロイル;フェニルスルホニルおよびナフチルスルホニルなどのアリールスルホニル;ヘテロサイクリックカルボニル;チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチルおよびテトラゾリルアセチルなどのヘテロサイクリックアルカノイル;ヘテロサイクリックプロペノイル、ヘテロサイクリックブテノイル、ヘテロサイクリックペンテノイルおよびヘテロサイクリックヘキセノイルなどのヘテロサイクリックアルケノイル;チアゾリルグリオキシロイルおよびチエニルグリオキシロイルなどのヘテロサイクリックグリオキシロイルが挙げられる。
【0042】
単独で、または「任意に置換されたアリール」、「アリールアルキル」または「ヘテロアリール」などの化合物の単語で使用される「アリール」という用語は、芳香族炭化水素または芳香族複素環式環系の単一、多核、共役および縮合残基を意味する。アリールの例としては、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クオーターフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンゾアントラセニル、ジベンゾアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、インデニル、アズレニル、クリセニル、ピリジル、4−フェニルピリジル、3−フェニルピリジル、チエニル、フリル、ピリル、ピロリル、フラニル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピリジニル、ピペリジニル、インドリル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、プリニル、キナゾリニル、フェナジニル、アクリジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル等が挙げられる。好ましくは、芳香族複素環式環系は、N、OおよびSから独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を含有し、環に炭素原子9個までを含有する。
【0043】
単独で、または「任意に置換された複素環」などの化合物の単語で使用される「複素環」という用語は、窒素、硫黄および酸素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、単環式または多環式ヘテロシクリル基を意味する。好適なヘテロシクリル基としては、窒素原子1〜4個を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリルまたはテトラゾリルなどのN含有複素環式基;ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジンまたはピペラジニルなどの窒素原子1〜4個を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基;インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリルまたはテトラゾロピリダジニルなど、窒素原子1〜5個を含有する不飽和縮合複素環式基;ピラニルまたはフリルなど、酸素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基;チエニルなど、硫黄原子1〜2個を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基;オキサゾリル、イソオキサゾリルまたはオキサジアゾリルなど、酸素原子1〜2個および窒素原子1〜3個を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基;モルホリニルなど、酸素原子1〜2個および窒素原子1〜3個を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基;ベンゾオキサゾリルまたはベンゾオキサジアゾリルなど、酸素原子1〜2個および窒素原子1〜3個を含有する不飽和縮合複素環式基;チアゾリルまたはチアジアゾリルなど、硫黄原子1〜2個および窒素原子1〜3個を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基;チアゾリジニルなど、硫黄原子1〜2個および窒素原子1〜3個を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基;ベンゾチアゾリルまたはベンゾチアジアゾリルなど、硫黄原子1〜2個および窒素原子1〜3個を含有する不飽和縮合複素環式基が挙げられる。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明は、化合物が合成される、前記第1方法に関する。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明は、生物学的アッセイが、GPCRのペプチドリガンドクラスから選択される、前記第1方法に関する。
【0046】
他の態様において、本発明は、式中、少なくとも1つのXが窒素であり、前記Xが、対応するR〜Rと一緒になって複素環を形成する、式1による化合物を提供する。本発明の複素環式コンポーネントの合成は、国際公開第2004/022572号パンフレットに開示されている。
【0047】
好ましい実施形態において、本発明は、式中、XおよびRが一緒になって複素環を形成する、式1による化合物を提供する。
【0048】
好ましい実施形態において、本発明は、その複素環が、トリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾロン、ベンゾイミダゾロチオン、イミダゾール、ヒダントイン、チオヒダントインおよびプリンを含むヘテロアリールである、式1による化合物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下の実施例を参照して、本発明の実施形態が説明される。しかるべき場合に、以下の略語が使用される。
Ac アセチル
DTPM 5−アシル−1,3−ジメチルバルビツレート
Ph フェニル
TBDMS t−ブチルジメチルシリル
TBDPS t−ブチルジフェニルシリル
Bn ベンジル
Bz ベンゾイル
Me メチル
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン,塩化メチレン
Tf トリフルオロメタンスルホニル
Ts 4−メチルフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP N,N−ジメチルアミノピリジン
α,α−DMT α,α−ジメトキシトルエン、ベンズアルデヒドジメチルアセタール
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
DMTST ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフルオロ−メタンスルホネート
TBAF テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド
【実施例】
【0050】
パートA:ビルディングブロックの製造
本発明を完全に可能にするために、本発明の化合物の製造で使用される特定のビルディングブロックを製造する方法が以下に記述される。記載のビルディングブロックは、本発明の化合物の液相合成および固相合成のどちらにも適している。
【0051】
実施例A:2,4二窒素含有ガラクトピラノシドビルディングブロックの合成
【0052】
【化3】

【0053】
条件:(i)α,α−ジメトキシトルエン(α,α−DMT)、p−トルエンスルホン酸(TsOH)、アセトニトリル(MeCN)、76℃、85%;(ii)塩化ベンゾイル(BzCl)、トリエチルアミン;DCM、99%;(iii)メタノール(MeOH)/MeCN/水、TsOH、75℃、98%;(iv)t−ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPS−Cl)、イミダゾール、ピリジン、120℃、99%;(v)TfO、ピリジン、DCM、0℃、100%;(b)NaN、DMF、16時間、室温、99%。
【0054】
実施例B:三窒素含有グロピラノシドビルディングブロックの合成
【0055】
【化4】

【0056】
条件:(i)(a)トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)、ピリジン、−20℃、ジクロロメタン(DCM)、1時間、100%、(b)アジ化ナトリウム(NaN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、50℃、5時間、定量的;(ii)TsOH、MeCN/MeOH/水(12:3:1)、90℃、6時間、88%;(iii)TBDPSCl、DMAP、ピリジン、120℃、12時間、93%
実施例C:2,6−二窒素置換グルコピラノシドビルディングブロックの合成
【0057】
【化5】

【0058】
条件:(i)(a)塩化トシル、ピリジン、室温、24時間、33%(b)NaN、DMF、室温、168時間。
【0059】
実施例D:二窒素含有タロピラノシドビルディングブロックの合成
【0060】
【化6】

【0061】
条件:(i)TBDPSCl、イミダゾール、1,2−DCE、還流;(ii)NaOMe/MeOH;(iii)(a)TfO、ピリジン、−20℃、DCM、1時間、(b)NaN、DMF、50℃、5時間;(iv)TsOH、MeCN/MeOH/水;(v)塩化ベンゾイル、DMAP、1,2−DCE、−20℃。
【0062】
実施例E:2つの三窒素含有アルトロピラノシドビルディングブロックの合成
【0063】
【化7】

【0064】
条件:(i)シクロヘキサノンジメチルアセタール、TsOH、MeCN;(ii)p−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール、TsOH、MeCN;(iii)DIBAL、−78℃、ジエチルエーテル;(iv)(a)TfO、ピリジン、−20℃、DCM、1時間、(b)NaN、DMF、50℃、5時間;(v)TsOH、MeCN/MeOH/水;(vi)TBDPSCl、DMAP、1,2−DCE;(vii)(a)CAN、(b)BzCl、DMAP、1,2−DCE、(c)TsOH、MeCN/MeOH/水;(viii)TBDPSCl、DMAP、1,2−DCE。
【0065】
実施例F:二窒素含有グルコピラノシドビルディングブロックの合成
【0066】
【化8】

【0067】
条件:(i)α,α−DMT、TsOH,MeCN;(ii)1,2−DCE、BzCl、DMAP;(iii)TsOH、MeOH/MeCN;(iv)TBDPS−Cl、DMAP、1,2−DCE。
【0068】
【化9】

【0069】
条件:(i)TBDPSCl、DMAP、ピリジン、120℃、0.5時間、81%;(ii)a.(Bu)SnO、MeOH;b.塩化ベンゾイル、室温、24時間;
実施例G:二窒素含有アロピラノシドビルディングブロックの合成
【0070】
【化10】

【0071】
条件:(i)DCM/ピリジン、MsCl、DMAP、0℃;(ii)安息香酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、140℃;(iii)TsOH、MeOH/MeCN/水;(iv)TBDPS−Cl、イミダゾール、DCM、1時間、還流。
【0072】
糖の固相ライブラリー合成がスキーム1に図示されている。
【0073】
反応条件は以下の通りである:
(A)2P化合物の合成:R=R=OMe;
i)2−ナフタレンメタノール、DMTST、DCM;ii)TCA−Wang樹脂、BF・EtO、DCM;iii)NaOMe、メタノール;iv)a.KOtBu、DMF;b.MeI、DMF;v)HF‘プロトンスポンジ’、AcOH、DMF、65℃;vi)a.KOtBu、DMF;b.MeI、DMF;vii)1,4−ジチオ−DL−スレイトール、KOtBu、DMF;viii)HBTU、Fmoc−β−Ala−OH、DIPEA、DMF;ix)ピペリジン/DMF(1/4);x)TFA、EtSiH、DCM
(B)3P化合物の合成:R=メチル−2−ナフチル、R=OMe;
i)2−ナフタレンメタノール、DMTST、DCM;ii)TCA−Wang樹脂、BF・EtO、DCM;iii)NaOMe、メタノール;iv)a.KOtBu、DMF;b.2−ブロモメチル−ナフタレン、DMF;v)HF‘プロトンスポンジ’、AcOH、DMF、65℃;vi)a.KOtBu、DMF;b.MeI、DMF;vii)1,4−ジチオ−DL−スレイトール、KOtBu、DMF;viii)HBTU、Fmoc−β−Ala−OH、DIPEA、DMF;ix)ピペリジン/DMF(1/4);x)TFA、EtSiH、DCM
(C)4P化合物の合成:R=メチル−2−ナフチル、R=4−クロロベンジル
i)2−ナフタレンメタノール、DMTST、DCM;ii)TCA−Wang樹脂、BF・EtO、DCM;iii)NaOMe、メタノール;iv)a.KOtBu、DMF;b.2−ブロモメチル−ナフタレン、DMF;v)HF‘プロトンスポンジ’、AcOH、DMF、65℃;vi)a.KOtBu、DMF;b.4−クロロベンジルブロミド、DMF;vii)1,4−ジチオ−DL−スレイトール、KOtBu、DMF;viii)HBTU、Fmoc−β−Ala−OH、DIPEA、DMF;ix)ピペリジン/DMF(1/4);x)TFA、EtSiH、DCM
【0074】
【化11】

【0075】
スキーム1 糖の固相ライブラリー合成
【0076】
【化12】

【0077】
スキーム2 アロース2,6ビルディングブロックの合成;2P、3Pおよび4P型化合物の合成の例
アロース2,6Nビルディングブロックの合成がスキーム2に図示されている。反応条件は以下の通りである:
i)p−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール、カンファースルホン酸、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);ii)TfO、ピリジン、ジクロロメタン(DCM);iii)テトラブチルアンモニウムベンゾエート、DMF、55℃;iv)BHTHF、BuBOTf、DCM;v)メタンスルホニルクロリド、ピリジン、DCM;vi)アジ化ナトリウム、DMF、85℃;vii)ナトリウムメタノラート(NaOMe)、メタノール;viii)n−ブタノール、エチレンジアミン、還流;ix)DTPM試薬、メタノール;x)安息香酸無水物、ピリジン;xi)トリフルオロ酢酸、トリエチルシラン、DCM
ライブラリーの設計:
ライブラリーの設計は、単糖足場上の異なる空間配列における正電荷および様々な数の芳香族置換基の提示に基づく。正電荷およびコア足場上に示される1つの芳香族で開始して、第1ライブラリーからの活性化合物(actives)は、高活性な分子を迅速に同定するために、より多くの芳香族置換基をさらに変化させ、加えることによって産生された。
【0078】
2Pライブラリーとして公知の化合物の第1ライブラリーは、2つのファーマコフォア基を含み、特に芳香族および正電荷を含有する。このライブラリーは、各分子が、異なる相対配向または提示(例えば、距離、相対角度、つまり空間における相対位置が異なる)で2つのファーマコフォア基を示すように設計された。
【0079】
このライブラリーからの活性化合物(actives)を同定し、このライブラリーからのSAR情報を用いて、各化合物が3つのファーマコフォア基を含み得る、3Pライブラリーとして公知の次の化合物のライブラリーを設計した。4つのファーマコフォア基を有する次のライブラリーは、4Pライブラリーなどと呼ばれる。
【0080】
著しく改善された活性のメンバーを第2ライブラリーから同定し、更なる薬物の開発のために選択した。
【0081】
本発明の方法は、実在かつ仮想のライブラリーを含む。
【0082】
したがって、式1による分子は、反復スキャンライブラリーの作製に非常に適しており、第1ライブラリーにおける選択数のファーマコフォア(例えば、2つ)から開始し、第1ライブラリーからのSAR情報に基づき、更なるファーマコフォアを有する次のライブラリーが設計され、それによって、ファーマコフォアの明確な線引きが助けられる。
【0083】
実施例A〜Gに記載のビルディングブロックに従って、化合物の2Pおよび3Pライブラリーを合成した。
【0084】
2P分子の分子多様性をスキャンするために、芳香族および正電荷を含有する、2Pライブラリー(表1)を設計した。2Pライブラリーを生物活性についてスクリーニングし、その結果を表1に示す。
【0085】
同様に、3P分子の分子多様性をスキャンするために、3Pライブラリーを設計した。3Pライブラリーの設計は、表1における2Pライブラリーから得られたSARから得られた。
【0086】
3Pライブラリーを生物活性についてスクリーニングし、その結果を表2に示す。
【0087】
表1(2Pライブラリー)および表2(3Pライブラリー)による結果の視覚分析から以下のことが示されている:
1.式3による1,2アロース置換(および足場C/D)は、ライブラリーにおける分子の最も活性な配列を示し、式中、Zは酸素であり、Rはナフチルであり、Rはプロピルアミンまたはエチルアミンである。これらの化合物は、低いnM範囲にて最高の活性化合物(actives)を表し、更なる薬物の開発に適している候補である。
2.ナフチルとしてのRは、対応するp−クロロベンジル置換基より活性である。
3.式3による1,2アロース(足場C/D)は、対応する1,2グルコースコンフォメーション(足場A/B)より活性である。
4.式3による1,2置換(足場C/D)は、対応する式4による2,6置換(足場G)より活性である。
5.プロピルアミンおよびエチルアミンとしてのRは、メチルアミンより活性であり、Z、RおよびRは上述のとおりである。
6.式3による2,3アロース置換(足場C/D)(Rはエチルアミンであり、Rはp−クロロベンジルである)は、プロピルアミンおよびエチルアミンとしての対応するRと比較して、より活性な化合物(actives)を示す(式中、Rはp−クロロベンジル置換基であり、かつまた、Rはメチルアミン、エチルアミンまたはプロピルアミンであり、Rはナフチルである)。
7.式3による2,3グルコース置換(足場A/B)(Rはプロピルアミンであり、Rはナフチルである)は、メチルアミンまたはエチルアミンとしての対応するRと比較して、より活性な化合物(actives)を示す(Rはメチルアミン、エチルアミンまたはプロピルアミンであり、Rはp−クロロベンジルである)。
8.式3による2,4および3,4置換(足場G)は、最も低い活性の化合物(actives)を示す。
【0088】
パートB:生物学的アッセイ
実施例H.ソマトスタチンサブタイプSSTR−1〜SSTR−5に対する化合物のin vitroスクリーニング
一般法
所望のクローン化受容体(例えば、クローン化ヒトソマトスタチン受容体サブタイプ5,SSTR5)を含有する受容体膜調製物および放射標識化リガンドを試験に必要な濃度にて、受容体Bmax、リガンドKおよび実験条件を最適化するのに必要な任意の他のパラメーターを含む選択された受容体−リガンドの組み合わせと関連する特定のパラメーターに従って希釈した。参照リガンドに対する競合活性について試験する場合、「化合物」を膜懸濁液、放射標識化参照リガンド(非特異的結合の測定のための、受容体に対する過剰量の未標識リガンドを含有する、または含有しない)と混合し、内部標準作業手順によって必要とされる温度でインキュベートした。インキュベートした後、氷冷洗浄バッファーを添加することによって、結合反応を止め、適切なフィルター上で濾過し、次いでそれをカウントした。データ分析および曲線フィッティングをXLfit(IDBS)で行った。
【0089】
化合物の製造
100%DMSO中の試験化合物の10mM溶液を調製した。約160μlを各希釈液に使用した(3組で20μl/ウェル)。10mM溶液の1:8希釈液を調製することによって、1.25mMアッセイストックを調製した。10mM溶液30μlにミリQ水210μLを添加した。次いで、ミリQ水中の1:5希釈液系列を調製した。
【0090】
最終濃度 最終濃度
SST4アッセイ SST5アッセイ
A. 1.25mM溶液240μL 0.25mM 0.125mM
B. A48μL+ミリQ水192μL 0.05mM 0.025mM
C. B24μL+ミリQ水192μL 0.01mM 0.005mM

1:5希釈液系列内で各濃度:250μM、50μM、10μM、2mM、0.4μM、0.08μM、0.016μM、0.0032μM等(SST4アッセイに関して)および125μM、10μM、2μM、1μM、0.5μM等(SST5アッセイに関して)にて三重反復でアッセイを行った。
【0091】
SST5受容体に関するフィルタープレートアッセイ
ヒトSST5ソマトスタチン受容体をHEK−293EBNA細胞内にトランスフェクトした。アッセイバッファー(50mMトリス−HCl,1mM EGTA,5mM MgCl,10%ショ糖,pH7.5)に膜を懸濁した。受容体濃度(Bmax)は、[125I]SST−14結合0.31nM、体積0.4ml/バイアル(400ミクロアッセイ/バイアル)、タンパク質濃度1.03mg/mlに対して0.57pmol/mgタンパク質Kであった。
【0092】
凍結受容体標本を急速解凍した後、受容体を結合用バッファーで希釈し、ホモジナイズし、氷の上に保持した。
【0093】
1. 0.5%PEIで4℃にて約2時間プレコートされたマルチスクリーンガラス繊維フィルタープレート(ミリポア(Millipore)、カタログ番号MAFCNOB10)を使用する。使用前に、アッセイバッファー200μl/ウェルを添加し、マルチスクリーン分離システム(Multiscreen Separation System)を使用して濾過する。
【0094】
2. 膜5.5μg(1:40希釈液40μl)、バッファーおよび[125I]SST−14(4nM、約80000cpm、2000Ci/mmol)を総容積200μlで25℃にて60分間インキュベートする。SST−14(天然リガンドSST−28の切断型)(アウスペップ(Auspep)、カタログ番号2076)およびSST−28(アウスペップ(Auspep)、番号1638)のIC50を計算する。上述のように化合物の段階稀釈液(1:5)を調製し、ウェルにSST−14を添加する代わりに、化合物20μlを添加する(表3)。
【0095】
3. マルチスクリーン分離システムを用いて、氷冷アッセイバッファー5×0.2mlで濾過する。
【0096】
4. プラスチック製アンダードレインを除去し、40℃にてオーブン内でプレートを1時間乾燥させる。
【0097】
5. プレートの底をテープで密閉する。
【0098】
6. シンチラント(Supermix,Wallac、カタログ番号1200−439)50μl/ウェルを添加する。
【0099】
7. BJET、プログラム2において密閉し、カウントする。
【0100】
【表1】

TB:全結合
NSB:非特異的結合
【0101】
パートC:一般的実験法
実施例I:表1および2における化合物のHPLC法
表1および2における化合物HPLC分離は、以下に示す方法Aまたは方法Bで行った。
方法A
カラム:Agilent SB Zorbax C18 4.6×50mm(5μm、80Å)
LC移動相:
5%MeCN水溶液/1分
100%MeCN/7〜12分
方法B
カラム:Agilent SB Zorbax C18 4.6×50mm(5μm、80Å)
LC移動相:
5%MeCN水溶液/1分
30%MeCN水溶液/3分
40%MeCN水溶液/12分
100%MeCN/13〜15分
表1および2のビルディングブロックの特徴
表1:化合物の2Pライブラリーに関してある濃度(μM)で置換されたSST5放射−リガンド結合%
表2:化合物の3Pライブラリーに関してある濃度(μM)で置換されたSST5放射−リガンド結合%;R=X30;化合物60〜63、119および156〜159は、2Pライブラリーからの比較用化合物である。
【0102】
「++」:ある濃度(μM)で置換されたSST5放射リガンド%>60%
「+」:ある濃度(μM)で置換されたSST5放射リガンド% 60>+>40%
「−」:ある濃度(μM)で置換されたSST5放射リガンド%−<40%
ブランク:未決定
RT:保持時間/分
M+H:質量イオン+1
【0103】
【表2−a】

【0104】
【表2−b】

【0105】
【表2−c】

【0106】
【表2−d】

【0107】
【表3−a】

【0108】
【表3−b】

【0109】
【表3−c】

【0110】
【表3−d】

【0111】
【表3−e】

【0112】
【表3−f】

【0113】
【表3−g】

【0114】
【表3−h】

【0115】
【表4−a】

【0116】
【表4−b】

【0117】
【表4−c】

【0118】
【表4−d】

【0119】
その状況に特に必要がない限り、明細書および特許請求の範囲(存在する場合には)全体を通して、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの変形形態は、指定の整数または整数の群の包含に当てはまるが、他の整数または整数の群の除外には当てはまらないことを理解されよう。
【0120】
その状況に特に必要がない限り、明細書および特許請求の範囲(存在する場合には)全体を通して、「実質的に」または「約」という用語は、用語によって示される範囲の値に制限されないことを理解されよう。
【0121】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載の実施形態に種々の変更および修正を加えることができることを理解されたい。
【0122】
参考文献
[1] Patel, Y.C. (1999) Somatostatin and its receptor family. Front. Neuroendocr. 20, 157-198
[2] Csaba, Z. and Dournaud, P. (2001) Cellular biology of somatostatin receptors. Neuropeptides 35, 1-23
[3] T Reisine, T. (1995) Somatostatin receptors; Am. J. Pysiol. (Gastrointest. Liver Physiol. 32) 269, G813-G820
[4] Bauer, W. et al. (1982) SMS201-995: A very potent and selective octapeptide analogue of somatostatin with prolonged action. Life Sci. 31, 1133-1140
[5] Lamberts, S.W.J. et al. (1996) Drug therapy: Octreotide. N. Eng. J. Med. 334, 246-254
[6] Robinson, C. and Castaner, J. (1994) Lanreotide acetate. Drugs Future 19, 992-999
[7] Reisine, T. and Bell. G.I. (1995) Molecular biology of somatostatin receptors. Endocr. Rev. 16, 427-442

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分子多様性をスキャンするために、式1の化合物の第1ライブラリーを設計すること(前記ライブラリーの各化合物が、以下に定義される少なくとも2つのファーマコフォア基R1〜R5を有し、かつ前記ライブラリーの化合物が、同数のファーマコフォア基を有する);
(b)1つまたは複数の生物学的アッセイにおいて、化合物の前記第1ライブラリーをアッセイすること;および
(c)第2ライブラリーを設計すること(前記第2ライブラリーの各化合物が、前記第1ライブラリーに対して1つまたは複数の更なるファーマコフォア基を含有する);
を含む、生物活性化合物を同定する方法であって、前記第1および第2ライブラリーの前記成分/各成分が、式1:
【化1】

(式中、環がいずれかの立体配置をとり得;
Zは、硫黄、酸素、CH、C(O)、C(O)NR、NH、NRまたは水素であり、Zが水素である場合には、Rは存在せず、Rは、R〜Rについて定義されるセットから選択され、あるいはZおよびR1は一緒になって複素環を形成し、
Xは、式Iの少なくとも1つのXが窒素であるという条件で酸素または窒素であり、Xは、R〜Rのうちの1つと独立して一緒になってアジドを形成することもでき、
〜Rは、以下の非ファーマコフォア基、H、メチルおよびアセチルから独立して選択され、並びにファーマコフォア基R〜Rは、限定されないが、C〜C20アルキルまたはアセチルを除外したアシル;C〜C20アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル;C〜C20アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルを含む群から独立して選択され(任意に置換されかつ分岐状または直鎖状であることができる)、またはXおよび対応するR部分、R〜Rがそれぞれ一緒になって複素環を形成する)
の化合物であるような、方法。
【請求項2】
前記第1ライブラリーにおいて、置換基R〜Rのうちの3つが、非ファーマコフォア基であり、かつ水素またはメチルまたはアセチルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1ライブラリーにおいて、前記置換基R〜Rのうちの2つが、非ファーマコフォア基であり、かつ水素またはメチルまたはアセチルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Zが、硫黄または酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ファーマコフォア基のうちの少なくとも1つが、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたはアシルから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項2に従って使用する場合に、式1の化合物から選択される化合物のライブラリー。
【請求項7】
請求項3に従って使用する場合に、式1の化合物から選択される化合物のライブラリー。
【請求項8】
前記ライブラリーの前記成分/各成分が、式2または式3または式4
【化2】

から選択される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物/各化合物が、グルコまたはガラクトまたはアロ立体配置をとる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物/各化合物が、グルコ立体配置をとる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物/各化合物が、アロ立体配置をとる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物/各化合物が、ガラクト立体配置をとる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ライブラリーの設計が、分子多様性を評価するための分子モデリングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
〜Rの任意の置換基が、OH、NO、NO、NH、N、ハロゲン、CF、CHF、CHF、ニトリル、アルコキシ、アリールオキシ、アミジン、グアニジニウム、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アミノアルキル、アミノジアルキル、アミノトリアルキル、アミノアシル、カルボニル、置換または非置換イミン、スルフェート、スルホンアミド、ホスフェート、ホスホルアミド、ヒドラジド、ヒドロキサメート、ヒドロキサム酸、ヘテロアリールオキシ、アミノアリール、アミノヘテロアリール、チオアルキル、チオアリールまたはチオヘテロアリールから選択され、任意にさらに置換されていてもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が合成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的アッセイが、GPCRのペプチドリガンドクラスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのXが窒素であり、かつ前記Xが、対応するR〜Rと一緒になって複素環を形成する、式1による化合物。
【請求項18】
XおよびRが一緒になって複素環を形成する、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記複素環がヘテロアリールである、請求項17または18に記載の化合物。
【請求項20】
前記ヘテロアリールが、トリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾロン、ベンゾイミダゾロチオン、イミダゾール、ヒダントイン、チオヒダントインおよびプリンから選択される、請求項17〜19のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−510130(P2009−510130A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533820(P2008−533820)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001431
【国際公開番号】WO2007/038829
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(501284228)アルケミア リミティッド (7)
【Fターム(参考)】