説明

薬物誤用に対する新規の医薬製剤

本発明は、活性成分が担持されたソリッドコアを含む顆粒剤であって、該コアが好ましくは不溶性支持体から選択され、該顆粒剤が、上記ソリッドコア上に担持された、以下の化合物:1つ又は複数の着色料と、1つ又は複数のメタリック顔料と、1つ又は複数の発泡化合物と、任意で1つ又は複数の苦味剤とを更に含む、活性成分が担持されたソリッドコアを含む顆粒剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の誤用を制限するか、又は実際に防止する新規の医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品の誤用は医薬品の不適切な使用と同義である。この現象は重大な、絶えず増大している公衆衛生問題である。誤用は、医用の治療物質であり、同時に違法薬物でもある幾つかの活性成分の二重性によって生じる。
【0003】
この誤用が起こる場合の目的には幾つかのタイプがある(具体的には、知的能力又は身体能力の探求、パーティー又はレイブパーティーの状況下での快楽の追求、初期使用後の中毒問題、身体的症状又は精神的症状の緩和、場合によっては、薬物の影響下での性的虐待等の化学物質による支配(chemical control)、更には、時として、例えば高齢者側の理解不足からの単なる過失による医薬品の誤用又は不適正使用)。
【0004】
この誤用がもたらす結果は多く、様々である(単純な二次的影響、局所投与による誤用の場合の組織壊死、心疾患、呼吸抑制、中毒、又は更には犯罪行為、具体的には強姦)。
【0005】
現在では、利用可能な手段は比較的少なく、それらは基本的に管理上のものである(関連物質を特別立法の対象であるリストに載せること、安全な処方による支給、及び病院環境における制限的な支給規則による支給)。製薬会社は、これらの製品を包装することで、特に小児による誤飲を防止するよう努めているようである。
【0006】
近年、製剤自体に対する製剤学的レベルでの研究が行われている。
【0007】
例えば、常習行為の場合、又は化学物質による支配を目的とする場合、医薬品を不適切に使用しようとする関係者は通常、医薬品を直接服用するか、又は活性成分を抽出することを試みる。
【0008】
第一段階はしたがって、医用化合物を粉砕することによって粉末を得ることである。次いで、活性成分を直接服用又は吸入する(通常は水性溶媒又はアルコール溶媒によって抽出する)。
【0009】
このため、特許文献1は、オピオイド鎮痛薬の陶酔作用を大幅に遮断する、アヘン含有鎮痛薬とその拮抗薬との組み合わせを記載している。両方の化合物が同時に放出される。しかしながら、アヘン含有作動薬とその拮抗薬とを含む、このタイプの医薬製剤は欠点を有する。実際に、薬理活性を有する拮抗薬は様々な問題の原因となり得る。
【0010】
特許文献2は、咀嚼による抽出又は吸入若しくは注射による使用を制限するイオン交換樹脂を用いた放出調節形態を記載している。しかしながら、このタイプの製剤は、溶媒を用いた又は粉砕による抽出を防止するものではない。
【0011】
特許文献3は、その可塑性及び可塑剤の併用によって、製剤を粉砕することを困難にするプラスチックポリマー(Eudragit(登録商標)NE30D)を用いた多粒子製剤を記載している。しかしながら、この製剤によっては溶媒による抽出の防止はもたらされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第03/013479号
【特許文献2】欧州特許第1293209号
【特許文献3】国際公開第2005/079760号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、現在、この放出調節を得るために種々の製剤学的策略を用いた持続放出製剤が存在するが、記載されている系のいずれも活性成分の違法な抽出を防ぐことはできない。したがって、かかる製剤を開発することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一目的はしたがって、医薬品の不適切な使用を防止するよう特異的に設計された医薬製剤を提供することである。
【0015】
本発明の一目的は、活性成分の不正抽出を防ぐ医薬製剤を提供することである。
【0016】
本発明の一目的は、医薬品の不適切な使用の問題に対する安全性をより高めるよう特別に配合された医用複合物、具体的には経口複合物を提供することである。
【0017】
本発明の一目的は、医薬品の不適切な使用を低減し、不可能にするために既存の仕組みを改善し、増強する医薬製剤を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、求められる治療効果をそれ単独でもたらす医薬製剤を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、容易に投与及び使用することを可能にする形態及びサイズの医薬製剤を提供することである。
【0020】
したがって、本発明は、活性成分が担持されたソリッドコアを含む顆粒剤であって、該コアが好ましくは不溶性支持体、より具体的にはソルビトール、キシリトール又はマルチトール等のポリオール類、ゴム、シリコーン誘導体、カルシウム又はカリウムの誘導体、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム及び炭酸カルシウム等の無機化合物、サッカロース、セルロース誘導体、具体的には微結晶性セルロース、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、並びにそれらの混合物の群から選択され、該顆粒剤が、前記ソリッドコア上に担持された、以下の化合物:
1つ又は複数の着色料と、
1つ又は複数のメタリック顔料と、
1つ又は複数の発泡化合物と、
場合により1つ又は複数の苦味剤と
を更に含む、活性成分が担持されたソリッドコアを含む顆粒剤に関する。
【0021】
本発明はしたがって、不適切な使用の際に用いられる手法の各々を不可能にする複数の製剤学的策略の使用を含む医薬製剤を提供する。上述の顆粒剤をベースとするこれらの製剤は、一体型(錠剤)又は多粒子の形態である。上記の本発明による顆粒剤はしたがって、各々が特定の機能を有する、組成の異なる複数の層を備える。
【発明を実施するための形態】
【0022】
「顆粒剤」という表現は、各々が様々な加工工程を可能にする十分な固体性を有する粉末粒子の凝集体を形成する、固体の乾燥した細粒からなる調製物を指す。
【0023】
物理的な観点から言えば、顆粒剤は様々な結晶化した又は非晶質の粉末粒子の凝集体である。
【0024】
本発明による顆粒剤は、特に経口投与、より具体的にはそのまま飲み込むことを目的とするものである。
【0025】
本発明による顆粒剤は特徴的なコア−皮層(cortex:コルテックス)構造を有するが、コアの性質は皮層を形成する化合物と同じではない。
【0026】
したがって、顆粒剤は多層構造を有する。活性成分をコアに沈着させ、それによりコア又は支持体の周囲に沈着した層又は皮層を形成する。
【0027】
顆粒剤のコアは、活性成分の粒子が付着する支持体とみなされる場合もある。
【0028】
コアは固体粒子を含み、該コアに担持された活性成分も固体である。
【0029】
本発明はしたがって、新規の多粒子経口形態の開発に基づく。
【0030】
本発明による顆粒剤は活性成分層を有する。
【0031】
所要の最終薬理学的パラメータに応じて、第1の層が、種々のコーティングポリマーを現在使用されている様々な添加物(可塑剤、可溶化剤、滑沢剤、付着防止剤等)と共に用いた他のポリマー層によって被覆されていてもよい。
【0032】
本発明による顆粒剤は、好ましくは水性溶媒又はアルコール溶媒に不溶性の支持体から選択されるソリッドコアを含む。本発明による顆粒剤のソリッドコアを形成するために不溶性支持体を選択することによって、顆粒剤を粉砕した場合のその完全な可溶化が防止される。
【0033】
顆粒剤のソリッドコアは化合物の混合物、特に不溶性支持体の混合物を含んでいてもよい。したがって、サッカロースとデンプン、又はシリコーン若しくはカルシウム由来の無機化合物との混合物を挙げることができる。
【0034】
ソリッドコアは、可溶性支持体(中でも、幾つかの固体PEGグレード、特にPEG4000又はPEG6000を挙げることができる)を含んでいてもよい。
【0035】
「シリコーン誘導体」という表現は、アルカリケイ酸塩、とりわけAerosil(登録商標)、又は代替的にはタルク、ベントナイト若しくはカオリンから得られるシリコーン及びシリコーン沈殿物を指す。
【0036】
「カルシウム誘導体」という表現は、希釈剤(dilutants)又は充填剤として、更には研磨剤として医薬中に使用される水に不溶性の生成物である、水酸化カルシウムから誘導される結晶性賦形剤を指す。
【0037】
「カリウム誘導体」という表現は、特に重炭酸カリウム及び塩化カリウムを指す。
【0038】
本発明による顆粒剤のコアを形成する不溶性支持体のうち、マグネシウム誘導体、具体的には炭酸塩又は酸化物を挙げることもできる。
【0039】
本発明による顆粒剤は1つ又は複数の着色料も含んでいる。着色料は溶媒へのその溶解度によって選択される。例えば、着色料は、エタノールへのその溶解度、また水へのその溶解度で選択することができる。これら2つの溶媒は、実際に活性成分を抽出又は可溶化するために一般に使用されている溶媒である。
【0040】
得られる着色によって、例えば化学物質による支配を目的とした飲料への悪意のある添加を見て取ることが可能となる。
【0041】
本発明による顆粒剤は1つ又は複数のメタリック顔料も含んでいる。
【0042】
着色料及びメタリック顔料の存在によって、医薬形態の粉砕後の任意の可溶化及びその後の任意の服用を見て取ることも可能となる。同様に、咀嚼した場合にも同じ現象が観察される。
【0043】
着色料及びメタリック顔料は、本発明による顆粒剤の種々の層のいずれにも配置することができる。
【0044】
有利には、着色料(単数又は複数)と活性成分との均質な(intimate)混合物が存在し、メタリック顔料は複合物の表層に使用される(言い換えると、メタリック顔料を表面上に見ることができる)。
【0045】
本発明による顆粒剤はその構造内に、医用形態が水和した場合に気体を放出する1つ又は複数の化合物も含んでいる。このため、顆粒剤を液体中に入れると、かかる化合物の存在によって、炭酸ガスが発生し、排出されるにつれて顆粒剤が上下に浮き沈みし、泡の層が表面上に現れる。
【0046】
この現象は、既に発泡性の飲料、例えばソーダ又はコーラを使用した場合に更に明らかである。この場合、紛れもない泡立ちがグラス内で観察される。
【0047】
これらの製剤学的解決策を用いることによって、その形態の不適切な使用に対する安全性が最大限に保証された最終医薬形態がもたらされる。
【0048】
好ましい形態では、上述の顆粒剤は、粒子を互いに結合させる(言い換えると、顆粒剤の完全な密着を確実にする)役割を有する結合剤も含んでいる。結合剤はしたがって、活性成分と顆粒剤のコアとの良好な密着を確実にする。
【0049】
したがって、結合剤は活性成分と同様、顆粒剤のコアの周囲に沈着する。
【0050】
粘性溶液を生じる親水性賦形剤の多く、例えばアラビアゴム及びトラガカントゴム、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、マルトデキストリン、PEG4000及びPEG6000のアルコール溶液、ポリビドンの水溶液又はアルコール溶液、並びにサッカロース、グルコース又はソルビトールの溶液を結合剤として挙げることができる。
【0051】
本発明による顆粒剤のための結合剤は、好ましくはデンプン、サッカロース、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン(PVP又はポリビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ガムラック、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、セルロース、ポリオール類又はアルギン酸塩、ポリグリコール化(polyglycolysed)グリセリド類(Gelucire(登録商標))又はマクロゴルグリセリド類(macrogolglycerides)、具体的にはステアロイルマクロゴルグリセリド類、更にはアクリル誘導体、及びそれらの混合物の群から選択される。
【0052】
ポリオール類の中でも、マンニトール、ソルビトール、マルチトール又はキシリトールを特に挙げることができる。
【0053】
特定の実施形態によると、結合剤は、好ましくはポリビニルピロリドン、ガムラック、ポリオール類又はアルギン酸塩、ポリグリコール化グリセリド類(Gelucire)又はマクロゴルグリセリド類、とりわけステアロイルマクロゴルグリセリド類、及びそれらの混合物の群から選択される。
【0054】
上記の群から選択される結合剤を特定の特性のために使用することもできる。例えば、EUDRAGIT(登録商標)L100又はガムラック等のpH依存性賦形剤を結合剤として使用することが有益な場合もある。ポリグリコール化グリセリド類(Gelucire(登録商標))がその疎水性のために好ましい場合もある。
【0055】
好ましい実施形態によると、本発明による顆粒剤は1つ又は複数の苦味剤も含んでいる。
【0056】
好ましくは、前記苦味剤が安息香酸デナトニウム、ゲンチアナ抽出物、キニーネ、カフェイン、ブルシン、カシン、プロピルチオウラシル(PROP)、フェニルチオカルバミド(PTC)、タンニン等の渋味化合物(astringent compounds)、グレープフルーツ香料及びビターココア香料(bitter cocoa flavour)の群から選択される。
【0057】
活性成分との均質な混合物中のBitrex(登録商標)(安息香酸デナトニウム)等の上記苦味剤(又は苦味促進剤)の存在は、誤って咀嚼すること又は更には抽出及び/又は可溶化後の摂取(absorption)を不可能とは言えないまでも困難にする。上記苦味剤はこの場合、活性成分と同時に可溶化されるため、差別的な分離は非常に困難である。
【0058】
このタイプの苦味化合物の使用は、水及びアルコールの混合物(角氷及びウォッカ等)中の「カクテル」の形態での意図的又は不正な投与についての警告を与える。
【0059】
本発明による顆粒剤中に存在する発泡化合物の中でも、炭酸塩及び重炭酸塩の群から選択される化合物を特に挙げることができる。
【0060】
より具体的には、これらの化合物は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムの群から選択される。
【0061】
本発明による顆粒剤のための着色料の中でも、水性溶媒に可溶性の着色料及びアルコール溶媒に可溶性の着色料を特に挙げることができる。
【0062】
エタノールに可溶性の着色料の中でも、ニュートラルレッド、ブリリアントブルーFDC等を特に挙げることができる。
【0063】
水に可溶性の着色料の中でも、従来の食品着色料が使用される。本発明において使用される着色料は特に、食料品に使用する着色料に関する1995年7月26日の指令95/45/EC(2006年3月20日の指令2006/33/ECによって改定)に記載される着色料である。したがって、着色料E100〜E180を特に挙げることができる。
【0064】
水及びエタノールの両方に可溶性である着色料E131(パテントブルー)を挙げることもできる。
【0065】
特に好ましい実施形態によると、本発明による顆粒剤に使用されるメタリック顔料は、該顆粒剤の表面上に存在する二酸化チタン系顔料である。
【0066】
CANDURIN(登録商標)等のこれらのチタン系顔料の使用は、それがもたらすメタリックな輝きのために、コカコーラ(登録商標)等の非常に色の濃い飲料中であっても非常に有益であることが判明している。
【0067】
コーティング顆粒剤は、様々な賦形剤の混合物の1つ又は複数の層でコーティングされた細粒を含む。
【0068】
したがって、本発明による好ましいコーティング顆粒剤は、コーティング剤からなる更なる層を備える。
【0069】
本発明による顆粒剤は、ワックス誘導体、可塑剤(塗膜形成剤)、ガムラック、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、HPMC又はHPC等のセルロース誘導体、サッカロース、アルギン酸塩、脂肪酸のグリセリド、及びメタクリル酸ポリマーの群から選択されるコーティング剤からなるコーティングを備えていてもよい。
【0070】
「ワックス誘導体」という表現は、通常は室温で固体であり、種々の目的で医用調製物に使用される、脂肪酸とアルコールとのエステルからなる天然生成物又は合成生成物を指す。
【0071】
本発明による顆粒剤は、1つ又は複数の賦形剤(滑沢剤、着色料、甘味料、可塑剤又は付着防止剤等)が添加されたフィルムによってコーティングされていてもよい。
【0072】
本発明による顆粒剤は、特にメタクリル酸ポリマー、とりわけEudragit(登録商標)L、ガムラック又はHPMCP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒプロメロースフタレート)からなる腸溶コーティングを備えていてもよい。
【0073】
このタイプの顆粒剤はしたがって、胃耐性(gastro-resistant)である。
【0074】
この腸溶コーティングの存在は、特に酸性環境におけるその分解を防止することによって、活性成分のバイオアベイラビリティに影響を及ぼす場合がある。
【0075】
本発明による顆粒剤は、持続放出コーティングを備えていてもよい。
【0076】
このタイプの顆粒剤は、活性成分の放出を調節するか、又は遅延させる(放出調節顆粒剤)。
【0077】
このタイプのコーティングは、特にEudragit(登録商標)S100アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、ガムラック、セルロース誘導体、具体的にはエチルセルロース、並びにアクリル誘導体を含むコーティング剤によって得られる。
【0078】
この放出調節コーティングの存在は、特に活性成分の見掛けの半減期に影響を及ぼす。
【0079】
本発明による顆粒剤は、滑沢剤及び/又は香料及び/又は甘味料を含んでいてもよい。
【0080】
本発明において使用される滑沢剤の中でも、特にタルク、ステアリン酸マグネシウム、シリコーン誘導体、具体的にはAerosil(登録商標)、又はワックスを挙げることができる。
【0081】
本発明において使用される香料の中でも、食品添加物に伝統的に使用されている香料を挙げることができる。
【0082】
本発明において使用される甘味料は、特に食料品に使用する甘味料に対する1994年6月30日の指令94/35/EC(2006年7月5日の指令2006/25/ECによって改定)に記載される甘味料である。したがって、E951アスパルテーム、E420ソルビトール、E421マンニトール、E950アセスルファムK、E954サッカリン、ステビア又はタウマチン(thaumatine)を特に挙げることができる。
【0083】
本発明による顆粒剤は、治療薬剤学に使用される任意の活性成分及びそれらの組み合わせを含み得る。好ましい活性成分の中でも、痛み止め及び鎮痛薬を挙げることができる。
【0084】
鎮痛薬とは痛みを止めるもの(painkillers)である。鎮痛薬カテゴリーの中でも、特にモルヒネ系中枢性鎮痛薬(モルヒネ誘導体)、非モルヒネ系中枢性鎮痛薬、ベンゾジアゼピン類等の末梢性鎮痛薬等を挙げることができる。
【0085】
好ましくは、本発明による顆粒剤の活性成分が硫酸モルヒネ、オキシコドン、γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つ、ブプレノルフィン、モダフィニル、デキストロプロポキシフェン、メタドン、トラマドール、ナルブフィン、テトラヒドロカンナビノール及びベンゾジアゼピン類の群から選択される。
【0086】
好ましい実施形態によると、本発明による顆粒剤は活性成分の拮抗薬を含まない。本発明による顆粒剤はしたがって、活性成分の治療作用を変更する薬剤を含有しないという利点を有する。
【0087】
上記顆粒剤はしたがって、求められる治療効果をそれ単独でもたらす(言い換えると、活性成分の拮抗薬等の他の活性化合物を使用していない)。
【0088】
別の好ましい実施形態によると、本発明による顆粒剤はイオン交換樹脂を含まない。
【0089】
好ましくは、本発明による顆粒剤は、顆粒剤の全重量に対して0.5重量%〜60重量%の活性成分を含む。
【0090】
好ましくは、本発明による顆粒剤は、顆粒剤の全重量に対して0.2重量%〜4重量%の着色料を含む。
【0091】
好ましくは、本発明による顆粒剤は、顆粒剤の全重量に対して0.1重量%〜5重量%のメタリック顔料を含む。
【0092】
好ましくは、本発明による顆粒剤は、顆粒剤の全重量に対して5重量%〜20重量%の発泡化合物を含む。
【0093】
好ましくは、本発明による顆粒剤においては、ソリッドコアは、顆粒剤の全重量に対して10重量%〜85重量%を占める。
【0094】
本発明は、上で規定したような顆粒剤を含む医薬複合物にも関する。
【0095】
本発明は、粉末塗布によって活性成分を不溶性支持体に塗布する工程を含むことを特徴とする、上で規定したような顆粒剤を調製する方法にも関する。
【0096】
本発明による方法の好ましい実施形態によると、粉末塗布によって不溶性支持体に塗布する工程の前に、活性成分を着色料、メタリック顔料及び発泡化合物と混合する。
【0097】
本発明による方法は、粉末塗布工程の後に、特にフィルムコーティングによってコーティング剤を顆粒剤にフィルムの形態で沈着させることによる顆粒剤コーティング工程、その後必要に応じて滑沢剤及び/又は香料及び/又は甘味料及び/又は着色料若しくはメタリック顔料と混合する工程を含んでいてもよい。
【0098】
本発明による顆粒剤の構造は、コア−皮層構造を有する顆粒剤をもたらすこの特定の方法の使用に関係している。
【0099】
造粒に通常使用されている種々の賦形剤を用いた直接造粒法による顆粒剤調製物の比較試験を行ったところ、顆粒剤自体について得られた結果が外観、脆弱性及び溶解に関して満足のいくものであることが観察された。しかしながら、従来使用される手法によると、このタイプの方法によって得られる顆粒剤は非常に高い比表面積を有し、大量のコーティングポリマーを必要とする。
【0100】
本発明による顆粒剤はしたがって、減少した比表面積を有することを特徴とする。さらに、本発明による顆粒剤は外観が比較的滑らかであり、極めて規則的な形態を有する。
【0101】
本発明による顆粒剤を調製する方法の上述の粉末塗布工程は、アルコール性、水性アルコール性又は水性の結合剤溶液を噴霧する工程を含んでいてもよい。
【0102】
この噴霧工程及び粉末塗布工程は、好ましくは同時又は交互に行われる。
【0103】
好ましくは、上述の粉末塗布工程は、結合剤を溶液形態で噴霧する工程と同時に行われる。
【0104】
これらの工程を組み合わせることによって、顆粒剤のコアに対する活性成分の良好な密着が確実となる。
【0105】
したがって、本発明による方法を行う有利なやり方(way)は、溶液形態の結合剤を噴霧する手順と交互に行い、粉末形態の活性成分を上述の粒子状支持体(すなわち顆粒剤のコア)に塗布することを含む。
【0106】
本発明による方法は、粉末塗布工程後に、特にフィルムコーティングによりコーティング剤(単数又は複数)をフィルムの形態で顆粒剤に沈着させることによって顆粒剤をコーティングする、1回又は複数回の工程を含んでいてもよい。
【0107】
したがって、コーティングについては、本発明による顆粒剤の低い比表面積は、使用されるコーティング剤の量を低減し、それにより該コーティング顆粒剤における活性成分の希釈率を低減する。
【0108】
本発明による方法の好ましい実施形態は、コーティング工程後に、滑沢剤及び/又は香料及び/又は甘味料(最終的に活性顆粒剤と混合するために、それら自体を顆粒形態で調製することができる)と混合する工程を含む方法である。
【0109】
しかしながら、滑沢剤、香料及び甘味料を上述の粉末塗布工程の前に添加することもできる。
【実施例】
【0110】
下記実施例は、上述の顆粒剤をベースとする本発明による医薬製剤の特定の例に関する。
【0111】
実施例1:硫酸モルヒネベースの錠剤
【0112】
【表1】

【0113】
上述の錠剤を以下の作業手順を用いて得た。
【0114】
最初の混合物(混合物1)を、安息香酸デナトニウム(Bitrex(登録商標))、シリコーン(Aerosil(登録商標)972)、タルク、重炭酸ナトリウム(発泡化合物)及びパテントブルー(着色料)を用いて調製した。これらの化合物をTurbula(登録商標)ミキサー内で10分間混合した。
【0115】
第2の混合物(混合物2)を、活性成分を微粒子化の後、ミキサー内に投入することによって同様に調製した。次いで、全体をHPMCと20分間混合した。
【0116】
次に、混合物1を混合物2に投入して更に20分間混合した。
【0117】
次いで、得られた混合物をKorsch 3パンチ打錠機(punch machine)での直接打錠に使用して、錠剤を作製した。
【0118】
得られた錠剤を続いてSEPIFILM(登録商標)LP、着色料及びステアリン酸マグネシウムを含むコーティング懸濁液でフィルムコーティングした。
【0119】
実施例2:オキシコドンベースの顆粒剤
【0120】
【表2】

【0121】
上述の顆粒剤を以下の作業手順を用いて得た。
【0122】
初めに、活性成分(オキシコドン)、結合剤(PVP)、顔料及び苦味剤(Bitrex(登録商標))を含有する水性懸濁液を調製することによって、活性懸濁液を調製した。
【0123】
次いで、上記懸濁液を支持体(空気流動層内のマンニトール顆粒)に噴霧した後、この顆粒剤を空気流動層内で乾燥させた。
【0124】
最初の混合物(混合物1)を、マンニトールの顆粒、微結晶性セルロース及びグリシン炭酸塩(発泡化合物)から調製した。
【0125】
第2の混合物(混合物2)を、活性成分から得られた上述の顆粒剤から同様に調製した。次いで、この顆粒剤を乾燥させてミキサー内に入れた後、着色料及び滑沢剤を投入した。
【0126】
最後に、混合物1及び混合物2を混合し、測定した。
【0127】
実施例3:ブプレノルフィンベースのカプセル剤
【0128】
【表3】

【0129】
上述のカプセル剤を以下の作業手順を用いて得た。
【0130】
中性支持体(糖/デンプン)を従来のタービン内に入れ、活性成分(ブプレノルフィン)、結合剤及び苦味剤を含有する水性懸濁液を調製した。次いで、重炭酸ナトリウム(発泡化合物)を、粉末塗布段階と懸濁液噴霧段階とを交互に行い粉末塗布によって糖/デンプン支持体に沈着させた。
【0131】
得られた顆粒剤を続いてタービン内で乾燥させた。
【0132】
次いで、可塑剤、着色料及びタルクを含むエチルセルロースの水性懸濁液を用いてコーティングを施した。
【0133】
次いで、顆粒剤を更なる乾燥工程に供し、フィルムを硬化させた。
【0134】
次いで最後に、顆粒剤をカプセル剤に分割した。
【0135】
実施例4:モダフィニルベースのカプセル剤
【0136】
【表4】

【0137】
上述のカプセル剤を以下の作業手順を用いて得た。
【0138】
セルロース支持体を従来のタービン内に入れた。
【0139】
微粒子化の後、活性成分を炭酸ナトリウムと混合し、この混合物を続いてタービン内で回転させながら粉末塗布によって支持体に塗布した。
【0140】
次いで、Bitrex(登録商標)及び顔料を用いて、それらをアルコールPVP結合剤溶液中に加えることによって溶液を調製した。次いで、粉末塗布段階と交互に行い、この溶液を支持体に噴霧した。
【0141】
次いで、得られた顆粒剤を乾燥させて、活性成分の粉末塗布工程に使用した溶媒を除去した。
【0142】
可塑剤、滑沢剤及び着色料を添加したメタクリル酸ポリマーの懸濁液を調製することによって、コーティング懸濁液を調製した。次いで、この懸濁液を攪拌に供した後、先に得られた顆粒剤に噴霧した。
【0143】
このやり方で得られたコーティング顆粒剤を続いて再度乾燥させて、カプセル剤に分割した。
【0144】
実施例5:GHB(γ−ヒドロキシ酪酸)顆粒剤
【0145】
【表5】

【0146】
実施例5の微粒剤は、活性成分(GHB)を粒状糖に塗布する(loading)ことによって調製した。
【0147】
活性成分GHBを、重炭酸ナトリウム及び化合物Neusilin(登録商標)(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)と混合した。それにより得られた混合物を粉砕した。
【0148】
同時に、シェラック樹脂及びエタノールを用いて溶液を調製し、これを続いて上述の混合物に添加した。次いで、粒状糖も添加した。
【0149】
次いで、全体を乾燥させて、水及びエタノールに可溶化させたコーティング剤Sepifilm(登録商標)及びPharmacoat(登録商標)の混合物から得られたコーティングで被覆した。
【0150】
次いで、全体を再度乾燥させて、水及びエタノールに可溶化させたシェラック樹脂及びタルクの混合物から得られた第2のコーティングで被覆した。
【0151】
最後に、それにより得られた顆粒剤を乾燥させた後、滑沢剤としてタルクを添加した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分が担持されたソリッドコアを含む顆粒剤であって、該コアが好ましくは不溶性支持体、より具体的にはポリオール、ゴム、シリコーン誘導体、カルシウム又はカリウムの誘導体、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム及び炭酸カルシウム等の無機化合物、サッカロース、セルロース誘導体、具体的には微結晶性セルロース、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、並びにそれらの混合物の群から選択され、該顆粒剤が、前記ソリッドコア上に担持された、以下の化合物:
1つ又は複数の着色料と、
1つ又は複数のメタリック顔料と、
1つ又は複数の発泡化合物と、
任意で1つ又は複数の苦味剤と
を更に含む、活性成分が担持されたソリッドコアを含む顆粒剤。
【請求項2】
前記発泡化合物が炭酸塩及び重炭酸塩の群、特に重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムの群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の顆粒剤。
【請求項3】
前記メタリック顔料が前記顆粒剤の表面上に存在する二酸化チタン系顔料である、請求項1又は2に記載の顆粒剤。
【請求項4】
前記活性成分が痛み止め及び鎮痛薬の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顆粒剤。
【請求項5】
前記活性成分が硫酸モルヒネ、オキシコドン、γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つ、ブプレノルフィン、モダフィニル、デキストロプロポキシフェン、メタドン、トラマドール、ナルブフィン、テトラヒドロカンナビノール及びベンゾジアゼピン類の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の顆粒剤。
【請求項6】
前記苦味剤が安息香酸デナトニウム、ゲンチアナ抽出物、キニーネ、カフェイン、ブルシン、カシン、プロピルチオウラシル(PROP)、フェニルチオカルバミド(PTC)、タンニン等の渋味化合物、グレープフルーツ香料及びビターココア香料の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の顆粒剤。
【請求項7】
前記顆粒剤の全重量に対して0.5重量%〜60重量%の活性成分を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の顆粒剤。
【請求項8】
前記顆粒剤の全重量に対して0.2重量%〜4重量%の着色料と、0.1重量%〜5重量%のメタリック顔料と、5重量%〜20重量%の発泡化合物とを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の顆粒剤。
【請求項9】
前記ソリッドコアが前記顆粒剤の全重量に対して10重量%〜85重量%を占めることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の顆粒剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の顆粒剤を含む医薬複合物。
【請求項11】
粉末塗布によって前記活性成分を前記不溶性支持体に塗布する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の顆粒剤を調製する方法。
【請求項12】
粉末塗布によって前記不溶性支持体に塗布する工程の前に、前記活性成分を前記着色料、前記メタリック顔料及び前記発泡化合物と混合する、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2013−501763(P2013−501763A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524263(P2012−524263)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051697
【国際公開番号】WO2011/018583
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(511118838)
【氏名又は名称原語表記】DEBREGEAS ET ASSOCIES PHARMA
【住所又は居所原語表記】79 rue de Miromesnil, 75008 Paris, France
【Fターム(参考)】