説明

薬物送達システム

本発明は、(i)薬物を担持した熱可塑性ポリマーコアと、(ii)薬物を担持した熱可塑性ポリマー中間層と、(iii)該中間層を被覆する薬物を加えていない熱可塑性ポリマースキンとからなる少なくとも1つのコンパートメントを含む薬物送達システムを提供する。ここで該中間層には、(a)第1の薬剤活性化合物の結晶および(b)溶解形態の第2の薬剤活性化合物を担持し、かつ該コアは溶解形態の第2の化合物を担持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性の避妊法およびホルモン補充療法の分野に関する。
【0002】
本発明は、2種類以上の活性物質の同時放出のための薬物送達システム(デバイス)、より詳細には、より長期間にわたって実質的に一定の比率で活性物質を放出するリング状の腟薬物送達システムに関する。本発明は膣内使用を目的とした薬物送達物に関与するために、同使用は通常、避妊やホルモン補充などの女性への医学的適応に焦点を当てている。本発明に記載の送達物は、特にリング形状をなしており、以下に膣リングとして言及されることになる。
【背景技術】
【0003】
腟リングは知られている。これに関する背景技術として、以下の特許文献が挙げられる。
【0004】
米国特許第3,995,633号および第3,995,634号は、分離された、好ましくは球状またはシリンダ状の、特別に構築されたホルダー内に組み立てられる種々の活性物質を含有するリザーバーについて記載している。
【0005】
米国特許第4,237,885号は、チューブに備わる複数の「スペーサー」を用いて複数部分に分かれ、それから分かれた各チューブ部がシリコーン液中の種々の活性物質で充填された後、チューブの両末端が互いに接続される、ポリマー材料のチューブまたはコイルについて記載している。しかしながら、この放出システムにおいて、特に保存を延長させる際に、一方のリザーバーからもう一方へチューブ壁を貫通して活性材料の輸送(拡散)が生じることにより、この活性物質間で予め設定された一定の放出比率がある期間にわたって変化することになる。
【0006】
ヨーロッパ特許出願公開第0,050,867号は、好ましくは内層が活性物質を担持したシリコーンエラストマーである場合のシリコーンエラストマーの2層によって被覆される、薬理学的に許容できる支持リングを含む2層の腟リングについて開示している。
【0007】
米国特許第4,292,965号は、シリコーンエラストマー製の3層のリング状の腟への送達システムについて記載している。
【0008】
米国特許第4,596,576号は、2つのコンパートメント式腟リングについて記載している。ここで各コンパートメントは種々の活性物質を含有する。種々の活性物質間で一定の放出比率を有する適切なリングを得るために、コンパートメントの末端部はグラスストッパーによって接続される。
【0009】
特許出願公開WO97/02015は、2つのコンパートメントデバイス、すなわちコア、薬物を加えた中間層、および薬物を加えていない外層からなる第1のコンパートメントと、薬物を加えたコアおよび薬物を加えていない外層からなる第2のコンパートメントについて記載している。
【0010】
ヨーロッパ特許第876815号は、長期間にわたって一定の生理学的比率でのプロゲストゲンステロイド化合物およびエストロゲンステロイド化合物の同時放出を対象に設計された腟リング(ヌバリング(NuvaRing)(登録商標))について開示している。薬物送達システムは、プロゲストゲン化合物とエストロゲン化合物の混合物を含有する熱可塑性ポリマーコアおよび熱可塑性ポリマースキンを含む1つのコンパートメントを含む。この場合、プロゲストゲン化合物は最初からポリマーコア材料中に比較的低度の過飽和状態で溶解している。
【0011】
上記開示から、たとえば材料、層およびコンパートメントは開発されている設計に関与するリングデバイスのすべての局面であることは明らかである。
【0012】
2種またはそれより多い活性物質が関与する場合には複雑な定常的放出パターンを得るために、通常あらゆる選択がなされる。後者は避妊の分野で、この目的のために、プロゲスターゲンおよびエストロゲンの組み合わせが用いられることが多いので、特に重要である。しかしながら、ホルモン補充でも併用薬を送達するリングを備えることが望ましい。
【0013】
上記開示の中で、ヨーロッパ特許第876815号は、明確に標準を定める。すなわち、これは1つのコンパートメント設計に関与し、EVAと併用させることによりシラスティックポリマーを不用にし、および長期間にわたって実質的に一定の相互の比率で2種類以上の活性物質放出する。
【0014】
しかしながら、常に任意の技術産物として後者はさらに改良できる余地がある。ヨーロッパ特許第876815号に開示される薬物送達デバイスは、室温未満で保存される場合のみ物理的に安定である。このことは費用がかかる室温未満での保存および輸送が求められ、細心の注意を必要とする。さらに、室温未満で保存されない場合には、ステロイドは、最終的にデバイスのスキン表面から外部に結晶化することにより、制御不能の、および高いバースト放出を招くことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本主題の改良された薬物送達システムは、室温条件下で物理的に安定である故に特別な保存や輸送条件を必要としないということから、この問題を解決する。
【0016】
さらに、本主題の改良された薬物送達システムでは、2種類以上の薬剤活性化合物の放出速度が互いに別々に調節できる一方で、システムの物理的安定性が維持できる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、室温で物理的に安定な3層設計の腟リングを提供し、これから少なくとも2種類の薬物の活性化合物が互いに独立に放出される。
【0018】
リングは、(i)薬物を加えた熱可塑性ポリマーコアと、(ii)薬物を加えた熱可塑性ポリマー中間層と、(iii)中間層を被覆する薬物を加えていない熱可塑性ポリマースキンとを含む、少なくとも1つのコンパートメントを含む。中間層には、(a)第1の活性物質の結晶および(b)溶解形態の第2の活性物質を加える(担持させる)。コアには、同様の第2の活性物質を、場合によって中間層と同じ濃度で担持させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
拡散に関するFick則は、リングからの避妊ステロイドなどの化合物の放出を支配する。この法則によると、境界を越えて移動する質量は境界を横断する距離の反比例関数である。2層設計において、外層(スキン)に近接するステロイドが失ず初期拡散し、これによりコアの外側が枯渇することから拡散距離が増加することになる。外側コア層の枯渇に伴って拡散距離が増加すると、放出速度の低下を招くことになる。1種類の製剤原料の放出速度について述べる場合、プラセボのスキンとプラセボのコア間の中間層内の製剤原料を濃縮させることによって拡散距離の増減に関する課題は克服可能である。次いで製剤原料が相対的に薄い層内で濃縮されるため、放出中の拡散距離の延長は最小限であり、時間の経過に伴い放出速度はより安定になる。
【0020】
シリンダ形リザーバー/膜設計における放出速度:
【0021】
【数1】

L=シリンダ長
=スキンポリマー内の化合物の拡散係数
p/s=スキンポリマーとコアポリマーの間のステロイドの分配係数
ΔC=コア(または中間層)とシンクの間の濃度における差異
=全半径すなわちスキンを含むシリンダ半径
=コア半径
【0022】
この方程式は、方程式右辺における項が定数すなわち時間の関数でない場合、ゼロ次放出が得られることを示す。コアの消耗に起因する拡散距離の延長は、1種類の製剤原料を含有する3層設計ではわずかであることから、(r/r)項はほぼ一定であるとみなしてよい。中間層内のステロイドが溶解状態で存在する場合、濃度勾配(ΔC)は時間経過に伴い徐々に低下し、ひいては放出速度dM/dtが低下する(ゼロ次放出速度論からはずれる)ことになる。
【0023】
本発明は、少なくとも2種類の活性製剤原料を含む薬物送達システムを提供する。
【0024】
本発明は、(i)熱可塑性ポリマーコアと、(ii)熱可塑性ポリマー中間層と、(iii)中間層を被覆する熱可塑性ポリマースキンとからなる少なくとも1つのコンパートメントを含む、腟への投与を意図し、通常はほぼリング形状をした薬物送達システムを提供する。この場合、該中間層は、(a)第1の薬剤活性化合物の結晶および(b)溶解状態の第2の薬剤活性化合物を含み、該コアは同様に該第2の化合物を場合によって中間層と同じ濃度で含む。
【0025】
本発明のこの新規の3層リングの本質は、リングの物理的安定性を室温で維持しつつも相互に独立した2種またはそれ以上の薬剤活性化合物の放出速度を調節するための可能性を提供することにある。
【0026】
これは、(1)リングの中間層内に(第1の)化合物の結晶性リザーバーを組み込み、(2)溶解形態の第2の化合物をリングの中間層およびコアの両方に担持させることにより化合物リザーバーを拡大させ、さらに(3)リングのスキン厚を定めることによって得られる。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、化合物はステロイドである。わかりやすくするために、筆者らはステロイドについて以下に言及するが、非ステロイド化合物も同様に本発明によって意図される。
【0028】
結晶格子中に組み込まれるステロイド分子は、中間層のポリマー中に溶解されるステロイドとともに動的平衡状態にある。拡散が生じない場合、ポリマー中のステロイド濃度は平衡濃度に等しくなるか近似することになる。リングがシンク中に入れられてから、ステロイドはリング外部に拡散し始め、ポリマー中間層中に溶解したステロイドの濃度がやや低下することになる。その結果として、ステロイド結晶が溶解し始める。したがって、リング外部への拡散輸送に起因する濃度勾配の低下が結晶性リザーバー内のステロイドによって相殺される。図1および図2は、中間層における結晶のこの安定化効果について図示する。初期には放出曲線の傾きはまさに横ばいで、すなわち放出は10日目に至るまでほぼゼロ次であることを示している。それから、10日後に放出曲線の傾きが極めて急で、すなわち放出速度がより時間依存性を示すようになる(ゼロ次より低い)。明らかに、この時点は、ポリマーマトリックス内の結晶の大きさと量が特定の値よりも低下している時点と一致し、リング外部への拡散に起因するステロイド低下は、この時点以後、拡散に向かう結晶によってはもはや十分に相殺できない。結晶の大半が溶解した場合には、濃度勾配がもはや安定化しないため、より急勾配の曲線が認められる。この機構による濃度勾配の安定化は、拡散に起因するステロイドの低下と比較してステロイド結晶の溶解が速やかに進行する場合に機能する。そこでこの濃度低下はある程度まで相殺され、もし結晶が比較的速やかにポリマー中に溶解するならば、実質上の効果はゼロになる。
【0029】
換言すると、本主題の3層設計は、(i)2種類のステロイド、すなわち一部は結晶相に存在し一部はポリマー中に溶解する1種類(ステロイドA)とポリマー中に全部が溶解するもう1種類(ステロイドB)を担持する中間層と、(ii)(全部が溶解され、および場合によって中間層と同じ濃度である)ステロイドBを担持するコアと、(iii)プラセボのスキンとからなる少なくとも1つのコンパートメントを含む、3層リングである。
【0030】
本主題の3層リングでは、ステロイドBは中間層内だけでなくコア内にも収められる。本発明の1つの実施形態では、ステロイドBの濃度はコアおよび中間層内で同じである。
【0031】
コアと中間層の両方にステロイドBを担持させることにより、ステロイドB用リザーバーは大幅に拡大し、長期にわたってこのステロイドの放出速度を適正に一定化できる(図3および図4を参照)。この設計の結果として、ステロイドAの放出速度およびステロイドBの放出速度は、互いに独立に調節できる。さらに、コアにステロイドBを担持させることによって、中間層からコアに戻るステロイドBの逆拡散も防止される。(コア内および中間層内でステロイドBが一様に分布するまで)ステロイドBが逆拡散すると、中間層内で濃度が徐々に低下し、ひいては保存時に放出プロファイルの低下に至ると考えられる。また、ステロイドAがコア内に逆拡散する可能性もある。しかしながら、中間層内のステロイドA濃度がその結晶態での存在故に安定することから、これは大した問題ではない。しかしながら、本発明の特定の実施形態では、溶解形態のステロイドAはさらにコア内に担持できる。これによって内部拡散効果は低下する(または除かれる)ことになる。
【0032】
したがって、この3層腟リングの概念は、ステロイドを相対的に薄い中間層に濃縮させることである。この場合その一部は薄い中間層に分散される結晶の形態で存在することになる。ステロイドAの所望の放出速度は、スキン厚の調節によって得られる。故に、ステロイドAを結晶態に組み込み、ステロイドBを溶解形態に組み込むことによってステロイドBの濃度を既に予備設定されたスキン厚に適合させることが可能である。中間層の容量は比較的小さい場合があることから、このアプローチによって含量が比較的低下し、比較的速やかに消耗状態になる可能性がある。3層リングの消耗が速すぎる可能性は、コアが第2ステロイド(B)も担持することにより阻止される。
【0033】
本発明の別の実施形態では、薬物送達システムは、(i)一部は結晶相に存在し、一部はポリマー中に溶解しているステロイドAを担持する中間層と、(ii)全部がポリマー中に溶解しているステロイドBを担持するコアと、(iii)プラセボのスキンとからなる、少なくとも1つのコンパートメントを含む3層の腟リングである。このリング設計は、中間層内に(上記リング設計における2種類のステロイドに対して)ただ1種類のステロイドを含有するが、しばらくたつと中間層内に2種類のステロイドが存在する上記リングと同等の設計に変化することになる。これは、しばらくたつとステロイドBが中間層内に拡散し、特定の時点で、(i)一部が結晶相で存在し、一部がポリマー内に溶解した1種類(ステロイドA)および完全にポリマー内に溶解したもう1種類(ステロイドB)の2種類のステロイドを含ませた中間層と、(ii)(完全に溶解した)ステロイドBを担持したコアと、(iii)プラセボのスキンとを含有するためである。
【0034】
本発明の腟リングは、同時押出および/または混合押出などの知られている押出処理によって製造可能である。薬物を担持したコア、薬物を担持した中間層および薬物を加えていない外層のいずれもが同時押出される。このようにして得られる繊維は必要な長さの断片に切断され、各断片は任意の適切な様式でリング状デバイスに組み立てられる。次いで場合によって殺菌または消毒が施された後、リングはたとえば適当なサシェに包装される。
【0035】
本発明を実行するのに使用可能な熱可塑性ポリマーは、原則として医薬用途に適する、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーなどの任意の熱可塑性ポリマーまたはエラストマー材料であってもよい。特定の実施形態では、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(ポリ−EVA)がその優れた機械および物理特性(たとえば、ステロイドの同材料への溶解性)を理由に用いられる。ポリ−EVA材料は、コア、中間層およびスキンにおける使用が可能で、Elvax、Evatane、Lupolen、Movriton、Ultrathene、Ateva、Vestyparといった商品名で入手可能な製品などの任意の商用のエチレン−酢酸ビニルコポリマーでありうる。
【0036】
1つの実施形態では、コアと中間層の両方は同じポリマー等級から作製される。別の実施形態では、コアおよび中間層は、リングのさらなる柔軟性を可能にするために、同じポリマー等級からは作製されない。コアおよび中間層用に種々のポリマー等級を選択することによってリングの柔軟性を微調整することが可能である。
【0037】
本発明に記載の腟リングは、需要に応じて任意の大きさに製造可能である。1つの実施形態ではリングは50〜60mm、別の実施形態では52〜56mmの外径(外周)を有し;断面直径は、約2.5〜5mm、特定の実施形態では約3.0〜4.5mm、また別の施形態では約3.5〜4.0mm、さらに別の実施形態では4.0mmである。
【0038】
中間層および/またはコアが、避妊またはホルモン補充用のステロイドに加え、たとえばHIV、ヘルペス、クラミジア、淋病などの性行為感染症(STD)を同時に治療するおよび/または予防する抗微生物薬をさらに含む、改良された腟リングを提供することも本発明の目的である。
【0039】
本発明ではコア体の表面は800mmを超え、また別の実施形態では1000mmを超え、および通常は約1700〜2200mmになるが、腟リングの設計(物理寸法)によって本主題の不便さが抑制されるならば、表面を大幅に大きくすることも可能である。時にはプラセボのコンパートメントまたは1種あるいは複数種の他の薬物を担持したコンパートメントである第2のコンパートメントを加えることが求められることがある。上記の加えられるコンパートメントは、たとえばプロゲストゲンとエストロゲン間の比率が避妊に適合する比率と異なる場合のホルモン補充療法を実施する際に必要となる場合がある。さらに、上記の追加されるコンパートメントは、ステロイドに加え、AIDS、クラミジア、ヘルペス、淋病などの性行為感染症を治療するかつ/または予防する抗微生物薬を投与するのに必要となる可能性がある。
【0040】
任意の抗微生物薬は、本発明の腟リングに(中間層および/またはコアおよび/または添加されるコンパートメント内へ)組み込み可能である。抗微生物薬は、任意の抗生物質、任意の抗ウイルス薬、任意の抗真菌薬または任意の抗原虫薬などの任意の抗菌薬でありうる。本発明の腟リングに組み込まれるべく検討される抗微生物薬の1例として、マンデル酸縮合ポリマー(Zanefeldら、(2002年)、Fertility and Sterility78(5):1107〜1115頁)が挙げられる。別の例として、ダピビリン(dapivirine)(4−[[4−[2,4,6−トリメチルフェニル]アミノ−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル)が挙げられる。
【0041】
表1は、本発明の腟リングの模式図を示す。Rは3層繊維の直径である。Rは中間層を含めたコアの半径であり、Rはコアの半径である。同表で記載されるR/R比およびR/R比は以下のように定義される。
【0042】
【表1】

【0043】
本明細書で用いられる「室温」は約18℃から約30℃の間のいずれかに該当する。
【0044】
本明細書で用いられる物理的に安定な薬物送達システム(リング)は、腟リングのスキン表面上にステロイド結晶の形成を伴うことなく、少なくとも約1年半(1.5年)の間、約18℃〜30℃で保存可能なシステムである。
【0045】
本発明に記載の腟リングは、主に避妊用に設計されているが、上記のようにHRT(ホルモン補充療法)における特定の条件下で使用される場合もある。
【0046】
本発明の腟リングは、上記のように避妊をもたらし微生物疾患に対抗するのに併用されることもある。治療および/または予防が施されるべき微生物感染症は、任意の細菌、ウイルス、真菌または原虫の感染症でありうる。特に、HIV、クラミジア、淋病、またはヘルペスなどの性行為感染症は、本発明のリングへの抗微生物薬の取り込みによって治療される得る。
【0047】
本発明のさらなる目的は、本発明の薬物送達システムを女性の腟管内に配置し、腟管内に少なくとも約21日間保持するステップを含む避妊法を提供することにある。
【0048】
本発明の別の目的は、本発明の薬物送達システムを女性の腟管内に配置しおよび本システムを腟管内に少なくとも約21日間保持するステップを含む、避妊の方法および性行為感染症の治療または予防を同時に実施する方法を提供することにある。
【0049】
1つの実施形態では、薬物送達システムは、約21日後の月経を許す適切な1週間に取り出される。他の実施形態では、薬物送達システムは、約42日、63日、84日、105日、126日、147日、186日、189日、210日、231日、252日、273日、294日、315日、336日または357日後の月経を許す適切な1週間に取り出される。月経を許す適切な週が経過した後、本発明の新規の薬物送達システムを女性の膣内に挿入することにより、次回以降の女性周期における避妊が可能になる。
【0050】
本発明は、避妊キットの製造を目的とするための本発明の薬物送達システムの使用をさらに含む。
【0051】
本発明は、ホルモン補充療法用薬物の製造を目的とする本発明の薬物送達システムの使用をさらに包含する。
【0052】
本発明は、避妊をもたらし、たとえばAIDS、ヘルペス、クラミジア、淋病などの性行為感染症を治療しおよび/または予防するための合剤の製造を目的とする本発明の薬物送達システムの使用をさらに提供する。
【0053】
本発明のプロゲストゲンステロイド化合物は、デソゲステル、エトノゲストレル、レボノルゲストレル、ノルゲストレル、ゲストデーネもしくはプロゲストゲン活性を有する任意の他のステロイド化合物などの任意の適切なプロゲストゲンでありうる。エストロゲンステロイド化合物は、エストラジオール、エストリオール、メストラノール、エチニルエストラジオールなどの任意の適切なエストロゲンでありうる。本発明の特定の実施形態では、プロゲストゲンはエトノゲストレルである。本発明の特定の実施形態では、避妊用エストロゲンはエチニルエストラジオールである。別の実施形態では、エストラジオールはホルモン補充療法用に試用されるエストロゲンである。
【0054】
本発明の1つの実施形態では、エチニルエストラジオールが約0.05〜1.5重量%で中間層内およびコア内に存在する。他の実施形態では、エチニルエストラジオールが中間層内およびコア内に、約0.08〜0.5重量%、約0.09〜0.20重量%、約0.09〜0.18重量%または約0.09〜0.15重量%で存在する。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、エトノゲストレルが約6〜80重量%で中間層内に存在する。他の実施形態では、エトノゲストレルは、約6〜70重量%、約10〜53重量%、約10〜30重量%、約10〜15重量%、または約10〜12重量%で中間層内に存在する。
【0056】
本発明は、
(i)担持した(薬物を加えた)均一ポリマーのコア顆粒および担持した(薬物を加えた)均一ポリマーの中間層顆粒を作製すること、および
(ii)ポリマースキン顆粒とともにコア顆粒および中間層顆粒を同時押出しすること
により、3層の薬物送達システムを形成することによる本発明の3層の薬物送達システムの製造方法をさらに提供する。
【0057】
担持した(薬物を加えた)均一ポリマーのコア顆粒および担持した(薬物を加えた)均一ポリマーの中間層顆粒の作製は、
(a)ポリマーを粉砕するステップ、
(b)粉砕したポリマーを中間層内に担持される活性化合物と乾燥粉末混合するステップ、
(c)粉砕したポリマーをコア内に担持される活性化合物と乾燥粉末混合するステップ、
(d)ステップ(b)および(c)において得られた粉末混合物を混合押出しするステップ、
(e)得られた封入済みポリマーストランドを顆粒に切断することにより、コア顆粒および中間層顆粒を得るステップ、
(f)潤滑油を用いてコア顆粒および中間層顆粒の両方を潤滑するステップ
を含む。この場合、ステップ(b)とステップ(c)は交換することが可能である。
【0058】
本発明は以下の実施例においてさらに記載されるが、請求される本発明の範囲限定を意図するものでは決してない。
【実施例】
【0059】
(実施例1)3層リングの調製
8つの3層繊維を調製した(A1〜A4およびB1〜B4)。繊維を単一の毛細管(4.1mm)から3.5mm(Bx)および4.0mm(Ax)に伸展させた。
【0060】
ポリマー中に活性成分であるエトノゲストレル(ステロイドA)およびエチニルエストラジオール(ステロイドB)を均一に混合するために、2つの後続する混合ステップを実施した。第1のステップでは、微粉化した活性化合物とポリマー粉末とともに乾燥粉末混合を実施した。これらの微粉化した化合物を60分間で約26rpmの一定の回転速度を有するRhonrad(バレルフープ(Barrel−hoop)方式)を用いてステンレス鋼ドラム中でポリマー粉末と混合させた。コア(ポリマー粉末および微粉化したエチニルエストラジオール)および中間層(ポリマー粉末、微粉化したエチニルエストラジオールおよび微粉化したエトノゲストレル)の両方においてポリマーと活性化合物を混合させることによりこの第1の粉末混合ステップを実施した。続いて均一化された粉末混合物を、25mm共回転型二重スクリュー式混合押出機(Berztorff ZE25)を用いて混合押出を行い、得られた薬物を加えたポリマーストランドをシーア(Scheer)造粒機を用いて顆粒に切断した。この処理によってバッチコア顆粒およびバッチ中間層顆粒を作製した。粒化後、次の処理ステップ(同時押出)を円滑に実施するために、これらのバッチをステアリン酸マグネシウムによって潤滑した。同時押出処理を用いて3層繊維を製造するのに用いた課粒バッチ組成について下記表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
3層同時押出
3層同時押出を意図して、EX10、Fourne(10mm)押出機と組み合わせてPlastic Maschinenbau同時押出機(15/18mm)を用いた。18mmおよび15mmのPlastic Maschinenbau押出機はコア層および中間層をそれぞれ処理し、10mm Fourne押出機を用いることによりスキン(外層)を処理した。(各層の体積流量率(メルトフロー)を制御するために)3つの押出機を、3つの独立した回転ポンプを備える3つのコンパートメント回転ブロック(Ankutec、ドイツ)と接続した。3つのメルトフローをスピナレット内で結合させることにより、3層を備えた繊維を得た。4.1mmの毛細管を用いた。110℃の押出温度ですべての繊維の押出を行った。
【0063】
回転速度を調整することにより3.5mmもしくは4.0mmのいずれかの所望の繊維直径を得て、回転ポンプの調節によってスキンおよび中間層における所望の層厚を得た。適切な回転速度および回転ポンプの設定を用いることにより、3層の繊維の変形のそれぞれを作製した(全部で2×4の変形、A1〜A4およびB1〜B4)。各変形の3層同時押出を行って約20分後、3層繊維をステンレス鋼リール上で30分間収集した。レーザーマイクロメータを用いて繊維外径をオンラインで継続測定して記録した。同30分の開始時と終了時に、繊維直径、中間層厚、スキン厚を測定して記録した。
【0064】
繊維A3に対して1.0m/分、繊維B3に対して1.3m/分で処理された変形3を例外として、変形Aに対して3m/分、変形Bに対して3.9m/分の押出速度で封入済み繊維を処理した。
【0065】
繊維寸法処理後に、10個の組立リングに関し、繊維寸法(外径、中間層厚およびスキン厚)を直接測定した。レーザー式厚さ計(Mitutoyo)によって外径を測定した。顕微鏡(Jena)を用いて中間層厚およびスキン厚を測定した。封入済みバッチに対する結果を表3および表4に示す。
【0066】
【表3】


【0067】
【表4】

【0068】
コアおよび中間層内の活性成分の濃度は、すべてのリング(10.3% ENG、中間層内0.092% EEおよびコア内0.095% EE)と同じである。中間層およびコアのそれぞれに対する0.092%および0.095%の濃度は、(実際には)一致するものと考えられた。
【0069】
インビトロ放出速度
インビトロ放出に対する結果について、表5、図1〜図4および図6〜図13に示す。図1および図2は、試験さた各種リングの1種の試料由来のエトノゲストレルの放出速度を示す。図3および図4は、試験された各種リングの1種の試料由来のエチニルエストラジオールの放出速度を示す。さらに図6〜図13は、試験された各種リングの1種の試料由来のエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールの放出速度を示す(A1〜A4およびB1〜B4)。表5では、放出速度が試験された各種リングの6種の試料から算出される。
【0070】
【表5】


【0071】
1日目および21日目の放出速度は、6個のリングの各結果における範囲として示されれる(最小値および最大値が与えられる)。
【0072】
2〜21日目における1日平均の放出は、2日目から21日目(同日を含む)までの平均放出速度を示す。示された値は6個のリングの平均である。
【0073】
組立
4mmバッチ(Ax)を157mmの断片に切断し、TWI単一溶接ユニット上で130℃の接着温度および15秒の接着時間で接着させた。
【0074】
3.5mm繊維を157mmの断片に切断し、両端を互いに接着させた(ロクタイト、406型および770型;cat nr.40621および77012)。
【0075】
したがって、50〜300μmの種々の層を備える新規の3層リング設計について処理したところ、付随するスキン厚および中間層厚のばらつきはわずかであった。
【0076】
(実施例2)物理的安定性
標準保存温度(最大30℃)でのNuvaRing(登録商標)の保存安定性には、腟リングのスキン表面上におけるステロイド結晶の形成に起因して限界があることから、オンセット放出の亢進いわゆるバースト放出が引き起こされ、それによって物理的安定性が低下する。閉じたアルミニウムホイルラミネート製サシェにおいて、本発明のリングの8個のバッチのバースト放出(1日目の放出)を30℃/75%R.H.でのゼロ時間および12、18および24か月の保存後に試験した(WO99/30976)。該閉じたアルミニウムホイルラミネート製サシェにおいて、3個の代表的ヌバリング(登録商標)バッチのバースト放出を30℃/75%R.H.でのゼロ時間および12、18および24か月の保存後にさらに試験した。ゼロ時間での放出速度を1バッチ当たり12個のリングを解析することによって判定し、12、18および24か月後の放出速度を1バッチ当たり6個のリングを解析することによって判定した。これらの解析結果を表4、表5および表6に示す。すべての3個のヌバリング(登録商標)バッチのバースト放出が30℃で既に12か月後の保存時に亢進することは明らかである。変形A3を除き、本発明のリングのすべての7個のバッチは、30℃での保存後、一定もしくはより低度のバースト放出を示す。バッチA3からのリングについて視覚的検査を行ったところ、バースト放出の亢進はリング表面上でのステロイド結晶の形成に起因しないことが判明した。さらに、バッチA3のバースト放出の亢進がリング表面上での結晶形成に起因しないという事実についても、低RSD(相対標準偏差)値によって示唆される個々の試験結果間に認められる小さな差異によって示す。
【0077】
【表6】


【0078】
【表7】


【0079】
【表8】


【0080】
(実施例3)米国特許第4,292,965号に記載のリングに対して改良された3層リング
本実施例は、米国特許第4,292,965号に記載の3層リングと比較して主題の改良された3層リングの利点について示す。
【0081】
米国特許第4,292,965号では、2種類のステロイドが中間層に収められ、コア内にはいずれのステロイドも存在しない。
【0082】
改良された3層リングの最も重要な特質は、2種類以上のステロイドの放出速度がそれぞれ個別に調節でき、リングは室温条件で物理的安定性を維持しつつこの放出速度をより長期間持続する能力があるということである。本実施例は、米国特許第4,292,965号に記載された薬物を加えていないコアを有するリング設計より優れた封入済みコアをさらに備える改良された3層リングの利点を示す。
【0083】
中間層内に2種類以上の結晶形態のステロイドを担持させ、独立した放出を備えることは不可能である。1つのコンパートメントから2種類(または3種類以上)のステロイドの放出速度を調節するためには、結晶相にあるステロイド1種類のみが存在でき、それ以外が溶解相に存在する必要がある。ステロイドAの一部が結晶相で存在する場合には、結晶格子内のステロイドは溶解したステロイドとともに動的平衡状態にあることになる。ステロイドAの濃度は予め決められているため、ステロイドAの放出速度は適正にスキン厚を選択することによってのみ調節できる。スキン厚が既にステロイドAの放出速度を調節するための手段として用いられるという事実を考慮すると、第2成分のステロイドBの放出速度は、唯一適切な濃度の選択によって調整できる。ステロイドBは溶解形態でのみ存在することから、リザーバー(コア)の容量を増加させることによって(膜全体にわたって同じ濃度勾配を維持する一方で)リング内のさらなるステロイドを組み込み可能である。したがって、リザーバーの容量はリング内に担持可能な溶解したステロイドBの量を決定する。
【0084】
本発明のリングA2(実施例1参照)において、中間層およびコアリザーバーの容量は以下のように算出できる。リングA2の繊維寸法は、長さが約15.7cm、直径が約4.0mm、中間層厚が約60μm、スキン厚が約80μmであり、中間層およびコアの容量は大体Vint=0.11mlおよびVcore=1.71mlである。コアと中間層の濃度はいずれもほぼ1g/mlであることから、コアと中間層の質量はそれぞれ約1.71gと約0.11gである。コアおよび中間層におけるEE濃度は約0.095モル%であることから、コアは約1620μgのEEを含有し中間層は約106μgのEEを含有する。したがって、薬物を加えていないコアを有するリングと比較すると、この特殊な場合(A2)では、約15倍を超えるEEが改良された3層設計内に担持できる。
【0085】
リングA2からのEEの放出を時間の関数として図3に示し、同放出の利用によるコアにEEを担持させる利点が図示できる。準定常状態の放出(2〜21日目における放出)は15〜10ug/日であり、中間層単独の含量(106μg)は、数日を超える期間にわたりほぼ一定の放出速度を持続するには不十分であると思われる。7日に満たない間に中間層ではほぼ完全になくなり、放出速度は数日後に既に格段に低下すると考えられる。
【0086】
さらに、米国特許第4,292,965号などの場合のリング設計では、コアへの内部拡散に起因して非平衡状態が得られる結果、中間層におけるEE濃度が低下し、不安定な放出プロファイルを有する医薬品ができることにつながる。しかしながら、コアに中間層の場合と濃度が等しいEEを担持する場合には、所望の平衡状態が得られる。
【0087】
内部拡散(逆拡散とも呼ばれる)に起因するこの非定常状態の挙動は、米国特許第4,292,965号に記載された3層設計に固有のものであるが、この改良された3層設計はこれらの望ましくない効果を除去する。
【0088】
(実施例4)さらなる3層リングの調製
さらに、20種類の3層の繊維を調製した(E〜X)。繊維の変形の寸法は、4mm(E〜V)、3mm(変形W)および5mm(変形X)であった。すべての繊維を単一の毛細管(3.6mm)から織った。
【0089】
以下の微小な変化を有する実施例1における記載と本質的に同じ方法を用い、数種類のコアと中間層の顆粒(それぞれC1〜C4とD1〜D2)を調製した。すなわち、60分間、約47rpmの一定速度で、Rhonrad(バレルフープ方式)を用いてステンレス鋼ドラム内で顆粒C4、D1およびD2を混合した。
【0090】
【表9】

【0091】
【表10】

【0092】
3層同時押出
3層繊維を作製するのにトリコ製押出機Fourne(25/18/18mm)を使用した。25mm押出機によってコア層を処理する一方、2台の18mm押出機によって中間層およびスキン(外層)をそれぞれ処理した。(各層の体積流量率(メルトフロー)を制御するために)3台の押出機を、3つの別々の回転ポンプを備える3つのコンパートメント回転ブロックと接続した。3つのメルトフローをスピナレット内で結合させることにより、3層を有する繊維を得た。3.6mmの毛細管を用いた。110℃の押出温度ですべての繊維の押出を行った。
【0093】
回転速度を調整することにより3mm、4mmもしくは5mmの所望の繊維直径を得た。回転ポンプの調節によってスキンおよび中間層における所望の層厚を得た。適切な回転速度および回転ポンプの設定を用いて、3層の繊維の変形のそれぞれを作製した(全部で20個の変形、E〜X)。各変形を3層同時押出して約20分後、3層繊維を120分間ステンレス鋼リール上で収集した。レーザーマイクロメータを用いて繊維外径をオンラインで継続的に測定して記録した。同120分の開始時と終了時に、繊維直径、中間層厚、スキン厚を測定して記録した。わずか30分間で変形WおよびXを収集した。変形E〜Vについて2.00m/分、変形Wについて3.59m/分、および変形Xについて1.28m/分の押出速度で、封入済み繊維を処理した。
【0094】
繊維寸法
3層同時押出による押出中、4つの試料の繊維断片由来の各繊維の変形について中間層厚およびスキン厚の繊維寸法を測定した。3層同時押出により押出された繊維について処理中に、6つの試料の繊維断片由来の各繊維の変形用に対して外径を測定した。レーザー式厚さ計(ツムバッハ(Zumbach))を用いて外径を測定した。顕微鏡(イェナ(Jena))を用いて中間層およびスキン厚を測定した。封入済みバッチに対する結果を表11、表12および表13に示す。
【0095】
【表11】

【0096】
【表12】

【0097】
【表13】

【0098】
インビトロ放出速度
すべての繊維(E〜W)のエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールの放出速度を示す表14および図14〜21に、インビトロ放出速度についての結果を示す。
【0099】
【表14】


【0100】
1日目および21日目の放出速度は、6個のリングの各結果における範囲として示される(最小値および最大値が与えられる)。
【0101】
2〜21日目における1日平均の放出は、2日目から21日目(同日を含む)までの平均放出速度を示す。示された値は6個のリングの平均である。
【0102】
組立
4mm繊維(E〜V)を157mmの断片に切断し、CCM(Centrum voor Constructie en Mechatronica、オランダ)組立ユニット上で130℃の接着温度および17秒の接着時間で接着させた。繊維WおよびXを手動で157mmに切断し、ロクタイト接着剤(406型および770型;cat nr.40621および77012)を用いて繊維両端を互いに接着させた。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】すべての4.0mmバッチについてのエトノゲストレル(ENG)のインビトロ放出速度のグラフである。
【図2】すべての3.5mmバッチについてのエトノゲストレルのインビトロ放出速度のグラフである。
【図3】すべての4.0mmバッチについてのエチニルエストラジオール(EE)のインビトロ放出速度のグラフである。
【図4】すべての3.5mmバッチについてのエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図5】本発明の腟リングの模式図である。
【図6】1個のA1リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図7】1個のA2リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図8】1個のA3リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図9】1個のA4リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図10】1個のB1リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図11】1個のB2リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図12】1個のB3リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図13】1個のB4リングからのエトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図14】繊維の変形E、F、G、HおよびIについてのエトノゲストレルのインビトロ放出速度のグラフである。
【図15】繊維の変形J、K、L、WおよびXについてのエトノゲストレルのインビトロ放出速度のグラフである。
【図16】繊維の変形M、N、O、PおよびQについてのエトノゲストレルのインビトロ放出速度のグラフである。
【図17】繊維の変形R、S、T、UおよびVについてのエトノゲストレルのインビトロ放出速度のグラフである。
【図18】繊維の変形E、F、G、HおよびIについてのエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図19】繊維の変形J、K、L、WおよびXについてのエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図20】繊維の変形M、N、O、PおよびQについてのエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。
【図21】繊維の変形R、S、T、UおよびVについてのエチニルエストラジオールのインビトロ放出速度のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)薬物を担持した熱可塑性ポリマーコアと、(ii)薬物を担持した熱可塑性ポリマー中間層と、(iii)中間層を被覆する薬物を加えていない熱可塑性ポリマースキンとからなる少なくとも1つのコンパートメントを含み、前記中間層は(a)第1の薬剤活性化合物の結晶および(b)溶解形態の第2の薬剤活性化合物を担持し、および前記コアは溶解形態の第2の化合物を担持している薬物送達システム。
【請求項2】
約18〜30℃で物理的に安定である請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
コア内の第2の化合物が中間層と同じ濃度で存在する請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
送達システムが実質的にリング形状であり、腟への投与を目的とすることを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
第1の活性化合物がステロイドであり、第2の活性化合物がステロイドである請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
第1の活性ステロイドがプロゲストゲンである請求項5に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
第2の活性ステロイドがエストロゲンである請求項5に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである請求項7に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
プロゲストゲンがエトノゲストレルである請求項6に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
第1の活性化合物がエトノゲストレルであり、第2の活性化合物がエチニルエストラジオールである請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
少なくともスキンが、熱可塑性ポリマーとしてエチレン−酢酸ビニルコポリマーを、場合によってコアおよび中間層も、含むことを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項12】
コアおよび中間層が、熱可塑性ポリマーとして同じ等級のエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含むことを特徴とする請求項11に記載の薬物送達システム。
【請求項13】
コアおよび中間層が、熱可塑性ポリマーとして異なる等級のエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含むことを特徴とする請求項11に記載の薬物送達システム。
【請求項14】
コアが第1の化合物をさらに加えて担持していることを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項15】
エチニルエストラジオールが約0.05〜1.5重量%で中間層中におよびコア中に存在する請求項8に記載の薬物送達システム。
【請求項16】
エチニルエストラジオールが約0.08〜0.5重量%で中間層中におよびコア中に存在する請求項15に記載の薬物送達システム。
【請求項17】
エチニルエストラジオールが約0.09〜0.18重量%で中間層中におよびコア中に存在する請求項16に記載の薬物送達システム。
【請求項18】
エチニルエストラジオールが約0.09〜0.15重量%で中間層中におよびコア中に存在する請求項17に記載の薬物送達システム。
【請求項19】
エチニルエストラジオールが約0.09〜0.20重量%で中間層中におよびコア中に存在する請求項16に記載の薬物送達システム。
【請求項20】
エトノゲストレルが約6〜80重量%で中間層中に存在する請求項9に記載の薬物送達システム。
【請求項21】
エトノゲストレルが約6〜70重量%で中間層中に存在する請求項20に記載の薬物送達システム。
【請求項22】
エトノゲストレルが約10〜53重量%で中間層中に存在する請求項21に記載の薬物送達システム。
【請求項23】
エトノゲストレルが約10〜30重量%で中間層中に存在する請求項22に記載の薬物送達システム。
【請求項24】
エトノゲストレルが約10〜15重量%で中間層中に存在する請求項23に記載の薬物送達システム。
【請求項25】
エトノゲストレルが約10〜12重量%で中間層中に存在する請求項24に記載の薬物送達システム。
【請求項26】
図5に記載のR/R比が約1.0075〜2.0000であり、およびR/R比が約1.0075〜2.0000である請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項27】
図5に記載のR/R比が約1.0100〜1.5000であり、およびR/R比が約1.0200〜1.5000である請求項26に記載の薬物送達システム。
【請求項28】
図5に記載のR/R比が約1.0300〜1.3000であり、およびR/R比が約1.0200〜1.5000である請求項27に記載の薬物送達システム。
【請求項29】
図5に記載のR/R比が約1.0400〜1.1800であり、およびR/R比が約1.0200〜1.0500である請求項28に記載の薬物送達システム。
【請求項30】
図5に記載のR/R比が約1.0300〜1.2000であり、およびR/R比が約1.0100〜1.0900である請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項31】
中間層が抗微生物薬をさらに加えて含有することを特徴とする請求項5から30に記載の薬物送達システム。
【請求項32】
コアが抗微生物薬をさらに加えて含有することを特徴とする請求項5から30に記載の薬物送達システム。
【請求項33】
デバイスが2つのコンパートメントを含有することを特徴とする請求項1から32のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項34】
第2のコンパートメントが抗微生物薬を含有する請求項33に記載の薬物送達システム。
【請求項35】
抗微生物薬がマンデル酸縮合ポリマーである請求項31から34に記載の薬物送達システム。
【請求項36】
(i)女性の腟管内に請求項1から30に記載の薬物送達システムを配置するステップと、(ii)少なくとも約21日間、腟管内にシステムを保持するステップとを含む、避妊方法。
【請求項37】
(i)女性の腟管内に請求項1から30に記載の薬物送達システムを配置するステップと、(ii)少なくとも約21日間、腟管内にシステムを保持するステップと、(iii)月経を許す適切な1週間の間にシステムを取り出すステップとを含む避妊方法。
【請求項38】
(i)女性の腟管内に請求項31から35に記載の薬物送達システムを配置するステップと、(ii)少なくとも約21日間、腟管内にシステムを保持するステップとを含む、避妊を施すこと、および性行為感染症を治療または予防することを同時に行う方法。
【請求項39】
(i)女性の腟管内に請求項31から35に記載の薬物送達システムを配置するステップと、(ii)少なくとも約21日間、腟管内にシステムを保持するステップと、(iii)月経を許す適切な1週間の間にシステムを取り出すステップとを含む、避妊を施すこと、および性行為感染症を治療または予防することを同時に行う方法。
【請求項40】
避妊キットを製造するための請求項1から30に記載の薬物送達システムの使用。
【請求項41】
ホルモン補充療法用薬物を製造するための請求項1から30に記載の薬物送達システムの使用。
【請求項42】
避妊を施し、かつ性行為感染症を治療または予防するための合剤の製造に対する請求項31から35に記載の薬物送達システムの使用。
【請求項43】
疾患がAIDSである請求項42に記載の使用。
【請求項44】
疾患がヘルペスである請求項42に記載の使用。
【請求項45】
疾患がクラミジアである請求項42に記載の使用。
【請求項46】
疾患が淋病である請求項42に記載の使用。
【請求項47】
(iii)担持した均一ポリマーのコア顆粒および担持した均一ポリマーの中間層顆粒を作製するステップと、(iv)コア顆粒および中間層顆粒をポリマースキン顆粒とともに同時押出することにより3層の薬物送達システムを形成するステップとを含む請求項1に記載の3層の薬物送達システムを作製する方法。
【請求項48】
ステップ(i)が、
(a)ポリマーを粉砕するステップと、
(b)粉砕したポリマーを中間層内に担持される活性化合物と乾燥粉末混合するステップと、
(c)粉砕したポリマーをコア内に担持される活性化合物と乾燥粉末混合するステップと、
(d)ステップ(b)およびステップ(c)において得られた粉末混合物を混合押出するステップと、
(e)得られた封入済みポリマーストランドを顆粒に切断することにより、コア顆粒および中間層顆粒を得るステップと、
(f)潤滑油を用いてコア顆粒と中間層顆粒の両方を潤滑するステップと
を含み、ステップ(b)とステップ(c)を交換することが可能である請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(i)薬物を担持した熱可塑性ポリマーコアと、(ii)薬物を担持した熱可塑性ポリマー中間層と、(iii)中間層を被覆する薬物を加えていない熱可塑性ポリマースキンとからなる少なくとも1つのコンパートメントを含み、中間層が第1の薬剤活性化合物の結晶を担持し、およびコアが溶解形態の第2の薬剤活性化合物を担持している薬物送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2007−502316(P2007−502316A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530206(P2006−530206)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050850
【国際公開番号】WO2004/103336
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(394010986)アクゾ・ノベル・エヌ・ベー (31)
【Fターム(参考)】