説明

薬物送達デバイスならびに関連するシステムおよび方法

【課題】薬物送達デバイスならびに関連するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】薬物送達デバイス103は、薬物バイアルホルダ112ならびに薬物バイアルホルダ112の上側部材と下側部材との間で薬物バイアル116,118を圧迫するように構成された機構を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組込まれる、2009年7月1日に出願された米国特許仮出願第61/222,146号の利益を主張する。
本発明は、薬物送達デバイスならびに関連するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腎不全が診断されるとすぐに、患者は、症状をコントロールし、腎臓に対する損傷の進行を遅くするのに役立つための薬剤が与えられる。慢性腎不全を患う患者は、一般に、身体内のミネラルのバランスをコントロールし、赤血球の減少(貧血)を防止するために薬物を摂取する。
【0003】
健康な腎臓は、骨髄内での赤血球の産生を刺激するホルモンエリスロポエチン(「EPO」と短縮されることが多い)を生成する。赤血球は、身体内で組織に酸素を送出するときに重要な役割を果たす。身体が十分なEPOを持たない場合、貧血をもたらしうる。これは、身体および精神作業の低下ならびに心血管疾病についてリスクの増加をもたらすことが多い。貧血を防止するために、慢性腎臓病患者は、通常、天然エリスロポエチンのように、赤血球の産生を刺激する合成バージョンのエリスロポエチン(「EPO」とも呼ばれる)を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貧血は、種々の異なる薬物を使用して管理される。たとえば、赤血球を生成するために鉄もまた必要とされるため、多くの透析患者もまた鉄剤を摂取する。ベノファー(Venofer)(登録商標)(鉄スクロース注入、USP(米国薬局方))は、補助EPO治療を受けて
いる、長期継続的な血液透析を受ける患者の鉄欠乏性貧血の処置において指示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、薬物送達デバイスは、上側部材および下側部材を含む薬物バイアルホルダを含む。上側部材および下側部材は、上側部材と下側部材との間で薬物バイアルを受取るように構成される。薬物送達デバイスはまた、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間に配設され、上側および下側部材の少なくとも一方が他方に向かって移動するときに、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間で圧迫されるように、上側および下側部材の少なくとも一方を上側および下側部材の他方に対して移動させるように構成された機構を含む。
【0006】
本発明の別の態様では、薬物送達システムは、薬物送達デバイスであって、上側部材および下側部材を有する薬物バイアルホルダ、および、薬物バイアルホルダに接続された機構を有する、薬物送達デバイスを含む。 薬物送達システムはまた、薬物バイアルホルダの上側部材と下側部材との間に配設された薬物バイアルを含む。機構は、上側部材と下側部材との間で薬物バイアルを圧迫するように、上側および下側部材の少なくとも一方を上側および下側部材の他方に対して移動さるように構成される。
【0007】
本発明のさらなる態様では、透析システムは、血液ポンプを含む透析機を含む。システムは、薬物送達デバイスをさらに含み、薬物送達デバイスは、薬物ポンプと、上側部材および下側部材を含む薬物バイアルホルと、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間に配設され、上側および下側部材の少なくとも一方が他方に向かって移動するときに、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間で圧迫されるように、上側および下側部材の少なくと
も一方を上側および下側部材の他方に対して移動させるように構成された機構とを含む。システムはまた、血液ポンプに作動可能に接続される血液ラインを含む血液ラインセットと、作動可能に、薬物ポンプに接続されかつスパイクに接続される流体ラインを含む流体ラインセットとを含む。流体ラインセットは、スパイクに対して薬物バイアルホルダおよび薬物バイアルを移動させることによって、スパイクが、薬物バイアルホルダの上側部材と下側部材との間で保持された薬物バイアルと流体連通状態で設置されうるように構成される。流体ラインは、ポンプが作動すると、薬物バイアルから血液ラインセットへ薬物が送出されうるように、血液ラインセットと流体連通状態にある。
【0008】
本発明のさらなる態様では、薬物バイアルスパイキングデバイスは、薬物バイアルの少なくとも一部分を受取るように構成された凹所を少なくとも部分的に形成するベースおよび側壁を有するカップ状部材と、ベースの中央領域から延在するスパイクと、カップ状部材のベースから凹所内に延在する複数のばねとを含む。スパイクは、スパイクを通って延在するチャネルを画定し、ばねは、薬物バイアルの少なくとも一部分が凹所内に配置されると、カップ状部材のベースから離れた方向に薬物バイアルに力を加えるように構成される。
本発明の別の態様では、流体ラインセットは、複数の流体ラインと、複数の薬物バイアルスパイキングデバイスとを含み、複数の薬物バイアルスパイキングデバイスはそれぞれ、流体ラインの1つに接続される。複数の薬物バイアルスパイキングデバイスはそれぞれ、薬物バイアルの少なくとも一部分を受取るように構成された凹所を少なくとも部分的に形成するベースおよび側壁を有するカップ状部材と、ベースの中央領域から延在するスパイクと、カップ状部材のベースから凹所内に延在する複数のばねとを含む。スパイクは、スパイクを通って延在するチャネルを画定し、ばねは、薬物バイアルの少なくとも一部分が凹所内に配置されると、カップ状部材のベースから離れた方向に薬物バイアルに力を加えるように構成される。
【0009】
本発明のさらなる態様では、流体ラインセットは、上部部材、多岐管、ならびに、上部部材と多岐管との間に延在し、かつ、上部部材および多岐管に取付けられる少なくとも1つの接続部材を含むフレームを含む。多岐管は多岐管を通して延在する流体通路を画定する。流体ラインセットはまた、上部部材から延在する複数のスパイクと、上部部材および多岐管に接続された複数の流体ラインを含む。流体ラインはそれぞれ、スパイクのうちの1つのスパイクのチャネルおよび多岐管を通って延在する流体通路と流体連通状態にある。フレームは、離間した構成で流体ラインを支持するように構成される。
【0010】
本発明のさらなる態様では、薬物送達システムは、複数のポンプがそこから延在する表面を有する薬物送達デバイスと、流体ラインセットとを含む。流体ラインセットは、上部部材、多岐管、ならびに、上部部材と多岐管との間に延在し、かつ、上部部材および多岐管に取付けられる少なくとも1つの接続部材を含むフレームを含む。多岐管は多岐管を通して延在する流体通路を画定する。流体ラインセットはまた、上部部材から延在する複数のスパイクと、上部部材および多岐管に接続された複数の流体ラインとを含む。スパイクはそれぞれ流体チャネルを画定する。流体ラインはそれぞれ、スパイクのうちの1つのスパイクのチャネルおよび多岐管を通って延在する流体通路と流体連通状態にある。フレームは、離間した構成で流体ラインを支持するように構成され、流体ラインセットは、流体ラインがそれぞれ、ポンプの1つに作動可能に接続されるように薬物送達デバイスに固定されるように構成される。
【0011】
本発明のなお別の態様では、透析システムは、血液ポンプ、および、血液ポンプに作動可能に接続される血液ラインを含む血液ラインセットを含む透析機を含む。システムは、複数の薬物ポンプがそこから延在する表面を有する薬物送達デバイスおよび流体ラインセットをさらに含む。流体ラインセットは、上部部材、多岐管、ならびに、上部部材と多岐
管との間に延在し、かつ、上部部材および多岐管に取付けられる少なくとも1つの接続部材を有するフレームを含む。多岐管は多岐管を通して延在する流体通路を画定する。流体ラインセットはまた、上部部材から延在する複数のスパイクならび上部部材および多岐管に接続された複数の流体ラインを含む。スパイクはそれぞれ流体チャネルを画定する。流体ラインはそれぞれ、スパイクのうちの1つのスパイクのチャネルおよび多岐管を通って延在する流体通路と流体連通状態にある。フレームは、離間した構成で流体ラインを支持するように構成される。流体ラインセットは、流体ラインがそれぞれポンプの1つに作動可能に接続されるように、薬物送達デバイスに固定されるように構成される。流体ラインセットは、流体ラインセットのスパイクの1つが薬物バイアル内に配設され、そのスパイクのチャネルと流体連通状態にある流体ラインに作動可能に接続された薬物ポンプが作動されると、流体ラインセットを介して薬物バイアルから血液ラインセットへ薬物が送出されるように、血液ラインセットと流体連通状態で設置されるようにさらに構成される。
【0012】
本発明のさらなる態様では、薬物バイアルスパイキング組立体は、ベースから延在するスパイクを含む薬物バイアルスパイクデバイスおよび薬物バイアルスパイクデバイスに固定されたカバーを含む。スパイクはベースに対向する先端を有し、カバーは、カバーがスパイクの先端を少なくとも部分的に覆う第1の位置から、スパイクの先端が完全に露出される第2の位置までベースに向かって可動である。
【0013】
本発明のさらなる態様では、流体ラインセットは、複数の流体ラインと、複数の薬物バイアルスパイクデバイスと、複数のカバーとを含む。薬物バイアルスパイクデバイスはそれぞれ、流体ラインの1つに接続され、ベースから延在するスパイクを含む。各薬物バイアルスパイクデバイスのスパイクはベースに対向する先端を有する。カバーはそれぞれ、薬物バイアルスパイクデバイスの1つに固定され、カバーが固定されるスパイクデバイスのスパイクの先端をカバーが少なくとも部分的に覆う第1の位置から、カバーが固定されるスパイクデバイスのスパイクの先端が完全に露出される第2の位置までベースに向かって可動である。
【0014】
本発明の別の態様では、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの表面から延在するポンプと、内側表面を有し、内側表面に沿って露出したばね式部材を含むドアとを含む。ばね式部材は、ドアが閉鎖されると、ポンプの一部分を受取るように構成された凹所を画定する。流体ラインが凹所内に配置され、ドアが閉鎖されると、流体ラインは、少なくとも1つのロケーション内で閉塞されるように、ばね式部材とポンプとの間で圧迫される。
【0015】
本発明のさらなる態様では、薬物送達システムは、複数の流体ラインと、複数の閉塞器とを含む。各閉塞器は、流体ラインの1つに作動可能に接続される。システムはまた、流体ラインのそれぞれと流体連通状態にある薬物送達ラインに作動可能に接続された単一ポンプとを含む。薬物送達システムは、複数の流体ラインが複数の薬物バイアルと流体連通状態で設置されると、複数の薬物バイアルから薬物送達ライン内へ薬物が引出されるように、閉塞器およびポンプを作動させるように構成される。
【0016】
本発明のさらなる態様では、透析システムは、血液ポンプ、少なくとも1つの薬物ポンプおよび複数の薬物バイアルホルダを含むモジュール式薬物送達デバイス、ならびに、血液ポンプおよびモジュール式薬物送達デバイスが固定されるハウジングを含む透析機を含む。複数の血液ラインおよび複数の血液ラインと流体連通状態のベント付きチャンバを含む血液ラインセットは、血液ラインセットが患者に接続され、血液ポンプが作動すると、患者の血液が血液ラインセットを通して送られるように血液ポンプに接続される。複数の薬物ラインを含む薬物ラインセットは、薬物ラインセットが複数の薬物バイアルホルダ内に含まれる1つまたは複数の薬物バイアルに流体接続され、少なくとも1つの薬物ポンプが作動すると、薬物ラインセットを介して1つまたは複数の薬物バイアルから血液ライン
セットのベント付きチャンバへ薬物が送出されるように、血液ラインセットのベント付きチャンバおよび少なくとも1つの薬物ポンプに接続される。透析システムはまた、薬物および血液をベント付きチャンバへ同時に送出するように、血液ポンプおよび薬物ポンプを作動させるように構成された制御ユニットとを含む。
【0017】
本発明のさらなる態様では、方法は、薬物バイアルのシールを通してスパイクを挿入することであって、それにより、薬物バイアルの内部とスパイクによって画定されるチャネルとの間の流体連通を可能にする、挿入すること、および、薬物バイアルの内部からの薬物の除去を容易にするために、薬物バイアルの本体から離れたシールの部分を変形させることを含む。薬物バイアルの本体から離れたシールの部分を変形させることは、薬物バイアルに対してスパイクを移動させる機構を使用することによって実施される。
【0018】
本発明のなお別の態様では、方法は、薬物バイアルホルダの上側部材と下側部材との間に薬物バイアルを配設し、薬物バイアルホルダの上側および下側部材の少なくとも一方を薬物バイアルホルダの上側および下側部材の他方に向かって移動さることによって、薬物バイアルのキャップと薬物バイアルの首部または本体部との間での薬物バイアルのシールを圧迫することを含む。シールを圧迫状態に維持している間、薬物バイアルの内部とスパイクによって画定されるチャネルとの間の流体連通を可能にするために、薬物バイアルのシールを通してスパイクが挿入される。
【0019】
本発明のさらなる態様では、薬物送達方法は、薬物送達ラインを通してベント付きチャンバへ第1の薬物を送ること、薬物送達ラインを通してベント付きチャンバへガス泡を送ること、および、その後、薬物送達ラインを通してベント付きチャンバへ第2の薬物を送ることを含む。ガス泡は、薬物送達ラインを通過するときに、薬物送達ラインの実質的に全体の内径にわたって延在する。
【0020】
本発明の別の態様では、薬物送達方法は、薬物送達ラインに接続された第1のコンテナ内に含まれる第1の薬物および薬物送達ラインに接続された第2のコンテナ内に含まれる第2の薬物が、患者に送出される前に共に混合するのに適さないと判定すること、および、第1および第2の薬物が混合するのに適さないと判定した後に、薬物送達ラインを通りまた患者へ第1の薬物を送出し、薬物送達ラインを通してガス泡を送出し、その後、薬物送達ラインを通りまた患者へ第2の薬物を送出するように、薬物送達デバイスを作動させることを含む。
【0021】
本発明のさらなる態様では、方法は、処方薬物用量(dosage)を投与スケジュールと比較することによって薬物バイアル組合せを選択することを含む。投与スケジュールは複数の薬物用量に関連する複数の薬物バイアル組合せを提供する。選択された薬物バイアル組合せは1つまたは複数の薬物バイアルを含み、1つまたは複数の薬物バイアルはそれぞれ、第1の薬物を含む。方法は、1つまたは複数の薬物バイアルが接続される薬物送達デバイスのポンプを作動させることによって、1つまたは複数の薬物バイアルのそれぞれから患者へ第1の薬物の実質的に全てを送出することをさらに含む。
【0022】
本発明のさらなる態様では、方法は、処方薬物用量に関連するデータを1つまたは複数のコンピュータによって受信すること、および、処方用量を投与スケジュールと比較することによって、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを1つまたは複数のコンピュータによって決定することを含む。推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せはそれぞれ、1つまたは複数の薬物バイアルを含み、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せのそれぞれの薬物バイアル組合せの1つまたは複数の薬物バイアルは、処方用量に実質的に等しい薬物の量を含む。投与スケジュールは、複数の薬物用量に関連する複数の薬物バイアル組合せを表すデータを含む。
【0023】
本発明の別の態様では、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体上に存在し、コンピュータプログラム製品は、処方用量を投与スケジュールと比較することによって、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定するようにプロセッサにさせる命令を含む。推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せはそれぞれ、1つまたは複数の薬物バイアルを含み、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せのそれぞれの薬物バイアル組合せの1つまたは複数の薬物バイアルは、処方用量に実質的に等しい薬物の量を含む。投与スケジュールは、複数の異なる薬物用量に関連する複数の異なる薬物バイアル組合せを表すデータを含む。
【0024】
本発明の別の態様では、方法は、自動化方式で、そのバイアルから薬物を完全に排出させること、および、患者へ薬物を送出することを含む。
本発明のさらなる態様では、薬物送達デバイスは、自動化方式で、そのバイアルから薬物を完全に排出させ、患者へ薬物を送出するように構成される。
【0025】
本発明のさらなる態様では、方法は、1回の処置について、かつ/または、複数の処置にわたって、薬物の複数のバイアルの置換を使用して投与される正しい平均用量(dose)に関する指針を処方者および/または管理者に提供する投与スケジュールを作成すること、または、計算することを含む。
【0026】
本発明の別の態様では、デバイスは、1回の処置について、かつ/または、複数の処置にわたって、薬物の複数のバイアルの置換を使用して投与される正しい平均用量に関する指針を処方者および/または管理者に提供する投与スケジュールを計算するように構成される。
【0027】
本発明のさらなる態様では、方法は、1つのポンピングデバイスを使用して、また、患者に送出する前に薬物が混合することを可能にすることなく、いくつかの異なる薬物を連続して自動的に送出することを含む。
【0028】
本発明のさらなる態様では、薬物送達デバイスは、1つのポンピングデバイスを使用して、また、患者に送出する前に薬物が混合することを可能にすることなく、いくつかの異なる薬物を連続して自動的に送出するように構成される。
【0029】
実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を含みうる。
いくつかの実施態様では、機構は、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間に配設され、上側および下側部材の少なくとも一方が他方に向かって移動するときに、薬物バイアルのキャップと薬物バイアルの首部との間に配設されたシールを圧迫するように構成される。
【0030】
一部の実施態様では、複数の突出部が下側部材の表面から延在する。突出部は、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間で圧迫されると、薬物バイアルのキャップの隣接部を薬物バイアルのシール内に窪ませるように構成される。
いくつかの実施態様では、突出部は、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間で圧迫されると、薬物バイアルのキャップの隣接部を貫通するように構成される。
【0031】
一部の実施態様では、下側部材は、薬物バイアルスパイクを受取るようにサイジングされた開口を画定し、開口は、薬物バイアルが上側部材と下側部材との間に配設されると、薬物バイアルのシールに整列するように配列される。
いくつかの実施態様では、下側部材は、下側部材内に薬物バイアルの一部分を受取るように構成された凹所を画定する。
【0032】
一部の実施態様では、機構は、上側部材と下側部材との間で薬物バイアルを圧迫した後に、上側部材、下側部材、および上側部材と下側部材との間に配設された薬物バイアルを一体的に移動させるように構成される。
いくつかの実施態様では、機構は、作動すると、上側および下側部材の少なくとも一方を他方に向かって移動させるモータを含む。
【0033】
一部の実施態様では、機構は、上側部材と下側部材との間で薬物バイアルを圧迫するためにある期間の間、モータを作動させた後、モータの継続した作動が上側および下側部材を一体的に移動させるように構成される。
いくつかの実施態様では、機構は、薬物バイアルホルダの上側部材を薬物バイアルホルダの下側部材に向かって移動させるように構成される。
【0034】
一部の実施態様では、機構は、ねじ式ドライブ部材が固定される回転可能なねじ式ドライブシャフトを含み、ドライブ部材は、ドライブシャフトの回転が、ドライブ部材をドライブシャフトに沿って軸方向に移動させるように構成される。
いくつかの実施態様では、ドライブ部材はボールねじを含む。
【0035】
一部の実施態様では、ドライブ部材は、ドライブ部材の軸方向移動が上側部材の軸方向移動を引起すようにバイアルホルダの上側部材に固定される。
いくつかの実施態様では、ドライブ部材は、少なくとも1つの伸張部材に取付けられるクロスバーに固定され、少なくとも1つの伸張部材は、薬物バイアルホルダの上側部材に取付けられる。
【0036】
一部の実施態様では、機構は、薬物バイアルホルダの下側部材の下向き移動に抵抗するように構成された少なくとも1つの弾性部材を含む。
いくつかの実施態様では、少なくとも1つの弾性部材はばねを含む。
【0037】
一部の実施態様では、少なくとも1つの弾性部材は、上側および下側部材の少なくとも一方が他方に向かって移動するときに上側部材と下側部材との間に配設された薬物バイアルのシールが圧迫されるようにさせるために、下側部材の下向き移動に対する十分な抵抗を提供するように構成される。
いくつかの実施態様では、少なくとも1つの弾性部材は、薬物バイアルのシールが圧迫された後、圧壊し、薬物バイアルが上側および下側部材と一体的に移動することを可能にするように構成される。
【0038】
一部の実施態様では、薬物送達デバイスは、薬物バイアルホルダの下に配設された少なくとも1つのスパイクをさらに含み、機構は、スパイクを上側部材と下側部材との間に配設された薬物バイアルに貫入させるために、スパイクに対して薬物バイアルホルダの上側および下側部材を一体的に移動させるように構成される。
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、薬物バイアルホルダの上側部材と下側部材との間に配設された薬物バイアルと流体連通状態にある流体ラインに作動可能に接続されるように構成されたポンプをさらに含み、それにより、ポンプの作動が、薬物バイアルから、また、流体ラインを通して薬物を引出す(draw)ことができる。
【0039】
一部の実施態様では、機構は、手動で作動可能である。
いくつかの実施態様では、ばねは板ばねである。
一部の実施態様では、板ばねの少なくとも1つの板ばねは、少なくとも1つの板ばねの表面から延在する突出部を含み、突出部は、薬物バイアルが凹所内に挿入されると、薬物バイアルのキャップに接触するように配列される。
いくつかの実施態様では、突出部および少なくとも1つの板ばねは、薬物バイアルが凹所内に挿入されると、突出部が薬物バイアルのキャップを窪ませるように構成される。
【0040】
一部の実施態様では、ベースは、薬物バイアルが凹所内に完全に挿入されると、複数のばねを受取るように構成された複数の開口を画定する。
いくつかの実施態様では、ばねの少なくとも1つのばねは、少なくとも1つのばねから延在する突出部を含み、ばねの少なくとも1つのばねおよび突出部は、薬物バイアルが凹所内に挿入されると、薬物バイアルのキャップをカップ状部材のベースに接触させるのに十分な力で、突出部が薬物バイアルのキャップを窪ませるように構成される。
【0041】
一部の実施態様では、薬物バイアルスパイキングデバイスは、ベースに取付けられた少なくとも1つの双安定部材をさらに含み、双安定部材は、ベース内に画定されたアパーチャの上に配置される。
いくつかの実施態様では、双安定部材は、第1の位置および第2の位置に安定して配置されるように構成され、双安定部材の少なくとも一部分は、双安定部材が第2の位置にあるときに、ユーザに見える。
【0042】
一部の実施態様では、第2の位置の双安定部材は、薬物バイアルが凹所内に完全に挿入されたことを示す。
いくつかの実施態様では、ユーザに見える部材の部分は、ベースの外側表面から突出する。
【0043】
一部の実施態様では、双安定部材は、双安定部材の上側表面から延在する突出部を含む。
いくつかの実施態様では、突出部は、バイアルがカップ状部材のベースに接触するように、薬物バイアルが凹所内に完全に挿入されると、第1の位置から第2の位置まで双安定部材を押し込むように構成される。
【0044】
一部の実施態様では、スパイクは、スパイクが薬物バイアル内に挿入された後に、薬物バイアルのシールの内側表面に係合するように構成された部分を含む。
いくつかの実施態様では、スパイクの部分は、スパイクの残りの部分より大きな程度に、少なくとも1つの方向で横に延在する。一部の実施態様では、スパイクの部分は、実質的に円錐である。いくつかの実施態様では、スパイクの部分はバーブを含む。一部の実施態様では、スパイクは、スパイクの外側表面に沿って複数の開口を画定し、開口はそれぞれ、チャネルと流体連通状態にある。いくつかの実施態様では、側壁の一部分は、バイアルの部分を凹所内に保持するフランジを形成する。一部の実施態様では、フランジは、バイアルのキャップに接触するように構成される。いくつかの実施態様では、フレームは、上部部材と多岐管との間に延在し、かつ、上部部材および多岐管に取付けられる2つの接続部材を含む。一部の実施態様では、フレームは長方形である。
【0045】
いくつかの実施態様では、フレームは、2つの接続部材間に延在し、かつ、2つの接続部材に取付けられるクロスバーをさらに含む。
一部の実施態様では、クロスバーは、複数の離間した凹所を画定し、凹所はそれぞれ、流体ラインの1つを保持するように構成される。
【0046】
いくつかの実施態様では、突出部がフレームの表面から延在し、突出部は、薬物送達デバイス内の整合穴に嵌合するように構成される。
一部の実施態様では、突出部は、流体ラインセットを薬物送達デバイスに取外し可能に固定するように薬物送達デバイス内の整合穴に係合するように構成される。
【0047】
いくつかの実施態様では、突出部および整合穴は六角形である。
一部の実施態様では、上部部材、多岐管、および少なくとも1つの接続部材はそれぞれ、流体ラインより大きな剛性を有する。
【0048】
いくつかの実施態様では、流体ラインセットは、スパイクの少なくとも1つのスパイクを覆って配設されたカバーをさらに含む。
一部の実施態様では、薬物送達デバイスはドアを含み、ドアおよび薬物送達デバイスの表面は、カセットコンパートメントであって、ドアが閉鎖されると、フレームおよび流体ラインセットの流体ラインをカセットコンパートメント内に受取るように構成された、カセットコンパートメントを形成する。
いくつかの実施態様では、ドアの内側表面は、流体ラインセットのフレームを受取るように構成された凹んだ領域を画定する。
【0049】
一部の実施態様では、ドアの内側表面は、支持フレームの表面から延在する突出部を受取るように構成された穴を画定する。
いくつかの実施態様では、穴および突出部は、薬物送達デバイスのドアに流体ラインセットを取外し可能に固定するように互いに係合するように構成される。
【0050】
一部の実施態様では、ポンプは蠕動ポンプである。
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、表面上に配置された複数の気泡検出器をさらに含み、流体ラインセットは、各流体ラインが気泡検出器の1つに整列するように透析機の表面に隣接して配設されるように構成される。
【0051】
一部の実施態様では、薬物送達デバイスは、薬物バイアルホルダをさらに含み、薬物バイアルホルダは、薬物バイアルが薬物バイアルホルダ内に配設されると、流体ラインセットのスパイクの1つをバイアルに貫入させるために、薬物バイアルが流体ラインセットに対して移動されうるように可動である。
【0052】
いくつかの実施態様では、カバーは、第1の位置から第2の位置までカバーを移動させるためにカバーに加えられる力が取除かれると、カバーがほぼ第1の位置に戻るように弾性がある。
【0053】
一部の実施態様では、カバーの長さは、カバーが第1の位置にあるときスパイクの長さより大きく、カバーの長さは、カバーが第2の位置にあるときスパイクの長さより小さい。
【0054】
いくつかの実施態様では、カバーは、上側部材、下側部材、および上側部材を下側部材に接続する少なくとも1つの細長い構造を含む。
一部の実施態様では、上側および下側部材はそれぞれ、それぞれの中にスパイクを受取るように構成されたアパーチャを画定する。
【0055】
いくつかの実施態様では、少なくとも1つの細長い構造は、円周方向に離間した複数の弾性柱状体を含む。
一部の実施態様では、弾性柱状体はそれぞれ、柱状体の縦軸に沿って柱状体に力が加えられると、柱状体の圧壊を容易にする、弾性柱状体の周囲表面に沿うチャネルを画定する。
いくつかの実施態様では、少なくとも1つの細長い構造は、フォームチューブを含む。
【0056】
一部の実施態様では、細長い構造は、ばねを含む。
いくつかの実施態様では、ばねは、スパイクを少なくとも部分的に囲むコイルばねであ
る。
【0057】
一部の実施態様では、部材は膨張部材である。
いくつかの実施態様では、膨張部材は膨張バルーンである。
一部の実施態様では、膨張部材は、スパイクを少なくとも部分的に囲む。
【0058】
いくつかの実施態様では、膨張部材およびスパイクは、スパイクに沿う方向に膨張部材に力が加えられると、スパイクが膨張部材を穿刺するように構成される。
一部の実施態様では、カバーは、スパイクを少なくとも部分的に囲むコイルばねである。
【0059】
いくつかの実施態様では、カバーは、スパイクに被せる細長い管状部材を含む。
一部の実施態様では、薬物バイアルスパイキング組立体は、スパイクに対して固着され、細長い管状部材が第2の位置に移動したときに、細長い管状部材に接触し、細長い管状部材のさらなる移動に抵抗するように構成される構造をさらに含む。
【0060】
いくつかの実施態様では、複数の突出部は、カバーの表面から延在し、突出部は、カバーを第1の位置から第2の位置まで移動させるのに十分な力で、薬物バイアルがカバーに押し付けられると、薬物バイアルのキャップの隣接部を薬物バイアルのゴムシール内に窪ませるように構成される。
【0061】
一部の実施態様では、ポンプは、流体ラインが凹所内に配置され、ドアが閉鎖され、ポンプが作動されると、流体ラインを通して流体を圧送するように構成される。
いくつかの実施態様では、第1のばねは、ばね式部材の第1の端領域に接続され、第2のばねは、ばね式部材の第2の端領域に接続され、第1および第2のばねはそれぞれ、ドアの構造に固定される。
【0062】
一部の実施態様では、ポンプは、薬物送達デバイスのハウジングに強固に固着される。
いくつかの実施態様では、ポンプは、フレームおよびフレームの周囲の周りに配置された複数のローラを含む蠕動ポンプである。
【0063】
一部の実施態様では、フレームは、薬物送達デバイスのハウジングに固着されるロッドに回転可能に固定される。
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、蠕動ポンプを作動させるように構成されたドライブ機構をさらに含む。
【0064】
一部の実施態様では、ドライブ機構は、出力シャフトおよび出力シャフトに取付けられたウォーム歯車を有するモータを含み、ウォーム歯車は、出力シャフトの回転が蠕動ポンプのフレームを回転させるように、フレームに固定された歯車に係合する。
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの表面から延在する複数のポンプを含み、ドアは、内側表面に沿って露出した複数のばね式部材を含み、ばね式部材はそれぞれ、ドアが閉鎖されると、ポンプのうちの1つのポンプの一部分を受取るように構成された凹所を画定する。
一部の実施態様では、ドアの内側表面は、内側表面内に流体ラインセットのフレームを受取るように構成された凹んだ領域を画定する。
【0065】
いくつかの実施態様では、ドアの内側表面は、内側表面内に流体ラインセットの流体ラインを受取るように構成された複数の凹んだチャネルをさらに画定する。
一部の実施態様では、薬物送達デバイスは、複数の気泡検出器をさらに含み、気泡検出器はそれぞれ、ドアの凹所内に流体ラインが配置されると、1つの流体ラインに実質的に
整列するように配列され、ドアは、気泡検出器が流体ライン内の空気を検出できるように閉鎖される。
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、複数のポンプの上に配置された複数の薬物バイアルホルダをさらに含み、薬物バイアルホルダはそれぞれ、少なくとも1つの薬物バイアルを保持するように構成される。
【0066】
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、
ドアの凹所内に流体ラインが配置されると、ドアが閉鎖されるように、ポンプを作動するように構成され、流体ラインはそれぞれ、薬物バイアルホルダの1つによって保持される薬物バイアルと流体連通状態にあり、気泡は、連続するバイアルからの薬物の送出の間に流体ラインのそれぞれに接続された薬物送達ラインを通して送られる。
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、各バイアルからの薬物の送出の終了後に、薬物送達ラインを通して気泡を送るように、ポンプを作動させるように構成される。
【0067】
一部の実施態様では、薬物送達デバイスは、透析機の一部である。
いくつかの実施態様では、流体ラインは、ポンプが作動すると、流体ラインを通して血液回路に流体が送出されるように、透析機の血液回路に接続される。
【0068】
一部の実施態様では、薬物送達システムは、薬物バイアルの1つから薬物送達ライン内へ薬物が1回引出されるだけであるように、閉塞器およびポンプを作動させるように構成される。いくつかの実施態様では、薬物送達システムは、複数の気泡検出器をさらに含み、気泡検出器はそれぞれ、気泡検出器が、流体ライン内の空気を検出できるように流体ラインの1つに実質的に整列する。
【0069】
一部の実施態様では、薬物送達システムは、複数の流体ラインが複数の薬物バイアルと流体連通状態で設置されると、連続するバイアルからの薬物の送出の間に薬物送達ラインを通して気泡が送られるように、閉塞器およびポンプを作動させるように構成される。
【0070】
いくつかの実施態様では、薬物送達システムは、各バイアルからの薬物の送出の終了後に、薬物送達ラインを通して気泡を送るように、閉塞器およびポンプを作動させるように構成される。
【0071】
一部の実施態様では、薬物送達システムは、透析機の一部である。
いくつかの実施態様では、薬物送達ラインは、ポンプが作動すると、薬物送達ラインを通して血液回路に流体が送出されるように、透析機の血液回路に接続される。
【0072】
一部の実施態様では、シールはゴムシールである。
いくつかの実施態様では、シールの部分を変形させることは、シールの部分に力を加えるためにスパイクを使用することを含む。
【0073】
一部の実施態様では、力は摩擦力である。
いくつかの実施態様では、バイアルに対してスペイクを移動させることは、シールの部分に加えられる力と反対の方向に薬物バイアルの本体に力を加えることを含む。
【0074】
一部の実施態様では、方法は、シールを通してスパイクを挿入している間、シールを圧迫状態で維持することをさらに含む。
いくつかの実施態様では、シールは、薬物バイアルのキャップと薬物バイアルの首部との間で圧迫される。
いくつかの実施態様では、シールは、薬物バイアルのキャップと薬物バイアルの本体部との間で圧迫される。
【0075】
一部の実施態様では、機構はばねを含む。
いくつかの実施態様では、機構は自動化機構である。
一部の実施態様では、シールは、薬物バイアルのキャップと薬物バイアルの首部との間で圧迫される。
【0076】
いくつかの実施態様では、シールはゴムシールである。
一部の実施態様では、方法は、キャップの所定部分をシール内に窪ませることをさらに含む。
【0077】
いくつかの実施態様では、キャップの所定部分をシール内に窪ませることは、薬物バイアルホルダの下側部材の表面から延在する突出部にキャップを押し付けることを含む。
一部の実施態様では、キャップの所定部分をシール内に窪ませることは、キャップの所定部分に貫入することを含む。
【0078】
いくつかの実施態様では、方法は、薬物バイアルからの薬物の除去を容易にするために、薬物バイアルの本体から離れたシールの部分を変形させることをさらに含む。
一部の実施態様では、シールの部分を変形させることは、シールの部分に力を加えるためにスパイクを使用することを含む。
【0079】
いくつかの実施態様では、力は摩擦力である。
一部の実施態様では、請求項の方法は、シールの部分に加えられる力と反対の方向に薬物バイアルの本体部に力を加えることをさらに含む。
いくつかの実施態様では、方法は、シールの部分に加えられる力と反対の方向に薬物バイアルの首部に力を加えることをさらに含む。
【0080】
一部の実施態様では、第1および第2の薬物は同じ薬物である。
いくつかの実施態様では、第1および第2の薬物は異なる薬物である。
一部の実施態様では、第1および第2の薬物は、患者に送出される前に共に混合するのに適さない。
【0081】
いくつかの実施態様では、第1の薬物は合成エリスロポエチンであり、第2の薬物は鉄スクロースである。
一部の実施態様では、ガス泡は、薬物送達ラインを通してベント付きチャンバへ送られるときに、第1の薬物の一部を、薬物送達ラインを通してベント付きチャンバへ押出す。
【0082】
いくつかの実施態様では、ガス泡は、薬物送達ラインを通してベント付きチャンバへ送られるときに、薬物送達ライン内の実質的に全ての残留する第1の薬物をベント付きチャンバへ押出す。
【0083】
一部の実施態様では、薬物送達ラインを通して第1の薬物を送ることは、第1の流体ラインから薬物送達ライン内へ第1の薬物を移動させるように、第1の流体ラインに作動可能に接続される第1のポンプを作動させることを含み、薬物送達ラインを通して第2の薬物を送ることは、第2の流体ラインから薬物送達ライン内へ第2の薬物を移動させるように、第2の流体ラインに作動可能に接続される第2のポンプを作動させることを含む。
【0084】
いくつかの実施態様では、薬物送達ラインを通してガス泡を送ることは、第1の流体ラインから薬物送達ライン内へガス泡を移動させるように、第1のポンプを作動させることを含む。
【0085】
一部の実施態様では、薬物送達ラインを通して第1の薬物、ガス泡、および第2の薬物を送ることは、薬物送達ラインに作動可能に接続される単一ポンプを作動させることを含む。
【0086】
いくつかの実施態様では、第1の薬物は、第1の流体ラインから薬物送達ライン内へ引出され、第2の薬物は、第2の流体ラインから薬物送達ライン内へ引出される。
一部の実施態様では、薬物送達方法は、第1の薬物が薬物送達ライン内へ引出される間、第2の流体ラインを閉塞させること、および、第2の薬物が薬物送達ライン内へ引出される間、第1の流体ラインを閉塞させることをさらに含む。
【0087】
いくつかの実施態様では、ガス泡は、第1の流体ラインから薬物送達ライン内へ引出される。
一部の実施態様では、第1の薬物は、第1の流体ラインを介して薬物送達ラインに接続される第1の薬物コンテナから薬物送達ライン内に移動され、第2の薬物は、第2の流体ラインを介して薬物送達ラインに接続される第2の薬物コンテナから薬物送達ライン内に移動される。
【0088】
いくつかの実施態様では、薬物送達ラインを通してガス泡を送ることは、第1の薬物コンテナから薬物送達ライン内にガスを移動させることを含む。
一部の実施態様では、薬物送達方法は、第1の流体ライン内のガスを検出すること、および、所望の容積のガスが流体ラインの領域を超えて送られると、第1の流体ラインの領域を閉塞させることをさらに含む。
【0089】
いくつかの実施態様では、薬物送達方法は、ベント付きチャンバのベントを介してガス泡が大気に逃げることを可能にすることをさらに含む。
一部の実施態様では、薬物送達方法は、ベント付きチャンバ内に血液を導入することをさらに含む。
【0090】
いくつかの実施態様では、薬物送達方法は、第1の薬物がベント付きチャンバ内で血液と混合することを可能にすること、およびその後、第1の薬物および血液の混合物を患者に送出することをさらに含む。
【0091】
一部の実施態様では、ガス泡は気泡である。
いくつかの実施態様では、薬物送達方法は、薬物送達ラインを通してベント付きチャンバへ第3の薬物を送ることをさらに含む。
【0092】
一部の実施態様では、薬物送達方法は、薬物送達ラインを通して第2の薬物を送った後で、かつ、薬物送達ラインを通して第3の薬物を送る前に、薬物送達ラインを通してガス泡を送ることをさらに含む。
【0093】
いくつかの実施態様では、薬物送達方法は、ガス泡が患者に送出されないように、第2の薬物が患者に送出される前にガス泡を大気に排出することをさらに含む。
一部の実施態様では、薬物送達デバイスの制御ユニットは薬物バイアル組合せを選択する。
【0094】
いくつかの実施態様では、制御ユニットは、処方用量およびオペレータ選好に基づいて薬物バイアル組合せを自動的に選択するコンピュータプログラムを実行させる。
一部の実施態様では、処方用量およびオペレータ選好は、オペレータによって薬物送達デバイスに入力される。
【0095】
いくつかの実施態様では、
処方用量は、処方用量を含むデータを記憶するデータベースから制御ユニットに電子的に送信される。
【0096】
一部の実施態様では、処方用量は、患者の医師によってまたは医師の指示でデータベースに入力される。
いくつかの実施態様では、制御ユニットは、ポンプの作動を制御する。
【0097】
一部の実施態様では、薬物バイアル組合せおよび投与スケジュールの関連する薬物用量は、単一処置に基づく。
いくつかの実施態様では、薬物バイアル組合せおよび投与スケジュールの関連する薬物用量は、複数の処置に基づく。
【0098】
一部の実施態様では、薬物バイアル組合せは、1つまたは複数の処置の過程にわたって必要とされる薬物バイアルの数に少なくとも部分的に基づいて選択される。
いくつかの実施態様では、薬物バイアル組合せは、複数の処置の過程にわたって必要とされる薬物バイアルの数に少なくとも部分的に基づいて。
【0099】
一部の実施態様では、薬物バイアル組合せは、複数の処置の過程にわたって薬物バイアル組合せによって提供されることになる薬物用量一貫性に部分的に基づいて選択される。
いくつかの実施態様では、方法は、ディスプレイ上に推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを表示することをさらに含む。
【0100】
一部の実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、1つまたは複数の処置の過程にわたって最小の薬物バイアルを利用し、処方薬物用量に実質的に等しい薬物の量を含む1つまたは複数の薬物バイアル組合せを投与スケジュールから決定することを含む。
【0101】
いくつかの実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、複数の処置の過程にわたって最小の薬物バイアルを利用し、処方薬物用量に実質的に等しい薬物の量を含む1つまたは複数の薬物バイアル組合せを投与スケジュールから決定することをさらに含む。
【0102】
一部の実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、1つまたは複数の処置の過程にわたって、許容可能一貫性範囲内の薬物用量一貫性をもたらし、処方薬物用量に実質的に等しい薬物の量を含む1つまたは複数の薬物バイアル組合せを投与スケジュールから決定することを含む。
【0103】
いくつかの実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、1つまたは複数の処置の過程にわたって最小数の薬物バイアルを利用し、処方薬物用量に実質的に等しい薬物の量を含む1つまたは複数の薬物バイアル組合せの1つを決定することをさらに含む。
【0104】
一部の実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、複数の処置の過程にわたって、許容可能一貫性範囲内の薬物用量一貫性をもたらし、処方薬物用量に実質的に等しい薬物の量を含む1つまたは複数の薬物バイアル組合せを投与スケジュールから決定することを含む。
【0105】
いくつかの実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、複数の処置の過程にわたって最小数の薬物バイアルを利用し、処方薬物用量に実
質的に等しい薬物の量を含む1つまたは複数の薬物バイアル組合せの1つを投与スケジュールから決定することをさらに含む。
【0106】
一部の実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、1つまたは複数の処置の過程にわたって、薬物用量最大一貫性を提供し、処方薬物用量に実質的に等しい薬物の量を含む薬物バイアル組合せを投与スケジュールから決定することを含む。
【0107】
いくつかの実施態様では、推奨される1つまたは複数の薬物バイアル組合せを決定することは、複数の処置の過程にわたって、薬物用量最大一貫性を提供し、処方薬物用量に実質的に等しい薬物の量を含む薬物バイアル組合せを決定することを含む。
【0108】
一部の実施態様では、データは、医療システムのユーザインタフェースから送信される。
いくつかの実施態様では、医療システムは血液透析システムである。
【0109】
一部の実施態様では、1つまたは複数のコンピュータはプロセッサである。
実施態様は、以下の利点の1つまたは複数を含みうる。
一部の実施態様では、薬物送達システムおよび方法は、薬物がバイアルから完全に排出されることを可能にする。バイアルから薬物を完全に排出することは、実質的に全ての薬物が患者に送出されることを保証するのに役立つ。これは、多くの従来の薬物送達技法に比べて、使用されずまた浪費される薬物の量を低減する。さらに、バイアルから実質的に全ての薬物が除去されることを保証することは、処方薬物用量が患者に送出される正確さを増加させる。
【0110】
いくつかの実施態様では、薬物送達システムおよび方法は、バイアルの本体または首部およびキャップに対するシールの移動を減少させる(たとえば、防止する)ために、バイアルの本体または首部とキャップとの間でバイアルのシール(たとえば、ゴムシールまたはストッパ)が圧迫されることを可能にする。バイアルの本体およびキャップに対してシールの移動を制限することは、スパイクがシールに貫入するときに、シールが内側にふくれてバイアル内に入らないことを保証するのに役立ちうる。これは、薬物がバイアルから完全に排出されることを保証するのに役立ちうる。
【0111】
一部の実施態様では、スパイクは、スパイクがシールに貫入した後に、(たとえば、バイアルをスパイクから離して移動させることによって、スパイクをバイアルから離して移動させることによって、またはその両方によって)スパイクは、バイアルに対してわずかに後退する。バイアルに対してスパイクを後退させることは、スパイクを囲むシールの部分をバイアルから離れて外側に変形させることができ、薬物がバイアルから完全に排出されることを保証するのに役立ちうる。
【0112】
いくつかの実施態様では、薬物送達システムは、作動中に、身体とバイアルのキャップとの間でバイアルのシールを圧迫し、その後、スパイクをシールに貫入させる機構を含む。先に説明したように、シールを圧迫することは、スパイクがシールに貫入するときに、シールが内側にふくれてバイアル内に入らないことを保証するのに役立つ。シールを圧迫すると共に、スパイクをシールに貫入させることができる単一機構を設けることは、薬物送達システムに関連するセットアップおよび送達プロセスの速度および効率を増加させうる。
【0113】
一部の実施態様では、種々のスパイクに接続された流体ラインは、流体ラインを離間した構成で支持する構造(たとえば、フレーム)によって保持される。この配置構成は、ユ
ーザが、気泡検出器、閉塞器、および/またはポンプなどの、薬物送達デバイスの対応する機器上に流体ラインを装填することを容易にできる。
【0114】
いくつかの実施態様では、スパイクは、スパイクがバイアル内に挿入される前に、スパイクを覆う1つまたは複数のカバーを備える。これは、スパイクのバイアル内への挿入の前に、スパイクとの不注意な接触によるスパイクの汚染を防止するのに役立ちうる。いくつかの実施態様では、カバーは、スパイクがバイアルから取除かれると、スパイクを覆って自動的に拡張するように構成される。これは、スパイクをバイアルから取除き、スパイクを処分するときに、オペレータが自分をスパイクで刺すことを防止するのに役立ちうる。
【0115】
一部の実施態様では、薬物送達システムおよび方法は、複数の異なる薬物または他の治療薬が、薬物または治療薬を実質的に混合することなく、連続して送出することを可能にする。患者に送出する前に薬物または治療薬が混合することを可能にすることなく、患者に連続していくつかの異なる薬物または治療薬を送出することによって、送出の前における不適合な薬物または治療薬の混合から生じる患者の有害な反応が回避されうる。
いくつかの実施態様では、ユーザは、1回の処置についてのバイアルの適切な組合せの投与スケジュールを提供され、それはまた、浪費される薬物の量を減少させる(たとえば、最小にする)のに役立つ。1回使用の薬物バイアルは、1人の患者だけのために使用されることができ、その後、一般に、廃棄されなければならない。ある処置について選択されるバイアルの組合せが、処置される特定の患者について処方されるよりも多くの量の薬物を含む場合、薬物の一部は、患者に投与されないことになり、廃棄されなければならない。投与スケジュールは、薬物を全く浪費することなく処方に基づいて使用されうるバイアルの全ての組合せをユーザに知らせることによって、これが起こることを防止できる。
さらに、投与スケジュールは、1回の処置について、1週間について、かつ/または1カ月について使用される最小数のバイアルをもたらすバイアル組合せをユーザに知らせうる。これは、ユーザが、使用されるバイアルの数を減少させ(たとえば、最小にし)、したがって、所与の期間にわたって廃棄されなければならないバイアルの数および対応する包装材料の量を減少させる(たとえば、最小にする)バイアル組合せを選択することを可能にする。
【0116】
投与スケジュールはまた、異なるバイアル組合せを用いて、1回の処置を通して、または、複数の処置を通して患者が受ける用量一貫性をユーザに知らせうる。これは、ユーザが、所望の用量一貫性を提供するバイアル組合せを選択することを可能にする。
【0117】
他の態様、特徴、および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】モジュール式薬物送達デバイスを含む血液透析機を示す側面図(薬物投与流体ラインセットおよび複数の薬物バイアルは、モジュール式薬物送達デバイスに固定される)。
【図2】図1の血液透析機のモジュール式薬物送達デバイスならびにモジュール式薬物送達デバイスに固定される薬物投与流体ラインセットおよび薬物バイアルの斜視図。
【図3】薬物バイアル、薬物バイアルスパイク、および流体ラインの拡大斜視図(流体ラインおよび薬物バイアルスパイクは、薬物バイアルから血管透析機の血液回路へ薬物を送出するために、図1の血液透析機のモジュール式薬物送達デバイスと共に使用される薬物投与流体ラインセットのコンポーネントである)。
【図4】図3に示す薬物バイアルスパイクの斜視図。
【図5】図3に示す薬物バイアルスパイクの平面図。
【図6】図5のライン6−6に沿って切取った図5の薬物バイアルスパイクの断面図。
【図7】薬物バイアルおよび薬物バイアルに固定された薬物投与流体ラインセットと共に使用するときの、図1の血液透析機のモジュール式薬物送達デバイスのいくつかのコンポーネントを示す概念図(薬物投与流体ラインセットは、一連の流体ラインおよび薬物バイアルのそれぞれに接続された薬物バイアルスパイクを含む)。
【図8】薬物送出の種々の異なるステージ中の、モジュール式薬物送達デバイスのユーザインタフェースの一部分を示す図。
【図9】薬物送出のモジュール式薬物送達デバイスのユーザインタフェースのスナップショット。
【図10】円錐先端を有する中央スパイクを含む薬物バイアルスパイクの断面図。
【図11】バーブを有する中央スパイクを含む薬物バイアルスパイクの断面図。
【図12】スパイクカバーが薬物投与流体ラインセットのスパイクを覆って配設された状態での、図1に示す薬物投与流体ラインセットの一部分の斜視図。
【図13】薬物投与流体ラインセットの流体ラインを離間した構成で支持するフレームを含む薬物投与流体ラインセットの斜視図。
【図14】血液透析機であって、異なるタイプのモジュール式薬物送達デバイスが血液透析機内に統合されている、血液透析機を含む血液透析システムの正面図(薬物投与流体ラインカセットおよび薬物バイアルは、モジュール式薬物送達デバイスのドアと内面との間に固定される)。
【図15】図14に部分的に示す薬物投与流体ラインカセットおよび使用前に薬物投与流体ラインカセットのスパイクを覆って配設されるスパイクカバーの拡大斜視図。
【図16】薬物送達デバイスのドアが開口され、薬物送達デバイスの種々のコンポーネントを露出させるために薬物投与流体ラインカセットおよびバイアルが取除かれた状態での、図14の血液透析機の斜視図。
【図17】蠕動ポンプおよびそのドライブ機構を含む、図14の薬物送達デバイスのいくつかのコンポーネントの斜視図。
【図18】図14の薬物送達デバイスの薬物バイアルホルダを作動させるために使用されるドライブ機構の斜視図。
【図19】図14の薬物送達デバイスの薬物バイアルホルダを駆動するために使用されうる別のタイプのドライブ機構の斜視図。
【図20】図14の薬物送達デバイスの薬物バイアルホルダを作動させるために使用されうるさらなるタイプのドライブ機構の側面図。
【図21】それぞれが、使用中に薬物バイアルホルダによって支持される薬物バイアルのキャップを窪ませるための、その下側部材から延在する鋭利な突出部を含む薬物バイアルホルダの斜視図。
【図22】バイアルのキャップおよび本体に対してバイアルのゴムシールを固着するのに役立つために、図21の薬物バイアルホルダの1つによって窪まされたキャップを含む薬物バイアルの斜視図。
【図23】手動作動式ドライブ機構および手動作動式ドライブ機構によって作動されうる関連する薬物バイアルホルダの略断面図。
【図24】薬物バイアルスパイクに固定された種々の異なるタイプのスパイクカバーのうちの1つのスパイクカバーの正面図。
【図25】薬物バイアルスパイクに固定された種々の異なるタイプのスパイクカバーのうちの1つのスパイクカバーの正面図。
【図26】薬物バイアルスパイクに固定された種々の異なるタイプのスパイクカバーのうちの1つのスパイクカバーの正面図。
【図27】薬物バイアルスパイクに固定された種々の異なるタイプのスパイクカバーのうちの1つのスパイクカバーの正面図。
【図28】薬物バイアルスパイクに固定された種々の異なるタイプのスパイクカバーのうちの1つのスパイクカバーの正面図。
【図29】薬物バイアルスパイクに固定された種々の異なるタイプのスパイクカバーのうちの1つのスパイクカバーの正面図。
【図30】独立型薬物送達システムの図である。
【図31】単一薬物バイアルと共に使用するために構成されるモジュール式薬物送達デバイスを含む血液透析機の一部分の図。
【図32】図31の血液透析機のモジュール式薬物送達デバイスの斜視図。
【図33】図31の血液透析機のモジュール式薬物送達デバイスの斜視図。
【図34】図31の血液透析機のモジュール式薬物送達デバイスの分解図。
【図35】ベント付き薬物バイアルスパイクを示す図。
【図36】薬物バイアルおよび圧力変換器に接続された図35のベント付き薬物バイアルスパイクの図。
【図37】薬物バイアル、および、圧力変換器に接続される圧力リザーバに接続された図35のベント付き薬物バイアルスパイクの略図。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図1を参照して、血液透析システム100は、薬物送達システム102を有する透析機を含む。薬物送達システム102は、モジュール式薬物送達デバイス103およびモジュール式薬物送達デバイス103に接続される使い捨て薬物投与流体ラインセット107を含む。薬物投与流体ラインセット107の薬物送出ライン104は、血液透析システム100の血液回路に流体接続される。血液透析システム100の血液回路は、とりわけ、一連の血液ライン105、ドリップチャンバ106、および浄化器(dialyzer)110を含む。血液ポンプ(たとえば、蠕動ポンプ)108は、処置中に、血液回路を通して血液を圧送するように構成される。血液透析システム100はまた、簡潔にするために詳細には述べられない、透析液(dialysate)回路および種々の他のコンポーネントを含む。血液透析
処置中に、血液は、患者から引出され、ドリップチャンバ106を通過した後に、浄化器110を通して圧送され、毒素が、血液から取除かれ、浄化器を通過する透析液内に収集される。浄化された血液は、その後、患者に戻され、毒素を含む透析液(「使用済み透析液(spent dialysate)」と呼ばれる)が、処理されるかまたは再利用され、再使用される
。以下でより詳細に論じるように、血液透析処置中に、薬物(たとえば、エポゲン(Epogen)(登録商標)およびベニファー(Venofer)(登録商標))もまた、薬物送達システムを
使用してドリップチャンバ106に送出される。薬物は、ドリップチャンバ106内で患者の血液と混合し、その後、患者の血液と共に患者に送出される。
【0120】
図2に示すように、モジュール式薬物送達デバイス103は、4つのチャネル114を画定する薬物バイアルホルダ112を含む。チャネル114はそれぞれ、薬物バイアル116、118を捕捉しておく(hold captive)ように設計される。チャネル114は、たとえば、薬物バイアルホルダ112内に形成され、バイアルの大きな本体部がホルダ112の上に着座するように、バイアル116、118のキャップおよび狭い首部だけを受取るようにサイジングされ形作られる。示す実施態様では、左へ最も遠いバイアル116は、ベノファー(登録商標)を含み、ベノファー(登録商標)バイアル116の右の3つのバイアル118は、エポゲン(登録商標)を含む。ベノファー(登録商標)(鉄スクロース注入、USP)は、American Regent,Inc.によって製造されるスクロース内の多核鉄(III)水酸化物(polynuclear iron(III)-hydroxide)の無菌水性錯
体である。ベノファー(登録商標)は、補助エリスロポエチン治療を受けている、長期継続的な血液透析を受ける患者の鉄欠乏性貧血の処置において指示される。エポゲン(登録商標)は、赤血球の産生を刺激し、透析患者において同様に一般に使用される薬物である。エポゲン(登録商標)は、Amgen,Inc.によって製造される。
【0121】
使い捨て薬物投与流体ラインセット107は、バイアル116、118のそれぞれに流
体接続される。薬物投与流体ラインセット107は、薬物バイアルスパイク120を含み、薬物バイアルスパイク120は、バイアル内の薬物(すなわち、ベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標))が薬物バイアルスパイク120を介してフィーダライン122内に流れることを可能にするように、バイアル116、118に接続される。フィーダライン122はそれぞれ、Tコネクタ124に取付けられる。Tコネクタ124および関連するチュービングセグメント126は、フィーダライン122を薬物送出ライン104に接続する。薬物バイアルスパイク120は、ポリカーボネートまたはα−メチルスチレンなどの1つまたは複数の比較的剛性のある医療等級プラスチックで形成されることができ、種々の流体ラインは、ポリ塩化ビニル(PVC)などの可撓性が高い医療等級プラスチックで形成されうる。
【0122】
フィーダライン122はそれぞれ、図2に示すように、泡検出器128を通過する(を通してねじ込まれる)。泡検出器128は、フィーダライン122内の気泡を検出することが可能である。結果として、バイアルが空であるときにバイアル116、118からフィーダライン122内に空気が引出されるため、泡検出器128はそれぞれ、その関連する薬物バイアル116、118が、処置中に空であるかどうかを判定できる。一部の実施態様では、泡検出器128は光検出器である。たとえばOptekによって作られたOPB 350泡検出器が使用されうる。別法としてまたは付加的に、他のタイプの光検出器が使用されうる。同様に、超音波技術を利用するセンサなどの他のタイプのセンサが、泡検出器として使用されうる。こうしたセンサの例は、AD8/AD9集積超音波エアインライン気泡検出器およびBD8/BD9集積超音波気泡、エアインラインおよび液体レベル検出センサ(Intertek International(ニューヨーク州エッジウッド(Edgewood, NY)所在))を含む。一部の実施態様では、泡検出器128は、その関連するフィーダライン122内の気泡の存在を検知することに加えて、フィーダライン自体の存在を検知できるセンサを含む。
【0123】
泡検出器128の下流で、フィーダライン122は、閉塞器130を通過する(を通してねじ込まれる)。閉塞器130はそれぞれ、流体がフィーダライン122を通過することを防止するために、閉塞器130内に配設されたフィーダライン122の部分を圧着ために使用されることができうる。一部の実施態様では、閉塞器130は、ソレノイドベースラムである。別法としてまたは付加的に、他のタイプの自動化閉塞器が使用されることができうる。閉塞器130は、1つのフィーダライン122だけが、任意の特定の時間に未圧着であるように、全体として作動されることができうる。
【0124】
フィーダライン122がそれぞれ流体接続される薬物送出ライン104は、蠕動薬物ポンプ132を通過する(を通してねじ込まれる)。薬物ポンプ132は、ポンプローラによって圧迫される薬物送出ライン104の2つのポイント間で挟まれる流体の「ピロー(pillow)」(すなわち、空気または液体の「ピロー」)を生成するように、薬物送出ライン104を圧迫する複数のローラを含む。ローラは、回転可能フレームの周囲の周りに配列される。フレームが回転するにつれて、ローラは、薬物送出ラインを通してドリップチャンバ106(図1に示す)に向かって流体の「ピロー」を押出す。ポンプ132が作動され、閉塞器130の1つが開口している(すなわち、その関連するフィーダライン122を圧着していない)とき、開口した閉塞器130に関連するフィーダライン122に接続される薬物バイアル116、118に負圧(vacuum pressure)が加えられる。いくつかの
場合には、薬物バイアル116、118内の初期圧力は、大気圧に等しく、薬物が全て送出されてしまうと、バイアル内の最終圧力は、約−10psiである。換言すれば、薬物バイアル116、118内の圧力は、薬物が送出されるにつれて、大気圧から−10psiへ進行する。ポンプ132は、薬物バイアル116、118内の競合する負圧を超える負圧を、薬物送出ライン104およびフィーダライン122内に生成するように構成される。結果として、薬物は、バイアル116、118から、薬物バイアルスパイク120を
通り、フィーダライン122を通り、薬物送出ライン104内に引出される。
【0125】
一部の実施態様では、薬物バイアルホルダ112の各チャネル114は、バイアルまたは薬物コンテナの存在を検知するセンサを含む。いくつかの実施態様では、各薬物チャネル114は、設置された薬物バイアルを識別するシステムを含む。薬物バイアル識別システムは、たとえば、バイアル上のバーコードを読取るバーコードリーダを含むことができる。別法としてまたは付加的に、異なるタイプのセンサが使用されうる。一部の実施態様では、たとえば、バイアル識別システムはRFID技術を使用する。適したセンサの他の例は、カラーコード化された薬物バイアルのカラーを検知する、かつ/または、バイアル内の薬物のカラーを検知するカラーセンサ、薬物バイアル上のテキストを読取るテキスト認識ソフトウェアを装備する光センサ(たとえば、カメラ)、異なるサイズのバイアルが検出されることを可能にする静電容量センサ、バイアルの質量を検出するロードセルまたはスケール、および、バイアル内の薬物のタイプを決定するために使用されうる導電率または電気インピーダンスセンサを含む。
【0126】
薬物送達デバイス103はまた、薬物送達デバイス103の種々のコンポーネントに電力供給できる制御ユニット(たとえば、マイクロプロセッサ)を含む。制御ユニットは、泡検出器128、閉塞器130、薬物ポンプ132、薬物バイアルIDセンサ、および薬物ラインに沿う他のセンサを含むがそれに限定されない、薬物送達デバイス103の種々のコンポーネントから信号を受信し、種々のコンポーネントへ信号を送出できる。制御ユニットは、これらのコンポーネントから受信される情報に基づいて薬物送達デバイス103の種々のコンポーネントを制御できる。たとえば、制御ユニットは、ある時間に閉塞器130の1つだけが開口していることを保証するように閉塞器130を制御できる。これは、処置中のある時間に、バイアル116、118の1つだけから薬物が引出されることを保証するのに役立つ。制御ユニットはまた、送出される薬物の容積を薬物ポンプ132の運転データに基づいて決定し、送出されたと判定される薬物容積に基づいて閉塞器130を制御できる。たとえば、薬物の処方容積が送出されたと判定すると、制御ユニットは、その薬物バイアル116、118に関連する閉塞器130を閉鎖し、送出される次の薬物に関連する閉塞器130を開口できる。
【0127】
制御ユニットはまた、種々の閉塞器130が開口し閉鎖するタイミングを制御できる。たとえば、バイアルの全ての内容物が排出された後、空気が、そのバイアルに関連するフィーダライン122内に吸引されることになる。空気がフィーダライン122を通過するときに、泡検出器128は、空気を検出し、バイアルが空であることを示す信号を制御ユニットに送信することになる。応答して、制御ユニットは、空のバイアルに関連する閉塞器130を閉鎖し、送出される次の薬剤を含むバイアルに関連する閉塞器130を開口できる。バイアルが全て空にされたことを示す情報を泡検出器128から受信すると、制御ユニットは、薬物ポンプ132をターンオフできる。
【0128】
制御ユニットはまた、バイアルの存在および/またはバイアル内容物の識別を示す、薬物バイアルIDセンサから受信される信号に基づいて薬物送達デバイス103のいくつかのコンポーネントを制御できる。こうした配置構成は、正しいバイアル(たとえば、正しい数のバイアルおよび正しい内容物を含むバイアル)が処置について使用されることを保証するのに役立ちうる。たとえば、入力される処置情報に整合しない信号を薬物バイアルIDセンサから受信すると、アラーム(たとえば、可聴および/または視覚アラーム)が起動されうる。別法としてまたは付加的に、薬物送達デバイス103は、センサがバイアルの正しい組合せを検出するまで処置が始動されることができないように構成されうる。
【0129】
薬物送達デバイス103(たとえば、薬物送達デバイス103の制御ユニット)は、透析器101の血液ポンプ108が運転しているかどうかを検知し、血液ポンプ108が停
止される場合に、薬物送出を一時停止するように構成される。この技法は、処置中のドリップチャンバ106内での被送出薬物の「プーリング(pooling)」を防止する。
【0130】
やはり図2を参照して、薬物送達デバイス103はさらに、制御ユニットに接続されるユーザインタフェース134を含む。ユーザインタフェース134は、バイアル116、118に関連する表示を通してユーザがナビゲートすることを可能にする右/左矢印キーを含む。ユーザインタフェース134はまた、バイアル116、118のそれぞれについて所望の用量をユーザが設定することを可能にする上/下矢印キーを含む。さらに、ユーザインタフェース134は、薬物送達デバイス103をユーザが開始し停止することを可能にする開始および停止キーを含む。
【0131】
別法としてまたは付加的に、種々の他のタイプのユーザインタフェースの任意のインタフェースが使用されうる。一部の実施態様では、薬物送達デバイスは、注入(infuse)すべき薬物をユーザがメニューから選択することを可能にするユーザインタフェースを含む。いくつかの実施態様では、ユーザは、薬物バイアルIDセンサによって識別される薬物が正しいことを確認してもよい、かつ/または、適切な調整を行ってもよい。ユーザインタフェースは、種々の異なる処置パラメータを入力する、かつ/または、監視するために使用されうる。こうしたパラメータの例は、薬物用量、薬物送出レート、送出される薬物の量、各薬物チャネルについての薬物送出の状態、時間、達成パーセント(percent complete)、残りのパーセント、残りの時間、送出された時間、日付け、患者ID、患者名、アラーム、アラートなどを含む。こうしたユーザインタフェースは、カラーグラフィックディスプレイを含みうる。いくつかの実施態様では、たとえば、ユーザインタフェースは、薬物、投与(dosing)、および薬物送出の状態(たとえば、終了、実行中、準備完了など)に従ってカラーコード化される。
【0132】
薬物送達デバイス103はまた、薬物送達デバイス103の制御ユニットが接続されるアラームおよび/またはアラートシステムを含む。アラームおよび/またはアラートシステムは、視覚および/または音声アラームおよび/またはアラートを発するように構成されうる。アラームおよび/またはアラートシステムはさらに、事前プログラムされたアラームおよび/またはアラート制限を含むことができ、それにより、その制限から外れるようにシステムの任意の態様をユーザが修正するか、または、その制限から外れているシステムの任意の態様を機械自体が検出するとき、モジュールは、アラームおよび/またはアラートを発する。
【0133】
図3は、取外された状態の、バイアル116、118と、その関連する薬物バイアルスパイク120と、フィーダライン122のうちの1つを示す。図示するように、薬物バイアル116、118は、バイアルの首部121に固定されたキャップ(スリーブとも呼ばれる)を含む。ゴムシール123は、キャップ119と首部121との間に配置される。バイアルの本体部125は、首部121に一体に接続される。通常、フィーダライン122および薬物バイアルスパイク120はそれぞれ、フィーダライン122が、薬物バイアルスパイク120に容易に接続され、薬物バイアルスパイク120から容易に取外されることを可能にする嵌合ルアーロックコネクタを含む。あるいは、フィーダライン122は、薬物バイアルスパイク120に永久的に取付けられうる。フィーダライン122は、たとえば、薬物バイアルスパイク120に溶接されうる、または、接着接合されうる。
【0134】
薬物バイアルスパイク120はそれぞれ、その関連する薬物バイアル116、118のキャップ119を把持し取外し可能に保持するように構成される。図4〜6に示すように、薬物バイアルスパイク120はカップ状部材であり、中央スパイク136が、カップ状部材のベース138の中央領域から延在する。中央スパイク136は、比較的鋭利な先端142を含み、中央スパイク136の長さに沿って延在するチャネル140(図6に示す
)を形成する。使用中、中央スパイク136は、薬物バイアル116、118のゴムシール123を貫通することによって、その関連する中央バイアル116、118内に挿入される。ユーザは、たとえば、薬物バイアル116、118を把持し、スパイク136をバイアル116、118のゴムシール123に貫通させるために、薬物バイアルスパイク120上にバイアル116、118を押し下げることができる。中央スパイク136のチャネル140は、薬物バイアル116、118の内容物が、中央136を介して薬物バイアル116、118から流れ出ることを可能にする。中央スパイクの外側表面はまた、中央チャネル140内への薬物の流れを容易にするために、中央スパイク136に沿って延在するチャネルまたはスロット114、146を形成する。
【0135】
カップ状薬物バイアルスパイク120のベース138は、複数の板ばね152を含む。板ばね152は、上側に(薬物バイアル116、118が薬物バイアルスパイク120上に装填されたときの薬物バイアル116、118の方向に)偏移される弾性部材である。板ばね152は、ベース内に形成されたアパーチャ154を覆って配設される。薬物バイアル116、118が所定場所に装填されると、各板ばね152が押し下げられ、バイアルキャップ119の上縁が、薬物バイアルスパイク120の側壁によって形成される環状フランジ150の下の所定場所に一時的にロックされることが可能になる。弾性ばね板152は、スパイク136がバイアル116、118内に完全に挿入された後(すなわち、バイアル116、118のキャップが薬物バイアルスパイク120のベース138に接触した後)、バイアル116、118に対する中央スパイク136の後退を可能にする。板ばね152をベース138に向かって内側に変形させることによって薬物バイアル116、118が中央スパイク136上に装填された後に、弾性板ばね152が、薬物バイアル116、118に向かって偏移されるため、板ばね152は、バイアル116、118を、ベース138から離して押し戻す。バイアル116、118のゴムシール123と薬物バイアルスパイク120の中央スパイク136との間の摩擦力のために、中央スパイク136に接触するゴムシール123の部分は、この外向き力が薬物バイアル116、118に加えられると、バイアル116、118の残りの部分より少ない程度に、薬物バイアルスパイク120のベース138から離れて移動する。いくつかの実施態様では、たとえば、中央スパイク136に接触するゴムシール123の部分は、板ばね152の外向き力に応答して全く移動しない。中央スパイク136と接触状態にあるゴムシール123の部分が、バイアル116、118の残りの部分に比べて、薬物バイアルスパイク120に対して短い距離を移動するため、ゴムシール123の中央部は、バイアル116、118から離れて隆起する傾向があり、中央スパイク136は、バイアル116、118内に埋め込まれたままであり、バイアル116、118内に含まれる薬物または流体にアクセスできる。ゴムシール123は、たとえば、凹形状または皿形状を形成することができ、薬物バイアル116、118の全内容物がバイアルから排出されることを保証するのに役立つ。
【0136】
薬物バイアル116、118の全内容物が排出されることを保証するのに役立つことによって、薬物バイアルスパイク120は、いくつかの従来のスパイクおよびシリンジと比較して有意の利点を提供する。たとえば、多くの従来のスパイクまたはシリンジが、薬物バイアルのゴムシールを穿刺するとき、スパイクまたはシリンジは、スパイクまたはシリンジを囲むゴムシールの部分を内側に押す。結果として、薬剤は、ゴムシールの内側に折畳まれた部分の表面に固着する、または、表面の背後に留まる可能性がある。結果として、薬剤の一部は、バイアル内に捕捉され、使用されない。薬剤の捕捉された部分は、通常、バイアルと共に廃棄される。エポゲン(登録商標)などのいくつかの薬物は、非常に高価であり、したがって、バイアル内に残置された1つの液滴でさえ、特に複数の処置の過程にわたって、患者および/または介護提供者にとってかなりの価格に相当しうる。そのため、本明細書で述べる薬物バイアルスパイク120は、所定期間にわたって患者および/または介護提供者にかなりの量の金を節約させ、救命薬物が浪費されないことを保証しうる。さらに、薬物バイアルスパイク120は、処方薬物用量が患者に送出される正確さ
を増すことができ、患者の健康を改善しうる。
【0137】
やはり図4〜6を参照して、薬物バイアルスパイク120はまた、薬物バイアルスパイク120の中央スパイク136の周りに配置された複数の双安定部材148を含む。ユーザに提供されるように、双安定部材148は、第1の(すなわち、ベース138から離れ、薬物バイアル凹所に入るようにて変形した)位置にある。アパーチャであって、双安定部材148がアパーチャを通過することを可能にするようにサイジングされ形作られた、アパーチャは、双安定部材148の下でベース138内に設けられる。双安定部材148は、バイアル116、118と反対の方向への所与の大きさの力が部材に加えられると、第2の(すなわち、ベース138から離れかつ薬物バイアル凹所から出るように変形した)位置にスナップ式に入るように構成される。結果として、バイアル116、118が、薬物バイアルスパイク120のバイアル凹所内に適切に載せられたときに、薬物バイアルは、双安定部材148のそれぞれに力を加え、双安定部材148をこの第2の位置にスナップ式に入れる。この第2の位置では、それぞれの双安定部材148の少なくとも一部分は、バイアルと反対のベース138の底部表面を超えて突出する。そのため、双安定部材148は、バイアルが薬物バイアルスパイク120のバイアル凹所内に適切に載せられたという視覚的確認をユーザに提供する。
【0138】
図3および6に示すように、薬物バイアルスパイク120の周囲側壁は、中央スパイク136よりわずかに大きな高さまで延在する。この構成は、薬物バイアルを薬物バイアルスパイク120によって形成されるキャビティ内に固定するのに役立つのに加えて、スパイク上への薬物バイアルの装填の前に、中央スパイク136が(たとえば、オペレータによって)不注意に接触されないことを保証するのに役立つ。これは、たとえば、中央スパイク136が、薬物バイアル内に挿入される前に、汚染されることを防止するのに役立ちうる。
【0139】
一部の実施態様では、薬物バイアルスパイク120は、PVCまたはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの1つまたは複数の医療等級プラスチックで形成される。しかし、他の医療等級プラスチックが、薬物バイアルスパイク120を形成するために使用されうる。同様に、ステンレス鋼などのいくつかの金属が、薬物バイアルスパイク120を形成するために使用されうる。
【0140】
エポゲン(登録商標)は、種々の濃度を有する2つの単一用量(single-dose)1mlバ
イアルおよび2つの異なる濃度を有する2つの多用量(multi-dose)バイアルで設けられる。これらのバイアルのそれぞれの内容物は以下で述べられる。
【0141】
単一用量の防腐剤無添加(preservative-free)バイアル−1mL(2,000,3,000,4,000,または10,000Units/mL)。溶液の各1mLは、注射用水(USP(pH=6.9±0.3))内に2,000,3,000,4,000,または10,000Unitsのエポエチンα、2.5mgアルブミン(人)、5.8mgクエン酸ナトリウム、5.8mg塩化ナトリウム、および0.06mgクエン酸を含む。この製剤(formulation)は防腐剤を含まない。
【0142】
単一用量の防腐剤無添加バイアル−1mL(40,000Units/mL)。溶液の各1mLは、注射用水(USP(pH=6.9±0.3))内に40,000Unitsのエポエチンα、2.5mgアルブミン(人)、1.2mgリン酸ナトリウム一塩基性一水和物、1.8mgリン酸ナトリウム二塩基性無水物、0.7mgクエン酸ナトリウム、5.8mg塩化ナトリウム、および6.8mgクエン酸を含む。この製剤は防腐剤を含まない。
【0143】
多用量の防腐剤添加(preserved)バイアル−2mL(20,000Units、10,000Units/mL)。溶液の各1mLは、注射用水(USP(pH=6.1±0.3))内に10,000Unitsのエポエチンα、2.5mgアルブミン(人)、0.3mgクエン酸ナトリウム、8.2mg塩化ナトリウム、0.11mgクエン酸、および防腐剤としての1%ベンジルアルコールを含む。
【0144】
多用量の防腐剤添加バイアル−1mL(20,000Units/mL)。溶液の各1mLは、注射用水(USP(pH=6.1±0.3))内に20,000Unitsのエポエチンα、2.5mgアルブミン(人)、1.3mgクエン酸ナトリウム、8.2mg塩化ナトリウム、0.11mgクエン酸、および防腐剤としての1%ベンジルアルコールを含む。
【0145】
そのため、エポゲン(登録商標)バイアルは、以下の標準的な濃度で提供される。標準的な濃度とは、2,000units/バイアル、3,000units/バイアル、4,000units/バイアル、10,000units/バイアル、20,000units/バイアル、および40,000units/バイアルである。
【0146】
エポゲン(登録商標)の処方用量は、透析を受けている各患者について個別化され、処方用量は、患者ごとに大いに変動しうる。しかし、1から3のフルバイアルを異なる組合せで使用することによって、90%以上の患者用量要件が実現されうることがわかった。薬物送達デバイスは、3つのバイアルの種々の異なる組合せを用いて、0unitsと20,000unitsとの間の種々の異なる離散的な用量の1つの用量を提供するように作動し、したがって、使用中にバイアルを変更するかカスタマイズされたエポゲン(登録商標)を使用する必要なしで、90%以上の透析患者を処置するために使用されうる。さらに、エポゲン(登録商標)の実質的に全てが、使用されるバイアルのそれぞれから排出されるため、もしあれば、非常に少量のエポゲン(登録商標)(非常に高価な薬物である)が浪費される。
【0147】
以下で述べるエポゲン(登録商標)投与スケジュールは、エポゲン(登録商標)の廃棄物を低減するかまたは最小にするために薬物送達デバイスのオペレータによって使用されうる。投与スケジュールは、正しい平均用量が、1回の処置についての3つのバイアルの置換および3回の週1回処置(three weekly treatment)の置換を使用して投与されうるよう、処方者に指針を与えるために作成された。置換は、用量変動(標準偏差)の尺度によって、または、選択されるバイアルの最小数によって重み付けされうる。
【0148】
以下の表1は、薬物送達バイアルの薬物バイアルホルダの薬物チャネルがそれぞれ、2,000unitsのエポゲン(登録商標)、3,000unitsのエポゲン(登録商標)、4,000unitsのエポゲン(登録商標)、10,000unitsのエポゲン(登録商標)、20,000unitsのエポゲン(登録商標)、または40,000unitsのエポゲン(登録商標)を含むバイアルを装填されることができる、あるいは、バイアルを全く装填されることができないことを示す。
【0149】
【表1】

多くの場合、単一処置についての所望のエポゲン(登録商標)送出量は、現在製造され、単一バイアル内に設けられるエポゲン(登録商標)の量に等しくないことになる。こうした場合、エポゲン(登録商標)の2つ以上のバイアルが、所望の量を送出するために使用される必要がある。これらの独特の送出量要件のいくつかを満たす複数の置換が存在する。以下の表2は、単一処置についてのこれらの種々の置換を示す。特に、表の最初の3つの欄は、各置換において使用される3つのバイアルを示し、第4の欄は、これらの特定の3つのバイアルを使用することによって送出される総量を示し、第5の欄は、標準偏差(すなわち3つの異なるバイアルを使用する結果としての処置全体を通して経験される容積変動(容積の和と平均容積との差))を示し、第6の欄は、処置中に使用されるバイアルの総数を示す。
【0150】


【表2】


オペレータは、バイアルの最も望ましい組合せを決定するために上記表を調べることができる。オペレータは、たとえば、処置のための所望の量の薬物を送出するために最も少ないバイアルを必要とする組合せを選択してもよい。あるいは、ユーザは、薬物送達プロセス全体を通した薬物送出量の変動またはその薬物を送出するのに必要とされる時間量に基づいてバイアルの組合せを選択してもよい。
【0151】
このバイアル選択方策はまた、よりよい解決を伴う平均週間用量を与えるための処置用量の置換に拡張されうる。たとえば、上記組合せを用いて、同じ置換スケジュールが、平均週間用量を達成するために使用されうる。以下の表3では、最初の3つの欄は、3回の週1回処置のそれぞれについて使用される用量を示し、第4の欄は、これらの3回の週1回処置にわたって達成される平均用量を示し、第5の欄は、標準偏差(すなわち、3回の週1回処置にわたる用量変動(用量の和と平均用量との差))を示す。
【0152】
【表3】

上記表は、3回の週1回処置にわたる用量変動を許容可能範囲内に維持しながら、1周当たりに使用されるバイアルの数を最小にするために調べられうる。ある例では、処方用量が16,000unitsのエポゲン(登録商標)である場合、ユーザは、最初に上記表2を調べて、バイアルのどの組合せが合計してこの用量になるかが判定される。上記表2は、ユーザが、1つの10,000unitバイアル、1つの4,000unitバイアル、および1つの2,000unitバイアル、あるいは、10,000unitバイアル、および2つの3,000unitバイアルを使用しうる。そのため、処置のためにユーザが使用できる最小数のバイアルは、3つのバイアルであることになる。これは、1周について9のバイアル(1回の処置について3つのバイアル、そして、1週について3回の処置)が必要とされたことを意味することになる。しかし、ユーザは、その後、個々の処置についての用量と対照的に、1週についての平均用量に的を絞ることによって、1週について使用されるバイアルの数を低減することが可能かどうかを判定するために上記表3を調べうる。こうするために、ユーザは、表3に頼って、3回の週1回処置のそれぞれについて使用されうる異なる処置用量を決定し、それにより、16,000unitsの平均用量が達成されることになる。これらのオプションの任意のオプションが、許容可能最大用量変動未満である標準偏差(または用量変動)を持つ場合、ユーザは、第1の表を見直して、これらの処置用量のそれぞれを達成するために使用されうるバイアル組合せを決定することになる。これらのバイアル組合せに基づいて、ユーザは、その週について必要とされることになるバイアルの総数を決定し、その数を、表2から決定された必要とされるバイアルの総数(すなわち、9のバイアル)と比較できる。代替のバイアル組合せの任意の組合せが、1週について9より少ないバイアルをもたらす場合、ユーザは、表3によって提供される投与スケジュールを使用できる。
【0153】
エポゲン(登録商標)用量は、一般に、単一処置に基づいて処方されるが、上記表3は、エポゲン(登録商標)を処方するときに医師によって調べられることができ、これらの医師は、表に提供される用量を処方できる。こうしてエポゲン(登録商標)を処方することは、処置が、平均して、少数のバイアルを用いて実行されることができることを保証するのに役立つことができ、したがって、処置後に廃棄される必要がある材料(たとえば、
使用済みバイアル)の量および維持される必要があるバイアルの在庫を低減できる。さらに、少数のバイアル内の同じ容積の薬物を購入することによって、その薬物の総合コストが低減されうる。
【0154】
上記表3は、1週の期間にわたる処置に関連するが、同様な表は、種々の他の期間(たとえば、2週間、1カ月、2カ月、6カ月など)の任意の期間について準備され調べられうる。
【0155】
エポゲン(登録商標)の有効用量を最大にすることに関連する上述した計算は、他の薬物について使用されてもよい。たとえば、上述したタイプの投与スケジュールは、複数の処置にわたってベノファー(登録商標)を送出する最も望ましい手法を決定するために使用されうる。しかし、エポゲン(登録商標)と違って、ベノファー(登録商標)は、比較的安価であるため、所与の期間(たとえば、1週間または1カ月)にわたって使用されるベノファー(登録商標)のバイアルの数を最小にすることは、コストの観点から、一般に関心が低い。しかし、こうした投与スケジュールは、廃棄される材料(たとえば、使みバイアル)の量を減少させ(または、最小にし)、薬物送出用のデバイスをセットアップするために必要とされる労力および時間を低減できる。
【0156】
上述した投与スケジュールは、種々の異なるフォーマットの任意のフォーマットでユーザに提供されうる。一部の実施態様では、表は、処置中にユーザが調べることができる文書(たとえば、ユーザマニュアル、積層カードなど)上に印刷されるだけである。いくつかの実施態様では、表は、コンピュータにセーブされうるかまたはオンラインで閲覧されうる電子ファイルの形態でユーザに提供される。
【0157】
一部の実施態様では、投与スケジュールは、薬物送達デバイス103にインストールされるコンピュータプログラムとして提供される。こうした実施態様では、ユーザが、処方用量情報を入力し、薬物送達デバイス103の制御ユニットがユーザインタフェース上に表の関連部分を表示することになる。ユーザは、その後、ユーザインタフェース上で表の表示部分を調査し、表示された情報に基づいて、処置に使用するためのバイアルの所望の組合せを決定しうる。別法としてまたは付加的に、コンピュータプログラムは、(ユーザによって入力される選好に基づいて)処置に使用するためのバイアルの最良の組合せを自動的に決定し、ユーザのためにそのバイアル組合せを表示するように設計されうる。
【0158】
図1および7を参照して、患者に関して血液透析処置を始める前に、血液透析機の血液回路および透析液回路を構成する種々のラインがプライミングされ、その後、患者ライン105が患者に接続される。患者ライン105を患者に接続した後、血液ポンプが、起動されて、血液回路を通して血液が循環される。透析液ポンプもまた起動されて、血液透析機の透析液回路を通して透析液が圧送される。血液は、患者から引出され、動脈患者ラインを介してドリップチャンバ106に送出される。ドリップチャンバ106は、血液がドリップチャンバ106を通過するときに、血液中の空気が放出されるような空気トラップとして働く。特に、ドリップチャンバ106は、血液から放出される空気がドリップチャンバ106からそこを通して排出されるベントを含む。血液は、その後、ドリップチャンバ106から浄化器110に圧送される。浄化器110は、浄化器110を2つのチャンバに分割する半透過性膜を含む。浄化器110のチャンバの一方を血液が通過するときに、透析液回路からの透析液は他のチャンバを通過する。血液が透析流体によって流れるにつれて、尿素およびクレアチニンなどの不純物が、半透過性膜を通して透析液内に拡散する。使用済み透析液は、処理されるかまたは再利用され、再使用される。浄化器110を出る浄化された血液は、静脈患者ラインを介して患者に戻される。
【0159】
薬物送達プロセスは、通常、全体の血液透析プロセスより短時間であるため、薬物送達
デバイス103およびその関連コンポーネントのセットアップは、通常、血液透析処置が始まった後に起こる。使用のために薬物送達デバイス103を準備するために、ユーザは、最初に、処方エポゲン(登録商標)用量を決定し、その後、処方エポゲン(登録商標)用量を送出するために使用されうる、異なるバイアル組合せについての投与スケジュールを調べる。ユーザは、その後、ユーザの選好に基づいて提供されるエポゲン(登録商標)バイアル組合せの1つの組合せを選択する。ユーザは、たとえば、来るべき処置または所与の時間(たとえば、1週間、1カ月など)にわたる複数の処置について最小数のバイアルを必要とするバイアル組合せ、あるいは、(たとえば、1週間分の処置、1カ月分の処置などに基づいて)1回の処置について送出される最も一貫性がある量の薬物を提供するバイアル組合せを選択できる。あるいは、ユーザは、バイアル組合せを選択するために、必要とされるバイアルの数と所与の回数の処置にわたって送出される薬物量の一貫性の両方を考慮できる。先に論じたように、いくつかの実施態様では、(ユーザの選好に基づく)バイアルの最良の組合せは、ユーザが読むために、ユーザインタフェース上に自動的に表示される。所望の組合せを選択した後に、ユーザは、バイアル貯蔵供給部(たとえば、冷蔵庫)から必要なエポゲン(登録商標)バイアルを集める。
【0160】
ユーザは、その後、薬物バイアルスパイク120、薬物フィーダライン122、および薬物送出ライン104を含む使い捨て薬物投与流体ラインセット107を薬物送達デバイス103に接続する。薬物投与流体ラインセット107は、通常、無菌バック内でユーザに提供される。薬物投与流体ラインセット107を薬物送達デバイス103に接続するために、ユーザは、最初に、無菌バックを開け、薬物投与流体ラインセット107を取出す。ユーザは、その後、無菌操作(aseptic technique)を使用して、薬物バイルホルダ11
2の薬物チャネル114の1つのチャネル内に薬物バイアルスパイク120のそれぞれを配置し、フィーダライン122をそのそれぞれの泡検出器128を通してねじ込み、薬物送出ライン104をドリップチャンバ106に接続する。この最後のステップは、通常、薬物送出ライン104の端部上のルアーロック取付け具を、ドリップチャンバ106から延在するドリップチャンバレベルアジャストライン上の嵌合ルアーロック取付け具に接続することを必要とする。しかし、他のタイプのコネクタが使用されうる。
【0161】
薬物投与流体ラインセット107が所定の場所になると、ベノファー(登録商標)バイアル116およびエポゲン(登録商標)バイアルは、薬物バイルホルダ112のチャネル114内に装填される。特に、各バイアル116、118は、関連する薬物バイアルスパイク120の中央スパイク136がバイアル116、118のゴムシール123に貫通するように、反転され、その関連するチャネル114内に挿入される。先に論じたように、この配置構成は、バイアル116、118内の薬物が、薬物バイアルスパイク120を通過し、薬物バイアルスパイク120に接続されたフィーダライン122内に入ることを可能にする。バイアル116、118から患者へ薬物を移すための中間針を使用することなく、薬物が、その無菌バイアル116、118から直接送出されるため、薬物バイアルスパイク120の使用は有利である。
【0162】
図1は、4チャネルバイアルホルダ112内での4つのバイアル(すなわち、1つのベノファー(登録商標)バイアル116および3つのエポゲン(登録商標)バイアル118)の使用を示すが、処方用量要件およびオペレータの選好に応じて、より少数のバイアルが使用されてもよいことが理解されるべきである。こうした場合、薬物バイルホルダのチャネル114の1つまたは複数は、単に空であることになる(すなわち、チャネル114の1つまたは複数内に薬物バイアルが全く配設されないことになる)。
【0163】
ベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)バイアル116、118を装填した後、ベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)の処方用量が、ユーザインタフェース134を使用して薬物送達デバイス103に入力される。以下で論じるように、
ベノファー(登録商標)バイアル内のベノファー(登録商標)の全量が、処方用量を達成するために必要とされないことはよくあることである。したがって、適切な量のベノファー(登録商標)が患者に送出されることを保証するために、ベノファー(登録商標)の処方用量を入力することが重要である可能性がある。一方、エポゲン(登録商標)バイアルの組合せは、一般に、処方エポゲン(登録商標)用量になる。そのため、処方エポゲン(登録商標)用量を入力しなくても、処方用量は、エポゲン(登録商標)バイアル118のそれぞれを完全に排出させるだけで達成されるべきである。しかし、処方エポゲン(登録商標)用量を入力することは、バイアルから送出されるエポゲン(登録商標)の実際の量が、処方エポゲン(登録商標)用量に等しいことを薬物送達デバイス103が確認することを可能にしうる。
【0164】
ベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)の処方用量を入力した後、フィーダライン122はそれぞれプライミングされる。プライミングは、(たとえば、ユーザインタフェース134上のボタンを押すことによって)バイアルが装填されたことをオペレータが確認した後に、または、全ての必要なバイアルが所定の場所にあることを薬物送達デバイス103が確認した後に始まる自動化プロセスである。フィーダライン122をプライミングするために、薬物ポンプ132が起動され、閉塞器130が順次開口される。その関連するバイアルからの薬物が、泡検出器128によって検出された後、各閉塞器130は、所定期間の間、開口したままである。ベノファー(登録商標)バイアル116(すなわち、薬物送達プロセス中に空にされる最初のバイアル)に関連する気泡検出器128による薬物の検出後、薬物ポンプ132は、作動し続け、そのバイアルに接続されたフィーダライン122に関連する閉塞器130は、ベノファー(登録商標)が薬物送出ライン104を実質的に充填するようにさせるのに十分な期間、開口したままである。フィーダライン122をベノファー(登録商標)で実質的に充填することは、さらなるベノファー(登録商標)がバイアル116から引出され、ベノファー(登録商標)がドリップチャンバ106に入ることを保証する。薬物送出ライン104をベノファー(登録商標)で充填した後、バイアル116に接続されたフィーダライン122に関連する閉塞器130が、そのフィーダライン122を挟み、他の閉塞器130の1つの閉塞器が開口して、開校した閉塞器130に関連するフィーダライン122がプライミングされる。このプロセスは、フィーダライン122がそれぞれプライミングされるまで繰返される。
【0165】
プライミングプロセス中に、気泡検出器128の1つによって薬物が検出されない場合、アラームが起動される。これは、薬物送達デバイス103(たとえば、薬物送達デバイス103の泡検出器128)に関する問題または薬物投与流体ラインセット107(たとえば、薬物投与流体ラインセット107の薬物バイアルスパイク120またはフィーダライン122)に関する問題を示す。アラームに応答して、ユーザは、通常、薬物投与流体ラインセット107を置換するかまたは薬物投与流体ラインセット107を調整し、そのプロセスを繰返す。
【0166】
こうしてフィーダラインをプライミングすることは、障害が検出される場合に、薬物投与流体ラインセット107を迅速に置換するために臨床医が近くにいるという確率を高める点で有利である。フィーダライン122をプライミングしない場合、たとえば、投与セットの欠陥は、欠陥を含む薬物投与流体ラインセット107の部分に関連する薬物バイアルから薬物が初めて引出されるときの薬物送達プロセスの途中まで検出されない可能性がある。その場合、処置は、臨床医がはるばる機械の所まで行って、問題を修正するまで停止されなければならないことになる。
【0167】
フィーダライン122をプライミングした後、ベノファー(登録商標)が、ベノファー(登録商標)バイアル116からドリップチャンバ106へ送出され、ドリップチャンバ106内で、ベノファー(登録商標)が患者の血液と混合する。ベノファー(登録商標)
は、(他の閉塞器130の全てを閉鎖したままにしながら)ベノファー(登録商標)バイアル116に関連する閉塞器130を開口し、薬物ポンプ132を運転することによって患者に送出される。ベノファー(登録商標)は、比較的安価な薬物であるため、ベノファー(登録商標)が全て、バイアル116から完全に排出されることを保証することは、エポゲン(登録商標)と比較してそれほど重要でない。ある場合には、薬物の処方容積が送出された後に、ベノファー(登録商標)の一部がバイアル内に残るように、ベノファー(登録商標)の処方用量は、バイアル116内に含まれるベノファー(登録商標)の量より少ないことになる。患者に送出されるベノファー(登録商標)の容積は、薬物送達デバイス103の制御ユニットおよび薬物ポンプ132によって監視され制御される。蠕動薬物ポンプ132は、薬物送出ライン104を圧迫し、ポンプローラによって薬物送出ライン104の2つのポイント間に挟まれる流体の「ピロー」を移動させることによって働く。流体の各ピローは、ローラ間隔および薬物送出ライン104の内径によって決まる容積である。ポンプ132が所与の速度で作動すると、一連のこれらの「ピロー」状容積の流体が、ドリップチャンバ106に送出される。ポンプ132の速度を変更することによって、流体送出速度が変更される。ポンプ速度は、ポンプ132に送出される電圧を調整することによって制御されうる。ポンプ132のモータに送出される電圧は、たとえば、正しい速度(すなわち、所望の流量に対応する速度)が、エンコーダ上で測定されるまで、制御ユニット(すなわち、制御ユニットのソフトウェア)によって調整されうる。
【0168】
先に論じたように、血液透析システム100のドリップチャンバ106は、空気トラップとして機能する。そのため、システム内に導入される任意のガス(たとえば、空気)(たとえば、バイアル116、118の1つから引き込まれる空気)は、ドリップチャンバ106内で薬物および血液から逃げることができる。システムから空気を取除くことに加えて、ドリップチャンバ106は、他の利益を提供する。たとえば、ドリップチャンバ106は、薬物送出の視覚的確認を提供し、患者に達する前に、送出された薬物が患者の血液と混合することを可能にする。さらに、ドリップチャンバ106は、薬物投与流体ラインセット107に対する簡単なルアー接続を可能にする。結果として、患者は、バイアル116、118から薬物を受取るために、さらなる針で突き刺される必要がない。
【0169】
図8は、ベノファー(登録商標)送達プロセス中の、一連のユーザインタフェーススクリーンショットを示す。図示するように、ユーザインタフェースは、処方用量および送出された用量を表示する。送出された用量が処方用量に等しいとき、それは、ベノファー(登録商標)送達プロセスが終了したことを示す。ベノファー(登録商標)の処方用量がバイアルで提供されるunitsの数を超える状況では、状態は、あるいは、第1のバイアルの全内容物を送出した後、「バイアルを置換する(Replace Vial)」を読取ることになる。これは、処方用量が達成されることを可能にするために、第1のベノファー(登録商標)を第2のベノファー(登録商標)で置換するようにオペレータに促すことになる。ベノファー(登録商標)の処方用量がドリップチャンバ106に送出されたと判定されると、制御ユニットは、ベノファー(登録商標)フィーダラインに関連する閉塞器130を閉鎖させる。
【0170】
ベノファー(登録商標)は、長い期間にわたる精密な送出によってその最大限の可能性に到達する。蠕動薬物ポンプ132およびドリップチャンバ106を使用した制御された薬物注入によって、ベノファー(登録商標)は、精密なレートで送出されることができ、その精密なレートは、薬物濃度を治療マージン内でかつ中毒域外に維持することになる。蠕動薬物ポンプ132は、制御されたレートで患者に適切な薬物送出を提供することができ、頻繁な医療処置を必要としない。
【0171】
再び図1および7を参照して、所望量のベノファー(登録商標)がドリップチャンバ106に送出され、その関連する閉塞器130が閉鎖された後、第1のエポゲン(登録商標
)バイアル118(すなわち、ベノファー(登録商標)バイアル116のすぐ右のエポゲン(登録商標)バイアル118)に関連する閉塞器130が、エポゲン(登録商標)がドリップチャンバ106に送出されるように開口する。エポゲン(登録商標)バイアル118の組合せは、エポゲン(登録商標)の処方用量が3つのエポゲン(登録商標)バイアル118に含まれるエポゲン(登録商標)に等しくなるように選択された。そのため、ドリップチャンバ106に送出されるエポゲン(登録商標)の容積を監視することは、一般に必要でない。しかし、多くの場合、蠕動薬物ポンプ132(または、薬物ポンプ132に接続される制御ユニット)は、送出されるエポゲン(登録商標)の量を監視して、送出されるエポゲン(登録商標)の量が処方量に等しいことが確認される。これは、たとえば、(たとえば、ユーザエラーまたは不正表示のために)正しくないエポゲン(登録商標)バイアルが使用された状況を特定するのに役立ちうる。エポゲン(登録商標)バイアル118の全容積が使用されるため、エポゲン(登録商標)バイアル118に関連する閉塞器130は、泡検出器128がフィーダライン122内で気泡を検出する(エポゲン(登録商標)の全容積がバイアル118から排出されたことを示す(すなわち、バイアル118が空であることを示す))まで開口状態を維持されるだけである。泡検出器128がフィーダライン122内で空気を検出すると、第1のエポゲン(登録商標)バイアル118が空であることを示す信号が制御ユニットに送出される。制御ユニットは、その後、泡検出器128の下流のライン内のエポゲン(登録商標)が、下のセグメントまでフラッシングされ、そのセグメントで、ライン内に残っているそのエポゲン(登録商標)を次のバイアルからのエポゲン(登録商標)がドリップチャンバ106に押し流すことができるように、さらなる既知の容積が圧送されることを保証した後に、第1のエポゲン(登録商標)バイアル118に関連するフィーダライン122をクランプオフする信号を第1のエポゲン(登録商標)バイアル118に関連する閉塞器130に送出する。制御ユニットはまた、第2のエポゲン(登録商標)バイアル118(すなわち、第1のエポゲン(登録商標)バイアル118のすぐ右のエポゲン(登録商標)バイアル)に関連するフィーダライン122を開口する信号を、第2のエポゲン(登録商標)バイアル118に関連する閉塞器130に送出する。上述したエポゲン(登録商標)送達プロセスは、その後、第2および第3のエポゲン(登録商標)バイアルについて繰返される。
【0172】
図9は、第1のエポゲン(登録商標)バイアル118からのエポゲン(登録商標)の送出中の、薬物送達デバイス103のユーザインタフェース134のスクリーンショットである。図示するように、ベノファー(登録商標)バイアルに専用の表示の部分は、ベノファー(登録商標)の処方全用量が送出されたこと、したがって、ベノファー(登録商標)送達プロセスが終了したことを示す。第1のエポゲン(登録商標)バイアル118に専用のスクリーンの部分は、そのバイアルからのエポゲン(登録商標)が、患者に送出されるプロセス中にあることを示す。特に、スクリーンは、4,000unitバイアルの500unitが送出されたことを示す。スクリーンはさらに、第2および第3のエポゲン(登録商標)バイアルについての送出がまだ始まっていないこと、および、これらのバイアルがそれぞれ、1,000unitのエポゲン(登録商標)を含むことを示す。4つ以下のエポゲン(登録商標)バイアルが送出される処置では、抜けているバイアルに専用のスクリーンの部分は、その/それらのチャネル(複数可)から薬物が全く送出されないことを示すことになる。
【0173】
先に論じたように、薬物バイアルスパイク120の設計は、処置中に、ベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)バイアル116、118が完全に排出されることを保証するのに役立つ。特に、各バイアル116、118のゴムシール123内に生成される外側隆起は、ゴムシール123の内側表面に沿って円板状凹所を生成する。この凹所は、薬物の実質的に全てがバイアル116、118から出て、フィーダライン122内に流れることを保証する漏斗として機能する。従来は、薬物バイアルは、バイアル内にバイアルラベルが示すよりわずかに大きな容積の薬剤を含むように充填された。これは、従来の
薬物送達機構がバイアルから薬物の全てを排出することができないことによっていた。本明細書で述べる薬物バイアルスパイク120は、薬物がバイアル内に捕捉され、バイアルと共に廃棄されることを防止するのに役立ちうる。そのため、薬物送達システム102で使用されるバイアル116、118は、過剰充填される必要がない。
【0174】
所望の量のベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)を送出した後、薬物送達デバイス103が停止され、薬物投与流体ラインセット107およびバイアル116、118が薬物送達デバイス103から取除かれ、廃棄される。
【0175】
一部の実施態様では、1つのバイアルから次のバイアルへのそれぞれの移行の間に、フィーダライン122を介して、気泡が薬物送出ライン104内に引き込まれる。特に、新たに空になったバイアルからフィーダライン122内に空気が引き込まれ、その結果得られる気泡が、ドリップチャンバ106に送出され、ドリップチャンバ106で、気泡がシステムから取除かれる。気泡は、フィーダライン122からドリップチャンバ106に移動するときに、以前に使用されたバイアルからの残りの薬剤を、フィーダライン122、薬物送出ライン104、ならびにフィーダライン122と薬物送出ライン104との間の種々のラインおよび接続から取除く。これは、バイアルから排出された薬物が全て患者に送出されることを保証するのに役立つ。それはまた、同じ/単一ポンプを通して延びる同じラインによって送出される2つの別個の薬物の混合を低減する(たとえば、なくす)。多くの薬物は、患者に送出される前に混合される場合、患者による有害な反応をもたらす可能性がある。この技法は、こうした薬剤が患者の血液に達する前に混合することを防止するのに役立ちうる点で有利である。
【0176】
いくつかの実施態様では、制御ユニットは、フィーダライン122、薬物送出ライン104、ならびに、不適合薬物を含むバイアル間だけのフィーダライン122と薬物送出ライン104との間に配置されたラインセグメントおよび接続を気泡が通過するように、薬物送達デバイス103のコンポーネントを作動させる。たとえば、制御ユニットは、次の薬物チャネル内の異なる薬剤の別のバイアルを検出する場合、気泡が、薬物送出ライン104に向かって泡検出器128および閉塞器130を通過することを可能にしてもよい。そのため、上述した例示的な方法では、処方量のベノファー(登録商標)の送出後に、ベノファー(登録商標)バイアル116に関連するフィーダライン122を通り、閉塞器130を超えて気泡が通過することになるが、こうした気泡は、3つのエポゲン(登録商標)バイアル118間で移行するときに、ラインを通過してドリップチャンバに至ることはない。
【0177】
比較的小さな内径を有することによって、薬物の実質的に全てを、フィーダラインおよび薬物送出ラインから取除く気泡の能力が改善されることが発見された。一部の実施態様では、フィーダライン122、薬物送出ライン104、ならびにフィーダライン122と薬物送出ライン104との間のラインセグメントおよび接続は、約0.030インチの内径および約0.125インチの外径を有する。しかし、ラインおよび接続は、この目的に適した異なる径を有しうる。
【0178】
いくつかの実施態様では、ポンプ132の作動速度は、薬物がそこから引出されるバイアル116、118内の薬物の量が減少するにつれて徐々に増加する。そのバイアル内の薬物の量が減少するにつれて、バイアル内にわずかな負圧が生成される。この負圧は、ポンプ速度が一定のままである場合、バイアルからの薬物の流量の減少をもたらしうる。そのため、バイアルから薬物が引出されるにつれて、ポンプ速度を徐々に増加させることは、薬物送達プロセス全体を通して、バイアルからの薬物の実質的に一定の流量を維持するのに役立ちうる。
【0179】
いくつかの実施態様が述べられたが、他の実施態様が可能である。
双安定部材148の上部表面は、実質的に平滑であるとして示されるが、いくつかの実施態様では、 双安定部材148はそれぞれ、その上部表面から延在する隆起特徴部(たとえば、隆起部材)を備える。隆起特徴部は、薬物バイアルスパイク120の薬物バイアル凹所内への薬物バイアルの挿入が、双安定歩合148を第2の位置にスナップ式に入れるのに十分な距離だけその関連するアパーチャ内に移動させることを保証するのに役立ちうる。突出部は、たとえば、薬物バイアルスパイク120のベース130内の関連する開口内に双安定部材が十分に遠くまで押し下げられることを保証するのに十分な長さまたは高さを有する細長いロッドであることができ、それにより、薬物バイアルスパイク120のバイアル凹所内に薬物バイアル116、118が完全に挿入されると(たとえば、薬物バイアル116、118のキャップ119が、薬物バイアルスパイク120のベース130に接触すると)、双安定部剤が第2の位置にスナップ式に入れられる。
【0180】
薬物バイアル116、118が、薬物バイアルスパイク120上に装填されると薬物バイアルスパイク120によって接触される板ばね152は実質的に平滑であるとして示されたが、いくつかの実施態様では、鋭利な突出部が、それぞれの板ばね152の表面から延在する。板ばね152は、屈曲に対する十分な抵抗を提供し、突出部は、薬物バイアル116、118を薬物バイアルスパイク120上に装填するためにオペレータがバイアル116、118を板ばね152に当てて押し下げるときに、バイアル116、118のキャップをゴムシール123内に窪ませるのに十分鋭利でありうる。いくつかの実施態様では、板ばね152はそれぞれ、薬物バイアルスパイク120のベース138に向かって屈曲する前に、約1ポンド〜約20ポンド(たとえば、約1ポンド〜約10ポンド、約1ポンド〜約5ポンド、約5ポンド〜約10ポンド)の抵抗力を提供する。
【0181】
薬物バイアルスパイク120は、薬物バイアル116、118の挿入後に薬物バイアル116、118を薬物バイアルスパイク120のベース138から強制的に離すための板ばね152を含むとして述べたが、コイルばねなどの他のタイプのばねが使用されうる。ばねは、薬物バイアルスパイク(たとえば、薬物バイアルスパイクのベースまたは側壁)に取付けられる別個のコンポーネントでありうる、または、薬物バイアルスパイク(たとえば、薬物バイアルスパイクのベースまたは側壁)と一体に形成されうる。
【0182】
薬物バイアルスパイク120は、薬物バイアル116、118を取外し可能に支持するフランジを含むとして述べたが、クリップ、クランプ、プラスチック摩擦スリップフィット、エラストマーキャップフィット、磁気クランプ、バイアルネッククリップまたはクランプ、バイアル本体ばねクリップ、伸縮自在ロープなどを含むがそれに限定されない、他の一時的なバイアルロック機構または技法が使用されうる。
【0183】
先に論じた薬物バイアルスパイク120の中央スパイク136は、ゴムシール123を外に引出すために、その周囲表面とバイアル116、118のゴムシール123との間の摩擦に頼るだけであるが、他の技法が可能である。いくつかの実施態様では、図10に示すように、薬物バイアルスパイク220の中央スパイク236は、細長い円錐状先端242を含む。中央スパイク236の円錐先端242が薬物バイアル116、118内に挿入され、薬物バイアルスパイク220のベース138から延在するばね152によって、バイアルが押されて薬物バイアルスパイク220から離された後、円錐先端242は、バイアル116、118のゴムシール123の内側表面に係合する。この構成は、ゴムシール123の中央部が、バイアル116、118から離して引張られて、挿入されたバイアルのゴムシール123の内側表面に沿って窪みを生成するのに役立つ。結果として、この構成は、バイアル116、118内に含まれる薬物の全てが排出されうることを保証するのに役立つ。
【0184】
スパイク236の拡大した先端242は、円錐状であるとして述べられたが、スパイクが、バイアル116、118のゴムシール123を貫通し、その後、シール123の内側表面に係合することを可能にする種々の他の形状のうちの任意の形状の円錐状拡大特徴部が使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば図11に示すように、薬物バイアルスパイク320の中央スパイク336は、その側部表面から延在するバーブ342を含む。
【0185】
先に論じたように、カップ状薬物バイアルスパイク120、220、320の周囲側壁は、中央スパイク136、236、336が、バイアル116、118内に挿入する前に不注意に接触されることを防止するのに役立つ。別法としてまたは付加的に、他のスパイク保護デバイスが、上述した薬物バイアルスパイクの任意のスパイクと共に使用されうる。いくつかの実施態様では、上述したスパイク組立体のスパイクは、薬物バイアルをスパイク上に装填する前に取除かれることができる保護カバーを備える。カバーは、スパイクが、スパイクを汚染する可能性がある物体と物理的接触状態になることを防止するのに役立ちうる。たとえば、カバーは、薬物バイアルをスパイク上に装填している間に、ユーザが自分自身を偶発的に傷付けないことを保証するのに役立ちうる。カバーはまた、スパイクを含む薬物投与流体ラインセットがその中に入ってユーザに提供される無菌バッグを穿刺することを防止するのに役立ちうる。
【0186】
図12を参照して、1つのこうしたスパイクカバー160は、細長い構造164から下に延在する管状部材162を含む一体型プラスチック構造である。管状部材162は、薬物投与流体ラインセット107の薬物バイアルスパイク120の複数の中央スパイク136が、バイアル116、118内への挿入の前にその中に配設されるキャビティを形成する。キャビティは、システムのオペレータが所望の時間にスパイク136からカバー160を手動で取外すことを可能にしながら、スパイク136上にバイアル116、118を装填する前に、カバー160が、スパイク136から落ちるか、または、不注意に打ち落されることを防止するのに十分な力で、これらのキャビティを形成する管状部材162の部分が、関連するスパイク136を把持するようにサイジングされ形作られる。スパイク136から取外すためにオペレータがカバー160を容易に把持することを可能にするためのリップまたはオーバハングが、カバー160の細長い部材164の周囲の周りに延在する。このリップまたはオーバハングの代替としてまたはそれに加えて、カバー160は、ユーザがスパイクからカバー160を順次剥ぐことを可能にするために、一端から延在するタブを含みうる。
【0187】
薬物投与流体ラインセット107は、Tコネクタ124およびラインセグメント126を介して主薬物送出ライン104に接続する複数のフィーダライン122を含むとして述べられたが、他の配置構成が可能である。一部の実施態様では、たとえば、フィーダライン122は、フィーダライン122から薬物送出ライン104内に薬物が直接給送されることができるように、薬物送出ライン104に溶接される、または、接着接合される。あるいは、フィーダライン122および薬物送出ライン104は、同じ効果を達成するために、互いに一体でありうる。
【0188】
図13は、フィーダライン122が、離間した構成でフレーム166によってその中に保持される少し修正された薬物投与流体ラインセット207を示す。フレーム166は、その底部縁に沿って、図2で先に示したTコネクタ124およびラインセグメント126と同様の方法で機能する多岐管168、多岐管168から延在する2つの側部支持部材170、172、および2つの側部支持部材170と172との間に延在する上部支持部材174を含む。側部支持部材170、172は、それぞれ、底部端および上部端で多岐管168および上部支持部材174に取付けられる(たとえば、熱接合される、接着接合される、または機械的に取付けられる)。フィーダライン122は、同様に、多岐管168
と上部支持部材174との間に延在し、多岐管168および上部支持部材174に取付けられる(たとえば、熱接合される、接着接合される、または機械的に取付けられる)。
【0189】
多岐管168、側部支持部材170、172、および上部支持部材174は、通常、フィーダライン122がそこから作られる1つまたは複数の材料より剛性が高い1つまたは複数の材料で形成される。いくつかの実施態様では、多岐管168、側部支持部材170、172、および上部支持部材174は、ポリカーボネートまたはAMSで形成される。しかし、別法としてまたは付加的に、他の比較的剛性がある材料が使用されうる。フレーム166の構成および材料のために、フレーム166は、その全体的な長方形形状を維持するのに十分な剛性があり、したがって、フィーダライン122を、互いに対して実質的に固定位置に維持することが可能である。
【0190】
やはり図13を参照して、薬物バイアルスパイク120は、フレーム166の上部支持部材174に固定される。薬物バイアルスパイク120は、たとえば、上部支持部材174に熱接合されうる、接着接合されうる、または機械的に取付けられうる。フィーダライン122は、その関連する薬物バイアルスパイク120および多岐管168の長さに沿って延在する中央通路と流体連通状態にある。そのため、薬物バイアルスパイク120の中央スパイク136がバイアル116、118のゴムシール123に貫入すると、薬物が、フィーダライン122を通り、多岐管168の中央通路内に流れうる。薬物送出ライン104は、同様に多岐管168に接続され、多岐管168の中央通路と流体連通状態にある。結果として、使用中、薬物は、バイアル116、118から薬物送出ライン104へ、そして最終的に、血液回路のドリップチャンバ106に移動でき、ドリップチャンバ106で、薬物が患者の血液と混合する。
【0191】
フレーム166が、互いに対して実質的に固定位置でフィーダライン122を支持するため、上述した薬物投与流体ラインセット207の装填が簡略化される。たとえば、フィーダライン122の1つを、薬物送達デバイス130上の関連するコンポーネント(たとえば、気泡検出器128および閉塞器130)内に装填した後、残りのフィーダライン122は、フレーム166の剛性のために、薬物送達デバイス103の関連するコンポーネントと一般に整列することになる。そのため、オペレータは、残りのフィーダライン122を、これらのフィーダラインを最初に識別し、ほどく必要なしで、関連する薬物送達デバイスのコンポーネント内により容易に装填しうる。
【0192】
上述した薬物送達デバイス103は、フィーダライン122から薬物送出ライン104への薬物の流れを制御するように作動する単一薬物ポンプ132および複数の閉塞器130を含むが、薬物の流れを制御する他の配置構成が使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、フィーダライン122はそれぞれ、それ自身の関連するポンプ(たとえば、蠕動ポンプ)に接続され(たとえば、ねじ込まれ)うる。こうした一部の実施態様では、薬物送達デバイス103は、薬物送出ライン104に接続されたポンプを含まず、フィーダライン122を閉塞させる別個の閉塞器を含まない。むしろ、フィーダライン122に接続される、薬物送達デバイスのポンプは、その関連するバイアル116から薬物を選択的に引出し、ポンプが作動中でないとき、その関連するフィーダライン122を閉塞させるように個々に作動されうる。
【0193】
中央スパイク136、236、336がバイアル116、118のゴムシール123を貫通するように、薬物バイアル116、118が、薬物バイアルスパイク120、220、320の中央スパイク136、236、336上に手動で押し付けられる、薬物送達デバイス103を使用する方法が述べられたが、別法としてまたは付加的に、薬物送達デバイス103は、薬物バイアル116、118が薬物バイアルスパイク120、220、320上に自動的に装填されるように、1つまたは複数の可動薬物バイアルホルダを装備し
うる。薬物送達デバイス103は、たとえば、バイアルホルダおよびバイアルホルダ内に含まれるバイアル116、118が、薬物バイアルスパイク120、220、320に対して移動(たとえば、下に移動)できるように、薬物バイアルスパイク120、220、320に対して可動であるバイアルホルダを含むことができ、中央スパイク136、236、336に、バイアル116、118のゴムシール123を貫通させる。いくつかの実施態様では、バイルホルダは、手動で移動されるように構成される。バイアルホルダは、たとえば、ユーザが、バイアル116、118の全てを同時にスパイキングする(spike)
ことを可能にする機構に接続されうる(たとえば、機構のレバーを操作することによって)。別法としてまたは付加的に、バイアルホルダの移動は自動化されうる。薬物バイアルスパイク120、220、320に対してバイアルホルダを移動させる機構は、たとえば、バイアルホルダおよびバイアルホルダ内のバイアル116、118を薬物バイアルスパイク120、220、320に対して移動させるように作動されうる1つまたは複数のモータに接続されうる。
【0194】
同様に、薬物送達システム102は、薬物バイアルスパイク120、220、320上にバイアル116、118が装填された後、バイアル116、118を上向きに押しやるように構成される薬物バイアルスパイク120、220、320を含むとして、かつ/または、スパイキングプロセス中に薬物バイアルのゴムシール123がバイアル内の内側に隆起することを阻止するために、バイアル116、118のキャップ119内に窪みを形成する鋭利な突出部を含むとして述べられたが、薬物バイアルのゴムシールの内側への隆起を阻止する他の機構が使用されうる。薬物送達デバイスは、たとえば、上部および底部部材を有するバイアルホルダを含むことができ、上部および底部部材は、上部部材と底部部材との間でバイアルを支持するように構成され、上部部材と底部部材との間でバイアルが圧迫されるように互いに対して可動である。バイアルの首部とキャップとの間に配置されたゴムシールは、上部および底部部材が互いに向かって移動するにつれて圧迫される。ゴムシールがその関連するスパイクによって貫通されるときに、ゴムシールがバイアルの本体内の内側に隆起することを実質的に防止するのに十分な圧迫力が、この技法を使用してゴムシールに加えられうることがわかった。いくつかの実施態様では、薬物送達デバイス103は、関連する薬物バイアルスパイクに対して移動するように構成されるバイアルホルダ、および、上部および底部部材であって、上部部材と底部部材との間でバイアル116、118が圧迫されることを可能にするために互いに対して可動である、上部および底部部材を装備する。こうしたバイアルホルダは、2つのステージで作動しうる。第1のステージ中には、バイアルホルダの上部および底部部材は上部部材と底部部材との間でバイアル116、118を圧迫するために共に移動し、第2のステージ中には、バイアルホルダは、スパイクに対して移動して、関連する薬物バイアルスパイクをバイアル116、118のゴムシール123に貫通させる。
【0195】
薬物送達デバイス103は、薬物送達デバイス103の種々の機能を制御できる制御ユニットを含むとして述べられたが、いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、代わりに、血液透析機の制御ユニットに接続され、その制御ユニットは、薬物送達デバイスを上述した方法で作動させるようにプログラムされる。同様に、薬物送達デバイス103は、処方薬物用量などの情報を薬物送達デバイス103内に入力するために使用されうるユーザインタフェースを含むとして述べられたが、いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、こうしたユーザインタフェースを含まず、代わりに、薬物送達デバイスが取付けられる血液透析機のユーザインタフェースが、薬物送達デバイスを作動させるのに必要とされる情報を入力するために使用される。
【0196】
図14は、エポゲン(登録商標)およびベノファー(登録商標)などの薬物を、血液透析機701に接続された血液回路に送出する薬物送達システム702を含む別の血液透析システム700を示す。薬物送達システム702は、血液透析機701の面に取付けられ
、その面で露出されるモジュール式薬物送達デバイス703、および、薬物送達デバイス703に接続される使い捨て薬物投与流体ラインセット(本明細書で薬物投与流体ラインカセットとも呼ばれる)707を含む。図13に関して述べた薬物投与流体ラインセットと同様である使い捨て薬物投与流体ラインカセット707は、薬物送達デバイス703のドア704と内側面との間に形成されたカセットコンパートメント内に配設され、薬物バイアル116、118からの薬物を、血液透析機701に接続された血液回路のドリップチャンバ106に輸送するために使用される。
【0197】
図15は、その保護スパイクカバー760がそのスパイク736から取除かれた状態の薬物投与流体ラインカセット707を示す。図示するように、フィーダライン122は、離間した構成でカセット707のフレーム166によって保持される。多岐管168、2つの側部支持部材170、172、および上部支持部材174を含むフレーム166に加えて、カセット707は、2つの側部支持部材170と172との間に延在するクロスバー776を含む。クロスバー776は、フィーダライン122がその中に受取られ保持される凹んだ領域778を含む。さらに、六角形穴780が、カセット707の前部表面(すなわち、薬物送達デバイス703のカセットコンパートメント内にカセット707が装填されると、薬物送達デバイス707のドア704の内側表面に接触するカセット707の表面)内に設けられる。以下で述べるように、これらの穴780は、ドア704の内側表面から延在する六角形突出部706に嵌合して、使用中にカセット707をドア704に固定し、また、適切なカセット(たとえば、薬物送達デバイス製造業者によって薬物送達デバイス703と共に使用するために意図されたカセット)だけが薬物送達デバイス703と共に使用されることを保証するのに役立つ。
【0198】
やはり図15を参照して、スパイク736は、カセット707の上部支持部材174に取付けられ(たとえば、熱接合され、接着接合され、かつ/または機械的に取付けられ)、そこから上に延在する。スパイク736は、薬物バイアルスパイク120に関して上述した中央スパイク136の構成と同様の構成を有しうる。たとえば、スパイク736はそれぞれ、スパイクの長さに沿って延在する中央チャネルおよび中央チャネルにつながるスパイクの外側表面に沿う2つの開口(たとえば、チャネルまたはスロット)を含みうる。各スパイクの中央チャネルは、上部支持部材174を通って延在する垂直通路に整列しかつ流体接続される。
【0199】
フィーダライン122は、上部支持部材174を通って延在する垂直通路を介してその関連するスパイク736と流体連通状態にある。フィーダライン122はまた、多岐管168を通って延在する中央通路と(多岐管168の上部表面内の開口を介して)流体連通状態にある。薬物送出ライン104は、同様に、多岐管168に接続され、多岐管168の中央通路と流体連通状態にある。そのため、スパイク736が、使用中にバイアル116、118のゴムシール123に貫入すると、薬物が、フィーダライン122、多岐管168、薬物送出ライン104を通り、ドリップチャンバ106内に流れうる。
【0200】
多岐管168、側部支持部材170、172、上部支持部材174、およびクロスバー776は、通常、フィーダライン122がそこから作られる1つまたは複数の材料より剛性が高い1つまたは複数の材料で形成される。こうした比較的剛性がある材料の例は、ポリカーボネートおよびAMSを含む。しかし、別法としてまたは付加的に、他の比較的剛性がある材料が使用されうる。カセット707のフレーム166およびクロスバー776の構成および材料のために、フィーダライン122は、互いに対して実質的に固着された位置で支持される。この構成の結果として、薬物送達デバイス703のカセットコンパートメント内への薬物投与流体ラインカセット707の装填が簡略化される。
【0201】
やはり図15を参照して、スパイクカバー760は、上部構造764から延在する複数
の管状部材762を含む。種々の管状部材762が、スパイク部材760に追加剛性を提供する壁セグメント765によって相互接続される。スパイクカバー760は、図12に関して上述されたスパイクカバー160と同様の方法で使用される。スパイクカバー760は、スパイク736上にバイアル116、118を装填する前に、カセット707のスパイク736から取外される。
【0202】
薬物送達デバイス703のカセットコンパートメント内のカセット707を示す図14を再び参照して、カセット707のスパイク736は、バイアルホルダ708および710内にそれぞれ保持されるバイアル116および118内に挿入されている。蠕動
ポンプ732は、ポンプ732の1つが作動すると、薬物が、そのポンプに関連するバイアル116、118から引出され、フィーダライン122、多岐管168、および薬物送出ライン104を介して血液回路のドリップチャンバ106に送出されるように、薬物送達デバイス703の内側面から延在し、(カセット707のクロスバー776と多岐管168との間の)フィーダライン122に整列する。
【0203】
図16が、ドア704が開口し、薬物投与流体ラインカセット707が取外された状態の薬物送達デバイス703を示す。図示するように、ドア704の内側表面は、カセット707の剛性フレーム166を受取るように構成される凹んだ領域712およびフィーダライン122を実質的に変形させることなく、カセット707のフィーダライン122を受取るように構成される細長いスロット714を含む。いくつかの実施態様では、凹んだ領域712およびスロット714は、カセット707のフレーム166およびフィーダライン122が、凹んだ領域712およびスロット714内にそれぞれスナップ式に入り、したがって、ドア704に取外し可能に固定されることができるようにサイジングされる。ドア704の内側表面はまた、カセット707がドア704内に装填されると、カセット707内に形成された六角形穴780内に嵌合するように構成される六角形突出部706を含む。六角形突出部706は、薬物投与流体ラインカセット707をドア704に固定するスナップ嵌めまたはピッタリしたプレス嵌めを生成するようにサイジングされ形作られうる。
【0204】
さらに、ドア704の内側表面は、ドア704が閉鎖されると、薬物送達デバイス703の蠕動ポンプ732のローラ部材を受取る凹所またはレースウェイ718を画定するばね式部材716を含む。ばねは、各部材716の上部および底部領域ならびにドア704内の内部固着部材に接続されて、蠕動ポンプ732のローラとの接触に応答して、または、部材716と蠕動ポンプ732のローラとの間に配置されたフィーダライン122との接触に応答して部材716が撓むことを可能にする。
【0205】
やはり図16を参照して、蠕動ポンプ732は、薬物送達デバイス703の面にわたって離間した構成で配置される。各蠕動ポンプ732は、回転可能フレーム、および、フレームの周囲の周りに回転可能に配置された複数のローラ733を含む。蠕動ポンプ732は、薬物送達デバイス703の面に実質的に平行な方向に延在する軸を中心に回転するように構成される。カセット707が、薬物送達デバイス703の内側面と閉鎖したドア704との間のカセットコンパートメント内に配置されると、フィーダライン122は、ポンプ732に整列し、したがって、ドア704内のばね式部材716のレースウェイ718内に押し込まれる。ばね式部材716のばねによって提供されるばね力は、レースウェイ718とローラ733との間の余裕を奪うのに役立ち、したがって、レースウェイ718とローラ733との間に配置されたフィーダラインの一定の圧迫力が加えられることを保証するのに役立つ。ポンプ732の作動中、ローラは、(図16に示す図において)上部から底部へ回転し、したがって、流体のピローを関連するフィーダライン122を通して下に押出す。これは、関連するバイアル116、118に負圧を引き入れ、薬物をバイアル116、118からフィーダライン122内に引出させる。
【0206】
蠕動ポンプ732の回転可能フレーム730の周囲の周りのローラの間隔は、薬物送達デバイス703のドア704が閉鎖されると、ローラ733の少なくとも1つが、関連するばね式部材716のレースウェイ718内に配置されるように選択される。これは、ポンプ732とレースウェイ718との間に配置されたフィーダライン122が、少なくとも1つのロケーションで常に閉鎖され、したがって、ポンプ732が作動中でないときに、フィーダライン122を通して多岐管168へ薬物が通過することを防止するのに役立つ。
【0207】
いくつかの実施態様では、部材716をドア704の内部構造に接続させるばねは、ポンプ732の作動中に蠕動ポンプ732のローラに加えられる力を変更するために、調整されうる、または、置換されうる。薬物送達デバイス703のドア704に対する比較的容易なアクセス性が、このプロセスを容易にいうる。さらに、蠕動ポンプ732ではなくばね式のレースウェイ部材716自体が、薬物送達デバイス703の設計を容易にし、したがって、その製造コストを低減しうる。
【0208】
図17は、蠕動ポンプ732のドライブ機構720を示す。ドライブ機構はそれぞれ、出力シャフト724を有する電気モータ722を含む。ウォーム歯車726は、出力シャフト724の端上に配置され、関連する蠕動ポンプ732のフレーム730に固定される歯車729に係合するように構成される。蠕動ポンプ732を駆動するために、電力がモータ722に供給され、出力シャフト724および出力シャフト714に取付けられたウォーム歯車726を回転させる。ウォーム歯車726とフレーム730の歯車729との係合は、フレーム730およびフレーム730に取付けられたローラ733を、固着された支持ロッド734を中心に回転させる。各蠕動ポンプ732は、それ自身のドライブ機構720を有するため、蠕動ポンプ732は、任意の時間に薬物バイアル116、118から薬物が引出されうるように独立して作動されうる。蠕動ポンプ732の速度、したがって、バイアル116、118から薬物が引出されるレートは、モータ722に供給される電力または電圧を変更することによって変更されうる。
【0209】
再び図16を参照して、先にさらに詳細に述べられた泡検出器128はまた、蠕動ポンプ73の上で薬物送達デバイス703の内側面にわたって離間した構成で配列される。先に論じたように、泡検出器128は、フィーダライン122内の気泡を検出することが可能であり、したがって、特定のフィーダライン122に関連する薬物バイアル116、118が処置中に空であるかどうかを判定するために使用されうる。
【0210】
モジュール式薬物送達デバイス703の薬物バイアルホルダ708は、単一ベノファー(登録商標)バイアル116を支持するように構成され、薬物バイアルホルダ708は、3つまでのエポゲン(登録商標)バイアル118を支持するように構成される。薬物バイアルホルダ708は、その間に単一ベノファー(登録商標)バイアル116を保持しうる上部部材738および底部部材740を含む。底部部材740は、反転したバノファー(登録商標)バイアル116のキャップが載ることができる上部表面を有する。いくつかの実施形態では、底部部材740は、バイアル116のキャップ119(またはキャップ119の一部分)を受取るようにサイジングされ形作られる凹所を含む。この凹所は、バイアル116がバイアルホルダ708内に適切に配置されることを保証するのに役立ちうる。薬物バイアルホルダ708の底部部材740はまた、薬物投与流体ラインカセット707の関連するスパイク736が、使用中に、底部部材740を通過し、ベノファー(登録商標)バイアル116のゴムシール123を貫通することを可能にする貫通開口を画定する。
【0211】
薬物バイアルホルダ708の上部および底部部材738、740は、薬物バイアルが両
方の部材の間で圧迫されうるように互いに対して可動である。さらに、薬物バイアルホルダ708は、全体として、カセット707が薬物送達デバイス703のカセットコンパートメント内に配設されると、薬物送達デバイス703の内側面に対して、また、薬物投与流体ラインカセット707の関連するスパイク736に対して垂直方向に可動である。結果として、カセット707がカセットコンパートメント内に配設されると、薬物バイアルホルダ708の上部および底部部材738、740は、カセット707の関連するスパイク736をバイアル116のゴムシール123に貫通させるために、ベノファー(登録商標)バイアル116と共に一体的に移動されうる。
【0212】
使用中にエポゲン(登録商標)バイアル118を支持する薬物バイアルホルダ710は、上述した薬物バイアルホルダ708と同様である。特に、この薬物バイアルホルダ710はまた、その間に3つのエポゲン(登録商標)バイアル118が支持されうる上部および底部部材742、744を含み、底部部材744は、バイアル118のゴムシール123を貫通するためにカセット707のスパイク736がそこを通過できる3つの開口を画定する。一部の実施態様では、底部部材744の上側表面は、エポゲン(登録商標)バイアル118のキャップ119を受取り、バイアル118がバイアルホルダ710内に適切に配置されることを保証するのに役立つ凹所を画定する。これらの凹所は、たとえば、カセット707のスパイク736がバイアル118のゴムシール123を貫通することを可能にするために、バイアル118が、底部部材744内の開口に整列されることを保証するのに役立ちうる。
【0213】
図18は、薬物バイアルホルダ710および708をそれぞれ作動させるために使用されうるドライブ機構746および747を示す。ドライブ機構746は、薬物バイアルホルダ710の上部および底部部材742、744を移動させて、エポゲン(登録商標)バイアル118のゴムシール123がバイアル118のキャップ119と首部121との間でクランプされるか圧迫され、また、薬物投与流体ラインカセット707のスパイク736がバイアル118のゴムシール123に貫通するようにさせうる。同様に、ドライブ機構748は、薬物バイアルホルダ708の上部および底部部材738、740を移動させて、ベノファー(登録商標)バイアル116のゴムシール123がバイアル116のキャップ119と首部121との間でクランプされるかまたは圧迫され、また、カセット707のスパイク736がバイアル116のゴムシール123に貫通するようにさせうる。ドライブ機構746、747は、薬物送達デバイス703の内側面の背後で血液透析機701のハウジング内に配置される。そのため、ドライブ機構746、747は、通常、ユーザに見えないことになる。ドライブ機構746、747が、一般に同じ構造および機能を有するため、ドライブ機構746の構造および機能が詳細に述べられるだけである。
【0214】
やはり図18を参照して、ドライブ機構746は、薬物送達デバイス703の面またはハウジングに固着される上部および底部支持体749、750内のボア内で回転可能に配設されるドライブシャフト748を含む。ドライブシャフト748の上部および底部端領域は、たとえば、ドライブシャフト748が上部および底部支持体749、750に対して回転することを可能にする軸受け(たとえば、玉軸受け)によって上部および底部支持体749、750に接続されうる。ドライブシャフト748の少なくとも上部領域はねじ式である。支持壁751は、その上部および底部点において上部支持体749および底部支持体750にそれぞれ固着される。垂直支持壁751は、薬物送達デバイス703の面またはハウジングに対して固着される。
【0215】
上部および底部部材伸張部752および753は、上部および底部部材742、744の右および左端領域の近くで、薬物バイアルホルダ710の、それぞれ、上部および底部部材742および744のそれぞれの後から延在する。上部および底部部材伸張部752および753は、薬物送達デバイス703の面内の垂直スロット754を通過し、したが
って、薬物送達デバイス703の面に対して上下に自由に移動する。結果として、薬物バイアルホルダ710の上部および底部部材742、744は、薬物送達デバイス703の面に対して上下に移動することが可能になる。クロスバー755は、2つの上部部材伸張部752の間で水平に延在し、これらの伸張部752に対して対向する端領域で取付けられる。同様に、クロスバー756は、2つの低部部材伸張部753の間で水平に延在し、これらの伸張部753に対して対向する端領域で取付けられる。クロスバー755、756はそれぞれ、ドライブシャフト748が通過する穴を含む。穴は、通常、クロスバー755、756がドライブシャフト748に接触することなくドライブシャフト748に沿って垂直に移動しうるように、ドライブシャフト748の外径より大きな径を有する。
【0216】
上部および底部部材伸張部752、753の内部表面(すなわち、ドライブシャフト748に向く表面)は、垂直支持壁751の対向する側部表面から延在する直線ガイド757を受取るように構成される垂直チャネルを含む。この配置構成は、2つの上部部材伸張部752が、伸張部がスロット754に沿って上下に移動するときに、互いに対して実質的に同じ高さのままであり、かつ、薬物送達デバイス703の面に実質的に垂直のままであることを保証するのに役立つ。同じ効果が、2つの低部部材伸張部753に関して達成される。直線ガイド757は、摺動する上部および底部部材伸張部752、753に加えられる抵抗を低減するために、ポリオキシメチレン(商標デルリン(Delrin)の下で販売され、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, DE)のDupontから入手可能)などの低摩擦材料で形成されうる。
【0217】
やはり図18を参照して、ドライブ部材(たとえば、ボールねじ)758は、クロスバー755に対して垂直にまたは回転して移動することを防止されるように上部クロスバー755に取付けられる。ドライブ部材758は、ドライブシャフト748の上部ねじ式領域のねじ山に係合するように構成されるねじを有する中央通路を含む。ドライブ部材758がドライブシャフト748に介して実質的に回転できないことと組合せたこれらのねじ山の係合は、ドライブシャフト748が回転するにつれて、ドライブ部材758をドライブシャフト748に沿って垂直に移動させる。ドライブ部材758がドライブシャフト748に沿って上に移動するか、または、下に移動するかは、ドライブシャフト748の回転方向に依存する。ドライブ部材758が、バイアルホルダ710の上部部材742に取付けられる上部部材伸張部752に固着されるクロスバー755に固着されるため、ドライブシャフト748の回転は、バイアルホルダ710の上部部材742を、薬物送達デバイス703の面に対して上下に移動させうる。
【0218】
先に論じたように、上部部材伸張部752と底部部材伸張部753の両方は、直線ガイド757に沿って載る。上部および底部部材伸張部752、753は、バイアル118がバイアルホルダ710内に配設されると、上部部材伸張部752が下に移動しても、上部および底部部材伸張部752、753が、互いに接触しないように配置される。ある地点で、上部部材伸張部752が低部部材伸張部753に対して下に移動すると、薬物バイアルホルダ710の上部部材742がバイアル118に接触し、バイアル118は、薬物バイアルホルダ710の上部部材742と底部部材744との間で圧迫されることになる。
【0219】
ばね759は、底部クロスバー756と底部支持体750との間に配設され、底部クロスバー756および底部支持体750に取付けられる。薬物バイアルホルダ710の上部部材742が、底部部材744に向かって下に移動し、反転バイアル118の底部表面に接触するにつれて、ばね759に力が加えられる。ばね力係数は、この力が、薬物バイアルホルダ710の底部部材744が下に移動することを最初は可能にしないように選択される。代わりに、上部部材742の下向き移動は、バイアル118のキャップ119と首部121との間でバイアル118のゴムシール123を圧迫させる。この効果を達成するために、ばね759は、バイアル118のゴムシール123の集合的ばね力係数より大き
いばね力係数を有する。いくつかの実施態様では、ばねは、約1ポンド〜約20ポンド(たとえば、約1ポンド〜約10ポンド、約1ポンド〜約5ポンド、約5ポンド〜約10ポンド)の抵抗力を提供するように構成される。バイアル118のキャップ119と首部121との間でのゴムシール123の圧迫は、バイアル118のキャップ119および首部121に対するゴムシール123の移動を阻止する。これは、有利には、薬物投与流体ラインカセット707のスパイク736がゴムシール123を貫通するときに、ゴムシール123がバイアル内に隆起することを阻止しうる、または、防止しうる。このスパイキング技法は、以下でより詳細に述べられる。
【0220】
歯車761は、ドライブシャフト748の底部端領域に取付けられる。このドライブシャフト歯車761は、モータ(たとえば、電気モータ)766の出力シャフトに接続される歯車763に係合する。モータ766が作動すると、出力シャフトおよび出力シャフトに接続された歯車763が回転する。これは、ドライブシャフト歯車761およびドライブシャフト748を回転させる。結果として、モータ766の作動は、薬物バイアルホルダ710の底部部材744に対して薬物バイアルホルダ710の上部部材742を移動させ、上部部材742と底部部材744との間でバイアル118を圧迫した後に、上部および底部部材742、744ならびに上部部材742と底部部材744との間のバイアル118を、薬物送達デバイス703の面に対して実質的に固着される薬物投与流体ラインカセット707のスパイク736に対して一体的に移動させるために使用されることができる。
【0221】
再び図14〜16を参照して、薬物送達デバイス703の薬物バイアルホルダ708、710は、バイアルの存在を検知する、設置される薬物バイアルのタイプを識別する、薬物バイアルのサイズを検出する、かつ/または、薬物バイアルの質量を検出するための、上述した種々のタイプのセンサのうちの任意のセンサを装備しうる。
【0222】
薬物送達デバイス703はまた、薬物送達デバイス103に関して上述した制御ユニットと同様の制御ユニットを含む。制御ユニットは、泡検出器128、薬物ポンプ732、および種々のセンサを含む薬物送達デバイス703の種々のコンポーネントに電力供給し制御しうる。たとえば、制御ユニットは、ある時間にポンプ732の1つだけが作動中であることを保証するようにポンプ732を制御しうる。これは、処置中のある時間にバイアル116、118の1つだけから薬物が引出されることを保証するのに役立つ。(ポンプ732の作動を監視することに基づいて)処方容積の薬物が送出されたと判定すると、制御ユニットは、その薬物バイアル116、118に関連するポンプ732をターンオフし、送出される次の薬物を含む薬物バイアル116、118に関連するポンプ732をターンオンしうる。さらに、バイアルの全溶液が排出された後、空気が、そのバイアルに関連するフィーダライン122内に吸引され、泡検出器128によって検出されることになる。応答して、制御ユニットは、空のバイアルに関連するポンプ732をターンオフし、送出される次の薬物を含むバイアルに関連するポンプ732をターンオンしうる。
【0223】
さらに、入力された処置情報に整合しない薬物バイアルIDセンサから信号を受信すると、アラーム(たとえば、可聴および/または視覚アラーム)が起動されうる。別法としてまたは付加的に、薬物送達デバイス103は、バイアルの正しい組合せをセンサが検出するまで、処置が始動できないように構成されうる。
【0224】
薬物送達デバイス103のように、薬物送達デバイス703は、透析機701の血液ポンプが運転中であるかどうかを検知し、血液ポンプ108が停止している場合、薬物送出を一時停止するように構成される。この技法は、ドリップチャンバ106内での送出薬物の「プーリング」を防止する。
【0225】
やはり図14〜16を参照して、患者に関して血液透析を実施する血液透析システム700を使用する方法が、ここで述べられる。血液透析処置を開始する前に、透析機701の血液回路および透析回路を構成する種々のラインおよび通路が、プライミングされ、その後、患者ライン105が、患者に接続される。血液透析処置は、その後、血液および透析液回路を通して血液および透析液をそれぞれ循環させるために、透析機701の血液ポンプ108および透析液ポンプを起動させることによって始動される。
【0226】
血液透析処置を始動した後、血液透析システム700のオペレータ(たとえば、医師、看護師、医療補助者、患者)は、処方エポゲン(登録商標)用量を決定し、その後、処方エポゲン(登録商標)用量を送出するために使用されうる異なるバイアル組合せについて投与スケジュールを調べる。その後、オペレータは、オペレータの選好に基づいて、提供されるエポゲン(登録商標)バイアル組合せの1つを選択し、選択されたエポゲン(登録商標)バイアルを薬物バイアルホルダ内に装填する。オペレータはまた、ベノファー(登録商標)のバイアルを薬物バイアルホルダの1つの中に装填する。
【0227】
システムのオペレータは、その後、フレーム166およびフィーダライン122を、その対応する凹んだ領域712およびスロット714内に挿入することによって、使い捨て薬物投与流体ラインカセット707をドア704の内側表面に接続する。この結果として、ドア704の内側表面から延在する六角形状突出部706は、薬物投与流体ラインカセット707のフレーム166内に形成された整合穴780内に摺動する。六角形状突出部706および開口780の嵌め合い係合は、カセットフレーム122およびフィーダライン122のそれらの対応する凹んだ領域712およびスロット714内へのスナップフィットと共に、カセット707がドア704にしっかりと固着されたままになることを保証するのに役立つ。さらに、突出部706および開口780の独特の六角形形状は、薬物送達デバイス703と共に使用するために意図された薬物投与流体ラインカセットだけが使用されうる。たとえば、ドア704の六角形突出部706を受取ることが可能な穴を含まない薬物投与流体ラインカセットは、ドア704に適切に固定されることができない。これは、正しくないカセットが薬物送達デバイス703のカセットコンパートメント内に装填されたことをオペレータに示すことになり。多くの場合、ドア704が閉鎖することを防止し、したがって、薬物送達デバイス703がカセットと共に作動することを防止することになる。
【0228】
薬物投与流体ラインカセット707をドア704上に装填した後、オペレータは、閉鎖位置でドア704を支持するために、ドア704を閉鎖し、ラッチ767を固定する。カセット707が、所望の位置でドア704にしっかり締結されるため、ドア704が閉鎖されると、フィーダライン122が、その関連するポンプ732および泡検出器128に整列する。そのため、ドア704が閉鎖されるにつれて、突出する蠕動ポンプ732が、フィーダライン122を押してドア704の内側表面に沿って形成されたレースウェイ718内に入れ、また、ドア704の内側表面が、フィーダライン122を押して泡検出器128と係合状態にする。ドア704が閉鎖位置にある状態で、カセット707のスパイク736は、バイアルホルダ708、710の底部部材740、744内に形成された穴の真下に載る。
【0229】
ベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)の処方用量は、その後、薬物送達デバイス703の制御ユニットが通信状態にある血液透析機701のユーザインタフェース734を使用して、薬物送達デバイス703内に入力される。別法としてまたは付加的に、ベノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)の処方用量は、患者の処方担当医師によってアクセス可能なデータベースまたはウェブサイトから薬物送達デバイス703の制御ユニットに電子的に送信されうる。オペレータは、機械に入力されるかまたは送信された処方用量を再検討した後、血液透析機701のユーザインタフェース734上の
ボタン(たとえば、「受理(Accept)」または「確認(Confirm)」ボタン)を押すことによ
って、処方用量が正しいことを確認し、それが、スパイキングおよびプライミングプロセスを始動させる。
【0230】
簡潔に再び図18を参照して、バイアルスパイキングプロセスは、バイアルホルダ708、710に接続されたドライブ機構746、747のモータ766を起動することによって開始し、バイアルスパイキングプロセスは、まず、バイアル116、118のキャップ119と首部121との間でバイアル116、118のゴムシール123を圧迫するようにバイアルホルダ708、710にさせ、次に、ドライブ機構746、747の継続した作動によって、バイアル116、118のゴムシール123をカセット707のスパイク736が貫通するように十分に下にバイアル116、118を移動させる。特に、ドライブ機構746、747のモータ766の作動は、薬物バイアルホルダ708、710の上部部材738、742が、下に移動し、薬物バイアルホルダ708、710の上部部材738、742と底部部材740、744との間でバイアル116、118を圧迫するようにさせる。バイアル116、118のゴムシール123を薬物投与流体ラインカセット707のスパイク736が貫通するように薬物バイアルホルダ708、710の上部部材738、742および底部部材740、744が一体的に下に移動するようにさせる後続ステップの前に、バイアル116、118のキャップ119および首部121に対するゴムシール123の移動を阻止するのに十分な程度までゴムシール123が圧迫される。ゴムシール123の圧迫は、下に移動する上部部材738、742が、バイアル116、118に接触し、上部部材と底部部材との間でバイアルを圧迫するにつれて、薬物バイアルホルダ708、710の底部部材740、744の下向き力に対する初期抵抗から生じる。下向き力に対するこの抵抗は、底部クロスバー756と底部支持体750との間に配設されたばね759によって提供される。ゴムシール123が十分に圧迫された後、ドライブ機構746、747のモータ766は、運転し続け、薬物バイアルホルダ708、710の底部部材740、744、したがって、底部部材伸張部753に加えられる力は、ばね759を圧壊させるのに十分なレベルまで増加し、上部部材738、742およびバイアル116、118と共に底部部材740、744の下向き移動をもたらす。モータ766は、運転し続け、ついには、スパイク736が、薬物バイアルホルダ708、710の底部部材740、744内の開口を通過し、バイアル116、118のゴムシール123を貫通するようにさせるのに十分な距離だけバイアルホルダ708、710が下に移動する。ゴムシール123が、スパイク736によって貫通されている間、圧迫状態に維持されるため、バイアル116、118の首部121内へのゴムシール123の隆起が阻止されるかまたは防止されうる。
【0231】
いくつかの実施態様では、スパイキングプロセス中に起こった可能性があるゴムシール123の内向き隆起に対抗するために、スパイク736がバイアル116、118内に完全に挿入された後(たとえば、薬物バイアルホルダ708、710の底部部材740、744または薬物バイアル116、118のキャップ119が、スパイク136がそこから延在するベースまたは支持部材に接触した後)、モータ766が、短期間、逆方向に作動して、バイアルホルダ708、710が少し上に移動する。バイアルホルダ708、710が上に移動するにつれて、スパイク736とバイアル116、118のゴムシール123との間の摩擦によって、下向き力が、ゴムシール123に加えられる。モータ766が逆方向に作動する期間に応じて、ゴムシール123は、その中立静止位置に戻ることができる、または、ゴムシール123は、バイアル116、118から少し外に隆起させられうる。いずれの構成も、薬物送出プロセス中に薬物がバイアルから完全に排出されることを保証するのに役立つことになる。
【0232】
バイアル116、118をスパイキングした後、ポンプ732を順次にまたは同時に起動することによって、薬物投与流体ラインカセット707のフィーダライン122がプラ
イミングされ、それにより、薬物の一部分が、バイアル116、118のそれぞれから引出される。プライミングプロセス中、各ポンプ732は、オンのままであり、ついには、関連するバイアル116、118からの薬物が泡検出器128によって検出され、その時点で、ポンプ732は、停止し、そのフィーダライン122をピンチオフするかまたは閉塞させる。泡検出器128の1つによって薬物が検出されない場合、アラームが起動されることができ、薬物投与流体ラインカセット707を置換するかまたは調整し、プライミングプロセスを繰返すようにオペレータに促す。
【0233】
フィーダライン122をプライミングした後、(他のポンプを全てオフのままにしながら)ベノファー(登録商標)バイアル116に関連するポンプ732を起動することによって、ベノファー(登録商標)がベノファー(登録商標)バイアル116からドリップチャンバ106へ送出される。ベノファー(登録商標)の処方用量がドリップチャンバ106に送出されたと判定すると、制御ユニットは、ベノファー(登録商標)フィーダラインに関連するポンプ732をターンオフさせる。
【0234】
第1のエポゲン(登録商標)バイアル118(すなわち、ベノファー(登録商標)バイアル116のすぐ右のエポゲン(登録商標)バイアル)に関連するポンプは、その後、エポゲン(登録商標)がドリップチャンバ106に送出されるように起動される。泡検出器128が、フィーダライン122内の空気を検出すると、第1のエポゲン(登録商標)バイアル118が空であることを示す信号が、制御ユニットに送出される。制御ユニットは、その後、泡検出器128の下流のライン内のエポゲン(登録商標)が、あるセグメントまで洗い流されるように、さらなる既知の容積が圧送されることを保証した後に、第1のエポゲン(登録商標)バイアル118に関連するポンプをターンオフさせる信号を送出し、そのセグメントで、次のバイアルからの薬物の送出が、ライン内に残るそのエポゲン(登録商標)をドリップチャンバ106に押し出す。特に、制御ユニットは、送出される薬物の次の容積がエポゲン(登録商標)をドリップチャンバ106に押し出すために、さらなる圧送容積が、ポンプ732を通過し、多岐管168の通路内にエポゲン(登録商標)を押し出すのに十分であることを保証する。制御ユニットはまた、第2のエポゲン(登録商標)バイアル118(すなわち、第1のエポゲン(登録商標)バイアルのすぐ右のエポゲン(登録商標)バイアル)に関連するポンプ732を起動する信号を送出する。上述したエポゲン(登録商標)送出プロセスは、その後、第2および第3のエポゲン(登録商標)バイアルについて繰返される。
【0235】
所望の量のバノファー(登録商標)およびエポゲン(登録商標)をドリップチャンバ106に送出した後、薬物送達デバイス703は、停止され、薬物投与流体ラインカセット707およびバイアル116、118は、薬物送達デバイス703から取外され、廃棄される。
【0236】
一部の実施態様では、1つの薬物バイアルから次の薬物バイアルへ移行するときに、気泡が、フィーダライン122を介して多岐管168の通路に引き込まれ、ドリップチャンバ106に送出される。この技法は、上述したように、バイアルから排出された薬物の全てが患者に送出されることを保証するのに役立ち、また、多岐管通路および薬物送出ライン104を介してドリップチャンバ106内にその両方が送出される2つの別個の薬物の混合を低減する(たとえば、なくす)ために、直前に使用されたバイアルからの残留薬剤を、多岐管通路および薬物送出ライン104から取除くのに役立ちうる。
【0237】
いくつかの実施態様では、ポンプ732のそれぞれの作動速度は、薬物がそこから引出されるバイアル内の薬物の量が減少するにつれて、徐々に増加する。バイアル内の薬物の量が減少するにつれて、わずかな負圧がバイアル内に生成される。この負圧は、ポンプ速度が一定のままである場合、バイアルからの薬物の流量の減少をもたらしうる。そのため
、バイアルから薬物が引出されるにつれて、ポンプ速度を徐々に増加させることは、薬物送出プロセス全体を通してバイアルから実質的に一定の薬物の流量を維持するのに役立ちうる。
【0238】
薬物送達デバイス703のドア704の内側表面上で露出し、蠕動ポンプ732のローラを受取るレースウェイ部材716が、レースウェイ部材716の上部および底部領域に位置するばねによってドア704に接続されるとして述べたが、代替の構成が可能である。一部の実施態様では、たとえば、各レースウェイ部材716をドア704に接続するために、単一ばねだけが使用される。単一ばねは、たとえば、レースウェイ部材の中間領域に接続されうる。
【0239】
薬物送達デバイス703のドア704が、カセット707内に形成された六角形穴780に嵌合する六角形突出部706を含むとして述べたが、逆の構成も可能である。たとえば、カセット707は、六角形突出部を備えることができ、薬物送達デバイス703のドア704は、これらの突出部に嵌合する六角形穴を含むことができる。同様に、ドア704の内側表面およびカセット707の前部表面上にこれらの嵌合特徴部を含む方法の代替として、嵌合特徴部は、薬物送達デバイス703の内面およびカセット707の後部表面上に設けられることができる。同様に、六角形穴および突出部の代替として、五角形、八角形、星形、ロゴスなどのような種々の他の形状の穴および突出部が使用されうる。いくつかの実施態様では、嵌合穴および突出部は、薬物送達デバイスと共に使用するために意図されたカセットだけが、薬物送達デバイスのカセットコンパートメント内に適切に配設されうることをさらに保証するように不規則に形作られる。
【0240】
薬物投与流体ラインカセット707のスパイク736が、鋭利端部、テーパ付き端部を有するとして示されたが、スパイクは、あるいは、図10および11に関して上述したスパイク236、336と同様に形作られうる。
【0241】
上述した薬物バイアルホルダ708、710の上部部材738、742は、反転薬物バイアル116、118の上向き底部表面に接触するように構成されるが、上部部材は、バイアルの他の部分に接触するように構成されうる。一部の実施態様では、たとえば、薬物バイアルホルダは、使用中にバイアル116、118の首部121を把持する、クランプの形態の上部部材を含む。クランプ機構は、バイアル116、118の首部121をクランプすると、バイアル116、118のゴムシール123が、バイアル116、118のキャップ119と首部121との間で圧迫されるように底部部材740、744に向かって下向きに移動しうる。薬物バイアルの本体は、種々の形状およびサイズになるが、ほとんどの薬物バイアルは、同様にサイジングされ形作られたキャップおよび首部を有する。そのため、この配置構成は、有利には、薬物バイアルホルダが、異なるようにサイジングされ形作られた種々のバイアルを収容することを可能にすることができ、それにより、薬物送達デバイスが種々の異なる薬物を送出するために使用されることが可能になる。
【0242】
薬物バイアルホルダ708、710の低部部材740、744は、反転薬物バイアル116、118のキャップ119を支持するとして述べられたが、他の配置構成が可能である。いくつかの実施態様では、たとえば、薬物バイアルホルダの低部部材は、開口を含み、その開口は、バイアル116、118のキャップ119が開口を通過することを可能にし、バイアル116、118の首部121および/または本体部125が開口を通過することを防止するようにサイジングされる。開口はそれぞれ、たとえば、開口を通して挿入されるキャップ119の最大外径より大きく、かつ、バイアル116、118の首部121および/または本体部125の最大外径より小さい径を有する円状開口でありうる。こうしうたバイアルホルダは、スパイクによって貫通されると、薬物バイアルのゴムシールがバイアル内に内側に隆起するのを防止するのに役立つ、薬物バイアルスパイク120な
どの他の機構と組合せて使用されうる。
【0243】
図18に示す薬物バイアルホルダドライブ機構746、747は、垂直支持壁751から延在し、それに沿って上部部材伸張部752および底部部材伸張部753が使用中に摺動する直線ガイド757を含むが、上部および底部部材伸張部は、あるいは、垂直支持壁751自体の側部表面に沿って摺動するように構成されうる。
【0244】
図18に示す薬物バイアルホルダドライブ機構746、747はそれぞれ、底部クロスバー756と底部支持体750との間に配置され、ドライブシャフト748を囲む単一ばね759を含むが、いくつかの実施態様では、複数のばねが、薬物バイアルホルダの底部部材の下向き移動に対する抵抗を提供するために使用される。図19に示すように、たとえば、薬物バイアルホルダドライブ機構746は、底部部材伸張部853と底部支持体850との間に配置されたばね859を含む。底部部材伸張部853はそれぞれ、L状であり、垂直部材および水平部材を含む。各底部部材伸張部853の水平部材は、ドライブシャフト748から離れ、薬物送達デバイスの外側縁に向かって延在する。そのため、ばね859を支持するこの部分は、薬物バイアルホルダ710の底部部材744の端領域の近くに配置される。この配置構成は、薬物バイアルホルダ710が全体としてカセット707のスパイク736に向かって下に移動する前に、薬物バイアルホルダ710の対向端上に位置するバイアル118のゴムシール123が圧迫されることを可能にするように、薬物バイアルホルダ710の底部部材744の端領域に対して、下向き移動に対する十分な抵抗が提供されることを保証するのに役立ちうる。ドライブ機構846は、複数のバイアルを収容し、したがって、比較的幅広の底部部材を有するように設計される薬物バイアルホルダにとって特に有利である可能性があるが、ドライブ機構は、単一バイアイルだけを支持するように設計される薬物バイアルホルダと共に使用されうる。
【0245】
他のタイプのドライブ機構はまた、薬物バイアル116、118をクランプしスパイキングするように薬物バイアルホルダ708、710を作動させるために使用されうる。こうしたドライブ機構946の例は、図20に概略的に示される。図示するように、ドライブ機構946は、上向きに出力シャフト904を駆動するように構成されるモータ902を含む。出力シャフト904は、ピボットアーム906に旋回可能に接続され、ピボットアーム906は、中央ピボット910を介して薬物送達デバイスのハウジング908に旋回可能に接続される。モータ902が出力シャフト904を上に駆動するにつれて、ピボットアーム906は、ピボット910を中心に時計方向に回転する。結果として、モータ出力シャフト904に対向するピボットアーム906の端部に取付けられた軸受け912は、下に移動する。軸受け912は、薬物バイアル116、118を支持するのが示される薬物バイアルホルダ918の上側部材916のキャビティ914内に配置される。薬物バイアル116、118の首部は、上部部材916のフォークまたはクランプ920によってしっかり支持される。そのため、薬物バイアルホルダ918の上側部材916が下に移動するにつれて、フォーク920によって保持される薬物バイアル116、118もまた下に移動する。
【0246】
モータ902が、出力シャフト904を上に駆動し続け、それにより、上側部材916および上側部材916内で支持される薬物バイアル116、118が下に移動するため、薬物バイアルのキャップ119は、強制的に下に押され薬物バイアルホルダ918の下側部材またはシュー922に当たる。下側部材922は、上側部材916のように、薬物送達デバイスのハウジングに対して垂直に可動である。ばね924が、薬物送達デバイスのハウジングに固着され、したがって、下側部材922の下向き移動に抵抗する。ばね924は、たとえば、約1ポンド〜約20ポンド(たとえば、約1ポンド〜約10ポンド、約1ポンド〜約5ポンド、約5ポンド〜約10ポンド)の下向き力に耐えるように構成されうる。下側部材922の下向き移動が、ばね924によって抵抗されるため、薬物バイア
ル116、118のゴムシール123は、薬物バイアル116、118のキャップ119と首部121との間で圧迫される。
【0247】
モータ902のさらなる作動によって、下側部材922に加えられる下向き力がばね924の抵抗力を超える。ばね924が圧迫されるため、薬物バイアルホルダ918の上側および下側部材916、922ならびに薬物バイアル116、118自体が、薬物バイアルスパイク926に向かって下に移動する。薬物バイアルスパイク926は、最終的に、薬物バイアルスパイク926を介して薬物が薬物バイアル116、118から引出されることができるように下側部材922内に形成されたアパーチャ928を通過し、薬物バイアル116、118のゴムシール123を貫通する。
【0248】
薬物が、薬物バイアル116、118から送出された後、モータ902がターンオフされ、ばね924によって、薬物バイアルホルダ918の上側および下側部材916、922ならびに薬物バイアル116、118が、薬物バイアルスパイク926から離れるように上に移動する。
【0249】
上述した薬物バイアルホルダドライブ機構は、下向き移動に抵抗し、したがって、バイアル116、118のゴムシール123の圧迫を可能にするように薬物バイアルホルダ708、710の底部部材740、744にさせるために1つまたは複数のばねを使用するが、底部部材740、744の垂直移動に最初に抵抗し、その後、底部部材740、744に十分に大きな力が加えられると、下向き移動を可能にすることが可能な他のタイプのデバイスまたは機構が使用されうる。こうしたデバイスの例は、反対極性磁石、エラストマー、または変位に比例する力を提供する他の部材を含む。
【0250】
モータの出力シャフトを上述した種々の薬物バイアルホルダドライブ機構のドライブシャフトに接続するために歯車配置構成を使用する方法に対する代替法としてまたはそれに加えて、モータがドライブシャフトを回転させることを可能にする他の接続技法が使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、モータがドライブシャフトを回転させることを可能にするために、プーリが、モータの出力シャフトとドライブ機構のドライブシャフトの両方に接続される。
【0251】
薬物バイアルホルダ708、710の底部部材740、744は、薬物バイアル116、118がその上に載る実質的に平坦なまたは平滑な表面を有するとして述べられたが、これらの表面は、あるいは、薬物バイアルホルダ708、710の上部部材738、742と底部部材740、744との間でバイアル116、118が圧迫されると、バイアル116、118のゴムシール123内にバイアル116、118のキャップ119を窪ませる鋭利な突出部を含みうる。図21は、こうした鋭利な突出部を含む薬物バイアルホルダ1008、1010を示す。図21に示すように、薬物バイアルホルダ1008、1010はそれぞれ、3つの鋭利な突出部1041、1045がそこから延在する上側表面を有する底部部材1040、1044を含む。鋭利な突出部1041、1045は、底部部材1040、1044の上側表面をわずかに超えて延在するだけである。いくつかの実施態様では、たとえば、鋭利な突出部1041、1045は、底部部材1040、1044の上側表面を約0.010インチ〜約0.030インチ(たとえば、約0.020インチ)だけ超えて延在する。薬物バイアルホルダ1008、1010の上部部材738、742が、底部部材1040、1044に向かって移動し、バイアル116、118が両者の間で圧迫されるにつれて、バイアル116、118のキャップ119に対して上に作用する底部部材1040、1044の力は、鋭利な突出部1041、1045のそれぞれを、バイアル116、118のゴムシール123内にキャップ119の離散的部分を窪ませる。こうしてクランプされたバイアル116、118の図は、図22に示される。ゴムシール123内に突出するキャップ119の離散的部分は、ゴムシール123の圧迫以外に、
ゴムシール123が、バイアルのキャップ119および首部121に対して移動するかまたは摺動することを防止するのに役立つ。
【0252】
上述した薬物バイアルホルダのドライブ機構は、バイアルホルダの上部部材を底部部材に対して移動させるモータを含むが、別法としてまたは付加的に、手動操作式ドライブ機構が使用されうる。図23は、こうした手動操作式ドライブ機構1146の略側面図である。ドライブ機構1146は、ガイドシャフト1106に沿って配設された下側および上側ばね1102、1104を含む。カラー1108は、下側ばね1102の下でガイドシャフト1106に固着され、ばね1102の底部端領域は、カラー1108に隣接する。カラー1110は、下側ばね1102と上側ばね1104との間に配置され、カラー1112は、上側ばね1104の上に配置される。カラー1110、1112は、ガイドシャフト1106の長さに沿って可動である。
【0253】
薬物バイアルホルダ1119の上側部材またはプレート1118はカラー1112に固着され、薬物バイアルホルダ1119の下側部材またはシュー1120はカラー1110に固着される。結果として、カラー1110、1112がガイドシャフト1106に対して移動するにつれて、薬物バイアルホルダ1119の下側および上側部材1120、1118は同様に、ガイドシャフト1106に対して移動する。上述した薬物バイアルホルダのいくつかと非常に似て、薬物バイアルホルダ1119の下側部材1120は、反転バイアル116、118のキャップ119を支持するように構成され、上側部材1118は、上側部材1118と下側部材1120との間で薬物バイアル116、118をクランプするために、下側部材1120に対して下に移動するように構成される。
【0254】
薬物バイアルスパイク組立体1122は、バー1123を介してカラー1108に固着される。結果として、薬物バイアルスパイク組立体1122は、ガイドシャフト1106に対して固着される。薬物バイアルスパイク組立体1122は、ベース1126から上に延在し、中央スパイク1136を囲む可撓性フィンガー1124を含む。可撓性フィンガー1124は、中央スパイク1136が、下側部材1120内に形成された開口1121を通過し、バイアル116、118のゴムシール1116を貫通するように、下側部材1120およびバイアル116、118が下に移動するとき、薬物バイアルホルダ1119の下側部材1120および薬物バイアル116、118のキャップ119を取外し可能に保持するように構成される。
【0255】
ピボット点1116を有する偏心カム1114は、カラー1112の上に配置され、偏心カム1114がオペレータによって回転されるにつれて、ガイドシャフト1106に沿ってカラー1112を移動させるように構成される。オペレータは、偏心カム1114に接続されるレバー1117を引くことによって偏心カム1114を回転させる。カム1114が回転するにつれて、カラー1112は、下側ばね1102より低い抵抗を有する上側ばね1104を圧迫し、薬物バイアルホルダ1119の上側部材1118を下に移動させる。上側ばね1104のさらなる圧迫は、上側部材1118が、バイアル116、118に接触し、薬物バイアルホルダ1119の上側部材1118と下側部材1120との間で薬物バイアル116、118を圧迫するようにさせる。下側ばね1102は、バイアル116、118のキャップ1119と首部121との間でバイアル116、118のゴムシールが圧迫されることを可能にする程度に、カラー1110および下側部材1120の下向き移動に抵抗するばね力を有する。偏心カム1114がさらに回転されるにつれて、ばね1102が圧迫され、薬物バイアルホルダ1119およびバイアル116、118は、薬物バイアルスパイク組立体112に向かって下に移動する。偏心カム1114は、中心スパイク1136がバイアル116、118のゴムシール1116を貫通し、下側部材1120およびバイアル116、118が、薬物バイアルスパイク組立体112のベース1126に隣接するまで回転する。
【0256】
ドライブ機構1146は、カラー1108がガイドシャフト1106に対して固着され、カラー1110、1112がガイドシャフト1106に対して可動であるように構成されるとして述べられたが、他の実施態様では、カラー1110が、ガイドシャフト1106に対して固着され、カラー1108、1112がガイドシャフト1106に対して可動である。こうした実施態様では、偏心カム1114が回転すると、下向き力がカラー1112に加えられ、偏心カム1114が回転すると、上向き力がカラー1108に加えられる。ばね1102、1104のばね力が異なるため、上側ばね1104は、圧迫する最初のものであり、薬物バイアルホルダ1119の上側部材を薬物バイアルホルダ1119の下側部材1120に向かって移動させる。上側部材1118と下側部材1120との間で薬物バイアル116、118が十分に圧迫された後、下側ばね1102が圧迫し、中央スパイク1136が薬物バイアル116、118のゴムシールを貫通するように、薬物バイアルスパイク組立体112が薬物バイアル116、118に向かって上に移動することが可能になる。
【0257】
未承認のまたは正しくない薬物投与流体ラインカセットが上述した薬物送達デバイス703と共に使用されることを阻止するかまたは防止するために、嵌合突出部706および開口780を使用する方法の代替法として、または、それに加えて、薬物送達デバイス703は、(たとえば、カセットを識別するバーコードリーダまたはRFIDタグを読取ることによって)承認済みのまたは正しく薬物投与流体ラインカセットを識別できるセンサ(たとえば、バーコードリーダまたはRFID検出器)を含みうる。センサは、制御ユニットに接続され、制御ユニットは、承認済み薬物投与流体ラインカセットが検出されるまで、薬物送達デバイスの作動を防止するようにプログラムされうる。これらのタイプのセンサは、同様に、本明細書で述べる他の薬物送達デバイスに含まれうる。
【0258】
制御ユニットは、薬物送達デバイス703の一部であるとして述べられたが、いくつかの実施態様では、制御ユニットは、モジュール式薬物送達デバイス内に物理的に存在しない。こうした実施態様では、たとえば、薬物送達デバイス703は、血液透析機内の他の所(たとえば、血液透析機の主制御ユニット)に位置する制御ユニットに接続されうる。
【0259】
薬物投与流体ラインセットは、使用前に流体ラインセットのスパイクを保護する単一の着脱可能カバーを備えるとして述べられたが、他のタイプのカバーが使用されうる。一部の実施態様では、別個のカバーが、投与流体ラインセットの各スパイクに取付けられる。図24に示すように、たとえば、スパイクカバー1200は、円周方向に離間した複数の柱状体1206によって互いに接続される下側ディスク1202および上側ディスク1204を含む。柱状体1206はそれぞれ、下向き軸力が上側ディスク1204に加えられると、柱状体1206の外向き反り(bowing)を容易にする弱化領域(たとえば、環状窪
みまたはスロット)1208を含む。上側ディスク1204は中央アパーチャ1210を含み、中央アパーチャ1210は、下向き軸力が上側ディスク1204に加えられ、上側ディスク1204が下側ディスク1202に向かって移動するように円柱体1206を反らせるときに、スパイク136、736を受取るようにサイジングされる。下側ディスク1202はまた、スパイク136、736がそこを通って延在する中央アパーチャ1212を含む。下側ディスク1202内の中央アパーチャ1212は、上側ディスク1204内のアパーチャ1210より小さい、それにより、下側ディスク1202は、スパイク136、736に係合し、スパイク136、736に対して下側ディスク1202を固着するのに役立つ。
【0260】
やはり図24を参照して、(図21に関して述べた鋭利突出部1044と同様の)鋭利突出部1244は、上側ディスク1204の上側表面から延在する。支持柱状体1206は、ユーザがバイアル116、118を上側ディスク1204上に下向きに押し付けると
、突出部1244がバイアル116、118のキャップ119を変形させ、それにより、キャップ119の離散的な変形領域がバイアル116、118のゴムシール123に貫入するように、(反る前に)十分な軸方向剛性を提供するように構築される。突出部1244がゴムシール123に貫入した後、上側ディスク1204に加えられるさらなる軸力は、支持柱状体1206を外に反らし、それにより、上側ディスク1204が下側ディスク1202に向かって下に移動し、スパイク136、736が、バイアル116、118のゴムシール123を貫通することが可能になる。バイアル116、118のゴムシール123内への突出部1244の貫入は、スパイク136、736がゴムシール123を貫通するときに、キャップ119に対するゴムシール123の横方向移動を制限する。結果として、ゴムシール123の中央部が変形してバイアル116、118に入る距離が減少するかまたは最小になる。スパイク136、736からバイアル116、118を取除いた後、柱状体1206は、その元の形状に戻り、それにより、カバー1200は、再びスパイク136、736を保護する。これは、たとえば、スパイク136、736およびカバー1200がそのコンポーネントである流体セットまたはカセットを処分するときに、ユーザが自分をスパイク136、736で刺す(prick)ことを防止するのに役立ちうる。
【0261】
下側ディスク1202、上側ディスク1204、および支持柱状体1206は、通常、ABSなどの比較的剛性のある医療等級プラスチックで形成される。しかし、別法としてまたは付加的に、上述したようにカバー1200が働くことを可能にする他の材料が、カバー1200のコンポーネントを形成するために使用されうる。
【0262】
下側ディスク1202は、永久的にまたは取外し可能にスパイク136、736に取付けられうる。下側ディスク1202をスパイク136、736に取付けるために種々の技法の任意の技法が使用されうる。たとえば、下側ディスク1202は、スパイク136、736に熱結合されうる、化学結合されうる、かつ/または接着結合されうる。あるいは、下側ディスク1202は、(たとえば、プレス嵌めまたは締まり嵌め)スパイク136、736に機械的に取付けられうる。支持柱状体1206を下側および上側ディスク1202、1204に取付けるために、上述した技法の任意の技法が、同様に使用されうる。
【0263】
カバー1200は、弱化環状領域1208を有する支持柱状体1206を含むとして述べられたが、別法としてまたは付加的に、制御された圧壊とその後のカバーの拡張を可能にする他の構造が、使用されうる。図25に示すように、たとえば、スパイクカバー130は、フォームスリーブ1306を含み、フォームスリーブ1306は、下側ディスク1202と上側ディスク1204との間に配置されて、ユーザがバイアル116、118を上側ディスク1204上に下向きに押し付けると、上側ディスク1204が下側ディスク1202に向かって移動することを可能にする。いくつかの実施態様では、スリーブ1306は、ポリウレタンで形成される。しかし、一定の力(たとえば、約1ポンド〜約20ポンド、約1ポンド〜約10ポンド、約1ポンド〜約5ポンド、約5ポンド〜約10ポンド)がスリーブ1306に印加された後に圧壊する能力をスリーブ1306に提供する他の材料が使用されうる。こうした材料の例は、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/EVAブロックタイプ、ポリオレフィン、ポリエーテルウレタン、およびポリエスレルフォームを含む。
【0264】
ここで図26を参照して、スパイクカバー140は、下側ディスク1202と上側ディスク1204との間に配置される螺旋状ばね1406を含む。一部の実施態様では、ばね1406は、ポリカーボネートで形成される。しかし、別法としてまたは付加的に、ばね1406は、ABS、ポリスルフォン、ポリエチレン、および/またはポリプロピレンなどの他の材料で形成されうる。
【0265】
一部の実施態様では、下側および上側ディスク1202、1204は、中間部材を介し
て互いに固定されない。図27に示すように、たとえば、カバー1500は、上側ディスク1204から下に延在するチューブ1506を含む。チューブ1506は、スパイク136、736の外径よりわずかに小さい(たとえば、約0.05mm〜約0.2mm小さい)内径を有する。チューブ1506は、通常、ポリウレタン、低密度ポリエチレン、ポリエチレン、および/またはポリプロピレンなどの1つまたは複数のポリマー材料で形成される。ユーザが、上側ディスク1204上にバイアル116、118を押し下げるにつれて、スパイク136、736の径の大きな部分が、チューブ1506およびチューブ1506に取付けられた上側ディスク1204の下向き移動に抵抗する。この初期圧力は、上側ディスク1204の突出部1244を、バイアル116、118のゴムシール123に貫入させる。バイアル116、118に対するさらなる力の印加は、その後、チューブ1506の内径がスパイク136、736の外径以上のサイズまで増加し、チューブ1506および上側ディスク1204がスパイク136、736に沿って下に摺動することを可能にするようにチューブ1506を変形させる。チューブ1506の長さは、上側ディスク1204およびチューブ1506がスパイク136、736に沿って下に強制的に押されるときに、スパイクが、上側ディスク1204の中央アパーチャ1210を通過し、バイアル116、118のゴムシール123を貫通することを可能にするために、スパイク136、736の長さの約20パーセントである。
【0266】
上記カバーの上側ディスク1204は、バイアルが上側ディスク1204に当たって押し下げられるにつれて、バイアル116、118のゴムシール123に貫入する鋭利突出部1244を有するとして述べられたが、上側ディスク1204は、あるいは、こうした突出部を全く備えることができない。ある場合には、鋭利突出部を含まない上側ディスクの表面などの、実質的に平坦な表面を使用したバイアル116、118のキャップ119に対する軸力の印加は、バイアル116、118のキャップ119および首部121に対するゴムシール123の横方向移動に抵抗する(たとえば、横方向移動を防止する)ために、バイアル116、118のキャップ119と首部121との間でゴムシール123を十分に圧迫できることがわかった。
【0267】
一部の実施態様では、スパイクカバーは上側ディスクを含まない。図28に示すように、たとえば、カバー1600は、下側ディスク1202に固定されたばね1406だけを含む。弛緩(すなわち、非圧縮)状態のばね1406の長さは、スパイク136、736の長さより大きい。そのため、バイアル116、118によって圧迫される前には、スパイクがバイアル116、118内に挿入される前に、物体が不注意にスパイク136、736に接触することを防止するために、ばね1406はスパイク136、736の全長に沿って延在する。ばね1406の抵抗力に打ち勝つのに十分な下向き力が、バイアル116、118によってばね1406に加えられるため、ばね1406が圧迫され、スパイク136、736がバイアル116、118のゴムシール123を貫通する。
【0268】
図29を参照して、別のカバー1700は、下側ディスク1202に取付けられ、スパイク136、736を囲む膨張式または拡張式バルーン1706を含む。バルーン1706は、PET、ポリウレタン、および/またはABSなどの1つまたは複数のポリマー材料で形成されうる。バイアル116、118のゴムシール123にスパイク136、736を貫通させるために、ユーザは、バルーン1706内のガスを圧迫し、スパイク136、736の先端と接触状態でバルーン1706を下に移動させるのに十分な力で、バルーン1706の先端に当ててバイアル116、118を押し下げる。バルーン1706の下向き力は、スパイク136、736に、バルーン1706を貫通させ、したがって、バルーン1706を収縮させる。
【0269】
図24〜29に関して上述したスパイクカバーは、鋭利なテーパ付き先端を有するスパイク136、736と共に使用中であるのを示されるが、スパイクカバーは、図10およ
び11に関して上述されるスパイク236、336などの異なる形状のスパイクと共に使用されうる。これらのスパイクカバーは、本明細書で述べる薬物バイアルホルダまたは薬物バイアルスパイクの任意のホルダまたはスパイクと共に使用されうる。
【0270】
上述した薬物バイアルスパイキングデバイス、薬物バイアルホルダ、および薬物バイアルスパイクカバーの一部は、使用中に、薬物バイアル116、118のゴムシール123内に薬物バイアル116、118のキャップ119を窪ませる突出部を含むが、これらの突出部は、あるいは、キャップ119を貫通し、ゴムシール123内に延在しうる。突出部は、たとえば、上述した方法を使用してバイアル116、118が突出部に当てて押し付けられるときに、突出部がキャップ119を貫通するように、鋭利先端を持って形成されうる。別法としてまたは付加的に、バイアル116、118は、突出部がキャップ119を貫通することを保証するために、より大きな力で突出部に当てて押し付けられうる。突出部が薬物バイアルキャップ119を貫通する結果として、突出部によって形成される穴を囲むキャップ119の鋭利縁部は、薬物バイアル116、118のゴムシール123内に突出し、ゴムシール123を把持することになる。
【0271】
さらに、上述した薬物バイアルスパイキングデバイス、薬物バイアルホルダ、および薬物バイアルスパイクカバーの一部は、薬物バイアル116、118のキャップ119を窪ませるかまたは貫通するために使用されうる円周方向に離間した3つの突出部を含むとして述べられたが、3つより多いまたは少ない突出部が使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、薬物バイアルスパイキングデバイス、薬物バイアルホルダ、および/または薬物バイアルスパイクカバーは、約45°で互いから円周方向に離間する8つの突出部を備える。
【0272】
本明細書で述べるいくつかの薬物送達デバイスは、血液透析システムのコンポーネントとして提供されるが、薬物送達デバイスは、薬物注入能力から利益を得ることになる任意のタイプの医療デバイスにおいて使用されうる。あるいは、本明細書で述べる薬物送達デバイスは、独立型(すなわち、別の医療デバイスに接続されない)機械として作動するように構成されうる。図30は、上述した薬物送達デバイス103と実質的に同じであるが、ホイール付きカート660上に載置される独立型薬物送達デバイス602を示す。この独立型薬物送達デバイス602の薬物送出ライン104は、ドリップチャンバ662に接続される。使用中、薬物(複数可)は、バイアル116、118からドリップチャンバ662に送出される。薬物(複数可)は、その後、流体ライン664を介してドリップチャンバ662から患者に送出される。上述したドリップチャンバ106と同様のドリップチャンバ662は、バイアルからシステム内に引き込まれる空気が患者に達しないことを保証するのに役立つ。薬物送達デバイス602は、患者に薬物を送出するために、上述した薬物送達デバイス103と同様の方法で使用されうる。
【0273】
薬物投与流体ラインセットは、一般に、薬物バイアルホルダ内に設けられる各バイアルロケーションについてフィーダライン122およびスパイク136、236、336、736を含むとして述べられたが、種々の異なる数のフィーダラインおよびスパイクの任意のフィーダラインおよびスパイクを含みうる。薬物投与流体ラインセットは、たとえば、処置に必要とされるバイアルの数に応じて、1つ、2つ、3つ、または4つのフィーダラインおよびスパイクを含むように製造されうる。先に説明したように、ある場合には、処置は、3つのエポゲン(登録商標)バイアルを必要としない可能性がある、かつ/または、処置は、ベノファー(登録商標)バイアルを必要としない可能性がある。これらの場合、少数のフィーダラインおよび薬物バイアルスパイクを含む薬物投与流体ラインセットが使用されうる。
【0274】
上記いくつかの実施態様は、薬物ポンプの作動を監視することによって、送出される薬
物の容積を決定することを含むが、他の技法が使用されうる。一部の実施態様では、たとえば、バイアルはそれぞれ、薬物送出全体を通してバイアルの重さを量るロードスケールに関連する。薬物送出プロセス中のバイアルの重量の変化は、送出される薬物の量を決定するために使用されうる。いくつかの実施態様では、どれだけの数のドリップが送出されるかを測定するために、ドリップチャンバ上にドリップカウンタが設けられる。通常、各液滴は約0.05mlである。そのため、液滴の総数が、送出される薬物の総容積を決定するために使用されうる。
【0275】
薬物ポンプ132、732は、蠕動ポンプとして述べられたが、「フィンガー(finger)」蠕動ポンプ、隔膜ポンプ、ソレノイドポンプ、シリンジポンプ、油圧ポンプ、ピストンポンプ、ポッドポンプ、および電気モータポンプを含むが、それに限定されない他のタイプの機械式ポンプが使用されうる。
【0276】
上述した薬物送達デバイスは、4つまでのバイアイルを支持することが可能な薬物バイアルホルダを装備するが、薬物送達デバイスは、あるいは、4つより少ないかまたは4つより多い薬物バイアルを支持するように構成される薬物バイアルホルダを装備しうる。同様に、これらの薬物バイアルホルダと共に使用される薬物投与流体ラインセット/カセットは、4つより少ないかまたは4つより多いスパイクおよびフィーダラインを含みうる。
【0277】
上述したいくつかの薬物送達デバイスは、1つのバイアルを支持するように構成されたバイアルホルダおよび3つのバイアルを支持するように構成された別のバイアルホルダを含むが、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスがそのために設計される特定の1つまたは複数のタイプの処置中に使用されることが所望されるバイアルの数に応じて、任意の所望の数のバイアルホルダを備えうる。いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスは、それぞれが自分自身のドライブ機構を有する4つの別個のバイアルホルダを含む。これは、異なる形状およびサイズの4つのバイアルが同時に使用されることを可能にしうる。
【0278】
図31は、単一バイアルだけを保持するように構成されたモジュール式薬物送達デバイス502を含む血液透析機の一部分を示す。図32および33は、血液透析機から取外された薬物送達デバイス502を示し、図34は、薬物送達デバイス502およびその関連する薬物投与流体ラインセットの拡大図を示す。薬物送達デバイス502は、上述した薬物送達デバイス103と実質的に同じである。しかし、図31に示す薬物送達デバイス502は、4つの代わりに1つのチャネル514だけを含む薬物バイアルホルダを含む。さらに、薬物送達デバイス502と共に使用される薬物投与流体ラインセット107は、薬物バイアルスパイク120を介してバイアル118に接続される単一薬物送出ライン504を含む。薬物送達デバイス502は、1つの薬物(たとえば、エポゲン(登録商標))だけが患者に投与され、その薬物の処方用量が単一バイアルを用いて達成されうる場合に使用されうる。
【0279】
上述した血液透析システムのドリップチャンバ106は、動脈ドリップ(すなわち、患者から透析機内に血液を引出す動脈患者ラインに接続された)チャンバとして示されるが、ドリップチャンバは、あるいは、静脈ドリップ(すなわち、透析機から患者へ血液を戻す静脈患者ラインに接続された)チャンバとして配置されうる。いくつかの実施態様では、透析システムは、動脈ドリップチャンバと静脈ドリップチャンバの両方を含む。一部の実施態様では、薬物投与流体ラインセット/カセットの薬物送出ライン104は、浄化器110と患者との間に位置する静脈ドリップチャンバに接続される。
【0280】
薬物送達デバイスは、自分自身の制御ユニットを含むとして上述されたが、薬物送達デバイスは、別法としてまたは付加的に、血液透析機の制御ユニットと通信するように構成されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、薬物送達デバイスコンポーネントを含む
透析機の種々のコンポーネントは、血液透析機の単一制御ユニットによって制御される。
【0281】
先に論じたいくつかの薬物送達デバイスは、処方薬物用量などの情報をオペレータがそれによって入力できるユーザインタフェースを有するとして述べられたが、これらの薬物送達デバイスは、あるいは、ユーザインタフェースを備えることができない。こうした実施態様では、たとえば、薬物送達デバイスは、(たとえば、薬物送達デバイスの制御ユニットまたは血液透析機の制御ユニットを介して)血液透析機のユーザインタフェースと通信状態にあることができ、それにより、オペレータは、血液透析機のユーザインタフェースを使用して、処方薬物用量などの情報を薬物送達デバイスに入力できる。
【0282】
薬物送達デバイスのセットアップ(たとえば、薬物バイアルの選択、薬物バイアルおよび薬物投与流体ラインセットのローディングングなど)は、血液透析処置が始まった後に起こるとして述べられたが、薬物送達デバイスのセットアップは、あるいは、血液透析処置が始まる前に起こりうる。
【0283】
上述した薬物送達デバイスを作動させる方法は、薬物送達デバイス内に所望の用量処方をユーザが入力すること(たとえば、薬物送達デバイスのタッチスクリーン内に処方をタイプすること)を含むが、処方は、あるいは、薬物送達デバイスに電子的に送信されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、所望の処方は、処置される患者の医師によって決定されることができ、医師は、セキュアなデータベースまたはウェブサイト内に処方を入力しうる。処方は、その後、データベースから薬物送達デバイスの制御ユニットに(たとえば、薬物送達デバイスがその一部である透析機の制御ユニットに)自動的に送信されうる。この技法は、薬物送達デバイスのオペレータによる処方入力エラーを防止するのに役立ちうる。
【0284】
上述した方法は、ポンプを運転し、閉塞器128を順次開口し閉鎖することによって、または、ポンプを順次に運転することによってフィーダライン122をプライミングすることを含むが、ある場合には、他のプライミング技法が使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、プライミング溶液コンテナに一端で接続されたラインが、その対向端で、処置中に薬物送出ライン104が接続されるコネクタに接続され、1つまたは複数のポンプが逆に作動する。これは、バイアルに向かってプリミング溶液を引出す。ポンプは、逆に運転されることができ、ついには、プライミング溶液が、スパイクの先端に達し、したがって、バイアルが未だスパイク上に搭載されていない場合、ライン内の空気を、スパイクを通してバイアル内にまたは大気に強制的に押出す。
【0285】
上述した方法は、3つのバイアルのエポゲン(登録商標)の前にベノファー(登録商標)を送出することを含むが、薬物バイアルは、異なる順序で空にされうる。一部の実施態様では、たとえば、ベノファー(登録商標)が最後に送出される。結果として、薬物投与流体ラインセット/カセットの種々の流体ラインおよび通路を通したベノファー(登録商標)の送出は、これらのラインおよび通路から、直前のエポゲン(登録商標)送出から残っている残留エポゲン(登録商標)を取除くのに役立ちうる。そのため、この技法は、エポゲン(登録商標)が全て、患者に送出されることを保証するのに役立ちうる。ベノファー(登録商標)を最後に送出することによって、最後のエポゲン(登録商標)バイアルが、完全に排出され、したがって、そのエポゲン(登録商標)バイアルから空気が引出されることを可能にするため、ベノファー(登録商標)の送出とエポゲン(登録商標)の送出との間に薬物投与流体ラインセット/カセットの種々のラインおよび通路を通して、最後のエポゲン(登録商標)バイアルから気泡が給送されうることも保証されうる。対照的に、ベノファー(登録商標)バイアルは、常に完全に排出されるわけではないため、ベノファー(登録商標)が最初に送出されると、流体ラインおよび通路内に気泡を形成することはより難しくなる可能性がある。たとえば、ベノファー(登録商標)バイアルが完全に排
出されない場合、そのスパイクに関連するフィーダライン122内に空気を引き込むことを可能にするために、そのスパイクからベノファー(登録商標)バイアルを取外すことが必要である可能性がある。
【0286】
薬物バイアルの完全なまたは実質的に完全な排出は、薬物バイアルスパイクおよび/または薬物バイアルホルダの設計によって達成されるとして述べられたが、別法としてまたは付加的に、バイアルからの薬物の完全な排出は、他の技法を使用して達成されうる。一部の実施態様では、たとえば、薬物バイアルの完全な排出を保証するのに役立つために、バイアルが、生理食塩水でフラッシングされる。いくつかの実施態様では、薬物バイアルの完全な排出を保証するのに役立つために、脈動波が、バイアルに送出されて、バイアルおよび/またはスパイクの表面エリアに付着した任意の液滴が振るい落とされる。液体表面張力が、バイアル壁および/またはバイアル/シール界面に液滴を付着させる可能性がある。バイアル/スパイク組合せに基づいて特定の共振に同調された機械振動または超音波振動は、液滴を落とし、バイアルから液滴を排出させる。液滴をさらに離脱させるために、撹拌または機械式タッピング機構が使用されうる。別法としてまたは付加的に、表面張力を減少させ、液滴形成を最小にするために、非毒性のまたは不活性の界面活性剤が、バイアルおよびゴムシールの内側表面に塗布されうる。
【0287】
一部の実施態様では、薬物バイアルスパイクはベント付きでありうる。ベント付き中央スパイク436を含む薬物バイアルスパイク420が図35に示される。中央スパイク436は、中央スパイク436を通って延在する2つのチャネルを含む。チャネルの一方は、スパイクの一端から他端まで延在して、使用中に、流体がバイアルから、接続された流体ラインに流れることを可能にする。他のチャネルは、大気と流体連通状態にあり、ベント(たとえば、ゴアテックス(Gore-Tex)膜)450を装備する。ベント450は、液体がベント450を通して流れることを防止しながら、空気がベント450を通して流れることを可能にすることができる。結果として、中央スパイク436が薬物バイアルの内部に配設されるように、薬物バイアルスパイク420が使用されると、ベントを介してバイアルから薬物が逃げることを可能にすることなく、ベント450を介して空気がバイアルに入る。
【0288】
直接バイアル送出中に薬物の流れを監視すること、たとえば、薬物の送出を確認することは難しいことがある。したがって、上述したベント付き薬物バイアルスパイク420を利用するいくつかの実施態様では、薬物送出は、バイアル内の空気圧を測定することによって決定される。図36に示すように、圧力変換器452がベント450に接続される。結果として、バイアルからの空気は、ベント450の前後を流れ、圧力変換器452に接触することができる。そのため、圧力変換器452は、バイアル内の空気圧を検出することができる。空気圧は、バイアル内の流体容積(または空気容積)に比例する。したがって、検出される空気圧の変化は、空気容積の変化、したがって、バイアル内の薬物容積の変化を示す。結果として、バイアル内の流体容積変化を測定することは、薬物送出の確認を可能にする。バイアル内の圧力以外に、バイアル内の温度が、測定され、制御ユニットに伝達される。圧力が温度と共に変動するため、これは、正確な容積計算を保証するのに役立つ。
【0289】
一部の実施態様では、薬物送出は、中央スパイク436の第2のチャネルを介してバイアル内に空気を強制的に入れることによって実現され、その空気は、中央スパイク436の第1のチャネルを介してバイアルから出た薬物を患者ライン内に強制的に入れる。こうした配置構成は、図37に示される。図示するように、空気を含む閉鎖容積圧力リザーバ454が、流体ライン456を介してベント450に接続される。弁458が、流体ライン456に沿って配置されて、バイアルへの空気の送出を制御し、したがって、バイアルから薬物が押出されるレートを制御する。圧力変換器460は、圧力リザーバ454に流
体接続される。薬物送出は、圧力変換器460を使用して、圧力リザーバ454内の空気圧を測定することによって決定される。たとえば、圧力リザーバ454内の空気圧の降下を測定することは、バイアル内の空気容積が増加していること、したがって、バイアル内の薬物容積が減少していること示しうる。したがって、圧力変換器460における圧力の降下から、バイアルから薬物が送出されていると結論付けることが可能である。
【0290】
薬物バイアル116、118は、ゴムシールを含むとして述べられたが、別法としてまたは付加的に、シールは、本明細書で述べる薬物バイアルスパイクによって貫通されることが可能な他の弾性材料で形成されうる。いくつかのこうした材料の例は、シリコン、ゴム、およびブチルゴムを含む。
【0291】
バイアル116、118のシール123は、バイアル116、118のキャップ119と首部121との間で支持されるとして述べられたが、他の構成のバイアルが使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、首部を含まないバイアルが使用される。これらのバイアルは、その長さに沿って実質的に均一な径の本体部およびバイアルの本体部とキャップとの間のシールを含む。
【0292】
薬物バイアルは、上述した薬物送達システムおよび方法において使用されるとして述べられたが、いくつかの実施態様では、バッグ、ボトルなどのような他のタイプの薬物コンテナが使用される。
【0293】
上記薬物送達デバイスは、ベノファー(登録商標)および/またはエポゲン(登録商標)を送出するために使用されるとして述べられたが、本明細書で使用される用語「薬物(drug)」は、経静脈的に患者に送出される薬剤ならびに他の流体を組込むことが理解されるべきである。本発明の種々の実施態様に従って患者に自動的に送出されることを想定される他の薬物は、リン酸バインダ、ビタミンD、および抗凝血薬を含むが、それに限定されない。
【0294】
他の実施態様は、添付特許請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスであって、
薬物送達デバイスの表面から延在するポンプと、
内側表面を有し、前記内側表面に沿って露出したばね式部材を備えるドアであって、前記ばね式部材は、前記ドアが閉鎖されると、前記ポンプの一部分を受取るように構成された凹所を画定する、ドアとを備え、
流体ラインが前記凹所内に配置され、前記ドアが閉鎖されると、前記流体ラインは、少なくとも1つのロケーション内で閉塞されるように、前記ばね式部材と前記ポンプとの間で圧迫される薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記ポンプは、前記流体ラインが前記凹所内に配置され、前記ドアが閉鎖され、前記ポンプが作動されると、前記流体ラインを通して流体を圧送するように構成される請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
第1のばねは、前記ばね式部材の第1の端領域に接続され、第2のばねは、前記ばね式部材の第2の端領域に接続され、前記第1および第2のばねはそれぞれ、前記ドアの構造に固定される請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記ポンプは、薬物送達デバイスのハウジングに強固に固着される請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記ポンプは、フレームおよび前記フレームの周囲の周りに配置された複数のローラを備える蠕動ポンプである請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記フレームは、薬物送達デバイスのハウジングに固着されるロッドに回転可能に固定される請求項5に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記蠕動ポンプを作動させるように構成されたドライブ機構をさらに備える請求項5に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記ドライブ機構は、出力シャフトおよび前記出力シャフトに取付けられたウォーム歯車を有するモータを備え、前記ウォーム歯車は、前記出力シャフトの回転が前記蠕動ポンプの前記フレームを回転させるように、前記フレームに固定された歯車に係合する請求項7に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
薬物送達デバイスの表面から延在する複数のポンプを備え、前記ドアは、前記内側表面に沿って露出した複数のばね式部材を備え、前記ばね式部材はそれぞれ、前記ドアが閉鎖されると、前記ポンプのうちの1つのポンプの一部分を受取るように構成された凹所を画定する請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記ドアの前記内側表面は、前記内側表面内に流体ラインセットのフレームを受取るように構成された凹んだ領域を画定する請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記ドアの前記内側表面は、前記内側表面内に流体ラインセットの流体ラインを受取るように構成された複数の凹んだチャネルをさらに画定する請求項10に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
複数の気泡検出器をさらに備え、前記気泡検出器はそれぞれ、前記ドアの前記凹所内に流体ラインが配置されると、1つの流体ラインに実質的に整列するように配列され、前記
ドアは、前記気泡検出器が前記流体ライン内の空気を検出できるように閉鎖される請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記複数のポンプの上に配置された複数の薬物バイアルホルダをさらに備え、前記薬物バイアルホルダはそれぞれ、少なくとも1つの薬物バイアルを保持するように構成される請求項12に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記ドアの前記凹所内に流体ラインが配置されると、前記ドアが閉鎖されるように、前記ポンプを作動するように構成され、前記流体ラインはそれぞれ、前記薬物バイアルホルダの1つによって保持される薬物バイアルと流体連通状態にあり、気泡は、連続するバイアルからの薬物の送出の間に前記流体ラインのそれぞれに接続された薬物送達ラインを通して送られる請求項13に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
各バイアルからの薬物の送出の終了後に、前記薬物送達ラインを通して気泡を送るように、前記ポンプを作動させるように構成される請求項14に記載の薬物送達デバイス。
【請求項16】
透析機の一部である請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
前記流体ラインは、前記ポンプが作動すると、前記流体ラインを通して前記血液回路に流体が送出されるように、前記透析機の血液回路に接続される請求項16に記載の薬物送達デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−176272(P2012−176272A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113391(P2012−113391)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2012−517879(P2012−517879)の分割
【原出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(505324858)フレゼニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Holdings,Inc.
【Fターム(参考)】