薬物送達ペンのための医療モジュール
第1のモジュールハウジングと、第2のモジュールハウジングと、投与量センサと、電源と、マイクロコントローラと、を含む、様々な実施形態の医療モジュールが提供される。このモジュールは、使い捨て薬物送達ペン又は再利用可能な薬物送達ペンに取り付けられるように構成され、したがってこのモジュールは、選択された投与量、選択された投与量の注入、注入の持続時間、注入時刻、インスリン混合物を完全に混合するためにペンがプライミングされたか又は振られたかどうかを決定すること、インスリン投与量及び注入に関係する情報をデータ管理ユニットに送信すること、不適切な使用又は針の再利用についての通知、エラー警告又はメッセージを提供すること、ペンにある残りの薬物の量又はペンにある薬物の使い切りに関してペンの使用の持続期間を追跡すること、あるいは所在が不明のペン及びモジュールを見つけるために可聴アラームを提供することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、「Medical Module for Drug Delivery Pen」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,386号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP号)、「Drug Delivery System」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,421号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP1号)、「Drug Delivery Management Systems and Methods」と題する2009年3月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,472号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP2号)、「DRUG DELIVERY MANAGEMENT SYSTEMS AND METHODS」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/164,250号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP3号)に対し、米国特許法35 USC§119に基づく優先権の利益を主張し、これら全ては参照により本明細書にそれらの全てが組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、薬物送達ペンのための医療モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
全世界で5百万人、又はインスリン使用者の約56%が、インスリンの注入のためにインスリンペンを使用すると考えられている。インスリンペンは注射器又はバイアル瓶に比べて便利で使い易く目立たない(discrete)ため、使用者はより遵守し、よりよい結果をもたらしている。加えて、インスリンペンは医療施術者がインスリン療法を開始するのに必要な時間を短縮する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、インスリン療法と血糖値モニタリングとを組み合わせ、より統合された治療/モニタリングシステムにすること、インスリンの開始及び増強のプロトコルを簡易化すること、血糖値を中心として糖尿病を管理すること、及び改善された結果及びコスト低減のための糖尿病システムを提供することを含む、重要な問題に対処する。本発明の実施形態は、送達された投与量を血糖メータに自動的に通信すること、インスリン送達の量及び時間を記録すること、並びに患者の血糖値及びインスリン投薬履歴の要約を表示することによって、患者及び医療提供者がインスリン療法を使いこなすのを助ける。本発明の実施形態は、患者が投薬したかどうかを確認し、インスリン送達の時間及び量の記録をつけ、手作業で記録ノートを保管する必要をなくす。本発明の実施形態は、患者が投薬を遵守していることを医療施術者が確認するのを助ける。
【0005】
本発明の実施形態は糖尿病の管理を容易にするだけでなく、本発明及びその実施形態は、患者への薬物送達が利用されるいかなる分野にも応用され得るであろう。例えば、疼痛管理又は関節炎の管理、不安神経症又は癲癇の管理などの分野(例えばジアゼパム)である。
【0006】
前述のことを鑑み、本発明の一態様にしたがって、第1のモジュールハウジングと、第2のモジュールハウジングと、投与量センサと、電源と、マイクロコントローラと、を含む、医療モジュールが提供される。このモジュールハウジングは、第1の長手方向軸に沿って第1のモジュールハウジング端部から第2のモジュールハウジング端部まで延在する。第2のモジュールハウジングはケーシングモジュールと連結され、第2の軸に沿って延在して中空穴を画定し、この中空穴は、薬物送達ペンの作動ユニットの上に取り付けられるように構成される。投与量センサは第1のモジュールハウジングと連結され、一方、電源は第1のモジュールハウジングと連結され、投与量センサから離間して配置される。マイクロコントローラは、第1のモジュールハウジング内に配置され、投与量センサ及び電源の両方に連結される。
【0007】
更なる態様では、第1の長手方向軸に概ね平行な第2の長手方向軸を部分的に囲む第1及び第2の延長部を含む。
【0008】
なお更なる態様では、第1及び第2の延長部のそれぞれは、対応する第1及び第2の位置決め中子を含み、各位置決め中子は各延長部を超えて突出している。
【0009】
なお更なる態様では、第1の位置決め中子は、第2の位置決め中子に対して長手方向にオフセットして第2の長手方向軸に沿った位置に位置づけられる。
【0010】
なお更なる態様では、第1及び第2の延長部のそれぞれは、第2の長手方向軸の周囲のほぼ30度の概ね円形の断面を画定する。
【0011】
なお更なる態様では、第2のモジュールハウジングの一部分は、第2の長手方向軸を囲んで、長手方向軸の周囲のほぼ140度の概ね円形の断面を画定する。
【0012】
なお更なる態様では、第2のモジュールハウジングの一部分は、第1及び第2の延長部の両方と切れ目がなく連続して、第2の軸の周囲のほぼ250度を囲む連続面を画定する。
【0013】
なお更なる態様では、投与量センサは、長手方向軸に沿って摺動可能な長手方向部材を含む。長手方向部材は、第2のモジュールハウジング端部に近接した第1のモジュールハウジングから延びる追従部分と接続される。
【0014】
なお更なる態様では、長手方向部材は、その軸の周囲を回転するように構成される。
【0015】
なお更なる態様では、第2のモジュールハウジングは、第2の長手方向軸の全体を囲みこのモジュールハウジングの長さに沿って延びる中空穴を画定する、概ね管状の延長部を含む。
【0016】
なお更なる態様では、マイクロコントローラは、メモリと、メモリに連結されたマイクロプロセッサと、追従部分の変位に関するデータを提供するために投与量センサ及びマイクロプロセッサに連結されたA−D変換器と、メモリに保存されたデータを送信するための送信機と、を含む。
【0017】
なお更なる態様では、薬物送達ペンは、使い捨てインスリンペンを含む。
【0018】
なお更なる態様では、薬物送達ペンは、再利用可能なインスリンペンを含む。
【0019】
なお更なる態様では、投与量センサは、ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ式変位センサ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
なお更なる態様では、薬物送達ペンの配向を決定するために、慣性センサがモジュールハウジング内に配置される。
【0021】
なお更なる態様では、薬物送達ペンの交換の決定を可能にするために、モジュールハウジング内にマイクロスイッチが配置される。
【0022】
本発明の別の態様では、ハウジングと、投与量センサと、ノブと、マイクロコントローラと、を含む、医療通信ユニットが提供される。ハウジングは、中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在し、中空穴は、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される。投与量センサはハウジングに連結され、長手方向軸に対してオフセットである。ノブはハウジングに装着され、投与量センサに連結される。マイクロコントローラは、ハウジング及び投与量センサに近接して配置される。
【0023】
更なる態様では、ハウジングと、薬物送達ペンの変位を測定するための手段と、薬物送達ペンの投与量送達又は投与量送達持続時間の1つを決定するための手段と、を含む、医療通信ユニットが提供される。ハウジングは、中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在し、中空穴は、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される。
【0024】
これら及び他の実施形態、特徴並びに利点は、本発明の実施形態の以下のより詳細な発明の説明を、はじめに簡単に述べる付属の図面とともに参照することによって明らかになろう。
【0025】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図面は、本発明の好適な代表的実施形態を示したものであって、上記に述べた一般的説明及び以下に述べる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明する役割(同様の数字は、同様の要素を表す)を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による第1の型式の医療モジュールの正面斜視図。
【図2】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による医療モジュールの背面斜視図。
【図3】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による医療モジュール及び薬物送達ペンの斜視図。
【図4】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による医療モジュール及び薬物送達ペンの斜視図。医療モジュールは薬物送達ペンに取り付けられている。
【図5】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図4の背面斜視図。医療モジュールの背面カバーは取り除かれている。
【図6A】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による第2の型式の医療モジュールの正面斜視図。
【図6B】ともに連結される前の薬物送達ユニット及び医療モジュールの斜視図。
【図6C】ともに連結された医療モジュール及び薬物送達ペンの斜視図。
【図6D】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による図6Cの背面斜視図。投薬送達前の回転式ノブ、投与量送達ボタン、追従部分、及び長手方向部材は延長されている。
【図7A】第3の医療ユニットの斜視図。
【図7B】更に別の薬物送達装置に装着された医療ユニットの斜視図。
【図7C】図7Aのユニットの平面図。
【図7D】図7Bの薬物送達装置の平面図。
【図7E】図7Bの薬物送達装置の作動ユニットに連結されたユニットの構成要素の分解図。
【図8A】図7Aのユニットの内部構成要素を示すためにカバーが取り外された状態の背面斜視図。
【図8B】図8Aの背面斜視図の拡大図。投与量選択、送達、及び送達持続時間を決定するために利用される構成要素を示す。
【図9A】更に別の型式の医療モジュール単独の斜視図。
【図9B】薬物送達ペンに連結された図9Aのモジュールの斜視図。
【図10A】先に記載したモジュールにそれぞれ対応するバリエーション。
【図10B】先に記載したモジュールにそれぞれ対応するバリエーション。
【図10C】先に記載したモジュールにそれぞれ対応するバリエーション。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、選択された実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。詳細な説明は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として説明するものである。この説明文は、当業者による発明の製造及び使用を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0028】
インスリンペンは、インスリンを送達するための簡易、便利、かつ効果的な手法として一般に使用されている。バイアル瓶から充填され、ユーザーが細かい目盛りに対するメニスカスの位置に基づき投与量体積を推量しなくてはならない注射器と異なり、インスリンペンは正確であり、かつ使用が比較的容易である。インスリンペンは、(1)インスリンカートリッジが予め充填されており、カートリッジが空になった後に捨てられる使い捨てペン、及び(2)ユーザーがインスリンカートリッジを充填する必要がある再利用可能なペンという2つの基本的な形式で得られる。ほとんどのインスリンペンは純粋に機械的なものだが、デジタル表示を有するもの及び最新投与履歴をメモリに記録する形式のものも市販されている(例えば、Humapen Memoirを参照)。ペンを使用するには、ユーザーは針を取り付け、装置をプライミングし、所望の投与量にダイヤルを合わせ、針を皮下に挿入し、ボタンを押して注入する。
【0029】
インスリンペンは注射器と比べて簡易であり使用が容易であるが、本特許出願者らは、なお改善可能な面があることを認識した。例えば、本特許出願者らは、典型的な使い捨てペンがインスリン送達イベントを記録しないことに着目した。これは、患者及び医師が後からインスリン送達パターン及びその血糖値データとの関係を分析することを困難にする。これは、ユーザー及び医師が血糖レベルとインスリン送達との関係を理解してインスリン投薬量を最適化するのを助けるのに必要なことである。加えて、インスリンを摂取したかどうかを忘れた患者が送達イベントを確認する方法がない。注入を1回し損ねると高血糖が生じる恐れがあり(週に2回ボーラス投与をし損ねるとHbA1Cレベルが上昇することは既知である)、インスリンを摂取し過ぎると生命に危険な低血糖イベントが生じる恐れがある。Humapen Memoirのようなモデルは最新の注入をペンのメモリに記録するが、一部の国のインスリン産業は耐久性のあるペンから使い捨てのペンに移行しつつある。データを保存するペンでは、長期データをダウンロードして、それを血糖値データとともに研究することは不可能である。他には、例えばJohn Walsh,P.A.,C.D.E.の「Smart Insulin Pen」(例えばhttp://www.diabetesnet.com/diabetes_technology/smart_pen.phpを参照)のような、無線通信を組み込んだいわゆる「スマートペン」装置を思索したものもあるが、これらは、インスリン会社によって採用されている使い捨てペンモデルと一貫性のない複雑な装置である。最後に、新しいペン装置の承認に至るまでの規制の道は長く、費用のかかるプロセスである。
【0030】
従来のインスリンペンの欠点を認識し、出願者らは、従来のインスリンペンとともに使用できるだけでなく任意の薬物送達ペンとも使用可能な医療モジュールの様々な実施形態を発明した。これらの医療モジュールの様々な代表的実施形態には、有用な特徴が設けられる。例えば、これらのモジュールには、投与量感知及び無線通信の能力が設けられる。このユニットは、異なるインスリン会社によって製造される様々な使い捨て薬物送達ペンとともに機能するように設計され得る。このユニットは、例えば成長ホルモン、GLP−1類似体、シムリン、生物学的分子、及び他の注入される生物医薬品のようなインスリン以外の薬品の送達のためのペン装置とともに使用してもよい。
【0031】
代表的実施形態では、医療モジュールは、好ましくは、使い捨て又は再使用可能な薬物送達装置(例えばインスリンペン)に取り付けられる、小さく、目立たず、軽量の装置であり、注入された薬品(例えばインスリン)の量を測定する。そのようなユニットのサイズ及び重量は、独立したペンをユーザーが運ぶのと同じようなやり方で、ペンに取り付けられた装置をポケット又はバッグに入れて運ぶことを許容可能にする。好ましくは、この装置は、投与量ダイヤルを回すこと、選択された投与量を投与量窓から見ること、及び投与量を送達するために注入ボタンを押すことを含む薬物送達装置の正常な機能を妨害しない。医療モジュールを取り付けた後に、典型的な注入中に薬物送達装置を使用するプロセスの工程を更に増すことはない。このユニットはまた、例えばインスリンのような薬品の量及び注入の日時をメモリに記録し、医療施術者による評価のためにデータをデータ管理ユニットに転送することができる。好ましい一実施形態では、データ管理ユニットは、2つの装置が互いの範囲内にあるときにデータを送受信する対になった検体メータ(例えば、不連続血糖メータ又は連続血糖感知メータであり得る血糖メータ)を含んでもよい。そのような実施形態では、メータ(図示せず)は、患者及びHCPによる回顧的分析のために検体(例えば血糖値)とともに薬品投与履歴を記録する。この装置は、例えばインスリンのような処方薬を摂ったかどうかを患者が覚えておくのを助け、HbA1cに影響する重要因子であるボーラスの摂り損ねの回数を減らすことができる。この装置はまた、薬品送達装置を正しく使用するようにユーザーを導くいくつかの特徴を有し、精度が改善され、インスリンペン療法について患者を教育するHCPの負担を軽減する。代表的実施形態は血糖感知メータをデータ管理ユニットの形態で用いるが、他のタイプの検体センサを、例えば成長ホルモン、GLP−1類似体、シムリン、生物学的分子、及びその他の注入可能な生物医薬品などの適切な注入可能な流体の送達のためのモジュールとともに使用してもよい。
【0032】
第1の型式の医療モジュール
図1に示すように、代表的なモジュール102は、第1の端部132から第2の端部180まで長手方向軸L1に沿って延在して中空穴109の少なくとも一部分142を画定するハウジング108を含む。中空穴109は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。ペンから分離されると、モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、プランジャ又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、中空穴の内面が周囲環境に露出されて、通常の観察者又はユーザーに見えるようになる。部分142は、本明細書の図3及び6Bに示される薬物送達装置124又は224(例えばインスリンペン)の作動ユニット100の上に取り付けられるように構成される。ハウジング108は、第2の軸L2の周囲を囲む第1及び第2の延長部分130及び134を含んで、中空穴109の少なくとも一部分、軸L2に沿って互いに対して長手方向にずれている位置決め中子136及び184、投与量センサ114、長手方向に長手方向軸L1に沿って往復することができる追従部分140を伴う位置決めフォーク152a及び152bを画定する。追従部分140は、物理的に又は直接に投与量センサ114に接続されている。一実施形態では、延長部130及び134のそれぞれは、軸L2の周囲に約30度で、概ね円形の経路に延在する。延長部とペンとの間のより固い係合が必要な場合は、延長部130及び130のそれぞれを増大して、軸L2の周囲にほぼ30度〜ほぼ250度まで(又は場合によっては、図8に図示したような連続した穴をもたらすために360度)の任意の範囲を画定することができる。
【0033】
図2は、図1に図示するモジュール102の背面を示す。図3は、2つの構成要素の組立前の従来の薬物送達ペンの一部としてのモジュール102を図示する。
【0034】
図1を参照すると、追従部分140は、センサ114に物理的に直接接続され、それ自体の軸の周囲を回転することができるように構成される。また、電源176が、好ましくは投与量センサ114から間隔を空けた位置に設けられる(図5)。ここではコントローラ基板170として図5に図示されているマイクロコントローラは、センサ114及び電源176の両方と連結されて、投与量セレクタ120の位置、移動又は場合によっては移動の方向の決定を可能にする(図2及び3を参照)。
【0035】
図4は、モジュール102をペンの投与量表示窓118と整列させるための位置決めツメ136及び184を示す。位置決めツメ136及び184は、スナップ嵌めユニット102を薬物送達装置124と整列させ、ユニット102が回転し薬物送達装置124の投与量表示窓118を隠すことを防ぐ。モジュール102では、位置決め中子136及び184を伴う延長部134及び182は、モジュール102をペン124の上にスナップ嵌めすることを可能にする。薬物送達ペン124を挿入した後、位置決め中子136及び184は投与量表示窓118と係合して、医療モジュール102を薬物送達ペン124に固定する。投与量セレクタ120は追従部分140と係合して、投与量が調節されると投与量セレクタ120がその軸に沿って動くのを可能にする。延長部134及び182は、ユーザーが投与量表示窓118及び薬物送達ペン124上のラベルを見ることができる開口部を残す。図5に図示するように、追従部分140が投与量セレクタの軸方向の動き(それ自体は回転方向であり、投与量セレクタの軸方向の動きを可能にする)又は送達ボタン116(軸方向)を追跡するように、位置決めフォーク152a及び152bは投与量セレクタ120に連結される。
【0036】
図5は、内部の構成要素を露呈するために上のハウジングが取り除かれたモジュール102を示す。具体的には、図5は、選択された投与量まで追従部分154が延ばされた状態の、注入前の長手方向部材154並びに位置決めフォーク152a及び152bの位置を示す。モジュール102は、ハウジング108と、電池176と、マイクロプロセッサ回路板170と、投与量センサ114と、長手方向部材154とを含む。投与量センサ114は、注入された投与量を測定するために使用される。長手方向部材154は、ペンの長手方向軸L2と平行に移動して、投与量セレクタ120が薬物送達ペン102の作動シャフト190とともに出入りする際に、投与量セレクタ120で追跡する。電気回路構成要素(図における構成要素の配置のために図示されていない)、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、A−D変換器、スピーカ、ディスプレイ、メモリ、ディスプレイドライバ、ユーザーインターフェイスドライバ、送信機及び受信機又は送受信機(例えば赤外光、無線周波数、又は光波を使用する無線トランシーバ)、並びにアンテナが、基板170上に配置されて、例えば、無線信号をメータとの間で送信及び受信し、センサからの入力を処理し、装置のオン/オフ切り替えを行い、装置をスリープモードにし、装置のスリープモードを解除し、電池176からの電力を調節し、メモリとの間で情報の保存及び取り出しを行う。投与量センサ114は好ましくはリニアポテンショメータであり、ユーザーが注入したボーラスの量を決定するために、投与量セレクタ120の位置を測定するのに使用される。センサ114は、投与量セレクタ120及び投与量アクチュエータ116の位置に関するデータを提供するためにマイクロプロセッサ基板170に連結されるA−D変換器に電気的に連結される。マイクロスイッチは、ハウジング端部132に近接した位置に設けられて、ボタン116が完全に押圧されてシャフト190をカートリッジ122の方へ押すと同時に薬物送達の表示を提供する。代表的実施形態とともに使用可能な他のセンサとしては、回転ポテンショメータ、リニア又は回転エンコーダが含まれる。出願者らが構築した運転試作機では、リニアポテンショメータが好ましい。しかし、本明細書に記載する実施形態は、薬物送達ペンの投与量セレクタの変位を決定するための手段を利用することができ、それらの手段としては、追従部分、長手方向部材、及び投与量センサ(ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ型式の変位センサ、又はこれらの組み合わせ及び同等物を含む)、並びに本明細書に記載するこれらの構成要素の同等物が含まれる。図1の実施形態では、薬物送達ペンはNovo Nordisk製のNovoLog(登録商標)Flex−Penであり得る。
【0037】
第2の型式のモジュール
異なる薬物送達装置(例えばインスリンペン)が代替的な連結手法を必要とし得ることを認識し、出願者らは、先行実施形態のように薬物送達装置の側部から取り付けられるのでなく薬物送達装置124又は224の一端の上に挿入されるように設計された代替品を提供した。第1のモジュールタイプの場合と同じく、このモジュールの中空穴は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。ペンから分離されると、モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、プランジャ又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、中空穴の内面が周囲環境に露出されて、通常の観察者又はユーザーに見えるようになる。
【0038】
図6A及び6Bを参照すると、モジュール202はハウジング209とともに提供される。モジュール202には、ケーシング208がハウジング209の外面を覆うように長手方向軸L1に沿って延在するケーシング208が設けられる。すなわち、ケーシング208は、ハウジング209の外面210とともになって特定の構成要素のエンクロージャを提供する3つの壁面を含む。ケーシング208は、ハウジング209の外面210の上に配置される回路板270(図6Dを参照)、センサ214(センサ摺動体215を含む)、及び電源276を包囲する。電源276へは、ケーシング208上に設けられる電源コンパートメントドアを通してアクセスすることができる。ケーシング208はハウジング209の外面210の上に配置されているので、ケーシング208はハウジング209の長手方向軸L2に対して非対称に位置づけられる。ケーシング208のオフセットの輪郭を更に低減させるために、電源276は、ケーシング208内部でなくノブ278に近接して位置づけられ得る。
【0039】
図6Aを再び参照すると、ハウジング209は長手方向軸L2に沿って第1の端部232から第2の端部280まで延在して、中空穴248の少なくとも一部分を画定する。ハウジング209には240が連結され、ノブ278は開口252の周囲に配置される。追従部分240及びノブ278の両方は、好ましくは、穴248と整列する連続した貫通穴である。穴248は、ペン224の作動ボタン216が開口部252を貫通して突出するまで薬物送達ペン224(図6Bを参照)の作動ユニット200を穴248に滑入することを可能にするように構成される。図6Aの好ましい実施形態では、穴248は、回転式ノブ278の穴及び概ね管状の部材を画定するハウジング209の連続面210と切れ目がなく連続する貫通穴である。ノブ278は追従部分240に物理的に連結され、追従部分240は、ノブ278の運動により追従部分240及び摺動体215の対応する比例運動がもたらされるように、長手方向部材254を介してセンサ214の摺動体215に直接かつ物理的に接続される。薬物送達ペン200上に印刷されたしるしの視認検査を可能にするため、又は投与量ディスプレイ218の読み取りを可能にするために、ハウジング209の一部分は好ましくは実質的に透明である。
【0040】
出願者らは、特定の従来のインスリンペンには、例えば図7Dに示されるように、少なくとも1つの隆起210bが設けられていることを認識した。出願者らは、そのようなペンの隆起210bを使用してユニット102と薬物送達ペンとの間に確かな連結を提供することができることを認識した。具体的には、ユニット202には、ハウジング209の内面上に陥没した溝が設けられ、この溝は、ユニット202を整列させペン124に対するユニット202の回転を防ぐように、隆起210bと噛み合う構成である。
【0041】
ユニット202の輪郭を低減させるために、出願者らは図6Dに示されている摺動式ポテンショメータの構成を利用した。この実施形態では、摺動体215は、追従部分240に接続される長手方向部材254に接続される。長手方向部材254には、摺動体215を保持するために使用される摺動体指294a及び294bが設けられる。追従部分240は、例えば、追従部分240と投与量セレクタとの間に挟まれる輪状部材との滑合連結を介してなど好適な連結構成によって、又は図7Eに示される構成から適応される構成によって、投与量セレクタ220に連結され得る。図7Eの構成では、追従部分240は、追従部材240上の溝244d及び対応する捕捉リング244上の隆起244cを含む溝保持機構を介して捕捉リング244に連結される。捕捉リング244は、長手方向軸L2に沿って延在する長手方向のスリット244aを含んでもよい。長手方向のスリット244aは、捕捉リング244の直径にフレキシビリティを提供して、隆起リブ221を介して捕捉リング244の内部の波状面244bを(ペン224の)投与量セレクタ220に摩擦連結することを可能にする。内側の波状面244bは、リブ221が最初に波状形244bと係合するときにはほとんど又は全く干渉がないが、完全に挿入されると摩擦係合を確実にもたらすように、軸L2に向かってテーパーすることが可能なように構成され得る。捕捉リング244には、回転式ノブ278の内部スプライン又は歯245bと係合している外部スプライン又は歯245aが提供され得る。回転式ノブ278には貫通開口部252が設けられて、ユーザーによる係合のためにペン202の作動ボタン216がそのような開口部252を貫通して突出することを可能にする。
【0042】
回転式ノブ278は注入中に捕捉リング244から解除されるので、薬物の送達中、すなわち注入中にユーザーの親指下でノブが回転することはないことに注意されたい。注入後、歯245aは歯245bと再び係合して、ユーザーが新しい投与量にペンのダイヤルを合わせることを可能にする。しかし、注入後にそれらの歯が正しく整列されていない場合は、それらの歯が再び係合する前にわずかにノブ278を回転させる必要がある場合がある。
【0043】
図6Dを参照すると、長手方向部材254は、回転ノブ278によってノブ278が軸L2の周囲を軸方向に移動すると軸L2に沿って軸方向に摺動するように構成され得る。この図で、摺動体215は、ポテンショメータトラック293上の中間に近接して位置づけられて示されている。ノブ278が軸L2に沿ってノブ278を並進するように回転すると、捕捉リング244も回転するように拘束され、それにより捕捉リング244の回転動作が引き起こされて、投与量セレクタ220に転送され、それにより投与量セレクタ220の回転及び並進もまた引き起こされる。セレクタ220のどのような回転運動も、軸L2に沿った軸運動をもたらすので、捕捉リング244、追従部分240及びノブ278は、投与量セレクタ220と同じやり方で(追従部分240は軸方向、捕捉リング244及びノブ278は軸方向及び回転方向の両方に)移動するように拘束される。したがって、投与量セレクタ220の運動は、送達又は注入される投与量に比例してポテンショメータを介して決定される。好ましい実施形態では、ポテンショメータトラック293は導電性ポリマートラック又はサーメット(cerement)トラックであり得る。図6Bの実施形態では、薬物送達ペンはSanofi Aventisにより製造されたLantus SoloStarインスリンであり得る。
【0044】
図6Dでは、長手方向部材254は、マイクロスイッチ268の指269aと相互作用する隔離板部材255cと接続されて、薬物送達イベントの決定を可能にする。指269aは導電性トラック269bと通常は接触していないので、スイッチ268は、ボタン261が完全に押圧されていないときは(例えば投与量選択又は調節の間)通常いつも開いている。ボタン216が方向2に完全に押圧されると、長手方向部材254及び隔離板255cは拘束されて、バネ255aが完全に圧縮されてケーシング208内の停止面(図示せず)に当たって隣接するまで長手方向軸L1に沿って移動する。バネ255aが停止面に近づくと、隔離板255cはマイクロスイッチ268の指269aを導電性トラック269b上に下げて、閉回路を作り出す。ボタン216の方向2への移動は、指269aを分離させ、一方、方向1への移動は、指269aを導電性トラック269bと接触させ、瞬間スイッチの様式で閉回路を形成する。
【0045】
第3の型式のモジュール
図7A及び7Bを参照すると、代替モジュール204には、既に説明したモジュール202とは明確に区別される特徴がいくつか設けられる。モジュール202と同様に、このモジュール204はハウジング209を有する。モジュール204にもまた、ケーシング208がハウジング209の外面を覆うように長手方向軸L1に沿って延在するケーシング208が設けられる。すなわち、ケーシング208は、ハウジング209の外面210とともになって特定の構成要素のエンクロージャを提供する3つの壁面を含む。ケーシング208は、ハウジング209の外面210の上に配置される回路板270(図8Aを参照)、センサ214(センサ摺動体215を含む)、及び電源276を包囲する。電源276へは、ケーシング208上に設けられる電源コンパートメントドアを通してアクセスすることができる。ケーシング208はハウジング209の外面210の上に配置されているので、ケーシング208はハウジング209の長手方向軸L2に対して非対称に位置づけられる。ケーシング208のオフセット又は非対称の輪郭を更に低減させるために、電源276はケーシング208内部でなくノブ278に近接して位置づけられ得る。第1及び第2のモジュールタイプの場合と同じく、このモジュールの中空穴は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。ペンから分離されると、モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、プランジャ又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、中空穴の内面が周囲環境に露出されて、通常の観察者又はユーザーに見えるようになる。ハウジング209は第1の端部232から第2の端部280まで長手方向軸L2に沿って延在して、ハウジング209の連続面210によって形成される中空穴248の少なくとも一部分を画定する。連続面210には、他の実施形態と明確に区別されるスカラップ部分211(図7A及び7C)が設けられる。ハウジング209は実質的に透明又は半透明の材料から形成することができるが、そのような材料は薬物送達ペン224上の印刷されたしるしの視覚的な歪みを引き起こす場合がある。したがって、スカラップ開口部211は、ユニット204がペン224と連結されると、薬物送達装置224上の印刷された識別をユーザーに見えるようにすることを可能にする。モジュール204は、スカラップ211を伴う穴248をペン224の投与量セレクタ220に最も近く挿入することによって薬物送達ペン224に連結される(図1及び1B)。モジュール204がペン224上に挿入される際、モジュール204上の溝210a(図1及び1B)はペン224上の隆起210bと整列されて、ペン224に対してモジュール204を回転方向に固定する。加えて、中子236を使用してペン224の凹部と係合させることができる。
【0046】
ハウジング209には追従部分240及び回転式ノブ278が連結される。追従部分240及びノブ278の両方は、好ましくは、穴248と整列する連続した貫通穴である。穴248は、薬物送達ペン224の作動ボタン216がモジュール204のボタン251に隣接するまで薬物送達ペン224(図10を参照)の作動ユニット200を穴248内に滑入することを可能にするように構成される。図7Aの好ましい実施形態では、穴248は、回転式ノブ278の穴及び概ね管状の部材を画定するハウジング209の連続面210と切れ目がなく連続する貫通穴である。既に述べたように、第2ハウジング209は、好ましくはほぼ透明又は半透明の材料から形成されるが、ケーシング208は任意の好適な色又は色の組み合わせで形成されてよい。本明細書で使用するとき、薬物送達ペンの作動ユニット200は、薬物カートリッジ222に取り付けるために、少なくとも投与量セレクタ、アクチュエータ、及び作動ボタンが提供されるペンの部分である。
【0047】
モジュール204は、スカラップ211を伴う穴248をペン224の投与量セレクタ220に最も近く挿入することによって薬物送達ペン224に連結される(図7D)。モジュール204がペン224上に挿入されると、モジュール204上の溝210a(図7A)はペン224上の隆起210bと整列されて、ペン224に対してモジュール204を回転方向に固定する。
【0048】
図8Aを参照すると、モジュール204はまた、ポテンショメータトラック上の摺動体215を利用し、この摺動体215は、追従部分240に接続される長手方向部材254に接続される。長手方向部材254には摺動体指294a及び294bが設けられ、それらは、摺動体が拘束されて軸L1に沿って並進することを確保するために保持棒296(図8B)とともに摺動体215(図8A)を保持するために使用される。
【0049】
図7Eに示すように、追従部分240は、追従部材240上の溝244d及び捕捉リング244上の対応する隆起244cを有する保持システムを介して捕捉リング244に連結される。追従部分240及び捕捉リング244は、捕捉リング244が第2の長手方向軸L2の周囲を回転可能であり追従部分240は回転しないが第2の長手方向軸L2に対して平行に直線的に移動するように連結することができる。
【0050】
捕捉リング244は、捕捉リング244の直径の規模にフレキシビリティを提供するために、長手方向軸L2に沿って延在する長手方向のスリット244aを含むことができ、捕捉リング244の内側の波状面244bを(ペン224の)投与量セレクタ220の隆起リブ221と摩擦によって連結することを可能にする。内側の波状面244bは、リブ221が最初に波状形244bと係合するときにはほとんど又は全く干渉がなく、しかしモジュール204がペン224に完全に挿入されると確実に摩擦係合をもたらすように、軸L2に向かって先細になるようにテーパーすることが可能なように構成され得る。捕捉リング244には、連結リング245の内部スプライン又は歯245bと係合している外部スプライン又は歯245aが設けられてもよい。連結リング245は、回転式ノブ278と捕捉リング244とを連結させることができる。捕捉リング244、連結リング245、及び回転式ノブ278の機械的組立品は、投与量セレクタ220が摩擦によって係合されたときに回転式ノブ278の回転の結果として投与量セレクタ220の回転を引き起こす。
【0051】
作動ボタン251もまたノブ278に連結され、その結果、両方の構成要素がともに組み立てられると、モジュール202のボタン251はペンボタン216と接触する。バネ246は、捕捉リング244の外面及びノブ278の内面に位置づけられ得る。バネ246は、歯245aが係合されたときにノブ278の回転が投与量セレクタ220の回転を引き起こすように、捕捉リング244に対して連結リング245を付勢するように構成され得る。注入中、ボタン251を押してバネ246を圧縮することができ、捕捉リング244からの連結リング245の解除を可能にすることができる。回転式ノブ278は、実際の注入中に捕捉リング244から解除されるので、物の送達中、すなわちペンの投与中にユーザーの親指下でノブが回転することはないことに注意されたい。追従部分240は、図7Eに図示するように、長手方向部材254を含むことができる。長手方向部材は、一端が追従部分240のリング部分と連結されている管状構造体を有することができる。管状構造体の中空部分294cが図7Eに図示されている。長手方向部材のもう一方の端は、突出プレート294d及び2つの摺動指294a、294bを有することができる。
【0052】
図8Aを参照すると、長手方向部材254は、軸L2に沿って軸方向に摺動するように構成されてもよい。追従部分240は、ノブ278が軸L2の周囲のノブ278の回転によって軸方向に移動するにつれてノブ278とともに移動するように拘束される。ノブ278が回転するにつれて、捕捉リング244も回転するように拘束され、投与量セレクタ220に伝わる捕捉リング244の回転運動を引き起こす。セレクタ220のいかなる回転運動も、軸L2に沿った内向き又は外向きの軸運動を結果としてもたらすので、捕捉リング244、追従部分240及びノブ278は、投与量セレクタ220と同じように(追従部分240は軸方向、捕捉リング244及びノブ278は軸方向及び回転方向の両方に)移動するように拘束される。したがって、投与量セレクタ220の運動は、送達すなわち注入される投与量に比例して投与量センサにより決定される。好ましい実施形態では、投与量情報を提供する投与量センサはポテンショメータである。図7Bの実施形態では、薬物送達ペンはSanofi Aventisにより製造されたLantus SoloStarであり得る。
【0053】
図8Bを参照すると、長手方向部材254は、長手方向部材254の内側に配置された作動シャフト297を示すために取り除かれている。作動シャフト297は、マイクロスイッチ268の指269aと相互作用する隔離板部材255cと接続される。中空部分294c及び突出プレート294dは、ボタン251が押圧されたときに隔離板部材が軸L1に沿って移動するように、隔離板部材255cに対応するように適合させることができる。作動シャフト297は、マイクロスイッチ268の指269aに対して隔離板255cの位置を調節するために、バネ255a及び止めネジ255bと連結することができる。指269aは導電性トラック269bと通常は接触していないので、スイッチ268は、ボタン251が完全に押圧されていないときは(例えば投与量選択又は調節の間)通常いつも開いている。投与量注入中などにボタン251が完全に押圧されると、長手方向部材254、作動シャフト297、及び隔離板255cは拘束されて、止めネジ255bがリテーナ壁255dに当たって隣接するまで、長手方向軸L1に沿って移動する。止めネジ255bがリテーナ壁255dに近づくにつれて、隔離板255cはマイクロスイッチ268の指269aを導電性トラック269b上に下げて、閉回路を作り出す。投与量ボタン251の更なる移動は、中空長手方向部材254を軸方向に続行させて、作動シャフトの棒部分の一端と止めネジ255bとの間にもたらされるいかなる緩みをも取り去る。
【0054】
代表例として本明細書に記載される構成のために、出願者らは、投与量送達イベント及びそのような投与量送達又は注入イベントの持続時間のいずれか一方又は両方の差を決定するための手段を提供することが可能になった。具体的には、投与量を選択するためにユーザーが単にノブ278を回転してノブ278を長手方向軸L2に沿っていずれかの方向に移動する場合、スイッチ268の指269aの接触はなく、したがって投与量イベントが起きているという決定はなされない。投与量の選択がなされたという決定を除き、プロセッサ基板270のメモリには投与量の送達に関する記録は一切なされない。ボタン251の完全な押圧によってのみ、指269aはトラック269bと接触し(図8A及び8B)、投与量の送達が起きているという決定が引き起こされる。一実施形態では、ボタン251が押圧されるまでは「スリープ」モードになるように電子部品を構成することができ、これはモジュールの電力消費を低減させる。本明細書で使用するとき、「スリープ」モードは、モジュールのあらゆる機能が最低限又は実質的にゼロの電力消費にあるが、ペンがスリープモードから外されたときにシステムを起動する必要がないモードである。
【0055】
マイクロスイッチ268は注入の開始点及び注入の終了点の追跡も可能にし、したがって、ユーザーが注入ボタンをゼロ投与量の位置まで完全に押し下げなくても注入の量を計算することが可能であることに注意されたい。投与量の送達がいつ行われたかを判断する能力は糖尿病を管理するユーザーにとって貴重だが、出願者らは、そのような投与量の送達の持続時間を決定及び確認し、その後、遵守投薬計画(regiment)を用いた分析を行う能力こそが、糖尿病管理技術分野における前進であると考える。すなわち、医療施術者によって処方されたプロトコルにしたがって患者がインスリンを注入する場合、完全な処方投与量を送達するには典型的にはボタン251を4秒〜10秒間完全に押圧することが要求されるので、そのような患者は、完全な処方投与量を送達できなかった場合に完全に遵守できない可能性がある。医療施術者のコンピュータに転送するためにプロセッサ基板270のメモリに投与量、時刻、及び持続時間を記録することによって、医療施術者は、データを評価した後に、又は場合によっては実時間に対策を講じ、処方プロトコルが完全に遵守されていることを確認することができる。好ましい実施形態では、正しいペンの使用方法についての患者への警告又は通知を、一実施形態では血糖メータを含むデータ管理ユニット上のメッセージとして表示することができる。したがって、薬物送達ペンの投与量送達又は投与量送達持続時間の1つ以上を決定するための手段は、追従部分240、長手方向部材254、バネ255a、隔離板269a、スイッチ268、スイッチ268に連結されたプロセッサ(プロセッサは本明細書に記載されている方法で動作するようにプログラムされる)、及びこれらの構成要素の同等物を含む。
【0056】
第4の型式のモジュール
ユーザーの嗜好に合わせて異なる薬物送達装置(例えばインスリンペン)が必要とされることを認識し、出願者らは、図9Bに図示するような薬物送達ペンとともに使用可能な、図9Aに図示するような別のタイプのモジュール402を提供した。この実施形態では、出願者らは、オフセット又は非対称の輪郭を更に低減させるように設計された代替品を提供した。加えて、出願者らは、電池を容易に交換するための機構を有する代替品を提供した。拡張モジュール402は、第1のモジュールハウジング408と、第2のモジュールハウジング409と、回転式ノブ478と、ボタン451と、スロット451aと、を含むことができる。電源は、ボタン451と似た形の円盤形(例えばコイン電池)であってもよい。電池は、ボタン451と重なる関係でボタン451に近接して配置されてよい。コイン又はネジ回しを用いてボタン451を回転するためにスロット451aを使用して、容易にボタン451を取り外すことができ、その結果、電池を交換することができる。
【0057】
他のバリエーションの拡張モジュール
図10Aは、モジュール102と類似している別の実施形態のモジュール502を図示する。拡張モジュール502は、モジュール102のような第1及び第2の延長部分を有さない。代わりに、モジュール502は、薬物送達ペンの周囲を巻くハウジングを有する。モジュール502のハウジングは2つの窓519a及び519bを有し、ユーザーが表示窓及びペンに記載されているしるしを見ることを可能にする。拡張モジュール502は、ボタン551及びスロット551aを含む。電源は、ボタン551と似た形の円盤形(例えばコイン電池)であってもよい。電池は、ボタン551と重なる関係でボタン551に近接して配置されてよい。コイン又はネジ回しを用いてボタン451を回転するためにスロット551aを使用して、容易にボタン551を取り外し、電池を交換することができる。
【0058】
図10Bは、モジュール102と類似している別の実施形態のモジュール602を図示する。拡張モジュール602は、モジュール502と類似しているボタン651及びスロット651aを含む。
【0059】
図10Cは、モジュール204と類似している別の実施形態のモジュール702を図示する。先の実施形態と異なり、モジュール702は、ペンに沿って延びる長手方向軸に対して対称のハウジングを有する。モジュール702のハウジングは、ユーザーがペンの表示窓を見ることを可能にする窓719を有する。
【0060】
代表的実施形態の操作
使用に際し、ユーザーは、本明細書で図に示されているように、医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)を薬物送達ペン124(又は224)の作動端部100(又は200)の上に連結する(例えば、スナップ嵌め、滑り嵌め(slide on)、クラムシェルを閉じる)。医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)を薬物送達ペン124(又は224)に連結したら、投与量セレクタ120(又は回転ノブ278)を回転して、ユーザーは注入する投与量をダイヤルして選択することができる。選択された投与量はペン124又は224の投与量表示窓118(又は218)に表示される。投与量セレクタ120が回転するにつれて、図5及び6Dに図示されているように薬物送達ペン124(又は224)内のシャフト190が延びて、長手方向部材154(又は254)もまた延びる。同様に、ノブ278が回転するにつれて、図8Aに図示するように第1のモジュールハウジング208内部の長手方向部材254が延びる。注入されるインスリンの量はペン124のシャフト190及び長手方向部材154の延長(図5)に比例し、これは投与量センサ114によって測定される。同様に、注入されるインスリンの量はモジュール202の追従部分240及び長手方向部材254の延長に比例し、これは投与量センサ214によって測定される。投与量セレクタ120(又はノブ278)をいずれかの方向に回転して、選択される投与量を増す又は減らすことができる。
【0061】
好適な針(図示せず)をインスリンカートリッジ122又は222に取り付けることができる。注入の前に、ユーザーは、針を皮下に差し込む前に少量の投与量(通常、2単位)を射出して薬物送達ペン124又は224をプライミングする。薬物送達ペン124又は224のプライミングは、気泡を除去する。プライミングの間、薬物送達ペン124又は224は針を上に向けて保持されなくてはならない。医療モジュール102は、2つの代表的な手法、すなわち(1)注入中に薬物送達ペン124又は224が(地面に対して)針を上に向けて保持されているかどうかを拡張モジュールのハウジングに配置された慣性又は加速度センサを介して決定し得ること、及び(2)1つ以上の約2単位の少量の投薬の後により大きい投薬が行われるかどうかを決定するソフトウェアを使用することができることによって、プライミングと注入とを区別することができる。場合によっては、別個の血糖メータによって、投薬がプライミングか注入かを確認するよう、ユーザーに尋ねることができる。一実施形態では、ユーザーが装置を取り上げたときに装置がスリープモードの場合は、慣性センサを使用して装置を起動することもできる。血糖メータの投薬履歴メニュー(図示せず)で、ユーザーはプライミングと注入のエントリをトグルすることができる。例えば、メータは記号「*」(例)を表示することによって、プライミングを表示し、どの注入の前にプライミングが行われたかを表示することができる。出願者らは、これによって、プライミング投与量と注入投与量を全てまとめて1つのリストに表示することによってユーザーを混乱させることなく、メータの1つの画面上にできるだけ多くの情報を表示することが可能になると考える。
【0062】
所望の投与量をダイヤル選択した後、針を皮膚に挿入し、ユーザーがペン124(モジュール102の場合)の作動ボタン116又はペン224のボタン216又はボタン251(モジュール202の場合)を親指で完全に押圧することによって注入を行う。作動ボタンを完全に押圧したら、選択された投与量が完全に注入されるために既定の時間ボタンを下げたまま保持する必要がある。投与量注入イベント及びその持続時間を決定するための手段において提供されるように、拡張モジュールはそのようなイベント及びそのイベントの持続時間をそのメモリに記録する。ユーザーは、カートリッジ222が空になるまでこの順序を行うことができる。
【0063】
インスリンカートリッジ222が空になった後、モジュール102(202又は204)を使い捨て薬物送達ペン124(又は224)から取り外し、使い捨て薬物送達ペン124又は224(例えばインスリンペン)を捨て、モジュール102を新しい使い捨て薬物送達装置124又は224(例えばインスリンペン)に再び取り付ける。あるいは、ユーザーが再使用可能なペンを使用している場合は、空の薬物カートリッジを捨て、再使用可能なペンの作動部分に取り付けられる新しいカートリッジと交換することができる。
【0064】
既に述べたように、単一の血糖メータで複数の医療モジュールと通信することができる。例えば、血糖メータは、速効型インスリン薬物送達ペンに取り付けられた医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)及び長期作用型のインスリン薬物送達ペンを有する別のユニット(102、202、204、402、502、602、又は702)と通信することができる。薬物送達ペン124又は224の色と一致するように医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)をカラーコードして、含まれているインスリンのタイプを識別してもよい。この特徴は、誤ったタイプのインスリンをうっかり注入することを防ぐのを助ける。一実施形態では、このモジュールは、インスリンのタイプを識別するために特定のタイプのペンハウジングに取り付けるように構成することができる。この実施形態では、インスリンペン製造業者は、特定のインスリンのタイプのために異なるタイプのペンハウジングの形状を提供する。
【0065】
いくつかの特徴について説明してきたが、代表的実施形態の他のバリエーションを様々な組み合わせで利用することも可能である。例えば、拡張モジュールは、ポテンショメータの代わりにエンコーダを使用して、投与量セレクタの角度位置及び回転を測定することができる。スイッチをエンコーダと併用して、ユーザーが例えばインスリンのような薬物を注入するために拡張モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)の投与量作動ボタンを押圧したときを検出し、投与量調節と注入との区別を可能にすることができる。そのようなスイッチはまた、既に説明したように、インスリンショットを注入した後にユーザーがどれだけ長く投与量作動ボタンを押圧し続けるかを検出する。別の例では、スイッチが作動され、投与量セレクタダイヤルがゼロ位置に戻ったことをエンコーダが判断した後に、拡張モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)はこの情報を血糖メータに伝達して、ユーザーがダイヤルを押圧し続けなくてはならない時間のカウントダウンをするメータのタイマーを開始することができる。ユーザーがスイッチへの圧力を尚早に解放すると、血糖メータに警告が発せられるか表示されてもよい。あるいは、又は加えて、スナップ嵌め式のペンモジュール(102、202、204、402、502、602又は702)の小さいディスプレイ又はLEDを使用して、どれだけ長くダイヤルを押圧し続けるかをユーザーに伝えてもよい。しかし、ディスプレイは絶対に必要なものではないことに注意されたい。装置は、ボタンが押圧されている時間を追跡し、ユーザーがボタンを十分な時間に押し続けない場合にメータにメッセージ/警告を表示するだけでもよい。スイッチは、例えば図1〜8に例として示されるリニアポテンショメータなど、エンコーダ以外のセンサとも機能するように構成されてもよい。医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)102は、薬物送達ペン124又は224を正しく使用するようユーザーを案内する様々な特徴を含むことができる。例えば、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)は、ユーザーが薬物送達ペン124又は224をプライミングしなかった場合に慣性センサを用いてユーザーに警告すること、(混合インスリンに適用される)混合工程が行われなかった場合に慣性センサを用いてユーザーに警告すること、注入が不完全である(すなわち、投与量送達ボタンが完全にゼロに達するまで押圧されていない)ことをユーザーに警告すること、注入中に投与量送達ボタン116を数秒間押し続けるようユーザーに通知するタイマーを提供すること、薬物送達ペン124又は224に残っているインスリンを追跡記録すること、注入時刻になったときにユーザーに通知すること、注入をし損ねた又は重複した場合にユーザーに警告すること、まもなくインスリンの有効期限が切れることをユーザーに警告することができる。
【0066】
加えて、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)は、モジュールハウジング108内にマイクロスイッチを含むことによって、特定の機能を作動させることができる。例えば、薬物送達ペン124又は224を医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)に挿入するとマイクロスイッチが起動する。マイクロスイッチの起動は2つの目的を果たし、すなわち、第1には、新しい薬物送達ペン124又は224が挿入されたときに信号を送信することによって、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)が薬物送達ペン124又は224内の残りのインスリンの量を追跡することを可能にし、第2には、薬物送達ペン124又は224が正しく挿入され、医療モジュールと正しく整列されることを確保する。
【0067】
モジュールに含めることができるもう1つの機能は、ユーザーによるプライミング投薬とユーザーに注入された投薬とを区別するための技術である。例えば、重力センサ又は慣性センサを使用して、ダイヤル3が押圧されたときに装置が上を向いているかどうか(気泡を除去するときに装置を逆さの位置に保持するので、プライミングショットであることを示す)を判断することができる。拡張モジュールは、プライミングショットと実際の薬物送達とを区別することができる。例えば、通常、プライミングショットは2単位以下であるので、より量の多い注入ショットと区別することが可能であり、また、通常、プライミングショットの後に注入ショットが行われるが、これは、ソフトウェアによって区別することが可能なパターンである。同様に、ユーザーがダイヤルを後方及び/又は前方に回して特定の投与量にダイヤルを合わせて行う投与量調節と、ユーザーが1回分を注入したときに生じるダイヤル位置の移動とを区別可能であることが有用である。ユーザーへの注入であれば、終了時にダイヤルは初期の位置、すなわちホームポジションに戻るはずであるのに対し、投与量を変更するためのダイヤル調節は、通常はダイヤルをより多くの投与量に設定するときに生じ、ダイヤルの初期の位置、すなわちホームポジションでは終わらないので、これは投与量センサを介してマイクロコントローラによっても検出可能である。
【0068】
いくつかの機能を利用してインスリンペンの使用での不正確さを軽減することができる。これらには、注入のし損ね、注入の重複、及び不適切なプライミングが含まれる。不適切なプライミングは、投薬と投薬との間に針(図示せず)を付けたままにして薬物カートリッジ122に空気を進入させた場合に特に問題である。70/30プレミックスのようなインスリンは注入の前に混合する必要がある。注入の前に70/30プレミックスの混合をしないこと又は不適切に混合することは、不正確さの原因である。投与量の全てが体内に確実に入るようにするためには、注入中に約6秒間、投与量送達ボタン116を保持しなくてはならない。投与量送達ボタン116を十分に長く保持しないと、部分投薬が生じる。医療モジュールは、これらの不正確さをユーザーに警告するので、不正確さを軽減するのを助ける。
【0069】
既に述べたように、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)を使用して、インスリン投与量を測定し、その情報を、血糖メータ、あるいは、例えば携帯電話、家庭用コンピュータ、モバイルコンピュータ、サーバ、モニタリングネットワーク又は場合によってはインスリンポンプ若しくはインスリンポンプとコントローラとの組み合わせなどのような好適なデータ通信ユニットであり得るデータ管理ユニットに転送することができる。医療モジュールからデータ管理ユニットに転送される情報を使用して、薬物送達ペン124又は224を使いこなすのを助けることができる。薬物送達ペン124又は224の不正確な使用の主な潜在的原因は、投薬をし損ねること及び投薬の重複である。本明細書で具現化される医療モジュールは、ユーザーに投与履歴を通知することによってこれらのエラーの原因をなくすのを助けることができる。完全な投与履歴(投与量、及び投薬が行われた日時を含む)は、このオプションをデータ管理ユニットのメニューから選択することによって、ユーザーに利用可能にできる。加えて、データ管理ユニットの電源を入れたときに最新の投与情報(時間及び量)をメータのディスプレイに示すことによって、ユーザーは血糖値測定をする度に、注入を忘れたかどうかを直ちに見ることになる。血糖を試験するときをユーザーに警告するためにデータ管理ユニットを使用するのと同じ方法で、データ管理ユニットは、いつインスリンを摂取するか、又はインスリン注入をし損ねたかどうかもユーザーに警告することができる。この情報も、データ管理ユニットの電源を入れたときに表示することができる。
【0070】
薬物送達ペン124又は224を使用するときの不正確さのもう1つの原因は、不適切なプライミング手法(又はプライミングそのものをしないこと)である。プライミング(試験注射と呼ばれる場合もある)の目的は、注入量を減らすことになる気泡を薬物カートリッジ122及び針から取り除くことである。プライミング中は、気泡を薬物カートリッジ122の上(針に最も近い端)に上昇させ、プライミング投薬によって排出されることができるように、薬物送達ペン124又は224を縦に保持しなくてはならない。針の先端にインスリンの滴が現れるのをユーザーが見れば、プライミングは成功である。インスリンの滴が見られない場合は、ユーザーはプライミング工程を繰り返す。慣性センサをモジュールハウジングに配置するか、プロセッサ基板170又は270に位置づけて、プライミング中に薬物送達ペン124又は224が縦に保持されているかどうかを検出し、この情報をデータ管理ユニットに無線送信することができる。低コストのマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)慣性センサチップは広く入手可能であり、正確かつ低コストで、サイズが小さい。好ましい慣性センサとしては、Analog DevicesのモデルADXL322加速度計(http://www.analog.com/en/mems−and−sensors/imems−accelerometers/ADXL322/products/product.html#pricingで入手可能)を挙げることができる。データ管理ユニットは、プライミングのときにユーザーが薬物送達ペン124又は224を縦に保持していない場合に、縦に保持するようにユーザーに通知することができる。加えて、ユーザーがプライミング工程を完全に抜かした場合は、医療モジュール102、202又は204が収集した情報からそのことが明らかになり、拡張モジュール又はデータ管理ユニットによって視覚的又は聴覚的な警告、通知、及び/又は指示をユーザーに与えることができる。
【0071】
また、慣性センサは、薬物送達ペン124又は224の使用におけるもう1つのエラーの原因であるインスリン注入前の混合手法をユーザーが正しく行っているかどうかを判断するのにも利用される。インスリンによっては、70/30プレミックスインスリンのように使用前に混合しなくてはならないものがある。通常、混合には、薬物送達ペン124又は224を上下に動かすことを10回繰り返すことを伴い、これは(取り付けられた医療モジュール102、202又は204に位置づけられている)慣性センサによって容易に検出可能な動作である。使用前に混合することが必要なインスリンを使用している場合は、データ管理ユニットにメッセージを表示して、インスリンの混合の仕方を患者に通知することができる。
【0072】
プライミングに関係するもう1つのエラーの原因は、各注入後に針を取り外して廃棄することをしないことである。一実施形態では、メータは、毎回使用の度に針を取り外さなくてはならないことを述べた通知を生成するためにディスプレイを提供する。あるいは、拡張モジュールに装着されたスピーカを利用して、トーン、又は予め保存された、特定の地域のために構成されたフレーズ(例えば、ドイツで流通されたモジュールの場合はドイツ語、フランスで流通された場合はフランス語など)で、ユーザーを促すことができる。加えて、所在が分からないペン及びモジュールをユーザーが見つけるのを可能にするように、拡張モジュールのスピーカを構成してもよい。具体的には、ペン及びモジュールの所在がユーザーに分からない場合に、拡張モジュールは、データ管理ユニット(又は、拡張モジュールと対になった任意の電子装置)からの問い合わせ信号に応答して拡張モジュールのスピーカがトーン又はブザー音を発することができる。また、この方法を使用して、特定のモジュールが血糖メータなどの特定のデータ管理ユニットと対になっていることを確認するのに使用することもできる。
【0073】
薬物送達ペン124又は224を用いてインスリンを注入するとき、確実に投与量が全て皮下に送達されるようにするために、針が挿入された状態で投与量送達ボタン116を約6秒間押し下げ続けることが重要である。最適な時間は、通常、薬物送達ペン124又は224のユーザーマニュアルに記載されている。拡張モジュール又はデータ管理ユニットのいずれか又は両方にメッセージを表示して、ユーザーが投与量送達ボタン116、216又は251を尚早に解放した場合に、正しい手法をユーザーに通知することができる。データ管理ユニット又は拡張モジュールは、投与量送達ボタン116が最初に押圧されたときに開始するカウントダウンタイマーの表示又はカウントダウンのトーン又は信号の発信をして、投与量送達ボタン116を解放すべきときをユーザーに知らせることができる。
【0074】
冷蔵庫から出した後にペンが使用され得る時間など、ペンの使用に関係する他の通知をスマートペンモジュールに組み込み、ユーザーへの助けとして血糖メータに表示してもよい。特定のペンが使用されている時間を追跡するために、ユーザーは新しいペンの開始をメータで指示する必要がある。そのような実施形態では、スマートペンモジュールの中空穴に、モジュールがペンに取り付けられたときに作動するスイッチが設けられて、新しいペンの開始を発信する。ボタンを押圧することによって、また場合によっては例えば新しいペンのインスリンの量など何らかの情報を入力することによって、新しいペンがいつ開始されたかをメータ上で確認するよう、ユーザーが指示されてもよい。
【0075】
上記の実施例では、容易な参照又は顕著な表示のために、スマートペンモジュールが収集した情報を携帯電話又はコンピュータと送受信することを可能にするために、拡張モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)にはトランシーバが設けられている。
【0076】
説明及び図示されたこれらの特徴は、従来の使い捨てペンの他に、再使用可能なペンに組み込まれてもよい。
【0077】
最後の数回の注入量を表示する従来のデジタルインスリンペンを例外として、我々が知る限り、本明細書で出願者らが認識した問題に対処することを目的とした装置は他にない。
【0078】
これまでに、各投与量を測定し、その情報をメータに送信して表示するいくつかの試作機が構築されてきた。ユーザーは、長期作用型のインスリンのために1つのペンを使い、別のペンを速効型インスリンに使うことが多いので、出願者らは、それらの試作機の評価中、複数のペンと通信する装置を有することが有用であろうと認識した。加えて、一部の患者は、同じタイプのインスリンに複数のペンを使用し、それらを異なる便利な場所(例えば自宅、職場、車内など)に置いておく。したがって、出願者らは、すべてのインスリン注入を確実に記録するために、複数のモジュールが、これらのペンのそれぞれのためのデータ管理ユニット(例えば検体メータ、注入ポンプ、又はコントローラ)と通信できることを理解した。また、出願者らは更に、モジュールをカラーコードして、それらの通信モジュールとともに作動するように設計された薬物送達ペンの色と一致するようにできることも理解した。インスリン会社は同じペンを使用して異なるインスリンを送達し、異なるペンをユーザーが区別するのを助けるためにカラーコードを使用するので、この特徴は、ユーザーにとって有用であると考えられる。これらのモジュールは、ユーザーが注入するインスリンのタイプを拡張モジュール又はメータ上のメッセージ、可視警告、又はアラームを介してユーザーに警告し、ユーザーが誤ったインスリンを注入している可能性がある潜在的なエラー(高血糖又は低血糖を引き起こし得るエラー)を見つけるのを助けることができる。
【0079】
本発明を特定の変形例及び説明図に関して述べたが、当業者には本発明が上述された変形例又は図に限定されないことが認識されよう。更に、上述の方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、当業者には特定の工程の順序が変更可能であり、そうした変更は本発明の変形例に従うものである点が認識されよう。更に、こうした工程のうちのあるものは、上述のように順次行われるが、場合に応じて並行したプロセスで同時に行われてもよい。したがって、開示の趣旨及び本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形が存在する範囲では、本特許請求がこうした変形例をも包含することが意図されるところである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、「Medical Module for Drug Delivery Pen」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,386号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP号)、「Drug Delivery System」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,421号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP1号)、「Drug Delivery Management Systems and Methods」と題する2009年3月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,472号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP2号)、「DRUG DELIVERY MANAGEMENT SYSTEMS AND METHODS」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/164,250号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP3号)に対し、米国特許法35 USC§119に基づく優先権の利益を主張し、これら全ては参照により本明細書にそれらの全てが組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、薬物送達ペンのための医療モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
全世界で5百万人、又はインスリン使用者の約56%が、インスリンの注入のためにインスリンペンを使用すると考えられている。インスリンペンは注射器又はバイアル瓶に比べて便利で使い易く目立たない(discrete)ため、使用者はより遵守し、よりよい結果をもたらしている。加えて、インスリンペンは医療施術者がインスリン療法を開始するのに必要な時間を短縮する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、インスリン療法と血糖値モニタリングとを組み合わせ、より統合された治療/モニタリングシステムにすること、インスリンの開始及び増強のプロトコルを簡易化すること、血糖値を中心として糖尿病を管理すること、及び改善された結果及びコスト低減のための糖尿病システムを提供することを含む、重要な問題に対処する。本発明の実施形態は、送達された投与量を血糖メータに自動的に通信すること、インスリン送達の量及び時間を記録すること、並びに患者の血糖値及びインスリン投薬履歴の要約を表示することによって、患者及び医療提供者がインスリン療法を使いこなすのを助ける。本発明の実施形態は、患者が投薬したかどうかを確認し、インスリン送達の時間及び量の記録をつけ、手作業で記録ノートを保管する必要をなくす。本発明の実施形態は、患者が投薬を遵守していることを医療施術者が確認するのを助ける。
【0005】
本発明の実施形態は糖尿病の管理を容易にするだけでなく、本発明及びその実施形態は、患者への薬物送達が利用されるいかなる分野にも応用され得るであろう。例えば、疼痛管理又は関節炎の管理、不安神経症又は癲癇の管理などの分野(例えばジアゼパム)である。
【0006】
前述のことを鑑み、本発明の一態様にしたがって、第1のモジュールハウジングと、第2のモジュールハウジングと、投与量センサと、電源と、マイクロコントローラと、を含む、医療モジュールが提供される。このモジュールハウジングは、第1の長手方向軸に沿って第1のモジュールハウジング端部から第2のモジュールハウジング端部まで延在する。第2のモジュールハウジングはケーシングモジュールと連結され、第2の軸に沿って延在して中空穴を画定し、この中空穴は、薬物送達ペンの作動ユニットの上に取り付けられるように構成される。投与量センサは第1のモジュールハウジングと連結され、一方、電源は第1のモジュールハウジングと連結され、投与量センサから離間して配置される。マイクロコントローラは、第1のモジュールハウジング内に配置され、投与量センサ及び電源の両方に連結される。
【0007】
更なる態様では、第1の長手方向軸に概ね平行な第2の長手方向軸を部分的に囲む第1及び第2の延長部を含む。
【0008】
なお更なる態様では、第1及び第2の延長部のそれぞれは、対応する第1及び第2の位置決め中子を含み、各位置決め中子は各延長部を超えて突出している。
【0009】
なお更なる態様では、第1の位置決め中子は、第2の位置決め中子に対して長手方向にオフセットして第2の長手方向軸に沿った位置に位置づけられる。
【0010】
なお更なる態様では、第1及び第2の延長部のそれぞれは、第2の長手方向軸の周囲のほぼ30度の概ね円形の断面を画定する。
【0011】
なお更なる態様では、第2のモジュールハウジングの一部分は、第2の長手方向軸を囲んで、長手方向軸の周囲のほぼ140度の概ね円形の断面を画定する。
【0012】
なお更なる態様では、第2のモジュールハウジングの一部分は、第1及び第2の延長部の両方と切れ目がなく連続して、第2の軸の周囲のほぼ250度を囲む連続面を画定する。
【0013】
なお更なる態様では、投与量センサは、長手方向軸に沿って摺動可能な長手方向部材を含む。長手方向部材は、第2のモジュールハウジング端部に近接した第1のモジュールハウジングから延びる追従部分と接続される。
【0014】
なお更なる態様では、長手方向部材は、その軸の周囲を回転するように構成される。
【0015】
なお更なる態様では、第2のモジュールハウジングは、第2の長手方向軸の全体を囲みこのモジュールハウジングの長さに沿って延びる中空穴を画定する、概ね管状の延長部を含む。
【0016】
なお更なる態様では、マイクロコントローラは、メモリと、メモリに連結されたマイクロプロセッサと、追従部分の変位に関するデータを提供するために投与量センサ及びマイクロプロセッサに連結されたA−D変換器と、メモリに保存されたデータを送信するための送信機と、を含む。
【0017】
なお更なる態様では、薬物送達ペンは、使い捨てインスリンペンを含む。
【0018】
なお更なる態様では、薬物送達ペンは、再利用可能なインスリンペンを含む。
【0019】
なお更なる態様では、投与量センサは、ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ式変位センサ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
なお更なる態様では、薬物送達ペンの配向を決定するために、慣性センサがモジュールハウジング内に配置される。
【0021】
なお更なる態様では、薬物送達ペンの交換の決定を可能にするために、モジュールハウジング内にマイクロスイッチが配置される。
【0022】
本発明の別の態様では、ハウジングと、投与量センサと、ノブと、マイクロコントローラと、を含む、医療通信ユニットが提供される。ハウジングは、中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在し、中空穴は、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される。投与量センサはハウジングに連結され、長手方向軸に対してオフセットである。ノブはハウジングに装着され、投与量センサに連結される。マイクロコントローラは、ハウジング及び投与量センサに近接して配置される。
【0023】
更なる態様では、ハウジングと、薬物送達ペンの変位を測定するための手段と、薬物送達ペンの投与量送達又は投与量送達持続時間の1つを決定するための手段と、を含む、医療通信ユニットが提供される。ハウジングは、中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在し、中空穴は、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される。
【0024】
これら及び他の実施形態、特徴並びに利点は、本発明の実施形態の以下のより詳細な発明の説明を、はじめに簡単に述べる付属の図面とともに参照することによって明らかになろう。
【0025】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図面は、本発明の好適な代表的実施形態を示したものであって、上記に述べた一般的説明及び以下に述べる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明する役割(同様の数字は、同様の要素を表す)を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による第1の型式の医療モジュールの正面斜視図。
【図2】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による医療モジュールの背面斜視図。
【図3】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による医療モジュール及び薬物送達ペンの斜視図。
【図4】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による医療モジュール及び薬物送達ペンの斜視図。医療モジュールは薬物送達ペンに取り付けられている。
【図5】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図4の背面斜視図。医療モジュールの背面カバーは取り除かれている。
【図6A】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による第2の型式の医療モジュールの正面斜視図。
【図6B】ともに連結される前の薬物送達ユニット及び医療モジュールの斜視図。
【図6C】ともに連結された医療モジュール及び薬物送達ペンの斜視図。
【図6D】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による図6Cの背面斜視図。投薬送達前の回転式ノブ、投与量送達ボタン、追従部分、及び長手方向部材は延長されている。
【図7A】第3の医療ユニットの斜視図。
【図7B】更に別の薬物送達装置に装着された医療ユニットの斜視図。
【図7C】図7Aのユニットの平面図。
【図7D】図7Bの薬物送達装置の平面図。
【図7E】図7Bの薬物送達装置の作動ユニットに連結されたユニットの構成要素の分解図。
【図8A】図7Aのユニットの内部構成要素を示すためにカバーが取り外された状態の背面斜視図。
【図8B】図8Aの背面斜視図の拡大図。投与量選択、送達、及び送達持続時間を決定するために利用される構成要素を示す。
【図9A】更に別の型式の医療モジュール単独の斜視図。
【図9B】薬物送達ペンに連結された図9Aのモジュールの斜視図。
【図10A】先に記載したモジュールにそれぞれ対応するバリエーション。
【図10B】先に記載したモジュールにそれぞれ対応するバリエーション。
【図10C】先に記載したモジュールにそれぞれ対応するバリエーション。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、選択された実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。詳細な説明は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として説明するものである。この説明文は、当業者による発明の製造及び使用を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0028】
インスリンペンは、インスリンを送達するための簡易、便利、かつ効果的な手法として一般に使用されている。バイアル瓶から充填され、ユーザーが細かい目盛りに対するメニスカスの位置に基づき投与量体積を推量しなくてはならない注射器と異なり、インスリンペンは正確であり、かつ使用が比較的容易である。インスリンペンは、(1)インスリンカートリッジが予め充填されており、カートリッジが空になった後に捨てられる使い捨てペン、及び(2)ユーザーがインスリンカートリッジを充填する必要がある再利用可能なペンという2つの基本的な形式で得られる。ほとんどのインスリンペンは純粋に機械的なものだが、デジタル表示を有するもの及び最新投与履歴をメモリに記録する形式のものも市販されている(例えば、Humapen Memoirを参照)。ペンを使用するには、ユーザーは針を取り付け、装置をプライミングし、所望の投与量にダイヤルを合わせ、針を皮下に挿入し、ボタンを押して注入する。
【0029】
インスリンペンは注射器と比べて簡易であり使用が容易であるが、本特許出願者らは、なお改善可能な面があることを認識した。例えば、本特許出願者らは、典型的な使い捨てペンがインスリン送達イベントを記録しないことに着目した。これは、患者及び医師が後からインスリン送達パターン及びその血糖値データとの関係を分析することを困難にする。これは、ユーザー及び医師が血糖レベルとインスリン送達との関係を理解してインスリン投薬量を最適化するのを助けるのに必要なことである。加えて、インスリンを摂取したかどうかを忘れた患者が送達イベントを確認する方法がない。注入を1回し損ねると高血糖が生じる恐れがあり(週に2回ボーラス投与をし損ねるとHbA1Cレベルが上昇することは既知である)、インスリンを摂取し過ぎると生命に危険な低血糖イベントが生じる恐れがある。Humapen Memoirのようなモデルは最新の注入をペンのメモリに記録するが、一部の国のインスリン産業は耐久性のあるペンから使い捨てのペンに移行しつつある。データを保存するペンでは、長期データをダウンロードして、それを血糖値データとともに研究することは不可能である。他には、例えばJohn Walsh,P.A.,C.D.E.の「Smart Insulin Pen」(例えばhttp://www.diabetesnet.com/diabetes_technology/smart_pen.phpを参照)のような、無線通信を組み込んだいわゆる「スマートペン」装置を思索したものもあるが、これらは、インスリン会社によって採用されている使い捨てペンモデルと一貫性のない複雑な装置である。最後に、新しいペン装置の承認に至るまでの規制の道は長く、費用のかかるプロセスである。
【0030】
従来のインスリンペンの欠点を認識し、出願者らは、従来のインスリンペンとともに使用できるだけでなく任意の薬物送達ペンとも使用可能な医療モジュールの様々な実施形態を発明した。これらの医療モジュールの様々な代表的実施形態には、有用な特徴が設けられる。例えば、これらのモジュールには、投与量感知及び無線通信の能力が設けられる。このユニットは、異なるインスリン会社によって製造される様々な使い捨て薬物送達ペンとともに機能するように設計され得る。このユニットは、例えば成長ホルモン、GLP−1類似体、シムリン、生物学的分子、及び他の注入される生物医薬品のようなインスリン以外の薬品の送達のためのペン装置とともに使用してもよい。
【0031】
代表的実施形態では、医療モジュールは、好ましくは、使い捨て又は再使用可能な薬物送達装置(例えばインスリンペン)に取り付けられる、小さく、目立たず、軽量の装置であり、注入された薬品(例えばインスリン)の量を測定する。そのようなユニットのサイズ及び重量は、独立したペンをユーザーが運ぶのと同じようなやり方で、ペンに取り付けられた装置をポケット又はバッグに入れて運ぶことを許容可能にする。好ましくは、この装置は、投与量ダイヤルを回すこと、選択された投与量を投与量窓から見ること、及び投与量を送達するために注入ボタンを押すことを含む薬物送達装置の正常な機能を妨害しない。医療モジュールを取り付けた後に、典型的な注入中に薬物送達装置を使用するプロセスの工程を更に増すことはない。このユニットはまた、例えばインスリンのような薬品の量及び注入の日時をメモリに記録し、医療施術者による評価のためにデータをデータ管理ユニットに転送することができる。好ましい一実施形態では、データ管理ユニットは、2つの装置が互いの範囲内にあるときにデータを送受信する対になった検体メータ(例えば、不連続血糖メータ又は連続血糖感知メータであり得る血糖メータ)を含んでもよい。そのような実施形態では、メータ(図示せず)は、患者及びHCPによる回顧的分析のために検体(例えば血糖値)とともに薬品投与履歴を記録する。この装置は、例えばインスリンのような処方薬を摂ったかどうかを患者が覚えておくのを助け、HbA1cに影響する重要因子であるボーラスの摂り損ねの回数を減らすことができる。この装置はまた、薬品送達装置を正しく使用するようにユーザーを導くいくつかの特徴を有し、精度が改善され、インスリンペン療法について患者を教育するHCPの負担を軽減する。代表的実施形態は血糖感知メータをデータ管理ユニットの形態で用いるが、他のタイプの検体センサを、例えば成長ホルモン、GLP−1類似体、シムリン、生物学的分子、及びその他の注入可能な生物医薬品などの適切な注入可能な流体の送達のためのモジュールとともに使用してもよい。
【0032】
第1の型式の医療モジュール
図1に示すように、代表的なモジュール102は、第1の端部132から第2の端部180まで長手方向軸L1に沿って延在して中空穴109の少なくとも一部分142を画定するハウジング108を含む。中空穴109は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。ペンから分離されると、モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、プランジャ又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、中空穴の内面が周囲環境に露出されて、通常の観察者又はユーザーに見えるようになる。部分142は、本明細書の図3及び6Bに示される薬物送達装置124又は224(例えばインスリンペン)の作動ユニット100の上に取り付けられるように構成される。ハウジング108は、第2の軸L2の周囲を囲む第1及び第2の延長部分130及び134を含んで、中空穴109の少なくとも一部分、軸L2に沿って互いに対して長手方向にずれている位置決め中子136及び184、投与量センサ114、長手方向に長手方向軸L1に沿って往復することができる追従部分140を伴う位置決めフォーク152a及び152bを画定する。追従部分140は、物理的に又は直接に投与量センサ114に接続されている。一実施形態では、延長部130及び134のそれぞれは、軸L2の周囲に約30度で、概ね円形の経路に延在する。延長部とペンとの間のより固い係合が必要な場合は、延長部130及び130のそれぞれを増大して、軸L2の周囲にほぼ30度〜ほぼ250度まで(又は場合によっては、図8に図示したような連続した穴をもたらすために360度)の任意の範囲を画定することができる。
【0033】
図2は、図1に図示するモジュール102の背面を示す。図3は、2つの構成要素の組立前の従来の薬物送達ペンの一部としてのモジュール102を図示する。
【0034】
図1を参照すると、追従部分140は、センサ114に物理的に直接接続され、それ自体の軸の周囲を回転することができるように構成される。また、電源176が、好ましくは投与量センサ114から間隔を空けた位置に設けられる(図5)。ここではコントローラ基板170として図5に図示されているマイクロコントローラは、センサ114及び電源176の両方と連結されて、投与量セレクタ120の位置、移動又は場合によっては移動の方向の決定を可能にする(図2及び3を参照)。
【0035】
図4は、モジュール102をペンの投与量表示窓118と整列させるための位置決めツメ136及び184を示す。位置決めツメ136及び184は、スナップ嵌めユニット102を薬物送達装置124と整列させ、ユニット102が回転し薬物送達装置124の投与量表示窓118を隠すことを防ぐ。モジュール102では、位置決め中子136及び184を伴う延長部134及び182は、モジュール102をペン124の上にスナップ嵌めすることを可能にする。薬物送達ペン124を挿入した後、位置決め中子136及び184は投与量表示窓118と係合して、医療モジュール102を薬物送達ペン124に固定する。投与量セレクタ120は追従部分140と係合して、投与量が調節されると投与量セレクタ120がその軸に沿って動くのを可能にする。延長部134及び182は、ユーザーが投与量表示窓118及び薬物送達ペン124上のラベルを見ることができる開口部を残す。図5に図示するように、追従部分140が投与量セレクタの軸方向の動き(それ自体は回転方向であり、投与量セレクタの軸方向の動きを可能にする)又は送達ボタン116(軸方向)を追跡するように、位置決めフォーク152a及び152bは投与量セレクタ120に連結される。
【0036】
図5は、内部の構成要素を露呈するために上のハウジングが取り除かれたモジュール102を示す。具体的には、図5は、選択された投与量まで追従部分154が延ばされた状態の、注入前の長手方向部材154並びに位置決めフォーク152a及び152bの位置を示す。モジュール102は、ハウジング108と、電池176と、マイクロプロセッサ回路板170と、投与量センサ114と、長手方向部材154とを含む。投与量センサ114は、注入された投与量を測定するために使用される。長手方向部材154は、ペンの長手方向軸L2と平行に移動して、投与量セレクタ120が薬物送達ペン102の作動シャフト190とともに出入りする際に、投与量セレクタ120で追跡する。電気回路構成要素(図における構成要素の配置のために図示されていない)、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、A−D変換器、スピーカ、ディスプレイ、メモリ、ディスプレイドライバ、ユーザーインターフェイスドライバ、送信機及び受信機又は送受信機(例えば赤外光、無線周波数、又は光波を使用する無線トランシーバ)、並びにアンテナが、基板170上に配置されて、例えば、無線信号をメータとの間で送信及び受信し、センサからの入力を処理し、装置のオン/オフ切り替えを行い、装置をスリープモードにし、装置のスリープモードを解除し、電池176からの電力を調節し、メモリとの間で情報の保存及び取り出しを行う。投与量センサ114は好ましくはリニアポテンショメータであり、ユーザーが注入したボーラスの量を決定するために、投与量セレクタ120の位置を測定するのに使用される。センサ114は、投与量セレクタ120及び投与量アクチュエータ116の位置に関するデータを提供するためにマイクロプロセッサ基板170に連結されるA−D変換器に電気的に連結される。マイクロスイッチは、ハウジング端部132に近接した位置に設けられて、ボタン116が完全に押圧されてシャフト190をカートリッジ122の方へ押すと同時に薬物送達の表示を提供する。代表的実施形態とともに使用可能な他のセンサとしては、回転ポテンショメータ、リニア又は回転エンコーダが含まれる。出願者らが構築した運転試作機では、リニアポテンショメータが好ましい。しかし、本明細書に記載する実施形態は、薬物送達ペンの投与量セレクタの変位を決定するための手段を利用することができ、それらの手段としては、追従部分、長手方向部材、及び投与量センサ(ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ型式の変位センサ、又はこれらの組み合わせ及び同等物を含む)、並びに本明細書に記載するこれらの構成要素の同等物が含まれる。図1の実施形態では、薬物送達ペンはNovo Nordisk製のNovoLog(登録商標)Flex−Penであり得る。
【0037】
第2の型式のモジュール
異なる薬物送達装置(例えばインスリンペン)が代替的な連結手法を必要とし得ることを認識し、出願者らは、先行実施形態のように薬物送達装置の側部から取り付けられるのでなく薬物送達装置124又は224の一端の上に挿入されるように設計された代替品を提供した。第1のモジュールタイプの場合と同じく、このモジュールの中空穴は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。ペンから分離されると、モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、プランジャ又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、中空穴の内面が周囲環境に露出されて、通常の観察者又はユーザーに見えるようになる。
【0038】
図6A及び6Bを参照すると、モジュール202はハウジング209とともに提供される。モジュール202には、ケーシング208がハウジング209の外面を覆うように長手方向軸L1に沿って延在するケーシング208が設けられる。すなわち、ケーシング208は、ハウジング209の外面210とともになって特定の構成要素のエンクロージャを提供する3つの壁面を含む。ケーシング208は、ハウジング209の外面210の上に配置される回路板270(図6Dを参照)、センサ214(センサ摺動体215を含む)、及び電源276を包囲する。電源276へは、ケーシング208上に設けられる電源コンパートメントドアを通してアクセスすることができる。ケーシング208はハウジング209の外面210の上に配置されているので、ケーシング208はハウジング209の長手方向軸L2に対して非対称に位置づけられる。ケーシング208のオフセットの輪郭を更に低減させるために、電源276は、ケーシング208内部でなくノブ278に近接して位置づけられ得る。
【0039】
図6Aを再び参照すると、ハウジング209は長手方向軸L2に沿って第1の端部232から第2の端部280まで延在して、中空穴248の少なくとも一部分を画定する。ハウジング209には240が連結され、ノブ278は開口252の周囲に配置される。追従部分240及びノブ278の両方は、好ましくは、穴248と整列する連続した貫通穴である。穴248は、ペン224の作動ボタン216が開口部252を貫通して突出するまで薬物送達ペン224(図6Bを参照)の作動ユニット200を穴248に滑入することを可能にするように構成される。図6Aの好ましい実施形態では、穴248は、回転式ノブ278の穴及び概ね管状の部材を画定するハウジング209の連続面210と切れ目がなく連続する貫通穴である。ノブ278は追従部分240に物理的に連結され、追従部分240は、ノブ278の運動により追従部分240及び摺動体215の対応する比例運動がもたらされるように、長手方向部材254を介してセンサ214の摺動体215に直接かつ物理的に接続される。薬物送達ペン200上に印刷されたしるしの視認検査を可能にするため、又は投与量ディスプレイ218の読み取りを可能にするために、ハウジング209の一部分は好ましくは実質的に透明である。
【0040】
出願者らは、特定の従来のインスリンペンには、例えば図7Dに示されるように、少なくとも1つの隆起210bが設けられていることを認識した。出願者らは、そのようなペンの隆起210bを使用してユニット102と薬物送達ペンとの間に確かな連結を提供することができることを認識した。具体的には、ユニット202には、ハウジング209の内面上に陥没した溝が設けられ、この溝は、ユニット202を整列させペン124に対するユニット202の回転を防ぐように、隆起210bと噛み合う構成である。
【0041】
ユニット202の輪郭を低減させるために、出願者らは図6Dに示されている摺動式ポテンショメータの構成を利用した。この実施形態では、摺動体215は、追従部分240に接続される長手方向部材254に接続される。長手方向部材254には、摺動体215を保持するために使用される摺動体指294a及び294bが設けられる。追従部分240は、例えば、追従部分240と投与量セレクタとの間に挟まれる輪状部材との滑合連結を介してなど好適な連結構成によって、又は図7Eに示される構成から適応される構成によって、投与量セレクタ220に連結され得る。図7Eの構成では、追従部分240は、追従部材240上の溝244d及び対応する捕捉リング244上の隆起244cを含む溝保持機構を介して捕捉リング244に連結される。捕捉リング244は、長手方向軸L2に沿って延在する長手方向のスリット244aを含んでもよい。長手方向のスリット244aは、捕捉リング244の直径にフレキシビリティを提供して、隆起リブ221を介して捕捉リング244の内部の波状面244bを(ペン224の)投与量セレクタ220に摩擦連結することを可能にする。内側の波状面244bは、リブ221が最初に波状形244bと係合するときにはほとんど又は全く干渉がないが、完全に挿入されると摩擦係合を確実にもたらすように、軸L2に向かってテーパーすることが可能なように構成され得る。捕捉リング244には、回転式ノブ278の内部スプライン又は歯245bと係合している外部スプライン又は歯245aが提供され得る。回転式ノブ278には貫通開口部252が設けられて、ユーザーによる係合のためにペン202の作動ボタン216がそのような開口部252を貫通して突出することを可能にする。
【0042】
回転式ノブ278は注入中に捕捉リング244から解除されるので、薬物の送達中、すなわち注入中にユーザーの親指下でノブが回転することはないことに注意されたい。注入後、歯245aは歯245bと再び係合して、ユーザーが新しい投与量にペンのダイヤルを合わせることを可能にする。しかし、注入後にそれらの歯が正しく整列されていない場合は、それらの歯が再び係合する前にわずかにノブ278を回転させる必要がある場合がある。
【0043】
図6Dを参照すると、長手方向部材254は、回転ノブ278によってノブ278が軸L2の周囲を軸方向に移動すると軸L2に沿って軸方向に摺動するように構成され得る。この図で、摺動体215は、ポテンショメータトラック293上の中間に近接して位置づけられて示されている。ノブ278が軸L2に沿ってノブ278を並進するように回転すると、捕捉リング244も回転するように拘束され、それにより捕捉リング244の回転動作が引き起こされて、投与量セレクタ220に転送され、それにより投与量セレクタ220の回転及び並進もまた引き起こされる。セレクタ220のどのような回転運動も、軸L2に沿った軸運動をもたらすので、捕捉リング244、追従部分240及びノブ278は、投与量セレクタ220と同じやり方で(追従部分240は軸方向、捕捉リング244及びノブ278は軸方向及び回転方向の両方に)移動するように拘束される。したがって、投与量セレクタ220の運動は、送達又は注入される投与量に比例してポテンショメータを介して決定される。好ましい実施形態では、ポテンショメータトラック293は導電性ポリマートラック又はサーメット(cerement)トラックであり得る。図6Bの実施形態では、薬物送達ペンはSanofi Aventisにより製造されたLantus SoloStarインスリンであり得る。
【0044】
図6Dでは、長手方向部材254は、マイクロスイッチ268の指269aと相互作用する隔離板部材255cと接続されて、薬物送達イベントの決定を可能にする。指269aは導電性トラック269bと通常は接触していないので、スイッチ268は、ボタン261が完全に押圧されていないときは(例えば投与量選択又は調節の間)通常いつも開いている。ボタン216が方向2に完全に押圧されると、長手方向部材254及び隔離板255cは拘束されて、バネ255aが完全に圧縮されてケーシング208内の停止面(図示せず)に当たって隣接するまで長手方向軸L1に沿って移動する。バネ255aが停止面に近づくと、隔離板255cはマイクロスイッチ268の指269aを導電性トラック269b上に下げて、閉回路を作り出す。ボタン216の方向2への移動は、指269aを分離させ、一方、方向1への移動は、指269aを導電性トラック269bと接触させ、瞬間スイッチの様式で閉回路を形成する。
【0045】
第3の型式のモジュール
図7A及び7Bを参照すると、代替モジュール204には、既に説明したモジュール202とは明確に区別される特徴がいくつか設けられる。モジュール202と同様に、このモジュール204はハウジング209を有する。モジュール204にもまた、ケーシング208がハウジング209の外面を覆うように長手方向軸L1に沿って延在するケーシング208が設けられる。すなわち、ケーシング208は、ハウジング209の外面210とともになって特定の構成要素のエンクロージャを提供する3つの壁面を含む。ケーシング208は、ハウジング209の外面210の上に配置される回路板270(図8Aを参照)、センサ214(センサ摺動体215を含む)、及び電源276を包囲する。電源276へは、ケーシング208上に設けられる電源コンパートメントドアを通してアクセスすることができる。ケーシング208はハウジング209の外面210の上に配置されているので、ケーシング208はハウジング209の長手方向軸L2に対して非対称に位置づけられる。ケーシング208のオフセット又は非対称の輪郭を更に低減させるために、電源276はケーシング208内部でなくノブ278に近接して位置づけられ得る。第1及び第2のモジュールタイプの場合と同じく、このモジュールの中空穴は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。ペンから分離されると、モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、プランジャ又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、中空穴の内面が周囲環境に露出されて、通常の観察者又はユーザーに見えるようになる。ハウジング209は第1の端部232から第2の端部280まで長手方向軸L2に沿って延在して、ハウジング209の連続面210によって形成される中空穴248の少なくとも一部分を画定する。連続面210には、他の実施形態と明確に区別されるスカラップ部分211(図7A及び7C)が設けられる。ハウジング209は実質的に透明又は半透明の材料から形成することができるが、そのような材料は薬物送達ペン224上の印刷されたしるしの視覚的な歪みを引き起こす場合がある。したがって、スカラップ開口部211は、ユニット204がペン224と連結されると、薬物送達装置224上の印刷された識別をユーザーに見えるようにすることを可能にする。モジュール204は、スカラップ211を伴う穴248をペン224の投与量セレクタ220に最も近く挿入することによって薬物送達ペン224に連結される(図1及び1B)。モジュール204がペン224上に挿入される際、モジュール204上の溝210a(図1及び1B)はペン224上の隆起210bと整列されて、ペン224に対してモジュール204を回転方向に固定する。加えて、中子236を使用してペン224の凹部と係合させることができる。
【0046】
ハウジング209には追従部分240及び回転式ノブ278が連結される。追従部分240及びノブ278の両方は、好ましくは、穴248と整列する連続した貫通穴である。穴248は、薬物送達ペン224の作動ボタン216がモジュール204のボタン251に隣接するまで薬物送達ペン224(図10を参照)の作動ユニット200を穴248内に滑入することを可能にするように構成される。図7Aの好ましい実施形態では、穴248は、回転式ノブ278の穴及び概ね管状の部材を画定するハウジング209の連続面210と切れ目がなく連続する貫通穴である。既に述べたように、第2ハウジング209は、好ましくはほぼ透明又は半透明の材料から形成されるが、ケーシング208は任意の好適な色又は色の組み合わせで形成されてよい。本明細書で使用するとき、薬物送達ペンの作動ユニット200は、薬物カートリッジ222に取り付けるために、少なくとも投与量セレクタ、アクチュエータ、及び作動ボタンが提供されるペンの部分である。
【0047】
モジュール204は、スカラップ211を伴う穴248をペン224の投与量セレクタ220に最も近く挿入することによって薬物送達ペン224に連結される(図7D)。モジュール204がペン224上に挿入されると、モジュール204上の溝210a(図7A)はペン224上の隆起210bと整列されて、ペン224に対してモジュール204を回転方向に固定する。
【0048】
図8Aを参照すると、モジュール204はまた、ポテンショメータトラック上の摺動体215を利用し、この摺動体215は、追従部分240に接続される長手方向部材254に接続される。長手方向部材254には摺動体指294a及び294bが設けられ、それらは、摺動体が拘束されて軸L1に沿って並進することを確保するために保持棒296(図8B)とともに摺動体215(図8A)を保持するために使用される。
【0049】
図7Eに示すように、追従部分240は、追従部材240上の溝244d及び捕捉リング244上の対応する隆起244cを有する保持システムを介して捕捉リング244に連結される。追従部分240及び捕捉リング244は、捕捉リング244が第2の長手方向軸L2の周囲を回転可能であり追従部分240は回転しないが第2の長手方向軸L2に対して平行に直線的に移動するように連結することができる。
【0050】
捕捉リング244は、捕捉リング244の直径の規模にフレキシビリティを提供するために、長手方向軸L2に沿って延在する長手方向のスリット244aを含むことができ、捕捉リング244の内側の波状面244bを(ペン224の)投与量セレクタ220の隆起リブ221と摩擦によって連結することを可能にする。内側の波状面244bは、リブ221が最初に波状形244bと係合するときにはほとんど又は全く干渉がなく、しかしモジュール204がペン224に完全に挿入されると確実に摩擦係合をもたらすように、軸L2に向かって先細になるようにテーパーすることが可能なように構成され得る。捕捉リング244には、連結リング245の内部スプライン又は歯245bと係合している外部スプライン又は歯245aが設けられてもよい。連結リング245は、回転式ノブ278と捕捉リング244とを連結させることができる。捕捉リング244、連結リング245、及び回転式ノブ278の機械的組立品は、投与量セレクタ220が摩擦によって係合されたときに回転式ノブ278の回転の結果として投与量セレクタ220の回転を引き起こす。
【0051】
作動ボタン251もまたノブ278に連結され、その結果、両方の構成要素がともに組み立てられると、モジュール202のボタン251はペンボタン216と接触する。バネ246は、捕捉リング244の外面及びノブ278の内面に位置づけられ得る。バネ246は、歯245aが係合されたときにノブ278の回転が投与量セレクタ220の回転を引き起こすように、捕捉リング244に対して連結リング245を付勢するように構成され得る。注入中、ボタン251を押してバネ246を圧縮することができ、捕捉リング244からの連結リング245の解除を可能にすることができる。回転式ノブ278は、実際の注入中に捕捉リング244から解除されるので、物の送達中、すなわちペンの投与中にユーザーの親指下でノブが回転することはないことに注意されたい。追従部分240は、図7Eに図示するように、長手方向部材254を含むことができる。長手方向部材は、一端が追従部分240のリング部分と連結されている管状構造体を有することができる。管状構造体の中空部分294cが図7Eに図示されている。長手方向部材のもう一方の端は、突出プレート294d及び2つの摺動指294a、294bを有することができる。
【0052】
図8Aを参照すると、長手方向部材254は、軸L2に沿って軸方向に摺動するように構成されてもよい。追従部分240は、ノブ278が軸L2の周囲のノブ278の回転によって軸方向に移動するにつれてノブ278とともに移動するように拘束される。ノブ278が回転するにつれて、捕捉リング244も回転するように拘束され、投与量セレクタ220に伝わる捕捉リング244の回転運動を引き起こす。セレクタ220のいかなる回転運動も、軸L2に沿った内向き又は外向きの軸運動を結果としてもたらすので、捕捉リング244、追従部分240及びノブ278は、投与量セレクタ220と同じように(追従部分240は軸方向、捕捉リング244及びノブ278は軸方向及び回転方向の両方に)移動するように拘束される。したがって、投与量セレクタ220の運動は、送達すなわち注入される投与量に比例して投与量センサにより決定される。好ましい実施形態では、投与量情報を提供する投与量センサはポテンショメータである。図7Bの実施形態では、薬物送達ペンはSanofi Aventisにより製造されたLantus SoloStarであり得る。
【0053】
図8Bを参照すると、長手方向部材254は、長手方向部材254の内側に配置された作動シャフト297を示すために取り除かれている。作動シャフト297は、マイクロスイッチ268の指269aと相互作用する隔離板部材255cと接続される。中空部分294c及び突出プレート294dは、ボタン251が押圧されたときに隔離板部材が軸L1に沿って移動するように、隔離板部材255cに対応するように適合させることができる。作動シャフト297は、マイクロスイッチ268の指269aに対して隔離板255cの位置を調節するために、バネ255a及び止めネジ255bと連結することができる。指269aは導電性トラック269bと通常は接触していないので、スイッチ268は、ボタン251が完全に押圧されていないときは(例えば投与量選択又は調節の間)通常いつも開いている。投与量注入中などにボタン251が完全に押圧されると、長手方向部材254、作動シャフト297、及び隔離板255cは拘束されて、止めネジ255bがリテーナ壁255dに当たって隣接するまで、長手方向軸L1に沿って移動する。止めネジ255bがリテーナ壁255dに近づくにつれて、隔離板255cはマイクロスイッチ268の指269aを導電性トラック269b上に下げて、閉回路を作り出す。投与量ボタン251の更なる移動は、中空長手方向部材254を軸方向に続行させて、作動シャフトの棒部分の一端と止めネジ255bとの間にもたらされるいかなる緩みをも取り去る。
【0054】
代表例として本明細書に記載される構成のために、出願者らは、投与量送達イベント及びそのような投与量送達又は注入イベントの持続時間のいずれか一方又は両方の差を決定するための手段を提供することが可能になった。具体的には、投与量を選択するためにユーザーが単にノブ278を回転してノブ278を長手方向軸L2に沿っていずれかの方向に移動する場合、スイッチ268の指269aの接触はなく、したがって投与量イベントが起きているという決定はなされない。投与量の選択がなされたという決定を除き、プロセッサ基板270のメモリには投与量の送達に関する記録は一切なされない。ボタン251の完全な押圧によってのみ、指269aはトラック269bと接触し(図8A及び8B)、投与量の送達が起きているという決定が引き起こされる。一実施形態では、ボタン251が押圧されるまでは「スリープ」モードになるように電子部品を構成することができ、これはモジュールの電力消費を低減させる。本明細書で使用するとき、「スリープ」モードは、モジュールのあらゆる機能が最低限又は実質的にゼロの電力消費にあるが、ペンがスリープモードから外されたときにシステムを起動する必要がないモードである。
【0055】
マイクロスイッチ268は注入の開始点及び注入の終了点の追跡も可能にし、したがって、ユーザーが注入ボタンをゼロ投与量の位置まで完全に押し下げなくても注入の量を計算することが可能であることに注意されたい。投与量の送達がいつ行われたかを判断する能力は糖尿病を管理するユーザーにとって貴重だが、出願者らは、そのような投与量の送達の持続時間を決定及び確認し、その後、遵守投薬計画(regiment)を用いた分析を行う能力こそが、糖尿病管理技術分野における前進であると考える。すなわち、医療施術者によって処方されたプロトコルにしたがって患者がインスリンを注入する場合、完全な処方投与量を送達するには典型的にはボタン251を4秒〜10秒間完全に押圧することが要求されるので、そのような患者は、完全な処方投与量を送達できなかった場合に完全に遵守できない可能性がある。医療施術者のコンピュータに転送するためにプロセッサ基板270のメモリに投与量、時刻、及び持続時間を記録することによって、医療施術者は、データを評価した後に、又は場合によっては実時間に対策を講じ、処方プロトコルが完全に遵守されていることを確認することができる。好ましい実施形態では、正しいペンの使用方法についての患者への警告又は通知を、一実施形態では血糖メータを含むデータ管理ユニット上のメッセージとして表示することができる。したがって、薬物送達ペンの投与量送達又は投与量送達持続時間の1つ以上を決定するための手段は、追従部分240、長手方向部材254、バネ255a、隔離板269a、スイッチ268、スイッチ268に連結されたプロセッサ(プロセッサは本明細書に記載されている方法で動作するようにプログラムされる)、及びこれらの構成要素の同等物を含む。
【0056】
第4の型式のモジュール
ユーザーの嗜好に合わせて異なる薬物送達装置(例えばインスリンペン)が必要とされることを認識し、出願者らは、図9Bに図示するような薬物送達ペンとともに使用可能な、図9Aに図示するような別のタイプのモジュール402を提供した。この実施形態では、出願者らは、オフセット又は非対称の輪郭を更に低減させるように設計された代替品を提供した。加えて、出願者らは、電池を容易に交換するための機構を有する代替品を提供した。拡張モジュール402は、第1のモジュールハウジング408と、第2のモジュールハウジング409と、回転式ノブ478と、ボタン451と、スロット451aと、を含むことができる。電源は、ボタン451と似た形の円盤形(例えばコイン電池)であってもよい。電池は、ボタン451と重なる関係でボタン451に近接して配置されてよい。コイン又はネジ回しを用いてボタン451を回転するためにスロット451aを使用して、容易にボタン451を取り外すことができ、その結果、電池を交換することができる。
【0057】
他のバリエーションの拡張モジュール
図10Aは、モジュール102と類似している別の実施形態のモジュール502を図示する。拡張モジュール502は、モジュール102のような第1及び第2の延長部分を有さない。代わりに、モジュール502は、薬物送達ペンの周囲を巻くハウジングを有する。モジュール502のハウジングは2つの窓519a及び519bを有し、ユーザーが表示窓及びペンに記載されているしるしを見ることを可能にする。拡張モジュール502は、ボタン551及びスロット551aを含む。電源は、ボタン551と似た形の円盤形(例えばコイン電池)であってもよい。電池は、ボタン551と重なる関係でボタン551に近接して配置されてよい。コイン又はネジ回しを用いてボタン451を回転するためにスロット551aを使用して、容易にボタン551を取り外し、電池を交換することができる。
【0058】
図10Bは、モジュール102と類似している別の実施形態のモジュール602を図示する。拡張モジュール602は、モジュール502と類似しているボタン651及びスロット651aを含む。
【0059】
図10Cは、モジュール204と類似している別の実施形態のモジュール702を図示する。先の実施形態と異なり、モジュール702は、ペンに沿って延びる長手方向軸に対して対称のハウジングを有する。モジュール702のハウジングは、ユーザーがペンの表示窓を見ることを可能にする窓719を有する。
【0060】
代表的実施形態の操作
使用に際し、ユーザーは、本明細書で図に示されているように、医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)を薬物送達ペン124(又は224)の作動端部100(又は200)の上に連結する(例えば、スナップ嵌め、滑り嵌め(slide on)、クラムシェルを閉じる)。医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)を薬物送達ペン124(又は224)に連結したら、投与量セレクタ120(又は回転ノブ278)を回転して、ユーザーは注入する投与量をダイヤルして選択することができる。選択された投与量はペン124又は224の投与量表示窓118(又は218)に表示される。投与量セレクタ120が回転するにつれて、図5及び6Dに図示されているように薬物送達ペン124(又は224)内のシャフト190が延びて、長手方向部材154(又は254)もまた延びる。同様に、ノブ278が回転するにつれて、図8Aに図示するように第1のモジュールハウジング208内部の長手方向部材254が延びる。注入されるインスリンの量はペン124のシャフト190及び長手方向部材154の延長(図5)に比例し、これは投与量センサ114によって測定される。同様に、注入されるインスリンの量はモジュール202の追従部分240及び長手方向部材254の延長に比例し、これは投与量センサ214によって測定される。投与量セレクタ120(又はノブ278)をいずれかの方向に回転して、選択される投与量を増す又は減らすことができる。
【0061】
好適な針(図示せず)をインスリンカートリッジ122又は222に取り付けることができる。注入の前に、ユーザーは、針を皮下に差し込む前に少量の投与量(通常、2単位)を射出して薬物送達ペン124又は224をプライミングする。薬物送達ペン124又は224のプライミングは、気泡を除去する。プライミングの間、薬物送達ペン124又は224は針を上に向けて保持されなくてはならない。医療モジュール102は、2つの代表的な手法、すなわち(1)注入中に薬物送達ペン124又は224が(地面に対して)針を上に向けて保持されているかどうかを拡張モジュールのハウジングに配置された慣性又は加速度センサを介して決定し得ること、及び(2)1つ以上の約2単位の少量の投薬の後により大きい投薬が行われるかどうかを決定するソフトウェアを使用することができることによって、プライミングと注入とを区別することができる。場合によっては、別個の血糖メータによって、投薬がプライミングか注入かを確認するよう、ユーザーに尋ねることができる。一実施形態では、ユーザーが装置を取り上げたときに装置がスリープモードの場合は、慣性センサを使用して装置を起動することもできる。血糖メータの投薬履歴メニュー(図示せず)で、ユーザーはプライミングと注入のエントリをトグルすることができる。例えば、メータは記号「*」(例)を表示することによって、プライミングを表示し、どの注入の前にプライミングが行われたかを表示することができる。出願者らは、これによって、プライミング投与量と注入投与量を全てまとめて1つのリストに表示することによってユーザーを混乱させることなく、メータの1つの画面上にできるだけ多くの情報を表示することが可能になると考える。
【0062】
所望の投与量をダイヤル選択した後、針を皮膚に挿入し、ユーザーがペン124(モジュール102の場合)の作動ボタン116又はペン224のボタン216又はボタン251(モジュール202の場合)を親指で完全に押圧することによって注入を行う。作動ボタンを完全に押圧したら、選択された投与量が完全に注入されるために既定の時間ボタンを下げたまま保持する必要がある。投与量注入イベント及びその持続時間を決定するための手段において提供されるように、拡張モジュールはそのようなイベント及びそのイベントの持続時間をそのメモリに記録する。ユーザーは、カートリッジ222が空になるまでこの順序を行うことができる。
【0063】
インスリンカートリッジ222が空になった後、モジュール102(202又は204)を使い捨て薬物送達ペン124(又は224)から取り外し、使い捨て薬物送達ペン124又は224(例えばインスリンペン)を捨て、モジュール102を新しい使い捨て薬物送達装置124又は224(例えばインスリンペン)に再び取り付ける。あるいは、ユーザーが再使用可能なペンを使用している場合は、空の薬物カートリッジを捨て、再使用可能なペンの作動部分に取り付けられる新しいカートリッジと交換することができる。
【0064】
既に述べたように、単一の血糖メータで複数の医療モジュールと通信することができる。例えば、血糖メータは、速効型インスリン薬物送達ペンに取り付けられた医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)及び長期作用型のインスリン薬物送達ペンを有する別のユニット(102、202、204、402、502、602、又は702)と通信することができる。薬物送達ペン124又は224の色と一致するように医療モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)をカラーコードして、含まれているインスリンのタイプを識別してもよい。この特徴は、誤ったタイプのインスリンをうっかり注入することを防ぐのを助ける。一実施形態では、このモジュールは、インスリンのタイプを識別するために特定のタイプのペンハウジングに取り付けるように構成することができる。この実施形態では、インスリンペン製造業者は、特定のインスリンのタイプのために異なるタイプのペンハウジングの形状を提供する。
【0065】
いくつかの特徴について説明してきたが、代表的実施形態の他のバリエーションを様々な組み合わせで利用することも可能である。例えば、拡張モジュールは、ポテンショメータの代わりにエンコーダを使用して、投与量セレクタの角度位置及び回転を測定することができる。スイッチをエンコーダと併用して、ユーザーが例えばインスリンのような薬物を注入するために拡張モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)の投与量作動ボタンを押圧したときを検出し、投与量調節と注入との区別を可能にすることができる。そのようなスイッチはまた、既に説明したように、インスリンショットを注入した後にユーザーがどれだけ長く投与量作動ボタンを押圧し続けるかを検出する。別の例では、スイッチが作動され、投与量セレクタダイヤルがゼロ位置に戻ったことをエンコーダが判断した後に、拡張モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)はこの情報を血糖メータに伝達して、ユーザーがダイヤルを押圧し続けなくてはならない時間のカウントダウンをするメータのタイマーを開始することができる。ユーザーがスイッチへの圧力を尚早に解放すると、血糖メータに警告が発せられるか表示されてもよい。あるいは、又は加えて、スナップ嵌め式のペンモジュール(102、202、204、402、502、602又は702)の小さいディスプレイ又はLEDを使用して、どれだけ長くダイヤルを押圧し続けるかをユーザーに伝えてもよい。しかし、ディスプレイは絶対に必要なものではないことに注意されたい。装置は、ボタンが押圧されている時間を追跡し、ユーザーがボタンを十分な時間に押し続けない場合にメータにメッセージ/警告を表示するだけでもよい。スイッチは、例えば図1〜8に例として示されるリニアポテンショメータなど、エンコーダ以外のセンサとも機能するように構成されてもよい。医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)102は、薬物送達ペン124又は224を正しく使用するようユーザーを案内する様々な特徴を含むことができる。例えば、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)は、ユーザーが薬物送達ペン124又は224をプライミングしなかった場合に慣性センサを用いてユーザーに警告すること、(混合インスリンに適用される)混合工程が行われなかった場合に慣性センサを用いてユーザーに警告すること、注入が不完全である(すなわち、投与量送達ボタンが完全にゼロに達するまで押圧されていない)ことをユーザーに警告すること、注入中に投与量送達ボタン116を数秒間押し続けるようユーザーに通知するタイマーを提供すること、薬物送達ペン124又は224に残っているインスリンを追跡記録すること、注入時刻になったときにユーザーに通知すること、注入をし損ねた又は重複した場合にユーザーに警告すること、まもなくインスリンの有効期限が切れることをユーザーに警告することができる。
【0066】
加えて、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)は、モジュールハウジング108内にマイクロスイッチを含むことによって、特定の機能を作動させることができる。例えば、薬物送達ペン124又は224を医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)に挿入するとマイクロスイッチが起動する。マイクロスイッチの起動は2つの目的を果たし、すなわち、第1には、新しい薬物送達ペン124又は224が挿入されたときに信号を送信することによって、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)が薬物送達ペン124又は224内の残りのインスリンの量を追跡することを可能にし、第2には、薬物送達ペン124又は224が正しく挿入され、医療モジュールと正しく整列されることを確保する。
【0067】
モジュールに含めることができるもう1つの機能は、ユーザーによるプライミング投薬とユーザーに注入された投薬とを区別するための技術である。例えば、重力センサ又は慣性センサを使用して、ダイヤル3が押圧されたときに装置が上を向いているかどうか(気泡を除去するときに装置を逆さの位置に保持するので、プライミングショットであることを示す)を判断することができる。拡張モジュールは、プライミングショットと実際の薬物送達とを区別することができる。例えば、通常、プライミングショットは2単位以下であるので、より量の多い注入ショットと区別することが可能であり、また、通常、プライミングショットの後に注入ショットが行われるが、これは、ソフトウェアによって区別することが可能なパターンである。同様に、ユーザーがダイヤルを後方及び/又は前方に回して特定の投与量にダイヤルを合わせて行う投与量調節と、ユーザーが1回分を注入したときに生じるダイヤル位置の移動とを区別可能であることが有用である。ユーザーへの注入であれば、終了時にダイヤルは初期の位置、すなわちホームポジションに戻るはずであるのに対し、投与量を変更するためのダイヤル調節は、通常はダイヤルをより多くの投与量に設定するときに生じ、ダイヤルの初期の位置、すなわちホームポジションでは終わらないので、これは投与量センサを介してマイクロコントローラによっても検出可能である。
【0068】
いくつかの機能を利用してインスリンペンの使用での不正確さを軽減することができる。これらには、注入のし損ね、注入の重複、及び不適切なプライミングが含まれる。不適切なプライミングは、投薬と投薬との間に針(図示せず)を付けたままにして薬物カートリッジ122に空気を進入させた場合に特に問題である。70/30プレミックスのようなインスリンは注入の前に混合する必要がある。注入の前に70/30プレミックスの混合をしないこと又は不適切に混合することは、不正確さの原因である。投与量の全てが体内に確実に入るようにするためには、注入中に約6秒間、投与量送達ボタン116を保持しなくてはならない。投与量送達ボタン116を十分に長く保持しないと、部分投薬が生じる。医療モジュールは、これらの不正確さをユーザーに警告するので、不正確さを軽減するのを助ける。
【0069】
既に述べたように、医療モジュール(102、202、204、402、502、602又は702)を使用して、インスリン投与量を測定し、その情報を、血糖メータ、あるいは、例えば携帯電話、家庭用コンピュータ、モバイルコンピュータ、サーバ、モニタリングネットワーク又は場合によってはインスリンポンプ若しくはインスリンポンプとコントローラとの組み合わせなどのような好適なデータ通信ユニットであり得るデータ管理ユニットに転送することができる。医療モジュールからデータ管理ユニットに転送される情報を使用して、薬物送達ペン124又は224を使いこなすのを助けることができる。薬物送達ペン124又は224の不正確な使用の主な潜在的原因は、投薬をし損ねること及び投薬の重複である。本明細書で具現化される医療モジュールは、ユーザーに投与履歴を通知することによってこれらのエラーの原因をなくすのを助けることができる。完全な投与履歴(投与量、及び投薬が行われた日時を含む)は、このオプションをデータ管理ユニットのメニューから選択することによって、ユーザーに利用可能にできる。加えて、データ管理ユニットの電源を入れたときに最新の投与情報(時間及び量)をメータのディスプレイに示すことによって、ユーザーは血糖値測定をする度に、注入を忘れたかどうかを直ちに見ることになる。血糖を試験するときをユーザーに警告するためにデータ管理ユニットを使用するのと同じ方法で、データ管理ユニットは、いつインスリンを摂取するか、又はインスリン注入をし損ねたかどうかもユーザーに警告することができる。この情報も、データ管理ユニットの電源を入れたときに表示することができる。
【0070】
薬物送達ペン124又は224を使用するときの不正確さのもう1つの原因は、不適切なプライミング手法(又はプライミングそのものをしないこと)である。プライミング(試験注射と呼ばれる場合もある)の目的は、注入量を減らすことになる気泡を薬物カートリッジ122及び針から取り除くことである。プライミング中は、気泡を薬物カートリッジ122の上(針に最も近い端)に上昇させ、プライミング投薬によって排出されることができるように、薬物送達ペン124又は224を縦に保持しなくてはならない。針の先端にインスリンの滴が現れるのをユーザーが見れば、プライミングは成功である。インスリンの滴が見られない場合は、ユーザーはプライミング工程を繰り返す。慣性センサをモジュールハウジングに配置するか、プロセッサ基板170又は270に位置づけて、プライミング中に薬物送達ペン124又は224が縦に保持されているかどうかを検出し、この情報をデータ管理ユニットに無線送信することができる。低コストのマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)慣性センサチップは広く入手可能であり、正確かつ低コストで、サイズが小さい。好ましい慣性センサとしては、Analog DevicesのモデルADXL322加速度計(http://www.analog.com/en/mems−and−sensors/imems−accelerometers/ADXL322/products/product.html#pricingで入手可能)を挙げることができる。データ管理ユニットは、プライミングのときにユーザーが薬物送達ペン124又は224を縦に保持していない場合に、縦に保持するようにユーザーに通知することができる。加えて、ユーザーがプライミング工程を完全に抜かした場合は、医療モジュール102、202又は204が収集した情報からそのことが明らかになり、拡張モジュール又はデータ管理ユニットによって視覚的又は聴覚的な警告、通知、及び/又は指示をユーザーに与えることができる。
【0071】
また、慣性センサは、薬物送達ペン124又は224の使用におけるもう1つのエラーの原因であるインスリン注入前の混合手法をユーザーが正しく行っているかどうかを判断するのにも利用される。インスリンによっては、70/30プレミックスインスリンのように使用前に混合しなくてはならないものがある。通常、混合には、薬物送達ペン124又は224を上下に動かすことを10回繰り返すことを伴い、これは(取り付けられた医療モジュール102、202又は204に位置づけられている)慣性センサによって容易に検出可能な動作である。使用前に混合することが必要なインスリンを使用している場合は、データ管理ユニットにメッセージを表示して、インスリンの混合の仕方を患者に通知することができる。
【0072】
プライミングに関係するもう1つのエラーの原因は、各注入後に針を取り外して廃棄することをしないことである。一実施形態では、メータは、毎回使用の度に針を取り外さなくてはならないことを述べた通知を生成するためにディスプレイを提供する。あるいは、拡張モジュールに装着されたスピーカを利用して、トーン、又は予め保存された、特定の地域のために構成されたフレーズ(例えば、ドイツで流通されたモジュールの場合はドイツ語、フランスで流通された場合はフランス語など)で、ユーザーを促すことができる。加えて、所在が分からないペン及びモジュールをユーザーが見つけるのを可能にするように、拡張モジュールのスピーカを構成してもよい。具体的には、ペン及びモジュールの所在がユーザーに分からない場合に、拡張モジュールは、データ管理ユニット(又は、拡張モジュールと対になった任意の電子装置)からの問い合わせ信号に応答して拡張モジュールのスピーカがトーン又はブザー音を発することができる。また、この方法を使用して、特定のモジュールが血糖メータなどの特定のデータ管理ユニットと対になっていることを確認するのに使用することもできる。
【0073】
薬物送達ペン124又は224を用いてインスリンを注入するとき、確実に投与量が全て皮下に送達されるようにするために、針が挿入された状態で投与量送達ボタン116を約6秒間押し下げ続けることが重要である。最適な時間は、通常、薬物送達ペン124又は224のユーザーマニュアルに記載されている。拡張モジュール又はデータ管理ユニットのいずれか又は両方にメッセージを表示して、ユーザーが投与量送達ボタン116、216又は251を尚早に解放した場合に、正しい手法をユーザーに通知することができる。データ管理ユニット又は拡張モジュールは、投与量送達ボタン116が最初に押圧されたときに開始するカウントダウンタイマーの表示又はカウントダウンのトーン又は信号の発信をして、投与量送達ボタン116を解放すべきときをユーザーに知らせることができる。
【0074】
冷蔵庫から出した後にペンが使用され得る時間など、ペンの使用に関係する他の通知をスマートペンモジュールに組み込み、ユーザーへの助けとして血糖メータに表示してもよい。特定のペンが使用されている時間を追跡するために、ユーザーは新しいペンの開始をメータで指示する必要がある。そのような実施形態では、スマートペンモジュールの中空穴に、モジュールがペンに取り付けられたときに作動するスイッチが設けられて、新しいペンの開始を発信する。ボタンを押圧することによって、また場合によっては例えば新しいペンのインスリンの量など何らかの情報を入力することによって、新しいペンがいつ開始されたかをメータ上で確認するよう、ユーザーが指示されてもよい。
【0075】
上記の実施例では、容易な参照又は顕著な表示のために、スマートペンモジュールが収集した情報を携帯電話又はコンピュータと送受信することを可能にするために、拡張モジュール(102、202、204、402、502、602、又は702)にはトランシーバが設けられている。
【0076】
説明及び図示されたこれらの特徴は、従来の使い捨てペンの他に、再使用可能なペンに組み込まれてもよい。
【0077】
最後の数回の注入量を表示する従来のデジタルインスリンペンを例外として、我々が知る限り、本明細書で出願者らが認識した問題に対処することを目的とした装置は他にない。
【0078】
これまでに、各投与量を測定し、その情報をメータに送信して表示するいくつかの試作機が構築されてきた。ユーザーは、長期作用型のインスリンのために1つのペンを使い、別のペンを速効型インスリンに使うことが多いので、出願者らは、それらの試作機の評価中、複数のペンと通信する装置を有することが有用であろうと認識した。加えて、一部の患者は、同じタイプのインスリンに複数のペンを使用し、それらを異なる便利な場所(例えば自宅、職場、車内など)に置いておく。したがって、出願者らは、すべてのインスリン注入を確実に記録するために、複数のモジュールが、これらのペンのそれぞれのためのデータ管理ユニット(例えば検体メータ、注入ポンプ、又はコントローラ)と通信できることを理解した。また、出願者らは更に、モジュールをカラーコードして、それらの通信モジュールとともに作動するように設計された薬物送達ペンの色と一致するようにできることも理解した。インスリン会社は同じペンを使用して異なるインスリンを送達し、異なるペンをユーザーが区別するのを助けるためにカラーコードを使用するので、この特徴は、ユーザーにとって有用であると考えられる。これらのモジュールは、ユーザーが注入するインスリンのタイプを拡張モジュール又はメータ上のメッセージ、可視警告、又はアラームを介してユーザーに警告し、ユーザーが誤ったインスリンを注入している可能性がある潜在的なエラー(高血糖又は低血糖を引き起こし得るエラー)を見つけるのを助けることができる。
【0079】
本発明を特定の変形例及び説明図に関して述べたが、当業者には本発明が上述された変形例又は図に限定されないことが認識されよう。更に、上述の方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、当業者には特定の工程の順序が変更可能であり、そうした変更は本発明の変形例に従うものである点が認識されよう。更に、こうした工程のうちのあるものは、上述のように順次行われるが、場合に応じて並行したプロセスで同時に行われてもよい。したがって、開示の趣旨及び本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形が存在する範囲では、本特許請求がこうした変形例をも包含することが意図されるところである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療モジュールであって、
第1の長手方向軸に沿って第1のモジュールハウジング端部から第2のモジュール端部まで延在する第1のモジュールハウジングと、
ケーシングモジュールに連結された第2のモジュールハウジングであって、前記第2のモジュールが、中空穴の少なくとも一部分を画定するために第2の軸に沿って延在し、前記中空穴の少なくとも一部分が、薬物送達ペンの作動ユニットの上に取り付けられるように構成される、第2のモジュールハウジングと、
前記第1のモジュールハウジングに連結された投与量センサと、
前記投与量センサに接続され、前記第1のモジュールハウジングに対する運動のために配置された、追従部分と、
前記追従部分に接続された保持フォークであって、前記保持フォークの間に薬物送達ペンの作動ボタンを捕捉するように構成された保持フォークと、
前記第1のモジュールハウジングに連結され、前記投与量センサから離間配置された電源と、
前記第1のモジュールハウジングに近接して配置され、前記投与量センサ及び前記電源の両方と電気的に連結されたマイクロコントローラと、
を備える、医療モジュール。
【請求項2】
前記第2のモジュールハウジングが、
第1の長手方向軸に概ね平行な第2の長手方向軸を部分的に囲む第1及び第2の延長部を含む、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項3】
前記第1及び第2の延長部のそれぞれが、対応する第1及び第2の位置決め中子を含み、各位置決め中子が各延長部を超えて突出している、請求項2に記載の医療モジュール。
【請求項4】
前記第1の位置決め中子が、前記第2の位置決め中子に対して長手方向にオフセットして前記第2の長手方向軸に沿った位置に位置づけられる、請求項3に記載の医療モジュール。
【請求項5】
前記第1及び第2の延長部のそれぞれが、前記第2の長手方向軸の周囲のほぼ30度の概ね円形の断面を画定する、請求項2に記載の医療モジュール。
【請求項6】
前記モジュールハウジングの一部分が、前記第2の長手方向軸を囲んで、前記長手方向軸の周囲のほぼ140度の概ね円形の断面を画定する、請求項5に記載の医療モジュール。
【請求項7】
前記モジュールハウジングの前記部分が、前記第1及び第2の延長部の両方と連続して、前記第2の軸の周囲のほぼ250度を囲む連続面を画定する、請求項6に記載の医療モジュール。
【請求項8】
前記投与量センサが、前記長手方向軸に沿って摺動可能な長手方向部材を含み、前記長手方向部材が、前記第2のモジュールハウジング端部に近接して前記第1のモジュールハウジングから延出する追従部分に接続される、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項9】
前記長手方向部材が、その軸の周囲を回転するように構成される、請求項8に記載の医療モジュール。
【請求項10】
前記モジュールハウジングが、前記第2の長手方向軸全体を囲む概ね管状の延長部を備えて、前記モジュールハウジングの長さに沿って延在する中空管状部材を画定する、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項11】
前記マイクロコントローラが、
メモリと、
前記メモリに連結されたマイクロプロセッサと、
追従部分の変位に関するデータを提供するために前記投与量センサ及び前記マイクロプロセッサに連結されたA−D変換器と、
メモリに保存されたデータを送受信するためのトランシーバと、
を備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項12】
前記薬物送達ペンが使い捨てインスリンペンを備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項13】
前記薬物送達ペンが再利用可能なインスリンペンを備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項14】
前記投与量センサが、ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ式変位センサ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項15】
薬物カートリッジの配向を決定するために前記モジュールハウジング内に配置された慣性センサを更に備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項16】
前記薬物送達ペンの交換を決定することを可能にするためにマイクロスイッチを更に備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項17】
医療通信ユニットであって、
中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在するハウジングであって、前記中空穴が、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される、ハウジングと、
前記ハウジングに接続され、前記ハウジングの外面の一部分を包囲するように構成されたケーシングであって、前記ケーシングが、電気構成要素を収容するために前記長手方向軸に関して非対称に位置づけられる、ケーシングと、
前記ケーシング内に配置される投与量センサと、
前記投与量センサに物理的に接続され、前記ハウジングに対する運動のために配置された、追従部分と、
前記ハウジングに装着され、前記追従部分を介して前記投与量センサに物理的に接続されることにより、前記投与量センサの一部分は前記長手方向軸に沿ったノブの運動に比例して移動可能である、ノブと、
を含む、医療通信ユニット。
【請求項18】
前記投与量センサが、前記長手方向軸に沿って移動可能な長手方向部材を含み、前記長手方向部材が、前記第2のハウジング端部に近接して前記ハウジングから延出する追従部分に接続される、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項19】
前記長手方向部材が、ポテンショメータ上に配置された摺動体を備え、前記摺動体が、前記ノブの移動に際し、前記ポテンショメータ上を前記長手方向軸に沿って前記第1のハウジング端部の近くと前記第2のハウジング端部の近くとの間を摺動可能である、請求項18に記載の医療モジュール。
【請求項20】
前記第1のハウジング端部に近接して配置されたスイッチを更に備え、前記スイッチが、前記ノブが前記第2のハウジング端部に近接した末端位置の方へ移動されると瞬間スイッチとして応答するように構成される、請求項19に記載の医療モジュール。
【請求項21】
マイクロコントローラが、
メモリと、
前記メモリに連結されたマイクロプロセッサと、
追従部分の変位に関するデータを提供するために前記投与量センサ及び前記マイクロプロセッサに連結されたA−D変換器と、
メモリに保存されたデータを送信するための送信機と、
を備える、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項22】
前記ハウジング内に配置された慣性センサを更に備える、請求項21に記載の医療モジュール。
【請求項23】
薬物送達ペンの挿入及び取り外しを示す信号を前記マイクロコントローラに提供するために前記中空穴内に配置されたマイクロスイッチを更に備える、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項24】
前記投与量センサが、ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ式変位センサ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項25】
薬物カートリッジの配向を決定するために前記モジュールハウジング内に配置された慣性センサを更に備える、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項26】
投与量感知モジュールであって、
長手方向軸の周囲に配置される中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在するハウジングであって、前記中空穴が、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される、ハウジングと、
前記ハウジングに接続され、前記ハウジングの外面の一部分を包囲するように構成されたケーシングであって、前記ケーシングが、電気構成要素を収容するために前記長手方向軸に関して非対称に位置づけられる、ケーシングと、
薬物送達ペンの作動に際し、投与量送達又は前記投与量送達の持続時間のうちの1つを決定するための手段と、
を備える、投与量感知モジュール。
【請求項27】
投与量感知モジュールであって、
長手方向軸に沿って、前記長手方向軸の周囲に配置される中空穴の少なくとも一部分の内面を画定するために第1のハウジング端部から第2のハウジング端部まで延在するハウジングであって、前記内面が、1つのモードで薬物送達ペンの外面を包囲することが可能な前記中空穴を画定し、前記中空穴の内面は、前記ハウジングが前記薬物送達ペンから分離されたときにもう1つのモードで観察者に見える、ハウジングと、
前記薬物送達ペンの投与量セレクタの変位を測定するための手段と、を含む、投与量感知モジュール。
【請求項28】
投与量感知モジュールであって、
長手方向軸に沿って、前記長手方向軸の周囲に配置される中空穴の少なくとも一部分の内面を画定するために第1のハウジング端部から第2のハウジング端部まで延在する第1のハウジングであって、前記内面が、1つのモードで薬物送達ペンの外面を包囲することが可能な前記中空穴を画定し、前記中空穴の内面は、前記ハウジングが前記薬物送達ペンから分離されたときにもう1つのモードで観察者に見える、ハウジングと、
前記第1のハウジングの一部分上に配置されて、前記第1のハウジングの外面の一部分を包囲する、第2のハウジングと、
前記第2のハウジング内に配置され、前記薬物送達ペンの投与量アクチュエータと接続するように構成された、投与量センサと、を備える、投与量感知モジュール。
【請求項1】
医療モジュールであって、
第1の長手方向軸に沿って第1のモジュールハウジング端部から第2のモジュール端部まで延在する第1のモジュールハウジングと、
ケーシングモジュールに連結された第2のモジュールハウジングであって、前記第2のモジュールが、中空穴の少なくとも一部分を画定するために第2の軸に沿って延在し、前記中空穴の少なくとも一部分が、薬物送達ペンの作動ユニットの上に取り付けられるように構成される、第2のモジュールハウジングと、
前記第1のモジュールハウジングに連結された投与量センサと、
前記投与量センサに接続され、前記第1のモジュールハウジングに対する運動のために配置された、追従部分と、
前記追従部分に接続された保持フォークであって、前記保持フォークの間に薬物送達ペンの作動ボタンを捕捉するように構成された保持フォークと、
前記第1のモジュールハウジングに連結され、前記投与量センサから離間配置された電源と、
前記第1のモジュールハウジングに近接して配置され、前記投与量センサ及び前記電源の両方と電気的に連結されたマイクロコントローラと、
を備える、医療モジュール。
【請求項2】
前記第2のモジュールハウジングが、
第1の長手方向軸に概ね平行な第2の長手方向軸を部分的に囲む第1及び第2の延長部を含む、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項3】
前記第1及び第2の延長部のそれぞれが、対応する第1及び第2の位置決め中子を含み、各位置決め中子が各延長部を超えて突出している、請求項2に記載の医療モジュール。
【請求項4】
前記第1の位置決め中子が、前記第2の位置決め中子に対して長手方向にオフセットして前記第2の長手方向軸に沿った位置に位置づけられる、請求項3に記載の医療モジュール。
【請求項5】
前記第1及び第2の延長部のそれぞれが、前記第2の長手方向軸の周囲のほぼ30度の概ね円形の断面を画定する、請求項2に記載の医療モジュール。
【請求項6】
前記モジュールハウジングの一部分が、前記第2の長手方向軸を囲んで、前記長手方向軸の周囲のほぼ140度の概ね円形の断面を画定する、請求項5に記載の医療モジュール。
【請求項7】
前記モジュールハウジングの前記部分が、前記第1及び第2の延長部の両方と連続して、前記第2の軸の周囲のほぼ250度を囲む連続面を画定する、請求項6に記載の医療モジュール。
【請求項8】
前記投与量センサが、前記長手方向軸に沿って摺動可能な長手方向部材を含み、前記長手方向部材が、前記第2のモジュールハウジング端部に近接して前記第1のモジュールハウジングから延出する追従部分に接続される、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項9】
前記長手方向部材が、その軸の周囲を回転するように構成される、請求項8に記載の医療モジュール。
【請求項10】
前記モジュールハウジングが、前記第2の長手方向軸全体を囲む概ね管状の延長部を備えて、前記モジュールハウジングの長さに沿って延在する中空管状部材を画定する、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項11】
前記マイクロコントローラが、
メモリと、
前記メモリに連結されたマイクロプロセッサと、
追従部分の変位に関するデータを提供するために前記投与量センサ及び前記マイクロプロセッサに連結されたA−D変換器と、
メモリに保存されたデータを送受信するためのトランシーバと、
を備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項12】
前記薬物送達ペンが使い捨てインスリンペンを備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項13】
前記薬物送達ペンが再利用可能なインスリンペンを備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項14】
前記投与量センサが、ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ式変位センサ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項15】
薬物カートリッジの配向を決定するために前記モジュールハウジング内に配置された慣性センサを更に備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項16】
前記薬物送達ペンの交換を決定することを可能にするためにマイクロスイッチを更に備える、請求項1に記載の医療モジュール。
【請求項17】
医療通信ユニットであって、
中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在するハウジングであって、前記中空穴が、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される、ハウジングと、
前記ハウジングに接続され、前記ハウジングの外面の一部分を包囲するように構成されたケーシングであって、前記ケーシングが、電気構成要素を収容するために前記長手方向軸に関して非対称に位置づけられる、ケーシングと、
前記ケーシング内に配置される投与量センサと、
前記投与量センサに物理的に接続され、前記ハウジングに対する運動のために配置された、追従部分と、
前記ハウジングに装着され、前記追従部分を介して前記投与量センサに物理的に接続されることにより、前記投与量センサの一部分は前記長手方向軸に沿ったノブの運動に比例して移動可能である、ノブと、
を含む、医療通信ユニット。
【請求項18】
前記投与量センサが、前記長手方向軸に沿って移動可能な長手方向部材を含み、前記長手方向部材が、前記第2のハウジング端部に近接して前記ハウジングから延出する追従部分に接続される、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項19】
前記長手方向部材が、ポテンショメータ上に配置された摺動体を備え、前記摺動体が、前記ノブの移動に際し、前記ポテンショメータ上を前記長手方向軸に沿って前記第1のハウジング端部の近くと前記第2のハウジング端部の近くとの間を摺動可能である、請求項18に記載の医療モジュール。
【請求項20】
前記第1のハウジング端部に近接して配置されたスイッチを更に備え、前記スイッチが、前記ノブが前記第2のハウジング端部に近接した末端位置の方へ移動されると瞬間スイッチとして応答するように構成される、請求項19に記載の医療モジュール。
【請求項21】
マイクロコントローラが、
メモリと、
前記メモリに連結されたマイクロプロセッサと、
追従部分の変位に関するデータを提供するために前記投与量センサ及び前記マイクロプロセッサに連結されたA−D変換器と、
メモリに保存されたデータを送信するための送信機と、
を備える、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項22】
前記ハウジング内に配置された慣性センサを更に備える、請求項21に記載の医療モジュール。
【請求項23】
薬物送達ペンの挿入及び取り外しを示す信号を前記マイクロコントローラに提供するために前記中空穴内に配置されたマイクロスイッチを更に備える、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項24】
前記投与量センサが、ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ式変位センサ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項25】
薬物カートリッジの配向を決定するために前記モジュールハウジング内に配置された慣性センサを更に備える、請求項17に記載の医療モジュール。
【請求項26】
投与量感知モジュールであって、
長手方向軸の周囲に配置される中空穴の少なくとも一部分を画定するために、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部にかけて長手方向軸に沿って延在するハウジングであって、前記中空穴が、薬物送達ペンの作動ユニットの上に連結されるように構成される、ハウジングと、
前記ハウジングに接続され、前記ハウジングの外面の一部分を包囲するように構成されたケーシングであって、前記ケーシングが、電気構成要素を収容するために前記長手方向軸に関して非対称に位置づけられる、ケーシングと、
薬物送達ペンの作動に際し、投与量送達又は前記投与量送達の持続時間のうちの1つを決定するための手段と、
を備える、投与量感知モジュール。
【請求項27】
投与量感知モジュールであって、
長手方向軸に沿って、前記長手方向軸の周囲に配置される中空穴の少なくとも一部分の内面を画定するために第1のハウジング端部から第2のハウジング端部まで延在するハウジングであって、前記内面が、1つのモードで薬物送達ペンの外面を包囲することが可能な前記中空穴を画定し、前記中空穴の内面は、前記ハウジングが前記薬物送達ペンから分離されたときにもう1つのモードで観察者に見える、ハウジングと、
前記薬物送達ペンの投与量セレクタの変位を測定するための手段と、を含む、投与量感知モジュール。
【請求項28】
投与量感知モジュールであって、
長手方向軸に沿って、前記長手方向軸の周囲に配置される中空穴の少なくとも一部分の内面を画定するために第1のハウジング端部から第2のハウジング端部まで延在する第1のハウジングであって、前記内面が、1つのモードで薬物送達ペンの外面を包囲することが可能な前記中空穴を画定し、前記中空穴の内面は、前記ハウジングが前記薬物送達ペンから分離されたときにもう1つのモードで観察者に見える、ハウジングと、
前記第1のハウジングの一部分上に配置されて、前記第1のハウジングの外面の一部分を包囲する、第2のハウジングと、
前記第2のハウジング内に配置され、前記薬物送達ペンの投与量アクチュエータと接続するように構成された、投与量センサと、を備える、投与量感知モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2012−519025(P2012−519025A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552048(P2011−552048)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022236
【国際公開番号】WO2010/098927
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022236
【国際公開番号】WO2010/098927
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】
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