説明

薬物送達管理システム及び方法

慣性センサ又は加速度計を有する薬物送達ペンを含む「スマート」薬物送達ペンの様々な実施形態が提供される。データ管理ユニット(DMU)とともに使用するスマート薬物ペンを含むシステムもまた提供される。これらのペン及びシステムの様々な代表的な使用方法も説明及び図示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、「Medical Module for Drug Delivery Pen」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,386号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP号)、「Drug Delivery System」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,421号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP1号)、「Drug Delivery Management Systems and Methods」と題する2009年2月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/156,472号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP2号)、「DRUG DELIVERY MANAGEMENT SYSTEMS AND METHODS」と題する2009年3月27日付で出願された仮特許出願第S.N.61/164,250号(代理人整理番号第LFS−5196USPSP3号)に対し、米国特許法35 US§C119に基づく優先権の利益を主張し、これら全ては参照により本明細書にそれらの全てが組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬物送達管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
全世界で5百万人、又はインスリン使用者の約56%が、インスリンの注入のためにインスリンペンを使用すると考えられている。インスリンペンは注射器又はバイアル瓶に比べて便利で使い易く目立たない(discrete)ため、使用者はより遵守し、よりよい結果をもたらしている。加えて、インスリンペンは医療施術者がインスリン療法を開始するのに必要な時間を短縮する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、インスリン療法と血糖値モニタリングとを組み合わせ、より統合された治療/モニタリングシステムにすること、インスリンの開始及び増強のプロトコルを簡易化すること、血糖値を中心として糖尿病を管理すること、及び改善された結果及びコスト低減のための糖尿病システムを提供することを含む、重要な問題に対処する。本発明の実施形態は、送達された投与量をデータ管理ユニットに自動的に通信すること、インスリン送達の量及び時間を記録すること、並びに患者の血糖値及びインスリン投薬履歴の要約を表示することによって、患者及び医療提供者がインスリン療法を使いこなすのを助ける。本発明の実施形態は、患者が投薬したかどうかを確認し、インスリン送達の時間及び量の記録をつけ、手作業で記録ノートを保管する必要をなくす。本発明の実施形態は、患者が投薬を遵守していることを医療施術者が確認するのを助ける。
【0005】
本発明の実施形態は糖尿病の管理を容易にするだけでなく、本発明及びその実施形態は、患者への薬物送達が利用されるいかなる分野にも応用され得るであろう。例えば、疼痛管理又は関節炎の管理、不安神経症又は癲癇(例えばジアゼパム)の管理などの分野である。
【0006】
前述のことを鑑み、本発明の一態様にしたがって、薬物送達ペンが提供される。薬物送達ペンは、ペンハウジングと、マイクロプロセッサと、慣性センサ又は加速度計とを含む。ペンハウジングは、長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在する。ハウジングは、第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結されたプランジャ棒の少なくとも一部分を包囲する。薬物カートリッジは、その中に配置される所定の体積の1つ以上の薬物を含む。マイクロプロセッサはハウジング内に配置され、電源及びメモリに動作可能に接続されている。慣性センサは、ハウジングに接続され、マイクロプロセッサと電子通信し、マイクロプロセッサが慣性センサの出力信号を基に、カートリッジに配置された1つ以上の薬物を混合するために長手方向軸に沿って既定の回数、ハウジングが前後に振られたかどうか、又は薬物カートリッジを含むハウジングがプライミング位置において最上位にかつ地面に対して概ね垂直に向けられているかどうかを決定することができる。
【0007】
更に別の態様では、ハウジングと、薬物カートリッジと、プランジャ棒と、投与量セレクタと、マイクロプロセッサと、瞬間スイッチと、を含む、薬物送達ペンが提供される。ペンハウジングは、長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在する。ハウジングは、第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結されている。薬物カートリッジは、その中に配置される所定の体積の1つ以上の薬物を含む。プランジャ棒は、ハウジング内に一部分が配置され、プランジャ棒の少なくとも一部分は薬物カートリッジに連結されている。投与量セレクタはハウジングに装着され、プランジャ棒に連結されている。マイクロプロセッサはハウジング内に配置され、電源及びメモリに動作可能に接続されている。瞬間スイッチはプランジャ棒に連結され、マイクロプロセッサに電気接続されることにより、薬物を送達するためのプランジャ棒の作動がスイッチを作動させ、マイクロプロセッサがプランジャの作動を検出することを可能にする。
【0008】
更なる態様では、データ管理ユニット及び薬物送達ペンを含む糖尿病管理システムが提供される。データ管理ユニットは、メモリと、プロセッサと、ディスプレイと、トランシーバと、を含む。薬物送達ペンは、ペンハウジングと、薬物カートリッジと、メモリと、プロセッサと、慣性センサと、を含む。ペンハウジングは、長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在する。ハウジングは、第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結されている。プロセッサは、メモリに連結される。慣性センサは、ハウジングに接続され、プロセッサと通信して、薬物カートリッジを含むハウジングがプライミング位置において最上位にかつ地面に対して概ね垂直に向けられているか、又はハウジングが長手方向軸に沿って前後に振られているかどうかを決定するのを可能にする。
【0009】
別の態様では、ペンハウジングと、薬物カートリッジと、マイクロプロセッサと、無線IDタグと、を含む、薬物送達ペンが提供される。ペンハウジングは、長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在する。ハウジングは、第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結されている。薬物カートリッジは、その中に配置される所定の体積の1つ以上の薬物を含む。マイクロプロセッサはハウジング内に配置され、電源及びメモリに動作可能に接続されている。無線IDタグは薬物カートリッジに連結され、カートリッジ内の薬物のタイプ、前記カートリッジ内の薬物の体積、有効期限、バッチ日付、ロット番号、製造業者識別、又はこれらの組み合わせを含む群から選択される情報を保存するように構成される。
【0010】
更なる態様では、データ管理ユニット及び薬物送達ペンを含む糖尿病管理システムが提供される。データ管理ユニットは、メモリと、メモリに連結されたプロセッサと、プロセッサに連結されたディスプレイと、データを送受信するためのトランシーバと、無線IDタグ読取り器と、を含む。薬物送達ペンは、ペンハウジングと、薬物カートリッジと、メモリと、プロセッサと、RFID(無線ID)タグと、を含む。ハウジングは、長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在し、ハウジングは、第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結されている。ペンハウジングは、投与量インジケータ窓、及びプランジャ棒に連結された投与量セレクタを有する。プロセッサはメモリに連結される。無線IDタグは薬物カートリッジに取り付けられ、カートリッジ内の薬物のタイプ、前記カートリッジ内の薬物の体積、有効期限、バッチ日付、ロット番号、製造業者識別、又はこれらの組み合わせを含む群から選択されるデータを保存するように構成される。
【0011】
更に別の態様では、血糖メータ及び薬物送達ペンを用いてユーザの糖尿病を管理する方法が提供される。血糖メータは、マイクロプロセッサと、メモリと、ディスプレイと、データの無線トランシーバと、を有する。送達ペンは、第1の端部から第2の端部まで延在するペンハウジングを有し、ハウジングの第1の端部は、ハウジングの第2の端部に近接して配置される薬物カートリッジに連結されたプランジャを包囲する。ペンハウジングの第1の端部は、投与量インジケータ窓、及びプランジャ棒に連結された投与量セレクタを有する。ペンは、ハウジング内に配置された処理ユニット及びトランシーバを更に含む。この方法は、ユーザの治療条件に基づいて治療投与プロトコルを血糖メータのコントローラにロードする工程であって、治療投与プロトコルが、少なくとも1つの薬物タイプ、投与量、及びユーザの少なくとも血糖レベルに基づく投与量での薬物の投与スケジュールに固有のプロトコル情報を含む、工程と、ユーザの体液の複数の血糖レベル測定値を血糖メータのコントローラに保存する工程と、複数の血糖レベル測定値に基づいて推奨される薬物投与量を表示する工程と、薬物送達ペンがプライミングされたかどうかを決定する工程と、薬物カートリッジに対するプランジャの作動によって推奨される薬物投与量をユーザに送達する工程と、ユーザに送達される薬物の実際の投与量を測定する工程と、薬物の実際の投与量に関係するデータを通信モジュールのメモリによって保存する工程と、データを、通信モジュールのトランシーバを介して血糖メータに送信する工程と、治療投薬プロトコルの遵守を示す情報を表示する工程と、によって達成することができる。
【0012】
これら及び他の実施形態、特徴並びに利点は、本発明の実施形態の以下のより詳細な発明の説明を、はじめに簡単に述べる付属の図面とともに参照することによって明らかになろう。
【0013】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図面は、本発明の好適な代表的実施形態を示したものであって、上記に述べた一般的説明及び以下に述べる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明する役割(同様の数字は、同様の要素を表す)を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の型式の薬物送達ペンと複数のデータ管理ユニットとを含む、本明細書に記載及び例示された代表的実施形態によるシステム。
【図2】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図1の薬物送達ペンと嵌合するように構成されたキャップの斜視図。
【図3】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図1の薬物送達ペンの簡略的な部分断面図。
【図4】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図1の薬物送達ペンの電気構成要素を概略図。
【図5】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図1の薬物送達ペンの回路基板の斜視図。
【図6】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、第2の型式の薬物送達ペンの断面図。
【図7】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図6の薬物送達ペンの電子組立品の断面図。
【図8】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図6の薬物送達ペンの電子組立品の斜視図。
【図9】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、第3の型式の薬物送達ペンの断面図。
【図10】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、第4の型式の薬物送達ペンの側面図。
【図11】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図10の薬物送達ペンのカートリッジホルダの断面図。
【図12】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図10の薬物送達ペンの電気構成要素を概略図。
【図13】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図1の血糖メータの回路基板の上部の図。
【図14】本明細書に記載及び例示された代表的実施形態による、図1の血糖メータの回路基板の底部の図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、選択された実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。詳細な説明は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として説明するものである。この説明文は、当業者による発明の製造及び使用を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0016】
第1の型式の薬物送達ペン
図1は、例えば血糖メータ300、携帯電話700、パソコン800(モバイルコンピュータを含む)若しくはネットワークサーバ900のようなデータ管理ユニットすなわちDMUと、又は本明細書に記載される代表的なデータ管理ユニット装置の組み合わせによって、無線通信するように構成された薬物送達ペン100を含む糖尿病管理システムを図示する。本明細書で使用するとき、用語「DMU」は、疾病管理システムにおいて個々のユニット300、700、800若しくは900を別々に、又はともに使用できるデータ管理ユニット(300、700、800、900)全てを表す。
【0017】
薬物送達ペン100は、図1に示すように、長手方向軸L1に沿って第1の端部112から第2の端部113まで延在する概ね管状のペンハウジングを有することができる。ハウジングの第1の端部112は、例えばインスリン又は他の薬物のような薬物153を収容するように構成されるカートリッジ150を包囲してもよく、又はそれに接続される(図3)。
【0018】
図3に示すように、カートリッジ150の一端はピストン152によって封止され得、ピストン152の運動が薬物153の分配を引き起こす。針の部分102は、ユーザが薬物送達ペン100を用いてインスリンを注入することができるよう、針107を保持するように構成され得る。ペンハウジングの第2の端部113は、ピストン152に動作可能に連結されるノブ104を有することができる(図3)。図1及び3に図示するように、投与量ディスプレイ106は、印刷表示又は液晶表示(LCD)のようなディスプレイスクリーン上に、分配される流体の量を出力することができる。
【0019】
ペン100は、カートリッジ150から制御された量の流体を分配する機構を含んでもよい。時計回り又は反時計回りの方向へのノブ104の回転は、ノブ104をペンハウジングに対して内向き及び外向きに出し入れすることができる。そのような回転は、ピストン棒154の動作によって分配される、ユーザが選択した薬物153又は生体に有効な流体の量を制御することができる。軸L1に沿ったノブ104の押圧は、ピストン棒154及びピストン152を介して、選択された量の流体又は薬物153の分配を開始することができる。
【0020】
ペン100は、薬物送達ペンの動作をモニタリングするためにノブ104の内向き及び外向きの運動を両方モニタリングする投与量センサを含むことができる。投与量センサは、軸L1に沿ったピストン棒154の線形又は回転運動を測定することができる任意の好適なセンサであってよい。センサは好ましくはリニアポテンショメータであり、ユーザが注入したボーラスの量を決定するために、軸L1に沿ったノブ104の位置を測定するのに使用される。センサは、ノブ104又はピストン棒の位置に関するデータを提供するためにマイクロプロセッサ基板に連結されるA−D変換器に電気接続される。代表的実施形態とともに使用することができる他のセンサとしては、回転ポテンショメータ、リニア又は回転エンコーダ、静電容量型センサ、光学変位センサ、磁気変位センサ、又はこれらの組み合わせ及び同等物が含まれる。
【0021】
再び図3を参照すると、薬物送達ペン100は、ラチェット156、ピストン棒154、ナット160、ピストン152、及びカートリッジホルダ151を含む。カートリッジホルダ151は、カートリッジ150を保持するように構成することができ、カートリッジは、1つ以上の、例えばインスリン及び生物学的に有効な薬剤のような薬物を収容する。カートリッジ150は、針を保持するように構成することができる隔膜158を含むことができる(針は図3に図示されていない)。ピストン棒154は、非円形の断面、及びネジ山のある外面を有するように構成することができ、ラチェット156によって案内される。投与を起動させると、ラチェット156及びピストン棒154に影響を及ぼして、ピストン棒154がピストン152を動かす。ピストン152の運動は、薬物153をペン100から分配させる。ピストン棒154は、ペン100の軸L1に沿って変位することは可能だがその長手方向軸に沿って回転することは不可能であるように構成することができる。ナット160は、注入される投与量をモニタリングするためのセンサを含むことができる。ナット160は、長手方向軸に沿って回転可能だが、その軸に沿って変位することはできない。ナット160は、ピストン棒154の外側ネジ山に対応するように適合された内側ネジ山を有することができる。ナット160及びピストン棒154は、インスリンを分配するためのピストン棒154の軸方向の運動が一方向であるように構成され得る。概して、薬物射出中のピストン棒154の回転運動は、米国特許第6,235,004号に記載されているように達成することができ、この特許は参照によりここに組み込まれ、付録に添付される。
【0022】
図3を参照すると、カートリッジホルダ151は、カートリッジホルダ151又は場合によってはカートリッジ150に埋め込まれる又は固定される好適な識別子155を有することができる。一実施形態では、識別子155は、例えばカートリッジ150内の薬物又は生物活性流体153に関する情報、製造日、製造業社名、有効期限の日付、バッチ識別子、キャリブレーションデータ、カスタム識別子などのような情報を保存するようにプログラムされる無線ID(RFID)タグであってよい。識別子155がRFIDの形態である場合は、RFID読取り器157を使用して、RFID 155に保存された情報を読取ることができる。RFID読取り器157は、ペン自体の回路基板178のプロセッサ170に連結することができる。別の実施形態では、RFID読取り器157をDMUのプロセッサに連結することができる。あるいは、ペン及びDMUの両方にRFID読取り器157を使用してもよい。
【0023】
図2及び3に図示するように、薬物送達ペン100は、キャップ108に連結するように構成することができる。キャップ108は、ディスプレイ110及び対応するスイッチ164を含むことができる。キャップ108は、針及び隔膜の汚染及び不慮に針で刺すことを防ぐために針の部分102を覆うことができる。図3は、キャップ108と嵌合された薬物送達ペン100の部分断面図を図示する。キャップ108がペン100に嵌合されたとき又はそれから取り外されたとき、対応するスイッチ164は、マイクロプロセッサがペンの動作の始まりと終わりを認識することができるようにペン100の電気スイッチ162と相互作用することができる。
【0024】
図4は、電池165、センサ174、オンスイッチ166、瞬間マイクロスイッチ167、メモリ168、特定用途向け集積回路(ASIC)170、入力/出力ポート172、クロック180、及び加速度計176など、回路基板178上に含まれ得る電子構成要素を図示する。あるいは、回路基板178をフレックス回路と取り替えてもよい。オンスイッチ166を使用して、電池165が電力をASIC 170に送達するのを可能にすることができる。ASIC 170は、電池165、メモリ168、入力/出力ポート172、センサ174、及び加速度計176と接続することができる。センサ174は、ASIC 170に通信される射出投与量を検出するように構成することができる。センサ174の一部分は、ノブ104の回転運動を測定することができる3本の指144の形態であり得る。射出投与量情報はASIC 170によってメモリ168に保存することができる。入力/出力ポート172は、携帯電話、パソコン、又は血糖メータのような外部装置にデータを通信するように構成することができる。あるいは、入力/出力ポート172は、携帯電話、パソコン、又は血糖メータのような外部装置にデータを無線通信するように無線トランシーバの形態であってもよい。加速度計176は、ペン100の運動及び配向を測定するために回路基板178上に含めることができる。加速度計176は、ペン100が正しくプライミングされたかどうか、インスリンのタイプがペン100内で正しく混合されたかどうか、又はペン100がスリープモードから起動されなくてはならないかどうかを判断するように構成することができる。図5は、図4に記載される構成要素を伴う代表的な回路基板178を図示し、ここで基板178はペン100のハウジング内に配置することができる。
【0025】
基板178上に配置され得る他の電気回路構成要素(図における構成要素の配置のために図示せず)は、A−D変換器と、スピーカと、ディスプレイと、ディスプレイドライバと、ユーザインターフェースドライバと、データ管理ユニットDMUの無線モジュールと通信するための、送信機、受信機又は送受信機(例えば赤外光、無線周波数、又は光波を使用する無線トランシーバ)の形態の無線モジュールと、アンテナと、を含んで、例えば、無線信号を送信及び受信し、センサからの入力を処理し、装置のオン・オフ切り替えを行い、装置をスリープモードにし、装置を起こし、電池からの電力を調節し、メモリとの間で情報の保存及び取り出しを行うことができる。
【0026】
一実施形態では、データ管理ユニットDMUは血糖メータ300の形態であり、図1、13及び14に図示するように、ハウジング311と、ユーザインターフェースボタン(316、318、及び320)と、ディスプレイ314と、ストリップポートコネクタ322と、データポート313と、を含むことができる。ユーザインターフェースボタン(316、318及び320)は、データの入力、メニューのナビゲーション、及びコマンドの実行を可能とするように構成することができる。データには、検体濃度及び/又は患者の日常の生活習慣に関連した情報を表す値を挙げることができる。日常の生活習慣に関連した情報には、食物の摂取、薬の使用、健康診断の実施、並びに個々の一般的な健康状態及び運動レベルを挙げることができる。具体的には、ユーザインターフェースボタン(316、318及び320)には、第1のユーザインターフェースボタン316、第2のユーザインターフェースボタン318、及び第3のユーザインターフェースボタン320が含まれる。
【0027】
メータ300の電子要素は、ハウジング311内部の回路基板302上に配置することができる。図13及び14は、回路基板302の上面及び下面に配置された電子要素を示す。上面の電子要素には、ストリップポートコネクタ322、オペアンプ回路335、マイクロコントローラ338、ディスプレイコネクタ314a、不揮発性メモリ340、クロック342、及び第1の無線モジュール346が含まれる。下面の電子要素には、バッテリーコネクタ344a及びデータポート313が含まれる。マイクロコントローラ338は、ストリップポートコネクタ322、オペアンプ回路335、第1の無線モジュール346、ディスプレイ314、不揮発性メモリ340、クロック342、電源344、データポート313、及びユーザインターフェースボタン(316、318、及び320)に電気的に接続することができる。
【0028】
オペアンプ回路335は、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を与えるように構成された2つ以上のオペアンプであってもよい。ポテンシオスタット機能とは、試験ストリップの少なくとも2つの電極間に試験電圧を加えることを指し得る。電流機能とは、加えられた試験電圧によって生じる試験電流を測定することを指し得る。電流測定は、電流電圧変換器によって行うことができる。マイクロコントローラ338は、例えばTexas Instrument MSP430などの混合シグナルマイクロプロセッサ(MSP)の形態であってよい。MSP430は、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を行うようにも構成することができる。更に、MSP430は揮発性及び不揮発性メモリも含み得る。別の実施形態では、電子要素の多くを特定用途向け集積回路(ASIC)の形態でマイクロコントローラに組み込むことができる。
【0029】
ストリップポートコネクタ322は、試験ストリップと電気的接続を形成するように構成することができる。ディスプレイコネクタ314aは、ディスプレイ314に取り付けるように構成することができる。ディスプレイ314は、測定された血糖値を報告し、生活習慣に関連した情報の入力を容易にするための、液晶ディスプレイの形態であってよい。データポート313は、接続リード線に取り付けられた適当なコネクタを受容することにより、血糖メータ300をパーソナルコンピュータなどの外部装置に接続することができるようになっている。データポート313は、例えば、シリアル、USB、又はパラレルポートなど、データ送信が可能ないずれのポートであってもよい。クロック342は、時間を測定するように構成することができ、振動結晶の形態であってよい。電池コネクタ344aは、電池(図示せず)の形態の電源と電気的に接続するように構成することができる。
【0030】
一実施形態では、試験ストリップ324は、電気化学的血糖試験ストリップの形態であり得る。試験ストリップ324は、1つ以上の作用電極及び対電極を含んでよい。試験ストリップ324は、複数の電気的接触パッドを更に含んでよく、その場合、各電極は少なくとも1つの電気的接触パッドと電気的に連通している。ストリップポートコネクタ322は、電気的接触パッドと電気的にインターフェースし電極と電気的に連通しているように構成されてよい。試験ストリップ324は、少なくとも1つの電極上に配置された試薬層を含んでよい。試薬層は、酵素及び調節物質を含み得る。試薬層に使用するのに適した例示的な酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(ピロロキノリンキノン補因子「PQQ」を伴う)、及びグルコースデヒドロゲナーゼ(フラビンアデニンジヌクレオチド補因子「FAD」を伴う)が挙げられる。試薬層に使用するのに適した例示的な調節物質としては、フェリシアニドがあり、この場合では酸化型である。試薬層は、グルコースを酵素的副産物に物理的に変換させ、その過程でグルコース濃度に比例した所定量の還元型の調節物質(例、フェロシアニド)を生成するように構成することができる。この後、作用電極によって還元型調節物質の濃度を電流の形態で測定することができる。次いで、血糖メータ300が電流の大きさをグルコース濃度に変換することができる。
【0031】
代表例として本明細書に記載される構成のために、出願者らは、投与量送達イベント及びそのような投与量送達又は注入イベントの持続時間のいずれか一方又は両方の差を決定するための手段を提供することが可能になった。具体的には、ユーザが単にノブ104を回転してノブ104を長手方向軸に沿って移動させる場合、ペンは投与イベントの発生を測定しない。投与量の選択がなされたという決定を除き、プロセッサ基板のメモリには投与量の送達に関する記録は一切なされない。ノブ104の完全な押圧によってのみ、ペンのノブ104に連結された瞬間スイッチが作動し、投与量送達が起きているという決定を引き起こす。一実施形態では、ノブ104が押圧されるまでは「スリープ」モードになるように電子部品を構成し、モジュールの電力消費を低減することができる。別の実施形態では、電子部品は、ペンが動かされたことを慣性センサが判断するまで「スリープモード」になるように構成することができる。本明細書で使用するとき、「スリープ」モードは、モジュールのあらゆる機能が最低限又は実質的にゼロの電力消費にあるが、ペンがスリープモードから外されたときにシステムを起動する必要がないモードである。
【0032】
瞬間マイクロスイッチ(例えば瞬間スイッチ167)は注入の開始点及び注入の終了点の追跡も可能にし、したがって、ユーザが注入ボタンをゼロ又は初期投与量の位置まで完全に押し下げなくても注入の量を計算できることに注意されたい。投与量の送達がいつ行われたかを判断する能力は糖尿病を管理するユーザにとって貴重だが、出願者らは、そのような投与量の送達の持続時間を決定及び確認することこそが、糖尿病管理技術分野における前進であると考える。言い換えれば、瞬間スイッチの押圧、プランジャの移動の検出、実際の注入の検出、ユーザに送達される実際の投与量の特定をもたらす、投与量センサによるどれだけ送達されたかの決定(注入速度は、ユーザがボタンをどれだけ強く押圧するかに依存して異なることに注意)の組み合わせを、その後の遵守投薬計画(regiment)を用いた分析に使用することができる。すなわち、医療施術者によって処方されたプロトコルにしたがって患者がインスリンを注入する場合、完全な処方投与量を送達するには典型的にはノブ104を4秒〜10秒間完全に押圧することが要求されるので、そのような患者は、完全な処方投与量を送達できなかった場合に完全に遵守できない可能性がある。投与量、時刻、及び持続時間をプロセッサ基板のメモリに記録してモジュール自体又はデータ管理ユニットDMUに表示することによって、又は場合によっては医療施術者のコンピュータに転送及び表示することによって、医療施術者は、データを評価した後に、又は場合によっては実時間に対策を講じ、処方プロトコルが完全に遵守されていることを確認することができる。好ましい実施形態では、正しいペンの使用方法についての患者への警告又は通知を、一実施形態では血糖メータを含むデータ管理ユニット上のメッセージとして表示することができる。あるいは、医療施術者又は自動モニタリングサービスは、電子メール、テキストメッセージ、又は場合によってはユーザの携帯電話若しくはコンピュータへの電話を介してユーザに警告を発行する。
【0033】
第2の型式の薬物送達ペン
図6は、針203、カートリッジホルダ251、カートリッジ250、ピストン252、ピストン棒254、ノブ204、及び表示窓206を含む、第2の型式の薬物送達ペン200の断面図を図示する。ノブ204は、既定のインスリン投与量にダイヤルを合わせるために回転することができる。表示窓106は既定量(すなわち投与量)を示すことができる。ノブ204の回転は、インスリンを投与しているときにピストン252及びピストン棒254が動くことができる移動量に機械的に影響する。また、ノブ204を軸方向に押して、カートリッジ250からインスリンを分配させることもできる。先の実施形態と同様に、カートリッジ250にはデータを用いてプログラムされるRFID 256が設けられる。RFID 256に保存されたデータは、ペンのプロセッサとの動作可能な接続のために回路基板278上に配置されたRFID読取り器257によって読取ることができる。ペン200の説明は、米国特許出願公開公報第2007/0021715号にも見ることができるが、同公報の全体を参照により本願に援用し、その複写を付属書類として添付する。
【0034】
図7に図示されるように、ペン100と同様に、ペン200もまた、ペンの使用をモニタリングするための電子組立品を含む。図8は、ソケット286、電池接触子284、電池264、回路基板278、LED282、マイクロプロセッサ290、加速度計又は慣性センサ276、及びプロセッサ290に接続された瞬間スイッチ267を含む電子組立品の分解斜視図を図示する。瞬間マイクロスイッチ267は、軸方向にノブ204が押圧されたときに作動され得る(図7)。ソケット286は、電池264及び回路基板278を保持するための枠組みとして使用することができる。回路基板278は、電池264と瞬間マイクロスイッチ267との間に挟むことができる。図8に示すように、LED 282、瞬間マイクロスイッチ267、マイクロプロセッサ290のようないくつかの電子構成要素を回路基板278に装着することができる。回路基板278は、スイッチ及び電池と積み重なるように向きが定められて、ペンハウジングが長手方向軸に沿って概ね対称になることを可能にすることに注意されたい。回路基板278に装着可能な他の構成要素は、無線トランシーバ、クロック、メモリ、センサ、及び加速度計276である。
【0035】
第3の型式の薬物送達ペン
図9は、非対称的なハウジングを有する、第3の型式の薬物送達ペン500の断面図を図示する。ペン500は、ペンの動作を測定するためのセンサ及び電子構成要素を収容するケーシング522を有する概ね円筒形のハウジングを有する。ペン500は、ペンの長手方向軸L1に沿って回転可能なノブ504を含む。表示窓506に示されるインスリンの投与量を設定するように、ノブ504の回転を構成することができる。ノブ504をペンハウジングに押し下げると、スリーブ592はハウジングに対して移動し、それによってインスリンが分配され、瞬間マイクロスイッチ567が作動する。ケーシング522は、回路基板578を収容するように構成することができる。ケーシング522は、ペンハウジングの外面とともに特定の構成要素のエンクロージャを提供する3つの壁面を含むことができる。図9に示すように、センサ520及びマイクロプロセッサ590のようないくつかの電子構成要素を回路基板578に装着することができる。回路基板578に装着可能な他の構成要素には、無線トランシーバ、クロック、メモリ、センサ、及び加速度計576を挙げることができる。センサ520は、レーザー検知器520a、520b、及び520cのような複数のレーザー検知器を含むことができる。レーザー検知器は、ノブ504を用いてダイヤルされた既定の投与量に対応するプロファイルエリア594の反射光を測定することができる。先の実施形態と同様に、薬物カートリッジ(簡潔にするために図示せず)はペンハウジングに接続され、ペン又はDMUによるデータ収集のためのRFIDタグが設けられる。ペン500の説明は、米国特許出願公開公報第2006/0224123号にも見ることができるが、同公報の全体を参照により本願に援用し、その複写を付属書類として添付する。
【0036】
第4の型式の薬物送達ペン
図10は、長手方向軸L1に沿って延在するハウジング402を含む第4の型式の薬物送達ペン400の側面図を図示する。ハウジング402は、針403と、カートリッジホルダ451と、表示窓406と、ノブ404とを有し得る。図11は、隔膜458と、バレル412と、カートリッジ450と、ピストン452と、ピストン棒454とを含むカートリッジホルダ451の側断面図を図示する。長手方向軸L1に沿ってノブ404を回転させると、ユーザは投与量を設定することができる。長手方向軸に沿ってノブ404を押し下げると、瞬間スイッチ467が作動され、同時に、ピストン452の移動を引き起こして、針403からインスリンが分配される。図12は、ペン400のハウジング内に収容され得る電子構成要素の簡易概略図である。電子構成要素は、加速度計476、ディスプレイ406、無線トランシーバ472、マイクロコントローラ470、容器自動認識装置453、及び投薬可能量識別子455を含む。容器自動認識装置453は、ペン400に挿入された容器の特徴を認識して、その情報をマイクロコントローラ470に入力するように機能することができる。容器自動認識装置453は、カートリッジ450上の対応する印を認識するための光学的、電気的、又は機械的なセンサの形態であることができる。投薬可能量識別子455は、ユーザが回転ノブ404によって設定した投与量を認識して、その情報をマイクロコントローラ470に入力するように機能することができる。
【0037】
代表的実施形態の操作
本明細書に記載されているシステムを使用して、糖尿病患者に臨床利益を提供することができる。一実施例において、医療提供者(「HCP」)は、パスワードを入力するか又はよりセキュリティを強めるために暗号化によるセキュリティキー(例えばUSBセキュリティPKIトークン)を使用してHCP選択メニューにログインすることにより、DMU 300に治療プロトコルを設定することができる。あるいは、信頼できる遠隔端末若しくは携帯電話700、コンピュータ800、又はネットワークサーバセンター900を介してログインプロセスを実行して、メニュー選択を遠隔操作で実行することができる。ログインが成功したら、HCPは、例えば「長期作用型」プロトコル、「混合」プロトコル又は頻回注射(Multiple Daily Injection)(「MDI」)プロトコル等の複数の治療プロトコルのうちの1つを選択することができる。
【0038】
選択されたプロトコルが長期作用型プロトコルの場合、HCPは、ユーザの体重範囲を選択し、開始投与量及び最大投与量が、空腹時の後に実行される好ましい血糖試験により的確であり、インスリンが就寝時間にユーザの身体に送達されていることを確認する。その後、次いでケーブル又は短距離若しくは長距離無線接続を介して、プロトコルがユーザのDMU 300に転送される。
【0039】
選択されたプロトコルが混合プロトコルの場合、HCPは、一定期間にわたるインスリン送達の頻度を選択する。ここで、HCPは、インスリン投与計画が、一定期間にわたり、選択された頻度であり、また1日の特定の時間にあることを確認する必要がある。その後、次いでケーブル又は短距離若しくは長距離無線接続を介して、プロトコルがユーザのDMU 300に転送される。
【0040】
選択されたプロトコルがMDIプロトコルの場合、HCPは、ユーザの1日のうちの最大の食事を選択し、毎日の特定の事象に必要な速効型の投与量、及び毎日の別の事象に必要な速効型の投与量を有する投与計画を確認する。その後、次いでケーブル又は短距離若しくは長距離無線接続を介して、プロトコルがユーザのDMU 300に転送される。
【0041】
DMU 300において、HCPが長期作用型プロトコルを選択したユーザは、一連の対話型スクリーンを見る。DMU 300のプロセッサは、HCPのコンピュータ800又はネットワークサーバセンター900からメモリに転送された、プロトコルに合った挨拶メッセージ及び通知を生成する。この時点で、ユーザは、この場合はDMU 300である検体試験メータを用い、試験ストリップ324を使用して血糖試験を実行する必要がある。分析の後、検体試験装置は、測定した血糖濃度の出力をスクリーン314上に提供する。その後、プロセッサは、ユーザの生理学的条件に必要な投与量を示すメッセージをディスプレイ314に生成する。この段階で、ユーザは、治療薬の必要な投与量を摂取する時間の通知を選択する選択肢が与えられる。ここで、デフォルト選択肢は、起動された通知のものが好ましい。ユーザが選択すると、様々なスクリーンが生成されて、血糖試験、傾向、治療タイプ、及び摂取される投与量の要約を提供することができる。一実施例において、特定の時間及び日付に摂取される治療薬及び治療薬のタイプの要約が表示される。
【0042】
DMU 300において、HCPが混合型プロトコルを選択したユーザは、一連の対話型表示メッセージを見る。1つのメッセージでは、プロセッサ1706は、HCPのコンピュータ800又はネットワークサーバセンター900から血糖メータ300のメモリに転送された、プロトコルに合った挨拶メッセージ及び通知を生成する。この時点で、ユーザは、この場合はDMU 300であり得る好適な検体試験メータを用い、試験ストリップ324を使用して血糖試験を実行する必要がある。分析の後、装置は、測定した血糖濃度のアウトプットをディスプレイ314上に提供する。その後、プロセッサは、ユーザの生理学的条件に必要な投与量を示すメッセージをディスプレイ314に生成する。ここで、ユーザは、治療薬の必要な投与量を摂取する時間の通知を選択する選択肢が与えられる。ここで、デフォルト選択肢は、起動された通知のものが好ましい。ユーザが選択すると、様々なスクリーンが生成されて、血糖試験、傾向、治療タイプ、及び摂取される投与量の要約を提供することができる。一実施例において、特定の時間及び日付に摂取される治療薬及び治療薬のタイプの要約が提供される。
【0043】
DMU 300において、HCPがMDIプロトコルを選択したユーザは、一連の対話型ディスプレイスクリーンを見る。1つのスクリーンでは、血糖メータ300のプロセッサは、HCPのコンピュータ800又はネットワークサーバセンター900から血糖メータ300のメモリに転送された、プロトコルに合った挨拶メッセージ及び通知を生成する。この時点で、ユーザは、この場合はDMU 300であり得る好適な検体試験メータを用い、試験ストリップ324を使用して血糖試験を実行する必要がある。分析の後、装置は、測定した血糖濃度のアウトプットをディスプレイスクリーン314上に提供する。その後、プロセッサは、ユーザの生理学的条件に必要な投与量を示すメッセージを生成する。ここで、ユーザは、治療薬の必要な投与量を摂取する時間の通知を選択する選択肢が与えられる。ここで、デフォルト選択肢は、起動された通知のものが好ましい。ユーザが選択すると、様々なスクリーンが生成されて、血糖試験、傾向、治療タイプ、及び摂取される投与量の要約を提供することができる。一実施例において、特定の時間及び日付に摂取される治療薬及び治療薬のタイプの要約が提供される。
【0044】
ユーザが治療計画に従うことを確認するために、DMU 300を薬物送達ペンとともに使用して、測定した食前血糖値に基づいた必要な治療薬投与量をユーザに通知するか、又は特定の時間にユーザに必要な投与量を送達するようユーザに促すことにより、治療計画の遵守を確実にすることができる。促し又は通知の一環として、ペン又はDMU内のRFID読取り器は、薬物カートリッジが埋め込まれたRFIDタグをポーリングして、例えばカートリッジ内の薬物のタイプ、カートリッジ内の薬物の体積、有効期限、バッチ日付、製造業者識別などのような関係情報を判断することができる。次いで、RFIDタグから収集された情報はプロトコルと比較されて、HCPが処方した薬物又は生物学的薬剤が患者の使用している正しいものであることが確認される。その後、RFIDタグからのデータ収集のログが、ペン又はDMUのメモリ内のRFID読取り器に記録される。例えば、カートリッジのRFIDタグによって識別された薬物が、DMUに充填された、HCPによって処方された正しい薬物でないなど、情報の不一致がある場合は、患者又はユーザの安全を確保するために警告(例えばアラーム、信号、又は場合によっては携帯電話信号を介したHCPへの警告)が提供され得る。薬物カートリッジが、RFIDタグ及び読取り器を介してDMUに保存されたプロトコルでHCPによって処方された正しい薬物であるという決定をDMUがしたら、キャップの取り外し、加速度計を用いたペンの運動、及びノブの回転又はノブの押圧によって、薬物送達ペンの作動を検出するようにDMU 300を構成することができる。DMU 300への無線信号の送信によって、薬物送達ペンによる治療薬の起動すなわち実際の送達が検出されたら、メッセージをDMU 300(又は携帯電話700、コンピュータ800、及びネットワークサーバセンター900)に提供して、治療薬の投与量及び投与時間を示すことができる。好ましい実施形態ではアンテナ及びRFID読取り器を伴うマイクロチップの形態のRFIDタグが使用されるが、データを保存することができ薬物カートリッジに取り付けるのに十分に小型である任意の好適なマイクロデバイスをRFIDタグの代わりに利用することができることに注意されたい。同様に、保存媒体内の情報に遠隔アクセスするために使用することができる任意の無線ポーリング装置を、RFID読取り器の代わりに使用することができる。
【0045】
正しく処方された又は推奨された薬物又はカートリッジを確保するためのもう1つのアプローチは、次のように実行することができる:薬物カートリッジ内のインスリンのタイプを確認するために、DMU又はペンが起動されるとDMU画面上に通知を設定するようにDMUをプログラムし、不一致がある場合は正しいインスリンのタイプ(速効型インスリン、長期作用型インスリン、又はプレミックスされたインスリン)を入力し、例えば速効型インスリンのためには最大投与量を30 U以下に設定することによって、DMUの安全確認機能を設定する。ユーザがうっかり最大投与量を超えるインスリンを注入した場合は、DMUは、例えば血糖値を測定すること及びインスリンの影響を中和させるために何らかの食物を摂取するよう提案するなど、過投与の影響を最小限にするために何らかの行動をとるようにユーザに通知する。
【0046】
薬物送達ペンを上記方法において使用するために、ユーザはノブを回転させて、注入投与量にダイヤルを合わせることを可能にする。選択された投与量はペンの投与量インジケータ窓に表示される。ノブが回転すると、ノブはペンハウジングに対して外向き又は内向きに出入りする。注入されるインスリンの量は、外向きへのノブの延長に比例し、これは投与量センサによって測定される。次いで、この情報をペンのメモリ内に保持するか、又はDMUに送信して、正しい投与量が守られたことを確保することができる。ユーザの履歴記録に基づき、選択された投与量が安全でない場合、ペン又はDMUに警告ブザーが提供されてもよい。選択された投与量が危険であり得る場合、又は誤ったタイプの薬物が注入されている場合、DMUにアラームが送信され、DMUは、ユーザに直ちに対処するようこのアラームをHCP又は患者の世話人(例えば親、教師、看護師、保護者など)に転送することができる。
【0047】
好適な針(例えば203)をインスリンカートリッジ250に取り付けることができる。注入の前にユーザは針を皮下に差し込む前に少量の投与量(通常、2単位)を射出して薬物送達ペンをプライミングする。薬物送達ペンのプライミングにより気泡が取り除かれる。プライミング(試験注入と呼ばれる場合もある)の目的は、注入量を減らすことになる気泡を薬物カートリッジ及び針から取り除くことである。気泡の除去に失敗すると、ペンが不正確な体積を投与する可能性が起こり得、このことは、例えば子供に少量の投与量が送達されるときなどは特に重大であり得る。気泡が薬物カートリッジの上(針に最も近い端)に上昇し、プライミング投薬によって排出されることができるように、薬物送達ペンはプライミング中に、薬物カートリッジ及び針が地面Gに対してほぼ最上位であるように、概ね垂直に保持されなくてはならない(図1)。針の先端にインスリンの滴が現れるのをユーザが見れば、プライミングは成功である。インスリンの滴が見られない場合は、ユーザはプライミング工程を繰り返す。プライミング中に薬物送達ペンが縦に保持されているかどうかを検出するために、慣性センサをペンハウジング内に配置するかプロセッサ基板に位置づけ、この情報をデータ管理ユニットに無線送信することができる。低コストのマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)慣性センサチップは広く入手可能であり、正確かつ低コストで、サイズが小さい。好ましい慣性センサとしては、Analog DevicesのモデルADXL322加速度計(http://www.analog.com/en/mems−and−sensors/imems−accelerometers/ADXL322/products/product.html#pricingで入手可能)が挙げられる。薬物送達ペンは2つの代表的な手法のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせによって、すなわち(1)ペンがプライミング中かどうかを決定するために、薬物送達ペンが長手方向軸L1に対して直交の軸の周囲でペンの回転及び加速によって針を上に向けて保持されているかどうかをペンハウジングに配置された慣性又は加速度センサを介して決定し得ること、及び(2)1つ以上の約2単位の少量の投薬の後により大きい投薬が行われるかどうかを決定するソフトウェアを使用することができることによって、プライミングと注入とを区別することができる。例えば、重力センサ又は慣性センサを使用して、ノブが押圧されたときに装置が上を向いているかどうか(気泡を除去するときに装置を逆さの位置に保持するので、プライミングショットであることを示す)を判断することができる。ペンは、プライミングショットと実際の薬物送達とを区別することができる。例えば、通常、プライミングショットは2単位以下であるので、より量の多い注入ショットと区別することが可能であり、また、通常、プライミングショットの後に注入ショットが行われるが、これは、ソフトウェアによって区別することが可能なパターンである。同様に、ユーザがダイヤルを後方及び/又は前方に回して特定の投与量にダイヤルを合わせて行う投与量調節と、ユーザが1回分を注入したときに生じるダイヤル位置の移動とを区別可能であることが有用である。ユーザへの注入であれば、終了時にダイヤルは初期の位置、すなわちホームポジションに戻るはずであるのに対し、投与量を変更するためのノブ調節は、通常はノブをより多くの投与量に設定するときに生じ、ノブの初期の位置、すなわちホームポジションでは終わらないので、これは投与量センサを介してマイクロコントローラによっても検出可能である。これは、投与量調節ではなく注入のみのために押圧される瞬間スイッチによっても検出可能である。データ管理ユニットは、プライミングのときに、ユーザが薬物送達ペンを縦に保持していない場合に縦に保持するよう、ユーザに通知することができる。加えて、ユーザがプライミング工程を完全に抜かした場合は、ペンのマイクロプロセッサ及び加速度計により収集した情報からそのことが明らかになり、ペン又はデータ管理ユニットによって視覚的又は聴覚的な警告、通知、及び/又は指示をユーザに与えることができる。
【0048】
また、慣性センサは、薬物送達ペンの使用におけるもう1つのエラーの原因であるインスリン注入前の混合手法をユーザが正しく行っているかどうかを判断するのにも利用される。インスリンのタイプによっては、70/30プレミックスインスリンのように使用前に混合しなくてはならないものがある。通常、混合には、薬物送達ペンを上下に動かすことを10回繰り返すことを伴い、これは(ペンハウジング上又はペンハウジング内に位置づけられている)慣性センサによって容易に検出可能な動作である。使用前に混合することが必要なインスリンを使用している場合は、データ管理ユニットにメッセージを表示して、インスリンの混合の仕方を患者に通知することができる。本明細書で使用するとき、用語「慣性センサ」は、地球の重力効果を考慮することによって地に対する慣性センサの向きを決定することができるセンサである。同様に、用語「加速度センサ」は、加速度計又は3軸加速度計を含むことを意図し、そのような加速度センサを使用して地に対するセンサの向きを決定することができる。
【0049】
場合によっては、DMUによって、投薬がプライミングか注入かを確認するよう、ユーザに尋ねることができる。一実施形態では、ユーザが装置を取り上げたときに装置がスリープモードの場合は、慣性センサを使用して装置を起動することもできる。血糖メータの投薬履歴メニュー(図示せず)で、ユーザはプライミングと注入のエントリをトグルすることができる。例えば、メータは記号「」(例)を表示することによって、プライミングを表示し、どの注入の前にプライミングが行われたかを表示することができる。出願者らは、これによって、プライミング投与量と注入投与量を全てまとめて1つのリストに表示することによってユーザを混乱させることなく、メータの1つの画面上にできるだけ多くの情報を表示することが可能になると考える。
【0050】
本明細書に記載したペンは電子部品を組み込むものであり、電力を提供するために電池を使用する。出願者らは、患者にとって威圧的ではなく、容易に持ち歩け、目立たないように使用できるよう比較的小さいペンにすることができるように、電池はできるだけ小さくなくてはならないと考える。しかし、電池が小さすぎると、電池を頻繁に交換しなくてはならず、これはユーザにとって面倒であり、場合によっては投薬失敗がもたらされることがあり得る。したがって、低電力電子部品を使用すること(低電力MEMS慣性センサが利用可能であることに留意)、及び装置が使用されていないときに節電するために電子部品が「スリープ」モードになることが有用である。ペンハウジング上の慣性センサ、作動スイッチ若しくは抵抗性スイッチ、又はペンキャップのマイクロスイッチを使用して、ペンをスリープモードから起こすことができる。慣性センサは、ペンが取り上げられたとき及び/又は取り扱われたときを検出することができ、電子部品を起こすように起動することができる。この方法を用いて、ペンが取り上げられたときにディスプレイを即座にオンにすることができ、ユーザは待つ必要なく投与量ダイヤルを回すことができる。
【0051】
ダイヤルで所望の投与量に合わせた後、針を皮膚に挿入し(ユーザの親指で)ノブを完全に押圧することによって注入が行われる。ノブを完全に押圧したら、選択された投与量が完全に注入されるために、既定の時間にわたってノブを下げたまま保持する必要がある。本明細書に記載されているように、瞬間スイッチ及びプロセッサは投与量注入イベント及びその持続時間を決定することができる。その後、ペンはそのようなイベント及びイベントの持続時間をそのメモリに記録する。ユーザは、カートリッジが空になるまでこの順序を行うことができる。そのペンが再使用可能なペンであるならば、空の薬物カートリッジを捨て、再使用可能なペンの作動部分に取り付けられる新しいカートリッジと交換することができる。
【0052】
いくつかの特徴について説明してきたが、代表的実施形態の他のバリエーションを様々な組み合わせで利用することが可能である。例えば、ペンはポテンショメータの代わりにエンコーダを使用して投与量セレクタの角度位置及び回転を測定することができる。スイッチをエンコーダと併用して、ユーザが例えばインスリンのような薬物を注入するためにペンの投与量作動ボタンを押圧したときを検出し、投与量調節と注入との区別を可能にすることができる。そのようなスイッチはまた、既に説明したように、インスリンショットを注入した後にユーザがどれだけ長く投与量作動ボタンを押圧し続けるかを検出する。別の例では、スイッチが作動され、投与量セレクタダイヤルがゼロ位置に戻ったことをエンコーダが判断した後に、ペンはこの情報をデータ管理ユニットに通信して、ユーザがダイヤルを押圧し続けなくてはならない時間のカウントダウンをするメータのタイマーを開始することができる。ユーザがスイッチへの圧力を尚早に解放すると、データ管理ユニットに警告が発せられるか表示されてもよい。あるいは、又は加えて、ペンの小さいディスプレイ又はLEDを使用して、どれだけ長くダイヤルを押圧し続けるかをユーザに伝えることができる。しかし、ディスプレイは絶対に必要なものではないことに注意されたい。装置はノブが押圧されている時間を追跡し、ユーザがノブを十分な時間押し続けない場合にのみメータにメッセージ/警告を表示するだけでもよい。スイッチは、例えばリニアポテンショメータなど、エンコーダ以外のセンサとも機能するように構成することもできる。例えば、ペンは、ユーザが慣性センサを用いて薬物送達ペンをプライミングしなかった場合にユーザに警告すること、慣性センサを用いて(混合インスリンに適用される)混合工程が行われなかった場合にユーザに警告すること、注入が不完全であること(すなわちノブが完全にゼロに達するまで押圧されていない)をユーザに警告すること、注入中にノブを数秒間押し続けるようユーザに通知するタイマーを提供すること、薬物送達ペンに残っているインスリンを追跡記録すること、注入時刻になったときにユーザに通知すること、注入をし損ねた又は重複した場合にユーザに警告すること、まもなくインスリンの有効期限が切れることをユーザに警告することができる。
【0053】
いくつかの機能を利用してインスリンペンの使用での不正確さを軽減することができる。これらには、注入のし損ね、注入の重複、及び不適切なプライミングが含まれる。不適切なプライミングは、投薬と投薬との間に針(図示せず)を付けたままにして薬物カートリッジに空気を進入させた場合に特に問題である。70/30プレミックスのようなインスリンは注入の前に混合する必要がある。注入の前に70/30プレミックスの混合をしないこと又は不適切に混合することは、不正確さの原因である。投与量の全てが体内に確実に入るようにするためには、注入中に約6秒間、ノブを保持しなければならない。ノブを十分長く押し下げ続けないと、部分的投与となる。ペンは、これらの不正確さをユーザに警告するので、不正確さを軽減するのを助けることができる。
【0054】
既に述べたように、ペンの投与量センサを使用して、インスリン投与量を測定し、その情報を、血糖メータ又は、携帯電話、モバイルコンピュータなどの好適なデータ通信ユニットであり得るデータ管理ユニットに転送することができる。ペンからデータ管理ユニットに転送される情報を使用して、薬物送達ペンを使いこなすのを助けることができる。薬物送達ペンの不正確な使用の主な潜在的原因は、投薬をし損ねること及び投薬の重複である。しかし、本明細書で具現化されるペンは、ユーザに投与履歴を通知することによってこれらのエラーの原因をなくすのを助けることができる。完全な投与履歴(投与量、及び投薬が行われた日時を含む)は、このオプションをデータ管理ユニットのメニューから選択することによって、ユーザに利用可能にできる。加えて、データ管理ユニットの電源を入れたときに最新の投与情報(時間及び量)をメータのディスプレイに示すことによって、ユーザは血糖値測定をする度に、注入を忘れたかどうかを直ちに見ることになる。血糖を試験するときをユーザに警告するためにデータ管理ユニットを使用するのと同じ方法で、データ管理ユニットは、いつインスリンを摂取するか、又はインスリン注入をし損ねたかどうかもユーザに警告することができる。この情報も、データ管理ユニットの電源を入れたときに表示することができる。
【0055】
プライミングに関係するもう1つのエラーの原因は、各注入後に針を取り外して廃棄することをしないことである。一実施形態では、メータは、毎回使用の度に針を取り外さなくてはならないことを述べた通知を生成するためにディスプレイを提供する。あるいは、ペンに装着されたスピーカを利用して、トーン、又は予め保存された、特定の地域のために構成されたフレーズ(例えば、ドイツで流通されたペンの場合はドイツ語、フランスで流通されたペンの場合はフランス語など)で、ユーザを促すことができる。加えて、所在が分からないペンをユーザが見つけるのを可能にするように、ペンのスピーカを構成してもよい。具体的には、ペンの所在がユーザに分からない場合に、ペンは、データ管理ユニット(又は、ペンと対になった任意の電子装置)からの問い合わせ信号に応答してペンのスピーカがトーン又はブザー音を発することができる。また、この方法を使用して、特定のペンが血糖メータのような特定のデータ管理ユニットと対になっていることを確認することもできる。
【0056】
薬物送達ペンを用いてインスリンを注入するとき、確実に投与量が全て皮下に送達されるようにするために、針が挿入された状態でノブを約6秒間押し下げ続けることが重要である。最適な時間は、通常、薬物送達ペンのユーザマニュアルに記載されている。ペン又はデータ管理ユニットのいずれか又は両方にメッセージを表示して、ユーザがノブを尚早に解放している場合、正しい手法をユーザに通知することができる。データ管理ユニット又はペンは、ノブが最初に押圧されたときに開始するカウントダウンタイマーの表示又はカウントダウンのトーン若しくは信号の発信をして、ノブを解放すべきときをユーザに知らせることができる。
【0057】
冷蔵庫から出した後にペンを使用することができる時間など、ペンの使用に関する他の通知をスマートペンに組み込み、ユーザへの助けとしてデータ管理ユニットに表示してもよい。特定のペンが使用されている時間を追跡するために、ユーザは新しいペンの開始をメータで指示する必要がある。そのような実施形態では、新しいカートリッジが取り付けられたときに作動するスイッチが、スマートペンのカートリッジホルダに近接して設けられて、再充填されたペンの開始を発信する。ボタンを押圧することによって、また場合によっては例えば新しいカートリッジのインスリンの量など何らかの情報を入力することによって、新しいペンがいつ開始されたかをメータ上で確認するよう、ユーザが指示されてもよい。
【0058】
本発明を特定の変形例及び説明図に関して述べたが、当業者には本発明が上述された変形例又は図に限定されないことが認識されよう。更に、上述の方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、当業者には特定の工程の順序が変更可能であり、そうした変更は本発明の変形例に従うものである点が認識されよう。更に、こうした工程のうちのあるものは、上述のように順次行われるが、場合に応じて並行したプロセスで同時に行われてもよい。したがって、開示の趣旨及び本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形が存在する範囲では、本特許請求がこうした変形例をも包含することが意図されるところである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達ペンであって、
長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在するペンハウジングであって、前記ペンハウジングは、前記第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結され、前記薬物カートリッジは、その中に配置される所定の体積の1つ以上の薬物を含む、ペンハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、電源及びメモリに動作可能に接続されているマイクロプロセッサと、
前記ハウジングに接続され、前記マイクロプロセッサと電子通信する慣性センサであって、前記マイクロプロセッサが前記慣性センサの出力信号を基に、前記カートリッジに配置された前記1つ以上の薬物を混合するために前記長手方向軸に沿って既定の回数、前記ハウジングが前後に振られたかどうか、又は前記カートリッジを含む前記ペンハウジングがプライミング位置において最上位にかつ地面に対して概ね垂直に向けられているかどうかを決定することができる、慣性センサと、
を備える、薬物送達ペン。
【請求項2】
薬物送達ペンであって、
長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在するペンハウジングであって、前記ペンハウジングは、前記第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結され、前記薬物カートリッジは、その中に配置される所定の体積の1つ以上の薬物を含む、ペンハウジングと、
前記ハウジング内に一部分が配置されたプランジャ棒であって、前記プランジャ棒の少なくとも一部分は前記薬物カートリッジに連結されている、プランジャ棒と、
前記ハウジングに装着され、前記プランジャ棒に連結されている、投与量セレクタと、
前記ハウジング内に配置され、電源及びメモリに動作可能に接続されているマイクロプロセッサと、
前記プランジャ棒に連結され、前記マイクロプロセッサに電気接続されている瞬間スイッチであって、薬物を送達するための前記プランジャ棒の作動が前記スイッチを作動させ、前記マイクロプロセッサが前記プランジャの作動を検出することを可能にする、瞬間スイッチと、
を備える、薬物送達ペン。
【請求項3】
前記薬物カートリッジが、長期作用型インスリン、速効型インスリン、長期作用性及び速効性混合型インスリン、NPH、成長ホルモン、GLP−1類似体、シムリン、又はこれらの組み合わせから本質的になる群から選択される薬物を収容する、請求項1又は2に記載の薬物送達ペン。
【請求項4】
前記投与量セレクタの変位の際に投与量送達データを提供するために、前記ペンの前記投与量セレクタに取り付けられ、かつ前記マイクロプロセッサに連結される投与量センサを更に備える、請求項1又は2に記載の薬物送達ペン。
【請求項5】
前記薬物カートリッジに連結されたプランジャ棒の少なくとも一部分と、
前記プランジャ棒に連結された投与量セレクタと、
を更に備える、請求項1に記載の薬物送達ペン。
【請求項6】
前記薬物カートリッジ内の薬物の投与量の送達に関するデータを前記薬物送達ペンから遠隔にあるデータ管理ユニットに送受信するために、前記ハウジングに配置され、前記プロセッサに連結されるトランシーバを更に備える、請求項1又は2に記載の薬物送達ペン。
【請求項7】
前記ペンハウジング上に提供される投与量インジケータディスプレイを更に備え、前記投与量インジケータディスプレイが前記ユーザによって選択された投与量の表示を提供する、請求項1又は2に記載の薬物送達ペン。
【請求項8】
前記ハウジングに接続され、前記マイクロプロセッサと電子通信する慣性センサであって、前記マイクロプロセッサが前記慣性センサの出力信号を基に、前記カートリッジに配置された前記1つ以上の薬物を混合するために前記長手方向軸に沿って既定の回数、前記ハウジングが前後に振られたかどうか、又は前記カートリッジを含む前記ペンハウジングがプライミング位置において最上位にかつ地面に対して概ね垂直に向けられているかどうかを決定することができる、慣性センサを更に備える、請求項2に記載の薬物送達ペン。
【請求項9】
前記ハウジングに接続され、前記マイクロプロセッサと電子通信する加速度センサであって、前記マイクロプロセッサが前記加速度センサの出力信号を基に、前記カートリッジに配置された前記1つ以上の薬物を混合するために前記長手方向軸に沿って既定の回数、前記ハウジングが前後に振られたかどうかを決定することができる、加速度センサを更に備える、請求項2に記載の薬物送達ペン。
【請求項10】
前記薬物カートリッジに連結され、前記カートリッジ内の薬物のタイプ、前記カートリッジ内の薬物の体積、有効期限、バッチ日付、ロット番号、製造業者識別、又はこれらの組み合わせを含む群から選択される情報を保存するように構成される、無線IDタグを更に備える、請求項1又は2に記載の薬物送達ペン。
【請求項11】
糖尿病管理システムであって、
メモリと、
前記メモリに連結されたプロセッサと、
前記プロセッサに連結されたディスプレイと、
データを送受信するためのトランシーバと、
を含む、データ管理ユニットと、
長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在するペンハウジングであって、前記ハウジングが、前記第1の端部及び第2の端部のうちの1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結され、前記ペンハウジングが、投与量インジケータ窓、及び前記プランジャ棒に連結された投与量セレクタを有する、ペンハウジングと、
メモリと、
前記メモリに連結されたプロセッサと、
前記ハウジングに配置され、前記プロセッサと通信する慣性センサであって、前記カートリッジに配置された1つ以上の薬物を混合するために前記長手方向軸に沿って既定の回数、前記ハウジングが前後に振られたかどうか、又は前記カートリッジを含む前記ペンハウジングがプライミング位置において最上位にかつ地面に対して概ね垂直に向けられているかどうかを決定することを可能にする、慣性センサと、
を備える、薬物送達ペンと、
を備える、糖尿病管理システム。
【請求項12】
前記投与量セレクタの変位の際にデータを提供するために、前記ペンの前記投与量セレクタに取り付けられ、かつ前記プロセッサに連結される投与量センサを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記薬物カートリッジ内の薬物投与量の送達に関係するデータを前記データ管理ユニットに送受信するトランシーバを更に備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記薬物カートリッジが、長期作用型インスリン、速効型インスリン、長期作用性及び速効性混合型インスリン、NPH、成長ホルモン、GLP−1類似体、シムリン、又はこれらの組み合わせから本質的になる群から選択される薬物を収容する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記データ管理ユニットが、ユーザの体液の検体値を示す信号を提供するために前記プロセッサに連結された検体センサを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記データ管理ユニットが、携帯電話を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記データ管理ユニットが、モバイルコンピュータを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記データ管理ユニットが、前記通信モジュールから遠隔の場所に位置づけられたネットワークサーバを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記薬物カートリッジに連結されて、前記カートリッジ内の薬物のタイプ、前記カートリッジ内の薬物の体積、有効期限、バッチ日付、ロット番号、製造業者識別、又はこれらの組み合わせを含む群から選択されるデータを保存する、無線ID(RFID)タグを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記RFIDタグに保存された情報の転送のために前記RFIDタグに問い合わせる、前記ペン及び前記データ管理ユニットのうちの1つに配置される無線IDタグ(RFID)読取り器を更に備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
糖尿病管理システムであって、
メモリと、
前記メモリに連結されたプロセッサと、
前記プロセッサに連結されたディスプレイと、
データを送受信するためのトランシーバと、
無線IDタグ読取り器と、
を含む、データ管理ユニットと、
長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在するペンハウジングであって、前記ペンハウジングは、前記第1の端部及び第2の端部のうちの1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結され、前記ペンハウジングは、投与量インジケータ窓、及び前記プランジャ棒に連結される投与量セレクタを有する、ペンハウジングと、
メモリと、
前記メモリに連結されたプロセッサと、
前記薬物カートリッジに取り付けられ、前記カートリッジ内の薬物のタイプ、前記カートリッジ内の薬物の体積、有効期限、バッチ日付、ロット番号、製造業者識別、又はこれらの組み合わせを含む群から選択されるデータを保存するように構成される、無線IDタグと、
を備える、薬物送達ペンと、
を備える、糖尿病管理システム。
【請求項22】
前記ハウジングに配置され、前記プロセッサと通信する慣性センサであって、前記カートリッジに配置された1つ以上の前記薬物を混合するために前記長手方向軸に沿って既定の回数、前記ハウジングが前後に振られたかどうか、又は前記カートリッジを含む前記ペンハウジングがプライミング位置において最上位にかつ地面に対して概ね垂直に向けられているかどうかを決定することを可能にする、慣性センサを、前記ペンが更に備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
血糖メータ及び薬物送達ペンを用いてユーザの糖尿病を管理する方法であって、前記血糖メータはマイクロプロセッサと、メモリと、ディスプレイと、データの無線トランシーバとを有し、前記送達ペンは第1の端部から第2の端部まで延在するペンハウジングを有し、前記ハウジングの前記第1の端部は前記ハウジングの前記第2の端部に近接して配置される薬物カートリッジに連結されたプランジャを包囲し、前記ペンハウジングの前記第1の端部は投与量インジケータ窓、及び前記プランジャに連結された投与量セレクタを有し、前記ペンは前記ハウジングに配置された処理ユニット及びトランシーバを更に含み、前記方法は、
前記ユーザの治療条件に基づいて治療投薬プロトコルを前記血糖メータのコントローラにロードする工程であって、前記投薬プロトコルが、少なくとも薬物のタイプ、投与量、及びユーザの少なくとも血糖値に基づく投与量での前記薬物の投薬スケジュールに固有のプロトコル情報を含む、工程と、
前記ユーザの体液の複数の血糖レベル測定値を前記血糖メータのコントローラに保存する工程と、
前記複数の血糖レベル測定値に基づいて推奨される薬物投与量を表示する工程と、
前記薬物送達ペンがプライミングされたかどうかを決定する工程と、
前記薬物カートリッジに対する前記プランジャの作動によって前記推奨される薬物投与量をユーザに送達する工程と、
前記ユーザに送達される前記薬物の実際の投与量を測定する工程と、
前記薬物の実際の投与量に関係するデータを通信モジュールのメモリによって保存する工程と、
前記データを、前記通信モジュールの前記トランシーバを介して前記血糖メータに送信する工程と、
前記治療投薬プロトコルの遵守を示す情報を表示する工程と、
を含む、方法。
【請求項24】
前記保存する工程が、実際に送達される薬物の投与量に日付及び時間をフラグする工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記測定する工程が、前記薬物送達カートリッジ内の薬物の混合物が混合されたかどうかを決定する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
(a)前記薬物送達ペンがプライミング位置に回転されたかどうか、又は
(b)少量の薬物が前記プライミング位置で前記カートリッジから射出されたかどうか
を決定する工程を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
(a)前記カートリッジを含む前記ペンハウジングが、プライミング位置において最上位に及び地面に対して概ね垂直に向けられていない場合、又は(b)少量の薬物が前記薬物カートリッジから射出されていない場合、あるいは(a)及び(b)の両方の場合、前記薬物送達ペンのプライミングが行われなかったことをユーザに警告する工程を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記カートリッジ内の薬物のタイプ、前記カートリッジ内の薬物の量、有効期限、バッチ日付、ロット番号、製造業者識別、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むRFIDタグに保存された情報を提供するために、前記薬物カートリッジとともに提供されたRFIDタグに問い合わせる工程を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記プロトコル情報をRFIDタグに保存された情報と比較する工程と、
前記プロトコル情報と前記RFIDタグに保存された情報との間に不一致がある場合に、前記ユーザ又はHCPのうちの少なくとも1つに警告する工程と、
を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ペン又は前記データ管理ユニットの起動の際に、インスリンのタイプを確認するために画面上に通知を設定する工程と、
速効型インスリン、長期作用型インスリン、又はプレミックス型インスリンのうちの1つから選択されたインスリンのタイプを入力する工程と、
を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
速効型インスリンのためにDMUの安全確認機能を設定する工程と、
インスリンの過剰摂取の影響を最小限にするために何らかの行動をとるようにユーザに通知する工程と、
を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
薬物送達ペンであって、
長手方向軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延在するペンハウジングであって、前記ペンハウジングは、前記第1の端部及び第2の端部のうち1つに近接して配置される薬物カートリッジに連結され、前記薬物カートリッジは、その中に配置される所定の体積の1つ以上の薬物を含む、ペンハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、電源及びメモリに動作可能に接続されているマイクロプロセッサと、
前記薬物カートリッジに連結され、前記カートリッジ内の薬物のタイプ、前記カートリッジ内の薬物の体積、有効期限、バッチ日付、ロット番号、製造業者識別、又はこれらの組み合わせを含む群から選択される情報を保存するように構成される無線IDタグと、
を備える、薬物送達ペン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−519028(P2012−519028A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552051(P2011−552051)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022245
【国際公開番号】WO2010/098931
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】