薬物送達製品および方法
本発明は、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード分子およびペイロード捕捉分子を含む、微粒子送達システムを提供する。本発明はさらに、微粒子送達システムを調製する方法および使用する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
薬物送達システムは、時間またはpHのような局所的条件に依存する活性薬の制御された放出のための活性薬の生体適合性リザーバーを提供するために設計されている。経皮パッチ、埋込み式浸透圧ポンプおよび埋込み式皮下デポー剤(例えば、NORPLANT(商標))などの巨視的薬物送達システムはある程度の成功をおさめたが、マイクロカプセル、マイクロパーティクルおよびリポソームなどの微視的薬物送達システムに継続的な関心が集められている。
【0002】
マイクロカプセルおよびマイクロスフェアは、通常、直径が2mm以下、通常直径が500μm以下の球形粒子からなる粉体である。粒子が1μm未満である場合、それらはしばしばナノカプセルまたはナノスフェアと呼ばれる。マイクロスフェアおよびマイクロカプセルを調製し、使用する方法の記述は、例えば、米国特許第5407609号明細書に見いだすことができる。マイクロカプセルとマイクロスフェアは、活性薬が高分子膜のようなカプセル化構造により囲まれた中心コアに形成されているか、または活性薬が粒子全体に分散されているか、すなわち、内部構造が薬剤と賦形剤、通常、高分子賦形剤との混合物であるかによって互いに区別することができる。マイクロカプセルからの活性薬の放出は、マトリックス材料、通常、高分子賦形剤としてのポリ(DL−ラクチド)(DL−PL)またはポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)(DL−PLG)などの生分解性高分子材料の生分解によりしばしば制御される。
【0003】
リポソームは、活性薬コアが高分子膜の代わりに脂質膜によって含まれているマイクロカプセルとみなすことができる。リポソームは、脂質層からなる人工脂質小胞であり、抗原をリポソームの水性コンパートメント内にカプセル封入することができ、あるいは表面カップリング法により表面上の抗原と結合させることができる。リポソームは、大規模に、また捕捉された抗原に対して温和な条件下で容易かつ安価に調製することができる。それらは、それら自体に対する免疫反応を誘発せず、非経口的に投与する薬剤用にヒトに使用される。
【0004】
マイクロカプセル、マイクロスフェアおよびリポソームの高い表面積/体積比は活性薬の放出に有利であるが、それらのサイズが小さいことが製造上の課題である。マイクロカプセルおよびマイクロスフェアを調製する様々な方法が文献、例えば、米国特許第5407609号に記述されている。これらの方法のいくつかにおいては、乳濁液を用いてマイクロスフェアを、特に、直径が2mm未満のマイクロスフェアを調製する。そのような方法の例を示すために、ポリマーを適切な有機溶媒(ポリマー溶媒)に溶解し、薬剤をこのポリマー溶液に溶解または分散させ、得られたポリマー/薬剤混合物を水相(処理媒体)中に分散させて処理媒体中に油の小滴が分散した状態の水中油型乳濁液を得、小適から溶媒を除去してマイクロスフェアを形成させる。これらの方法は、油中水型乳濁液および二重乳濁液を用いて実施することもできる。この基本的アプローチに従う乳濁液を用いる方法の使用は、米国特許第3737337号、第3891570号、第4384975号、第4389330号および第4652441号のようないくつかの米国特許に記述されている。
【0005】
あるいは、抽出酵母細胞壁粒子は、直径が約2〜4μmの容易に入手可能な生分解性の実質的に球形の粒子である。抽出酵母細胞壁粒子の調製は、当技術分野で知られており、例えば、米国特許第4992540号、第5082936号、第5028703号、5032401号、第5322841号、第5401727号、第5504079号、第5968811号、第6444448B1号、第6476003B1号、米国特許出願公開第2003/0216346A1号、第2004/0014715A1号およびPCT出願公開WO02/12348A2に記述されている。「全グルカン粒子」と呼ばれている抽出酵母細胞壁粒子の形態は、担体として提案されたが、粒子からの有効成分の単純拡散による放出または全グルカン粒子に化学的に架橋した薬剤の粒子マトリックスの生分解による放出に限定されていた。米国特許第5032401号および第5607677号を参照のこと。
【0006】
抽出酵母細胞壁粒子は、主としてそれらのβ−グルカン含量のためマクロファージおよびリンパ組織の細胞のような食細胞の標的にされる。粘膜関連リンパ組織(MALT)は、上皮および身体の粘膜の下にある固有層におけるすべてのリンパ細胞を含む。粘膜関連リンパ組織の主な部位は、腸関連リンパ組織(GALT)および気管支関連リンパ組織(BALT)である。
【0007】
GI免疫系の他の重要な成分は、Mすなわちmicrofold細胞である。M細胞は、種々のタンパク質およびペプチド抗原をエンドサイトーシスにより取り込むリンパ濾胞上の腸上皮における特異的細胞型である。M細胞は、これらのタンパク質を消化する代わりに、それらを下にある組織に輸送し、そこで、それらは局所樹状細胞およびマクロファージにより取り込まれる。
【0008】
M細胞は、エンドサイトーシスまたは食作用により腸管内腔から分子および粒子を取り込む。次いで、この物質は、小胞の細胞の内部を経て基底細胞膜に輸送され、そこで細胞外間隙に放出される。この過程は、トランスサイトーシスとして知られている。それらの基底面において、M細胞の細胞膜は、M細胞から放出された輸送物質を取り込み、抗原提示のためにそれを処理する下にあるリンパ球および抗原提示細胞の周りに広範に折りたたまれている。
【0009】
パイエル板のM細胞による酵母粒子(直径3.4±0.8μm)のトランスサイトーシスの所要時間は1時間未満であることが研究により示された(Beier R.およびGebert A.,パイエル板のドームにおける粒子の取り込みの速度論(Kinetics of particle uptake in the domes of Peyer’s patches)、Am J Physiol.1998年7月、275(1Pt1):G130〜7頁)。上皮内マクロファージによる有意な食作用を受けることなく、酵母粒子は2.5〜4時間以内に基底膜まで移動して横切り、速やかに食作用を受けて、パイエル板ドーム外に輸送される。鼻咽頭リンパ組織(扁桃およびアデノイド)に認められるM細胞は、呼吸器感染を引き起こすウイルスのサンプリングに含まれることが示された。in vitro M細胞モデルの試験で、蛍光標識マイクロスフェア(Fluospheres、0.2μm)およびキトサンマイクロパーティクル(0.2μm)の取り込みが示された(van der Lubben I.M.ら、ヒト腸M細胞モデルにおける粘膜ワクチン送達のためのキトサンマイクロ粒子輸送(Transport of chitosan microparticles for mucosal vaccine delivery in a human intestinal M-cell model)、J Drug Target, 2002年9月、10(6):449〜56頁)。レクチンであるハリエニシダ(Ulex europaeus)凝集素1(UEA1、α−L−フコース残基に対して特異的)を用いてポリスチレンマイクロスフェア(0.5μm)または重合リポソーム(0.2μm)をM細胞に対する標的とした(Clark M.A.ら、腸M細胞に対する重合リポソームワクチン担体のターゲティング(Targeting polymerised liposome vaccine carriers to intestinal M cells)、Vaccine, 2001年10月12日、20(1〜2):208〜17頁)。マウスにおけるin vitro試験で、ポリ−D,L−乳酸(PDLLA)マイクロスフェアまたはゼラチンマイクロスフェア(GM)をマクロファージおよびM細胞により効率よく取り込ませることができることが報告された(Nakase H.ら、粘膜免疫調節細胞を標的とする生分解性マイクロスフェア:炎症性腸疾患の治療に対する新たなアプローチ(Biodegradable microspheres targeting mucosal immune-regulating cells:new approach for treatment of inflammatory bowel disease)、J.Gastroenterol, 2003年3月、38補足15:59〜62頁)。
【0010】
しかし、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロパーティクルおよびリポソームを含む合成微粒子送達賦形剤の取り込みは、非常に変動し、粒子およびM細胞の物理的特性によって決定されると報告された(Alpha-Beta Technology.ら、薬剤およびワクチンの送達のためのM細胞の利用(Exploiting M cells for drug and vaccine delivery)、Adv Drug Deliv Rev., 2001年8月23日、50(1〜2):81〜106頁)。同じ試験で、送達は、M細胞表面に選択的に結合する適切なレシチン、微生物アドヘシンおよび免疫グロブリンを含む試薬で粒子またはリポソームを被覆することにより増大させることができることが報告された。Florence A.T., マイクロおよびナノ微粒子の経口吸収:例外でも異常でもない(The oral absorption of micro-and nanoparticulates:neither exceptional nor unsusual)、Pharm Res., 1997年3月、14(3):259〜66頁も参照のこと。
【0011】
病原体パターン認識受容体(PRRs)は、微生物表面に存在する共通の構造および分子モチフを認識し、先天性免疫反応の誘導に寄与する。マンノース受容体およびβ−グルカン受容体は、真菌病原体の認識に一部関与する。マクロファージのサブセット上に発現する炭水化物結合受容体であるマンノース受容体(MR)は、そのようなPRRの1つであるとみなされる。マクロファージは、これらの糖を示す分子に結合し、内部へ移行することができるマンノースおよびマンノース−6−リン酸の受容体を有する。分子は、プレリソソームエンドソーム内へのエンドサイトーシスにより内部へ移行される。このインターナリゼーションは、マンノース−6−リン酸で修飾し、修飾3’末端へのジスルフィド架橋によりオリゴデオキシヌクレオチドンに結合させたウシ血清アルブミンのマクロファージ内への侵入を増大させるために用いられた。Bonfils E.ら、Nucl.Acids Res., 1992 20、4621〜4629頁を参照のこと。E.Bonfils、C.Mendes、A.C.Roche、M.MonsignyおよびP.Midoux、Bioconj.Chem., 3、277〜284頁(1992)を参照のこと。マクロファージはCR3(Ross G.D.、J.A.Cain、B.L.Myones、S.L.NewmanおよびP.J.Lachmann、1987、β−グルカンに対する膜補体受容体タイプ3(CR3)の選択性(Specificity of membrane complement receptor type three(CR3)for beta-glucans、Complement Inflamm., 4:61頁)、デクチン−1(Brown G.D.およびS.Gordon、2001、免疫認識。β−グルカンに対する新規の受容体(Immune recognition. A new receptor for beta-glucans)、Nature 413:36頁)およびラクトシルセラミド(Zimmerman JW、Lindermuth J、Fish PA、Palace GP、Stevenson TT、DeMong DE、β−(1−3)−グルカン免疫調整剤、PGG−グルカンおよびヒト白血病のラクトシルセラミド間の新規の炭水化物−スフィンゴ糖脂質相互作用(A novel carbohydrate-glycosphinglipid interaction between a beta-(1-3)-glucan immunomodulator, PGG-glucan and lactosylceramide of human leukocytes)、J Biol Chem、1998年8月21日:273(34):22014〜20)を含むβ−グルカン受容体も発現する。β−グルカン受容体CR3は主として単球、好中球およびNK細胞上に発現するが、デクチン−1は主としてマクロファージの細胞の表面上に発現する。ラクトシルセラミドは、M細胞に高レベルで認められる。小グリア細胞もβ−グルカン受容体を発現することができる(Muller C.D.ら、小グリア細胞系による機能的β−グルカン受容体発現(Functional beta-glucan receptor expression by a microglial cell line)、Res Immunol、1994年5月;145(4):267〜75頁)。
【0012】
マンノースおよびβ−グルカン受容体への結合の食作用に対する相加効果の証拠が存在する。Giaimisらは、マウスマクロファージ様細胞系ならびにマウス腹膜常在マクロファージによる非オプソニン化熱死滅酵母(サッカロミセス セレビシエ(S. cerevisiae))の食作用がマンノースおよびβ−グルカン受容体によって媒介されることを示唆する所見を報告した。非オプソニン化熱死滅酵母の最大限の食作用を達成するために、マンノースおよびβ−グルカン受容体の共発現が必要である(Giaimis J.ら、マンノースおよびβ−グルカン受容体がマウスマクロファージによる非オプソニン化熱死滅サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の食作用に関与している(Both mannose and beta-glucan receptors are involved in phagocytosis of unopsonized, heat-killed Saccharomyces cerevisiae by murine macrophages)、J Leukoc Biol.1993年12月;54(6):564〜71頁)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概要)
好ましい実施形態において、本発明は、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁およびペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを提供する。微粒子送達システムは、場合によって、しかし、一般的にペイロード分子も含み、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に可溶性である。好ましい実施形態において、溶媒系は水を含む。他の好ましい実施形態において、溶媒系は本質的に水からなる。本発明の微粒子送達システムは、細胞へのペイロード分子のin vivoおよびin vitro送達に有用である。
【0014】
特に好ましい実施形態において、抽出酵母細胞壁は、90重量%未満のβ−グルカンを含む。特定の好ましい実施形態において、抽出酵母細胞壁は、50重量%以上のキチンを含む。他の好ましい実施形態において、抽出酵母細胞壁は、30重量%以上のマンナンをさらに含む。特定の実施形態において、抽出酵母細胞壁は、1重量%以上のタンパク質を含む。
【0015】
好ましい実施形態において、ペイロード分子は、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される。特定の好ましい実施形態において、ペイロード分子は、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物、発現ベクターおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリヌクレオチドである。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質などのペイドード分子のin vivoまたはin vitro送達に有用である。ペプチドは、ホルモン、神経伝達物質または神経修飾物質などのシグナル伝達分子であってよく、受容体、酵素または核酸結合タンパク質などのより大きい分子の活性フラグメントであってよい。タンパク質は、酵素、構造タンパク質、シグナル伝達タンパク質または転写因子のような核酸結合タンパク質であってよい。
【0016】
他の好ましい実施形態において、ペイドード分子は、治療薬または診断薬のような小有機活性物質である。特に好ましい実施形態において、小有機活性物質は、配列特異的DNA結合オリゴマー、より好ましくは、両方とも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6506906号およびDervan P., 小分子によるDNAの分子的認識(Molecular Recognition of DNA by Small Molecules)、Bioorganic & Medicinal Chemistry(2001年)9:2215〜2235頁に開示されているような2本鎖DNAの小溝に結合している複素環式ポリアミドのオリゴマーである。好ましい実施形態において、オリゴマーは、N−メチルイミダゾールカルボキサミド、N−メチルピロールカルボキサミド、βアラニンおよびジメチルアミノプロピルアミドからなる群から選択されるモノマーサブユニットを有する。
【0017】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、無機活性物質、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等の胃腸治療薬を含む。
【0018】
ペイロード捕捉分子の選択は、微粒子送達システムに特異的な特性を与え得る。一般的に、好ましいペイロード捕捉分子は、生体適合性であり、製薬上許容できるものである。上記のように、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に可溶性である。適切なペイロード捕捉分子は、天然および合成ポリマーを含む。特定の実施形態において、アガロースまたはポリアクリルアミドのようなペイロード捕捉分子の物理的特性は、有用な利点を備えている。
【0019】
適切なポリマーは、多糖を含む。好ましい実施形態において、多糖は、アガロース、アルギン酸塩、キサンタン、デキストラン、キトサン、ガラクトマンナンガム、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される。特定の好ましい実施形態において、多糖は、生理的pHで陽イオンまたは陰イオン特性を生ずるように誘導体化した。
【0020】
他の実施形態において、ペイロード捕捉分子は、陽イオンポリマー、陰イオンポリマー、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤およびそれらの混合物のような生理的pHにおいて荷電した分子である。好ましい陽イオンポリマーは、キトサン、ポリ−L−リシン、および市販の線状ポリエチレンイミン陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるJetPEI(Qbiogene,Inc., カリフォルニア州)のような実質的に線状のポリエチレンイミンなどのポリエチレンイミン(PEIs)などである。他の陽イオンポリマートランスフェクション試薬も適しており、好ましくは、独占的な市販の水溶性陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるCytoPure(商標)(Qbiogene,Inc., カリフォルニア州)がある。他の好ましい実施形態において、適切な陰イオンポリマーは、誘導体化アルギン酸塩、デキストランおよびキサンタンを含むアルギン酸塩、デキストランおよびキサンタンなどである。さらなる好ましい実施形態において、ペイロード捕捉分子は、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような陽イオン界面活性剤である。1つの好ましい実施形態において、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような陽イオン界面活性剤とポリエチレンイミンのような陽イオンポリマーとの混合物を用いる。他の好ましい実施形態において、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような陽イオン界面活性剤とキトサンまたはPEIのような陽イオンポリマーとの混合物を用いることができる。
【0021】
単一の仮説に当てはまらないが、好ましいペイロード捕捉分子は、酵母細胞壁粒子によるペイロードの保持を促進することに加えて、界面活性剤として作用することにより、エンドソームを浸透圧により膨潤させることを促進することにより、あるいは他の効果により、食細胞のエンドソームからのペイロード分子の放出を促進する機能を果たすと考えられている。
【0022】
他の好ましい実施形態において、本発明は、微粒子送達システムを使用する方法を提供する。特定の好ましい実施形態において、本発明は、内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が内腔に少なくとも部分的に封じ込められた状態になる段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子が抽出酵母細胞壁内のペイロード分子を少なくとも部分的に閉じ込めて微粒子送達システムを形成する段階と、細胞を微粒子送達システムと接触させる段階とを含む、ペイロード分子を細胞に送達する方法を提供する。好ましくは、該方法は、細胞により微粒子送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む。
【0023】
他の好ましい実施形態において、本発明は、内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が抽出酵母細胞壁と結合した状態になる段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子がペイロード分子と抽出酵母細胞壁との結合を安定化して微粒子送達システムを形成する段階とを含む、微粒子送達システムを調製する方法を提供する。好ましい実施形態において、該方法は、微粒子送達システムを洗浄し、乾燥する段階も含む。
【0024】
他の好ましい実施形態において、本発明は、個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、個体の細胞内で制御可能に発現させることができるペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法を提供する。好ましくは、コードされるペプチドは、抗原性ペプチドである。さらなる好ましい実施形態において、本発明は、個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、抗原性分子であるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法を提供する。好ましい抗原性分子は、トキソイドである。
【0025】
好ましい実施形態において、接触細胞は、マクロファージであるが、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞、滑膜A細胞および他の食細胞などの、酵母粒子に対して食作用を示すことができる細胞も含んでいてよい。好ましい実施形態において、微粒子送達システムを経口投与し、腸におけるパイエル板のM細胞により吸収させる。
【0026】
好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む組換えDNA構築物、例えば、発現ベクターである。タンパク質は、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質またはシグナル伝達タンパク質であってよい。特定の好ましい実施形態において、タンパク質は、抗原性タンパク質である。
【0027】
特定の好ましい実施形態において、方法は、細胞がタンパク質を発現する段階をさらに含む。発現タンパク質は、細胞により細胞内に保持させ、原形質膜のような膜構造に取り込ませ、あるいは細胞により分泌させることができる。
【0028】
他の実施形態において、複数の種類のポリヌクレオチドが微粒子送達システム内に封じ込められている。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、制御下で複数の遺伝子産物を発現する能力を備えている。特定の実施形態において、少なくとも1つの発現可能な遺伝子産物は、膜タンパク質、好ましくは膜受容体、最も好ましくはシグナル伝達分子に対する膜結合受容体である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの発現可能な遺伝子産物は、可溶性タンパク質、好ましくは分泌タンパク質、最も好ましくはシグナル伝達タンパク質またはペプチドである。
【0029】
他の実施形態において、本発明は、内腔を画定する、β−グルカンを含む実質的に球形の抽出酵母細胞壁を供給する段階と、抽出酵母細胞壁を薬剤と接触させ、薬剤を内腔内に少なくとも部分的に封じ込める段階と、抽出酵母細胞壁を捕捉分子と接触させ、捕捉分子を内腔内に少なくとも部分的に封じ込めて微粒子薬物送達システムを形成させる段階と、マクロファージ細胞を微粒子薬物送達システムと接触させる段階とを含むマクロファージ細胞に薬剤を送達する方法を提供する。好ましくは、該方法は、マクロファージにより微粒子薬物送達システムを内部へ移行する段階も含む。特に好ましい実施形態において、マクロファージが、感染、炎症反応、低酸素または過形成の部位のようなマクロファージ誘引部位に微粒子薬物送達システムを送達する。特定の好ましい実施形態において、マクロファージが腫瘍に微粒子薬物送達システムを送達する。特に好ましい実施形態において、該方法は、微粒子薬物送達システムから薬剤を放出させる段階を含み、より好ましくは薬剤を細胞外間隙に放出させる段階をさらに含む。特定の実施形態において、薬剤を放出させる段階は、組換えタンパク質を発現させ、タンパク質を細胞外間隙に分泌させる段階を含む。
【0030】
本発明は、病原体に対して個体を免疫化する方法を提供する。該方法は、前記個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード捕捉分子および核酸組成物を含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、細胞に、抗原としての前記病原体上で示されるエピトープと同じまたは実質的に類似した少なくともエピトープを含むペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を投与する段階を含み、前記ヌクレオチド配列は、調節配列に機能するように連結されており、核酸分子は、個体の細胞において発現することができる。
【0031】
他の好ましい実施形態において、本発明は、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード捕捉分子およびトキソイドを含む微粒子送達システムを供給し、食細胞を微粒子送達システムと接触させ、微粒子送達システムの食作用を誘導する段階を含むトキソイドに対する免疫を発生させる方法を提供する。食細胞は、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞および滑膜A細胞のうちの1つまたは複数のものであってよい。
【0032】
本発明は、過増殖性疾患または自己免疫疾患に対して個体を免疫化する方法を提供する。該方法は、前記個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、核酸組成物を含むペイロード捕捉分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、過増殖性疾患関連タンパク質または自己免疫疾患関連タンパク質上にそれぞれ示されるエピトープと同じまたは実質的に類似したエピトープを少なくとも含むペプチドをコードし、調節配列に機能するように連結されたヌクレオチド配列を含み、個体の細胞中で発現させることができる核酸分子を個体の細胞に投与する段階を含む。
【0033】
本発明はまた、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、核酸組成物を含むペイロード捕捉分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させるヌクレオチド配列を含む、または個体における治療効果をもたらすタンパク質をコードし、調節配列に機能するように連結されたヌクレオチド配列を含み、個体の細胞中で発現させることができる核酸分子を個体の細胞に投与する段階を含む、自己免疫疾患に罹患している個体を治療する方法を提供する。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、過増殖性疾患関連タンパク質上で示されるエピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含むペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含み、コードされたペプチドが個体の細胞において発現することができる、過増殖性疾患に対して個体を免疫化する方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、ポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを細胞に投与する段階を含む、遺伝病に罹患している個体を治療する方法を提供する。好ましくは、ポリヌクレオチドが、個体における治療効果をもたらし、前記細胞中で発現することができるタンパク質をコードする翻訳領域に機能するように連結されている調節配列を含む。
【0035】
本発明はまた、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、核酸組成物を含むペイロード捕捉分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させる、または個体における治療効果をもたらすタンパク質をコードし、調節配列に機能するように連結されている核酸配列を含み、前記細胞中で発現することができる核酸分子を該細胞に投与する段階を含む、自己免疫疾患に罹患している個体を治療する方法に関する。
【発明の効果】
【0036】
したがって、本発明は、病原体または異常な疾患関連細胞に対して個体を予防的および/または治療的に免疫化する組成物および方法を提供する。遺伝物質は、病原体または標的とする細胞上に認められる免疫原性タンパク質と少なくとも1つのエピトープを共有するペプチドまたはタンパク質をコードする。遺伝物質は、個体の細胞により発現させられ、免疫反応が誘発される免疫原性標的としての役割を果たす。結果として発生する免疫反応は、広範囲であり、体液性免疫反応に加えて、両群の細胞性免疫反応が誘発される。本発明の方法は、予防的および治療的免疫を付与するのに有用である。したがって、免疫化の方法は、病原体チャレンジまたは特定の細胞の発生もしくは増殖から個体を保護する方法、ならびに病原体感染、過増殖性疾患または自己免疫疾患に罹患している個体を治療する方法を含む。したがって、本発明は、標的タンパク質、すなわち、病原体または個体自身の「異常な」細胞に特異的に結合するタンパク質に対する広い免疫反応を誘発させるのに有用である。
【0037】
本発明はまた、過増殖性細胞に特異的に結合する標的タンパク質に対する免疫反応を誘発させることにより、癌のような過増殖性疾患および障害と闘うのに有用である。本発明はさらに、自己免疫状態に関与する細胞に対する免疫反応を誘発させることにより、自己免疫疾患および障害と闘うのに有用である。
【0038】
本発明はまた、核酸組成物、タンパク質組成物、小有機分子およびそれらの混合物からなる群から選択されるペイロード分子を含む容器、ならびに酵母細胞壁粒子および捕捉分子を含む容器を含む薬剤キットを提供する。場合によって、そのようなキットに薬剤組成物に関して上述した種類の賦形剤、担体、保存剤および媒体が含まれる。薬剤キットという用語は、本発明の方法に用いる複数の接種物を含むことも意図する。そのようなキットは、異なる接種物および輸送部分を含む独立した容器を含む。本発明による薬剤キットは、治療に用いる一組の接種物ならびに免疫化法および/または治療法を含むことも意図する。
【0039】
本発明の組成物および方法は、医学および獣医学の分野に有用である。したがって、本発明は、哺乳類、鳥類および魚類の遺伝的免疫化および治療的処置に関する。本発明の方法は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌおよびネコ種の遺伝的免疫化および治療的処置に特に有用である。
【0040】
微粒子薬物送達システムおよび方法の前記および他の特徴および利点は、同様な参照特性が異なる画像をとおして同じ部分に当てはまる添付図面に例示されているようなシステムおよび方法の好ましい実施形態の以下のより詳細な記述から明らかであろう。
【0041】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、同様な参照特性が異なる画像をとおして同じ部分に当てはまる添付図面に例示されているように、本発明の好ましい実施形態の以下のより詳細な記述から明らかであろう。図面は必然的に縮尺に従っておらず、その代わりに本発明の原理を例示することに重点をおいている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(発明の詳細な説明)
好ましい実施形態において、本発明は、抽出酵母細胞壁粒子および少なくとも1つのペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを提供する。好ましくは、酵母細胞壁粒子は、2〜4μmの酵母細胞壁ゴーストである。
【0043】
ペイロード捕捉分子
ペイロード捕捉分子は、好ましくは製薬上許容できる賦形剤である。ペイロードおよび捕捉分子は、両方とも溶媒系に溶ける。溶媒系は、酵母細胞粒子の炭水化物マトリックスを通して吸収され、ペイロードおよび捕捉ポリマーの吸収を可能にしなければならない。ペイロードおよび捕捉分子は、好ましくは水溶性である。好ましい実施形態において、捕捉分子は、生分解性である。
【0044】
所与のペイロードとの捕捉反応の作用機序は、ペイロード捕捉分子の選択を決定づける。静電的相互作用の場合、ペイロードの反対の電荷の荷電ペイドード捕捉分子が必要である。物理的捕捉の場合、ペイロード捕捉分子は、ペイドードの拡散を減少させるマトリックスの形成に適切に関与する。他の実施形態において、ペイロード捕捉分子は、ペイロードの保持に寄与する疎水的結合特性に寄与する。さらなる実施形態において、ペイロード捕捉分子は、ペイロードに選択的に結合し、ペイロードの保持に寄与する親和性相互作用をもたらす。
【0045】
一般的に、高分子電解質は、適切なペイロード捕捉分子であり得る。いくつかの適切な高分子電解質が米国特許第6133229号に開示されている。高分子電解質は、陽イオンまたは陰イオン高分子電解質であってよい。両性高分子電解質を用いることもできる。陽イオン高分子電解質は、好ましくは分子鎖に沿って分布する陽性基を有するポリマーである。特定の実施形態において第四級アンモニウム誘導部分を含んでいてよい陽性基は、分子鎖からのペンダント側基に配置されていてよく、あるいは分子鎖に組み込まれていてよい。陽イオン高分子電解質の例としては、ビニルピロリドンと第四級メチルメタクリレートのコポリマー、例えば、ISPから入手されるGAFQUAT(登録商標)シリーズ(755N、734、HS−100)、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンおよび置換誘導体、ポリアミンホモポリマー(GOLCHEM(登録商標)CL118)、ポリアミンコポリマー(例えば、エピクロロヒドリンとモノまたはジメチルアミンの縮合体)、ポリジアリルジエチルアンモニウムクロリド(ポリDADMAC)、置換デキストラン、修飾糖ガム(ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドで置換)、置換タンパク質(例えば、ダイズタンパク質および加水分解コラーゲン上で置換された第四級基)、ポリアミノ酸(例えば、ポリリシン)、低分子量ポリアミノ化合物(例えば、スペルミンおよびスペルミジン)などがある。天然または人工ポリマーを用いることができる。150〜5,000,000、好ましくは5000〜500,000、より好ましくは5000〜100,000の分子量を有する陽イオン高分子電解質を用いることができる。0.01〜10%、より好ましくは0.1〜2重量/体積%、特に0.05〜5%の量が好ましい。
【0046】
陰イオン高分子電解質は、好ましくは分子鎖に沿って分布した陰性基を有するポリマーである。カルボン酸、スルホン酸、硫酸または他の負に荷電したイオン化基を含んでいてよい陰性基は、分子鎖からのペンダント基上に配置されているか、またはポリマー主鎖に直接結合していてよい。天然または人工ポリマーを用いることができる。
【0047】
陰イオン高分子電解質の例としては、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸とのコポリマー(それぞれGantrez ANシリーズおよびSシリーズ、International Specialty Products, Wayne, ニュージャージー州)、アルギン酸および塩、カルボキシメチルセルロースおよび塩、置換ポリアクリルアミド(例えば、カルボン酸基で置換)、ポリアクリル酸および塩、ポリスチレンスルホン酸および塩、デキストラン硫酸、置換サッカライド、例えば、スクロースオクトスルフェート、ヘパリンなどがある。150〜5,000,000、好ましくは5000〜500,000、より好ましくは5000〜100,000の分子量を有する陰イオン高分子電解質を用いることができる。0.01%〜10%、特に0.05〜5%、特に0.1〜2重量/体積%の量が好ましい。
【0048】
多糖などの生物学的ポリマーは、好ましい捕捉ポリマーである。好ましくは、ポリマーを100,000ダルトン未満の平均分子量になるまで処理する。ポリマーを陽イオンまたは陰イオン特性を備えるように誘導体化することが好ましい。適切な多糖としては、キトサン(脱アセチル化キチン)、アルギン酸塩、2−(ジエチルアミノ)エチルエーテルデキストラン(DEAEデキストラン)およびデキストラン硫酸などのデキストラン類、キサンタン、イナゴマメガムおよびグアールガムなどがある。
【0049】
2つの一般的なクラスの陽イオン分子、すなわち、陽イオンポリマーおよび陽イオン脂質は、ポリヌクレオチドのような負に荷電したペイロードの捕捉分子として用いるのに適している。
【0050】
タンパク質[ヒストン(Fritz J.D.ら、(1996年)Hum.Gene Ther. 7、1395〜1404頁)および高移動度群(HMG)タンパク質(Mistry A.R.(1997年)Bio Techniques 22、718〜729頁)など]およびポリペプチド[ポリリシン(Wu G.Y.およびWu C.H.(1987年)J.Biol.Chem. 262、4429〜4432頁、Wagner E.ら、(1991年)Bioconjugate Chem.2、226〜231頁)、短合成ペプチド(Gottschalk S.ら、(1996年)Gene Ther. 3、448〜457頁、Wadhwa M.S.ら、(1997年)Bioconjugate Chem. 8、81〜88頁)およびらせん状両親媒性ペプチド(Legendre J.Y.ら、(1997年)Bioconjugate Chem. 8、57〜63頁、Wyman T.B.ら、(1997年)Biochemistry 36、3008〜3017頁)など]から合成ポリマー[ポリエチレンイミン(Boussif O.ら、(1996年)Gene Ther. 3、1074〜1080頁)、陽イオンデンドリマー(Tang M.X.ら、(1996年)Bioconjugate Chem. 7、703〜714頁、Haensler J.ら、(1993年)Bioconjugate Chem. 4、372〜379頁)およびグルカラミドポリマー(Goldman C.K.ら、(1997年)Nat.Biotech.15、462〜466頁)など]までの種々の陽イオンポリマーがin vitroトランスフェクションを媒介することが示された。他の適切な陽イオンポリマーとしては、N置換グリシンオリゴマー(ペプトイド)(Murphy J.E.ら、遺伝子送達用の効率のよい陽イオンペプトイド試薬の発見へのコンビナトリアルアプローチ(A combinatorial approach to the discovery of efficient cationic peptoid reagents for gene delivery)、Proc Natl Acad Sci.USA、1998年、95(4)1517〜1522頁)、ポリ(2−メチルアクリル酸2−[(2−ジメチルアミノ)−エチル]−メチルアミノ)−エチルエステル)(pDAMAと短縮)およびポリ(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート(pDMAEMA)(Funhoff A.M.ら、2004年、Biomacromolecules、5、32〜39頁)などがある。
【0051】
陽イオン脂質も当技術分野でトランスフェクションに適していることが知られている。Felgner P.Llら、リポフェクション:非常に効率の高い脂質媒介DNAトランスフェクション法(Lipofection:a highly efficient、lipid-mediated DNA-transfection procedure)、Proc Natl Acad Sci USA、1987年、84(21):7413〜7頁。適切な陽イオン脂質としては、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、[N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジ(オレオイルオキシ)−1,4−ブタンジアンモニウムヨーダイド](Promega Madison、ウィスコンシン州、米国)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(Promega Madison、ウィスコンシン州、米国)、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)]−N,N,N−トリメチルアンモニウムプロパンメチルスルフェート(DOTAP)、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、
ジミリストレオイルホスホノメチルトリメチルアンモニウム(DMPTA)(Flochら、1997年、造血細胞系およびCD34+細胞におけるDNAトランスフェクション用非ウイルスベクターとしての陽イオンホスホノ脂質(Cationic phosphonolipid as non-viral vectors for DNA transfection in hematopoietic cell lines and CD34+ cells)、Blood Cells, Molec & Diseases 23:69〜87を参照)、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(7−ニトロ−2−1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル)、アンモニウム塩(Avanti Polar Lipids, Inc., Alabaster, アラバマ州、米国)、1,2−ジオレオイル−3−トリエチルアンモニウムプロパンクロリド(Avanti Polar Lipids, Inc., Alabaster, アラバマ州、米国)、1,2−ジオレオイル−ns−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(Avanti Polar Lipids、Inc., Alabaster, アラバマ州、米国)および1,3−ジオレオイルオキシ−2−(6−カルボキシスペルミル)プロピルアミド(DOSPER)などがある。
【0052】
陽イオン捕捉分子として適切なポリアミンは、米国特許第6379965号および第6372499号に記述されている。
【0053】
ペイロード分子
本発明の微粒子送達システムは、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNAおよび発現ベクターを含む組換えDNA構築物を含むが、これらに限定されないペイロード分子のin vivoまたはin vitro送達に有用である。
【0054】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質のようなペイロード分子のin vivoまたはin vitro送達に有用である。「タンパク質」とは、鎖長が高レベルの三次および/または四次構造を生ずるのに十分であるアミノ酸の配列を意味する。これは、そのような構造を有さない「ペプチド」または他の小分子量薬物と区別するためである。一般的に、本明細書におけるタンパク質は、少なくとも約15〜20kD、好ましくは少なくとも約20kDの分子量を有する。
【0055】
本明細書における定義に含まれるタンパク質は、例えば、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンおよびGH超遺伝子ファミリーの他のメンバーを含む成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体化ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子およびヴォンヴィレブランド因子などの凝固因子、プロテインCなどの抗凝固因子、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼまたは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)などのプラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted)、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1−α)、ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン、ミューラー管阻害物質、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロレラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子(VEGF)、ホルモンまたは成長因子の受容体、インテグリン、プロテインAまたはD、リウマトイド因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5もしくは−6(NT−3、NT−4、NT−5もしくはNT−6)などの神経栄養因子またはNGF−βなどの神経成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、aFGFおよびbFGFなどの線維芽細胞成長因子、上皮成長因子(EGF)、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4またはTGF−β5を含むTGF−αおよびTGF−βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF)、インスリン様成長因子−Iおよび−II(IGF−IおよびIGF−II)、デス(1−3)IGF−I(脳IGF−D)、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20などのCDタンパク質、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質(BMP)、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子(DAF)、例えば、AIDSエンベロープのようなウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体などの哺乳類タンパク質を含む。
【0056】
GH超遺伝子ファミリーのメンバーは、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコスタチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1および該ファミリーのメンバーとして確認され、分類された他のタンパク質などである。
【0057】
タンパク質ペイロード分子は、好ましくは本質的に純粋であり、望ましくは本質的に均一である(すなわち、混入タンパク質等がない)。「本質的に純粋な」タンパク質は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。「本質的に均一な」タンパク質は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約99重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。タンパク質は、天然に存在する源由来であるか、または組換え技術により調製したものでよい。タンパク質は、アミノ酸置換または指向タンパク進化法(directed protein evolution)(Kurtzman A.L.ら、繰返し遺伝子組換えによるdirected protein evolution法の進歩:治療タンパク質への適用(Advances in directed protein evolution by recursive genetic recombination:applications to therapeutic proteins)、Curr Opin Biotechnol. 2001年、12(4):361〜70頁)により調製されるタンパク質変異体ならびにPEG化タンパク質のような誘導体を含む。
【0058】
特定の実施形態において、タンパク質は抗体である。抗体は、例えば、上記の分子のいずれかに結合することができる。本発明により含まれる抗体の具体例としての分子標的としては、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20およびCD34などのCDタンパク質、EGF受容体、HER2、HER3またはHER4などのHER受容体ファミリーのメンバー、LFA−1、Mol、p150.95、VLA−4、ICAM−1、VCAMおよびそのαもしくはβサブユニットを含むαv/β3インテグリン(例えば、抗CD11a、抗CD18もしくは抗CD11b抗体)などの細胞接着分子、VEGFなどの成長因子、IgE、血液型抗原、flk2/flt3受容体、肥満(OB)受容体、タンパク質Cなどがある。
【0059】
ペプチド、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに加えて、本発明の微粒子送達システムは、より小さい分子の送達、好ましくは薬剤学的に活性な薬剤、より好ましくは治療用小分子の送達に適している。本発明の微粒子送達システムに適する小分子ペイロードとしては、ジエチルスチルベストロール、17−β−エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノールなどの避妊薬、ノルエチンドロン、ノルゲストリル、二酢酸エチノジオール、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジメチステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、エチステロン、メレンゲストロール、ノルエチノドレルなどのプロゲスチン、およびノニルフェノキシポリオキシエチレングリコール、塩化べンゼトニウム、クロルインダノールなどの殺精子化合物などがある。好ましくは、そのようなステロイドペイロードに対して、ペイロードを可溶化するための十分な量の界面活性剤および酵母細胞壁粒子内にペイロードを保持するためのポリマーを含む捕捉分子の混合物を用いる。
【0060】
本発明の送達システムに組み込むことができる他の活性薬としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等の胃腸治療薬、非ステロイド避妊薬、副交感神経作用薬、精神療法薬、クロロプロマジンHCl、クロザピン、メソリダジン、メチアピン、レセルピン、チオリダジン等の強力精神安定薬、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、メプロバメート、テマゼパム等の穏和精神安定薬、鼻うっ血除去薬、コデイン、フェノバルニタール、ペントバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム等の催眠鎮静薬、テストステロンおよびプロピオン酸テストステロン等の他のステロイド、スルホンアミド、交感神経作用薬、ワクチン、必須アミノ酸、必須脂肪等のビタミンおよび栄養素、4−アミノキノリン、8−アミノキノリン、ピリメタミン等の抗マラリア薬、マジンドール、フェンテルミン等の抗片頭痛薬、L−ドーパなどの抗パーキンソン薬、アトロピン、臭化メトスコポラミン等の鎮痙薬、胆汁療法、消化薬、酵素等の鎮痙および抗コリン薬、デキストロメトルファン、ノスカピン等の鎮咳薬、気管支拡張薬、抗高血圧薬、インドジャボク(Rauwolfa)アルカロイド、冠血管拡張薬、ニトログリセリン、有機硝酸エステル、四硝酸ペンタエリトリトール等の心血管薬、塩化カリウムなどの電解質置換剤、カフェインを含むまたは含まないエルゴタミン、水素化麦角アルカロイド、メタン硫酸ジヒドロエルゴクリスチン、メタンスルホン酸ジヒドロエルゴコルニン、メタン硫酸ジヒドロエルゴクロイプチンおよびその組合せなどの麦角アルカロイド、硫酸アトロピン、ベラドンナ、臭化水素酸ヒオスシン等のアルカロイド、鎮痛薬、コデイン、ジヒドロコジエノン、メペリジン、モルヒネ等の麻薬、サリチル酸塩、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェン等の非麻薬性鎮痛薬などがある。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明のシステムは、セファロスポリン、クロラムフェニカル、ゲンタマイシン、カナマイシンA、カナマイシンB、ペニシリン、アンピシリン、ストレプトマイシンA、アンチマイシンA、クロロパムテニオール、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリン、ペニシリンG、テトラサイクリン等の抗生物質を送達するために用いる。好ましい実施形態において、テトラサイクリンなどの抗生物質のマクロファージへの送達により身体のマクロファージが病原体を不活性化する能力を増大させる。
【0062】
他の好ましい実施形態において、本発明は、抗癌薬、メフェニトイン、フェノバルビタール、トリメタジオンなどの抗けいれん薬、チエチルペラジンなどの抗嘔吐薬、クロロフィナジン、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、ペルフェナジン、トリペレンバミン等の抗ヒスタミン薬、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、アスピリン、インドメタシン、フェニルブタゾン等の抗炎症薬、プロスタグランジン、チオテパ、クロラムブシル、シクロフォスファミド、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、メトトレキサート等の細胞毒性薬を送達するシステムを提供する。
【0063】
ワクチン
好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ワクチンの経口送達を行うのに有用である。好ましい実施形態において、該システムは、淋菌(Neisseria gonorrhea)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)(humonis、1および2型)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダトロピカリス(Candida tropicalis)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、膣ヘモフィフィルス(Haemophilus vaginalis)、群B連鎖球菌種(Group B Streptococcus sp.)、Microplasma hominis、軟性下疳菌(Hemophilus ducreyi)、鼠径部肉芽腫(Granuloma inguinale)、性病性リンパ異常(Lymphopathia venereum)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、ブタ流産菌(Brucella suis)、イヌ流産菌(Brucella canis)、Campylobacter fetus、Campylobacter fetus intestinalis、レプトスピラポモナ(Leptospira pomona)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、ブルセラオビス(Brucella ovis)、ウマヘルペスウイルス1、ウマ動脈炎ウイルス、IBR−IBPウイルス、BVD−MBウイルス、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トリコモナスフィータス(Trichomonas foetus)、トキソプラスマ(Toxoplasma gondii)、大腸菌(Escherichia coli)、アクチノバシラス エクーリ(Actinobacillus equuli)、ヒツジ流産菌(Salmonella abortus ovis)、ウマ流産菌(Salmonella abortus equi)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、コリネバクテリウム エクイ(Corynebacterium equi)、化膿性コリネバクテリウム(Corynebacterium pygenes)、アクチノバシラス セミニス(Actinobaccilus seminis)、マイコプラスマ ボビゲニタリウム(Mycoplasm bovigenitalium)、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)、Absidia ramosa、トリパノソーマ エキパーダム(Trypanosoma equiperdum)、バベシアカバリ(Babesia caballi)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)などのような微生物の抗原のような抗原を送達するのに有用である。他の実施形態において、該システムは、上の微生物を中和する中和抗体を送達するために用いることができる。
【0064】
他の実施形態において、該システムは、リボヌクレアーゼ、ノイラミジナーゼ、トリプシン、グリコーゲンホスホリラーゼ、精子乳酸デヒドロゲナーゼ、精子ヒアルロニダーゼ、アデノシントリホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、アルカリホスファターゼエステラーゼ、アミノペプチダーゼ、トリプシンキモトリプシン、アミラーゼ、ムラミダーゼ、アクロソームプロテイナーゼ、ジエステラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、β−グリコホスファターゼ、リパーゼ、ATPアーゼα−ペプテートγ−グルタミロトランスペプチダーゼ、シテロール−3−β−オール−デヒドロゲナーゼ、DPN−ジ−アプロラーゼなどの酵素を送達するために用いることができる。
【0065】
好ましい実施形態において、該システムは、大痘瘡(痘瘡)、炭疸菌(Bacillus anthracis)(炭疸)、エルシニア ペスティス(Yersinia pestis)(悪疫)、ボツリヌス菌毒素(ボツリヌス中毒)、野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病)、フィロウイルス(エボラ出血熱、マールブルグ出血熱)、アレナウイルス(ラッサ(ラッサ熱)、ジュニン(アルゼンチン出血熱)および関連ウイルス)などのカテゴリA病原体、コクシエラ バーネティ(Coxiella burnetti)(Q熱)、ブルセラ(Brucella)種(ブルセラ症)、ブルクホルデリア マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疸)、アルファウイルス(ベネズエラ脳脊髄炎、東部および西部ウマ脳脊髄炎)、Ricinus communis(トウゴマの実)のリシン毒素、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)のエプシロン毒素、ブドウ球菌(Staphylococcus)外毒素B、サルモネラ(Salmonella)種、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、大腸菌株O157:H7、コレラ菌(Vibrio cholerae)、クリプトスポリジウム パルブム(Cryptosporidium parvum)などのカテゴリB病原体、ならびにニパーウイルス、ハンタウイルス、ダニ媒介出血熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、黄熱病および多剤耐性結核などのカテゴリC病原体を含むバイオテロ危険生物学的病原体(bioterrorism critical biological agents)の抗原を送達することができる。
【0066】
好ましい実施形態において、該システムは、トキソイド(不活性化されているが、抗原性毒素)およびトキソイド複合体を含むアナトキシン抗原のような不活性化抗原性毒素を送達するのに用いることができる。好ましい実施形態において、トキソイドは、不活性化微生物毒素である。他の実施形態において、トキソイドは、不活性化植物毒素である。さらなる実施形態において、トキソイドは、不活性化動物毒素である。特定の実施形態において、該システムは、百日咳トキソイド、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)トキソイド、破傷風トキソイド、インフルエンザ菌b型−破傷風トキソイド複合体、ボツリヌス菌Dトキソイド、ボツリヌス菌Eトキソイド、クロストリジウム ディフィシル(Clostridium difficile)の毒素Aから生産されたトキソイド、コレラ菌トキソイド、クロストリジウム パーフリンジェンスCおよびD型トキソイド、気腫疸菌(Clostridium chauvoei)トキソイド、ノービ菌(Clostridium nouyi)(B型)トキソイド、悪性水腫菌(Clostridium seoticum)トキソイド、組換えHIV tat IIIBトキソイド、ブドウ球菌トキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumoniae)ApxIトキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニアApxIIトキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニアApxIIIトキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニア外膜タンパク質(OMP)トキソイド、緑膿菌エラスターゼトキソイド、ヘビ毒トキソイド、リシントキソイド、マンヘミア ヘモリティカ(Mannheimia haemolytica)トキソイド、パスツレラ マルトサイダ(Pasteurella multocida)トキソイド、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)トキソイド、パスツレラ マルトサイダトキソイドおよび気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)トキソイドなどのトキソイドを送達するのに用いることができる。
【0067】
対応する毒素からトキソイドを調製する技術は、例えば、ホルムアルデヒドもしくはアルミニウム塩による化学的処理またはガンマ線照射は、当技術分野で知られている。毒素をトキソイドに変換する組換え法も知られている(Fromen-Romano C.ら、遺伝子工学による非酵素毒素のトキソイドへのトランスフォーメーション(Transformation of a non-enzymatic toxin into a toxoid by genetic engineering)、Protein Engineering、第10巻10号、1213〜1220頁、1997年)。好ましい実施形態において、本発明のシステムは、組換えトキソイドを送達するのに用いることができる。他の好ましい実施形態において、本発明のシステムは、組換えトキソイドをコードする発現ベクターを送達するのに用いることができる。
【0068】
病原体感染に対する防御のための遺伝子ワクチンを生産するためには、防御免疫反応をもたらすことができる免疫原性タンパク質をコードする遺伝物質を核酸組成物に含めなければならない。病原体が、本発明が特に有用である細胞内に感染するか、または細胞外に感染するかにかかわりなく、すべての病原体抗原が防御反応を誘発することは考え難い。DNAとRNAは両方とも、比較的小さく、比較的容易に調製することができるので、本発明は、複数の病原体抗原を含むワクチンを得ることができるというさらなる利点を提供する。遺伝ワクチンに用いる核酸組成物は、多くの病原体抗原をコードする遺伝物質を含むことができる。例えば、いくつかのウイルス遺伝子を単一構築物に含め、それにより、複数の標的を提供することができる。さらに、個体の種々の細胞に送達することができる複数の接種物を、場合によって、ワクチンに完全な、またはより好ましくは、不完全、例えば、ほぼ完全な一式の遺伝子を集合的に含めるように調製することができる。例えば、完全な一式のウイルス遺伝子を、それぞれが異なる部位に投与するゲノムの異なる半分を含む2つの構築物を用いて投与することができる。したがって、感染性ウイルスが組み立てられるリスクなしに、各抗原に対する免疫反応を誘発することができる。これにより、複数の単一抗原標識の導入が可能になり、防御抗原を特定する必要がなくなる。
【0069】
本発明によれば、過増殖性疾患に特有の過増殖性細胞に対する広範囲の防御免疫反応をもたらす方法ならびに過増殖性疾患に罹患している個体を治療する方法も提供する。本明細書で用いるように、「過増殖性疾患」という用語は、細胞の過増殖によって特徴づけられる疾患および障害を指す。過増殖性疾患の例は、すべての種類の癌および乾癬を含む。
【0070】
免疫原性「過増殖性細胞」関連タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸組成物を個体の細胞に導入することにより、個体のワクチン接種細胞中のそれらのタンパク質の産生がもたらされることが発見された。本明細書で用いるように、「過増殖性関連タンパク質」という用語は、過増殖性疾患に関連するタンパク質を指すことを意味する。過増殖性疾患に対する免疫性を与えるために、過増殖性疾患に関連するタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸組成物を個体に投与する。
【0071】
過増殖性関連タンパク質が有効な免疫原性標的であるためには、それは正常細胞と比較して過増殖性細胞中で独占的またはより高レベルで産生されるタンパク質でなければならない。標的抗原は、そのようなタンパク質、そのフラグメントおよびそのようなタンパク質上に認められる少なくとも1つのエピトープを含むペプチドを含む。場合によって、過増殖性関連タンパク質は、タンパク質をコードする遺伝子の突然変異の産物である。突然変異遺伝子は、正常タンパク質上に認められない異なるエピトープを生じさせるわずかに異なるアミノ酸配列を有すことを除いて、正常タンパク質とほぼ同じであるタンパク質をコードする。そのような標的タンパク質は、myb、myc、fynなどの癌遺伝子ならびに転位遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trkおよびEGRFによりコードされるタンパク質であるものを含む。標的抗原としての癌遺伝子産物に加えて、抗癌治療および防御療法用の標的タンパク質は、B細胞リンパ腫により産生される抗体の可変領域およびいくつかの実施形態において自己免疫疾患の標的抗原としても用いるT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域などである。腫瘍細胞に高レベルで認められ、モノクローナル抗体17−1Aにより認識されるタンパク質および葉酸結合タンパク質などのタンパク質のような他の腫瘍関連タンパク質を標的タンパク質として用いることができる。
【0072】
本発明は1つまたは複数のいくつかの種類の癌に対して個体を免疫化することはできるが、本発明は、特定の癌を発現する素因がある、あるいは癌を経験し、したがって、再発を受けやすい個体を予防的に免疫化するのに有用である。遺伝学およびバイオテクノロジーならびに疫学の発展により、個体における癌の発現の確率の決定およびリスク評価が可能である。遺伝スクリーニングおよび/または家族健康歴を用いて、特定の個体がいくつかの種類の癌のいずれか1つを発現する確率を予測することが可能である。
【0073】
同様に、既に癌を発現した個体および癌を除去するために治療を受けた個体、あるいは寛解状態にある個体は、特に再発および再発生を受けやすい。治療法の一部として、そのような再発を抑制するために、個体が有すると診断された癌に対してそのような個体を免疫化することができる。したがって、個体がある種類の癌を経験し、再発のリスクがあることが知られているならば、個体の免疫系が癌のさらなる出現を抑制することを準備するために個体を免疫化することができる。
【0074】
本発明はまた、過増殖性疾患に罹患している個体を治療する方法を提供する。そのような方法において、ペプチド、タンパク質、炭水化物または核酸組成物およびその組合せの導入は、標的タンパク質を産生する過増殖性細胞を根絶するための個体の免疫系を誘導し、促進する免疫療法としての役割を果たす。
【0075】
本発明は、「自己」誘導抗体を産生する細胞受容体および細胞を含む、自己免疫に関連する標的に対する広範囲の防御免疫反応をもたらすことによる自己免疫疾患および障害に罹患している個体を治療する方法を提供する。
【0076】
T細胞媒介性自己免疫疾患としては、慢性関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、血管炎、ヴェーグナー肉芽腫炎、クローン病および潰瘍性大腸炎などがある。これらの疾患のそれぞれが、内因性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始させるT細胞受容体によって特徴づけられる。T細胞の可変領域に対するワクチン接種により、それらのT細胞を除去するCTLsを含む免疫反応が誘発されると思われる。
【0077】
RAにおいて、該疾患に関与するT細胞受容体(TCRs)のいくつかの特異的な可変領域が特徴づけられた。これらのTCRsとしては、Vβ−3、Vβ−14、Vβ−17およびVα−17などがある。したがって、これらのタンパク質の少なくも1つを送達またはコードするペプチド、タンパク質、炭水化物からなる組成物または核酸組成物およびそれらの組合せを用いたワクチン接種により、RAに関与するT細胞を標的とする免疫反応が誘発される。それぞれが参照により本明細書に組み込まれているHowell M.D.ら、1991年Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10921〜10925頁、Paliard X.ら、1991年Science 253:325〜329頁、Williams W.V.ら、1992年J.Clin.Invest. 90:326〜333頁を参照のこと。
【0078】
MSにおいて、該疾患に関与するTCRsのいくつかの特異的な可変領域が特徴づけられた。これらのTCRsとしては、Vβ−7およびVα−10などである。したがって、これらのタンパク質の少なくも1つを送達またはコードするペプチド、タンパク質、炭水化物からなる組成物または核酸組成物およびそれらの組合せを用いたワクチン接種により、MSに関与するT細胞を標的とする免疫反応が誘発される。それぞれが参照により本明細書に組み込まれているWucherpfennig K.W.ら、1990年Science 248:1016〜1019頁、Oksenberg J.R.ら、1990年、Nature 345:344〜346頁を参照のこと。
【0079】
強皮症において、該疾患に関与するTCRsのいくつかの特異的な可変領域が特徴づけられた。これらのTCRsとしては、Vβ−6、Vβ−8、Vβ−14およびVα−16、Vα−3C、Vα−7、Vα−14、Vα−15、Vα−16、Vα−28およびVα−12などがある。これらのタンパク質の少なくも1つを送達またはコードするペプチド、タンパク質、炭水化物からなる組成物または核酸組成物およびそれらの組合せを用いたワクチン接種により、強皮症に関与するT細胞を標的とする免疫反応が誘発される。
【0080】
T細胞媒介性自己免疫疾患に罹患し、特にTCRの可変領域を特徴づける必要がある患者を治療するために、滑液生検を実施することができる。存在するT細胞の試料を採取し、標準的手法を用いてそれらのTCRsの可変領域を特定することができる。ワクチンは、この情報を用いて調製することができる。
【0081】
B細胞媒介性自己免疫疾患としては、狼瘡(SLE)、グレーヴス病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、喘息、クリオグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変および悪性貧血などがある。これらの疾患のそれぞれが、内因性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始させる抗体によって特徴づけられる。そのような抗体の可変領域に対するワクチン接種により、該抗体を産生するそれらのB細胞を除去するCTLsを含む免疫反応が誘発されると思われる。
【0082】
B細胞媒介性自己免疫性疾患に罹患している患者を治療を治療するためには、自己免疫活性の関与する抗体の可変領域を特定しなければならない。生検を実施することができ、また炎症の部位に存在する抗体の試料を採取することができる。それらの抗体の可変領域は、標準的な手法を用いて特定することができる。
【0083】
SLEの場合、1つの抗原はDNAであると考えられている。したがって、SLEに対して免疫化する患者において、患者の血清を抗DNA抗体についてスクリーニングすることができ、血清中に認められるそのような抗DNA抗体の可変領域をコードする核酸組成物を含むワクチンを調製することができる。
【0084】
TCRsおよび抗体の可変領域の構造の共通の特徴は、よく知られている。特定のTCRまたは抗体をコードするDNA配列は、参照により本明細書に組み込まれているKabatら、1987年、免疫学的に重要なタンパク質の配列(Sequence of Proteins of Immunological Interest)、米国保健福祉省、Bethesda Md.に記載されているようなよく知られている方法により一般的に見いだすことができる。さらに、抗体の機能的可変領域をクローニングする方法は、参照により本明細書に組み込まれているChaudhary V.K.ら、1990年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066頁に見いだすことができる。
【0085】
遺伝子治療
好ましい実施形態において、本発明は、遺伝的障害または遺伝的構成要素を有する状態を治療するための組成物および方法を提供する。さらなる好ましい実施形態において、本発明は、遺伝的障害または遺伝的構成要素を有する状態を治療するための医薬品の製造に有用な組成物を提供する。
【0086】
ヒトゲノムプロジェクトは、疾患の遺伝的基礎に関する我々の知識を増加させた。一般的に、http://www.ornl.gov/sci/techresources/Human_Genome/medicine/assist.shtml を参照のこと。
【0087】
環境および遺伝因子がいずれかの疾患の発現に役割を有する。遺伝的障害は、個体の遺伝物質(ゲノム)の異常により引き起こされる疾患である。次の4種類の遺伝的障害が存在する。すなわち(1)単一遺伝子性、(2)多因子性、(3)染色体性および(4)ミトコンドリア性障害である。
【0088】
(1)単一遺伝子性(メンデルまたは一遺伝子性とも呼ぶ)−このタイプは、1つの遺伝子のDNA配列に発生する変化または突然変異によって引き起こされる。大部分の仕事を行う分子であるタンパク質をコードする遺伝子は、大部分の生命機能を果たし、大部分の細胞構造を作りさえする。遺伝子が、そのタンパク質産物がもはやその正常な機能を有さないように突然変異する場合、障害が生じ得る。200例の出産ごとに約1例の割合で発生する6000以上の既知の単一遺伝子障害が存在する。一部の例は、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、マルファン症候群、ハンチントン病および遺伝性ヘモクロマトーシスである。
【0089】
(2)多因子性(複合または多遺伝子性とも呼ぶ)−このタイプは、環境因子と複数の遺伝子の突然変異の組合せにより引き起こされる。例えば、乳癌感受性に影響を及ぼす異なる遺伝子が第6、11、13、14、15、17および22染色体上に認められた。そのより複雑な性質のために、単一遺伝子または染色体性障害より解析がはるかに困難である。最も一般的な慢性障害の一部は、多因子性障害である。例としては、心疾患、高血圧、アルツハイマー病、関節炎、糖尿病、癌および肥満である。多因子性遺伝も指紋、身長、眼の色および皮膚の色などの遺伝性素質に関連する。
【0090】
(3)染色体性−DNAおよびタンパク質から構成されている独特な構造である染色体は、各細胞の核内にある。染色体は遺伝物質の担体であるので、欠失または余剰のコピーまたは肉眼的切断および再結合(転座)のような染色体構造の異常が疾患をもたらし得る。ある種の重大な染色体異常は、顕微鏡検査により検出することができる。ダウン症候群またはトリソミー21は、人が第21染色体の3つのコピーを有するときに起こる一般的な障害である。
【0091】
(4)ミトコンドリア性−この比較的まれなタイプの遺伝的障害は、ミトコンドリアの非染色体性DNAの突然変異により引き起こされる。ミトコンドリアは、細胞呼吸に関与し、植物および動物細胞の細胞質に認められる小さく、丸いまたは棒状細胞小器官である。各ミトコンドリアは、5個から10個のDNAの環状片を含むことがある。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、補償遺伝子を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを投与するのに用いる。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、本発明の微粒子送達システムは、遺伝子産物の発現が遺伝的障害または状態の遺伝的構成要素の治療に有用である場合に、欠失遺伝子の遺伝子産物をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを投与するのに用いる。好ましい実施形態において、所望のペイロード分子を含む本発明の微粒子送達システムは、遺伝的障害または状態の遺伝的構成要素の治療用の医薬品の製造に有用である。そのような医薬品は、経口、直腸、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、大槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所的に(例えば、散剤、軟膏剤または滴剤)または口腔剤もしくは鼻内噴霧剤として適切に投与する。医薬品は、好ましくは経口、口腔内および非経口、より好ましくは経口投与する。異なるペイロード、例えば、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド発現ベクターまたは治療用小分子を添加した粒子を適切な割合で混合し、併用療法のために共に、例えば、カプセルに入れて投与することができる。
【0093】
遺伝子治療に関する本発明の態様において、核酸組成物は、補償遺伝子または治療タンパク質をコードする遺伝子を含む。補償遺伝子の例としては、ジストロフィンまたは機能フラグメントをコードする遺伝子、嚢胞性線維症に罹患している患者における欠陥遺伝子を補償する遺伝子、ADAに罹患している患者における欠陥遺伝子を補償する遺伝子および第VIII因子をコードする遺伝子などがある。治療タンパク質をコードする遺伝子の例としては、エリトロポイエチン、インターフェロン、LDL受容体、GM−CSF、IL−2、IL−4およびTNFをコードする遺伝子などがある。さらに、毒物に特異的に結合する単鎖抗体成分をコードする核酸組成物を投与することができる。いくつかの好ましい実施形態において、ジストロフィン遺伝子をミニ遺伝子の一部として提供し、筋ジストロフィーに罹患している患者を治療するのに用いる。いくつかの好ましい実施形態において、部分ジストロフィンタンパク質のコーディング配列を含むミニ遺伝子を提供する。ジストロフィン異常は、より軽度のベッカー型筋ジストロフィー(BMD)および重度のジュシェーヌ型筋ジストロフィー(DMD)の原因である。BMDにおいては、ジストロフィンは産生されるが、サイズおよび/または量が異常である。患者は、軽度から中等度の衰弱を有する。DMDにおいては、ジストロフィンは産生されず、患者は13歳までに車椅子に拘束され、20歳までに死亡する。特にBMDに罹患している一部の患者において、本発明により送達されるミニ遺伝子の発現により産生される部分ジストロフィンタンパク質は、筋肉機能の改善をもたらすことができる。
【0094】
好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アールスコグ−スコット症候群、アーセ症候群、軟骨形成不全、先端異骨症、嗜癖、副腎脳白質ジストロフィー、白皮症、無眼瞼大口症候群、アラジル症候群、アルカプトン尿症、α−1−アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、自己免疫多腺性症候群、アンドロゲン非感受性症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー−マリー−トゥース病、クローン病、唇裂、コケーン症候群、コフィン−ローリー症候群、大腸癌、先天性副腎過形成(CAH)、コルネリアドランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻部形成異常、クリグラー−ナジャー症候群、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、嚢胞性線維症、難聴、鬱病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症候群、失読症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成症、エリス−ファンクレフェルト症候群、エーレルス−ダンロー症候群、表皮水疱症(EB)、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、脆弱X症候群、フリートライヒ運動失調、ゴーシェ病、緑内障、グルコース−ガラクトース吸収不良、グルタル酸尿症、回萎縮、ゴールドベルクシプリンツェン症候群(口蓋心顔面症候群)、ゴーリン症候群、ヘーリー−ヘーリー病、片側肥大、ヘモクロマトーシス、血友病、遺伝性運動感覚ニューロパシー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgMを伴う免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、カブキ症候群、リー病(または症候群)、QT間隔延長症候群、肺癌、悪性黒色腫、躁うつ病、マルファン症候群、メンケズ症候群、流産、ムコ多糖症候群、多発性内分泌腫、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニューマン−ピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、p53腫瘍抑制因子、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮、フェニルケトン尿症(PKU)、腎多嚢胞病、プラーダー−ヴィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフスム病、色素性網膜炎、網膜芽腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、精神分裂病、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮、脊髄小脳萎縮、SRY:性決定、成人突然死症候群、タンジアー病、テイ−サックス病、血小板減少橈骨欠損症候群、タウンズ−ブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォンヒッペル−リンダウ症候群、ワーデンブルヒ症候群、ウィーバー症候群、ヴェルナー症候群、ウィリアム症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症またはツェルヴェーガー症候群などの遺伝的障害および遺伝的構成要素を有すると考えられている状態の治療のための組成物および方法を提供する。
【0095】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、鎌状赤血球貧血ならびにβ−地中海貧血、α−地中海貧血、マルファン症候群、エーレルス−ダンローI型、エーレルス−ダンローII型、エーレルス−ダンローIII型、エーレルス−ダンローIV型常染色体優性、エーレルス−ダンローIV型常染色体劣性、エーレルス−ダンローIV−D型、エーレルス−ダンローV型、エーレルス−ダンローVI型、エーレルス−ダンローVII型常染色体優性、エーレルス−ダンローVII型常染色体劣性、エーレルス−ダンローVIII、血小板機能不全を伴うエーレルス−ダンロー、ゴム様皮膚、ゴム様皮膚劣性I型、後角症候群ゴム様皮膚、X連鎖、骨形成不全I型、骨形成不全I−C型、骨形成不全無症状II/III型、骨形成不全IV型、骨形成不全新生児致死型および骨形成不全進行性変形を含むタンパク質関連障害のような代謝障害として発現する遺伝的障害および遺伝的構成要素を有すると考えられている状態の治療のための組成物および方法を提供する。
【0096】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、無フィブリノーゲン血、フィブリノーゲンの完全喪失、第I因子;フィブリノーゲン異常血、機能不全性フィブリノーゲン、第I因子;組織因子欠乏症;第V因子欠乏症、不安定因子欠乏症、第VII因子欠乏症、第VIII因子欠乏症(血友病A)、第IX因子欠乏症(血友病B)、第X因子欠乏症、第XI因子欠乏症、ローゼンタール症候群、血漿トロンボプラスチン前駆物質(PTA)欠乏症、第XII因子欠乏症、ハーゲマン因子欠乏症、第XIII因子欠乏症、第VおよびVIII因子複合欠乏症、第VIIIおよびIX因子複合欠乏症、第IXおよびXI因子複合欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、血栓形成傾向、抗トロンビンIII欠乏症、巨大血小板症候群、血小板糖タンパク質Ib欠乏症、ヴォンヴィレブランド病、フレッチャー因子欠乏症およびプレカリクレイン欠乏症などの凝固系の遺伝的障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0097】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、0型、I型(フォンギールケ病)、Ib型、Ic型、II型(ポンペ病)、IIb型(ダノン病)、III型(コーリ病またはフォーブズ病)、IV型(アンダーセン病)、V型(マッカードル病)、VI型(エール病)、VII型(タルイ病)、VIII型、IX型およびXI型(ファンコーニ−ビッケル症候群)などのグリコーゲン貯蔵障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0098】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、遺伝性フルクトース不耐性、アルドラーゼB欠乏症、フルクトース尿症、肝フルクトキナーゼ欠乏症、古典的ガラクトース血症、ガラクトースエピメラーゼ欠乏症、ガラクトキナーゼ欠乏症、高血糖症およびグリセロールキナーゼ欠乏症などのフルクトース、ガラクトースおよびグリセロール代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0099】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アポリポタンパク(a)−Lp(a)、I型高リポタンパク血症、Ib型高リポタンパク血症、アポリポタンパクC−II欠乏症、Ic型高リポタンパク血症、キロミクロン血症、II型家族性高コレステロール血症、家族性高βリポタンパク血症、III型高リポタンパク血症、アポリポタンパクE欠乏症、IV型高リポタンパク血症、V型高リポタンパク血症、家族性LCAT欠乏症、ウォルマン病、リポタンパクリパーゼ欠乏症、家族性高トリグリセリド血症、V型高脂血症、VI型高脂血症、家族性リガンド欠損アポB、家族性高αリポタンパク血症、高βリポタンパク血症、アポリポタンパクB−100欠乏症、無βリポタンパク血症、コルンツヴァイク症候群およびタンジアー病、すなわち、家族性高密度リポタンパク欠乏症などのコレステロールおよびリポタンパク質代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0100】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、IH型ムコ多糖沈着症(フルラー症候群)、IS型ムコ多糖沈着症(シャイエ症候群)、IH/S型ムコ多糖沈着症(フルラー/シャイエ症候群)、II型ムコ多糖沈着症(ハンター症候群)、III型ムコ多糖沈着症(サンフィリポA型、サンフィリポB型、サンフィリポC型、サンフィリポD型)、IV型ムコ多糖沈着症(モルキノA型、モルキノB型)、VI型ムコ多糖沈着症(マロトー−ラミー症候群)、VII型ムコ多糖沈着症(スライ症候群)などのムコ多糖および糖脂質障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0101】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、II型全身性GM1若年形、III型全身性GM1成人形を含むGM1ガングリシドーシス、GM2ガングリシドーシス(サンドホフ−ヤツケウィツ病)、GM3ガングリシドーシス、テイ−サックス病、テイ−サックスAB変異型、ゴーシェ病、ニーマン−ピック病、A、B、C1、C2およびD型、シュナイダー病、ファブリー病、ラクトシルセラミドーシス、ファーバー病、クラッベ病、多種スルファターゼ欠損症、オースチン病、異染性白質萎縮症、スルファチドリポドーシスなどのグリコスフィンゴリピド代謝の障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0102】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、フルコース蓄積症、ムコリポドーシスVI、シアロリピドーシス、α−マンノシドーシス、β−マンノシドーシス、I型およびII型シアリドーシス、ガラクトシアリドーシス、ゴールドバーグ症候群およびアスパルチルグルコサミン尿症などのオリゴ糖蓄積症の治療のための組成物および方法を提供する。
【0103】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ムコリピドーシスI(シアリドーシス)、ムコリピドーシスII(I細胞病)およびムコリピドーシスIII(偽性ハーラー病ポリジストロフィー)などのリソソーム酵素輸送の障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0104】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、フェニルケトン尿症、I型チロシン血症(チロシン症)、II型チロシン血症(リヒナー−ハンハート症候群)、III型チロシン血症、アルカプトン尿症、ホモシスチン尿症、ヒスチジン尿症、かえで糖尿病(MSUD)、Ib型MSUD、II型MSUD、メチルマロン酸尿症、I型非ケトン性高血糖症(NKHI)および高リジン血症などのアミノ酸および有機酸代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0105】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、高アンモニア血症、リン酸カルボモイルシンテターゼI(CPS−I)欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症、N−アセチルグルタミン酸シンターゼ欠損症、アルギニコハク酸尿症、アルギニコハク酸リアーゼ欠損症、高アルギニン血症、アルギナーゼ欠損症、シトルリン血症、アルギニコハク酸シンターゼおよびオルニチンアミノトランスフェラーゼ欠損症などの尿サイクル欠損の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、I型シスチン尿症、III型シスチン尿症、ハートナップ病および高アンモニア血−高オルニチン血−ホモシトルリン尿(HHH)症候群などのアミノ酸輸送の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、先天性赤血球生成性ポルフィリン症(CEP)、赤血球生成性プロトポルフィリン症(EPP)、ALAデヒドラターゼ欠損ポルフィリン症(ADP)、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、ヴァリエゲートポルフィリン症(VP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、肝赤血球生成性プロトポルフィリン症(HEP)、ギルバート症候群、I型およびII型クリグラー−ナジャー症候群、デュビン−ジョンソン症候群およびローター症候群などのポルフィリン症およびビリルビン尿症の治療のための組成物および方法を提供する。
【0106】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、超長鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(VLCAD)、長鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(LCAD)、中鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(MCAD)、短鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(SCAD)、カルニチントランスローカーゼ欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPTI)欠損症およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII(CPTII)欠損症などの脂肪酸代謝の誤りの治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、レッシュ−ナイハン症候群、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損に起因する重症複合免疫不全症(SCID)、痛風、アデノシンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)欠損に起因する腎結石症、キサンチンオキシダーゼ欠損に起因するキサンチン尿症、I型およびII型オロト酸尿症およびオルニチントランスカルボモイラーゼ欠損症などのヌクレオチド代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0107】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ウィルソン病、メンケス病、後角症候群およびヘモクロマトーシスなどの金属代謝障害の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ツェルヴェーガー症候群、X連鎖副腎白質ジストロフィー、新生児副腎白質ジストロフィー(NALD)、斑状軟骨形成不全症(RCDP)および乳児レフサム病(IRD)などのペルオキシソームの障害の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、毛細血管拡張性運動失調症(AT)、色素性乾皮症(XP)、コケーン症候群、ブルーム症候群およびファンコーニ貧血などの欠陥DNA修復に伴う障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0108】
投与経路
投与経路は、経口、口腔内、舌下、肺、経皮、経粘膜ならびに皮下、腹腔内および筋肉内注射を含むが、これらに限定されない。好ましい投与経路は、経口、口腔内、舌下、肺および経粘膜である。
【0109】
本発明の微粒子送達システムは、治療上有効な量で患者に投与する。微粒子送達システムは、単独または製薬上許容できる組成物の一部として投与することができる。さらに、化合物または組成物はすべて、例えばボーラス注射として一度に、一連の錠剤などにより複数回投与、または、例えば、放出制御製剤を用いて一定の時間にわたって実質的に一様に送達することができる。化合物の用量を時間の経過とともに変化させることができることも確認されている。微粒子送達システムは、即放性製剤、放出制御製剤またはそれらの組合せを用いて投与することができる。「放出制御」という用語は、持続放出、遅延放出およびそれらの組合せを含む。
【0110】
本発明の薬剤組成物は、1回単位用量として、または複数の1回単位用量として調製、包装またはバルク販売することができる。本明細書で用いるように、「単位用量」は、あらかじめ決定した量の有効成分を含む薬剤組成物の離散的量である。有効成分の量は、一般的に患者に投与されるような有効成分の用量、またはそのような用量の都合のよい分割量、例えば、そのような用量の2分の1もしくは3分の1に等しい。
【0111】
本発明の薬剤組成物中の有効成分、製薬上許容できる担体および追加の成分の相対量は、治療を受ける人の特徴、体格および状態によって、またさらに組成物を投与する経路によって異なる。例として、組成物は、0.1%〜100%(重量/重量)の有効成分を含むことができる。本発明の薬剤組成物の単位用量は、一般的に約100mg〜約2mgの有効成分、好ましくは約200mg〜約1.0mgの有効成分を含む。
【0112】
さらに、本発明の微粒子送達システムは、単独で、異なるペイロードを含む微粒子送達システムと、または他の薬剤学的に活性な化合物と併用投与することができる。他の薬剤学的に活性な化合物は、微粒子送達システムと同じ状態または異なる状態を治療するために選択することができる。
【0113】
患者が薬剤学的に活性な化合物の投与を受けることになっているか、受けている場合、化合物は同時またはある順序で逐次的に投与することができる。例えば、錠剤の場合、活性な化合物は、一度にまたはある順序で逐次的に投与することができる1つの錠剤または別個の錠剤に見いだすことができる。さらに、組成物は異なる形態であり得ることを認識すべきである。例えば、1つまたは複数の化合物は錠剤により送達することができるが、他は注射により、またはシロップ剤として経口投与される。
【0114】
本発明の他の態様は、本発明の薬剤組成物および教育的資料を含むキットに関する。教育的資料は、本明細書に示すヒトにおける目的の1つにおける本発明の薬剤組成物の有用性を伝達するために用いる刊行物、記録、図表または他のあらゆる表現媒体を含む。教育的資料はまた、例えば、本発明の薬剤組成物の適切な用量を記述することができる。本発明のキットの教育的資料は、例えば、本発明の薬剤組成物を含む容器に添付するか、または該薬剤組成物を含む容器とともに輸送することができる。あるいは、該教育的資料は、教育的資料と薬剤組成物が受容者によりともに用いられるというつもりで、容器と別個に輸送することができる。
【0115】
本発明はまた、本発明の薬剤組成物および該組成物をヒトに送達するための送達装置を含むキットを含む。例として、送達装置は、スクイーズ噴霧ビン、計量噴霧ビン、エアゾール噴霧装置、霧化器、乾燥散剤送達装置、自己噴霧式溶媒/散剤投薬装置、注射器、針、タンポンまたは計量容器であってよい。キットはさらに、本明細書で述べたような教育的資料を含んでいてよい。
【0116】
例えば、キットは、微粒子送達システムおよび製薬上許容できる担体を含む第1の組成物ならびに第2の薬剤学的に活性な化合物および製薬上許容できる担体を含む組成物をそれぞれ含む2つの別個の薬剤組成物を含んでいてよい。キットはまた、分割ビンまたは分割フォイルパケットなどの異なる組成物用の容器を含む。容器のさらなる例としては、注射器、箱、バッグ等がある。一般的に、キットは、異なる組成物の投与の説明書を含む。キットの形態は、異なる組成物を異なる剤形で投与(例えば、経口および非経口)することが好ましく、異なる投与間隔で投与するとき、あるいは配合物の個々の成分の用量調整が処方医師により望まれているときに特に有利である。
【0117】
キットの例は、ブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業でよく知られており、薬剤単位剤形(錠剤、カプセル剤等)の包装に広く用いられている。ブリスターパックは、一般的に好ましくは透明プラスチック材料のフォイルで被覆された比較的硬い材料のシートからなっている。包装工程で、プラスチックフォイルにくぼみが形成される。くぼみは、包装する錠剤またはカプセル剤の大きさと形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤がくぼみに入れられ、比較的硬い材料のシートが、くぼみが形成された方向と反対側にあるプラスチックフォイルの面でプラスチックフォイルに対して封じられる。その結果、錠剤またはカプセル剤はプラスチックフォイルとシートの間のくぼみに封じ込められる。好ましくは、シートの強度は、手でくぼみに圧力を加えてくぼみの位置のシートに開口部を形成させることによって錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから取り出すことができるような値である。錠剤またはカプセル剤は、前記開口部から取り出すことができる。
【0118】
例えば、当該治療法での錠剤またはカプセル剤を服用すべき日に対応する数を錠剤またはカプセル剤に隣接して示すなど、数の形でキットに記憶補助手段を備えることが望ましい。そのような記憶補助手段の他の例は、例えば、「第1週、月曜日、火曜日、...等、第2週、月曜日、火曜日」等のカードに印刷されたカレンダーである。記憶補助手段の他の変形形態は、容易に明らかになるであろう。「1日量」は、所与の日に服用すべき1個の錠剤もしくはカプセル剤または数個の丸剤もしくはカプセル剤であり得る。また、微粒子送達システムの1日量は1個の錠剤もしくはカプセル剤からなっていてよく、一方、第2の化合物の1日量は数個の錠剤もしくはカプセル剤からなっていてよく、また逆の場合も同様である。記憶補助手段は、これを反映し、正しい投与の助けとなるべきである。
【0119】
本発明の他の実施形態において、意図する使用の順序で一度に1つずつ1日量を投薬するように設計されたディスペンサーを提供する。好ましくは、投与法の遵守をさらに促進するように、ディスペンサーに記憶補助手段を装着する。そのような記憶補助手段の例は、既に投薬された1日量の数を表示する機械的計数器である。そのような記憶補助手段の他の例は、例えば、最終の1日量を服用した日を読み出し、かつ/または次の量を服用するときにそれを思い出させる液晶表示器または可聴合図シグナルに連結された電池式マイクロチップメモリである。
【0120】
場合によって他の薬剤学的に活性な化合物を含む、微粒子送達システム組成物は、経口、直腸、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、大槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所的に(例えば、散剤、軟膏剤または滴剤)または口腔剤もしくは鼻内噴霧剤として患者に投与することができる。
【0121】
薬剤組成物の非経口投与は、ヒトの組織の物理的侵害および組織における侵害による薬剤組成物の投与によって特徴づけられる投与経路を含む。したがって、非経口投与は、組成物の注射、外科的切開創をとおしての組成物の適用、組織貫通性非外科的創傷をとおしての組成物の適用等による薬剤組成物の投与を含む。特に非経口投与は、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内または胸骨内注射ならびに静脈内、動脈内または腎透析注入法を含む。
【0122】
非経口注射に適する組成物は、生理学的に許容できる無菌水性もしくは非水性液剤、分散剤、懸濁剤または乳剤などの製薬上許容できる担体と組み合わせた有効成分を含み、あるいは無菌注射用液剤または分散剤に再構成するための無菌散剤を含んでいてよい。適切な水性もしくは非水性担体、希釈剤、溶媒または媒体としては、水、等張食塩水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油を含むトリグリセリドまたはオレイン酸エチルのような注射用有機エステルなどがある。例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散剤の場合には必要な粒径の維持、および/または界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。そのような製剤は、ボーラス投与または持続投与に適する形態で調製、包装または販売することができる。注射剤は、アンプル入り、保存剤を含む反復投与容器入り、または自己注射もしくは医師による注射用1回使用装置入りのような単位剤形で調製、包装または販売することができる。
【0123】
非経口投与用製剤としては、懸濁剤、液剤、油性もしくは水性媒体中乳剤、ペースト剤、埋込み式徐放または生分解性製剤などがある。そのような製剤は、さらに懸濁化、安定化または分散剤などの1つまたは複数の追加の成分を含んでいてよい。非経口投与用の製剤の1つの実施形態において、再構成組成物の非経口投与の前に適切な媒体(例えば、病原体を含まない無菌水)で再構成するために有効成分を乾燥した(すなわち、散剤または顆粒剤)形態で提供する。薬剤組成物は、無菌の注射用水性または油性懸濁剤または液剤の形態で調製、包装または販売することができる。この懸濁剤または液剤は、既知の技術に従って調剤することができ、有効成分に加えて、本明細書で述べるような分散剤、加湿剤または懸濁化剤などの追加の成分を含んでいてよい。そのような無菌注射剤は、例えば、水または1,3−ブタンジオールなどの非経口で許容できる無毒性希釈剤または溶媒を用いて調製することができる。他の許容できる希釈剤および溶媒は、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液および合成モノまたはジグリセリドのような固定油などである。有用である他の非経口投与可能な製剤としては、リポソーム製剤中に微結晶の形態の、または生分解性ポリマーシステムの成分としての有効成分を含むものなどがある。徐放または埋込み用組成物は、乳剤、イオン交換樹脂、わずかに溶けるポリマーまたはわずかに溶ける塩などの製薬上許容できるポリマーまたは疎水性物質を含んでいてよい。
【0124】
これらの組成物は、保存剤、加湿剤、乳化剤および/または分散剤などの佐剤も含んでいてよい。組成物の微生物汚染の予防は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の添加により達成することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい。注射用薬剤組成物の長期吸収は、吸収を遅延させることができる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよび/またはゼラチンを用いることによってもたらすことができる。
【0125】
剤形は、固体または注射可能な埋込み剤もしくはデポー剤を含み得る。好ましい実施形態において、埋込み剤は、微粒子送達システムの一部および生分解性ポリマーを含む。好ましい実施形態において、適切な生分解性ポリマーは、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(オルトエステル)およびポリホスファゼンからなる群から選択することができる。
【0126】
経口投与用固体剤形は、カプセル剤、錠剤、散剤および顆粒剤などである。そのような固体剤形において、微粒子送達システムは、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの通常の不活性賦形剤(もしくは担体)または(a)例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはケイ酸のような充填剤もしくは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースもしくはアラビアゴムのような結合剤、(c)例えば、グリセロールのような湿潤剤、(d)例えば、カンテン、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩もしくは炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(e)例えば、パラフィンのような溶液凝固遅延剤、(f)例えば、第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコールもしくはモノステアリン酸グリセロールのような加湿剤、(h)例えば、カオリンもしくはベントナイトのような吸着剤、および/または(i)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムもしくはそれらの混合物のような滑沢剤と場合によって混合されている。
【0127】
微粒子送達システムを含む錠剤は、例えば、有効成分を場合によって1つまたは複数の追加の成分とともに圧縮または成形して調製することができる。圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、賦形剤、界面活性剤および分散剤のうちの1つまたは複数のものと場合によって混合されている散剤または顆粒剤のような流動性の形態の有効成分を適切な装置で圧縮して調製することができる。成形錠剤は、有効成分、製薬上許容できる担体および混合物を湿らせるのに少なくとも十分な液体の混合物を適切な装置で成形して調製することができる。錠剤の製造に用いる製薬上許容できる賦形剤は、不活性希釈剤、造粒剤および崩壊剤、結合剤ならびに滑沢剤などである。既知の分散剤は、ジャガイモデンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウムなどである。既知の界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムなどである。既知の希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびリン酸ナトリウムなどである。既知の造粒剤および崩壊剤は、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸などである。既知の結合剤は、ゼラチン、アラビアゴム、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどである。既知の滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカおよびタルクなどである。
【0128】
錠剤は、非被覆であってよく、あるいはヒトの胃腸管における崩壊の遅延を達成し、それにより、例えば、小腸のパイエル板の領域における微粒子送達システムの持続的放出および吸収をもたらす既知の方法を用いて被覆することができる。例として、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような物質は、錠剤を被覆するのに用いることができる。さらに例として、錠剤を米国特許第4256108号、第4160452号および第4265874号に記載されている方法を用いて被覆して、浸透圧により放出が制御される錠剤を製造することができる。錠剤はさらに、製薬上上質かつ味のよい製剤を提供するために、甘味料、着香剤、着色剤、保存剤またはこれらのいくつかの組合せを含んでいてよい。
【0129】
錠剤、糖衣丸、カプセル剤および顆粒剤などの固形剤形は、腸溶コーティングなどのコーティングまたは外皮および当技術分野でよく知られている他の方法を用いて調製することができる。それらは、不透明化剤も含んでいてよく、また、微粒子送達システムの遅延放出を示すような組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物の例は、ポリマー物質またはワックスである。活性化合物は、適切な場合、1つまたは複数の上記の賦形剤を含むマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0130】
同様な種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコール等を用いた軟質または硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤としても用いることもできる。微粒子送達システムを含む硬質カプセル剤は、ゼラチンのような生理的に分解可能な組成物を用いて調製することができる。そのような硬質カプセル剤は、微粒子送達システムを含み、また例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性固体希釈剤を含む追加の成分をさらに含んでいてよい。微粒子送達システムを含む軟質カプセル剤は、ゼラチンのような生理的に分解可能な組成物を用いて調製することができる。そのような軟質カプセル剤は、水または落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などの油媒体と混合することができる微粒子送達システムを含む。
【0131】
経口組成物は、患者の小または大腸において経口投与薬剤を特異的に放出する既知の技術を用いて調製することができる。例えば、結腸を含む胃腸系に送達する製剤としては、ポリマーのみが小腸への入口で溶解し始めるように、pH6以上でのみ溶ける例えば、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)のようなメタクリレートコポリマーに基づく腸溶システムなどがある。そのようなポリマー製剤崩壊する部位は、腸における移動速度と存在するポリマーの量に依存する。例えば、比較的厚いポリマーコーティングは、近位結腸に送達するために用いる(Hardyら、1987年、Aliment.Pharmacol.Therap. 1:273〜280頁)。部位特異的結腸送達をもたらすことができるポリマーも用いることができる。この場合、ポリマーは、ポリマー被覆物の酵素分解とひいては薬剤の放出をもたらすために大腸の細菌叢に依拠している。例えば、アゾポリマー(米国特許第4663308号)、グリコシド(Friendら、1984年、J.Med.Chem. 27:261〜268頁)および様々な天然および修飾多糖(PTC出願PTC/GB89/00581)は、そのような製剤に用いることができる。
【0132】
米国特許第4777049号に記述されているようなパルス放出技術も胃腸管内の特定の位置に微粒子送達システムを投与するのに用いることができる。そのようなシステムは、あらかじめ定めた時間での送達を可能にし、場合によって、in vivo放出を可能にするための水の存在以外の外的条件に依拠せずに、安定性と取り込みを促進するために局所微小環境を直接変化させることができる他の添加剤とともに微粒子送達システムを送達するのに用いることができる。
【0133】
経口投与用液体剤形としては、製薬上許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤などがある。液体剤形は、活性化合物に加えて、水もしくは他の溶媒、等張食塩水、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、アーモンド油、ラッカセイ油、ココナツ油、塊根植物油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、MIGLYOL(商標)、グリセロール、分留植物油、流動パラフィンのような鉱油、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物等のような可溶化剤および乳化剤などの当技術分野で一般的に用いられている不活性希釈剤を含んでいてよい。そのような不活性希釈剤のほかに、組成物は、加湿剤、乳化剤および懸濁化剤、粘滑剤、保存剤、緩衝剤、塩、甘味料、着香剤、着色剤および芳香剤などの佐剤も含んでいてよい。懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタールもしくはソルビタンエステル、微結晶性セルロース、水素化可食脂肪、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム、カンテンならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイトまたはこれらの物質の混合物等の懸濁化剤を含んでいてよい。経口投与に適する本発明の薬剤組成物の液体製剤は、液体または使用前に水もしくは他の適切な媒体で再構成することを意図する乾燥製品の形態で調製、包装および販売することができる。
【0134】
既知の分散化または加湿剤としては、レシチンなどの天然に存在するホスファチド、アルキレンオキシドと脂肪酸との、長鎖脂肪族アルコールとの、脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの、または脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物(例えば、それぞれステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリエチレンモノオレイン酸ソルビトールおよびポリエチレンモノオレイン酸ソルビタン)などがある。既知の乳化剤は、レシチンおよびアラビアゴムなどである。既知の保存剤は、メチル、エチルまたはn−プロピル−パラヒドロキシ安息香酸エステル、アスコルビン酸およびソルビン酸などである。既知の甘味料は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロースおよびサッカリンなどである。既知の粘稠化剤は、例えば、蜜ろう、硬質パラフィンおよびセチルアルコールなどである。
【0135】
他の実施形態において、薬剤組成物は、機能食品、すなわち、食品の形態もしくは食品に添加した形態(例えば、直接摂取を意図する加工品)または食材(摂取前に食品に混入することを意図する可食成分)として調製することができる。適切な食品の例としては、棒付きキャンディーのようなキャンディー、クラッカー、パン、クッキーおよびスナックケーキのような焼き物、全、裏ごしまたはマッシュ果実および野菜、ならびに加工肉製品などがある。適切な食材の例としては、製粉加工穀物および糖、香辛料および他の調味料、ならびにシロップなどがある。本明細書で述べる微粒子送達システムは、化合物の分解を最小限にするために、長時間にわたり高調理温度に曝露しないことが好ましい。
【0136】
直腸または膣投与用組成物は、通常の室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸または膣腔内で融解し、微粒子送達システムを放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と微粒子送達システムを混合して調製することができる。そのような組成物は、例えば、坐剤、停留浣腸製剤および直腸もしくは結腸潅注用液剤の形態であってよい。坐剤は、さらに抗酸化剤および保存剤を含む様々な追加の成分を含んでいてよい。停留浣腸製剤または直腸もしくは結腸潅注用液剤は、有効成分と製薬上許容できる液体担体とを混合することにより調製することができる。当技術分野で知られているように、浣腸製剤は、ヒトの直腸の解剖学的構造に適応させた送達用具を用いて投与することができ、また該送達用具内に包装することができる。浣腸製剤は、さらに抗酸化剤および保存剤を含む様々な追加の成分を含んでいてよい。
【0137】
本発明の薬剤組成物は、口腔を介しての肺投与に適する製剤として調製、包装または販売することができる。そのような組成物は、散剤を分散させるための噴射剤の流れを導くことができる乾燥散剤リザーバーを含む装置を用いて、あるいは密閉容器内の低沸点噴射剤中に懸濁させた微粒子送達システムを含む装置などの自己噴射性溶媒/散剤分配容器を用いて投与するための乾燥散剤の形態であることが都合がよい。乾燥散剤組成物は、糖などの固体微細粉末を含んでいてよく、単位剤形で提供することが都合がよい。低沸点噴射剤は、一般的に大気圧で65°F(18.3℃)以下の沸点を有する液体噴射剤を含む。一般的に噴射剤は組成物の50〜99.9%(重量/重量)を構成していてよく、有効成分は組成物の0.1〜20%(重量/重量)を構成していてよい。噴射剤は、さらに液体非イオン性または固体陰イオン界面活性剤または固体希釈剤(好ましくは微粒子送達システムを構成する粒子と同程度の粒径を有する)のような追加の成分を含んでいてよい。
【0138】
肺送達用に製剤化された本発明の薬剤組成物も懸濁剤の液滴の形態の有効成分を提供することができる。そのような製剤は、微粒子送達システムを含む、場合によって無菌の水性または希アルコール性懸濁剤として調製、包装または販売することができ、噴霧または霧化装置を用いて都合よく投与することができる。そのような製剤は、サッカリンナトリウムなどの着香料、揮発油、緩衝剤、界面活性剤またはメチルヒドロキシ安息香酸エステルなどの保存剤を含む1つまたは複数の追加の成分を含んでいてよい。
【0139】
本明細書で肺送達に有用であると述べた製剤は、本発明の薬剤組成物の鼻内送達にも有用である。鼻内投与に適する他の製剤は、微粒子送達システムを含む粗散剤である。そのような製剤は、吹入剤を服用する方法、すなわち、外鼻孔近くに保持した散剤の容器からの鼻腔を介しての急速な吸入により投与する。
【0140】
本発明の薬剤組成物は、口腔内投与に適する製剤として調製、包装または販売することができる。そのような製剤は、例えば、通常の方法を用いて製造された錠剤またはトローチ剤の形態であってよく、例えば、0.1〜20%(重量/重量)の微粒子送達システムを含み、残りは経口で溶解性または分解性の組成物ならびに場合によって、本明細書で述べた1つまたは複数の成分を含んでいてよい。あるいは、口腔内投与に適する製剤は、微粒子送達システムを含む散剤あるいはエアゾール化もしくは霧化した液剤または懸濁剤を含んでいてよい。
【0141】
抗体
本明細書で用いるように、「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(Mab)という用語は、タンパク質に特異的に結合することができる完全な分子ならびに抗体フラグメント(例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメント)を含むことを意味する。FabおよびF(ab’)2フラグメントは、完全な抗体のFcフラグメントを欠き、完全な抗体より循環から速やかに消失し、少ない非特異的組織結合を有する。したがって、Fabの産物または他の免疫グロブリン発現ライブラリーと同様に、これらのフラグメントは好ましい。さらに、本発明の抗体は、キメラ、単鎖および人化抗体を含む。
【0142】
抗体は、当技術分野で知られているかなり多数の技術を用いて調製することができる。適切な技術は、下で簡単に述べる。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってよい。ポリクローナル抗体は、産生の迅速性ならびに強い免疫蛍光染色および抗原捕捉を保証する複数のエピトープに対する特異性を含む最初の開発に関して重要な利点を有する可能性がある。モノクローナル抗体は、大規模生産に適応できる。好ましい実施形態は、標的抗原のエピトープに対して特異的な少なくとも1つのモノクローナル抗体を含む。ポリクローナル調製物は大規模生産で容易に複製することができないため、他の実施形態では、少なくとも4つのモノクローナル抗体のカクテルを用いる。
【0143】
単鎖Fv(「scFv」または「sFv」)ポリペプチドは、直接結合またはペプチドをコードするリンカーにより結合しているVHおよびVLをコードする配列を含む核酸から発現させることができる共有結合VH:VLヘテロダイマーである(Hustonら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、85:5879〜5883頁(1988年))。天然で凝集しているが、化学的には分離している抗体V領域の軽および重ペプチド鎖を、抗原結合部位の構造に実質的に類似している三次元構造に折りたたまれているscFv分子に変換するための多くの構造がある。例えば、米国特許第6512097号、第5091513号および第5132405号および第4956778号を参照のこと。
【0144】
1つのクラスの実施形態において、組換え設計法を用いて、2つの天然で凝集しているが、化学的には分離している抗体可変領域の軽および重ペプチド鎖を、ネイティブ抗体構造に実質的に類似している三次元構造に折りたたまれているsFv分子に変換するための適切な化学構造(リンカー)を開発することができる。設計基準は、1つの鎖のC末端と他の鎖のN末端との間の距離にわたる適切な長さの決定を含む。この場合、リンカーは、コイルまたは二次構造を形成する傾向がない小親水性アミノ酸残基から一般的に形成される。そのような方法は、当技術分野で述べられている。例えば、Hustonらへの米国特許第5091513号および第5132405号ならびにLadnerらへの米国特許第4946778号を参照のこと。
【0145】
この点に関して、リンカー設計の最初の一般的な段階は、妥当と思われる結合部位の特定を含む。VHおよびVLポリペプチドドメインの各々の適切な結合部位は、ポリペプチドドメインからの残基の最小限の喪失をもたらし、分子の安定性の必要と一致する最小の数の残基を含むリンカーを必要とするものを含む。部位の対は、結合すべき「ギャップ」を定義する。1つのドメインのC末端を次のN末端に接続するリンカーは、一般的に生理学的溶液中で構造化されていない立体配置をとる親水性アミノ酸を含み、VHおよびVL鎖の適切な折りたたみを妨害するような大きい側基を有する残基を含まないことが好ましい。したがって、本発明による適切なリンカーは、一般的にグリシンおよびセリン残基の交互の組のポリペプチド鎖を含み、溶解度を増大させるために挿入されたグルタミン酸およびリシン残基を含んでいてよい。そのようなリンカー部分をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で知られている種々のオリゴヌクレオチド合成法を用いて容易に提供することができる。
【0146】
あるいは、ヒト化抗体フラグメントは、マウスモノクローナル抗体の抗原結合部位およびヒト抗体由来の可変領域フラグメント(抗原結合部位を欠く)を含んでいてよい。キメラおよびさらに遺伝子工学により改変したモノクローナル抗体の生産の方法は、Riechmannら(Nature 332:323頁、1988年)、Liuら(PNAS 84:3439頁、1987年)、Larrickら(Bio Technology 7:934頁、1989年)ならびにWinterおよびHarris(TIPS 14:139頁、1993年5月)に記載されている方法を含む。
【0147】
ヒト抗体を生産する1つの方法は、トランスジェニックマウスのようなヒト以外の動物を標的抗原で免疫化し、それにより、標的抗原に対して誘導される抗体を前記動物において生成させることを含む。ヒト以外の動物におけるヒト抗体を生成させる方法が開発された。抗体は、部分的にヒトであるか、または好ましくは完全にヒトであってよい。1つまたは複数のヒト免疫グロブリン鎖をコードする遺伝物質が導入されたヒト以外の動物(トランスジェニックマウスのような)を用いることができる。そのようなトランスジェニックマウスは、様々な方法で遺伝的に改変することができる。遺伝子操作により、免疫化により動物によって産生された少なくとも一部(好ましくは実際上すべて)の抗体における内因性免疫グロブリン鎖を置換したヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖が得られる可能性がある。標的抗原によりトランスジェニック動物を免疫化することにより産生された抗体を本明細書に示す。
【0148】
1つまたは複数の内因性免疫グロブリン遺伝子が種々の手段により不活性化されているマウスが作られた。ヒト免疫グロブリン遺伝子をマウスに導入して、不活性化マウス遺伝子を置換した。動物において産生された抗体は、動物に導入されたヒト遺伝物質によってコードされるヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を組み込んでいる。産生の技術およびそのようなトランスジェニック動物の使用の例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5814318号、第5569825号および第5545806号に記述されている。
【0149】
モノクローナル抗体は、通常の方法、例えば、免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から収集された不死化脾臓細胞により産生させることができる。通常の方法により、脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を生成させることができる。
【0150】
ハイブリドーマ細胞系を生成させる方法は、標的抗原の少なくとも7つの近接するアミノ酸残基を含む免疫原でそのようなトランスジェニック動物を免疫化する段階、収集した脾臓細胞を骨髄腫細胞系に融合させ、それにより、ハイブリドーマ細胞を生成させる段階、および標的抗原に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を特定する段階を含む。そのようなハイブリドーマ細胞系およびそれから産生されるモノクローナル抗体は、本発明により包含される。ハイブリドーマ細胞系により分泌されるモノクローナル抗体は、通常の技術により精製される。
【0151】
他の実施形態において、抗体フラグメントは、一連の競合的抗原の存在下で1組の抗原に対する非免疫ファージディスプレイ抗体レパートリーからの選択により産生させる(Stausbol-Gron B.ら、ファージディスプレイサブトラクションによる細胞型特異抗体−抗原対の新規の特定(De novo identification of cell-type specific antibody-antigen pairs by phage display subtraction)。ヒトケラチン14に対するヒト単鎖抗体フラグメントの分離(Isolation of a human single chain antibody fragment against human keratin 14)。Eur J Biochem 2001年5月、268(10):3099〜107頁)。このアプローチを用いて、標的抗原に対するファージ抗体を産生させることができる。プロトコールは、一般的にStausbol-Gron B.ら(2001年)により記載されたものに基づいている。簡単に述べると、非免疫化半合成ファージディスプレイ抗体レパートリーを用いる。該レパートリーは、loxライブラリーの重および軽鎖領域を再クローニングすることにより構築される単鎖Fv(scFv)ファージミドである(Griffiths A.D.ら(1994)大合成レパートリーからの高親和力ヒト抗体の直接的分離(Isolation of high affinity human antibodies directly from large synthetic repertoires, EMBO J. 13、3245〜3260頁)。大腸菌TG1(supE hsdD5Δ(lac−proAB)thiF’{traD36proAB+lacqlacZΔ15})は、アンバーサプレッサー株(supE)であり、ファージ粒子の増殖に用いる。大腸菌HB2151(araΔ(lac−proAB)thiF’{proAB+lac)qlacZΔ15})は、ノンサプレッサー株であり、可溶性scFvの発現に用いる。他の実施形態において、記載されているように、ヒト単鎖Fv(scFv)ライブラリーを増幅し、救出することができる(Gaoら、化学を感染力に関連づけることにより、化学を選択可
能にする(Making chemistry selectable by linking it to infectivity)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94巻、11777〜11782頁、1997年10月)。ライブラリーをPBS(10mMリン酸、150mM NaCl、pH7.4)に懸濁した標的抗原に対してパンニングし、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)により陽性scFvファージを選択する。
【0152】
他の実施形態において、組換え抗体、好ましくは単鎖Fv抗体をコードする発現ベクターを供給することにより、抗体を提供する。
【実施例】
【0153】
(実施例1)
図1は、外側から内側に、外側原線維層110、外側マンノプロテイン層120、β−グルカン層130、β−グルカン−キチン層140、内側マンノプロテイン層150、原形質膜160および細胞質170を示す酵母細胞壁の横断切片の概略図100である。
【0154】
WGP粒子の調製
全グルカン粒子(WGP、ロットW0282)は、事前にAlpha-Beta Technologyから入手した。一般的に、全グルカン粒子は、酵母細胞壁からアルカリ不溶性グルカン画分を抽出し、精製することにより酵母細胞から調製する。酵母細胞を酵母細胞壁を破壊することなく水性水酸化物溶液で処理して、細胞のタンパク質および細胞内部分を消化し、有意なタンパク質の混入がなく、β(1−6)およびβ(1−3)結合グルカンの実質的に不変の細胞壁構造を有するグルカン壁成分を残す。酵母細胞(サッカロミセス セレビシエ 株R4)をフェドバッチ発酵条件下で最少培地中で対数増殖期中期まで増殖させた。2000rpmで10分間のバッチ遠心分離により、細胞(約90g乾燥細胞重量/L)を収集した。次いで、細胞を蒸留水で1回洗浄し、1リットルの1M NaOHに再懸濁し、90℃に加熱した。細胞懸濁液をこの温度で1時間激しく攪拌した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの1M NaOHに再懸濁し、90℃に再び加熱した。懸濁液をこの温度で1時間激しく攪拌した。次いで、懸濁液を室温に冷却し、抽出をさらに16時間続けた。2000rpmで10分間の遠心分離により、不溶性残留物を回収した。この物質をHClでpH4.5とした1リットルの水で75℃で1時間最終的に抽出した。不溶性残留物を遠心分離により回収し、200mLの水で3回、200mLのイソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、減圧下で55℃で乾燥して7.7gの微細白色粉末を得た。
【0155】
全グルカン粒子およびそれらを調製する方法のより詳細は、教示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4810646号、第4992540号、第5028703号、第5607677号および第5741495号に見いだすことができる。例えば、米国特許第5028703号は、酵母WGP粒子は発酵培養における酵母細胞から生成することができることを開示している。Sorval RC2−B遠心分離機で8000rpmで20分間遠心分離して細胞を収集した。次いで、全グルカンの抽出のためにそれらを調製するために細胞を蒸留水で2回洗浄した。最初の段階は、細胞塊を1リットルの4重量/体積%NaOHに再懸濁し、100℃に加熱することを必要とした。細胞懸濁液をこの温度で1時間激しく攪拌した。2000rpmで15分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を2リットルの3重量/体積%NaOHに再懸濁し、75℃に加熱した。懸濁液をこの温度で3時間激しく攪拌した。次いで、懸濁液を室温に冷却し、抽出をさらに16時間続けた。2000rpmで15分間の遠心分離により、不溶性残留物を回収した。この物質をHClでpH4.5とした2リットルの3重量/体積%NaOHで75℃で1時間最終的に抽出した。遠心分離により不溶性残留物を回収し、200mLの水で3回、200mLの脱水エタノールで1回、200mLの脱水エチルエーテルで2回洗浄した。得られたスラリーをペトリプレートにのせ、乾燥した。
【0156】
YGMP粒子の調製
サッカロミセス セレビシエ(100g Fleishmans Bakers酵母)を1リットルの1M NaOHに懸濁し、55℃に加熱した。細胞懸濁液をこの温度で1時間混合した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの水に懸濁し、HClでpH4〜5とし、55℃で1時間インキュベートした。不溶性残留物を遠心分離により回収し、1000mLの水で1回、200mLの脱水イソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、室温で乾燥して12.4gのわずかに灰色がかった白色の微細な粉末を得た。
【0157】
YGMP粒子の調製
サッカロミセス セレビシエ(75g SAF−マンナン)を1リットルの水に懸濁し、1M NaOHでpH12〜12.5に調整し、55℃に加熱した。細胞懸濁液をこの温度で1時間混合した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの水に懸濁し、HClでpH4〜5とし、55℃で1時間インキュベートした。不溶性残留物を遠心分離により回収し、1000mLの水で1回、200mLの脱水イソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、室温で乾燥して15.6gのわずかに灰色がかった白色の微細な粉末を得た。
【0158】
YCP粒子の調製
American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、ヴァージニア州)から入手した培養物から得られた酵母細胞(ロドトルラ(Rhodotorula)属の種)をYPDで30℃で定常期まで嫌気的に増殖させた。TCCから入手可能なロドトルラ属の種の培養は、番号886、917、9336、18101、20254、20837および28983を含んでいる。2000rpmで10分間のバッチ遠心分離により、細胞(1L)を収集した。細胞を蒸留水で1回洗浄し、HClでpH4.5とした水に75℃で1時間再懸濁した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの1M NaOHに再懸濁し、90℃に1時間加熱した。次いで、懸濁液を室温に冷却し、抽出をさらに16時間続けた。2000rpmで15分間の遠心分離により、不溶性残留物を回収し、1000mLの水で2回、200mLのイソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、室温で乾燥して2.7gの微細な淡褐色粉末を得た。
【0159】
図2Aは、酵母細胞壁粒子の構造を示す図である。図2Bは、酵母細胞壁粒子のマンナン成分のコンカナバリン−A−FITC(Con−A−フルオレセインイソチオシアネート、Sigma Chemical, St.Louis, ミズーリ州)染色を示す蛍光顕微鏡写真である。図2Cは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Dは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子の強調Con−A−FITC染色を示す蛍光顕微鏡写真である。図2Eは、YGPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Fは、YGPβ−グルカン粒子のCon−A−FITC染色の非存在を示す蛍光顕微鏡写真である。
【0160】
コンカナバリンAは、マンノースに選択的に結合するレクチンである。種々の酵母細胞壁調製物の表面上のマンナンの量および分布パターンを観測するために、コンカナバリンA−FITC結合を蛍光顕微鏡により評価した。PBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2中パン酵母(Fleishmansパン酵母)、YGMPおよびYGPの懸濁液を1×108粒子/mlの密度で調製した。Con−A−FITC保存溶液は、PBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2中1mg/mlコンカナバリンA−FITCであった。以下の成分からなる標識混合物をマイクロ遠心管中で調製した。
【0161】
100μlのPBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2
2.5μlの酵母細胞壁粒子懸濁液
2.5μlのCon−A−FITC保存溶液
【0162】
標識混合物を含むマイクロ遠心管を暗所で室温で1時間インキュベートした。遠心分離(10,000rpmで10分間)により酵母細胞壁粒子を収集した後、ペレットを100μlのPBSで3回洗浄した。洗浄した酵母細胞壁粒子を100μlのPBSに再懸濁し、蛍光顕微鏡で検査するために96ウェルプレートに移した。実例としての視野の写真を図2B、2Dおよび2Fに示す。
【0163】
表1に上述のように調製したWGP粒子、YGP粒子、YGMP粒子およびYCP粒子の化学組成の分析の結果を要約する。YGP粒子およびYGMP粒子は従来技術のWGP粒子と比較して低β−グルカンおよび高タンパク質であることに注意すること。YGMP粒子は、他の粒子型と比較して実質的に高いマンナン含量を有する。YGP粒子は、他の粒子型と比較して実質的に高いキチン+キトサン含量を有する。
【表1】
【0164】
(実施例2 酵母細胞壁粒子の流体力学的体積)
酵母細胞壁粒子の流体力学的体積は、粒子のペイロード容量の尺度として測定した。酵母細胞壁粒子の1gずつを風袋控除15ml遠心管中で重量を測定して、乾燥粒子の重量を測定した。水(12.5ml)を遠心管に加え、遠心管をボルテックスミキサーにかけて酵母細胞壁粒子の懸濁液を混合した。粒子を膨潤させ、水を30分間吸収させた。粒子懸濁液を2000rpmで10分間遠心分離した。水を除去し、遠心管を秤量し、吸収された水の重量を計算した。流体力学的体積は、吸収された水の重量と乾燥粒子の重量との比として計算した。表2に従来技術のWGPの2つの調製物ならびに本発明のYGPおよびYGMPの結果を示す。
【表2】
【0165】
WGP調製物2の流体力学的体積がより低いことは、この調製物中の断片化した粒子の数が多いためと思われる。他の粒子に関しては、「より純粋な」YGPはYGMPより高い流体力学的体積を有していた。
【0166】
一般的に、酵母細胞壁粒子によるペイロードの定量的吸収を確保するために、ペイロードの体積を流体力学的体積の66%未満に制限した。この規則により、1mgのYGM粒子当たり5.5μl以下のペイロードが添加され、1mgのYGMP粒子当たり4.4μl以下のペイロードが添加されるであろう。
【0167】
(実施例3 YGMおよびYGMPの経口バイオアベイラビリティ)
蛍光標識酵母グルカン粒子(YGP−F)および蛍光標識酵母グルカン−マンナン粒子(YGMP−F)を取込み試験用に調製した。出発材料は、5mlのYGP(0.1Mホウ酸緩衝液、pH8中5mg/ml)、5mlのYGMP(0.1Mホウ酸緩衝液、pH8中5mg/ml)、新たに調製したDMSO中20mg/mlジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン(DTAF)および0.1Mホウ酸緩衝液、pH8であった。
【0168】
標識反応を25mgのスケールで行った。25mgずつの粒子を5mlの0.1Mホウ酸緩衝液、pH8に懸濁し、音波処理して粒子の凝集塊を単一粒子に分解した。粒子を遠心分離し、5mlの0.1Mホウ酸緩衝液、pH8に再懸濁した。DTAF(0.5ml、20mg/ml)を再懸濁粒子に加え、37℃で2日間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、5mlの1Mトリス緩衝液、pH8.3を加え、混合物を30分間インキュベートしてDTAFを消光させた。インキュベートした粒子を遠心分離し、上清が蛍光を発しなくなるまで、PBSで洗浄した。洗浄済み粒子を5mg/mlでPBSに再懸濁した。試料の一部の1:100希釈物中の粒子の数を数えた。結果:強い蛍光を発する酵母細胞壁粒子が1ml当たり1.8×109YGP−F粒子および1ml当たり2.1×109YGMP−F粒子の濃度で得られた。
【0169】
ペイロードの食作用粒子取込みがマンノース受容体ならびにCR3/デクチン−1βグルカン受容体により標的とされ得るかどうかを検討するために、酵母グルカン粒子の経口バイオアベイラビリティに対する表面炭水化物組成の影響を試験した。いずれかまたは両受容体を標的にする能力は、細胞の標的集団をマクロファージおよび樹状細胞を超えて拡大することができる。
【0170】
投与群を下の表3に要約する。出発材料は、FITC標識酵母グルカン粒子(YGP−F)、FITC標識酵母グルカン−マンナン粒子(YGMP−F)、7匹のC57Blackマウスの群および7匹のC57/B16マウスであった。0.1mlのPBS中同等の数の粒子を投与するためにYGP−F(1mg/ml)およびYGMP−F(3.7mg/ml)の用量を準備し、各群の1匹のマウスに5日間毎日強制経口投与した。各群の1匹のマウスに0.1mlの皮下注射により同じ用量を5日間毎日投与した。4日目にケージを交換し、新しい床敷きを与えた。5日目に各群から糞便ペレットを15mlコニカル管に収集し、後の処理のために凍結した。糞便ペレットは、5mlの水を加え、4℃で2時間保持して処理した。水和糞便ペレットをPolytronホモジナイザーでホモジナイズした。ホモジナイズした糞便ペレットの希釈物を96ウェルマイクロタイタープレートに入れ、蛍光および透過白色光条件下で蛍光性粒子の存在を顕微鏡により検査した。蛍光性粒子を有する試料の一部をさらに希釈し、1ml当たりの蛍光性粒子の数を血球計で数えた。
【0171】
7日目にマウスを屠殺し、各動物から脾臓を摘出し、氷上のPBSを含む個別の管に入れた。脾臓を鋏で細切し、70ミクロンスクリーンに押し当てて通過させ、単一細胞懸濁液を生成させた。単一細胞懸濁液の一部を保持し、FACSを用いて蛍光性粒子で標識した細胞の分率を定量するためにPBS中1%ホルマリンで固定した。マクロファージマーカーに対するフィコエリトリン(PB)標識抗体、好ましくは、赤脾髄マクロファージ、クッパー細胞、小グリアおよびランゲルハンス細胞を染色するマウス−1(F4/80)を用いて細胞懸濁液を染色した。
【0172】
細胞懸濁液を、10%ウシ胎児血清(JRH Scientific)、ペニシリン−ストレプトマイシンおよびグルタミン(Gibco)を含むDMEM中で60mmペトリ皿当たり107細胞の密度で平板培養し、5%CO2雰囲気中37℃で24時間インキュベートし、付着させた。インキュベーション後、非付着リンパ球を洗い流した。付着した脾マクロファージ細胞をトリプシン処理し、固定し、蛍光顕微鏡を用いて蛍光性粒子を有する付着細胞の分率を算定した。
【0173】
蛍光性粒子の投与の忍容性は良好であった。付着脾マクロファージの分析により、すべての蛍光性粒子投与動物における蛍光性酵母細胞壁粒子の存在が実証された。これらの結果から、YGP−FおよびYGMP−Fは経口で生物学的に利用可能であり、マクロファージによって全身に分布させることができることがわかる。糞便の分析により、蛍光性粒子の存在が示され、用いた用量レベルでは経口吸収が不完全であったことがわかる。C57/B16マウスは、経口投与したYGP−FおよびYGMP−Fを吸収することができた。糞便中の蛍光性粒子の数を取込み効率の推定値として定量化した。
【表3】
【0174】
(実施例4:キトサン添加YGP粒子の調製)
陽イオン捕捉ポリマーであるキトサンを用いてYGP粒子を調製した。高分子量(HMW)キトサン(約70,000MW、Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)または低分子量(HMW)キトサン(約10,000MW、Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)を用いて1重量/体積%キトサン溶液を調製した。0.1M酢酸中1重量/体積%HMWおよびLMWキトサン溶液を、0.1M酢酸中で調製した。4mlのHMWおよびLMWキトサン溶液を50mlコニカル遠心管に入れた2gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を室温で1時間インキュベートし、液体を吸収させた。NaOH(40ml、0.1M)を各遠心管に加え、直ちにボルテックスミキサーにかけて、YGPの内部でキトサンを沈殿させた。YGP:キトサン懸濁液を18ゲージ針に通して、YGP:キトサン粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:キトサン粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した後、上清のpHが7〜8になるまで脱イオン水でペレットを洗浄した。次いで、YGP:キトサン粒子をペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:キトサン粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により1.2gのYGP:LMWキトサン粒子および1.4gのYGP:HMWキトサン粒子が得られた。
【0175】
(実施例5:CytoPure(商標)添加YGP粒子の調製)
独占権下にある市販の水溶性陽イオンポリマートランスフェクション試薬(Qbiogene Inc., カリフォルニア州)である生分解性陽イオン捕捉ポリマーCytoPure(商標)を用いてYGP粒子を調製した。20μlのCytoPure(商標)を0.5mlの脱イオン水で希釈し、50mlコニカル遠心管に入れた0.5gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を4℃で15分間インキュベートし、液体を吸収させた。25mlのエタノールを各遠心管に加え、直ちにボルテックスミキサーにかけて、YGPの内部でCytoPure(商標)を沈殿させた。YGP:CytoPure(商標)懸濁液を音波処理して、YGP:CytoPure(商標)粒子の微細な懸濁液を生成させた。YGP:CytoPure(商標)粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した後、ペレットをペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:CytoPure(商標)粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により0.45gのYGP:CytoPure(商標)粒子が得られた。
【0176】
(実施例6:ポリエチレンイミン添加YGP粒子の調製)
陽イオン捕捉ポリマーとしてのポリエチレンイミン(PEI)を用いてYGP粒子を調製した。水中2重量/体積%PEI(約50,000MW、Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)溶液の0.5mlずつを50mlコニカル遠心管に入れた0.5gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を室温で1時間インキュベートし、液体を吸収させた。25mlのエタノールを各遠心管に加え、直ちにボルテックスミキサーにかけて、YGPの内部でPEIを沈殿させた。YGP:PEI懸濁液を18ゲージ針に通して、YGP:PEI粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:PEI粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した後、ペレットをペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:PEI粒子をドラフト内室温で乾燥した。この手順により0.48gのYGP:PEI粒子が得られた。
【0177】
(実施例7:アルギン酸塩添加YGP粒子の調製)
陽イオン捕捉ポリマーとしてのアルギン酸塩(F200またはF200L、Multi-Kem Corp., Ridgefield, ニュージャージー州)を用いてYGP粒子を調製した。水中1重量/体積%アルギン酸塩溶液の2mlずつを50mlコニカル遠心管に入れた1gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を室温で1時間インキュベートし、液体を吸収させた。混合物を40mlの1重量/体積%塩化カルシウム水溶液で希釈した。YGP:アルギン酸塩懸濁液を18ゲージ針に通して、YGP:アルギン酸塩粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:アルギン酸塩粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した。YGP:アルギン酸塩粒子をペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:アルギン酸塩粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により0.95gのYGP:F200アルギン酸塩粒子および0.86gのYGP:F200Lアルギン酸塩粒子が得られた。
【0178】
(実施例8:ポリ−L−リシン添加YGPおよびYGMP粒子の調製)
捕捉ポリマーとしてのポリ−L−リシン(PLL)を用いてYGPおよびYGMP粒子を調製した。水中1重量/体積%PLL(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)溶液の4mlずつを50mlコニカル遠心管に入れた1gのYGPまたはYGMPに加えた。混合物を55℃で30分間インキュベートして、液体を吸収させた。10mlのエタノールを各遠心管に加え、ホモジナイズ(Polytronホモジナイザー)してYGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した。YGP:PLLまたはYGMP:PLLをペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により1.3gのYGP:PLL粒子および1.1gのYGMP:PLL粒子が得られた。顕微鏡による評価で、遊離のPLL凝集体は存在せず、YGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子のみが示された。
【0179】
(実施例9:キサンタン添加YGPおよびYGMP粒子の調製)
陰イオン捕捉ポリマーとしてのキサンタンを用いてYGPおよびYGMP粒子を調製した。水中1重量/体積%キサンタン溶液の4mlずつを55℃に加熱して粘度を低下させ、50mlコニカル遠心管に入れた1gのYGPまたはYGMPに加えた。混合物を55℃で30分間インキュベートした。10mlのエタノールを各遠心管に加え、ホモジナイズ(Polytronホモジナイザー)してYGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した。YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子をペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により1.2gのYGP:キサンタン粒子および1.1gのYGMP:キサンタン粒子が得られた。顕微鏡による評価で、遊離のPLL凝集体は存在せず、YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子のみが示された。
【0180】
(実施例10:YGP:キトサンおよびYGP:アルギン酸塩が荷電色素に結合する能力の評価)
YGP:キトサンおよびYGP:アルギン酸塩粒子を上の実施例7および9で述べたように調製した。トリパンブルー(Benzamineブルー、CI23850)、陰イオン色素およびキシレンシアノール(アシドブルー、陽イオン色素)の0.1重量/体積%水溶液を調製した。50μlずつの0.1重量/体積%色素水溶液をマイクロ遠心管に入れた10mgのYGP、YGP:キトサンまたはYGP:アルギン酸塩に加え、混合物を室温で1時間インキュベートした。上清溶液がもはや呈色しなくなるまで、ペレットを脱イオン水で洗浄した。ペレットの色を評価した。結果を下の表4に示す。
【表4】
【0181】
YGP内部の不溶性捕捉ポリマー間の静電相互作用は、反対の荷電をもつ低分子量モデル色素ペイロードに結合することができた。
【0182】
(実施例11:物理的閉じ込めにより分子を捕捉するためのYGP:アガロースの使用)
ペイロードをYGP中に捕捉する手段としての物理的閉じ込めを評価するために、YGP:アガロースを調製した。アガロース(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)のTE中2重量/体積%溶液を調製し、50℃に冷却した。サケ精子DNAのTE中1mg/ml保存溶液をTEまたは50℃の1%アガロースで0.5mg/mlDNAに希釈した。500mgずつのYGPを500μlのTE中DNAまたは500μlの50℃アガロース中DNAと混合し、混合物を50℃で1時間インキュベートした。次いで、混合物を冷蔵庫で1時間冷却してアガロースを固化した。1時間後に、10mlのTEを加え、冷蔵庫中で一夜インキュベートした。次いで、混合物を遠心分離し、上清中のDNAを260nmでの吸収により測定した。加えたDNAの約80%以上がYGP:アガロースにより保持されたのに対して、YGP:TE対照により1%未満が保持された。これらの結果から、アガロースは物理的閉じ込めによりDNAをYGPの内側に効果的に捕捉することがわかる。
【0183】
(実施例12:物理的閉じ込めにより分子を捕捉するためのYGP:ポリアクリルアミドの使用)
ペイロードをYGP中に捕捉する手段としての物理的閉じ込めを評価するために、YGP:ポリアクリルアミドを調製した。サケ精子DNAのTE中1mg/ml保存溶液をTE中または30%ポリアクリルアミド/ビス(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)で0.5mg/mlDNAに希釈した。TEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)を各DNA混合物に加え(1μlのTEMEDを5mlのDNA溶液に)、各溶液の2mlずつを1gのYGPに加えた。混合して均一な懸濁液を形成させ、室温で3時間インキュベートした。3時間インキュベートした後、10mlのTEAを加え、冷蔵庫中で一夜インキュベートした。次いで、混合物を遠心分離し、上清中のDNAを260nmでの吸収により測定した。加えたDNAの約95%以上がYGP:ポリアクリルアミドにより保持されたのに対して、YGP:TE対照により1%未満が保持された。これらの結果から、ポリアクリルアミドは物理的閉じ込めによりDNAをYGPの内側に捕捉するのに用いるための有効な捕捉ポリマーであることがわかる。
【0184】
(実施例13:小分子テトラサイクリンのYGP内への添加)
テトラサイクリンのカルシウム塩の相対的不溶性を用いて抗生物質テトラサイクリン(tet)をYGPに添加した。用いた酵母細胞壁粒子は、上述のように調製したYGP、YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩であった。保存溶液は、1M CaCl2および100mg/mlテトラサイクリンHCl(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)であった。添加混合物は、下の表5に要約するように準備した。
【表5】
【0185】
混合物を室温で30分間インキュベートし、次いで、示したように脱イオン水または1M CaCl2を加えた。室温で60分後、混合物を音波処理し、室温で少なくとも30分間インキュベートした。次いで、混合物を遠心分離し(2000rpmで10分間)た。テトラサイクリンの存在はペレットの黄色および最初の上清の黄色により示された。酵母細胞壁粒子内に添加されたテトラサイクリンの量は、テトラサイクリン吸収スペクトルのピークである355nmでの吸収の喪失から計算した。4μlの100mg/mlテトラサイクリンHCl保存溶液の200μlの脱イオン水による希釈物は、脱イオン水ブランクと比較して355nmで0.538の吸光度を有していた。添加酵母細胞壁粒子からPBSまたは0.1M HCl中へのテトラサイクリンの放出も分光光度法により測定した。
【0186】
結果を上の表5に要約する。一般的に、YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩ペレットは洗浄後に黄色であったが、YGPペレットは黄色でなかったことから、捕捉ポリマーの非存在下ではテトラサイクリンはあるとしてもほとんど塩酸塩またはカルシウム塩として添加されないことがわかる。これに対して、テトラサイクリンはYGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩製剤に有効に添加され、捕捉され、加えたテトラサイクリン添加量の約25〜30%がアルギン酸カルシウム塩として吸収された。捕捉されたテトラサイクリンは、YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩から0.1M HCl中に放出された。捕捉されたテトラサイクリンは、PBS中YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩に37℃で1時間部分的に保持され、その値は0.1M HClで抽出可能な量の約26.5〜51.6%であった。
【0187】
要約すると、テトラサイクリンは、YGP−アルギン酸塩−カルシウム組成物にアルギン酸カルシウム塩複合体として容易に捕捉されたが、YGPのみには有効に添加かつ保持されなかった。YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩にアルギン酸カルシウム塩複合体として捕捉されたテトラサイクリンは、PBS中に37℃で徐々に放出され、酸性条件下では実質的に放出される。
【0188】
(実施例14:J774マクロファージのin vitro微生物死滅の増大におけるTetおよびYGP:Tetの有効性)
YGP:アルギン酸塩−tetを上の実施例13で述べたように調製した。保存溶液1ml当たりのYGPおよびYGP:アルギン酸塩−tetの粒子の数は、それぞれ9×107/mlおよび6×108/mlであった。
【表6】
【0189】
上の表6に要約したように、1mlのマウスマクロファージJ774(5×105/ml)を種々の濃度のYGP、YGP:アルギン酸塩−tetまたはテトラサイクリンと混合した。
【0190】
J774細胞は、培地(抗生物質またはグルタミンを含まない10%ウシ胎児血清を含むDMEM)中一夜培養した。培養物を培地単独、培地で希釈したテトラサイクリンまたは培地で希釈した粒子とともに回転させながら37℃で1時間インキュベートして、粒子の食作用をもたらした。微生物死滅検定は、96ウェルプレートで行った。培養物を培地で希釈し、一夜インキュベートして、食作用を受けたYGP:アルギン酸塩−tetからtetを放出させた。表6に示すように細菌チャレンジを加え、培養物をCO2インキュベーター中で37℃で2時間インキュベートして、J774マウスマクロファージによる黄色ブドウ球菌(S. aureus)食作用および死滅を可能にした。このインキュベーションの後、200μlのLBブロス(Luria-Bertaniブロス:1.0%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl)を各培養物に加えて、マクロファージを溶解した。培養物をインキュベーター中で37℃でインキュベートして、生存黄色ブドウ球菌の成長を可能にした。成長は、フェノールレッドにより示されるpHの変化によりモニターした。YGP、YGP:アルギン酸塩−tetまたはテトラサイクリンの効果を比較した。結果は、表6の右の2つ欄に示す。
【0191】
約7.5×106YGP:アルギン酸塩−tet粒子は、約2.5μg/mlテトラサイクリンHClとほぼ同等のマクロファージに対する効果をもたらした。マクロファージ単独は、いずれかの方式でテトラサイクリンで処理したマクロファージより比較的有効性が低く、空のYGPのみで処理したマクロファージとほぼ同様に有効であった。溶液中遊離のテトラサイクリンと組み合わせたマクロファージは、テトラサイクリン単独より大幅には有効でなかった。YGP:アルギン酸塩−tet粒子で処理したマクロファージは、有意な相乗作用を示した。一般的に、結果は、J774マクロファージ細胞内へのテトラサイクリンの食胞送達は黄色ブドウ球菌に対するJ774マクロファージ細胞の死滅能を増大させることを示している。
【0192】
(実施例15:YGP内へのタンパク質の添加)
治療用ペプチドもしくはタンパク質、ワクチン抗原または他のペプチドもしくはタンパク質の貯留、輸送および送達に関する本発明の送達システムの有用性をウシ胎児血清の混合タンパク質を用いて評価した。用いた酵母細胞壁粒子は、上述のように調製したYGP、YGP−PEIおよびYGP−キトサンであった。保存溶液は、45ng/μlウシ胎児血清(FCS)(Fetal Bovine Serum, JRH Biosciences, Lenexa, カンザス州)、TE中0.2%PEI(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)、0.05Mリン酸緩衝液、pH7.2(P緩衝液)および0.05Mリン酸緩衝液、pH7.2、1M NaCl(P+塩緩衝液)であった。
【0193】
表7に示すように4μlのFCSをマイクロ遠心管に入れた1mgのYGP、YGP−PまたはYGP−CNに加え、得られた混合物を室温で60分間インキュベートして、液体を粒子により吸収させた。インキュベーションの後、表7に示すように200μlのリン酸緩衝液または200μlのPEIを加え、得られた混合物を室温で60分間インキュベートした。インキュベーションの後、0.5mlのリン酸緩衝液を加え、さらに5分間インキュベートした後、遠心管を音波処理して単一粒子を生じさせた。10,000rpmで10分間遠心分離して粒子をペレットとし、上清を除去して新しい管に入れた。0.5mlの0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2+1M NaClをペレットに加え、さらに5分間インキュベートした後、遠心管を10,000rpmで10分間遠心分離し、高濃度塩溶出上清を除去して新しい管に入れた。上清のタンパク質含量を280nmでの吸光度により測定した。
【表7】
【0194】
タンパク質添加結果を表8に示す。捕捉分子を含まないYGP粒子は、示したタンパク質の5%を捕捉したにすぎなかった。最初にFCSタンパク質を添加し、次いで、PEIに曝露したYGP粒子は、タンパク質添加の47%を保持した。タンパク質添加に曝露する前にPEIまたはキトサンのような捕捉ポリマーを前添加したYGP粒子は、タンパク質添加のそれぞれ68%および60%を保持した。
【表8】
【0195】
結果から、血清タンパク質は、捕捉ポリマーを含まないYGP内に有効に添加かつ捕捉されないことがわかる。ペイロードタンパク質に曝露する前に捕捉ポリマーを前添加したYGPを用いることにより、タンパク質の捕捉の増加がもたらされた。あるいは、タンパク質は、最初にタンパク質を添加し、次いで、可溶性捕捉ポリマーを加えて、タンパク質を粒子内に封鎖することにより、YGP内部に捕捉することができる。
【0196】
(実施例16:DNAをYGP内に添加する様々な方法の比較)
サケ精子DNAを、YGP、低分子量(LMW)キトサンを含むYGPまたは高分子量(HMW)キトサンを含むYGP内に添加するいくつかの方法を評価した。
【0197】
a.毛細管添加後のエタノール沈殿
サケ精子(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)を18ゲージ針に40回通過させてせん断し、50mM TE(トリス−HCl、pH8.2、2mM EDTA)で0.1mg/mlに希釈した。DNA溶液の添加体積を決定し、実施例2のように100mgずつのYGP、YGP:LMWキトサンまたはYGP:HMWキトサンと遠心管中で2系列で混合し、1時間インキュベートした。各管に1.5mlのエタノールを加えて、インキュベートした混合物をエタノール沈殿させた。2000rpmで10分間遠心分離して、不溶性生成物を収集した。10mlのTEを各管に加え、37℃で1時間インキュベートし、2000rpmで10分間遠心分離して不溶性YGPを沈降させ、上清のDNA含量を260nmでの吸光度により測定した。YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0198】
b.吸収によるDNA添加
添加量のDNA溶液を実施例4aのように100mgずつのYGP、YGP:LMWキトサンまたはYGP:HMWキトサンと遠心管中で2系列で混合し、1時間インキュベートした。10mlのTEを各管に加え、37℃で1時間インキュベートし、2000rpmで10分間遠心分離して不溶性YGPを沈降させた。上清のDNA含量を260nmでの吸光度により測定した。YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0199】
c.CTAB捕捉によるDNA添加
添加量のDNA溶液を実施例4aのように100mgずつのYGP、YGP:LMWキトサンまたはYGP:HMWキトサンと遠心管中で2系列で混合し、1時間インキュベートした。1.5mlの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても知られている)溶液を各管に加えて、インキュベートした混合物を沈殿させた。10mlのTEを各管に加え、37℃で1時間インキュベートし、2000rpmで10分間遠心分離して不溶性YGPを沈降させた。上清のDNA含量を260nmでの吸光度により測定した。YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0200】
YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0201】
結果を下の表9に示す。
【表9】
【0202】
単純DNA添加または沈殿によっては、DNAをYGP内に添加し、捕捉することはできなかった。これに対して、陽イオン捕捉ポリマーであるキトサンを用いることによって、DNAをYGP内に捕捉することができるキトサン−DNA複合体が形成された。さらに、陽イオン物質であるCTABを用いてDNAをYGP内に有効に捕捉することができる。
【0203】
(実施例17:DNAの添加および捕捉)
0.1M炭酸緩衝液pH9.2中サケ精子DNAの1mg/ml溶液の1mlと10mM炭酸緩衝液pH9.2中DTAFの1mg/ml懸濁液の100μlを混合して、蛍光性サケ精子DNAを調製した。37℃で一夜インキュベートした後、200μlの1Mトリス−HClpH8.3を加え、室温で15分間インキュベートした。次いで、100μlのNaClおよび3mlのエタノールを加えて、DNAをエタノール沈殿させた。−20℃で一夜保存した後、10,000rpmで15分間遠心分離してエタノール沈殿物を収集した。エタノール沈殿物を上清が透明になるまで70%エタノールで洗浄し、1mlのTEに再懸濁した。
【0204】
YGP懸濁液を室温で30分間インキュベートした。インキュベートした後、0.45mlの95%エタノールを1組(YGP、YGP−P、YGPキトサン)の3本の試験管に加え、0.2mlの2%PEIを2組の3本の試験管に加え、0.2mlの2%CTABを他の組の3本の試験管に加えた。室温で30分間インキュベートした後、0.2mlの2%CTABを1組のPEI管に加え、さらに30分間インキュベートした。エタノール(1ml、95%)を加え、YGPsを−20℃で一夜保存した。YGP懸濁液を70%エタノールで洗浄し、0.5mlのFBSに再懸濁した。結果を蛍光顕微鏡により評価し、表10に示す。
【表10】
【0205】
捕捉ポリマーを用いない単純エタノール沈殿のみを用いた場合、蛍光標識DNAの有意な捕捉は起こらなかったことから、従来技術はDNA送達システムとして有効でないことがわかる。陽イオン捕捉ポリマーPEIもしくはキトサン、またはYGP内の陽イオン界面活性剤CTAPにより、蛍光標識DNAが明らかに捕捉された。YGP:PEI;DNA:CTAB、YGP:キトサン:DNA:CTABまたはYGP:DNA:PEI:CTABのような捕捉ポリマーとCTABの組合せを用いた場合、最善のDNA捕捉が起こった。
【0206】
(実施例18:蛍光標識プラスミドDNA添加および捕捉)
マウスマクロファージ由来細胞系であるJ774細胞におけるコードされたEGFPのトランスフェクションおよび発現のためにpIRESプラスミドを含むYGPを調製した。用いた陽イオン捕捉物質は、ポリエチレンイミン(PEI)のような陽イオンポリマー、独占権下にある市販の水溶性陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるCytoPure(商標)(Qbiogene Inc., カリフォルニア州)、キトサンおよび陽イオン界面活性剤臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)などであった。好ましいPEIは、市販の線状ポリエチレンイミン陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるJetPEI(Qbiogene Inc., カリフォルニア州)である。
【0207】
pIRES−EGFP(Clonetech, カリフォルニア州)は、MCSおよびEGFP(緑色蛍光タンパク質)コーディング領域間に脳心筋炎ウイルス(ECMV)の内部リポソームエントリー部位を含む。これにより、問題の遺伝子(MCSにクローンされる)およびEGFPが単一2シストロン性mRNAから翻訳される。pIRES−EGFPは、EGFPおよび問題の他のタンパク質を発現する一時的にトランスフェクトされた細胞の効果的な選択(フローサイトメトリまたは他の方法により)のために設計されている。高レベルの問題のタンパク質を発現する細胞の選択を最適化するために、pIRES−EGFPは、部分的不能IRES配列(1)を用いる。この減弱IRESが、クローン化遺伝子と比較してEGFP開始コドンにおける翻訳開始の速度の低下につながる。これにより、EGFPの翻訳の最適以下の速度を補償するためにmRNAおよびひいては標的タンパク質が高レベルで産生される細胞の選択が可能になる。このベクターは、EGFPのみを発現させるために、または時間を要する薬物およびクローンの選択を行わずに安定にトランスフェクトされる細胞系を得るために用いることもできる。EGFPは、哺乳類細胞においてより高輝度の蛍光およびより高い発現を得るために最適化された野生型GFPの赤色シフト変異体である。(励起極大=488nm、放射極大=509nm)EGFPは、Phe−64からLeuへの、およびSer−65からThrへのアミノ酸置換を含むGFPmut1変異体をコードする。これらの突然変異は、主としてタンパク質保持特性および発色団形成の効率が改善するためにGFPの輝度および溶解度を増加させる。EGFPは、好ましいヒトコドンによってほぼ完全に構成される翻訳領域も含む。これは、野生型GFPと比較して、真核細胞におけるより効率の高い翻訳とひいてはより高い発現レベルにつながる。
【0208】
調製した溶液は、水中0.72μg/μlのpIRES EGFPプラスミドDNA、TE中0.2重量/体積%PEI(Sigma)、2μl CytoPure(Qbiogene)+48μl 0.15M NaCl、2μl JetPEI(Qbiogene)+48μl TE、TE中0.2%スペルミジン、2%(水性)CTABおよびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であった。
【0209】
蛍光性pIRESプラスミドDNAは、0.1M炭酸緩衝液pH9.2中pIRES DNAの1mg/ml溶液の1mlと10mM炭酸緩衝液pH9.2中DTAFの1mg/ml懸濁液の100μlとを混合して調製した。37℃で一夜インキュベートした後、200μlの1Mトリス−HCl pH8.3を加え、室温で15分間インキュベートした。次いで、100μlの1M NaClおよび3mlのエタノールを加えて、DNAをエタノール沈殿させた。−20℃で一夜保存した後、10,000rpmで15分間遠心分離してエタノール沈殿物を収集した。エタノール沈殿物を上清が透明になるまで70%エタノールで洗浄し、1mlのTEに再懸濁した。
【0210】
YGP懸濁液を室温で30分間インキュベートした。インキュベートした後、0.45mlの95%エタノールを1組(YGP、YGP−P、YGPキトサン)の3本の試験管に加え、0.2mlの2%PEIを2組の3本の試験管に加え、0.2mlの2%CTABを他の組の3本の試験管に加えた。室温で30分間インキュベートした後、0.2mlの2%CTABを1組のPEI管に加え、さらに30分間インキュベートした。エタノール(1ml、95%)を加え、YGPsを−20℃で一夜保存した。YGP懸濁液を70%エタノールで洗浄し、0.5mlのFBSに再懸濁した。
【0211】
実施例14で述べたように、J774マウスマクロファージを6ウェルプレートにウェル当たり2.5×105細胞の密度で播種し、一夜インキュベートした。表11に要約するようにトランスフェクションを行った。粒子を細胞当たり10個の粒子の比率で培地に加え、プレートを旋回させて粒子を分散させた。細胞を4時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、PBS中0.4%ホルマリンで固定した。
【表11】
【0212】
蛍光性DNA含有粒子および蛍光性DNA含有粒子とともにインキュベートしたJ774細胞を蛍光顕微鏡により評価し、結果を表12に要約し、図3Aおよび3Bに示す。
【表12】
【0213】
図3Aは、細胞310を示す、陽イオン捕捉ポリマーとしてのPEIおよび陽イオン界面活性剤としてのCTABを含む蛍光標識pIRESプラスミドを添加したYGP粒子に曝露した細胞のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図3Bは、図3Bに示す同じ細胞310により内部へ移行された蛍光YGP粒子を表わす高輝度染色を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【0214】
(実施例19:YGP:pIRESとともにインキュベートしたJ774マウスマクロファージによるEGFP発現)
この実施例では、pIRESプラスミドDNAを蛍光標識せず、pIRESによりコードされる緑色蛍光タンパク質(GFP)の機能的発現を、蛍光の発生によって明らかな、添加酵母壁粒子の取込み、pIRES DNAの細胞内放出およびGFPの発現の実証として用いた。
【0215】
YGP:pIRES製剤は、下の表12に要約したように調製した。DNAは、1mg/ml保存液を脱イオン水で希釈して調製した。表示量のDNA溶液をYGPに加え、少なくとも30分間インキュベートして、液体を吸収させた。示した量のTE中0.2%PEIまたは酢酸緩衝液中0.2%キトサンを加え、混合物を5分間インキュベートした後、音波処理して単一粒子を生じさせた。さらに少なくとも30分間インキュベートした後、表示量の2%CTABを加えた。さらに5分間インキュベートした後、管をボルテックスミキサーで混合し、再び少なくとも30分間インキュベートした。表示量の95%エタノールを加えた。次いで、各管を混合し、−20℃で一夜保存した。次いで、YGP:pIRES調合粒子を遠心分離し、70%エタノールで2回洗浄し、10,000rpmで5分間遠心分離して収集し、0.5mlの無菌PBSに再懸濁し、音波処理して単一粒子を生じさせた。1ml当たりの粒子数を数え、各製剤を−20℃で一夜保存した。
【0216】
実施例14で述べたように、J774マウスマクロファージを6ウェルプレートにウェル当たり2.5×105細胞の密度で播種し、一夜インキュベートした。上の表11に要約したようにトランスフェクションを行った。粒子を細胞当たり10個の粒子の比率で培地に加え、プレートを旋回させて粒子を分散させた。細胞を毎日供給し、2日間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、PBS中0.4%ホルマリンで固定した。
【0217】
結果を表13に要約し、図4A〜Cに示す。細胞は、蛍光顕微鏡を用いて検査した。J774細胞の89%がYGP−F粒子を取り込んだ(表13、ウェル1B、図4A)。EGFP発現が、ウェル1E(図4B)および1F(図4C)における空胞中点状蛍光としてJ774細胞の80%以上で認められた。
【表13】
【0218】
図4Aは、蛍光標識YGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞410のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図4Bは、陽イオン捕捉ポリマーポリエチレンイミン(PEI)および陽イオン界面活性剤臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても知られている)を含むYGPにより送達されたpIRES DNAからのGFPを発現する、細胞、例えば、表示細胞420のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図4Cは、陽イオン捕捉ポリマーキトサンおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子により送達されたpIRES DNAからのGFPを発現する、細胞、例えば、表示細胞430のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【0219】
(実施例20:YGP−陽イオン捕捉ポリマー技術を用いたJ774細胞内への蛍光性DNA、オリゴヌクレオチドおよびsiRNAオリゴヌクレオチドの送達)
次の材料を用いた。すなわち、YGP:蛍光性サケ精子DNA:PEI:CTAB粒子、YGP:蛍光性オリゴヌクレオチド:PEI:CTAB粒子およびYGP:蛍光性siRNA:PEI:CTAB。蛍光性オリゴヌクレオチドは、以下の5’末端に付着されたフルオレセイン残基を用いてSigma Genosysにより合成された18merであった。
【0220】
5’フルオレセイン−TTGGTCATCCATGGCTCT3’ 配列番号1
【0221】
蛍光性siRNAは、以下の5’末端に付着されたフルオレセイン残基(Quiagen, Valencia, カリフォルニア州、カタログ番号1022079)を用いて合成された21merの非サイレンシング制御siRNAであった。
【0222】
5’フルオレセイン−UUCUCCGAACGUGUCACGUdTdT3’ 配列番号2
【0223】
実施例14で述べたように、J774マウスマクロファージを6ウェルプレートにウェル当たり2.5×105細胞の密度で播種し、一夜インキュベートした。表11に要約したようにトランスフェクションを行った。対照およびポリヌクレオチド添加粒子を培地に加え、プレートを旋回させて粒子を分散させた。細胞を毎日供給し、24時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、PBS中0.4%ホルマリンで固定した。
【表14】
【0224】
結果を図5A〜Iに示す。細胞は、蛍光顕微鏡およびFACSを用いて検査した。J774細胞の92%がYGP−F粒子を取り込んだ(表14、ウェル1B、図5A)。フルオレセインオリゴヌクレオチド(配列番号1)の送達が点状エンドソーム蛍光および散在性細胞質蛍光としてJ774細胞の80%以上で認められた。蛍光性非サイレンシングsiRNA(配列番号2)の送達が点状エンドソーム蛍光および散在性細胞質蛍光としてJ774細胞の80%以上で認められた。
【0225】
図5Aは、蛍光標識YGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞510のカラー光学および蛍光複合顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Bは、蛍光標識YGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク520および蛍光標識YGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わす福ピーク530を示す蛍光活性化細胞選別(FACS)試験の結果のグラフ表示であり、図5Cは、蛍光標識DNA、陽イオン捕捉ポリマーPEIおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞540のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Dは、同じ表示細胞540を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Eは、蛍光DNAペイロードを含むYGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク610およびYGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わすショルダー620を示すFACS試験の結果のグラフ表示であり、図5Fは、蛍光アンチセンスRNA、PEIおよびCTABを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞710のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Gは、蛍光アンチセンスRNAペイロードを含む、内部へ移行されたYGPを含む同じ表示細胞710を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Hは、蛍光標識siRNA、PEIおよびCTABを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞810のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Iは、蛍光siRNAペイロードを含む内部へ移行されたYGP粒子を含む同じ表示細胞810を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【0226】
要約すると、陽イオンポリマーを用いてYGP内に添加した蛍光性DNA、オリゴヌクレオチドまたはsiRNAペイロードは、J774細胞内にペイロードを有効に送達する。ペイロードは、24時間以内にエンドソームコンパートメントから細胞質および核コンパートメント内に放出される。
【0227】
特許請求の範囲は、その効果について述べられていない限り、記述された順序または要素に限定されると解釈すべきでない。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲および精神に適合する、およびそれと同等のすべての実施形態は、本発明として請求される。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】図1は、外側から内側に、外側原線維層110、外側マンノプロテイン層120、β−グルカン層130、β−グルカン−キチン層140、内側マンノプロテイン層150、原形質膜160および細胞質170を示す酵母細胞壁の横断切片の概略図100である。
【図2】図2Aは、酵母細胞壁粒子の構造を示す図である。図2Bは、実質的に完全に染色された酵母細胞壁粒子210を示すコンカナバリン−A−FITC(Con−A−フルオレセインイソチオシアネート、Sigma Chemical, St.Louis, ミズーリ州)による酵母細胞壁粒子のマンナン成分の染色を示すカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図2Cは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Dは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子220の一様でないCon−A−FITC染色を示すカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図2Eは、YGPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Fは、Con−A−FITC染色の非存在を示すカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【図3】図3Aは、細胞310を示す、陽イオン捕捉ポリマーとしてのPEIおよび陽イオン界面活性剤としてのCTABを含む蛍光標識pIRESプラスミドを添加したYGP粒子に曝露した細胞のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図3Bは、ここに示す同じ細胞310により内部へ移行された蛍光YGP粒子を表わす高輝度染色を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【図4】図4Aは、細胞、例えば、表示細胞410のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図4Bは、GFPを発現する、pIRES DNA、陽イオン捕捉ポリマーポリエチレンイミン(PEI)および陽イオン界面活性剤臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても知られている)を含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞420のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図4Cは、GFPを発現する、pIRES DNA、陽イオン捕捉ポリマーキトサンおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞430のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【図5】図5Aは、蛍光標識YGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞510のカラー光学および蛍光複合顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Bは、蛍光標識YGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク520および蛍光標識YGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わす福ピーク530を示す蛍光活性化細胞選別(FACS)試験の結果を示すグラフ表示である。図5Cは、蛍光標識DNA、陽イオン捕捉ポリマーPEIおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞540のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Dは、同じ表示細胞540を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Eは、蛍光DNAペイロードを含むYGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク610およびYGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わすショルダー620を示すFACS試験の結果を示すグラフ表示である。図5Fは、蛍光アンチセンスRNAペイロードを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞710のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Gは、同じ表示細胞710を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Hは、蛍光siRNA、PEIおよびCTABを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞810のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Iは、蛍光siRNAペイロードを含む内部へ移行されたYGP粒子を含む同じ表示細胞810を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【背景技術】
【0001】
薬物送達システムは、時間またはpHのような局所的条件に依存する活性薬の制御された放出のための活性薬の生体適合性リザーバーを提供するために設計されている。経皮パッチ、埋込み式浸透圧ポンプおよび埋込み式皮下デポー剤(例えば、NORPLANT(商標))などの巨視的薬物送達システムはある程度の成功をおさめたが、マイクロカプセル、マイクロパーティクルおよびリポソームなどの微視的薬物送達システムに継続的な関心が集められている。
【0002】
マイクロカプセルおよびマイクロスフェアは、通常、直径が2mm以下、通常直径が500μm以下の球形粒子からなる粉体である。粒子が1μm未満である場合、それらはしばしばナノカプセルまたはナノスフェアと呼ばれる。マイクロスフェアおよびマイクロカプセルを調製し、使用する方法の記述は、例えば、米国特許第5407609号明細書に見いだすことができる。マイクロカプセルとマイクロスフェアは、活性薬が高分子膜のようなカプセル化構造により囲まれた中心コアに形成されているか、または活性薬が粒子全体に分散されているか、すなわち、内部構造が薬剤と賦形剤、通常、高分子賦形剤との混合物であるかによって互いに区別することができる。マイクロカプセルからの活性薬の放出は、マトリックス材料、通常、高分子賦形剤としてのポリ(DL−ラクチド)(DL−PL)またはポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)(DL−PLG)などの生分解性高分子材料の生分解によりしばしば制御される。
【0003】
リポソームは、活性薬コアが高分子膜の代わりに脂質膜によって含まれているマイクロカプセルとみなすことができる。リポソームは、脂質層からなる人工脂質小胞であり、抗原をリポソームの水性コンパートメント内にカプセル封入することができ、あるいは表面カップリング法により表面上の抗原と結合させることができる。リポソームは、大規模に、また捕捉された抗原に対して温和な条件下で容易かつ安価に調製することができる。それらは、それら自体に対する免疫反応を誘発せず、非経口的に投与する薬剤用にヒトに使用される。
【0004】
マイクロカプセル、マイクロスフェアおよびリポソームの高い表面積/体積比は活性薬の放出に有利であるが、それらのサイズが小さいことが製造上の課題である。マイクロカプセルおよびマイクロスフェアを調製する様々な方法が文献、例えば、米国特許第5407609号に記述されている。これらの方法のいくつかにおいては、乳濁液を用いてマイクロスフェアを、特に、直径が2mm未満のマイクロスフェアを調製する。そのような方法の例を示すために、ポリマーを適切な有機溶媒(ポリマー溶媒)に溶解し、薬剤をこのポリマー溶液に溶解または分散させ、得られたポリマー/薬剤混合物を水相(処理媒体)中に分散させて処理媒体中に油の小滴が分散した状態の水中油型乳濁液を得、小適から溶媒を除去してマイクロスフェアを形成させる。これらの方法は、油中水型乳濁液および二重乳濁液を用いて実施することもできる。この基本的アプローチに従う乳濁液を用いる方法の使用は、米国特許第3737337号、第3891570号、第4384975号、第4389330号および第4652441号のようないくつかの米国特許に記述されている。
【0005】
あるいは、抽出酵母細胞壁粒子は、直径が約2〜4μmの容易に入手可能な生分解性の実質的に球形の粒子である。抽出酵母細胞壁粒子の調製は、当技術分野で知られており、例えば、米国特許第4992540号、第5082936号、第5028703号、5032401号、第5322841号、第5401727号、第5504079号、第5968811号、第6444448B1号、第6476003B1号、米国特許出願公開第2003/0216346A1号、第2004/0014715A1号およびPCT出願公開WO02/12348A2に記述されている。「全グルカン粒子」と呼ばれている抽出酵母細胞壁粒子の形態は、担体として提案されたが、粒子からの有効成分の単純拡散による放出または全グルカン粒子に化学的に架橋した薬剤の粒子マトリックスの生分解による放出に限定されていた。米国特許第5032401号および第5607677号を参照のこと。
【0006】
抽出酵母細胞壁粒子は、主としてそれらのβ−グルカン含量のためマクロファージおよびリンパ組織の細胞のような食細胞の標的にされる。粘膜関連リンパ組織(MALT)は、上皮および身体の粘膜の下にある固有層におけるすべてのリンパ細胞を含む。粘膜関連リンパ組織の主な部位は、腸関連リンパ組織(GALT)および気管支関連リンパ組織(BALT)である。
【0007】
GI免疫系の他の重要な成分は、Mすなわちmicrofold細胞である。M細胞は、種々のタンパク質およびペプチド抗原をエンドサイトーシスにより取り込むリンパ濾胞上の腸上皮における特異的細胞型である。M細胞は、これらのタンパク質を消化する代わりに、それらを下にある組織に輸送し、そこで、それらは局所樹状細胞およびマクロファージにより取り込まれる。
【0008】
M細胞は、エンドサイトーシスまたは食作用により腸管内腔から分子および粒子を取り込む。次いで、この物質は、小胞の細胞の内部を経て基底細胞膜に輸送され、そこで細胞外間隙に放出される。この過程は、トランスサイトーシスとして知られている。それらの基底面において、M細胞の細胞膜は、M細胞から放出された輸送物質を取り込み、抗原提示のためにそれを処理する下にあるリンパ球および抗原提示細胞の周りに広範に折りたたまれている。
【0009】
パイエル板のM細胞による酵母粒子(直径3.4±0.8μm)のトランスサイトーシスの所要時間は1時間未満であることが研究により示された(Beier R.およびGebert A.,パイエル板のドームにおける粒子の取り込みの速度論(Kinetics of particle uptake in the domes of Peyer’s patches)、Am J Physiol.1998年7月、275(1Pt1):G130〜7頁)。上皮内マクロファージによる有意な食作用を受けることなく、酵母粒子は2.5〜4時間以内に基底膜まで移動して横切り、速やかに食作用を受けて、パイエル板ドーム外に輸送される。鼻咽頭リンパ組織(扁桃およびアデノイド)に認められるM細胞は、呼吸器感染を引き起こすウイルスのサンプリングに含まれることが示された。in vitro M細胞モデルの試験で、蛍光標識マイクロスフェア(Fluospheres、0.2μm)およびキトサンマイクロパーティクル(0.2μm)の取り込みが示された(van der Lubben I.M.ら、ヒト腸M細胞モデルにおける粘膜ワクチン送達のためのキトサンマイクロ粒子輸送(Transport of chitosan microparticles for mucosal vaccine delivery in a human intestinal M-cell model)、J Drug Target, 2002年9月、10(6):449〜56頁)。レクチンであるハリエニシダ(Ulex europaeus)凝集素1(UEA1、α−L−フコース残基に対して特異的)を用いてポリスチレンマイクロスフェア(0.5μm)または重合リポソーム(0.2μm)をM細胞に対する標的とした(Clark M.A.ら、腸M細胞に対する重合リポソームワクチン担体のターゲティング(Targeting polymerised liposome vaccine carriers to intestinal M cells)、Vaccine, 2001年10月12日、20(1〜2):208〜17頁)。マウスにおけるin vitro試験で、ポリ−D,L−乳酸(PDLLA)マイクロスフェアまたはゼラチンマイクロスフェア(GM)をマクロファージおよびM細胞により効率よく取り込ませることができることが報告された(Nakase H.ら、粘膜免疫調節細胞を標的とする生分解性マイクロスフェア:炎症性腸疾患の治療に対する新たなアプローチ(Biodegradable microspheres targeting mucosal immune-regulating cells:new approach for treatment of inflammatory bowel disease)、J.Gastroenterol, 2003年3月、38補足15:59〜62頁)。
【0010】
しかし、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロパーティクルおよびリポソームを含む合成微粒子送達賦形剤の取り込みは、非常に変動し、粒子およびM細胞の物理的特性によって決定されると報告された(Alpha-Beta Technology.ら、薬剤およびワクチンの送達のためのM細胞の利用(Exploiting M cells for drug and vaccine delivery)、Adv Drug Deliv Rev., 2001年8月23日、50(1〜2):81〜106頁)。同じ試験で、送達は、M細胞表面に選択的に結合する適切なレシチン、微生物アドヘシンおよび免疫グロブリンを含む試薬で粒子またはリポソームを被覆することにより増大させることができることが報告された。Florence A.T., マイクロおよびナノ微粒子の経口吸収:例外でも異常でもない(The oral absorption of micro-and nanoparticulates:neither exceptional nor unsusual)、Pharm Res., 1997年3月、14(3):259〜66頁も参照のこと。
【0011】
病原体パターン認識受容体(PRRs)は、微生物表面に存在する共通の構造および分子モチフを認識し、先天性免疫反応の誘導に寄与する。マンノース受容体およびβ−グルカン受容体は、真菌病原体の認識に一部関与する。マクロファージのサブセット上に発現する炭水化物結合受容体であるマンノース受容体(MR)は、そのようなPRRの1つであるとみなされる。マクロファージは、これらの糖を示す分子に結合し、内部へ移行することができるマンノースおよびマンノース−6−リン酸の受容体を有する。分子は、プレリソソームエンドソーム内へのエンドサイトーシスにより内部へ移行される。このインターナリゼーションは、マンノース−6−リン酸で修飾し、修飾3’末端へのジスルフィド架橋によりオリゴデオキシヌクレオチドンに結合させたウシ血清アルブミンのマクロファージ内への侵入を増大させるために用いられた。Bonfils E.ら、Nucl.Acids Res., 1992 20、4621〜4629頁を参照のこと。E.Bonfils、C.Mendes、A.C.Roche、M.MonsignyおよびP.Midoux、Bioconj.Chem., 3、277〜284頁(1992)を参照のこと。マクロファージはCR3(Ross G.D.、J.A.Cain、B.L.Myones、S.L.NewmanおよびP.J.Lachmann、1987、β−グルカンに対する膜補体受容体タイプ3(CR3)の選択性(Specificity of membrane complement receptor type three(CR3)for beta-glucans、Complement Inflamm., 4:61頁)、デクチン−1(Brown G.D.およびS.Gordon、2001、免疫認識。β−グルカンに対する新規の受容体(Immune recognition. A new receptor for beta-glucans)、Nature 413:36頁)およびラクトシルセラミド(Zimmerman JW、Lindermuth J、Fish PA、Palace GP、Stevenson TT、DeMong DE、β−(1−3)−グルカン免疫調整剤、PGG−グルカンおよびヒト白血病のラクトシルセラミド間の新規の炭水化物−スフィンゴ糖脂質相互作用(A novel carbohydrate-glycosphinglipid interaction between a beta-(1-3)-glucan immunomodulator, PGG-glucan and lactosylceramide of human leukocytes)、J Biol Chem、1998年8月21日:273(34):22014〜20)を含むβ−グルカン受容体も発現する。β−グルカン受容体CR3は主として単球、好中球およびNK細胞上に発現するが、デクチン−1は主としてマクロファージの細胞の表面上に発現する。ラクトシルセラミドは、M細胞に高レベルで認められる。小グリア細胞もβ−グルカン受容体を発現することができる(Muller C.D.ら、小グリア細胞系による機能的β−グルカン受容体発現(Functional beta-glucan receptor expression by a microglial cell line)、Res Immunol、1994年5月;145(4):267〜75頁)。
【0012】
マンノースおよびβ−グルカン受容体への結合の食作用に対する相加効果の証拠が存在する。Giaimisらは、マウスマクロファージ様細胞系ならびにマウス腹膜常在マクロファージによる非オプソニン化熱死滅酵母(サッカロミセス セレビシエ(S. cerevisiae))の食作用がマンノースおよびβ−グルカン受容体によって媒介されることを示唆する所見を報告した。非オプソニン化熱死滅酵母の最大限の食作用を達成するために、マンノースおよびβ−グルカン受容体の共発現が必要である(Giaimis J.ら、マンノースおよびβ−グルカン受容体がマウスマクロファージによる非オプソニン化熱死滅サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の食作用に関与している(Both mannose and beta-glucan receptors are involved in phagocytosis of unopsonized, heat-killed Saccharomyces cerevisiae by murine macrophages)、J Leukoc Biol.1993年12月;54(6):564〜71頁)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概要)
好ましい実施形態において、本発明は、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁およびペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを提供する。微粒子送達システムは、場合によって、しかし、一般的にペイロード分子も含み、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に可溶性である。好ましい実施形態において、溶媒系は水を含む。他の好ましい実施形態において、溶媒系は本質的に水からなる。本発明の微粒子送達システムは、細胞へのペイロード分子のin vivoおよびin vitro送達に有用である。
【0014】
特に好ましい実施形態において、抽出酵母細胞壁は、90重量%未満のβ−グルカンを含む。特定の好ましい実施形態において、抽出酵母細胞壁は、50重量%以上のキチンを含む。他の好ましい実施形態において、抽出酵母細胞壁は、30重量%以上のマンナンをさらに含む。特定の実施形態において、抽出酵母細胞壁は、1重量%以上のタンパク質を含む。
【0015】
好ましい実施形態において、ペイロード分子は、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される。特定の好ましい実施形態において、ペイロード分子は、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物、発現ベクターおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリヌクレオチドである。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質などのペイドード分子のin vivoまたはin vitro送達に有用である。ペプチドは、ホルモン、神経伝達物質または神経修飾物質などのシグナル伝達分子であってよく、受容体、酵素または核酸結合タンパク質などのより大きい分子の活性フラグメントであってよい。タンパク質は、酵素、構造タンパク質、シグナル伝達タンパク質または転写因子のような核酸結合タンパク質であってよい。
【0016】
他の好ましい実施形態において、ペイドード分子は、治療薬または診断薬のような小有機活性物質である。特に好ましい実施形態において、小有機活性物質は、配列特異的DNA結合オリゴマー、より好ましくは、両方とも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6506906号およびDervan P., 小分子によるDNAの分子的認識(Molecular Recognition of DNA by Small Molecules)、Bioorganic & Medicinal Chemistry(2001年)9:2215〜2235頁に開示されているような2本鎖DNAの小溝に結合している複素環式ポリアミドのオリゴマーである。好ましい実施形態において、オリゴマーは、N−メチルイミダゾールカルボキサミド、N−メチルピロールカルボキサミド、βアラニンおよびジメチルアミノプロピルアミドからなる群から選択されるモノマーサブユニットを有する。
【0017】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、無機活性物質、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等の胃腸治療薬を含む。
【0018】
ペイロード捕捉分子の選択は、微粒子送達システムに特異的な特性を与え得る。一般的に、好ましいペイロード捕捉分子は、生体適合性であり、製薬上許容できるものである。上記のように、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に可溶性である。適切なペイロード捕捉分子は、天然および合成ポリマーを含む。特定の実施形態において、アガロースまたはポリアクリルアミドのようなペイロード捕捉分子の物理的特性は、有用な利点を備えている。
【0019】
適切なポリマーは、多糖を含む。好ましい実施形態において、多糖は、アガロース、アルギン酸塩、キサンタン、デキストラン、キトサン、ガラクトマンナンガム、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される。特定の好ましい実施形態において、多糖は、生理的pHで陽イオンまたは陰イオン特性を生ずるように誘導体化した。
【0020】
他の実施形態において、ペイロード捕捉分子は、陽イオンポリマー、陰イオンポリマー、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤およびそれらの混合物のような生理的pHにおいて荷電した分子である。好ましい陽イオンポリマーは、キトサン、ポリ−L−リシン、および市販の線状ポリエチレンイミン陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるJetPEI(Qbiogene,Inc., カリフォルニア州)のような実質的に線状のポリエチレンイミンなどのポリエチレンイミン(PEIs)などである。他の陽イオンポリマートランスフェクション試薬も適しており、好ましくは、独占的な市販の水溶性陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるCytoPure(商標)(Qbiogene,Inc., カリフォルニア州)がある。他の好ましい実施形態において、適切な陰イオンポリマーは、誘導体化アルギン酸塩、デキストランおよびキサンタンを含むアルギン酸塩、デキストランおよびキサンタンなどである。さらなる好ましい実施形態において、ペイロード捕捉分子は、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような陽イオン界面活性剤である。1つの好ましい実施形態において、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような陽イオン界面活性剤とポリエチレンイミンのような陽イオンポリマーとの混合物を用いる。他の好ましい実施形態において、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような陽イオン界面活性剤とキトサンまたはPEIのような陽イオンポリマーとの混合物を用いることができる。
【0021】
単一の仮説に当てはまらないが、好ましいペイロード捕捉分子は、酵母細胞壁粒子によるペイロードの保持を促進することに加えて、界面活性剤として作用することにより、エンドソームを浸透圧により膨潤させることを促進することにより、あるいは他の効果により、食細胞のエンドソームからのペイロード分子の放出を促進する機能を果たすと考えられている。
【0022】
他の好ましい実施形態において、本発明は、微粒子送達システムを使用する方法を提供する。特定の好ましい実施形態において、本発明は、内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が内腔に少なくとも部分的に封じ込められた状態になる段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子が抽出酵母細胞壁内のペイロード分子を少なくとも部分的に閉じ込めて微粒子送達システムを形成する段階と、細胞を微粒子送達システムと接触させる段階とを含む、ペイロード分子を細胞に送達する方法を提供する。好ましくは、該方法は、細胞により微粒子送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む。
【0023】
他の好ましい実施形態において、本発明は、内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が抽出酵母細胞壁と結合した状態になる段階と、抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子がペイロード分子と抽出酵母細胞壁との結合を安定化して微粒子送達システムを形成する段階とを含む、微粒子送達システムを調製する方法を提供する。好ましい実施形態において、該方法は、微粒子送達システムを洗浄し、乾燥する段階も含む。
【0024】
他の好ましい実施形態において、本発明は、個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、個体の細胞内で制御可能に発現させることができるペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法を提供する。好ましくは、コードされるペプチドは、抗原性ペプチドである。さらなる好ましい実施形態において、本発明は、個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、抗原性分子であるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法を提供する。好ましい抗原性分子は、トキソイドである。
【0025】
好ましい実施形態において、接触細胞は、マクロファージであるが、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞、滑膜A細胞および他の食細胞などの、酵母粒子に対して食作用を示すことができる細胞も含んでいてよい。好ましい実施形態において、微粒子送達システムを経口投与し、腸におけるパイエル板のM細胞により吸収させる。
【0026】
好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む組換えDNA構築物、例えば、発現ベクターである。タンパク質は、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質またはシグナル伝達タンパク質であってよい。特定の好ましい実施形態において、タンパク質は、抗原性タンパク質である。
【0027】
特定の好ましい実施形態において、方法は、細胞がタンパク質を発現する段階をさらに含む。発現タンパク質は、細胞により細胞内に保持させ、原形質膜のような膜構造に取り込ませ、あるいは細胞により分泌させることができる。
【0028】
他の実施形態において、複数の種類のポリヌクレオチドが微粒子送達システム内に封じ込められている。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、制御下で複数の遺伝子産物を発現する能力を備えている。特定の実施形態において、少なくとも1つの発現可能な遺伝子産物は、膜タンパク質、好ましくは膜受容体、最も好ましくはシグナル伝達分子に対する膜結合受容体である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの発現可能な遺伝子産物は、可溶性タンパク質、好ましくは分泌タンパク質、最も好ましくはシグナル伝達タンパク質またはペプチドである。
【0029】
他の実施形態において、本発明は、内腔を画定する、β−グルカンを含む実質的に球形の抽出酵母細胞壁を供給する段階と、抽出酵母細胞壁を薬剤と接触させ、薬剤を内腔内に少なくとも部分的に封じ込める段階と、抽出酵母細胞壁を捕捉分子と接触させ、捕捉分子を内腔内に少なくとも部分的に封じ込めて微粒子薬物送達システムを形成させる段階と、マクロファージ細胞を微粒子薬物送達システムと接触させる段階とを含むマクロファージ細胞に薬剤を送達する方法を提供する。好ましくは、該方法は、マクロファージにより微粒子薬物送達システムを内部へ移行する段階も含む。特に好ましい実施形態において、マクロファージが、感染、炎症反応、低酸素または過形成の部位のようなマクロファージ誘引部位に微粒子薬物送達システムを送達する。特定の好ましい実施形態において、マクロファージが腫瘍に微粒子薬物送達システムを送達する。特に好ましい実施形態において、該方法は、微粒子薬物送達システムから薬剤を放出させる段階を含み、より好ましくは薬剤を細胞外間隙に放出させる段階をさらに含む。特定の実施形態において、薬剤を放出させる段階は、組換えタンパク質を発現させ、タンパク質を細胞外間隙に分泌させる段階を含む。
【0030】
本発明は、病原体に対して個体を免疫化する方法を提供する。該方法は、前記個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード捕捉分子および核酸組成物を含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、細胞に、抗原としての前記病原体上で示されるエピトープと同じまたは実質的に類似した少なくともエピトープを含むペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を投与する段階を含み、前記ヌクレオチド配列は、調節配列に機能するように連結されており、核酸分子は、個体の細胞において発現することができる。
【0031】
他の好ましい実施形態において、本発明は、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード捕捉分子およびトキソイドを含む微粒子送達システムを供給し、食細胞を微粒子送達システムと接触させ、微粒子送達システムの食作用を誘導する段階を含むトキソイドに対する免疫を発生させる方法を提供する。食細胞は、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞および滑膜A細胞のうちの1つまたは複数のものであってよい。
【0032】
本発明は、過増殖性疾患または自己免疫疾患に対して個体を免疫化する方法を提供する。該方法は、前記個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、核酸組成物を含むペイロード捕捉分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、過増殖性疾患関連タンパク質または自己免疫疾患関連タンパク質上にそれぞれ示されるエピトープと同じまたは実質的に類似したエピトープを少なくとも含むペプチドをコードし、調節配列に機能するように連結されたヌクレオチド配列を含み、個体の細胞中で発現させることができる核酸分子を個体の細胞に投与する段階を含む。
【0033】
本発明はまた、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、核酸組成物を含むペイロード捕捉分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させるヌクレオチド配列を含む、または個体における治療効果をもたらすタンパク質をコードし、調節配列に機能するように連結されたヌクレオチド配列を含み、個体の細胞中で発現させることができる核酸分子を個体の細胞に投与する段階を含む、自己免疫疾患に罹患している個体を治療する方法を提供する。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、過増殖性疾患関連タンパク質上で示されるエピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含むペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含み、コードされたペプチドが個体の細胞において発現することができる、過増殖性疾患に対して個体を免疫化する方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、ポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを細胞に投与する段階を含む、遺伝病に罹患している個体を治療する方法を提供する。好ましくは、ポリヌクレオチドが、個体における治療効果をもたらし、前記細胞中で発現することができるタンパク質をコードする翻訳領域に機能するように連結されている調節配列を含む。
【0035】
本発明はまた、個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、核酸組成物を含むペイロード捕捉分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させる、または個体における治療効果をもたらすタンパク質をコードし、調節配列に機能するように連結されている核酸配列を含み、前記細胞中で発現することができる核酸分子を該細胞に投与する段階を含む、自己免疫疾患に罹患している個体を治療する方法に関する。
【発明の効果】
【0036】
したがって、本発明は、病原体または異常な疾患関連細胞に対して個体を予防的および/または治療的に免疫化する組成物および方法を提供する。遺伝物質は、病原体または標的とする細胞上に認められる免疫原性タンパク質と少なくとも1つのエピトープを共有するペプチドまたはタンパク質をコードする。遺伝物質は、個体の細胞により発現させられ、免疫反応が誘発される免疫原性標的としての役割を果たす。結果として発生する免疫反応は、広範囲であり、体液性免疫反応に加えて、両群の細胞性免疫反応が誘発される。本発明の方法は、予防的および治療的免疫を付与するのに有用である。したがって、免疫化の方法は、病原体チャレンジまたは特定の細胞の発生もしくは増殖から個体を保護する方法、ならびに病原体感染、過増殖性疾患または自己免疫疾患に罹患している個体を治療する方法を含む。したがって、本発明は、標的タンパク質、すなわち、病原体または個体自身の「異常な」細胞に特異的に結合するタンパク質に対する広い免疫反応を誘発させるのに有用である。
【0037】
本発明はまた、過増殖性細胞に特異的に結合する標的タンパク質に対する免疫反応を誘発させることにより、癌のような過増殖性疾患および障害と闘うのに有用である。本発明はさらに、自己免疫状態に関与する細胞に対する免疫反応を誘発させることにより、自己免疫疾患および障害と闘うのに有用である。
【0038】
本発明はまた、核酸組成物、タンパク質組成物、小有機分子およびそれらの混合物からなる群から選択されるペイロード分子を含む容器、ならびに酵母細胞壁粒子および捕捉分子を含む容器を含む薬剤キットを提供する。場合によって、そのようなキットに薬剤組成物に関して上述した種類の賦形剤、担体、保存剤および媒体が含まれる。薬剤キットという用語は、本発明の方法に用いる複数の接種物を含むことも意図する。そのようなキットは、異なる接種物および輸送部分を含む独立した容器を含む。本発明による薬剤キットは、治療に用いる一組の接種物ならびに免疫化法および/または治療法を含むことも意図する。
【0039】
本発明の組成物および方法は、医学および獣医学の分野に有用である。したがって、本発明は、哺乳類、鳥類および魚類の遺伝的免疫化および治療的処置に関する。本発明の方法は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌおよびネコ種の遺伝的免疫化および治療的処置に特に有用である。
【0040】
微粒子薬物送達システムおよび方法の前記および他の特徴および利点は、同様な参照特性が異なる画像をとおして同じ部分に当てはまる添付図面に例示されているようなシステムおよび方法の好ましい実施形態の以下のより詳細な記述から明らかであろう。
【0041】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、同様な参照特性が異なる画像をとおして同じ部分に当てはまる添付図面に例示されているように、本発明の好ましい実施形態の以下のより詳細な記述から明らかであろう。図面は必然的に縮尺に従っておらず、その代わりに本発明の原理を例示することに重点をおいている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(発明の詳細な説明)
好ましい実施形態において、本発明は、抽出酵母細胞壁粒子および少なくとも1つのペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを提供する。好ましくは、酵母細胞壁粒子は、2〜4μmの酵母細胞壁ゴーストである。
【0043】
ペイロード捕捉分子
ペイロード捕捉分子は、好ましくは製薬上許容できる賦形剤である。ペイロードおよび捕捉分子は、両方とも溶媒系に溶ける。溶媒系は、酵母細胞粒子の炭水化物マトリックスを通して吸収され、ペイロードおよび捕捉ポリマーの吸収を可能にしなければならない。ペイロードおよび捕捉分子は、好ましくは水溶性である。好ましい実施形態において、捕捉分子は、生分解性である。
【0044】
所与のペイロードとの捕捉反応の作用機序は、ペイロード捕捉分子の選択を決定づける。静電的相互作用の場合、ペイロードの反対の電荷の荷電ペイドード捕捉分子が必要である。物理的捕捉の場合、ペイロード捕捉分子は、ペイドードの拡散を減少させるマトリックスの形成に適切に関与する。他の実施形態において、ペイロード捕捉分子は、ペイロードの保持に寄与する疎水的結合特性に寄与する。さらなる実施形態において、ペイロード捕捉分子は、ペイロードに選択的に結合し、ペイロードの保持に寄与する親和性相互作用をもたらす。
【0045】
一般的に、高分子電解質は、適切なペイロード捕捉分子であり得る。いくつかの適切な高分子電解質が米国特許第6133229号に開示されている。高分子電解質は、陽イオンまたは陰イオン高分子電解質であってよい。両性高分子電解質を用いることもできる。陽イオン高分子電解質は、好ましくは分子鎖に沿って分布する陽性基を有するポリマーである。特定の実施形態において第四級アンモニウム誘導部分を含んでいてよい陽性基は、分子鎖からのペンダント側基に配置されていてよく、あるいは分子鎖に組み込まれていてよい。陽イオン高分子電解質の例としては、ビニルピロリドンと第四級メチルメタクリレートのコポリマー、例えば、ISPから入手されるGAFQUAT(登録商標)シリーズ(755N、734、HS−100)、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンおよび置換誘導体、ポリアミンホモポリマー(GOLCHEM(登録商標)CL118)、ポリアミンコポリマー(例えば、エピクロロヒドリンとモノまたはジメチルアミンの縮合体)、ポリジアリルジエチルアンモニウムクロリド(ポリDADMAC)、置換デキストラン、修飾糖ガム(ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドで置換)、置換タンパク質(例えば、ダイズタンパク質および加水分解コラーゲン上で置換された第四級基)、ポリアミノ酸(例えば、ポリリシン)、低分子量ポリアミノ化合物(例えば、スペルミンおよびスペルミジン)などがある。天然または人工ポリマーを用いることができる。150〜5,000,000、好ましくは5000〜500,000、より好ましくは5000〜100,000の分子量を有する陽イオン高分子電解質を用いることができる。0.01〜10%、より好ましくは0.1〜2重量/体積%、特に0.05〜5%の量が好ましい。
【0046】
陰イオン高分子電解質は、好ましくは分子鎖に沿って分布した陰性基を有するポリマーである。カルボン酸、スルホン酸、硫酸または他の負に荷電したイオン化基を含んでいてよい陰性基は、分子鎖からのペンダント基上に配置されているか、またはポリマー主鎖に直接結合していてよい。天然または人工ポリマーを用いることができる。
【0047】
陰イオン高分子電解質の例としては、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸とのコポリマー(それぞれGantrez ANシリーズおよびSシリーズ、International Specialty Products, Wayne, ニュージャージー州)、アルギン酸および塩、カルボキシメチルセルロースおよび塩、置換ポリアクリルアミド(例えば、カルボン酸基で置換)、ポリアクリル酸および塩、ポリスチレンスルホン酸および塩、デキストラン硫酸、置換サッカライド、例えば、スクロースオクトスルフェート、ヘパリンなどがある。150〜5,000,000、好ましくは5000〜500,000、より好ましくは5000〜100,000の分子量を有する陰イオン高分子電解質を用いることができる。0.01%〜10%、特に0.05〜5%、特に0.1〜2重量/体積%の量が好ましい。
【0048】
多糖などの生物学的ポリマーは、好ましい捕捉ポリマーである。好ましくは、ポリマーを100,000ダルトン未満の平均分子量になるまで処理する。ポリマーを陽イオンまたは陰イオン特性を備えるように誘導体化することが好ましい。適切な多糖としては、キトサン(脱アセチル化キチン)、アルギン酸塩、2−(ジエチルアミノ)エチルエーテルデキストラン(DEAEデキストラン)およびデキストラン硫酸などのデキストラン類、キサンタン、イナゴマメガムおよびグアールガムなどがある。
【0049】
2つの一般的なクラスの陽イオン分子、すなわち、陽イオンポリマーおよび陽イオン脂質は、ポリヌクレオチドのような負に荷電したペイロードの捕捉分子として用いるのに適している。
【0050】
タンパク質[ヒストン(Fritz J.D.ら、(1996年)Hum.Gene Ther. 7、1395〜1404頁)および高移動度群(HMG)タンパク質(Mistry A.R.(1997年)Bio Techniques 22、718〜729頁)など]およびポリペプチド[ポリリシン(Wu G.Y.およびWu C.H.(1987年)J.Biol.Chem. 262、4429〜4432頁、Wagner E.ら、(1991年)Bioconjugate Chem.2、226〜231頁)、短合成ペプチド(Gottschalk S.ら、(1996年)Gene Ther. 3、448〜457頁、Wadhwa M.S.ら、(1997年)Bioconjugate Chem. 8、81〜88頁)およびらせん状両親媒性ペプチド(Legendre J.Y.ら、(1997年)Bioconjugate Chem. 8、57〜63頁、Wyman T.B.ら、(1997年)Biochemistry 36、3008〜3017頁)など]から合成ポリマー[ポリエチレンイミン(Boussif O.ら、(1996年)Gene Ther. 3、1074〜1080頁)、陽イオンデンドリマー(Tang M.X.ら、(1996年)Bioconjugate Chem. 7、703〜714頁、Haensler J.ら、(1993年)Bioconjugate Chem. 4、372〜379頁)およびグルカラミドポリマー(Goldman C.K.ら、(1997年)Nat.Biotech.15、462〜466頁)など]までの種々の陽イオンポリマーがin vitroトランスフェクションを媒介することが示された。他の適切な陽イオンポリマーとしては、N置換グリシンオリゴマー(ペプトイド)(Murphy J.E.ら、遺伝子送達用の効率のよい陽イオンペプトイド試薬の発見へのコンビナトリアルアプローチ(A combinatorial approach to the discovery of efficient cationic peptoid reagents for gene delivery)、Proc Natl Acad Sci.USA、1998年、95(4)1517〜1522頁)、ポリ(2−メチルアクリル酸2−[(2−ジメチルアミノ)−エチル]−メチルアミノ)−エチルエステル)(pDAMAと短縮)およびポリ(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレート(pDMAEMA)(Funhoff A.M.ら、2004年、Biomacromolecules、5、32〜39頁)などがある。
【0051】
陽イオン脂質も当技術分野でトランスフェクションに適していることが知られている。Felgner P.Llら、リポフェクション:非常に効率の高い脂質媒介DNAトランスフェクション法(Lipofection:a highly efficient、lipid-mediated DNA-transfection procedure)、Proc Natl Acad Sci USA、1987年、84(21):7413〜7頁。適切な陽イオン脂質としては、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、[N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジ(オレオイルオキシ)−1,4−ブタンジアンモニウムヨーダイド](Promega Madison、ウィスコンシン州、米国)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(Promega Madison、ウィスコンシン州、米国)、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)]−N,N,N−トリメチルアンモニウムプロパンメチルスルフェート(DOTAP)、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、
ジミリストレオイルホスホノメチルトリメチルアンモニウム(DMPTA)(Flochら、1997年、造血細胞系およびCD34+細胞におけるDNAトランスフェクション用非ウイルスベクターとしての陽イオンホスホノ脂質(Cationic phosphonolipid as non-viral vectors for DNA transfection in hematopoietic cell lines and CD34+ cells)、Blood Cells, Molec & Diseases 23:69〜87を参照)、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(7−ニトロ−2−1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル)、アンモニウム塩(Avanti Polar Lipids, Inc., Alabaster, アラバマ州、米国)、1,2−ジオレオイル−3−トリエチルアンモニウムプロパンクロリド(Avanti Polar Lipids, Inc., Alabaster, アラバマ州、米国)、1,2−ジオレオイル−ns−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(Avanti Polar Lipids、Inc., Alabaster, アラバマ州、米国)および1,3−ジオレオイルオキシ−2−(6−カルボキシスペルミル)プロピルアミド(DOSPER)などがある。
【0052】
陽イオン捕捉分子として適切なポリアミンは、米国特許第6379965号および第6372499号に記述されている。
【0053】
ペイロード分子
本発明の微粒子送達システムは、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNAおよび発現ベクターを含む組換えDNA構築物を含むが、これらに限定されないペイロード分子のin vivoまたはin vitro送達に有用である。
【0054】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質のようなペイロード分子のin vivoまたはin vitro送達に有用である。「タンパク質」とは、鎖長が高レベルの三次および/または四次構造を生ずるのに十分であるアミノ酸の配列を意味する。これは、そのような構造を有さない「ペプチド」または他の小分子量薬物と区別するためである。一般的に、本明細書におけるタンパク質は、少なくとも約15〜20kD、好ましくは少なくとも約20kDの分子量を有する。
【0055】
本明細書における定義に含まれるタンパク質は、例えば、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンおよびGH超遺伝子ファミリーの他のメンバーを含む成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体化ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子およびヴォンヴィレブランド因子などの凝固因子、プロテインCなどの抗凝固因子、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼまたは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)などのプラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted)、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1−α)、ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン、ミューラー管阻害物質、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロレラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子(VEGF)、ホルモンまたは成長因子の受容体、インテグリン、プロテインAまたはD、リウマトイド因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5もしくは−6(NT−3、NT−4、NT−5もしくはNT−6)などの神経栄養因子またはNGF−βなどの神経成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、aFGFおよびbFGFなどの線維芽細胞成長因子、上皮成長因子(EGF)、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4またはTGF−β5を含むTGF−αおよびTGF−βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF)、インスリン様成長因子−Iおよび−II(IGF−IおよびIGF−II)、デス(1−3)IGF−I(脳IGF−D)、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20などのCDタンパク質、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質(BMP)、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子(DAF)、例えば、AIDSエンベロープのようなウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体などの哺乳類タンパク質を含む。
【0056】
GH超遺伝子ファミリーのメンバーは、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコスタチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1および該ファミリーのメンバーとして確認され、分類された他のタンパク質などである。
【0057】
タンパク質ペイロード分子は、好ましくは本質的に純粋であり、望ましくは本質的に均一である(すなわち、混入タンパク質等がない)。「本質的に純粋な」タンパク質は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。「本質的に均一な」タンパク質は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約99重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。タンパク質は、天然に存在する源由来であるか、または組換え技術により調製したものでよい。タンパク質は、アミノ酸置換または指向タンパク進化法(directed protein evolution)(Kurtzman A.L.ら、繰返し遺伝子組換えによるdirected protein evolution法の進歩:治療タンパク質への適用(Advances in directed protein evolution by recursive genetic recombination:applications to therapeutic proteins)、Curr Opin Biotechnol. 2001年、12(4):361〜70頁)により調製されるタンパク質変異体ならびにPEG化タンパク質のような誘導体を含む。
【0058】
特定の実施形態において、タンパク質は抗体である。抗体は、例えば、上記の分子のいずれかに結合することができる。本発明により含まれる抗体の具体例としての分子標的としては、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20およびCD34などのCDタンパク質、EGF受容体、HER2、HER3またはHER4などのHER受容体ファミリーのメンバー、LFA−1、Mol、p150.95、VLA−4、ICAM−1、VCAMおよびそのαもしくはβサブユニットを含むαv/β3インテグリン(例えば、抗CD11a、抗CD18もしくは抗CD11b抗体)などの細胞接着分子、VEGFなどの成長因子、IgE、血液型抗原、flk2/flt3受容体、肥満(OB)受容体、タンパク質Cなどがある。
【0059】
ペプチド、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに加えて、本発明の微粒子送達システムは、より小さい分子の送達、好ましくは薬剤学的に活性な薬剤、より好ましくは治療用小分子の送達に適している。本発明の微粒子送達システムに適する小分子ペイロードとしては、ジエチルスチルベストロール、17−β−エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノールなどの避妊薬、ノルエチンドロン、ノルゲストリル、二酢酸エチノジオール、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジメチステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、エチステロン、メレンゲストロール、ノルエチノドレルなどのプロゲスチン、およびノニルフェノキシポリオキシエチレングリコール、塩化べンゼトニウム、クロルインダノールなどの殺精子化合物などがある。好ましくは、そのようなステロイドペイロードに対して、ペイロードを可溶化するための十分な量の界面活性剤および酵母細胞壁粒子内にペイロードを保持するためのポリマーを含む捕捉分子の混合物を用いる。
【0060】
本発明の送達システムに組み込むことができる他の活性薬としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等の胃腸治療薬、非ステロイド避妊薬、副交感神経作用薬、精神療法薬、クロロプロマジンHCl、クロザピン、メソリダジン、メチアピン、レセルピン、チオリダジン等の強力精神安定薬、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、メプロバメート、テマゼパム等の穏和精神安定薬、鼻うっ血除去薬、コデイン、フェノバルニタール、ペントバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム等の催眠鎮静薬、テストステロンおよびプロピオン酸テストステロン等の他のステロイド、スルホンアミド、交感神経作用薬、ワクチン、必須アミノ酸、必須脂肪等のビタミンおよび栄養素、4−アミノキノリン、8−アミノキノリン、ピリメタミン等の抗マラリア薬、マジンドール、フェンテルミン等の抗片頭痛薬、L−ドーパなどの抗パーキンソン薬、アトロピン、臭化メトスコポラミン等の鎮痙薬、胆汁療法、消化薬、酵素等の鎮痙および抗コリン薬、デキストロメトルファン、ノスカピン等の鎮咳薬、気管支拡張薬、抗高血圧薬、インドジャボク(Rauwolfa)アルカロイド、冠血管拡張薬、ニトログリセリン、有機硝酸エステル、四硝酸ペンタエリトリトール等の心血管薬、塩化カリウムなどの電解質置換剤、カフェインを含むまたは含まないエルゴタミン、水素化麦角アルカロイド、メタン硫酸ジヒドロエルゴクリスチン、メタンスルホン酸ジヒドロエルゴコルニン、メタン硫酸ジヒドロエルゴクロイプチンおよびその組合せなどの麦角アルカロイド、硫酸アトロピン、ベラドンナ、臭化水素酸ヒオスシン等のアルカロイド、鎮痛薬、コデイン、ジヒドロコジエノン、メペリジン、モルヒネ等の麻薬、サリチル酸塩、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェン等の非麻薬性鎮痛薬などがある。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明のシステムは、セファロスポリン、クロラムフェニカル、ゲンタマイシン、カナマイシンA、カナマイシンB、ペニシリン、アンピシリン、ストレプトマイシンA、アンチマイシンA、クロロパムテニオール、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリン、ペニシリンG、テトラサイクリン等の抗生物質を送達するために用いる。好ましい実施形態において、テトラサイクリンなどの抗生物質のマクロファージへの送達により身体のマクロファージが病原体を不活性化する能力を増大させる。
【0062】
他の好ましい実施形態において、本発明は、抗癌薬、メフェニトイン、フェノバルビタール、トリメタジオンなどの抗けいれん薬、チエチルペラジンなどの抗嘔吐薬、クロロフィナジン、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、ペルフェナジン、トリペレンバミン等の抗ヒスタミン薬、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、アスピリン、インドメタシン、フェニルブタゾン等の抗炎症薬、プロスタグランジン、チオテパ、クロラムブシル、シクロフォスファミド、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、メトトレキサート等の細胞毒性薬を送達するシステムを提供する。
【0063】
ワクチン
好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ワクチンの経口送達を行うのに有用である。好ましい実施形態において、該システムは、淋菌(Neisseria gonorrhea)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)(humonis、1および2型)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダトロピカリス(Candida tropicalis)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、膣ヘモフィフィルス(Haemophilus vaginalis)、群B連鎖球菌種(Group B Streptococcus sp.)、Microplasma hominis、軟性下疳菌(Hemophilus ducreyi)、鼠径部肉芽腫(Granuloma inguinale)、性病性リンパ異常(Lymphopathia venereum)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、ブタ流産菌(Brucella suis)、イヌ流産菌(Brucella canis)、Campylobacter fetus、Campylobacter fetus intestinalis、レプトスピラポモナ(Leptospira pomona)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、ブルセラオビス(Brucella ovis)、ウマヘルペスウイルス1、ウマ動脈炎ウイルス、IBR−IBPウイルス、BVD−MBウイルス、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トリコモナスフィータス(Trichomonas foetus)、トキソプラスマ(Toxoplasma gondii)、大腸菌(Escherichia coli)、アクチノバシラス エクーリ(Actinobacillus equuli)、ヒツジ流産菌(Salmonella abortus ovis)、ウマ流産菌(Salmonella abortus equi)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、コリネバクテリウム エクイ(Corynebacterium equi)、化膿性コリネバクテリウム(Corynebacterium pygenes)、アクチノバシラス セミニス(Actinobaccilus seminis)、マイコプラスマ ボビゲニタリウム(Mycoplasm bovigenitalium)、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)、Absidia ramosa、トリパノソーマ エキパーダム(Trypanosoma equiperdum)、バベシアカバリ(Babesia caballi)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)などのような微生物の抗原のような抗原を送達するのに有用である。他の実施形態において、該システムは、上の微生物を中和する中和抗体を送達するために用いることができる。
【0064】
他の実施形態において、該システムは、リボヌクレアーゼ、ノイラミジナーゼ、トリプシン、グリコーゲンホスホリラーゼ、精子乳酸デヒドロゲナーゼ、精子ヒアルロニダーゼ、アデノシントリホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、アルカリホスファターゼエステラーゼ、アミノペプチダーゼ、トリプシンキモトリプシン、アミラーゼ、ムラミダーゼ、アクロソームプロテイナーゼ、ジエステラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、β−グリコホスファターゼ、リパーゼ、ATPアーゼα−ペプテートγ−グルタミロトランスペプチダーゼ、シテロール−3−β−オール−デヒドロゲナーゼ、DPN−ジ−アプロラーゼなどの酵素を送達するために用いることができる。
【0065】
好ましい実施形態において、該システムは、大痘瘡(痘瘡)、炭疸菌(Bacillus anthracis)(炭疸)、エルシニア ペスティス(Yersinia pestis)(悪疫)、ボツリヌス菌毒素(ボツリヌス中毒)、野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病)、フィロウイルス(エボラ出血熱、マールブルグ出血熱)、アレナウイルス(ラッサ(ラッサ熱)、ジュニン(アルゼンチン出血熱)および関連ウイルス)などのカテゴリA病原体、コクシエラ バーネティ(Coxiella burnetti)(Q熱)、ブルセラ(Brucella)種(ブルセラ症)、ブルクホルデリア マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疸)、アルファウイルス(ベネズエラ脳脊髄炎、東部および西部ウマ脳脊髄炎)、Ricinus communis(トウゴマの実)のリシン毒素、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)のエプシロン毒素、ブドウ球菌(Staphylococcus)外毒素B、サルモネラ(Salmonella)種、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、大腸菌株O157:H7、コレラ菌(Vibrio cholerae)、クリプトスポリジウム パルブム(Cryptosporidium parvum)などのカテゴリB病原体、ならびにニパーウイルス、ハンタウイルス、ダニ媒介出血熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、黄熱病および多剤耐性結核などのカテゴリC病原体を含むバイオテロ危険生物学的病原体(bioterrorism critical biological agents)の抗原を送達することができる。
【0066】
好ましい実施形態において、該システムは、トキソイド(不活性化されているが、抗原性毒素)およびトキソイド複合体を含むアナトキシン抗原のような不活性化抗原性毒素を送達するのに用いることができる。好ましい実施形態において、トキソイドは、不活性化微生物毒素である。他の実施形態において、トキソイドは、不活性化植物毒素である。さらなる実施形態において、トキソイドは、不活性化動物毒素である。特定の実施形態において、該システムは、百日咳トキソイド、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)トキソイド、破傷風トキソイド、インフルエンザ菌b型−破傷風トキソイド複合体、ボツリヌス菌Dトキソイド、ボツリヌス菌Eトキソイド、クロストリジウム ディフィシル(Clostridium difficile)の毒素Aから生産されたトキソイド、コレラ菌トキソイド、クロストリジウム パーフリンジェンスCおよびD型トキソイド、気腫疸菌(Clostridium chauvoei)トキソイド、ノービ菌(Clostridium nouyi)(B型)トキソイド、悪性水腫菌(Clostridium seoticum)トキソイド、組換えHIV tat IIIBトキソイド、ブドウ球菌トキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumoniae)ApxIトキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニアApxIIトキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニアApxIIIトキソイド、アクチノバチルス プルロニューモニア外膜タンパク質(OMP)トキソイド、緑膿菌エラスターゼトキソイド、ヘビ毒トキソイド、リシントキソイド、マンヘミア ヘモリティカ(Mannheimia haemolytica)トキソイド、パスツレラ マルトサイダ(Pasteurella multocida)トキソイド、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)トキソイド、パスツレラ マルトサイダトキソイドおよび気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)トキソイドなどのトキソイドを送達するのに用いることができる。
【0067】
対応する毒素からトキソイドを調製する技術は、例えば、ホルムアルデヒドもしくはアルミニウム塩による化学的処理またはガンマ線照射は、当技術分野で知られている。毒素をトキソイドに変換する組換え法も知られている(Fromen-Romano C.ら、遺伝子工学による非酵素毒素のトキソイドへのトランスフォーメーション(Transformation of a non-enzymatic toxin into a toxoid by genetic engineering)、Protein Engineering、第10巻10号、1213〜1220頁、1997年)。好ましい実施形態において、本発明のシステムは、組換えトキソイドを送達するのに用いることができる。他の好ましい実施形態において、本発明のシステムは、組換えトキソイドをコードする発現ベクターを送達するのに用いることができる。
【0068】
病原体感染に対する防御のための遺伝子ワクチンを生産するためには、防御免疫反応をもたらすことができる免疫原性タンパク質をコードする遺伝物質を核酸組成物に含めなければならない。病原体が、本発明が特に有用である細胞内に感染するか、または細胞外に感染するかにかかわりなく、すべての病原体抗原が防御反応を誘発することは考え難い。DNAとRNAは両方とも、比較的小さく、比較的容易に調製することができるので、本発明は、複数の病原体抗原を含むワクチンを得ることができるというさらなる利点を提供する。遺伝ワクチンに用いる核酸組成物は、多くの病原体抗原をコードする遺伝物質を含むことができる。例えば、いくつかのウイルス遺伝子を単一構築物に含め、それにより、複数の標的を提供することができる。さらに、個体の種々の細胞に送達することができる複数の接種物を、場合によって、ワクチンに完全な、またはより好ましくは、不完全、例えば、ほぼ完全な一式の遺伝子を集合的に含めるように調製することができる。例えば、完全な一式のウイルス遺伝子を、それぞれが異なる部位に投与するゲノムの異なる半分を含む2つの構築物を用いて投与することができる。したがって、感染性ウイルスが組み立てられるリスクなしに、各抗原に対する免疫反応を誘発することができる。これにより、複数の単一抗原標識の導入が可能になり、防御抗原を特定する必要がなくなる。
【0069】
本発明によれば、過増殖性疾患に特有の過増殖性細胞に対する広範囲の防御免疫反応をもたらす方法ならびに過増殖性疾患に罹患している個体を治療する方法も提供する。本明細書で用いるように、「過増殖性疾患」という用語は、細胞の過増殖によって特徴づけられる疾患および障害を指す。過増殖性疾患の例は、すべての種類の癌および乾癬を含む。
【0070】
免疫原性「過増殖性細胞」関連タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸組成物を個体の細胞に導入することにより、個体のワクチン接種細胞中のそれらのタンパク質の産生がもたらされることが発見された。本明細書で用いるように、「過増殖性関連タンパク質」という用語は、過増殖性疾患に関連するタンパク質を指すことを意味する。過増殖性疾患に対する免疫性を与えるために、過増殖性疾患に関連するタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸組成物を個体に投与する。
【0071】
過増殖性関連タンパク質が有効な免疫原性標的であるためには、それは正常細胞と比較して過増殖性細胞中で独占的またはより高レベルで産生されるタンパク質でなければならない。標的抗原は、そのようなタンパク質、そのフラグメントおよびそのようなタンパク質上に認められる少なくとも1つのエピトープを含むペプチドを含む。場合によって、過増殖性関連タンパク質は、タンパク質をコードする遺伝子の突然変異の産物である。突然変異遺伝子は、正常タンパク質上に認められない異なるエピトープを生じさせるわずかに異なるアミノ酸配列を有すことを除いて、正常タンパク質とほぼ同じであるタンパク質をコードする。そのような標的タンパク質は、myb、myc、fynなどの癌遺伝子ならびに転位遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trkおよびEGRFによりコードされるタンパク質であるものを含む。標的抗原としての癌遺伝子産物に加えて、抗癌治療および防御療法用の標的タンパク質は、B細胞リンパ腫により産生される抗体の可変領域およびいくつかの実施形態において自己免疫疾患の標的抗原としても用いるT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域などである。腫瘍細胞に高レベルで認められ、モノクローナル抗体17−1Aにより認識されるタンパク質および葉酸結合タンパク質などのタンパク質のような他の腫瘍関連タンパク質を標的タンパク質として用いることができる。
【0072】
本発明は1つまたは複数のいくつかの種類の癌に対して個体を免疫化することはできるが、本発明は、特定の癌を発現する素因がある、あるいは癌を経験し、したがって、再発を受けやすい個体を予防的に免疫化するのに有用である。遺伝学およびバイオテクノロジーならびに疫学の発展により、個体における癌の発現の確率の決定およびリスク評価が可能である。遺伝スクリーニングおよび/または家族健康歴を用いて、特定の個体がいくつかの種類の癌のいずれか1つを発現する確率を予測することが可能である。
【0073】
同様に、既に癌を発現した個体および癌を除去するために治療を受けた個体、あるいは寛解状態にある個体は、特に再発および再発生を受けやすい。治療法の一部として、そのような再発を抑制するために、個体が有すると診断された癌に対してそのような個体を免疫化することができる。したがって、個体がある種類の癌を経験し、再発のリスクがあることが知られているならば、個体の免疫系が癌のさらなる出現を抑制することを準備するために個体を免疫化することができる。
【0074】
本発明はまた、過増殖性疾患に罹患している個体を治療する方法を提供する。そのような方法において、ペプチド、タンパク質、炭水化物または核酸組成物およびその組合せの導入は、標的タンパク質を産生する過増殖性細胞を根絶するための個体の免疫系を誘導し、促進する免疫療法としての役割を果たす。
【0075】
本発明は、「自己」誘導抗体を産生する細胞受容体および細胞を含む、自己免疫に関連する標的に対する広範囲の防御免疫反応をもたらすことによる自己免疫疾患および障害に罹患している個体を治療する方法を提供する。
【0076】
T細胞媒介性自己免疫疾患としては、慢性関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、血管炎、ヴェーグナー肉芽腫炎、クローン病および潰瘍性大腸炎などがある。これらの疾患のそれぞれが、内因性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始させるT細胞受容体によって特徴づけられる。T細胞の可変領域に対するワクチン接種により、それらのT細胞を除去するCTLsを含む免疫反応が誘発されると思われる。
【0077】
RAにおいて、該疾患に関与するT細胞受容体(TCRs)のいくつかの特異的な可変領域が特徴づけられた。これらのTCRsとしては、Vβ−3、Vβ−14、Vβ−17およびVα−17などがある。したがって、これらのタンパク質の少なくも1つを送達またはコードするペプチド、タンパク質、炭水化物からなる組成物または核酸組成物およびそれらの組合せを用いたワクチン接種により、RAに関与するT細胞を標的とする免疫反応が誘発される。それぞれが参照により本明細書に組み込まれているHowell M.D.ら、1991年Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10921〜10925頁、Paliard X.ら、1991年Science 253:325〜329頁、Williams W.V.ら、1992年J.Clin.Invest. 90:326〜333頁を参照のこと。
【0078】
MSにおいて、該疾患に関与するTCRsのいくつかの特異的な可変領域が特徴づけられた。これらのTCRsとしては、Vβ−7およびVα−10などである。したがって、これらのタンパク質の少なくも1つを送達またはコードするペプチド、タンパク質、炭水化物からなる組成物または核酸組成物およびそれらの組合せを用いたワクチン接種により、MSに関与するT細胞を標的とする免疫反応が誘発される。それぞれが参照により本明細書に組み込まれているWucherpfennig K.W.ら、1990年Science 248:1016〜1019頁、Oksenberg J.R.ら、1990年、Nature 345:344〜346頁を参照のこと。
【0079】
強皮症において、該疾患に関与するTCRsのいくつかの特異的な可変領域が特徴づけられた。これらのTCRsとしては、Vβ−6、Vβ−8、Vβ−14およびVα−16、Vα−3C、Vα−7、Vα−14、Vα−15、Vα−16、Vα−28およびVα−12などがある。これらのタンパク質の少なくも1つを送達またはコードするペプチド、タンパク質、炭水化物からなる組成物または核酸組成物およびそれらの組合せを用いたワクチン接種により、強皮症に関与するT細胞を標的とする免疫反応が誘発される。
【0080】
T細胞媒介性自己免疫疾患に罹患し、特にTCRの可変領域を特徴づける必要がある患者を治療するために、滑液生検を実施することができる。存在するT細胞の試料を採取し、標準的手法を用いてそれらのTCRsの可変領域を特定することができる。ワクチンは、この情報を用いて調製することができる。
【0081】
B細胞媒介性自己免疫疾患としては、狼瘡(SLE)、グレーヴス病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、喘息、クリオグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変および悪性貧血などがある。これらの疾患のそれぞれが、内因性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始させる抗体によって特徴づけられる。そのような抗体の可変領域に対するワクチン接種により、該抗体を産生するそれらのB細胞を除去するCTLsを含む免疫反応が誘発されると思われる。
【0082】
B細胞媒介性自己免疫性疾患に罹患している患者を治療を治療するためには、自己免疫活性の関与する抗体の可変領域を特定しなければならない。生検を実施することができ、また炎症の部位に存在する抗体の試料を採取することができる。それらの抗体の可変領域は、標準的な手法を用いて特定することができる。
【0083】
SLEの場合、1つの抗原はDNAであると考えられている。したがって、SLEに対して免疫化する患者において、患者の血清を抗DNA抗体についてスクリーニングすることができ、血清中に認められるそのような抗DNA抗体の可変領域をコードする核酸組成物を含むワクチンを調製することができる。
【0084】
TCRsおよび抗体の可変領域の構造の共通の特徴は、よく知られている。特定のTCRまたは抗体をコードするDNA配列は、参照により本明細書に組み込まれているKabatら、1987年、免疫学的に重要なタンパク質の配列(Sequence of Proteins of Immunological Interest)、米国保健福祉省、Bethesda Md.に記載されているようなよく知られている方法により一般的に見いだすことができる。さらに、抗体の機能的可変領域をクローニングする方法は、参照により本明細書に組み込まれているChaudhary V.K.ら、1990年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066頁に見いだすことができる。
【0085】
遺伝子治療
好ましい実施形態において、本発明は、遺伝的障害または遺伝的構成要素を有する状態を治療するための組成物および方法を提供する。さらなる好ましい実施形態において、本発明は、遺伝的障害または遺伝的構成要素を有する状態を治療するための医薬品の製造に有用な組成物を提供する。
【0086】
ヒトゲノムプロジェクトは、疾患の遺伝的基礎に関する我々の知識を増加させた。一般的に、http://www.ornl.gov/sci/techresources/Human_Genome/medicine/assist.shtml を参照のこと。
【0087】
環境および遺伝因子がいずれかの疾患の発現に役割を有する。遺伝的障害は、個体の遺伝物質(ゲノム)の異常により引き起こされる疾患である。次の4種類の遺伝的障害が存在する。すなわち(1)単一遺伝子性、(2)多因子性、(3)染色体性および(4)ミトコンドリア性障害である。
【0088】
(1)単一遺伝子性(メンデルまたは一遺伝子性とも呼ぶ)−このタイプは、1つの遺伝子のDNA配列に発生する変化または突然変異によって引き起こされる。大部分の仕事を行う分子であるタンパク質をコードする遺伝子は、大部分の生命機能を果たし、大部分の細胞構造を作りさえする。遺伝子が、そのタンパク質産物がもはやその正常な機能を有さないように突然変異する場合、障害が生じ得る。200例の出産ごとに約1例の割合で発生する6000以上の既知の単一遺伝子障害が存在する。一部の例は、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、マルファン症候群、ハンチントン病および遺伝性ヘモクロマトーシスである。
【0089】
(2)多因子性(複合または多遺伝子性とも呼ぶ)−このタイプは、環境因子と複数の遺伝子の突然変異の組合せにより引き起こされる。例えば、乳癌感受性に影響を及ぼす異なる遺伝子が第6、11、13、14、15、17および22染色体上に認められた。そのより複雑な性質のために、単一遺伝子または染色体性障害より解析がはるかに困難である。最も一般的な慢性障害の一部は、多因子性障害である。例としては、心疾患、高血圧、アルツハイマー病、関節炎、糖尿病、癌および肥満である。多因子性遺伝も指紋、身長、眼の色および皮膚の色などの遺伝性素質に関連する。
【0090】
(3)染色体性−DNAおよびタンパク質から構成されている独特な構造である染色体は、各細胞の核内にある。染色体は遺伝物質の担体であるので、欠失または余剰のコピーまたは肉眼的切断および再結合(転座)のような染色体構造の異常が疾患をもたらし得る。ある種の重大な染色体異常は、顕微鏡検査により検出することができる。ダウン症候群またはトリソミー21は、人が第21染色体の3つのコピーを有するときに起こる一般的な障害である。
【0091】
(4)ミトコンドリア性−この比較的まれなタイプの遺伝的障害は、ミトコンドリアの非染色体性DNAの突然変異により引き起こされる。ミトコンドリアは、細胞呼吸に関与し、植物および動物細胞の細胞質に認められる小さく、丸いまたは棒状細胞小器官である。各ミトコンドリアは、5個から10個のDNAの環状片を含むことがある。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、補償遺伝子を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを投与するのに用いる。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、本発明の微粒子送達システムは、遺伝子産物の発現が遺伝的障害または状態の遺伝的構成要素の治療に有用である場合に、欠失遺伝子の遺伝子産物をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを投与するのに用いる。好ましい実施形態において、所望のペイロード分子を含む本発明の微粒子送達システムは、遺伝的障害または状態の遺伝的構成要素の治療用の医薬品の製造に有用である。そのような医薬品は、経口、直腸、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、大槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所的に(例えば、散剤、軟膏剤または滴剤)または口腔剤もしくは鼻内噴霧剤として適切に投与する。医薬品は、好ましくは経口、口腔内および非経口、より好ましくは経口投与する。異なるペイロード、例えば、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド発現ベクターまたは治療用小分子を添加した粒子を適切な割合で混合し、併用療法のために共に、例えば、カプセルに入れて投与することができる。
【0093】
遺伝子治療に関する本発明の態様において、核酸組成物は、補償遺伝子または治療タンパク質をコードする遺伝子を含む。補償遺伝子の例としては、ジストロフィンまたは機能フラグメントをコードする遺伝子、嚢胞性線維症に罹患している患者における欠陥遺伝子を補償する遺伝子、ADAに罹患している患者における欠陥遺伝子を補償する遺伝子および第VIII因子をコードする遺伝子などがある。治療タンパク質をコードする遺伝子の例としては、エリトロポイエチン、インターフェロン、LDL受容体、GM−CSF、IL−2、IL−4およびTNFをコードする遺伝子などがある。さらに、毒物に特異的に結合する単鎖抗体成分をコードする核酸組成物を投与することができる。いくつかの好ましい実施形態において、ジストロフィン遺伝子をミニ遺伝子の一部として提供し、筋ジストロフィーに罹患している患者を治療するのに用いる。いくつかの好ましい実施形態において、部分ジストロフィンタンパク質のコーディング配列を含むミニ遺伝子を提供する。ジストロフィン異常は、より軽度のベッカー型筋ジストロフィー(BMD)および重度のジュシェーヌ型筋ジストロフィー(DMD)の原因である。BMDにおいては、ジストロフィンは産生されるが、サイズおよび/または量が異常である。患者は、軽度から中等度の衰弱を有する。DMDにおいては、ジストロフィンは産生されず、患者は13歳までに車椅子に拘束され、20歳までに死亡する。特にBMDに罹患している一部の患者において、本発明により送達されるミニ遺伝子の発現により産生される部分ジストロフィンタンパク質は、筋肉機能の改善をもたらすことができる。
【0094】
好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アールスコグ−スコット症候群、アーセ症候群、軟骨形成不全、先端異骨症、嗜癖、副腎脳白質ジストロフィー、白皮症、無眼瞼大口症候群、アラジル症候群、アルカプトン尿症、α−1−アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、自己免疫多腺性症候群、アンドロゲン非感受性症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー−マリー−トゥース病、クローン病、唇裂、コケーン症候群、コフィン−ローリー症候群、大腸癌、先天性副腎過形成(CAH)、コルネリアドランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻部形成異常、クリグラー−ナジャー症候群、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、嚢胞性線維症、難聴、鬱病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症候群、失読症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成症、エリス−ファンクレフェルト症候群、エーレルス−ダンロー症候群、表皮水疱症(EB)、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、脆弱X症候群、フリートライヒ運動失調、ゴーシェ病、緑内障、グルコース−ガラクトース吸収不良、グルタル酸尿症、回萎縮、ゴールドベルクシプリンツェン症候群(口蓋心顔面症候群)、ゴーリン症候群、ヘーリー−ヘーリー病、片側肥大、ヘモクロマトーシス、血友病、遺伝性運動感覚ニューロパシー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgMを伴う免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、カブキ症候群、リー病(または症候群)、QT間隔延長症候群、肺癌、悪性黒色腫、躁うつ病、マルファン症候群、メンケズ症候群、流産、ムコ多糖症候群、多発性内分泌腫、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニューマン−ピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、p53腫瘍抑制因子、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮、フェニルケトン尿症(PKU)、腎多嚢胞病、プラーダー−ヴィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフスム病、色素性網膜炎、網膜芽腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、精神分裂病、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮、脊髄小脳萎縮、SRY:性決定、成人突然死症候群、タンジアー病、テイ−サックス病、血小板減少橈骨欠損症候群、タウンズ−ブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォンヒッペル−リンダウ症候群、ワーデンブルヒ症候群、ウィーバー症候群、ヴェルナー症候群、ウィリアム症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症またはツェルヴェーガー症候群などの遺伝的障害および遺伝的構成要素を有すると考えられている状態の治療のための組成物および方法を提供する。
【0095】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、鎌状赤血球貧血ならびにβ−地中海貧血、α−地中海貧血、マルファン症候群、エーレルス−ダンローI型、エーレルス−ダンローII型、エーレルス−ダンローIII型、エーレルス−ダンローIV型常染色体優性、エーレルス−ダンローIV型常染色体劣性、エーレルス−ダンローIV−D型、エーレルス−ダンローV型、エーレルス−ダンローVI型、エーレルス−ダンローVII型常染色体優性、エーレルス−ダンローVII型常染色体劣性、エーレルス−ダンローVIII、血小板機能不全を伴うエーレルス−ダンロー、ゴム様皮膚、ゴム様皮膚劣性I型、後角症候群ゴム様皮膚、X連鎖、骨形成不全I型、骨形成不全I−C型、骨形成不全無症状II/III型、骨形成不全IV型、骨形成不全新生児致死型および骨形成不全進行性変形を含むタンパク質関連障害のような代謝障害として発現する遺伝的障害および遺伝的構成要素を有すると考えられている状態の治療のための組成物および方法を提供する。
【0096】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、無フィブリノーゲン血、フィブリノーゲンの完全喪失、第I因子;フィブリノーゲン異常血、機能不全性フィブリノーゲン、第I因子;組織因子欠乏症;第V因子欠乏症、不安定因子欠乏症、第VII因子欠乏症、第VIII因子欠乏症(血友病A)、第IX因子欠乏症(血友病B)、第X因子欠乏症、第XI因子欠乏症、ローゼンタール症候群、血漿トロンボプラスチン前駆物質(PTA)欠乏症、第XII因子欠乏症、ハーゲマン因子欠乏症、第XIII因子欠乏症、第VおよびVIII因子複合欠乏症、第VIIIおよびIX因子複合欠乏症、第IXおよびXI因子複合欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、血栓形成傾向、抗トロンビンIII欠乏症、巨大血小板症候群、血小板糖タンパク質Ib欠乏症、ヴォンヴィレブランド病、フレッチャー因子欠乏症およびプレカリクレイン欠乏症などの凝固系の遺伝的障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0097】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、0型、I型(フォンギールケ病)、Ib型、Ic型、II型(ポンペ病)、IIb型(ダノン病)、III型(コーリ病またはフォーブズ病)、IV型(アンダーセン病)、V型(マッカードル病)、VI型(エール病)、VII型(タルイ病)、VIII型、IX型およびXI型(ファンコーニ−ビッケル症候群)などのグリコーゲン貯蔵障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0098】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、遺伝性フルクトース不耐性、アルドラーゼB欠乏症、フルクトース尿症、肝フルクトキナーゼ欠乏症、古典的ガラクトース血症、ガラクトースエピメラーゼ欠乏症、ガラクトキナーゼ欠乏症、高血糖症およびグリセロールキナーゼ欠乏症などのフルクトース、ガラクトースおよびグリセロール代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0099】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、アポリポタンパク(a)−Lp(a)、I型高リポタンパク血症、Ib型高リポタンパク血症、アポリポタンパクC−II欠乏症、Ic型高リポタンパク血症、キロミクロン血症、II型家族性高コレステロール血症、家族性高βリポタンパク血症、III型高リポタンパク血症、アポリポタンパクE欠乏症、IV型高リポタンパク血症、V型高リポタンパク血症、家族性LCAT欠乏症、ウォルマン病、リポタンパクリパーゼ欠乏症、家族性高トリグリセリド血症、V型高脂血症、VI型高脂血症、家族性リガンド欠損アポB、家族性高αリポタンパク血症、高βリポタンパク血症、アポリポタンパクB−100欠乏症、無βリポタンパク血症、コルンツヴァイク症候群およびタンジアー病、すなわち、家族性高密度リポタンパク欠乏症などのコレステロールおよびリポタンパク質代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0100】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、IH型ムコ多糖沈着症(フルラー症候群)、IS型ムコ多糖沈着症(シャイエ症候群)、IH/S型ムコ多糖沈着症(フルラー/シャイエ症候群)、II型ムコ多糖沈着症(ハンター症候群)、III型ムコ多糖沈着症(サンフィリポA型、サンフィリポB型、サンフィリポC型、サンフィリポD型)、IV型ムコ多糖沈着症(モルキノA型、モルキノB型)、VI型ムコ多糖沈着症(マロトー−ラミー症候群)、VII型ムコ多糖沈着症(スライ症候群)などのムコ多糖および糖脂質障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0101】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、II型全身性GM1若年形、III型全身性GM1成人形を含むGM1ガングリシドーシス、GM2ガングリシドーシス(サンドホフ−ヤツケウィツ病)、GM3ガングリシドーシス、テイ−サックス病、テイ−サックスAB変異型、ゴーシェ病、ニーマン−ピック病、A、B、C1、C2およびD型、シュナイダー病、ファブリー病、ラクトシルセラミドーシス、ファーバー病、クラッベ病、多種スルファターゼ欠損症、オースチン病、異染性白質萎縮症、スルファチドリポドーシスなどのグリコスフィンゴリピド代謝の障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0102】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、フルコース蓄積症、ムコリポドーシスVI、シアロリピドーシス、α−マンノシドーシス、β−マンノシドーシス、I型およびII型シアリドーシス、ガラクトシアリドーシス、ゴールドバーグ症候群およびアスパルチルグルコサミン尿症などのオリゴ糖蓄積症の治療のための組成物および方法を提供する。
【0103】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ムコリピドーシスI(シアリドーシス)、ムコリピドーシスII(I細胞病)およびムコリピドーシスIII(偽性ハーラー病ポリジストロフィー)などのリソソーム酵素輸送の障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0104】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、フェニルケトン尿症、I型チロシン血症(チロシン症)、II型チロシン血症(リヒナー−ハンハート症候群)、III型チロシン血症、アルカプトン尿症、ホモシスチン尿症、ヒスチジン尿症、かえで糖尿病(MSUD)、Ib型MSUD、II型MSUD、メチルマロン酸尿症、I型非ケトン性高血糖症(NKHI)および高リジン血症などのアミノ酸および有機酸代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0105】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、高アンモニア血症、リン酸カルボモイルシンテターゼI(CPS−I)欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症、N−アセチルグルタミン酸シンターゼ欠損症、アルギニコハク酸尿症、アルギニコハク酸リアーゼ欠損症、高アルギニン血症、アルギナーゼ欠損症、シトルリン血症、アルギニコハク酸シンターゼおよびオルニチンアミノトランスフェラーゼ欠損症などの尿サイクル欠損の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、I型シスチン尿症、III型シスチン尿症、ハートナップ病および高アンモニア血−高オルニチン血−ホモシトルリン尿(HHH)症候群などのアミノ酸輸送の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、先天性赤血球生成性ポルフィリン症(CEP)、赤血球生成性プロトポルフィリン症(EPP)、ALAデヒドラターゼ欠損ポルフィリン症(ADP)、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、ヴァリエゲートポルフィリン症(VP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、肝赤血球生成性プロトポルフィリン症(HEP)、ギルバート症候群、I型およびII型クリグラー−ナジャー症候群、デュビン−ジョンソン症候群およびローター症候群などのポルフィリン症およびビリルビン尿症の治療のための組成物および方法を提供する。
【0106】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、超長鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(VLCAD)、長鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(LCAD)、中鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(MCAD)、短鎖アシルCoAデヒドゲナーゼ欠損症(SCAD)、カルニチントランスローカーゼ欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPTI)欠損症およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII(CPTII)欠損症などの脂肪酸代謝の誤りの治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、レッシュ−ナイハン症候群、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損に起因する重症複合免疫不全症(SCID)、痛風、アデノシンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)欠損に起因する腎結石症、キサンチンオキシダーゼ欠損に起因するキサンチン尿症、I型およびII型オロト酸尿症およびオルニチントランスカルボモイラーゼ欠損症などのヌクレオチド代謝の欠損の治療のための組成物および方法を提供する。
【0107】
他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ウィルソン病、メンケス病、後角症候群およびヘモクロマトーシスなどの金属代謝障害の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、ツェルヴェーガー症候群、X連鎖副腎白質ジストロフィー、新生児副腎白質ジストロフィー(NALD)、斑状軟骨形成不全症(RCDP)および乳児レフサム病(IRD)などのペルオキシソームの障害の治療のための組成物および方法を提供する。他の好ましい実施形態において、本発明の微粒子送達システムは、毛細血管拡張性運動失調症(AT)、色素性乾皮症(XP)、コケーン症候群、ブルーム症候群およびファンコーニ貧血などの欠陥DNA修復に伴う障害の治療のための組成物および方法を提供する。
【0108】
投与経路
投与経路は、経口、口腔内、舌下、肺、経皮、経粘膜ならびに皮下、腹腔内および筋肉内注射を含むが、これらに限定されない。好ましい投与経路は、経口、口腔内、舌下、肺および経粘膜である。
【0109】
本発明の微粒子送達システムは、治療上有効な量で患者に投与する。微粒子送達システムは、単独または製薬上許容できる組成物の一部として投与することができる。さらに、化合物または組成物はすべて、例えばボーラス注射として一度に、一連の錠剤などにより複数回投与、または、例えば、放出制御製剤を用いて一定の時間にわたって実質的に一様に送達することができる。化合物の用量を時間の経過とともに変化させることができることも確認されている。微粒子送達システムは、即放性製剤、放出制御製剤またはそれらの組合せを用いて投与することができる。「放出制御」という用語は、持続放出、遅延放出およびそれらの組合せを含む。
【0110】
本発明の薬剤組成物は、1回単位用量として、または複数の1回単位用量として調製、包装またはバルク販売することができる。本明細書で用いるように、「単位用量」は、あらかじめ決定した量の有効成分を含む薬剤組成物の離散的量である。有効成分の量は、一般的に患者に投与されるような有効成分の用量、またはそのような用量の都合のよい分割量、例えば、そのような用量の2分の1もしくは3分の1に等しい。
【0111】
本発明の薬剤組成物中の有効成分、製薬上許容できる担体および追加の成分の相対量は、治療を受ける人の特徴、体格および状態によって、またさらに組成物を投与する経路によって異なる。例として、組成物は、0.1%〜100%(重量/重量)の有効成分を含むことができる。本発明の薬剤組成物の単位用量は、一般的に約100mg〜約2mgの有効成分、好ましくは約200mg〜約1.0mgの有効成分を含む。
【0112】
さらに、本発明の微粒子送達システムは、単独で、異なるペイロードを含む微粒子送達システムと、または他の薬剤学的に活性な化合物と併用投与することができる。他の薬剤学的に活性な化合物は、微粒子送達システムと同じ状態または異なる状態を治療するために選択することができる。
【0113】
患者が薬剤学的に活性な化合物の投与を受けることになっているか、受けている場合、化合物は同時またはある順序で逐次的に投与することができる。例えば、錠剤の場合、活性な化合物は、一度にまたはある順序で逐次的に投与することができる1つの錠剤または別個の錠剤に見いだすことができる。さらに、組成物は異なる形態であり得ることを認識すべきである。例えば、1つまたは複数の化合物は錠剤により送達することができるが、他は注射により、またはシロップ剤として経口投与される。
【0114】
本発明の他の態様は、本発明の薬剤組成物および教育的資料を含むキットに関する。教育的資料は、本明細書に示すヒトにおける目的の1つにおける本発明の薬剤組成物の有用性を伝達するために用いる刊行物、記録、図表または他のあらゆる表現媒体を含む。教育的資料はまた、例えば、本発明の薬剤組成物の適切な用量を記述することができる。本発明のキットの教育的資料は、例えば、本発明の薬剤組成物を含む容器に添付するか、または該薬剤組成物を含む容器とともに輸送することができる。あるいは、該教育的資料は、教育的資料と薬剤組成物が受容者によりともに用いられるというつもりで、容器と別個に輸送することができる。
【0115】
本発明はまた、本発明の薬剤組成物および該組成物をヒトに送達するための送達装置を含むキットを含む。例として、送達装置は、スクイーズ噴霧ビン、計量噴霧ビン、エアゾール噴霧装置、霧化器、乾燥散剤送達装置、自己噴霧式溶媒/散剤投薬装置、注射器、針、タンポンまたは計量容器であってよい。キットはさらに、本明細書で述べたような教育的資料を含んでいてよい。
【0116】
例えば、キットは、微粒子送達システムおよび製薬上許容できる担体を含む第1の組成物ならびに第2の薬剤学的に活性な化合物および製薬上許容できる担体を含む組成物をそれぞれ含む2つの別個の薬剤組成物を含んでいてよい。キットはまた、分割ビンまたは分割フォイルパケットなどの異なる組成物用の容器を含む。容器のさらなる例としては、注射器、箱、バッグ等がある。一般的に、キットは、異なる組成物の投与の説明書を含む。キットの形態は、異なる組成物を異なる剤形で投与(例えば、経口および非経口)することが好ましく、異なる投与間隔で投与するとき、あるいは配合物の個々の成分の用量調整が処方医師により望まれているときに特に有利である。
【0117】
キットの例は、ブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業でよく知られており、薬剤単位剤形(錠剤、カプセル剤等)の包装に広く用いられている。ブリスターパックは、一般的に好ましくは透明プラスチック材料のフォイルで被覆された比較的硬い材料のシートからなっている。包装工程で、プラスチックフォイルにくぼみが形成される。くぼみは、包装する錠剤またはカプセル剤の大きさと形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤がくぼみに入れられ、比較的硬い材料のシートが、くぼみが形成された方向と反対側にあるプラスチックフォイルの面でプラスチックフォイルに対して封じられる。その結果、錠剤またはカプセル剤はプラスチックフォイルとシートの間のくぼみに封じ込められる。好ましくは、シートの強度は、手でくぼみに圧力を加えてくぼみの位置のシートに開口部を形成させることによって錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから取り出すことができるような値である。錠剤またはカプセル剤は、前記開口部から取り出すことができる。
【0118】
例えば、当該治療法での錠剤またはカプセル剤を服用すべき日に対応する数を錠剤またはカプセル剤に隣接して示すなど、数の形でキットに記憶補助手段を備えることが望ましい。そのような記憶補助手段の他の例は、例えば、「第1週、月曜日、火曜日、...等、第2週、月曜日、火曜日」等のカードに印刷されたカレンダーである。記憶補助手段の他の変形形態は、容易に明らかになるであろう。「1日量」は、所与の日に服用すべき1個の錠剤もしくはカプセル剤または数個の丸剤もしくはカプセル剤であり得る。また、微粒子送達システムの1日量は1個の錠剤もしくはカプセル剤からなっていてよく、一方、第2の化合物の1日量は数個の錠剤もしくはカプセル剤からなっていてよく、また逆の場合も同様である。記憶補助手段は、これを反映し、正しい投与の助けとなるべきである。
【0119】
本発明の他の実施形態において、意図する使用の順序で一度に1つずつ1日量を投薬するように設計されたディスペンサーを提供する。好ましくは、投与法の遵守をさらに促進するように、ディスペンサーに記憶補助手段を装着する。そのような記憶補助手段の例は、既に投薬された1日量の数を表示する機械的計数器である。そのような記憶補助手段の他の例は、例えば、最終の1日量を服用した日を読み出し、かつ/または次の量を服用するときにそれを思い出させる液晶表示器または可聴合図シグナルに連結された電池式マイクロチップメモリである。
【0120】
場合によって他の薬剤学的に活性な化合物を含む、微粒子送達システム組成物は、経口、直腸、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、大槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所的に(例えば、散剤、軟膏剤または滴剤)または口腔剤もしくは鼻内噴霧剤として患者に投与することができる。
【0121】
薬剤組成物の非経口投与は、ヒトの組織の物理的侵害および組織における侵害による薬剤組成物の投与によって特徴づけられる投与経路を含む。したがって、非経口投与は、組成物の注射、外科的切開創をとおしての組成物の適用、組織貫通性非外科的創傷をとおしての組成物の適用等による薬剤組成物の投与を含む。特に非経口投与は、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内または胸骨内注射ならびに静脈内、動脈内または腎透析注入法を含む。
【0122】
非経口注射に適する組成物は、生理学的に許容できる無菌水性もしくは非水性液剤、分散剤、懸濁剤または乳剤などの製薬上許容できる担体と組み合わせた有効成分を含み、あるいは無菌注射用液剤または分散剤に再構成するための無菌散剤を含んでいてよい。適切な水性もしくは非水性担体、希釈剤、溶媒または媒体としては、水、等張食塩水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油を含むトリグリセリドまたはオレイン酸エチルのような注射用有機エステルなどがある。例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散剤の場合には必要な粒径の維持、および/または界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。そのような製剤は、ボーラス投与または持続投与に適する形態で調製、包装または販売することができる。注射剤は、アンプル入り、保存剤を含む反復投与容器入り、または自己注射もしくは医師による注射用1回使用装置入りのような単位剤形で調製、包装または販売することができる。
【0123】
非経口投与用製剤としては、懸濁剤、液剤、油性もしくは水性媒体中乳剤、ペースト剤、埋込み式徐放または生分解性製剤などがある。そのような製剤は、さらに懸濁化、安定化または分散剤などの1つまたは複数の追加の成分を含んでいてよい。非経口投与用の製剤の1つの実施形態において、再構成組成物の非経口投与の前に適切な媒体(例えば、病原体を含まない無菌水)で再構成するために有効成分を乾燥した(すなわち、散剤または顆粒剤)形態で提供する。薬剤組成物は、無菌の注射用水性または油性懸濁剤または液剤の形態で調製、包装または販売することができる。この懸濁剤または液剤は、既知の技術に従って調剤することができ、有効成分に加えて、本明細書で述べるような分散剤、加湿剤または懸濁化剤などの追加の成分を含んでいてよい。そのような無菌注射剤は、例えば、水または1,3−ブタンジオールなどの非経口で許容できる無毒性希釈剤または溶媒を用いて調製することができる。他の許容できる希釈剤および溶媒は、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液および合成モノまたはジグリセリドのような固定油などである。有用である他の非経口投与可能な製剤としては、リポソーム製剤中に微結晶の形態の、または生分解性ポリマーシステムの成分としての有効成分を含むものなどがある。徐放または埋込み用組成物は、乳剤、イオン交換樹脂、わずかに溶けるポリマーまたはわずかに溶ける塩などの製薬上許容できるポリマーまたは疎水性物質を含んでいてよい。
【0124】
これらの組成物は、保存剤、加湿剤、乳化剤および/または分散剤などの佐剤も含んでいてよい。組成物の微生物汚染の予防は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の添加により達成することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい。注射用薬剤組成物の長期吸収は、吸収を遅延させることができる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよび/またはゼラチンを用いることによってもたらすことができる。
【0125】
剤形は、固体または注射可能な埋込み剤もしくはデポー剤を含み得る。好ましい実施形態において、埋込み剤は、微粒子送達システムの一部および生分解性ポリマーを含む。好ましい実施形態において、適切な生分解性ポリマーは、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(オルトエステル)およびポリホスファゼンからなる群から選択することができる。
【0126】
経口投与用固体剤形は、カプセル剤、錠剤、散剤および顆粒剤などである。そのような固体剤形において、微粒子送達システムは、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの通常の不活性賦形剤(もしくは担体)または(a)例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはケイ酸のような充填剤もしくは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースもしくはアラビアゴムのような結合剤、(c)例えば、グリセロールのような湿潤剤、(d)例えば、カンテン、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩もしくは炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(e)例えば、パラフィンのような溶液凝固遅延剤、(f)例えば、第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコールもしくはモノステアリン酸グリセロールのような加湿剤、(h)例えば、カオリンもしくはベントナイトのような吸着剤、および/または(i)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムもしくはそれらの混合物のような滑沢剤と場合によって混合されている。
【0127】
微粒子送達システムを含む錠剤は、例えば、有効成分を場合によって1つまたは複数の追加の成分とともに圧縮または成形して調製することができる。圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、賦形剤、界面活性剤および分散剤のうちの1つまたは複数のものと場合によって混合されている散剤または顆粒剤のような流動性の形態の有効成分を適切な装置で圧縮して調製することができる。成形錠剤は、有効成分、製薬上許容できる担体および混合物を湿らせるのに少なくとも十分な液体の混合物を適切な装置で成形して調製することができる。錠剤の製造に用いる製薬上許容できる賦形剤は、不活性希釈剤、造粒剤および崩壊剤、結合剤ならびに滑沢剤などである。既知の分散剤は、ジャガイモデンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウムなどである。既知の界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムなどである。既知の希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびリン酸ナトリウムなどである。既知の造粒剤および崩壊剤は、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸などである。既知の結合剤は、ゼラチン、アラビアゴム、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどである。既知の滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカおよびタルクなどである。
【0128】
錠剤は、非被覆であってよく、あるいはヒトの胃腸管における崩壊の遅延を達成し、それにより、例えば、小腸のパイエル板の領域における微粒子送達システムの持続的放出および吸収をもたらす既知の方法を用いて被覆することができる。例として、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような物質は、錠剤を被覆するのに用いることができる。さらに例として、錠剤を米国特許第4256108号、第4160452号および第4265874号に記載されている方法を用いて被覆して、浸透圧により放出が制御される錠剤を製造することができる。錠剤はさらに、製薬上上質かつ味のよい製剤を提供するために、甘味料、着香剤、着色剤、保存剤またはこれらのいくつかの組合せを含んでいてよい。
【0129】
錠剤、糖衣丸、カプセル剤および顆粒剤などの固形剤形は、腸溶コーティングなどのコーティングまたは外皮および当技術分野でよく知られている他の方法を用いて調製することができる。それらは、不透明化剤も含んでいてよく、また、微粒子送達システムの遅延放出を示すような組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物の例は、ポリマー物質またはワックスである。活性化合物は、適切な場合、1つまたは複数の上記の賦形剤を含むマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0130】
同様な種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコール等を用いた軟質または硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤としても用いることもできる。微粒子送達システムを含む硬質カプセル剤は、ゼラチンのような生理的に分解可能な組成物を用いて調製することができる。そのような硬質カプセル剤は、微粒子送達システムを含み、また例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性固体希釈剤を含む追加の成分をさらに含んでいてよい。微粒子送達システムを含む軟質カプセル剤は、ゼラチンのような生理的に分解可能な組成物を用いて調製することができる。そのような軟質カプセル剤は、水または落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などの油媒体と混合することができる微粒子送達システムを含む。
【0131】
経口組成物は、患者の小または大腸において経口投与薬剤を特異的に放出する既知の技術を用いて調製することができる。例えば、結腸を含む胃腸系に送達する製剤としては、ポリマーのみが小腸への入口で溶解し始めるように、pH6以上でのみ溶ける例えば、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)のようなメタクリレートコポリマーに基づく腸溶システムなどがある。そのようなポリマー製剤崩壊する部位は、腸における移動速度と存在するポリマーの量に依存する。例えば、比較的厚いポリマーコーティングは、近位結腸に送達するために用いる(Hardyら、1987年、Aliment.Pharmacol.Therap. 1:273〜280頁)。部位特異的結腸送達をもたらすことができるポリマーも用いることができる。この場合、ポリマーは、ポリマー被覆物の酵素分解とひいては薬剤の放出をもたらすために大腸の細菌叢に依拠している。例えば、アゾポリマー(米国特許第4663308号)、グリコシド(Friendら、1984年、J.Med.Chem. 27:261〜268頁)および様々な天然および修飾多糖(PTC出願PTC/GB89/00581)は、そのような製剤に用いることができる。
【0132】
米国特許第4777049号に記述されているようなパルス放出技術も胃腸管内の特定の位置に微粒子送達システムを投与するのに用いることができる。そのようなシステムは、あらかじめ定めた時間での送達を可能にし、場合によって、in vivo放出を可能にするための水の存在以外の外的条件に依拠せずに、安定性と取り込みを促進するために局所微小環境を直接変化させることができる他の添加剤とともに微粒子送達システムを送達するのに用いることができる。
【0133】
経口投与用液体剤形としては、製薬上許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤などがある。液体剤形は、活性化合物に加えて、水もしくは他の溶媒、等張食塩水、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、アーモンド油、ラッカセイ油、ココナツ油、塊根植物油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、MIGLYOL(商標)、グリセロール、分留植物油、流動パラフィンのような鉱油、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物等のような可溶化剤および乳化剤などの当技術分野で一般的に用いられている不活性希釈剤を含んでいてよい。そのような不活性希釈剤のほかに、組成物は、加湿剤、乳化剤および懸濁化剤、粘滑剤、保存剤、緩衝剤、塩、甘味料、着香剤、着色剤および芳香剤などの佐剤も含んでいてよい。懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタールもしくはソルビタンエステル、微結晶性セルロース、水素化可食脂肪、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム、カンテンならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイトまたはこれらの物質の混合物等の懸濁化剤を含んでいてよい。経口投与に適する本発明の薬剤組成物の液体製剤は、液体または使用前に水もしくは他の適切な媒体で再構成することを意図する乾燥製品の形態で調製、包装および販売することができる。
【0134】
既知の分散化または加湿剤としては、レシチンなどの天然に存在するホスファチド、アルキレンオキシドと脂肪酸との、長鎖脂肪族アルコールとの、脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの、または脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物(例えば、それぞれステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリエチレンモノオレイン酸ソルビトールおよびポリエチレンモノオレイン酸ソルビタン)などがある。既知の乳化剤は、レシチンおよびアラビアゴムなどである。既知の保存剤は、メチル、エチルまたはn−プロピル−パラヒドロキシ安息香酸エステル、アスコルビン酸およびソルビン酸などである。既知の甘味料は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロースおよびサッカリンなどである。既知の粘稠化剤は、例えば、蜜ろう、硬質パラフィンおよびセチルアルコールなどである。
【0135】
他の実施形態において、薬剤組成物は、機能食品、すなわち、食品の形態もしくは食品に添加した形態(例えば、直接摂取を意図する加工品)または食材(摂取前に食品に混入することを意図する可食成分)として調製することができる。適切な食品の例としては、棒付きキャンディーのようなキャンディー、クラッカー、パン、クッキーおよびスナックケーキのような焼き物、全、裏ごしまたはマッシュ果実および野菜、ならびに加工肉製品などがある。適切な食材の例としては、製粉加工穀物および糖、香辛料および他の調味料、ならびにシロップなどがある。本明細書で述べる微粒子送達システムは、化合物の分解を最小限にするために、長時間にわたり高調理温度に曝露しないことが好ましい。
【0136】
直腸または膣投与用組成物は、通常の室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸または膣腔内で融解し、微粒子送達システムを放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と微粒子送達システムを混合して調製することができる。そのような組成物は、例えば、坐剤、停留浣腸製剤および直腸もしくは結腸潅注用液剤の形態であってよい。坐剤は、さらに抗酸化剤および保存剤を含む様々な追加の成分を含んでいてよい。停留浣腸製剤または直腸もしくは結腸潅注用液剤は、有効成分と製薬上許容できる液体担体とを混合することにより調製することができる。当技術分野で知られているように、浣腸製剤は、ヒトの直腸の解剖学的構造に適応させた送達用具を用いて投与することができ、また該送達用具内に包装することができる。浣腸製剤は、さらに抗酸化剤および保存剤を含む様々な追加の成分を含んでいてよい。
【0137】
本発明の薬剤組成物は、口腔を介しての肺投与に適する製剤として調製、包装または販売することができる。そのような組成物は、散剤を分散させるための噴射剤の流れを導くことができる乾燥散剤リザーバーを含む装置を用いて、あるいは密閉容器内の低沸点噴射剤中に懸濁させた微粒子送達システムを含む装置などの自己噴射性溶媒/散剤分配容器を用いて投与するための乾燥散剤の形態であることが都合がよい。乾燥散剤組成物は、糖などの固体微細粉末を含んでいてよく、単位剤形で提供することが都合がよい。低沸点噴射剤は、一般的に大気圧で65°F(18.3℃)以下の沸点を有する液体噴射剤を含む。一般的に噴射剤は組成物の50〜99.9%(重量/重量)を構成していてよく、有効成分は組成物の0.1〜20%(重量/重量)を構成していてよい。噴射剤は、さらに液体非イオン性または固体陰イオン界面活性剤または固体希釈剤(好ましくは微粒子送達システムを構成する粒子と同程度の粒径を有する)のような追加の成分を含んでいてよい。
【0138】
肺送達用に製剤化された本発明の薬剤組成物も懸濁剤の液滴の形態の有効成分を提供することができる。そのような製剤は、微粒子送達システムを含む、場合によって無菌の水性または希アルコール性懸濁剤として調製、包装または販売することができ、噴霧または霧化装置を用いて都合よく投与することができる。そのような製剤は、サッカリンナトリウムなどの着香料、揮発油、緩衝剤、界面活性剤またはメチルヒドロキシ安息香酸エステルなどの保存剤を含む1つまたは複数の追加の成分を含んでいてよい。
【0139】
本明細書で肺送達に有用であると述べた製剤は、本発明の薬剤組成物の鼻内送達にも有用である。鼻内投与に適する他の製剤は、微粒子送達システムを含む粗散剤である。そのような製剤は、吹入剤を服用する方法、すなわち、外鼻孔近くに保持した散剤の容器からの鼻腔を介しての急速な吸入により投与する。
【0140】
本発明の薬剤組成物は、口腔内投与に適する製剤として調製、包装または販売することができる。そのような製剤は、例えば、通常の方法を用いて製造された錠剤またはトローチ剤の形態であってよく、例えば、0.1〜20%(重量/重量)の微粒子送達システムを含み、残りは経口で溶解性または分解性の組成物ならびに場合によって、本明細書で述べた1つまたは複数の成分を含んでいてよい。あるいは、口腔内投与に適する製剤は、微粒子送達システムを含む散剤あるいはエアゾール化もしくは霧化した液剤または懸濁剤を含んでいてよい。
【0141】
抗体
本明細書で用いるように、「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(Mab)という用語は、タンパク質に特異的に結合することができる完全な分子ならびに抗体フラグメント(例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメント)を含むことを意味する。FabおよびF(ab’)2フラグメントは、完全な抗体のFcフラグメントを欠き、完全な抗体より循環から速やかに消失し、少ない非特異的組織結合を有する。したがって、Fabの産物または他の免疫グロブリン発現ライブラリーと同様に、これらのフラグメントは好ましい。さらに、本発明の抗体は、キメラ、単鎖および人化抗体を含む。
【0142】
抗体は、当技術分野で知られているかなり多数の技術を用いて調製することができる。適切な技術は、下で簡単に述べる。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってよい。ポリクローナル抗体は、産生の迅速性ならびに強い免疫蛍光染色および抗原捕捉を保証する複数のエピトープに対する特異性を含む最初の開発に関して重要な利点を有する可能性がある。モノクローナル抗体は、大規模生産に適応できる。好ましい実施形態は、標的抗原のエピトープに対して特異的な少なくとも1つのモノクローナル抗体を含む。ポリクローナル調製物は大規模生産で容易に複製することができないため、他の実施形態では、少なくとも4つのモノクローナル抗体のカクテルを用いる。
【0143】
単鎖Fv(「scFv」または「sFv」)ポリペプチドは、直接結合またはペプチドをコードするリンカーにより結合しているVHおよびVLをコードする配列を含む核酸から発現させることができる共有結合VH:VLヘテロダイマーである(Hustonら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、85:5879〜5883頁(1988年))。天然で凝集しているが、化学的には分離している抗体V領域の軽および重ペプチド鎖を、抗原結合部位の構造に実質的に類似している三次元構造に折りたたまれているscFv分子に変換するための多くの構造がある。例えば、米国特許第6512097号、第5091513号および第5132405号および第4956778号を参照のこと。
【0144】
1つのクラスの実施形態において、組換え設計法を用いて、2つの天然で凝集しているが、化学的には分離している抗体可変領域の軽および重ペプチド鎖を、ネイティブ抗体構造に実質的に類似している三次元構造に折りたたまれているsFv分子に変換するための適切な化学構造(リンカー)を開発することができる。設計基準は、1つの鎖のC末端と他の鎖のN末端との間の距離にわたる適切な長さの決定を含む。この場合、リンカーは、コイルまたは二次構造を形成する傾向がない小親水性アミノ酸残基から一般的に形成される。そのような方法は、当技術分野で述べられている。例えば、Hustonらへの米国特許第5091513号および第5132405号ならびにLadnerらへの米国特許第4946778号を参照のこと。
【0145】
この点に関して、リンカー設計の最初の一般的な段階は、妥当と思われる結合部位の特定を含む。VHおよびVLポリペプチドドメインの各々の適切な結合部位は、ポリペプチドドメインからの残基の最小限の喪失をもたらし、分子の安定性の必要と一致する最小の数の残基を含むリンカーを必要とするものを含む。部位の対は、結合すべき「ギャップ」を定義する。1つのドメインのC末端を次のN末端に接続するリンカーは、一般的に生理学的溶液中で構造化されていない立体配置をとる親水性アミノ酸を含み、VHおよびVL鎖の適切な折りたたみを妨害するような大きい側基を有する残基を含まないことが好ましい。したがって、本発明による適切なリンカーは、一般的にグリシンおよびセリン残基の交互の組のポリペプチド鎖を含み、溶解度を増大させるために挿入されたグルタミン酸およびリシン残基を含んでいてよい。そのようなリンカー部分をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で知られている種々のオリゴヌクレオチド合成法を用いて容易に提供することができる。
【0146】
あるいは、ヒト化抗体フラグメントは、マウスモノクローナル抗体の抗原結合部位およびヒト抗体由来の可変領域フラグメント(抗原結合部位を欠く)を含んでいてよい。キメラおよびさらに遺伝子工学により改変したモノクローナル抗体の生産の方法は、Riechmannら(Nature 332:323頁、1988年)、Liuら(PNAS 84:3439頁、1987年)、Larrickら(Bio Technology 7:934頁、1989年)ならびにWinterおよびHarris(TIPS 14:139頁、1993年5月)に記載されている方法を含む。
【0147】
ヒト抗体を生産する1つの方法は、トランスジェニックマウスのようなヒト以外の動物を標的抗原で免疫化し、それにより、標的抗原に対して誘導される抗体を前記動物において生成させることを含む。ヒト以外の動物におけるヒト抗体を生成させる方法が開発された。抗体は、部分的にヒトであるか、または好ましくは完全にヒトであってよい。1つまたは複数のヒト免疫グロブリン鎖をコードする遺伝物質が導入されたヒト以外の動物(トランスジェニックマウスのような)を用いることができる。そのようなトランスジェニックマウスは、様々な方法で遺伝的に改変することができる。遺伝子操作により、免疫化により動物によって産生された少なくとも一部(好ましくは実際上すべて)の抗体における内因性免疫グロブリン鎖を置換したヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖が得られる可能性がある。標的抗原によりトランスジェニック動物を免疫化することにより産生された抗体を本明細書に示す。
【0148】
1つまたは複数の内因性免疫グロブリン遺伝子が種々の手段により不活性化されているマウスが作られた。ヒト免疫グロブリン遺伝子をマウスに導入して、不活性化マウス遺伝子を置換した。動物において産生された抗体は、動物に導入されたヒト遺伝物質によってコードされるヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を組み込んでいる。産生の技術およびそのようなトランスジェニック動物の使用の例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5814318号、第5569825号および第5545806号に記述されている。
【0149】
モノクローナル抗体は、通常の方法、例えば、免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から収集された不死化脾臓細胞により産生させることができる。通常の方法により、脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を生成させることができる。
【0150】
ハイブリドーマ細胞系を生成させる方法は、標的抗原の少なくとも7つの近接するアミノ酸残基を含む免疫原でそのようなトランスジェニック動物を免疫化する段階、収集した脾臓細胞を骨髄腫細胞系に融合させ、それにより、ハイブリドーマ細胞を生成させる段階、および標的抗原に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を特定する段階を含む。そのようなハイブリドーマ細胞系およびそれから産生されるモノクローナル抗体は、本発明により包含される。ハイブリドーマ細胞系により分泌されるモノクローナル抗体は、通常の技術により精製される。
【0151】
他の実施形態において、抗体フラグメントは、一連の競合的抗原の存在下で1組の抗原に対する非免疫ファージディスプレイ抗体レパートリーからの選択により産生させる(Stausbol-Gron B.ら、ファージディスプレイサブトラクションによる細胞型特異抗体−抗原対の新規の特定(De novo identification of cell-type specific antibody-antigen pairs by phage display subtraction)。ヒトケラチン14に対するヒト単鎖抗体フラグメントの分離(Isolation of a human single chain antibody fragment against human keratin 14)。Eur J Biochem 2001年5月、268(10):3099〜107頁)。このアプローチを用いて、標的抗原に対するファージ抗体を産生させることができる。プロトコールは、一般的にStausbol-Gron B.ら(2001年)により記載されたものに基づいている。簡単に述べると、非免疫化半合成ファージディスプレイ抗体レパートリーを用いる。該レパートリーは、loxライブラリーの重および軽鎖領域を再クローニングすることにより構築される単鎖Fv(scFv)ファージミドである(Griffiths A.D.ら(1994)大合成レパートリーからの高親和力ヒト抗体の直接的分離(Isolation of high affinity human antibodies directly from large synthetic repertoires, EMBO J. 13、3245〜3260頁)。大腸菌TG1(supE hsdD5Δ(lac−proAB)thiF’{traD36proAB+lacqlacZΔ15})は、アンバーサプレッサー株(supE)であり、ファージ粒子の増殖に用いる。大腸菌HB2151(araΔ(lac−proAB)thiF’{proAB+lac)qlacZΔ15})は、ノンサプレッサー株であり、可溶性scFvの発現に用いる。他の実施形態において、記載されているように、ヒト単鎖Fv(scFv)ライブラリーを増幅し、救出することができる(Gaoら、化学を感染力に関連づけることにより、化学を選択可
能にする(Making chemistry selectable by linking it to infectivity)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94巻、11777〜11782頁、1997年10月)。ライブラリーをPBS(10mMリン酸、150mM NaCl、pH7.4)に懸濁した標的抗原に対してパンニングし、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)により陽性scFvファージを選択する。
【0152】
他の実施形態において、組換え抗体、好ましくは単鎖Fv抗体をコードする発現ベクターを供給することにより、抗体を提供する。
【実施例】
【0153】
(実施例1)
図1は、外側から内側に、外側原線維層110、外側マンノプロテイン層120、β−グルカン層130、β−グルカン−キチン層140、内側マンノプロテイン層150、原形質膜160および細胞質170を示す酵母細胞壁の横断切片の概略図100である。
【0154】
WGP粒子の調製
全グルカン粒子(WGP、ロットW0282)は、事前にAlpha-Beta Technologyから入手した。一般的に、全グルカン粒子は、酵母細胞壁からアルカリ不溶性グルカン画分を抽出し、精製することにより酵母細胞から調製する。酵母細胞を酵母細胞壁を破壊することなく水性水酸化物溶液で処理して、細胞のタンパク質および細胞内部分を消化し、有意なタンパク質の混入がなく、β(1−6)およびβ(1−3)結合グルカンの実質的に不変の細胞壁構造を有するグルカン壁成分を残す。酵母細胞(サッカロミセス セレビシエ 株R4)をフェドバッチ発酵条件下で最少培地中で対数増殖期中期まで増殖させた。2000rpmで10分間のバッチ遠心分離により、細胞(約90g乾燥細胞重量/L)を収集した。次いで、細胞を蒸留水で1回洗浄し、1リットルの1M NaOHに再懸濁し、90℃に加熱した。細胞懸濁液をこの温度で1時間激しく攪拌した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの1M NaOHに再懸濁し、90℃に再び加熱した。懸濁液をこの温度で1時間激しく攪拌した。次いで、懸濁液を室温に冷却し、抽出をさらに16時間続けた。2000rpmで10分間の遠心分離により、不溶性残留物を回収した。この物質をHClでpH4.5とした1リットルの水で75℃で1時間最終的に抽出した。不溶性残留物を遠心分離により回収し、200mLの水で3回、200mLのイソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、減圧下で55℃で乾燥して7.7gの微細白色粉末を得た。
【0155】
全グルカン粒子およびそれらを調製する方法のより詳細は、教示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4810646号、第4992540号、第5028703号、第5607677号および第5741495号に見いだすことができる。例えば、米国特許第5028703号は、酵母WGP粒子は発酵培養における酵母細胞から生成することができることを開示している。Sorval RC2−B遠心分離機で8000rpmで20分間遠心分離して細胞を収集した。次いで、全グルカンの抽出のためにそれらを調製するために細胞を蒸留水で2回洗浄した。最初の段階は、細胞塊を1リットルの4重量/体積%NaOHに再懸濁し、100℃に加熱することを必要とした。細胞懸濁液をこの温度で1時間激しく攪拌した。2000rpmで15分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を2リットルの3重量/体積%NaOHに再懸濁し、75℃に加熱した。懸濁液をこの温度で3時間激しく攪拌した。次いで、懸濁液を室温に冷却し、抽出をさらに16時間続けた。2000rpmで15分間の遠心分離により、不溶性残留物を回収した。この物質をHClでpH4.5とした2リットルの3重量/体積%NaOHで75℃で1時間最終的に抽出した。遠心分離により不溶性残留物を回収し、200mLの水で3回、200mLの脱水エタノールで1回、200mLの脱水エチルエーテルで2回洗浄した。得られたスラリーをペトリプレートにのせ、乾燥した。
【0156】
YGMP粒子の調製
サッカロミセス セレビシエ(100g Fleishmans Bakers酵母)を1リットルの1M NaOHに懸濁し、55℃に加熱した。細胞懸濁液をこの温度で1時間混合した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの水に懸濁し、HClでpH4〜5とし、55℃で1時間インキュベートした。不溶性残留物を遠心分離により回収し、1000mLの水で1回、200mLの脱水イソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、室温で乾燥して12.4gのわずかに灰色がかった白色の微細な粉末を得た。
【0157】
YGMP粒子の調製
サッカロミセス セレビシエ(75g SAF−マンナン)を1リットルの水に懸濁し、1M NaOHでpH12〜12.5に調整し、55℃に加熱した。細胞懸濁液をこの温度で1時間混合した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの水に懸濁し、HClでpH4〜5とし、55℃で1時間インキュベートした。不溶性残留物を遠心分離により回収し、1000mLの水で1回、200mLの脱水イソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、室温で乾燥して15.6gのわずかに灰色がかった白色の微細な粉末を得た。
【0158】
YCP粒子の調製
American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、ヴァージニア州)から入手した培養物から得られた酵母細胞(ロドトルラ(Rhodotorula)属の種)をYPDで30℃で定常期まで嫌気的に増殖させた。TCCから入手可能なロドトルラ属の種の培養は、番号886、917、9336、18101、20254、20837および28983を含んでいる。2000rpmで10分間のバッチ遠心分離により、細胞(1L)を収集した。細胞を蒸留水で1回洗浄し、HClでpH4.5とした水に75℃で1時間再懸濁した。2000rpmで10分間の遠心分離により、細胞壁を含む不溶性物質を回収した。次いで、この物質を1リットルの1M NaOHに再懸濁し、90℃に1時間加熱した。次いで、懸濁液を室温に冷却し、抽出をさらに16時間続けた。2000rpmで15分間の遠心分離により、不溶性残留物を回収し、1000mLの水で2回、200mLのイソプロパノールで4回、200mLのアセトンで2回洗浄した。得られたスラリーをガラストレーに入れ、室温で乾燥して2.7gの微細な淡褐色粉末を得た。
【0159】
図2Aは、酵母細胞壁粒子の構造を示す図である。図2Bは、酵母細胞壁粒子のマンナン成分のコンカナバリン−A−FITC(Con−A−フルオレセインイソチオシアネート、Sigma Chemical, St.Louis, ミズーリ州)染色を示す蛍光顕微鏡写真である。図2Cは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Dは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子の強調Con−A−FITC染色を示す蛍光顕微鏡写真である。図2Eは、YGPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Fは、YGPβ−グルカン粒子のCon−A−FITC染色の非存在を示す蛍光顕微鏡写真である。
【0160】
コンカナバリンAは、マンノースに選択的に結合するレクチンである。種々の酵母細胞壁調製物の表面上のマンナンの量および分布パターンを観測するために、コンカナバリンA−FITC結合を蛍光顕微鏡により評価した。PBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2中パン酵母(Fleishmansパン酵母)、YGMPおよびYGPの懸濁液を1×108粒子/mlの密度で調製した。Con−A−FITC保存溶液は、PBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2中1mg/mlコンカナバリンA−FITCであった。以下の成分からなる標識混合物をマイクロ遠心管中で調製した。
【0161】
100μlのPBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2
2.5μlの酵母細胞壁粒子懸濁液
2.5μlのCon−A−FITC保存溶液
【0162】
標識混合物を含むマイクロ遠心管を暗所で室温で1時間インキュベートした。遠心分離(10,000rpmで10分間)により酵母細胞壁粒子を収集した後、ペレットを100μlのPBSで3回洗浄した。洗浄した酵母細胞壁粒子を100μlのPBSに再懸濁し、蛍光顕微鏡で検査するために96ウェルプレートに移した。実例としての視野の写真を図2B、2Dおよび2Fに示す。
【0163】
表1に上述のように調製したWGP粒子、YGP粒子、YGMP粒子およびYCP粒子の化学組成の分析の結果を要約する。YGP粒子およびYGMP粒子は従来技術のWGP粒子と比較して低β−グルカンおよび高タンパク質であることに注意すること。YGMP粒子は、他の粒子型と比較して実質的に高いマンナン含量を有する。YGP粒子は、他の粒子型と比較して実質的に高いキチン+キトサン含量を有する。
【表1】
【0164】
(実施例2 酵母細胞壁粒子の流体力学的体積)
酵母細胞壁粒子の流体力学的体積は、粒子のペイロード容量の尺度として測定した。酵母細胞壁粒子の1gずつを風袋控除15ml遠心管中で重量を測定して、乾燥粒子の重量を測定した。水(12.5ml)を遠心管に加え、遠心管をボルテックスミキサーにかけて酵母細胞壁粒子の懸濁液を混合した。粒子を膨潤させ、水を30分間吸収させた。粒子懸濁液を2000rpmで10分間遠心分離した。水を除去し、遠心管を秤量し、吸収された水の重量を計算した。流体力学的体積は、吸収された水の重量と乾燥粒子の重量との比として計算した。表2に従来技術のWGPの2つの調製物ならびに本発明のYGPおよびYGMPの結果を示す。
【表2】
【0165】
WGP調製物2の流体力学的体積がより低いことは、この調製物中の断片化した粒子の数が多いためと思われる。他の粒子に関しては、「より純粋な」YGPはYGMPより高い流体力学的体積を有していた。
【0166】
一般的に、酵母細胞壁粒子によるペイロードの定量的吸収を確保するために、ペイロードの体積を流体力学的体積の66%未満に制限した。この規則により、1mgのYGM粒子当たり5.5μl以下のペイロードが添加され、1mgのYGMP粒子当たり4.4μl以下のペイロードが添加されるであろう。
【0167】
(実施例3 YGMおよびYGMPの経口バイオアベイラビリティ)
蛍光標識酵母グルカン粒子(YGP−F)および蛍光標識酵母グルカン−マンナン粒子(YGMP−F)を取込み試験用に調製した。出発材料は、5mlのYGP(0.1Mホウ酸緩衝液、pH8中5mg/ml)、5mlのYGMP(0.1Mホウ酸緩衝液、pH8中5mg/ml)、新たに調製したDMSO中20mg/mlジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン(DTAF)および0.1Mホウ酸緩衝液、pH8であった。
【0168】
標識反応を25mgのスケールで行った。25mgずつの粒子を5mlの0.1Mホウ酸緩衝液、pH8に懸濁し、音波処理して粒子の凝集塊を単一粒子に分解した。粒子を遠心分離し、5mlの0.1Mホウ酸緩衝液、pH8に再懸濁した。DTAF(0.5ml、20mg/ml)を再懸濁粒子に加え、37℃で2日間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、5mlの1Mトリス緩衝液、pH8.3を加え、混合物を30分間インキュベートしてDTAFを消光させた。インキュベートした粒子を遠心分離し、上清が蛍光を発しなくなるまで、PBSで洗浄した。洗浄済み粒子を5mg/mlでPBSに再懸濁した。試料の一部の1:100希釈物中の粒子の数を数えた。結果:強い蛍光を発する酵母細胞壁粒子が1ml当たり1.8×109YGP−F粒子および1ml当たり2.1×109YGMP−F粒子の濃度で得られた。
【0169】
ペイロードの食作用粒子取込みがマンノース受容体ならびにCR3/デクチン−1βグルカン受容体により標的とされ得るかどうかを検討するために、酵母グルカン粒子の経口バイオアベイラビリティに対する表面炭水化物組成の影響を試験した。いずれかまたは両受容体を標的にする能力は、細胞の標的集団をマクロファージおよび樹状細胞を超えて拡大することができる。
【0170】
投与群を下の表3に要約する。出発材料は、FITC標識酵母グルカン粒子(YGP−F)、FITC標識酵母グルカン−マンナン粒子(YGMP−F)、7匹のC57Blackマウスの群および7匹のC57/B16マウスであった。0.1mlのPBS中同等の数の粒子を投与するためにYGP−F(1mg/ml)およびYGMP−F(3.7mg/ml)の用量を準備し、各群の1匹のマウスに5日間毎日強制経口投与した。各群の1匹のマウスに0.1mlの皮下注射により同じ用量を5日間毎日投与した。4日目にケージを交換し、新しい床敷きを与えた。5日目に各群から糞便ペレットを15mlコニカル管に収集し、後の処理のために凍結した。糞便ペレットは、5mlの水を加え、4℃で2時間保持して処理した。水和糞便ペレットをPolytronホモジナイザーでホモジナイズした。ホモジナイズした糞便ペレットの希釈物を96ウェルマイクロタイタープレートに入れ、蛍光および透過白色光条件下で蛍光性粒子の存在を顕微鏡により検査した。蛍光性粒子を有する試料の一部をさらに希釈し、1ml当たりの蛍光性粒子の数を血球計で数えた。
【0171】
7日目にマウスを屠殺し、各動物から脾臓を摘出し、氷上のPBSを含む個別の管に入れた。脾臓を鋏で細切し、70ミクロンスクリーンに押し当てて通過させ、単一細胞懸濁液を生成させた。単一細胞懸濁液の一部を保持し、FACSを用いて蛍光性粒子で標識した細胞の分率を定量するためにPBS中1%ホルマリンで固定した。マクロファージマーカーに対するフィコエリトリン(PB)標識抗体、好ましくは、赤脾髄マクロファージ、クッパー細胞、小グリアおよびランゲルハンス細胞を染色するマウス−1(F4/80)を用いて細胞懸濁液を染色した。
【0172】
細胞懸濁液を、10%ウシ胎児血清(JRH Scientific)、ペニシリン−ストレプトマイシンおよびグルタミン(Gibco)を含むDMEM中で60mmペトリ皿当たり107細胞の密度で平板培養し、5%CO2雰囲気中37℃で24時間インキュベートし、付着させた。インキュベーション後、非付着リンパ球を洗い流した。付着した脾マクロファージ細胞をトリプシン処理し、固定し、蛍光顕微鏡を用いて蛍光性粒子を有する付着細胞の分率を算定した。
【0173】
蛍光性粒子の投与の忍容性は良好であった。付着脾マクロファージの分析により、すべての蛍光性粒子投与動物における蛍光性酵母細胞壁粒子の存在が実証された。これらの結果から、YGP−FおよびYGMP−Fは経口で生物学的に利用可能であり、マクロファージによって全身に分布させることができることがわかる。糞便の分析により、蛍光性粒子の存在が示され、用いた用量レベルでは経口吸収が不完全であったことがわかる。C57/B16マウスは、経口投与したYGP−FおよびYGMP−Fを吸収することができた。糞便中の蛍光性粒子の数を取込み効率の推定値として定量化した。
【表3】
【0174】
(実施例4:キトサン添加YGP粒子の調製)
陽イオン捕捉ポリマーであるキトサンを用いてYGP粒子を調製した。高分子量(HMW)キトサン(約70,000MW、Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)または低分子量(HMW)キトサン(約10,000MW、Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)を用いて1重量/体積%キトサン溶液を調製した。0.1M酢酸中1重量/体積%HMWおよびLMWキトサン溶液を、0.1M酢酸中で調製した。4mlのHMWおよびLMWキトサン溶液を50mlコニカル遠心管に入れた2gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を室温で1時間インキュベートし、液体を吸収させた。NaOH(40ml、0.1M)を各遠心管に加え、直ちにボルテックスミキサーにかけて、YGPの内部でキトサンを沈殿させた。YGP:キトサン懸濁液を18ゲージ針に通して、YGP:キトサン粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:キトサン粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した後、上清のpHが7〜8になるまで脱イオン水でペレットを洗浄した。次いで、YGP:キトサン粒子をペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:キトサン粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により1.2gのYGP:LMWキトサン粒子および1.4gのYGP:HMWキトサン粒子が得られた。
【0175】
(実施例5:CytoPure(商標)添加YGP粒子の調製)
独占権下にある市販の水溶性陽イオンポリマートランスフェクション試薬(Qbiogene Inc., カリフォルニア州)である生分解性陽イオン捕捉ポリマーCytoPure(商標)を用いてYGP粒子を調製した。20μlのCytoPure(商標)を0.5mlの脱イオン水で希釈し、50mlコニカル遠心管に入れた0.5gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を4℃で15分間インキュベートし、液体を吸収させた。25mlのエタノールを各遠心管に加え、直ちにボルテックスミキサーにかけて、YGPの内部でCytoPure(商標)を沈殿させた。YGP:CytoPure(商標)懸濁液を音波処理して、YGP:CytoPure(商標)粒子の微細な懸濁液を生成させた。YGP:CytoPure(商標)粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した後、ペレットをペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:CytoPure(商標)粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により0.45gのYGP:CytoPure(商標)粒子が得られた。
【0176】
(実施例6:ポリエチレンイミン添加YGP粒子の調製)
陽イオン捕捉ポリマーとしてのポリエチレンイミン(PEI)を用いてYGP粒子を調製した。水中2重量/体積%PEI(約50,000MW、Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)溶液の0.5mlずつを50mlコニカル遠心管に入れた0.5gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を室温で1時間インキュベートし、液体を吸収させた。25mlのエタノールを各遠心管に加え、直ちにボルテックスミキサーにかけて、YGPの内部でPEIを沈殿させた。YGP:PEI懸濁液を18ゲージ針に通して、YGP:PEI粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:PEI粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した後、ペレットをペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:PEI粒子をドラフト内室温で乾燥した。この手順により0.48gのYGP:PEI粒子が得られた。
【0177】
(実施例7:アルギン酸塩添加YGP粒子の調製)
陽イオン捕捉ポリマーとしてのアルギン酸塩(F200またはF200L、Multi-Kem Corp., Ridgefield, ニュージャージー州)を用いてYGP粒子を調製した。水中1重量/体積%アルギン酸塩溶液の2mlずつを50mlコニカル遠心管に入れた1gのYGPに加え、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。混合物を室温で1時間インキュベートし、液体を吸収させた。混合物を40mlの1重量/体積%塩化カルシウム水溶液で希釈した。YGP:アルギン酸塩懸濁液を18ゲージ針に通して、YGP:アルギン酸塩粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:アルギン酸塩粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した。YGP:アルギン酸塩粒子をペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:アルギン酸塩粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により0.95gのYGP:F200アルギン酸塩粒子および0.86gのYGP:F200Lアルギン酸塩粒子が得られた。
【0178】
(実施例8:ポリ−L−リシン添加YGPおよびYGMP粒子の調製)
捕捉ポリマーとしてのポリ−L−リシン(PLL)を用いてYGPおよびYGMP粒子を調製した。水中1重量/体積%PLL(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)溶液の4mlずつを50mlコニカル遠心管に入れた1gのYGPまたはYGMPに加えた。混合物を55℃で30分間インキュベートして、液体を吸収させた。10mlのエタノールを各遠心管に加え、ホモジナイズ(Polytronホモジナイザー)してYGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した。YGP:PLLまたはYGMP:PLLをペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により1.3gのYGP:PLL粒子および1.1gのYGMP:PLL粒子が得られた。顕微鏡による評価で、遊離のPLL凝集体は存在せず、YGP:PLLまたはYGMP:PLL粒子のみが示された。
【0179】
(実施例9:キサンタン添加YGPおよびYGMP粒子の調製)
陰イオン捕捉ポリマーとしてのキサンタンを用いてYGPおよびYGMP粒子を調製した。水中1重量/体積%キサンタン溶液の4mlずつを55℃に加熱して粘度を低下させ、50mlコニカル遠心管に入れた1gのYGPまたはYGMPに加えた。混合物を55℃で30分間インキュベートした。10mlのエタノールを各遠心管に加え、ホモジナイズ(Polytronホモジナイザー)してYGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子の微細懸濁液を生成させた。YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子を遠心分離(2000rpmで10分間)により収集した。YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子をペレットの2倍量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで、ペレットの2倍量のアセトンで2回洗浄した。YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子をドラフト内で室温で乾燥した。この手順により1.2gのYGP:キサンタン粒子および1.1gのYGMP:キサンタン粒子が得られた。顕微鏡による評価で、遊離のPLL凝集体は存在せず、YGP:キサンタンまたはYGMP:キサンタン粒子のみが示された。
【0180】
(実施例10:YGP:キトサンおよびYGP:アルギン酸塩が荷電色素に結合する能力の評価)
YGP:キトサンおよびYGP:アルギン酸塩粒子を上の実施例7および9で述べたように調製した。トリパンブルー(Benzamineブルー、CI23850)、陰イオン色素およびキシレンシアノール(アシドブルー、陽イオン色素)の0.1重量/体積%水溶液を調製した。50μlずつの0.1重量/体積%色素水溶液をマイクロ遠心管に入れた10mgのYGP、YGP:キトサンまたはYGP:アルギン酸塩に加え、混合物を室温で1時間インキュベートした。上清溶液がもはや呈色しなくなるまで、ペレットを脱イオン水で洗浄した。ペレットの色を評価した。結果を下の表4に示す。
【表4】
【0181】
YGP内部の不溶性捕捉ポリマー間の静電相互作用は、反対の荷電をもつ低分子量モデル色素ペイロードに結合することができた。
【0182】
(実施例11:物理的閉じ込めにより分子を捕捉するためのYGP:アガロースの使用)
ペイロードをYGP中に捕捉する手段としての物理的閉じ込めを評価するために、YGP:アガロースを調製した。アガロース(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)のTE中2重量/体積%溶液を調製し、50℃に冷却した。サケ精子DNAのTE中1mg/ml保存溶液をTEまたは50℃の1%アガロースで0.5mg/mlDNAに希釈した。500mgずつのYGPを500μlのTE中DNAまたは500μlの50℃アガロース中DNAと混合し、混合物を50℃で1時間インキュベートした。次いで、混合物を冷蔵庫で1時間冷却してアガロースを固化した。1時間後に、10mlのTEを加え、冷蔵庫中で一夜インキュベートした。次いで、混合物を遠心分離し、上清中のDNAを260nmでの吸収により測定した。加えたDNAの約80%以上がYGP:アガロースにより保持されたのに対して、YGP:TE対照により1%未満が保持された。これらの結果から、アガロースは物理的閉じ込めによりDNAをYGPの内側に効果的に捕捉することがわかる。
【0183】
(実施例12:物理的閉じ込めにより分子を捕捉するためのYGP:ポリアクリルアミドの使用)
ペイロードをYGP中に捕捉する手段としての物理的閉じ込めを評価するために、YGP:ポリアクリルアミドを調製した。サケ精子DNAのTE中1mg/ml保存溶液をTE中または30%ポリアクリルアミド/ビス(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)で0.5mg/mlDNAに希釈した。TEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)を各DNA混合物に加え(1μlのTEMEDを5mlのDNA溶液に)、各溶液の2mlずつを1gのYGPに加えた。混合して均一な懸濁液を形成させ、室温で3時間インキュベートした。3時間インキュベートした後、10mlのTEAを加え、冷蔵庫中で一夜インキュベートした。次いで、混合物を遠心分離し、上清中のDNAを260nmでの吸収により測定した。加えたDNAの約95%以上がYGP:ポリアクリルアミドにより保持されたのに対して、YGP:TE対照により1%未満が保持された。これらの結果から、ポリアクリルアミドは物理的閉じ込めによりDNAをYGPの内側に捕捉するのに用いるための有効な捕捉ポリマーであることがわかる。
【0184】
(実施例13:小分子テトラサイクリンのYGP内への添加)
テトラサイクリンのカルシウム塩の相対的不溶性を用いて抗生物質テトラサイクリン(tet)をYGPに添加した。用いた酵母細胞壁粒子は、上述のように調製したYGP、YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩であった。保存溶液は、1M CaCl2および100mg/mlテトラサイクリンHCl(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)であった。添加混合物は、下の表5に要約するように準備した。
【表5】
【0185】
混合物を室温で30分間インキュベートし、次いで、示したように脱イオン水または1M CaCl2を加えた。室温で60分後、混合物を音波処理し、室温で少なくとも30分間インキュベートした。次いで、混合物を遠心分離し(2000rpmで10分間)た。テトラサイクリンの存在はペレットの黄色および最初の上清の黄色により示された。酵母細胞壁粒子内に添加されたテトラサイクリンの量は、テトラサイクリン吸収スペクトルのピークである355nmでの吸収の喪失から計算した。4μlの100mg/mlテトラサイクリンHCl保存溶液の200μlの脱イオン水による希釈物は、脱イオン水ブランクと比較して355nmで0.538の吸光度を有していた。添加酵母細胞壁粒子からPBSまたは0.1M HCl中へのテトラサイクリンの放出も分光光度法により測定した。
【0186】
結果を上の表5に要約する。一般的に、YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩ペレットは洗浄後に黄色であったが、YGPペレットは黄色でなかったことから、捕捉ポリマーの非存在下ではテトラサイクリンはあるとしてもほとんど塩酸塩またはカルシウム塩として添加されないことがわかる。これに対して、テトラサイクリンはYGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩製剤に有効に添加され、捕捉され、加えたテトラサイクリン添加量の約25〜30%がアルギン酸カルシウム塩として吸収された。捕捉されたテトラサイクリンは、YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩から0.1M HCl中に放出された。捕捉されたテトラサイクリンは、PBS中YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩に37℃で1時間部分的に保持され、その値は0.1M HClで抽出可能な量の約26.5〜51.6%であった。
【0187】
要約すると、テトラサイクリンは、YGP−アルギン酸塩−カルシウム組成物にアルギン酸カルシウム塩複合体として容易に捕捉されたが、YGPのみには有効に添加かつ保持されなかった。YGP:F200アルギン酸塩およびYGP:F200Lアルギン酸塩にアルギン酸カルシウム塩複合体として捕捉されたテトラサイクリンは、PBS中に37℃で徐々に放出され、酸性条件下では実質的に放出される。
【0188】
(実施例14:J774マクロファージのin vitro微生物死滅の増大におけるTetおよびYGP:Tetの有効性)
YGP:アルギン酸塩−tetを上の実施例13で述べたように調製した。保存溶液1ml当たりのYGPおよびYGP:アルギン酸塩−tetの粒子の数は、それぞれ9×107/mlおよび6×108/mlであった。
【表6】
【0189】
上の表6に要約したように、1mlのマウスマクロファージJ774(5×105/ml)を種々の濃度のYGP、YGP:アルギン酸塩−tetまたはテトラサイクリンと混合した。
【0190】
J774細胞は、培地(抗生物質またはグルタミンを含まない10%ウシ胎児血清を含むDMEM)中一夜培養した。培養物を培地単独、培地で希釈したテトラサイクリンまたは培地で希釈した粒子とともに回転させながら37℃で1時間インキュベートして、粒子の食作用をもたらした。微生物死滅検定は、96ウェルプレートで行った。培養物を培地で希釈し、一夜インキュベートして、食作用を受けたYGP:アルギン酸塩−tetからtetを放出させた。表6に示すように細菌チャレンジを加え、培養物をCO2インキュベーター中で37℃で2時間インキュベートして、J774マウスマクロファージによる黄色ブドウ球菌(S. aureus)食作用および死滅を可能にした。このインキュベーションの後、200μlのLBブロス(Luria-Bertaniブロス:1.0%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl)を各培養物に加えて、マクロファージを溶解した。培養物をインキュベーター中で37℃でインキュベートして、生存黄色ブドウ球菌の成長を可能にした。成長は、フェノールレッドにより示されるpHの変化によりモニターした。YGP、YGP:アルギン酸塩−tetまたはテトラサイクリンの効果を比較した。結果は、表6の右の2つ欄に示す。
【0191】
約7.5×106YGP:アルギン酸塩−tet粒子は、約2.5μg/mlテトラサイクリンHClとほぼ同等のマクロファージに対する効果をもたらした。マクロファージ単独は、いずれかの方式でテトラサイクリンで処理したマクロファージより比較的有効性が低く、空のYGPのみで処理したマクロファージとほぼ同様に有効であった。溶液中遊離のテトラサイクリンと組み合わせたマクロファージは、テトラサイクリン単独より大幅には有効でなかった。YGP:アルギン酸塩−tet粒子で処理したマクロファージは、有意な相乗作用を示した。一般的に、結果は、J774マクロファージ細胞内へのテトラサイクリンの食胞送達は黄色ブドウ球菌に対するJ774マクロファージ細胞の死滅能を増大させることを示している。
【0192】
(実施例15:YGP内へのタンパク質の添加)
治療用ペプチドもしくはタンパク質、ワクチン抗原または他のペプチドもしくはタンパク質の貯留、輸送および送達に関する本発明の送達システムの有用性をウシ胎児血清の混合タンパク質を用いて評価した。用いた酵母細胞壁粒子は、上述のように調製したYGP、YGP−PEIおよびYGP−キトサンであった。保存溶液は、45ng/μlウシ胎児血清(FCS)(Fetal Bovine Serum, JRH Biosciences, Lenexa, カンザス州)、TE中0.2%PEI(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)、0.05Mリン酸緩衝液、pH7.2(P緩衝液)および0.05Mリン酸緩衝液、pH7.2、1M NaCl(P+塩緩衝液)であった。
【0193】
表7に示すように4μlのFCSをマイクロ遠心管に入れた1mgのYGP、YGP−PまたはYGP−CNに加え、得られた混合物を室温で60分間インキュベートして、液体を粒子により吸収させた。インキュベーションの後、表7に示すように200μlのリン酸緩衝液または200μlのPEIを加え、得られた混合物を室温で60分間インキュベートした。インキュベーションの後、0.5mlのリン酸緩衝液を加え、さらに5分間インキュベートした後、遠心管を音波処理して単一粒子を生じさせた。10,000rpmで10分間遠心分離して粒子をペレットとし、上清を除去して新しい管に入れた。0.5mlの0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2+1M NaClをペレットに加え、さらに5分間インキュベートした後、遠心管を10,000rpmで10分間遠心分離し、高濃度塩溶出上清を除去して新しい管に入れた。上清のタンパク質含量を280nmでの吸光度により測定した。
【表7】
【0194】
タンパク質添加結果を表8に示す。捕捉分子を含まないYGP粒子は、示したタンパク質の5%を捕捉したにすぎなかった。最初にFCSタンパク質を添加し、次いで、PEIに曝露したYGP粒子は、タンパク質添加の47%を保持した。タンパク質添加に曝露する前にPEIまたはキトサンのような捕捉ポリマーを前添加したYGP粒子は、タンパク質添加のそれぞれ68%および60%を保持した。
【表8】
【0195】
結果から、血清タンパク質は、捕捉ポリマーを含まないYGP内に有効に添加かつ捕捉されないことがわかる。ペイロードタンパク質に曝露する前に捕捉ポリマーを前添加したYGPを用いることにより、タンパク質の捕捉の増加がもたらされた。あるいは、タンパク質は、最初にタンパク質を添加し、次いで、可溶性捕捉ポリマーを加えて、タンパク質を粒子内に封鎖することにより、YGP内部に捕捉することができる。
【0196】
(実施例16:DNAをYGP内に添加する様々な方法の比較)
サケ精子DNAを、YGP、低分子量(LMW)キトサンを含むYGPまたは高分子量(HMW)キトサンを含むYGP内に添加するいくつかの方法を評価した。
【0197】
a.毛細管添加後のエタノール沈殿
サケ精子(Sigma Chemical, St. Louis, ミズーリ州)を18ゲージ針に40回通過させてせん断し、50mM TE(トリス−HCl、pH8.2、2mM EDTA)で0.1mg/mlに希釈した。DNA溶液の添加体積を決定し、実施例2のように100mgずつのYGP、YGP:LMWキトサンまたはYGP:HMWキトサンと遠心管中で2系列で混合し、1時間インキュベートした。各管に1.5mlのエタノールを加えて、インキュベートした混合物をエタノール沈殿させた。2000rpmで10分間遠心分離して、不溶性生成物を収集した。10mlのTEを各管に加え、37℃で1時間インキュベートし、2000rpmで10分間遠心分離して不溶性YGPを沈降させ、上清のDNA含量を260nmでの吸光度により測定した。YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0198】
b.吸収によるDNA添加
添加量のDNA溶液を実施例4aのように100mgずつのYGP、YGP:LMWキトサンまたはYGP:HMWキトサンと遠心管中で2系列で混合し、1時間インキュベートした。10mlのTEを各管に加え、37℃で1時間インキュベートし、2000rpmで10分間遠心分離して不溶性YGPを沈降させた。上清のDNA含量を260nmでの吸光度により測定した。YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0199】
c.CTAB捕捉によるDNA添加
添加量のDNA溶液を実施例4aのように100mgずつのYGP、YGP:LMWキトサンまたはYGP:HMWキトサンと遠心管中で2系列で混合し、1時間インキュベートした。1.5mlの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても知られている)溶液を各管に加えて、インキュベートした混合物を沈殿させた。10mlのTEを各管に加え、37℃で1時間インキュベートし、2000rpmで10分間遠心分離して不溶性YGPを沈降させた。上清のDNA含量を260nmでの吸光度により測定した。YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0200】
YGP内に残存したDNAの量を計算した。
【0201】
結果を下の表9に示す。
【表9】
【0202】
単純DNA添加または沈殿によっては、DNAをYGP内に添加し、捕捉することはできなかった。これに対して、陽イオン捕捉ポリマーであるキトサンを用いることによって、DNAをYGP内に捕捉することができるキトサン−DNA複合体が形成された。さらに、陽イオン物質であるCTABを用いてDNAをYGP内に有効に捕捉することができる。
【0203】
(実施例17:DNAの添加および捕捉)
0.1M炭酸緩衝液pH9.2中サケ精子DNAの1mg/ml溶液の1mlと10mM炭酸緩衝液pH9.2中DTAFの1mg/ml懸濁液の100μlを混合して、蛍光性サケ精子DNAを調製した。37℃で一夜インキュベートした後、200μlの1Mトリス−HClpH8.3を加え、室温で15分間インキュベートした。次いで、100μlのNaClおよび3mlのエタノールを加えて、DNAをエタノール沈殿させた。−20℃で一夜保存した後、10,000rpmで15分間遠心分離してエタノール沈殿物を収集した。エタノール沈殿物を上清が透明になるまで70%エタノールで洗浄し、1mlのTEに再懸濁した。
【0204】
YGP懸濁液を室温で30分間インキュベートした。インキュベートした後、0.45mlの95%エタノールを1組(YGP、YGP−P、YGPキトサン)の3本の試験管に加え、0.2mlの2%PEIを2組の3本の試験管に加え、0.2mlの2%CTABを他の組の3本の試験管に加えた。室温で30分間インキュベートした後、0.2mlの2%CTABを1組のPEI管に加え、さらに30分間インキュベートした。エタノール(1ml、95%)を加え、YGPsを−20℃で一夜保存した。YGP懸濁液を70%エタノールで洗浄し、0.5mlのFBSに再懸濁した。結果を蛍光顕微鏡により評価し、表10に示す。
【表10】
【0205】
捕捉ポリマーを用いない単純エタノール沈殿のみを用いた場合、蛍光標識DNAの有意な捕捉は起こらなかったことから、従来技術はDNA送達システムとして有効でないことがわかる。陽イオン捕捉ポリマーPEIもしくはキトサン、またはYGP内の陽イオン界面活性剤CTAPにより、蛍光標識DNAが明らかに捕捉された。YGP:PEI;DNA:CTAB、YGP:キトサン:DNA:CTABまたはYGP:DNA:PEI:CTABのような捕捉ポリマーとCTABの組合せを用いた場合、最善のDNA捕捉が起こった。
【0206】
(実施例18:蛍光標識プラスミドDNA添加および捕捉)
マウスマクロファージ由来細胞系であるJ774細胞におけるコードされたEGFPのトランスフェクションおよび発現のためにpIRESプラスミドを含むYGPを調製した。用いた陽イオン捕捉物質は、ポリエチレンイミン(PEI)のような陽イオンポリマー、独占権下にある市販の水溶性陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるCytoPure(商標)(Qbiogene Inc., カリフォルニア州)、キトサンおよび陽イオン界面活性剤臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)などであった。好ましいPEIは、市販の線状ポリエチレンイミン陽イオンポリマートランスフェクション試薬であるJetPEI(Qbiogene Inc., カリフォルニア州)である。
【0207】
pIRES−EGFP(Clonetech, カリフォルニア州)は、MCSおよびEGFP(緑色蛍光タンパク質)コーディング領域間に脳心筋炎ウイルス(ECMV)の内部リポソームエントリー部位を含む。これにより、問題の遺伝子(MCSにクローンされる)およびEGFPが単一2シストロン性mRNAから翻訳される。pIRES−EGFPは、EGFPおよび問題の他のタンパク質を発現する一時的にトランスフェクトされた細胞の効果的な選択(フローサイトメトリまたは他の方法により)のために設計されている。高レベルの問題のタンパク質を発現する細胞の選択を最適化するために、pIRES−EGFPは、部分的不能IRES配列(1)を用いる。この減弱IRESが、クローン化遺伝子と比較してEGFP開始コドンにおける翻訳開始の速度の低下につながる。これにより、EGFPの翻訳の最適以下の速度を補償するためにmRNAおよびひいては標的タンパク質が高レベルで産生される細胞の選択が可能になる。このベクターは、EGFPのみを発現させるために、または時間を要する薬物およびクローンの選択を行わずに安定にトランスフェクトされる細胞系を得るために用いることもできる。EGFPは、哺乳類細胞においてより高輝度の蛍光およびより高い発現を得るために最適化された野生型GFPの赤色シフト変異体である。(励起極大=488nm、放射極大=509nm)EGFPは、Phe−64からLeuへの、およびSer−65からThrへのアミノ酸置換を含むGFPmut1変異体をコードする。これらの突然変異は、主としてタンパク質保持特性および発色団形成の効率が改善するためにGFPの輝度および溶解度を増加させる。EGFPは、好ましいヒトコドンによってほぼ完全に構成される翻訳領域も含む。これは、野生型GFPと比較して、真核細胞におけるより効率の高い翻訳とひいてはより高い発現レベルにつながる。
【0208】
調製した溶液は、水中0.72μg/μlのpIRES EGFPプラスミドDNA、TE中0.2重量/体積%PEI(Sigma)、2μl CytoPure(Qbiogene)+48μl 0.15M NaCl、2μl JetPEI(Qbiogene)+48μl TE、TE中0.2%スペルミジン、2%(水性)CTABおよびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であった。
【0209】
蛍光性pIRESプラスミドDNAは、0.1M炭酸緩衝液pH9.2中pIRES DNAの1mg/ml溶液の1mlと10mM炭酸緩衝液pH9.2中DTAFの1mg/ml懸濁液の100μlとを混合して調製した。37℃で一夜インキュベートした後、200μlの1Mトリス−HCl pH8.3を加え、室温で15分間インキュベートした。次いで、100μlの1M NaClおよび3mlのエタノールを加えて、DNAをエタノール沈殿させた。−20℃で一夜保存した後、10,000rpmで15分間遠心分離してエタノール沈殿物を収集した。エタノール沈殿物を上清が透明になるまで70%エタノールで洗浄し、1mlのTEに再懸濁した。
【0210】
YGP懸濁液を室温で30分間インキュベートした。インキュベートした後、0.45mlの95%エタノールを1組(YGP、YGP−P、YGPキトサン)の3本の試験管に加え、0.2mlの2%PEIを2組の3本の試験管に加え、0.2mlの2%CTABを他の組の3本の試験管に加えた。室温で30分間インキュベートした後、0.2mlの2%CTABを1組のPEI管に加え、さらに30分間インキュベートした。エタノール(1ml、95%)を加え、YGPsを−20℃で一夜保存した。YGP懸濁液を70%エタノールで洗浄し、0.5mlのFBSに再懸濁した。
【0211】
実施例14で述べたように、J774マウスマクロファージを6ウェルプレートにウェル当たり2.5×105細胞の密度で播種し、一夜インキュベートした。表11に要約するようにトランスフェクションを行った。粒子を細胞当たり10個の粒子の比率で培地に加え、プレートを旋回させて粒子を分散させた。細胞を4時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、PBS中0.4%ホルマリンで固定した。
【表11】
【0212】
蛍光性DNA含有粒子および蛍光性DNA含有粒子とともにインキュベートしたJ774細胞を蛍光顕微鏡により評価し、結果を表12に要約し、図3Aおよび3Bに示す。
【表12】
【0213】
図3Aは、細胞310を示す、陽イオン捕捉ポリマーとしてのPEIおよび陽イオン界面活性剤としてのCTABを含む蛍光標識pIRESプラスミドを添加したYGP粒子に曝露した細胞のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図3Bは、図3Bに示す同じ細胞310により内部へ移行された蛍光YGP粒子を表わす高輝度染色を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【0214】
(実施例19:YGP:pIRESとともにインキュベートしたJ774マウスマクロファージによるEGFP発現)
この実施例では、pIRESプラスミドDNAを蛍光標識せず、pIRESによりコードされる緑色蛍光タンパク質(GFP)の機能的発現を、蛍光の発生によって明らかな、添加酵母壁粒子の取込み、pIRES DNAの細胞内放出およびGFPの発現の実証として用いた。
【0215】
YGP:pIRES製剤は、下の表12に要約したように調製した。DNAは、1mg/ml保存液を脱イオン水で希釈して調製した。表示量のDNA溶液をYGPに加え、少なくとも30分間インキュベートして、液体を吸収させた。示した量のTE中0.2%PEIまたは酢酸緩衝液中0.2%キトサンを加え、混合物を5分間インキュベートした後、音波処理して単一粒子を生じさせた。さらに少なくとも30分間インキュベートした後、表示量の2%CTABを加えた。さらに5分間インキュベートした後、管をボルテックスミキサーで混合し、再び少なくとも30分間インキュベートした。表示量の95%エタノールを加えた。次いで、各管を混合し、−20℃で一夜保存した。次いで、YGP:pIRES調合粒子を遠心分離し、70%エタノールで2回洗浄し、10,000rpmで5分間遠心分離して収集し、0.5mlの無菌PBSに再懸濁し、音波処理して単一粒子を生じさせた。1ml当たりの粒子数を数え、各製剤を−20℃で一夜保存した。
【0216】
実施例14で述べたように、J774マウスマクロファージを6ウェルプレートにウェル当たり2.5×105細胞の密度で播種し、一夜インキュベートした。上の表11に要約したようにトランスフェクションを行った。粒子を細胞当たり10個の粒子の比率で培地に加え、プレートを旋回させて粒子を分散させた。細胞を毎日供給し、2日間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、PBS中0.4%ホルマリンで固定した。
【0217】
結果を表13に要約し、図4A〜Cに示す。細胞は、蛍光顕微鏡を用いて検査した。J774細胞の89%がYGP−F粒子を取り込んだ(表13、ウェル1B、図4A)。EGFP発現が、ウェル1E(図4B)および1F(図4C)における空胞中点状蛍光としてJ774細胞の80%以上で認められた。
【表13】
【0218】
図4Aは、蛍光標識YGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞410のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図4Bは、陽イオン捕捉ポリマーポリエチレンイミン(PEI)および陽イオン界面活性剤臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても知られている)を含むYGPにより送達されたpIRES DNAからのGFPを発現する、細胞、例えば、表示細胞420のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図4Cは、陽イオン捕捉ポリマーキトサンおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子により送達されたpIRES DNAからのGFPを発現する、細胞、例えば、表示細胞430のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【0219】
(実施例20:YGP−陽イオン捕捉ポリマー技術を用いたJ774細胞内への蛍光性DNA、オリゴヌクレオチドおよびsiRNAオリゴヌクレオチドの送達)
次の材料を用いた。すなわち、YGP:蛍光性サケ精子DNA:PEI:CTAB粒子、YGP:蛍光性オリゴヌクレオチド:PEI:CTAB粒子およびYGP:蛍光性siRNA:PEI:CTAB。蛍光性オリゴヌクレオチドは、以下の5’末端に付着されたフルオレセイン残基を用いてSigma Genosysにより合成された18merであった。
【0220】
5’フルオレセイン−TTGGTCATCCATGGCTCT3’ 配列番号1
【0221】
蛍光性siRNAは、以下の5’末端に付着されたフルオレセイン残基(Quiagen, Valencia, カリフォルニア州、カタログ番号1022079)を用いて合成された21merの非サイレンシング制御siRNAであった。
【0222】
5’フルオレセイン−UUCUCCGAACGUGUCACGUdTdT3’ 配列番号2
【0223】
実施例14で述べたように、J774マウスマクロファージを6ウェルプレートにウェル当たり2.5×105細胞の密度で播種し、一夜インキュベートした。表11に要約したようにトランスフェクションを行った。対照およびポリヌクレオチド添加粒子を培地に加え、プレートを旋回させて粒子を分散させた。細胞を毎日供給し、24時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、PBS中0.4%ホルマリンで固定した。
【表14】
【0224】
結果を図5A〜Iに示す。細胞は、蛍光顕微鏡およびFACSを用いて検査した。J774細胞の92%がYGP−F粒子を取り込んだ(表14、ウェル1B、図5A)。フルオレセインオリゴヌクレオチド(配列番号1)の送達が点状エンドソーム蛍光および散在性細胞質蛍光としてJ774細胞の80%以上で認められた。蛍光性非サイレンシングsiRNA(配列番号2)の送達が点状エンドソーム蛍光および散在性細胞質蛍光としてJ774細胞の80%以上で認められた。
【0225】
図5Aは、蛍光標識YGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞510のカラー光学および蛍光複合顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Bは、蛍光標識YGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク520および蛍光標識YGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わす福ピーク530を示す蛍光活性化細胞選別(FACS)試験の結果のグラフ表示であり、図5Cは、蛍光標識DNA、陽イオン捕捉ポリマーPEIおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞540のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Dは、同じ表示細胞540を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Eは、蛍光DNAペイロードを含むYGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク610およびYGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わすショルダー620を示すFACS試験の結果のグラフ表示であり、図5Fは、蛍光アンチセンスRNA、PEIおよびCTABを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞710のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Gは、蛍光アンチセンスRNAペイロードを含む、内部へ移行されたYGPを含む同じ表示細胞710を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Hは、蛍光標識siRNA、PEIおよびCTABを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞810のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像であり、図5Iは、蛍光siRNAペイロードを含む内部へ移行されたYGP粒子を含む同じ表示細胞810を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【0226】
要約すると、陽イオンポリマーを用いてYGP内に添加した蛍光性DNA、オリゴヌクレオチドまたはsiRNAペイロードは、J774細胞内にペイロードを有効に送達する。ペイロードは、24時間以内にエンドソームコンパートメントから細胞質および核コンパートメント内に放出される。
【0227】
特許請求の範囲は、その効果について述べられていない限り、記述された順序または要素に限定されると解釈すべきでない。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲および精神に適合する、およびそれと同等のすべての実施形態は、本発明として請求される。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】図1は、外側から内側に、外側原線維層110、外側マンノプロテイン層120、β−グルカン層130、β−グルカン−キチン層140、内側マンノプロテイン層150、原形質膜160および細胞質170を示す酵母細胞壁の横断切片の概略図100である。
【図2】図2Aは、酵母細胞壁粒子の構造を示す図である。図2Bは、実質的に完全に染色された酵母細胞壁粒子210を示すコンカナバリン−A−FITC(Con−A−フルオレセインイソチオシアネート、Sigma Chemical, St.Louis, ミズーリ州)による酵母細胞壁粒子のマンナン成分の染色を示すカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図2Cは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Dは、YGMPβ−グルカン−マンナン粒子220の一様でないCon−A−FITC染色を示すカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図2Eは、YGPβ−グルカン−マンナン粒子の構造を示す図である。図2Fは、Con−A−FITC染色の非存在を示すカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【図3】図3Aは、細胞310を示す、陽イオン捕捉ポリマーとしてのPEIおよび陽イオン界面活性剤としてのCTABを含む蛍光標識pIRESプラスミドを添加したYGP粒子に曝露した細胞のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図3Bは、ここに示す同じ細胞310により内部へ移行された蛍光YGP粒子を表わす高輝度染色を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【図4】図4Aは、細胞、例えば、表示細胞410のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図4Bは、GFPを発現する、pIRES DNA、陽イオン捕捉ポリマーポリエチレンイミン(PEI)および陽イオン界面活性剤臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても知られている)を含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞420のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図4Cは、GFPを発現する、pIRES DNA、陽イオン捕捉ポリマーキトサンおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞430のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【図5】図5Aは、蛍光標識YGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞510のカラー光学および蛍光複合顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Bは、蛍光標識YGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク520および蛍光標識YGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わす福ピーク530を示す蛍光活性化細胞選別(FACS)試験の結果を示すグラフ表示である。図5Cは、蛍光標識DNA、陽イオン捕捉ポリマーPEIおよび陽イオン界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露した細胞、例えば、表示細胞540のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Dは、同じ表示細胞540を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Eは、蛍光DNAペイロードを含むYGP粒子を内部へ移行した細胞からのシグナルの分布を表わす主ピーク610およびYGP粒子を含まない細胞からのシグナルの分布を表わすショルダー620を示すFACS試験の結果を示すグラフ表示である。図5Fは、蛍光アンチセンスRNAペイロードを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞710のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Gは、同じ表示細胞710を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Hは、蛍光siRNA、PEIおよびCTABを含むYGP粒子とともにインキュベートした細胞、例えば、表示細胞810のカラー光学顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。図5Iは、蛍光siRNAペイロードを含む内部へ移行されたYGP粒子を含む同じ表示細胞810を示す細胞の同じ視野のカラー蛍光顕微鏡写真の逆コントラスト(ネガティブ)グレイスケール像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁およびペイロード捕捉分子を含む、微粒子送達システム。
【請求項2】
ペイロード分子をさらに含み、ペイロード分子およびペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に溶ける、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項3】
溶媒系が水を含む、請求項2に記載の微粒子送達システム。
【請求項4】
抽出酵母細胞壁がさらに90重量%未満のβ−グルカンを含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項5】
抽出酵母細胞壁がさらに50重量%以上のキチンを含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項6】
抽出酵母細胞壁がさらに30重量%以上のマンナンを含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項7】
抽出酵母細胞壁がさらに1重量%以上のタンパク質を含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項8】
ペイロード捕捉分子が、アガロース、アルギン酸塩、キサンタン、デキストラン、キトサン、ガラクトマンナンガム、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される多糖である、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項9】
ペイロード捕捉分子がポリアクリルアミドである、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項10】
ペイロード捕捉分子がポリアミドである、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項11】
ペイロード捕捉分子が、陽イオンポリマー、陰イオンポリマー、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項12】
陽イオンポリマーが、キトサン、ポリエチレンイミンおよびポリ−L−リシンからなる群から選択される、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項13】
陽イオンポリマーと陽イオン界面活性剤との混合物である、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項14】
陽イオンポリマーが、タンパク質、ポリペプチド、短合成ペプチド、らせん状両親媒性ペプチド、陽イオンデンドリマー、グルカルアミド(glucaramide)ポリマー、N−置換グリシンオリゴマー、ポリ(2−メチルアクリル酸2−[(2−ジメチルアミノ)−エチル]−メチルアミノ)−エチルエステル)、ポリ(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項15】
陰イオンポリマーが、アルギン酸塩およびキサンタンからなる群から選択される、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項16】
陽イオン界面活性剤が、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項17】
ペイロード捕捉分子が、陽イオン高分子電解質、陰イオン高分子電解質および両性高分子電解質からなる群から選択される、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項18】
陽イオン高分子電解質が、ビニルピロリドンと第四級メチルメタクリレートとのコポリマー、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミンホモポリマー、ポリアミンコポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、置換デキストラン、修飾グアールガム、置換タンパク質、ポリアミノ酸、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される、請求項17に記載の微粒子送達システム。
【請求項19】
陰イオン高分子電解質が、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸とのコポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、置換ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、デキストラン硫酸、置換サッカライド、ヘパリンおよび製薬上許容できる塩からなる群から選択される、請求項17に記載の微粒子送達システム。
【請求項20】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の微粒子送達システム。
【請求項21】
ポリヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項22】
組換えDNA構築物が、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項21に記載の微粒子送達システム。
【請求項23】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質またはシグナル伝達タンパク質である、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項24】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が抗原性タンパク質である、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項25】
ポリヌクレオチドが、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の機能を回復させるヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の微粒子送達システム。
【請求項26】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、遺伝障害を有する個体における治療効果をもたらすタンパク質である、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項27】
遺伝障害が、アールスコグ−スコット症候群、アーセ症候群、軟骨形成不全、先端異骨症、嗜癖、副腎脳白質ジストロフィー、白皮症、無眼瞼大口症候群、アラジル症候群、アルカプトン尿症、α−1−アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、自己免疫多腺性症候群、アンドロゲン非感受性症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー−マリー−トゥース病、クローン病、唇裂、コケーン症候群、コフィン−ローリー症候群、大腸癌、先天性副腎過形成、コルネリアドランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻部形成異常、クリグラー−ナジャー症候群、クロイツフェルト−ヤコブ病、嚢胞性線維症、難聴、鬱病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症候群、失読症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成症、エリス−ファンクレフェルト症候群、エーレルス−ダンロー症候群、表皮水疱症、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリートライヒ運動失調、ゴーシェ病、緑内障、グルコース−ガラクトース吸収不良、グルタル酸尿症、回萎縮、ゴールドベルク−シプリンツェン(Goldberg Shprintzen)症候群(口蓋心顔面症候群)、ゴーリン症候群、ヘーリー−ヘーリー病、片側肥大、ヘモクロマトーシス、血友病、遺伝性運動感覚ニューロパシー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgMを伴う免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、カブキ症候群、リー症候群、QT間隔延長症候群、肺癌、悪性黒色腫、躁うつ病、マルファン症候群、メンケズ症候群、流産、ムコ多糖症候群、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニューマン−ピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、p53腫瘍抑制因子、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮、フェニルケトン尿症(PKU)、腎多嚢胞病、プラーダー−ヴィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフスム病、色素性網膜炎、網膜芽腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、精神分裂病、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮、脊髄小脳萎縮、SRY:性決定、成人突然死症候群、タンジアー病、テイ−サックス病、血小板減少橈骨欠損症候群、タウンズ−ブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォンヒッペル−リンダウ症候群、ワーデンブルヒ症候群、ウィーバー症候群、ヴェルナー症候群、ウィリアム症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症またはツェルヴェーガー症候群である、請求項25に記載の微粒子送達システム。
【請求項28】
タンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β1、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、デス(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項29】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β1、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、デス(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項30】
小有機活性物質が、2本鎖DNAの小溝に配列特異的に結合している複素環式ポリアミドのオリゴマーである、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項31】
小有機活性物質が、N−メチルイミダゾールカルボキサミド、N−メチルピロールカルボキサミド、βアラニンおよびジメチルアミノプロピルアミドからなる群から選択されるモノマーサブユニットを有するオリゴマーである、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項32】
小有機活性物質が、避妊薬、胃腸治療薬、非ステロイド避妊薬、副交感神経作用薬、精神療法薬、強力精神安定薬、穏和精神安定薬、鼻うっ血除去薬、催眠鎮静薬、ステロイド、スルホンアミド、ワクチン、ビタミン、栄養素、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、抗パーキンソン薬、鎮痙薬、抗コリン薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、心血管薬、抗高血圧薬、冠血管拡張薬、有機硝酸エステル、アルカロイド、鎮痛薬、麻薬、抗癌薬、抗けいれん薬、抗嘔吐薬、抗炎症薬、細胞毒性薬または抗生物質である、請求項19に記載の微粒子送達システム。
【請求項33】
小有機活性物質が、セファロスポリン、クロラムフェニカル、ゲンタマイシン、カナマイシンA、カナマイシンB、ペニシリン、アンピシリン、ストレプトマイシンA、アンチマイシンA、クロロパムテニオール、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリン、ペニシリンG、テトラサイクリンおよびそれらの混合物からなる群から選択される抗生物質である、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項34】
核酸組成物、タンパク質組成物、小有機分子およびそれらの混合物からなる群から選択されるペイロード分子を含む第1の容器、酵母細胞壁粒子およびペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを含む第2の容器、ならびに取扱説明書を含む製品。
【請求項35】
酵母細胞壁粒子、ペイロード捕捉分子ならびにポリヌクレオチド、タンパク質、小有機分子、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ペイロード分子を含む製品、ならびに製薬上許容できる賦形剤を含む薬剤組成物。
【請求項36】
内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が内腔に少なくとも部分的に封じ込められた状態になる段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子が抽出酵母細胞壁内のペイロード分子を少なくとも部分的に閉じ込めて微粒子送達システムを形成し、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に溶ける段階と、
細胞を微粒子送達システムと接触させる段階と
を含む、ペイロード分子を細胞に送達する方法。
【請求項37】
細胞により微粒子送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
抽出酵母細胞壁が90重量%未満のβ−グルカンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
抽出酵母細胞壁が50重量%以上のキチンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
抽出酵母細胞壁が30重量%以上のマンナンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
抽出酵母細胞壁が1重量%以上のタンパク質をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
ペイロード捕捉分子が、アガロース、アルギン酸塩、キサンタン、デキストラン、キトサン、ガラクトマンナンガム、それらの誘導体またはそれらの混合物からなる群から選択される多糖である、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
ペイロード捕捉分子がポリアクリルアミドである、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
ペイロード捕捉分子がポリアミドである、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
ペイロード捕捉分子が、陽イオンポリマー、陰イオンポリマー、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
陽イオンポリマーが、キトサン、ポリエチレンイミンおよびポリ−L−リシンからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ペイロード捕捉分子が、陽イオンポリマーと陽イオン界面活性剤との混合物である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
陽イオンポリマーが、タンパク質、ポリペプチド、短合成ペプチド、らせん状両親媒性ペプチド、陽イオンデンドリマー、グルカルアミドポリマー、N−置換グリシンオリゴマー、ポリ(2−メチルアクリル酸2−[(2−ジメチルアミノ)−エチル]−メチルアミノ)−エチルエステル)、ポリ(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
陰イオンポリマーが、アルギン酸塩およびキサンタンからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
陽イオン界面活性剤が臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
ペイロード捕捉分子が、陽イオン高分子電解質、陰イオン高分子電解質および両性高分子電解質からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
陽イオン高分子電解質が、ビニルピロリドンと第四級メチルメタクリレートとのコポリマー、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミンホモポリマー、ポリアミンコポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、置換デキストラン、修飾グアールガム、置換タンパク質、ポリアミノ酸、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
陰イオン高分子電解質が、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸とのコポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、置換ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、デキストラン硫酸、置換サッカライド、ヘパリンおよび製薬上許容できる塩からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項55】
ポリヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
組換えDNA構築物が、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
タンパク質を発現させる段階をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質またはシグナル伝達タンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が抗原性タンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
ポリヌクレオチドが、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の機能を回復させるヌクレオチド配列を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、遺伝障害を有する個体における治療効果をもたらすタンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
遺伝障害が、アールスコグ−スコット症候群、アーセ症候群、軟骨形成不全、先端異骨症、嗜癖、副腎脳白質ジストロフィー、白皮症、無眼瞼大口症候群、アラジル症候群、アルカプトン尿症、α−1−アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、自己免疫多腺性症候群、アンドロゲン非感受性症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー−マリー−トゥース病、クローン病、唇裂、コケーン症候群、コフィン−ローリー症候群、大腸癌、先天性副腎過形成、コルネリアドランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻部形成異常、クリグラー−ナジャー症候群、クロイツフェルト−ヤコブ病、嚢胞性線維症、難聴、鬱病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症候群、失読症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成症、エリス−ファンクレフェルト症候群、エーレルス−ダンロー症候群、表皮水疱症、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリートライヒ運動失調、ゴーシェ病、緑内障、グルコース−ガラクトース吸収不良、グルタル酸尿症、回萎縮、ゴールドベルク−シプリンツェン症候群(口蓋心顔面症候群)、ゴーリン症候群、ヘーリー−ヘーリー病、片側肥大、ヘモクロマトーシス、血友病、遺伝性運動感覚ニューロパシー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgMを伴う免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、カブキ症候群、リー症候群、QT間隔延長症候群、肺癌、悪性黒色腫、躁うつ病、マルファン症候群、メンケズ症候群、流産、ムコ多糖症候群、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニューマン−ピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、p53腫瘍抑制因子、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮、フェニルケトン尿症(PKU)、腎多嚢胞病、プラーダー−ヴィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフスム病、色素性網膜炎、網膜芽腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、精神分裂病、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮、脊髄小脳萎縮、SRY:性決定、成人突然死症候群、タンジアー病、テイ−サックス病、血小板減少橈骨欠損症候群、タウンズ−ブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォンヒッペル−リンダウ症候群、ワーデンブルヒ症候群、ウィーバー症候群、ヴェルナー症候群、ウィリアム症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症またはツェルヴェーガー症候群である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
タンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β1、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、des(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、des(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
小有機活性物質が、2本鎖DNAの小溝に配列特異的に結合している複素環式ポリアミドのオリゴマーである、請求項54に記載の方法。
【請求項66】
小有機活性物質が、N−メチルイミダゾールカルボキサミド、N−メチルピロールカルボキサミド、βアラニンおよびジメチルアミノプロピルアミドからなる群から選択されるモノマーサブユニットを有するオリゴマーである、請求項54に記載の方法。
【請求項67】
小有機活性物質が、避妊薬、胃腸治療薬、非ステロイド避妊薬、副交感神経作用薬、精神療法薬、強力精神安定薬、穏和精神安定薬、鼻うっ血除去薬、催眠鎮静薬、ステロイド、スルホンアミド、ワクチン、ビタミン、栄養素、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、抗パーキンソン薬、鎮痙薬、抗コリン薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、心血管薬、抗高血圧薬、冠血管拡張薬、有機硝酸エステル、アルカロイド、鎮痛薬、麻薬、抗癌薬、抗けいれん薬、抗嘔吐薬、抗炎症薬、細胞毒性薬または抗生物質である、請求項54に記載の方法。
【請求項68】
小有機活性物質が、セファロスポリン、クロラムフェニカル、ゲンタマイシン、カナマイシンA、カナマイシンB、ペニシリン、アンピシリン、ストレプトマイシンA、アンチマイシンA、クロロパムテニオール、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリン、ペニシリンG、テトラサイクリンおよびそれらの混合物からなる群から選択される抗生物質である、請求項54に記載の方法。
【請求項69】
内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が抽出酵母細胞壁と結合した状態になる段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子がペイロード分子と抽出酵母細胞壁との結合を安定化して微粒子送達システムを形成し、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に溶ける段階と、
食細胞を微粒子薬物送達システムと接触する段階と
を含む、薬剤を食細胞に送達する方法。
【請求項70】
食細胞により微粒子薬物送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
食細胞により微粒子薬物送達システムを輸送する段階をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
微粒子薬物送達システムから薬剤を放出させる段階をさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
食細胞が、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞または滑膜A細胞である、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が抽出酵母細胞壁と結合した状態になる段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子がペイロード分子と抽出酵母細胞壁との結合を安定化して微粒子送達システムを形成する段階と
を含む、微粒子送達システムを調製する方法。
【請求項76】
微粒子送達システムを洗浄し、乾燥する段階をさらに含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
ペイロード分子が、酵母細胞壁により画定される内腔内に少なくとも部分的に存在する、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
ペイロード分子の結合の安定化が、酵母細胞壁により画定される内腔内で少なくとも部分的に起こる、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
ポリヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
組換えDNA構築物が、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
ペプチドが、ホルモン、神経伝達物質、神経修飾物質、シグナル伝達タンパク質の活性フラグメント、受容体の活性フラグメント、酵素の活性フラグメントおよび核酸結合タンパク質の活性フラグメントからなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
タンパク質が、酵素、構造タンパク質、シグナル伝達タンパク質、核酸結合タンパク質および転写因子から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、個体の細胞内で制御可能に発現させることができるペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法。
【請求項85】
ペプチドが、病原体上で示される抗原エピトープと同じまたは実質的に類似している少なくともエピトープを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
ペプチドが、過増殖性疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似している少なくともエピトープを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
ペプチドが、自己免疫疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似している少なくともエピトープを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
ペプチドがトキソイドである、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
食細胞が、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞または滑膜A細胞である、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、抗原性分子であるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法。
【請求項91】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
ペイロード分子がトキソイドである、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
抗原分子が、少なくとも、過増殖性疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
抗原分子が、少なくとも、自己免疫疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
食細胞が、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞または滑膜A細胞である、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁、薬剤およびペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを供給する段階と、
マクロファージ細胞を微粒子薬物送達システムと接触させる段階
を含む、マクロファージ細胞に薬剤を送達する方法。
【請求項97】
マクロファージにより微粒子薬物送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
マクロファージにより微粒子薬物送達システムを輸送する段階をさらに含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
マクロファージ誘引部位に微粒子薬物送達システムを送達する段階をさらに含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
マクロファージ誘引部位が感染、炎症反応、低酸素または過形成の部位である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
マクロファージ誘引部位が腫瘍である、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
微粒子薬物送達システムから薬剤を放出させる段階をさらに含む、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
細胞外間隙内に薬剤を放出させる段階をさらに含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
薬剤を放出させる段階が組換えタンパク質を発現させ、タンパク質を細胞外間隙内に分泌させる段階を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、過増殖性疾患関連タンパク質上で示されるエピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含むペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含み、コードされたペプチドが前記個体の細胞において発現することができる、過増殖性疾患に対して個体を免疫化する方法。
【請求項106】
個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、ポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを細胞に投与する段階を含む、遺伝病に罹患している個体を治療する方法。
【請求項107】
ポリヌクレオチドが、個体における治療効果をもたらし、前記細胞において発現することができるタンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項1】
β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁およびペイロード捕捉分子を含む、微粒子送達システム。
【請求項2】
ペイロード分子をさらに含み、ペイロード分子およびペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に溶ける、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項3】
溶媒系が水を含む、請求項2に記載の微粒子送達システム。
【請求項4】
抽出酵母細胞壁がさらに90重量%未満のβ−グルカンを含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項5】
抽出酵母細胞壁がさらに50重量%以上のキチンを含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項6】
抽出酵母細胞壁がさらに30重量%以上のマンナンを含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項7】
抽出酵母細胞壁がさらに1重量%以上のタンパク質を含む、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項8】
ペイロード捕捉分子が、アガロース、アルギン酸塩、キサンタン、デキストラン、キトサン、ガラクトマンナンガム、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される多糖である、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項9】
ペイロード捕捉分子がポリアクリルアミドである、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項10】
ペイロード捕捉分子がポリアミドである、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項11】
ペイロード捕捉分子が、陽イオンポリマー、陰イオンポリマー、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項12】
陽イオンポリマーが、キトサン、ポリエチレンイミンおよびポリ−L−リシンからなる群から選択される、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項13】
陽イオンポリマーと陽イオン界面活性剤との混合物である、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項14】
陽イオンポリマーが、タンパク質、ポリペプチド、短合成ペプチド、らせん状両親媒性ペプチド、陽イオンデンドリマー、グルカルアミド(glucaramide)ポリマー、N−置換グリシンオリゴマー、ポリ(2−メチルアクリル酸2−[(2−ジメチルアミノ)−エチル]−メチルアミノ)−エチルエステル)、ポリ(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項15】
陰イオンポリマーが、アルギン酸塩およびキサンタンからなる群から選択される、請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項16】
陽イオン界面活性剤が、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである請求項11に記載のペイロード捕捉分子。
【請求項17】
ペイロード捕捉分子が、陽イオン高分子電解質、陰イオン高分子電解質および両性高分子電解質からなる群から選択される、請求項1に記載の微粒子送達システム。
【請求項18】
陽イオン高分子電解質が、ビニルピロリドンと第四級メチルメタクリレートとのコポリマー、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミンホモポリマー、ポリアミンコポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、置換デキストラン、修飾グアールガム、置換タンパク質、ポリアミノ酸、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される、請求項17に記載の微粒子送達システム。
【請求項19】
陰イオン高分子電解質が、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸とのコポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、置換ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、デキストラン硫酸、置換サッカライド、ヘパリンおよび製薬上許容できる塩からなる群から選択される、請求項17に記載の微粒子送達システム。
【請求項20】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の微粒子送達システム。
【請求項21】
ポリヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項22】
組換えDNA構築物が、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項21に記載の微粒子送達システム。
【請求項23】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質またはシグナル伝達タンパク質である、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項24】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が抗原性タンパク質である、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項25】
ポリヌクレオチドが、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の機能を回復させるヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の微粒子送達システム。
【請求項26】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、遺伝障害を有する個体における治療効果をもたらすタンパク質である、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項27】
遺伝障害が、アールスコグ−スコット症候群、アーセ症候群、軟骨形成不全、先端異骨症、嗜癖、副腎脳白質ジストロフィー、白皮症、無眼瞼大口症候群、アラジル症候群、アルカプトン尿症、α−1−アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、自己免疫多腺性症候群、アンドロゲン非感受性症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー−マリー−トゥース病、クローン病、唇裂、コケーン症候群、コフィン−ローリー症候群、大腸癌、先天性副腎過形成、コルネリアドランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻部形成異常、クリグラー−ナジャー症候群、クロイツフェルト−ヤコブ病、嚢胞性線維症、難聴、鬱病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症候群、失読症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成症、エリス−ファンクレフェルト症候群、エーレルス−ダンロー症候群、表皮水疱症、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリートライヒ運動失調、ゴーシェ病、緑内障、グルコース−ガラクトース吸収不良、グルタル酸尿症、回萎縮、ゴールドベルク−シプリンツェン(Goldberg Shprintzen)症候群(口蓋心顔面症候群)、ゴーリン症候群、ヘーリー−ヘーリー病、片側肥大、ヘモクロマトーシス、血友病、遺伝性運動感覚ニューロパシー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgMを伴う免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、カブキ症候群、リー症候群、QT間隔延長症候群、肺癌、悪性黒色腫、躁うつ病、マルファン症候群、メンケズ症候群、流産、ムコ多糖症候群、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニューマン−ピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、p53腫瘍抑制因子、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮、フェニルケトン尿症(PKU)、腎多嚢胞病、プラーダー−ヴィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフスム病、色素性網膜炎、網膜芽腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、精神分裂病、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮、脊髄小脳萎縮、SRY:性決定、成人突然死症候群、タンジアー病、テイ−サックス病、血小板減少橈骨欠損症候群、タウンズ−ブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォンヒッペル−リンダウ症候群、ワーデンブルヒ症候群、ウィーバー症候群、ヴェルナー症候群、ウィリアム症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症またはツェルヴェーガー症候群である、請求項25に記載の微粒子送達システム。
【請求項28】
タンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β1、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、デス(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項29】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β1、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、デス(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項22に記載の微粒子送達システム。
【請求項30】
小有機活性物質が、2本鎖DNAの小溝に配列特異的に結合している複素環式ポリアミドのオリゴマーである、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項31】
小有機活性物質が、N−メチルイミダゾールカルボキサミド、N−メチルピロールカルボキサミド、βアラニンおよびジメチルアミノプロピルアミドからなる群から選択されるモノマーサブユニットを有するオリゴマーである、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項32】
小有機活性物質が、避妊薬、胃腸治療薬、非ステロイド避妊薬、副交感神経作用薬、精神療法薬、強力精神安定薬、穏和精神安定薬、鼻うっ血除去薬、催眠鎮静薬、ステロイド、スルホンアミド、ワクチン、ビタミン、栄養素、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、抗パーキンソン薬、鎮痙薬、抗コリン薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、心血管薬、抗高血圧薬、冠血管拡張薬、有機硝酸エステル、アルカロイド、鎮痛薬、麻薬、抗癌薬、抗けいれん薬、抗嘔吐薬、抗炎症薬、細胞毒性薬または抗生物質である、請求項19に記載の微粒子送達システム。
【請求項33】
小有機活性物質が、セファロスポリン、クロラムフェニカル、ゲンタマイシン、カナマイシンA、カナマイシンB、ペニシリン、アンピシリン、ストレプトマイシンA、アンチマイシンA、クロロパムテニオール、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリン、ペニシリンG、テトラサイクリンおよびそれらの混合物からなる群から選択される抗生物質である、請求項20に記載の微粒子送達システム。
【請求項34】
核酸組成物、タンパク質組成物、小有機分子およびそれらの混合物からなる群から選択されるペイロード分子を含む第1の容器、酵母細胞壁粒子およびペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを含む第2の容器、ならびに取扱説明書を含む製品。
【請求項35】
酵母細胞壁粒子、ペイロード捕捉分子ならびにポリヌクレオチド、タンパク質、小有機分子、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ペイロード分子を含む製品、ならびに製薬上許容できる賦形剤を含む薬剤組成物。
【請求項36】
内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が内腔に少なくとも部分的に封じ込められた状態になる段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子が抽出酵母細胞壁内のペイロード分子を少なくとも部分的に閉じ込めて微粒子送達システムを形成し、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に溶ける段階と、
細胞を微粒子送達システムと接触させる段階と
を含む、ペイロード分子を細胞に送達する方法。
【請求項37】
細胞により微粒子送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
抽出酵母細胞壁が90重量%未満のβ−グルカンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
抽出酵母細胞壁が50重量%以上のキチンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
抽出酵母細胞壁が30重量%以上のマンナンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
抽出酵母細胞壁が1重量%以上のタンパク質をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
ペイロード捕捉分子が、アガロース、アルギン酸塩、キサンタン、デキストラン、キトサン、ガラクトマンナンガム、それらの誘導体またはそれらの混合物からなる群から選択される多糖である、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
ペイロード捕捉分子がポリアクリルアミドである、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
ペイロード捕捉分子がポリアミドである、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
ペイロード捕捉分子が、陽イオンポリマー、陰イオンポリマー、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
陽イオンポリマーが、キトサン、ポリエチレンイミンおよびポリ−L−リシンからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ペイロード捕捉分子が、陽イオンポリマーと陽イオン界面活性剤との混合物である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
陽イオンポリマーが、タンパク質、ポリペプチド、短合成ペプチド、らせん状両親媒性ペプチド、陽イオンデンドリマー、グルカルアミドポリマー、N−置換グリシンオリゴマー、ポリ(2−メチルアクリル酸2−[(2−ジメチルアミノ)−エチル]−メチルアミノ)−エチルエステル)、ポリ(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
陰イオンポリマーが、アルギン酸塩およびキサンタンからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
陽イオン界面活性剤が臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
ペイロード捕捉分子が、陽イオン高分子電解質、陰イオン高分子電解質および両性高分子電解質からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
陽イオン高分子電解質が、ビニルピロリドンと第四級メチルメタクリレートとのコポリマー、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミンホモポリマー、ポリアミンコポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、置換デキストラン、修飾グアールガム、置換タンパク質、ポリアミノ酸、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
陰イオン高分子電解質が、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸とのコポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、置換ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、デキストラン硫酸、置換サッカライド、ヘパリンおよび製薬上許容できる塩からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項55】
ポリヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
組換えDNA構築物が、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
タンパク質を発現させる段階をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質またはシグナル伝達タンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が抗原性タンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
ポリヌクレオチドが、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の機能を回復させるヌクレオチド配列を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、遺伝障害を有する個体における治療効果をもたらすタンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
遺伝障害が、アールスコグ−スコット症候群、アーセ症候群、軟骨形成不全、先端異骨症、嗜癖、副腎脳白質ジストロフィー、白皮症、無眼瞼大口症候群、アラジル症候群、アルカプトン尿症、α−1−アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、自己免疫多腺性症候群、アンドロゲン非感受性症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー−マリー−トゥース病、クローン病、唇裂、コケーン症候群、コフィン−ローリー症候群、大腸癌、先天性副腎過形成、コルネリアドランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻部形成異常、クリグラー−ナジャー症候群、クロイツフェルト−ヤコブ病、嚢胞性線維症、難聴、鬱病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症候群、失読症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成症、エリス−ファンクレフェルト症候群、エーレルス−ダンロー症候群、表皮水疱症、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリートライヒ運動失調、ゴーシェ病、緑内障、グルコース−ガラクトース吸収不良、グルタル酸尿症、回萎縮、ゴールドベルク−シプリンツェン症候群(口蓋心顔面症候群)、ゴーリン症候群、ヘーリー−ヘーリー病、片側肥大、ヘモクロマトーシス、血友病、遺伝性運動感覚ニューロパシー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgMを伴う免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、カブキ症候群、リー症候群、QT間隔延長症候群、肺癌、悪性黒色腫、躁うつ病、マルファン症候群、メンケズ症候群、流産、ムコ多糖症候群、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニューマン−ピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、p53腫瘍抑制因子、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮、フェニルケトン尿症(PKU)、腎多嚢胞病、プラーダー−ヴィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフスム病、色素性網膜炎、網膜芽腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、精神分裂病、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮、脊髄小脳萎縮、SRY:性決定、成人突然死症候群、タンジアー病、テイ−サックス病、血小板減少橈骨欠損症候群、タウンズ−ブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォンヒッペル−リンダウ症候群、ワーデンブルヒ症候群、ウィーバー症候群、ヴェルナー症候群、ウィリアム症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症またはツェルヴェーガー症候群である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
タンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β1、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、des(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
翻訳領域によりコードされるタンパク質が、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12(p35サブユニット)、インターロイキン−13、インターロイキン−15、オンコステチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルディオトロフィン−1成長ホルモン放出因子、上皮小体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、α−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、第VIIIC因子、第IX組織因子、ヴォンヴィレブランド因子、プロテインC、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ボンベジン、トロンビン、α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子、エンケファリナーゼ、RANTES、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質、血清アルブミン、ミューラー管退行因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNアーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン受容体、成長因子受容体、インテグリン、プロテインA、プロテインD、リウマトイド因子、神経栄養因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5もしくはニューロトロフィン−6、NGF−β、血小板由来成長因子(PDGF)、α線維芽細胞成長因子、βα線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β、トランスフォーミング成長因子β2、トランスフォーミング成長因子β3、トランスフォーミング成長因子β4、トランスフォーミング成長因子β5、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、des(1−3)インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、骨誘導因子、イムノトキシン、骨形成タンパク質、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレッシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントまたは変異体からなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
小有機活性物質が、2本鎖DNAの小溝に配列特異的に結合している複素環式ポリアミドのオリゴマーである、請求項54に記載の方法。
【請求項66】
小有機活性物質が、N−メチルイミダゾールカルボキサミド、N−メチルピロールカルボキサミド、βアラニンおよびジメチルアミノプロピルアミドからなる群から選択されるモノマーサブユニットを有するオリゴマーである、請求項54に記載の方法。
【請求項67】
小有機活性物質が、避妊薬、胃腸治療薬、非ステロイド避妊薬、副交感神経作用薬、精神療法薬、強力精神安定薬、穏和精神安定薬、鼻うっ血除去薬、催眠鎮静薬、ステロイド、スルホンアミド、ワクチン、ビタミン、栄養素、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、抗パーキンソン薬、鎮痙薬、抗コリン薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、心血管薬、抗高血圧薬、冠血管拡張薬、有機硝酸エステル、アルカロイド、鎮痛薬、麻薬、抗癌薬、抗けいれん薬、抗嘔吐薬、抗炎症薬、細胞毒性薬または抗生物質である、請求項54に記載の方法。
【請求項68】
小有機活性物質が、セファロスポリン、クロラムフェニカル、ゲンタマイシン、カナマイシンA、カナマイシンB、ペニシリン、アンピシリン、ストレプトマイシンA、アンチマイシンA、クロロパムテニオール、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリン、ペニシリンG、テトラサイクリンおよびそれらの混合物からなる群から選択される抗生物質である、請求項54に記載の方法。
【請求項69】
内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が抽出酵母細胞壁と結合した状態になる段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子がペイロード分子と抽出酵母細胞壁との結合を安定化して微粒子送達システムを形成し、ペイロード分子とペイロード捕捉分子が同じ溶媒系に溶ける段階と、
食細胞を微粒子薬物送達システムと接触する段階と
を含む、薬剤を食細胞に送達する方法。
【請求項70】
食細胞により微粒子薬物送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
食細胞により微粒子薬物送達システムを輸送する段階をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
微粒子薬物送達システムから薬剤を放出させる段階をさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
食細胞が、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞または滑膜A細胞である、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
内腔を画定する、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁を供給する段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード分子と接触させ、ペイロード分子が抽出酵母細胞壁と結合した状態になる段階と、
抽出酵母細胞壁をペイロード捕捉分子と接触させ、ペイロード捕捉分子がペイロード分子と抽出酵母細胞壁との結合を安定化して微粒子送達システムを形成する段階と
を含む、微粒子送達システムを調製する方法。
【請求項76】
微粒子送達システムを洗浄し、乾燥する段階をさらに含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
ペイロード分子が、酵母細胞壁により画定される内腔内に少なくとも部分的に存在する、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
ペイロード分子の結合の安定化が、酵母細胞壁により画定される内腔内で少なくとも部分的に起こる、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
ポリヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素RNA、組換えDNA構築物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
組換えDNA構築物が、タンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
ペプチドが、ホルモン、神経伝達物質、神経修飾物質、シグナル伝達タンパク質の活性フラグメント、受容体の活性フラグメント、酵素の活性フラグメントおよび核酸結合タンパク質の活性フラグメントからなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
タンパク質が、酵素、構造タンパク質、シグナル伝達タンパク質、核酸結合タンパク質および転写因子から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、個体の細胞内で制御可能に発現させることができるペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法。
【請求項85】
ペプチドが、病原体上で示される抗原エピトープと同じまたは実質的に類似している少なくともエピトープを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
ペプチドが、過増殖性疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似している少なくともエピトープを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
ペプチドが、自己免疫疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似している少なくともエピトープを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
ペプチドがトキソイドである、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
食細胞が、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞または滑膜A細胞である、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
個体の食細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、抗原性分子であるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含む、個体を抗原に曝露する方法。
【請求項91】
ペイロード分子が、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小有機活性物質、小無機活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
ペイロード分子がトキソイドである、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
抗原分子が、少なくとも、過増殖性疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
抗原分子が、少なくとも、自己免疫疾患関連タンパク質の抗原エピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
食細胞が、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳汁マクロファージ、小グリア細胞、好酸球、顆粒球、メサンギウム食細胞または滑膜A細胞である、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁、薬剤およびペイロード捕捉分子を含む微粒子送達システムを供給する段階と、
マクロファージ細胞を微粒子薬物送達システムと接触させる段階
を含む、マクロファージ細胞に薬剤を送達する方法。
【請求項97】
マクロファージにより微粒子薬物送達システムを内部へ移行する段階をさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
マクロファージにより微粒子薬物送達システムを輸送する段階をさらに含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
マクロファージ誘引部位に微粒子薬物送達システムを送達する段階をさらに含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
マクロファージ誘引部位が感染、炎症反応、低酸素または過形成の部位である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
マクロファージ誘引部位が腫瘍である、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
微粒子薬物送達システムから薬剤を放出させる段階をさらに含む、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
細胞外間隙内に薬剤を放出させる段階をさらに含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
薬剤を放出させる段階が組換えタンパク質を発現させ、タンパク質を細胞外間隙内に分泌させる段階を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、過増殖性疾患関連タンパク質上で示されるエピトープと同じまたは実質的に類似しているエピトープを含むペプチドをコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含むポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させる段階を含み、コードされたペプチドが前記個体の細胞において発現することができる、過増殖性疾患に対して個体を免疫化する方法。
【請求項106】
個体の細胞を、β−グルカンを含む抽出酵母細胞壁と、ペイロード捕捉分子と、ポリヌクレオチドであるペイロード分子とを含む微粒子送達システムと接触させ、それにより、欠失、欠損したまたは阻害された遺伝子の活性を回復させるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを細胞に投与する段階を含む、遺伝病に罹患している個体を治療する方法。
【請求項107】
ポリヌクレオチドが、個体における治療効果をもたらし、前記細胞において発現することができるタンパク質をコードする翻訳領域に作動的に連結された制御エレメントを含む、請求項106に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【公表番号】特表2008−503472(P2008−503472A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516687(P2007−516687)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/021161
【国際公開番号】WO2006/007372
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(506417474)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/021161
【国際公開番号】WO2006/007372
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(506417474)
【Fターム(参考)】
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