説明

薬袋投入装置及び薬袋投入方法

【課題】効率よく薬剤を薬袋に投入する薬剤の薬袋投入装置及び薬袋投入方法を提供する。
【解決手段】
予めセットされた薬剤8を払い出す払出手段7と、一端に開口部1aが設けられた薬袋1を収納する収納部2と、該収納部2から薬袋1を一枚ずつ取り出す薬袋取出手段3と、該薬袋取出手段3から取り出した薬袋1を開き、開いた薬袋1の開口部1aに前記払出手段7から薬剤8を投入し、薬袋1に薬剤8を収容可能とする薬袋開口手段6とを備え、薬袋開口手段6の下方に、薬剤8が投入された薬袋1を保管する保管部9を備えるとともに、保管部9に保管することができる薬袋1の数を前記払出手段7にて払い出される薬剤8の数からコンピュータで算出し、その算出された数に基づいて保管部9に薬袋1を投入するための薬袋投入手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤、散薬、アンプル等の薬剤を薬袋に投入する薬袋投入装置及び薬袋投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の薬局において、処方に応じた薬剤を患者毎又は一処方毎に薬袋に収納する際、患者名、処方時間等が記載された薬袋に、調剤した薬剤を薬剤師が投入する方法が採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記従来の方式によれば、人手により薬剤を投入するため、手間と時間がかかるという問題がある。
【0004】
本本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、効率よく薬剤を薬袋に投入する薬剤の薬袋投入装置及び薬袋投入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る薬袋投入装置は、請求項1に記載の如く、予めセットされた薬剤を払い出す払出手段と、一端に開口部が設けられた薬袋を収納する収納部と、該収納部から薬袋を一枚ずつ取り出す薬袋取出手段と、該薬袋取出手段から取り出した薬袋を開き、開いた薬袋の開口部に前記払出手段から薬剤を投入し、薬袋に薬剤を収容可能とする薬袋開口手段とを備え、薬袋開口手段の下方に、薬剤が投入された薬袋を保管する保管部を備えるとともに、保管部に保管することができる薬袋の数を前記払出手段にて払い出される薬剤の数からコンピュータで算出し、その算出された数に基づいて保管部に薬袋を投入するための薬袋投入手段を備えてなることを特徴とする。
また、請求項6に記載の如く、予めセットされた薬剤を薬袋開口手段にて開口された薬袋の開口部に払出手段を用いて投入し、薬剤が投入された薬袋を前記薬袋開口手段の下方に配置した保管部に保管する際に、保管部に保管することができる薬袋の数を前記払出手段にて払い出される薬剤の数からコンピュータで算出し、その算出された数に基づいて保管部に薬袋を投入する薬袋投入方法であってもよい。
このように、収納部に収納されている薬袋を薬袋取出手段にて取り出し、薬袋を開口し、且つ薬剤を払出手段からの薬剤を投入する薬袋開口手段が設けられているので、薬袋を収納部に収納すれば、人手を介することなく薬袋に薬剤を投入することができる。
また、トレーに保管することができる薬袋の数を払出手段から払い出される薬剤の数から算出するので、トレー毎に保管する薬袋の数は、薬剤の量に応じ増減される。
【0006】
本発明に係る薬袋投入装置においては、請求項2に記載の如く、前記収納部から取り出された薬袋に患者名等の患者データを印字する印字装置が設けられていると、監査を行う際、非常に容易に患者データを確認することができるため、好ましい。
【0007】
また、本発明に係る薬袋投入装置は、請求項3に記載の如く、前記薬袋取出手段が薬袋を吸引する第1吸引ノズルで構成され、且つ薬袋開口手段が薬袋の正面及び背面を吸引する、少なくとも二本の第2吸引ノズルで構成されていることが、薬袋開口手段の製造コストを安価にすることができ、しかも薬袋開口手段を簡便に構成することができるため、好ましい。
【0008】
更に、本発明に係る薬袋投入装置は、請求項4に記載の如く、前記薬剤が収容された薬袋の開口部に封をする封止手段が設けられていることが、薬袋に収容された薬剤が薬袋から不用意に落下することを防止できるため、好ましい。
【0009】
また、本発明に係る薬袋投入装置は、請求項5に記載の如く、前記保管部においては、薬袋を保管部の一方の端部から順に詰めるよう支持する支持板が設けられていると、薬袋が不用意に倒れたり、膨張しすぎたりすることなく、トレー内に薬袋を数多く収納することができる。
また、本発明に係る薬袋投入方法では、請求項7に記載の如く、前記保管部に保管する際に、保管部に設けた支持板によって保管部の一方の端部から順に詰めるようにして支持することになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る薬袋投入装置によれば、収納部に収納されている薬袋を薬袋取出手段にて取り出し、薬袋を開口し、且つ薬剤を払出手段からの薬剤を投入する薬袋開口手段が設けられているので、薬袋を収納部に収納すれば、人手を介することなく薬袋に薬剤を投入することができる。
また、コンピュータにて算出された数に基づいて保管部に薬袋を投入することによって、トレーに薬袋が入りきらないという危惧はなく、確実に全ての薬袋を保管することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1は、二枚の矩形型シートの周縁が一辺を除いてヒートシールされた薬袋を示す。該薬袋1においては上記ヒートシールされなかった一辺が薬剤を投入するための開口部1aとなる。
【0012】
また、2は該薬袋1をその一表面を下にした状態で複数枚重ね合わせて収納する箱状の収納部を示し、3は吸引ノズル(第1吸引ノズルに相当する)を示す。該収納部2は、その上端が解放されており、収納部2に収納されている薬袋1に前記吸引ノズル3を近接することにより、薬袋1が吸引ノズル3に吸引されて薬袋1が収納部2の外部に取り出され、吸引ノズル3が薬袋取出手段としての役割を果たす。
【0013】
4は薬袋1に患者名、薬品名、処方方法等の患者データを印字する印字装置としてのプリンタを示し、6a,6aは該プリンタ4で印字が施された薬袋1の表面を夫々吸引する一対の吸引ノズル(第2吸引ノズルに相当する)を示す。更に、該一対の吸引ノズル6a,6aは、薬袋1の表面を吸引することにより薬袋1の開口部1aを開口させる薬袋開口手段6を構成している。
【0014】
ここで、本実施の形態において患者データは患者単位で処理されており、従って薬袋1には一患者毎にセットされた薬剤8が投入されているものとする。
【0015】
7は錠剤、散薬、アンプル等の薬剤8を例えば患者毎に排出する排出手段としてのシュートを示す。
【0016】
更に、前記吸引ノズル2の制御、患者データの蓄積とプリンタ4への患者データの伝送、薬袋開口手段6の制御、及びシュート7からの薬剤8の払い出しのタイミングの制御を行うコンピュータ(図示せず)が設けられている。
【0017】
このように、薬袋を収納する収納部2と、収納部2から薬袋を取り出す吸引ノズル3と、薬袋を薬袋1に印字するプリンタ4と、薬袋1の開口部1aを開口する吸引ノズル6a,6aと薬剤8を排出するシュート7と、前記コンピュータとから、本発明に係る薬袋投入装置が構成される。
【0018】
また、図2において、9は吸引ノズル6a,6aの下方のトレー載置位置に設けられ、薬剤8を収納した薬袋1を保管する保管部としてのトレーを示し、10は薬袋1が倒れたりせず、開口部1aを上として立設状態を保つことができるよう、薬袋1を支え、且つ薬袋間を詰めるための支持手段としての支持板を示す。
【0019】
尚、前記コンピュータに予め入力されている患者データに基づき、薬剤8の払い出される数がコンピュータにより算出され、この払い出される数に基づいてトレー9内に保管される薬袋1の数がトレー9毎に算出される。
【0020】
次に、上述のように構成される薬袋投入装置の使用方法について説明する。
【0021】
まず、予め複数枚の薬袋1,1…を収納した収納部2の上部から吸引ノズル3を降下させて収納部2の最上部に位置する薬袋1を吸引ノズル3に吸い付ける。
【0022】
薬袋1を吸引ノズル3に吸い付けた状態で吸引ノズル3を移動させ、プリンタ4へ薬袋1を供給する。そして、予めコンピュータ等に入力されている患者名、薬剤名、処方方法等の患者データがプリンタ4に送られ、プリンタ4においては該患者データを薬袋1の表面に印字して払い出す。
【0023】
印字が施されて払い出された薬袋1をローラー等の搬送手段(図示せず)により、薬剤8の払い出されるシュート7付近まで搬送する。
【0024】
シュート7付近には、吸引ノズル6a,6a が設置され、薬袋1が搬送されたことを検知して吸引を開始する。その際、吸引ノズル6a,6aは薬袋1の両表面から所定距離を開けて夫々位置しており、夫々の吸引ノズル6a,6aが吸引を行うことにより薬袋1の開口部1aが広げられて開口する。
【0025】
このようにして開口された開口部1aに、シュート7から、一処方分、又は一患者分に予め集められてセットされた薬剤8が払い出されて投入される。
【0026】
更に、薬剤8が投入された薬袋1は、吸引ノズル6a,6aの下方のトレー載置位置に設けられた図2に示すトレー9へと移送される。トレー9においては、搬送された薬袋1を開口部1aを上にして立設し、トレーの一方の端部9aから順に詰めるよう、支持板10で薬袋1を支持している。
【0027】
このように支持板10で薬袋1を支持することにより、薬袋1が不用意に倒れたり、膨張しすぎたりすることなく、トレー9内に薬袋1を数多く収納することができる。
【0028】
ここで、シュート7から払い出される薬剤8の数は、コンピュータに予め患者データとして入力されており、その累積数より、一個のトレー9に保管することができる薬袋1の数がコンピュータで算出されている。
【0029】
そして、上記薬剤8の薬袋1への投入がコンピュータで算出されたトレー9に保管することができる数まで繰り返されると、トレー9は所定位置、例えばトレー9のストッカーへ移送され、代わりに空のトレー9が前記トレー載置位置に移送され、次の患者データからコンピュータで算出された薬袋1の数だけトレー9に保管するという動作をコンピュータに入力された患者データがなくなるまで繰り返す。このように、薬袋投入装置は、コンピュータにて算出された数に基づいてトレー9に薬袋1を投入するための薬袋投入手段を備えている。
【0030】
上述のように、本発明に係る薬袋投入装置においては、薬袋1を収納部2に収納しておけば、人手に頼ることなく薬袋1内に所定量の薬剤8を収納することができる。
【0031】
また、プリンタで薬袋の表面に患者データを印字しているので、監査を行う際にも、非常に容易に患者データを確認することができる。
【0032】
更に、上述の実施の形態の如く、予めコンピュータ等に入力され、記憶されている患者データをプリンタ4に送り、シュート7から払い出される薬剤8の払い出されるタイミングを制御することにより、複数の薬袋に薬剤を収納する行程を人手を介さずに連続して行うことができる。
【0033】
また、トレー9に保管することができる薬袋1の数を患者データの一部である薬剤の数から算出するので、トレー9毎に保管する薬袋1の数は、薬剤の量に応じ増減され、従ってトレー9に薬袋1が入りきらないという危惧はなく、確実に全ての薬袋1を保管することができるという効果がある。
【0034】
上述の実施の形態においては、薬袋開口手段を二本の吸引ノズルで構成したが、吸引ノズルの数は二本に限定されることなく、薬袋を開口させるために十分であれば三本以上であっても良い。
【0035】
上述の実施の形態においては、薬袋取出手段及び薬袋開口手段として吸引ノズルを用いたが、薬袋取出手段と薬袋開口手段はこれに限定されることなく、例えば薬袋取出手段をローラーで形成し、薬袋開口手段を開口部からエアーを吹き出すエアーノズル等で形成してもよいが、吸引ノズルで構成することによって、非常に安価に、且つ簡便な構成で薬袋取出手段と薬袋開口手段を形成することができる。
【0036】
また、薬袋開口手段にて薬袋を開口し、薬剤を投入したのち、薬袋の開口部の一部又は開口部全域に亘って封をする、ヒートシール装置等から構成される、薬袋に封をする封止手段を設けてもよい。
【0037】
このように、薬袋の開口部の一部又は開口部全域に亘って封をする封止手段が設けられることにより、薬袋から薬剤が不用意にこぼれ落ちることを防止することができる。
【0038】
更に、上記封止手段が設けられている際、患者データから薬袋が予めセットされた薬剤のみを収容することを判別した場合には封止手段を駆動し、患者データから予めセットされた薬剤に加えて稀少な薬剤等を監査時等に人手で投入することを判別した場合には封止手段を駆動し、薬袋の開口部の一部、例えば中央付近を封止するか、或いは封止手段を駆動しないよう、患者データにより選択して封止手段を制御する制御手段が設けられていることが、投入する薬剤に応じて薬袋に封をすることができるため好ましい。
【0039】
また、上記実施の形態においては、患者データを一人の患者に対する全データとし、従って薬袋へ投入する薬剤を患者毎としたが、患者データはこれに限定されることなく、例えばRp毎のデータとしてもよい。
【0040】
更に、一つのトレーに保管する薬袋は、コンピュータに入力されている患者データが患者別や病棟別、あるいは診療科別等に並べ直されることにより区分けされた、患者別、病棟別、診療科別等であってもよいし、単に患者データが入力された時系列順であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る薬袋投入装置の一実施の形態を示す概略説明斜視図である。
【図2】トレーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1…薬袋、1a…開口部、2…収納部、3…吸引ノズル(薬袋取出手段)、4…プリンタ、6…薬袋開口手段、6a…吸引ノズル、7…シュート(排出手段)、8…薬剤、9…トレー(保管部)、9a…端部、10…支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予めセットされた薬剤(8)を払い出す払出手段(7)と、一端に開口部(1a)が設けられた薬袋(1)を収納する収納部(2)と、該収納部(2)から薬袋(1)を一枚ずつ取り出す薬袋取出手段(3)と、該薬袋取出手段(3)から取り出した薬袋(1)を開き、開いた薬袋(1)の開口部(1a)に前記払出手段(7)から薬剤(8)を投入し、薬袋(1)に薬剤(8)を収容可能とする薬袋開口手段(6)とを備え、
薬袋開口手段(6)の下方に、薬剤(8)が投入された薬袋(1)を保管する保管部(9)を備えるとともに、保管部(9)に保管することができる薬袋(1)の数を前記払出手段(7)にて払い出される薬剤(8)の数からコンピュータで算出し、その算出された数に基づいて保管部(9)に薬袋(1)を投入するための薬袋投入手段を備えたことを特徴とする薬剤の薬袋投入装置。
【請求項2】
前記収納部(2)から取り出された薬袋(1)に患者名等の患者データを印字する印字装置(4)が設けられてなる請求項1記載の薬袋投入装置。
【請求項3】
前記薬袋取出手段(3) が薬袋(1)を吸引する第1吸引ノズルで構成され、且つ薬袋開口手段(6)が薬袋(1)の正面及び背面を吸引する、少なくとも二本の第2吸引ノズル(6a),(6a)で構成されている請求項1または請求項2記載の薬袋投入装置。
【請求項4】
前記薬剤(8)が収容された薬袋(1)の開口部(1a)に封をする封止手段が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の薬袋投入装置。
【請求項5】
前記保管部(9)においては、薬袋(1)を保管部(9)の一方の端部(9a)から順に詰めるよう支持する支持板(10)が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の薬袋投入装置。
【請求項6】
予めセットされた薬剤(8)を薬袋開口手段(6)にて開口された薬袋(1)の開口部(1a)に払出手段(7)を用いて投入し、薬剤(8)が投入された薬袋(1)を前記薬袋開口手段(6)の下方に配置した保管部(9)に保管する際に、保管部(9)に保管することができる薬袋(1)の数を前記払出手段(7)にて払い出される薬剤(8)の数からコンピュータで算出し、その算出された数に基づいて保管部(9)に薬袋(1)を投入する薬袋投入方法。
【請求項7】
前記保管部(9)に保管する際に、保管部(9)に設けた支持板(10)によって保管部(9)の一方の端部(9a)から順に詰めるようにして支持する請求項6記載の薬袋投入方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−74495(P2008−74495A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297499(P2007−297499)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【分割の表示】特願平10−65607の分割
【原出願日】平成10年3月16日(1998.3.16)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】