藻類の養殖方法及び藻類の養殖装置
【課題】本発明の課題は、養殖容器の液温を抑制して、効率よく養殖を行う藻類の養殖方法及び養殖装置を提供することにある。
【解決手段】培養液と藻類Mを収容して流動させる養殖容器2と、複数の当該養殖容器2の全体を自身の液中に浸漬し各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを流動させるポンプ等を有することにより、空調等により養殖容器内の液温を抑制する場合に比べて、低コストで養殖容器内の液温を一括して抑制できる。そして、各容器内を流動する藻類Mに光を照射することで、藻類M全体に満遍なく光を照射することが可能となり、藻類Mの光合成を促進させることができる。
【解決手段】培養液と藻類Mを収容して流動させる養殖容器2と、複数の当該養殖容器2の全体を自身の液中に浸漬し各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを流動させるポンプ等を有することにより、空調等により養殖容器内の液温を抑制する場合に比べて、低コストで養殖容器内の液温を一括して抑制できる。そして、各容器内を流動する藻類Mに光を照射することで、藻類M全体に満遍なく光を照射することが可能となり、藻類Mの光合成を促進させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、藻類の養殖方法及び藻類の養殖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体物を原料としてエネルギーを得る、いわゆるバイオ燃料が注目され、石油などの枯渇性の化石燃料に代わる非枯渇性燃料として期待されている。かかるバイオ燃料の原料としては、トウモロコシなどの高等植物が知られるが、高等植物では単位面積当たりの収穫率が少なく、定量を確保しようとすれば、広大な農作面積となる。そこで、単位面積当たりの収穫率が高い海藻などの藻類を原料として、バイオ燃料の実用化が試みられている。また、収穫率の高い海藻を食用として収穫することで、食料自給率を改善する試みもなされている。
【0003】
そのため、藻類を安定して養殖する技術が求められ、かかる藻類の養殖装置として、海藻が収容された水槽に水流を生じさせて、水流により海藻が集まる箇所に光を照射する養殖装置が提案される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008‐178365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、水槽中に透明の筒体を配置することにより、筒体内に上昇水流を生じさせて、筒体内に海藻を集め、海藻が密集した筒体に向けて光(人工光及太陽光をいう。以下同じ。)を照射し、効率的に光合成を行わせることができる。しかし、水槽内の温度が過度に上昇すると、藻類に効率的に光合成を行わせることができない。
【0006】
本発明の課題は、養殖容器の液温を抑制して、効率よく養殖を行う藻類の養殖方法及養殖装置を提供することにある。
【課題を解決する手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の藻類の養殖方法は、
藻類を養殖するための水等の液が存在するとともに、光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有する養殖容器内に、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容し、更に複数の養殖容器を、光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有する集合液槽にまとめて浸漬し、この集合液槽の液により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制しつつ、その集合液槽に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせるとともに、各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させることを特徴とする。
【0008】
複数の養殖容器を一括して集合液槽に収容することで各養殖容器内の液温を抑制し、各養殖容器内の養殖対象に光を照射して各養殖容器内の液を流動させることで、低コストで各養殖容器内の液温の上昇を抑制して、養殖対象である藻類の養殖効率を向上させることができ、バイオ燃料の原料又は食用の海藻として、藻類を効率よく収穫することができる。
【0009】
そして、養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせ、それによって該容器内の養殖対象をらせん状に流動させることができる。
【0010】
筒状の養殖容器の液に、養殖容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせて、養殖容器内の養殖対象をらせん状に流動させることで、養殖対象を満遍なく攪拌し、養殖対象に光が不均一に照射されることを防止できる。
【0011】
この場合、筒状の養殖容器の内壁には、該養殖容器の軸方向の液流に基づいてらせん状の液流を生じさせる液流らせんガイド部を備え、養殖容器の軸方向に液流を生じさせ、その液流らせんガイド部を通過させることにより養殖容器内にらせん状の液流を生じさせることができる。
【0012】
液流らせんガイド部により、らせん状の液流が生じるので、らせん液流専用の動力機構を設ける必要が無く、簡易で低コストにらせん状の液流を生じさせることが可能となる。
【0013】
また、本発明の藻類の養殖方法は、養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせ、それによって該容器内の養殖対象をループ状に流動させることができる。
【0014】
筒状の養殖容器の液に、養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせて、養殖容器内の養殖対象をループ状に流動させることで、養殖対象が一箇所に集合するのを防止し、養殖対象に光が不均一に照射されることを防ぎ、効率よく養殖対象に対して光を照射できる。
【0015】
一方、本発明の藻類の養殖装置は、
光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有し、内部に藻類を養殖するための水等の液、及び養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容する複数の養殖容器と、
光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有し、複数の養殖容器をまとめて浸漬して各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制する集合液槽と、
各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させる流動手段と、
を含むことを特徴とする。
【0016】
複数の養殖容器を一括して集合液槽に収容することで各養殖容器内の液温を抑制し、かつ各養殖容器内の養殖対象に光を照射して各養殖容器内の液を流動させることで、低コストで各養殖容器内の液温の上昇を抑制して、養殖対象である藻類の養殖効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の藻類の養殖方法を利用してバイオ燃料及び食用の海藻を得る概念図。
【図2】図1の模式図。
【図3】本発明の藻類の養殖装置の概念図。
【図4】図3の部分模式図。
【図5】図4の養殖容器において培養液が流動する流れを示す斜視図。
【図6】藻類が成長する過程を示す図3の概念図。
【図7】集合液槽を示す側面図。
【図8】筒状の養殖容器の軸線に沿って照明器具を配置した養殖容器を示す斜視図。
【図9】循環手段を備えた養殖装置を示す斜視図。
【図10】実施例1の変形例1−1を示す斜視図。
【図11】実施例1の変形例1−2を示す斜視図。
【図12】実施例1の変形例1−3を示す斜視図。
【図13】実施例2を示す斜視図。
【図14】実施例2の変形例2−1を示す斜視図。
【図15】実施例3を示す斜視図。
【図16】実施例3の変形例3−1を示す斜視図。
【図17】実施例4を示す斜視図。
【図18】実施例5を示す模式図。
【図19】筒状の養殖容器の変形例を示す斜視図。
【図20】各養殖容器の関係を示す参考図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の藻類Mの養殖装置1を利用してバイオ燃料又は食用の海藻を製造する工程を示す概念図であり、図2は、図1の製造工程を示す模式図である。図1及び図2を参照して、本発明の藻類Mの養殖装置1を利用したバイオ燃料又は食用の海藻の製造工程を説明する。かかるバイオ燃料又は食用の海藻の製造工程は、図1に示すように次の3工程を有する。最初に、藻類Mを養殖する培養液(水等の液L)を調整する調整工程、次に、当該調整工程により調整した培養液(水等の液L)を用いて藻類Mを養殖する養殖工程、最後に、当該養殖工程により養殖した藻類Mをバイオ燃料又は食用の海藻に加工する加工工程とを有する。
【0019】
具体的には、図2の模式図より説明する。バイオ燃料又は食用の海藻の製造工程の出発工程となる調整工程は、藻類Mを養殖するための培養液(水等の液L)を藻類Mの成長に適する状態に調整する。具体的には、CO2を溶解させ、藻類Mの養分を混入して、藻類Mの育成環境に適するペーハー値に調整した水等の液Lを精製する。例えば、培養液(水等の液L)の原料として海水を用いる場合は、調整工程は、CO2ろ過工程と海水ろ過工程とを有する溶解工程と、養分等調整工程とを備えることになる。
この場合、CO2ろ過工程は、ボイラー等から発生したCO2の不純物を除去するフィルターによりろ過する工程であり、海水ろ過工程は、海から汲み上げた海水の不純物を除去するフィルターによりろ過する工程であり、溶解工程は、該海水ろ過工程により精製した海水に、CO2ろ過工程により精製したCO2を溶解させる工程である。
そして、養分等調整工程は、海水ろ過工程によりろ過された海水又は溶解工程により精製されたCO2溶解海水に藻類Mにとって栄養となる養分を混入したり、藻類Mの成長に適するように海水のペーハー値を調整したりする工程であり、該養分等調整工程により、調整工程が終了する。なお、かかる養分は、ミネラル等が豊富な深層水により栄養を調整したものでもよい。
【0020】
調整工程の次に、該調整工程により調整した培養液(水等の液L。上記では、は海水。)を用いて藻類Mを養殖する養殖工程がなされる。具体的には、養殖工程は、養分等調整工程により調整された培養液(水等の液L)に養殖する元となる、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類Mである養殖対象を収容して、藻類Mを成長させる工程である。この養殖工程に送られる藻類Mは、海藻の胞子が複数付着した胞子付着体又は発芽した複数の胞子が一体となる発芽体などの海藻や微細藻類等であり、この微細藻類等は調整槽で調整された培養液に含ませながら、養殖工程に送られ、養殖工程で十分な大きさに成長する。
【0021】
最後に、当該養殖工程を経て成長した藻類Mは、培養液と分離されてバイオ燃料又は食用の海藻に加工する加工工程がなされる。具体的には、養殖工程で養殖された藻類Mの不純物を除去する不純物除去工程と、該不純物除去工程により不純物を除去した藻類Mを脱水する脱水工程と、該脱水工程により脱水した藻類Mをバイオ燃料の原料とする原料化工程とを有し、該原料化工程を経てバイオ燃料が製造される。なお、藻類Mを食用の海藻として収穫する場合は、当該原料化工程が、藻類Mを食品として加工する食品加工工程となる。
【0022】
図3は、バイオ燃料又は食用の海藻の製造工程である養殖工程において、使用される本発明の藻類Mの養殖装置1を示す概念図である。なお、養殖容器内の斜線部には照明器具12が配置され、養殖容器内の詳細構造は、省略してある。
連結された複数の養殖容器2である連結養殖容器2Aの一端2aに、調整槽で調整された培養液とともに、藻類Mを送る搬送パイプP1が備わり、連結養殖容器2Aの他端2bに、養殖工程により成長した藻類Mを加工工程に搬出する搬出パイプP2とが備わる。かかる連結養殖容器2Aの両端(2a及び2b)は、通常は閉じられており、連結養殖容器内は、培養液と藻類Mにより満たされている。
具体的には、最初、連結養殖容器2Aの他端2bがバルブ等により、搬出パイプP2との連通がとじられる。一方、連結養殖容器2Aの一端2aでは、搬送パイプP1を通じて連結養殖容器内に培養液とともに藻類Mが送られる。具体的には、最初は、連結養殖容器内には培養液のみが送られ、ある程度、培養液により、連結養殖容器内が満たされた後に、培養液とともに藻類Mを送ることにより、藻類Mを連結養殖容器2Aの一端2aの周辺に収容することが可能となる。連結養殖容器内が培養液と藻類Mにより満たされると、搬送パイプP1と連結養殖容器2Aとの連通がバルブ等により閉じられ、連結養殖容器2Aは両端が閉じた状態となり、連結養殖容器内に培養液と藻類Mが収容される。
そして、連結養殖容器内に満たされた培養液を流動手段4により流動させることにより、培養液が連結養殖容器2Aを構成する一本の筒状の養殖容器内を一端から他端に流動し、図3に示すようにジグザグ状に形成される連結養殖容器内を藻類Mは、一端2aから他端2bに流動する。一方、連結養殖容器内には照明器具12が配置されるため、連結養殖容器内を流動する藻類Mは、太陽光とともに照明器具12により光が照射される。そのため、藻類Mが連結養殖容器2Aの一端2aから他端2bに流動することで、藻類Mは十分に成長する。そして、連結養殖容器2Aの他端2bに到達した藻類Mは、当該他端2bに備わる搬出パイプP2と連結養殖容器2との連通をバブル等により開放して、培養液とともに成長した藻類Mが搬出パイプP2に送られ、培養液と藻類Mが分離されて加工工程に送られる。
なお、藻類Mの成長が不十分の場合には、流動手段4により、培養液及び藻類Mを逆流させて、十分に成長した後に連結養殖容器2Aの他端2bに流動させて加工工程に送られる。
図4は、図3に示す連結養殖容器2Aにおいて、直線状の1本の養殖容器2を抜き出したものであり、図3及び図4を参考にして、本発明の養殖装置1の実施例1の構成について説明する。図3及び図4に示すように、養殖装置1は、複数の養殖容器2と、当該複数の養殖容器2をまとめて浸漬する集合液槽3と、流動手段4と、を有する。
【0023】
複数の養殖容器2は、光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有する容器である。そのため、養殖容器2は、透明容器に限らず、半透明又は、ガラス調の容器でもよい。そして、当該養殖容器内には、藻類Mを養殖するための水等の液Lである培養液が存在(容器内に水等の液Lが収容又は流通)し、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類Mである養殖対象が収容される。
【0024】
養殖容器2は、具体的には、滑らかな横断面形状(断面円状、断面楕円状又は断面おにぎり状等の形状)を有し、筒状の養殖容器2の内壁は、該養殖容器2の軸方向の液流に基づいてらせん状の液流を生じさせる液流らせんガイド部5を備える。
【0025】
当該液流らせんガイド部5は、図4に示すように、筒状部材6と、該筒状部材6の周りにらせん状に形成されるらせん板7とにより形成される。
図4に示すように、養殖容器内に位置する筒状部材6は、養殖容器2の一端から他端に沿って形成され、両端の周側面には、排出管10と注入管11とを有する。具体的には、排出管10には、排出孔10aが形成され、筒状部材6の両端の間に位置する側面には、注入孔9を有する。
【0026】
また、筒状部材6を中心として形成されるらせん板7は、図4に示すように、筒状部材6を中心として筒状部材6の外面に沿ってらせん状の内縁を形成し、養殖容器2の内面に沿ってらせん状の外縁を形成するらせんの板部材であり、筒状部材6とらせん板7と養殖容器2の内壁により、図5に示す矢印のように、養殖容器内にらせん状の空間が形成される。
なお、かかる養殖容器2(筒状部材6及びらせん板7も含む)は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンやビニール素材等から形成される。
【0027】
更に、当該養殖容器内には、図4に示すように該養殖容器2の内部空間に沿って照明器具12が配置される。具体的には、養殖容器内のらせん状のらせん板7に沿って、筒状部材6を中心に照明器具12がらせん状に配置される。より詳細には、発光素子を内部に有する透明チューブが、養殖容器2の中央のらせん状の空間に沿って配置される。
【0028】
らせん状の内部空間に照明器具12が配置される養殖容器2は、図3及び図6の各養殖容器2の配置の概念図に示すように、複数の養殖容器2を縦に並べて、該養殖容器2の端を連結した連結養殖容器2Aとして、養殖容器内のらせん状の空間が連続して形成してある。
【0029】
一方、当該養殖容器2を複数まとめて浸漬する集合液槽3は、光合成のための光、具体的には、発光素子などの人工光や自然光(太陽光など)の光の照射を受けるとともに、それら複数の養殖容器2を一括して収容する大きさと液量を有する。また、集合液槽3は、図7に示すように、集合液槽3に水等の液L1を導入する導入口13と、集合液槽内の水等の液L1を排出する排出口14と、を備える。また、集合液槽3の内面に、反射板15を設けてもよく、反射板15の代わりに反射塗料等を用いてもよい。なお、図7の養殖容器2の内部構造は斜線により省略してある。
また、かかる集合液槽3の液L1は、例えば、深層水などの各養殖容器内の液温を一定以上上昇しないように抑制できる流動する物体である。
【0030】
そして、当該集合液槽3に浸漬される養殖容器内の液Lを流動させる流動手段4は、具体的には、コンプレッサーやポンプであり、かかる流動手段4は、図4に示すように、養殖容器2の排出管10及び注入管11と配管され繋がり、流動手段4により、水等の液L及び空気等を養殖容器内に送り出すことで、藻類Mを循環させることができる。
【0031】
ここで養殖容器内の水等の液Lを循環させて養殖容器内の養殖対象を流動する場合には、養殖容器2の排出管10から排出される水等の液Lに対し、再度、養分やペーハー値やCO2濃度を調整する再調整槽16を、流動手段4と養殖容器2を繋ぐ流路17との間に設けることもできる。
【0032】
一方、空気等を直接循環させて養殖容器内の養殖対象を流動する場合でも、再調整槽16によりCO2濃度を調整してCO2を含んだ空気により、藻類Mを流動させることが可能である。注入管11から筒状部材6に送られる空気等は筒状部材6の注入孔9からエアレーションとして排出され、排出された空気等は、排出管10の排出孔10aにより、かかる空気等の気泡だまりとともに、流動手段4により吸い出され、養殖容器内を循環する。このように空気等を循環させる場合においても、CO2濃度を調整する再調整槽16を、流動手段4と養殖容器2を繋ぐ流路17との間に設けることもできる。
【0033】
なお、水等の液を循環させる場合でも、空気等を直接循環させる場合でも、再調整槽16とともに、養殖容器内の液の成分(養分やペーハー値やCO2濃度等)を計測する成分計測手段を養殖容器内に配置することができる。
更に、コンプレッサーやポンプなどの流動手段4が、水等の液又は空気等を送り出す方向を経時的に反転させる液流制御手段を設けることができる。
【0034】
図9は、流動手段4として、空気等を直接循環させるとともに、第二の流動手段4として、水等の液も循環させる循環経路18を備えたものである。当該循環経路18には、循環経路18を流れる水等を送り出すポンプやコンプレッサー等の第二の流動手段4である循環手段19と再調整槽16を有する。
【0035】
次に、実施例1の養殖装置1の作用(本発明の藻類Mの養殖方法)を説明する。
図3及び図4に示すように、藻類Mを養殖する水等の液Lと養殖対象たる藻類Mを収容した複数の養殖容器2が、集合液槽3にまとめて浸漬される。そのため集合液槽3の液L1により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制される。そして、集合液槽3に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせ、流動手段4により各養殖容器内の液Lを流動させることで、効率的に藻類Mの養殖を行う。
【0036】
具体的には、藻類Mを養殖する水等の液Lと藻類Mで満たされて筒状の養殖容器2の重力と、集合液槽内の流体による浮力により、養殖容器2は、容器全体が集合液槽内の液L1により覆われ、かかる液中に漂う。よって、光の照射により当該容器内の液温の上昇が抑制され、養殖効率の悪化を防止する。
【0037】
そして、液温が抑制された各養殖容器内の藻類Mに対して、当該養殖容器内のらせん状の空間に沿って配置された照明器具12及び当該養殖容器外からの太陽光により、各養殖容器内の藻類Mに対して光が照射される。
【0038】
更に、流動手段4から養殖容器2の注入管11に対して、水等の液又は空気等が送り出され、注入管11から筒状部材6を経て筒状部材6の注入孔9から養殖容器内に注入される。そして、該養殖容器2は、筒状部材6を中心として形成されるらせん板7により、容器内の空間がらせん状となるため、注入孔9から注入される水等の液又は空気等により、筒状の養殖容器内の液Lに対し、当該容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流が生じ、養殖容器内の養殖対象がらせん状に流動する。つまり、図5の破線矢印で示すように、養殖容器2の注入管11に水等の液又は空気等が送り込まれ、注入孔9から養殖容器内に注入されることで、養殖容器内のらせん空間の一端に配置される養殖容器2の排出管10から水等の液L又は空気等が排出される。つまり、養殖容器5の液流らせんガイド部5である筒状部材6とらせん板7とにより養殖容器内に形成されるらせん状の空間が形成され、かかるらせん状の空間の出口となる排出管10に向かって藻類Mが流れる。
【0039】
より詳細には、流動手段4により、水等の液又は空気等が筒状部材6の注入管11に送り込まれる。そして、注入管11に送り込まれた液又は空気等は、筒状部材6の内部を流動し注入孔9から養殖容器内に注入される。よって、注入孔9から注入された液又は空気等は、筒状の養殖容器2の内壁に向かって流れる。
ここで、養殖容器内のらせん状の空間の一端に排出管10が備わるため、容器内のらせん状の空間が藻類M及び液Lの流路17となる。そのため、養殖容器内の藻類M及び液Lはらせん状に流動する。よって、図5の矢印のように、養殖容器内のらせん状の空間をらせん状に液L及び藻類Mが流動する。
したがって、図6の概念図に示すように、養殖容器内のらせん状の空間を連続させた連結養殖容器2Aの一端2aに収容した藻類は、流動手段4により、らせん状の空間を流動し、連結養殖容器2Aの他端2bに到達する。そして、連結養殖容器2Aの他端2bに到達した養殖対象は、十分に成長した状態となる。
なお、液流制御手段により、液流の向きを経時的に反転させることにより、養殖容器内における藻類Mの引っ掛かりや詰りを解消することができる。また、液流の向きを反転させることで、藻類Mの流動する経路を長く確保でき、養殖容器2の容積が少ない場合でも、効果的に藻類Mを養殖することが可能となる。
【0040】
次に、実施例1の養殖装置1の効果について説明する。
以上から明らかなように、図3及び図4に示すように、実施例1の養殖装置1は、培養液と藻類Mを収容して流動させる養殖容器2と、複数の当該養殖容器2の全体を自身の液中に浸漬し各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを流動させるポンプ等を有することにより、空調等により養殖容器内の液温を抑制する場合に比べて、低コストで養殖容器内の液温を一括して抑制できる。そして、各容器内を流動する藻類Mに光を照射することで、藻類全体に満遍なく光を照射することが可能となり、藻類Mの光合成を促進させることができる。そのため、大規模な養殖装置1とした場合でも、低コストで藻類Mの養殖環境を整えることができ、藻類Mの養殖効率を向上させることができる。
【0041】
かかる筒状の養殖容器2は、滑らかな横断面形状を有する筒状の養殖容器2であるため、養殖容器内に藻類Mが引っ掛かるのを防止でき、効率よく藻類Mを流動させることができる。そして、当該筒状の養殖容器内の軸方向の内壁に、液流らせんガイド部5を備えるため、養殖容器2の内部構造により、らせん状の液流が生じ、簡易かつ低コストにらせん状の液流を発生させ、養殖容器内の藻類Mを攪拌できる。当該液流らせんガイド部5は、具体的には、養殖容器内部に位置して該養殖容器2の一端から他端に沿って形成される筒状部材6と、該筒状部材6を中心として筒状部材6の外面に沿ってらせん状の内縁を形成して養殖容器2の内面に沿ってらせん状の外縁を形成するらせんの板部材とからなり、かかる筒状部材6とらせん板7と養殖容器2の内壁により、図5に示すように、養殖容器内にらせん状の空間が形成される。そのため、養殖容器内の空間を効率よく藻類Mが流動する流路17とすることができ、藻類Mが流動する流動経路を長く確保し、かつ養殖容器全体を利用して藻類Mを効果的に流動させて、効率よく藻類Mを養殖することができる。
【0042】
養殖容器2に収容する藻類Mを海藻の胞子が複数付着した胞子付着体又は発芽した複数の胞子が一体となる発芽体などにすることで、藻類Mはよく流動し、光が効率よく照射されるので、養殖効率が向上する。
そして、当該藻類Mを成長する下地となる培養液たる水等の液Lに、CO2を溶解させ、藻類Mの養分(深層水)を混入して、藻類Mの育成環境に適するペーハー値に調整した海水を利用することで、藻類Mの効率よく成長させることができる。
【0043】
そして、図7に示すように、養殖容器2の複数をまとめて浸漬する集合液槽3の内面に反射板15を設けることで、太陽光及び養殖容器内の人工光が反射板15により反射されるため、養殖容器内の藻類Mに光を集めることができる。
また、集合液槽内の液に深層水を用いることで、養殖容器内の液温を効率よく抑制することができる。この場合、集合液槽3の導入口13から新たな深層水を導入して、集合液槽3の排出口14から集合液槽内の深層水を排出することで、養殖容器内の液温の上昇を確実に防止することができる。
一方、かかる集合液槽内に浸漬する養殖容器全体がポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンやビニール素材等である場合、つまり、水等の液Lと藻類Mが収容された養殖容器2の重力と集合液槽3の液による浮力との関係により、養殖容器2が液中に漂う素材を用いることで、集合液槽内に養殖容器2を強固に固定する必要がなくなり、養殖容器2の設置コストを下げることができる。当該養殖容器2は、集合液槽3に浸漬させるのみであるため、養殖容器2には、集合液槽内の液圧が加わるだけであるため、ポリエチレンやビニール素材等の安価な素材を用いた場合でも、十分に耐久性を有する。
【0044】
そして、集合液槽内に浸漬させる各養殖容器内の内部空間には、照明器具12が配置される。そのため、養殖容器内の藻類Mに対して、養殖容器外部からの太陽光にとともに、養殖容器内部の人工光により効率よく照射でき、藻類Mの光合成を促進させることが可能となる。かかる照明器具12は、具体的には、養殖容器内のらせん状の空間に沿って、筒状部材6を中心にらせん状に配置される。よって、養殖容器内を流動する藻類Mの流動流路に沿って配置されるため、効率よく藻類Mに光を照射することができる。
なお、養殖容器2のみならず、筒状部材6及びらせん板7を透光性の素材で形成することで、筒状部材6及びらせん板7に光が遮られずに、光を藻類Mに照射できる。そのため、筒状部材6及びらせん板7も透光性を有する素材に形成した場合には、図8に示すように、照明器具12を筒状部材6の筒内に沿って配置させる場合でも、効率よく藻類Mに人工光を照射できる。
【0045】
人工光が照射される藻類Mを流動させる流動手段4は、水等の液又は空気等を養殖容器内に送り出す。そのため、流動手段4により空気等を養殖容器内に送り出す場合には、微細藻類などの表面積が(海藻に比べ)小さい藻類Mを効果的に流動させることができる。一方、流動手段4により水等の液を養殖容器内に送り出す場合には、海藻などの表面積が(微細藻類に比べ)大きい藻類Mを効果的に流動させることができる。
【0046】
また、図4に示すように、養殖容器2の排出管10から排出される水等の液又は空気等を、養殖容器内に循環させる場合には、藻類Mが光合成をすることで、養殖容器内の液の養分やCO2が消費される。そのため、養分やペーハー値やCO2濃度を調整する再調整槽16を通して養分やCO2濃度を調整した液を、流動手段4で、養殖容器内に送り出すことにより藻類Mを効率よく養殖できる。そして、養殖容器内に容器中の液の成分を分析する成分計測手段を備えて、成分計測手段による成分結果に応じて、流動手段4が送り出す水等の液の成分を調整することで、養殖容器内の液を養殖に好適な状態に維持できる。
【0047】
更に、流動手段4を有する流路17とは別の流路に再調整槽16を設ける場合、つまり、図9に示すように、再調整槽16を養殖容器内に水等の液Lを循環させる循環流路18の経路中に設け、当該循環流路18を流れる水等を送り出すポンプやコンプレッサー等の循環手段19を有する構成とした場合には、水等の液と空気等により、藻類Mを流動させることができ、効率よく藻類Mを流動させることができる。
【0048】
なお、水等の液又は空気等を送り出す方向を経時的に反転させる液流制御手段により、養殖容器内面に引っ掛かった藻類Mを取り除くことが可能となり、養殖容器内に藻類Mが詰まることを防止することが可能となる。また、液流制御手段により、養殖容器内の藻類Mに流路17を往復させることで、藻類Mの流動流路17を長く確保することができ、狭いスペースでも効率よく藻類Mを養殖することができる。
【0049】
次に、実施例1の養殖装置1の変形例を説明する。実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用して説明を省略する。
図10は、実施例1の変形例1−1を示したものであり、図10を用いて変形例1−1を説明する。図4に示す実施例1では、養殖容器内の液流らせんガイド部5を構成する筒状部材6は、筒状部材6の両端に排出管10及び注入管11が形成されていたが、変形例1−1においては、筒状部材6には排出管10及び注入管11は形成されない。そのため、筒状の養殖容器2の一端に排出管100、他端に注入管110が設けられる。
【0050】
変形例1−1の作用及び効果について説明する。
藻類Mを養殖する液Lと藻類Mを収容する養殖容器2の一端と他端には、排出管100と注入管110とが備わるため、図10に示すように、養殖容器2の一端に位置する注入管110に送られた水等の液又は空気等は養殖容器内のらせん状の空間を流路17として、養殖容器2の他端に位置する排出管100に向けて流動する。そのため、簡易な構造で養殖容器内のらせん状の空間に藻類Mを流動させることができる。
【0051】
図11は、実施例1の変形例1−2を示したものであり、図11を用いて変形例1−2を説明する。図4に示す実施例1では、養殖容器内の液流らせんガイド部5を構成する筒状部材6は、排出管10及び注入管11により養殖容器内に固定されていたが、変形例1−2においては、筒状部材106は養殖容器内に固定されず、筒状の養殖容器2の軸を中心として回動可能に設置される。そして、筒状部材106の少なくとも一端には、当該筒状部材106を回転させる回転駆動機構107を備える。
【0052】
変形例1−2の作用及び効果について説明する。
回転駆動機構107により筒状部材106が養殖容器内を回転するため、筒状部材106とともに回転するらせん板7により、養殖容器内の水等の液Lは、藻類Mとともに、らせん状に流動する。よって、筒状部材106が回転することで、養殖容器内の液Lに液流を作り、かかる液流により藻類Mを流動させることができる。
なお、変形例1−1と同様に、養殖容器内の一端に排出管100、他端に注入管110を設けて、かかる排出管100及び注入管110により養殖容器内の液Lを循環させるとともに、回転駆動機構107により、筒状部材106を回転させることで、効果的に養殖容器内の液Lを流動させることが可能となる。
【0053】
図12は、実施例1の変形例1−3を示したものであり、図12を用いて変形例1−3を説明する。図4に示す実施例1では、養殖容器内に液流らせんガイド部5を設け、流動手段4により、かかる液流らせんガイド部5に液流を通過させることで、らせん液流を生じさせるものである。しかし、変形例1−3においては、養殖容器内に液流らせんガイド部5は配置されることはなく、養殖容器内の両端に、スクリューやエアレーション等のらせん液流発生機構108が配置されることで、筒状の養殖容器内の液Lに、該養殖容器2の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせる。
そして、らせん状の液流により流動する藻類Mに対して光を照射する照明器具112は、筒状の養殖容器2の軸方向に沿って配置される。
【0054】
変形例1−3の作用及び効果について説明する。
らせん液流発生機構108であるスクリュー等が回転等することで、筒状の養殖容器2の一端から、らせん状の液流が生じる。そのため、養殖容器内に液流らせんガイド部5などの複雑な構造を設けることなく、養殖容器内の藻類Mをらせん状に流動させることができる。そして、らせん状の液流の中央に照明器具112を配置することで、効率よく藻類Mに光を照射することができる。
なお、変形例1−3の場合においても、変形例1−1のように養殖容器2内の一端に排出管100、他端に注入管110が設けて、かかる排出管100及び注入管110により養殖容器内の液Lを循環させることで、効率よく養殖容器内にらせん液流を生じさせることが可能となる。
【0055】
次に、本発明の養殖装置1の実施例2について説明する。
実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用して説明を省略する。
図13は、実施例2を示したものであり、図13を用いて実施例2を説明する。図4に示す実施例1では、複数の各養殖容器2は、両端が閉じた(養殖容器同士が端で連結された部分は除く)容器であったが、実施例2においては、各養殖容器200は、両端が開いた筒状の養殖容器200となる(連結養殖容器2Aに両端(2a及び2b)は除く)。具体的には、当該養殖容器200の両端は流体の一部が流動可能なメッシュ部材201で、覆われている。そのため、養殖容器内に存在する水等の液Lは、複数の当該養殖容器200を収容する集合液槽3の液L1と混ざり合っている。つまり、養殖容器内に存在する水等の液Lは、集合液槽3の液L1と同様の液となる。
【0056】
また、養殖容器200の筒状部材6は、図4に示す実施例1では、注入管11及び排出管10を有していたが、図13に示す実施例2では、養殖容器200を集合液槽内に固定する固定管202となる。更に、筒状部材6の側面には注入孔9は形成されない。
【0057】
そして、図4に示す実施例1では、排出管10及び注入管11と配管され繋がれたコンプレッサーやポンプ等の流動手段4は、実施例2では、両端が開いた筒状の養殖容器2の延長上に配置されるスクリューやエアレーション等の液流発生手段203となり、図13では、流動手段4としてスクリューか図示される。
【0058】
次に、実施例2の作用(藻類Mの養殖方法)について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと、養殖対象である藻類Mと、を収容した複数の養殖容器200が、集合液槽3にまとめて浸漬される。ここで、養殖容器200の筒状の両端が開いているため、養殖容器内の液Lと集合液槽3との液L1が混ざり合う。よって、集合液槽3の液L1により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制される。そして、集合液槽3に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせ、流動手段4により各養殖容器内の液Lを流動させることで、効率的に藻類Mの養殖を行う。
【0059】
具体的には、両端が開いた筒状の養殖容器内に藻類Mとともに収容された液Lは、集合液槽内の液L1が養殖容器200の両端のメッシュ部材201を通して養殖容器内の液Lと混ざり合うことにより、養殖容器内の液Lは集合液槽内の液L1と混合する。よって、光の照射による当該容器内の液温の上昇は、集合液槽内の液L1により抑制され、養殖効率の悪化を防止する。
【0060】
そして、両端が開いた筒状の養殖容器200の延長上に位置する液流発生手段203が、水等の液又は空気等を養殖容器200のメッシュ部材201に向けて送り出すことにより、当該水等の液又は空気等は、筒状の養殖容器200の一端から他端に向かって流れる。よって、養殖容器内のらせん状の空間をらせん状に液L及び藻類Mが流動する。
なお、筒状の養殖容器200の両端がメッシュ部材201で覆われるので、液流により藻類Mが流動する場合でも、藻類Mは養殖容器内に留まる。
【0061】
次に、実施例2の効果について説明する。
以上から明らかなように、実施例2の養殖装置1は、培養液と藻類Mを収容して流動させる両端が開いた筒状の養殖容器200と、複数の当該養殖容器200を自身の液中に浸漬し、培養液と液L1を混合させて各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを流動させるスクリュー等の液流発生手段203を有するにより、養殖容器内の水等の液Lと集合液槽3内の液L1とを一括して扱うことができ、簡易かつ低コストで養殖容器内の液温を抑制できる。
【0062】
かかる筒状の養殖容器200は、両端が流体の一部が流動可能なメッシュ部材201にて覆われるので、藻類Mを養殖容器内に保持することができる。そして、メッシュ部材201に向けて液流の流動が生じた場合は、液流が養殖容器内に流れ、養殖容器内の藻類Mを流動させることができる。
【0063】
養殖容器内に存在する藻類Mを流動させる流動手段4は、両端が開いた筒状の養殖容器200の延長上に位置するスクリューやエアレーションであるので、養殖容器200のメッシュ部材全体に向けて液流を発生させることが可能であるため、養殖容器内の藻類Mを効率よく流動させることができる。
また、筒状の養殖容器200の両側に配置される液流発生手段203の動作を制御する液流制御手段を備えることで、水等の液又は空気等を送り出す方向を経時的に反転させることができ、らせん状の養殖容器内を藻類Mを効率よく流動させることができる。
【0064】
次に、実施例2の変形例について説明する。実施例2と同様の構成は、実施例2と同様の符号を付して、実施例2の説明を流用することで説明を省略する。
図14は、実施例2の変形例2−1を示したものであり、図14を用いて変形例2−1を説明する。図13に示す実施例2では、注入管11及び排出管10を設けていないが、変形例2−1では、注入管211が筒状の養殖容器200における長手方向の中央に位置し、当該養殖容器200を収容する集合液槽内に排出管210が位置する。そして、実施例2の液流発生手段203である流動手段4に加えて、当該注入管211及び排水管210と配管され繋がれたコンプレッサーやポンプ等の流動手段4も備える。
【0065】
変形例2−1の作用及び効果について説明する。
変形例2−1では、注入管211が筒状の養殖容器200における長手方向の中央に位置し、当該養殖容器2を収容する集合液槽内に排出管210が位置するため、注入管211により、水等の液又は空気等が注入されると、養殖容器内の中央から、養殖容器200の両端に向けてらせん状の液流が生じる。
また、両端が開いた筒状の養殖容器200の延長上に位置するスクリューやエアレーションにより、養殖容器200のメッシュ部材全体に向けて液流を発生させることが可能であるため、ポンプ等の流動手段4とスクリュー等の流動手段4とを相互に用いることで、養殖容器内の藻類Mを拡散させて流動することが可能となる。
【0066】
次に、本発明の養殖装置1の実施例3について説明する。
実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用することで説明を省略する。
図15は、実施例3を示したものであり、図15を用いて実施例3を説明する。図4に示す実施例1では、筒状の養殖容器内の液Lに、該養殖容器2の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせる養殖容器2であるが、実施例3は、筒状の養殖容器内の液Lに、該養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせる養殖容器2である。具体的には、図15に示すように、筒状の養殖容器2の軸方向の少なくとも一端側の内壁には、該軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせるエアレーション等の環状液流発生手段301を備える。
【0067】
そして、環状液流発生手段301が備わる養殖容器2には、養殖容器内の水等の液Lを循環させる循環流路18が繋がれ、循環経路中には再調整槽16と、当該循環経路18を流れる水等の液を送り出すポンプやコンプレッサー等の循環手段19を有する。
【0068】
次に、実施例3の作用(藻類Mの養殖方法)について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと養殖対象である藻類Mとを収容する養殖容器2は、図15に示すように該養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流が生じる。よって、養殖容器内の藻類Mがループ状に流動する。
【0069】
一方、かかる環状液流が形成される養殖容器2は循環手段19を有するため、養殖容器内の水等の液Lは、循環流路18を通して再調整槽16により液の成分が再調整され、再び養殖容器内に戻される。したがって、養殖容器内の液Lの成分を藻類Mの養殖に適した状態を維持することができる。
【0070】
次に、実施例3の効果について説明する。
以上から明らかなように、実施例3の養殖装置1は、筒状の養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせて、容器内の養殖対象をループ状に流動させるため、藻類Mに光が不均一に照射されるの防止し、藻類Mをループ状に流動させることで、藻類Mを一箇所に集合することを防止できる。
【0071】
次に、実施例3の変形例について説明する。実施例3と同様の構成は、実施例3と同様の符号を付して、実施例3の説明を流用することで説明を省略する。
図16は、実施例3の変形例3−1を示したものであり、図16を用いて変形例3−1を説明する。図16においては、養殖容器内に収容される藻類Mに人工光を照射する照明器具312が該養殖容器2の軸方向に沿って配置される。そのため、当該養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流により、該容器内をループ状に流動する藻類Mに対して効果的に人工光を照射することができる。
【0072】
次に、本発明の養殖装置1の実施例4について説明する。
実施例3と同様の構成は、実施例3と同様の符号を付して、実施例3の説明を流用することで説明を省略する。
図17は、実施例4を示したものであり、図17を用いて実施例4を説明する。図15に示す実施例3では、複数の各養殖容器2は、複数の各養殖容器2は、両端が閉じた(養殖容器同士が端で連結された部分は除く)容器であったが、実施例4においては、各養殖容器400は、両端が開いた筒状の養殖容器400となる。具体的には、当該養殖容器400の両端は流体の一部が流動可能なメッシュ部材401で、覆われている。そのため、養殖容器内に存在する水等の液Lは、複数の当該養殖容器400を収容する集合液槽3の液L1と混ざり合っている。つまり、養殖容器内に存在する水等の液Lは、集合液槽3の液L1と同様の液となる。
【0073】
次に、実施例4の作用(藻類Mの養殖方法)について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと、養殖対象である藻類Mと、を収容した複数の養殖容器400が、集合液槽3にまとめて浸漬される。ここで、養殖容器400の筒状の両端が開いているため、養殖容器内の液Lと集合液槽3との液L1が混ざり合う。よって、集合液槽3の液L1により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制される。そして、集合液槽3に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせ、各養殖容器内の液Lを該養殖容器400の軸方向を中心線とする周方向の環状液流として、流動させて効率的に藻類Mの養殖を行う。
【0074】
次に、実施例4の効果について説明する。
以上から明らかなように、実施例4の養殖装置1は、培養液と藻類Mを収容して流動させる両端が開いた筒状の養殖容器400と、複数の当該養殖容器400を自身の液中に浸漬し、培養液と液L1を混合させて各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを、該養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流により流動させる環状液流発生手段301を有することにより、養殖容器内の水等の液Lと集合液槽内の液L1とを一括して扱うことができ、簡易かつ低コストで養殖容器内の液温を抑制し、藻類Mに光が不均一に照射されるの防止し、藻類Mをループ状に流動させることで藻類Mを一箇所に集合することを防止できる。
【0075】
次に、本発明の養殖装置1の実施例5について説明する。
実施例2と同様の構成は、実施例2と同様の符号を付して、実施例2の説明を流用することで説明を省略する。
図18は、実施例5を示したものであり、図18を用いて実施例5を説明する。図13に示す実施例2では、液流らせんガイド部5は、筒状の養殖容器の内壁に備わるが、実施例5では、筒状の養殖容器2の軸方向の少なくとも一端側の内壁に、液流らせんガイド部500が備わる。具体的には、図18(a)に示すように、液流らせんガイド部500は、液流が当該液流らせんガイド部500を通過することで液流がらせん状に変換される液流変換部である。そのため、実施例5では筒状部材6及びらせん板7を有しない。より詳細には、当該液流変換部は、図18(a)に模式的に示すように、両端が開いた筒状の養殖容器2の一端から水等の液流が流れ込み、当該液流変換部を通過することで、液流がらせん状に変換される。そして、かかる液流変換部は、図18(a)に模式的に示すように、筒状の養殖容器2の一端の内壁に弧状に形成することも可能であり、図18(b)に示すように、筒状の養殖容器2の一端の内周面に沿ってらせん状の溝を設けることも可能である。更に、図18(c)に示すように、筒状の養殖容器2の一端に液流をらせん状に変換するらせん変換孔を備えた蓋状の液流変換板を備える構成でもよい。
【0076】
次に、実施例5の作用及び効果について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと、養殖対象である藻類Mと、を収容した複数の養殖容器501が、集合液槽3にまとめて浸漬される。ここで、養殖容器501の筒状の両端が開き、筒状の養殖容器501の軸方向の少なくとも一端側の内壁に液流変換部を備えるので、液流発生手段203により、集合液槽内の液L1が液流変換部を通過することで、筒状の養殖容器内にらせん状の液流が生じる。つまり、液流変換部を通過するだけで、らせん状の液流となるので、液流の勢いを維持したまま、液流がらせん状に変換されるので、養殖容器内の藻類Mを一層流動させることができる。また、藻類Mに対して均一に光を照射することが可能となる。
【0077】
最後に、実施例1ないし5に共通する変形例を説明する。上記実施例と同様の構成は、同様の符号を付して、上記実施例の説明を流用することで説明を省略する。各実施例及び上記変形例では、養殖容器2は滑らかな横断面形状を有する断面円状(図19(a))の形状として図示しているが、図19に示すように、断面楕円状(図19(b))、断面おにぎり状(図19(c))又は、四角形等の多角形の角を弧状にした形状(19(d))の構成でもよい。
また、各実施例及び上記変形例では、各養殖容器毎に流動手段4や排出管10及び注入管11を備えているが、図20に示すように、複数の養殖容器2において共通し、流動手段4や排出管10及び注入管11等を備える構成であってもよい。
更に、実施例1ないし5においては、養殖容器2を連結養殖容器2Aとして、各養殖容器2が連結された構成の実施例を説明したが、各養殖容器2を連結せずに、1本の筒状の養殖容器2のみで、藻類Mを流動させて、藻類Mを養殖する構成を採用してもよい。つまり、図4に示す筒状の養殖容器2において、筒状の養殖容器2を他の養殖容器2と連結せずに、1つの容器のみで、藻類Mを養殖することもできる。かかる場合、藻類Mの成長の程度により、養殖容器2を変えることで、効率よく藻類を養殖することができる。
なお、以上説明した、各実施例及び変形例は、各記載に限定されるものでなく、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 養殖装置 2 養殖容器
3 集合液槽 4 流動手段
5 液流らせんガイド部 6 筒状部材
7 らせん板 9 注入孔
10 排出管 11 注入管
12 照明器具 16 再調整槽
17 流路 18 循環流路
19 循環手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、藻類の養殖方法及び藻類の養殖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体物を原料としてエネルギーを得る、いわゆるバイオ燃料が注目され、石油などの枯渇性の化石燃料に代わる非枯渇性燃料として期待されている。かかるバイオ燃料の原料としては、トウモロコシなどの高等植物が知られるが、高等植物では単位面積当たりの収穫率が少なく、定量を確保しようとすれば、広大な農作面積となる。そこで、単位面積当たりの収穫率が高い海藻などの藻類を原料として、バイオ燃料の実用化が試みられている。また、収穫率の高い海藻を食用として収穫することで、食料自給率を改善する試みもなされている。
【0003】
そのため、藻類を安定して養殖する技術が求められ、かかる藻類の養殖装置として、海藻が収容された水槽に水流を生じさせて、水流により海藻が集まる箇所に光を照射する養殖装置が提案される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008‐178365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、水槽中に透明の筒体を配置することにより、筒体内に上昇水流を生じさせて、筒体内に海藻を集め、海藻が密集した筒体に向けて光(人工光及太陽光をいう。以下同じ。)を照射し、効率的に光合成を行わせることができる。しかし、水槽内の温度が過度に上昇すると、藻類に効率的に光合成を行わせることができない。
【0006】
本発明の課題は、養殖容器の液温を抑制して、効率よく養殖を行う藻類の養殖方法及養殖装置を提供することにある。
【課題を解決する手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の藻類の養殖方法は、
藻類を養殖するための水等の液が存在するとともに、光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有する養殖容器内に、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容し、更に複数の養殖容器を、光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有する集合液槽にまとめて浸漬し、この集合液槽の液により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制しつつ、その集合液槽に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせるとともに、各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させることを特徴とする。
【0008】
複数の養殖容器を一括して集合液槽に収容することで各養殖容器内の液温を抑制し、各養殖容器内の養殖対象に光を照射して各養殖容器内の液を流動させることで、低コストで各養殖容器内の液温の上昇を抑制して、養殖対象である藻類の養殖効率を向上させることができ、バイオ燃料の原料又は食用の海藻として、藻類を効率よく収穫することができる。
【0009】
そして、養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせ、それによって該容器内の養殖対象をらせん状に流動させることができる。
【0010】
筒状の養殖容器の液に、養殖容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせて、養殖容器内の養殖対象をらせん状に流動させることで、養殖対象を満遍なく攪拌し、養殖対象に光が不均一に照射されることを防止できる。
【0011】
この場合、筒状の養殖容器の内壁には、該養殖容器の軸方向の液流に基づいてらせん状の液流を生じさせる液流らせんガイド部を備え、養殖容器の軸方向に液流を生じさせ、その液流らせんガイド部を通過させることにより養殖容器内にらせん状の液流を生じさせることができる。
【0012】
液流らせんガイド部により、らせん状の液流が生じるので、らせん液流専用の動力機構を設ける必要が無く、簡易で低コストにらせん状の液流を生じさせることが可能となる。
【0013】
また、本発明の藻類の養殖方法は、養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせ、それによって該容器内の養殖対象をループ状に流動させることができる。
【0014】
筒状の養殖容器の液に、養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせて、養殖容器内の養殖対象をループ状に流動させることで、養殖対象が一箇所に集合するのを防止し、養殖対象に光が不均一に照射されることを防ぎ、効率よく養殖対象に対して光を照射できる。
【0015】
一方、本発明の藻類の養殖装置は、
光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有し、内部に藻類を養殖するための水等の液、及び養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容する複数の養殖容器と、
光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有し、複数の養殖容器をまとめて浸漬して各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制する集合液槽と、
各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させる流動手段と、
を含むことを特徴とする。
【0016】
複数の養殖容器を一括して集合液槽に収容することで各養殖容器内の液温を抑制し、かつ各養殖容器内の養殖対象に光を照射して各養殖容器内の液を流動させることで、低コストで各養殖容器内の液温の上昇を抑制して、養殖対象である藻類の養殖効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の藻類の養殖方法を利用してバイオ燃料及び食用の海藻を得る概念図。
【図2】図1の模式図。
【図3】本発明の藻類の養殖装置の概念図。
【図4】図3の部分模式図。
【図5】図4の養殖容器において培養液が流動する流れを示す斜視図。
【図6】藻類が成長する過程を示す図3の概念図。
【図7】集合液槽を示す側面図。
【図8】筒状の養殖容器の軸線に沿って照明器具を配置した養殖容器を示す斜視図。
【図9】循環手段を備えた養殖装置を示す斜視図。
【図10】実施例1の変形例1−1を示す斜視図。
【図11】実施例1の変形例1−2を示す斜視図。
【図12】実施例1の変形例1−3を示す斜視図。
【図13】実施例2を示す斜視図。
【図14】実施例2の変形例2−1を示す斜視図。
【図15】実施例3を示す斜視図。
【図16】実施例3の変形例3−1を示す斜視図。
【図17】実施例4を示す斜視図。
【図18】実施例5を示す模式図。
【図19】筒状の養殖容器の変形例を示す斜視図。
【図20】各養殖容器の関係を示す参考図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の藻類Mの養殖装置1を利用してバイオ燃料又は食用の海藻を製造する工程を示す概念図であり、図2は、図1の製造工程を示す模式図である。図1及び図2を参照して、本発明の藻類Mの養殖装置1を利用したバイオ燃料又は食用の海藻の製造工程を説明する。かかるバイオ燃料又は食用の海藻の製造工程は、図1に示すように次の3工程を有する。最初に、藻類Mを養殖する培養液(水等の液L)を調整する調整工程、次に、当該調整工程により調整した培養液(水等の液L)を用いて藻類Mを養殖する養殖工程、最後に、当該養殖工程により養殖した藻類Mをバイオ燃料又は食用の海藻に加工する加工工程とを有する。
【0019】
具体的には、図2の模式図より説明する。バイオ燃料又は食用の海藻の製造工程の出発工程となる調整工程は、藻類Mを養殖するための培養液(水等の液L)を藻類Mの成長に適する状態に調整する。具体的には、CO2を溶解させ、藻類Mの養分を混入して、藻類Mの育成環境に適するペーハー値に調整した水等の液Lを精製する。例えば、培養液(水等の液L)の原料として海水を用いる場合は、調整工程は、CO2ろ過工程と海水ろ過工程とを有する溶解工程と、養分等調整工程とを備えることになる。
この場合、CO2ろ過工程は、ボイラー等から発生したCO2の不純物を除去するフィルターによりろ過する工程であり、海水ろ過工程は、海から汲み上げた海水の不純物を除去するフィルターによりろ過する工程であり、溶解工程は、該海水ろ過工程により精製した海水に、CO2ろ過工程により精製したCO2を溶解させる工程である。
そして、養分等調整工程は、海水ろ過工程によりろ過された海水又は溶解工程により精製されたCO2溶解海水に藻類Mにとって栄養となる養分を混入したり、藻類Mの成長に適するように海水のペーハー値を調整したりする工程であり、該養分等調整工程により、調整工程が終了する。なお、かかる養分は、ミネラル等が豊富な深層水により栄養を調整したものでもよい。
【0020】
調整工程の次に、該調整工程により調整した培養液(水等の液L。上記では、は海水。)を用いて藻類Mを養殖する養殖工程がなされる。具体的には、養殖工程は、養分等調整工程により調整された培養液(水等の液L)に養殖する元となる、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類Mである養殖対象を収容して、藻類Mを成長させる工程である。この養殖工程に送られる藻類Mは、海藻の胞子が複数付着した胞子付着体又は発芽した複数の胞子が一体となる発芽体などの海藻や微細藻類等であり、この微細藻類等は調整槽で調整された培養液に含ませながら、養殖工程に送られ、養殖工程で十分な大きさに成長する。
【0021】
最後に、当該養殖工程を経て成長した藻類Mは、培養液と分離されてバイオ燃料又は食用の海藻に加工する加工工程がなされる。具体的には、養殖工程で養殖された藻類Mの不純物を除去する不純物除去工程と、該不純物除去工程により不純物を除去した藻類Mを脱水する脱水工程と、該脱水工程により脱水した藻類Mをバイオ燃料の原料とする原料化工程とを有し、該原料化工程を経てバイオ燃料が製造される。なお、藻類Mを食用の海藻として収穫する場合は、当該原料化工程が、藻類Mを食品として加工する食品加工工程となる。
【0022】
図3は、バイオ燃料又は食用の海藻の製造工程である養殖工程において、使用される本発明の藻類Mの養殖装置1を示す概念図である。なお、養殖容器内の斜線部には照明器具12が配置され、養殖容器内の詳細構造は、省略してある。
連結された複数の養殖容器2である連結養殖容器2Aの一端2aに、調整槽で調整された培養液とともに、藻類Mを送る搬送パイプP1が備わり、連結養殖容器2Aの他端2bに、養殖工程により成長した藻類Mを加工工程に搬出する搬出パイプP2とが備わる。かかる連結養殖容器2Aの両端(2a及び2b)は、通常は閉じられており、連結養殖容器内は、培養液と藻類Mにより満たされている。
具体的には、最初、連結養殖容器2Aの他端2bがバルブ等により、搬出パイプP2との連通がとじられる。一方、連結養殖容器2Aの一端2aでは、搬送パイプP1を通じて連結養殖容器内に培養液とともに藻類Mが送られる。具体的には、最初は、連結養殖容器内には培養液のみが送られ、ある程度、培養液により、連結養殖容器内が満たされた後に、培養液とともに藻類Mを送ることにより、藻類Mを連結養殖容器2Aの一端2aの周辺に収容することが可能となる。連結養殖容器内が培養液と藻類Mにより満たされると、搬送パイプP1と連結養殖容器2Aとの連通がバルブ等により閉じられ、連結養殖容器2Aは両端が閉じた状態となり、連結養殖容器内に培養液と藻類Mが収容される。
そして、連結養殖容器内に満たされた培養液を流動手段4により流動させることにより、培養液が連結養殖容器2Aを構成する一本の筒状の養殖容器内を一端から他端に流動し、図3に示すようにジグザグ状に形成される連結養殖容器内を藻類Mは、一端2aから他端2bに流動する。一方、連結養殖容器内には照明器具12が配置されるため、連結養殖容器内を流動する藻類Mは、太陽光とともに照明器具12により光が照射される。そのため、藻類Mが連結養殖容器2Aの一端2aから他端2bに流動することで、藻類Mは十分に成長する。そして、連結養殖容器2Aの他端2bに到達した藻類Mは、当該他端2bに備わる搬出パイプP2と連結養殖容器2との連通をバブル等により開放して、培養液とともに成長した藻類Mが搬出パイプP2に送られ、培養液と藻類Mが分離されて加工工程に送られる。
なお、藻類Mの成長が不十分の場合には、流動手段4により、培養液及び藻類Mを逆流させて、十分に成長した後に連結養殖容器2Aの他端2bに流動させて加工工程に送られる。
図4は、図3に示す連結養殖容器2Aにおいて、直線状の1本の養殖容器2を抜き出したものであり、図3及び図4を参考にして、本発明の養殖装置1の実施例1の構成について説明する。図3及び図4に示すように、養殖装置1は、複数の養殖容器2と、当該複数の養殖容器2をまとめて浸漬する集合液槽3と、流動手段4と、を有する。
【0023】
複数の養殖容器2は、光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有する容器である。そのため、養殖容器2は、透明容器に限らず、半透明又は、ガラス調の容器でもよい。そして、当該養殖容器内には、藻類Mを養殖するための水等の液Lである培養液が存在(容器内に水等の液Lが収容又は流通)し、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類Mである養殖対象が収容される。
【0024】
養殖容器2は、具体的には、滑らかな横断面形状(断面円状、断面楕円状又は断面おにぎり状等の形状)を有し、筒状の養殖容器2の内壁は、該養殖容器2の軸方向の液流に基づいてらせん状の液流を生じさせる液流らせんガイド部5を備える。
【0025】
当該液流らせんガイド部5は、図4に示すように、筒状部材6と、該筒状部材6の周りにらせん状に形成されるらせん板7とにより形成される。
図4に示すように、養殖容器内に位置する筒状部材6は、養殖容器2の一端から他端に沿って形成され、両端の周側面には、排出管10と注入管11とを有する。具体的には、排出管10には、排出孔10aが形成され、筒状部材6の両端の間に位置する側面には、注入孔9を有する。
【0026】
また、筒状部材6を中心として形成されるらせん板7は、図4に示すように、筒状部材6を中心として筒状部材6の外面に沿ってらせん状の内縁を形成し、養殖容器2の内面に沿ってらせん状の外縁を形成するらせんの板部材であり、筒状部材6とらせん板7と養殖容器2の内壁により、図5に示す矢印のように、養殖容器内にらせん状の空間が形成される。
なお、かかる養殖容器2(筒状部材6及びらせん板7も含む)は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンやビニール素材等から形成される。
【0027】
更に、当該養殖容器内には、図4に示すように該養殖容器2の内部空間に沿って照明器具12が配置される。具体的には、養殖容器内のらせん状のらせん板7に沿って、筒状部材6を中心に照明器具12がらせん状に配置される。より詳細には、発光素子を内部に有する透明チューブが、養殖容器2の中央のらせん状の空間に沿って配置される。
【0028】
らせん状の内部空間に照明器具12が配置される養殖容器2は、図3及び図6の各養殖容器2の配置の概念図に示すように、複数の養殖容器2を縦に並べて、該養殖容器2の端を連結した連結養殖容器2Aとして、養殖容器内のらせん状の空間が連続して形成してある。
【0029】
一方、当該養殖容器2を複数まとめて浸漬する集合液槽3は、光合成のための光、具体的には、発光素子などの人工光や自然光(太陽光など)の光の照射を受けるとともに、それら複数の養殖容器2を一括して収容する大きさと液量を有する。また、集合液槽3は、図7に示すように、集合液槽3に水等の液L1を導入する導入口13と、集合液槽内の水等の液L1を排出する排出口14と、を備える。また、集合液槽3の内面に、反射板15を設けてもよく、反射板15の代わりに反射塗料等を用いてもよい。なお、図7の養殖容器2の内部構造は斜線により省略してある。
また、かかる集合液槽3の液L1は、例えば、深層水などの各養殖容器内の液温を一定以上上昇しないように抑制できる流動する物体である。
【0030】
そして、当該集合液槽3に浸漬される養殖容器内の液Lを流動させる流動手段4は、具体的には、コンプレッサーやポンプであり、かかる流動手段4は、図4に示すように、養殖容器2の排出管10及び注入管11と配管され繋がり、流動手段4により、水等の液L及び空気等を養殖容器内に送り出すことで、藻類Mを循環させることができる。
【0031】
ここで養殖容器内の水等の液Lを循環させて養殖容器内の養殖対象を流動する場合には、養殖容器2の排出管10から排出される水等の液Lに対し、再度、養分やペーハー値やCO2濃度を調整する再調整槽16を、流動手段4と養殖容器2を繋ぐ流路17との間に設けることもできる。
【0032】
一方、空気等を直接循環させて養殖容器内の養殖対象を流動する場合でも、再調整槽16によりCO2濃度を調整してCO2を含んだ空気により、藻類Mを流動させることが可能である。注入管11から筒状部材6に送られる空気等は筒状部材6の注入孔9からエアレーションとして排出され、排出された空気等は、排出管10の排出孔10aにより、かかる空気等の気泡だまりとともに、流動手段4により吸い出され、養殖容器内を循環する。このように空気等を循環させる場合においても、CO2濃度を調整する再調整槽16を、流動手段4と養殖容器2を繋ぐ流路17との間に設けることもできる。
【0033】
なお、水等の液を循環させる場合でも、空気等を直接循環させる場合でも、再調整槽16とともに、養殖容器内の液の成分(養分やペーハー値やCO2濃度等)を計測する成分計測手段を養殖容器内に配置することができる。
更に、コンプレッサーやポンプなどの流動手段4が、水等の液又は空気等を送り出す方向を経時的に反転させる液流制御手段を設けることができる。
【0034】
図9は、流動手段4として、空気等を直接循環させるとともに、第二の流動手段4として、水等の液も循環させる循環経路18を備えたものである。当該循環経路18には、循環経路18を流れる水等を送り出すポンプやコンプレッサー等の第二の流動手段4である循環手段19と再調整槽16を有する。
【0035】
次に、実施例1の養殖装置1の作用(本発明の藻類Mの養殖方法)を説明する。
図3及び図4に示すように、藻類Mを養殖する水等の液Lと養殖対象たる藻類Mを収容した複数の養殖容器2が、集合液槽3にまとめて浸漬される。そのため集合液槽3の液L1により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制される。そして、集合液槽3に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせ、流動手段4により各養殖容器内の液Lを流動させることで、効率的に藻類Mの養殖を行う。
【0036】
具体的には、藻類Mを養殖する水等の液Lと藻類Mで満たされて筒状の養殖容器2の重力と、集合液槽内の流体による浮力により、養殖容器2は、容器全体が集合液槽内の液L1により覆われ、かかる液中に漂う。よって、光の照射により当該容器内の液温の上昇が抑制され、養殖効率の悪化を防止する。
【0037】
そして、液温が抑制された各養殖容器内の藻類Mに対して、当該養殖容器内のらせん状の空間に沿って配置された照明器具12及び当該養殖容器外からの太陽光により、各養殖容器内の藻類Mに対して光が照射される。
【0038】
更に、流動手段4から養殖容器2の注入管11に対して、水等の液又は空気等が送り出され、注入管11から筒状部材6を経て筒状部材6の注入孔9から養殖容器内に注入される。そして、該養殖容器2は、筒状部材6を中心として形成されるらせん板7により、容器内の空間がらせん状となるため、注入孔9から注入される水等の液又は空気等により、筒状の養殖容器内の液Lに対し、当該容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流が生じ、養殖容器内の養殖対象がらせん状に流動する。つまり、図5の破線矢印で示すように、養殖容器2の注入管11に水等の液又は空気等が送り込まれ、注入孔9から養殖容器内に注入されることで、養殖容器内のらせん空間の一端に配置される養殖容器2の排出管10から水等の液L又は空気等が排出される。つまり、養殖容器5の液流らせんガイド部5である筒状部材6とらせん板7とにより養殖容器内に形成されるらせん状の空間が形成され、かかるらせん状の空間の出口となる排出管10に向かって藻類Mが流れる。
【0039】
より詳細には、流動手段4により、水等の液又は空気等が筒状部材6の注入管11に送り込まれる。そして、注入管11に送り込まれた液又は空気等は、筒状部材6の内部を流動し注入孔9から養殖容器内に注入される。よって、注入孔9から注入された液又は空気等は、筒状の養殖容器2の内壁に向かって流れる。
ここで、養殖容器内のらせん状の空間の一端に排出管10が備わるため、容器内のらせん状の空間が藻類M及び液Lの流路17となる。そのため、養殖容器内の藻類M及び液Lはらせん状に流動する。よって、図5の矢印のように、養殖容器内のらせん状の空間をらせん状に液L及び藻類Mが流動する。
したがって、図6の概念図に示すように、養殖容器内のらせん状の空間を連続させた連結養殖容器2Aの一端2aに収容した藻類は、流動手段4により、らせん状の空間を流動し、連結養殖容器2Aの他端2bに到達する。そして、連結養殖容器2Aの他端2bに到達した養殖対象は、十分に成長した状態となる。
なお、液流制御手段により、液流の向きを経時的に反転させることにより、養殖容器内における藻類Mの引っ掛かりや詰りを解消することができる。また、液流の向きを反転させることで、藻類Mの流動する経路を長く確保でき、養殖容器2の容積が少ない場合でも、効果的に藻類Mを養殖することが可能となる。
【0040】
次に、実施例1の養殖装置1の効果について説明する。
以上から明らかなように、図3及び図4に示すように、実施例1の養殖装置1は、培養液と藻類Mを収容して流動させる養殖容器2と、複数の当該養殖容器2の全体を自身の液中に浸漬し各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを流動させるポンプ等を有することにより、空調等により養殖容器内の液温を抑制する場合に比べて、低コストで養殖容器内の液温を一括して抑制できる。そして、各容器内を流動する藻類Mに光を照射することで、藻類全体に満遍なく光を照射することが可能となり、藻類Mの光合成を促進させることができる。そのため、大規模な養殖装置1とした場合でも、低コストで藻類Mの養殖環境を整えることができ、藻類Mの養殖効率を向上させることができる。
【0041】
かかる筒状の養殖容器2は、滑らかな横断面形状を有する筒状の養殖容器2であるため、養殖容器内に藻類Mが引っ掛かるのを防止でき、効率よく藻類Mを流動させることができる。そして、当該筒状の養殖容器内の軸方向の内壁に、液流らせんガイド部5を備えるため、養殖容器2の内部構造により、らせん状の液流が生じ、簡易かつ低コストにらせん状の液流を発生させ、養殖容器内の藻類Mを攪拌できる。当該液流らせんガイド部5は、具体的には、養殖容器内部に位置して該養殖容器2の一端から他端に沿って形成される筒状部材6と、該筒状部材6を中心として筒状部材6の外面に沿ってらせん状の内縁を形成して養殖容器2の内面に沿ってらせん状の外縁を形成するらせんの板部材とからなり、かかる筒状部材6とらせん板7と養殖容器2の内壁により、図5に示すように、養殖容器内にらせん状の空間が形成される。そのため、養殖容器内の空間を効率よく藻類Mが流動する流路17とすることができ、藻類Mが流動する流動経路を長く確保し、かつ養殖容器全体を利用して藻類Mを効果的に流動させて、効率よく藻類Mを養殖することができる。
【0042】
養殖容器2に収容する藻類Mを海藻の胞子が複数付着した胞子付着体又は発芽した複数の胞子が一体となる発芽体などにすることで、藻類Mはよく流動し、光が効率よく照射されるので、養殖効率が向上する。
そして、当該藻類Mを成長する下地となる培養液たる水等の液Lに、CO2を溶解させ、藻類Mの養分(深層水)を混入して、藻類Mの育成環境に適するペーハー値に調整した海水を利用することで、藻類Mの効率よく成長させることができる。
【0043】
そして、図7に示すように、養殖容器2の複数をまとめて浸漬する集合液槽3の内面に反射板15を設けることで、太陽光及び養殖容器内の人工光が反射板15により反射されるため、養殖容器内の藻類Mに光を集めることができる。
また、集合液槽内の液に深層水を用いることで、養殖容器内の液温を効率よく抑制することができる。この場合、集合液槽3の導入口13から新たな深層水を導入して、集合液槽3の排出口14から集合液槽内の深層水を排出することで、養殖容器内の液温の上昇を確実に防止することができる。
一方、かかる集合液槽内に浸漬する養殖容器全体がポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンやビニール素材等である場合、つまり、水等の液Lと藻類Mが収容された養殖容器2の重力と集合液槽3の液による浮力との関係により、養殖容器2が液中に漂う素材を用いることで、集合液槽内に養殖容器2を強固に固定する必要がなくなり、養殖容器2の設置コストを下げることができる。当該養殖容器2は、集合液槽3に浸漬させるのみであるため、養殖容器2には、集合液槽内の液圧が加わるだけであるため、ポリエチレンやビニール素材等の安価な素材を用いた場合でも、十分に耐久性を有する。
【0044】
そして、集合液槽内に浸漬させる各養殖容器内の内部空間には、照明器具12が配置される。そのため、養殖容器内の藻類Mに対して、養殖容器外部からの太陽光にとともに、養殖容器内部の人工光により効率よく照射でき、藻類Mの光合成を促進させることが可能となる。かかる照明器具12は、具体的には、養殖容器内のらせん状の空間に沿って、筒状部材6を中心にらせん状に配置される。よって、養殖容器内を流動する藻類Mの流動流路に沿って配置されるため、効率よく藻類Mに光を照射することができる。
なお、養殖容器2のみならず、筒状部材6及びらせん板7を透光性の素材で形成することで、筒状部材6及びらせん板7に光が遮られずに、光を藻類Mに照射できる。そのため、筒状部材6及びらせん板7も透光性を有する素材に形成した場合には、図8に示すように、照明器具12を筒状部材6の筒内に沿って配置させる場合でも、効率よく藻類Mに人工光を照射できる。
【0045】
人工光が照射される藻類Mを流動させる流動手段4は、水等の液又は空気等を養殖容器内に送り出す。そのため、流動手段4により空気等を養殖容器内に送り出す場合には、微細藻類などの表面積が(海藻に比べ)小さい藻類Mを効果的に流動させることができる。一方、流動手段4により水等の液を養殖容器内に送り出す場合には、海藻などの表面積が(微細藻類に比べ)大きい藻類Mを効果的に流動させることができる。
【0046】
また、図4に示すように、養殖容器2の排出管10から排出される水等の液又は空気等を、養殖容器内に循環させる場合には、藻類Mが光合成をすることで、養殖容器内の液の養分やCO2が消費される。そのため、養分やペーハー値やCO2濃度を調整する再調整槽16を通して養分やCO2濃度を調整した液を、流動手段4で、養殖容器内に送り出すことにより藻類Mを効率よく養殖できる。そして、養殖容器内に容器中の液の成分を分析する成分計測手段を備えて、成分計測手段による成分結果に応じて、流動手段4が送り出す水等の液の成分を調整することで、養殖容器内の液を養殖に好適な状態に維持できる。
【0047】
更に、流動手段4を有する流路17とは別の流路に再調整槽16を設ける場合、つまり、図9に示すように、再調整槽16を養殖容器内に水等の液Lを循環させる循環流路18の経路中に設け、当該循環流路18を流れる水等を送り出すポンプやコンプレッサー等の循環手段19を有する構成とした場合には、水等の液と空気等により、藻類Mを流動させることができ、効率よく藻類Mを流動させることができる。
【0048】
なお、水等の液又は空気等を送り出す方向を経時的に反転させる液流制御手段により、養殖容器内面に引っ掛かった藻類Mを取り除くことが可能となり、養殖容器内に藻類Mが詰まることを防止することが可能となる。また、液流制御手段により、養殖容器内の藻類Mに流路17を往復させることで、藻類Mの流動流路17を長く確保することができ、狭いスペースでも効率よく藻類Mを養殖することができる。
【0049】
次に、実施例1の養殖装置1の変形例を説明する。実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用して説明を省略する。
図10は、実施例1の変形例1−1を示したものであり、図10を用いて変形例1−1を説明する。図4に示す実施例1では、養殖容器内の液流らせんガイド部5を構成する筒状部材6は、筒状部材6の両端に排出管10及び注入管11が形成されていたが、変形例1−1においては、筒状部材6には排出管10及び注入管11は形成されない。そのため、筒状の養殖容器2の一端に排出管100、他端に注入管110が設けられる。
【0050】
変形例1−1の作用及び効果について説明する。
藻類Mを養殖する液Lと藻類Mを収容する養殖容器2の一端と他端には、排出管100と注入管110とが備わるため、図10に示すように、養殖容器2の一端に位置する注入管110に送られた水等の液又は空気等は養殖容器内のらせん状の空間を流路17として、養殖容器2の他端に位置する排出管100に向けて流動する。そのため、簡易な構造で養殖容器内のらせん状の空間に藻類Mを流動させることができる。
【0051】
図11は、実施例1の変形例1−2を示したものであり、図11を用いて変形例1−2を説明する。図4に示す実施例1では、養殖容器内の液流らせんガイド部5を構成する筒状部材6は、排出管10及び注入管11により養殖容器内に固定されていたが、変形例1−2においては、筒状部材106は養殖容器内に固定されず、筒状の養殖容器2の軸を中心として回動可能に設置される。そして、筒状部材106の少なくとも一端には、当該筒状部材106を回転させる回転駆動機構107を備える。
【0052】
変形例1−2の作用及び効果について説明する。
回転駆動機構107により筒状部材106が養殖容器内を回転するため、筒状部材106とともに回転するらせん板7により、養殖容器内の水等の液Lは、藻類Mとともに、らせん状に流動する。よって、筒状部材106が回転することで、養殖容器内の液Lに液流を作り、かかる液流により藻類Mを流動させることができる。
なお、変形例1−1と同様に、養殖容器内の一端に排出管100、他端に注入管110を設けて、かかる排出管100及び注入管110により養殖容器内の液Lを循環させるとともに、回転駆動機構107により、筒状部材106を回転させることで、効果的に養殖容器内の液Lを流動させることが可能となる。
【0053】
図12は、実施例1の変形例1−3を示したものであり、図12を用いて変形例1−3を説明する。図4に示す実施例1では、養殖容器内に液流らせんガイド部5を設け、流動手段4により、かかる液流らせんガイド部5に液流を通過させることで、らせん液流を生じさせるものである。しかし、変形例1−3においては、養殖容器内に液流らせんガイド部5は配置されることはなく、養殖容器内の両端に、スクリューやエアレーション等のらせん液流発生機構108が配置されることで、筒状の養殖容器内の液Lに、該養殖容器2の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせる。
そして、らせん状の液流により流動する藻類Mに対して光を照射する照明器具112は、筒状の養殖容器2の軸方向に沿って配置される。
【0054】
変形例1−3の作用及び効果について説明する。
らせん液流発生機構108であるスクリュー等が回転等することで、筒状の養殖容器2の一端から、らせん状の液流が生じる。そのため、養殖容器内に液流らせんガイド部5などの複雑な構造を設けることなく、養殖容器内の藻類Mをらせん状に流動させることができる。そして、らせん状の液流の中央に照明器具112を配置することで、効率よく藻類Mに光を照射することができる。
なお、変形例1−3の場合においても、変形例1−1のように養殖容器2内の一端に排出管100、他端に注入管110が設けて、かかる排出管100及び注入管110により養殖容器内の液Lを循環させることで、効率よく養殖容器内にらせん液流を生じさせることが可能となる。
【0055】
次に、本発明の養殖装置1の実施例2について説明する。
実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用して説明を省略する。
図13は、実施例2を示したものであり、図13を用いて実施例2を説明する。図4に示す実施例1では、複数の各養殖容器2は、両端が閉じた(養殖容器同士が端で連結された部分は除く)容器であったが、実施例2においては、各養殖容器200は、両端が開いた筒状の養殖容器200となる(連結養殖容器2Aに両端(2a及び2b)は除く)。具体的には、当該養殖容器200の両端は流体の一部が流動可能なメッシュ部材201で、覆われている。そのため、養殖容器内に存在する水等の液Lは、複数の当該養殖容器200を収容する集合液槽3の液L1と混ざり合っている。つまり、養殖容器内に存在する水等の液Lは、集合液槽3の液L1と同様の液となる。
【0056】
また、養殖容器200の筒状部材6は、図4に示す実施例1では、注入管11及び排出管10を有していたが、図13に示す実施例2では、養殖容器200を集合液槽内に固定する固定管202となる。更に、筒状部材6の側面には注入孔9は形成されない。
【0057】
そして、図4に示す実施例1では、排出管10及び注入管11と配管され繋がれたコンプレッサーやポンプ等の流動手段4は、実施例2では、両端が開いた筒状の養殖容器2の延長上に配置されるスクリューやエアレーション等の液流発生手段203となり、図13では、流動手段4としてスクリューか図示される。
【0058】
次に、実施例2の作用(藻類Mの養殖方法)について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと、養殖対象である藻類Mと、を収容した複数の養殖容器200が、集合液槽3にまとめて浸漬される。ここで、養殖容器200の筒状の両端が開いているため、養殖容器内の液Lと集合液槽3との液L1が混ざり合う。よって、集合液槽3の液L1により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制される。そして、集合液槽3に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせ、流動手段4により各養殖容器内の液Lを流動させることで、効率的に藻類Mの養殖を行う。
【0059】
具体的には、両端が開いた筒状の養殖容器内に藻類Mとともに収容された液Lは、集合液槽内の液L1が養殖容器200の両端のメッシュ部材201を通して養殖容器内の液Lと混ざり合うことにより、養殖容器内の液Lは集合液槽内の液L1と混合する。よって、光の照射による当該容器内の液温の上昇は、集合液槽内の液L1により抑制され、養殖効率の悪化を防止する。
【0060】
そして、両端が開いた筒状の養殖容器200の延長上に位置する液流発生手段203が、水等の液又は空気等を養殖容器200のメッシュ部材201に向けて送り出すことにより、当該水等の液又は空気等は、筒状の養殖容器200の一端から他端に向かって流れる。よって、養殖容器内のらせん状の空間をらせん状に液L及び藻類Mが流動する。
なお、筒状の養殖容器200の両端がメッシュ部材201で覆われるので、液流により藻類Mが流動する場合でも、藻類Mは養殖容器内に留まる。
【0061】
次に、実施例2の効果について説明する。
以上から明らかなように、実施例2の養殖装置1は、培養液と藻類Mを収容して流動させる両端が開いた筒状の養殖容器200と、複数の当該養殖容器200を自身の液中に浸漬し、培養液と液L1を混合させて各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを流動させるスクリュー等の液流発生手段203を有するにより、養殖容器内の水等の液Lと集合液槽3内の液L1とを一括して扱うことができ、簡易かつ低コストで養殖容器内の液温を抑制できる。
【0062】
かかる筒状の養殖容器200は、両端が流体の一部が流動可能なメッシュ部材201にて覆われるので、藻類Mを養殖容器内に保持することができる。そして、メッシュ部材201に向けて液流の流動が生じた場合は、液流が養殖容器内に流れ、養殖容器内の藻類Mを流動させることができる。
【0063】
養殖容器内に存在する藻類Mを流動させる流動手段4は、両端が開いた筒状の養殖容器200の延長上に位置するスクリューやエアレーションであるので、養殖容器200のメッシュ部材全体に向けて液流を発生させることが可能であるため、養殖容器内の藻類Mを効率よく流動させることができる。
また、筒状の養殖容器200の両側に配置される液流発生手段203の動作を制御する液流制御手段を備えることで、水等の液又は空気等を送り出す方向を経時的に反転させることができ、らせん状の養殖容器内を藻類Mを効率よく流動させることができる。
【0064】
次に、実施例2の変形例について説明する。実施例2と同様の構成は、実施例2と同様の符号を付して、実施例2の説明を流用することで説明を省略する。
図14は、実施例2の変形例2−1を示したものであり、図14を用いて変形例2−1を説明する。図13に示す実施例2では、注入管11及び排出管10を設けていないが、変形例2−1では、注入管211が筒状の養殖容器200における長手方向の中央に位置し、当該養殖容器200を収容する集合液槽内に排出管210が位置する。そして、実施例2の液流発生手段203である流動手段4に加えて、当該注入管211及び排水管210と配管され繋がれたコンプレッサーやポンプ等の流動手段4も備える。
【0065】
変形例2−1の作用及び効果について説明する。
変形例2−1では、注入管211が筒状の養殖容器200における長手方向の中央に位置し、当該養殖容器2を収容する集合液槽内に排出管210が位置するため、注入管211により、水等の液又は空気等が注入されると、養殖容器内の中央から、養殖容器200の両端に向けてらせん状の液流が生じる。
また、両端が開いた筒状の養殖容器200の延長上に位置するスクリューやエアレーションにより、養殖容器200のメッシュ部材全体に向けて液流を発生させることが可能であるため、ポンプ等の流動手段4とスクリュー等の流動手段4とを相互に用いることで、養殖容器内の藻類Mを拡散させて流動することが可能となる。
【0066】
次に、本発明の養殖装置1の実施例3について説明する。
実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用することで説明を省略する。
図15は、実施例3を示したものであり、図15を用いて実施例3を説明する。図4に示す実施例1では、筒状の養殖容器内の液Lに、該養殖容器2の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせる養殖容器2であるが、実施例3は、筒状の養殖容器内の液Lに、該養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせる養殖容器2である。具体的には、図15に示すように、筒状の養殖容器2の軸方向の少なくとも一端側の内壁には、該軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせるエアレーション等の環状液流発生手段301を備える。
【0067】
そして、環状液流発生手段301が備わる養殖容器2には、養殖容器内の水等の液Lを循環させる循環流路18が繋がれ、循環経路中には再調整槽16と、当該循環経路18を流れる水等の液を送り出すポンプやコンプレッサー等の循環手段19を有する。
【0068】
次に、実施例3の作用(藻類Mの養殖方法)について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと養殖対象である藻類Mとを収容する養殖容器2は、図15に示すように該養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流が生じる。よって、養殖容器内の藻類Mがループ状に流動する。
【0069】
一方、かかる環状液流が形成される養殖容器2は循環手段19を有するため、養殖容器内の水等の液Lは、循環流路18を通して再調整槽16により液の成分が再調整され、再び養殖容器内に戻される。したがって、養殖容器内の液Lの成分を藻類Mの養殖に適した状態を維持することができる。
【0070】
次に、実施例3の効果について説明する。
以上から明らかなように、実施例3の養殖装置1は、筒状の養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせて、容器内の養殖対象をループ状に流動させるため、藻類Mに光が不均一に照射されるの防止し、藻類Mをループ状に流動させることで、藻類Mを一箇所に集合することを防止できる。
【0071】
次に、実施例3の変形例について説明する。実施例3と同様の構成は、実施例3と同様の符号を付して、実施例3の説明を流用することで説明を省略する。
図16は、実施例3の変形例3−1を示したものであり、図16を用いて変形例3−1を説明する。図16においては、養殖容器内に収容される藻類Mに人工光を照射する照明器具312が該養殖容器2の軸方向に沿って配置される。そのため、当該養殖容器2の軸方向を中心線とする周方向の環状液流により、該容器内をループ状に流動する藻類Mに対して効果的に人工光を照射することができる。
【0072】
次に、本発明の養殖装置1の実施例4について説明する。
実施例3と同様の構成は、実施例3と同様の符号を付して、実施例3の説明を流用することで説明を省略する。
図17は、実施例4を示したものであり、図17を用いて実施例4を説明する。図15に示す実施例3では、複数の各養殖容器2は、複数の各養殖容器2は、両端が閉じた(養殖容器同士が端で連結された部分は除く)容器であったが、実施例4においては、各養殖容器400は、両端が開いた筒状の養殖容器400となる。具体的には、当該養殖容器400の両端は流体の一部が流動可能なメッシュ部材401で、覆われている。そのため、養殖容器内に存在する水等の液Lは、複数の当該養殖容器400を収容する集合液槽3の液L1と混ざり合っている。つまり、養殖容器内に存在する水等の液Lは、集合液槽3の液L1と同様の液となる。
【0073】
次に、実施例4の作用(藻類Mの養殖方法)について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと、養殖対象である藻類Mと、を収容した複数の養殖容器400が、集合液槽3にまとめて浸漬される。ここで、養殖容器400の筒状の両端が開いているため、養殖容器内の液Lと集合液槽3との液L1が混ざり合う。よって、集合液槽3の液L1により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制される。そして、集合液槽3に浸漬された各養殖容器内の養殖対象に光を照射して光合成を行わせ、各養殖容器内の液Lを該養殖容器400の軸方向を中心線とする周方向の環状液流として、流動させて効率的に藻類Mの養殖を行う。
【0074】
次に、実施例4の効果について説明する。
以上から明らかなように、実施例4の養殖装置1は、培養液と藻類Mを収容して流動させる両端が開いた筒状の養殖容器400と、複数の当該養殖容器400を自身の液中に浸漬し、培養液と液L1を混合させて各養殖容器内の液温を抑制する集合液槽3と、各養殖容器内の培養液と藻類Mを、該養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流により流動させる環状液流発生手段301を有することにより、養殖容器内の水等の液Lと集合液槽内の液L1とを一括して扱うことができ、簡易かつ低コストで養殖容器内の液温を抑制し、藻類Mに光が不均一に照射されるの防止し、藻類Mをループ状に流動させることで藻類Mを一箇所に集合することを防止できる。
【0075】
次に、本発明の養殖装置1の実施例5について説明する。
実施例2と同様の構成は、実施例2と同様の符号を付して、実施例2の説明を流用することで説明を省略する。
図18は、実施例5を示したものであり、図18を用いて実施例5を説明する。図13に示す実施例2では、液流らせんガイド部5は、筒状の養殖容器の内壁に備わるが、実施例5では、筒状の養殖容器2の軸方向の少なくとも一端側の内壁に、液流らせんガイド部500が備わる。具体的には、図18(a)に示すように、液流らせんガイド部500は、液流が当該液流らせんガイド部500を通過することで液流がらせん状に変換される液流変換部である。そのため、実施例5では筒状部材6及びらせん板7を有しない。より詳細には、当該液流変換部は、図18(a)に模式的に示すように、両端が開いた筒状の養殖容器2の一端から水等の液流が流れ込み、当該液流変換部を通過することで、液流がらせん状に変換される。そして、かかる液流変換部は、図18(a)に模式的に示すように、筒状の養殖容器2の一端の内壁に弧状に形成することも可能であり、図18(b)に示すように、筒状の養殖容器2の一端の内周面に沿ってらせん状の溝を設けることも可能である。更に、図18(c)に示すように、筒状の養殖容器2の一端に液流をらせん状に変換するらせん変換孔を備えた蓋状の液流変換板を備える構成でもよい。
【0076】
次に、実施例5の作用及び効果について説明する。
藻類Mを養殖するための水等の液Lと、養殖対象である藻類Mと、を収容した複数の養殖容器501が、集合液槽3にまとめて浸漬される。ここで、養殖容器501の筒状の両端が開き、筒状の養殖容器501の軸方向の少なくとも一端側の内壁に液流変換部を備えるので、液流発生手段203により、集合液槽内の液L1が液流変換部を通過することで、筒状の養殖容器内にらせん状の液流が生じる。つまり、液流変換部を通過するだけで、らせん状の液流となるので、液流の勢いを維持したまま、液流がらせん状に変換されるので、養殖容器内の藻類Mを一層流動させることができる。また、藻類Mに対して均一に光を照射することが可能となる。
【0077】
最後に、実施例1ないし5に共通する変形例を説明する。上記実施例と同様の構成は、同様の符号を付して、上記実施例の説明を流用することで説明を省略する。各実施例及び上記変形例では、養殖容器2は滑らかな横断面形状を有する断面円状(図19(a))の形状として図示しているが、図19に示すように、断面楕円状(図19(b))、断面おにぎり状(図19(c))又は、四角形等の多角形の角を弧状にした形状(19(d))の構成でもよい。
また、各実施例及び上記変形例では、各養殖容器毎に流動手段4や排出管10及び注入管11を備えているが、図20に示すように、複数の養殖容器2において共通し、流動手段4や排出管10及び注入管11等を備える構成であってもよい。
更に、実施例1ないし5においては、養殖容器2を連結養殖容器2Aとして、各養殖容器2が連結された構成の実施例を説明したが、各養殖容器2を連結せずに、1本の筒状の養殖容器2のみで、藻類Mを流動させて、藻類Mを養殖する構成を採用してもよい。つまり、図4に示す筒状の養殖容器2において、筒状の養殖容器2を他の養殖容器2と連結せずに、1つの容器のみで、藻類Mを養殖することもできる。かかる場合、藻類Mの成長の程度により、養殖容器2を変えることで、効率よく藻類を養殖することができる。
なお、以上説明した、各実施例及び変形例は、各記載に限定されるものでなく、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 養殖装置 2 養殖容器
3 集合液槽 4 流動手段
5 液流らせんガイド部 6 筒状部材
7 らせん板 9 注入孔
10 排出管 11 注入管
12 照明器具 16 再調整槽
17 流路 18 循環流路
19 循環手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類を養殖するための水等の液が存在するとともに、光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有する養殖容器内に、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容し、更に複数の前記養殖容器を、光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有する集合液槽にまとめて浸漬し、この集合液槽の液により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制しつつ、その集合液槽に浸漬された前記各養殖容器内の養殖対象に前記光を照射して光合成を行わせるとともに、前記各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させることを特徴とする藻類の養殖方法。
【請求項2】
前記養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に前記養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせ、それによって該養殖容器内の養殖対象をらせん状に流動させる請求項1に記載の藻類の養殖方法。
【請求項3】
前記筒状の養殖容器の内壁には、該養殖容器の軸方向の液流に基づいてらせん状の液流を生じさせる液流らせんガイド部を備え、養殖容器の軸方向に液流を生じさせ、その液流らせんガイド部を通過させることにより前記養殖容器内に前記らせん状の液流を生じさせる請求項2に記載の藻類の養殖方法。
【請求項4】
前記養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に前記養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせ、それによって該養殖容器内の養殖対象をループ状に流動させる請求項1に記載の藻類の養殖方法。
【請求項5】
光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有し、内部に藻類を養殖するための水等の液、及び養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容する複数の養殖容器と、
光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有し、前記複数の養殖容器をまとめて浸漬して各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制する集合液槽と、
各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させる流動手段と、
を含むことを特徴とする藻類の養殖装置。
【請求項1】
藻類を養殖するための水等の液が存在するとともに、光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有する養殖容器内に、養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容し、更に複数の前記養殖容器を、光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有する集合液槽にまとめて浸漬し、この集合液槽の液により各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制しつつ、その集合液槽に浸漬された前記各養殖容器内の養殖対象に前記光を照射して光合成を行わせるとともに、前記各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させることを特徴とする藻類の養殖方法。
【請求項2】
前記養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に前記養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とするらせん状の液流を生じさせ、それによって該養殖容器内の養殖対象をらせん状に流動させる請求項1に記載の藻類の養殖方法。
【請求項3】
前記筒状の養殖容器の内壁には、該養殖容器の軸方向の液流に基づいてらせん状の液流を生じさせる液流らせんガイド部を備え、養殖容器の軸方向に液流を生じさせ、その液流らせんガイド部を通過させることにより前記養殖容器内に前記らせん状の液流を生じさせる請求項2に記載の藻類の養殖方法。
【請求項4】
前記養殖容器は滑らかな横断面形状を有する、筒状の養殖容器であり、その筒状の養殖容器に前記養殖対象を収容し、かつその筒状の養殖容器内の液に、該養殖容器の軸方向を中心線とする周方向の環状液流を生じさせ、それによって該養殖容器内の養殖対象をループ状に流動させる請求項1に記載の藻類の養殖方法。
【請求項5】
光合成のための光を外部から内部へ透光させる透光性を有し、内部に藻類を養殖するための水等の液、及び養殖すべき未成長、成長初期若しくは成長途上の藻類である養殖対象を収容する複数の養殖容器と、
光合成のための光の照射を受けるとともにそれら複数の養殖容器を一括して収容する大きさを有し、前記複数の養殖容器をまとめて浸漬して各養殖容器内の液温が一定以上上昇しないように抑制する集合液槽と、
各養殖容器内の液を流動させることにより該養殖容器内の養殖対象を流動させる流動手段と、
を含むことを特徴とする藻類の養殖装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−110260(P2012−110260A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260673(P2010−260673)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(510309617)フルハシEPO株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(510309617)フルハシEPO株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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