説明

虚像現出装飾体の製造方法、及び虚像現出装飾体

【課題】虚像現出装飾体の画像表示領域に現出させる虚像の階調を調整可能な虚像現出装飾体の製造方法、及び虚像現出装飾体を提供する。
【解決手段】虚像現出装飾体の製造方法は、画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える画像表示部を備える虚像現出装飾体の製造方法であって、画素ユニットは、所定の位置関係に配置された画素ドットを備え、ユニット集合体における画素ドットの総数を、基準とするユニット集合体である基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけるように補正する補正工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規則的に配設された画素ユニットと、画素ユニットを覆う位置に規則的に配設されたレンズ状の集光素とを備え、画素ユニットに形成されている画像が拡大された虚像を現出させる虚像現出装飾体、及び虚像現出装飾体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、規則的に配設された画素ユニットと、画素ユニットを覆う位置に規則的に配設されたレンズ状の集光素とを備え、画素ユニットに形成されている画像が拡大された虚像を現出させる虚像現出装飾体が知られている。
また、液状体を吐出する吐出ヘッドを備え、吐出した液滴を被描画媒体の任意の位置に着弾させることによって、被描画媒体上に任意の画像などを描画する描画装置(液滴吐出装置)が知られている。例えばインクジェット方式の吐出ヘッドを備える描画装置(液滴吐出装置)は、所定の量のインクを所定の位置に精度よく配置することができる。配置したインクを硬化させることによって、精密な形状を有する機能膜や、微細な画像などを形成することができる。光学材料を含む液状体を吐出して、レンズを形成することもできる。
【0003】
特許文献1には、格子状に配列されたレンズ状の集光素からなる平凸レンズ状集光層と、集光素の格子の枡目の大きさに対して20〜80%の大きさに形成された画素(画素ユニット)からなる画像(ユニット集合体)を形成することで、いかなる文字列も虚像として上方又は下方に現出させることができるとする虚像現出装飾体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−7593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画素ユニットと集光素とが配設されており、画素ユニットの画像の拡大虚像が形成される画像表示領域には、配設された集光素の間に、透過する光が集光されない部分が存在する。当該部分を集光素間部と表記する。集光素を透過することで集光される光によって虚像が形成される。集光素間部を透過した光は、虚像の階調に影響をあたえる。集光素間部を透過する光は、画素ユニットにおける集光素を介して視認できる部分以外の部分からの光であり、その光量は画素ユニットの画像を構成する画素ドットにおける集光素を介して視認できる部分以外の部分に配設された画素ドットの影響を受ける。虚像の画像部分は、集光素を介して視認される画素ドットであり、虚像の画像部分の階調は、略画素ドット自体の階調である。虚像の背景部分は、集光素を介して視認される画素ユニットの背景部分であり、虚像の背景部分の階調は、略画素ユニットの背景部分の階調である。多くの場合、画素ユニットの画像は、薄い階調の背景色の中に濃い階調の画素ドットを配置して形成される。このため、集光素間部を透過した光の影響による虚像の階調差は、虚像の中の背景部分に顕著に現れる。したがって、画像表示領域に形成される虚像の背景部分の階調は、当該画像表示領域の画素ユニットにおける画素ドットの数によって、異なる階調となる。
しかしながら、複数の画像表示領域を備える虚像現出装飾体において、隣り合う画像表示領域に形成される虚像は同じ虚像とは限らない。異なる虚像が並ぶ場合、各虚像の背景濃度が不均一になるという課題があった。例えば文字の虚像を形成する場合には、文字の背景の階調が、文字を構成している画素ドットの数によって影響を受ける。文字を構成する画素ドットの数は文字ごとに異なる。このため、異なる文字が並ぶ場合、各文字の背景濃度が不均一になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法は、画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える画像表示部を備える虚像現出装飾体の製造方法であって、前記画素ユニットは、所定の位置関係に配置された画素ドットを備え、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を、基準とする前記ユニット集合体である基準ユニット集合体における前記画素ドットの総数に近づけるように補正する補正工程を有することを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法によれば、補正工程において、ユニット集合体における画素ドットの総数を、基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけるように補正する。
画像表示部には、配設されたレンズ体の間に、透過する光が集光されない部分が存在する。当該部分をレンズ体間部と表記する。レンズ体を透過することで集光される光によって、画素ユニットの虚像が形成される。レンズ体間部を透過した光は、虚像の階調に影響をあたえる。レンズ体間部を透過する光は、画素ユニットにおけるレンズ体を介して視認できる部分以外の部分からの光である。レンズ体間部を透過する光の光量は、画素ユニットの画像を構成する画素ドットにおけるレンズ体を介して視認できる部分以外の部分に配設された画素ドットの影響を受ける。虚像の画像部分は、レンズ体を介して視認される画素ドットであり、虚像の画像部分の階調は、略画素ドット自体の階調である。虚像の背景部分は、レンズ体を介して視認される画素ユニットの背景部分であり、虚像の背景部分の階調は、略画素ユニットの背景部分の階調である。多くの場合、画素ユニットの画像は、薄い階調の背景色の中に濃い階調の画素ドットを配置して形成される。このため、レンズ体間部を透過した光の影響による虚像の階調差は、虚像の中の背景部分に顕著に現れる。したがって、虚像の背景部分の階調は、画素ユニットにおける画素ドットの数によって、異なる階調となる。言い換えると、画像表示部に形成される虚像の階調は、当該画像表示部のユニット集合体を構成する画素ドットの総数に依存して定まる階調となる。
ユニット集合体における画素ドットの総数を、基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけるように補正することで、画像表示部に形成される虚像の階調を、基準ユニット集合体を備える画像表示部に形成される虚像の階調に近づけることができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記虚像現出装飾体は複数の前記画像表示部を備え、前記補正工程においては、前記虚像現出装飾体が備える複数の前記画像表示部のひとつが備える前記ユニット集合体を、前記基準ユニット集合体として、前記画素ドットの総数を補正することが好ましい。
【0010】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、虚像現出装飾体が備える画像表示部のひとつが備えるユニット集合体を基準ユニット集合体として、画素ドットの総数を補正する。基準ユニット集合体においては、画素ドットの総数を補正することが不要であるため、虚像現出装飾体における補正工程を効率よく実施することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記ユニット集合体に、追加画素ドットを配置することで、前記ユニット集合体における前記画素ドットの数を増加させることによって、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を補正することが好ましい。
【0012】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、ユニット集合体に、追加画素ドットを配置することで、画素ドットの数を増加させることによって、ユニット集合体における画素ドットの総数を補正する。基準ユニット集合体にくらべて画素ドットの総数が少ないユニット集合体に、追加画素ドットを配置することで、当該ユニット集合体における画素ドットの数を増加させて、画素ドットの総数を、基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけることができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記ユニット集合体が備える前記画素ユニットの一部を、前記画素ユニットを構成する前記画素ドットの一部が削除された画素減少ユニットにすることで、前記ユニット集合体における前記画素ドットの数を減少させることによって、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を補正することが好ましい。
【0014】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、画素ユニットを構成する画素ドットの中の、削減画素ドットとして選択された画素ドット以外の画素ドットによって画素ユニットを構成することで、ユニット集合体における画素ドットの数を減少させることによって、ユニット集合体における画素ドットの総数を補正する。すなわち、画素ドットの中から削減画素ドットを選択し、削減画素ドットを削除した画素ユニットを構成する。基準ユニット集合体にくらべて画素ドットの総数が多いユニット集合体において、削減画素ドットを削除した画素ユニットを構成することで、当該ユニット集合体における画素ドットの数を減少させて、画素ドットの総数を、基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記虚像現出装飾体は3個以上の前記画像表示部を備え、3個以上の前記画像表示部における、少なくともひとつの前記画像表示部においては、前記ユニット集合体に、追加画素ドットを配置することで、前記ユニット集合体における前記画素ドットの数を増加させることによって、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を補正し、少なくともひとつの前記画像表示部においては、前記ユニット集合体が備える前記画素ユニットの一部を、前記画素ユニットを構成する前記画素ドットの一部が削除された画素減少ユニットにすることで、前記画素ドットの数を減少させることによって前記画素ドットの総数を補正することが好ましい。
【0016】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、虚像現出装飾体において、画素ドットの数を増加させることによって画素ドットの総数を補正するユニット集合体と、画素ドットの数を減少させることによって画素ドットの総数を補正するユニット集合体とが、存在する。したがって、基準ユニット集合体における画素ドットの総数の数値は、虚像現出装飾体が備える3個以上のユニット集合体のそれぞれにおける画素ドットの総数の数値の中の、中間の数値である。基準ユニット集合体における画素ドットの総数の数値を中間の数値にすることで、基準ユニット集合体における画素ドットの総数の数値を最大又は最小の数値にする場合にくらべて、ユニット集合体において増加させる追加画素ドットの数の、虚像現出装飾体における最大値を小さくすることができる。また、ユニット集合体において、削減画素ドットとして選択され、形成される画素ドットから除外される画素ドットの数の、虚像現出装飾体における最大値を小さくすることができる。さらに、追加画素ドットの数と、削減画素ドットとして選択される数との和を小さくすることができる。
これらにより、ユニット集合体における画素ドットの総数を補正することによる画素ドットの総数の変化を、少なくすることができる。すなわち、ユニット集合体における画素ドットの総数を補正することによる、画像表示部に現出する虚像の階調の変化量を小さくすることができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記追加画素ドットの前記ユニット集合体における配設位置、又は前記削減画素ドットとして選択する前記画素ドットの前記ユニット集合体における位置の少なくとも一方を、ランダムディザパターンに基づいて決定することが好ましい。
【0018】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、追加画素ドットの配設位置、又は削減画素ドットとして選択する画素ドットの位置を、ランダムディザパターンに基づいて決定する。これにより、追加画素ドットの配設位置、又は削減画素ドットとして選択する画素ドットの位置が、規則性を有する位置になることを抑制することができる。
追加画素ドットは、単独で存在する状態では、レンズ体を介しても視認され難い。しかし、近くに位置する画素ユニットにおいて、略同じ位置に追加画素ドットが配設されると、複数の追加画素ドットがかたまって見えるため、視認されやすくなる。画素ユニットは規則的に配列されているため、追加画素ドットが規則的に配列されると、画素ユニットにおいて、略同じ位置に追加画素ドットが配設される可能性が高くなる。追加画素ドットが規則的に配列されることを抑制することで、追加画素ドットが規則的に配列されることに起因して追加画素ドットが視認されやすくなることを、抑制することができる。
削減画素ドットとして選択されて画素ドットが省略された部分は、単独で存在する状態では、レンズ体を介しても視認され難い。しかし、近くに位置する画素ユニットにおいて、略同じ位置の画素ドットが省略されると、画素ドットが省略された部分がかたまって見えるため、視認されやすくなる。画素ユニットは規則的に配列されているため、削減画素ドットの位置が規則的に選択されると、複数の画素ユニットにおいて、略同じ位置の画素ドットが省略される可能性が高くなる。削減画素ドットの位置が規則的に選択されることを抑制することで、削減画素ドットの位置が規則的に選択されることに起因して画素ドットが省略された部分が視認されやすくなることを、抑制することができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記追加画素ドットの前記ユニット集合体における配設位置、又は前記削減画素ドットとして選択する前記画素ドットの前記ユニット集合体における位置の少なくとも一方を、フィボナッチ数列に基づくパターンによって決定することが好ましい。
【0020】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、追加画素ドットの配設位置、又は削減画素ドットとして選択する画素ドットの位置を、フィボナッチ数列に基づくパターンによって決定する。これにより、追加画素ドットの配設位置、又は削減画素ドットとして選択する画素ドットの位置が、規則性を有する位置になることを抑制することができる。
追加画素ドットは、単独で存在する状態では、レンズ体を介しても視認され難い。しかし、近くに位置する画素ユニットにおいて、略同じ位置に追加画素ドットが配設されると、複数の追加画素ドットがかたまって見えるため、視認されやすくなる。画素ユニットは規則的に配列されているため、追加画素ドットが規則的に配列されると、画素ユニットにおいて、略同じ位置に追加画素ドットが配設される可能性が高くなる。追加画素ドットが規則的に配列されることを抑制することで、追加画素ドットが規則的に配列されることに起因して追加画素ドットが視認されやすくなることを、抑制することができる。
削減画素ドットとして選択されて画素ドットが省略された部分は、単独で存在する状態では、レンズ体を介しても視認され難い。しかし、近くに位置する画素ユニットにおいて、略同じ位置の画素ドットが省略されると、画素ドットが省略された部分がかたまって見えるため、視認されやすくなる。画素ユニットは規則的に配列されているため、削減画素ドットの位置が規則的に選択されると、複数の画素ユニットにおいて、略同じ位置の画素ドットが省略される可能性が高くなる。削減画素ドットの位置が規則的に選択されることを抑制することで、削減画素ドットの位置が規則的に選択されることに起因して画素ドットが省略された部分が視認されやすくなることを、抑制することができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、液状体を液滴として吐出し、被描画媒体上に着弾させることによって、前記被描画媒体上に前記液状体を配置する液滴吐出装置を用いて、前記画素ドットの材料を配置することが好ましい。
【0022】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、液滴吐出装置を用いて、画素ドットの材料を配置する。すなわち、液滴吐出装置を用いて、所定の位置関係に配置された画素ドットを備える画素ユニットを描画する。これにより、正確な大きさの画素ドットが正確な位置関係に配置された画素ユニットを形成することができる。
【0023】
[適用例9]本適用例にかかる虚像現出装飾体は、画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える画像表示部を備える虚像現出装飾体であって、前記画素ユニットは、所定の位置関係に配置された画素ドットを備え、前記ユニット集合体には、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を、基準とする前記ユニット集合体である基準ユニット集合体における前記画素ドットの総数に近づけるように補正するための追加画素ドットが配設されていることを特徴とする。
【0024】
本適用例にかかる虚像現出装飾体によれば、ユニット集合体には、ユニット集合体における画素ドットの総数を、基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけるように補正するための追加画素ドットが配設されている。
画像表示部には、配設されたレンズ体の間に、透過する光が集光されない部分が存在する。当該部分をレンズ体間部と表記する。レンズ体を透過することで集光される光によって、画素ユニットの虚像が形成される。レンズ体間部を透過した光は、虚像の階調に影響をあたえる。レンズ体間部を透過する光は、画素ユニットにおけるレンズ体を介して視認できる部分以外の部分からの光である。レンズ体間部を透過する光の光量は、画素ユニットの画像を構成する画素ドットにおけるレンズ体を介して視認できる部分以外の部分に配設された画素ドットの影響を受ける。虚像の画像部分は、レンズ体を介して視認される画素ドットであり、虚像の画像部分の階調は、略画素ドット自体の階調である。虚像の背景部分は、レンズ体を介して視認される画素ユニットの背景部分であり、虚像の背景部分の階調は、略画素ユニットの背景部分の階調である。多くの場合、画素ユニットの画像は、薄い階調の背景色の中に濃い階調の画素ドットを配置して形成される。このため、レンズ体間部を透過した光の影響による虚像の階調差は、虚像の中の背景部分に顕著に現れる。したがって、虚像の背景部分の階調は、画素ユニットにおける画素ドットの数によって、異なる階調となる。このように、画像表示部に形成される虚像の階調は、当該画像表示部のユニット集合体を構成する画素ドットの総数に依存して定まる階調となる。
ユニット集合体には、ユニット集合体における画素ドットの総数を、基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけるように補正するための追加画素ドットが配設されている。追加画素ドットを配設して、ユニット集合体における画素ドットの総数を、基準ユニット集合体における画素ドットの総数に近づけるように補正することで、画像表示部に形成される虚像の階調を、基準ユニット集合体を備える画像表示部に形成される虚像の階調に近づけることができる。
【0025】
[適用例10]本適用例にかかる虚像現出装飾体は、画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える画像表示部を備える虚像現出装飾体であって、前記画素ユニットは、所定の位置関係に配置された画素ドットを備え、前記ユニット集合体は、前記画素ユニットを構成する前記画素ドットから、一部の前記画素ドットが削除された画素減少ユニットを含むことを特徴とする。
【0026】
本適用例にかかる虚像現出装飾体によれば、ユニット集合体は、画素ユニットを構成する画素ドットから、一部の画素ドットが削除された画素減少ユニットを含んでいる。
画像表示部には、配設されたレンズ体の間に、透過する光が集光されない部分が存在する。当該部分をレンズ体間部と表記する。レンズ体を透過することで集光される光によって、画素ユニットの虚像が形成される。レンズ体間部を透過した光は、虚像の階調に影響をあたえる。レンズ体間部を透過する光は、画素ユニットにおけるレンズ体を介して視認できる部分以外の部分からの光である。レンズ体間部を透過する光の光量は、画素ユニットの画像を構成する画素ドットにおけるレンズ体を介して視認できる部分以外の部分に配設された画素ドットの影響を受ける。多くの場合、画素ユニットの画像は、薄い階調の背景色の中に濃い階調の画素ドットを配置して形成される。したがって、画素ドットの数が減少すると、画素ユニットに形成される虚像の階調は、より薄い階調となる。
一部の画素ドットが削除された画素減少ユニットが存在するユニット集合体では、画素減少ユニットが存在しないユニット集合体にくらべて、レンズ体を介して視認できる部分以外の部分に配設された画素ドットの数が減少する。これにより、画素減少ユニットが存在することで、画素減少ユニットが存在しない場合にくらべて、画像表示部に形成される虚像の階調を、より薄い階調にすることができる。ユニット集合体に含まれる画素減少ユニットの数によって、画像表示部に形成される虚像の階調を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は、液滴吐出装置全体の概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を吐出走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図3】(a)は、虚像現出装飾体の構成の要部を示す断面図。(b)は、虚像現出装飾体に形成される虚像を示す模式平面図。
【図4】(a)は、虚像現出装飾体のレンズアレイの構成を示す平面図。(b)は、レンズアレイの拡大平面図。(c)は、虚像現出装飾体の画素集合体の構成を示す平面図。(d)は、画素集合体の拡大平面図。(e)は、虚像現出装飾体のレンズアレイと画素集合体との構成を示す平面図。(f)は、レンズアレイと画素集合体との拡大平面図。
【図5】(a)は、虚像現出装飾体における、画素ユニットを備える画素集合体の構成を示す平面図。(b)は、画素集合体における、画素ユニットの構成を示す平面図。
【図6】(a)、(b)、(c)、及び(d)は、画素ユニットを画素ドットで示した説明図。(e)、(f)、(g)、及び(h)は、画素ユニットを画素ドット区画で示した説明図。
【図7】(a)は、画素ドット数補正工程を示すフローチャート。(b)は、画素ドット数を補正する過程で用いる画素ドットの数などを示す図。
【図8】(a)は、ランダムディザマスクの例を示す図。(b)は、(a)に示したランダムディザマスクの拡大図。(c)は、フィボナッチ数列を用いた非重複螺旋配置の例を示す図。
【図9】(a)は、基準画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図。(b)は、画素ドットを減少させた画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図。(c)は、画素ドットを増加させた画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図。(d)は、画素ドットを減少させた画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る虚像現出装飾体の製造方法、及び虚像現出装飾体の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態は、インクジェット方式の液滴吐出装置を用いて、虚像現出装飾体が備える画像表示部が備えるユニット集合体を構成する画素ユニットの画素ドットを描画することによって、画像表示部を形成する工程を例にして説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像などを形成する装置である。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0029】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置1について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。図1(a)は、液滴吐出装置全体の概略構成を示す外観斜視図であり、図1(b)は、液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図である。
【0030】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、メンテナンス装置部5と、吐出装置制御部7と、を備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を備えている。ヘッド機構部2は、また、図示省略した紫外線照射部を有している。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴の吐出対象(描画対象物)であるワークWを載置するワーク載置台33を備えている。機能液供給部4は、液滴吐出ヘッド20へ機能液を供給する。メンテナンス装置部5は、液滴吐出ヘッド20の保守を行う。吐出装置制御部7は、これら各機構部などを総括的に制御する。さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。
【0031】
定盤9の上面には、ワーク機構部3が配設されている。ワーク機構部3は、定盤9の長手方向(X軸方向)に延在している。ワーク機構部3の上方には、定盤9に固定された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が配設されている。ヘッド機構部2は、ワーク機構部3と略直交する方向(Y軸方向)に延在している。定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド20に連通する供給管を有する機能液供給部4の機能液タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持柱の近傍には、メンテナンス装置部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に延在して配設されている。さらに、定盤9の下側に、吐出装置制御部7が収容されている。
【0032】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を支持するヘッドキャリッジ22とを備えている。ヘッドキャリッジ22をY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。ワーク機構部3は、ワーク載置台33をX軸方向に移動させることで、ワーク載置台33に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0033】
液滴吐出ヘッド20を、Y軸方向の吐出位置まで移動させて停止させ、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調させて、機能液を液滴として吐出させる。液滴吐出ヘッド20からの機能液の吐出をともなう、液滴吐出ヘッド20とワークWとの相対移動方向(走査方向)であるX軸方向を、吐出走査方向と表記する。
X軸方向に移動させるワークWと、Y軸方向に移動させる液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する描画などを行うことが可能である。
【0034】
図1(b)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にあるワークWなどに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1(a)に示したY軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。
【0035】
Y軸方向の描画範囲を広げるためには、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に連ねてもよいし、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に移動させて、液滴吐出ヘッド20のY軸方向における位置ごとに、ワークWのX軸方向の移動と液滴吐出ヘッド20からの吐出を実施してもよい。
Y軸方向の液滴の配置ピッチを小さくするためには、複数の液滴吐出ヘッド20を、Y軸方向における吐出ノズル24の位置を互いにずらしてX軸方向に並べてもよいし、3列以上のノズル列を備える液滴吐出ヘッドを用いてもよい。もちろん、製造可能な範囲であれば、ノズルピッチが小さい液滴吐出ヘッドを用いることもできる。
【0036】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図2を参照して説明する。図2は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図2(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図2(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図2(c)は、液滴を吐出走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図2(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図2に示したX軸方向及びY軸方向は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。X軸方向が吐出走査方向であって、図2に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において機能液の液滴を吐出することによって、X軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0037】
図2(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。上述したように、2列のノズル列24Aをそれぞれ構成する吐出ノズル24同士は、Y軸方向において、相互に、ノズルピッチPの1/2ずつ位置がずれている。
【0038】
図2(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。2列のノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図2(b)に二点鎖線で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが直線状に連なるパターンが形成される。
【0039】
図2(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、X軸方向に着弾円91Aが直線状に連なるパターンが形成される。X軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、X軸方向における相対移動速度と、吐出ノズル24の最小吐出間隔(時間)との積である。
【0040】
図2(d)に示すように、二点鎖線で示した仮想線L1,L2,L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、X軸方向に並列した着弾面が形成される。図2(d)に示した仮想線L1,L2,L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0041】
画像の描画に際しては、画像の情報に従って、図2(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を配置する位置を定める。例えば、当該配置位置、及び配置位置に液滴を吐出する吐出ノズル24を指定した画素配置図を形成し、当該画素配置図に従って機能液を着弾させることによって、画像の情報によって規定される画像を描画する。なお、図2(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。もちろん、他の液滴と重ねることなく、1滴の液滴を独立させて配置することも可能である。
【0042】
<虚像現出装飾体>
次に、画素ユニットを有する画素集合体、及びマイクロレンズアレイを備える虚像現出装飾体の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、虚像現出装飾体の構成を示す模式図である。図3(a)は、虚像現出装飾体の構成の要部を示す断面図であり、図3(b)は、虚像現出装飾体に形成される虚像を示す模式平面図である。図4は、虚像現出装飾体を構成する要素の構成を示す模式図である。図4(a)は、虚像現出装飾体のレンズアレイの構成を示す平面図であり、図4(b)は、レンズアレイの拡大平面図であり、図4(c)は、虚像現出装飾体の画素集合体の構成を示す平面図であり、図4(d)は、画素集合体の拡大平面図であり、図4(e)は、虚像現出装飾体のレンズアレイと画素集合体との構成を示す平面図であり、図4(f)は、レンズアレイと画素集合体との拡大平面図である。
【0043】
図3(a)に示すように、虚像現出装飾体51は、基材53と、マイクロレンズアレイ61と、画素集合体71とを備えている。基材53は、透明な素材で形成されたフィルム状の部材である。基材53の素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。基材53の一面には、撥液層55が形成されている。撥液層55の上には、マイクロレンズアレイ61を構成するマイクロレンズ62が形成されている。基材53の撥液層55が形成されている面の反対側の面には、画素集合体71を構成する画素ユニット72が形成されている。
【0044】
図3(a)に示した矢印sの方向から見ると、図3(b)に示すように、画素虚像73を視認することができる。図3(b)には、画素虚像73として、文字A、文字B、文字C、及び文字Dが例示してある。文字A、文字B、文字C、又は文字Dの形状を有する画素虚像73を、画素虚像73A、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dと表記する。1個の画素虚像73が形成される領域を虚像領域710と表記する。画素虚像73A、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dが形成される虚像領域710を、虚像領域710a、虚像領域710b、虚像領域710c、又は虚像領域710dと表記する。
【0045】
マイクロレンズアレイ61は、マイクロレンズ62が格子状に等ピッチ間隔で並べられて形成されている。1個の虚像領域710に形成されているマイクロレンズ62の集合をマイクロレンズアレイ61と表記し、虚像現出装飾体51全体に形成されているマイクロレンズ62の集合をマイクロレンズアレイ610と表記する。図4(a)に二点鎖線で示した領域に、マイクロレンズアレイ610が形成されている。図4(b)に示すように、マイクロレンズアレイ61は、マイクロレンズ62がピッチP1で、縦横に配列されている。マイクロレンズアレイ61には、例えば、45行×45列で、2025個のマイクロレンズ62が形成されている。ピッチP1は、例えば180μmである。
【0046】
図4(c)に示した二点鎖線で囲まれた領域が、1個所の虚像領域710を示している。1個所の虚像領域710には、1個の画素集合体71が形成されている。虚像領域710a、虚像領域710b、虚像領域710c、又は虚像領域710dに形成されている画素集合体71を、画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、又は画素集合体71dと表記する。図4(d)に示すように、画素集合体71は、画素ユニット72がピッチP2で、縦横に配列されている。ピッチP2と、ピッチP1とは、ピッチP1×(マイクロレンズアレイ61におけるマイクロレンズ62の行数又は列数−1)=ピッチP2×(画素集合体71における画素ユニット72の行数又は列数)の関係を満たす値に設定されている。図4(d)に示した画素集合体71は、画素集合体71aであり、画素虚像73Aと略相似形状を有する画素ユニット72aがピッチP2で配列されている。図4(c)に示した画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dは、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dと略相似形状を有する画素ユニット72b、画素ユニット72c、又は画素ユニット72dがピッチP2で配列されている。
画素集合体71には、例えば、45行×45列で、2025個の画素ユニット72が形成されている。ピッチP2は、例えば176μmである。
【0047】
図4(e)に示すように、虚像現出装飾体51では、マイクロレンズアレイ61と画素集合体71とが、基材53の面に平行な方向において重なる状態で形成されている。画素虚像73を現出させるマイクロレンズアレイ61と画素集合体71との組を、虚像ユニット76と表記する。画素虚像73A、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dを現出させる虚像ユニット76を、虚像ユニット76a、虚像ユニット76b、虚像ユニット76c、又は虚像ユニット76dと表記する。
【0048】
図4(f)に示すように、虚像ユニット76(虚像ユニット76a)において、マイクロレンズアレイ61のマイクロレンズ620と、画素集合体71の画素ユニット720とが、中心が合致している。マイクロレンズ620は、マイクロレンズアレイ61の中央のマイクロレンズ62であり、画素ユニット720は、画素集合体71の中央の画素ユニット72である。マイクロレンズ620の隣のマイクロレンズ62と、画素ユニット720の隣の画素ユニット72とは、中心位置が、ピッチP1とピッチP2との差に相当する量だけずれている。P1が180μmであり、ピッチP2が176μmである場合、4μmずれている。
虚像ユニット76の端においては、画素集合体71が有する画素ユニット72の行又は列における端の行又は列を構成する画素ユニット72の中心位置は、マイクロレンズアレイ61が有するマイクロレンズ62の行又は列における端の行又は列を構成するマイクロレンズ62の中心位置と端から2番目の行又は列を構成するマイクロレンズ62の中心位置との中点に位置する。
画素集合体71が、ユニット集合体に相当する。マイクロレンズ62が、レンズ体に相当する。マイクロレンズアレイ61が、レンズ集合体に相当する。虚像ユニット76が、画像表示部に相当する。
【0049】
このように構成された虚像現出装飾体51において、画素ユニット72と対応するマイクロレンズ62とによって、画素ユニット72の一部分の虚像が形成される。虚像ユニット76において、画素ユニット72と対応するマイクロレンズ62ごとに、虚像として形成する画素ユニット72の部分が異なっている。このため、虚像ユニット76において、マイクロレンズ62によって画素ユニット72が拡大された画素虚像73が、視認可能に形成される。
【0050】
<画素ユニット>
次に、虚像現出装飾体51が備える画素ユニット72の構成について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、虚像現出装飾体における画素ユニットの構成を示す模式図である。図5(a)は、虚像現出装飾体における、画素ユニットを備える画素集合体の構成を示す平面図であり、図5(b)は、画素集合体における、画素ユニットの構成を示す平面図である。図6は、画素ユニットの構成を示す説明図である。図6(a)、(b)、(c)、及び(d)は、画素ユニットを画素ドットで示した説明図であり、図6(e)、(f)、(g)、及び(h)は、画素ユニットを画素ドット区画で示した説明図である。
【0051】
図5(a)は、図4(c)と同様の図である。図5(a)に示したように、虚像現出装飾体51は、4個所の虚像領域710を備えている。図4(c)を参照して説明したように、1個所の虚像領域710には、1個の画素集合体71が形成されている。虚像領域710a、虚像領域710b、虚像領域710c、及び虚像領域710dには、画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、又は画素集合体71dが形成されている。
【0052】
図5(b)に示したように、画素集合体71aには、45行×45列で、2025個の画素ユニット72aが形成されている。画素ユニット72aの配設ピッチは、行ピッチも列ピッチも、例えば、176μmである。画素集合体71bなどの、画素集合体71a以外の画素集合体71においても同様である。画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dには、45行×45列で、2025個の、画素ユニット72b、画素ユニット72c、又は画素ユニット72dが形成されている。
【0053】
図6(a)に示したように、画素ユニット72aは、16個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。画素ユニット72は、画素ドット75を16行×16列に配置できる画素ユニット領域721に、1個の画素ユニット72を形成する。図6(e)では、画素ユニット領域721を16行×16列の画素ドット区画751に区切って示している。画素ドット区画751における、画素ドット75に対応する画素ドット区画751を画素区画751aと表記する。画素ユニット72の背景部分に相当する画素ドット区画751を背景区画751bと表記する。図6(e)に示すように、画素ユニット72aは、16個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72aが形成されている画素ユニット領域721aには、16×16−16=240個の、背景区画751bが存在する。
【0054】
図6(b)に示したように、画素ユニット72bは、18個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。図6(f)に示すように、画素ユニット72bは、18個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72bが形成されている画素ユニット領域721bには、238個の、背景区画751bが存在する。
図6(c)に示したように、画素ユニット72cは、15個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。図6(g)に示すように、画素ユニット72cは、15個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72cが形成されている画素ユニット領域721cには、241個の、背景区画751bが存在する。
図6(d)に示したように、画素ユニット72dは、18個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。図6(h)に示すように、画素ユニット72dは、18個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72dが形成されている画素ユニット領域721dには、238個の、背景区画751bが存在する。
【0055】
なお、画素ドット75及び画素ドット区画751は、説明を判りやすくするために、画素ユニット72を構成する要素を模式的に示したものである。画素集合体71を上述した液滴吐出装置1を用いて形成する場合、画素ドット75が、図2を参照して説明した着弾点91に対応し、画素ドット区画751が着弾円91Aに対応する。図2(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、描画する画素集合体71における画素ユニット72の画素ドット75の位置に対応して、液滴を着弾させる着弾点91と液滴を着弾させない着弾点91とを定めることによって、液状体の液滴を着弾させる位置を規定する画素配置図が形成される。形成した画素配置図における着弾点91に対応する位置に液滴を着弾させることで、画素集合体71を描画する。
【0056】
図2を参照して説明したように、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。着弾した液滴が濡れ広がることで、画素ユニット72は、画素ドット75又は画素ドット区画751がつながって形成された形状となる。当該画素ユニット72の集合である画素集合体71がマイクロレンズアレイ61を介して虚像として視認されることで、図3(b)に示したような、画素虚像73として視認される。
【0057】
<画素ドット数補正工程>
次に、画素集合体71における画素ドット75の数を補正する画素ドット数補正工程について、図7、図8、及び図9を参照して説明する。図7は、画素ドット数を補正する過程を示す図である。図7(a)は、画素ドット数補正工程を示すフローチャートであり、図7(b)は、画素ドット数を補正する過程で用いる画素ドットの数などを示す図である。図8は、補正画素ドットの位置をランダムに定めるためのマスクの例を示す説明図である。図8(a)は、ランダムディザマスクの例を示す図であり、図8(b)は、(a)に示したランダムディザマスクの拡大図であり、図8(c)は、フィボナッチ数列を用いた非重複螺旋配置の例を示す図である。図9は、画素ドット数を補正した画素ユニットの例を示す説明図である。図9(a)は、基準画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図であり、図9(b)は、画素ドットを減少させた画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図であり、図9(c)は、画素ドットを増加させた画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図であり、図9(d)は、画素ドットを減少させた画素集合体の画素ユニットの例を示す説明図である。
【0058】
最初に、図7(a)のステップS21では、画素集合体71における画素ドット75の総数を求める。図7(b)に示した画素ユニット72a、画素ユニット72b、画素ユニット72c、及び画素ユニット72dは、図6を参照して説明した画素ユニット72である。
図7(b)に示したV1は、画素ユニット72における画素ドット75(画素区画751a)の数である。図6を参照して説明したように、画素ユニット72a、画素ユニット72b、画素ユニット72c、及び画素ユニット72dは、16個、18個、15個、又は18個の画素ドット75(画素区画751a)を有している。
図7(b)に示したV2は、画素集合体71における画素ドット75(画素区画751a)の数である。画素集合体71は、2025個の画素ユニット72を備えている。V2=V1×2025である。画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dのV2は、32400個、36450個、30375個、又は36450個である。
図7(b)に示したV3は、画素集合体71における画素ドット区画751(画素ドット75を配置可能な位置)の数である。画素ユニット72は16行16列の画素ドット区画751を備え、画素集合体71は45行45列の画素ユニット72を備えるため、V3は、各画素集合体71において、518400個である。
【0059】
図7(b)に示したV4は、画素集合体71の階調の1階調の階調差に相当する画素区画751a(画素ドット75)の数である。518400個の画素ドット区画751が全て画素区画751aの場合から、518400個の画素ドット区画751が全て背景区画751bの場合までを256階調にすると、V4=518400/256=2025である。画素集合体71の階調の1階調の階調差に相当する画素区画751a(画素ドット75)の数は、2025である。画素集合体71において、2025個の画素区画751a(画素ドット75)が増加又は減少することによって、画素集合体71の階調が1階調変化する。
図7(b)に示したV5は、画素集合体71における画素区画751aの占有率(%)である。V5=V2/V3×100である。画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dのV5は、6.25%、7.03%、5.86%、又は7.03%である。
【0060】
次に、図7(a)のステップS22では、基準画素集合体を選定する。基準画素集合体としては、例えば、画素集合体71として好ましい階調がある場合には、当該階調の画素集合体71を選択する。本実施形態では、画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dの中で、画素集合体71における画素区画751aの占有率(%)が中間の値である画素集合体71aを基準画素集合体として選択する。
画素集合体71aが、基準ユニット集合体に相当する。
【0061】
次に、図7(a)のステップS23では、画素集合体71における画素区画751aの占有率(%)(V5)の、基準画素集合体における画素区画751aの占有率(%)(V5)との差を求める。
図7(b)に示したV6は、画素集合体71における画素区画751aの占有率(%)(V5)の、基準画素集合体として選択した画素集合体71aにおける画素区画751aの占有率(%)(V5)との差である。画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dのV6は、+0.78%、−0.39%、又は+0.78%である。
【0062】
次に、図7(a)のステップS24では、占有率(%)の差V6を、階調差に換算する。
図7(b)に示したV7は、画素集合体71における画素区画751aの占有率(%)の基準画素集合体における占有率(%)との差であるV6を階調の差に換算したものであり、画素集合体71の階調と基準画素集合体の階調との階調差である。上述したように、518400個の画素ドット区画751が全て画素区画751aの場合から、518400個の画素ドット区画751が全て背景区画751bの場合までを256階調にすると、V7=V6×256/100である。画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dのV7は、+2、−1、又は+2である。
【0063】
次に、図7(a)のステップS25では、階調差V7を補正するための補正階調を算出する。
基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が小さい場合は、階調差V7を補正するために、背景区画751bの一部を、画素区画751aにする。背景区画751bを画素区画751aに変更した画素ドット区画751を補正画素区画752a(図9(c)参照)と表記する。
図7(b)に示したV8は、階調差V7を補正するための補正階調の計算値である。画素集合体71における補正画素区画752aの数は、階調差(V7)と、1階調の階調差に相当する画素区画751a(画素ドット75)の数(V4)と、の積である。補正画素区画752aの位置を無作為に選択した場合、当該位置が画素区画751aである場合がある。補正階調(V8)の値としては、補正画素区画752aの位置として選択した位置が画素区画751aである場合を除いて、階調差(V7)を補正できる値を求める。この場合、V8=(V4×V7)×(V3/(V3−V2))/V4である。画素集合体71cは、V2が30375個であり、画素集合体71aのV2より少ない。画素集合体71cにおけるV8は、V8=(2025×1)×(518400/(518400−30375))/2025=1.062である。図7(b)において数字の前に付けた「+」は、画素区画751aを増加させる場合であることを示している。計算においては、V7は、図7(b)に示した数字の絶対値を用いている。
【0064】
基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が大きい場合は、階調差V7を補正するために、画素区画751aの一部を、背景区画751bにする。画素区画751aを背景区画751bに変更した画素ドット区画751を補正背景区画752b(図9(a)参照)と表記する。
図7(b)に示したV8は、階調差V7を補正するための補正階調の計算値である。画素集合体71における補正背景区画752bの数は、階調差(V7)と、1階調の階調差に相当する画素区画751a(画素ドット75)の数(V4)と、の積である。補正背景区画752bの位置を無作為に選択した場合、当該位置が背景区画751bである場合がある。補正階調(V8)の値としては、補正背景区画752bの位置として選択した位置が背景区画751bである場合を除いて、階調差(V7)を補正できる値を求める。この場合、V8=(V4×V7)×(V3/V2)/V4である。画素集合体71bは、V2が36450個であり、画素集合体71aより多い。画素集合体71bにおけるV8は、V8=−(2025×2)×(518400/36450))/2025=−28.444である。数字の前に付けた「−」は、画素区画751aを減らす場合であることを示している。
画素集合体71dにおけるV8も、V8=−(2025×2)×(518400/36450))/2025=−28.444である。計算においては、V7は、図7(b)に示した数字の絶対値を用いている。
【0065】
図7(b)に示したV9は、補正階調の計算値V8を整数に近似させた補正階調の適用値である。
画素集合体71bにおけるV9は、V8=−28.444から、V9=−28とする。画素集合体71dにおけるV9も、V8=−28.444から、V9=−28とする。画素集合体71cにおけるV9は、V8=1.062から、V9=1とする。
【0066】
次に、図7(a)のステップS26では、ランダムマスクを形成する。図8(a)及び(b)に示したランダムマスクは、ランダムディザマスクである。ランダムディザマスクは、ディザ法を用いて、点の位置をランダムに配置したマスクである。図8(c)に示したランダムマスクは、フィボナッチ数列を用いた非重複螺旋配置座標に点の位置を配置することで、点の位置をランダムに配置したランダムマスクである。
配置する点の数を、配置可能な点の数に対して、例えば1/256にすることで、256階調の1階調に相当するランダムマスクを形成することができる。画素集合体71cにおいては、V9=1である。画素集合体71cの画素ドット75の数を補正するためのランダムマスクは、V3=518400個所の位置に対して、518400/256=2025個の点の位置がランダムに配置されたマスクである。
【0067】
次に、図7(a)のステップS27では、ランダムマスクと画素配置図とを合成する。画素配置図は、図2を参照して説明したように、液滴を配置する位置を定めた図である。ここでは、画素配置図は、画素集合体71を形成するための液滴の配置位置を示す図である。
上述したように、虚像現出装飾体51は、基材53と、マイクロレンズアレイ61と、画素集合体71とを備えている。マイクロレンズアレイ61は、マイクロレンズ62が格子状にピッチP1の等ピッチ間隔で並べられて形成されている。画素集合体71は、画素ユニット72がピッチP2の等ピッチ間隔で並べられて形成されている。1個のマイクロレンズ62を介して、画素ユニット72の一部が虚像として視認されることで、虚像ユニット76のマイクロレンズアレイ61を介して、画素ユニット72が拡大された画素虚像73が視認される。
【0068】
画素集合体71において、補正画素区画752aが規則的に配列された場合、画素ユニット72における補正画素区画752aの位置が同じになる可能性が高くなる。これにより、補正画素区画752aのいずれかが、マイクロレンズ62を介して、画素虚像73の中の視認可能な点となる可能性が高くなる。画素集合体71において、補正背景区画752bが規則的に配列された場合、画素ユニット72における補正背景区画752bの位置が同じになる可能性が高くなる。これにより、補正背景区画752bのいずれかが、マイクロレンズ62を介して視認され、画素虚像73の中の像の欠落部分となる可能性が高くなる。ランダムマスクと画素配置図とを合成することによって補正画素区画752aや補正背景区画752bの位置を決定することで、画素集合体71において、補正画素区画752aや補正背景区画752bを、規則性を持たない位置に配置することができる。
【0069】
基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が小さい画素集合体71においては、ランダムマスクに規定された位置に対応する位置を、液滴の配置位置にする。すなわち、当該位置に対応する画素ドット区画751を、補正画素区画752aとする。画素集合体71cは、V2が30375個であり、画素集合体71aのV2より少ない。図9(c)に示すように、文字を構成する画素区画751aに加えて、背景区画751bの中に、補正画素区画752a(画素区画751a)が形成される。画素ユニット72における補正画素区画752aの位置は、ランダムマスクによって定まり、規則性が実質的にない位置である。
【0070】
図7(b)に示したV10は、ランダムマスクによる補正後(合成済)の画素配置図において、画素集合体71に配置されている画素区画751a(画素ドット75)の数である。基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が小さい画素集合体71においては、V10=V2+(V4×V7−(V4×V7)×V2/V3)である。画素集合体71cにおけるV10は、V10=30375+(2025×1−(2025×1)×30375/518400)=32281である。当該画素ドット75の数は、画素集合体71aの画素ドット75の数V2=32400に近いに数に補正されている。
図7(b)に示したV11は、ランダムマスクによる補正後(合成済)の画素配置図での、画素集合体71における、画素区画751aの占有率である。画素集合体71cにおいては、V11=V10/V3=32281/518400×100=6.23%である。当該占有率は、画素集合体71aにおける画素区画751aの占有率V5=6.25に近いに数値に補正されている。
【0071】
画素集合体71cにおいては、V10−V2=32281−30375=1906であり、1906個の補正画素区画752aが形成される。画素集合体71cは2025個の画素ユニット72を備えるため、1906個の画素ユニット72において、補正画素区画752aがそれぞれ1個配置される可能性が高い。補正画素区画752aに液滴が配置されて形成される画素ドット75が、追加画素ドットに相当する。
【0072】
基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が大きい画素集合体71においては、ランダムマスクに規定された位置に対応する位置に、液滴を配置しない。すなわち、当該位置に対応する画素ドット区画751を、補正背景区画752bとする。
画素集合体71bは、V2が36450個であり、画素集合体71aのV2より多い。図9(b)に示すように、文字を構成する画素区画751aの一部が、補正背景区画752b(背景区画751b)となっている。すなわち、画素ユニット72における画素ドット75が減少している。図9(d)に示した画素集合体71dも同様である。画素ユニット72における補正背景区画752bの位置は、ランダムマスクによって定まり、規則性が実質的にない位置である。
【0073】
図7(b)に示したV10は、基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が大きい画素集合体71においては、V10=V2−(V4×V7−(V4×V7)×(V3−V2)/V3)である。画素集合体71bにおけるV10は、V10=36450−(2025×28−(2025×28)×(518400−36450)/518400)=32463である。当該画素ドット75の数は、画素集合体71aの画素ドット75の数V2=32400に近いに数に補正されている。画素集合体71dにおける画素ドット75の数も同様である。
図7(b)に示したV11は、画素集合体71bにおいては、V11=V10/V3=32463/518400×100=6.26%である。当該占有率は、画素集合体71aにおける画素区画751aの占有率V5=6.25に近いに数値に補正されている。画素集合体71dにおける画素区画751aの占有率も同様である。
【0074】
画素集合体71b及び画素集合体71dにおいては、V2−V10=36450−32463=3987であり、3987個の補正背景区画752bが存在する。画素集合体71は2025個の画素ユニット72を備える。このため、図9(b)に示したような、補正背景区画752bが1個存在する画素ユニット領域721や、図9(d)に示したような、補正背景区画752bが2個存在する画素ユニット領域721が形成される可能性が高い。画素ユニット72としては、画素ドット75が16個又は17個に調整された画素ユニット72bや画素ユニット72dが形成される可能性が高い。
画素ドット75が16個又は17個に調整された画素ユニット72bや画素ユニット72dが、画素減少ユニットに相当する。
【0075】
ステップS27を実施して、画素集合体71における画素ドット75の数を補正する画素ドット数補正工程を終了する。
【0076】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)画素集合体71cのように基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が小さい画素集合体71においては、補正画素区画752aが形成される。補正画素区画752aが形成されることで、画素集合体71が備える画素区画751aが増加するため、当該画素集合体71の階調を、基準画素集合体の階調に近づけることができる。
【0077】
(2)画素集合体71bや画素集合体71dのように、基準画素集合体より画素区画751aの占有率(%)(V5)が大きい画素集合体71においては、補正背景区画752bが設定される。補正背景区画752bは、画素区画751aを背景区画751bに変更した画素ドット区画751である。補正背景区画752bの数だけ画素ドット75の数が減少するため、当該画素集合体71の階調を、基準画素集合体の階調に近づけることができる。
【0078】
(3)補正画素区画752aの位置は、ランダムに設定する。補正画素区画752aは、マイクロレンズ62を介して視認可能な位置に位置した場合、虚像の一部として視認される。マイクロレンズ62は規則的に配列されているため、補正画素区画752aが規則的に配置されると、多くの補正画素区画752aが、マイクロレンズ62を介して視認可能な位置に位置する可能性が高くなる。補正画素区画752aの位置をランダムに設定することで、補正画素区画752aがマイクロレンズ62を介して視認されることを抑制することができる。
【0079】
(4)補正背景区画752bの位置は、ランダムに設定する。補正背景区画752bは、マイクロレンズ62を介して視認可能な位置に位置した場合、画素虚像73において、在るべき画素ドット75が欠落した状態として視認される。画素ユニット72は規則的に配列されているため、補正背景区画752bが規則的に配置されると、画素ユニット72における同じ位置の画素区画751aが補正背景区画752bになる可能性が高くなる。すなわち、画素ユニット72における同じ位置の画素ドット75が欠落する可能性が高くなる。画素ユニット72における同じ位置の画素ドット75が欠落すると、画素虚像73において、当該画素ドット75が欠落した状態として視認される。補正背景区画752bの位置をランダムに設定することで、補正背景区画752bが画素虚像73において、画素ドット75が欠落した部分として視認されることを抑制することができる。
【0080】
(5)基準画素集合体として、画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dの中で、画素集合体71における画素区画751aの占有率(%)が中間の値である画素集合体71aを選択している。これにより、画素集合体71b、画素集合体71c、又は画素集合体71dを基準画素集合体とする場合にくらべて、画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dにおいて、補正画素区画752a又は補正背景区画752bに設定する画素ドット区画751の数を少なくすることができる。すなわち補正前と補正後との階調の差を小さくすることができる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下の変形例のように実施することもできる。
【0082】
(変形例1)前記実施形態においては、虚像現出装飾体51が備える画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dの中の画素集合体71aを、基準画素集合体として選択していた。しかし、基準とするユニット集合体(画素集合体)を、階調の補正を実施する対象の虚像現出装飾体が備えるユニット集合体の中から選択することは、必須ではない。基準とするユニット集合体(画素集合体)は、階調の補正を実施する対象の虚像現出装飾体とは異なる虚像現出装飾体が備えるユニット集合体であってもよい。
【0083】
(変形例2)前記実施形態においては、画素集合体71aを、基準画素集合体として選択し、画素集合体71cにおいては、補正画素区画752aを設定して階調を補正し、画素集合体71b、及び画素集合体71dにおいては、補正背景区画752bを設定して階調を補正していた。しかし、3個以上の画像表示部を備える虚像現出装飾体において、追加画素ドットを配置することで画素ドットの総数を補正するユニット集合体と、ユニット集合体が備える画素ユニットの一部を、画素ユニットを構成する画素ドットの一部が削除された画素減少ユニットにすることによって画素ドットの総数を補正するユニット集合体とを、ともに存在させることは必須ではない。虚像現出装飾体において、追加画素ドットを配置することのみによって、ユニット集合体の画素ドットの総数を補正してもよいし、ユニット集合体が備える画素ユニットの一部を画素減少ユニットにすることのみによって、ユニット集合体の画素ドットの総数を補正してもよい。
【0084】
(変形例3)前記実施形態においては、インクジェット方式の液滴吐出装置1を用いて、虚像現出装飾体51が備える画素集合体71を構成する画素ユニット72の画素ドット75を描画することによって、画素集合体71を形成していた。しかし、液滴吐出装置を用いて、画素ドットの材料を配置することは必須ではない。画素ドットは、他の印刷方法などを用いて形成してもよい。
【0085】
(変形例4)前記実施形態においては、ランダムマスクは、ディザ法を用いて点の位置をランダムに配置したランダムディザマスク、又はフィボナッチ数列を用いた非重複螺旋配置座標に点の位置を配置することで、点の位置をランダムに配置したランダムマスクであった。しかし、追加画素ドットを配置する位置などをランダムに設定するために、ディザ法やフィボナッチ数列を用いることは必須ではない。ランダムマスクを形成する方法は、設定した階調に応じたランダムマスクを形成することが可能であれば、どのような方法であってもよい。
【0086】
(変形例5)前記実施形態においては、虚像現出装飾体51のマイクロレンズアレイ61におけるマイクロレンズ62の配設ピッチP1と、画素集合体71における画素ユニット72の配設ピッチP2との関係は、ピッチP1>ピッチP2であった。また、ピッチP1×(マイクロレンズアレイ61におけるマイクロレンズ62の行数又は列数−1)=ピッチP2×(画素集合体71における画素ユニット72の行数又は列数)を満たす関係であった。しかし、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの配設ピッチP1と、画素集合体における画素ユニットの配設ピッチP2との関係は、ピッチP1<ピッチP2であってもよい。ピッチP1<ピッチP2の場合、ピッチP1×(マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの行数又は列数+1)=ピッチP2×(画素集合体における画素ユニットの行数又は列数)となるように、ピッチP1、ピッチP2、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの行数及び列数、及び画素集合体における画素ユニットの行数及び列数を設定する。
ピッチP1>ピッチP2の場合、形成される虚像は、画素集合体の位置より沈んで(奥側に)見える。ピッチP1<ピッチP2の場合、形成される虚像は、画素集合体の位置より浮かんで(手前側に)見える。
【0087】
(変形例6)前記実施形態においては、虚像現出装飾体51が備える画素集合体71は4個であったが、虚像現出装飾体が備える画像表示部は、何個であってもよい。例えば、1個の画像表示部を備え、当該画像表示部に現出される虚像の階調を、上記した階調の調整方法を用いて、調整してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…液滴吐出装置、20…液滴吐出ヘッド、24…吐出ノズル、51…虚像現出装飾体、53…基材、55…撥液層、61…マイクロレンズアレイ、62…マイクロレンズ、71…画素集合体、71a,71b,71c,71d…画素集合体、72…画素ユニット、72a,72b,72c,72d…画素ユニット、73…画素虚像、73A,73B,73C,73D…画素虚像、75…画素ドット、76…虚像ユニット、76a,76b,76c,76d…虚像ユニット、91…着弾点、91A…着弾円、610…マイクロレンズアレイ、620…マイクロレンズ、710…虚像領域、710a,710b,710c,710d…虚像領域、720…画素ユニット、721…画素ユニット領域、721a,721b,721c,721d…画素ユニット領域、751…画素ドット区画、751a…画素区画、751b…背景区画、752a…補正画素区画、752b…補正背景区画。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える画像表示部を備える虚像現出装飾体の製造方法であって、
前記画素ユニットは、所定の位置関係に配置された画素ドットを備え、
前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を、基準とする前記ユニット集合体である基準ユニット集合体における前記画素ドットの総数に近づけるように補正する補正工程を有することを特徴とする虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項2】
前記虚像現出装飾体は複数の前記画像表示部を備え、
前記補正工程においては、前記虚像現出装飾体が備える複数の前記画像表示部のひとつが備える前記ユニット集合体を、前記基準ユニット集合体として、前記画素ドットの総数を補正することを特徴とする、請求項1に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項3】
前記ユニット集合体に、追加画素ドットを配置することで、前記ユニット集合体における前記画素ドットの数を増加させることによって、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を補正することを特徴とする、請求項1又は2に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項4】
前記ユニット集合体が備える前記画素ユニットの一部を、前記画素ユニットを構成する前記画素ドットの一部が削除された画素減少ユニットにすることで、前記ユニット集合体における前記画素ドットの数を減少させることによって、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を補正することを特徴とする、請求項1又は2に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項5】
前記虚像現出装飾体は3個以上の前記画像表示部を備え、
3個以上の前記画像表示部における、少なくともひとつの前記画像表示部においては、前記ユニット集合体に、追加画素ドットを配置することで、前記ユニット集合体における前記画素ドットの数を増加させることによって、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を補正し、少なくともひとつの前記画像表示部においては、前記ユニット集合体が備える前記画素ユニットの一部を、前記画素ユニットを構成する前記画素ドットの一部が削除された画素減少ユニットにすることで、前記画素ドットの数を減少させることによって前記画素ドットの総数を補正することを特徴とする、請求項1又は2に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項6】
前記追加画素ドットの前記ユニット集合体における配設位置、又は前記削減画素ドットとして選択する前記画素ドットの前記ユニット集合体における位置の少なくとも一方を、ランダムディザパターンに基づいて決定することを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項7】
前記追加画素ドットの前記ユニット集合体における配設位置、又は前記削減画素ドットとして選択する前記画素ドットの前記ユニット集合体における位置の少なくとも一方を、フィボナッチ数列に基づくパターンによって決定することを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項8】
液状体を液滴として吐出し、被描画媒体上に着弾させることによって、前記被描画媒体上に前記液状体を配置する液滴吐出装置を用いて、前記画素ドットの材料を配置することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項9】
画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える画像表示部を備える虚像現出装飾体であって、
前記画素ユニットは、所定の位置関係に配置された画素ドットを備え、
前記ユニット集合体には、前記ユニット集合体における前記画素ドットの総数を、基準とする前記ユニット集合体である基準ユニット集合体における前記画素ドットの総数に近づけるように補正するための追加画素ドットが配設されていることを特徴とする虚像現出装飾体。
【請求項10】
画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える画像表示部を備える虚像現出装飾体であって、
前記画素ユニットは、所定の位置関係に配置された画素ドットを備え、
前記ユニット集合体は、前記画素ユニットを構成する前記画素ドットから、一部の前記画素ドットが削除された画素減少ユニットを含むことを特徴とする虚像現出装飾体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−91198(P2013−91198A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233665(P2011−233665)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)