説明

虚像現出装飾体の製造方法、及び虚像現出装飾体

【課題】虚像現出装飾体の画像表示領域に現出させる虚像の階調を調整可能な虚像現出装飾体の製造方法、及び虚像現出装飾体を提供する。
【解決手段】虚像現出装飾体の製造方法は、画素ドットが所定の位置関係に配置されて形成された画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える虚像現出装飾体の製造方法であって、画素ドットを所定の位置に配設することによって画素ユニットの画像部分を形成して、ユニット集合体を形成するユニット集合体形成工程を有し、ユニット集合体形成工程では、画素ドットの色調が画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットを少なくとも1個含むユニット集合体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規則的に配設された画素ユニットと、画素ユニットを覆う位置に規則的に配設されたレンズ状の集光素とを備え、画素ユニットに形成されている画像が拡大された虚像を現出させる虚像現出装飾体、及び虚像現出装飾体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、規則的に配設された画素ユニットと、画素ユニットを覆う位置に規則的に配設されたレンズ状の集光素とを備え、画素ユニットに形成されている画像が拡大された虚像を現出させる虚像現出装飾体が知られている。
特許文献1には、レンズ状集光素が、10<=線数<=70を満たす紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として形成されており、画素(画素ユニット)が、上記紗体の線数未満の線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として形成されており、拡大虚像を画素(画素ユニット)層の上方に出現させることができる虚像現出装飾体が開示されている。また、レンズ状集光素が、10<=線数<=70を満たす紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として形成されており、画素(画素ユニット)が、上記紗体の線数を超える線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として形成されており、拡大虚像を画素(画素ユニット)層の下方に出現させることができる虚像現出装飾体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3505617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような虚像現出装飾体においては、拡大虚像における画素ユニットの画像の階調は、画素ユニットの画像を形成する画素ドットの階調によって定まる。このため、虚像における画像の階調は画像の有無の2階調のみであり、表現の自由度が乏しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法は、画素ドットが所定の位置関係に配置されて形成された画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える虚像現出装飾体の製造方法であって、前記画素ドットを所定の位置に配設することによって前記画素ユニットの画像部分を形成して、前記ユニット集合体を形成するユニット集合体形成工程を有し、前記ユニット集合体形成工程では、前記画素ドットの色調が前記画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットを少なくとも1個含む前記ユニット集合体を形成することを特徴とする。
【0007】
本適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法によれば、ユニット集合体形成工程では、画素ドットの色調が画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットを少なくとも1個含むユニット集合体を形成する。画素ドットの色調が画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットは、例えば、画素ドットが配置されない画素ユニットである。虚像現出装飾体に現出する虚像は、レンズ体によって形成された画素ユニットの一部分の虚像の集合体である。虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分は、レンズ体によって形成された画素ユニットの画像部分の一部分の虚像の集合体である。背景色画素ユニットにおいては、画素ドットの色調が画素ユニットの背景部分の色調であるため、背景色画素ユニットの画像部分の虚像は、背景部分の色調を有する。背景色画素ユニットが存在することによって、虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分の中に、背景部分の色調を有する虚像が存在する。当該部分は、虚像現出装飾体に現出する虚像をレンズ体が個別に視認可能な程度に拡大して観察すれば個別に判別可能であるが、それより小さい虚像においては、他の画像部分と一体に見える。これにより、虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分全体としては、色調が、画像部分の色調より背景部分の色調側にずれた虚像に見える。同様に、虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分全体としては、階調が、画像部分の階調より背景部分の階調側にずれた虚像に見える。当該階調のずれ量は、背景色画素ユニットの数によって異なるため、背景色画素ユニットの数を調整することによって、画像部分の階調を調整することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記ユニット集合体形成工程では、前記背景色画素ユニットを、前記ユニット集合体におけるランダムな位置に配置することが好ましい。
【0009】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、背景色画素ユニットは、ユニット集合体におけるランダムな位置に配置される。虚像現出装飾体に現出する虚像は、レンズ体によって形成された画素ユニットの一部分の虚像の集合体である。1個の背景色画素ユニットは、1個のレンズ体を介して、その一部分が虚像として視認される。虚像現出装飾体に現出する虚像において、1個のレンズ体が占める面積は微小である。虚像現出装飾体に現出する虚像において、1個の背景色画素ユニットが、1個のレンズ体を介して個別に視認できることは実際的にない。したがって、背景色画素ユニットは、単独で存在する状態では、レンズ体を介しても視認され難い。しかし、多数の背景色画素ユニットが互いに近くに位置すると、レンズ体を介して形成された背景色の画素ドットの虚像が、虚像現出装飾体に現出する虚像において、かたまって存在し、視認されやすくなる。背景色の画素ドットが虚像として視認されると、画像が欠けて見える。背景色画素ユニットを、ユニット集合体におけるランダムな位置に配置することで、背景色画素ユニットが近接して配置されることに起因して背景色画素ユニットの虚像が視認されやすくなることを、抑制することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記画素ユニットの前記背景部分に背景色材を配置して、前記背景部分を形成する背景形成工程をさらに有し、前記背景形成工程では、前記背景部分が前記画素ユニットを形成する基材の表面である基材面背景ユニットを、少なくとも1個形成することが好ましい。
【0011】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、背景形成工程を有し、背景形成工程では、背景部分が画素ユニットを形成する基材の表面である基材面背景ユニットを、形成する。背景部分が基材の表面である基材面背景ユニットは、例えば、背景色材が配置されないユニット集合体である。虚像現出装飾体に現出する虚像は、レンズ体によって形成された画素ユニットの一部分の虚像の集合体である。虚像現出装飾体に現出する虚像における背景部分は、レンズ体によって形成された画素ユニットの背景部分の一部分の虚像の集合体である。基材面背景ユニットにおいては、背景部分の色調が基材面の色調であるため、基材面背景ユニットの背景部分の虚像は、基材面の色調を有する。基材面背景ユニットが存在することによって、虚像現出装飾体に現出する虚像における背景部分の中に、基材面の色調を有する虚像が存在する。当該部分は、虚像現出装飾体に現出する虚像をレンズ体が個別に視認可能な程度に拡大して観察すれば個別に判別可能であるが、それより小さい虚像においては、他の背景部分と一体に見える。これにより、虚像現出装飾体に現出する虚像における背景部分全体としては、色調が、画像部分の色調より背景部分の色調側にずれた虚像に見える。同様に、虚像現出装飾体に現出する虚像における背景部分全体としては、階調が、背景部分の階調より基材面の階調側にずれた虚像に見える。当該階調のずれ量は、基材面背景ユニットの数によって異なるため、基材面背景ユニットの数を調整することによって、背景部分の階調を調整することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記背景形成工程では、前記基材面背景ユニットを、前記ユニット集合体におけるランダムな位置に配置することが好ましい。
【0013】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、背景形成工程において、基材面背景ユニットは、ユニット集合体におけるランダムな位置に配置される。虚像現出装飾体に現出する虚像の背景部分は、レンズ体によって形成された画素ユニットの背景部分の一部分の虚像の集合体である。1個の基材面背景ユニットは、1個のレンズ体を介して、その一部分が虚像として視認される。虚像現出装飾体に現出する虚像において、1個のレンズ体が占める面積は微小である。虚像現出装飾体に現出する虚像において、1個の基材面背景ユニットが、1個のレンズ体を介して個別に視認できることは実際的にない。したがって、基材面背景ユニットは、単独で存在する状態では、レンズ体を介しても視認され難い。しかし、多数の基材面背景ユニットが互いに近くに位置すると、レンズ体を介して形成された基材面の虚像が、虚像現出装飾体に現出する虚像において、かたまって存在し、視認されやすくなる。基材面が虚像として視認されると、背景色の中に基材面の点が存在するように見える。基材面背景ユニットを、ユニット集合体におけるランダムな位置に配置することで、基材面背景ユニットが近接して配置されることに起因して基材面背景ユニットの虚像が視認されやすくなることを、抑制することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる虚像現出装飾体の製造方法において、前記ユニット集合体における、前記背景色画素ユニット、又は前記基材面背景ユニットの少なくとも一方の配設位置を、ランダムディザパターンによって決定することが好ましい。
【0015】
この虚像現出装飾体の製造方法によれば、ユニット集合体における、背景色画素ユニットや基材面背景ユニットの配設位置を、ランダムディザパターンによって決定する。ランダムディザパターンに、ディザ法を用いて、点の座標位置をランダムに配置したパターンである。ユニット集合体における、背景色画素ユニットの配設位置を、ランダムディザパターンにおけるドットの座標位置と重ならない位置にすることで、虚像現出装飾体に現出する虚像を視点を変えて観察した場合の、画像部分の階調のゆらぎを抑制することができる。ユニット集合体における、基材面背景ユニットの配設位置を、ランダムディザパターンにおけるドットの座標位置と重ならない位置にすることで、虚像現出装飾体に現出する虚像を視点を変えて観察した場合の、背景部分の階調のゆらぎを抑制することができる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかる虚像現出装飾体は、画素ドットが所定の位置関係に配置されて形成された画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備え、前記ユニット集合体は、前記画素ドットの色調が前記画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットを少なくとも1個含むことを特徴とする。
【0017】
本適用例にかかる虚像現出装飾体によれば、ユニット集合体は、画素ドットの色調が画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットを少なくとも1個含んでいる。画素ドットの色調が画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットは、例えば、画素ドットが配置されない画素ユニットである。虚像現出装飾体に現出する虚像は、レンズ体によって形成された画素ユニットの一部分の虚像の集合体である。虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分は、レンズ体によって形成された画素ユニットの画像部分の一部分の虚像の集合体である。背景色画素ユニットにおいては、画素ドットの色調が画素ユニットの背景部分の色調であるため、背景色画素ユニットの画像部分の虚像は、背景部分の色調を有する。背景色画素ユニットが存在することによって、虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分の中に、背景部分の色調を有する虚像が存在する。当該部分は、虚像現出装飾体に現出する虚像をレンズ体が個別に視認可能な程度に拡大して観察すれば個別に判別可能であるが、それより小さい虚像においては、他の画像部分と一体に見える。これにより、虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分全体としては、色調が、画像部分の色調より背景部分の色調側にずれた虚像に見える。同様に、虚像現出装飾体に現出する虚像における画像部分全体としては、階調が、画像部分の階調より背景部分の階調側にずれた虚像に見える。当該階調のずれ量は、背景色画素ユニットの数によって異なるため、背景色画素ユニットの数を調整することによって、画像部分の階調を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は、液滴吐出装置全体の概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を吐出走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図3】(a)は、虚像現出装飾体の構成の要部を示す断面図。(b)は、虚像現出装飾体に形成される虚像を示す模式平面図。
【図4】(a)は、虚像現出装飾体のレンズアレイの構成を示す平面図。(b)は、レンズアレイの拡大平面図。(c)は、虚像現出装飾体の画素集合体の構成を示す平面図。(d)は、画素集合体の拡大平面図。(e)は、虚像現出装飾体のレンズアレイと画素集合体との構成を示す平面図。(f)は、レンズアレイと画素集合体との拡大平面図。
【図5】(a)は、虚像現出装飾体における、画素ユニットを備える画素集合体の構成を示す平面図。(b)は、画素集合体における、画素ユニットの構成を示す平面図。
【図6】(a)、(b)、(c)、及び(d)は、画素ユニットを画素ドットで示した説明図。(e)、(f)、(g)、及び(h)は、画素ユニットを画素ドット区画で示した説明図。
【図7】(a)は、階調の調整を実施していない画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図。(b)は、(a)に示した画素集合体において階調を調整した調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図。(c)は、背景部分に背景色が配置されており、階調の調整を実施していない画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図。(d)、(e)、及び(f)は、(c)に示した画素集合体において階調を調整した調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図。
【図8】(a)は、ランダムディザマスクの説明図。(b)は、調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図。
【図9】(a)は、ランダムディザマスクの説明図。(b)は、調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る虚像現出装飾体の製造方法、及び虚像現出装飾体の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態は、インクジェット方式の液滴吐出装置を用いて、虚像現出装飾体が備える画像表示部が備えるユニット集合体を構成する画素ユニットを描画することによって、画像表示部を形成する工程を例にして説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像などを形成する装置である。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0020】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置1について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。図1(a)は、液滴吐出装置全体の概略構成を示す外観斜視図であり、図1(b)は、液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図である。
【0021】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、メンテナンス装置部5と、吐出装置制御部7と、を備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を備えている。ヘッド機構部2は、また、図示省略した紫外線照射部を有している。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴の吐出対象(描画対象物)であるワークWを載置するワーク載置台33を備えている。機能液供給部4は、液滴吐出ヘッド20へ機能液を供給する。メンテナンス装置部5は、液滴吐出ヘッド20の保守を行う。吐出装置制御部7は、これら各機構部などを総括的に制御する。さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。
【0022】
定盤9の上面には、ワーク機構部3が配設されている。ワーク機構部3は、定盤9の長手方向(X軸方向)に延在している。ワーク機構部3の上方には、定盤9に固定された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が配設されている。ヘッド機構部2は、ワーク機構部3と略直交する方向(Y軸方向)に延在している。定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド20に連通する供給管を有する機能液供給部4の機能液タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持柱の近傍には、メンテナンス装置部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に延在して配設されている。さらに、定盤9の下側に、吐出装置制御部7が収容されている。
【0023】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を支持するヘッドキャリッジ22とを備えている。ヘッドキャリッジ22をY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。ワーク機構部3は、ワーク載置台33をX軸方向に移動させることで、ワーク載置台33に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0024】
液滴吐出ヘッド20を、Y軸方向の吐出位置まで移動させて停止させ、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調させて、機能液を液滴として吐出させる。液滴吐出ヘッド20からの機能液の吐出をともなう、液滴吐出ヘッド20とワークWとの相対移動方向(走査方向)であるX軸方向を、吐出走査方向と表記する。
X軸方向に移動させるワークWと、Y軸方向に移動させる液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する描画などを行うことが可能である。
【0025】
図1(b)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にあるワークWなどに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1(a)に示したY軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。
【0026】
Y軸方向の描画範囲を広げるためには、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に連ねてもよいし、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に移動させて、液滴吐出ヘッド20のY軸方向における位置ごとに、ワークWのX軸方向の移動と液滴吐出ヘッド20からの吐出を実施してもよい。
Y軸方向の液滴の配置ピッチを小さくするためには、複数の液滴吐出ヘッド20を、Y軸方向における吐出ノズル24の位置を互いにずらしてX軸方向に並べてもよいし、3列以上のノズル列を備える液滴吐出ヘッドを用いてもよい。もちろん、製造可能な範囲であれば、ノズルピッチが小さい液滴吐出ヘッドを用いることもできる。
【0027】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図2を参照して説明する。図2は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図2(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図2(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図2(c)は、液滴を吐出走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図2(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図2に示したX軸方向及びY軸方向は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。X軸方向が吐出走査方向であって、図2に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において機能液の液滴を吐出することによって、X軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0028】
図2(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。上述したように、2列のノズル列24Aをそれぞれ構成する吐出ノズル24同士は、Y軸方向において、相互に、ノズルピッチPの1/2ずつ位置がずれている。
【0029】
図2(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。2列のノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図2(b)に二点鎖線で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが直線状に連なるパターンが形成される。
【0030】
図2(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、X軸方向に着弾円91Aが直線状に連なるパターンが形成される。X軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、X軸方向における相対移動速度と、吐出ノズル24の最小吐出間隔(時間)との積である。
【0031】
図2(d)に示すように、二点鎖線で示した仮想線L1,L2,L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、X軸方向に並列した着弾面が形成される。図2(d)に示した仮想線L1,L2,L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0032】
画像の描画に際しては、画像の情報に従って、図2(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を配置する位置を定める。例えば、当該配置位置、及び配置位置に液滴を吐出する吐出ノズル24を指定した画素配置図を形成し、当該画素配置図に従って機能液を着弾させることによって、画像の情報によって規定される画像を描画する。なお、図2(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。もちろん、他の液滴と重ねることなく、1滴の液滴を独立させて配置することも可能である。
【0033】
<虚像現出装飾体>
次に、画素ユニットを有する画素集合体、及びマイクロレンズアレイを備える虚像現出装飾体の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、虚像現出装飾体の構成を示す模式図である。図3(a)は、虚像現出装飾体の構成の要部を示す断面図であり、図3(b)は、虚像現出装飾体に形成される虚像を示す模式平面図である。図4は、虚像現出装飾体を構成する要素の構成を示す模式図である。図4(a)は、虚像現出装飾体のレンズアレイの構成を示す平面図であり、図4(b)は、レンズアレイの拡大平面図であり、図4(c)は、虚像現出装飾体の画素集合体の構成を示す平面図であり、図4(d)は、画素集合体の拡大平面図であり、図4(e)は、虚像現出装飾体のレンズアレイと画素集合体との構成を示す平面図であり、図4(f)は、レンズアレイと画素集合体との拡大平面図である。
【0034】
図3(a)に示すように、虚像現出装飾体51は、基材53と、マイクロレンズアレイ61と、画素集合体71とを備えている。基材53は、透明な素材で形成されたフィルム状の部材である。基材53の素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。基材53の一面には、撥液層55が形成されている。撥液層55の上には、マイクロレンズアレイ61を構成するマイクロレンズ62が形成されている。基材53の撥液層55が形成されている面の反対側の面には、画素集合体71を構成する画素ユニット72が形成されている。
【0035】
図3(a)に示した矢印sの方向から見ると、図3(b)に示すように、画素虚像73を視認することができる。図3(b)には、画素虚像73として、文字A、文字B、文字C、及び文字Dが例示してある。文字A、文字B、文字C、又は文字Dの形状を有する画素虚像73を、画素虚像73A、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dと表記する。1個の画素集合体71に対応して1個の画素虚像73が現出する。1個の画素集合体71が形成されており、1個の画素虚像73が現出する領域を集合体領域710と表記する。画素虚像73A、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dが形成される集合体領域710を、集合体領域710a、集合体領域710b、集合体領域710c、又は集合体領域710dと表記する。
【0036】
マイクロレンズアレイ61は、マイクロレンズ62が格子状に等ピッチ間隔で並べられて形成されている。1個の集合体領域710に対応する位置に形成されているマイクロレンズ62の集合をマイクロレンズアレイ61と表記し、虚像現出装飾体51全体に形成されているマイクロレンズ62の集合をマイクロレンズアレイ610と表記する。図4(a)に二点鎖線で示した領域に、マイクロレンズアレイ610が形成されている。図4(b)に示すように、マイクロレンズアレイ61は、マイクロレンズ62がピッチP1で、縦横に配列されている。マイクロレンズアレイ61には、例えば、45行×45列で、2025個のマイクロレンズ62が形成されている。ピッチP1は、例えば180μmである。
【0037】
図4(c)に示した二点鎖線で囲まれた領域が、1個所の集合体領域710を示している。1個所の集合体領域710には、1個の画素集合体71が形成されている。集合体領域710a、集合体領域710b、集合体領域710c、又は集合体領域710dに形成されている画素集合体71を、画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、又は画素集合体71dと表記する。図4(d)に示すように、画素集合体71は、画素ユニット72がピッチP2で、縦横に配列されている。ピッチP2と、ピッチP1とは、ピッチP1×(マイクロレンズアレイ61におけるマイクロレンズ62の行数又は列数−1)=ピッチP2×(画素集合体71における画素ユニット72の行数又は列数)の関係を満たす値に設定されている。図4(d)に示した画素集合体71は、画素集合体71aであり、画素虚像73Aと略相似形状を有する画素ユニット72aがピッチP2で配列されている。図4(c)に示した画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dは、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dと略相似形状を有する画素ユニット72b、画素ユニット72c、又は画素ユニット72dがピッチP2で配列されている。
画素集合体71には、例えば、45行×45列で、2025個の画素ユニット72が形成されている。ピッチP2は、例えば176μmである。
【0038】
図4(e)に示すように、虚像現出装飾体51では、マイクロレンズアレイ61と画素集合体71とが、基材53の面に平行な方向において重なる状態で形成されている。画素虚像73を現出させるマイクロレンズアレイ61と画素集合体71との組を、虚像ユニット76と表記する。画素虚像73A、画素虚像73B、画素虚像73C、又は画素虚像73Dを現出させる虚像ユニット76を、虚像ユニット76a、虚像ユニット76b、虚像ユニット76c、虚像ユニット76dと表記する。
【0039】
図4(f)に示すように、虚像ユニット76(虚像ユニット76a)において、マイクロレンズアレイ61のマイクロレンズ620と、画素集合体71の画素ユニット720とが、中心が合致している。マイクロレンズ620は、マイクロレンズアレイ61の中央のマイクロレンズ62であり、画素ユニット720は、画素集合体71の中央の画素ユニット72である。マイクロレンズ620の隣のマイクロレンズ62と、画素ユニット720の隣の画素ユニット72とは、中心位置が、ピッチP1とピッチP2との差に相当する量だけずれている。P1が180μmであり、ピッチP2が176μmである場合、4μmずれている。
虚像ユニット76の端においては、画素集合体71が有する画素ユニット72の行又は列における端の行又は列を構成する画素ユニット72の中心位置は、マイクロレンズアレイ61が有するマイクロレンズ62の行又は列における端の行又は列を構成するマイクロレンズ62の中心位置と端から2番目の行又は列を構成するマイクロレンズ62の中心位置との中点に位置する。
画素集合体71が、ユニット集合体に相当する。マイクロレンズ62が、レンズ体に相当する。マイクロレンズアレイ61が、レンズ集合体に相当する。
【0040】
このように構成された虚像現出装飾体51において、画素ユニット72と対応するマイクロレンズ62とによって、画素ユニット72の一部分の虚像が形成される。虚像ユニット76において、画素ユニット72と対応するマイクロレンズ62ごとに、虚像として形成する画素ユニット72の部分が異なっている。このため、虚像ユニット76において、マイクロレンズ62によって画素ユニット72が拡大された画素虚像73が、視認可能に形成される。
【0041】
<画素集合体及び画素ユニット>
次に、虚像現出装飾体51が備える画素集合体71の構成、及び画素集合体71が備える画素ユニット72の構成について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、虚像現出装飾体における画素集合体の構成を示す模式図である。図5(a)は、虚像現出装飾体における、画素集合体の構成を示す平面図であり、図5(b)は、画素集合体における、画素ユニットの構成を示す平面図である。図6は、画素ユニットの構成を示す説明図である。図6(a)、(b)、(c)、及び(d)は、画素ユニットを画素ドットで示した説明図であり、図6(e)、(f)、(g)、及び(h)は、画素ユニットを画素ドット区画で示した説明図である。
【0042】
図5(a)は、図4(c)と同様の図である。図5(a)に示したように、虚像現出装飾体51は、4個所の集合体領域710を備えている。図4(c)を参照して説明したように、1個所の集合体領域710には、1個の画素集合体71が形成されている。集合体領域710a、集合体領域710b、集合体領域710c、及び集合体領域710dには、画素集合体71a、画素集合体71b、画素集合体71c、又は画素集合体71dが形成されている。
【0043】
図5(b)に示したように、画素集合体71aには、45行×45列で、2025個の画素ユニット72aが形成されている。画素ユニット72aの配設ピッチは、行ピッチも列ピッチも、例えば、176μmである。画素集合体71bなどの、画素集合体71a以外の画素集合体71においても同様である。画素集合体71b、画素集合体71c、及び画素集合体71dには、45行×45列で、2025個の、画素ユニット72b、画素ユニット72c、又は画素ユニット72dが形成されている。
【0044】
図6(a)に示したように、画素ユニット72aは、16個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。画素ユニット72は、画素ドット75を16行×16列に配置できる画素ユニット領域721に、1個の画素ユニット72を形成する。図6(e)では、画素ユニット領域721を16行×16列の画素ドット区画751に区切って示している。画素ドット区画751における、画素ドット75に対応する画素ドット区画751を画素区画751aと表記する。画素ユニット72の背景部分に相当する画素ドット区画751であって、基材53の面のままである画素ドット区画751を基材色区画751bと表記する。図6(e)に示すように、画素ユニット72aは、16個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72aが形成されている画素ユニット領域721aには、16×16−16=240個の、基材色区画751bが存在する。
【0045】
図6(b)に示したように、画素ユニット72bは、18個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。図6(f)に示すように、画素ユニット72bは、18個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72bが形成されている画素ユニット領域721bには、238個の、基材色区画751bが存在する。
図6(c)に示したように、画素ユニット72cは、15個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。図6(g)に示すように、画素ユニット72cは、15個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72cが形成されている画素ユニット領域721cには、241個の、基材色区画751bが存在する。
図6(d)に示したように、画素ユニット72dは、18個の画素ドット75が所定の位置関係に配設されることによって形成されている。図6(h)に示すように、画素ユニット72dは、18個の画素区画751aが所定の相対位置に配設されて形成されている。画素ユニット72dが形成されている画素ユニット領域721dには、238個の、基材色区画751bが存在する。
【0046】
なお、画素ドット75及び画素ドット区画751は、説明を判りやすくするために、画素ユニット72を構成する要素を模式的に示したものである。画素集合体71を上述した液滴吐出装置1を用いて形成する場合、画素ドット75が、図2を参照して説明した着弾点91に対応し、画素ドット区画751が着弾円91Aに対応する。図2(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、描画する画素集合体71における画素ユニット72の画素ドット75の位置に対応して、液滴を着弾させる着弾点91と液滴を着弾させない着弾点91とを定めることによって、液状体の液滴を着弾させる位置を規定する画素配置図が形成される。形成した画素配置図における着弾点91に対応する位置に液滴を着弾させることで、画素集合体71を描画する。
【0047】
図2を参照して説明したように、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。着弾した液滴が濡れ広がることで、画素ユニット72は、画素ドット75又は画素ドット区画751がつながって形成された形状となる。当該画素ユニット72の集合である画素集合体71がマイクロレンズアレイ61を介して虚像として視認されることで、図3(b)に示したような、画素虚像73として視認される。
【0048】
<調整画素集合体例1>
次に、現出させる虚像における、画像の階調や背景の階調を調整した調整画素集合体について、図7を参照して説明する。調整画素集合体は、画素集合体71における画素ユニット72の数などを調整して形成する。図7は、調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図である。図7(a)は、階調の調整を実施していない画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図であり、図7(b)は、図7(a)に示した画素集合体において階調を調整した調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図である。図7(c)は、背景部分に背景色が配置されており、階調の調整を実施していない画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図であり、図7(d)、図7(e)、及び図7(f)は、図7(c)に示した画素集合体において階調を調整した調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図である。
【0049】
図7(a)に一部分を示した画素集合体71は、図5などを参照して説明した画素集合体71(画素集合体71a)である。上述したように、画素集合体71は、画素ユニット領域721に形成された画素ユニット72を備えている。画素集合体71において、画素ユニット領域721は、45行×45列に配列されている。画素ユニット領域721は、所定の相対位置に配設された画素区画751aと、基材色区画751bとを備えている。画素ユニット72は、基材色区画751bの中に、画素区画751aを所定の相対位置関係に配置して形成されている。
【0050】
図7(b)に一部分を示した画素集合体715は、画素ユニット72と、基材色ユニット745とを備えている。画素集合体715は、調整集合体領域705に形成されている。調整集合体領域705は、画素ユニット領域721と、画素ユニット領域725とを備えている。基材色ユニット745は、画素ユニット領域725に形成されている。画素ユニット領域725は、基材色区画751bを備えている。画素ユニット領域725は、基材色区画751bが、16行×16列に配列されて形成されている。すなわち、画素ユニット領域725は、画素区画751aを備えておらず、画素ドット75が配置されない領域である。言い換えると、基材色ユニット745は、画素ユニット72から画素ドット75を削除したものである。画素集合体715における基材色ユニット745が、背景色画素ユニットに相当する。
【0051】
画素集合体715を形成する工程では、画素ドット75を形成するための液滴を、画素ユニット領域721における、画素区画751aの位置に配置する。画素ユニット領域725には、画素区画751aが存在しないため、画素ドット75を形成するための液滴は配置されず、画素ユニット領域725では、基材53の表面がそのまま維持される。
図7(b)に示すように、画素集合体715は、略同数の画素ユニット72と、基材色ユニット745と、を備えている。したがって、画素集合体715は、画素集合体71が備える画素ユニット72の、半分の数の画素ユニット72を備えている。画素集合体715を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体71を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略50%である。
【0052】
図7(c)に一部分を示した画素集合体714は、画素ユニット74を備えている。画素集合体714は、集合体領域704に形成されている。集合体領域704は、画素ユニット領域726を備えている。集合体領域704において、画素ユニット領域726は、45行×45列に配列されている。
画素ユニット74は、画素ユニット領域726に形成されている。画素ユニット領域726は、画素ユニット領域721と同様に、画素ドット区画751が、16行×16列に配列されて形成されている。
【0053】
画素ユニット領域726は、画素区画751aと、背景色区画751cとを、備えている。画素区画751aは、上述したように、画素ドット75が配置される画素ドット区画751である。画素ユニット領域726において、画素区画751aは、画素ユニット領域721における画素区画751aと同様に配列されている。画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)は、マイクロレンズ62を介して形成された画素区画751aの一部分の虚像の集合体である。画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の色調は、略画素区画751aの色調であり、階調は、略画素区画751aの階調である。
背景色区画751cは、背景色に彩色された画素ドット区画751である。画素ユニット領域726において、画素区画751a以外の画素ドット区画751は、背景色区画751cである。画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分は、マイクロレンズ62を介して形成された背景色区画751cの一部分の虚像の集合体である。画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の色調は、略背景色区画751cの色調であり、階調は、略背景色区画751cの階調である。
【0054】
画素集合体714を形成する工程では、最初に、背景色区画751cの位置に、背景色の材料を配置する。例えば、調整集合体領域706の全面に、背景色を形成するための液滴を配置して、集合体領域704の全面を背景色にする。次に、画素ドット75を形成するための液滴を、画素ユニット領域726における、画素区画751aの位置に配置する。
【0055】
図7(d)に一部分を示した画素集合体716は、画素ユニット74と、背景色ユニット747とを備えている。画素集合体716は、調整集合体領域706に形成されている。調整集合体領域706は、画素ユニット領域726と、画素ユニット領域727とを備えている。
背景色ユニット747は、画素ユニット領域727に形成されている。画素ユニット領域727は、背景色区画751cを備えている。画素ユニット領域727は、背景色区画751cが、16行×16列に配列されて形成されている。すなわち、画素ユニット領域727は、画素区画751aを備えておらず、画素ドット75が配置されない領域である。言い換えると、背景色ユニット747は、画素ユニット74から画素ドット75を削除したものである。画素集合体716における背景色ユニット747が、背景色画素ユニットに相当する。
【0056】
画素集合体716を形成する工程では、最初に、背景色区画751cの位置に、背景色の材料を配置する。例えば、調整集合体領域706の全面に、背景色を形成するための液滴を配置して、調整集合体領域706の全面を背景色にする。次に、画素ドット75を形成するための液滴を、画素ユニット領域726における、画素区画751aの位置に配置する。画素ユニット領域727には、画素区画751aが存在しないため、画素ドット75を形成するための液滴は配置されず、画素ユニット領域727では、背景色の面がそのまま維持される。
【0057】
図7(d)に示すように、画素集合体716は、略同数の画素ユニット74と、背景色ユニット747と、を備えている。したがって、画素集合体716は、画素集合体714が備える画素ユニット74の、略半分の数の画素ユニット74を備えている。画素集合体716を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略50%である。
画素集合体716を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分は、マイクロレンズ62を介して形成された、画素ユニット74における背景部分の一部分の虚像、及び背景色ユニット747の一部分の虚像の集合体である。画素ユニット74における背景部分は、背景色区画751cである。背景色ユニット747は、全面が背景色区画751cである。したがって、画素集合体716を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分は、マイクロレンズ62を介して形成された背景色区画751cの一部分の虚像の集合体である。画素集合体716を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の色調は、略背景色区画751cの色調であり、階調は、略背景色区画751cの階調である。
【0058】
図7(e)に一部分を示した画素集合体717は、画素ユニット74と、基材色ユニット745とを備えている。画素集合体717は、調整集合体領域707に形成されている。調整集合体領域707は、画素ユニット領域726と、画素ユニット領域725とを備えている。
画素ユニット74は、画素ユニット領域726に形成されている。上述したように、画素ユニット領域726は、画素ドット区画751が、16行×16列に配列されて形成されている。画素ユニット領域726は、画素区画751aと、背景色区画751cとを、備えている。
基材色ユニット745は、画素ユニット領域725に形成されている。上述したように、画素ユニット領域725は、基材色区画751bを備えており、基材色区画751bが、16行×16列に配列されて形成されている。画素ユニット領域725は、画素区画751aを備えておらず、画素ドット75が配置されない領域である。画素集合体717における基材色ユニット745が、基材面背景ユニットに相当する。
【0059】
画素集合体717を形成する工程では、最初に、背景色区画751cの位置に、背景色の材料を配置する。例えば、調整集合体領域707における、画素ユニット領域726の位置の全面に、背景色を形成するための液滴を配置して、調整集合体領域707における画素ユニット領域726の部分を背景色にする。次に、画素ドット75を形成するための液滴を、画素ユニット領域726における、画素区画751aの位置に配置する。画素ユニット領域725には、画素区画751aが存在しないため、画素ドット75を形成するための液滴は配置されない。画素ユニット領域725では、背景色を形成するための液滴も配置されず、画素ドット75を形成するための液滴も配置されないため、基材53の表面がそのまま維持される。
【0060】
図7(e)に示すように、画素集合体717は、略同数の画素ユニット74と、基材色ユニット745と、を備えている。したがって、画素集合体717は、画素集合体714が備える画素ユニット74の、略半分の数の画素ユニット74を備えている。画素集合体717を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)は、マイクロレンズ62を介して形成された、画素ユニット74における画素ドット75の一部分の虚像の集合体である。画素集合体717を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略50%である。
【0061】
画素集合体717を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分は、マイクロレンズ62を介して形成された、画素ユニット74における背景部分の一部分の虚像、及び基材色ユニット745の一部分の虚像の集合体である。画素ユニット領域726における背景部分は、背景色区画751cである。基材色ユニット745は、全面が基材色区画751bである。画素集合体717は、略同数の画素ユニット74と、基材色ユニット745と、を備えており、画素集合体717は、画素集合体714が備える画素ユニット74の、略半分の数の画素ユニット74を備えている。したがって、画素集合体717を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の階調は、画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の階調の、略50%である。
【0062】
図7(f)に一部分を示した画素集合体718は、画素ユニット74と、基材色ユニット745と、背景色ユニット747とを備えている。画素集合体718は、調整集合体領域708に形成されている。調整集合体領域708は、画素ユニット領域726と、画素ユニット領域725と、画素ユニット領域727とを備えている。
画素ユニット74は、画素ユニット領域726に形成されている。基材色ユニット745は、画素ユニット領域725に形成されている。背景色ユニット747は、画素ユニット領域727に形成されている。画素ユニット領域726は、画素区画751aと、背景色区画751cとを備えている。画素ユニット領域725は、基材色区画751bを備えている。画素ユニット領域727は、背景色区画751cを備えている。
【0063】
画素集合体718を形成する工程では、最初に、背景色区画751cの位置に、背景色の材料を配置する。例えば、調整集合体領域708における、画素ユニット領域726の位置の全面、及び画素ユニット領域727の位置の全面に、背景色を形成するための液滴を配置して、調整集合体領域708における画素ユニット領域726及び画素ユニット領域727の部分を背景色にする。次に、画素ドット75を形成するための液滴を、画素ユニット領域726における、画素区画751aの位置に配置する。
画素ユニット領域725及び画素ユニット領域727には、画素区画751aが存在しないため、画素ドット75を形成するための液滴は配置されない。画素ユニット領域725では、背景色を形成するための液滴も配置されず、画素ドット75を形成するための液滴も配置されないため、基材53の表面がそのまま維持される。画素ユニット領域727では、背景色を形成するための液滴が配置され、画素ドット75を形成するための液滴は配置されないため、背景色の面がそのまま維持される。
画素集合体718における基材色ユニット745が、基材面背景ユニットに相当する。画素集合体718における基材色ユニット745及び背景色ユニット747が、背景色画素ユニットに相当する。
【0064】
図7(f)に示すように、画素集合体718における画素ユニット74は、画素集合体716や画素集合体717における画素ユニット74と同様に配置されている。したがって、画素集合体718を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体716又は画素集合体717を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調と略同じである。また、画素集合体718を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略50%である。
【0065】
画素集合体718を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分は、マイクロレンズ62を介して形成された、画素ユニット74における背景部分の一部分の虚像、基材色ユニット745の一部分の虚像、及び背景色ユニット747の一部分の虚像の集合体である。画素ユニット領域726における背景部分は、背景色区画751cである。背景色ユニット747は、全面が背景色区画751cである。基材色ユニット745は、全面が基材色区画751bである。
画素集合体718は、略同数の背景色ユニット747と、基材色ユニット745と、を備えており、背景色ユニット747の数と基材色ユニット745の数との合計の数に略等しい数の画素ユニット74を備えている。画素集合体718が備える背景色ユニット747と基材色ユニット745と画素ユニット74とにおいて、背景色ユニット747及び画素ユニット74は、75%を占めている。したがって、画素集合体718を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の階調は、画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の階調の、略75%である。
図7(f)に示した画素集合体718における基材色ユニット745の位置は、図示した範囲が狭いため、規則的に配列しているが、ランダムな位置に配置することが好ましい。基材色ユニット745をランダムな位置に配設することで、規則的に配置する場合にくらべて、画素虚像73における像部分の背景部分において、基材色ユニット745の虚像が分別されて視認される可能性を小さくすることができる。また、画素虚像73における像部分の背景部分に階調の斑ができることを抑制することができる。
【0066】
<調整画素集合体例2>
次に、上述した画素集合体715などと一部の構成が異なる調整画素集合体について、図8を参照して説明する。図8は、ランダムディザマスクを用いて画素ユニットの位置を設定した画素集合体の説明図である。図8(a)は、ランダムディザマスクの説明図であり、図8(b)は、調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図である。
【0067】
上述したように、集合体領域710における画素ユニット72の数を減らすことによって、虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字Aなど)の階調を調整する。例えば、画素集合体715においては、画素ユニット72の数を画素集合体71の半分にすることによって、画素集合体715を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調を、画素集合体71を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略50%にしている。
【0068】
図8(a)に示したランダムディザマスク81は、5%階調のランダムディザマスクである。図8(a)に示すように、ランダムディザマスク81は、黒点部82と、白点部83とを備えている。黒点部82の数と、白点部83の数との合計は、例えば、画素集合体71が備える45×45=2025個の画素ユニット72に対応した2025個である。ランダムディザマスク81は、5%階調であり、ランダムディザマスク81が備える黒点部82は、2025個の略5%である。
ランダムディザマスク81における黒点部82の位置は、ディザ法を用いて形成されたランダムディザパターンに基づいて、ランダムな位置に設定されている。
【0069】
図8(b)に一部分を示した画素集合体711は、画素ユニット72と、基材色ユニット745と、を備えている。画素集合体711は、調整集合体領域701に形成されている。調整集合体領域701は、画素ユニット領域721と、画素ユニット領域725と、を備えている。
画素ユニット72は、画素ユニット領域721に形成されている。画素ユニット領域721は、画素区画751aを備え、画素ユニット72は、所定の相対位置に配設された画素区画751aに画素ドット75が配設されて形成されている。
基材色ユニット745は、画素ユニット領域725に形成されている。画素ユニット領域725は、基材色区画751bを備えている。画素ユニット領域725は、画素区画751aを備えておらず、画素ドット75が配置されない領域であり、基材色ユニット745は、画素ドット75が配設されない領域である。
【0070】
画素集合体711を形成する工程では、画素ドット75を形成するための液滴を、画素ユニット領域721における、画素区画751aの位置に配置する。画素ユニット領域725には、画素区画751aが存在しないため、画素ドット75を形成するための液滴は配置されず、画素ユニット領域725では、基材53の表面がそのまま維持される。
【0071】
図8(b)に一部分を示した画素集合体711は、画素ユニット72の位置を、ランダムディザマスク81における黒点部82の位置に対応させて設定してある。すなわち、調整集合体領域701における画素ユニット領域721の位置は、ランダムディザマスク81における黒点部82の位置に対応している。画素集合体711の図8(b)に示した部分は、図8(a)に示した部分領域81aに対応する部分である。
ランダムディザマスク81は5%階調であり、画素集合体711は、画素集合体71が備える画素ユニット72の、5%の数の画素ユニット72を備えている。画素集合体711を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体71を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略5%である。
【0072】
<調整画素集合体例3>
次に、上述した画素集合体715などと一部の構成が異なる調整画素集合体について、図9を参照して説明する。図9は、ランダムディザマスクを用いて画素ユニットの位置を設定した画素集合体の説明図である。図9(a)は、ランダムディザマスクの説明図であり、図9(b)は、調整画素集合体における画素ユニットの配置を示す説明図である。
【0073】
上述したように、集合体領域710における画素ユニット72の数を減らすことによって、虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字Aなど)の階調を調整する。例えば、画素集合体715においては、画素ユニット72の数を画素集合体71の半分にすることによって、画素集合体715を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調を、画素集合体71を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略50%にしている。
【0074】
図9(a)に示したランダムディザマスク89は、95%階調のランダムディザマスクである。図9(a)に示すように、ランダムディザマスク89は、黒点部82と、白点部83とを備えている。黒点部82の数と、白点部83の数との合計は、例えば、画素集合体71が備える45×45=2025個の画素ユニット72に対応した2025個である。ランダムディザマスク89は、95%階調であり、ランダムディザマスク89が備える黒点部82は、2025個の略95%である。
ランダムディザマスク89における黒点部82の位置は、ディザ法を用いて形成されたランダムディザパターンに基づいて、ランダムな位置に設定されている。
【0075】
図9(b)に一部分を示した画素集合体719は、画素ユニット72と、基材色ユニット745と、を備えている。画素集合体719は、調整集合体領域709に形成されている。調整集合体領域709は、画素ユニット領域721と、画素ユニット領域725と、を備えている。
画素ユニット72は、画素ユニット領域721に形成されている。画素ユニット領域721は、画素区画751aを備え、画素ユニット72は、所定の相対位置に配設された画素区画751aに画素ドット75が配設されて形成されている。
基材色ユニット745は、画素ユニット領域725に形成されている。画素ユニット領域725は、基材色区画751bを備えている。画素ユニット領域725は、画素区画751aを備えておらず、画素ドット75が配置されない領域であり、基材色ユニット745は、画素ドット75が配設されない領域である。
【0076】
画素集合体719を形成する工程では、画素ドット75を形成するための液滴を、画素ユニット領域721における、画素区画751aの位置に配置する。画素ユニット領域725には、画素区画751aが存在しないため、画素ドット75を形成するための液滴は配置されず、画素ユニット領域725では、基材53の表面がそのまま維持される。
【0077】
図9(b)に一部分を示した画素集合体719は、画素ユニット72の位置を、ランダムディザマスク89における黒点部82の位置に対応させて設定してある。すなわち、調整集合体領域709における画素ユニット領域721の位置は、ランダムディザマスク89における黒点部82の位置に対応している。画素集合体719の図9(b)に示した部分は、図9(a)に示した部分領域89aに対応する部分である。
ランダムディザマスク89は95%階調であり、画素集合体719は、画素集合体71が備える画素ユニット72の、95%の数の画素ユニット72を備えている。画素集合体719を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体71を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略95%である。
【0078】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)画素集合体715は、画素集合体71が備える画素ユニット72の、半分の数の画素ユニット72を備えている。画素集合体715を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調は、画素集合体71を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調の、略50%である。このように、画素集合体71が備える画素ユニット72の数を調整することによって、虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の階調を調整することができる。
【0079】
(2)画素集合体717は、画素集合体714が備える画素ユニット74の、略半分の数の画素ユニット74を備えている。画素ユニット74における画像(文字)部分の背景部分には、背景色の材料が配置されている。画素集合体717を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の階調は、画素集合体714を備える虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の階調の、略50%である。このように、画素ユニット74のように画像の背景部分に色彩を施された画素ユニットを備える、画素集合体714などのような画素集合体において、画素集合体が備える背景部分に色彩を施された画素ユニットの数を調整することによって、虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分(文字A)の背景部分の階調を調整することができる。
【0080】
(3)画素集合体711及び画素集合体719は、ディザ法を用いて形成されたランダムディザパターンに基づいて形成されたランダムディザマスク81又はランダムディザマスク89に拠って、画素ユニット72の配設位置が規定されている。ランダムディザパターンに基づくことにより、虚像ユニット76に現出する画素虚像73における像部分に、階調の斑ができることを抑制することができる。また、観る方向を変動させた場合に、階調のゆらぎが発生することを抑制することができる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下の変形例のように実施することもできる。
【0082】
(変形例1)前記実施形態においては、ランダムディザマスク81及びランダムディザマスク89における黒点部82の位置は、ディザ法を用いて形成されたランダムディザパターンに基づいて決定されていた。しかし、画素ユニットを配置する位置又は間引く画素ユニットの位置などをランダムに設定するために、ディザ法を用いることは必須ではない。位置をランダムに設定する方法は、設定した階調に応じたランダムな位置を設定することが可能であれば、どのような方法であってもよい。
【0083】
(変形例2)前記実施形態においては、虚像現出装飾体51のマイクロレンズアレイ61におけるマイクロレンズ62の配設ピッチP1と、画素集合体71における画素ユニット72の配設ピッチP2との関係は、ピッチP1>ピッチP2であった。また、ピッチP1×(マイクロレンズアレイ61におけるマイクロレンズ62の行数又は列数−1)=ピッチP2×(画素集合体71における画素ユニット72の行数又は列数)を満たす関係であった。しかし、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの配設ピッチP1と、画素集合体における画素ユニットの配設ピッチP2との関係は、ピッチP1<ピッチP2であってもよい。ピッチP1<ピッチP2の場合、ピッチP1×(マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの行数又は列数+1)=ピッチP2×(画素集合体における画素ユニットの行数又は列数)となるように、ピッチP1、ピッチP2、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの行数及び列数、及び画素集合体における画素ユニットの行数及び列数を設定する。
ピッチP1>ピッチP2の場合、形成される虚像は、画素集合体の位置より沈んで(奥側に)見える。ピッチP1<ピッチP2の場合、形成される虚像は、画素集合体の位置より浮かんで(手前側に)見える。
【0084】
(変形例3)前記実施形態においては、画素集合体71は45行45列に配列された画素ユニット72を備えていたが、ユニット集合体における画素ユニットの配列が45行45列であることは必須ではない。行数及び列数は、他の数であってもよい。また、列方向と行方向とが略直交する方向であることも必須ではない。画素ユニットとレンズ体との位置を関連付けて配置可能であれば、どのような配列であってもよい。
【0085】
(変形例4)前記実施形態においては、インクジェット方式の液滴吐出装置1を用いて、虚像現出装飾体51が備える画素集合体71を構成する画素ユニット72の画素ドット75を描画することによって、画素集合体71を形成していた。しかし、液滴吐出装置を用いて、画素ドットの材料を配置することは必須ではない。画素ドットは、他の印刷方法などを用いて形成してもよい。
【0086】
(変形例5)前記実施形態においては、虚像現出装飾体51が備える画素集合体71は4個であったが、虚像現出装飾体が備える画像表示部は、何個であってもよい。
【0087】
(変形例6)前記実施形態においては、虚像ユニット76に現出する画素虚像73は、1個の画素ユニット72に相当する虚像であった。しかし、虚像ユニットに現出する虚像が画素ユニット1個分の虚像であることは必須ではない。虚像現出装飾体は、例えば4個の画素ユニットが並んだ虚像が現出するなど、並列した複数の画素ユニットの像が虚像として現出するような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…液滴吐出装置、20…液滴吐出ヘッド、24…吐出ノズル、51…虚像現出装飾体、53…基材、55…撥液層、61…マイクロレンズアレイ、62…マイクロレンズ、71a,71b,71c,71d…画素集合体、72…画素ユニット、72a,72b,72c,72d…画素ユニット、73…画素虚像、73A,73B,73C,73D…画素虚像、74…画素ユニット、76…虚像ユニット、76a,76b,76c,76d…虚像ユニット、81…ランダムディザマスク、82…黒点部、83…白点部、89…ランダムディザマスク、91…着弾点、91A…着弾円、610…マイクロレンズアレイ、620…マイクロレンズ、701,705,706,707,708,709…調整集合体領域、704…集合体領域、710…集合体領域、710a,710b,710c,710d…集合体領域、711,714,715,716,717,718,719…画素集合体、720…画素ユニット、721…画素ユニット領域、721a,721b,721c,721d…画素ユニット領域、725,726,727…画素ユニット領域、745…基材色ユニット、747…背景色ユニット、751…画素ドット区画、751a…画素区画、751b…基材色区画、751c…背景色区画。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素ドットが所定の位置関係に配置されて形成された画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備える虚像現出装飾体の製造方法であって、
前記画素ドットを所定の位置に配設することによって前記画素ユニットの画像部分を形成して、前記ユニット集合体を形成するユニット集合体形成工程を有し、
前記ユニット集合体形成工程では、前記画素ドットの色調が前記画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットを少なくとも1個含む前記ユニット集合体を形成することを特徴とする虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項2】
前記ユニット集合体形成工程では、前記背景色画素ユニットを、前記ユニット集合体におけるランダムな位置に配置することを特徴とする、請求項1に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項3】
前記画素ユニットの前記背景部分に背景色材を配置して、前記背景部分を形成する背景形成工程をさらに有し、
前記背景形成工程では、前記背景部分が前記画素ユニットを形成する基材の表面である基材面背景ユニットを、少なくとも1個形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項4】
前記背景形成工程では、前記基材面背景ユニットを、前記ユニット集合体におけるランダムな位置に配置することを特徴とする、請求項3に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項5】
前記ユニット集合体における、前記背景色画素ユニット、又は前記基材面背景ユニットの少なくとも一方の配設位置を、ランダムディザパターンによって決定することを特徴とする、請求項4に記載の虚像現出装飾体の製造方法。
【請求項6】
画素ドットが所定の位置関係に配置されて形成された画素ユニットが規則的に2次元配列されたユニット集合体と、複数のレンズ体のそれぞれのレンズ体が前記画素ユニットの位置と関連付けられた位置に配設されたレンズ集合体と、を備え、
前記ユニット集合体は、前記画素ドットの色調が前記画素ユニットの背景部分の色調である背景色画素ユニットを少なくとも1個含むことを特徴とする虚像現出装飾体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−91199(P2013−91199A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233666(P2011−233666)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)