説明

虚血障害用の、2,6−ジイソプロピルフェノール及び類似体の組成物、使用及び調製方法。

本発明は、脳卒中及び他の脳障害を含む虚血障害の治療における抗酸化剤として有用な、新規2,6−ジイソプロピルフェノール2,6−ジイソプロピルフェノール類似体、並びに2,6−ジイソプロピルフェノール2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体の無菌で安定な医薬上許容可能な組成物を提供する。2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体は、虚血障害関連のフリーラジカル損傷を防ぐことが可能な程度の薬剤の血液レベル及び脳レベルを生み出すのに効果的な投薬量にて投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2005年2月18日に出願された、米国仮特許出願第60/654,146号の利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、虚血障害の治療及び予防に有用な医薬組成物に関する。特に、本発明は、脳卒中及び他の脳障害の治療並びにそれに伴う再灌流障害の予防のための、抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャーとして機能する、2,6−ジイソプロピルフェノール及び類似体の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
脳卒中は、脳に血液を供給する血管に作用する循環器疾患である。脳卒中には4種類の主要な型がある:2種類は、血液凝固物又は他の粒子によって引き起こされ、2種類は出血によって引き起こされる。脳卒中の最も一般的な原因は、動脈に栓をする凝固物又は粒子によって引き起こされる、脳血栓及び脳塞栓である。他の2種類は、血管破裂によって引き起こされる脳出血及びくも膜下出血である。
【0004】
脳卒中は、アメリカ合衆国で3番目に多い死因である。脳卒中で毎年150,000人より多くの人が亡くなり、アメリカ人死亡数15人あたり約1人という計算になる。脳卒中は、発展途上国及び地域における身体障害の主因である。典型的には、脳内領域への血液供給の崩壊による虚血性損傷、すなわち酸素欠乏は、神経性又は他の症状を伴う場合に、脳卒中として診断される。虚血性脳卒中では、決まった領域の組織障害を示す局所的な虚血が観察され、ここは時間がたつとさらに損傷を受けやすい境界領域にしばしば囲まれている。脳への血液供給が臨界閾値未満にまで減少すると、生化学的なカスケードにより、回復不能な神経損傷及び脳梗塞へと導かれる。虚血の治療及び予防の研究は、精力的になされているが、不幸なことに、まだ初期段階であり、適切な治療はまだ行われていない。
【0005】
脳卒中は、例えば脳への血液供給の崩壊によって引き起こされる、身体機能の突発の欠陥として定義される。例えば、低血圧、アテローム性動脈硬化症のプラーク、血液凝固物又はいくらかの他の粒子による詰まりを含む任意の方法により、脳に酸素及び栄養を運ぶ血管が遮られる場合、あるいは血管が破裂した場合に、脳卒中が生じる。封鎖又は破裂により、必要な血流を一部分の脳が得られなくなる。不十分な血液供給を受ける脳組織を、虚血であると言う。酸素及び栄養が欠如すると、脳内の神経細胞及び他の型の細胞は衰え始め、梗塞(細胞死又はネクローシスの領域)をつくる。神経細胞(ニューロン)が衰えて死ぬと、これらのニューロンで制御される身体部分もまた機能できなくなる。脳組織は修復能力が非常に限られており、失ったニューロンは通常は置き換えられないために、虚血による壊滅的効果は、しばしば永久的である。脳卒中を起こす血液供給の崩壊は、とりわけ、血液凝固物、動脈硬化、動脈硬化プラーク(又はその組成物)などの存在に起因し得る。したがって、脳卒中の治療は、好ましくは、不可逆的な損傷をすばやく回避するために提供されるべきである。例えば、出血による脳卒中において、血液凝固を防ぐ薬を投与すると、出血の促進により損傷が拡大する危険があることから、治療は根底にある原因にも従うべきである。脳卒中が血液凝固物の存在又は形成によるものであれば、治療は凝固物を溶解させる、又はそうでなければ減少させるように方向付けられる。
【0006】
脳内虚血は、不完全(血流は減少するが、完全に遮られてはいない)、完全(組織灌流の完全な停止)、一時的又は永久的であり得る。虚血が不完全で、10分から15分のみ続いている場合には、神経死は生じていないかもしれない。虚血がより長く続くか完全になると、梗塞が起きる。梗塞の部位や程度に依存して、軽度から重度の神経学的欠陥又は神経死が続く。したがって、脳卒中で神経欠陥になる作因には、2つの主要な要素がある:血液供給の損失と、細胞損傷及び細胞死である。
【0007】
血栓症は、通常、動脈硬化と血液凝固物の組み合わせにより起こる大きな堆積物による、動脈封鎖である。血栓性脳卒中(脳血栓とも呼ぶ)は、脳又は頸動脈内の堆積物が閉塞規模にまで到達したときに起こる。ほとんどの脳卒中は、この型である。
【0008】
塞栓症は、塞栓による動脈又は静脈の封鎖である。塞栓はしばしば、大きな凝固物から剥がれ出た血液凝固物の断片である。塞栓性脳卒中(脳塞栓とも呼ぶ)は、塞栓が血流に乗って脳又は頸動脈に運ばれるときに生じる。塞栓が通過するには小さすぎる動脈に塞栓が到達したとき、塞栓は動脈に栓をして、下流の組織への血液供給を遮ってしまう。塞栓性脳卒中は、この事象の臨床的表現である。
【0009】
血液が一度なくなると、したがって酸素と栄養が一度なくなると、脳組織は虚血性ネクローシス又は梗塞を経得る。このような細胞縮退及び細胞死の背景にあると考えられる代謝性事象としては、以下が挙げられる:ATP枯渇によるエネルギー欠損;細胞のアシドーシス;グルタミン酸塩放出;カルシウムイオン流入;膜リン脂質崩壊の刺激及びそれに次ぐ遊離脂肪酸の蓄積;及びフリーラジカルの産生。
【0010】
背後にあるこれらの事象を知り、研究者は、カルシウムチャネル阻害剤、グルタミン酸塩及びグリシンアンタゴニスト、CDP−アミン、フリーラジカルスカベンジャー/抗酸化剤、脳血流及び/又は神経の予後を良くするパーフルオロカーボン及び血栓溶解薬、混合物のような薬剤を利用して、特定の型の虚血障害について研究してきた。特定のカルシウムチャネル阻害剤は、結果が一定せず、脈拍や灌流圧の減少などの、所望でない副作用が見られることが報告された。例えば、Kaste,M.et al.Stroke(1994)25:1348−1353参照。
【0011】
グルタミン酸塩アンタゴニストは、ある実験条件下で、梗塞の規模を減少させることが観察された。例えば、Olney,J.W.et al.Science(1991)254:1515−1518参照。しかし、これらの化合物は全部でないにしてもほとんどが、脳空胞化を引き起こし、ほとんどが動物及びヒトにおいて、フェンシクリジン様の自覚効果を起こす。フェンシクリジンを摂取すると、陶酔、不安、精神不安定及び精神障害の延長を伴った。
【0012】
パーフルオロカーボンは、虚血性脳卒中の予後にいくらかの利点を示したが、これらの化合物は極めて長い半減期を有し、脳及び脊髄液に注入されなければならない。加えて、これらの化合物は、性腺肥大化を引き起こすことが観察された。Bell,R.D.et al.Stroke(1991)22:80−83参照。
【0013】
t−PA(組織プラスミノーゲンアクティベーター)、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼのような血栓崩壊剤は、虚血の治療にいくらかの望みを示した。しかし、これらの薬剤は、頭蓋内出血を増加させる性質を有し、そのため結果的には死亡率を増加させ得る。例えば、del Zoppo,G.J.et al.Seminars in Neurology(1991)11(4):368−384;The Ancrod Stroke Study Investigators,Stroke(1994)25:1755−1759;Hacke,W.et al.Stroke(1995)26:167参照。さらに、これらの薬剤が有効なのは、脳卒中の最初の3時間以内での治療に限定され得る。
【0014】
フリーラジカルスカベンジャー/抗酸化剤は、ヘテロな化合物群である。一般に、梗塞の容積に対するこれらの化合物の効果は、一定ではない。例えば、スーパーオキシドジスムターゼ阻害剤は、脳室内に注入したときにのみ、梗塞の容積を減少させることが明らかとなった。Kinouchi,H.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:11158−11162参照。ルーベルゾールのような他の化合物は、臨床的利点を有するが、安全限界は非常に狭いことが示された。Diener,H.C.et al.Stroke(1995)26:30参照。
【0015】
フリーラジカル、特に酸素分子由来のフリーラジカルは、多種多様な生物学的現象において、基本的な役割を果たしていると考えられている。実際に、重病であると考えられているものの多くは、酸素ラジカル(「オキシラジカル」)病態生理を伴い得ることが示唆された(Zimmerman,J.J.(1991)Chest00:1895)。オキシラジカル傷害は、肺酸素毒性、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、気管支肺異形成症、敗血症症候群、並びに、心筋梗塞、脳卒中、心肺バイパス、器官移植、壊死性腸炎、急性腎細管壊死及び他の疾患を含む、様々な虚血−再灌流症候群の病因に含まれた。オキシラジカルは、タンパク質、核酸、脂質、及び他の生物学的巨大分子と反応し得、細胞及び組織に、特に重大な病気の患者には決定的な障害を引き起こす。
【0016】
多くのフリーラジカル反応は、細胞構成物に非常に損傷性である、すなわち、フリーラジカルは、タンパク質を架橋し、DNAに変異を導入し、脂質を過酸化する。一度形成されると、フリーラジカルは相互作用し得、他のフリーラジカルや、一重項酸素()及び過酸化水素のような非ラジカル酸化物を産生する。いくつかのフリーラジカル反応産物の分解も、潜在的に損傷性の化学種を生み出し得る。例えば、マロンジアルデヒドは、実質的に任意のアミンを含む分子と反応する過酸化脂質の反応産物である。酸素フリーラジカルもまた、タンパク質の酸化修飾を引き起こす(Stadtman,E.R.(1992) Science 257:1220)。
【0017】
フリーラジカルの損傷作用及びフリーラジカルに伴う疾患を防ぐために、特にスーパーオキシドや過酸化水素のような危険なオキシラジカルの除去に効果的であり、生産費用がかからず、安定で、血液脳関門の通過能や組織透過能のような有利な薬物動態学的特性を有する、新規の抗酸化剤の開発に大きな努力を払ってきた。虚血/再灌流障害に対する脳組織の耐性の増強は、血流を回復又は促進する薬剤を相補又は置換することを目的とするにもかかわらず、安全で効果的な神経保護薬を同定する臨床的な試みは、これまで失敗してきた。受け入れることのできない有害な副作用を引き起こさない有望な神経保護薬の候補は、ほとんど存在していない。現在、病院に到着する前に患者により投与され得る神経保護薬(近親者の補助があっても)は存在しない。この理由としては、以下が挙げられる:静脈内負荷投与量の必要性、有害な効果、治療時間窓の限定、及び脳卒中ではない又は出血性脳卒中の患者における潜在的な重大な副作用。したがって、血液凝固物除去薬による出血性脳卒中の治療は、障害をひどく悪化させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、神経細胞死(分解)の程度を制限するかあるいは、そうでなければ虚血障害で生じ得るような神経細胞死(分解)を治療する、抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャーを含有する、万能で効果的な新規の医薬組成物が必要である。
【0019】
加えて、多くの抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャー組成物が当該分野で公知であるが、先行技術の組成物の重要な制約は、血液脳関門を効果的に透過できないことであり、したがって、脳虚血障害の治療において、先行技術の組成物の効果には限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
2,6−ジイソプロピルフェノール(2,6−ジイソプロピルフェノール、式I)は、活性の短い睡眠薬であり、麻酔の誘導及び維持に有効である(例えば、Rees et al.,Annu.Rep.Med.Chem.,31,41−50(1996)、及びTrapani et al.,Curr.Med.Chem.,7,249(2000)参照)。2,6−ジイソプロピルフェノールは、標的を制御した注入により静脈内(IV)鎮静にも使用される(例えば、Leitch,Br.Dent.J,194,443(2003)参照)。これは脂質溶解性が高く、血液脳関門(BBB)のような生体膜を容易に透過し得る特性を有する。
【0021】
【化1】

【0022】
2,6−ジイソプロピルフェノールは、フリー酸素ラジカルの存在に関連する症状の治療に使用されてきた(例えば、米国特許第5,308,874号明細書及び同第5,461,080号明細書参照)。2,6−ジイソプロピルフェノールは、インビトロにおいて、フリー酸素ラジカルによって引き起こされる神経学的欠陥を修復することが示されており(例えば、Sagara et al.,J.Neurochem.,73,2524(1999)及びJevtovic−Todorovic et al.,Brain Res.,913,185(2001)参照)、及び頭部傷害の治療にインビボで使用された(例えば、Kelly et al.,J.of Neurosurgery,90,1042(1999)参照)。さらに、2,6−ジイソプロピルフェノールは、難治性の(refactory)てんかん重積持続状態(status epolepticus)対応用のバルビツレートの代替物としてみなされている(Rossetti,et al.,2004,Epilepsia,45(7):757−763参照)。
【0023】
2,6−ジイソプロピルフェノールが、eNOSの転写及びタンパク質発現を阻害することで、内皮細胞を酸化ストレスから保護し得ることを示唆する証拠がある(例えば、Peng et al.,Chin.Med.J.(Engl).,116(5),731−5(2003)参照)。さらに、2,6−ジイソプロピルフェノールは、まず脂質の過酸化を防ぐことによって、中年の心臓の虚血耐性を増強する(例えば、Xia et al.,Cardiovasc.Res.,59,113(2003)参照)。
【0024】
2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体は、抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャーとして機能し、血液脳関門を効率的に透過し得ることが明らかとなった。したがって、2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体は、虚血に伴う障害から、様々な組織の細胞障害を治療又は予防するのに有用であり、したがって、活性酸素種が異常に産生されることによる急性脳梗塞において、再灌流障害の治療又は予防に有用である。
【0025】
本発明は、虚血障害の治療に有効な抗酸化剤又は神経保護活性を有する、新規の2,6ジイソプロピルフェノール組成物及び類似体を提供する。被験体における、少なくとも1種類の神経疾患の突発的発症の時機を逸しない治療方法もまた提供する。本発明のこれらの利点及びさらなる発明の特徴は、本明細書中に提供される本発明の記載により明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
発明の簡単な要旨
1つの態様において本発明は、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール類似体、及び2,6−ジイソプロピルフェノールと2,6−ジイソプロピルフェノール類似体との混合物を含有する、無菌で、安定な医薬組成物を提供する。本発明の組成物は、脳卒中及び他の脳障害の治療、並びに脳卒中又は他の脳障害によって起こる虚血障害の予防に適している。
【0027】
本発明は、虚血障害(例えば、虚血性視神経症、虚血性網膜症、脳卒中、再灌流障害及び他の脳障害が挙げられる)の治療用の2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含有する医薬組成物を提供する。
【0028】
本発明は、虚血障害(例えば、虚血性視神経症、虚血性網膜症、脳卒中、再灌流障害及び他の脳障害が挙げられる)の予防用の2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含有する医薬組成物を提供する。
【0029】
本発明は、2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含有する医薬組成物の投与による、哺乳動物の虚血性再灌流障害の治療方法を提供する。
【0030】
本発明は、2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含有する医薬組成物の投与による、哺乳動物の虚血性再灌流障害の予防方法もまた提供する。
【0031】
本発明は、フリーラジカルの障害効果及びフリーラジカル関連の疾患を予防するための、2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含む医薬組成物もまた提供する。
【0032】
本発明は、例えば、虚血性視神経症、虚血性網膜症、脳卒中、再灌流障害及び他の脳障害を含む、虚血障害の治療に効果的な量の2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体をヒトに投与する工程を包含する、2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を使用する虚血障害の治療方法をさらに提供する。
【0033】
本発明は、例えば、虚血性視神経症、虚血性網膜症、脳卒中、再灌流障害及び他の脳障害を含む、虚血障害の予防用の2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含む医薬組成物の作製方法を提供する。
【0034】
フリーラジカルの障害効果及びフリーラジカル関連の疾患を治療又は予防するための、2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含有する医薬組成物の作製方法もまた、提供される。被験体の、少なくとも1種類の突発性神経学的欠陥の時機を逸しない治療方法が開示される。突発性神経学的欠陥は、脳血管障害(cerebrovascular accident)とも呼ばれる、生じ得る脳卒中の指標である。この方法は、少なくとも1種類の神経学的欠陥の突発的発症後すぐに、被験体に2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を効果的な量にて投与する工程を包含し、好ましくは、少なくとも1種類の神経学的欠陥の突発的発症の3時間以内に、2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を効果的な量にて投与する工程を包含する。
【0035】
本発明のこれらの特徴及び利点は、好ましい態様の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【0036】
発明の詳細な説明
本発明は、2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体が、抗酸化剤として機能できるという知見に基づく。本発明以前には、フリーラジカルの障害効果及びフリーラジカル関連の疾患を予防するための、血液脳関門を横切り、組織を透過できる新規の安定な抗酸化剤を開発する必要があった。本発明の化合物は、脳卒中、出血、又は外傷による虚血を治療するのに有用である。1つの態様においては、本発明は、2,6−ジイソプロピルフェノール又は2,6−ジイソプロピルフェノール類似体及びプロドラッグの使用による虚血障害及び虚血性再灌流障害の治療方法を提供する。別の態様においては、本発明は、2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体の安定で非経口の医薬組成物を提供し、これは虚血障害関連の障害から組織における細胞損傷の治療、虚血障害関連の障害から組織における細胞損傷の予防、又はこのような細胞損傷の予防及び治療の両方に有用である。好ましくは、2,6−ジイソプロピルフェノール又は2,6−ジイソプロピルフェノール類似体は、虚血障害関連のフリーラジカル損傷を治療又は予防するための薬剤の血液レベル及び脳レベルを生み出すために効果的な量にて投与される。本発明は、被験体において少なくとも1種類の神経学的欠陥の突発的発症の時機を逸しない治療方法を包含する。神経症状の突発的発症は、脳血管障害とも呼ばれる、生じ得る脳卒中の指標である。2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体の投与は、虚血に関連する障害から脳組織を保護するために役立つ。この方法は、少なくとも1種類の神経学的欠陥の突発的発症の直後に、効果的な量の2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を被験体に投与する工程を包含する。
【0037】
2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体は、患者、好ましくはヒト患者に投与するための医薬組成物中に製剤化され得る。多くの適切な医薬製剤のうち、いずれの医薬製剤も、本発明の化合物の投与用にビヒクルとして利用され得る。好ましくは、本発明の化合物は、一般的な医薬使用用に製剤化される。最も好ましくは、本発明の化合物及び医薬組成物は、虚血障害における使用用に、又は虚血性再灌流障害の治療用に製剤化される。特に好ましくは、2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体の低滑油製剤である。低滑油製剤は、5重量%未満の油、好ましくは3重量%未満の油、好ましくは2重量%未満の油を含有し得る。低滑油製剤の例は、米国特許出願第2005−0004002号明細書に記載されており、これは本明細書中に援用される。
【0038】
血液脳関門を横切り、かつ抗酸化剤である2,6−ジイソプロピルフェノール類似体の例としては、以下が挙げられる:
(4−フルオロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ニトロフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(ナフタレン−2−イル)メタノン、
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−tert−ブチルフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−イソブチルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ヨードフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−メトキシフェニル)メタノン、
(4−シアノフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ブロモフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−プロピルフェニル)メタノン、
(4−クロロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(メトキシイミノ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(ヒドロキシ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、及び
4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−(メチルスルホニル)フェニル)メタノン。
したがって、2,6−ジイソプロピルフェノール及び2,6−ジイソプロピルフェノール類似体は、虚血障害及び虚血性再灌流障害の治療又は予防に有用である。
【0039】
本発明にしたがった組成物は、例えば、経口投与、経鼻呼吸投与、ボーラス注入、繰り返し投与又は持続注入による静脈内投与、動脈内投与、舌下投与、非経口投与、直腸内投与、膣内投与、舌下投与、皮膚投与及び徐放経路のような、麻酔薬の従来の投与方法により患者に投与され得る。好ましくは、この医薬組成物は、持続注入により投与される。
【0040】
本発明の組成物は、1種類以上の上記の投与経路を介して又は継続的に(すなわち、注入を介して)、1日に1回以上(すなわち、1日に、1、2、3、4、又は5回又はそれ以上)投与され得る。この組成物は、必要に応じて、1日以上投与され得る。すなわち、この組成物は1、2、3、4、5日又はそれ以上の連続した日数投与され得る。さらに、この組成物は受容者により、必要に応じて連続していない数日間投与され得る。投与される投薬量は、受容者の年齢、性別、体重/組成物にしたがって、並びに投与される組成物の特徴にしたがって、調節され得る。好ましい態様においては、投与されるべき組成物は、4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノンを含有する。
【0041】
典型的に、2,6−ジイソプロピルフェノール又は2,6−ジイソプロピルフェノール類似体は、カプセル、サシェ、紙、又は他の容器の形態であり得る担体と混合、担体で希釈、又は担体内に封入される。担体が希釈剤である場合には、担体は、活性成分に対する、ビヒクル、賦形剤又は媒質として機能する、固体物質、準固体物質、又は液体物質であり得る。したがって、上記組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ローゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、エマルジョン、水剤、シロップ剤、エーロゾル剤(固体又は液体媒質として)、例えば活性化合物の重量で最大10%まで含有する軟膏剤、軟質及び硬質ゼラチンカプセル剤、坐剤、注射可能な滅菌水剤、及び滅菌包装散剤の形態であり得る。
【0042】
経口投与用には、2,6−ジイソプロピルフェノール又は2,6−ジイソプロピルフェノール類似体は、適切に矯味矯臭されたシロップ剤、水性又は油性懸濁剤、及び綿実油、胡麻油、ココナッツ油又はピーナッツ油のような食用油との矯味矯臭されたエマルジョン、並びにエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクル中に混合される。水性懸濁剤用の適切な分散又は懸濁剤としては、トラガカント、アカシア、アルギニン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチンのような合成及び天然ガムが挙げられる。
【0043】
適切な担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、乳糖、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、でん粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギニン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、生理食塩水、シロップ剤、メチルセルロース、メチル−及びプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルが挙げられるが、これらに限定されない。この製剤にはさらに、潤滑剤、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、保存剤、甘味剤、又は矯味矯臭剤が含まれ得る。エマルジョンの例としては、例えばTweenTM80及び関連化合物などのTween、クレモポア(cremophor)及び関連化合物、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネートなどのようなトコフェロールエステル、プルロニック、ポリオキシエチレン化合物に基づくエマルジョン、SpanTM80及び関連化合物、レシチン、人工及び天然リン脂質並びに関連化合物、並びに当該分野で公知であり、動物又はヒトへの投薬形態に使用されることが推奨される他のエマルジョンが含まれる。上記組成物は、当該分野で周知の手法を使用して患者に投与後、活性成分の急速、持続的又は遅延放出を提供するように、製剤化され得る。
【0044】
注射による投与のための好ましい組成物には、表面活性化剤(又は湿潤剤又は界面活性剤)に伴うか、又はエマルジョンの形態で(例えば、油中水型又は水中油型エマルジョンなど)、活性成分として新規の生物学的に活性な類似体を含有するものが包含される。適切な表面活性化剤には、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、TweenTM20、40、60、80、又は85)、及び他のソルビタン(例えばSpanTM20、40、60、80、又は85)のような非イオン化剤が包含される。必要に応じて、他の成分が、例えば、マンニトール又は他の医薬上許容可能なビヒクルが添加され得る。
【0045】
米国特許第5,714,520号明細書に記載された2,6−ジイソプロピルフェノール製剤は、DIPRIVAN(登録商標)として販売され、10%(w/v)大豆油中に1%(w/v)2,6−ジイソプロピルフェノールを含有する無菌で発熱物質を含まないエマルジョンを含有する。この製剤には、界面活性剤として1.2%(w/v)卵レシチン、製剤を等張化させるための2.25%(w/v)グリセロール、pHを調製するための水酸化ナトリウム、及び保存剤としてEDTA0.0055%(w/v)もまた、含有される。この製剤は、24時間にわたって、グラム陰性(例えばPseudomonas aeruginosa及びEscherichia coli)及びグラム陽性(Staphylococcus aureus)細菌、並びに酵母(Candida albicansのような)に対して、増加を10倍以下に抑える。しかし、金属イオンキレーターであるEDTAは、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛のような陽イオンを取り除く。これは、カルシウムが低い患者又は他の陽イオンレベルが低い患者には潜在的に危険であり得、特にICU患者には決定的であり得る。
【0046】
本発明は、強いせん断力条件下(例えば、超音波処理、高圧ホモジェナイゼーションなど)において調製された水中油型エマルジョンから、溶媒蒸発技術により、2,6−ジイソプロピルフェノール及びその類似体のナノ粒子の形成方法もまた提供する。生体適合性ポリマー(例えば、アルブミン)由来のナノ粒子の調製は、例えば、米国特許第5,916,596号明細書、同第6,506,405号明細書、及び同第6,537,579号明細書に開示されている。
【0047】
したがって、本発明にしたがうと、2,6−ジイソプロピルフェノール及び2,6−ジイソプロピルフェノール類似体は、最終濃度が約1〜99%v/vの範囲で、より好ましくは約5〜25%v/vの範囲になるように、医薬上許容可能な溶媒中に溶解され得る。溶媒としては、例えば、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリジノン、大豆油、紅花油及び他の注射可能な油のような油などが挙げられる。
【0048】
医薬上許容可能な担体は、溶液、エマルジョン又は懸濁液であり得る。例えば、レシチンで安定化された油中の2,6−ジイソプロピルフェノールのエマルジョンは、当該分野で周知である。このようなエマルジョンは、虚血障害の治療に使用され得る。他の発明のエマルジョン又はナノ粒子製剤もまた、調製され得る。エマルジョンは、高圧及び高せん断力下でホモジェナイゼーションにより形成される。このようなホモジェナイゼーションは、簡便に、高圧ホモジェナイザーにて行われ、典型的には、約3,000から30,000psiまでの範囲の圧力で行われる。好ましくは、このような過程は、約6,000から25,000psiまでの範囲の圧力で行われる。生じたエマルジョンは、溶解した薬学的に活性な薬剤及び非常に小さい粒子のタンパク安定化剤を含有する、非常に小さい粒子の非水性溶媒を含有する。許容可能なホモジェナイゼーションの方法は、例えば、高圧ホモジェナイゼーション、高せん断ミキサー、超音波処理、高せん断インペラーなどの、高せん断及び空洞化を付与する過程を包含する。
【0049】
本発明にしたがって調製されるコロイド系は、例えば適切な温度−時間プロファイルで凍結乾燥することにより、さらに水を除去して粉末形態に変換され得る。タンパク質そのもの(例えば、ヒト血清アルブミン)は、抗凍結剤として機能し、そしてこの粉末は、マンニトール、ショ糖、グリシンなどの従来の抗凍結剤を使用する必要なしに、水、生理食塩水又は緩衝液の添加によって容易に再構成される。これが必要でなければ、所望される場合には、従来の抗凍結剤を医薬組成物に添加し得ることがもちろん理解される。
【0050】
本発明の1つの態様においては、本発明の化合物のナノ粒子は、任意の許容可能な経路(経口、筋肉内、経皮内、静脈内、吸入器又は他の空気由来の送達系を介する経路などが挙げられるが、これらに限定されない)で投与され得る。特に静脈内送達用の、注射用組成物を調製する場合、持続相は、pHが7未満に、より好ましくは6未満に緩衝化された等張調整剤水溶液を好ましくは含む。
【0051】
本発明のナノ粒子は、硬質又は軟質カプセルに封入され得るか、錠剤に圧縮され得るか、あるいは飲料、食料といっしょに取り込まれるか、さもなければ、治療食に取り込まれ得る。不活性な医薬希釈剤とナノ粒子を混合し、及び適切な大きさの硬質ゼラチンカプセル中に混合物を挿入することによって、カプセルは製剤化され得る。軟質カプセルが所望されれば、許容可能な植物油、軽油、又は他の不活性油と化合物とのスラリーが、ゼラチンカプセル中に機械により封入され得る。
【0052】
当業者は、本発明の範囲及び精神内において、いくつかの変形が可能であることを理解する。以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、もちろん、その範囲を決して限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0053】
実施例1
2,6−ジイソプロピルフェノールのナノ粒子の調製
本実施例は、1%の油を含み、2,6−ジイソプロピルフェノール及びアルブミンを含む医薬組成物の調製について示す。2,6−ジイソプロピルフェノールを(重量で)2%含む水中油型エマルジョンを、以下のように調製した。グリセロール(重量で2.25%)及びヒト血清アルブミン(重量で0.5%)を注射用水に添加して水層を調製し、溶解するまで攪拌した。水層はフィルター(0.2μmフィルター)でろ過した。卵レシチン(重量で0.4%)及び2,6−ジイソプロピルフェノール(重量で2%)を、約50〜60℃にて大豆油(重量で1%)に溶解することにより油層を調製し、溶解するまで攪拌した。この油層を上記水層に添加して、10,000RPMで5分間ホモジェナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジェナイズして、5℃にて15サイクル再循環させた。あるいは、ホモジェナイザーからの別個のパス(pass)を使用した。最終的なエマルジョンをろ過(0.2μmフィルター)し、窒素下で保存した。生じた医薬組成物は、以下の一般的な範囲(重量%)の構成因子を含有する:2,6−ジイソプロピルフェノール 0.5〜5%;ヒト血清アルブミン 0.5〜3%;大豆油 0.5〜3.0%;卵レシチン 0.05〜1.2%;グリセロール 2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。例えばデフェロキサミン(0.001〜0.1%)などの適切なキレーターを、任意で添加した。
【0054】
実施例2
(4−フルオロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(1)の調製
【0055】
トルエン98mL中の2,6−ジイソプロピルフェノール(3.3g、18.5mmol)溶液に、塩化4−フルオロベンゾイル(4mL、37mmol)及び塩化アンモニウム(4.9g、37mmol)を、0℃にて滴下した。次いでこの混合液を室温まで温めて、7時間攪拌した。混合液を氷水に注ぎ、酢酸エチル及びヘキサン(1:9)で抽出した。合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)して濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、黄色がかった固形物として所望の生成物を得た。収率40%。H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.8Hz、12H)、3.18(hept、J=6.8Hz、2H)、5.34(br s.1H)、7.55(s、2H)、7.16(d、d、J=8.6Hz、1H)、7.15(d、J=8.6Hz、1H)、7.79(d、J=8.6Hz、1H)、7.81(d、J=8.6Hz、1H);分析結果(C1921FO+H)及び(C1921FO+H)に関して、計算値:301及び323。実測値:301及び323。
【0056】
実施例3
4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(2)の調製
【0057】
化合物2は、実施例2にしたがって調製した。
【0058】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.27(d、J=6.6Hz、12H)、3.18(hept、J=6.6Hz、2H)、5.40(br s.1H)、7.58(s、2H)、7.74(d、J=8.0Hz、2H)、7.85(d、J=8.0Hz、2H);分析結果(C2021+H)及び(C2021+Na)に関して、計算値:351及び373。実測値:351及び373。
【0059】
実施例4
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ニトロフェニル)メタノン(3)
【0060】
化合物3は、実施例2にしたがって調製した。
【0061】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.27(d、J=6.9Hz、12H)、3.20(hept、J=6.9Hz、2H)、5.73(br s.1H)7.57(s、2H)、7.89(d、J=8.8Hz、2H)、8.33(d、J=8.8Hz、2H);分析結果(C1921NO+H)及び(C1921NO+Na)に関して、計算値:328及び350。実測値:328及び350。
【0062】
実施例5
(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(4)
【0063】
化合物4は、実施例2にしたがって調製した。
【0064】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.9Hz、12H)、3.18(hept、J=6.9Hz、2H)、5.39(s、1H)、7.56(s、2H)、7.59−7.57(m、1H)、7.73(t、J=8.1Hz、1H);分析結果C2021(M+H)に関して、計算値369、実測値369。
【0065】
実施例6
(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(5)
【0066】
化合物5は、実施例2にしたがって調製した。
【0067】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.27(d、J=6.9Hz、12H)、3.21(hept、J=6.6Hz、2H)、5.62(br s.1H)、7.58(s、2H)、7.63(t、J=7.9Hz、1H)、7.83(d、J=7.9Hz、1H)、7.98(d、J=7.9Hz、1H)、8.02(s、1H);分析結果(C2021+H)及び(C2021+Na)に関して、計算値:351及び373。実測値:351及び373。
【0068】
実施例7
(3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(6)
【0069】
化合物6は、実施例2にしたがって調製した。
【0070】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.27(d、J=6.9Hz、12H)、3.19(hept、J=6.9Hz、2H)、5.41(s、IH)、7.53(d、J=8.2Hz、1H)、7.56(s、2H)、7.68(d、J=8.2Hz、1H)、7.80(s、1H)。分析結果C2021(M+H)に関して、計算値369、実測値369。
【0071】
実施例8
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(ナフタレン−2−イル)メタノン(7)
【0072】
化合物7は、実施例2にしたがって調製した。
【0073】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.9Hz、12H)、3.20(hept、J=6.9Hz、2H)、5.34(s、1H)、7.61−7.55(m、2H)、7.66(s、2H)、8.04−7.75(m、4H)、8.26(s、1H)。分析結果C2325(M+H)に関して、計算値333、実測値333。
【0074】
実施例9
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(8)
【0075】
化合物8は、実施例2にしたがって調製した。
【0076】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.9Hz、12H)、3.19(hept、J=6.9Hz、2H)、5.41(br s.1H)、7.56(s、2H)、8.07(s、1H)、8.22(s、2H);分析結果(C2120+H)及び(C2120+Na)に関して、計算値:419及び441。実測値:419及び441。
【0077】
実施例10
(4−tert−ブチルフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(9)
【0078】
化合物9は、実施例2にしたがって調製した。
【0079】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.9Hz、12H)、1.37(s、9H)、3.18(hept、J=6.9Hz、2H)、5.30(br s.1H)、7.49(d、J=8.4Hz、2H)、7.60(s、2H)、7.73(d、J=8.4Hz、2H);分析結果(C2330+H)及び(C2330+Na)に関して、計算値:339及び361。実測値:339及び361。
【0080】
実施例11
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−イソブチルフェニル)メタノン(10)
【0081】
化合物10は、実施例2にしたがって調製した。
【0082】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):0.89(t、J=7.4Hz、6H)、1.27(d、J=5.5Hz、6H)、1.65(m、4H)、2.93(tq、J=6.9、6.9Hz、2H)、5.34(br s.1H)、7.52(s、2H)、7.74(d、J=8.3Hz、2H)、7.84(d、J=8.3Hz、2H);分析結果(C2225+H)及び(C2225+Na)に関して、計算値:379及び401。実測値:379及び401。
【0083】
実施例12
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ヨードフェニル)メタノン(11)
【0084】
化合物11は、実施例2にしたがって調製した。
【0085】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.9Hz、12H)、3.17(hept、J=6.9Hz、2H)、5.31(br s.1H)、7.49(d、J=8.3Hz、2H)、7.55(s、2H)、7.83(d、J=8.3Hz、2H);分析結果(C1921IO+H)及び(C1921IO+Na)に関して、計算値:409及び433。実測値:409及び433。
【0086】
実施例13
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−メトキシフェニル)メタノン(12)
【0087】
化合物12は、実施例2にしたがって調製した。
【0088】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.20(d、J=6.9Hz、12H)、2.97(hept、J=6.9Hz、2H)、3.91(s、3H)、7.01(d、J=8.8Hz、2H)、7.20(s、2H)、8.20(dd、J=2.2、6.8Hz、2H);分析結果(C2024+H)に関して、計算値:313。実測値:313。
【0089】
実施例14
(4−シアノフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(13)
【0090】
化合物13は、実施例2にしたがって調製した。
【0091】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.27(d、J=6.8Hz、12H)、3.18(hept、J=6.9Hz、2H)、5.40(br s.1H)、7.55(s、2H)、7.80(ABq、Δγ=22.2Hz、J=6.8Hz、2H)、7.81(ABq、Δγ=22.2Hz、J=6.6Hz、2H);分析結果(C2021NO+H)及び(C2021NO+Na)に関して、計算値:308及び330。実測値:308及び330。
【0092】
実施例15
(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(14)
【0093】
CY176は、実施例2にしたがって調製した。
【0094】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.29(d、J=6.9Hz、12H)、3.18(hept、J=6.9Hz、2H)、5.41(br s.1H)、7.59(s、2H)、7.84(d、J=7.8Hz、1H)、8.24(dd、J=8.1、1.7Hz、IH)、9.03(s、1H);分析結果(C1920NO+H)及び(C1920NO+Na)に関して、計算値:352及び374。実測値:352及び374。
【0095】
実施例16
(4−ブロモフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(15)
【0096】
化合物15は、実施例2にしたがって調製した。
【0097】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.9Hz、12H)、3.17(hept、J=6.9Hz、2H)、5.33(br s.1H)、7.55(s、2H)、7.62(m、4H);分析結果(C1921BrO+H)及び(C1921BrO+Na)に関して、計算値:362及び364。実測値:363及び383。
【0098】
実施例17
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−プロピルフェニル)メタノン(16)
【0099】
化合物16は、実施例2にしたがって調製した。
【0100】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):0.98(t、J=7.2、3H)、1.28(d、J=6.9Hz、12H)、1.69(m、2H)、2.67(t、J=7.4、2H)、3.18(hept、J=6.9Hz、2H)、5.34(br s.1H)、7.27(d、J=8.2Hz、2H)、7.59(s、2H)、7.71(d、J=8.2Hz、2H);分析結果(C2228+H)及び(C2228+Na)に関して、計算値:325及び347。実測値:325及び327。
【0101】
実施例18
(4−クロロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン(17)
【0102】
化合物17は、実施例2にしたがって調製した。
【0103】
H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.28(d、J=6.9Hz、12H)、3.17(hept、J=6.9Hz、2H)、5.31(br s.1H)、7.45(d、J=8.5Hz、2H)、7.56(s、2H)、7.71(d、J=8.5Hz、2H);分析結果(C1921ClO+H)及び(C1921ClO+Na)に関して、計算値:317及び339。実測値:317及び319。
【0104】
実施例19
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(メトキシイミノ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール(18)の調製
【0105】
実施例2にしたがって調製した化合物2(448mg、1.28mmol)の溶液に、8mLのピリジンをメトキシアミンに添加した(1.07g、12.8mmol)。反応混合物を33時間室温で攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:ジクロロメタン=3:2)て、黄色い油を得た(485mg、99.9%)。H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.27−1.21(d、J=6.9Hz、12H)、3.20−3.00(hept、J=6.9Hz、2H)、4.00+3.97(s、3H)、4.99+4.96(s、1H)、7.98−7.06(m、6H).分析結果C2123NO(M−H)−に関して、計算値378、実測値378。
【0106】
実施例20
4−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−2,6−ジイソプロピルフェノール(19)の調製
【0107】
実施例2にしたがって調製した、化合物2(486mg、1.4mmol)の溶液に、0℃にて12mLのジクロロメタンをトリフルオロスルホン酸(0.6mL、5.5mmol)、次にトリエチルシラン(0.7mL、4.1mmol)に添加した。反応混合物を、この温度にて36時間攪拌し、飽和NaHCO水溶液でクエンチし、エチルエーテル(150mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄して、無水MgSOで乾燥した。ろ過後、この溶液を真空中で濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)で精製して、白色固形物として所望の生成物を得た(100mg、21.4%)。H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.23(d、J=6.7Hz、6H)、1.24(d、J=6.7Hz、6H)、3.13(hept、J=6.9Hz、2H)、3.96(s、2H)、4.68(s、1H)、6.85(s、2H)、7.28(d、J=8.1Hz、2H)、7.52(d、J=8.1Hz、2H);分析結果C2022(M−H)に関して、計算値351、実測値351。
【0108】
実施例21
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール(20)の調製
【0109】
実施例2にしたがって調製した、化合物2(308mg、0.9mmol)の溶液に、試薬グレードのエタノールを水素化ホウ素ナトリウム(165mg、4.4mmol)に添加した。反応混合物を室温で11時間攪拌し、1N HClでクエンチし、エチルエーテルで抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液及びブラインで洗浄して、無水MgSOで乾燥した。ろ過後、この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=1:2)で精製して、白色固形物を得た(100mg、33.8%)。H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.25(d、J=6.9Hz、12H)、3.13(hept、J=6.9Hz、2H)、4.81(s、IH)、5.82(s、1H)、7.02(s、2H)、7.51(d、J= 8.1Hz、2H)、7.58(d、J=8.1Hz、2H);分析結果C2022O(M−H)−に関して、計算値335、実測値335。
【0110】
実施例22
4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル−(4−(メチルスルホニル)フェニル)メタノン(21)の調製
【0111】
DCM(70mL)中の、4−メチルスルホニル安息香酸(4.08g、24mmol)及びオキサリルクロリド(3.9mL、44mmol)の溶液に、DMFを3滴、0℃にて添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を20mLのDCMに溶解して、残渣を、50mLのDCM中の、2,6−ジイソプロピルフェノール(2.12g、11.9mmol)及び塩化アンモニウム(1.6g、12mmol)懸濁液に添加した。14時間攪拌した後、反応混合物を100mLの氷水に注ぎ、ジイソプロピルエーテル(2×100mL)で抽出した。有機層を1N HCl、飽和NaHCO水溶液、及びブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥した。ろ過後、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物を100mLのメタノール及び30mLの水に懸濁した。生じた懸濁液を、室温で16時間、過剰量の固体NaOHで処理して、1N HClでpH4まで酸性化した。反応混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。飽和NaHCO水溶液及びブラインで洗浄した後、有機層を無水NaSOで乾燥させてろ過した。溶液を濃縮して、残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、黄色い固形物として所望の生成物を得た(550mg、収率13%)。H NMR(500MHz、CDCl、δ):1.27(s、6H)、1.29(s、6H)、3.12(s、3H)、3.18(hept、J=6.9Hz、2H)、5.40(br s、1H)、7.57(s、2H)、7.90(dd、J=6.6、1.7Hz、2H)、8.06(dd、J=6.5、1.7Hz、2H);分析結果(C1921FO+H)に関して、計算値:361。実測値:361。
【0112】
実施例23
PK解析により示された、2,6−ジイソプロピルフェノールによる急速な組織透過性:
【0113】
DMSOに溶解した2,6−ジイソプロピルフェノールを、3匹のラットに、5mg/kgにて静脈内投与した。投与後1、3、5、10、30、60、120、及び240分に、血液を回収して、2,6−ジイソプロピルフェノールの定量用に血漿にまで処理した。有効なGC/MSアッセイを用いて、血漿の2,6−ジイソプロピルフェノールを定量した。WinNonlinでサポートされる2コンパートメントPKモデルを用いて、時間血漿濃度曲線を処理した。PKパラメーターを表1に示す。
【0114】
【表1】

【0115】
2,6−ジイソプロピルフェノールPKは、大きな分布容積及び急速なクリアランスが特徴的であり、これらは、2,6−ジイソプロピルフェノールPKが、末梢組織に急速に透過する能力を示唆している。
【0116】
実施例24
PK/PD解析で示される、2,6−ジイソプロピルフェノールの高い脳透過能
【0117】
2,6−ジイソプロピルフェノールをDMSOに溶解し、ラットに投与して、20分間このラットを眠らせ、このとき血漿2,6−ジイソプロピルフェノール濃度は、実施例23のPKデータを用いて計算すると0.75μMであった。2,6−ジイソプロピルフェノールの脳内濃度は、エフェクター(GABA Clチャネル)に対する2,6−ジイソプロピルフェノールの結合のIC50と同等であるはずである。GABA受容体及び放射標識した[H]TBOBによる競合的な放射リガンド結合アッセイを用いて、これは96μMであると決定した。このデータは、2,6−ジイソプロピルフェノールが脳に対して高親和性を有し、脳は、血漿に比較して6倍高いレベルまで2,6−ジイソプロピルフェノールの蓄積が可能であることを示した。このことは、PK解析で示されたように、2,6−ジイソプロピルフェノールの高透過性と一致する。
【0118】
実施例25
2,6−ジイソプロピルフェノールの抗酸化活性
【0119】
CalBiochem(San Diego、CA)のTotal Antioxidant Statusアッセイキットを使用して、2,6−ジイソプロピルフェノール及び2,6−ジイソプロピルフェノール類似体を、抗酸化剤活性について試験した。使用したアッセイは、メトミオグロビン(ペルオキシダーゼ)によるABTS(2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸塩])のABTS+への酸化を、サンプル中の抗酸化剤の阻害する能力に依存している。産生したABTS+量を、600nmで測定した。使用した反応条件下において、抗酸化剤の濃度及び抗酸化活性に比例した程度で、サンプル中の抗酸化剤は、600nmでの吸光度を抑制する。IC50は、50%の抑制が起こる濃度にて定義した。
【0120】
【表2】

【0121】
実施例26
本実施例は、2,6−ジイソプロピルフェノール、アルブミン、ビタミンE−TPGS及び1%油を含有する医薬組成物の調製を示す。
【0122】
2,6−ジイソプロピルフェノールを2%(重量で)含むエマルジョンを、以下の方法で調製した。注射用水にグリセロール(重量で2.25%)及びヒト血清アルブミン(重量で0.5%)を添加して水層を調製し、溶解するまで攪拌した。水層をろ過(0.2μmフィルター)した。例えばビタミンE−TPGS(1%)などの界面活性剤を水層に添加した。油層は、2,6−ジイソプロピルフェノール(エマルジョン重量で2%)、大豆油(エマルジョン重量で1%)及びレシチン(エマルジョン重量で0.4%)からなった。この油層を上記水層に添加して、10,000RPMで5分間ホモジェナイズした。粗エマルジョンを20,000psiにて高圧ホモジェナイズし、5℃にて8〜15サイクル再循環した。あるいは、ホモジェナイザーからの別個のパス(pass)を使用した。最終的なエマルジョンをろ過(0.2μmフィルター)して、窒素下で保存した。
【0123】
生じた医薬組成物は、以下の一般的な範囲の構成因子を含有した(重量%):2,6−ジイソプロピルフェノール 0.5〜5%;ヒト血清アルブミン 0.01〜3%;ビタミンE−TPGS 0.1〜2%;レシチン(0.05〜1%)、大豆油又は他の油(0.1%〜5%);グリセロール 2.25%;注射用水 100まで適量;pH 5〜8。ディフェロキサミンを任意で添加した(重量で0.001%〜0.1%)。
【0124】
実施例27
【0125】
GABA塩素イオンチャネルに対する2,6−ジイソプロピルフェノールの特異的結合
【0126】
GABA受容体は、1個のαサブユニット、1個のβサブユニット、及び1個のγサブユニットの、ヘテロ5量体膜タンパク質である。これらのサブユニットは塩素イオンチャネルを形成し、細胞膜を横切る塩素イオン流入を制御することにより神経膜電位を制御している。GABA上の2,6−ジイソプロピルフェノール結合部位は、一連の競合結合アッセイを使用して規定した。
【0127】
凍結ウシ海馬を溶解して、40倍量の氷冷0.32Mショ糖中でホモジェナイズした。懸濁液を10分間4℃にて1000×gで遠心分離した。アッセイ緩衝液中でペレットを2回洗浄して、2,6−ジイソプロピルフェノール存在下(最終濃度10−4M)又は非存在下にて、放射活性リガンドと反応させた。反応混合物のろ過及びアッセイ緩衝液で2回洗浄した後にワットマンフィルター上に残存した放射活性の量を、液体シンチレーションカウンターを用いて決定した。2,6−ジイソプロピルフェノールによる放射活性リガンド結合の阻害は、放射活性リガンドと同じ部位に2,6−ジイソプロピルフェノールが競合的に結合することを示している。GABAアゴニスト部位、GABAα−1部位、GABAα−5部位、GABAα−6部位、及びGABA Clチャネルについて、3H−GABA、3H−フルニトラゼパム、3H−RY80、3H−Ro15−4513、及び3H−TBOBを使用してアッセイした。
【0128】
これらの部位に対する2,6−ジイソプロピルフェノールの結合定数(KD)を決定するために、濃度を増加させた2,6−ジイソプロピルフェノール存在下で結合を決定して、KDを図から決定した。10−4Mの2,6−ジイソプロピルフェノールは、GABA受容体の塩素イオンチャネルに対するTBOB結合を阻害しただけであった。アゴニスト部位、α−1部位、α−2部位、又はα−6部位への有意な阻害は観察されなかった。これは、図1Aに示す。濃度を増加させた2,6−ジイソプロピルフェノール又はTBPS(TBOB類似体)存在下における、GABA受容体に対するTBOBの結合阻害は、図1Bに示したように、それぞれ5.74×10−6M及び3.10×10−8Mの結合定数を与えた。
【0129】
実施例28
化合物2及び化合物11は、インビトロのGABA結合性増大、及びインビボで麻酔活性の増大を示した
【0130】
一連の2,6−ジイソプロピルフェノール類似体を調製して、これらのインビボでの麻酔活性及びインビトロでのGABA結合活性を決定した。
【0131】
DMSOに溶解した薬剤を、尾静脈注射によってラットに投与した(1グループあたり、N=5ラット)。類似体の分子量の差異を相補するために、28μmol/kg(2,6−ジイソプロピルフェノールが5mg/kg)の用量レベルを使用した。この化合物の投与後に、正向反射からの回復時間として、インビボの麻酔活性を決定した。インビトロのGABA結合活性は、実施例27に記載したようにして行った。
【0132】
5mg/kg(28mmol/kg)の2,6−ジイソプロピルフェノールで、ラットを20分間麻酔した。等用量の化合物2及び化合物11は、それぞれラットを75〜92分間及び86分間麻酔した。等モル用量にて上記の2,6−ジイソプロピルフェノールでみられる毒性を超える毒性を、化合物2及び化合物11は有していなかった。インビトロでのGABA受容体に対する親和性とインビボでの麻酔活性との間には、十分な相関関係があった(図2B参照)。化合物2及び化合物11は、それぞれKDが0.42×10−6M及び0.36×10−6Mを示し、これらは2,6−ジイソプロピルフェノールのKD(5.74×10−6M)の10分の1未満であった。化合物2及び化合物11は、インビボで最も強力な麻酔活性を示した(図2A参照)。これらの結果から、2,6−ジイソプロピルフェノールと比較して、化合物2は、GABA受容体の関与する脳卒中又は神経縮退疾患を治療するための、より安全なGABA受容体阻害薬剤であり得、かつGABA受容体の関与する脳卒中及び他の神経縮退疾患の間、向上した神経保護活性を提供できると考えられる。
【0133】
実施例29
化合物2の向上した治療指数
【0134】
化合物2の潜在的な臨床適用について調査するために、その治療指数を2,6−ジイソプロピルフェノールの治療指数と比較した。2,6−ジイソプロピルフェノールに対する化合物2の、毒性及び薬動力学を比較するために、ラットにおいて、用量漸増実験を行った。DMSOに溶解した薬剤をラット(1群あたり5ラット)に投与した。インビボの麻酔活性を、正向反射からの回復時間として決定した。死亡率もモニターし、2,6−ジイソプロピルフェノール及び化合物2のLD50曲線を作成した。上記2種類の化合物間の分子量の差異を調整するために、umol/kg用量を使用した。化合物2は、28μmol/kgの2,6−ジイソプロピルフェノールについて計算したLD10に比較して、29μmol/kgで計算したLD10を有する2,6−ジイソプロピルフェノールと同一の毒性プロファイルを示した。化合物2及び2,6−ジイソプロピルフェノールはどちらも、麻酔活性に対して線形用量反応を示した。しかし、化合物2は2,6−ジイソプロピルフェノールよりも、インビボにおいてより高い麻酔活性を示した。LD10にて、化合物2で処理するとラットは1.73時間眠るが、2,6−ジイソプロピルフェノールで処理すると0.35時間しか眠らない。2,6−ジイソプロピルフェノール及び化合物2について、死亡率曲線を作成した(図3A参照)。LD50及びLD10は、2,6−ジイソプロピルフェノールについては、45.3μmol/kg及び28μmol/kgであり、化合物2については、62.1μmol/kg及び29μmol/kgであると計算された。麻酔反応曲線は、全ての用量レベルにおいて、化合物2は2,6−ジイソプロピルフェノールよりも十分な麻酔活性を示したことを示している(図3B参照)。LD10にて、ラットは、2,6−ジイソプロピルフェノールでは0.35時間睡眠したのに対して、化合物2では1.73時間睡眠した。これらの結果は、化合物2は2,6−ジイソプロピルフェノールよりも、GABA受容体の関与する脳卒中又は神経縮退疾患を治療するための、より安全なGABA受容体阻害薬剤であり得ることを示している。2,6−ジイソプロピルフェノールに伴う睡眠時間と比較して、化合物2及び他の開示される可能性のある類似体に伴う睡眠時間がより長くなるので、化合物2及び他の開示される可能性のある類似体が、長時間の鎮静において又は睡眠補助薬として、有益にもなる。
【0135】
実施例30
化合物2のPKは、2,6−ジイソプロピルフェノールに対して、定常状態におけるクリアランスの遅延及び少量の分布容積を示した
【0136】
化合物2及び2,6−ジイソプロピルフェノールをDMSOに溶解した。ラット(1群あたりN=3)に、頸静脈カニューレを介して化合物2又は2,6−ジイソプロピルフェノールのいずれかを静脈内投与し、試験物質投与後1、3、5、10、30、60、120及び240分にて共通の頸動脈カニューレを介して血液サンプル(200μl)を採取した。血液サンプル中の化合物2及び2,6−ジイソプロピルフェノールをGC/MSを用いて定量して、WinNonlinを用いて2コンパートメントPK解析を行った。
【0137】
表3に示すように、2,6−ジイソプロピルフェノールに比較して、化合物2は、より高いAUC、Cmax及び定常状態でのより小さな分布容積(Vss)、より小さな中枢コンパートメント容積(Vc)、より小さな組織コンパートメント容積(Vt)及びより小さなCLを示した。化合物2をより長い時間滞留させると、化合物2の治療適用において有利である。その理由は、GABA受容体の関与する脳卒中又は神経縮退疾患の治療において、化合物2により、プロポフォールの現在のような持続注入よりも、1日1回又は頻度の低い投薬が可能になるからである。2,6−ジイソプロピルフェノールに比較して、化合物2及び他の開示される可能性のある類似体のより好ましい薬動力学により、化合物2及び他の開示される可能性のある類似体は、長時間の鎮静において又は睡眠補助薬として有用にもなる。
【0138】
【表3】

【0139】
本明細書中に引用した、刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての引用文献は、各引用文献が個々にかつ具体的に援用されていることが示され、そしてその全体が本明細書中に記載されているのと同じ程度にまで援用されている。
【0140】
本発明を記載する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)、用語「ひとつの(a)」、及び「ひとつの(an)」及び「その(the)」及び同様の指示詞の使用は、本明細書中で特段の指示があるか、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、特段の注釈なき限り、オープン・エンドな用語(すなわち、「が挙げられるが、これ(ら)に限定されない」という意味)として解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、特段の指示なき限り、当該範囲内の個々の異なる値に対してそれぞれ言及する便法としての役割を意図されているのみであり、各々の異なる値は、あたかもそれぞれが本明細書中に列挙されるかのように、本明細書中に援用されている。本明細書中に記載された全ての方法は、本明細書中で特段の指示があるか、又は文脈と明らかに矛盾していない限り、任意の適切な順序で、遂行されうる。本明細書中に提供された任意及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、本発明を単により明らかにすることを意図されているものであって、特段の権利主張なき限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の用語は、特許請求の範囲に係らない構成要件を本発明の実施に必須なものとして示唆するものとして解釈すべきではない。
【0141】
本発明の好ましい態様(本発明を遂行するために本発明者らが知っている最良の形態を含む)が、本明細書中に記載される。それらの好ましい態様の変形は、前記の記載を読めば、当業者に明らかであり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を必要に応じて使用することを予期しており、本発明者らは本明細書中に具体的に記載されているものとは別のやり方で本発明が遂行されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容される限り、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された事柄の全ての改変及び均等物を包含する。さらに、本明細書中に特段の指示なき限り、又は文脈と明らかに矛盾していない限り、これら全ての可能な変形において、先に記載した構成要件の任意の組み合わせが、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1A】10−4Mの2,6−ジイソプロピルフェノールは、GABA受容体の塩素イオンチャネルに対するTBOB結合を阻害しただけであった。アゴニスト部位、α−1部位、α−2部位、又はα−6部位への有意な阻害は観察されなかった。
【図1B】濃度を増加させた2,6−ジイソプロピルフェノール又はTBPS(TBOB類似体)存在下における、GABA受容体に対するTBOBの結合阻害は、それぞれ5.74×10−6M及び3.10×10−8Mの結合定数を与えた。
【図2A】化合物2及び化合物11は、インビボで最も強力な麻酔活性を示した。
【図2B】インビトロでのGABA受容体に対する親和性とインビボでの麻酔活性との間には、十分な相関関係があった。
【図3A】2,6−ジイソプロピルフェノール及び化合物2について、死亡率曲線を作成した。
【図3B】麻酔反応曲線は、全ての用量レベルにおいて、化合物2は2,6−ジイソプロピルフェノールよりも十分な麻酔活性を示したことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの虚血障害の治療又は予防方法であって、該方法は、虚血障害の治療に効果的な量の2,6−ジイソプロピルフェノール類似体をヒトに投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が、医薬組成物に含有される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
経口投与、経鼻呼吸投与、エアロゾル投与、ボーラス注入、静脈内投与、持続点滴、動脈内投与、直腸内投与、膣内投与、舌下投与、非経口投与及び皮膚投与からなる群から選択される方法によって、前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬組成物が非経口投与用である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記医薬組成物が、前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体のナノ粒子を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記医薬組成物が、医薬上許容可能な担体を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の方法:(4−フルオロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ニトロフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(ナフタレン−2−イル)メタノン、
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−tert−ブチルフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−イソブチルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ヨードフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−メトキシフェニル)メタノン、
(4−シアノフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ブロモフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−プロピルフェニル)メタノン、
(4−クロロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(メトキシイミノ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(ヒドロキシ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−(メチルスルホニル)フェニル)メタノン及びそれらの組み合わせ。
【請求項8】
前記医薬組成物が非経口投与用である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記虚血障害が、脳卒中、出血又は外傷で誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が、4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノンである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が継続的に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が1日に1回以上投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
抗酸化剤を必要とするヒトに該抗酸化剤を提供する方法であって、該方法が、抗酸化作用を得るのに効果的な量の2,6−ジイソプロピルフェノール類似体を該ヒトに投与する工程を包含する、方法。
【請求項14】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体の量が、虚血障害に関連するフリーラジカル損傷の治療に効果的である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ヒトの脳に抗酸化剤を提供する方法であって、該方法が、血液脳関門を通過可能な2,6−ジイソプロピルフェノール類似体を前記ヒトに投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が、虚血障害に関連するフリーラジカル損傷の治療に効果的な該2,6−ジイソプロピルフェノール類似体の脳レベルを生み出すのに十分な量にて投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記神経学的欠陥の突発的発症後に、被験体に効果的な量の2,6−ジイソプロピルフェノール類似体を投与する工程を包含する、被験体の少なくとも1種類の神経学的欠陥の突発的発症の治療方法。
【請求項18】
以下:
a)0.5〜5重量%の2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体、及び
e)0.1〜5重量%の油、
を含有する医薬組成物による、ヒトの虚血障害の治療又は予防方法であって、ここで、虚血を予防又は治療するのに効果的な量にて、組成物がヒトに投与される、治療又は予防方法。
【請求項19】
前記組成物が、0.1から3重量%のヒト血清アルブミンをさらに含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、0.05から1重量%のレシチンをさらに含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、0.1から2重量%のビタミンE−TPGSをさらに含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、約2.25%のグリセロールをさらに含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬組成物が、約5から約8のpHを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
虚血を予防又は治療するのに効果的な量の2,6−ジイソプロピルフェノール又はその類似体を含む、低滑油組成物をヒトに投与する工程を包含する、ヒトの虚血の予防又は治療方法。
【請求項25】
前記組成物が、5重量%未満の油を含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、3重量%未満の油を含有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、2重量%未満の油を含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記類似体が、以下からなる群から選択される、請求項25に記載の方法:
(4−フルオロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ニトロフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(ナフタレン−2−イル)メタノン、
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−tert−ブチルフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−イソブチルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ヨードフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−メトキシフェニル)メタノン、
(4−シアノフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ブロモフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−プロピルフェニル)メタノン、
(4−クロロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(メトキシイミノ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(ヒドロキシ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−(メチルスルホニル)フェニル)メタノン及びそれらの組み合わせ。
【請求項29】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が、4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノンである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
2,6−ジイソプロピルフェノール類似体を鎮静又は睡眠が必要なヒトに投与する工程を包含する、該ヒトへの鎮静又は睡眠の誘導方法。
【請求項31】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が、以下からなる群から選択される、請求項30に記載の方法:(4−フルオロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ニトロフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(ナフタレン−2−イル)メタノン、
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−tert−ブチルフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−イソブチルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−ヨードフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−メトキシフェニル)メタノン、
(4−シアノフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ブロモフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−プロピルフェニル)メタノン、
(4−クロロフェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノン、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(メトキシイミノ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(ヒドロキシ)メチル)−2,6−ジイソプロピルフェノール、
4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)−(4−(メチルスルホニル)フェニル)メタノン及びそれらの組み合わせ。
【請求項32】
前記2,6−ジイソプロピルフェノール類似体が、4−(トリフルオロメチル)フェニル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタノンである、請求項31に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−530236(P2008−530236A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556325(P2007−556325)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/005653
【国際公開番号】WO2006/089120
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(506381212)アブラクシス バイオサイエンス、インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】