説明

虫とり網

【課題】部品の分散や紛失がなく、携行に嵩張らず、使用する際には簡単に使用形態にできる虫とり網を提供することを課題とする。
【解決手段】一面が解放された外筐2と、この外筐内に可及的密に腹合せ状に内嵌自在とされ前記外筐の先端に軸着された内筐3と、この内筐の先端に転回自在に軸支されたネット支持部材4と、このネット支持部材に枢支された4節リンク構造のネット枠5と、このネット枠に開口縁が止着された袋状のネット6と、前記外筐に対し内筐を直状に伸展させて握り柄としたときその状態にロックするロック手段7とを具有する構成としたことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は虫とり網に係り、特に折り畳み自在な虫とり網に関する。
【背景技術】
【0002】
虫とり網は元来屋外で使うものであることから大型なものとなり、子供がハイキングやピクニックなどに持参するには嵩張って携行することが難しい。
【0003】
さりとて組み立て式の構造として携行に便ならしめるようにすると、一つの部品でも紛失すると全体が使用不能になってしまい、これがハイキングやピクニックなどの行った先でのこととなると虫とりをあきらめざるを得ないことになる。
【特許文献1】特開平8−9862
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、折り畳み構造として部品の分散や紛失がなく、旅行などに携行するにも嵩張らず、使用する際には簡単に虫とり網の形態にでき、使用後は再びコンパクトな形態に格納することができる虫とり網を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、一面が解放された外筐と、この外筐内に可及的密に腹合せ状に内嵌自在とされ前記外筐の先端に軸着された内筐と、この内筐の先端に転回自在に軸支されたネット支持部材と、このネット支持部材に枢支された4節リンク構造のネット枠と、このネット枠に開口縁が止着された袋状のネットと、前記外筐に対し内筐を直状に伸展させて握り柄としたときその状態にロックするロック手段とを具有する構成としたことにある。
【0006】
前記外筐および内筐は細長直方体外形状に形成し、その開放面同士が向き合うよう(腹合せ状)に嵌合させたとき密閉箱形をなし、外筐から内筐を引き起こして伸展させたとき外筐と内筐とが1本の棒状を呈する構造とすることが好ましい。
【0007】
前記外筐にストッパ部片をスライド自在に取り付け、前記内筐伸展時に前記ストッパ部片を前進させてその先端を前記内筐の端壁に形成された係合孔に嵌入するようにし、これにより外筐と内筐とが直状に伸展した状態を保持するようにすることが好ましい。
【0008】
前記ネット枠は、前記ネット支持部材に枢支される2本の基部アームと、これら基部アームの先端に枢支され先端同士が枢着された他の2本の先端アームとで構成し、これら各アームに袋状のネットの開口縁を取り付け、先端アーム同士を基部アームに平行するよう折曲させたのち左右2本ずつのアームを接近回動させることにより1本の棒状を呈するようにし、これにネットを巻き付けて前記内筐内に折り返して収納することができるように構成される。
【0009】
一方、前記ネット支持部材と前記ネット枠の基部アームとの間、ネット支持部材と内筐との間、および外筐と内筐との間に、虫とり網としての使用形態としたときこれら相互を安定保持させるためのクリックストップ機構を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、折り畳んだとき細長直方体形状となってコンパクトな形態とすることができるので、携行に嵩張ることがなく、ハイキングやピクニックなどに手軽に持参することができる。
【0011】
使用するときは、外筐と内筐およびネット枠を伸展させ、次いでネット枠を広げ、ロック手段を掛ければ、直ちに虫とりや場合によっては魚とりに使用することができる。
【0012】
また各パーツは相互に分離してしまうことがないので、部品を紛失するようなことがなく、部品紛失による使用不能に陥ることがない。
【0013】
折り畳んだとき前述のように細長直方体形状のコンパクトな形態となるので、学習雑誌類等の雑誌の付録として、例えば、小学校低学年用の雑誌類の付録として添付して販売するのに最適な虫とり網とすることができるほか、単品の商品として販売することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明による虫とり網1を使用形態とした状態を示す斜視図であり、その構成部材としては、虫とり網1として使用するときは握り柄を構成し、不使用時には収納ケースとなる外筐2および内筐3と、ネット支持部材4と、ネット枠5と、ネット6と、外筐2と内筐3とで握り柄を構成するとき外筐2と内筐3とを直状に維持するロック手段7とからなっている。
【0015】
前記外筐2は、一面が開放された断面コ字状をなし細長直方体外形状を有するもので、その後端は端壁2aにより閉鎖されている。
【0016】
前記内筐3は、一面が開放された断面コ字状で細長直方体外形状を有するもので、前記外筐2の先端に軸8により該外筐2の開放面側から腹合せに可及的密に内嵌し得るよう転回自在に連結されており、外筐2に内嵌させたとき密閉状の収納ケースが構成されるようになっている。ここに云う腹合せとは、開放面が向き合うことを指す。
【0017】
前記ネット支持部材4は、前記内筐3の外筐2とは反対側の端部の側壁3a、3a間に軸9により転回自在に枢着されるもので、その外端には取付座4aが突設されていてこの取付座4aにネット枠5が取り付けられる。
【0018】
上記ネット枠5は、前記ネット支持部材4の取付座4aに軸10により枢支される左右の基部アーム5A、5Aと、これら基部アー5A、5Aの先端にピン11、11により連結され先端同士がピン12で連結された2本の先端アーム5B、5Bとで4節リンク構造とされており、これら各アームに袋状のネット6の開口縁が接着等の適宜手段により固定されている。
【0019】
したがって図1の使用形態から、図2のように先端アーム5B、5Bを基部アーム5A、5Aに平行するようにピン11、11を中心に折曲回動させれば1本の棒状となり、これに前記ネット6を図3、図4のように巻き付けたのち反転させれば、ネット支持部材4が軸9を中心に反転して前記ネット枠5およびネット6を共に内筐3内に折り畳み状に格納することができるようになっている。
【0020】
前記ロック手段7は、図7にその一例の拡大断面図を示すように、外筐2の前記内筐3の連結端近くの内底面2bに矩形板状のストッパ部片13と操作板13aとを継ぐピン14、14と、このピン13a、13aが通る長孔15、15とで所定のストロークにわたり長手方向に進退操作自在に設けられ、このストッパ部片13を矢印×のように外筺2の先端方向へスライドさせることにより前記内筐3の端壁3bに形成された係合孔16に嵌入するように構成されており、このストッパ部片13が係合孔16に嵌入したとき外筐2と内筐3とが屈曲することなく直状に固定され、虫とり網1の握り柄を構成するようになっている。
【0021】
前記外筐2と内筐3との連結部、内筐3とネット支持部材4との間、ネット枠5の基部アーム5A、5Aとネット支持部材4との間にはそれぞれ位置決め用のクリックストッパが設けられている。
【0022】
前記外筐2と内筐3との連結部に設けられるクリックストッパは、図4、図6、図8にみられるように、内筐3の連結端近くの側壁3a、3aの外側面に突部17、17が突設され、前記軸8を中心に内筐3を回転させたとき前記突部17が外筐2の端面2cにそって移動し、外筐2の側壁2dの上面に至ったとき前記突部17が嵌入する凹部18が形成され、前記端面2cの下端位置には内筐3を伸展させたとき前記突部17が圧嵌する凹部19が形成されていて、この圧嵌により外筐2に対し内筐3の伸展位置が定められ、その伸展状態に保持されるようになっている。
【0023】
前記ネット支持部材5と内筐3との間に設けられるクリックストッパは、前記外筐2と内筐3との連結部に設けたクリックストッパと同じ構造とされており、ネット支持部材5の側面に突設された突部20がネット枠5を内筐3から引き起こしてネット支持部材4が転回したとき前記突部20が内筐3の先端面3cにそって移動し、その端面の下端に形成された凹部21に圧嵌することによりネット枠5の伸展状態を保持するようになっている。
【0024】
前記ネット枠5のクリックストッパは、図9に該部の拡大図を示すように、ネット支持部材4の該部材4を連結している軸9から所定距離をおいた位置の上面に突設された突部22と、基部アーム5A、5Aの前記軸9と突部22との距離と等しい距離の下面位置に形成された凹部23とで構成され、基部アーム5A、5Aを拡開してその凹部23、23に突部22、22が嵌合したとき左右の基部アーム5A、5Aが図1のように略90°に拡開し、これに伴って先端アーム5B、5Bも拡開して全体として略正方形状のネット枠5が出現し、これに取り付けられているネット6も通常の虫とり網と同じように一面が開放された袋状の網となって虫などを捕獲することができるようになる。
【0025】
上記各構成部材は、人体に無害な合成樹脂で形成することが好ましい。
【0026】
次に作用について説明する。
【0027】
図6(B)に示す格納状態として小学校低学年用雑誌の付録などとして添付して販売することができ、この格納状態としてハイキングやピクニック等に持参するとき嵩張ることなく携行することができる。
【0028】
上記の格納状態から虫とりに使用するには、図6(B)の状態から内筐3の端部に手指を掛けて図6(A)のように外筐2から内筐3を引き起こし、次いで図4に示すように内筐2内からネット6と共にネット枠5を引き起こし、そのネット枠5を内筐3に対し直状に伸展させる(図3示)。
【0029】
このとき内筐3の突部17は外筐2の凹部19に圧嵌し、ネット支持部材4の突部20は内筐3の凹部21に圧嵌して位置決めされて安定し、次いでロック手段7のストッパ部片13を前進させて内筐3の係合孔16に嵌入させることで内筐3が折れ曲ることのない状態に固定される。
【0030】
こうしたのちネット枠5に巻き付いているネット6をほどき、ネット枠5を順次拡開して図1の使用状態にする。
【0031】
これにより外筐2と内筐3とで握り柄が構成され、ネット6が袋状に膨大して虫や魚類を獲ることができる。
【0032】
使用後持ち帰る際には、前記とは逆の手順、すなわち図1−図2−図3−図4−図5−図6(A)−(B)の順に折り畳むことにより外筐2内にすべてが納まったコンパクトな形態(図6(B)示)となって携行に便ならしめることができる。
【0033】
なお、虫とり網1は雑誌類の付録として活用されること限らず、単独の市販品として活用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による虫とり網を使用状態とした斜視図。
【図2】ネット枠の拡縮状態を示す平面図。
【図3】ネット支持部材にネットを巻き付けた状態の側面図。
【図4】同、ネット枠を内筐内に格納または引き起こし過程を示す側面図。
【図5】ロック手段を示し、(A)は平面図、(B)は背面図。
【図6】外筐と内筐との関係を示し、(A)は内筐の転回途中の側面図、(B)は外筐に内筐を格納した状態の側面図。
【図7】図5のロック手段の拡大断面図。
【図8】外筐と内筐との連結部のクリックストッパを示す一部の側面図。
【図9】ネット支持部材とネット枠との間のクリックストッパを示す一部の平面図。
【符号の説明】
【0035】
1 本発明による虫とり網
2 外筐
3 内筐
4 ネット支持部材
5 ネット枠
6 ネット
7 ロック手帳
13 スライド部材
16 係合孔
17、20、22 突部
19、21、23 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が解放された外筐と、この外筐内に可及的密に腹合せ状に内嵌自在とされ前記外筐の先端に軸着された内筐と、この内筐の先端に転回自在に軸支されたネット支持部材と、このネット支持部材に枢支された4節リンク構造のネット枠と、このネット枠に開口縁が止着された袋状のネットと、前記外筐に対し内筐を直状に伸展させて握り柄としたときその状態にロックするロック手段とを具有することを特徴とする虫とり網。
【請求項2】
前記外筐および内筐は細長直方体外形状を有し、その開放面同士が向き合うように嵌合したとき密閉箱形をなし、外筐から内筐を引き起こして伸展させたとき外筐と内筐とが1本の棒状を呈するようになされている請求項1記載の虫とり網。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記外筐にスライド自在に取り付けられたストッパ部片を有し、前記内筐の伸展時に前記ストッパ部片を前進させたときその先端が前記内筐の端壁に形成された係合孔内に嵌入して外筐と内筐とが直状に伸展した状態に保持されるように形成されている請求項1または2記載の虫とり網。
【請求項4】
前記ネット枠は、前記ネット支持部材に枢支される2本の基部アームと、これら基部アームの先端に枢着され先端同士が枢着された他の2本の先端アームとで構成され、前記各アームに袋状のネットの開口縁が取着されており、前記先端アーム同士を基部アームに平行するよう折曲させたのち左右2本ずつのアームを接近回動させることにより1本の棒状を呈してこれにネットを巻き付け、前記内筐内に折り返して収納し得るようになされている請求項1〜3のいずれか1項記載の虫とり網。
【請求項5】
前記ネット支持部材に、これに枢支される基部アームに形成された凹部に嵌脱してクリックストップを構成する突部が形成されている請求項4記載の虫とり網。
【請求項6】
前記ネット支持部材の側面に突設された突部と、前記内筐の先端面に形成され前記突部が圧嵌してネット支持部材を固定するための凹部とを備えている請求項1〜5のいずれか1項記載の虫とり網。
【請求項7】
前記内筐の前記外筐との接続端の側面に突設された突部と、前記外筐内に内筐を嵌入させるとき前記突部が圧接する凹所が該外筐の端面に形成されている請求項1〜6のいずれか1項記載の虫とり網。
【請求項8】
雑誌類の付録として添付されている請求項1〜7のいずれか1項記載の虫とり網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−5709(P2008−5709A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176690(P2006−176690)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000010021)株式会社小学館 (7)
【Fターム(参考)】