説明

虹のシアタ−

【課題】 時間の流れや季節の移り変わりがあっても、晴れた日にまたは月夜の晩に、いつでも、自然の虹が見えるように、虹の観察装置を提供する。
【解決手段】 水滴・ビーズ等の微小な透明球を無数に内包し、または、水晶体・プリズムなどの光を屈折・反射(分散)させる材料をもって、空間(スクリーン)1を形成し、かつ、この空間(スクリーン)1に虹6が見える高さと位置7に人間を配置するための装置5よりなる虹の観察装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、晴れた日にまたは月夜の晩に、いつでも、自然の虹が見えるように、人間を配置するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夏季には、雨上がりの朝夕の空を見上げると、時たま、美しい虹の架け橋が浮かんでいる。同じ現象を月夜の晩にも見掛けることがある。残念なことに、自然の虹は、いつでも見えるわけではないし、また、見えたとしても、短い時間であったり、見える方向も定まっていない。
【0003】
空気中に水滴の空間が形成されると、太陽あるいは月の高度と位置に応じて、太陽あるいは月からの自然光が水滴に射し込み、その水滴の中でこの光が屈折・反射(分散)し、光の屈折・反射の集合によって、自然の虹が見える。
【0004】
そうすると、水滴の空間を再現し、また、太陽あるいは月の高度と位置の関係を解決すれば、いつでも、長い時間にわたり、自然の虹を見ることができるはずである。そこで、従来、人工的に虹を発生させるために、水滴・ビーズなどの微小な透明球を使って、いろいろな装置が工夫されて来た。
【0005】
一つは、水滴をプラスティクの微小な透明球(虹ビーズ)に置き換えた空間である。これは、太陽光に頼らず、室内で、いつでも虹を見ることができる。しかし、自ずから屋外で見るのには適していない。
【0006】
二つは、水の噴霧により水滴の空間を再現し、これに投光機による光束を照射するものである。これは、噴霧ノズルの角度と投光機の光量を調節し、いつでも見えるようにしている。しかし、自然の虹と比べると、ハッキリした姿ではない。
【0007】
三つは、水滴の空間に太陽光を照射するものである。これは、太陽光が最も虹が発生しやすい状態に照射するように、噴霧手段を水平に回転させるとともに、噴出ノズルの噴出角度を変位させることができる。しかし、これは、太陽高度の高い昼間には虹を見ることができない。
【0008】
そうすると、現在まで、いつでも、長い時間にわたり、人工的に虹を発生させる装置としては、必ずしも満足できるものが存在していなかった、といってよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする問題点は、晴れた日にまたは月夜の晩に、いつでも、自然の虹をハッキリと見ることができるようにすることを目的とする。そのためには、次のような条件が必要となる。
【0010】
一つは、光を屈折・反射させる空間(以下、スクリーンと呼ぶ)である。虹は、太陽あるいは月の光が水滴・ビーズなどの微小な透明球または水晶体・プリズムなどの光を分散させる素材の中で屈折・反射(分散)した光である。その過程において、光の屈折率が色によって異なるので、虹が見える。したがって、太陽あるいは月の光を屈折させ一部反射するスクリーンを形成することが必要となる。
【0011】
もう一つは、太陽あるいは月の高度と位置との関係である。これらは、時間の流れや季節の移り変わりによって異なる。一定の場所における太陽あるいは月の高度と位置をもとにして、これらから、太陽あるいは月の光が水滴・ビーズなどの微小な透明球に入射し反射する経路を挟む最大の角度(虹角)、水滴42℃・ビーズ17℃を±すると、それぞれ、スクリーンに虹が見える高さと位置を確定できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明が解決する手段は、水滴・ビーズなどの微小な透明球を無数に内包し、または、水晶体・プリズムなどの光を分散させる材料をもってスクリーンを形成し、かつ、このスクリーンに虹が見える高さと位置に人間を配置するための装置からなる構成のものとしてある。
【0013】
スクリーンに虹が見える高さと位置に人間を配置するために、人間の所在する平面を勾配のついた斜面・階段・すり鉢状の観客席などの坂とする装置からなる構成のものとしてある。
【0014】
また、スクリーンに虹が見える高さと位置に人間を配置するために、人間の所在する平面そのものを上下にあるいは斜めに昇降しあるいは左右に移動し、または、人間の所在する場所を昇降できる装置からなる構成のものとしてある。
【0015】
太陽あるいは月の高度と位置に応じて、スクリーンを前後左右に調節するために、可動式とするスクリーンからなる構成のものとしてある。
【0016】
また、鉛直状にまたは水平状に形成し、かつ、任意の角度に変えることができるスクリーンからなる構成のものとしてある。
【0017】
更に、鉛直状にまたは水平状に2枚以上組み合わせて形成し、かつ、それぞれの角度を任意に変えることのできるスクリ−ンからなる構成のものとしてある。
【発明の効果】
【0018】
この発明の効果は、請求項1乃至6の発明によると、時間の流れや季節の移り変わりがあっても、太陽の出ている晴天または月の見られる月夜であれば、スクリーンにいつでも自然の虹を見ることができる。
【0019】
請求項2乃至3の発明によると、これらの装置を使って人間が移動することによって、晴天または月夜であれば、いつでも、自然の虹をみることができる。また、請求項4乃至6の発明によると、太陽あるいは月の高度と位置に応じて、スクリーンの位置や角度を調整できるので、季節の移り変わりによる変化に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明に係る虹の観察装置の実施例について、東京都墨田区内の吾妻橋という一定の地点(北緯35°42′25″・東経139°48′15″)に基づいて、図1乃至5に示す実施例に従って具体的に説明する。この地点における太陽の高度と位置の最大値(6月15日12時)をみると、太陽の高度76、5°と位置19、5°である。
【0021】
1〜2mmの水滴を水平に噴出する1または2以上のノズル孔を等間隔に開けた配水管の縦横の配列からなる枠組みを一定の地点に設置する。このノズルから水滴を噴霧することによって、水滴のスクリーン1が平面状に形成される。
【0022】
ノズル孔の配列からなる配水管の枠組みを前後左右に移動できるように設置すると、これによって、太陽の高度と位置に応じて、水滴のスクリーン1の位置の調節が可能となる。
【0023】
また、ノズル孔の配列からなる配水管の枠組みを鉛直状にあるいは水平状にし、かつ、角度を任意にとることができるように設置すると、これによって、太陽の高度と位置に応じて、水滴のスクリーン1の位置の調節が可能となる。
【0024】
更に、ノズル孔の配列からなる配水管の枠組みを鉛直状にあるいは水平状に2組以上組み合わせ、かつ、それぞれの角度を任意にとることができるように設置すると、これによって、太陽の高度と位置に応じて、水滴スクリーン1の位置の調節が可能となる。
【0025】
ビルの壁・橋の橋桁・鉄道高速の高架など、水滴のスクリーン1を鉛直状に形成するとき、スクリーンに虹6が見える高さと位置7をみると、太陽の高度77°±水滴の虹角42°=35° 太陽の位置20°±水滴の虹角42°=62°となる。
【0026】
水滴スクリーン1に対して、人間の所在する平面を35°の傾斜角4を有する斜面・階段・観客席5とし、また、この斜面・階段・観客席を62°の広角を有する幅員とする装置を設置する。これらの装置を人間が昇降し、左右に移動することによって、虹を見ることができる。
【0027】
また、エスカレータ・エレータ・ゴンドラ・観覧車等の昇降装置を用いて、人間の所在する平面そのものを上下または斜めに昇降しあるいは左右に移動し、または、人間の所在する場所を昇降あるいは移動できるようにする。
【0028】
前記の実施例は、太陽光による虹の観察装置に関するものである。しかし、この観察装置を用いると、太陽光による虹と同様に、月の高度と位置に応じて、スクリーンに月光虹を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明による虹の観察装置に関する基本的な実施例の側面図である。
【図2】鉛直状と水平状に組み合わせたスクリーンと階段を用いた装置の実施例の側面図である。
【図3】図2の実施例の立面図である。
【図4】図2の実施例の平面図である。
【図5】鉛直状と水平状に組み合わせたスクリーンの角度に変えた実施例の側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 水滴のスクリーン
2 太陽の高度の最高値 77°
3 水滴の虹角 42°
4 斜面・階段の傾斜角 35°
5 斜面・階段・観客席
6 虹が写っている箇所
7 虹の見える範囲
8 席の移動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽あるいは月の光を屈折・反射(分散)させる材料をもって空間を形成し、かつ、この空間に虹が見える高さと位置に人間を配置するための装置よりなる虹の観察装置。
【請求項2】
前記の空間に虹が見える高さと位置に人間を配置するために、人間の所在する平面を勾配のついた斜面・階段・観客席などの坂とする装置からなる虹の観察装置。
【請求項3】
前記の空間に虹が見える高さと位置に人間を配置するために、人間の所在する平面を上下にあるいは斜めに昇降しあるいは左右に移動し、または、人間の所在する場所を昇降あるいは移動できる装置からなる虹の観察装置。
【請求項4】
前記の空間を太陽あるいは月の高度と位置に応じて前後左右に調節するために、可動式とする虹の観察装置。
【請求項5】
前記の空間を鉛直状にまたは水平状に形成し、かつ、任意の角度に変えることのできる虹の観察装置。
【請求項6】
前記の空間を鉛直状または水平状に2枚以上組み合わせて形成し、かつ、それぞれの角度を任意に変えることができる虹の観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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