説明

蚊駆除器

【課題】蚊駆除剤の無駄な消耗を抑制しながら、人体などに刺されないように、蚊を有効に駆除することができる蚊駆除器を提供する。
【解決手段】蚊駆除剤の揮散装置Aと、雰囲気温度を検出可能な温度センサ13と、設定温度以上の雰囲気温度が検出されると揮散装置を作動させる制御装置Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蚊駆除剤の揮散装置を有する蚊駆除器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蚊駆除器では、蚊駆除剤の無駄な消耗を抑制するために、蚊の羽音を検出可能なセンサを有し、蚊が出現してその羽音を検出すると揮散装置を作動させるように構成してある。(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−81117号公報
【特許文献2】特開2003−339292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の蚊駆除器は、蚊が実際に出現していることをその羽音で検出すると揮散装置を作動させるものである。
したがって、蚊の羽音を検出する前や、羽音を検出してから揮散装置を作動させるまでの間に人体が蚊に刺されることがあり、蚊を有効に駆除できないおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、蚊駆除剤の無駄な消耗を抑制しながら、人体が刺されないように、蚊を有効に駆除することができる蚊駆除器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による蚊駆除器の第1特徴構成は、蚊駆除剤の揮散装置と、雰囲気温度を検出可能な温度センサと、設定温度以上の雰囲気温度が検出されると前記揮散装置を作動させる制御装置とを有する点にある。
【0006】
このため、蚊が実際に出現しているか否かにかかわらず、蚊が出現する可能性が高い設定温度以上の雰囲気温度が検出されると揮散装置を作動させることができ、人体が蚊に刺されるおそれが少なくなる。
したがって、本構成の蚊駆除器であれば、蚊駆除剤の無駄な消耗を抑制しながら、人体が刺されないように、蚊を有効に駆除することができる。
【0007】
本発明による蚊駆除器の第2特徴構成は、蚊駆除剤の揮散装置と、二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素センサと、設定濃度以上の二酸化炭素濃度が検出されると前記揮散装置を作動させる制御装置とを有する点にある。
【0008】
本構成の蚊駆除器は、二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素センサと、設定濃度以上の二酸化炭素濃度が検出されると揮散装置を作動させる制御装置とを有する。
【0009】
すなわち、周囲よりも二酸化炭素の濃度が高い場所を好む蚊の習性を利用して、蚊が実際に出現しているか否かにかかわらず、蚊が出現する可能性が高い設定濃度以上の二酸化炭素濃度が検出されると揮散装置を作動させることができる。
このため、人体が蚊に刺されるおそれが少なくなる。
したがって、本構成の蚊駆除器であれば、蚊駆除剤の無駄な消耗を抑制しながら、人体が刺されないように、蚊を有効に駆除することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記揮散装置は、蚊駆除剤の揮散を促進させる送風ファンを有し、前記制御装置は、前記温度センサ或いは前記二酸化炭素センサの検出値に応じて風量が変化するように前記送風ファンの作動を制御可能に設けられている点にある。
【0011】
本構成であれば、雰囲気温度或いは二酸化炭素濃度の検出値に応じて送風ファンの風量を変化させて、蚊の出現し易さに応じて蚊駆除剤の揮散量と拡散範囲を調節することができると共に、送風ファンの駆動エネルギーの消費を抑制することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記温度センサ或いは前記二酸化炭素センサの検出状態を示す表示部を有し、前記制御装置は、前記温度センサ或いは前記二酸化炭素センサの検出値に応じて前記表示部の点灯状態を変化させるように構成してある点にある。
【0013】
本構成であれば、雰囲気温度或いは二酸化炭素濃度の検出値に応じて表示部の点灯状態を変化させて、雰囲気温度或いは二酸化炭素濃度の検出状態や蚊の出現し易さなどを使用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】蚊駆除器の斜視図である。
【図2】蚊駆除器の縦断面図である。
【図3】制御装置のブロック図である。
【図4】二酸化炭素濃度とファン回転数との相関関係を示すグラフである。
【図5】制御装置による制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2は、本発明による蚊駆除器を示す。
蚊駆除器は、蚊駆除剤の揮散装置Aが内装された正面視で略円形の上部ケース1と、揮散装置Aの作動を制御する制御装置Bが内装された平面視で略円形の下部ケース2とを備えている。
【0016】
上部ケース1は、下部ケース2の中央部から上方に向けて延設した略円形の中ケース3の前後に前ガード4と後ガード5とを着脱自在に設けて、下部ケース2の上部に接続してある。
【0017】
揮散装置Aは、環状に形成した薬剤カートリッジ6と、蚊駆除剤の揮散を促進させる送風ファン8と、送風ファン8を駆動回転させる電動モータ7とを有している。
電動モータ7を中ケース3に支持し、薬剤カートリッジ6を電動モータ7の外周側にモータ回転軸芯と同芯状に配設してある。
【0018】
薬剤カートリッジ6には、蚊駆除剤を担持させた樹脂製担体9を表面が外部に露出する状態で装填してあり、蚊駆除剤は、送風ファン8の駆動を停止している状態においても揮散するが、送風ファン8の駆動によりその揮散が促進される。
【0019】
すなわち、揮散装置Aは、送風ファン8の駆動回転により、後ガード5の開口部5aから吸入した空気を薬剤カートリッジ6に装填してある担体9に吹き付けて蚊駆除剤の揮散(昇華)を促進させ、揮散させた蚊駆除剤を前ガード4の開口部4aを通して室内などの駆除空間に拡散させる。
【0020】
下部ケース2には、電力供給用のUSBケーブル10が接続されるUSBコネクタ11と、蚊駆除器の設置場所における二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素センサ12と、蚊駆除器の設置場所における雰囲気温度を検出可能な温度センサ13と、二酸化炭素センサ12及び温度センサ13の検出状態を示す表示部22と、蚊駆除器の電源スイッチ16と、電源スイッチ16のON/OFF状態を表示する電源表示用LEDランプ16aと、制御基板17とを設けてある。
【0021】
二酸化炭素センサ12及び温度センサ13の夫々は、感知部をケース外方に臨ませて設けてある。
表示部22は、二酸化炭素センサ12の検出状態を点灯表示するLEDランプ(図示せず)を備えた二酸化炭素表示部14と、温度センサ13の検出状態を点灯表示するLEDランプ(図示せず)を備えた温度表示部15とを備えている。
電源スイッチ16は下部ケース2の底面側に設けてある。
【0022】
制御装置Bは、図3に示すように、マイクロコンピュータ18aを備えた制御部18と、マイクロコンピュータ18aの動作用電力を供給する電源部19とを有し、制御部18は、センサ部20からの入力情報に基づいてモータ動作部21と表示部22の作動を制御する。
【0023】
電源部19は、USBコネクタ11、充電IC19a、リチウムイオン充電池19b、レギュレータ19c、低電圧検出回路19dなどを備え、電源スイッチ16がONの状態で、USBコネクタ11からの電力をレギュレータ19cで調整してマイクロコンピュータ18aに供給する。
【0024】
センサ部20は、二酸化炭素センサ12の検出出力を増幅する増幅回路12aと、温度センサ13の検出出力を増幅する増幅回路13aとを備え、各センサ12,13の増幅された検出出力をマイクロコンピュータ18aに入力する。
【0025】
モータ動作部21は、マイクロコンピュータ18aから出力される回転数信号に応じた回転数で送風ファン8が駆動されるように、モータ駆動回路21aから電動モータ7に駆動電力を供給する。
【0026】
表示部22は、二酸化炭素表示部14のLEDランプ14aと温度表示部15のLEDランプ15aと電源表示用LEDランプ16aの夫々を、マイクロコンピュータ18aから各別に出力される輝度信号に応じた明るさで点灯する。
【0027】
マイクロコンピュータ18aは、温度センサ13が設定温度以上の雰囲気温度を検出すると、蚊駆除剤の揮散が促進されるように揮散装置Aを作動させる。
また、マイクロコンピュータ18aは、温度センサ13が設定温度以上の雰囲気温度を検出している状態で、二酸化炭素センサ12が設定濃度以上の二酸化炭素濃度を検出すると、その検出値に応じて蚊駆除剤の揮散が促進されるように揮散装置Aを作動させる。
【0028】
雰囲気温度の設定温度は、本実施形態では吸血行動が活発化する温度として例えば26℃に設定されている。
【0029】
図4は、二酸化炭素濃度と送風ファン8の回転数との相関関係を示し、二酸化炭素濃度が350ppm〜700ppmの範囲内では、ファン回転数が二酸化炭素濃度に比例して最低回転数400rpm〜最高回転数1400rpmの範囲で変化し、二酸化炭素濃度が700ppmを越えると送風ファン8は1400rpmの一定回転数で駆動される。
【0030】
二酸化炭素濃度とファン回転数との相関関係は、マイクロコンピュータ18aが備えるメモリに記憶されており、二酸化炭素センサ12による二酸化炭素濃度の検出値に応じたファン回転数が必要に応じて読み出される。
【0031】
また、マイクロコンピュータ18aは、二酸化炭素センサ12による二酸化炭素濃度の検出値に応じて、検出値(二酸化炭素濃度)が高くなるほどLEDランプ14aの点灯状態が明るくなるように変化させる輝度信号を二酸化炭素表示部14に入力し、かつ、温度センサ13による雰囲気温度の検出値に応じて、検出値(雰囲気温度)が高くなるほどLEDランプ15aの点灯状態が明るくなるように変化させる輝度信号を温度表示部15に入力する。
【0032】
マイクロコンピュータ(制御装置B)18aによる制御動作を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
マイクロコンピュータ18aは、電源スイッチ16がONの状態で、二酸化炭素濃度が高いほどLEDランプ14aを明るく点灯させる輝度信号を二酸化炭素表示部14に出力し、かつ、雰囲気温度が高いほどLEDランプ15aを明るく点灯させる輝度信号を温度表示部15に出力する(ステップ#1,2)。
【0033】
次に、温度センサ13が設定温度(26℃)以上の雰囲気温度を検出しているか否かを判定し(ステップ#3)、設定温度以上の雰囲気温度を検出していると、二酸化炭素センサ12が設定濃度(350ppm)以上の二酸化炭素濃度を検出しているか否かを判定し、検出濃度が350ppm以下のときは、ファン回転数を最低回転数400rpmとする回転数信号をモータ駆動回路21aに入力し(ステップ#4,6)、モータ駆動回路21aはファン回転数が400rpmとなるように電動モータ7を駆動する。
【0034】
検出濃度が350ppmを越えているときは、その検出濃度に応じたファン回転数を目標回転数としてメモリから読み出して、ファン回転数をその目標回転数とする回転数信号をモータ駆動回路21aに出力し(ステップ#4,5)、モータ駆動回路21aはファン回転数が目標回転数となるように電動モータ7を駆動する。
【0035】
ステップ#3において温度センサ13が設定温度未満の雰囲気温度を検出している状態では、二酸化炭素センサ12が350ppm以上の二酸化炭素濃度を検出していても、送風ファン8が駆動されない。
また、温度センサ13が設定温度以上の雰囲気温度を検出している状態では、二酸化炭素センサ12が350ppm未満の二酸化炭素濃度を検出していても、送風ファン8が駆動される。
【0036】
したがって、制御装置Bは、温度センサ13の検出値に応じて、雰囲気温度が設定温度以上になると送風ファン8による送風を開始するとともに、雰囲気温度が設定温度未満になると送風ファン8による送風を停止し、二酸化炭素センサ12の検出値に応じて、二酸化炭素濃度が高くなるほど風量が増大する側に変化するように送風ファン8の作動を制御可能に設けられている。
【0037】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による蚊駆除器は、温度センサ13を有しておらず、二酸化炭素センサ12が設定濃度以上の二酸化炭素濃度を検出すると揮散装置Aを作動させる制御装置Bを有していてもよい。
2.本発明による蚊駆除器は、二酸化炭素センサ12を有しておらず、温度センサ13が設定温度以上の雰囲気温度を検出すると揮散装置Aを作動させる制御装置Bを有していてもよい。
この場合、雰囲気温度が高いほど風量が増大する側に連続的に又は段階的に変化するように送風ファン8の作動を制御可能な制御装置Bが設けられていてもよい。
3.本発明による蚊駆除器は、二酸化炭素センサ12と温度センサ13との両方を有し、二酸化炭素センサ12が設定濃度以上の二酸化炭素濃度を検出すると、又は、温度センサ13が設定温度以上の雰囲気温度を検出すると揮散装置Aを作動させる制御装置Bを有していてもよい。
4.本発明による蚊駆除器は、二酸化炭素センサ12や温度センサ13の検出値に応じて、検出値が高いほど風量が連続的に又は段階的に増大するように送風ファン8の作動を制御可能な制御装置Bが設けられていてもよい。
5.本発明による蚊駆除器は、二酸化炭素センサ12や温度センサ13の検出値に応じて、検出値高いほど輝度が連続的又は段階的に変化するように表示部22の点灯状態を変化させる制御装置Bが設けられていてもよい。
6.本発明による蚊駆除器は、液体或いは固体の蚊駆除剤を加熱して揮散させる揮散装置Aを有していてもよい。
【符号の説明】
【0038】
8 送風ファン
12 二酸化炭素センサ
13 温度センサ
22 表示部
A 揮散装置
B 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蚊駆除剤の揮散装置と、
雰囲気温度を検出可能な温度センサと、
設定温度以上の雰囲気温度が検出されると前記揮散装置を作動させる制御装置とを有する蚊駆除器。
【請求項2】
蚊駆除剤の揮散装置と、
二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素センサと、
設定濃度以上の二酸化炭素濃度が検出されると前記揮散装置を作動させる制御装置とを有する蚊駆除器。
【請求項3】
前記揮散装置は、蚊駆除剤の揮散を促進させる送風ファンを有し、
前記制御装置は、前記温度センサ或いは前記二酸化炭素センサの検出値に応じて風量が変化するように前記送風ファンの作動を制御可能に設けられている請求項1又は2記載の蚊駆除器。
【請求項4】
前記温度センサ或いは前記二酸化炭素センサの検出状態を示す表示部を有し、
前記制御装置は、前記温度センサ或いは前記二酸化炭素センサの検出値に応じて前記表示部の点灯状態を変化させるように構成してある請求項1又は2記載の蚊駆除器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−94111(P2013−94111A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239282(P2011−239282)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】