説明

蛋白質結晶化装置

【課題】小型で使い勝手のよい蛋白質結晶化装置を提供する。
【解決手段】結晶化プレートに所望の分注作業をするための蛋白質結晶化装置は、処理室4を有する筐体と、その筐体に設けられて処理室内に位置する作業位置および処理室外に張り出す張出し位置の相互にスライド移動可能な基台8と、その基台上に設けられて分注作業に必要なシール装置や分注材料等が配置される分注処理部50と、処理室4内での分注処理部50よりも上部に設けられて結晶化プレートのウェルに分注等の必要な処理をするための分注ヘッド40を有するとともに、その分注ヘッド40を必要な位置に移動可能な分注ヘッド駆動装置10と、基台8よりも下部に設けられて分注ヘッド駆動装置10およびシール装置等をそれぞれ制御可能な制御装置と、基台8よりも下部に設けられたゴミ箱9とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛋白質結晶化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛋白質結晶化条件の探索方法としては、蒸気拡散法が知られている。そして、蒸気拡散法を自動化する装置も考えられており、この種の装置としては、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1に記載の技術では、シッティングドロップ法を用いるようになっており、結晶化容器(結晶化プレート)の搬送手段、複数の結晶化容器やチップラックを複数収納するための収納部、およびそれら分注材料を搬送するための搬送手段を備えて構成されており、所望の結晶化分注処理を施した結晶化プレートを次々に作製可能になっている。
【特許文献1】特許第3753134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、蒸気拡散法として、例えばシッティングドロップ法のみを用いるとともに、同一の仕様の結晶化プレートのみを次々に作製する上ではその作製効率に優れているものの、例えば蒸気拡散法を他の方法(例えばハンギングドロップ法)に替えてこれらを適宜に変更して用いる場合や、異なる仕様の結晶化プレートを少数作製する必要がある場合等、いわゆる多品種小ロットの要求に対しては、逆に使い勝手の悪いものになっている。
【0004】
さらに、上記特許文献1に記載の技術では、結晶化プレートヘの所望の分注処理を連続して施して、同一の仕様の結晶化プレートを次々に作製可能とするために、そのための収納部や搬送手段等を必要としており、装置が大型化し、また、コストも高いものとなってしまうという問題もある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、小型で使い勝手のよい蛋白質結晶化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、蛋白質結晶化装置であって、結晶化プレートに所望の分注作業をするための処理室を有する筐体と、その筐体に設けられて前記処理室内に位置する作業位置および前記処理室外に張り出す張出し位置の相互にスライド移動可能な基台と、前記基台上に設けられて、前記結晶化プレート、その結晶化プレートのウェル開口部をシール部材を用いて密封可能なシール装置、および前記分注作業に必要な分注材料がそれぞれ配置される分注処理部と、前記処理室内での前記分注処理部よりも上部に設けられて前記結晶化プレートのウェルに分注等の必要な処理をするための分注ヘッドを有するとともにその分注ヘッドを前記結晶化プレートのウェルへの処理に必要な位置に移動可能な分注ヘッド駆動装置と、前記基台よりも下部に設けられて、前記分注ヘッド駆動装置およびシール装置をそれぞれ制御する制御装置、および前記分注作業によって生じる不要な物を回収可能な不要物回収部を有する電装品室と、を備えていることを特徴としている。
【0006】
本発明に係る蛋白質結晶化装置によれば、その筐体に処理室を有しており、この処理室には、シール装置を備える分注処理部が上部に設けられる基台が、処理室内に位置する作業位置および処理室外に張り出す張出し位置の相互にスライド移動可能に設けられているので、この基台を張出し位置に位置させた状態とすれば、その上部の分注処理部を前方に引き出すことができる。そのため、例えば必要な分注材料や結晶化プレートの交換作業等の必要な作業を処理室外で行うことができる。したがって、処理室内自体での人手のための作業スペースを必要十分な範囲で少なくすることができるので、装置を小型化することが可能である。
【0007】
また、換言すれば、例えば処理室を必要十分に小型に構成した場合であっても、基台を張出し位置に位置させて、その上部の分注処理部を前方に引き出すことができるようになっているので、分注作業前後の取扱いやメンテナンスが容易である。そのため、例えば蒸気拡散法として複数の方法を適用する場合において、例えばシッティングドロップ法およびハンギングドロップ法を適宜に変更して用いるときであっても、分注処理部に配置される各々の分注作業に必要な分注材料を容易に交換することが可能であり、また、各々の分注作業に対応する結晶化プレートに容易に交換することが可能である。したがって、例えば複数の蒸気拡散法を適宜に変更して用いる場合や、異なる仕様の結晶化プレートを少数作製する必要がある場合等、いわゆる多品種小ロットの要求に対しても、その使い勝手が良い。
【0008】
さらに、本発明に係る蛋白質結晶化装置によれば、その筐体に、上記分注ヘッド駆動装置、上面に分注処理部を備える基台、その基台下部の電装品室内には、制御装置および不要物回収部が、筐体の上部から順に装備されているので、この配置がいわばコンパクトな構成の実現に寄与しており、装置を小型化する構成として好適である。
ここで、本発明に係る蛋白質結晶化装置において、前記処理室は、当該処理室内を視認可能な材料で形成されてなる開閉扉を有し、前記基台は、当該開閉扉を開いた部分から処理室外に張り出すことで前記張出し位置に位置可能になっていることは好ましい。このような構成であれば、開閉扉が処理室内を視認可能な材料で形成されているので、処理室内の状態を容易に確認することができる。そして、基台が、この開閉扉を開いた部分から処理室外に張り出すことで前記張出し位置に位置可能になっているので、装置を小型化するとともに、その使い勝手を良くし得る構成として一層好適である。
【0009】
ところで、この種の「蛋白質結晶化装置」は、室温では蛋白質溶液が変性してしまうため、通常、低温(例えば4℃)で使用される。しかし、分注作業を低温室内で長時間行うことは、作業者に大きな負担を強いることになる。
そこで、本発明に係る蛋白質結晶化装置において、蛋白質結晶化装置全体を、保冷庫内に設置して分注を行うことは好ましい。このような構成であれば、蛋白質溶液の変性を防止して、その結晶化の品質を向上させる上で好適である。つまり、本発明に係る蛋白質結晶化装置は、上述のようにコンパクトな構成が実現されているので、蛋白質結晶化装置全体を、例えばクロマトチャンバ(登録商標)等の研究用の保冷庫内に容易に設置可能であり、作業者の負担を軽減する上で好適である。
【0010】
さらに、本発明に係る蛋白質結晶化装置において、蛋白質結晶化装置全体を、保冷庫内に設置して分注を行う場合に、前記保冷庫の設定温度は4℃に設定されており、その設定温度にて分注動作を行うことは好ましい。このような構成であれば、結晶化の品質を向上させる上でより好適である。
また、本発明に係る蛋白質結晶化装置において、前記制御装置は、その周囲が断熱材で密閉されていることは好ましい。このような構成であれば、制御装置内の電装品を低温にさせないようにして電装品の結露を防止する上で好適である。
【0011】
また、本発明に係る蛋白質結晶化装置において、前記電装品室は、その周囲が防音材で囲まれていることは好ましい。このような構成であれば、騒音を低減する上で好適である。
また、本発明に係る蛋白質結晶化装置において、前記電装品室と前記処理室とは、相互が断熱材で仕切られていることは好ましい。このような構成であれば、蛋白質結晶化装置全体を、保冷庫内に設置して分注を行う場合に、処理室内の温度を保冷庫の設定温度に保つようにする上で好適である。
【発明の効果】
【0012】
上述のように、本発明によれば、小型で使い勝手のよい蛋白質結晶化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る蛋白質結晶化装置の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図1は、本発明に係る蛋白質結晶化装置の一実施形態を正面から見た外観図であり、また、図2(a)は、図1での開閉扉を含む外装カバーを外した状態の図を示し、図2(b)は、図2(a)でのA矢視図である。
この蛋白質結晶化装置1は、図1に示すように、その長手方向を上下にする略直方体状の筐体2を備え、その上下方向での中央に処理室4を有している。また、この処理室4の上部には機器室3が設けられ、さらに、処理室4の下部には電装品室5が設けられている。この電装品室5と処理室4とは、相互が断熱材5aで仕切られている。なお、この蛋白質結晶化装置1は、蛋白質結晶化装置1全体を、例えばクロマトチャンバ(登録商標)等の研究用の保冷庫(不図示)内に設置して分注を行うものであり、保冷庫の設定温度は4℃に設定される。そして、処理室4内をその設定温度にして分注動作を行っている。
【0014】
ここで、中央に位置する処理室4は、結晶化プレートに所望の分注作業を行うための部屋であり、その内部への塵の侵入等を防止して内部の雰囲気を必要な状態に管理可能なように、その周囲が外装カバー3aで覆われている。そして、この処理室4の正面には開閉扉7が設けられている。この開閉扉7は観音開きになっている。つまり、この開閉扉7は左右の各開閉扉7a,7bが、それぞれの左右端部に設けられたヒンジ7cを介して筐体2に連結されており、これにより、ヒンジ7cを支軸としてそれぞれ開閉可能になっている。そして、扉を開くことで、分注材料の出し入れ等を含む必要な作業を行える広さの開口部を形成可能になっている。ここで、この開閉扉7は、各開閉扉7a,7bが、外部から処理室4内を視認可能な透明な強化ガラス材料で形成されている。
【0015】
そして、図2に示すように、処理室4内には、その処理室底部4a上に、基台8が設けられている。この基台8は、その下部に基台引き出し機構22を備え、この基台引き出し機構22を介して処理室底部4a上にスライド移動可能に設けられている。
詳しくは、この基台引き出し機構22は、処理室底部4aの上面に、同図での紙面方向に沿って張り渡された左右二条の固定側案内レール22aと、各固定側案内レール22a上に支持されるとともに、固定側案内レール22aに沿ってスライド移動可能な移動側案内レール22bとを備えて構成されており、これら移動側案内レール22b上に、平面視が矩形状の基台本体8aが固定されている。また、この基台本体8aには、その正面の二箇所に、把持用の取っ手8bが装着されている。この基台本体8aは、上記開閉扉7を開いたときに、その開口部に対向する位置に配置されており、その取っ手8bを手で持って押し引きして基台本体8aを案内レール22aに沿って前後に移動させることで、基台8の基台本体8aは、開閉扉7が開いた位置の対向方向にスライド移動可能になっている。
【0016】
これにより、同図での紙面手前側に基台本体8aを引き出して、開閉扉7の開口から処理室4外に張り出す張出し位置と、処理室4内に位置する作業位置とにそれぞれ位置させられるようになっている。ここで、この基台本体8a上が、結晶化プレートに所望の分注作業をするための分注処理部50になっている。そして、この分注処理部50は、上記基台引き出し機構22によって、分注処理部50全体が処理室4外に引き出せるようになっており、分注材料等の出し入れが容易に行えるように構成されている。
【0017】
以下、この分注処理部50について図3および図4を適宜参照しつつ説明する。ここで、この蛋白質結晶化装置1では、蒸気拡散法として知られる、シッティングドロップ法およびハンギングドロップ法の両方が利用可能なように分注処理部50が構成されている。これにより、本蛋白質結晶化装置1によれば、利用する結晶化法に合わせた結晶化プレートが設置可能になっており、また、結晶化法に応じて結晶化プレートの載せ替えが可能となっている。なお、図3および図4は分注処理部50の平面図であり、図3は、シッティングドロップ法を用いる際の配置図であり、図4は、ハンギングドロップ法を用いる際の配置図である。
【0018】
図3ないし図4に示すように、この分注処理部50には、結晶化プレート、その結晶化プレートのウェル開口部を、シール部材を用いて密封可能なシール装置、および、結晶化分注処理をするために必要な分注材料等が配置されるようになっている。
詳しくは、この分注処理部50には、平面視で奥側の左側から、大チップラック51および小チップラック52がそれぞれ設置されている。大チップラック51には、リザーバ溶液分注用の大チップ(大容量用)が複数個備えられるようになっており、また、小チップラック52には液滴分注用の小チップ(小容量用)が複数個備えられるようになっている。なお、どちらのチップもディスポーザブル(使い捨て)式であって、使用後は溶液間のコンタミネーション(汚染)防止のため、廃棄される。
【0019】
そこで、その廃棄のために、この分注処理部50には、大チップラック51および小チップラック52との間の位置に、分注処理部50の下方に設置されたゴミ箱9(図1ないし2参照)に連通するゴミ箱入り口53が設けられており、このゴミ箱入り口53からゴミ箱9内に、使用済みチップを捨てられるようになっている。なお、ゴミ箱9にたまった使用済みチップは、ゴミ箱9を蛋白質結晶化装置1の前面から引き出して、空にすることができる(図1ないし2参照)。
【0020】
さらに、図3ないし図4に示すように、上記大チップラック51の手前側には、リザーバ溶液が入っているリザーバ容器54が設置される。このリザーバ容器54には、複数個のディープウェルが形成されており、そのディープウェルに、結晶化条件探索用のリザーバ溶液が複数個所貯えられるようになっている。なお、このリザーバ容器54は、これに貯えられる複数のリザーバ溶液がすべて異なる種類である。また、このリザーバ容器54には、リザーバ溶液の乾燥防止を目的として、ロータリ型のエアシリンダ54bの駆動によって開閉自在な蓋54aが装備されている。このエアシリンダ54bは、制御装置20からの信号に応じて適宜駆動されることで、蓋54aの開閉動作が適宜実行されるようになっている。
【0021】
そして、このリザーバ容器54の右側には、蛋白質溶液が入っている蛋白質チューブ55が設置される。さらに、そのリザーバ容器54よりも手前の側には、シール装置6が設けられている。このシール装置6は、その上面に結晶化プレートが載置されるとともに、その結晶化プレートのウェル開口部を、シール部材を用いて密封可能なシール機構30を備えている。
【0022】
ここで、シッティングドロップ法に使用する結晶化プレートの一例を図5に示す。
同図に示すように、この結晶化プレート100Aの表面には、複数のウェル101が格子状に整列している。一つのウェル101に注目すると、容量の大きなリザーバウェル102と容量の小さなドロップウェル103が隣接した配置となっている。この結晶化プレート100Aの使用方法は、リザーバウェル102にリザーバ溶液を分注し、ドロップウェル103に蛋白質溶液とリザーバ溶液との混合ドロップを分注する。その後、シール装置6のシール機構30によってウェル開口部をシール部材で塞ぎ、液体蒸発による条件変動を防止する。
【0023】
このように、シッティングドロップ法では、分注処理した結晶化プレート100A内の溶液の乾燥防止を目的とし、シール部材を結晶化プレート100Aの上面に貼り付けるようにするため、この分注処理部50には、シール装置6が備えられており、そのシール機構30によって、シール部材を結晶化プレート100Aの上面に貼り付け可能になっている。なお、このシール装置6のシール機構30は、シール部材の貼り付け用のエアシリンダ(不図示)等を含むアクチュエータを備えており、そのアクチュエータが制御装置20からの信号に応じて適宜駆動されることで、シール部材の貼り付けに必要な所望の動作が実行されるようになっている。また、シール部材として枚葉式のシートを使用するようになっており、シール機構が小型化されている。
【0024】
また、ハンギングドロップ法に使用する結晶化プレートの一例を図6に示す。
同図に示すように、この結晶化プレート100Bの表面には複数のウェル104が格子状に整列している。この結晶化プレート100Bの使用方法は、ウェル104にリザーバ溶液を分注し、別に用意するカバーガラスの表面に蛋白質溶液とリザーバ溶液との混合ドロップを作製した後、カバーガラスを反転させ、ウェル104の開口部にかぶせる。なお、ウェル開口面104aには、予めグリスなどのシール剤が塗布されており、カバーガラスを載せるだけで、ウェル104の開口部が密閉されるようになっている。
【0025】
このように、ハンギングドロップ法では、カバーガラスの表面に液滴を作製し、そのカバーガラスを反転して結晶化プレート100B上のウェル104の開口部にかぶせる作業を行うため、この分注処理部50には、図3ないし図4に示すように、それらの作業が行えるように、上記シール装置6よりも手前且つ右側の位置に、カバーガラスを複数枚設置できるカバーガラスストック部56が設けられている。さらに、上記蛋白質チューブ55が設置された位置の右側に、カバーガラスを反転するためのカバーガラス反転機構57が設けられている。カバーガラス反転機構57は、その基端部にロータリ型のエアシリンダ57aを備えており、このエアシリンダ57aは、制御装置20からの信号に応じて適宜駆動されることで、カバーガラスを反転するための動作が適宜実行されるようになっている。
【0026】
また、図2に示すように、上記処理室4上部の機器室3には、分注ヘッド駆動装置10の備えるヘッド駆動部18が設けられている。そして、この分注ヘッド駆動装置10は、ヘッド駆動部18の先端部に、分注ヘッド40が装備されており、この分注ヘッド40を、上記分注処理部50での作業に必要な位置に適宜移動可能になっている。
【0027】
次に、この分注ヘッド駆動装置10について説明する。
詳しくは、図2(a)に示すように、この分注ヘッド駆動装置10は、分注ヘッド40と、その分注ヘッド40を移動させるためのヘッド駆動部18とを有し、また、このヘッド駆動部18は、処理室上部4bの上面に、同図での左右(X)方向に張り渡された架橋部16と、その架橋部16の張り渡された方向に沿って移動可能な駆動部本体(図示せず)とを有して構成されている。そして、この駆動部本体18aは、さらに、前後(Y)方向への移動機構を有しており、これにより、この分注ヘッド駆動装置10は、分注ヘッド40をX軸およびY軸のそれぞれに移動させることが可能になっている。さらに、ヘッド駆動部18の先端の分注ヘッド40には、図2(b)に示すように、分注作業を行なうために必要な装置である分注シリンジ42、液面センサ44およびカバーガラス吸着機構46がそれぞれ独立して上下(Z)方向に昇降可能に備わっている。
【0028】
ここで、分注シリンジ42は、上記分注処理部50に配置される大チップ、小チップがそれぞれ装着可能であり、さらに、上記リザーバ溶液、蛋白質溶液の分注動作が可能になっている。また、液面センサ44は、上記リザーバ容器54内のリザーバ溶液、あるいは蛋白質チューブ55内の蛋白質溶液の液面高さの検出が可能であり、溶液吸引時のチップ挿入深さを設定可能になっている。さらに、カバーガラス吸着機構46は、ハンギングドロップ法を利用する場合に用いられ、カバーガラスの吸着保持を行うことができる。このカバーガラス吸着機構46は、ヘッド駆動部18に搭載されることで、カバーガラスを吸着保持して3次元的に移動可能であり、このカバーガラス吸着機構46と分注ヘッド駆動装置10とでカバーガラス吸着搬送機構が構成される。
これにより、この分注ヘッド駆動装置10は、分注ヘッド40の備える分注作業を行なうために必要な装置を、3次元的に駆動させることが可能になっており、分注ヘッド40を、結晶化プレート100Aないし100Bのウェルへの分注に必要な位置や、その他分注処理部50での作業に必要な位置に適宜移動可能になっている。
【0029】
次に、上記処理室4下部の電装品室5について説明する。
電装品室5は、図1に示すように、その周囲が防音材5bで囲まれており、この電装品室5内には、制御装置20が装備されている。そして、この制御装置20は、その周囲が断熱材から形成されてなる制御箱20b内に収容されており、この制御箱20bで密閉されることで、外気との接触が無く、結露が防止されるようになっている。
【0030】
制御装置20は、上記分注ヘッド駆動装置10およびシール装置6が備えるシール機構部30の制御を含み、その他、この蛋白質結晶化装置1の装備するアクチュエータおよびセンサを制御可能に構成されている。さらに、この電装品室5内には、蛋白質結晶化装置1の運転動作に必要な電装品や、シール機構部30でのシートの貼り付け用のエアシリンダの駆動、リザーバ容器54の蓋54aの開閉用のエアシリンダ54bの駆動、および、カバーガラスの反転を行う際のエアシリンダ57aの駆動等を含む各アクチュエータの駆動に必要なコンプレッサ等の空圧機器類、並びに、カバーガラスの吸着に必要な真空ポンプなどが設置されている。つまり、これらの電装品等の機器は、全て上記処理室4の下部に位置する電装品室5内に配置されており、これにより、コンパクトな構成が実現され、装置設置面積の小型化に寄与している。また、コンプレッサや真空ポンプ等のように、装置外部の部品として扱われることの多い機器についても電装品室5に内蔵されているため、装置外にコンプレッサや真空ポンプを配置するための余分な場所が不要である。
さらに、この電装品室5内には、分注作業によって生じる使用済みチップ等の不要な物を回収可能な不要物回収部であるゴミ箱9を備えている。このゴミ箱9は、同図での紙面手前側に引き出し可能な回収口9aを有して構成されており、この回収口9aからゴミ箱9内の使用済みチップ等を回収可能になっている。
【0031】
次に、この蛋白質結晶化装置1を用いて行う、シッティングドロップ法について図7を適宜参照しつつ説明する。
シッティングドロップ法を実施するに際し、まず、分注処理部50に分注材料の設置をする。つまり、上記処理室4正面の開閉扉7を開け、基台本体8aの取っ手8bを手で持って引いて分注処理部50を処理室4外に引き出す。そして、上述の図3に示すように、分注処理部50に対し、大チップラック51(大チップ)、小チップラック52(小チップ)、リザーバ容器54(リザーバ溶液)、蛋白質チューブ55(蛋白質溶液)、シート(シール部材)、およびシッティングドロップ法用の結晶化プレート100Aをそれぞれ所定位置にセットし、その後、引き出した分注処理部50を元の処理室4内に戻し、開閉扉7を閉める(ステップS1A)。
【0032】
次いで、分注処理を行う。この分注処理は、制御装置20からの信号に応じて各部が適宜駆動されることで自動運転される。
具体的には、シッティングドロップ法による分注処理では、まず、リザーバ溶液の分注をする。リザーバ溶液の分注は、分注ヘッド40を大チップラック51の上方へ移動し、その分注シリンジ42に複数あるうちの一個の大チップを、この分注シリンジ42の先端を大チップに押し込むことにより装着する。次に、分注ヘッド40をリザーバ容器54上方に移動させる。液面センサ44によってリザーバ容器54に複数あるうちの一つのウェル内のリザーバ溶液の液面高さを検出する。そして、その検出された液面高さを基に、大チップを上記ウェル内の適正位置まで挿入し、分注シリンジ42によってリザーバ溶液を所定量吸引する。次に、分注ヘッド40を結晶化プレート100Aの上方に移動させる。そして、結晶化プレート100Aに複数あるうちの一つのリザーバウェルに、分注シリンジ42によって大チップからリザーバ溶液を吐出する。そして、分注ヘッド40をゴミ箱入り口53の上方へ移動させる。次いで、分注シリンジ42から大チップを離脱させ、ゴミ箱入り口53からゴミ箱9へ廃棄する(ステップS2A)。
【0033】
次に、液滴を作製する。液滴の作製は、分注ヘッド40を小チップラック52の上方へ移動させ、小チップラック52に複数設置されている内の一個の小チップを分注シリンジ42に、この分注シリンジ42の先端を小チップに押し込むことにより装着する。次に、分注ヘッド40を蛋白質チューブ55上方に移動させる。液面センサ44により蛋白質溶液の液面高さを検出する。そして、その検出された液面高さを基に、小チップを蛋白質チューブ55内の適正位置まで挿入し、蛋白質溶液を分注シリンジ42によって所定量吸引する。そして、分注ヘッド40を結晶化プレート100Aの上方に移動させる。そして、先ほど結晶化プレート100Aの一つのリザーバウェル102に吐出した所定量のリザーバ溶液の一部を、蛋白質溶液の入った小チップに、さらに分注シリンジ42によって吸引する。これにより、小チップ内には、蛋白質溶液とリザーバ溶液の両方が吸引されている状態となる。次いで、リザーバウェルの隣のドロップウェル103に対して、分注シリンジ42によって小チップから溶液を吐出する。そして、ドロップウェル103の溶液の吸引、吐出を繰り返し行い、混合ドロップを作製する(ステップS3A)。
【0034】
次に、分注ヘッド40をゴミ箱入り口53の上方へ移動させる。分注シリンジ42から小チップを離脱させ、ゴミ箱入り口53からゴミ箱9へ廃棄する。同様にして、上記リザーバ溶液の分注および液滴の作製を、結晶化プレートの同じ列の他のウェルに対して順次行い、ウェル一列分の分注処理を行う(ステップS4A)。
次に、シール処理をする。このシール処理は、分注処理されたウェル列に対して、上記シール機構部30によって結晶化プレート100Aの上面にシートを貼り付ける(ステップS5A)。
そして、上記ステップS2AないしステップS5Aを上述と同様にして繰り返し、次のウェル列の分注処理およびシール処理を順次に行う(ステップS6A)。そして、最後のウェル列まで分注処理およびシール処理が終われば、分注シール処理がなされた結晶化プレート100Aが完成する。
【0035】
次に、この蛋白質結晶化装置1を用いて行う、ハンギングドロップ法について図8を適宜参照しつつ説明する。
ハンギングドロップ法を実施するに際し、まず、分注処理部50に分注材料を設置する。つまり、上記処理室4正面の開閉扉7を開け、基台本体8aの取っ手8bを手で持って引いて分注処理部50を処理室4外に引き出す。そして、上述の図4に示すように、分注処理部50に対し、大チップラック51(大チップ)、小チップラック52(小チップ)、リザーバ容器54(リザーバ溶液)、蛋白質チューブ55(蛋白質溶液)、ハンギングドロップ法用の結晶化プレート100B、カバーガラスをそれぞれ所定位置にセットし、その後、引き出した分注処理部50を元の処理室4内に戻し、開閉扉7を閉める(ステップS1B)。
【0036】
次いで、分注処理を行う。この分注処理は、制御装置20からの信号に応じて各部が適宜駆動されることで自動運転される。
具体的には、ハンギングドロップ法による分注処理では、まず、カバーガラスの準備をする。カバーガラスの準備は、まず、分注ヘッド40をカバーガラスストック部56の上方に移動させる。そして、カバーガラスストック部56によって、カバーガラス吸着機構46にカバーガラスを一枚吸着させる。次に、分注ヘッド40をカバーガラス反転機構57の上方へ移動させる。次に、カバーガラスをカバーガラス吸着機構46からカバーガラス反転機構へ受け渡す(ステップS2B)。
【0037】
次に、リザーバ溶液の分注を行う。リザーバ溶液の分注は、まず、分注ヘッド40を大チップラック51の上方へ移動し、大チップラック51に複数設置されているうちの一個の大チップを分注シリンジ42に装着する。次に、分注ヘッド40をリザーバ容器54上方に移動させる。そして、液面センサ44によって、複数あるうちの一つのウェル内のリザーバ溶液の液面高さを検出する。そして、その検出された液面高さを基に、大チップを上記ウェル内の適正位置まで挿入し、リザーバ溶液を分注シリンジ42により所定量吸引する。次いで、分注ヘッド40を結晶化プレート100Bの上方に移動させる。そして、結晶化プレート100Bに複数あるうちの一つのウェルに、吸引したリザーバ溶液を分注シリンジ42によって大チップから吐出する。分注ヘッド40をゴミ箱入り口53の上方へ移動する。分注シリンジ42から大チップを離脱させ、ゴミ箱入り口53からゴミ箱9へ廃棄する(ステップS3B)。
【0038】
次に、液滴を作製する。液滴の作製は、まず、分注ヘッド40を小チップラック52の上方へ移動し、小チップラック52に複数配置されているうちの一個の小チップを分注シリンジ42に装着する。次に、分注ヘッド40を蛋白質チューブ55の上方に移動させる。そして、液面センサ44によって蛋白質溶液の液面高さを検出する。そして、その検出された液面高さを基に、小チップを蛋白質チューブ55内の適正位置まで挿入し、蛋白質溶液を分注シリンジ42によって所定量吸引する。次いで、分注ヘッド40を結晶化プレート100Bの上方に移動させる。そして、先ほど結晶化プレート100Bの一つのウェルに吐出した所定量のリザーバ溶液の一部を、蛋白質溶液の入った小チップに、さらに分注シリンジ42によって吸引する。これにより、小チップ内には、蛋白質溶液とリザーバ溶液との両方が吸引されている状態となる。そして、分注ヘッド40をカバーガラス反転機構57の上方まで移動させる。そして、カバーガラス反転機構57によって、カバーガラスを反転させる。そして、カバーガラス表面に対して、分注シリンジ42によって小チップから溶液を吐出する。カバーガラス表面の溶液の吸引、吐出を繰り返し行い、カバーガラス表面に混合ドロップを作製する(ステップS4B)。
【0039】
次に、カバーガラスによって密閉する。カバーガラスによる密閉は、まず、カバーガラス反転機構57によってカバーガラスを反転させる。これにより液滴(混合ドロップ)はカバーガラスの下面に付着した状態となる。次いで、カバーガラスをカバーガラス反転機構57から分注ヘッド40のカバーガラス吸着機構46へ受け渡す。そして、分注ヘッド40を結晶化プレート100Bの上方へ移動させる。そして、先ほどリザーバ溶液を吐出した結晶化プレート100Bの一つのウェルの開口面に対して、カバーガラス吸着機構46で吸着しているカバーガラスを載せる。ここで、ウェル開口面にはシール剤が予め塗布されているので、カバーガラスを載せることによりウェルが密閉される。次いで、分注ヘッド40をゴミ箱入り口53の上方へ移動させる。そして、分注シリンジ42から小チップを離脱させ、箱入り口53からゴミ箱9へ廃棄する(ステップS5B)。
【0040】
そして、上記ステップS2BないしステップS5Bを上述と同様にして繰り返す。つまり、カバーガラスの準備、リザーバ溶液の分注、液滴の作製およびカバーガラスによる密閉を、他のウェルに対して順次行う(ステップS6B)。そして、結晶化プレート100Bの最後のウェルまでこれらの処理が終われば、結晶化分注処理がなされた結晶化プレート100Bが完成する。
【0041】
次に、この蛋白質結晶化装置1の作用・効果について説明する。
上述したように、この蛋白質結晶化装置1によれば、その筐体2に、内部の雰囲気を必要な状態に管理可能な処理室4を有しており、この処理室4には、シール装置6等を備える分注処理部50が上部に設けられる基台8(基台本体8a)が、処理室4内に位置する作業位置および処理室外に張り出す張出し位置の相互にスライド移動可能に設けられているので、基台8(基台本体8a)を張出し位置に位置させた状態とすれば、その上部の分注処理部50を前方に引き出すことができる。そのため、上述したように、シッティングドロップ法およびハンギングドロップ法での分注材料の配置等の必要な作業を処理室4の外で行うことができる。したがって、処理室内自体での人手のための作業スペースを必要十分な範囲で少なくすることができるので、装置を小型化することが可能である。
【0042】
また、換言すれば、処理室4を必要十分に小型に構成した場合であっても、基台8を張出し位置に位置させて、その上部の分注処理部50を前方に引き出すことができるようになっているので、分注作業前後の取扱いやメンテナンスが容易である。そのため、例えば上記説明したように、蒸気拡散法として、シッティングドロップ法およびハンギングドロップ法を適宜に変更して用いるときであっても、分注処理部50での、各々の分注作業に必要な分注材料の交換等の必要な作業を容易に行うことが可能であり、さらに、分注処理部50上での、対応する結晶化プレート100Aないし100Bが載置されたシール装置6についても同様に、各々の分注作業に対応する結晶化プレート100Aないし100Bに容易に交換することが可能である。したがって、この蛋白質結晶化装置1によれば、複数の蒸気拡散法を適宜に変更して用いる場合や、異なる仕様の結晶化プレートを少数作製する必要がある場合等、いわゆる多品種小ロットの要求に対しても、その使い勝手が良い。
【0043】
また、この蛋白質結晶化装置1によれば、その筐体2に、分注ヘッド駆動装置10、上面に分注処理部50を備える基台8、その基台下部の電装品室5内の制御装置20およびゴミ箱9が、筐体2の上部からこの順に装備されているので、この配置によっていわばコンパクトな構成が実現可能であり、装置の一層の小型化に寄与している。
さらに、この蛋白質結晶化装置1によれば、その処理室4は、処理室内を視認可能な材料で形成されてなる開閉扉7を有しているので、開閉扉7を通して、外部から処理室内の状態を容易に確認することができる。また、基台8は、この開閉扉7を開いた部分から処理室4外に張り出すことで前記張出し位置に分注処理部50を位置可能になっているので、装置を小型化するとともに、その使い勝手を良くし得る構成として一層好適である。
【0044】
また、この蛋白質結晶化装置1によれば、蛋白質結晶化装置1全体を、保冷庫内に設置して分注を行うので、蛋白質結晶化装置1自体に、例えばペルチェ素子等を有してなる冷却機構を備えることなく蛋白質結晶化装置1を構成できる。したがって、最小限の構成によって小型化することができる。
そして、蛋白質結晶化装置1全体を、保冷庫内に設置して分注を行うので、溶液と容器、溶液に接するチップ、シリンジ、分注プレート、ガラスプレート等の全てを均一に冷却でき、これにより、蛋白質溶液の変性を防止して、その結晶化の品質を向上させることができる。なお、上記ペルチェ素子等を有してなる冷却機構による部分冷却の場合には、温度ムラが生じるため、蛋白質溶液の変性をより好適に防止し、結晶化の品質を向上させる上では、本実施形態の構成が好ましい。そして、上記保冷庫の設定温度は4℃に設定されており、その設定温度にて分注動作を行うので、結晶化の品質を向上させる上でより好適である。
【0045】
また、この蛋白質結晶化装置1によれば、制御装置20は、その周囲が断熱材20bで密閉されているので、制御装置20内の電装品を低温にさせないようにして電装品の結露を防止することができる。
さらに、上記電装品室5には、各アクチュエータの駆動に必要なコンプレッサ等の空圧機器類、並びに、カバーガラスの吸着に必要な真空ポンプなどが設置されているが、電装品室5は、その周囲が防音材5bで囲まれているので、それら設置されている機器から生じる騒音を低減することができる。なお、本実施形態の例では、蛋白質結晶化装置1正面での騒音が50dB以下に抑えられている。
【0046】
さらに、この蛋白質結晶化装置1によれば、電装品室5と処理室4とは、相互が断熱材5aで仕切られているので、本実施形態の例のように、蛋白質結晶化装置1全体を、保冷庫内に設置して分注を行う場合に、電装品室5内の熱が処理室4に伝わることが防止されており、処理室4内の温度を保冷庫の設定温度に保つようにする上で好適である。
以上説明したように、この蛋白質結晶化装置1によれば、小型で使い勝手のよい蛋白質結晶化装置を提供することができる。
【0047】
なお、本発明に係る蛋白質結晶化装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、蛋白質結晶化装置1全体を、保冷庫内に設置して分注を行うとともに、処理室4内の温度を保冷庫の設定温度に保つようにする例で説明したが、これに限定されず、例えば蛋白質結晶化装置1全体を保冷庫内に設置せず、処理室4内の温度のみを所望の設定温度(例えば4℃)にして、分注動作を行ってもよい。しかし、より品質の良い結晶化を行う上では、蛋白質結晶化装置1全体を保冷庫内に設置して、全体を均一に冷却した状態で分注動作を行うことは好ましい。
【0048】
また、例えば上記実施形態では、開閉扉7は、各開閉扉7a,7bが、処理室内を視認可能なように、透明な強化ガラスで形成されている例で説明したが、これに限定されず、例えば鋼板製の扉としてもよい。しかし、開閉扉を通して、外部から処理室内の状態を容易に確認可能な構成とする上では、開閉扉を、処理室内を視認可能な材料で形成することは好ましい。また、上記実施形態では、開閉扉7は、観音開きになっている例で説明したが、これに限らず、例えばスライド式の扉としてもよい。
【0049】
また、例えば上記実施形態では、スライド移動可能な基台8(基台本体8a)は、開閉扉7が開いた位置の対向方向にスライド移動する例で説明したが、これに限定されず、例えば、開閉扉7以外の開口部を別途に設け、その専用の開口部に対してスライド移動可能としてもよい。しかし、装置をコンパクトな構成とし、小型化する上では、基台は、開閉扉を開いた部分から処理室外に張り出すことで張出し位置に位置可能になっていることは好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る蛋白質結晶化装置の一実施形態を正面から見た外観図である。
【図2】図1での開閉扉を含む外装カバーを外した状態の図である。
【図3】本実施形態の蛋白質結晶化装置でシッティングドロップ法を用いる際の分注処理部の配置図である。
【図4】本実施形態の蛋白質結晶化装置でハンギングドロップ法を用いる際の分注処理部の配置図である。
【図5】シッティングドロップ法に使用する結晶化プレートの一例を示す図である。
【図6】ハンギングドロップ法に使用する結晶化プレートの一例を示す図である。
【図7】本実施形態の蛋白質結晶化装置でシッティングドロップ法を用いる際の作業を説明する図である。
【図8】本実施形態の蛋白質結晶化装置でハンギングドロップ法を用いる際の作業を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1 蛋白質結晶化装置
2 筐体
3 機器室
4 処理室
5 電装品室
6 シール装置
7 開閉扉
8 基台
9 ゴミ箱(不要物回収部)
10 分注ヘッド駆動装置
16 架橋部
18 ヘッド駆動部
20 制御装置
22 基台引き出し機構
30 シール機構部
40 分注ヘッド
42 分注シリンジ
44 液面センサ
46 カバーガラス吸着機構
50 分注処理部
51 大チップラック
52 小チップラック
53 ゴミ箱入り口
54 リザーバ容器
55 蛋白質チューブ
56 カバーガラスストック部
57 カバーガラス反転機構
100A、100B 結晶化プレート
101 ウェル
102 リザーバウェル
103 ドロップウェル
104 ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶化プレートに所望の分注作業をするための処理室を有する筐体と、その筐体に設けられて前記処理室内に位置する作業位置および前記処理室外に張り出す張出し位置の相互にスライド移動可能な基台と、前記基台上に設けられて、前記結晶化プレート、その結晶化プレートのウェル開口部をシール部材を用いて密封可能なシール装置、および前記分注作業に必要な分注材料がそれぞれ配置される分注処理部と、前記処理室内での前記分注処理部よりも上部に設けられて前記結晶化プレートのウェルに分注等の必要な処理をするための分注ヘッドを有するとともにその分注ヘッドを前記結晶化プレートのウェルへの処理に必要な位置に移動可能な分注ヘッド駆動装置と、前記基台よりも下部に設けられて、前記分注ヘッド駆動装置およびシール装置をそれぞれ制御する制御装置、および前記分注作業によって生じる不要な物を回収可能な不要物回収部を有する電装品室と、を備えていることを特徴とする蛋白質結晶化装置。
【請求項2】
前記処理室は、当該処理室内を視認可能な材料で形成されてなる開閉扉を有し、前記基台は、当該開閉扉を開いた部分から処理室外に張り出すことで前記張出し位置に位置可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の蛋白質結晶化装置。
【請求項3】
蛋白質結晶化装置全体を、保冷庫内に設置して分注を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の蛋白質結晶化装置。
【請求項4】
前記保冷庫の設定温度は4℃に設定されており、その設定温度にて分注動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の蛋白質結晶化装置。
【請求項5】
前記制御装置は、その周囲が断熱材で密閉されていることを特徴とする請求項1に記載の蛋白質結晶化装置。
【請求項6】
前記電装品室は、その周囲が防音材で囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の蛋白質結晶化装置。
【請求項7】
前記電装品室と前記処理室とは、相互が断熱材で仕切られていることを特徴とする請求項1に記載の蛋白質結晶化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−114021(P2009−114021A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288950(P2007−288950)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】