説明

蛍光ジケトピロロピロール

【課題】新規な蛍光ジケトピロロピロール及びその製造方法並びにそれを含む組成物のELデバイスの提供。
【解決手段】式Iの蛍光ジケトピロロピロール。


【効果】該化合物はインク、着色剤、被覆用着色プラスチック、ノンインパクトプリント材料、カラーフィルタ、化粧品、ポリマーインク粒子、トナーの調製のための、蛍光トレーサーとして、色変化媒体における、固体色素レーザーにおける、及びエレクトロルミネセンスデバイス等の用途において使用することができる。また、該化合物を含む組成物を用いたルミネセンスデバイスは、電気エネルギー利用効率が高く、そして輝度が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【0002】
【化1】


の蛍光ジケトピロロピロール(DPP)、
【0003】
その調製方法、並びにインク、着色剤、被覆用着色プラスチック、ノンインパクトプリント材料、カラーフィルタ、化粧品、ポリマーインク粒子、トナーの調製のための、色変化媒体における、固体色素レーザーにおける、及びエレクトロルミネセンスデバイスにおける蛍光トレーサーとしてその使用に関する。本発明の化合物を含むルミネセンスデバイスは、電気エネルギー利用効率が高く、そして輝度が高い。
【0004】
EP−A−648770は、カルバマート基を含有するDPP及び蛍光染料としてのその使用に関する。実施例6及び9に下記
【0005】
【化2】


のDPP化合物が、それぞれ開示されている。
【0006】
WO90/01480は、他のDPP化合物のうち、少なくとも2つの異なる着色形態を有し、そのうちの一方が、エネルギーの供給により他方に変換されることができる物質、及び記憶媒体におけるそれらの使用に関する。実施例10及び11に下記
【0007】
【化3】


のDPP化合物が、それぞれ開示されている。
【0008】
例えば、Appl. Phys. Lett., 51, 913 (1987)に記載されているように、有機蛍光物質を含有する有機エレクトロルミネセント(「EL」)デバイスを真空蒸着法により調製することは、現在、一般的である。一般に、発光材料の構成に従って、2種類のそのような真空蒸着法が適用され、1成分型プロセスと2成分型(又は「ホスト−ゲスト型」("Host-Guest type")若しくは「2成分系」("binary system"))プロセスである(例えば、J. Appl. Phys., 65, 3610 (1989)に記載されている)。
【0009】
JP−A2 2,296,891(Ricoh)は、陽極、陰極及び陽極と陰極の間に保持されている、1つの有機化合物層又は複数の有機化合物層を含むが、正孔輸送物質を含まないエレクトロルミネセント素子を特許請求している。前記有機化合物層のうちの少なくとも1層は、下記式II″
【0010】
【化4】


で表されるピロロピロール化合物を含有する層であり、
【0011】
式中、Y1及びY2は、互いに独立して、置換若しくは非置換のアルキル、シクロアルキル又はアリール基を表し、Y3及びY4は、互いに独立して、水素原子又は置換若しくは非置換のアルキル又はアリール基を表し、そしてXは、酸素又は硫黄原子を表す。4個の化合物が明示されており、すなわち全ての場合において、Xは酸素を表し、(a)では、Y3=Y4=メチルであり、そしてY1=Y2=p−トリルであり、(b)では、Y3=Y4=メチルであり、そしてY1=Y2=水素であり、(c)では、Y3=Y4=水素であり、そしてY1=Y2=p−トリルであり、(d)では、Y3=Y4=Y1=水素であり、そしてY2=p−クロロフェニルである。DPPII″が単独で使用される場合、すなわちトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(「Alq3」)の添加がないと、発光は観察されない。
【0012】
JP−A2 5,320,633(Sumitomo)は、発光材料を式I′
【0013】
【化5】


のDPPの0.005〜15重量部の量で1対の電極の間に含む発光層を有し、少なくとも1つの電極は透明又は半透明である有機ELデバイスを特許請求しており、
【0014】
式中、Y1及びY2は、互いに独立して、C6〜C14アリール基又はC6〜C12複素環基を表し、例えば、チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジルであり、そしてY3及びY4は、互いに独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基又はC6〜C14アリール基を表す。主クレームはAlq3の使用についてなにも述べていないが、Alq3が特許請求されているEL素子又はデバイスにおいて必須の特徴であることが、明細書及び実施例、特に比較例2から明白である。
【0015】
JP−A2 9003448(Toyo)は、電子輸送物質としてDPP化合物を含有する発光層か、又は発光層と電子注入層を含有する有機化合物薄膜層(ここで電子注入層は、電子輸送物質としてDPP化合物を含有する)を、1対の電極の間に有する有機EL素子を開示している。下記
【0016】
【化6】


の3つのヘテロアリールピロロピロールが明記されている。
【0017】
この特許請求されているELデバイスの欠点は、実施例によると、常にAlq3及びフェナントレンジアミン(正孔注入物質)が使用されなければならないことである。
【0018】
EP−A−499,011は、式I′
【0019】
【化7】


のDPP化合物を含むエレクトロルミネセントデバイスを記載しており、
【0020】
式中、Y1及びY2は、置換又は非置換のフェニル基、3−ピリジル−又は4−ピリジル基であることができ、Y3及びY4は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、C3〜C18アルケニル基であり、そして二重結合は、C1位置ではない。実施例1及び7に下記
【0021】
【化8】


のDPP化合物が、明示されている。
【0022】
WO98/33862は、式IV′
【0023】
【化9】

【0024】
のDPP化合物のエレクトロルミネセンスデバイスおけるゲスト分子としての使用を記載している。
【0025】
EP−A−1087005は、式I′
【0026】
【化10】


の蛍光N置換ジケトピロロピロール(「DPP」)に関し、
【0027】
1及びY2が下記
【0028】
【化11】


の基から誘導されることを特徴とし、
【0029】
これらは、置換又は非置換であることができる。
【0030】
EP−A−1087006は、(a)陽極、(b)正孔輸送層、(c)発光層、(d)場合により電子輸送層及び(e)陰極と発光物質をこのオーダーで含み、発光物質が式I′で表されるジケトピロロピロール(「DPP」)であるエレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0031】
WO03/002672は、Y1及びY2が下記
【0032】
【化12】


の1−ナフチル基から誘導されることを特徴とする、式I′のジケトピロロピロールに関する。
【0033】
PCT/EP03/00650は、式IVのDPPゲスト発色団及び式IIのDPPホスト発色団を含むELデバイスを開示している(下記を参照すること)。
【0034】
EP−A−1,253,151は、
(a)DPP誘導体及び580〜720nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する有機蛍光物質、並びに
(b)ピロロメテン金属錯体(JP2001 257077、JP2001 257078及びJP2001 297881(Toray)も参照すること)
のうちの少なくとも1つを含むELデバイスを開示している。
【0035】
WO03/048268は、ペリレン環を有する化合物と、DPP骨格を有する化合物とを含むEL素子に関する。下記
【0036】
【化13】


の3つのヘテロアリールピロロピロールが明記されている。
【0037】
驚くべきことに、特定のDPP化合物又はDPP化合物の特定の組合せが、特に発光物質として使用される場合、電気エネルギー利用効率が高く、そして輝度が高いルミネセンスデバイスを得ることができることが判明した。
【0038】
したがって本発明は、式I:
【0039】
【化14】

【0040】
〔式中、
1及びR2は、同一又は異なっていてよく、フッ素、塩素又は臭素で置換されていることができるC1〜C25アルキル基、C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるアリル基、シクロアルキル基、又はC1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ若しくはシアノで1〜3回置換されていることができるフェニルにより1又は2回縮合されていることができるシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン若しくはアルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A3又は−CR34−(CH2m−A3から選択され、ここで、
3及びR4は、互いに独立して、水素又はC1〜C4アルキル或いはC1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、
3は、アリール又はヘテロアリール、特にC1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0、1、2、3又は4を表し、
1及びA2は、互いに独立して、窒素、酸素及び硫黄の群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5員複素環、又は窒素、酸素及び硫黄の群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する6員複素環を含む基であり、ここでA1及びA2が、下記式
【0041】
【化15】


で示される単独の5員又は6員複素環である場合、
【0042】
前記複素環は、C1〜C25アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、置換若しくは非置換ビニル基、基NR89から選択される少なくとも1個の基で置換されており、ここでR8及びR9は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アラルキル基を表すか、又はR8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基により縮合されていることができる5員又は6員複素環を形成し、ここで複素環は、DPP基礎単位、特に下記
【0043】
【化16】


に直接結合しているか、又は、
【0044】
1及びA2は、互いに独立して、下記
【0045】
【化17】


の基であり、
【0046】
ここで、
5、R6及びR7は、同一又は異なっていてよく、水素原子、C1〜C25アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、置換若しくは非置換ビニル基、基NR89から選択され、ここでR8及びR9は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アラルキル基を表すか、又はR8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基により縮合されていることができる5員又は6員複素環を形成するか、或いはR5〜R7のうちの少なくとも2つの隣接する置換基が、芳香族又は脂肪族縮合環系を形成し、そして
1は、水素原子、C1〜C25アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基である(但し、下記
【0047】
【化18】


の化合物は除外される)〕
【0048】
で示される蛍光ジケトピロロピロールに関する。
【0049】
1及びA2は、異なることができるが、好ましくはこれらは同一である。A1及びA2が下記式
【0050】
【化19】


の基である場合、
【0051】
これらは、好ましくは下記式
【0052】
【化20】


の基であり、
【0053】
式中、R5′は、水素を除くR5である。
【0054】
本発明の好ましい実施態様において、A1及びA2が、窒素、酸素及び硫黄の群から選択される1個のヘテロ原子を含有する単独の5員又は6員複素環である場合、基R5、R6及びR7のうちの少なくとも1つは、水素原子と異なる。
【0055】
本発明の別の好ましい実施態様において、基R5、R6及びR7のうちの少なくとも1つは、水素原子と異なる。
【0056】
好ましくはR1及びR2は、互いに独立して、C1〜C14アルキル、C1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるC5〜C12シクロアルキル、特にシクロヘキシル、或いはC1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ又はシアノによるか、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルにより、1〜3回置換されていることができるフェニルで1又は2回縮合されていることができるC5〜C12シクロアルキル、或いは−CR34−(CH2m−A3から選択され、ここで、R3及びR4は、水素を表し、A3は、C1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0又は1を表す。
【0057】
好ましくはA1及びA2は、互いに独立して、下記
【0058】
【化21】


から選択され、
【0059】
ここで、
5は、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C8アルコキシ基、下記式
【0060】
【化22】


の基、
【0061】
又は基−NR89であり、ここでR8及びR9は、互いに独立して、C1〜C8アルキル基、A1、例えば下記
【0062】
【化23】


を表すか、
【0063】
或いは
8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員又は6員複素環、例えば下記
【0064】
【化24】


を形成し、
【0065】
これらは、1又は2個の場合により置換されているフェニル基で縮合されていることができ、例えば下記
【0066】
【化25】


であり、
【0067】
ここで、R15、R16及びR17は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ又はフェニルを表し、R5′は、水素を除くR5であり、R5″及びR6″は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシを表し、そして
1は、水素又はC1〜C8アルキルを表す。
【0068】
下記
【0069】
【化26】









のジケトピロロピロールが好ましく、
【0070】
ここで、R1及びR2は、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルのようなC1〜C12アルキル基、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるか、又は場合により置換されているフェニルで1若しくは2回縮合されていることができるC5〜C7シクロアルキル基、特に下記
【0071】
【化27】


であり、
【0072】
ここで、R51、R52及びR53は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン及びシアノ、又はC7〜C14アラルキル基であり、例えば、−CR34−(CH2m−A3であり、ここで、R3及びR4は、水素を表し、A3は、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル、ビフェニル、又は1−若しくは2−ナフチルであり、そしてmは、0又は1を表し、例えば、C1〜C8アルキルフェニル、ジ(C1〜C8アルキル)フェニルであり、特に3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、並びに2,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニルであり、下記
【0073】
【化28】








のジケトピロロピロールが特に好ましい。
【0074】
本発明の更に好ましい実施態様は、ゲスト発色団とホスト発色団を含む組成物であって、ゲスト発色団の吸収スペクトルがホスト発色団の蛍光発光スペクトルと重複し、ホスト発色団が、500〜720nm、好ましくは520nm〜630nm、最も好ましくは540nm〜600nmでフォトルミネセンス発光ピークを有するジケトピロロピロールであり、ホスト発色団及び/又はゲスト発色団が、式Iのジケトピロロピロールである組成物である。これは、式Iの特定のホスト発色団を、特定の、式Iのゲスト発色団と、又は式IVのゲスト発色団と組み合わせて使用できること、及び式Iの特定のゲスト発色団を、式IIの特定のホスト発色団と組み合わせて使用できることを意味する。
【0075】
本発明の1つの実施態様において、組成物は、500〜720nm、好ましくは520nm〜630nm、最も好ましくは540nm〜600nmでフォトルミネセンス発光ピークを有するジケトピロロピロールであるホスト発色団を含み、ゲスト発色団は式Iのジケトピロロピロールである。
【0076】
この実施態様において、ホスト発色団は、好ましくは式II
【0077】
【化29】


で表されるジケトピロロピロール(「DPP」)であり、
【0078】
式中、R13及びR14は、互いに独立して、フッ素、塩素若しくは臭素で置換されていることができるC1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、又はC1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ若しくはシアノで1〜3回置換されていることができるフェニルにより1又は2回縮合されていることができるC5〜C12シクロアルキル、シリル、A6又は−CR1112−(CH2m−A6を表し、ここでR11及びR12は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、又はフッ素、塩素若しくは臭素で置換されていることができるC1〜C4アルキル、又はC1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、A6は、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノにより、C1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルにより、1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルか、−NR2324を表し、ここでR23及びR24は、水素、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル又はC6〜C24アリールを表し、特にC1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表すか、又はC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、そしてmは、0、1、2、3又は4を表し、
4及びA5は、互いに独立して、下式
【0079】
【化30】


を表し、
【0080】
ここで、R25、R26、R27は、互いに独立して、水素、C1〜C25アルキル、−CR1112−(CH2m−A6、シアノ、ハロゲン、−OR29、−S(O)p30、又はC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、ここでR29は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Ph、C6〜C24アリール、又は5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和の複素環基を表し、ここで環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子とからなり、R30は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Phを表し、R28は、C2〜C20ヘテロアリール又はC6〜C24アリールを表し、pは、0、1、2又は3を表し、m及びnは、0、1、2、3又は4を表す。
【0081】
13及びR14は、互いに独立して、好ましくは、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるC5〜C12シクロアルキル、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチル、或いは−CR1112−(CH2m−A6を表し、ここでR11及びR12は、水素を表し、A6は、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0又は1を表す。
【0082】
4及びA5は、互いに独立して、好ましくは下記
【0083】
【化31】


を表し、
【0084】
ここで、R25はC1〜C8アルキル、フェニル、1−又は2−ナフチルである。
【0085】
本発明の別の好ましい実施態様において、組成物は、式Iのジケトピロロピロールであるホスト発色団と、式IV
【0086】
【化32】


のジケトピロロピロールであるゲスト発色団とを含み、
【0087】
式中、R13及びR14は、上記と同義であり、そして
9及びA10は、互いに独立して、下記
【0088】
【化33】


を表し、
【0089】
35及びR36は、互いに独立して、水素、C1〜C25アルキル、C1〜C25アルコキシ、−CR1112−(CH2m−A6、シアノ、ハロゲン、−OR40、−S(O)p41、又はC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、ここで、R40は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Ph、C6〜C24アリール、又は5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和の複素環基を表し、ここで環原子は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子からなり、R41は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Phを表し、pは、0、1、2又は3を表し、m及びnは、0、1、2、3又は4を表し、
38及びR39は、互いに独立して、水素、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−A6、C6〜C24アリール、特にA6を表すか、又は5〜7個の環原子を含有する飽和若しくは不飽和の複素環基を表し、ここで環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子からなり、例えば、A1であり、特に下記
【0090】
【化34】


であり、
【0091】
ここでR5″及びR6″は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシを表すか、或いはR38及びR39は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基で縮合されていることができる5員又は6員複素環、例えば下記
【0092】
【化35】


を形成し、
【0093】
33及びR34は、互いに独立して、水素及びC6〜C24アリール、特にフェニルを表し、R11、R12及びA6は、上記と同義である。
【0094】
9及びA10が互いに独立して下記式
【0095】
【化36】


の基を表す場合、
【0096】
35及びR36は、好ましくは水素であり、R38は、好ましくはC1〜C6アルキル又はフェニルであり、R33及びR34は、好ましくは水素又はフェニルである。
【0097】
9及びA10が互いに独立して下記式
【0098】
【化37】


の基を表す場合、
【0099】
35及びR36は、好ましくは水素であり、R38は、好ましくはC1〜C6アルキル又はフェニルである。
【0100】
特にA9及びA10は、互いに独立して、下記
【0101】
【化38】


を表し、
【0102】
ここで、R35及びR36は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、−CR1112−(CH2m−A6、シアノ、クロロ、−OR40、又はC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、R40は、C1〜C8アルキル又はC6〜C24アリール、例えば、フェニル、1−ナフチル又は2−ナフチルを表し、R11及びR12は、水素又はC1〜C4アルキルであり、mは、0又は1であり、A6は、フェニル、1−ナフチル又は2−ナフチルであり、R38及びR39は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C5〜C12シクロアルキル、特にシクロヘキシル、−CR1112−(CH2m−A6、C6〜C24アリール、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、フェナントリル、テルフェニル、ピレニル、2−若しくは9−フルオレニル又はアントラセニル、好ましくはC6〜C12アリールを表し、例えば、非置換又は特に1又は2個のC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシ基で置換されていてもよいフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニルを表し、特にA6又は5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和の複素環基を表し、ここで環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子からなり、特にA1を表すか、或いはR38及びR38は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基で縮合されていることができる5員又は6員複素環、例えば下記
【0103】
【化39】


を形成する。
【0104】
特に下記式
【0105】
【化40】


の基が好ましく、
【0106】
式中、R38及びR39は、互いに独立して、A1を表し、特に下記
【0107】
【化41】


を表すか、
【0108】
又は下記式
【0109】
【化42】


の基を表し、
【0110】
式中、R41、R42及びR43は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基又はシロキサニル基であるか、或いはR38及びR39は、それらが結合している窒素原子と一緒になって下記
【0111】
【化43】


の縮合環系を形成する。
【0112】
好ましくは、R41、R42及びR43は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ又はC1〜C8アルキルチオである。
【0113】
ホスト発色団とゲスト発色団の重量比は、一般に、50:50〜99.99:0.01、好ましくは90:10〜99.99:0.01、より好ましくは95:5〜99.9:0.1、最も好ましくは98:2〜99.9:0.1である。
【0114】
式I〔式中、A1及びA2は、互いに独立して、下記
【0115】
【化44】


から選択され、
【0116】
ここでR5は、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C8アルコキシ基、下記式
【0117】
【化45】


の基であり、
【0118】
ここで、R15、R16及びR17は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシを表し、
5′は、水素を除くR5であり、そして
1は、水素又はC1〜C8アルキルを表す〕で示される化合物がホスト化合物として好ましい。
【0119】
ホスト発色団として特に好ましいものは、下に列挙されている式I又はIIで表されるDPP化合物である。
【0120】
【表1】







【0121】
【表2】



【0122】
式I〔式中、
1及びA2は、互いに独立して、下記
【0123】
【化46】


から選択され、
【0124】
ここでR5は基−NR89であり、ここでR8及びR9は、互いに独立して、C1〜C8アルキル、A1、例えば下記
【0125】
【化47】


を表すか、
【0126】
或いはR8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基で縮合されていることができる5員又は6員複素環、例えば下記
【0127】
【化48】


を形成し、
【0128】
ここで、R15、R16及びR17は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシを表し、R5″及びR6″は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシを表し、そして
1は、水素又はC1〜C8アルキルを表す〕で示される化合物がゲスト化合物として好ましい。
【0129】
式I及びIVで表されるDPP化合物の特に好ましいゲスト発色団は、下記の化合物である。
【0130】
【表3】

【0131】
【表4】





【0132】
加えて、式Iの化合物は、ホスト又はゲスト化合物として、他の既知の蛍光化合物と共に使用することができ、例えば、ルブレン及びペリレンのような芳香族炭化水素の縮合誘導体;ピリジノチアジアゾール、ピラゾロピリジン及びナフタルイミド誘導体のような縮合複素環;Eu、Ir又はPt錯体のような希希土錯体;亜鉛ポルフィリン、ローダミン、デアザフラバイン(deazaflvain)誘導体、クマリン誘導体、フェノキサゾン、キナクリドン、ジシアノエテニラーレン(dicyanoethenylarene)、Alq3及びこれらの誘導体、又はEP−A−1,253,151、JP2001 257077、JP2001 257078及びJP2001 297881で開示されているピロメテン金属錯体である。
【0133】
特に好ましい本発明のホスト/ゲスト組成物は、化合物H−2及びG−12、H−17及びG−12、H−22及びG−12、H−12及びG−28、H−12及びG−30、H−2及びG−13、H−2及びG−33、H−4及びG−13、H−4及びG−33、Alq3及びG−13、並びにAlq3及びG−33を含む。
【0134】
【化49】

【0135】
本発明の更なる実施態様は、下記式
【0136】
【化50】


のジケトピロロピロールであり、
【0137】
式中、
21及びR22は、同一又は異なっていてよく、C1〜C25アルキル基、C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるアリル基、シクロアルキル基、C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ又はシアノで1〜3回置換されていることができるフェニルにより1又は2回縮合されていることができるシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン若しくはアルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A3又は−CR34−(CH2m−A3から選択され、ここで、
3及びR4は、互いに独立して、水素又はC1〜C4アルキル或いはC1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、
3は、アリール又はヘテロアリール、特にC1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0、1、2、3又は4を表し、
7及びA8は、互いに独立して、下記
【0138】
【化51】


から選択されるか、
【0139】
1及びA2は、互いに独立して、下記
【0140】
【化52】


の基であり、
【0141】
ここで、R5、R6及びR7のうちの1つは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のようなハロゲン原子であり、他は、上記と同義であり、そしてX1は、上記と同義である。式IIIのジケトピロロピロールは新規であり、式Iのジケトピロロピロールの製造における中間体を表す。
【0142】
7及びA8は、互いに独立して、好ましくは下記
【0143】
【化53】


から選択され、
【0144】
ここでR5は、塩素原子又は臭素原子である。
【0145】
式IIのDPP化合物は、例えばUS−A−4,579,949に記載されている、及び/又はそれに(若しくはUS−A−4,659,775に)記載の方法に従って、適切なニトリルを対応するコハク酸ジアルキル若しくはコハク酸ジアリールと反応させる、例えば、NC−Ar1及びNC−Ar2をナトリウムtert−アミルアルコールと反応させ、続いてコハク酸ジイソプロピルを加えることによる調製することができる。
【0146】
化合物Iは、また、式IIIのDPP化合物を、第二級アミン、HNR1213のような求核剤と、好ましくはDPP III:求核剤のモル比が1.2:1〜0.8:1の範囲、R2がR1と同じ意味を有する場合は、1:2.5〜1:1の範囲で、無水双極性非プロトン性溶媒の存在下、及び求核剤1モル当たり通常0.1〜15モルの範囲の量の無水塩基の存在下、通常100〜220℃の範囲の温度及び一般的に100〜300kPaの範囲の圧力下で反応させること(詳細は、EP−A−1,087,005を参照すること)を含む、EP−A−353,184記載の方法と同様にして入手可能である。
【0147】
式IIIのDPP化合物は既知である、及び/又はEP−A−0353184に記載の方法に従って調製することができる。
【0148】
文言「少なくとも2個の隣接する置換基が、芳香族若しくは脂肪族縮合環系を形成する」は、2個の隣接する置換基が、フェニル若しくはナフチル環のような芳香族環、シクロヘキシル環のような脂肪族環、ピリジン若しくはピロール環のような複素環を形成できることを意味し、そのような環の2個以上が、それらが結合している基と共に縮合環系を形成することができる。
【0149】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0150】
1〜C25アルキルは、典型的には直鎖状又は分岐鎖状であり、可能であればメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル,2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシル又はペンタコシルであり、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及びエチルヘキシルのようなC1〜C8アルキルであり、より好ましくは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルのようなC1〜C4アルキルである。
【0151】
用語「ハロアルキル、ハロアルケニル及びハロアルキニル」は、上記のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基がハロゲンにより部分的又は完全に置換されている基、例えばトリフルオロメチル等を意味する。用語「アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルバモイル基及びアミノ基」には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基により置換されているものが含まれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基は、非置換又は置換されていてよい。用語「シリル基」は、式:−SiR626364(式中、R62、R63及びR64は、互いに独立して、C1〜C8アルキル基、特にC1〜C4アルキル基、C6〜C24アリール基、又はC7〜C12アラルキル基である)で示される基、例えばトリメチルシリル基を意味する。用語「シロキサニル」基は、式:−O−SiR626364(式中、R62、R63及びR64は、上記と同義である)で示される基、例えばトリメチルシロキサニル基を意味する。
【0152】
1〜C8アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ及び2−エチルヘキソキシであり、好ましくは、典型的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシのようなC1〜C4アルコキシである。用語「アルキルチオ基」は、エーテル結合において酸素原子が硫黄原子で置換されていることを除いて、アルコキシ基と同様の基を意味する。
【0153】
用語「アリール基」は、典型的には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、フェナントリル、テルフェニル、ピレニル、2−若しくは9−フルオレニル又はアントラセニルのようなC6〜C24アリール、好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニルのようなC6〜C12アリールであり、非置換であるか、又は置換されていてよい。
【0154】
用語「アラルキル基」は、典型的には、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル、ω−フェニル−オクタデシル、ω−フェニル−エイコシル又はω−フェニル−ドコシルのようなC7〜C24アラルキル、好ましくはベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル又はω−フェニル−オクタデシルのようなC7〜C18アラルキル、特に好ましくはベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル又はω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチルのようなC7〜C12アラルキルであり、ここで脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基の両方が非置換であってよいか、又は置換されていてもよい。
【0155】
用語「アリールエーテル基」は、典型的には、C6-24アリールオキシ基であり、すなわち、例えばフェノキシ又は4−メトキシフェニルのようなO−C6-24アリールである。用語「アリールチオエーテル基」は、典型的には、C6-24アリールチオ基であり、すなわち、例えばフェニルチオ又は4−メトキシフェニルチオようなS−C6-24アリールである。用語「カルバモイル基」は、典型的には、C1-18カルバモイル基、好ましくはC1-8カルバモイル基であり、これは非置換であってよいか、又は置換されていてもよく、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイル又はピロリジノカルバモイルである。
【0156】
用語「シクロアルキル基」は、典型的には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルのようなC5〜C12シクロアルキルであり、非置換であってよいか、又は置換されていてもよい。用語「シクロアルケニル基」は、1個以上に二重結合を含有する不飽和脂環式炭化水素基、例えば、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等を意味し、非置換であってよいか、又は置換されていてもよい。シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基は、C1〜C4アルキル、ハロゲン及びシアノで1〜3回置換されていることができるフェニルにより1又は2回縮合されることができる。そのような縮合シクロヘキシル基の例は、下記
【0157】
【化54】


であり、
【0158】
とりわけ下記であり、
【0159】
【化55】

【0160】
ここで、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン及びシアノであり、特に水素である。
【0161】
文言「窒素、酸素及び硫黄の群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5員複素環を含む基」は、チエニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ピロリル、イミダゾリル又はピラゾリルのような単独の5員複素環を意味するか、或いは縮合環系の一部である5員複素環を意味し、これは5員複素環とアリール、ヘテロアリール及び/又はシクロアルキル基で形成されており、これは場合により置換されていることができる。そのような基の例は、基A1及びA2のリスト、並びにヘテロアリール又は複素環基における定義に含まれている。
【0162】
文言「窒素、酸素及び硫黄の群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する6員複素環を含む基」は、ピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルのような単独の6員複素環を意味するか、或いは縮合環系の一部である6員複素環を意味し、これは6員複素環とアリール、ヘテロアリール及び/又はシクロアルキル基で形成されており、これは場合により置換されていることができる。そのような基の例は、基A1及びA2のリスト、並びにヘテロアリール又は複素環基における定義に含まれている。
【0163】
用語「ヘテロアリール又は複素環基」は、窒素、酸素又は硫黄が考えられるヘテロ原子である、5〜7個の環原子を持つ環であり、典型的には、少なくとも6個の共役π電子を有するの原子を5〜18個持つ不飽和複素環基であり、例えば、チエニル、ベンゾ〔b〕チエニル、ジベンゾ〔b,d〕チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル又はフェノキサジニルであり、好ましくは上記の単環式若しくは二環式複素環基である。
【0164】
アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アリールアミノ基及びジアリール基における用語「アリール」及び「アルキル」は、典型的には、それぞれC1〜C25アルキル及びC6〜C24アリールである。
【0165】
上記の基は、C1〜C8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基又はシロキサニル基で置換されていることができる。
【0166】
本発明は更に、陽極と陰極の間に本発明の式Iの蛍光ジケトピロロピロール又は組成物を有し、電気エネルギーの作用により発光するエレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0167】
最新の有機エレクトロルミネセントデバイスの典型的な構造は下記の通りである:
(i)陽極/正孔輸送層/電子輸送層/陰極(ここで、本発明の化合物又は組成物は、発光及び正孔輸送層の形成に利用される正孔輸送化合物若しくは組成物として、又は発光及び電子輸送層の形成に利用されることができる電子輸送化合物若しくは組成物として使用される)、
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極(ここで、化合物又は組成物は、この構成で正孔輸送特性又は電子輸送特性を示すかどうかに関らず、発光層を形成する)、
(iii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔抑制層/電子輸送層/陰極、
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻害層/電子輸送層/陰極、
(vi)陽極/発光層/電子輸送層/陰極、
(vii)陽極/発光層/正孔抑制層/電子輸送層/陰極、
(viii)発光層しか含有しない単層、又は発光材料と正孔輸送層、正孔ブロッキング層及び/若しくは電子輸送層のいずれかの材料との組合せ、並びに
(ix)(ii)〜(vii)で記載された多層構造(ここで、発光層は(viii)で定義された単層である)。
【0168】
本発明の化合物及び組成物は、原則的にあらゆる有機層、例えば、正孔輸送層、発光層、又は電子輸送層で使用することができるが、好ましくは発光層で発光材料として使用される。
【0169】
フィルムタイプのエレクトロルミネセントデバイスは、通常、実質的に1対の電極と、その間の少なくとも1個の電荷輸送層から構成される。通常2個の電荷輸送層、1個の正孔輸送層(陽極の次)及び1個の電子輸送層(陰極の次)が存在する。それらのうちのいずれか1つは、正孔輸送材料又は電子輸送材料としての特性に応じて、発光材料として無機又は有機蛍光物質を含有する。また、発光材料が、追加の層として正孔輸送層と電子輸送層の間に使用されることも通例である。上記デバイスの構造において、正孔注入層を陽極と正孔輸送層の間に構成する、及び/又は正孔抑制層を発光層と電子輸送層の間に構成して、発光層における正孔及び電子密度分布を最大化することができ、電荷再結合及び強力な発光における大きな効率性が達成される。
【0170】
デバイスは幾つかの方法で調製することができる。通常、真空蒸着が調製に使用される。好ましくは、有機層は、室温に保持されている市販のインジウム−スズ−酸化物(「ITO」)ガラス基材上に上記順序で積層され、これは、上記構成で陽極として作用する。膜厚は、好ましくは1〜10,000nm、より好ましくは1〜5,000nm、より好ましくは1〜1,000nm、より好ましくは1〜500nmの範囲である。厚さが50〜200nmの範囲のMg/Ag合金、2成分系のLi−Al又はLiF−Alのような陰極金属が有機層の上に積層される。蒸着する間の真空は、好ましくは0.1333Pa(1×10-3Torr)未満、より好ましくは1.333×10-3Pa(1×10-5Torr)未満、より好ましくは1.333×10-4Pa(1×10-6Torr)未満である。
【0171】
陽極として、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、鉄、亜鉛、スズ、クロム、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、鉛、マンガン、タングステン等の金属のような高い仕事関数を有する通常の陽極材料、マグネシウム/銅、マグネシウム/銀、マグネシウム/アルミニウム、アルミニウム/インジウム等のような金属合金、Si、Ge、GaAs等のような半導体、インジウム−スズ−酸化物(「ITO」)、ZnO等のような金属酸化物、Cul等のような金属化合物、更に、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン等のような導電性ポリマー、好ましくはITO、最も好ましくは基材としてのガラス上のITOを使用することができる。
これらの電極材料のうち、金属、金属合金、金属酸化物及び金属化合物は、例えば、スパッタリング法により電極に変えることができる。電極の材料として金属又は金属合金を使用する場合、電極は真空蒸着法によっても形成することができる。電極を形成する材料として金属又は金属合金を使用する場合、電極は、更に化学めっき法により形成することができる(例えば、Handbook of Electrochemistry, pp 383-387, Mazuren, 1985を参照すること)。導電性ポリマーを使用する場合、電極は、導電塗布により予め準備されている基材上に、陽極酸化重合法でフィルムを形成することにより製造することができる。基材上に形成される電極の厚さは特定の値に限定されないが、基材が発光面として使用される場合、電極の厚さは、透明性を確保するために、好ましくは1nm〜300nmの範囲内、より好ましくは5〜200nmの範囲内である。
【0172】
好ましい実施態様において、ITOは、10nm(100Å)〜1μ(10000Å)、好ましくは20nm(200Å)〜500nm(5000Å)の範囲のITO膜厚を有して、基材上に使用される。一般にITO膜のシート抵抗は、100Ω/cm2以下、より好ましくは50Ω/cm2以下の範囲で選択される。
【0173】
そのような陽極は、Geomatech Co.Ltd.、Sanyo Vacuum Co. Ltd、Nippon Sheet Glass Co. Ltd.のような日本の製造者から市販されている。
【0174】
基材として、導電性材料又は電気的に絶縁性の材料を使用することができる。導電性基材を使用する場合、発光層又は正孔輸送層がその上に直接形成され、電気的に絶縁性の材料を使用する場合、まず初めに電極がその上に形成され、次に発光層又は正孔輸送層が重ね合わされる。
【0175】
基材は、透明、半透明又は不透明のいずれかであることができる。しかし、平面を示す基材を使用する場合、基材は透明又は半透明でなければならない。
【0176】
透明な電気的に絶縁性の基材は、例えば、ガラス、石英等のような無機化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のような有機ポリマー化合物である。これらの基材を、それぞれ上記の方法のうちの1つに従って基材に電極を備えることにより、透明な導電性基板に変えることができる。
【0177】
半透明な電気的に絶縁性の基板の例は、アルミナ、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)等のような無機化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エポキシ樹脂等のような有機ポリマー化合物である。これらの基材を、それぞれ上記の方法のうちの1つに従って基材に電極を備えることにより、半透明な導電性基材に変えることができる。
【0178】
不透明な導電性基材の例は、アルミニウム、インジウム、鉄、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、チタン、銅、銀、金、白金等のような金属、種々の電気めっきされた金属、青銅、ステンレススチール等の金属合金、Si、Ge、GaAs等のような半導体、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン等のような導電性ポリマーである。
【0179】
基材は、上記の基材材料のうちの1つを所望の寸法に形成して得ることができる。基材は平滑面を有することが好ましい。粗面を有する場合でも、20μm以上の曲率を有する円形むらを有するのであれば、実際の使用において何も問題を起こさない。基材の厚さとしては、十分な機械的強度が確保されていれば、限定されない。
【0180】
陰極として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、銀及び銅のような低仕事関数を有する通常の陰極材料、並びにナトリウム、リチウム、カリウム、フッ化リチウム(LiF)、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銅合金、マグネシウム−アルミニウム合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−酸化アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、インジウム、カルシウムのような合金及び合金の混合物、導電性ポリマー、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン等のようなEP−A499,011で例示されている材料、好ましくはMg/Ag合金、LiF−Al又はLi−Al組成物が使用できる。
【0181】
好ましい実施態様において、マグネシウム−銀合金、若しくはマグネシウムと銀の混合物、又はリチウム−アルミニウム合金、フッ化リチウム−アルミニウム合金、又はリチウムとアルミニウムの混合物は、10nm(100Å)〜1μm(10000Å)、好ましくは20nm(200Å)〜500nm(5000Å)の範囲の膜厚で使用することができる。
【0182】
そのような陰極を、上記記載の既知の真空蒸着技術により前記の電子輸送層に蒸着することができる。
本発明の好ましい実施態様において、発光層は、正孔輸送層と電子輸送層の間で使用することができる。通常、発光層は、正孔輸送層上に薄膜を形成することにより調製される。
【0183】
上記の薄膜を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、流延法、ラングミュア−ブロジェット(「LB」)法等がある。これらの方法のなかで、真空蒸着法、スピンコート法及び流延法が、操作の容易さ及び費用の観点から特に好ましい。
【0184】
真空蒸着法により組成物を使用して薄膜を形成する場合、真空蒸着法を実施する条件は、通常、化合物の特性、形状及び結晶状態に大きく左右される。しかし最適な条件は通常次の通りである:加熱ボートの温度:100〜400℃;基材温度:−100〜350℃;圧力:1.33×104Pa(1×102Torr)〜1.33×10-4Pa(1×10-6Torr)及び付着速度:1pm〜6nm/秒。
【0185】
有機EL素子において、発光層の厚さは、発光性を決定する要因の一つである。例えば、発光層が十分に厚くない場合、前記発光層を間に挟んでいる2個の電極の間で極めて容易にショートが起こり、したがってEL発光が得られない。一方、発光層が過剰に厚い場合、高い電気抵抗のため大きな電位降下が発光層の中で起こり、EL発光のしきい電圧が増大する。したがって、有機発光層の厚さは、5nm〜5μmの範囲、好ましくは10nm〜500nmの範囲に限定される。
【0186】
スピンコート法及び流延法、インクジェットプリント法を使用して発光層を形成する場合、塗布は、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド等のような適切な有機溶媒中、組成物を0.0001〜90重量%の濃度で溶解して調製する溶液を使用して、実施することができる。濃度が90重量%を超える場合、溶液は、粘性になり、平滑で均一な膜を形成することができなくなる。一方、濃度が0.0001重量%未満の場合、膜を形成する効率が低くなりすぎて経済的ではない。したがって、組成物の好ましい濃度は、0.01〜80重量%の範囲内である。
【0187】
上記のスピンコート法又は流延法を使用する場合、発光層を形成する溶液にポリマー結合剤を加えて、得られる層の均一性及び機械的強度を更に向上させることが可能である。原則的に、組成物が溶解される溶液に可溶であれば、あらゆるポリマー結合剤を使用してもよい。そのようなポリマー結合剤の例は、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂等である。しかし、ポリマー結合剤及び組成物から構成される固形分が99重量%を超える場合、溶液の流動性は、通常非常に低く、等質性に優れた発光層を形成することが不可能になる。一方、組成物の含有量がポリマー結合剤よりも実質的に少ない場合、前記層の電気抵抗が極めて大きく、高電圧が付加されない限り発光しない。したがって、ポリマー結合剤と組成物の好ましい比率は、10:1〜1:50重量の範囲内で選択され、溶液中の両方の成分から構成される固形分は、好ましくは0.01〜80重量%の範囲内、より好ましくは0.1〜60重量%の範囲内である。
【0188】
正孔輸送層として、ポリビニルカルバゾールのような既知の有機正孔輸送化合物:
【0189】
【化56】

【0190】
J. Amer. Chem. Soc. 90 (1968) 3925で開示されているTPD化合物:
【0191】
【化57】

【0192】
(式中、Q1及びQ2は、それぞれ水素原子又はメチル基を表す);
J. Appl. Phys. 65(9) (1989) 3610で開示されている化合物:
【0193】
【化58】

【0194】
スチルベンに基づく化合物:
【0195】
【化59】

【0196】
(式中、T及びT1は、有機基を表す);
ヒドラゾンに基づく化合物:
【0197】
【化60】

【0198】
(式中、Rx、Ry及びRzは有機基を表す)
等を使用することができる。
【0199】
正孔輸送材料として使用される化合物は、上記で示された化合物に限定されない。
正孔を輸送する性質を有するあらゆる化合物が、正孔輸送材料として使用されることができ、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチルベニルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、アニリン誘導体のコポリマー、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン))及びその誘導体、導電性オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチルベニルアミン化合物等である。
【0200】
特に、芳香族第三級アミン化合物、例えば、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル(TPD)、2,2′−ビス(ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1′−ビス(4−ジ−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クアテルフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベン、N−フェニルカルバゾール等が使用される。
【0201】
更に、US−B−5,061,569で開示されている4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル及びEP−A508,562で開示され、4,4′,4"−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミンのような3個のトリフェニルアミン単位が窒素原子と結合している化合物を使用することができる。
正孔輸送層は、陽極に少なくとも1個の正孔輸送材料を含有する有機膜を調製することにより形成できる。正孔輸送層は、真空蒸着法、スピンコート法、流延法、インクジェットプリント法、LB法等により形成することができる。これらの方法のなかで、真空蒸着法、スピンコート法及び流延法が、容易さ及び費用の観点から特に好ましい。
【0202】
真空蒸着法を使用する場合、付着条件は、発光層の形成で記載された方法(上記参照)と同様の方法を選択してよい。1個以上の正孔輸送材料を含む正孔輸送層を形成することが好ましい場合、所望の化合物を使用する同時蒸発法が使用できる。
正孔輸送層をスピンコート法又は流延法で形成する場合、層は、発光層の形成で記載された条件(上記参照)で形成することができる。
【0203】
発光層を形成する場合、より平滑で均一の正孔輸送層は、結合剤及び少なくとも1つの正孔輸送材料を含有する溶液を使用して形成することができる。そのような溶液を使用する塗布は、発光層で記載された方法と同様の方法により実施することができる。少なくとも1個の正孔輸送材料が溶解している溶媒に可溶であれば、あらゆるポリマー結合剤を使用してもよい。適切なポリマー結合剤の例及び適切であり、好ましい濃度の例は、上記の発光層の形成についての記載で示されている。
【0204】
正孔輸送層の厚さは、好ましくは、0.5〜1000nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nmの範囲から選択される。
【0205】
正孔注入材料としては、例えばJP64−7635で記載されている、無金属フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニン(Cu−Pc)及びこれらの誘導体のような既知の有機正孔輸送化合物を使用することができる。更に、正孔輸送層よりも弱いイオン化電位を有する、上記で正孔輸送材料として定義された幾つかの芳香族アミンを使用することができる。
正孔注入層は、少なくとも1つの正孔注入材料を陽極層と正孔輸送層の間に含有する有機膜を調製することにより形成できる。正孔注入層は、真空蒸着法、スピンコート法、流延法、LB法等により形成することができる。層の厚さは、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜100nmである。
【0206】
電子輸送材料は、高い電子注入効率(陰極から)及び高い電子移動性を有するべきである。下記の材料は、電子輸送材料を例示することができる:トリス(8−ヒドロキシキノリナト)−アルミニウム(III)及びその誘導体、ビス(10−ヒドロキシベンゾ〔h〕キノリノラト)ベリリウム(II)及びその誘導体、オキサジアゾール誘導体、例えば2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール及びその二量体系、例えば1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4)オキサジアゾリル)ビフェニレン及び1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン、ジオキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、クマリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、又はAppl. Phys. Lett. 48 (2) (1986) 183で開示されているペリレンテトラカルボン酸誘導体。
【0207】
電子輸送層は、正孔輸送層又は発光層に少なくとも1つの電子輸送材料を含有する有機膜を調製することにより形成できる。電子輸送層は、真空蒸着法、スピンコート法、流延法、LB法等により形成することができる。
【0208】
正孔抑制層の正孔抑制材料は、電子輸送層から発光層への高い電子注入/輸送効率を有し、また、ルミネセンス効率の低下を回避するため、発光層から正孔の流出を阻止するように発光層よりも高いイオン化電位を有することが好ましい。
【0209】
正孔抑制材料として、Balq、TAZ及びフェナントロリン誘導体のような既知の材料、例えば、バトクプロイン(BCP)を使用することができる。
【0210】
【化61】

【0211】
正孔抑制層は、電子輸送層と発光層の間に少なくとも1つの正孔抑制材料を含有する有機膜を調製することにより形成できる。正孔抑制層は、真空蒸着法、スピンコート法、流延法、インクジェットプリント法、LB法等により形成することができる。層の厚さは、好ましくは5nm〜2μmの範囲内、より好ましくは10nm〜100nmの範囲内から選択される。
【0212】
発光層又は正孔輸送層を形成する場合、より平滑で均一の電子輸送層は、結合剤及び少なくとも1つの電子輸送材料を含有する溶液を使用して形成することができる。
【0213】
電子輸送層の厚さは、好ましくは、0.5〜1000nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nmの範囲から選択される。
一般にホスト発色団は、500〜720nm、好ましくは520nm〜630nm、最も好ましくは540〜600nmでフォトルミネセンス発光ピークを有するジケトピロロピロールである。ホスト発色団は、好ましくは式IIのジケトピロロピロールである。
【0214】
発光組成物は、500〜780、好ましくは520〜750、より好ましくは540〜700nmの範囲の最大蛍光発光を有する。更に本発明の化合物は、好ましくは、450nm〜600nmの範囲の最大吸収を示す。
【0215】
発光組成物は、通常、1>FQY≧0.3(通気トルエン又はDMF中で測定)の範囲の蛍光量子収量(「FQY」)を示す。更に本発明の組成物は、一般的に、5000〜100000の範囲のモル吸収係数を示す。
【0216】
本発明の別の実施態様は、本発明の化合物又は組成物を当該技術で既知の用法で組み込むことによる、高分子量有機材料(通常103〜107g/molの範囲の分子量を有し、バイオポリマー及び繊維を含むプラスチック材料を含む)の着色法に関する。
【0217】
本発明の化合物及び組成物は、EP−A−1087005の式I′のDPP化合物で記載されているように、
フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッケージング印刷、セキュリティインク印刷、凹版印刷又はオフセット印刷の印刷工程における印刷インク用、予備プレス工程用及び捺染用、オフィス、家庭又はグラフィック用途用、例えば紙製品用、例としてはボールペン、フェルトチップ、ファイバーチップ、カード、木材、(木材)ステイン、金属、インクパッド用インクの調製、又はインパクトプリント法(インパクトプレッシャーインクリボンを用いる)用インクの調製、
塗布材料用、工業及び商業用途用、織物装飾及び工業用マーク用、ローラー塗り若しくは粉末被覆用、又は自動車の仕上げ塗装用、ハイソリッド(低溶剤)、含水若しくは金属被覆材料用、又は水性塗料着色配合物用着色剤の調製、
被覆、繊維、円盤、又は成形型担体用着色プラスチックの調製、
デジタルプリント用、昇華型熱転写印刷工程用、インクジェットプリント工程用、又は熱転写印刷工程用ノンインパクトプリント材料の調製、また
特に400〜700nmの範囲の可視光線用、液晶ディスプレー(LCD)、若しくは電荷結合素子(CCD)用のカラーフィルタの調製、又は
化粧品の調製、又は
ポリマーインク粒子、トナー、色素レーザー、乾燥コピートナー、液体コピートナー又は電子写真用トナー及びエレクトロルミネセンスデバイスの調製に使用することができる。
【0218】
別の好ましい実施態様は、色変化媒体における本発明の化合物及び組成物の使用に関する。フルカラー有機エレクトロルミネセンスデバイスを実現するために3つの主要な技術がある:
(i)エレクトロルミネセンスにより発生された三原色の青、緑及び赤を使用すること、
(ii)エレクトロルミネセンスの青色又は白色を、上記の青色のエレクトロルミネセンスと、緑色及び赤色の蛍光とを吸収する色変化媒体(CCM)によりフォトルミネセンスの緑色及び赤色に変換すること、
(iii)白色のルミネセンス発光を、カラーフィルタにより青色、緑色及び赤色に変換すること。
【0219】
本発明の化合物又は組成物は上記の部類(i)、加えて上記の技術(ii)のEL材料に有用である。これは、本発明の化合物又は組成物が、強力なフォトルミネセンス、並びにエレクトロルミネセンスを示すことができるからである。
【0220】
例えば、技術(ii)は、US−B−5,126,214から既知であり、約470〜480nmの最大波長を有するEL青色が、クマリン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン、ピリジン、ローダミン6G、フェノキサゾン又は他の染料を使用して緑色及び赤色に変換される。
【0221】
本発明の化合物又は組成物は、他の補助エレクトロルミネセンスと組み合わせて白色ルミネセンスを構築する白色ルミネセンスの素子として、上記の部類(iii)のEL材料に有用である。これは、化合物又は組成物が、強力なフォトルミネセンス、並びにエレクトロルミネセンスを示すことができるからである。
【0222】
本発明の組成物で着色することができる高分子量の適切な有機材料の実例は、EP−A−1087005で記載されている。
【0223】
特に塗料系、印刷インク又はインクの調製に特に好ましい高分子量の有機材料は、例えば、セルロースエーテル類及びセルロースエステル類、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース及び酪酸セルロース、天然樹脂又はアミノプラストのような合成樹脂(重合又は縮合樹脂)、特に尿素/ホルムアルデヒド及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、フェノールプラスチック、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ABS、ASA、ポリフェニレンオキシド、加硫ゴム、カゼイン、シリコーン及びシリコーン樹脂、並びに考えられるこれらの相互の混合物である。
【0224】
高分子量有機材料を膜形成剤として溶解形態で使用することも可能であり、例えば、沸騰アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド及び尿素/ホルムアルデヒド樹脂、並びにアクリル樹脂である。
【0225】
上記の高分子量有機材料は、特に紡糸液、塗料系、被覆材料、インク又は印刷インクの調製のために、単独又は混合物、例えば、顆粒、プラスチック材料、溶融体の形態、又は溶液の形態で得てもよい。
【0226】
本発明の特に好ましい実施態様において、本発明の化合物及び組成物は、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、特にポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィンの大量着色(mass coloration)に使用され、並びに粉末被覆、インク、印刷インク、カラーフィルタ及び外装色(coating color)を含む塗料系の調製に使用される。
【0227】
塗料系に好ましい結合剤の例示は、アルキド/メラミン樹脂塗料、アクリル/メラミン樹脂塗料、酢酸セルロース/酪酸セルロース塗料及びポリイソシアネートで架橋されうるアクリル樹脂に基づく2パック系ラッカーである。
【0228】
したがって、本発明の別の実施態様は、
(a)本発明の式Iの蛍光ジケトピロロピロール又は組成物を、着色された高分子量有機材料の総重量に基づき、0.01〜50、好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.01〜2重量%、及び
(b)高分子有機材料を、着色された高分子量有機材料の総重量に基づき、99.99〜50、好ましくは99.99〜95、特に好ましくは99.99〜98重量%、及び
(c)場合により、レオロジー向上剤、分散剤、充填剤、塗料助剤、乾燥剤、可塑剤、UV安定剤のような慣用の添加剤及び/又は追加の顔料若しくは対応する前駆体の有効量、例えば(a)と(b)の総量に基づき、0〜50重量%
含む組成物に関する。
【0229】
異なる色相を得るため、本発明の式Iの蛍光DPP化合物又は本発明の組成物は、所望の量の充填剤、透明及び不透明の白色、着色及び/又は黒色顔料、並びに慣用の光沢顔料と混合して使用してもよい。
【0230】
塗料系、塗布材料、カラーフィルタ、インク及び印刷インクの調製では、結合剤、合成樹脂分散体等のような対応する高分子量有機材料、並びに本発明の化合物又は組成物は、通常、所望であれば分散剤、充填剤、塗料助剤、乾燥剤、可塑剤のような慣用の添加剤及び/又は追加の顔料若しくは顔料前駆体と一緒になって、慣用の溶媒又は溶媒混合物に一緒に溶解又は分散される。これは、個別の成分自体を、若しくは数個の成分を一緒にして分散又は溶解し、その後で全ての成分を一緒にするか、或いは全部を一緒にして一度に加えることにより達成できる。
【0231】
したがって、本発明の更なる実施態様は、分散体及び対応する分散体、並びに本発明の組成物を含む塗料系、塗布材料、カラーフィルタ、インク及び印刷インクを調製するための本発明の化合物又は組成物の使用方法に関する。
【0232】
特に好ましい実施態様は、例えば、潤滑剤、冷却系等のような流体の漏れを検知する蛍光トレーサの製造のための本発明の化合物又は組成物の使用、並びに本発明の組成物を含む蛍光トレーサ又は潤滑剤に関する。
【0233】
高分子量の有機材料の着色では、本発明の化合物又は組成物は、場合によりマスターバッチ(masterbatches)の形態で、ロールミル、混合装置又は磨砕装置を使用して、高分子量有機材料と混合される。一般に着色材料は、続いてカレンダー(calandering)、圧縮成形、押出、塗布、鋳造又は射出成形のような従来の方法により所望の最終形態となる。
【0234】
ラッカー、被覆材料及び印刷インクを着色するには、高分子量有機材料及び本発明の化合物又は組成物を、単独で、又は充填剤、他の顔料、乾燥剤若しくは可塑剤のような添加剤と一緒に、一般的には、慣用の有機溶媒又は溶媒混合物に分散又は溶解する。この場合、個別の成分を個別に溶解若しくは分散するか、又は2個以上を一緒に溶解若しくは分散し、その後で全ての成分を合わせる手順を採用することが可能である。
【0235】
本発明は、更に、本発明の組成物の顔料分散体を彩色上有効な量で含むインクに関する。
【0236】
顔料分散体とインクの重量比は、一般的に、インクの総重量に基づき、0.001〜75重量%、好ましくは0.01〜50重量%の範囲で選択される。
【0237】
カラーフィルタ又は顔料着色高分子量有機材料の調製及び使用は、当該技術で周知であり、例えば、Displays 14/2, 1151 (1993)、EP−A784085又はGB−A2,310,072に記載されている。
【0238】
カラーフィルタは、例えば、本発明の組成物を含む顔料分散体を含むことができるか、又は例えば本発明の組成物を、化学的、熱的若しくは光分解的に構成されうる高分子量有機材料(いわゆるレジスト)と混合して調製することができる、インク、特に印刷インクを使用して被覆されることができる。続く調製は、EP−A654711と同様に、LCD(液晶ディスプレー)のような基材への適用、続く光構成化及び現像により実施することができる。
カラーフィルタの特に好ましい製造は、非水性溶媒又はポリマーの分散媒体を有する、本発明の化合物又は組成物を含む顔料分散体で示される。
更に本発明は、本発明の化合物又は組成物を含有する顔料分散体、又は本発明の組成物の彩色上有効な量で着色されている高分子量有機材料を含むトナーに関する。
更に本発明は、本発明の組成物を含む、好ましくは分散体の形態の着色剤、着色プラスチック、ポリマーインク粒子又はノンインパクトプリント(non-impact-printing)材料、或いは本発明の組成物の彩色上有効な量で着色されている高分子量有機材料に関する。
本発明の組成物を含む、本発明の顔料分散体の彩色上有効な量とは、一般的に、着色されている材料の総量に基づき、0.0001〜99.99重量%、好ましくは0.001〜50重量%、特に好ましくは0.01〜50重量%を意味する。
本発明の組成物は、ポリアミドに組み込む間に分解しないため、カラーポリアミドに適用することができる。更に、特にプラスチックにおいて著しく良好な耐光性、優れた熱安定性を示す。
【0239】
本発明の有機ELデバイスは、壁掛けテレビセット(an on-wall television1 set)のフラットパネル・ディスプレー、平面発光装置、コピー機又はプリンターの光源、液晶ディスプレー又はカウンターの光源、掲示板ディスプレー及び信号灯に適用されるため、重要な産業的価値を有する。本発明の化合物及び組成物は、有機ELデバイス、電子写真光受信機、光電変換器、太陽電池、イメージセンサ等の分野で使用することができる。
【0240】
下記の実施例は、例示の目的のみのためであり、本発明の範囲をいかなる方法によっても制限すると解釈されるべきではない。実施例において、特に記述がない限り、「部」は「重量部」を意味し、「%」は」「重量%」を意味する。
【0241】
実施例1
ナトリウム3.8g及びtert−アミルアルコール300mlを窒素雰囲気下で100℃まで加熱し、15時間撹拌した。反応混合物を室温に冷ました。2−シアノ−5−ブロモピリジン27.7gを加え、110℃まで加熱した。この温度に達すると直ちに、コハク酸ジイソプロピル16.2gとtert−アミルアルコール100mlの溶液を、滴加漏斗を使用して1時間かけて加えた。添加が完了したとき、反応混合物を100℃で20時間保持し、65℃に冷却した。次に水300mlを加え、得られた顔料懸濁液を室温で濾過し、メタノール及び水で洗浄液が無色になるまで洗浄し、真空下、100℃で乾燥して、1,4−ジケト−3,6−ビス−2−(5−ブロモピリジン−イル)−ピロロ−(3,4−c)−ピロール6.6g(コハク酸ジブチルに基づき、理論値の9.8%)を得た。
【0242】
【化62】

【0243】
1,4−ジケト−3,6−ビス−2−(5−ブロモピリジン−イル)−ピロロ−(3,4−c)−ピロール2.0gを、1−メチル2−ピロリジノン中、室温で2時間スラリー化した。カリウムtert−ブトキシド1.5gを窒素下でスラリーに加えた。3時間撹拌した後、ヨウ化n−ブチル2.4gを反応混合物に加え、更に18時間撹拌した。次に混合物を水50mlに注ぎ、沈殿物を濾過により収集し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤としてジクロロメタン)により精製し、続いてメタノールで洗浄した。乾燥した後、2,5−ジ−ブチル−1,4−ジケト−3,6−ビス−2−(5−ブロモピリジン−イル)ピロロ(3,4−c)ピロール450mgを得た(収率18%)。
【0244】
【化63】

【0245】
実施例2
2,5−ジ−ブチル−1,4−ジケト−3,6−ビス−2−(5−ブロモピリジン−イル)ピロロ(3,4−c)ピロール200mg、ジフェニルアミン151mg、酢酸パラジウム(II)6mg、ビス−ジフェニルホスフィノフェロセン20mg、炭酸セシウム233mg及び無水キシレン50mlを、三首フラスコに入れ、窒素雰囲気下、150℃で7時間撹拌した。反応が完了した後、キシレンを減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤としてジクロロメタン)により精製した。乾燥した後、目的生成物0.12g(46%)を赤色の固体として得た。
【0246】
【化64】

【0247】
実施例3
ヨウ化メチルをヨウ化ブチルの代わりに使用する以外は、実施例1を繰り返した。赤色の固体(収率:18%)を得た。
【0248】
【化65】

【0249】
実施例4
2,5−ジメチル−1,4−ジケト−3,6−ビス−2−(5−ブロモピリジン−イル)ピロロ(3,4−c)ピロール220mg、ジトリルアミン228mg、酢酸パラジウム(II)6mg、ビス−ジフェニルホスフィノフェロセン20mg、炭酸セシウム300mg及び無水キシレン10mlを、三首フラスコに入れ、窒素雰囲気下、150℃で4時間撹拌した。反応が完了した後、キシレンを減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤としてジクロロメタン)により精製した。乾燥した後、目的生成物0.08g(24%)を赤色の固体として得た。
【0250】
【化66】

【0251】
実施例5
ナトリウム6.01g及びtert−アミルアルコール400mlを窒素雰囲気下で100℃まで加熱し、18時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、2−シアノ−5−ブロモチオフェン44.66gを加え、110℃まで加熱した。この温度に達すると直ちに、コハク酸ジイソプロピル24.3gとtert−アミルアルコール100mlの溶液を、滴加漏斗を使用して5時間かけて加えた。添加が完了したとき、反応混合物を120℃で20時間保持し、65℃に冷却した。次に水300ml及び酢酸20mlを加え、得られた顔料懸濁液を室温で濾過し、メタノール及び水で洗浄液が無色になるまで洗浄し、乾燥して、1,4−ジケト−3,6−ビス−2−(5−ブロモピリジン−イル)−ピロロ−(3,4−c)−ピロール8.0g(コハク酸ジブチルに基づき、理論値の7.3%)を得た。
【0252】
【化67】

【0253】
A−4をA−1の代わりに使用する以外は実施例3を繰り返し、それにより赤色の固体を得た(収率:5%)。
【0254】
【化68】

【0255】
実施例6
A−5 200mg、3,5−ジメチルフェニルボロン酸150mg、テトラキス−(トリフェニルホスフィノ)パラジウム10mg、炭酸カリウム166mg及び無水キシレン10mlを三首フラスコに入れ、130℃で1時間撹拌した。キシレンを除去し、得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤としてジクロロメタン)により精製した。乾燥した後、目的生成物(A−8)0.02gを紫色の固体として得た。
【0256】
【化69】

【0257】
実施例7
2−シアノ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを2−シアノ−5−ブロモチオフェンの代わりに使用する以外は実施例5を繰り返し、それにより暗紫色の固体を得た(収率:15%)。
【0258】
【化70】

【0259】
A−7をA−3の代わりに使用する以外は実施例3を繰り返し、それにより赤色の固体を得た(収率:25%)。
【0260】
【化71】

【0261】
実施例8
A−5をA−3の代わりに使用する以外は実施例4を繰り返し、それにより赤紫色の固体を得た(収率:10%)。
【0262】
【化72】

【0263】
実施例9
ヨウ化n−ドデシルをヨウ化ブチルの代わりに使用する以外は、実施例1を繰り返した。赤色の固体(収率:13%)を得た。
【0264】
【化73】

【0265】
実施例10
A−10及びジフェニルアミンをそれぞれA−3及び次トリルアミンの代わりに使用する以外は実施例4を繰り返し、それにより紫色の固体を得た(収率:21%)。
【0266】
【化74】

【0267】
実施例11
2−シアノピリジンを2−シアノ−5−ブロモピリジンの代わりに使用する以外は実施例1を繰り返し、それにより赤色の固体を得た(収率:32%)。
【0268】
【化75】

【0269】
A−11をA−1の代わりに使用する以外は実施例3を繰り返し、それにより赤色の固体を得た(収率:69%)。
【0270】
【化76】

【0271】
【表5】

【0272】
適用例1
ルミネセンス素子1
ITO透明導電性膜が厚さ約120nmまで付着したガラス基材(Geomatek Co製、電子線蒸着法で調製された製品)を、30×40mmの寸法に切断し、エッチングした。このようにして得られた基板をSemikoklin(登録商標)56で15分間超音速洗浄に付し、次に高温の超純水で洗浄した。続いて基材をアセトンで15分間超音速洗浄に付し、次に乾燥した。基材が素子になる直前に、そのようにして得られた基材を空気プラズマ処理に半時間付して、真空蒸着装置の中へ入れた。装置を内部圧が1×10-5Pa以下になるまで排気した。次に抵抗加熱法に従って、フタロシアニン銅錯体(CuPc)を、厚さ20nmまで蒸着して、正孔注入層を形成した。N,N′−ジ(ナフタレンー1−イル)−N,N′−ジフェニル−ベンジジン(α−NPD)を厚さ40nmまで蒸着して、正孔輸送層を形成した。続いてホストとしてDPP化合物H−2及びゲストとして(実施例4で得られた)DPP化合物G−13を、発光層として厚さ30nmまで共付着し、DPP化合物の比率を、付着速度により調節して(H−2:G−13=100:1〜0.5)、均一の発光層を形成した。続いて厚さ30nmを有するAlq3層を蒸着して、電子輸送層を形成した。厚さ0.5nmのフッ化リチウム(LiF)を電子注入材料として蒸着した。電子注入材料の上に、厚さ150nmのアルミニウム(Al)を蒸着して陰極を形成し、2×2mm2の大きさを有する素子を調製した。
このようにして得られたルミネセンス素子1のルミネセンスピーク波長及び発光強度を表1にまとめた。
【0273】
適用例1を繰り返して、ルミネセンス素子2〜4を調製した。使用した発光材料を下記の表2に示す。
【0274】
【表6】

【0275】
【化77】


ルミネセンス素子のEL特性から明らかなように、本発明は、電気エネルギー利用効率が高く、そして輝度が高いルミネセンス素子を提供することができる。
【0276】
実施例12
蛍光染料A−12及びPMMAをジクロロメタンに溶解し、直径3mmの石英ロッドを溶液中に浸漬して、石英ロッドの周りに薄膜を形成した。試料を乾燥炉で6時間乾燥した。PPMフィルム中のA−12の濃度は、2mM/lであった。調製した石英ロッドを薄膜リングレーザーシステムのリング共振器及び光増幅器として使用した。
【0277】
薄膜リングレーザーは、2つの構成部分から構成されている。一方は、染料浸漬PMMA薄膜を有する石英ロッドであり、リング共振器として作用する。他方は、PMMA薄膜で作られている平面導波管である。励起源はパルスNd:YAGレーザーの第三高周波の発生であり、その波長は355nmであり、そのパルス幅は7nsである。励起線(083mJ/cm2)が作動すると、レーザーの中心波長が530nmの黄色レーザー振動が観察された。
【0278】
実施例13
ヨウ化n−ヘキシルをヨウ化ブチルの代わりに使用する以外は、実施例1を繰り返した(収率:6%)。融点=196〜199℃。
【0279】
【化78】

【0280】
実施例14
A−13をA−3の代わりに使用する以外は実施例4を繰り返した(収率:45%)。融点=268〜270℃。
【0281】
【化79】

【0282】
ルミネセンス素子5及び6
適用例1を繰り返して、ルミネセンス素子5及び6調製した。使用した発光材料を下記の表3に示す。
【0283】
【表7】

【0284】
【化80】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化81】


〔式中、
1及びR2は、同一又は異なっていてよく、フッ素、塩素又は臭素で置換されていることができるC1〜C25アルキル基、C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるアリル基、シクロアルキル基、C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ又はシアノで1〜3回置換されていることができるフェニルにより1又は2回縮合されていることができるシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン若しくはアルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A3又は−CR34−(CH2m−A3から選択され、ここで、
3及びR4は、互いに独立して、水素若しくはC1〜C4アルキル又はC1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、
3は、アリール又はヘテロアリール、特にC1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0、1、2、3又は4を表し、
1及びA2は、互いに独立して、窒素、酸素及び硫黄の群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5員複素環、又は窒素、酸素及び硫黄の群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する6員複素環を含む基であり、ここでA1及びA2が、下記式
【化82】


で示される単独の5員又は6員複素環である場合、
前記複素環は、C1〜C25アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、置換若しくは非置換ビニル基、基NR89から選択される少なくとも1個の基で置換されており、ここでR8及びR9は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アラルキル基を表すか、又はR8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基により縮合されていることができる5員又は6員複素環を形成し、ここで複素環は、DPP基礎単位、特に下記
【化83】


に直接結合しているか、又は
1及びA2は、互いに独立して、下記
【化84】


の基であり、
ここで、
5、R6及びR7は、同一又は異なっていてよく、水素原子、C1〜C25アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、置換若しくは非置換ビニル基、基NR89から選択され、ここでR8及びR9は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アラルキル基を表すか、又はR8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基により縮合されていることができる5員又は6員複素環を形成するか、或いはR5〜R7のうちの少なくとも2つの隣接する置換基が、芳香族又は脂肪族縮合環系を形成し、そして
1は、水素原子、C1〜C25アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基であり、ここで基R5、R6及びR7のうちの少なくとも1つは、A1及びA2が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子を含有する単独の5員又は6員複素環である場合は、水素原子と異なる(但し、下記
【化85】


の化合物は除外される)〕で示される蛍光ジケトピロロピロール。
【請求項2】
1及びR2が、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるC5〜C12シクロアルキル、或いはC1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ又はシアノによるか、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルにより、1〜3回置換されていることができるフェニルで1又は2回縮合されていることができるC5〜C12シクロアルキル、或いは−CR34−(CH2m−A3から選択され、ここで、R3及びR4は、水素を表し、A3は、C1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0又は1を表す、請求項1記載の蛍光ジケトピロロピロール。
【請求項3】
及びA2が、互いに独立して、下記
【化86】


から選択され、
ここでR5は、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C8アルコキシ基、下記式
【化87】


の基、
又は基−NR89であり、ここでR8及びR9は、互いに独立して、C1〜C8アルキル基、A1、例えば下記
【化88】


を表すか、
或いは
8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1又は2個の場合により置換されているフェニル基で縮合されていることができる5員又は6員複素環、例えば下記
【化89】


を形成し、
ここで、R15、R16及びR17は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ又はフェニルを表し、R5′は、水素を除くR5であり、R5″及びR6″は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシを表し、そして
1は、水素又はC1〜C8アルキルを表す、
請求項1記載の蛍光ジケトピロロピロール。
【請求項4】
下記:
【化90】





〔式中、
1及びR2は、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルのようなC1〜C12アルキル基、1〜3個のC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシ基で場合により置換されていることができるC5〜C7シクロアルキル基、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるか、又は場合により置換されているフェニルで1若しくは2回縮合されていることができるC5〜C7シクロアルキル基、或いは1〜3個のC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシ基で場合により置換されていることができるC7〜C14アラルキル基であり、そしてR15及びR16は、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ又はフェニルを表す〕
で示される請求項3記載の蛍光ジケトピロロピロール。
【請求項5】
ゲスト発色団とホスト発色団を含む組成物であって、ゲスト発色団の吸収スペクトルがホスト発色団の蛍光発光スペクトルと重複し、ホスト発色団が、500〜720nm、好ましくは520nm〜630nm、最も好ましくは540nm〜600nmでフォトルミネセンス発光ピークを有するジケトピロロピロールであり、ホスト発色団及び/又はゲスト発色団が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iのジケトピロロピロールである組成物。
【請求項6】
ゲスト発色団とホスト発色団を含む組成物であって、ゲスト発色団の吸収スペクトルがホスト発色団の蛍光発光スペクトルと重複し、ホスト発色団が、500〜720nm、好ましくは520nm〜630nm、最も好ましくは540nm〜600nmでフォトルミネセンス発光ピークを有するジケトピロロピロールであり、ゲスト発色団が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iのジケトピロロピロールである組成物。
【請求項7】
ホスト発色団が、式II:
【化91】


〔式中、R13及びR14は、互いに独立して、フッ素、塩素若しくは臭素で置換されていることができるC1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、又はC1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ若しくはシアノで1〜3回置換されていることができるフェニルにより1又は2回縮合されていることができるC5〜C12シクロアルキル、シリル、A6又は−CR1112−(CH2m−A6を表し、ここでR11及びR12は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、又はフッ素、塩素若しくは臭素で置換されていることができるC1〜C4アルキル、又はC1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、A6は、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノにより、C1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルにより、1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルか、−NR2324を表し、ここでR23及びR24は、水素、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル又はC6〜C24アリールを表し、特にC1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表すか、又はC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、そしてmは、0、1、2、3又は4を表し、
4及びA5は、互いに独立して、下記
【化92】


を表し、
ここで、R25、R26、R27は、互いに独立して、水素、C1〜C25アルキル、−CR1112−(CH2m−A6、シアノ、ハロゲン、−OR29、−S(O)p30、又はC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、ここでR29は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Ph、C6〜C24アリール、又は5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和の複素環基を表し、ここで環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子とからなり、R30は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Phを表し、R28は、C2〜C20ヘテロアリール又はC6〜C24アリールを表し、pは、0、1、2又は3を表し、m及びnは、0、1、2、3又は4を表す〕
で表されるジケトピロロピロール(「DPP」)である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
13及びR14が、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるC5〜C12シクロアルキル、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチル、或いは−CR1112−(CH2m−A6を表し、ここでR11及びR12は、水素又はC1〜C4アルキルを表し、A6は、C1〜C8アルキル及び/若しくはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0又は1を表す、請求項6又は7記載の組成物。
【請求項9】
4及びA5が、互いに独立して、下記
【化93】


を表し、
ここで、R25はC1〜C8アルキル、フェニル、1−又は2−ナフチルである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光ジケトピロロピロール又は請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物を含むELデバイス。
【請求項11】
式III:
【化94】


〔式中、
21及びR22は、同一又は異なっていてよく、C1〜C25アルキル基、C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるアリル基、シクロアルキル基、C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ又はシアノで1〜3回置換されていることができるフェニルにより1又は2回縮合されていることができるシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン若しくはアルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A3又は−CR34−(CH2m−A3から選択され、ここで、
3及びR4は、互いに独立して、水素又はC1〜C4アルキル或いはC1〜C4アルキルで1〜3回置換されていることができるフェニルを表し、
3は、アリール又はヘテロアリール、特にC1〜C8アルキル及び/又はC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていることができるフェニル又は1−若しくは2−ナフチルを表し、そしてmは、0、1、2、3又は4を表し、
7及びA8は、互いに独立して、下記
【化95】


から選択されるか、又、
1及びA2は、互いに独立して、下記
【化96】


の基であり、
ここで、R5、R6及びR7のうちの1つは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のようなハロゲン原子であり、他は、請求項1で記載されたとおりであり、そしてX1は、請求項1で記載されたとおりである〕
で示されるジケトピロロピロール。
【請求項12】
7及びA8が、互いに独立して、下記
【化97】


から選択され、
ここでR5は、塩素原子又は臭素原子であり、そしてX1は、請求項1で記載されたとおりである、請求項11記載の式IIIのジケトピロロピロール。
【請求項13】
(a)着色高分子量有機材料の総重量に基づいて0.01〜50重量%の、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光ジケトピロロピロール又は請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物、
(b)着色された高分子量有機材料の総重量に基づいて99.99〜50重量%の高分子有機材料、及び
(c)所望であれば、有効量の慣用の添加剤を含む組成物。
【請求項14】
色変化媒体における、固体色素レーザーにおける、ELレーザーにおける、及びELデバイスにおける蛍光トレーサーとして、高分子量有機物質を着色するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光ジケトピロロピロール又は請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2011−225597(P2011−225597A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−146241(P2011−146241)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【分割の表示】特願2006−505506(P2006−505506)の分割
【原出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】