蛍光センサおよび蛍光センサシステム
【課題】正確な測定が可能な蛍光センサ30を提供する。
【解決手段】実施形態の蛍光センサ30は、基板11と、蛍光を電気信号に変換するPD素子12と、
アナライトおよび励起光により前記蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータ19が乾燥状態で収容されたインジケータ空間16の側面を構成するセンサ枠17と、蛍光を透過し励起光を遮るフィルタ13と、励起光を発生するLED素子14と、インジケータ空間16の下面の少なくとも一部を構成する透明中間層15と、インジケータ空間16の上面を構成する遮光層18と、インジケータ空間16への体液の進入によるインジケータ19の膨潤を電気抵抗変化により検知する膨潤検知センサである電極21、22と、を具備する。
【解決手段】実施形態の蛍光センサ30は、基板11と、蛍光を電気信号に変換するPD素子12と、
アナライトおよび励起光により前記蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータ19が乾燥状態で収容されたインジケータ空間16の側面を構成するセンサ枠17と、蛍光を透過し励起光を遮るフィルタ13と、励起光を発生するLED素子14と、インジケータ空間16の下面の少なくとも一部を構成する透明中間層15と、インジケータ空間16の上面を構成する遮光層18と、インジケータ空間16への体液の進入によるインジケータ19の膨潤を電気抵抗変化により検知する膨潤検知センサである電極21、22と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶液中のアナライトの濃度を測定する蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムに関し、特に、アナライトおよび励起光により蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータを具備する蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体中のアナライトすなわち被測定物質の濃度を測定する蛍光センサが開発されている。蛍光センサは、励起光を受光するとアナライト濃度に応じた光量の蛍光Fを発生するインジケータと、インジケータからの蛍光を検出する光電変換素子を有している。
【0003】
例えば、米国特許第5039490号明細書に開示されている蛍光センサ130は、MEMS技術を利用して作製できるとともに小型化が可能である。図1および図2に示すように、蛍光センサ130は、励起光Eを透過可能な透明基板111と、蛍光Fを電気信号に変換する光電変換素子112と、励起光Eを集光する集光機能部115Aを有する透明中間層115と、アナライト2および励起光Eの作用によりアナライト濃度に応じた光量の蛍光Fを発光するインジケータ119と、遮光層118と、から構成されている。
【0004】
なお、蛍光センサ130では、透明基板111の下面から入射した励起光Eのうち、光電変換素子112と光電変換素子基板112Aとの隙間112Bを通過した励起光E2だけが、インジケータ119に入射する。
【0005】
一方、米国特許第7181096号明細書には、インジケータにハイドロゲルを用いた蛍光センサが開示されている。ハイドロゲルはアナライトが進入しやすいため、インジケータにハイドロゲルを用いた蛍光センサは感度がよい。
【0006】
しかし、インジケータにハイドロゲルを用いた蛍光センサは、製造後、使用までの時間の経過により特性が変化することがあった。このため、インジケータにハイドロゲルを用いた公知の蛍光センサは、正確なアナライト濃度の測定が容易ではないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5039490号明細書
【特許文献2】米国特許第7181096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、正確な測定が可能な蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の蛍光センサは、基板と、蛍光を電気信号に変換する光電変換素子と、アナライトおよび励起光により前記蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータが乾燥状態で収容されたインジケータ空間の側面を構成するセンサ枠と、前記光電変換素子を覆うように配設された、前記蛍光を透過し前記励起光を遮るフィルタと、前記センサ枠内に配設された、前記励起光を発生する発光素子と、前記センサ枠内に配設された、前記インジケータ空間の下面の少なくとも一部を構成する、前記発光素子の上に配設された透明中間層と、前記インジケータ空間の上面を構成するとともに、外光および前記励起光を遮り、かつ、前記アナライトを含む体液が通過可能な遮光層と、前記インジケータ空間への前記体液の進入による、前記インジケータの膨潤を、電気抵抗変化により検知する膨潤検知センサと、を具備する。
【0010】
本発明の別の一態様の蛍光センサシステムは、上記記載の蛍光センサと、上記記載の蛍光センサと接続され、上記記載の蛍光センサの動作を制御する制御部を有する本体部と、を具備し、前記制御部が、前記膨潤検知センサの電気抵抗に基づき、アナライト濃度の測定を開始する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、正確な測定が可能な蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図2】従来の蛍光センサの構造を示した分解図である。
【図3】第1実施形態の針型センサシステムの模式図である。
【図4】第1実施形態の針型センサの穿刺を説明するための断面模式図である。
【図5】第1実施形態の蛍光センサの構造を示した分解図である。
【図6】第1実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図7】第1実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図8】第1実施形態の蛍光センサの膨潤検知センサの動作を説明するためのグラフである。
【図9】第1実施形態の蛍光センサシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】第2実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図11】第2実施形態の蛍光センサの上面構造を示した説明図である。
【図12】第3実施形態の蛍光センサの構造を示した分解図である。
【図13】第3実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図14】第4実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
<蛍光センサシステムの構成>
以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態の蛍光センサ(以下「センサ」という)30および蛍光センサシステム(以下「センサシステム」という)1について説明する。図3に示すように、センサ30は本体部40およびレシーバー45と組み合わせてセンサシステム1として使用される。すなわち、センサシステム1はセンサ30と、本体部40と、本体部40からの信号を受信し記憶するレシーバー45とを有する。センサ30のコネクタ部35は本体部40の嵌合部41と着脱自在に嵌合する。センサ30はコネクタ部35が本体部40の嵌合部41と機械的に嵌合することにより、本体部40と電気的に接続される。本体部40とレシーバー45との間の信号の送受信は無線または有線で行われる。なお、本体部40がレシーバーの機能を有している場合には、レシーバー45は不要である。
【0014】
センサ30は、先端部32と、先端部32から延設された針本体部33と、針本体部33から延設されたコネクタ部35と、を具備する。先端部32と針本体部33とコネクタ部35とは、例えばシリコン基板の加工により作製され、特に先端部32と針本体部33との境界等は明確ではない場合もある。
【0015】
本体部40は、センサ30の動作を制御する制御部42と、レシーバー45と無線で信号を送受信するための無線アンテナと、電池などの電源と、各種回路等と、を有する。各種回路としては、信号を増幅する増幅回路、回路用基準クロック発生回路、ロジック回路、データ処理回路、AD変換処理用回路、モード制御回路、メモリ回路、および通信用高周波発生器回路などを例示することができる。なお、レシーバー45と有線で信号の送受信をする場合には、本体部40は、無線アンテナに代えて信号線を有する。センサ部10により測定される体液中のアナライト濃度などの情報は、レシーバー45のメモリに記憶される。
【0016】
センサ30は感染防止などのために使用後は処分される使い捨て(ディスポ)部であるが、本体部40およびレシーバー45は繰り返し再使用されるリユース部である。
【0017】
図4(A)に示すように、センサ30は鞘管50の中空部に収容された状態で、被検者自身が体表面から穿刺して、被検者90の例えば真皮層に挿入される。そして、図4(B)に示すように、アナライト濃度の測定開始前に、先端部32を体内に残して、鞘管50だけが抜去される。すなわち、先端部32が体内に留置される。鞘管50は、先端が尖った中空の、いわゆるアウターニードルであり、センサ30を被検体に穿刺するための補助具である、すなわち、鞘管50は、中空部にセンサ30の少なくとも先端部32を収容した状態で被検体に穿刺される。そして、センサ30を体内に残し鞘管50は抜去され、本体部40がセンサ30と接続される。
【0018】
<蛍光センサの構成>
次に、図5および図6に示すように、センサ30は、基板11と、フィルタ13と、発光素子であるLED素子14と、透明中間層15と、インジケータ19と、遮光層18と、が順に積層された構造である。インジケータ19が内部に収容されているインジケータ空間16は、下面が透明中間層15または基板11であり、上面が遮光層18であり、側面がセンサ枠17である。すなわち、透明中間層15は、インジケータ空間の下面の一部を構成し、インジケータ空間16の形状は、断面がL字型である。
【0019】
基板11は、透明中間層15で覆われた光電変換素子であるフォトダーオード素子(以下「PD素子」という)12と、インジケータ空間16の下面に形成された膨潤検知センサである複数の電極21、22を有する。なお、以下、複数の電極のそれぞれをいうときは、電極20という。電極20は、インジケータ空間16への体液の進入によるインジケータ19の膨潤を、電気抵抗変化により検知する。
【0020】
PD素子12を覆うように配設されたフィルタ13は、蛍光Fを透過し励起光Eを遮るため、PD素子12は、入射してきた蛍光Fの強度に応じた電気信号を出力する。
【0021】
フィルタ13の上に配設されたLED素子14は、励起光Eを発生する。インジケータ19は、励起光Eと遮光層18を通過して進入したアナライト2とにより蛍光Fを発生する蛍光色素を有するハイドロゲルからなる。センサ30ではグルコースがアナライト2である。
【0022】
センサ30では、LED素子14が発生した励起光Eは効率良くインジケータ19に照射される。更に、センサ30では、インジケータ19が発生した蛍光Fの一部は、PD素子12およびフィルタ13を通過してPD素子12に入射する。このため、センサ30は、既に説明した従来の蛍光センサ130よりも高感度である。
【0023】
そして、発明者は、ハイドロゲルを用いた蛍光センサの特性の使用前経時変化が、ハイドロゲル(インジケータ)が乾燥状態では発生しないことを見出した。すなわち、インジケータを使用前は乾燥状態とし、使用開始時に含水状態とすると、長期保管しても、使用時の蛍光センサの特性は安定している。
【0024】
センサ30では、インジケータ19は使用前には乾燥状態である。すなわち、使用前には、インジケータ空間16は、乾燥状態のインジケータ19と空気等の気体とで占められている。そして、図5に示すように、使用開始時に体内に挿入されると、インジケータ19は、遮光層18を介して、血液等の体液、すなわち水を吸収し膨潤する。
【0025】
なお、体内に挿入前に、センサ30を生理食塩水等に浸積して、予めインジケータ19を膨潤しておいてもよい。しかし、アナライトを含む体液によりインジケータ19を膨潤した方が、より早く安定した測定状態となるために、好ましい。
【0026】
センサ30は体内に挿入後、所定期間、例えば、1週間、継続してアナライト濃度を測定可能である。しかし、センサ30を体内に挿入しないで、採取した体液、または体外の流路を介して体内と循環する体液を、体外においてセンサ30と接触させてもよい。
【0027】
次に、センサ30の構成要素について詳細に説明する。
PD素子12を形成するために、例えば、基板11であるシリコンウエハにほう素(B)を注入する場合の条件は、加速電圧:10〜100keV、注入量:1×1015cm−2程度である。
【0028】
すなわち、基板としては、半導体製造技術により主面にPD素子12を形成する場合にはシリコン等の半導体基板が適しているが、PD素子12の製造方法または配設位置によってはガラス基板等でもよい。また、光電変換素子として、フォトコンダクタまたはフォトトランジスタ等を用いてもよい。
【0029】
インジケータ空間16を構成する基板11の主面に形成された電極20は、金属、導電性樹脂、またはカーボンなどの導電性材料からなるが、金属が好ましく、特に電極の表面は、金または白金等の高耐蝕性材料とすることが好ましい。それぞれの電極20の周囲は、酸化シリコン、窒化シリコンまたは絶縁性樹脂などで他の電極、PD素子12およびLED素子14と絶縁されている。
【0030】
電極20は、CVD、蒸着、またはスパッタ等により基板11の主面に導電膜を成膜後、パターニングすることにより形成される。例えば、電極20の開口面積は、0.1μm角〜1mm角であり、電極間隔は、0.1μm〜1mmである。
【0031】
フィルタ13は、受光部であるPD素子12を覆うように配設されている。フィルタ13は、フィルタ13の上に配設されたLED素子14が発生する例えば波長375nmの励起光Eを遮断するが、インジケータ19が発生する波長460nmの蛍光Fは透過する。
【0032】
フィルタ13は、多重干渉型フィルタでもよいが、好ましくは、光吸収型フィルタであり、例えばシリコン、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、もしくは有機材料等からなる単層層、または、前記単層層を積層してなる多層層である。
【0033】
なお、フィルタ13は、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコン等からなる透明保護層を介してPD素子12上に配設されていてもよい。しかし、保護層の側面からの光の進入を防止するために、フィルタ13はPD素子12にできるだけ近接して配設するのが好ましい。またPD素子12とフィルタ13との間に空間があると光学的なロスが生じ透過率が低下する。このため、フィルタ13はPD素子12に密着した状態で配設されていることが特に好ましい。
【0034】
発光素子としては、LED素子、有機EL素子、無機EL素子、またはレーザーダイオード素子等の所望の励起光Eを発光する発光素子の中から、蛍光Fを透過する素子が選択される。
【0035】
そして、発光素子としては、蛍光透過率、光発生効率、励起光Eの波長選択性の広さ、および励起作用のある波長以外の光を僅かしか発生しないこと等の観点から、LED素子が好ましい。更にLED素子の中でも、蛍光Fの透過率が高いサファイア基板上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体よりなる紫外LED素子が、特に好ましい。
【0036】
透明中間層15には、石英、ガラス、シリコーン樹脂、または透明非晶性フッ素樹脂が好ましく用いられ、中でもシリコーン樹脂または透明非晶性フッ素樹脂が特に好ましい。
【0037】
なお、電極20の上には透明中間層15は配設されていない。このためには、電極20の上部を透明中間層形成時にマスキングしておいてもよいし、透明中間層形成後にエッチングにより除去してもよい。
【0038】
なお、透明中間層15を具備しておらず、LED素子14の上面が、インジケータ空間16の下面を構成していてもよい。すなわち、下面に発光部が形成されているサファイア基板等が透明中間層15としての機能を有していてもよい。
【0039】
インジケータ19は、アナライト2および励起光Eにより、励起光Eよりも長波長の蛍光Fを発生する蛍光色素を有するハイドロゲルからなる。すなわちインジケータ19は、試料中のアナライト濃度に応じた光量の蛍光Fを発生する蛍光色素が含まれる、励起光Eおよび蛍光Fが良好に透過するハイドロゲルから構成されている。なお、インジケータ19が蛍光色素を含まず、蛍光Fを発生する蛍光色素が溶液中に存在するアナライト2そのものでもよい。
【0040】
ハイドロゲルは、メチルセルロースもしくはデキストラン等の多糖類、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート等のモノマーを重合して作製するアクリル系ハイドロゲル、またはポリエチレングリコールとジイソシアネートから作製するウレタン系ハイドロゲル等の水を含みやすい材料に蛍光色素を内包することにより形成されている。
【0041】
ハイドロゲルは、遮光層18を介してセンサ外に離脱することがない大きさであることが好ましい。このため、ハイドロゲルは、構成する分子が分子量100万以上であるか、または遮光層18が有孔構造の場合には、その孔径以上の例えば径50nm以上の粒子状であるか、または架橋され流動しない形態であることが好ましい。
【0042】
一方、蛍光色素としては、グルコース等の糖類を測定する場合には、蛍光残基を有するフェニルボロン酸誘導体等が適している。蛍光色素は、高分子量材料としたり、または、ハイドロゲルに化学的に固定したりすることにより、センサ外に離脱することが防止されている。
【0043】
蛍光色素と、ゲル骨格形成材と、重合開始剤と、を含むリン酸緩衝液を、窒素雰囲気下で1時間放置し、重合することにより、インジケータは作製される。例えば、蛍光色素としては、9、10−ビス[N−[2−(5,5−ジメチルボリナン−2−イル)ベンジル]−N−[6‘−[(アクリロイルポリエチレングリコール−3400)カルボニルアミノ]−n−ヘキシルアミノ]メチル]−2−アセチルアントラセン(F−PEG−AAm)を、ゲル骨格形成材としては、アクリルアミドを、重合開始剤としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムおよびN、N、N’、N‘−テトラメチルエチレンジアミンを用いる。
【0044】
なお、重合が完了したインジケータ19は含水状態であるために、所定の乾燥状態となるまで乾燥された後、センサ30は、完成品となる。
【0045】
乾燥状態のインジケータ19は経時変化が少ないために、センサ30は、長期間、保管しても、使用時の感度等の特性が変化しない。
【0046】
遮光層18は、インジケータ19が収容されるインジケータ空間16の上面を形成し、励起光Eおよび蛍光Fが蛍光センサの外部へ漏光するのを防止すると同時に、外光が蛍光センサの内部に進入することを防止する。また、遮光層18は、生体適合性を有するとともに、アナライト2を含む体液の通過を妨げないように、基本構造部は親水性である。
【0047】
遮光層18には、例えば多孔質の金属もしくはセラミックス、またはインジケータ19に用いるハイドロゲルにカーボンブラックもしくはカーボンナノチューブなど光を通さない微粒子を混合した複合材料を用いる。
【0048】
センサ枠17は、センサ本体を保護する機能と、遮光機能、すなわち、外光の進入を防止し、センサ内からセンサ外への光の漏れを防止する機能と、を有する。センサ枠17はセンサ本体を保護するために、高剛性材料を用いて作製される。
【0049】
センサ枠17には、ヤング率が数十GPaから数百GPaのシリコン、ガラスもしくは金属等、または、ヤング率が1GPa〜5GPaの程度のポリプロピレンもしくはポリスチレン等の樹脂材料を用いる。なお、遮光機能向上のため、ガラスまたは樹脂材料を用いる場合には、黒色とする。なお、後述するように、基板11の加工により基板の一部からセンサ枠17を作製してもよい。
【0050】
以上の説明のように、センサ30では、乾燥状態のインジケータ19は、インジケータ空間16に収容されている。なお、インジケータ空間16の容量は、膨潤したインジケータ19の容量と略同一、例えば、膨潤したインジケータ19の容量の90%〜110%である。つまり、図5に示すように、膨潤したインジケータ19によりインジケータ空間16は、残留気体の領域を除いて、ほぼ満たされる。すなわち、インジケータ19はインジケータ空間16の形状に膨潤する。
【0051】
インジケータ空間16のサイズは、例えば、LED素子14として市販の小型LED(サイズ:0.12×0.06mm)を用いる場合、0.20×1.00mm、深さ0.05mm程度である。このようなインジケータ空間16は、後述するように、半導体製造技術を用いて容易に製作できる。
【0052】
なお、インジケータ19、すなわち、ハイドロゲルが乾燥状態とは含水率0wt%を意味するものではなく、インジケータ19の経時変化が、センサとして実用上、問題とならない程度の量の水を含有していてもよい。ここで、含水量は、水中に1時間浸積し膨潤したインジケータ(含水率100%)の重量と、100℃で12時間、乾燥空気中または窒素中で加熱処理したインジケータ(含水率0%)の重量と、測定するインジケータの重量(含水率X%)と、から算出される。もちろん、水を除くインジケータの重量が異なる場合には同じ重量となるように補正を行う。
【0053】
例えば含水率0%と含水率100%のインジケータの重量差が100mgのときに、測定するインジケータと含水率0%のインジケータとの重量差が30mgの場合、含水率は30wt%となる。
【0054】
使用前のセンサ30のインジケータ19は、含水率1wt%〜25wt%が好ましく、特に好ましくは、5wt%〜10wt%である。前記範囲以上であれば、インジケータ19の吸水速度および発光特性が低下することがなく、前記範囲以下であれば、経時変化が問題とはならない。
【0055】
<蛍光センサシステムの動作>
次に、センサシステム1の動作について説明する。既に説明したように、センサ30では、使用前には、インジケータ19は乾燥状態でインジケータ空間16に収容されている。このため、図7に示すように、インジケータ19は、水を吸収すると膨潤、すなわち体積が増加し、インジケータ空間16の内部に広がっていく。例えば、ポリマー成分が10%程度の含水ハイドロゲルは、乾燥していると体積が含水時の10%〜50%である。
【0056】
すなわち、ハイドロゲルつまりインジケータ19が乾燥状態のセンサ30は、測定のために、検体内に挿入(穿刺)されると、体液等と接触し、インジケータ19は体液を吸水し膨張する。
【0057】
インジケータ19の膨潤が完了するまでは、センサ30は正確なアナライト濃度が測定できる状態ではない。しかし、インジケータ19の膨潤が完了するまでに要する時間は、種々の要因、例えば、遮光層と体液との接触状態またはインジケータ空間16にある気体の排出状態等、により変化する。インジケータ19の膨潤が不十分の場合は、正確な測定ができなくなったり、あるいは感度が低下してしまったりする可能性がある。このため、センサ30は、穿刺後、測定開始前に、膨潤完了まで待機時間を設定する必要がある。
【0058】
待機時間は、例えばインジケータ19の膨潤完了までに要する時間が最も長時間の場合を基準に設定される。しかし待機時間が設定されていると、短時間で膨潤が完了している場合であっても、待機時間が経過するまでは測定データが得られない。
【0059】
これに対して、センサ30は、既に説明したように膨潤検知センサである電極20を有する。そして制御部42は電極21、22の間の電気抵抗を測定し、所定値以下になると、アナライト濃度の測定を開始する。
【0060】
図8(A)に示すように、例えば、電極21、22の間の電気抵抗Rは、インジケータ19が乾燥状態では非常に大きいR0であるが、膨潤を開始すると低下し、やがて所定値R1になると安定する。すなわち、インジケータ19は、乾燥状態から体液を吸水すると体積が膨張しインジケータ空間16に隙間なく充填されていく。また、遮光層18を通過しインジケータ19に吸収されなかった体液がインジケータ空間16に滞留していく。すると、体液は間質液等の電解質を含む溶液のため電気伝導率が高いため、電極21、22との間の電気抵抗Rは徐々に低下する。そして、インジケータ19が完全に膨潤すると、電極21、22の間の電気抵抗Rは、体液で膨潤したインジケータの電気抵抗となり、一定となる。
【0061】
なお、インジケータ19が完全に膨潤した膨潤完了とは、それ以上は膨潤しなくなる状態にまで到達したことを意味するものではなく、センサ30が所定の許容範囲の安定した測定が可能になるまでインジケータ19が膨張したことを意味する。
【0062】
既に説明したように、膨潤完了までの時間は、温度、穿刺状態(穿刺角度、侵入深さ)、および穿刺箇所等の種々の要因により変化する。例えば、図8(A)に示すAの場合には時間TAで出力は所定値R1になるが、Bの場合またはCの場合は、それぞれ時間TBまたは時間TCまで経過しないと出力は所定値R1にならない。
【0063】
センサシステム1では、電極21、22の間の電気抵抗Rが所定値R1以下となった場合に、制御部42が膨潤が完了したと判断して、アナライト濃度の測定を開始する。このため、センサシステム1では、長時間の待機時間が不要であり、かつ、正確な測定が可能である。
【0064】
なお、図8(B)に示すように、制御部42は、電極21、22の間の電気抵抗Rの微分値(変化速度:(dR/dT))が所定値ΔR1以下となった場合に、膨潤が完了したと判断して、アナライト濃度の測定を開始してもよい。また図8(C)に示すように、電気抵抗の2回微分値(d2R/d2T)を用いることで、アナライト濃度の測定開始時間を推算することも可能である。
【0065】
更に、制御部42は、図8のDの場合のように、電極21、22の間の電気抵抗が所定時間を経過しても所定値R1以下とならない場合には、使用者に「警告」を告知してもよい。
【0066】
次に、図9を用いて、蛍光センサシステム1の動作について更に説明する。
<ステップS10>
センサ30は先端部32が被検体に穿刺される。
【0067】
<ステップS11>
センサ30が本体部40と接続されると、電極21と電極22との間に、コネクタ部35および針本体部33を介して抵抗検出信号が印加される。なお抵抗検出信号は定電流または定電圧のいずれでもよい。定電圧の場合には、例えば、1mV〜1Vの抵抗検出信号が使用され、定電流の場合には、例えば、1μA〜1mAの抵抗検出信号が使用される。
【0068】
なお、抵抗検出信号は直流でも交流でも良いが、直流の場合は体液の酸化還元反応により電極表面に絶縁膜が形成するおそれがある。すると経時変化により電気抵抗Rが上昇してしまう。このため、抵抗検出信号は、例えば、1Hz〜100Hzの交流信号であることが好ましい。すなわち、電極間の電気抵抗Rは交流信号によるインピーダンスZであることが好ましい。
【0069】
なお、抵抗検出信号の印加は連続である必要はなく、所定の時間間隔の印加でよい。また、抵抗検出信号として直流を用いる場合には、経時変化を防止するために、印加の度に電流の流れる方向を反転させることが好ましい。
【0070】
<ステップS12>
抵抗検出信号の印加による電極間の電気抵抗Rが、オームの法則により、制御部42により検知される。
【0071】
<ステップS13>
制御部42は、電気抵抗Rが所定値R1以下かどうかを判定する。制御部42は、電気抵抗Rが所定値R1以下の場合(Yes)、インジケータ19の膨潤が完了したと判断して、ステップS16からのアナライトの測定を開始する。
【0072】
制御部42は、電気抵抗Rが所定値R1以下ではない場合(No)、インジケータ19の膨潤が完了していない判断する。
【0073】
<ステップS14>
制御部42は、所定時間を経過するまで(No)、インジケータ19の膨潤検知をS11から繰り返す。
【0074】
一方、制御部42は、所定時間を経過すると(Yes)、ステップS15において「警告」を告知する。
【0075】
<ステップS15>
「警告」は音、光、振動または文字表示等による。「警告」により使用者は正しく測定できない状態であることを知り、穿刺したセンサ30を抜去して再度、穿刺したり、別のセンサ30に取り替えたりすることができる。
【0076】
<ステップS16>
制御部42は、電極間の電気抵抗Rから、アナライトの膨潤完了を検知すると、アナライト濃度の測定を開始する。アナライト濃度の測定では、LED素子14は励起光を発生するように制御される。LED素子14の発光のパルス幅は10ms〜100ms、パルス電流は1mA〜100mA程度、また、励起光の中心波長は375nm前後であり、例えば30秒に一回の間隔で数秒間発光する。
【0077】
<ステップS17>
PD素子12は、励起光とアナライトとの相互作用によりインジケータ19が発生した蛍光を受光し、電気信号に変換し、制御部42に送信する。
【0078】
<ステップS18>
制御部42は、受信した蛍光信号を、レシーバー45に送信する。
【0079】
<ステップS19>
アナライト測定終了指示があるまで、ステップS16からの処理が繰り返し行われる。
【0080】
なお、センサ30では、膨潤検知センサは、一対の電極21、22からなるが、膨潤検知センサは、3個以上の電極を有していてもよい。また、例えば、2組の一対の電極を有する膨潤検知センサでは、2組の電極を並列接続したり、直列接続したりすることで、抵抗検出信号の配線本数を減することもできる。
【0081】
以上の説明のように、蛍光センサシステム1および蛍光センサ30は、正確な測定を短時間で開始することができる。
【0082】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のセンサシステム1Aおよびセンサ30Aについて説明する。本実施形態のセンサシステム1Aおよびセンサ30Aは、第1実施形態のセンサシステム1およびセンサ30と類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0083】
図10に示すように、センサ30Aでは、膨潤検知センサである電極21、22が、センサ枠17の対向する2つの内面に、それぞれ配設されている。
【0084】
センサシステム1Aおよびセンサ30Aは、センサシステム1およびセンサ30が有する効果を有し、より広範囲のインジケータ19の抵抗をもとに検出を行うために、更に、より確実にインジケータ19の膨潤完了を判定できる。また、センサ30Aは透明中間層15の加工が必要ないため、製造が容易である。また、PD素子12の受光面積を広くすることが容易であるため、センサ30Aは感度が高い。
【0085】
なお、図11に示すように、センサ30Aでは、膨潤検知センサである電極21、22が、センサ枠17の1つの内面に、配設されていてもよい。
【0086】
すなわち、膨潤検知センサは、インジケータ空間16を構成する、いずれかの面に配設された複数の電極を有していればよい。
【0087】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態のセンサシステム1Bおよびセンサ30Bについて説明する。本実施形態のセンサシステム1Bおよびセンサ30Bは、第1実施形態のセンサシステム1およびセンサ30と類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0088】
図12および図13に示すように、センサ30Bは、センサ枠17が、シリコン等の半導体からなり、センサ枠17の内壁にPD素子12が形成されており、基板11の表面に電極21、22が形成されている。PD素子12は、インジケータ19(インジケータ空間16)を囲むように設けられ、受光面がインジケータ19に向くように形成されている。
【0089】
PD素子12は、内壁の全体に形成されていてもよいが、蛍光Fのみを効率的に受光するために、インジケータ19との対向領域にのみに形成されていてもよい。またPD素子12は、4面ある内壁の全てに形成されていてもよいし、一部の面のみに形成されていてもよい。
【0090】
すなわち、PD素子12は、センサ枠17の内壁の少なくとも一部に、形成されていればよい。
【0091】
PD素子12上には、フィルタ13が配設されている。フィルタ13はPD素子12の受光面側に、PD素子12を覆うように形成されている。
【0092】
なお、基板11およびセンサ枠17が半導体からなる場合には、インジケータ空間の底面および側面にPD素子が形成可能である。この場合に、インジケータ空間の底面の一部または側面の一部に電極20を形成し、電極20形成部以外の全領域にPD素子12を形成してもよい。
【0093】
すなわち、センサ30Bでは、センサ枠17の内壁にPD素子12が形成されていればよい。
【0094】
センサ30Bは、センサ30等が有する効果を有し、更にインジケータ19を取り囲む側面に形成されたPD素子12により蛍光Fを検出するために、検出感度が高い。
【0095】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態のセンサシステム1Cおよびセンサ30Cについて説明する。本実施形態のセンサシステム1Cおよびセンサ30Cは、第3実施形態のセンサシステム1Bおよびセンサ30Bと類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0096】
図14に示すように、センサ30Cでは、シリコン等の半導体からなる基板11Cに形成された平面視矩形の凹部の3側面にPD素子12が形成され、凹部の1側面に電極20が形成されている。
【0097】
すなわち、センサ30Cでは、センサ枠が、基板11Cに形成された凹部の外周部であると見なすことができる。
【0098】
なお、凹部の開口面は底面よりも広く、側面は、底面に対して垂直ではなく所定の角度θで傾斜している。なお、凹部となる額縁形状のセンサ枠基板と平面基板とを接合することにより、凹部を有する基板11Cが作製されていてもよい。
【0099】
次に、センサ30Cの製造方法について簡単に説明する。なお、1個のセンサ30C毎に製造してもよいが、ウエハプロセスとして一括して多数のセンサを製造することが好ましい。
【0100】
ウエハプロセスによる製造工程では、最初に、複数の素子が作製可能な面積を有するシリコンウエハの第1の主面に複数のマスク部を有するマスク層が作製される。そして、エッチング法により、第1の主面と平行な底面のある複数の凹部が形成される。
【0101】
エッチング法としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液などを用いるウエットエッチング法が望ましいが、反応性イオンエッチング(RIE)、ケミカルドライエッチング(CDE)などのドライエッチング法も用いることができる
【0102】
例えば、シリコンウエハとしてシリコン(100)面を用いた場合には、(111)面のエッチング速度が(100)面に比べて遅い異方性エッチングとなるため、凹部の側面は(111)面となり、(100)面(底面)との角度は、54.7度となる。
【0103】
次に、それぞれの凹部の3側面にPD素子12が、凹部の1側面に電極20が、公知の半導体プロセスにより形成される。側面が傾斜している凹部は、側面が垂直な凹部に比べてPD素子12を形成できる面積が広いだけでなく、側面へのPD素子12の形成が容易であり、更にインジケータ空間16に気体が残留しにくい。なお側面の傾斜角度が30〜70度であれば、上記効果が顕著である。
【0104】
次に、側面のPD素子12上にフィルタ13が配設される。次に、複数の凹部の底面に、それぞれLED素子14が配設される。更に透明中間層15を形成後に、凹部内にインジケータ19となる緩衝溶液が充填される。更に、凹部の開口を塞ぐように遮光層18が接合される。そして複数のセンサが形成されたシリコンウエハが個片化されセンサ30Cが完成する。なお乾燥処理はウエハ状態で行ってもよいし個片化してから行ってもよい。
【0105】
センサ30Cは、センサ30Bが有する効果を有し、更に製造が容易である。
【0106】
なお、以上の説明では、蛍光センサとして、グルコース等の糖類を検出するセンサを例に説明したが、蛍光センサは、蛍光色素の選択によって、酵素センサ、pHセンサ、免疫センサ、または微生物センサ等の多様な用途に対応することができる。
【0107】
また、膨潤検知センサとして光電変換素子を例示したが、複数の電極からなり電気抵抗により膨潤を検知してもよい。
【0108】
すなわち、本発明は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0109】
1、1A〜1C…センサシステム、2…アナライト、10…センサ部、11…基板、12…PD素子、13…フィルタ、14…LED素子、15…透明中間層、16…インジケータ空間、17…センサ枠、18…遮光層、19…インジケータ、20、21、22…電極、30、30A〜30C…蛍光センサ、32…先端部、33…針本体部、35…コネクタ部、40…本体部、41…嵌合部、45…レシーバー、90…被検者
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶液中のアナライトの濃度を測定する蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムに関し、特に、アナライトおよび励起光により蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータを具備する蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体中のアナライトすなわち被測定物質の濃度を測定する蛍光センサが開発されている。蛍光センサは、励起光を受光するとアナライト濃度に応じた光量の蛍光Fを発生するインジケータと、インジケータからの蛍光を検出する光電変換素子を有している。
【0003】
例えば、米国特許第5039490号明細書に開示されている蛍光センサ130は、MEMS技術を利用して作製できるとともに小型化が可能である。図1および図2に示すように、蛍光センサ130は、励起光Eを透過可能な透明基板111と、蛍光Fを電気信号に変換する光電変換素子112と、励起光Eを集光する集光機能部115Aを有する透明中間層115と、アナライト2および励起光Eの作用によりアナライト濃度に応じた光量の蛍光Fを発光するインジケータ119と、遮光層118と、から構成されている。
【0004】
なお、蛍光センサ130では、透明基板111の下面から入射した励起光Eのうち、光電変換素子112と光電変換素子基板112Aとの隙間112Bを通過した励起光E2だけが、インジケータ119に入射する。
【0005】
一方、米国特許第7181096号明細書には、インジケータにハイドロゲルを用いた蛍光センサが開示されている。ハイドロゲルはアナライトが進入しやすいため、インジケータにハイドロゲルを用いた蛍光センサは感度がよい。
【0006】
しかし、インジケータにハイドロゲルを用いた蛍光センサは、製造後、使用までの時間の経過により特性が変化することがあった。このため、インジケータにハイドロゲルを用いた公知の蛍光センサは、正確なアナライト濃度の測定が容易ではないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5039490号明細書
【特許文献2】米国特許第7181096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、正確な測定が可能な蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の蛍光センサは、基板と、蛍光を電気信号に変換する光電変換素子と、アナライトおよび励起光により前記蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータが乾燥状態で収容されたインジケータ空間の側面を構成するセンサ枠と、前記光電変換素子を覆うように配設された、前記蛍光を透過し前記励起光を遮るフィルタと、前記センサ枠内に配設された、前記励起光を発生する発光素子と、前記センサ枠内に配設された、前記インジケータ空間の下面の少なくとも一部を構成する、前記発光素子の上に配設された透明中間層と、前記インジケータ空間の上面を構成するとともに、外光および前記励起光を遮り、かつ、前記アナライトを含む体液が通過可能な遮光層と、前記インジケータ空間への前記体液の進入による、前記インジケータの膨潤を、電気抵抗変化により検知する膨潤検知センサと、を具備する。
【0010】
本発明の別の一態様の蛍光センサシステムは、上記記載の蛍光センサと、上記記載の蛍光センサと接続され、上記記載の蛍光センサの動作を制御する制御部を有する本体部と、を具備し、前記制御部が、前記膨潤検知センサの電気抵抗に基づき、アナライト濃度の測定を開始する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、正確な測定が可能な蛍光センサおよび前記蛍光センサを有する蛍光センサシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図2】従来の蛍光センサの構造を示した分解図である。
【図3】第1実施形態の針型センサシステムの模式図である。
【図4】第1実施形態の針型センサの穿刺を説明するための断面模式図である。
【図5】第1実施形態の蛍光センサの構造を示した分解図である。
【図6】第1実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図7】第1実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図8】第1実施形態の蛍光センサの膨潤検知センサの動作を説明するためのグラフである。
【図9】第1実施形態の蛍光センサシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】第2実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図11】第2実施形態の蛍光センサの上面構造を示した説明図である。
【図12】第3実施形態の蛍光センサの構造を示した分解図である。
【図13】第3実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【図14】第4実施形態の蛍光センサの断面構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
<蛍光センサシステムの構成>
以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態の蛍光センサ(以下「センサ」という)30および蛍光センサシステム(以下「センサシステム」という)1について説明する。図3に示すように、センサ30は本体部40およびレシーバー45と組み合わせてセンサシステム1として使用される。すなわち、センサシステム1はセンサ30と、本体部40と、本体部40からの信号を受信し記憶するレシーバー45とを有する。センサ30のコネクタ部35は本体部40の嵌合部41と着脱自在に嵌合する。センサ30はコネクタ部35が本体部40の嵌合部41と機械的に嵌合することにより、本体部40と電気的に接続される。本体部40とレシーバー45との間の信号の送受信は無線または有線で行われる。なお、本体部40がレシーバーの機能を有している場合には、レシーバー45は不要である。
【0014】
センサ30は、先端部32と、先端部32から延設された針本体部33と、針本体部33から延設されたコネクタ部35と、を具備する。先端部32と針本体部33とコネクタ部35とは、例えばシリコン基板の加工により作製され、特に先端部32と針本体部33との境界等は明確ではない場合もある。
【0015】
本体部40は、センサ30の動作を制御する制御部42と、レシーバー45と無線で信号を送受信するための無線アンテナと、電池などの電源と、各種回路等と、を有する。各種回路としては、信号を増幅する増幅回路、回路用基準クロック発生回路、ロジック回路、データ処理回路、AD変換処理用回路、モード制御回路、メモリ回路、および通信用高周波発生器回路などを例示することができる。なお、レシーバー45と有線で信号の送受信をする場合には、本体部40は、無線アンテナに代えて信号線を有する。センサ部10により測定される体液中のアナライト濃度などの情報は、レシーバー45のメモリに記憶される。
【0016】
センサ30は感染防止などのために使用後は処分される使い捨て(ディスポ)部であるが、本体部40およびレシーバー45は繰り返し再使用されるリユース部である。
【0017】
図4(A)に示すように、センサ30は鞘管50の中空部に収容された状態で、被検者自身が体表面から穿刺して、被検者90の例えば真皮層に挿入される。そして、図4(B)に示すように、アナライト濃度の測定開始前に、先端部32を体内に残して、鞘管50だけが抜去される。すなわち、先端部32が体内に留置される。鞘管50は、先端が尖った中空の、いわゆるアウターニードルであり、センサ30を被検体に穿刺するための補助具である、すなわち、鞘管50は、中空部にセンサ30の少なくとも先端部32を収容した状態で被検体に穿刺される。そして、センサ30を体内に残し鞘管50は抜去され、本体部40がセンサ30と接続される。
【0018】
<蛍光センサの構成>
次に、図5および図6に示すように、センサ30は、基板11と、フィルタ13と、発光素子であるLED素子14と、透明中間層15と、インジケータ19と、遮光層18と、が順に積層された構造である。インジケータ19が内部に収容されているインジケータ空間16は、下面が透明中間層15または基板11であり、上面が遮光層18であり、側面がセンサ枠17である。すなわち、透明中間層15は、インジケータ空間の下面の一部を構成し、インジケータ空間16の形状は、断面がL字型である。
【0019】
基板11は、透明中間層15で覆われた光電変換素子であるフォトダーオード素子(以下「PD素子」という)12と、インジケータ空間16の下面に形成された膨潤検知センサである複数の電極21、22を有する。なお、以下、複数の電極のそれぞれをいうときは、電極20という。電極20は、インジケータ空間16への体液の進入によるインジケータ19の膨潤を、電気抵抗変化により検知する。
【0020】
PD素子12を覆うように配設されたフィルタ13は、蛍光Fを透過し励起光Eを遮るため、PD素子12は、入射してきた蛍光Fの強度に応じた電気信号を出力する。
【0021】
フィルタ13の上に配設されたLED素子14は、励起光Eを発生する。インジケータ19は、励起光Eと遮光層18を通過して進入したアナライト2とにより蛍光Fを発生する蛍光色素を有するハイドロゲルからなる。センサ30ではグルコースがアナライト2である。
【0022】
センサ30では、LED素子14が発生した励起光Eは効率良くインジケータ19に照射される。更に、センサ30では、インジケータ19が発生した蛍光Fの一部は、PD素子12およびフィルタ13を通過してPD素子12に入射する。このため、センサ30は、既に説明した従来の蛍光センサ130よりも高感度である。
【0023】
そして、発明者は、ハイドロゲルを用いた蛍光センサの特性の使用前経時変化が、ハイドロゲル(インジケータ)が乾燥状態では発生しないことを見出した。すなわち、インジケータを使用前は乾燥状態とし、使用開始時に含水状態とすると、長期保管しても、使用時の蛍光センサの特性は安定している。
【0024】
センサ30では、インジケータ19は使用前には乾燥状態である。すなわち、使用前には、インジケータ空間16は、乾燥状態のインジケータ19と空気等の気体とで占められている。そして、図5に示すように、使用開始時に体内に挿入されると、インジケータ19は、遮光層18を介して、血液等の体液、すなわち水を吸収し膨潤する。
【0025】
なお、体内に挿入前に、センサ30を生理食塩水等に浸積して、予めインジケータ19を膨潤しておいてもよい。しかし、アナライトを含む体液によりインジケータ19を膨潤した方が、より早く安定した測定状態となるために、好ましい。
【0026】
センサ30は体内に挿入後、所定期間、例えば、1週間、継続してアナライト濃度を測定可能である。しかし、センサ30を体内に挿入しないで、採取した体液、または体外の流路を介して体内と循環する体液を、体外においてセンサ30と接触させてもよい。
【0027】
次に、センサ30の構成要素について詳細に説明する。
PD素子12を形成するために、例えば、基板11であるシリコンウエハにほう素(B)を注入する場合の条件は、加速電圧:10〜100keV、注入量:1×1015cm−2程度である。
【0028】
すなわち、基板としては、半導体製造技術により主面にPD素子12を形成する場合にはシリコン等の半導体基板が適しているが、PD素子12の製造方法または配設位置によってはガラス基板等でもよい。また、光電変換素子として、フォトコンダクタまたはフォトトランジスタ等を用いてもよい。
【0029】
インジケータ空間16を構成する基板11の主面に形成された電極20は、金属、導電性樹脂、またはカーボンなどの導電性材料からなるが、金属が好ましく、特に電極の表面は、金または白金等の高耐蝕性材料とすることが好ましい。それぞれの電極20の周囲は、酸化シリコン、窒化シリコンまたは絶縁性樹脂などで他の電極、PD素子12およびLED素子14と絶縁されている。
【0030】
電極20は、CVD、蒸着、またはスパッタ等により基板11の主面に導電膜を成膜後、パターニングすることにより形成される。例えば、電極20の開口面積は、0.1μm角〜1mm角であり、電極間隔は、0.1μm〜1mmである。
【0031】
フィルタ13は、受光部であるPD素子12を覆うように配設されている。フィルタ13は、フィルタ13の上に配設されたLED素子14が発生する例えば波長375nmの励起光Eを遮断するが、インジケータ19が発生する波長460nmの蛍光Fは透過する。
【0032】
フィルタ13は、多重干渉型フィルタでもよいが、好ましくは、光吸収型フィルタであり、例えばシリコン、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、もしくは有機材料等からなる単層層、または、前記単層層を積層してなる多層層である。
【0033】
なお、フィルタ13は、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコン等からなる透明保護層を介してPD素子12上に配設されていてもよい。しかし、保護層の側面からの光の進入を防止するために、フィルタ13はPD素子12にできるだけ近接して配設するのが好ましい。またPD素子12とフィルタ13との間に空間があると光学的なロスが生じ透過率が低下する。このため、フィルタ13はPD素子12に密着した状態で配設されていることが特に好ましい。
【0034】
発光素子としては、LED素子、有機EL素子、無機EL素子、またはレーザーダイオード素子等の所望の励起光Eを発光する発光素子の中から、蛍光Fを透過する素子が選択される。
【0035】
そして、発光素子としては、蛍光透過率、光発生効率、励起光Eの波長選択性の広さ、および励起作用のある波長以外の光を僅かしか発生しないこと等の観点から、LED素子が好ましい。更にLED素子の中でも、蛍光Fの透過率が高いサファイア基板上に形成された窒化ガリウム系化合物半導体よりなる紫外LED素子が、特に好ましい。
【0036】
透明中間層15には、石英、ガラス、シリコーン樹脂、または透明非晶性フッ素樹脂が好ましく用いられ、中でもシリコーン樹脂または透明非晶性フッ素樹脂が特に好ましい。
【0037】
なお、電極20の上には透明中間層15は配設されていない。このためには、電極20の上部を透明中間層形成時にマスキングしておいてもよいし、透明中間層形成後にエッチングにより除去してもよい。
【0038】
なお、透明中間層15を具備しておらず、LED素子14の上面が、インジケータ空間16の下面を構成していてもよい。すなわち、下面に発光部が形成されているサファイア基板等が透明中間層15としての機能を有していてもよい。
【0039】
インジケータ19は、アナライト2および励起光Eにより、励起光Eよりも長波長の蛍光Fを発生する蛍光色素を有するハイドロゲルからなる。すなわちインジケータ19は、試料中のアナライト濃度に応じた光量の蛍光Fを発生する蛍光色素が含まれる、励起光Eおよび蛍光Fが良好に透過するハイドロゲルから構成されている。なお、インジケータ19が蛍光色素を含まず、蛍光Fを発生する蛍光色素が溶液中に存在するアナライト2そのものでもよい。
【0040】
ハイドロゲルは、メチルセルロースもしくはデキストラン等の多糖類、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート等のモノマーを重合して作製するアクリル系ハイドロゲル、またはポリエチレングリコールとジイソシアネートから作製するウレタン系ハイドロゲル等の水を含みやすい材料に蛍光色素を内包することにより形成されている。
【0041】
ハイドロゲルは、遮光層18を介してセンサ外に離脱することがない大きさであることが好ましい。このため、ハイドロゲルは、構成する分子が分子量100万以上であるか、または遮光層18が有孔構造の場合には、その孔径以上の例えば径50nm以上の粒子状であるか、または架橋され流動しない形態であることが好ましい。
【0042】
一方、蛍光色素としては、グルコース等の糖類を測定する場合には、蛍光残基を有するフェニルボロン酸誘導体等が適している。蛍光色素は、高分子量材料としたり、または、ハイドロゲルに化学的に固定したりすることにより、センサ外に離脱することが防止されている。
【0043】
蛍光色素と、ゲル骨格形成材と、重合開始剤と、を含むリン酸緩衝液を、窒素雰囲気下で1時間放置し、重合することにより、インジケータは作製される。例えば、蛍光色素としては、9、10−ビス[N−[2−(5,5−ジメチルボリナン−2−イル)ベンジル]−N−[6‘−[(アクリロイルポリエチレングリコール−3400)カルボニルアミノ]−n−ヘキシルアミノ]メチル]−2−アセチルアントラセン(F−PEG−AAm)を、ゲル骨格形成材としては、アクリルアミドを、重合開始剤としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムおよびN、N、N’、N‘−テトラメチルエチレンジアミンを用いる。
【0044】
なお、重合が完了したインジケータ19は含水状態であるために、所定の乾燥状態となるまで乾燥された後、センサ30は、完成品となる。
【0045】
乾燥状態のインジケータ19は経時変化が少ないために、センサ30は、長期間、保管しても、使用時の感度等の特性が変化しない。
【0046】
遮光層18は、インジケータ19が収容されるインジケータ空間16の上面を形成し、励起光Eおよび蛍光Fが蛍光センサの外部へ漏光するのを防止すると同時に、外光が蛍光センサの内部に進入することを防止する。また、遮光層18は、生体適合性を有するとともに、アナライト2を含む体液の通過を妨げないように、基本構造部は親水性である。
【0047】
遮光層18には、例えば多孔質の金属もしくはセラミックス、またはインジケータ19に用いるハイドロゲルにカーボンブラックもしくはカーボンナノチューブなど光を通さない微粒子を混合した複合材料を用いる。
【0048】
センサ枠17は、センサ本体を保護する機能と、遮光機能、すなわち、外光の進入を防止し、センサ内からセンサ外への光の漏れを防止する機能と、を有する。センサ枠17はセンサ本体を保護するために、高剛性材料を用いて作製される。
【0049】
センサ枠17には、ヤング率が数十GPaから数百GPaのシリコン、ガラスもしくは金属等、または、ヤング率が1GPa〜5GPaの程度のポリプロピレンもしくはポリスチレン等の樹脂材料を用いる。なお、遮光機能向上のため、ガラスまたは樹脂材料を用いる場合には、黒色とする。なお、後述するように、基板11の加工により基板の一部からセンサ枠17を作製してもよい。
【0050】
以上の説明のように、センサ30では、乾燥状態のインジケータ19は、インジケータ空間16に収容されている。なお、インジケータ空間16の容量は、膨潤したインジケータ19の容量と略同一、例えば、膨潤したインジケータ19の容量の90%〜110%である。つまり、図5に示すように、膨潤したインジケータ19によりインジケータ空間16は、残留気体の領域を除いて、ほぼ満たされる。すなわち、インジケータ19はインジケータ空間16の形状に膨潤する。
【0051】
インジケータ空間16のサイズは、例えば、LED素子14として市販の小型LED(サイズ:0.12×0.06mm)を用いる場合、0.20×1.00mm、深さ0.05mm程度である。このようなインジケータ空間16は、後述するように、半導体製造技術を用いて容易に製作できる。
【0052】
なお、インジケータ19、すなわち、ハイドロゲルが乾燥状態とは含水率0wt%を意味するものではなく、インジケータ19の経時変化が、センサとして実用上、問題とならない程度の量の水を含有していてもよい。ここで、含水量は、水中に1時間浸積し膨潤したインジケータ(含水率100%)の重量と、100℃で12時間、乾燥空気中または窒素中で加熱処理したインジケータ(含水率0%)の重量と、測定するインジケータの重量(含水率X%)と、から算出される。もちろん、水を除くインジケータの重量が異なる場合には同じ重量となるように補正を行う。
【0053】
例えば含水率0%と含水率100%のインジケータの重量差が100mgのときに、測定するインジケータと含水率0%のインジケータとの重量差が30mgの場合、含水率は30wt%となる。
【0054】
使用前のセンサ30のインジケータ19は、含水率1wt%〜25wt%が好ましく、特に好ましくは、5wt%〜10wt%である。前記範囲以上であれば、インジケータ19の吸水速度および発光特性が低下することがなく、前記範囲以下であれば、経時変化が問題とはならない。
【0055】
<蛍光センサシステムの動作>
次に、センサシステム1の動作について説明する。既に説明したように、センサ30では、使用前には、インジケータ19は乾燥状態でインジケータ空間16に収容されている。このため、図7に示すように、インジケータ19は、水を吸収すると膨潤、すなわち体積が増加し、インジケータ空間16の内部に広がっていく。例えば、ポリマー成分が10%程度の含水ハイドロゲルは、乾燥していると体積が含水時の10%〜50%である。
【0056】
すなわち、ハイドロゲルつまりインジケータ19が乾燥状態のセンサ30は、測定のために、検体内に挿入(穿刺)されると、体液等と接触し、インジケータ19は体液を吸水し膨張する。
【0057】
インジケータ19の膨潤が完了するまでは、センサ30は正確なアナライト濃度が測定できる状態ではない。しかし、インジケータ19の膨潤が完了するまでに要する時間は、種々の要因、例えば、遮光層と体液との接触状態またはインジケータ空間16にある気体の排出状態等、により変化する。インジケータ19の膨潤が不十分の場合は、正確な測定ができなくなったり、あるいは感度が低下してしまったりする可能性がある。このため、センサ30は、穿刺後、測定開始前に、膨潤完了まで待機時間を設定する必要がある。
【0058】
待機時間は、例えばインジケータ19の膨潤完了までに要する時間が最も長時間の場合を基準に設定される。しかし待機時間が設定されていると、短時間で膨潤が完了している場合であっても、待機時間が経過するまでは測定データが得られない。
【0059】
これに対して、センサ30は、既に説明したように膨潤検知センサである電極20を有する。そして制御部42は電極21、22の間の電気抵抗を測定し、所定値以下になると、アナライト濃度の測定を開始する。
【0060】
図8(A)に示すように、例えば、電極21、22の間の電気抵抗Rは、インジケータ19が乾燥状態では非常に大きいR0であるが、膨潤を開始すると低下し、やがて所定値R1になると安定する。すなわち、インジケータ19は、乾燥状態から体液を吸水すると体積が膨張しインジケータ空間16に隙間なく充填されていく。また、遮光層18を通過しインジケータ19に吸収されなかった体液がインジケータ空間16に滞留していく。すると、体液は間質液等の電解質を含む溶液のため電気伝導率が高いため、電極21、22との間の電気抵抗Rは徐々に低下する。そして、インジケータ19が完全に膨潤すると、電極21、22の間の電気抵抗Rは、体液で膨潤したインジケータの電気抵抗となり、一定となる。
【0061】
なお、インジケータ19が完全に膨潤した膨潤完了とは、それ以上は膨潤しなくなる状態にまで到達したことを意味するものではなく、センサ30が所定の許容範囲の安定した測定が可能になるまでインジケータ19が膨張したことを意味する。
【0062】
既に説明したように、膨潤完了までの時間は、温度、穿刺状態(穿刺角度、侵入深さ)、および穿刺箇所等の種々の要因により変化する。例えば、図8(A)に示すAの場合には時間TAで出力は所定値R1になるが、Bの場合またはCの場合は、それぞれ時間TBまたは時間TCまで経過しないと出力は所定値R1にならない。
【0063】
センサシステム1では、電極21、22の間の電気抵抗Rが所定値R1以下となった場合に、制御部42が膨潤が完了したと判断して、アナライト濃度の測定を開始する。このため、センサシステム1では、長時間の待機時間が不要であり、かつ、正確な測定が可能である。
【0064】
なお、図8(B)に示すように、制御部42は、電極21、22の間の電気抵抗Rの微分値(変化速度:(dR/dT))が所定値ΔR1以下となった場合に、膨潤が完了したと判断して、アナライト濃度の測定を開始してもよい。また図8(C)に示すように、電気抵抗の2回微分値(d2R/d2T)を用いることで、アナライト濃度の測定開始時間を推算することも可能である。
【0065】
更に、制御部42は、図8のDの場合のように、電極21、22の間の電気抵抗が所定時間を経過しても所定値R1以下とならない場合には、使用者に「警告」を告知してもよい。
【0066】
次に、図9を用いて、蛍光センサシステム1の動作について更に説明する。
<ステップS10>
センサ30は先端部32が被検体に穿刺される。
【0067】
<ステップS11>
センサ30が本体部40と接続されると、電極21と電極22との間に、コネクタ部35および針本体部33を介して抵抗検出信号が印加される。なお抵抗検出信号は定電流または定電圧のいずれでもよい。定電圧の場合には、例えば、1mV〜1Vの抵抗検出信号が使用され、定電流の場合には、例えば、1μA〜1mAの抵抗検出信号が使用される。
【0068】
なお、抵抗検出信号は直流でも交流でも良いが、直流の場合は体液の酸化還元反応により電極表面に絶縁膜が形成するおそれがある。すると経時変化により電気抵抗Rが上昇してしまう。このため、抵抗検出信号は、例えば、1Hz〜100Hzの交流信号であることが好ましい。すなわち、電極間の電気抵抗Rは交流信号によるインピーダンスZであることが好ましい。
【0069】
なお、抵抗検出信号の印加は連続である必要はなく、所定の時間間隔の印加でよい。また、抵抗検出信号として直流を用いる場合には、経時変化を防止するために、印加の度に電流の流れる方向を反転させることが好ましい。
【0070】
<ステップS12>
抵抗検出信号の印加による電極間の電気抵抗Rが、オームの法則により、制御部42により検知される。
【0071】
<ステップS13>
制御部42は、電気抵抗Rが所定値R1以下かどうかを判定する。制御部42は、電気抵抗Rが所定値R1以下の場合(Yes)、インジケータ19の膨潤が完了したと判断して、ステップS16からのアナライトの測定を開始する。
【0072】
制御部42は、電気抵抗Rが所定値R1以下ではない場合(No)、インジケータ19の膨潤が完了していない判断する。
【0073】
<ステップS14>
制御部42は、所定時間を経過するまで(No)、インジケータ19の膨潤検知をS11から繰り返す。
【0074】
一方、制御部42は、所定時間を経過すると(Yes)、ステップS15において「警告」を告知する。
【0075】
<ステップS15>
「警告」は音、光、振動または文字表示等による。「警告」により使用者は正しく測定できない状態であることを知り、穿刺したセンサ30を抜去して再度、穿刺したり、別のセンサ30に取り替えたりすることができる。
【0076】
<ステップS16>
制御部42は、電極間の電気抵抗Rから、アナライトの膨潤完了を検知すると、アナライト濃度の測定を開始する。アナライト濃度の測定では、LED素子14は励起光を発生するように制御される。LED素子14の発光のパルス幅は10ms〜100ms、パルス電流は1mA〜100mA程度、また、励起光の中心波長は375nm前後であり、例えば30秒に一回の間隔で数秒間発光する。
【0077】
<ステップS17>
PD素子12は、励起光とアナライトとの相互作用によりインジケータ19が発生した蛍光を受光し、電気信号に変換し、制御部42に送信する。
【0078】
<ステップS18>
制御部42は、受信した蛍光信号を、レシーバー45に送信する。
【0079】
<ステップS19>
アナライト測定終了指示があるまで、ステップS16からの処理が繰り返し行われる。
【0080】
なお、センサ30では、膨潤検知センサは、一対の電極21、22からなるが、膨潤検知センサは、3個以上の電極を有していてもよい。また、例えば、2組の一対の電極を有する膨潤検知センサでは、2組の電極を並列接続したり、直列接続したりすることで、抵抗検出信号の配線本数を減することもできる。
【0081】
以上の説明のように、蛍光センサシステム1および蛍光センサ30は、正確な測定を短時間で開始することができる。
【0082】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のセンサシステム1Aおよびセンサ30Aについて説明する。本実施形態のセンサシステム1Aおよびセンサ30Aは、第1実施形態のセンサシステム1およびセンサ30と類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0083】
図10に示すように、センサ30Aでは、膨潤検知センサである電極21、22が、センサ枠17の対向する2つの内面に、それぞれ配設されている。
【0084】
センサシステム1Aおよびセンサ30Aは、センサシステム1およびセンサ30が有する効果を有し、より広範囲のインジケータ19の抵抗をもとに検出を行うために、更に、より確実にインジケータ19の膨潤完了を判定できる。また、センサ30Aは透明中間層15の加工が必要ないため、製造が容易である。また、PD素子12の受光面積を広くすることが容易であるため、センサ30Aは感度が高い。
【0085】
なお、図11に示すように、センサ30Aでは、膨潤検知センサである電極21、22が、センサ枠17の1つの内面に、配設されていてもよい。
【0086】
すなわち、膨潤検知センサは、インジケータ空間16を構成する、いずれかの面に配設された複数の電極を有していればよい。
【0087】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態のセンサシステム1Bおよびセンサ30Bについて説明する。本実施形態のセンサシステム1Bおよびセンサ30Bは、第1実施形態のセンサシステム1およびセンサ30と類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0088】
図12および図13に示すように、センサ30Bは、センサ枠17が、シリコン等の半導体からなり、センサ枠17の内壁にPD素子12が形成されており、基板11の表面に電極21、22が形成されている。PD素子12は、インジケータ19(インジケータ空間16)を囲むように設けられ、受光面がインジケータ19に向くように形成されている。
【0089】
PD素子12は、内壁の全体に形成されていてもよいが、蛍光Fのみを効率的に受光するために、インジケータ19との対向領域にのみに形成されていてもよい。またPD素子12は、4面ある内壁の全てに形成されていてもよいし、一部の面のみに形成されていてもよい。
【0090】
すなわち、PD素子12は、センサ枠17の内壁の少なくとも一部に、形成されていればよい。
【0091】
PD素子12上には、フィルタ13が配設されている。フィルタ13はPD素子12の受光面側に、PD素子12を覆うように形成されている。
【0092】
なお、基板11およびセンサ枠17が半導体からなる場合には、インジケータ空間の底面および側面にPD素子が形成可能である。この場合に、インジケータ空間の底面の一部または側面の一部に電極20を形成し、電極20形成部以外の全領域にPD素子12を形成してもよい。
【0093】
すなわち、センサ30Bでは、センサ枠17の内壁にPD素子12が形成されていればよい。
【0094】
センサ30Bは、センサ30等が有する効果を有し、更にインジケータ19を取り囲む側面に形成されたPD素子12により蛍光Fを検出するために、検出感度が高い。
【0095】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態のセンサシステム1Cおよびセンサ30Cについて説明する。本実施形態のセンサシステム1Cおよびセンサ30Cは、第3実施形態のセンサシステム1Bおよびセンサ30Bと類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0096】
図14に示すように、センサ30Cでは、シリコン等の半導体からなる基板11Cに形成された平面視矩形の凹部の3側面にPD素子12が形成され、凹部の1側面に電極20が形成されている。
【0097】
すなわち、センサ30Cでは、センサ枠が、基板11Cに形成された凹部の外周部であると見なすことができる。
【0098】
なお、凹部の開口面は底面よりも広く、側面は、底面に対して垂直ではなく所定の角度θで傾斜している。なお、凹部となる額縁形状のセンサ枠基板と平面基板とを接合することにより、凹部を有する基板11Cが作製されていてもよい。
【0099】
次に、センサ30Cの製造方法について簡単に説明する。なお、1個のセンサ30C毎に製造してもよいが、ウエハプロセスとして一括して多数のセンサを製造することが好ましい。
【0100】
ウエハプロセスによる製造工程では、最初に、複数の素子が作製可能な面積を有するシリコンウエハの第1の主面に複数のマスク部を有するマスク層が作製される。そして、エッチング法により、第1の主面と平行な底面のある複数の凹部が形成される。
【0101】
エッチング法としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液などを用いるウエットエッチング法が望ましいが、反応性イオンエッチング(RIE)、ケミカルドライエッチング(CDE)などのドライエッチング法も用いることができる
【0102】
例えば、シリコンウエハとしてシリコン(100)面を用いた場合には、(111)面のエッチング速度が(100)面に比べて遅い異方性エッチングとなるため、凹部の側面は(111)面となり、(100)面(底面)との角度は、54.7度となる。
【0103】
次に、それぞれの凹部の3側面にPD素子12が、凹部の1側面に電極20が、公知の半導体プロセスにより形成される。側面が傾斜している凹部は、側面が垂直な凹部に比べてPD素子12を形成できる面積が広いだけでなく、側面へのPD素子12の形成が容易であり、更にインジケータ空間16に気体が残留しにくい。なお側面の傾斜角度が30〜70度であれば、上記効果が顕著である。
【0104】
次に、側面のPD素子12上にフィルタ13が配設される。次に、複数の凹部の底面に、それぞれLED素子14が配設される。更に透明中間層15を形成後に、凹部内にインジケータ19となる緩衝溶液が充填される。更に、凹部の開口を塞ぐように遮光層18が接合される。そして複数のセンサが形成されたシリコンウエハが個片化されセンサ30Cが完成する。なお乾燥処理はウエハ状態で行ってもよいし個片化してから行ってもよい。
【0105】
センサ30Cは、センサ30Bが有する効果を有し、更に製造が容易である。
【0106】
なお、以上の説明では、蛍光センサとして、グルコース等の糖類を検出するセンサを例に説明したが、蛍光センサは、蛍光色素の選択によって、酵素センサ、pHセンサ、免疫センサ、または微生物センサ等の多様な用途に対応することができる。
【0107】
また、膨潤検知センサとして光電変換素子を例示したが、複数の電極からなり電気抵抗により膨潤を検知してもよい。
【0108】
すなわち、本発明は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0109】
1、1A〜1C…センサシステム、2…アナライト、10…センサ部、11…基板、12…PD素子、13…フィルタ、14…LED素子、15…透明中間層、16…インジケータ空間、17…センサ枠、18…遮光層、19…インジケータ、20、21、22…電極、30、30A〜30C…蛍光センサ、32…先端部、33…針本体部、35…コネクタ部、40…本体部、41…嵌合部、45…レシーバー、90…被検者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
蛍光を電気信号に変換する光電変換素子と、
アナライトおよび励起光により前記蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータが乾燥状態で収容されたインジケータ空間の側面を構成するセンサ枠と、
前記光電変換素子を覆うように配設された、前記蛍光を透過し前記励起光を遮るフィルタと、
前記センサ枠内に配設された、前記励起光を発生する発光素子と、
前記センサ枠内に配設された、前記インジケータ空間の下面の少なくとも一部を構成する、前記発光素子の上に配設された透明中間層と、
前記インジケータ空間の上面を構成するとともに、外光および前記励起光を遮り、かつ、前記アナライトを含む体液が通過可能な遮光層と、
前記インジケータ空間への前記体液の進入による、前記インジケータの膨潤を、電気抵抗変化により検知する膨潤検知センサと、を具備することを特徴とする蛍光センサ。
【請求項2】
前記膨潤検知センサが、前記インジケータ空間を構成する、いずれかの面に配設された複数の電極からなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光センサ。
【請求項3】
前記電気抵抗がインピーダンスであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光センサ。
【請求項4】
前記複数の電極が、前記基板の前記透明中間層が配設されていない表面に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の蛍光センサ。
【請求項5】
前記センサ枠の内壁に前記光電変換素子または前記複数の電極の少なくともいずれかが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蛍光センサ。
【請求項6】
前記センサ枠が、前記基板に形成された凹部の外周部であることを特徴とする請求項5に記載の蛍光センサ。
【請求項7】
生体内に留置され、含水した前記インジケータが発生する前記蛍光の強度をもとに、前記体液のアナライト濃度を継続して測定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の蛍光センサ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の前記蛍光センサと、
前記蛍光センサと接続され、前記蛍光センサの動作を制御する制御部を有する本体部と、を具備し、
前記制御部が、前記膨潤検知センサの電気抵抗に基づき、アナライト濃度の測定を開始することを特徴とするセンサシステム。
【請求項9】
前記制御部が、前記膨潤検知センサの前記電気抵抗が所定の抵抗値以下となった場合に、前記アナライト濃度の測定を開始することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記制御部が、前記膨潤検知センサの前記電気抵抗の微分値に基づき、前記アナライト濃度の測定を開始することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記制御部が、前記膨潤検知センサの前記電気抵抗の2回微分値に基づき、前記アナライト濃度の測定開始時間を推算することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【請求項1】
基板と、
蛍光を電気信号に変換する光電変換素子と、
アナライトおよび励起光により前記蛍光を発生するハイドロゲルからなるインジケータが乾燥状態で収容されたインジケータ空間の側面を構成するセンサ枠と、
前記光電変換素子を覆うように配設された、前記蛍光を透過し前記励起光を遮るフィルタと、
前記センサ枠内に配設された、前記励起光を発生する発光素子と、
前記センサ枠内に配設された、前記インジケータ空間の下面の少なくとも一部を構成する、前記発光素子の上に配設された透明中間層と、
前記インジケータ空間の上面を構成するとともに、外光および前記励起光を遮り、かつ、前記アナライトを含む体液が通過可能な遮光層と、
前記インジケータ空間への前記体液の進入による、前記インジケータの膨潤を、電気抵抗変化により検知する膨潤検知センサと、を具備することを特徴とする蛍光センサ。
【請求項2】
前記膨潤検知センサが、前記インジケータ空間を構成する、いずれかの面に配設された複数の電極からなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光センサ。
【請求項3】
前記電気抵抗がインピーダンスであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光センサ。
【請求項4】
前記複数の電極が、前記基板の前記透明中間層が配設されていない表面に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の蛍光センサ。
【請求項5】
前記センサ枠の内壁に前記光電変換素子または前記複数の電極の少なくともいずれかが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蛍光センサ。
【請求項6】
前記センサ枠が、前記基板に形成された凹部の外周部であることを特徴とする請求項5に記載の蛍光センサ。
【請求項7】
生体内に留置され、含水した前記インジケータが発生する前記蛍光の強度をもとに、前記体液のアナライト濃度を継続して測定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の蛍光センサ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の前記蛍光センサと、
前記蛍光センサと接続され、前記蛍光センサの動作を制御する制御部を有する本体部と、を具備し、
前記制御部が、前記膨潤検知センサの電気抵抗に基づき、アナライト濃度の測定を開始することを特徴とするセンサシステム。
【請求項9】
前記制御部が、前記膨潤検知センサの前記電気抵抗が所定の抵抗値以下となった場合に、前記アナライト濃度の測定を開始することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記制御部が、前記膨潤検知センサの前記電気抵抗の微分値に基づき、前記アナライト濃度の測定を開始することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記制御部が、前記膨潤検知センサの前記電気抵抗の2回微分値に基づき、前記アナライト濃度の測定開始時間を推算することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−53851(P2013−53851A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183929(P2011−183929)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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