説明

蛍光プラスチック製品の製造方法

【課題】1nm以下の粒径の金属からなる微粒子を熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチック中に分散させることによって発光効率がよく安定した発光特性を発揮する蛍光プラスチック製品の製造方法を提供すること。
【解決手段】スパッタ法によってAu、Ag、Cu、Pt、Pd及びTiから選ばれる金属、例えば金(Au)を気相化し熱硬化性プラスチックモノマーとしてのポリチオール化合物によってその気相化された金微粒子を受け止め、攪拌してイソシアネート化合物を添加し、所定の成形型枠内で硬化させるようにする。これによって1nm以下のナノ微粒子を分散させたプラスチックを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1nm以下の粒径の金属からなる微粒子を熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチック中に分散させた蛍光プラスチック製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物質は粒子径がマイクロオーダーからナノオーダーになることで、バルク状態の物質とは異なる特異的な光学的、機械的、電磁気的な特性が発現することが知られている。光学的特性として蛍光を発するナノオーダーの蛍光物質(ナノ微粒子)を分散媒体に分散させた蛍光体をナノ蛍光体といい、例えばブラウン管や蛍光ランプやFED(フィールド・エミッション・パネル)等に応用するため数nm〜数十nm程度の大きさの主として金属化合物からなる蛍光物質を有するナノ蛍光体の製造方法が開発されている。そのような技術の一例として特許文献1や特許文献2を挙げる。
しかし、特許文献1では作製されるナノ蛍光体において蛍光物質の粒径は0.5〜50nmであり、特許文献2でもやはり100nm以下というように従来では得られる蛍光物質の大きさは非常に幅があった。ナノ蛍光体ではこのように蛍光物質のサイズ分布が大きいと発光効率が低下し、作製される発光素子毎の発光特性のばらつきが大きくなってしまうこととなる。
【特許文献1】特開2006−28354号公報
【特許文献2】特開2004−277543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを解決するためにはごく狭い粒径範囲での蛍光物質を分散媒体中に分散させたナノ蛍光体を製造できればよい。例えば金属では1nm以下の原子レベルの大きさになると蛍光を発することが知られており、更に単体金属で1nm以下のナノ微粒子であれば非常に粒径の揃った蛍光物質を得ることとなる。そのため、1nm以下の原子レベルの大きさの金属微粒子を蛍光物質とすれば発光効率がよく発光特性の安定したナノ蛍光体を得ることが可能となる。
ところが、このような非常に小さなナノ微粒子のみを分画することは非常に困難である。また、金属微粒子は非常に凝集しやすいため、分散媒体に1nm以下の大きさを保って分散させることも困難である。
そのため単体金属で1nm以下のナノ微粒子を取り出し、これを分散させた蛍光体を得る技術が求められていた。
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであり、その目的は1nm以下の粒径の金属からなる微粒子を熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチック中に分散させることによって発光効率がよく安定した発光特性を発揮する蛍光プラスチック製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明では、スパッタ法又は真空蒸着法のいずれかの方法によってAu、Ag、Cu、Pt、Pd及びTiから選ばれる単体又はこれらの複合金属の固体状態にある原料を1nm以下の大きさで気相化し、前記金属に対して配位可能な孤立電子対を持つ官能基を末端に有する熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックによって気相化された前記金属微粒子を受け止める第1の工程と、前記第1の工程で前記金属微粒子を取り込んだ前記熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを攪拌する第2の工程と、前記第2の工程で攪拌した熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを所定の成形型枠内で硬化させる第3の工程とを有することをその要旨とする。
請求項2に記載の発明では、スパッタ法又は真空蒸着法のいずれかの方法によってAu、Ag、Cu、Pt、Pd及びTiから選ばれる単体又はこれらの複合金属の固体状態にある原料を1nm以下の大きさで気相化し、前記金属に対して配位可能な孤立電子対を持つ官能基を末端に有する熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを攪拌しながら気相化された微粒子状態の前記原料物質を受け止める第1の工程と、前記第1の工程で攪拌した熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを所定の成形型枠内で硬化させる第2の工程とを有することをその要旨とする。
請求項3に記載の発明では請求項1又は2に記載の発明において、前記熱硬化性プラスチックモノマー又は熱可塑性プラスチックの前記官能基はOH基、SH基、COOH基若しくはNH2基のいずれかであることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明では請求項1又は2に記載の発明において、前記熱硬化性プラスチックモノマーはポリチオール化合物であることをその要旨とする。
請求項5に記載の発明では請求項4に記載の発明において、前記ポリチオール化合物からなる前記熱硬化性プラスチックモノマーはイソシアネート化合物を添加した後に熱硬化あるいは光硬化させるようにしたことをその要旨とする。
【0005】
この発明の製造方法ではまず第1の工程でスパッタ法又は真空蒸着法によってAu、Ag、Cu、Pt、Pd及びTiから選ばれる単体又はこれらの複合金属の固体状態にある原料を1nm以下の大きさで気相化することが必要である。複合金属とは(合金のような2種以上の金属)を意味する。気相化された微粒子状態の前記金属を受け止めるには熱硬化性プラスチック用のモノマーであって、これらの金属に対して配位可能な孤立電子対を持つ官能基を末端に有する必要がある。金属微粒子は凝集しやすいためこれらのモノマーのように金属原子に対して配位することで凝集が防止されると考えられる。
金属微粒子を受け止めてから攪拌しても、受け止めながら同時に攪拌してもいずれでもよいが、より均一でサイズの小さな微粒子を分散させ得るためには受け止めながら同時に攪拌することが好ましい。
上記方法で得られる金属微粒子は1nm以下の粒径である。つまり、原子そのもの、あるいは小数の原子の集合体である。自由電子のない孤立した金属原子では多くのエネルギー準位をもっているため、エネルギー準位間の電子の遷移によって固有の発光(蛍光)を示す。金属原子は励起光によってエネルギー準位が遷移し、それが基底状態に戻る際に励起エネルギーを蛍光として放出する。一方、固体金属では自由電子があるためエネルギーは準連続的となって発光を生じるような電子準位が形成されることはない。
第1又は第2の工程で攪拌した熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを所定の成形型枠内で硬化させる場合には熱又は光エネルギーを与えて公知の手段で重縮合をさせて硬化させる。また、液相状態の熱可塑性プラスチックは基本的に加熱によって液相化させているため常温に戻すことによって硬化する。硬化過程において上記モノマーの配位状態は維持されるため、1nm以下の金属微粒子が分散した熱硬化性プラスチックが得られる。
【0006】
ここに、スパッタ法とは、真空雰囲気中で、アルゴンガス粒子を微粒子化したい原料物質である固体状態のターゲットに衝突させ、その衝撃ではじき飛ばされたターゲット成分(微粒子)を取り出す方法であって、従来では基板上に基板上にナノレベルの微粒子を付着させて薄膜を形成させる方法であるが、本発明では基板上での成膜を図るのではなく、熱硬化性プラスチック用のモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを基板の代わりとしてターゲット成分(微粒子)を樹脂内に取り込むこととなる。物理蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)の一種である。
また真空蒸着法とは、真空雰囲気中で、蒸着材料を加熱し気相化させて、離れた位置に置かれた基板の表面に付着させ、薄膜を形成させる方法である。やはり物理蒸着の一種である。加熱手段としては、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法がある。本発明では基板上での成膜を図るのではなく、熱硬化性プラスチック用のモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを基板の代わりとして気相化した物質(微粒子)を樹脂内に取り込むこととなる。その他、真空ではなく所定のガス雰囲気中で蒸着を行うガス中蒸着法等がある。
【0007】
本発明に使用可能な熱硬化性プラスチック用のモノマー又は熱可塑性プラスチックとしては、前記金属に対して配位可能な孤立電子対を持つ官能基を末端に有する必要がある。より具体的にはOH基、SH基、COOH基若しくはNH2基が好ましい。このうち、Au、Ag、Cu、Pt及びPdにはSH基、COOH基、NH2基が配位しやすく、Tiはいずれの官能基とも配位しやすい。分散媒体として熱硬化性プラスチックにおいてはCOOH基、NH2基の存在は重合反応時に一種の触媒として作用するため、SH基を有するものが好ましい。
例えば熱硬化性プラスチック用のモノマーとしてはチオウレタン系共重合体を得るためのポリイソシアネート化合物及びポリチオール化合物、ウレタン系共重合体を得るためのポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物、エピスルフィド系重合体を得るためのエピスルフィド系モノマー、エポキシ系重合体を得るためのエポキシ系モノマーが挙げられる。熱硬化性プラスチック用のモノマーは熱又は光エネルギーを得て重縮合して熱硬化性プラスチックに成形される。
例えば、熱可塑性プラスチック用モノマーとして(メタ)アクリル系重合体を得るための(メタ)アクリル系モノマー、ポリカーボネート重合体を得るためのビスフェノールA及び二塩化カルボニル又はジフェニルカーボネート、環状オレフィン重合体を得るための環状オレフィンモノマー、ポリエステル重合体を得るためのエステル多価カルボン酸及びポリアルコール等、ビニル共重合体を得るためのビニルモノマー及びビニルモノマーと共重合可能なモノマーが挙げられる。
熱可塑性プラスチックとしては例えばアクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0008】
ここで、熱硬化性プラスチックモノマーとしてより具体的には、ポリイソシアネート化合物として、例えばチオジエチルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオジプロピルジイソシアネート等の非環式含硫脂肪族イソシアネートが挙げられる。また、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、1−エチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、シクロプロパン−1,2−ジイソシアネート、ジシクロヘキシル−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′,5,5′−テトラメチルジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンイソシアネート、2,2,4,4−テトラエチル−1,3−シクロブタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0009】
ポリオール化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエトキシレート、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、有機多塩基酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、ハロゲン置換体も含まれる。
また、カルボン酸と2以上のOH基を有するポリオール化合物としとして、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸一水和物、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ-4-メチル安息香酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)サリチル酸メチル、ピロガロール-4-カルボン酸が挙げられる。
また、アミノ基と2以上のOH基を有するポリオール化合物としとして、4,6−ジアミノレソルシノール二塩酸塩、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、2−アミノ−1,3−プロパンジオールが挙げられる。
また、チオール基と2以上のOH基を有するポリオール化合物としとして、DL−ジチオトレイトール、α−チオグリセロールが挙げられる。
【0010】
ポリチオール化合物としては、例えばジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等の脂肪族ポリチオール及びそれらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換化合物が挙げられる。また、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2′−ジメルカプトビフェニル、4,4′−ジメルカプトビフェニル、4,4′−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール及びそれらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換化合物が挙げられる。
【0011】
エピスルフィド系モノマーとしては、例えばビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン等の鎖状有機化合物、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン等の分岐状有機化合物及びこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物、1,3及び1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3及び1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン等の環状脂肪族有機化合物及びこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕メタン等の芳香族有機化合物及びこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物等が挙げられる。
エポキシ系モノマーとしては、例えば多価フェノール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるフェノール系エポキシ化合物、多価アルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物、多価カルボン酸化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるグリシジルエステル系エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、ウレタン系エポキシ化合物等が広く含まれる。
【0012】
熱可塑性プラスチックモノマーとしてより具体的には、側鎖にカルボン酸を有するポリマーとして例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているようなアクリル系共重合体のものが挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2ヒドロキシプロピル(2-ヒドロキシプロピルアクリレート)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)、(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ)アクリル酸ペンチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ノニル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸フェニル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシエチル,(メタ)アクリル酸プロポキシエチル,(メタ)アクリル酸ブトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等のアクリル酸アルキルエステル;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
環状オレフィンモノマーとしては、例えば、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシル基含有環状オレフィンが挙げられる。また、5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のヒドロキシ基含有環状オレフィンなどが挙げられる。また、5−アセトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のエステル基含有環状オレフィンが挙げられる。また、N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)などのN−置換イミド基含有環状オレフィン、8−メチル−8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどのシアノ基含有環状オレフィンなどが挙げられる。また、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのノルボルネンおよびその置換体等の多環の環状オレフィンが挙げられる。
【0013】
ビニル共重合体を得るためのビニルモノマーとしては(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらビニルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類(例えば、スチレン、スチレン誘導体等)、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられ、これらの中でもスチレン類が好ましい。
【0014】
ポリカーボネート用のモノマーとしてはジフェノール酸とホスゲンが挙げられる。ポリエステル用のモノマーとしては、ジカルボン酸…芳香族カルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのアルキル置換フタル酸;ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸など)、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸などのジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などのジフェニルアルカンジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度の脂環族ジカルボン酸など)と熱硬化性樹脂用ポリオールのカルボン酸以外とを反応させたもの等が挙げられる。
【0015】
金属のナノレベルの微粒子は電子のプラズマ振動に起因したプラズモン吸収により、特定の光を吸収するため、金属の種類や粒子の大きさによって色が異なって見える。例えば、金微粒子の色とそのサイズの関係は、
100nm以上:金色、75nm以上:黒色、10nm〜75nm:青色、1nm〜10nm程度:赤色、1nm以下:黄色
となっている。
従って、金属微粒子を含有するプラスチックについてその発色状態を視認することで、そのプラスチック内の金属微粒子のサイズの分布とそのばらつき状態がわかることとなる。
【発明の効果】
【0016】
上記各請求項に記載の発明によれば、Au、Ag、Cu、Pt、Pd及びTiから選ばれた金属の1nm以下の微粒子を分散媒体であるプラスチック中に分散させることができるため、粒子径の均一性の高い蛍光物質による発光効率がよく安定した発光特性を発揮する蛍光プラスチック製品を提供できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、一例としてスパッタ法により気相化された微粒子を受け止める実施の形態について説明する。
下記の実施例は図1のような模式図で示すスパッタ装置1によってモノマーにターゲット成分(微粒子)を取り込むようにしている。筐体2内下方位置にはアノードとなる電極3が配置されており、所定の間隔を空けて筐体2内上方位置にカソードとなるターゲット4が配置されている。電極3及びターゲット4は筐体2外部に設置された放電装置(本実施例ではマグネトロン)5に接続されている。ターゲット4に対向する位置には容器6が配置され内部に所定のモノマー(あるいは溶融プラスチック)7が収容されている。容器6の上方は大きく開口されている。容器6の底面外側位置にはモータ装置8が併設され、同モータ装置8によって回転させられるシャフト9が容器6内に導入されている。シャフト9先端には攪拌用のプロペラ10が装着されている。筐体2にはアルゴンガスが導入されるホース11が接続されている。また、外部の真空ポンプ12に接続された空気抜き用のホース13が接続されている。容器6の外周には容器6内のモノマー7を加温するためのヒータ装置14が配設されている。
このような構成においてはスパッタ装置1の駆動時において真空ポンプ12が駆動され筐体2は所定の真空度となるように設定される。一方、真空状態において化放電装置5によって放電動作が筐体2内で行われホース11からのアルゴンガスの導入に伴ってターゲット4から電極3側に高速でターゲット成分が高速で放出(スパッタ)される。ターゲット成分は容器6のモノマー7に取り込まれる。
このように所定のターゲット成分を取り込んだモノマー7をスパッタ装置1から取り出し、更に調製して成形用型枠に注入して公知の加熱炉中で加熱硬化させる。
尚、上記ではスパッタリングしながらモノマー7の攪拌処理を行ったが、スパッタリングしながら攪拌することの有無が求める粒子サイズに大きな影響がない場合であれば、スパッタリング処理の完了後に攪拌を行ってもよい。下記実施例ではスパッタリング処理の完了後に攪拌を行っている。
【0018】
上記においてプラスチック製品をスパッタ法によって得た実施例について説明する。
(実施例1)
1.スパッタリング
あらかじめ加熱真空により脱泡した第1のモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(以下、PEMPと略す)をスパッタ装置内にセットし、装置内を真空度10Paとし、ターゲットに金を用いてスパッタ装置のマグネトロン電極への放電電流は40mAとし15分間スパッタを行った。スパッタガスとしてアルゴンを使用しその導入量は10SCCMとした。
スパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、黄色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、400〜450nm付近に吸収が見られた。これは金微粒子のプラズモン吸収であって、1nm以下の金微粒子がほとんど凝集せずに存在しているといえる。
2.第2のモノマーとの混合
1.で調製した溶液13.00gを秤量し、第2のモノマーとしてのm−キシリレンジイソシアナート(m−XDI)10.00gを添加し室温25℃の真空中でスターラー撹拌した。
3.加熱硬化
2.で調製した溶液を、撥水剤を塗布したガラスとテープで作成した型に入れ、18時間かけて25℃から130℃まで加熱して硬化を促し、その後徐冷して黄色の透明チオウレタン樹脂を得た。この樹脂のUVスペクトルも400〜450nm付近に吸収が見られたので金微粒子は樹脂化しても凝集することなく1nm以下のナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に波長437nmの励起光を照射したところ、金微粒子由来の647nmの蛍光が確認された。
【0019】
(実施例2)
実施例2では上記実施例1と同じ条件でターゲットに銀を用いた。実施例1と同様にスパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、黄色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、400〜450nm付近に吸収が見られた。これは銀微粒子のプラズモン吸収が生じていると考えることができる。また、上記実施例1と同じ条件で硬化させたところ実施例1と同様に黄色の透明チオウレタン樹脂を得た。これから銀微粒子も金微粒子と同様に樹脂化しても凝集することなく1nm以下のナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に波長480nmの励起光を照射したところ、銀微粒子由来の548nmの蛍光が確認された。
【0020】
(実施例3)
実施例3では上記実施例1と同じ条件でターゲットに白金を用いた。実施例1と同様にスパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、黄色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、400〜450nm付近に吸収が見られた。これは白金微粒子のプラズモン吸収が生じていると考えることができる。また、上記実施例1と同じ条件で硬化させたところ実施例1と同様に黄色の透明チオウレタン樹脂を得た。これから白金微粒子も金微粒子と同様に樹脂化しても凝集することなく1nm以下のナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に波長401nmの励起光を照射したところ、白金微粒子由来の459nmの蛍光が確認された。
【0021】
(実施例4)
実施例4では上記実施例1と同じ条件でターゲットにチタンを用いた。実施例1と同様にスパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、黄色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、400〜450nm付近に吸収が見られた。これはチタン微粒子のプラズモン吸収が生じていると考えることができる。また、上記実施例1と同じ条件で硬化させたところ実施例1と同様に黄色の透明チオウレタン樹脂を得た。これからチタン微粒子も金微粒子と同様に樹脂化しても凝集することなく1nm以下のナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に波長400nmの励起光を照射したところ、チタン微粒子由来の473nmの蛍光が確認された。
【0022】
(実施例5)
実施例5では上記実施例1と同じ条件でターゲットに銅を用いた。実施例1と同様にスパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、黄色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、400〜450nm付近に吸収が見られた。これは銅微粒子のプラズモン吸収が生じていると考えることができる。また、上記実施例1と同じ条件で硬化させたところ実施例1と同様に黄色の透明チオウレタン樹脂を得た。これから銅微粒子も金微粒子と同様に樹脂化しても凝集することなく1nm以下のナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に波長421nmの励起光を照射したところ、銅微粒子由来の495nmの蛍光が確認された。
【0023】
(実施例6)
実施例6では上記実施例1と同じ条件でターゲットにパラジウムを用いた。実施例1と同様にスパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、黄色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、400〜450nm付近に吸収が見られた。これはパラジウム微粒子のプラズモン吸収が生じていると考えることができる。また、上記実施例1と同じ条件で硬化させたところ実施例1と同様に黄色の透明チオウレタン樹脂を得た。これからパラジウム微粒子も金微粒子と同様に樹脂化しても凝集することなく1nm以下のナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に波長408nmの励起光を照射したところ、パラジウム微粒子由来の460nmの蛍光が確認された。
【0024】
(実施例7)
1.スパッタリング
あらかじめ加熱真空により脱泡した第1のモノマーとしてのペンタエリスリトールエトキシレート(数平均分子量270)(以下、PEELと略す)をスパッタ装置内にセットし、装置内を真空度10Paとし、ターゲットにチタンを用いてスパッタ装置のマグネトロン電極への放電電流は40mAとし3分間スパッタを行った。スパッタガスとしてアルゴンを使用しその導入量は10SCCMとした。
スパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、黄色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、400〜450nm付近に吸収が見られた。これはチタン微粒子のプラズモン吸収であって、1nm以下のチタン微粒子がほとんど凝集せずに存在しているといえる。
2.第2のモノマーとの混合
1.で調製した溶液10.76gを秤量し、第2のモノマーとしてのm−キシリレンジイソシアナート(m−XDI)15.00gを添加し室温25℃の真空中でスターラー撹拌した。
3.加熱硬化
2.で調製した溶液を、撥水剤を塗布したガラスとテープで作成した型に入れ、18時間かけて25℃から130℃まで加熱して硬化を促し、その後徐冷して黄色の透明ウレタン樹脂を得た。このこの樹脂のUVスペクトルも400〜450nm付近にピークが見られたので、樹脂化しても1nm以下のナノ微粒子が存在していることが分かる。
この樹脂に波長350nmの励起光を照射したところ、チタン微粒子由来の410nmの蛍光が確認された。
【0025】
(比較例1)
比較例1では実施例7と同じ条件でターゲットに金を用いた。実施例7と同様にスパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、赤色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、520nm付近に吸収が見られた。これは金微粒子のプラズモン吸収であると考えられることから、数nmの金微粒子がほとんど凝集せずに存在しているといえる。また、実施例7と同じ条件で硬化させたところ赤色の透明ウレタン樹脂を得た。これから金微粒子が樹脂化しても凝集することなく数nmのナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に300〜800nmの光を照射したが、どの波長でも蛍光は確認できなかった。
(比較例2)
比較例2では比較例1と同じ条件でターゲットに銀を用いた。比較例1と同様にスパッタリング終了後、この溶液をスパッタ装置から取り出し、スターラーで撹拌することで、オレンジ色透明溶液を得た。この溶液のUVスペクトルを取ると、410nm付近に吸収が見られた。これは銀微粒子のプラズモン吸収が生じていると考えることができる。また、比較例1と同じ条件で硬化させたところ比較例1と同様にオレンジ色の透明ウレタン樹脂を得た。これから銀微粒子も金微粒子と同様に樹脂化しても凝集することなくナノ微粒子として存在していることが分かる。
この樹脂に300〜800nmの光を照射したが、どの波長でも蛍光は確認できなかった。
【0026】
結果.
上記のように各実施例はその溶液と硬化後の樹脂の発色と所定の励起光で蛍光が確認できたため、1nm以下の金属微粒子が分散されていることが確認できた。一方、比較例では金原子レベルよりも大きな微粒子が生成されているため蛍光は確認できなかった。これは比較例ではモノマーとして金に配位しないPEELを使用したため、スパッタリングで取り込んだ1nm以下の金微粒子がモノマー中で凝集してしまっているものと考えられる。そのため比較例における金微粒子では蛍光を発することはなく、蛍光が確認できなかったと考えられる。
また、金属としてはチタンのみはPEELにスパッタリングしても1nm以下の微粒子として分散させることができた。チタン以外の実施例の金属ではPEELにスパッタリングした場合には凝集が生じて例えば比較例1及び2のように1nm以下の微粒子を分散させることができず、本発明にかかる金属の微粒子由来の蛍光は確認できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態において使用するスパッタ装置の模式図。
【符号の説明】
【0028】
1…スパッタ法を実現するスパッタ装置、7…モノマー(あるいは溶融プラスチック)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタ法又は真空蒸着法によってAu、Ag、Cu、Pt、Pd及びTiから選ばれる単体又はこれらの複合金属の固体状態にある原料を1nm以下の大きさで気相化し、前記金属に対して配位可能な孤立電子対を持つ官能基を末端に有する熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックによって気相化された前記金属微粒子を受け止める第1の工程と、
前記第1の工程で前記金属微粒子を取り込んだ前記熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを攪拌する第2の工程と、
前記第2の工程で攪拌した熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを所定の成形型枠内で硬化させる第3の工程とを有することを特徴とする蛍光プラスチック製品の製造方法。
【請求項2】
スパッタ法又は真空蒸着法によってAu、Ag、Cu、Pt、Pd及びTiから選ばれる単体又はこれらの複合金属の固体状態にある原料を1nm以下の大きさで気相化し、前記金属に対して配位可能な孤立電子対を持つ官能基を末端に有する熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを攪拌しながら気相化された微粒子状態の前記原料物質を受け止める第1の工程と、
前記第1の工程で攪拌した熱硬化性プラスチックモノマー又は液相状態の熱可塑性プラスチックを所定の成形型枠内で硬化させる第2の工程とを有することを特徴とする蛍光プラスチック製品の製造方法。
【請求項3】
前記熱硬化性プラスチックモノマー又は熱可塑性プラスチックの前記官能基はOH基、SH基、COOH基若しくはNH2基のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光プラスチック製品の製造方法。
【請求項4】
前記熱硬化性プラスチックモノマーはポリチオール化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光プラスチック製品の製造方法。
【請求項5】
前記ポリチオール化合物からなる前記熱硬化性プラスチックモノマーはイソシアネート化合物を添加した後に熱硬化あるいは光硬化させることを特徴とする請求項4に記載の蛍光プラスチック製品の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−116448(P2010−116448A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289270(P2008−289270)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000219738)東海光学株式会社 (112)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】