説明

蛍光ランプおよび照明器具

【課題】容易に製造できて、早期の段階で寿命末期の異常放電による不具合を防止できる電極を圧潰封止している蛍光ランプおよびこの蛍光ランプを配設する照明器具を提供する。
【解決手段】蛍光ランプ1は、フィラメント8の両端側を支持している一対の導入線2,2と、各端部10a,10bが平行となるように屈曲形成されたガラスからなるバルブ10と、一対の導入線2,2が圧潰封止されたバルブ10の端部10aに、隣接するバルブ10の端部10a,10bの外周面にそれぞれ接する仮想接線Aよりも先端が内側に位置するようにバルブ外周面から膨出するように形成され、少なくとも一部の肉厚D1がバルブ10の肉厚よりも薄くなっている膨出部13とを有する発光管3とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿命末期に発生する異常放電による不具合を防止可能な蛍光ランプおよびこの蛍光ランプを具備する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波で点灯される蛍光ランプは、発光効率が向上し、明るさのちらつきがなくなるなどの利点を有している。しかしながら、長時間の点灯によって一方の電極の電子放射物質が消耗すると、直流点灯(半波放電)状態になりやすい。この直流点灯状態になると、電子放射物質の消耗側の電極は、例えばフィラメントの一部に集中的に電子が出入りして当該部分の温度が異常に上昇する。このため、電極の近傍に位置している口金やソケット等の樹脂部材が熱で溶融するなどの不具合が発生することがある。
【0003】
従来、上記不具合を防止するために、点灯装置において、蛍光ランプの異常点灯を検出して蛍光ランプを強制的に消灯させることが行われている。しかし、このような機能を有していない点灯装置においては、上記不具合を防止することができない。
【0004】
そこで、蛍光ランプ自体で、寿命末期の電極の異常温度上昇に伴って発生する不具合を防止することが行われている。例えば、フレアステムを形成するガラスの一部分の肉厚を薄くしたガラス薄肉部が形成された蛍光ランプが提案されている(特許文献1参照。)。この従来技術の蛍光ランプは、寿命末期の異常放電によりフレアステムの頭部近傍が異常過熱し、この異常過熱によりフレアステムのガラス薄肉部のガラスが破け、ここから発光管内に大気が流入し、フィラメントが断線し、蛍光ランプの通電が停止するものである。
【0005】
ところで、ガラスバルブの端部が圧潰封止された蛍光ランプは、当該端部にガラス薄肉部を精度よく形成することは、高度な製造工程を必要とし、製造が煩雑になるものである。この問題点が解消されるものとして、例えば、ガラスバルブのピンチ封止領域の大部分に亘ってガラスバルブの残りの部分よりも構造的に弱い荒いテクスチャーを形成し、所定のレベルより高い温度状態が発生したときに、当該荒いテクスチャーから破損されて消灯する蛍光ランプが提案されている(特許文献2参照。)。この従来技術の蛍光ランプは、荒いテクスチャーが非シリカのグリットを使用してグリットブラスティングを施して形成され、破損がピンチ封止領域の外側から開始して内側に進み、ガラスバルブ内が外気にリークすることによって、放電状態を維持できなくなって消灯するものである。
【特許文献1】特開2003−331787号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開平7−153425号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の蛍光ランプは、荒いテクスチャーがピンチ封止領域に形成されるので、異常放電が発生してからの破損の進行が遅く、ガラスバルブ内が外気にリークするまでに時間を要し、それまでに口金やソケットなどの樹脂部材が熱損傷することがあるという欠点を有する。
【0007】
本発明は、容易に製造できて、早期の段階で寿命末期の異常放電による不具合を防止できる電極を圧潰封止している蛍光ランプおよびこの蛍光ランプを配設する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の蛍光ランプの発明は、フィラメントの両端側を支持している一対の導入線と;各端部が平行となるように屈曲形成されたガラスからなるバルブと、このバルブの少なくとも一対の端部に前記一対の導入線をそれぞれ圧潰封止して形成された圧潰封止部と、この圧潰封止部が形成されたバルブ端部を除く他のバルブ端部同士が封止され当該端部同士が連通しかつバルブ同士が連結するように形成された継ぎ部と、前記一対の導入線が圧潰封止されたバルブの端部に、隣接するバルブの端部の外周面にそれぞれ接する仮想接線よりも先端が内側に位置するようにバルブ外周面から膨出するように形成され、少なくとも一部の肉厚がバルブの肉厚よりも薄くなっている膨出部とを有する発光管と;発光管の前記バルブの内面側に形成された蛍光体膜と;発光管の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴とする。
【0009】
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0010】
各バルブは、1本の直管形バルブを例えばU字状に屈曲形成したものの他、複数本のバルブを連結したバルブも包含される。例えば、2本の直管形バルブの各一端部が平行となるようにして各他端部側が封止されかつ連通されたH形のバルブも包含される。各バルブを連結して発光管が形成される。
【0011】
「平行」とは、数学的な平行ではなく、バルブの各端部が並んでいる状態を示しているものである。そして、バルブの各端部の端面は、同一平面状に位置することに限定されないものである。
【0012】
一対の導入線が圧潰封止されたバルブ端部以外のバルブ端部の封止は、圧潰によってもよく、焼き落としやモールド成形などの他の封止によってもよい。
【0013】
膨出部は、圧潰封止部の近傍のバルブ外周面を部分的に加熱し、圧潰封止する際、バルブ内に吹き込んだエアーにより膨らませて形成することができる。そして、膨出部は、圧潰封止部とバルブの内部との境界に近いほど好ましい。
【0014】
バルブ端部にフレアステムを有する蛍光ランプは、電極の異常放電時に、異常放電に伴う熱によりフレアステムの頭部近傍が異常過熱される。ここで、膨出部は、バルブ端部のフレアステムが封止された封止部側に形成されるので、フレアステムの頭部近傍が異常過熱されても、膨出部は異常過熱されにくい。これに対し、本発明は、一対の導入線が圧潰封止された圧潰封止部が異常過熱され、圧潰封止部の近くに位置する膨出部が異常過熱されるものである。すなわち、膨出部は、圧潰封止部の温度を受け易いように一対の導入線が圧潰封止されたバルブ端部の近傍に形成されるものである。
【0015】
「隣接するバルブの端部」とは、U字形やH形などのバルブの平行となっている各端部および継ぎ部によって連結されたバルブの隣り合う各バルブ端部を意味する。そして、「仮想接線よりも内側」とは、連結されたバルブ同士の内方側を意味する。
【0016】
「バルブの内面側に形成された蛍光体膜」とは、蛍光体膜がバルブの内面に直接形成されていてもよく、バルブの内面に形成された保護膜等の中間層上に形成されてもよいことを意味する。
【0017】
放電媒体は、水銀および希ガスの組合せとすることができる。希ガスの種類や封入圧は、適宜設定すればよい。また、水銀の封入において、水銀を液体で封入する他に、アマルガムの形にして封入することもできる。
【0018】
本発明によれば、寿命末期にフィラメントや一対の導入線に異常放電が発生して当該部分が異常発熱すると、一対の導入線を圧潰封止している圧潰封止部が当該熱により加熱されて、前記圧潰封止部の温度が急激に上昇し、前記圧潰封止部が異常過熱される。これにより、前記圧潰封止部の近くに位置する膨出部は、前記圧潰封止部からの熱により加熱され、さらに異常過熱されるようになり、外面が徐々に溶融する。膨出部の肉厚が徐々に薄くなり、薄肉部がバルブの内外の圧力差により破ける。そして、破けた部位からバルブ内に空気が流入する。バルブ内において、ランプ電圧が上昇し、フィラメントや一対の導入線に異常放電を維持できなくなり、異常放電が停止する。
【0019】
また、膨出部は、隣接するバルブの端部の外周面にそれぞれ接する仮想接線よりも先端が内側に位置するように形成されているので、例えばバルブの各端部に口金を配設するときなどの蛍光ランプを取り扱う時に干渉物に当たり難い。
【0020】
請求項2に記載の蛍光ランプの発明は、請求項1記載の蛍光ランプにおいて、前記バルブは、肉厚が0.7〜2.0mmであり、前記膨出部は、薄肉部の肉厚が0.28〜0.4mm、バルブの外周面からの突出長が1.5〜4.0mmであることを特徴とする。
【0021】
バルブの肉厚0.7〜2.0mmは、蛍光ランプで使用されるガラスバルブの一般的な肉厚である。すなわち、当該肉厚が0.7mm未満であると、例えばバルブを手で掴んだときに破壊されやすくなり、当該肉厚が2.0mmを超えると、可視光の透過率が低下し、所定の光束が得にくくなって発光効率が低下する。
【0022】
膨出部の薄肉部の肉厚が0.28mm未満であると、蛍光ランプに衝撃が加わったときに薄肉部にクラックが生じることがあり、また、蛍光ランプの通常点灯時にフィラメントや導入線からの熱により薄肉部が溶融して破けることがある。また、薄肉部の肉厚が0.4mmを超えると、異常放電が発生したときに薄肉部の溶融に時間を要し、早期の段階で薄肉部が破けないおそれがある。したがって、薄肉部の肉厚を0.28〜0.4mmとするものである。
【0023】
膨出部のバルブの外周面からの突出長が1.5mm未満であると、薄肉部の肉厚を上記数値範囲で形成することが困難になる。また、前記突出長が4.0mmを超えると、例えばバルブ同士を対向させて連結するときに膨出部が他方のバルブに当接しやすくなり、また、膨出部が大きくなる結果、膨出部のバルブの外周面での面積が大きくなり、バルブ端部側において膨出部が目立ちやすくなって意匠性が損なわれるおそれがある。したがって、前記突出長は、1.5〜4.0mmとするものである。
【0024】
本発明によれば、膨出部は、薄肉部の肉厚が0.28〜0.4mm、バルブの外周面からの突出長が1.5〜4.0mmであるので、蛍光ランプに異常放電が発生したときの早期の段階で破損されるとともに、適正な大きさでバルブ端部の外周面に形成される。
【0025】
請求項3に記載の照明器具の発明は、請求項1または2記載の蛍光ランプと;この蛍光ランプを点灯させる点灯装置と;蛍光ランプおよび点灯装置を配設している器具本体と;を具備していることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、請求項1または2記載の蛍光ランプを配設するので、蛍光ランプの異常点灯を蛍光ランプ自体で早期の段階で停止することのできる照明器具が提供される。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明によれば、フィラメントや一対の導入線に異常放電が発生すると、膨出部の薄肉部が直ちに破け、膨出部から空気がバルブ内に流入して前記異常放電が停止するので、前記異常放電の発生後の早期の段階で、バルブの各端部側に配設された口金やこの口金が装着されたソケットなどの熱損傷を極力抑制することができる。また、膨出部は、バルブの端部に外周面から膨出するように形成され、隣接するバルブの端部の外周面にそれぞれ接する仮想接線よりも先端が内側に位置するように形成されるので、容易に製造することができて、蛍光ランプを安価にすることができるとともに、蛍光ランプの組み立てや取り扱い時に干渉物などに当接し難く、破損を極力防止することができる。
【0028】
請求項2の発明によれば、膨出部は、薄肉部の肉厚が0.28〜0.4mm、バルブの外周面からの突出長が1.5〜4.0mmであるので、膨出部の薄肉部を蛍光ランプに異常放電が発生したときの早期の段階で破けさせて当該異常放電を停止させることができるとともに、蛍光ランプの意匠性が損なわれることのない膨出部を形成することができる。
【0029】
請求項3の発明によれば、請求項1または2記載の蛍光ランプを配設するので、蛍光ランプ自体で蛍光ランプの異常点灯を異常点灯の早期の段階で停止することのできる照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0031】
図1ないし図4は、本発明の第1の実施形態を示し、図1は蛍光ランプの端部側における一部切り欠き概略正面図、図2は蛍光ランプの寿命末期の端部側における一部切り欠き概略正面図、図3は蛍光ランプの各バルブの配置図、図4は蛍光ランプであり、(a)は概略正面図、(b)は概略側面図である。
【0032】
図1において、蛍光ランプ1は、一対の導入線2,2、発光管3、蛍光体膜4および放電媒体(図示しない。)を有して形成されている。
【0033】
一対の導入線2,2は、それぞれインナー線5、アウター線6およびジュメット線7からなっている。そして、ジュメット線7の両端にインナー線5およびアウター線6が接続されている。ジュメット線7は、例えば、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)線の外面に、銅(Cu)、酸化銅(CuO)が順次メッキされ、さらにホウ砂(Na[B(OH)]・8HO)が被覆されてなり、外径が0.4〜0.5mmに形成されている。また、インナー線5は、外径0.6mmの例えば鉄−ニッケル線からなり、アウター線6は、外径0.6mmの例えば銅線からなっている。
【0034】
そして、インナー線5,5は、フィラメント8の両端側を例えば挟持して支持している。フィラメント8は、タングステン(W)線からなり、2重コイルまたは3重コイルで形成されている。また、インナー線5,5には、略直方体に形成されたガラスビード9が掛け渡されている。ガラスビード9は、鉛ガラス、ソーダライムガラスまたはバリウムシリケートガラスなどの軟質ガラスからなり、2枚の板状のガラス材のそれぞれの一面を加熱して溶融させ、インナー線5,5を挟み込むようにして形成されたものである。
【0035】
発光管3は、2本のバルブ10,10、圧潰封止部11、継ぎ部12(図3に示す。)および膨出部13を有している。各バルブ10は、管外径12〜20mm、肉厚0.7〜2.0mmの無鉛ガラスからなり、例えば管外径18mm、肉厚1.0mmの直管形のガラス管が、図4(b)に示すように、U字形に屈曲形成されている。そして、各バルブ10は、図1に示すように、一端部10aに一対の導入線2,2を圧潰して封止している。その封止部位は、略板状の圧潰封止部11となっている。すなわち、圧潰封止部11には、ジュメット線7の全体を封着するようにして一対の導入線2,2が封止されている。このように、異なるバルブ10の一端部10a側の内部に一対のインナー線5,5によりフィラメント8が配設され、異なるバルブ10の一端部10aからそれぞれ一対の導入線2,2のアウター線6,6が導出されている。
【0036】
そして、図3に示すように、各バルブ10の他端部10bは、圧潰封止されているとともに、当該圧潰封止においてバルブ10内に連通するように細管14を取り付けている。細管14の少なくとも一方は、排気管として使用される。細管14は、例えば外径5.0mm、内径3.8mmの無鉛ガラスまたは鉛ガラスからなり、先端側がチップオフされている。そして、各バルブ10の他端部10b同士は、継ぎ部12により連通されている。継ぎ部12は、各他端部10bの外周面の一部分を加熱して吹き破った後に、この吹き破った部位同士が結合されて形成されたものであり、外径が7〜20mmの大きさとなっている。また、継ぎ部12は、バルブ10,10同士が対向して連結するように他端部10bの外周面の所定の部位に形成されている。
【0037】
そして、膨出部13は、一対の導入線2,2が圧潰封止されたバルブ10の一端部10aであって、圧潰封止部11の近傍に形成されている。膨出部13は、バルブ10,10同士が継ぎ部12により連結されたときに隣接するバルブ10の一端部10aおよびバルブ10の他端部10bの外周面にそれぞれ接する仮想接線Aよりも、連結されたバルブ10,10の内側に先端が位置するように形成されている。そして、図1に示すように、バルブ10の肉厚よりも薄くなっている薄肉部13aを有するように形成されている。なお、図1および図2において、膨出部13は、その突出長L1や薄肉部13aの肉厚D1を明確にするために、図3に示す位置と異なる位置に記載している。
【0038】
膨出部13は、例えば、バルブ10の一端部10aにフィラメント8を支持している導入線2,2を、他端部10bに細管14を設けるのと同時に形成することができる。すなわち、膨出部13を形成するバルブ10の一端部10aの圧潰封止部11および膨出部13のそれぞれの形成部位、他端部10bの封止部の形成部位を例えばバーナーで加熱し、一端部10aおよび他端部10bを圧潰した後に直ちに、細管14から空気を吹き込み、加熱した部位を膨出させることにより形成することができる。そして、バーナーでの加熱時間や加熱温度、空気の吹込量を予め設定することにより、所定の肉厚D1例えば0.30mmを有する薄肉部13aを形成し、バルブ10の外周面から所定の突出長L1例えば3.0mmを有するように形成することができる。
【0039】
そして、膨出部13は、薄肉部13aの肉厚D1が0.28〜0.4mmとなるように形成されるものである。すなわち、肉厚D1が0.28mm未満であると、バルブ10に衝撃が加わったときに薄肉部13aにクラックが生じることがある。また、蛍光ランプ1の通常点灯時においても、フィラメント8やインナー線5,5からの熱により薄肉部13aが溶融して破けることがある。また、肉厚D1が0.4mmを超えると、フィラメント8またはインナー線5,5に異常放電が発生したときに薄肉部13aの溶融に時間を要し、早期の段階で薄肉部13aが破けないおそれがある。
【0040】
また、膨出部13は、バルブ10の外周面からの突出長L1が1.5〜4.0mmとなるように形成されるものである。すなわち、突出長L1が1.5mm未満であると、バルブ10の加熱された部位の膨出量が小さく、所定の肉厚D1を有する薄肉部13aが形成されにくくなる。また、突出長L1が4.0mmを超えると、膨出部13の形成位置によっては、バルブ10,10同士を連結するときに膨出部13が他方のバルブ10に当接して破損することがある。また、膨出部13が大きくなる結果、膨出部13のバルブ10の外周面での面積が大きくなって、バルブ端部10a側の見栄えや意匠性が損なわれるおそれがある。
【0041】
上述したように、発光管3は形成され、連結されたバルブ10,10内のフィラメント8,8間には放電路が形成されている。そして、バルブ10の内面には、例えば三波長発光形の蛍光体膜4が形成されている。ここで、蛍光体膜4は、バルブ10の内面に形成された例えばアルミナ(Al)微粒子からなる保護膜上に形成されてもよい。また、発光管3の内部には、放電媒体として、水銀およびアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)などの希ガスが単体または混合されて封入されている。
【0042】
そして、連結された各バルブ10の両端部10a,10bには、図4に示すように、4本の接続ピン15を有する口金16が配設されている。口金16は、例えばコンパクト形蛍光ランプ用のGX10q−4形であり、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリエーテルイミド(PEI)樹脂などで形成されている。そして、発光管3の圧潰封止部11から導出されたアウター線6,6が接続ピン15に接続されている。
【0043】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について述べる。
【0044】
蛍光ランプ1は、口金16の4本の接続ピン15に高周波電圧が印加されると、発光管3内の一対のフィラメント8,8間に放電が発生し、蛍光体膜4から可視光が放射される。この通常の点灯状態時、フィラメント8からの熱によって、ガラスビード9は、異常過熱されることはなく、圧潰封止部11も異常過熱されないものである。すなわち、蛍光ランプ1の通常の点灯状態においては、膨出部13の薄肉部13aは破けないものである。
【0045】
そして、蛍光ランプ1は、長時間の高周波点灯により、一方のフィラメント8の電子放射物質が消耗すると、当該フィラメント8にホットスポットが発生し、半波放電状態となり、フィラメント8が異常発熱する。さらに、図2に示すように、当該異常発熱によりフィラメント8が溶断し蒸発してなくなると、半波放電は、インナー線5からインナー線5のガラスビード9の支持部5aに移行し、インナー線5の当該部分が異常発熱する。この異常発熱により、ガラスビード9が溶断し、点灯方向の下側に垂れることがある。
【0046】
その後、半波放電は、インナー線5の圧潰封止部側5bに移行し、圧潰封止部側5bが異常発熱する。このインナー線5の圧潰封止部側5bの異常発熱により、当該圧潰封止部側5bの周辺の圧潰封止部11が加熱されて、温度が急激に上昇する。当該圧潰封止部11の温度上昇に伴って、膨出部13の温度が上昇し、膨出部13の外面が徐々に溶融する。そして、膨出部13の外面の溶融が進行し、薄肉部13aにバルブ10の内外の圧力差によりクラック17が入り、破ける。
【0047】
膨出部13の薄肉部13aにクラック17が入ると、このクラック17から発光管3内に空気が流入する。これにより、発光管3内のフィラメント8,8間のランプ電圧が上昇し、フィラメント8やインナー線5に半波放電を維持できなくなり、半波放電が停止する。すなわち、蛍光ランプ1は消灯する。
【0048】
このように、フィラメント8やインナー線5に半波放電が発生して異常発熱すると、膨出部13aの薄肉部13aにクラック17が入り、このクラック17から空気が発光管3内に流入していくので、半波放電(異常放電)が早期の段階で停止するようになる。これにより、各バルブ10の両端部10a,10b側に配設された口金16やこの口金16が装着されたソケットの樹脂部材への熱損傷を極力抑制することができる。
【0049】
そして、膨出部13は、バルブ10の一端部10aの圧潰封止部11近傍の外周面を例えばバーナーで加熱し、その後、他端部10bに配設された細管14から空気を吹き込み、加熱した部位を膨出させることにより形成することができるので、高度な製造工程を必要とせず、容易に製造することができ、この結果、蛍光ランプ1を安価に製造することができる。
【0050】
そして、膨出部13は、バーナーでの加熱時間や加熱温度、空気の吹込量を予め設定することにより、薄肉部13aの肉厚D1が0.28〜0.4mmとなるように、バルブ10の外周面からの突出長L1が1.5〜4.0mmとなるように形成することができる。これにより、蛍光ランプ1の通常点灯時に膨出部13の薄肉部13aにクラック17が入ることを防止でき、異常点灯時に早期の段階で薄肉部13aにクラック17を生じさせることができるとともに、膨出部13が目立ちにくく、バルブ10の一端部10a側の意匠性が損なわれることを防止することができる。
【0051】
また、膨出部13は、隣接するバルブ10の一端部10aおよびバルブ10の他端部10bの外周面にそれぞれ接する仮想接線Aよりも先端が内側に位置するように形成されているので、連結されたバルブ10,10の外形の内側に位置している。この結果、発光管3を口金16に取り付けるときなどの組み立て時や蛍光ランプ1の取り扱い時に、膨出部13が干渉物に当たって破損することを極力防止できるとともに、膨出部13の形成によってバルブ10の一端部10a側の意匠性が損なわれることを防止することができる。
【0052】
なお、蛍光ランプ1は、インナー線5,5間にガラスビード9を具備して構成されているが、ガラスビード9を具備していなくても、フィラメント8やインナー線5の異常発熱により、膨出部13の外面が溶融して薄肉部13aにクラック17が入るものである。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0054】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す蛍光ランプの各バルブの配置図、図6は、同じく他の蛍光ランプの各バルブの配置図である。なお、図3と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0055】
図5に示す蛍光ランプ18は、3本のバルブ19a,19b,19cを有して発光管20が形成されたものである。両側のバルブ19a,19cは、図1に示すバルブ10と同様に形成され、一端部19aa,19caにそれぞれ一対の導入線2,2を圧潰封止して導出している圧潰封止部11を有し、他端部19ab,19cbにそれぞれ細管14を配設している。中間のバルブ19bは、一端部19baに一対の導入線2,2を圧潰封止しない圧潰封止部21が形成され、他端部19bbに細管14を配設している。バルブ19bのその他は、バルブ19a,19bと同様に形成されている。
【0056】
そして、バルブ19aの他端部19abとバルブ19bの一端部19baが継ぎ部12により連通され、バルブ19cの他端部19cbとバルブ19bの他端部19bbが継ぎ部12により連通されている。すなわち、一対の導入線2,2が導出されている圧潰封止部11を有するバルブ端部19aa,19caを除いて、継ぎ部12によりバルブ端部19ab,19ba,19bb,19cb同士が連通され、かつバルブ19a,19b,19c同士が略六角形の外形となるように連結されている。
【0057】
そして、膨出部13は、バルブ端部19aa,19caの圧潰封止部11の近傍であってフィラメント8の長手方向と直交している外周面の部位であり、隣接するバルブ端部19aa,19ab、バルブ端部19ca,19cbおよびバルブ端部19aa,19caの外周面にそれぞれ接する仮想接線Aよりも連結されたバルブ19a,19b,19cの内側に先端が位置する外周面の部位に形成されている。これにより、膨出部13は、干渉物に当接し難くなっている。したがって、膨出部13の破損が極力防止できるとともに、膨出部13によってバルブ端部19aa,19caの意匠性が損なわせることを防止できる。
【0058】
蛍光ランプ18は、寿命末期に異常放電が発生すると、早期の段階で膨出部13の薄肉部13aにクラック17が入って、空気がクラック17から発光管20内に流入し、当該異常放電が停止する。これにより、口金16や口金16が装着されているソケットなどの熱損傷を極力防止することができる。
【0059】
また、図6に示す蛍光ランプ22は、図5に示す蛍光ランプ18において、中間のバルブ19bに代えて、バルブ23aおよびバルブ23bが設けられたものである。すなわち、4本のバルブ19a,23a,23b,19cを有して発光管24が形成され、一対の導入線2,2が導出されている圧潰封止部11を有するバルブ端部19aa,19caを除いて、継ぎ部12によりバルブ端部19ab,23aa,23ab,23ba,23bb,19cb同士が連通され、かつバルブ19a,23a,23b,19c同士が略八角形の外形となるように連結されている。
【0060】
そして、膨出部13は、バルブ端部19aa,19caの圧潰封止部11の近傍であってフィラメント8の長手方向と同一方向の外周面の部位であり、隣接するバルブ端部19aa,19ab、バルブ端部19ca,19cbおよびバルブ端部19aa,19caの外周面にそれぞれ接する仮想接線Aよりも連結されたバルブ19a,23a,23b,19cの内側に先端が位置する外周面の部位に形成されている。これにより、膨出部13は、干渉物に当接し難くなって破損することを極力防止できる。また、膨出部13により、バルブ端部19aa,19caの意匠性が損なわせることを防止できる。
【0061】
そして、蛍光ランプ22は、蛍光ランプ18と同様に、口金16や口金16が装着されているソケットなどの熱損傷を極力防止することができる。
【0062】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0063】
図7は、本発明の第3の実施形態を示す照明器具の一部切り欠き概略側面図である。なお、図4と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0064】
図7に示す照明器具25は、図示しない天井などの造営物に埋設されるダウンライトであり、器具本体26、図4に示す蛍光ランプ1および点灯装置27を有して構成されている。器具本体26は、上面側に天板28、下面側にランプソケット29を配設している。天板28の上面28aに点灯装置27を配設している。ランプソケット29には、蛍光ランプ1が取り付けられている。すなわち、蛍光ランプ1の口金16の4本の接続ピン15がランプソケット29に挿入されている。
【0065】
点灯装置27は、ランプソケット29を介して口金16の接続ピン15に高周波電圧を印加するように構成されている。これにより、蛍光ランプ1は、高周波点灯する。
【0066】
また、天板28には、ばね性を有する一対の支持金具30,30が取り付けられている。そして、この支持金具30,30に、蛍光ランプ1を覆うように略方物面状に形成された反射鏡31が取り付けられている。反射鏡31の下部の周囲には、外形が円状の化粧枠32が配設されている。
【0067】
また、器具本体26は、天板28から化粧枠32に至る連結金具33が配設されており、この連結金具33に器具本体26を天井などの造営物に固定する取付金具34が設けられている。
【0068】
蛍光ランプ1が点灯すると、発光管3からの放射光が直接光および反射鏡31の内面で反射された反射光となって、反射鏡31の開口31aから外部空間に出射される。そして、蛍光ランプ1が半波放電などの異常点灯すると、蛍光ランプ1自体でかつ異常点灯の早期の段階で、蛍光ランプ1が消灯する。したがって、蛍光ランプ1の口金16やランプソケット29などの熱損傷が抑制される照明器具25を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す蛍光ランプの端部側における一部切り欠き概略正面図。
【図2】同じく、蛍光ランプの寿命末期の端部側における一部切り欠き概略正面図。
【図3】同じく、蛍光ランプの各バルブの配置図。
【図4】同じく、蛍光ランプであり、(a)は概略正面図、(b)は概略側面図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す蛍光ランプの各バルブの配置図。
【図6】同じく、他の蛍光ランプの各バルブの配置図。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す照明器具の一部切り欠き概略側面図。
【符号の説明】
【0070】
1,18,22…蛍光ランプ
2…導入線
3,20,24…発光管
4…蛍光体膜
25…照明器具
26…器具本体
27…点灯装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントの両端側を支持している一対の導入線と;
各端部が平行となるように屈曲形成されたガラスからなるバルブと、このバルブの少なくとも一対の端部に前記一対の導入線をそれぞれ圧潰封止して形成された圧潰封止部と、この圧潰封止部が形成されたバルブ端部を除く他のバルブ端部同士が封止され当該端部同士が連通しかつバルブ同士が連結するように形成された継ぎ部と、前記一対の導入線が圧潰封止されたバルブの端部に、隣接するバルブの端部の外周面にそれぞれ接する仮想接線よりも先端が内側に位置するようにバルブ外周面から膨出するように形成され、少なくとも一部の肉厚がバルブの肉厚よりも薄くなっている膨出部とを有する発光管と;
発光管の前記バルブの内面側に形成された蛍光体膜と;
発光管の内部に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記バルブは、肉厚が0.7〜2.0mmであり、前記膨出部は、薄肉部の肉厚が0.28〜0.4mm、バルブの外周面からの突出長が1.5〜4.0mmであることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
請求項1または2記載の蛍光ランプと;
この蛍光ランプを点灯させる点灯装置と;
蛍光ランプおよび点灯装置を配設している器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−204661(P2008−204661A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36858(P2007−36858)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】