説明

蛍光ランプ及びそれを用いた照明装置

【課題】 外部電極の部分にピンホール又はクラック等により不点灯に至ることがなくて安定した点灯が可能な蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 本発明は、透光性管の外表面両端部に外部電極5を備えた蛍光ランプ1であって、外部電極5は、透光性管の外表面に形成されたハンダ層2と、ハンダ層に巻線されたコイル状の金属線3と、コイル状の金属線の表面に形成された外ハンダ層4で形成したしたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス管の外表面に電極を備えた蛍光ランプとして、図7及び図8に示す構成のものが知られている。この従来の外面電極蛍光ランプ11は、そのガラス管の外表面の両端部に外部電極12としてハンダ層を形成している。この従来の外面電極蛍光ランプ11を点灯させるために電源側の電極部に装着する場合、図8(a)、(b)に示すように蛍光ランプ11の端部の外部電極12の部分をバネ弾性を持つ接点用端子13に圧入する形で装着する。
【0003】
この従来の蛍光ランプ11の場合、外部電極12としてのハンダ層はその厚さを均一に製造しやすいことから、電気抵抗の分布にむらがなく、ランプ電流が流れたときに発生する電界を均一にすることができ、輝度を向上させることができるものであった。
【0004】
しかしながら、従来の蛍光ランプ11は、その両端に外部電極12として薄膜のハンダ層のみを設けた構造であるため、図8のように接点用端子13に組み込むときに、相手側のソケット等の接点部により傷がついて部分的に剥離、脱落しやすく、その部分の下地のガラス管にピンホールやクラックが発生して不点灯に至ることがあり、製品寿命の点で問題点があった。また、従来の蛍光ランプでは、外部電極の部分の発熱により電極部温度が180℃以上になった場合、同様にピンホール又はクラックが発生し、不点灯に至ることがある問題点があった。
【特許文献1】特開2003−168392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、外部電極の部分にピンホール又はクラック等により不点灯に至ることがなくて安定した点灯が可能な蛍光ランプ及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、透光性管の外表面両端部に外部電極を備えた蛍光ランプであって、前記外部電極は、前記透光性管の外表面に形成されたハンダ層と、前記ハンダ層に巻線されたコイル状の金属線と、前記コイル状の金属線の表面に形成された外ハンダ層で形成したしたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の蛍光ランプにおいて、前記コイル状の金属線は、前記ハンダ層に対して面接触する断面形状が扁平な線材であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明の照明装置は、請求項1又は2の蛍光ランプを光源として、当該蛍光ランプの外部電極を接点用端子に装着したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の蛍光ランプ及びそれを用いた照明装置によれば、外部電極の部分にハンド層と共にその外表面にコイル状の金属線を巻線しているので、これを照明装置の接点用端子に装着する時にハンダ層が剥離、脱落する恐れがなく、接点用端子と機械的、電気的に安定した接触が可能であり、外部電極の部分にピンホール又はクラック等が発生して不点灯に至ることがなく、安定した点灯が可能である。
【0010】
また本発明の蛍光ランプ及びそれを用いた照明装置によれば、蛍光ランプの外部電極の部分に設けたコイル状の金属線をその断面形状を扁平なものとすることで、その内側のハンダ層との電気的接触が面接触となって電気的な特性をいっそう安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0012】
(第1の実施の形態)図1は本発明の1つの実施の形態の蛍光ランプ1を示している。図において、1は蛍光ランプ、2はハンダ層、3はコイル、4はコイル3の外表面に形成された外ハンダ層、5は外部電極を表している。本実施の形態は、内壁に蛍光体が塗布されて、両端を閉塞し内部に希ガスと水銀でなる封入物が封入された透光性管体からなる蛍光ランプ1の外表面の両端部にハンダ層2を形成し、さらにハンダ層2の外表面にコイル3を巻線し、コイル3の表面にさらに外ハンダ層4を形成することで外部電極5を構成している。本実施の形態の場合、コイル3の線材は断面が円形である。
【0013】
本実施の形態の蛍光ランプ1は、従来同様に図8に示したように照明装置の接点用端子13に圧入することで接点用端子13と外部電極5とを弾性的に接触させ、この接点用端子13に高周波数電源を供給することで点灯させる。
【0014】
本実施の形態によれば、これを照明装置の光源として用いるために照明装置の接点用端子13内に圧入する際に、従来のように薄膜のハンダ層12ではなく、その外表面に巻線されているコイル3と外ハンダ層4が接点用端子13と接触することになり、したがって外部電極5の一部が従来のように簡単に剥離、脱落するようなことがなく、接点用端子13に対して安定した接触が可能であり、安定した点灯が可能である。
【0015】
(第2の実施の形態)図2、図3は本発明の第2の実施の形態の蛍光ランプを示している。第2の実施の形態の特徴は、コイル30の形状にあって、第1の実施の形態ではコイル3は断面円形のものを採用したが、本実施の形態では図3(a)、(b)に示したように、コイル30として断面が長円形の扁平な形状のものを採用したことを特徴とする。なお、図2、図3において、図1に示した第1の実施の形態と共通する要素には同一の符号を付して示してある。すなわち、1は蛍光ランプ、2はハンダ層、4はコイル30の外表面に形成された外ハンダ層、5は外部電極を表している
本実施の形態の蛍光ランプ1についても、従来同様に図8に示したように照明装置の接点用端子13に圧入することで接点用端子13と外部電極5とを弾性的に接触させ、この接点用端子13に高周波数電源を供給することで点灯させる。
【0016】
本実施の形態によれば、図3に示したようにコイル30の断面を扁平形状としたので断面が円形状のものに比べハンダ層2又接点用端子13との接触面積が広がり、電気的に又機械的により安定した接触が可能であり、点灯特性をより向上させることができる。
【0017】
図4は第1の実施の形態の蛍光ランプ1についてその外部電極5の部分の断面図、図5は第2の実施の形態の蛍光ランプ1についてその外部電極5の部分の断面図を示している。これ両図から明らかなように、第1の実施の形態の場合、コイル3は内側のハンダ層2に対して線接触しているが、第2の実施の形態の場合、コイル30が断面扁平形状であるためにハンダ層2に対して面接触しており、電気的な安定性を高めることができるのである。
【0018】
図6は、従来例、第1の実施の形態、第2の実施の形態のそれぞれの蛍光ランプのランプ軸方向の管壁温度の分布を示したグラフである。曲線Aに示した従来の蛍光ランプの管壁温度分布、曲線B1に示した第1の実施の形態の蛍光ランプの管壁温度分布、曲線B2に示した第2の実施の形態の蛍光ランプの管壁温度分布を比較すれば、第1の実施の形態の蛍光ランプは従来の蛍光ランプに比してランプ端部の外部電極5の部分での管壁温度が格段に低下していることが分かる。そして第2の実施の形態の蛍光ランプの場合、外部電極5の部分の管壁温度が第1の実施の形態の場合よりもさらに低くなっていることがわかる。
【0019】
このように、第2の実施の形態の蛍光ランプの場合、外部電極5の部分での管壁温度を大きく下げることができ、ガラス管にピンホール又はクラック等が発生して不点灯に至る可能性が低く、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態の蛍光ランプの正面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の蛍光ランプの正面図。
【図3】上記第2の実施の形態における外部電極の部分に用いたコイルの正面図及び断面図。
【図4】上記第1の実施の形態の蛍光ランプにおける外部電極の部分の断面図。
【図5】上記第2の実施の形態の蛍光ランプにおける外部電極の部分の断面図。
【図6】従来の蛍光ランプ、第1の実施の形態の蛍光ランプ、第2の実施の形態の蛍光ランプそれぞれの点灯試験におけるランプ軸方向の管壁温度の分布を示す図。
【図7】従来の蛍光ランプの正面図。
【図8】従来の照明装置の電極部分の構造を示す正面図及び側面図。
【符号の説明】
【0021】
1 蛍光ランプ
2 ハンダ層
3 コイル
4 外ハンダ層
5 外部電極
13 接点用端子
30 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性管の外表面両端部に外部電極を備えた蛍光ランプであって、
前記外部電極は、前記透光性管の外表面に形成されたハンダ層と、前記ハンダ層に巻線されたコイル状の金属線と、前記コイル状の金属線の表面に形成された外ハンダ層で形成したしたことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記コイル状の金属線は、前記ハンダ層に対して面接触する断面形状が扁平な線材であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
請求項1又は2の蛍光ランプを光源として、当該蛍光ランプの外部電極を接点用端子に装着したことを特徴とする照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−318742(P2006−318742A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139656(P2005−139656)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)