説明

蛍光ランプ用フィラメント電極および蛍光ランプ

【課題】簡単な構成により、低コストで熱陰極蛍光ランプ用のフィラメント電極を製造することができると共に、リード線との接続性が向上した蛍光ランプを得ることができるようにする。
【解決手段】複数フィラメントの放電電極を製造する際に、最初にモリブデン線にタングステン線を所定数巻き付けてい第1次コイル体を得る。次いでこの第1次コイル体を他のモリブデン線に巻きつけて第2次コイル体を得る。フィラメントのコイル足部にて第1次コイル体のモリブデン線を、第1次コイル体のタングステン線と共に溶解してコイル足合金部を得る。このコイル足合金部とリード線を接続する、これによりリード線との接続はモリブデンを含む合金部を介して接続されることとなり、結晶化に起因する脆さが低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィラメントコイルからなる蛍光ランプ用の電極およびこれを用いた蛍光ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置用のバックライトとして蛍光ランプが使用されている。例えば対角20インチクラスの液晶表示装置においては、エッジライト型バックライトが用いられ、導光板の端面に細径の冷陰極蛍光ランプを設けている。対角30インチクラス以上の大型液晶テレビ用バックライトでは、直下型バックライトが用いられ、複数本の冷陰極蛍光ランプが設けられている。また、一般に冷陰極蛍光ランプは薄型バックライトに適しているものの、1本あたりの光量が熱陰極蛍光ランプに比べて劣るため、熱陰極蛍光ランプを用いてバックライトに使用する蛍光ランプ数を低減したバックライトも開発されている。
【0003】
一般に蛍光ランプには上記した熱陰極タイプのものと冷陰極タイプの2種類がある。熱陰極タイプのものは、陰極を過熱して熱電子を放出させる構成を有する。それ故、一般的に発光効率は高いが寿命が短い。一方、冷陰極タイプのものは、寿命は長いものの発光効率が相対的に低い。このような蛍光ランプの電極として、フィラメントコイルを用いるものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図8は、特許文献1の電極構造を示す概略斜視図である。特許文献1の電極構造では、二本の平行に配置されたリード線91の夫々にフィラメントコイル92から伸びたコイル足93の各々をパイプ連結部94を介して電気的な接続と固定を行っている。パイプ連結部94は円筒状の導電性金属材料からなり、一方の端部側はコイル足93をカシメ固定し、他方の端部側はリード線91をカシメ固定する。これにより、管径が細くてもフィラメントコイルとリード線とが確実に接続され、熱的に遮断され得るようにした電極構造が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−166074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された電極構造の場合、フィラメントコイル92にダブルフィラメントなどの多重巻きフィラメントを用いると、電極部の製造時、特にパイプ連結部とのカシメ時に小径のパイプ内径に挿入しにくいという問題があった。
さらに、挿入し易くするためにパイプ連結部94として大径のものを用いると、蛍光ランプの管径を思ったように細くすることができない、という新たな問題もある。
【0007】
また、上記問題が生じないようにコイル足93とリード線91とを互いに溶接により接続することができる。しかしながら、単に溶接により接続したのでは、点灯により、溶接接続部にて、フィラメントコイルを構成するタングステンが再結晶を生ずることによって、脆くなってしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、以上の点から、管径が細くても、フィラメントとリード線が確実に接続された蛍光ランプ用フィラメント電極および蛍光ランプを提供することを目的としている。
また、他の目的としてフィラメントとリード線が確実に接続された蛍光ランプ用フィラメント電極を簡易な方法にて製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、次の実施の態様により、達成される。
請求項1に係る発明は、一対のニッケルもしくはニッケル合金からなるリード線(14)と、一対のリード線の先端部に両端部が接続したフィラメント(17)を有し、前記フィラメントは多重巻きのフィラメントであり、前記フィラメントとリード線との接続部は、モリブデンを含む合金を介して溶接されていることを特徴とする蛍光ランプ用フィラメント電極、である。
【0010】
請求項2に係る発明は、円筒状ガラス管(11)と、前記ガラス管の端部に封止された蛍光ランプ用フィラメント電極(13)とを有し、前記電極は、一対のニッケルもしくはニッケル合金からなるリード線(14)と、当該リード線の先端部(14a)に両端部が接続したフィラメント(17)を有し、前記フィラメントは多重巻きのフィラメントであり、前記フィラメントとリード線との接続部は、モリブデンを含む合金を介して溶接されており、前記リード線および接続部から延びるフィラメント脚部(25a)は、前記ガラス管と平行方向に設けられていることを特徴とする蛍光ランプ、である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の蛍光ランプ用フィラメント電極の製造方法であって、前記フィラメントは、モリブデン線と、タングステン線を用意し、巻きまわして第1次コイル体を作る工程と、次いで第1次コイル体を他のモリブデン線に巻いて第2次コイル体を作る工程を有し、第2次コイル体を製造した後に、フィラメント端部のコイル足とする部分を第1次コイル体のモリブデンを含んで溶解して合金とするコイル足合金化工程と、コイル足合金化工程の後に、当該合金部分と前記リード線との溶接を行い、モリブデンを含むリード線との溶接部を形成する工程と、を含み、上記第1次コイル体のモリブデン線は、前記第1次合金化工程を実施した後に、エッチング液にて溶解除去する工程を備える、ことを特徴とする蛍光ランプ用フィラメント電極の製造方法、である。
【0012】
請求項1に係る発明によれば、モリブデンを含む合金部(18)を介して接続されるので、脆くなりにくく、長寿命な電極を得ることができ得る。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、放電電極が熱せられた場合であってもリード線とフィラメントとの接続部が脆くなりにくく、長寿命な蛍光ランプを得ることができ得る。
請求項3に係る発明によれば、フィラメントとリード線が確実に接続された蛍光ランプ用フィラメント電極を簡易な方法にて製造することができ得る。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、管径が細くても、フィラメントとリード線が確実に接続された蛍光ランプ用フィラメント電極および蛍光ランプが提供される。
また、フィラメントとリード線が確実に接続された蛍光ランプ用フィラメント電極を簡易な方法にて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は蛍光ランプ用の端部側を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は放電電極部を模式的に示す側面図である。
【図3】図3は第1次コイル体の製造方法を模式的に示す側面図である。
【図4】図4は第2次コイル体の製造方法を模式的に示す側面図である。
【図5】図5は第2次コイル体を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は熱陰極蛍光ランプを用いた面光源装置の全体構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図7】図7は他の実施の形態の放電電極部を模式的に示す側面図である。
【図8】従来の熱陰極放電灯用の電極部を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図7を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0017】
図1は蛍光ランプ用10の端部側を模式的に示す断面図、図2は放電電極部13を模式的に示す側面図である。また、図6は熱陰極蛍光ランプを用いた面光源装置の全体構成を模式的に示す分解斜視図である。面光源装置1は蛍光ランプ部2、ハウジング3、拡散板4、拡散シート5およびプリズムシート6から構成されている。
【0018】
熱陰極蛍光ランプ10は、円筒状のガラス管11の両端が封止され、その内部に放電電極部13が対向配置されている。一方の放電電極部13側の熱陰極蛍光ランプ13を図1に示している。ガラス管端部には放電電極部13が設けられ、封止部16を通ってそのリード線14の一方が外部に露出している。符号15にて示すものはリード線14と封着するガラスビード15で、ガラス管11と溶着して封止する。ガラス管11の内面には蛍光体層12が形成されている。
なお、ガラスビード15は図1に示した球状に限るものではなく、後述する図2のような円盤形状のボタンステムであっても良い。
【0019】
ガラス管11は、外径が6mmの硬質ガラスからなる円筒形状であり、両端が開放した状態で、その内面に波長変換を行う蛍光体層12を塗布形成する。ガラス管11の両端には封止部16が形成されガラス管11内を気密に封止している。なお、後述する前記面光源装置1に取付ける際には、封止部16に被せる図示しないキャップ部材や前記ハウジング3に設けた図示しない固定フックを介して反射面7と所定位置になるようにして取り付けを行う。
【0020】
封止された内部空間19には、水銀と、所定の封入圧とした不活性ガスとが封入されて成る。水銀は発光物質として発光に寄与する。紫外線を発し前記した蛍光体層を励起する。不活性ガスはアルゴンガスまたはアルゴンガスとクリプトンガスとの混合ガス、またはアルゴンとネオン、クリプトンもしくはキセノン等の他の不活性ガスを所定割合で混合したものを用いる。混合ガスの混合割合としてはアルゴンを50%、他の不活性ガスを50%とする。また、ガス圧は1300Pa程度の減圧とする。
【0021】
放電電極部13は、リード線14に複数フィラメンからなるフィラメント17を合金部18にて接続・固定している。フィラメント17としては、他にトリプルコイルのフィラメント、あるいはスティックコイルのフィラメントを用いることができる。
フィラメント17の材質はタングステン、レニウムタングステン(W−Re)もしくはドープドタングステンなどのタングステン系材料を用いる。また、電子放出特性を向上させるためにフィラメント17の表面に電子放出物質を塗布することが好ましい。特にフィラメント17の端部以外の巻いている箇所のフィラメント周囲にバリウム、ストロンチウム、カルシウムおよびジルコニウムからなる酸化物粉末等からなる電子放出物質を設けるのが好適である。
【0022】
リード線14は、フィラメント17側の端部がニッケルもしくはニッケル合金、例えばコバールの線状部材を用いる。ガラス管11とリード線14の熱膨張係数の違いによる影響を低減するため、中間部14cの箇所においてはガラス管11と熱膨張係数の近い素材からなるもの、例えばジメット線とし、内部空間内にはスパッタされ難い高融点金属、外部に露出する接続側端部14b側には導電性に優れた材料、などの異種材料の継線でも良い。
【0023】
本実施形態において、図1に示すように一対のリード線14のガラス管内部に配置される側の端部14aの各々とフィラメント17の両端部は、各々合金部18を介して接続および固定がされている。
合金部18は、モリブデンとフィラメント17の材質およびリード線先端14aの材質の合金からなる。
【0024】
合金部18について、図4および図5に示す図面を用いて放電電極部13の製造工程の順に説明を行う。
はじめに、図3に示すようにモリブデン線21および該モリブデン線よりも細径のタングステン線22を用意する。そして、図4に示すように、モリブデン線21を芯線としてタングステン線22を密に巻きつけて第1次コイル体23を製造する。
【0025】
続いて、第2次コイル体25を製造する。図4に示すように同様の手順にて、第1次コイル体23より太径もしくは同径のモリブデン線24を用意し、当該モリブデン線24を芯線として第1次コイル体23を所定数これに巻きつける。その後、芯線としていたモリブデン線24(点線にて示す)を抜き取る。なお、図4ではコイル足以外の部分については図面を簡略化するためコイル状に示すことを略して表示している。図5はモリブデン線24を抜き取る前の状態における第2次コイル体25の断面を模式的に示すものである。図6からモリブデン線24を除去した状態が複数フィラメントタイプとなる。
【0026】
従来の場合においては、この後に所定の混酸エッチング液に浸してモリブデン線21のみをエッチング除去することで、タングステン線22からなる複数フィラメントタイプのフィラメントを得ている。タングステン線22は、タングステン単体およびタングステンに他の金属等を含むものなどフィラメント17として用いる材料のものからなる。
【0027】
それに対して、本実施の形態においては、以下に述べる合金化工程を実施する。
詳細には、上記エッチング工程を実施する前に、第2次コイル体25のコイル足25aとなる部分を合金化するコイル足合金化工程と、リード線14と合金化しているコイル足25aの合金化を図る溶接工程の2回の合金化工程を実施する。
【0028】
最初の合金化工程であるコイル足合金化工程は、第2次コイル体25を製造した後に行う。具体的には図6の断面状態の第2次コイル体25をモリブデン線24を芯線として所定の形状に巻き、第2次コイル体25の芯線であったモリブデン線24を抜き取る。次いで、コイル足25aを所定の方向に折り曲げて図2に示すフィラメント17の形状とする。その後、図2に示すリード線14の先端部と接続するコイル足25aの部分をレーザー等にて加熱溶解させて合金とする。コイル足25aの合金は第2次コイル体25の材質であるモリブデン線21とフィラメント17の主要材質であるタングステンとの合金となる。
【0029】
このコイル足合金化工程の後に、上記したエッチング工程を実施する。エッチング液としてモリブデンを溶解し、モリブデン合金を溶解しにくい混酸を用いてエッチングする。これにより第2次コイル体25のモリブデン線21がエッチング除去され、複数のフィラメントからなるフィラメント17が得られる。複数フィラメントにおいては巻き線の断面形状が円形形状であるため相互に絡みやすい。そのため、コイル足合金化工程を実施していない場合には、端部であるコイル足25aでモリブデン線22がほつれたりして絡まるため、その取り扱い作業性が良くないが、コイル足25aを合金化処理しているので、端部でのほつれがなくなり作業性が向上する。
【0030】
次に、溶接工程を実施する。溶接工程はリード線14と、合金化しているコイル足25aを密接させた状態で両者をスポット溶接などの手段で合金化を図る。このとき合金部18は、第2次コイル体25の材質であるモリブデン線21とフィラメント17の主要材質であるタングステンの合金に、リード線14の先端部14aの主要材質であるニッケルとの合金化を図って溶接する。
【0031】
コイル足合金化工程を経ずに、モリブデン合金を有しない第2次コイル体とリード線とを直接に溶接した場合には、コイルの材料であるタングステン(W)が再結晶を起こし易い。そのため、溶接した箇所が脆くなり、振動等で切れ易い。
しかし、上記したようにモリブデンを含む合金化したコイル足25aとリード線14を溶接した場合には、溶接部分での合金化が滑らかに図られ、コイルの材料であるタングステン(W)が再結晶が生じにくく、溶接部18が脆さが改善される。
【0032】
なお、上記した2回の合金化工程のいずれの場合も、第2次コイル体25の芯線であったモリブデン線24を抜き取ることなく、モリブデン線24も共に合金化しても良い。特に複数のフィラメントを用いた巻き線タイプにおいては巻き線の断面形状が円形形状であるため相互に絡みやすい。しかし、モリブデン線24も同時に合金部18とすることで、絡み難くなり作業性が大幅に向上する。また、合金部のモリブデン含有量が増加するのでタングステン(W)の再結晶に起因する溶接部の脆さも改善される。
【0033】
次に上記した熱陰極蛍光ランプ10を用いたバックライトについて説明する。
図6は熱陰極蛍光ランプ10を用いた面光源装置1の全体構成を模式的に示す分解斜視図である。面光源装置1は蛍光ランプ部2、ハウジング3、拡散板4、拡散シート5およびプリズムシート6から構成されている。
【0034】
蛍光ランプ部2は複数の熱陰極蛍光ランプ10を平行に並設したものである。蛍光ランプ部2の背面には、各々の熱陰極蛍光ランプ10毎に該蛍光ランプから下方および側方に向かって照射された光線を蛍光ランプ部2前面(図1における紙面上方向)に反射するための反射面7が設けられている。
【0035】
蛍光ランプ部2の前面側(上方)には、各熱陰極蛍光ランプ10からの直接光および反射面7で反射された反射光などの到達した光線を拡散する拡散板4および拡散シート5を順次配設した拡散面9が設けられている。拡散板4は乳白色アクリル樹脂板からなり蛍光ランプ部2を配設する空間を覆っている。拡散シート5は、内部に微小な無機拡散材料を分散した透明樹脂からなる。両者を異なる拡散特性を有するものとすることで、面光源装置1全体の均一性を向上させている。拡散板4と拡散シート5の複数を用いることなく、単一の拡散部材にて拡散面9とすることも可能である。
【0036】
また、拡散シート5の上面側には、該拡散シート5からの拡散光の向かう方向を制御するプリズムシート6が配設されている。プリズムシート6は熱陰極蛍光ランプ10の軸方向に垂直な面で切断した切断面の、拡散シート5に対向する面の反対側の面が、夫々90°の頂角を有す複数の連続する三角形からなるプリズム形状を呈している。プリズムシート6は、拡散面9側から入射した拡散光を上方に集めて面光源装置1の正面輝度を高めるようにするものであり、該面光源装置を液晶表示装置の直下型バックライトとして用いる場合には、図示しない液晶表示装置の正面視認性を高めることができる。
【0037】
蛍光ランプ部2の背面側には、各熱陰極蛍光ランプ10から背面側および側方に向かった光を効率的に前面側に反射するように設計された反射面7が設けられている。反射面7は、各熱陰極蛍光ランプ10の軸方向に沿って背面側を覆うように板状のハウジング3が配設され、ハウジング3の少なくとも蛍光ランプ部2に対向する側の面に反射面7が形成されている。ハウジング3は、樹脂もしくは金属材料からなり、反射面が所定の反射配光特性を有するように形成されている。図8においては、熱陰極蛍光ランプ10の軸方向と直交する断面にて、各々の冷陰極蛍光ランプ10が一方の焦点位置となり、他方の焦点位置を拡散面9より前面側で、接合部8の上方とした楕円系反射面を組合わせたものとしている。なお、符号8は冷陰極蛍光ランプ10同士の中間部に対応する位置で各々に対応した反射面の接合部を示す。
【0038】
熱陰極蛍光ランプ10は、反射面7と拡散面9とで覆われた空間内に多数配設される。そこで、図1に示すようにコイル足25aをリード線14と並行となる方向に折り曲げ、フィラメント中央部の下側にコイル足25aを出して熱陰極蛍光ランプ10を細径にすることが好ましい。また、バックライトとして用いたときには、反射面7と拡散面9とで覆われた空間内にて連続点灯して使用されることが多い。この場合において、合金部18を介して接続しているので、放電電極部13が熱せられた状態においても脆くなりにくく、安定した接合状態を維持することができるものとなり、バックライト用の熱陰極蛍光ランプとして好適である。
【0039】
<<第二の実施形態>>
図7は、他のフィラメント17とリード線14との他の接続状態を示すものである。この実施の形態においても、コイル足25aをリード線14と並行となる方向に折り曲げ、フィラメント中央部の下側にコイル足25aを出して熱陰極蛍光ランプ10を細径にすることができる。なお、電極部13として、フィラメント17の周囲に図示しない円筒状のスリーブを設けるものでも良い。スリーブを設けることでフィラメント17の飛散が防止される。
【0040】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、また、製造方法も新たに必要となる部材を用いることなく製造できる。
なお、この発明は前述した実施形態に限られるものではない。例えば、前述した第1次コイル体23を製造する際にモリブデン線21のみを芯線とするのではなくモリブデン線21とは別のタングステン線もモリブデン線21と共に芯線として製造することで多重フィラメントタイプとする場合等も本発明に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、蛍光ランプ用フィラメント電極を用いた熱陰極蛍光ランプ、および熱陰極蛍光ランプを用いたバックライトなどの機器に適用することができ、従来よりも揺れに強く長寿命な熱陰極蛍光ランプを提供することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 面光源装置
2 蛍光ランプ部
3 ハウジング
4 拡散板
5 拡散シート
6 プリズムシート
7 反射面
8 接合部
9 拡散面
10 熱陰極蛍光ランプ
11 ガラス管
12 蛍光体層
13 放電電極部
14 リード線
15 ガラスビード
16 封止部
17 フィラメント
18 合金部
19 内部空間
21、24 モリブデン線
22 タングステン線
23 第1次コイル体
25 第2次コイル体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のニッケルもしくはニッケル合金からなるリード線と、
一対のリード線の先端部に両端部が接続したフィラメントを有し、
前記フィラメントは多重巻きのフィラメントであり、
前記フィラメントとリード線との接続部は、モリブデンを含む合金を介して溶接されていることを特徴とする蛍光ランプ用フィラメント電極。
【請求項2】
円筒状ガラス管と、
前記ガラス管の端部に封止された蛍光ランプ用フィラメント電極とを有し、
前記電極は、一対のニッケルもしくはニッケル合金からなるリード線と、当該リード線の先端部に両端部が接続したフィラメントを有し、
前記フィラメントは多重巻きのフィラメントであり、
前記フィラメントとリード線との接続部は、モリブデンを含む合金を介して溶接されており、
前記リード線および接続部から延びるフィラメント脚部は、前記ガラス管と平行方向に設けられていることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項3】
請求項1に記載の蛍光ランプ用フィラメント電極の製造方法であって、
前記フィラメントは、モリブデン線と、タングステン線を用意し、巻きまわして第1次コイル体を作る工程と、次いで第1次コイル体を他のモリブデン線に巻いて第2次コイル体を作る工程を有し、
第2次コイル体を製造した後に、フィラメント端部のコイル足とする部分を第1次コイル体のモリブデンを含んで溶解して合金とするコイル足合金化工程と、
コイル足合金化工程の後に、当該合金部分と前記リード線との溶接を行い、モリブデンを含むリード線との溶接部を形成する工程と、を含み、
上記第1次コイル体のモリブデン線は、前記第1次合金化工程を実施した後に、エッチング液にて溶解除去する工程を備える、ことを特徴とする蛍光ランプ用フィラメント電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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