説明

蛍光ランプ装置および照明器具

【課題】
蛍光ランプを用いて小形かつ薄形の平面的な光源を実現できるとともに、点灯中の発光管温度を低下させ、発光効率を向上できる蛍光ランプ装置を提供する。
【解決手段】
蛍光ランプ装置30は、仕切体32の鍔状部32aのうち縁部32cが平板部32bの外周方向に、および上面部32dが平板部32bの他面側方向にそれぞれ露出しているので、鍔状部32aの外方に露出する面積が大きくなり、発光管33から放出される熱が平板部32bを介して鍔状部32aに良好に伝熱されて放熱される。これにより、蛍光ランプ装置30が大形化することなく、発光管33の温度が所望の範囲内に抑えて発光効率が低下することを抑制でき、点灯装置38の回路部品38bの上限規格温度を満足させることが可能となる。さらに、カバー本体31の温度上昇も抑制されるので、カバー本体31が対向する天井面Xの変色や劣化が起こり難くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプと点灯装置とを備えた蛍光ランプ装置及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屈曲されたバルブを備えた発光管を有する蛍光ランプと、この発光管を点灯させる点灯装置とを一体的に備えた蛍光ランプ装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。このような蛍光ランプ装置について、平面的な光源を得るため、扁平な円盤状の本体に点灯装置を収容し、この本体の上面に一体的に口金部を設けるとともに、本体の下面に沿って平面状に屈曲された発光管を配置し、さらに、これら本体の下面と発光管とをグローブで覆った扁平な円盤状の蛍光ランプ装置が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−283139号公報
【非特許文献1】シルバニア 0025219 マイクロリンクス F 7W/840(SYLVANIA 0025219 Micro-Lynx F 7W/840)、[online]、2005年、シルバニア ライティング インターナショナル(Sylvania Lighting International)、[平成18年3月28日検索]、インターネット<http://www.sylvania-lamps.com/catalog/pdflib/lamps2pdf.php?id=2514>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、発光管と点灯装置とを重ねて配置する構成では、互いに近接して配置された発光管及び点灯装置の発熱により、各部の温度が上昇し、例えば、非特許文献1に記載された構成では、本体の温度は、最高で95度まで上昇する旨が示されている(Housing temperature 95℃ maximum)。すなわち、発光管の消費電力が大きくなると発光管の温度が所望の範囲を超えて上昇し、発光効率が低下するという問題を有している。また、発光管の温度上昇により、点灯装置の回路の上限規格温度を満足させることが困難になる。さらに、発光管や点灯装置の温度上昇に伴い、本体の温度が上昇すると、この本体が対向する取付面の温度が上昇し、取付面の変色や劣化の進行の原因となる。一方、発光管の最冷部温度を低下させ、あるいは、点灯装置の回路の上限規格温度を満足させるために、発光管や点灯装置を収納する部分の容積を大きくすると、蛍光ランプ装置が大形化する問題を有している。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、蛍光ランプを用いて小形かつ薄形の平面的な光源を実現できるとともに、点灯中の発光管温度を低下させ、発光効率を向上できる蛍光ランプ装置及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の蛍光ランプ装置は、発光管と、発光管を一面側で支持する平板部および平板部の外周縁側に設けられた縁部と平板部の他面側に設けられた上面部とで構成された略環状の鍔状部を有し、この鍔状部が外方に露出するように形成されている金属製の仕切体と、この仕切体の鍔状部の他面側内方に配設されて鍔状部よりも他面側に突出する収容部を有し、この収容部と鍔状部との間であって他面側に突設する口金ピンが設けられたカバー部材と、発光管の点灯回路を有し、カバー部材の収容部内に配設された点灯装置と、開口端部が仕切体の平板部の一面側に支持された透光性のグローブとを具備していることを特徴とする。
【0006】
本発明において、発光管は、一本の発光管を略U字形に屈曲したもの、複数本の直管形のガラス管端部を相互に接合し略H字形に連結したもの、螺旋状に巻いたもの、さらには放電路が平面状に蛇行された平面形状のもの等、その形状は種々の形態が許容され、特定の形態のものには特に限定されない。さらに、上記のように構成された発光管は、単独で使用されても、また上記の発光管が複数用意され、これら複数の発光管が連続して連通するように連結して使用されるようにしてもよい。
【0007】
金属製の仕切体の材質は熱伝導性が良好なものであれば特に制約されないが、アルミニウム、銅もしくはアルミニウムまたは銅を含む合金等、熱伝導率が高く、安価でかつ軽量な金属であることが好ましい。
【0008】
さらに、仕切体の金属は、白色または光沢があり、光の反射率が高い表面を有していることが好ましいが、特にこれらの要素を有することには限定はされない。
【0009】
仕切体の平板部の形状は円盤状の他、四角形、八角形、六角形等の多角形状をなしていてもよい。
【0010】
仕切体の平板部に発光管を支持する構成は特に限定されない。例えば、シリコーン接着剤などの熱伝導性のよい接着剤によって熱的な接続が行われていると効果的である。
【0011】
仕切体の鍔状部は、平板部の外周縁側に設けられた縁部と平板部の他面側に設けられた上面部とで構成されており、縁部が外周方向の外方に、上面部が他面側方向の外方にそれぞれ露出するように平板部の周縁形状に沿った略環状に形成されている。この鍔状部によって外方に露出する面積が大きくなり、放熱効果が良好となる。しかし、商品の外観上の問題からあまり大きくするには限界があるので、鍔状部の露出面積や段部の形状は、放熱効果と外観、意匠上の観点等から設計上の問題として適宜選択すればよい。
【0012】
また鍔状部は、平板部の全周縁にわたり連続した環形状をなすように設けることが好ましいが、必ずしも全周縁にわたる連続した環形状をなしている必要はなく、放熱性能が確保できていれば平板部の全周縁方向の一部が欠けた形状でもよい。
【0013】
そして、本発明の蛍光ランプ装置は、仕切体の鍔状部が平板部の外周方向および他面側方向にそれぞれ露出するように形成されているので鍔状部の外方に露出する面積が大きくなり、発光管から放出される熱が平板部を介して鍔状部に伝熱されて良好に放熱される。これにより、蛍光ランプ装置が大形化することなく、発光管の温度が所望の範囲内に抑えられて発光効率の低下が抑制されるとともに、点灯装置の回路の上限規格温度を満足させることが可能となる。さらに、カバー本体の温度上昇も抑制されるので、カバー本体に対向する取付面の変色や劣化が起こり難くなる。
【0014】
本発明の蛍光ランプ装置の他の形態は、仕切体の平板部と鍔状部とが一体成形されていることを特徴としている。
【0015】
鍔状部が発光管を支持する平板部と一体に形成されていると、平板部から鍔状部に良好に熱伝導されるため、発光管の熱を効果的に放熱することが可能となる。仕切体は、例えば、アルミニウム等のダイキャストでも、アルミニウム板をプレス加工したものなどでもよく、一体に形成する具体的な手段、方法等は特には限定されない。
【0016】
本発明の照明器具は、器具本体と、この器具本体に取付けられた上記蛍光ランプ装置とを具備していることを特徴としている。
【0017】
そして、この構成では、上記蛍光ランプ装置を備えているので、小形かつ薄形の平面的な光源が実現されるとともに、所望の温度領域が形成され、発光効率が容易に向上する。また、点灯装置を内蔵した蛍光ランプ装置がソケット装置に着脱され、取り扱いが容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の蛍光ランプ装置によれば、仕切体の鍔状部が平板部の外周方向および他面側方向にそれぞれ露出するように形成されているので、鍔状部の外方に露出する面積が大きくなり、発光管から放出される熱が鍔状部から効果的に放熱され、発光管の発光効率の低下が抑制されるとともに、点灯装置の回路の上限規格温度を満足させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の蛍光ランプ装置及び照明器具の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明の第1の実施の形態の蛍光ランプ装置を示し、(a)は側面図、(b)は上面図をそれぞれ示す。図2は図1の蛍光ランプ装置の側断面図である。
【0021】
蛍光ランプ装置30は、カバー部材31と、外方へ露出する鍔状部32aと略円盤状をなす平板部32bとを一体的に形成した金属製の仕切体32と、仕切体32の下面側に取り付けられ円形の中に平面状に蛇行させた発光管33と、この発光管33と共に仕切体32の下面側を覆う透光性のグローブ34と、カバー部材31の上面に一体的に設けられたGX53形式の口金部35で構成されている。
【0022】
蛍光ランプ装置30は、破線で示される天井面X等に設置されたソケット装置36の円孔状の本体収容部37に挿入され、口金ピン35をソケット装置36の接続金具に対し、カバー体31を若干回転させることで接続され、電気的及び機械的に保持される。
【0023】
仕切体32の一面側には、発光管33を支持する平板部32bが設けられている。この平板部32bの外周縁側にはその外周面が一面側に向けて拡開するように傾斜した縁部32cが設けられ、平板部32bの他面側には縁部32cに連続する上面部32dが設けられている。これら縁部32cおよび上面部32dは平板部32bとともに一体的に形成されており、この縁部32cおよび上面部32dによって略環状の鍔状部32aが形成されている。そして、鍔状部32aの縁部32cが平板部32bの外周方向の外方へ、上面部32dが平板部32bの他面方向の外方へそれぞれ露出している。なお、仕切体32は、例えば、アルミニウム等のダイキャストで形成されているが、アルミニウム板をプレス加工したものでもよく、一体に形成する具体的な手段、方法等は特には限定されない。
【0024】
カバー部材31は、樹脂によって成形されており、仕切体32の鍔状部32aの内方に図示しない嵌合手段によって嵌合固着されている。カバー部材31の中央部には、鍔状部32aの上面部32dよりも他面側に突出する収容部31aが形成されており、この収容部31内側に形成されている収容空間には発光管33の点灯回路を有する点灯装置38が収容されている。点灯装置38の点灯回路は、回路基板38aに実装された電解コンデンサやトランジスタからなるスイッチ素子等の回路部品38bによって構成されたインバータ回路からなる。カバー部材31の収容部31aと鍔状部32aとの間には、他面側に突出する一対の口金ピン35,35が突設されている。一対の口金ピン35,35の基端部と回路基板38aとは、リード線38c,38cによって電気的に接続されている。
【0025】
発光管33の内面には、図示しない蛍光体層が設けられ、内部にアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、あるいはクリプトン(Kr)などの希ガスや水銀などを含む封入ガスが封入されている。発光管33は、3本のU字状に屈曲されたバルブを連通管で順次接続し、1本の連続した放電路を形成している。3本のU字状バルブのうち、両側のバルブの各一端部には、ステムシールまたはピンチシールによって電極が封装されている。発光管33のU字状バルブは、シリコーン樹脂を主成分とする接着剤39で仕切体32の平板部32bに沿って取り付けられる。
【0026】
グローブ34は、透光性を有し、すなわち、透明あるいは光拡散性を有するガラスや合成樹脂により、上側(他面側)に開口部を設けた扁平な曲面形状に形成されている。そして、この開口部を囲む縁部は、上側に向かう取付部となるとともに、この取付部が鍔状部32aの下側(一面側)に取付けられている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。蛍光ランプ装置30は、仕切体32の鍔状部32aのうち縁部32cが平板部32bの外周方向に、および上面部32dが平板部32bの他面側方向にそれぞれ露出しているので、鍔状部32aの外方に露出する面積が大きくなり、発光管33から放出される熱が平板部32bを介して鍔状部32aに良好に伝熱されて放熱される。これにより、蛍光ランプ装置30が大形化することなく、発光管33の温度が所望の範囲内に抑えて発光効率が低下することを抑制でき、点灯装置38の回路部品38bの上限規格温度を満足させることが可能となる。さらに、カバー本体31の温度上昇も抑制されるので、カバー本体31に対向する天井面Xの変色や劣化が起こり難くなる。
【0028】
また、鍔状部32aが平板部32bと一体に形成されているので、平板部32bから鍔状部32aへの熱伝導が効率よく行われ、発光管33の熱を効果的に放熱することが可能となる。
【0029】
次に、第2の実施形態の蛍光ランプ装置を説明する。図3は第2の実施形態の蛍光ランプ装置の側断面図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
本実施形態では、仕切体32の平板部32bと発光管33との間に高反射率を有するように表面が研磨処理された反射面が一面側に形成されたアルミニウム製の反射板40が配設されている。
【0031】
この反射板40を配設することで、発光管33の出力光の反射効率が向上し、蛍光ランプ装置30のランプ効率を改善することができる。また、発光管33の放射熱も反射されることから、仕切体32に伝導される熱量が抑えられ、仕切体32およびカバー部材31の温度上昇を抑えることが可能となる。なお、仕切体32の平板部32bとカバー部材31の収容空間31aとの間に空気層やガラスウール層などからなる図示しない断熱層を設けて、収容空間31a内の温度上昇を抑制し、点灯装置38の熱劣化を防止することも可能である。
【0032】
次に、第3の実施形態の蛍光ランプ装置を説明する。図4は第3の実施形態の蛍光ランプ装置の側断面図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施形態では、鍔状部32aの上面部32dの高さ位置が第1の実施形態よりも平板部32bの一面側に近くなっていて、この上面部32dの内側縁部からの口金ピン35の突出面高さまで立上るように形成された周壁部32eが鍔状部32aと一体的に設けられている。このように、鍔状部32aの上面部32dを平板部32bの一面側に近づけて周壁部32eを形成することによって、鍔状部32aの外方に露出する表面積を確保しながら、鍔状部32aの上面部32dをソケット装置36の下面から離すことができるので、上面部32dの放熱効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施の形態の蛍光ランプ装置の(a)は側面図、(b)は上面図をそれぞれ示す。
【図2】図1の蛍光ランプ装置の側断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態の蛍光ランプ装置の側断面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態の蛍光ランプ装置の側断面図。
【符号の説明】
【0035】
30・・・蛍光ランプ装置、31・・・カバー本体、31a・・・収容部、32・・・仕切体、32a・・・鍔状部、32b・・・平板部、32c・・・縁部、32d・・・上面部、33・・・発光管、35・・・口金ピン、38・・・点灯装置、38b・・・回路部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管と;
発光管を一面側で支持する平板部および平板部の外周縁側に設けられた縁部と平板部の他面側に設けられた上面部とで構成された略環状の鍔状部を有し、この鍔状部が外方に露出するように形成されている金属製の仕切体と;
この仕切体の鍔状部の他面側内方に配設されて鍔状部の上面部よりも他面側に突出する収容部を有し、この収容部と鍔状部との間であって他面側に突設する口金ピンが設けられたカバー部材と;
発光管の点灯回路を有し、カバー部材の収容部内に配設された点灯装置と;
開口端部が仕切体の平板部の一面側に支持された透光性のグローブと;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項2】
仕切体の平板部と鍔状部とが一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ装置。
【請求項3】
器具本体と;
この器具本体に取付けられた請求項1または2記載の蛍光ランプ装置と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−273225(P2007−273225A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96653(P2006−96653)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】