説明

蛍光ランプ

【課題】例えば冷陰極蛍光ランプに好適で、蛍光管およびステム等を合成樹脂製またはゴム製とすることによって、軽量化し耐衝撃性を向上して破損を防止し、使用上の安全性を確保するとともに、それらの放熱を抑制することによって、合理的な配置と収納機器やスペースの小型化を実現し、また形状と装飾の自由度を得られ、多様な蛍光管を製作できる一方、蛍光物質の塗布を不要にして生産性を向上し、これを安価に製作できる蛍光ランプを提供すること。
【解決手段】内面に蛍光層3を形成した蛍光管2と、該管2内に配置する電極7を取り付け、かつ前記蛍光管2の両端部を封止して該管2内の封入ガスを封止するステム5と、を備えた蛍光ランプであること。
前記蛍光管2を耐熱性と透光性を備えた合成樹脂製としたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷陰極蛍光ランプに好適で、蛍光管およびステム等を合成樹脂製またはゴム製とすることによって、軽量化し耐衝撃性を向上して破損を防止し、使用上の安全性を確保するとともに、それらの放熱を抑制することによって、合理的な配置と収納機器やスペ−スの小型化を実現し、また形状と装飾の自由度を得られ、多様な蛍光管を製作できる一方、蛍光物質の塗布を不要にして生産性を向上し、これを安価に製作できる蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
冷陰極蛍光ランプは、フィラメントを用いる熱陰極蛍光管に比べ、消費電力が少なく蛍光管の全域で略一様な輝度を得られるとともに、電極の構造を小形化でき、蛍光管の細径化を実現できる等から、液晶ディスプレイのバックライト光源や各種ディスプレイ光源等に広く用いられている。
【0003】
前記冷陰極蛍光ランプとして、内面に蛍光体膜を形成し、内部に水銀やアルゴンガス等の不活性ガスを封入したガラス管製の蛍光管と、該蛍光管の両端に封入したステムに取り付けた一対の放電電極と、該放電電極から蛍光管外へ導出した給電用リ−ド線と、を備えたものがある(特許文献1および2参照)。
【0004】
しかし、前記冷陰極蛍光ランプは、蛍光管をガラス管製としているため、耐衝撃性や耐久性、および強度に不安があり、特に地震の発生時には破砕片が飛散する惧れがあって防災上の不安があり、また高熱に晒されるステム部分をガラス材の代わりに金属材で形成すると、腐食の問題を生じる等の問題があった。
更に、前記蛍光体膜はガラス管の成形後、蛍光物質を含有する蛍光体の塗布を要するため、製作工程が煩雑で手間が掛かり、その分コスト高となる問題があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、蛍光灯のガラス管の外側に合成樹脂製の筒状部材を装着し、その両端部にゴム製の蓋状部材を被着し、前記筒状部材の外周面に合成樹脂製の広告部材を移動可能に巻き付け、該広告部材に所定の広告情報を表示した蛍光灯用表示具がある(特許文献3参照)。
【0006】
前記表示具は、筒状部材によってガラス管を保護し得るが、筒状部材の製作とその装着を要するため、それだけ部品点数が増加し、製作が複雑化してコスト高を招くとともに、ガラス管の外側に筒状部材を装着しているため、表示具が大形かつ重量化する問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開平8−241693号公報
【特許文献2】特開2003−187746号公報
【特許文献3】特開2005−215181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題を解決し、例えば冷陰極蛍光ランプに好適で、蛍光管およびステム等を合成樹脂製またはゴム製とすることによって、軽量化し耐衝撃性を向上して破損を防止し、使用上の安全性を確保するとともに、それらの放熱を抑制することによって、合理的な配置と収納機器やスペ−スの小型化を実現し、また形状と装飾の自由度を得られ、多様な蛍光管を製作できる一方、蛍光物質の塗布を不要にして生産性を向上し、これを安価に製作できる蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、内面に蛍光層を形成した蛍光管と、該管内に配置する電極を取り付け、かつ前記蛍光管の両端部を封止して該管内の封入ガスを封鎖するステムと、を備えた蛍光ランプにおいて、前記蛍光管を耐熱性と透光性を備えた合成樹脂製とし、従来のガラス管製の蛍光管に比べ、軽量化と耐衝撃性を向上し、異物との衝突や落下の際の破損を防止して、使用上の利便と安全性を確保するようにし、地震時における破損や破片の飛散を防止し、防災上の安全性を確保するようにしている。
また、蛍光管の表面温度上昇と放熱を抑制して、蛍光ランプの密接配置や蛍光ランプを収納する機器内の設置スペ−スのコンパクト化を実現し、更に室内の設置スペ−スの猥雑化を防止して、インテリア効果を向上し得るようにしている。
請求項2の発明は、前記ステムを合成樹脂製またはゴム製とし、前記蛍光管と相俟ってステムの軽量化と耐衝撃性の向上を図り、従来のガラス管製の蛍光管に比べ、異物との衝突や落下の際の破損を防止して、使用上の利便と安全性を確保するようにしている。
【0010】
請求項3の発明は、前記蛍光管の外面/およびまたは内面に、合成樹脂製のガスバリア層を形成し、蛍光管内の封入ガス等の漏出を阻止して、蛍光ランプの作動の安定化を図るようにしている。
しかも、外面側のガスバリア層を合成樹脂製とすることによって、合成樹脂製の蛍光管と相俟って、蛍光管からの放熱を抑制し、蛍光ランプを収納する電子機器や室内の温度上昇を防止し、電子機器の作動低下や室内の冷房負荷の増加を防止し得るようにしている。
請求項4の発明は、所定の合成樹脂と蛍光物質を混合して前記蛍光管を成形し、かつ前記蛍光物質を前記蛍光管内面に緻密に分布して蛍光層を形成し、従来のように蛍光管の成形後、該管内に蛍光層を塗布等で形成する工程を省略し、蛍光管を容易かつ速やかに、しかも安価に製作し得るようにしている。
【0011】
請求項5の発明は、前記蛍光管を所定の溶融樹脂に浸漬して、蛍光管の外面/およびまたは内面に、膜状のガスバリア層を形成し、ガスバリア層を容易かつ合理的に製作し得るようにしている。
請求項6の発明は、前記ステムの内面に蛍光層を形成するとともに、その外面にガスバリア層を形成し、ステム部における輝度の向上と蛍光管内の封入ガス等の漏出を防止し、蛍光ランプの安定した作動を増進し得るようにしている。
請求項7の発明は、前記複数の蛍光管を密接して配置し、高輝度照明装置の小形化と、その収容機器等の小形化を図れるようにしている。
請求項8の発明は、前記蛍光ランプが冷陰極蛍光ランプであり、従来の冷陰極蛍光ランプの軽量化と耐衝撃性を改善し、異物との衝突や落下の際の破損を防止して、使用上の利便と安全性を確保するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、蛍光管を耐熱性と透光性を備えた合成樹脂製としたから、従来のガラス管製の蛍光管に比べ、軽量化と耐衝撃性を向上し、異物との衝突や落下の際の破損を防止して、使用上の利便と安全性を確保することができ、地震時における破損や破片の飛散を防止し、防災上の安全性を確保することができる。
また、蛍光管の表面温度上昇と放熱を抑制して、蛍光ランプの密接配置や蛍光ランプを収納する機器内の設置スペ−スのコンパクト化を実現でき、更に室内の設置スペ−スの猥雑化を防止して、インテリア効果を向上し得る効果がある。
請求項2の発明は、前記ステムを合成樹脂製またはゴム製としたから、前記蛍光管と相俟ってステムの軽量化と耐衝撃性の向上を図り、異物との衝突や落下の際の破損を防止して、使用上の利便と安全性を確保することができる。
【0013】
請求項3の発明は、前記蛍光管の外面/およびまたは内面に、合成樹脂製のガスバリア層を形成したから、蛍光管内の封入ガス等の漏出を阻止して、蛍光ランプの作動の安定化を図ることができる。
しかも、外面側のガスバリア層を合成樹脂製とすることによって、合成樹脂製の蛍光管と相俟って、蛍光管からの放熱を抑制し、蛍光ランプを収納する電子機器や室内の温度上昇を防止し、電子機器の作動低下や室内の冷房負荷の増加を防止することができる。
請求項4の発明は、所定の合成樹脂と蛍光物質を混合して前記蛍光管を成形し、かつ前記蛍光物質を前記蛍光管内面に緻密に分布して蛍光層を形成したから、従来のように蛍光管の成形後、該管内に蛍光層を塗布等で形成する工程を省略し、蛍光管を容易かつ速やかに、しかも安価に製作することができる。
請求項5の発明は、前記蛍光管を所定の溶融樹脂に浸漬して、蛍光管の外面/およびまたは内面に、膜状のガスバリア層を形成したから、ガスバリア層を容易かつ合理的に製作することができる。
【0014】
請求項6の発明は、前記ステムの内面に蛍光層を形成するとともに、その外面にガスバリア層を形成したから、ステム部における輝度の向上と蛍光管内の封入ガス等の漏出を防止し、蛍光ランプの安定した作動を増進することができる。
請求項7の発明は、前記複数の蛍光管を密接して配置したから、高輝度照明装置の小形化と、その収容機器等の小形化を図ることができる。
請求項8の発明は、前記蛍光ランプが冷陰極蛍光ランプであるから、従来の冷陰極蛍光ランプの軽量化と耐衝撃性を改善し、異物との衝突や落下の際の破損を防止して、使用上の利便と安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を冷陰極蛍光ランプに適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図3において1は略円筒状の蛍光ランプで、透光性(透明または半透明)と耐熱性を備えた合成樹脂製の蛍光管2を備え、該管2の内面に蛍光層3が表出して形成され、その外面に合成樹脂製のガスバリア層4が形成されている。
【0016】
前記蛍光ランプ2は、透光性と耐熱性を備えた合成樹脂材に、所望の蛍光色に対応する蛍光物質、例えば青色の場合はタングステン酸カルシウム、白色の場合はハロりん酸カルシウムと、所望色の顔料とを混合し、これらを溶融かつ混練り状態で円管状に押し出し成形し、この成形時に前記蛍光物質をフロ−ティング処理して蛍光層3を形成している。
【0017】
すなわち、前記蛍光層3は、蛍光管2の押し出し成形時に、前記合成樹脂材と蛍光物質との比重や分子構造等の物性差を基に、蛍光物質の微粒子を蛍光管2の内面に浮き上がらせ若しくは押し出し、または滲み出させて、これを緻密に分布させて、前記蛍光管2と同時に形成している。
【0018】
前記蛍光物質の滲み出し効果は、主に蛍光管2の合成樹脂材のガラス転移温度、つまり前記合成樹脂の相がガラス状態からゴム状態に移行する温度と、該合成樹脂との相溶性に依存し、ガラス転移温度が室温より低い場合、主鎖の動きが活発になり、蛍光物質が蛍光管2の内面に容易に移動することが確認された。したがって、前記押し出し成形時の室温を、可及的に低温度に設定することが望ましい。
【0019】
前記ガスバリア層4は透光性(透明または半透明)を備えた合成樹脂で形成され、その薄膜を蛍光管2の外周面に気密かつ一体に被覆して、蛍光管2内に封入される水銀やアルゴンガスの漏出を防止可能にしている。
前記ガスバリア層4は、例えば蛍光管2を押し出し成形後、これを所定長さに切断し、管内面をマスクしてガスバリア層4の形成素材である合成樹脂の溶融槽に浸漬し、蛍光管2の外周面に膜状に被覆して形成している。
この場合、蛍光管2の形成樹脂の組織が緻密で、管内の封入ガスの漏出を完全に阻止できる場合は、ガスバリア層4を省略することも可能である。
【0020】
前記蛍光管2の両端に、シール材(図示略)を介してステム5が気密に取り付けられ、該ステム5は耐熱性を有する合成樹脂材またはゴム(天然ゴム若しくは合成ゴム)によって略皿状に成形されている。
【0021】
この場合、ステム5を蛍光管2と同一の合成樹脂で成形することも可能であり、そのようにすれば蛍光管2とステム5を同時に成形し得る。
その際、蛍光管2とステム5を同時に成形した一組の部品のうち、これを例えば一方のステムないし蛍光管2の端部で二分割し、それらを突き合わせて接合すれば、それらの組み付け作業を省略または軽減でき、また輝度の変化を抑制できる。
【0022】
前記ステム5の内側の中央に、略円板状のステムマウント6が突設され、該マウント6の内側にフィラメント等のコイル部を有しない電極7が突設されている。
前記電極7はリ−ド線8を介してピンプラグ9に接続され、該プラグ9がステムマウント6の外側へ突出して、電源へ接続可能にされている。
【0023】
前記ステム5の外周部にステムフランジ10が形成され、該フランジ10とステムマウント6との間に環状溝11が形成され、該溝11に蛍光管2の端部が嵌合され、該蛍光管2の外端部にステムフランジ10が嵌合して、気密に取り付けられている。
【0024】
この場合、前記ステム5を蛍光管2と同質部材で構成し、その内側部に蛍光物質を緻密に分布して蛍光層3を形成し、その外周面にガスバリア層4を被覆すれば、ステム5部の蛍光作用が増大し、その分蛍光ランプ1の輝度が増加するとともに、ステム5部からの封入ガスの漏出を防止でき、蛍光ランプ1の劣化を防止できる。
【0025】
このように構成した冷陰極蛍光ランプは、蛍光管2とステム5を合成樹脂成形して製作する。
このうち、蛍光管2を樹脂成形する場合は、透光性と耐熱性を備えた所望の合成樹脂材を選択し、この合成樹脂材に、所望の蛍光色に対応する蛍光物質、例えば青色の場合はタングステン酸カルシウム、白色の場合はハロりん酸カルシウムと、所望色の顔料とを混合し、これらを溶融かつ混練り状態で円管状に押し出し成形する。
【0026】
そして、前記蛍光管2の成形時に、前記蛍光物質をフロ−ティング処理し、蛍光物質を蛍光管2の内面に緻密に分布かつ表出させて蛍光層3を形成する。
すなわち、前記蛍光管2の押し出し成形時に、前記合成樹脂材と蛍光物質との比重や分子構造等の物性差を基に、蛍光物質の微粒子を蛍光管2の内面に浮き上がらせ若しくは押し出し、または滲み出させて、これを緻密に分布させ、前記蛍光管2と同時に蛍光管2を形成する。したがって、従来のような、ガラス管の成形後に蛍光層を塗布する煩雑な工程が不要になり、その分これを容易かつ速やかに、しかも安価に製作できる。
【0027】
前記蛍光物質の滲み出し効果は、主に蛍光管2の合成樹脂材のガラス転移温度、つまり前記合成樹脂の相がガラス状態からゴム状態に移行する温度と、該合成樹脂との相溶性に依存し、ガラス転移温度が室温より低い場合、主鎖の動きが活発になり、蛍光物質が蛍光管2の内面に容易に移動する。したがって、前記押し出し成形時の室温を、可及的に低温度に設定して置く。
【0028】
次に、前記成形後に蛍光管2を所定長さに切断し、その管内を適宜手段でマスクし、管内面に対する付着を防止処理後、これをガスバリア層4の形成素材である透光性を有する所望の合成樹脂材の溶融槽に浸漬し、蛍光管2の外周面に膜状のガスバリア層4を被覆形成する。
【0029】
また、前記ステム5を樹脂(ゴムを含む)成形する場合は、所定の金型を用意し、これに耐熱性を有する所望の合成樹脂材を充填し、かつその際リ−ド線6と、電極7およびピンプラグ9の基部を埋め込んで成形する。
【0030】
このように本発明は、蛍光管2とステム5を合成樹脂成形して製作しているから、これがガラス管製のものや金属製のものに比べ、所望の形状および断面形状のものを容易に製作できる。しかも、これに所望色の顔料を混合することによって、前述と相俟って蛍光ランプの多様な装飾に応じられる。
【0031】
こうして製作した蛍光管2とステム5を用いて蛍光ランプを組み立てる場合は、蛍光管2と、左右一組のステム5を用意し、蛍光管2の両端部内面にステムマウント6を嵌合し、蛍光管2の両端面を環状溝11に嵌合し、ステムフランジ10を蛍光管2の両端部外周に嵌合し、これらを気密かつ強固に接着して、この後蛍光管2内に所定圧に充填する水銀やアルゴンガス等を封入可能にする。
【0032】
こうして組み立てた蛍光ランプ1は、蛍光管2とステム5が合成樹脂製であるから軽量で、これらをガラス管製とした従来のものに比べて耐衝撃性に優れ、異物に衝突したり落下しても容易に破損しない。したがって、蛍光ランプ1の取り扱いや保管が容易になり、特に地震時に蛍光ランプ1が破損し、その破片が飛散する事態を未然に防止できる。
【0033】
また、蛍光管2を被覆する合成樹脂の熱伝導率は、ガラス(石英)の熱伝導率の略1/6〜1/4であるから、蛍光管2からの放熱や輻射熱を抑制し、蛍光ランプ1を装着するパソコン等の電子機器ないし電気機器内の温度上昇や、室内の温度上昇を抑制し、電子機器等の作動低下を防止するとともに、室内の冷房負荷の増大を防止して、一定の空調状態を維持する。
【0034】
前記蛍光ランプ1の動作は、従来の蛍光ランプと実質的に同一である。
すなわち、蛍光ランプ1を電源に接続し、ピンプラグ9およびリ−ド線8を介して電
極7に通電すると、該電極7が加熱されて電子が放出する。
前記電極7の加熱と同時に、封入した水銀が蒸気になり、その圧力が所定圧に達すると、前記電子が水銀蒸気に衝突し、それから電子がはじき出されて電離が始まる。
そして、前記電子の軌道が変化し、紫外線を放出すると、これが蛍光層3の蛍光物質を励起するため、紫外線が蛍光物質に当り、該蛍光物質から紫外線より波長の長い可視光線が放出され、所定の光源を形成する。
【0035】
また、前記蛍光ランプ1の動作に際しては、蛍光管2の外周面に被覆した合成樹脂製のガスバリア層4によって、蛍光管2内に封入した水銀やアルゴンガス等の流出を阻止し、蛍光ランプ1の安定した動作を維持するとともに、その劣化を防止する。
しかも、ガスバリア層4を形成する合成樹脂の熱伝導率は、前記蛍光管2と同様にガラス(石英)の熱伝導率の略1/6〜1/4であるから、前記蛍光管2の放熱遮断作用ないし断熱効果と相俟って、蛍光ランプ1を装着するパソコン等の電子機器ないし電気機器内の温度上昇や、室内の温度上昇を抑制する。
【0036】
図3乃至図6は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、図3は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態では蛍光管2の内外面に同様なガスバリア層4を形成し、内側のガスバリア層4の内面に蛍光層12を塗布等で被覆して形成している。
【0037】
このように蛍光管2の内外面にガスバリア層4を設けることによって、封入ガスの漏出を強力に防止し、蛍光ランプ1の安定した作動を長期に亘って得られる。
また、内側のガスバリア層4の内面に蛍光層12を形成することによって、前述のように蛍光管2を溶融樹脂槽に浸漬してガスバリア層4を形成する際、蛍光管2の内外面に同時にガスバリア層4を形成でき、前述のような蛍光管2内のマスク処理の面倒がなく、これを合理的に製作できる。
【0038】
図4および図5は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は下部を開口したランプケ−ス13の内部に、前述の蛍光ランプ1を複数密接して配置している。
このように蛍光ランプ1を密接配置しても、蛍光管2自身の材質と、その外周面に設けたガスバリア層4が、前述した断熱効果を奏するから、隣接する蛍光管2の温度上昇を抑制し、蛍光ランプ1相互の作動の劣化を防止して、これを小スペ−スで合理的に配置した高輝度の照明装置を得られる。
【0039】
しかも、蛍光ランプ1の熱放出ないし蛍光管2の温度上昇を抑制できるから、従来のように蛍光ランプ1を電子機器内の取付板から離間して配置したり、室内天井から突出して配置する必要がなく、それだけ電子機器のコンパクト化を図れ、また室内の猥雑感を解消してインテリア効果を向上できる。
【0040】
この場合、蛍光管2とステム9を合成樹脂製としているから、蛍光ランプ1を図5のように矩形断面とした角柱状に成形でき、これが円柱状のものに比べて、更に密接配置効率が向上し、合理的な配置が可能になる。
【0041】
図6は本発明の第4の実施形態を示し、この実施形態はインバ−タ−回路を内蔵した蛍光ランプ1の作動制御回路を示している。すなわち、冷陰極ランプの作動には高電圧を要するが、このための昇圧トランス14として、二次側が短絡しても一次側に過電流が流れず、瞬間的に高圧を印加して短絡させるリ−ケ−ジトランスを用いている。
前記インバ−タ−の基本回路は、図示のように第1および第2トラジスタ14,15と、その負荷抵抗16,17と、コンデンサ18とでマルチバイブレ−タを構成している。
【0042】
前記作動制御回路は単一または複数の蛍光ランプ1に適用可能であり、前者の場合は
小形化して、蛍光ランプ1の取り付け器具内に組み込み、後者の場合は取り付け器具と別置きにして、壁体等の操作し易い場所に設置する。
また、任意の蛍光ランプ1をID番号で特定し、これを無線または赤外線等のリモ−トコントロ−ルスイッチによって、そのON・OFF作動と昇圧トランス14を昇圧調整し、それらの調光制御を実現可能にしている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の蛍光ランプは、蛍光管およびステム等を合成樹脂製またはゴム製とすることによって、軽量化し耐衝撃性を向上して破損を防止し、使用上の安全性を確保するとともに、それらの放熱を抑制することによって、合理的な配置と収納機器や設置スペ−スの小型化を実現し、また形状と装飾の自由度を得られ、多様な蛍光管を製作できる一方、蛍光物質の塗布を不要にして生産性を向上し、これを安価に製作できるから、例えば冷陰極蛍光ランプに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を適用した冷陰極蛍光ランプの断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図で、若干拡大して示している。
【図3】本発明の第2の実施形態の要部を示す断面図で、蛍光管の内外にガスバリア層を形成し、その内側のガスバリア層の内面に蛍光層を被覆している。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す斜視図で、収納ケ−ス内に複数の蛍光ランプを密接して配置している。
【図5】前記第3の実施形態の収納ケ−ス内に配置した角柱状の蛍光ランプを示す斜視図である
【図6】本発明の第4の実施形態を示す蛍光ランプの作動制御回路図で、その基本回路を図示している。
【符号の説明】
【0045】
1 蛍光ランプ
2 蛍光管
3,12 蛍光層
4 ガスバリア層
5 ステム
7 電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に蛍光層を形成した蛍光管と、該管内に配置する電極を取り付け、かつ前記蛍光管の両端部を封止して該管内の封入ガスを封鎖するステムと、を備えた蛍光ランプにおいて、前記蛍光管を耐熱性と透光性を備えた合成樹脂製としたことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記ステムを合成樹脂製またはゴム製とした請求項1記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記蛍光管の外面/およびまたは内面に、合成樹脂製のガスバリア層を形成した請求項1記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
所定の合成樹脂と蛍光物質を混合して前記蛍光管を成形し、かつ前記蛍光物質を前記蛍光管内面に緻密に分布して蛍光層を形成した請求項1記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
前記蛍光管を所定の溶融樹脂に浸漬して、蛍光管の外面/およびまたは内面に、膜状のガスバリア層を形成した請求項3記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
前記ステムの内面に蛍光層を形成するとともに、その外面にガスバリア層を形成した、請求項3乃至5の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項7】
前記複数の蛍光管を密接して配置した請求項3記載の蛍光ランプ。
【請求項8】
前記蛍光ランプが冷陰極蛍光ランプである請求項1記載の蛍光ランプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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