説明

蛍光体および該蛍光体を備える発光装置

【課題】BaSi:Pbの代替蛍光体として適した発光スペクトル分布を得ることができ、ホウ酸の含有量が少なく、かつ水銀吸着率が低い蛍光体、ならびに、該蛍光体を備える発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の第1の観点に係る蛍光体は、少なくとも、一般式Y1−xCePO但し0.05<x<0.15で表される第1の蛍光体と、一般式Sr1−yEu但し0.01<y<0.20で表される第2の蛍光体とを含有し、第1の蛍光体に対する第2の蛍光体の重量比が1%以上20%以下である。当該重量比は、好ましくは10%以上15%以下であり、より好ましくは10%である。さらに好ましくは、第1の蛍光体の粒径が5μm以下であり、第2の蛍光体の粒径が7μm以下である。本発明の第2の観点に係る発光装置は、少なくとも本発明の第1の観点に係る蛍光体を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線発光装置に利用可能な蛍光体、および該蛍光体を備える発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線発光装置、例えば紫外線蛍光灯に使用されている蛍光体には、様々な化学組成式の物質が使用されている。一例として、BaSi:Pb(発光ピーク波長:351nm、半値幅:41nm)、(Ba,Sr,Mg)Si:Pb(発光ピーク波長:372nm、半値幅:69nm)、(Ca,Zn)(PO:Tl(発光ピーク波長:306nm、半値幅39nm)またはCa(PO:Tl(発光ピーク波長:326nm、半値幅57nm)等を挙げることができる。
【0003】
このうち、BaSi:Pb蛍光体を使用した紫外線発光蛍光灯は、ブラックライトと呼ばれ、一般によく使用されている。例えば、紙幣等の偽造防止の為のセキュリティ機器、または鉱物解析の解析装置等の用途において使用されている。このような装置等では、照射される紫外線発光強度をモニターする為、BaSi:Pbの発光中心波長(波長約350nm)に最大感度を持つ紫外線受光器が使用されている。
【0004】
また、光反応性の樹脂の硬化においても同様の紫外線光源を用い、こちらもBaSi:Pb蛍光体における発光中心波長(波長約350nm)に最大感度を持つ受光器が開発、市販されており、一般的に使用されている。しかし、BaSi:Pb蛍光体は人体に有害な鉛を含有しており、環境問題の観点からも、使用量を減らすことが求められている。他の前述した蛍光体が含有するタリウムについても同様に使用量を減らすことが求められている。
【0005】
そこで、BaSi:Pb等の蛍光体に代わる代替の蛍光体として、化学組成式SrB:Eu(発光ピーク波長:368nm、半値幅:20nm)、またはYPO:Ce(発光ピーク波長:336nm、357nm、半値幅:35nm)等の鉛またはタリウムを使用しない様々な蛍光体が知られており、これらを使用した蛍光灯が開発されている(特許文献1ないし4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−260588号公報
【特許文献2】特開2003−109541号公報
【特許文献3】特開2004−170074号公報
【特許文献4】特表2008−500422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの蛍光体は、いずれもBaSi:Pb蛍光体と発光ピーク波長の位置および発光帯のスペクトル半値幅が異なり、波長約350nmにおいて充分な発光強度を得ることができない。特許文献1、2および4には、前述した種々の蛍光体を適宜混合する手法について記載されているが、具体的に発光ピーク波長、発光スペクトル分布および発光強度をBaSi:Pb蛍光体に近似させる手法については記載されていない。
【0008】
そのため、これら公知の蛍光体およびその単純な混合物では、これまで使用されている紫外線受光器が対応できなくなるという問題が生ずる。また、SrB:Eu蛍光体については、含有されているホウ酸が蛍光灯に使用されているソーダガラスを傷めてしまうという問題も有する。
【0009】
さらに、BaSi:Pb蛍光体は、前述した環境問題の観点以外にも、母体材料がシリコン酸化物で構成されている為、金属等を吸着するという問題がある。すなわち、ランプ放電による水銀と蛍光体との衝突により、蛍光体中に水銀蛍光灯中の水銀が著しく吸着され、その結果として水銀輝線強度が時間と共に減少し、紫外線発光強度が減少することで、蛍光灯の寿命が短くなるという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、BaSi:Pbの代替蛍光体として適した発光スペクトル分布を得ることができ、ホウ酸の含有量が少なく、かつ水銀吸着率が低い蛍光体、ならびに、該蛍光体を備える発光装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点に係る蛍光体は、
少なくとも、一般式Y1−xCePO但し0.05<x<0.15で表される第1の蛍光体と、一般式Sr1−yEu但し0.01<y<0.20で表される第2の蛍光体とを含有し、
前記第1の蛍光体に対する前記第2の蛍光体の重量比は、1%以上20%以下であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の観点に係る発光装置は、少なくとも、本発明の第1の観点に係る蛍光体を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蛍光体および該蛍光体を備える発光装置によれば、BaSi:Pbの代替蛍光体として適した発光スペクトル分布を得ることができ、ホウ酸の含有量が少なく、かつ水銀吸着率が低い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態2に係る発光装置の一例である紫外蛍光灯を示す斜視断面図である。
【図2】実施例1に係る分光放射強度の結果のデータを示す図である。
【図3】実施例2に係る紫外線発光強度の減衰率の結果を示す図である。
【図4】実施例3に係るPLスペクトルの結果のデータを示す図である。
【図5】実施例4に係る紫外線発光強度の結果のデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、紫外線発光装置に利用可能な蛍光体に関する。本実施の形態1に係る蛍光体は、少なくとも、一般式Y1−xCePO(但し、0.05<x<0.15)(以下、YPO:Ce)で表される蛍光体と、一般式Sr1−yEu(但し、0.01<y<0.20)(以下、SrB:Eu)で表される蛍光体とを含有し、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比が1%以上20%以下である。
【0017】
本実施の形態1に係る蛍光体を構成するYPO:CeおよびSrB:Euは、当該技術分野において公知である、これらの蛍光体を製造するあらゆる方法を用いて製造することが可能である。例えば、目的とする蛍光体の組成となるように各元素を含有する化合物(希土類酸化物等)を組み合わせ、焼成、分散、洗浄処理する方法を挙げることができる。焼成時に、適宜フラックス(融剤)を添加しても構わない。
【0018】
具体的には、例えば、YPO:Ce蛍光体の場合、原料として酸化イットリウム、酸化セリウムおよびリン酸水素二アンモニウム等を目的の組成に相当するモル比(0.05<x<0.15)となるように秤量後、焼成、分散、洗浄処理をする。焼成条件としては、例えば還元雰囲気中にて1200℃、2時間とすることができる。
【0019】
SrB:Eu蛍光体の場合には、原料として酸化ストロンチウム、酸化ユウロピウムおよびホウ酸等を目的の組成に相当するモル比(0.01<y<0.20)となるように秤量後、焼成、分散、洗浄処理をする。焼成条件としては、例えば還元雰囲気中にて1000℃、2時間とすることができる。これらの蛍光体を、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比が1%以上20%以下となるように混合する。
【0020】
このように、YPO:Ce蛍光体のモル比を0.05<x<0.15、SrB:Eu蛍光体のモル比を0.01<y<0.20、かつYPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比を1%以上20%以下として混合した本実施の形態1に係る蛍光体のフォトルミネッセンス(PL)スペクトルの分布は、BaSi:Pb蛍光体のPLスペクトルの分布と近似したものとなる。
【0021】
なお、好ましくはYPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比を10%以上15%以下、より好ましくは10%にすることによって、PLスペクトルの分布をBaSi:Pb蛍光体に近似させることができ、かつ適度な紫外線発光強度およびその減衰率を保つことが可能である。
【0022】
すなわち、当該蛍光体を紫外線発光装置に利用することによって、当該紫外線発光装置の発光スペクトル分布を、BaSi:Pb蛍光体を使用した発光装置の代替として適したものとすることが可能である。詳細については、後述する実施の形態2を参照されたい。
【0023】
なお、YPO:Ce蛍光体の粒径が5μm以下、さらにはSrB:Eu蛍光体の粒径が7μmであればより好ましい。粒径がこのような領域の蛍光体を紫外線発光装置の蛍光層に使用することで、極めて緻密な層を形成し、紫外光からガラスを保護するだけでなく、蛍光体層の膜はがれを抑制し、極めて均一な膜厚の蛍光体層を形成する。
【0024】
均一な形状の蛍光体粒子を作製するためには、蛍光体の焼成条件およびフラックス量をコントロールすることが重要である。また、焼成直後の蛍光体を容器に入れ、適当な溶媒と共に、ボールミル法で目的の粒径サイズにすることでも可能である。
【0025】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、前述した実施の形態1の蛍光体を備える紫外線発光装置に関する。
【0026】
本実施の形態2に係る発光装置は、少なくとも前述した実施の形態1の蛍光体を備えていればよい。その他、発光装置として適宜必要な発光要素等を備えても構わない。なお、発光要素は、電気エネルギーを光エネルギーに変換できる公知のものであれば限定されない。例えば、電球、放電管式蛍光灯またはLED等として総称されるものが用いられる。このうち、好ましくは当該発光装置は蛍光灯である。また、発光装置全体としてどのような形状、点灯回路を有していても構わない。
【0027】
本実施の形態2に係る発光装置の製造方法については、各種類の発光装置における公知の製造方法を用いることによって、当業者であれば容易に製造することが可能である。例えば、蛍光灯の場合、蛍光管の内壁に、前述した実施の形態1に係る蛍光体の粉末を無機結合材に分散させた蛍光体分散液を塗着し、これを焼成させることで蛍光体層を配設することが可能である。
【0028】
図1は、実施の形態2に係る紫外線発光装置の一例である紫外蛍光灯を示す斜視断面図である。なお、本発明は蛍光体の組成に技術的意義があるため、図1では電極構造等の蛍光灯細部の構造については簡略化している。図1に示すように、紫外蛍光灯1は、ソーダ石灰ガラスから構成され密封されている蛍光管2と、口金3を有し両端に形成されている口金部4を備えている。蛍光管2の内部には、口金3と電気的に接続される電極5が両端(一方の端部の電極5は図示せず)に存在し、密封された空間は水銀含有ガス6が充填されている。さらに、蛍光管2の内壁には、YPO:Ce蛍光体(0.05<x<0.15)に対するSrB:Eu蛍光体(0.01<y<0.20)の重量比が1%以上20%以下として混合した蛍光体から構成される蛍光体層7が形成されている。
【0029】
本実施の形態2に係る発光装置の発光スペクトル分布は、前述したように、BaSi:Pb蛍光体を使用した発光装置の代替として適したものとなる。これは、当該発光装置の発光スペクトルが、波長約350nm付近に高い発光強度を有し、かつBaSi:Pb蛍光体での発光スペクトル分布のように長波長側に広がる為である(実施例1および3参照)。その為、BaSi:Pb蛍光体での発光中心波長(波長約350nm)に最大感度を持つ従来の紫外線受光器にそのまま対応することができる。
【0030】
具体的には、例えば、紙幣等の偽造防止の為のセキュリティ機器、医学もしくは生物学の機器、光触媒用ランプ、光反応性の樹脂の硬化の為の光源、または、鉱物解析の解析装置等の用途において現在利用されている紫外線受光器をそのまま使用することが可能である。
【0031】
さらに、本実施の形態2に係る発光装置が備える蛍光体は、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比が1%以上20%以下(好ましくは10%以上15%以下、より好ましくは10%)であり、SrB:Eu蛍光体の割合が少なく、ホウ酸の含有量を減少させることができる。その為、当該発光装置にソーダガラスを使用する場合、ホウ酸による紫外線発光装置中のソーダガラスの損傷を減少させることが可能である。
【0032】
また、当該発光装置が備える蛍光体の母体材料がシリコン酸化物で構成されていない為、水銀吸着率を低くすることが可能であり、水銀を使用する発光装置の寿命をBaSi:Pb蛍光体を備える発光装置と比較して長くすることができる。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
本実施例1では、本発明の蛍光灯の分光放射強度測定(発光スペクトル)に係る実施例について詳細に説明する。
【0034】
YPO:Ce蛍光体は、まず原材料として酸化イットリウム、酸化セリウムおよびリン酸水素二アンモニウムを目的の組成に相当するモル比(0.05<x<0.15)となるように秤量し、1200℃で2時間焼成し、冷却後に分散処理を行った。SrB:Eu蛍光体も同様に、原材料として酸化ストロンチウム、酸化ユウロピウムおよびホウ酸を、目的の組成に相当するモル比(0.01<y<0.20)となるように秤量し、1000℃で2時間焼成し、冷却後に分散処理を行った。
【0035】
BaSi:Pb蛍光体も同様に、原材料を目的の組成に相当するモル比(0.05<z<0.20)となるように秤量し、1300℃で2時間焼成し、冷却後に分散処理を行った。なお、YPO:Ce蛍光体は粒径5μm、SrB:Eu蛍光体は粒径7μm、さらにBaSi:Pb蛍光体は粒径7μmとなるよう作製した。
【0036】
このように作製した各蛍光体を用い、本発明に係る実施例としてSrB:Eu蛍光体をYPO:Ce蛍光体に対して5%混合した蛍光体を用いた蛍光灯を作製した。その比較例1としてBaSi:Pb蛍光体を100%用いた蛍光灯、および比較例2としてYPO:Ce蛍光体を100%用いた蛍光灯を作製し、これらの分光放射強度の比較実験を行った。
【0037】
なお、蛍光灯の作製方法は従来の方法と同様であり、気密容器であるソーダガラスの内面に適量の蛍光体を塗布して作製した。また、当該比較実験は、実施例、比較例1および2の全ての蛍光灯内の蛍光体の膜厚および水銀量を同量にして比較を行った。
【0038】
図2は、実施例1に係る分光放射強度の結果のデータを示す図である。図2に示すように、実施例(YPO:Ce蛍光体に対してSrB:Eu蛍光体を5%)の蛍光灯の発光スペクトル分布、特に発光スペクトルの半値幅は比較例2(YPO:Ce蛍光体100%)に比べて長波長側に広がっており、比較例1(BaSi:Pb蛍光体100%)のものと近似していることが分かった。
【0039】
(実施例2)
本実施例2では、本発明の蛍光灯の紫外線発光強度の減衰率に係る実施例について詳細に説明する。
【0040】
本実施例2において使用した蛍光体および蛍光灯は、前述した実施例1の実施例(YPO:Ce蛍光体に対してSrB:Eu蛍光体を5%)、比較例1(BaSi:Pb蛍光体100%)および比較例2(YPO:Ce蛍光体100%)のものと同様である。
【0041】
これら三つの蛍光灯において、TOPCON製UVR−2(受光部:UD−36)を使用し、当該使用説明書に従って、0時間および100時間点灯後の紫外線発光強度(μW/cm)を測定した。また、100時間点灯後の紫外線発光強度の減衰率(%)についても算出した。
【0042】
図3は、実施例2に係る紫外線発光強度の減衰率の結果を示す図である。図3に示すように、実施例の100時間点灯後の紫外線発光強度は比較例1と同等であり、その減衰率は比較例1と比べて大きく改善している。なお、比較例2では、減衰率は比較例1よりも小さいが、その紫外線発光強度は低いことがわかった。
【0043】
(実施例3)
本実施例3では、本発明の蛍光体の混合割合に係るPLスペクトルの実施例について詳細に説明する。
【0044】
本実施例3では、実施例1において述べたYPO:Ce蛍光体とSrB:Eu蛍光体との混合による効果についてより詳細に実証する為、混合割合を変化させ、そのPLスペクトルの相対強度についての実験を行った。
【0045】
蛍光体の作製方法については前述した実施の形態1と同様であり、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比を0%から20%まで変化させ、当該各混合蛍光体のPLスペクトルの相対強度(%)を測定した。
【0046】
図4は、実施例3に係るPLスペクトルの結果のデータを示す図である。YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比が0、1、3、5、10、15および20%の混合割合の蛍光体について測定した。図4に示すように、実施の形態1において実験した重量比5%付近だけでなく、1%から20%において徐々にPLスペクトルが長波長側に広がっていることがわかった。
【0047】
この結果から、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の重量比が1%以上20%以下の場合において、BaSi:Pb蛍光体を使用した発光装置の代替として利用可能であることが示唆される。
【0048】
(実施例4)
本実施例4では、本発明の蛍光体の混合割合に係る紫外線発光強度測定の実施例について詳細に説明する。
【0049】
前述した実施例3では蛍光体の混合割合に係るPLスペクトルについて調べたが、本実施例4では、混合割合を変化させた蛍光体を用い、その蛍光体を用いた蛍光灯における紫外線発光強度の測定について実験を行った。
【0050】
蛍光体およびその蛍光灯の作製方法、ならびに紫外線発光強度の測定方法については前述した実施の形態1および2と同様であり、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の混合量を0%付近から25%付近まで変化させ、当該各混合蛍光体を用いた蛍光灯の、100時間点灯後での紫外線発光強度を測定した。
【0051】
図5は、実施例4に係る紫外線発光強度の結果を示す図である。図5に示すように、100時間点灯後の紫外線発光強度(μW/cm)は、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の混合量が10%の場合に、最も比較例1(BaSi:Pb蛍光体100%)の紫外線発光強度に近くなっており、混合量が20%を過ぎた辺りから紫外線発光強度は大きく下がっていた。
【0052】
実施例3および実施例4の結果を総合すると、本発明の蛍光体および蛍光灯において、YPO:Ce蛍光体に対するSrB:Eu蛍光体の混合量が、好ましくは10%程度から15%程度、最も好ましくは10%程度の場合に、BaSi:Pbの代替蛍光体およびその蛍光灯として適した発光スペクトル分布を得ることができ、かつ適度な紫外線発光強度およびその減衰率を保つことが可能であることがわかった。
【0053】
以上、実施の形態および実施例について説明したが、本発明は上述した実施の形態および実施例に限定されることはなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0054】
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0055】
(付記1)少なくとも、一般式Y1−xCePO但し0.05<x<0.15で表される第1の蛍光体と、一般式Sr1−yEu但し0.01<y<0.20で表される第2の蛍光体とを含有し、
前記第1の蛍光体に対する前記第2の蛍光体の重量比は、1%以上20%以下であることを特徴とする蛍光体。
【0056】
(付記2)前記第1の蛍光体に対する前記第2の蛍光体の重量比は、10%以上15%以下であることを特徴とする付記1に記載の蛍光体。
【0057】
(付記3)前記第1の蛍光体に対する前記第2の蛍光体の重量比は、10%であることを特徴とする付記1または2に記載の蛍光体。
【0058】
(付記4)前記第1の蛍光体の粒径が5μm以下であることを特徴とする付記1ないし3のいずれかに記載の蛍光体。
【0059】
(付記5)前記第2の蛍光体の粒径が7μm以下であることを特徴とする付記1ないし4のいずれかに記載の蛍光体。
【0060】
(付記6)少なくとも、付記1ないし5のいずれかに記載の前記蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
【0061】
(付記7)前記発光装置が蛍光灯であることを特徴とする付記6に記載の発光装置。
【符号の説明】
【0062】
1 紫外蛍光灯
2 蛍光管
3 口金
4 口金部
5 電極
6 水銀含有ガス
7 蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、一般式Y1−xCePO但し0.05<x<0.15で表される第1の蛍光体と、一般式Sr1−yEu但し0.01<y<0.20で表される第2の蛍光体とを含有し、
前記第1の蛍光体に対する前記第2の蛍光体の重量比は、1%以上20%以下であることを特徴とする蛍光体。
【請求項2】
前記第1の蛍光体に対する前記第2の蛍光体の重量比は、10%以上15%以下であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
【請求項3】
前記第1の蛍光体に対する前記第2の蛍光体の重量比は、10%であることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光体。
【請求項4】
前記第1の蛍光体の粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項5】
前記第2の蛍光体の粒径が7μm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項6】
少なくとも、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
前記発光装置が蛍光灯であることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−17370(P2012−17370A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154238(P2010−154238)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【出願人】(591008591)株式会社東京化学研究所 (3)
【Fターム(参考)】