説明

蛍光体の製造方法

【課題】発光強度に優れる蛍光体の製造方法および発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る蛍光体の製造方法は、アルカリ金属元素の少なくとも1種を含有する第1原料、SiおよびGeの少なくとも1種を含有する第2原料、Ca、SrおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する第3原料、希土類元素、BiおよびMnから選択される少なくとも1種を含有する第4原料および水を40℃以上、60℃以下で混合して水溶液を得る工程(1)と、前記水溶液を40℃未満に冷却する工程(2)と、前記水溶液を60℃以上に加温する工程(3)と、前記水溶液から水を除去して、前駆体を得る工程(4)と、前記前駆体を焼成する工程(5)を、工程(1)〜(5)の順番で含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白色LEDは、紫外から青色の領域の光(波長が380〜500nm程度)を放出するLEDチップと、該LEDチップから放出される光で励起されて発光する蛍光体とを組み合わせて構成されるものであり、その組み合わせによって様々な色温度の白色を実現することができる。
【0003】
紫外から青色の領域の光によって励起され発光する蛍光体は、白色LEDに好適に用いることができる。白色LED用の蛍光体として、例えば、特許文献1にはY3Al512:Ce(YAG:Ce)で示される蛍光体が開示され、特許文献2、3には、Li2SrSiO4:Euで示される蛍光体が開示されている。
【0004】
蛍光体を高輝度化するため、従来から様々な製造方法が検討されており、例えば液相反応で、蛍光体を構成する成分を均一に分散させた前駆体を得た後、その前駆体を焼成することによって蛍光体を製造する方法が知られている。より具体的には、金属イオン含有溶液のpHを変化させて水酸化物を析出させる方法や、炭酸ガスや炭酸水素アンモニウムを添加することによって不溶性の炭酸塩を析出させて前駆体を調製する共沈法、金属アルコキシドを加水分解して前駆体を得るゾルゲル法、また金属イオン含有溶液中の金属イオンを錯体化させ、加熱することでポリマー化し、有機成分を大気焼成によって除去することで均一な前駆体を調製する錯体重合法などが挙げられる。しかし、これらの方法でも得られる蛍光体の発光強度(発光スペクトルのピーク強度)は不十分であり、蛍光体の高輝度化には未だ改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−242513号公報
【特許文献2】国際公開第03/80763号パンフレット
【特許文献3】特開2006−237113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発光強度(発光スペクトルのピーク強度)に優れる蛍光体の製造方法および発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る蛍光体の製造方法は、アルカリ金属元素の少なくとも1種を含有する第1原料、SiおよびGeの少なくとも1種を含有する第2原料、Ca、SrおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する第3原料、希土類元素、BiおよびMnから選択される少なくとも1種を含有する第4原料および水を、40℃以上、60℃以下で混合して水溶液を得る工程(1)と、前記水溶液を40℃未満に冷却する工程(2)と、前記水溶液を60℃以上に加温する工程(3)と、前記水溶液から水を除去して、前駆体を得る工程(4)と、前記前駆体を焼成する工程(5)を、工程(1)〜(5)の順番で含むことを特徴とする。
【0008】
前記第1原料は、リチウム含有物質であることが好ましく、該リチウム含有物質が水酸化リチウム、酸化リチウムおよび炭酸リチウムよりなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。
【0009】
前記第2原料は、二酸化ケイ素およびケイ酸よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】
前記第3原料は、ストロンチウム含有物質のみであるか、ストロンチウム含有物質とバリウム含有物質、またはストロンチウム含有物質とカルシウム含有物質であることが好ましく、特にストロンチウム含有物質のみであることが好ましい。さらに前記ストロンチウム含有物質は、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウムおよび炭酸ストロンチウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
前記第4原料は、ユウロピウム含有物質であることが好ましく、該ユウロピウム含有物質は、水酸化ユウロピウム、酸化ユウロピウム、炭酸ユウロピウム、硝酸ユウロピウムおよび塩化ユウロピウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0012】
前記工程(2)において水溶液を30℃以下に冷却することや、また前記工程(3)において水溶液を100℃以下で加温することなどが好ましい。
【0013】
前記前駆体はLi4SiO4を含むことや、前駆体が有機成分を実質的に含まないこと、また前駆体が副生物を実質的に含まないことなどが好ましい。
【0014】
前記工程(5)において焼成温度は750〜950℃であることが好ましい。また前記工程(5)において、焼成が還元性雰囲気で行われることが好ましく、さらには前記還元性雰囲気での焼成の前に、大気中での焼成をあらかじめ行うことが好ましい。
【0015】
本発明の製造方法によって得られる蛍光体は、組成式:M12a(M2bc)M3d4で表されることが好ましい。但し、M1はアルカリ金属から選択される少なくとも1種、M2はCa、SrおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種、M3はSiおよびGeよりなる群から選択される少なくとも1種、Lは希土類元素、BiおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種であり、aは、0.9以上、1.2以下、bは、0.8以上、1.2以下、cは、0.005以上、0.2以下、dは、0.8以上、1.2以下である。また、前記蛍光体の結晶系は、六方晶又は三方晶であることが好ましい。
【0016】
1はリチウムであり、かつM3はケイ素であることが好ましく、またM2は、Srであるか、SrとBa、またはSrとCaであることが好ましい。b+c=1、かつd=1であることが好ましい。
【0017】
本発明は、上記記載の製造方法で得られる蛍光体を有する発光装置および白色LEDも包含する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法によれば、前駆体を合成する際の有機成分の混入、および副生物(塩化物、フッ化物、硝酸塩など)の生成を回避することができる。すなわち、前駆体が有機成分や副生物を実質的に含まないものとなり、還元雰囲気において除去することが難しい塩化物、フッ化物、硝酸塩などに起因する問題が生じにくく、従来の液相合成法により得られた蛍光体と比較して発光強度が高い蛍光体を得ることができる。その結果、高性能な白色LEDの実現に不可欠な高輝度蛍光体の製造方法として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の製造方法によって得られる蛍光体は、例えば組成式:M12a(M2bc)M3d4で表される。M1はアルカリ金属から選択される少なくとも1種であり、好ましくはLi、NaおよびKから選択される少なくとも1種であり、より好ましくはLiである。M2は、Ca、SrおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種であり、好ましくはSr単独であり、SrおよびCaであること、SrおよびBaであることも好ましい。Lは、希土類元素、BiおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種であり、少なくともEuを含むことが好ましく、この場合のLはEu単独であるか、Euに加えてさらに希土類元素、BiおよびMnの少なくとも1種を含有することもできる。Lは、Euのみであることがより好ましい。M3はSiおよびGeよりなる群から選択される少なくとも1種であり、Siであることが好ましい。なお、本明細書においてSiおよびGeなどの半金属元素も「金属元素」と表現する。また上記組成式において、M1がLiであり、かつM3がSiであることが好ましい。
【0020】
また上記組成式のa〜dの値は、それぞれ、a:0.9以上1.2以下、b:0.8以上1.2以下、c:0.005以上0.2以下、d:0.8以上1.2以下であることが好ましい。aと、(b+c)と、dの値はほぼ同じであることがより好ましく、すなわちa/(b+c)=0.9〜1.1であり、a/d=0.9〜1.1であり、かつ(b+c)/d=0.9〜1.1であることがより好ましい。さらに、b+c=1かつd=1であることが好ましい。本発明の製造方法により得られる蛍光体は、例えばLi2Sr0.98Eu0.02SiO4である。
【0021】
本発明の蛍光体は、紫外から青色の領域の光で励起されることによって、通常、黄色に発光するものであり、すなわち発光スペクトルにおいて560nm〜590nm付近の波長に発光ピークを持っている。
【0022】
次に本発明の蛍光体の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、第1乃至第4原料と水を原料とし、工程(1)〜(5)を順に含む。工程(1)では第2原料を解重合するとともに、第1、3、4原料中の金属イオンを分散させる。工程(2)では、第1原料と第2原料から化合物を生成させる。工程(3)では第1原料と第2原料から生成した化合物を、第3原料および第4原料に含まれる金属元素などを内包した状態でゲル化させる。工程(4)では水溶液から水を除去して乾燥ゲルの前駆体を得る。本発明において、水溶液とは、非沈降性水性液体を指し、例えばゾルやコロイド溶液も含む意味で用いる。工程(5)では前記前駆体を焼成して蛍光体を得る。以下、第1原料乃至第4原料、および工程(1)〜(5)について順に説明する。
【0023】
第1原料は、上記した蛍光体の組成式のM1で表される元素を含む物質であり、第2原料はM3で表される元素を含む物質、第3原料はM2で表される元素を含む物質、第4原料はLで表される元素を含む物質である。
【0024】
第1原料は、アルカリ金属元素の少なくとも1種を含有する物質であり、好ましくはリチウム含有物質、ナトリウム含有物質、カリウム含有物質であり、特にリチウム含有物質が好ましい。前記リチウム含有物質は、好ましくは水酸化リチウム(LiOH)、酸化リチウム(Li2O)および炭酸リチウム(Li2CO3)よりなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは水酸化リチウム(LiOH)である。
【0025】
第2原料は、SiおよびGeの少なくとも1種を含有する物質であり、好ましくはSiを含有する物質であり、より好ましくは二酸化ケイ素および/またはケイ酸である。
【0026】
第3原料は、Ca、SrおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する物質であり、好ましくはストロンチウム含有物質のみであるか、ストロンチウム含有物質とカルシウム含有物質であること、ストロンチウム含有物質とバリウム含有物質であるも好ましい。ストロンチウム含有物質のみであるか、ストロンチウム含有物質とカルシウム含有物質であることが特に好ましい。前記ストロンチウム含有物質は、水酸化ストロンチウム(Sr(OH)2)、酸化ストロンチウム(SrO)および炭酸ストロンチウム(SrCO3)よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは水酸化ストロンチウム(Sr(OH)2)である。
【0027】
第4原料は、希土類元素、BiおよびMnから選択される少なくとも1種を含有する物質であり、少なくともユウロピウム含有物質を含むことが好ましく、ユウロピウム含有物質のみであることが好ましい。前記ユウロピウム含有物質は、水酸化ユウロピウム(Eu(OH)2、Eu(OH)3)、酸化ユウロピウム(EuO、Eu23)、炭酸ユウロピウム(EuCO3、Eu2(CO33)、硝酸ユウロピウム(Eu(NO32、Eu(NO33)および塩化ユウロピウム(EuCl2、EuCl3)よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0028】
工程(1)では第1乃至第4の原料と水を40℃以上、60℃以下で混合して水溶液を得る。工程(1)では、水溶液の温度(混合温度)を60℃以下にして、イオン化した第1原料中のアルカリ金属元素(例えばリチウムイオン)によって、第2原料(例えば二酸化ケイ素)の結合単位を小さくして解重合させる。60℃以下という温度は、解重合して切断された第2原料の末端に、イオン化した第1原料中のアルカリ金属元素が結合して生成する化合物(例えば、ケイ酸リチウム。以下、「第1原料と第2原料から生成する化合物」と呼ぶ。)のゲル化温度以下となるように定められた値であり、水溶液の温度(混合温度)は好ましくは57℃以下、より好ましくは55℃以下である。工程(1)における水溶液の温度(混合温度)の下限は、40℃とする。工程(1)における水溶液の温度(混合温度)の下限は、好ましくは45℃であり、より好ましくは50℃である。また、工程(1)では攪拌によって第1原料、第3原料、第4原料に含まれる金属元素の金属イオンを分散させることが望ましい。
【0029】
工程(1)では、大気中の二酸化炭素による炭酸塩の生成を抑制することが好ましく、混合雰囲気を不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)とすることが好ましい。混合雰囲気を大気中とする場合は、大気中とのCO2との接触を避けるため、弱攪拌、またはほぼ静置した状態で混合してもよい。CO2と接触すると炭酸塩を生じ、不均一反応の原因となる。
【0030】
工程(1)において、第1乃至第4原料および水の混合順序は特に限定されず、例えば、水に、第1乃至第4原料を全て混合した物を添加すれば良い。工程(1)で用いる水の量は、例えば第1原料、第3原料、および第4原料を溶解させるのに必要な量の1.3倍以上、1.8倍以下程度とすることができる。
【0031】
工程(2)では、工程(1)で得られた水溶液を40℃未満になるまで冷却する。工程(2)では、工程(1)で結合単位の小さくなった第2原料の末端に、イオン化した第1原料中のアルカリ金属元素が結合して、化合物を形成する(例えば、珪酸リチウム(Li4SiO4))。工程(2)の冷却温度は、例えば30℃〜40℃未満(または25℃〜40℃未満)とすることができるが、第1原料と第2原料から十分に化合物を生成させ、前駆体の組成を均質化するためには、30℃以下とすることが好ましい。工程(1)を開始してから工程(2)を終了するまでの時間(すなわち、工程(1)に要する時間、工程(1)から工程(2)の冷却に要する時間および工程(2)に要する時間の合計)は通常10〜60時間であり、より好ましくは12〜24時間である。
【0032】
工程(3)では、混合物を60℃以上に加温する。工程(3)では、60℃以上という温度は、前述した「第1原料と第2原料から生成した化合物」(例えば、ケイ酸リチウム)のゲル化温度以上となるように定められた値であり、このような温度とすることによって「第1原料と第2原料から生成した化合物」をゲル化させることができる(例えば、ポリケイ酸リチウム)。前記化合物は、その他の元素(第3原料および第4原料に含まれる金属元素など)を内包した状態でゲル化する。工程(3)の温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上とする。工程(3)の温度の上限は、例えば100℃である。
【0033】
工程(4)では、水溶液から水を除去して前駆体を得る。該前駆体は、例えばLi4SiO4を含有している。水の除去は、例えば水溶液を加熱して行えば良く、加熱温度は通常90〜120℃であり、好ましくは100〜110℃である。水を除去する際の圧力は特に限定されず、大気圧下でも良いし、減圧下でも良い。大気圧下で水を除去する際は、リボンヒーター、カバーヒーター、マントルヒーターなどを用いることができる。また減圧下で水を除去する場合は、ロータリーエバポレーターなどを用いることができる。
【0034】
本発明の製造方法は、有機成分を用いていないので、工程(4)で得られる前駆体は、有機成分を実質的に含んでいない。本発明の前駆体が、有機成分を実質的に含んでいないとは、有機成分を意図的に加えておらず、原料に含まれる不純物や大気中から混入する物質以外に有機成分を含んでいないことを意味する。また、本発明の製造方法では、塩化物や硝酸塩を用いないか、用いた場合でもそれらの量が従来の液相反応による製造方法と比べて少ないため、本発明の前駆体は、副生物を実質的に含んでいない。本発明の前駆体が副生物を実質的に含んでいないとは、蛍光体の生成を阻害する物質を含んでいないことを意味する。蛍光体の生成を阻害する物質として、例えば塩化物(塩化アンモニウムなど)、フッ化物(フッ化アンモニウムなど)、硝酸塩などが挙げられる。
【0035】
工程(5)では、工程(4)で得られた前駆体を焼成して蛍光体を得る。焼成の雰囲気は、前駆体の組成などにも依存するのであるが、特に蛍光体を構成する元素が還元されることによって発光強度がより向上する蛍光体の場合は還元性雰囲気とすることが好ましく、例えば不活性ガス(窒素、アルゴンなど)と0.1〜10体積%の水素との混合ガスや、アンモニアが挙げられ、特に窒素と5体積%の水素との混合ガスが好ましい。また、強い還元性雰囲気で焼成する場合は、前駆体に適量の(前駆体に対して例えば0.5〜5質量%)炭素を添加して焼成しても良い。前記還元性雰囲気での焼成の前に、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン)または酸化性ガス雰囲気(例えば空気(大気中)、酸素、0体積%超100体積%未満の酸素と不活性ガスとの混合ガス)で焼成を行ってもよい。このようにすることによって、前駆体中の吸着水等を除去することが可能となる。また、工程(5)では、焼成の前に焼成温度よりも低い温度(例えば500〜800℃)で所定時間保持して(例えば1〜100時間、好ましくは10〜90時間)、仮焼を行うことができる。仮焼によって、前駆体を酸化物に変えたり、前駆体の結晶水を除去することができる。仮焼時の雰囲気は特に限定されず、例えば大気中とすることができる。
【0036】
焼成温度および時間についても、前駆体の組成などに依存するが、焼成温度は、通常700〜1000℃であり、好ましくは750〜950℃、より好ましくは800〜900℃である。焼成時間は、通常1〜100時間であり、好ましくは10〜90時間であり、より好ましくは20〜80時間である。焼成の後は、蛍光体を室温まで冷却すればよい。
【0037】
焼成は、反応促進剤の存在下で行うことができる。反応促進剤を用いることによって、得られる蛍光体の発光強度をより向上できる。反応促進剤としては、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、ハロゲン化アンモニウム、ホウ素の酸化物(B23)、ホウ素のオキソ酸(H3BO3)などを用いることができる。前記アルカリ金属ハロゲン化物は、好ましくはアルカリ金属のフッ化物またはアルカリ金属の塩化物であり、例えばLiF、NaF、KF、LiCl、NaCl、KClなどである。前記アルカリ金属炭酸塩は、例えばLi2CO3、Na2CO3、K2CO3である。前記アルカリ金属炭酸水素塩は、例えばNaHCO3である。前記ハロゲン化アンモニウムは、例えばNH4Cl、NH4Iである。
【0038】
工程(4)で得られた前駆体、工程(5)で仮焼した後又は焼成後の焼成物は、粉砕、洗浄、または分級しても良い。粉砕には、通常の粉砕機を用いればよく、例えばボールミルや、ジェットミルなどである。
【0039】
上記した組成式:M12a(M2bc)M3d4で表される蛍光体を得るためには、第1原料乃至第4原料の混合割合を、第1原料乃至第4原料中の(M1元素):(M2元素):(L元素):(M3元素)の原子比が2a:b:c:dとなるように定めればよい。
【0040】
本発明によって得られる蛍光体は、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)を含有していてもよく、これらの合計含有量は、製造原料(上記第1〜4原料で用いられるハロゲン化物、および上記反応促進剤)に含有されるハロゲン元素の合計質量に対して同量以下であれば良く、好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下である。また蛍光体の結晶系は六方晶又は三方晶であることが好ましい。結晶系が六方晶及び三方晶以外であると、白色LEDに用いる蛍光体として適切な黄色発光(560〜590nm程度)とならない場合がある。
【0041】
本発明によって得られる蛍光体は発光強度が高いため、発光装置、例えば白色LEDに好適に用いることができ、本発明は該蛍光体を有する発光装置、および白色LEDも包含する。白色LEDは、例えば特開平11−31845号公報、特開2002−226846号公報等に開示の方法によって製造することができる。すなわち、380nm以上、500nm以下の波長の光を発する発光素子を、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の透光性樹脂で封止し、その表面を覆うように蛍光体を配置することによって、白色LEDを製造することができる。白色LEDが所望の白色を発光できるように、蛍光体の量を適宜設定すれば良い。
【0042】
蛍光体は、本発明の蛍光体を単独で用いても良いし、他の蛍光体と併用しても良い。他の蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Al,Ga)24:Eu、BaMgAl1017:(Eu,Mn)、BaAl1219:(Eu,Mn)、(Ba,Sr,Ca)S:(Eu,Mn)、YBO3:(Ce,Tb)、Y23:Eu、Y22S:Eu、YVO4:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、SrY24:Eu、Ca−Al−Si−O−N:Eu、(Ba,Sr,Ca)Si222:Eu、β−サイアロン、CaSc24:Ce、Li−(Ca,Mg)−Ln−Al−O−N:Eu(ただし、LnはEu以外の希土類金属元素を表す)などが挙げられる。
【0043】
380nm以上500nm以下の波長の光を発する発光素子としては、紫外LED、青色LED等が挙げられ、これらは発光層としてGaN、IniGa1-iN(0<i<1)、IniAljGa1-i-jN(0<i<1、0<j<1、i+j<1)等の層を有する半導体が用いられる。発光層の組成を変化させることにより、発光波長を変化させることができる。
【0044】
蛍光体は、白色LED以外にも、蛍光体励起源が真空紫外線である発光装置(例えば、PDP);蛍光体励起源が紫外線である発光装置(例えば、液晶ディスプレイ用バックライト、三波長形蛍光ランプ);蛍光体励起源が電子線である発光装置(例えば、CRTやFED)にも使用できる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0046】
比較例1
水酸化リチウム(和光純薬工業株式会社製、特級)、水酸化ストロンチウム(和光純薬工業株式会社製、鹿特級)、塩化ユウロピウム(関東化学株式会社製、純度3N5)、二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社製、純度4N)を、Li:Sr:Eu:Siの原子比が2.0:0.98:0.02:1.0となるように秤量した。これらに水を加えて攪拌し、白濁したスラリーを得た。水の量は、上記原料(水酸化リチウム、水酸化ストロンチウム、塩化ユウロピウム)を全て溶解させるのに必要な量の1.5倍とした。白濁した混合物を、IKA製、ホットスターラーを用いて大気中、500rpmで攪拌しながら、25℃で2時間保持した。
【0047】
続いて、前記混合物をエバポレーターを用い、減圧下、110℃で加熱して水を除去し、前駆体を得た。XRD法(X線回折法)を用いて前駆体の組成を測定したところ、前駆体はLi4SiO4を含有していなかった。
【0048】
前記前駆体を大気中、500℃で12時間仮焼して粉末を得た。該粉末を、N2と5体積%のH2との混合ガス雰囲気下、800℃で24時間焼成した後、室温(25℃)まで冷却(空冷)し、組成式Li2(Sr0.98Eu0.02)SiO4で表される蛍光体を得た。
【0049】
得られた蛍光体の発光強度(発光スペクトルのピーク強度)を紫外可視蛍光分光測定装置(日本分光株式会社製FP−6500)を用いて測定し、この時の発光強度を100とした。
【0050】
実施例1
水酸化リチウム(和光純薬工業株式会社製、特級)、水酸化ストロンチウム(和光純薬工業株式会社製、鹿特級)、塩化ユウロピウム(関東化学株式会社製、純度3N5)、二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社製、純度4N)を、Li:Sr:Eu:Siの原子比が2.0:0.98:0.02:1.0となるように秤量した。これらに水を加えて攪拌し、白濁したスラリーを得た。水の量は、上記原料(水酸化リチウム、水酸化ストロンチウム、塩化ユウロピウム)を全て溶解させるのに必要な量の1.5倍とした。白濁した混合物を、IKA製、ホットスターラーを用いて大気中、50rpmで弱攪拌しながら、50℃で2時間保持した後、10分間で30℃まで冷却し、30℃で10時間保持した。
【0051】
続いて、前記混合物を90℃まで昇温し、攪拌しながら90℃で2時間保持した後、前記混合物をエバポレーターを用い、減圧下、110℃で加熱して水を除去し、前駆体(粉末)を得た。XRD法(X線回折法)を用いて前駆体の組成を測定したところ、前駆体はLi4SiO4を含有していることを確認できた。
【0052】
前記前駆体を大気中、500℃で12時間仮焼して粉末を得た。該粉末を、N2と5体積%のH2との混合ガス雰囲気下、800℃で24時間焼成した後、室温(25℃)まで冷却し組成式Li2(Sr0.98Eu0.02)SiO4で表される蛍光体を得た。
【0053】
得られた蛍光体の発光強度(発光スペクトルのピーク強度)を、紫外可視蛍光分光測定装置(日本分光株式会社製FP−6500)を用いて測定したところ、233であり、発光スペクトルのピーク波長は570nmであった。蛍光体の結晶系が六方晶であることをXRDにより確認した。
【0054】
実施例2
水酸化リチウム(和光純薬工業株式会社製、特級)、水酸化ストロンチウム(和光純薬工業株式会社製、鹿特級)、塩化ユウロピウム(関東化学株式会社製、純度3N5)、二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社製、純度4N)を、Li:Sr:Eu:Siの原子比が2.0:0.97:0.03:1.0となるように秤量した。これらに水を加えて攪拌し、白濁したスラリーを得た。水の量は、上記原料(水酸化リチウム、水酸化ストロンチウム、塩化ユウロピウム)を全て溶解させるのに必要な量の1.5倍とした。白濁した混合物を、IKA製、ホットスターラーを用いて大気中、50rpmで弱攪拌しながら、50℃で2時間保持した後、10分間で30℃まで冷却し、30℃で10時間保持した。
【0055】
続いて、前記混合物を90℃まで昇温し、攪拌しながら90℃で2時間保持した後、前記混合物をエバポレーターを用い、減圧下、110℃で加熱して水を除去し、前駆体を得た。XRD法(X線回折法)を用いて前駆体の組成を測定したところ、前駆体はLi4SiO4を含有していることを確認できた。
【0056】
前記前駆体を大気中、500℃で12時間仮焼して粉末を得た。該粉末を、N2と5体積%のH2との混合ガス雰囲気下、800℃で24時間焼成した後、室温(25℃)まで冷却し、組成式Li2(Sr0.97Eu0.03)SiO4で表される蛍光体を得た。
【0057】
得られた蛍光体の発光強度(発光スペクトルのピーク強度)を、紫外可視蛍光分光測定装置(日本分光株式会社製FP−6500)を用いて測定したところ、262であり、発光スペクトルのピーク波長は570nmであった。蛍光体の結晶系が六方晶であることをXRDにより確認した。
【0058】
参考例1(錯体重合法)
硝酸リチウム(関東化学株式会社製、純度2N5)、硝酸ストロンチウム(関東化学株式会社製、純度3N)、硝酸ユウロピウム(関東化学株式会社製、純度3N5)をそれぞれ水に溶解し、0.1M硝酸リチウム水溶液、0.1M硝酸ストロンチウム水溶液、0.1M硝酸ユウロピウム水溶液を得た。
【0059】
得られた硝酸リチウム水溶液、硝酸ストロンチウム水溶液、硝酸ユウロピウム水溶液と、二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社、純度4N)を、Li:Sr:Eu:Siの比が2.0:0.98:0.02:1.0となるように混合し、混合溶液を得た。
【0060】
無水クエン酸(和光純薬工業株式会社製、C687、192.12g/モル、特級)を、前記混合溶液中の金属元素(Li+Sr+Eu+Si)の合計量に対して、モル比で16倍となるように添加し、80℃で2時間攪拌して、クエン酸錯体を生成した。
【0061】
続いて、プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)をクエン酸の量と同じモル量添加し、120℃で3時間攪拌して前記クエン酸錯体を重合して重合体を得、該重合体を電気炉にて大気中800℃で12時間焼成して有機物を分解し、前駆体を得た。
【0062】
前記前駆体を、5体積%のH2を含有するN2雰囲気下、800℃で24時間焼成した後、室温まで冷却した。得られた蛍光体の組成は、Li2(Sr0.98Eu0.02)SiO4であり、発光強度は96であり、発光スペクトルのピーク波長は571nmであった。
【0063】
参考例2(炭酸塩共沈法1)
硝酸ストロンチウム(関東化学株式会社製、純度3N)、硝酸ユウロピウム(関東化学株式会社製、純度3N5)をそれぞれ水に溶解し、0.1M硝酸ストロンチウム水溶液および0.1M硝酸ユウロピウム水溶液を得た。
【0064】
得られた硝酸ストロンチウム水溶液および硝酸ユウロピウム水溶液を、Sr:Euの原子比が0.98:0.02となるように混合して混合水溶液を得た。
【0065】
次に、炭酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製)を水に溶解して0.1M炭酸水素アンモニウム水溶液を用意した。また、水に二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社製、純度4N)を分散した後、アンモニア水を滴下してpH10に調節し、ケイ素含有スラリーを得た。前記ケイ素含有スラリーを攪拌しながら、得られる共沈物のSr:Eu:Siの原子比が0.98:0.02:1.0となるように、前記混合水溶液および前記0.1M炭酸水素アンモニウム水溶液を滴下した。pHを一定に保つため、アンモニア水を同時に滴下し、共沈物を得た。
【0066】
前記共沈物を乾燥して乾燥物を得、乾燥物に、得られる前駆体のLi:Sr:Eu:Siの原子比が2.0:0.98:0.02:1.0となるように炭酸リチウム(関東化学株式会社製、純度99%)を混合し、前駆体を得た。
【0067】
前記前駆体を大気中、500℃で12時間焼成し、さらに5体積%のH2を含有するN2雰囲気下、800℃で24時間焼成した後、室温まで冷却した。得られた蛍光体の組成は、Li2(Sr0.98Eu0.02)SiO4であり、発光強度は125であり、発光スペクトルのピーク波長は570nmであった。
【0068】
参考例3(炭酸塩共沈法2)
塩化ストロンチウム(堺化学工業株式会社製、純度2N以上)、塩化ユウロピウム(関東化学株式会社製、純度3N5)をそれぞれ水に溶解して、0.1M塩化ストロンチウム水溶液、0.1M塩化ユウロピウム水溶液を得た。
【0069】
得られた塩化ストロンチウム水溶液および塩化ユウロピウム水溶液を、Sr:Euの原子比が0.98:0.02となるように混合して混合水溶液を得た。
【0070】
次に、炭酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製)を水に溶解して0.1M炭酸水素アンモニウム水溶液を用意した。また、水に二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社製、純度4N)を分散した後、アンモニア水を滴下してpH10に調節し、ケイ素含有スラリーを得た。前記ケイ素含有スラリーを攪拌しながら、得られる共沈物のSr:Eu:Siの原子比が0.98:0.02:1.0となるように、前記混合水溶液および前記0.1M炭酸水素アンモニウム水溶液を滴下した。pHを一定に保つため、アンモニア水を同時に滴下し、共沈物を得た。
【0071】
前記共沈物を乾燥して乾燥物を得、乾燥物に、得られる前駆体のLi:Sr:Eu:Siの原子比が2.0:0.98:0.02:1.0となるように炭酸リチウム(関東化学株式会社製、純度99%)を混合し、前駆体を得た。
【0072】
前記前駆体を大気中、500℃で12時間焼成し、さらに5体積%のH2を含有するN2雰囲気下、800℃で24時間焼成した後、室温まで冷却した。得られた蛍光体の組成は、Li2(Sr0.98Eu0.02)SiO4であり、発光強度は192であり、発光スペクトルのピーク波長は570nmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体の製造方法であって、
アルカリ金属元素の少なくとも1種を含有する第1原料、
SiおよびGeの少なくとも1種を含有する第2原料、
Ca、SrおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する第3原料、
希土類元素、BiおよびMnから選択される少なくとも1種を含有する第4原料
および水を、40℃以上、60℃以下で混合して水溶液を得る工程(1)と、
前記水溶液を40℃未満に冷却する工程(2)と、
前記水溶液を60℃以上に加温する工程(3)と、
前記水溶液から水を除去して、前駆体を得る工程(4)と、
前記前駆体を焼成する工程(5)
を、工程(1)〜(5)の順番で含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
【請求項2】
前記第1原料は、リチウム含有物質である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記リチウム含有物質は、水酸化リチウム、酸化リチウムおよび炭酸リチウムよりなる群から選択される1種以上である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2原料は、二酸化ケイ素およびケイ酸よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記第3原料は、ストロンチウム含有物質のみであるか、ストロンチウム含有物質とバリウム含有物質、またはストロンチウム含有物質とカルシウム含有物質である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記第3原料は、ストロンチウム含有物質のみである請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ストロンチウム含有物質は、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウムおよび炭酸ストロンチウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第4原料は、ユウロピウム含有物質である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記ユウロピウム含有物質は、水酸化ユウロピウム、酸化ユウロピウム、炭酸ユウロピウム、硝酸ユウロピウムおよび塩化ユウロピウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記工程(2)において、前記水溶液を30℃以下に冷却する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程(3)において、前記水溶液を100℃以下で加温する請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記前駆体はLi4SiO4を含む請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記前駆体は、有機成分を実質的に含まない請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記前駆体は、副生物を実質的に含まない請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
前記工程(5)において、焼成温度は750〜950℃である請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
前記工程(5)において、焼成は還元性雰囲気で行われる請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
還元性雰囲気での焼成の前に、大気中で焼成を行う請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
蛍光体が、組成式:M12a(M2bc)M3d4で表される請求項1〜17のいずれかに記載の製造方法。
但し、M1はアルカリ金属から選択される少なくとも1種、
2はCa、SrおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種、
3はSiおよびGeよりなる群から選択される少なくとも1種、
Lは希土類元素、BiおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種であり、
aは、0.9以上、1.2以下、
bは、0.8以上、1.2以下、
cは、0.005以上、0.2以下、
dは、0.8以上、1.2以下である。
【請求項19】
1はLiであり、M3はSiである請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
b+c=1、d=1である請求項18または19に記載の製造方法。
【請求項21】
2は、Srであるか、SrとBa、またはSrとCaである請求項18〜20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の製造方法で得られる蛍光体を有する発光装置。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれかに記載の製造方法で得られる蛍光体を有する白色LED。

【公開番号】特開2012−177030(P2012−177030A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40537(P2011−40537)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】