説明

蛍光体含有組成物の製造方法

【課題】 硬化物に気泡を含むことが少なく、また蛍光体を均一に分散することが可能な、蛍光体含有組成物の製造方法の提供すること。
【解決手段】 (A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を含有する蛍光体含有組成物の製造方法であって、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を、円筒状の内側面がなめらかな曲面で底面につながった形状を有する容器中で混合撹拌する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体含有組成物の製造方法に関する。より詳しくは、蛍光体が凝集することなく、また硬化させた硬化物中に、気泡が混入すること等が少ない蛍光体含有組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光装置は、通常、半導体発光素子(以下、適宜「LED」ともいう。)上に蛍光体及び液状媒体を含有する蛍光体含有組成物を塗布・乾燥し、これを硬化することによりLEDを封止して製造される。また、LED上に蛍光体を含有しない液状媒体を塗布・乾燥・硬化し、さらに蛍光体及び液状媒体を含有する蛍光体含有組成物を塗布・乾燥した多層構造によりLEDを封止する場合もある。いずれの場合にも、蛍光体を蛍光体含有組成物中に均一に分散させる目的、または蛍光体含有組成物の硬化物における散乱効果や上記硬化物に対する導電性を付与する目的等により、蛍光体とともにフィラーを蛍光体含有組成物に含有させることがある。なお、蛍光体含有組成物が溶剤を含有しない場合には、乾燥工程は省略される。このような、蛍光体含有組成物については、蛍光体や液状媒体の物性、性質などを考慮した種々の組成が開示されている(特許文献1〜4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−77234号公報
【特許文献2】特開2006−294821号公報
【特許文献3】特開2002−338833号公報
【特許文献4】国際公開2006/090804号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記蛍光体含有組成物を用いて封止材等を作製した場合、蛍光体含有組成物の硬化物中に気泡が留まり、光の屈折や散乱が生じたり、硬化物の密着性が低くなったり、また熱によって気泡が膨張し、クラックが生じる場合があった。
そこで、硬化物に気泡を含むことが少なく、また蛍光体を均一に分散することが可能な、蛍光体含有組成物の製造方法の提供が望まれていた。
【0005】
本願発明は、上記課題を鑑みて創案されたもので、硬化物に気泡を含むことが少なく、また蛍光体を均一に分散することが可能な、蛍光体含有組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが、上記の目的を満足し得る蛍光体含有組成物の製造方法について鋭意研究したところ、蛍光体含有組成物の硬化物の気泡は、蛍光体含有組成物の各材料が含有するガスや水分、材料の混合操作によって巻き込まれる気泡等が原因になることを見いだした。
【0007】
これらのことから、蛍光体含有組成物の各材料が含有するガスや水分を該材料から分離し、さらに材料の混合操作によって巻き込まれる気泡を低減させることによって、硬化物に気泡を含むことが少なく、また蛍光体を均一に分散することが可能な、蛍光体含有組成物の製造方法を提供できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を含有する蛍光体含有組成物の製造方法であって、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を、円筒状の内側面がなめらかな曲面で底面につながった形状を有する容器中で混合撹拌することを特徴とする、蛍光体含有組成物の製造方法に関する(請求項1)。
【0009】
また、前記混合攪拌を、底面の中心部が、円筒状の内側面に対して同心状になめらかに隆起した形状に形成されている容器中で行なうことが好ましい(請求項2)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蛍光体含有組成物の各材料が含有するガスを該材料から分離し、さらに材料の混合操作によって巻き込まれる気泡を低減させることによって、硬化物に気泡を含むことが少なく、また蛍光体を均一に分散することが可能な、蛍光体含有組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をそれぞれ詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
【0012】
本発明は、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を含有する蛍光体含有組成物の製造方法であって、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を、円筒状の内側面がなめらかな曲面で底面につながった形状を有する容器中で混合撹拌することを特徴とする、蛍光体含有組成物の製造方法に関する。
以下の記載では、まず、本発明の蛍光体含有組成物の製造方法に使用される材料について順に説明し、その上で上記各工程を中心に蛍光体含有組成物の製造方法について説明する。
【0013】
[1.材料]
<1−1.(A)フィラー>
本発明の製造方法により製造される蛍光体含有組成物(以下、「本発明に係る蛍光体含有組成物」ということがある。)は、(A)フィラーを含有する。本発明にいう(A)フィラーとは、チキソ材や光拡散材、屈折率調整材、骨材、線膨張係数制御材、応力緩和材、熱伝導材、導電材などの、蛍光体含有組成物への機能性付与のために混合される微粒子のことである。
(A)フィラーは、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の微粒子を用いることができ、例えば、無機フィラー(以下、「無機粒子」ということもある)でもよい。また、有機ケイ素化合物フィラーなどのように、有機・無機ハイブリッド成分からなるものでも良い。さらに、(A)フィラーの分散性や濡れ性の他、目的の機能性発現を改善するために任意の表面処理を行ったものでも良い。(A)フィラーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0014】
上述したものの中でも、(A)フィラーとしては無機粒子が好ましい。
無機粒子の種類としては、例えば、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子やダイヤモンド粒子等が挙げられるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。なお、無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0015】
無機粒子の形態は粉体状、スラリー状等、目的に応じいかなる形態でもよいが、透明性を保つ必要がある場合は、本発明の蛍光体含有組成物と屈折率を同等としたり、水系・溶媒系の透明ゾルとして蛍光体含有組成物に加えたりすることが好ましい。
【0016】
(無機粒子の効果)
(A)フィラーとして無機粒子を含有した本発明に係る蛍光体含有組成物は、半導体発光デバイス用部材を形成する半導体発光デバイス用部材形成液として使用することができる。該部材を用いた半導体発光装置は、光学的特性や作業性を向上し、また、以下の〔1〕〜〔5〕の何れかの効果を得るこができる。
【0017】
〔1〕半導体発光デバイス用部材に光散乱物質として無機粒子を混入し、半導体発光装置の光を散乱させることにより、蛍光体に当たる半導体発光素子の光量を増加させ、波長変換効率を向上させると共に、半導体発光装置から外部に放出される光の指向角を広げることができる。
〔2〕半導体発光デバイス用部材に結合剤として無機粒子を配合することにより、クラックの発生を防止することができる。
〔3〕半導体発光デバイス用部材形成液に、粘度調整剤として無機粒子を配合することにより、当該形成液の粘度を高くすることができる。
〔4〕半導体発光デバイス用部材に無機粒子を配合することにより、その収縮を低減することができる。
〔5〕半導体発光デバイス用部材に無機粒子を配合することにより、その屈折率を調整して、光取り出し効率を向上させることができる。
【0018】
半導体発光デバイス用部材形成液における無機粒子の混合割合は、無機粒子の目的に応じて調整すればよい。この場合、混合する無機粒子の種類及び量によって得られる効果が異なる。
【0019】
例えば、無機粒子が粒径約10nm〜100nmの超微粒子状シリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL#200やAEROSIL#RX200)などの場合、半導体発光デバイス用部材形成液のチクソトロピック性が増大するため、上記〔3〕の効果が大きい。
【0020】
また、無機粒子が粒径約数μmの破砕シリカ若しくは真球状シリカの場合、チクソトロピック性の増加はほとんど無く、半導体発光デバイス用部材の骨材としての働きが中心となるので、上記〔2〕及び〔4〕の効果が大きい。
【0021】
また、半導体発光デバイス用部材とは屈折率が異なる粒径約0.1μm〜10μmの無機粒子を用いると、半導体発光デバイス用部材と無機粒子との界面における光散乱が大きくなるので、上記〔1〕の効果が大きい。
【0022】
また、半導体発光デバイス用部材より屈折率の大きな粒径1nm〜10nm、具体的には発光波長以下の粒径をもつ無機粒子を用いると、半導体発光デバイス用部材の透明性を保ったまま屈折率を向上させることができるので、上記〔5〕の効果が大きい。
【0023】
従って、混合する無機粒子の種類は目的に応じて選択すればよい。また、その種類は単一でもよく、複数種を組み合わせてもよい。また、分散性を改善するためにシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていてもよい。
【0024】
((A)フィラーの形状)
(A)フィラー(一次粒子)の中央粒径D50は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常後述する(B)蛍光体の中央粒径D50の1/10以下程度である。具体的には、目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、(A)フィラーを光散乱材として用いる場合、その中央粒径は0.1μm以上10μm以下が好適である。また、例えば、(A)フィラーを骨材として用いるのであれば、その中央粒径は1nm以上10μm以下が好適である。また、例えば、(A)フィラーを増粘剤(チキソ剤)として用いるのであれば、その中央粒径は10nm以上100nm以下が好適である。また、例えば、(A)フィラーを屈折率調整剤として用いるのであれば、その中央粒径は1nm以上10nm以下が好適である。
【0025】
(A)フィラーの粒度分布(QD)は、蛍光体含有組成物中での(A)フィラーの分散状態をそろえるために小さい方が好ましいが、小さくするためには分級収率が下がってコストがかかる傾向にあるため、通常0.03以上、好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.07以上、また、通常0.4以下、好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下である。
【0026】
本発明において、中央粒径(D50)、粒度分布(QD)は、重量基準粒度分布曲線から得ることが出来る。前記重量基準粒度分布曲線は、レーザ回折・散乱法により粒度分布を測定し得られるもので、具体的には、例えば以下のように測定することが出来る。
気温25℃、湿度70%の環境下において、エチレングリコールなどの溶媒に(A)フィラーを分散させる。上記分散液をレーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所 LA−300)により、粒径範囲0.1μm〜600μmにて測定し、重量基準粒度分布曲線を作成する。得られる重量基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を中央粒径D50と表記する。また、積算値が25%及び75%の時の粒径値をそれぞれD25及びD75と表記し、QD=(D75−D25)/(D75+D25)と定義する。QDが小さいことは粒度分布が狭いことを意味する。
【0027】
(A)フィラーの形状は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はなく、任意の形状をとることができる。例えば骨材や熱伝導材などとして(A)フィラーを高密度で充填する場合には(A)フィラーの形状は真球に近い方が好ましい。具体的には、粒子投影像のアスペクト比(最小長/最大長)が、通常0.75以上、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.85以上である。また、通常1.0以下、好ましくは0.98以下、さらに好ましくは0.95以下である。一方(A)フィラーのアスペクト比を高くすることにより硬化物の引張り強度を上げることも出来る。この場合には上記アスペクト比が通常0.1以上、好ましくは0.2以上、さらに好ましく0.25以上、また、通常0.75以下、好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下である。チキソ材としてヒュームドシリカなどを含有させる場合には、数nmの一次粒子が集まり凝集した不定形の凝集粒子状となり分散するが、凝集粒子の最大径が通常1μm以下、好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下であることが透明性・均一性の維持及び適度なチキソ性発現のため好ましい。(A)フィラーが高屈折を付与する無機酸化物などのナノ粒子である場合には、高屈折率無機酸化物の単結晶であることがより高屈折化のために好ましく、中でも立方体状、直方体状、板状であることが好ましい。
【0028】
((A)フィラーの含有率)
本発明の蛍光体含有組成物における無機粒子の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、その適用形態により自由に選定できる。例えば、(A)フィラーを光散乱剤として用いる場合は、その含有率は0.01重量%以上10重量%以下が好適である。また、例えば、(A)フィラーを骨材として用いる場合は、その含有率は1重量%以上50重量%以下が好適である。また、例えば、(A)フィラーを増粘剤(チキソ剤)として用いる場合は、その含有率は0.1重量%以上20重量%以下が好適である。また、例えば、(A)フィラーを屈折率調整剤として用いる場合は、その含有率は10重量%以上80重量%以下が好適である。(A)フィラーの量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化物の密着性、透明性、硬度等の諸特性が低下する可能性がある。
【0029】
また、本発明の蛍光体含有組成物を半導体発光デバイス用部材形成液として用いる場合、(A)フィラーの含有率は、半導体発光デバイス用部材における(A)フィラーの含有率が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、半導体発光デバイス用部材形成液が乾燥工程において重量変化しない場合は半導体発光デバイス用部材形成液における(A)フィラーの含有率は半導体発光デバイス用部材における(A)フィラーの含有率と同様になる。また、半導体発光デバイス用部材形成液が溶媒等を含有している場合など、半導体発光デバイス用部材形成液が乾燥工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた半導体発光デバイス用部材形成液における(A)フィラーの含有率が半導体発光デバイス用部材における(A)フィラーの含有率と同様になるようにすればよい。
【0030】
(その他)
本発明の蛍光体含有組成物は、熱伝導フィラーを併用し、蛍光体や発光素子からの発熱を効率よく外部に放散させてより高輝度の発光装置を提供できる高放熱波長変換層材料として用いることもできる。
【0031】
<1−2.(B)蛍光体>
次に、本発明に用いる蛍光体の種類及び物性について、それぞれ説明する。
<1−2−1.蛍光体の種類>
本発明に用いる蛍光体は特に限定されるものではなく、例えば一般的に公知の無機蛍光体や有機蛍光体を用いることができ、これらを1種または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。以下、蛍光体の具体例を例示するが、例示の一般式においては、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。例えば、「YSiO:Ce3+」、「YSiO:Tb3+」及び「YSiO:Ce3+,Tb3+」を「YSiO:Ce3+,Tb3+」と、「LaS:Eu」、「YS:Eu」及び「(La,Y)S:Eu」を「(La,Y)S:Eu」とまとめて示している。省略箇所はカンマ(,)で区切って示す。
【0032】
本発明に用いることが好ましい蛍光体としては、例えば母体結晶としてMSiO、MS、MGa、MAlSiN、MSi、MSiからなる群(ただし、Mは、Ca、Sr、Baからなる群から選ばれる1種、または2種以上を表す)の少なくとも一つを含有し、かつ付活剤としてCr、Mn、Fe、Bi、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの少なくとも一つを含有する蛍光体が挙げられる。
【0033】
上記蛍光体の具体例としては、たとえば、BaSiO:Eu、(Sr1−aBaSiO:Eu、SrSiO:Eu、CaS:Eu、SrS:Eu、BaS:Eu、CaS:Ce、SrS:Ce、BaS:Ce、CaGa:Eu、SrGa:Eu、BaGa:Eu、CaGa:Ce、SrGa:Ce、BaGa:Ce、CaAlSiN:Eu、SrAlSiN:Eu、(Ca1−aSr)AlSiN:Eu、CaAlSiN:Ce、SrAlSiN:Ce、(Ca1−aSr)AlSiN:Ce、CaSi:Eu、SrSi:Eu、BaSi:Eu、(Ca1−aSrSi:Eu、CaSi:Ce、SrSi:Ce、BaSi:Ce、(Ca1−aSrSi:Ce、CaSi:Eu、SrSi:Eu、BaSi:Eu、CaSi:Ce、SrSi:Ce、BaSi:Ce、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu、BaSi:Eu、(以上に関し、aは0≦a≦1を満たす。)等が挙げられる。
【0034】
中でも、CaS、CaGa:Eu、SrGa:Eu、(Sr0.8Ca0.2)AlSiN:Eu、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu、BaSi:Eu、(Sr,Ca)AlSiN:Eu、を好ましいものとして挙げることが出来る。
【0035】
また、上記蛍光体以外にも、耐久性向上、分散性向上等、目的に応じてその他の蛍光体を用いることもできる。このような蛍光体の組成には特に制限はないが、結晶母体であるY、ZnSiO等に代表される金属酸化物、SrSi等に代表される金属窒化物、Ca(POCl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物に、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが好ましい。
【0036】
結晶母体の好ましい例としては、例えば、(Zn,Cd)S、SrGa、SrS、ZnS等の硫化物、YS等の酸硫化物、(Y,Gd)Al12、YAlO、BaMgAl1017、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017、BaAl1219、CeMgAl1119、(Ba,Sr,Mg)O・Al、BaAlSi、SrAl、SrAl1425、YAl12等のアルミン酸塩、YSiO、ZnSiO等の珪酸塩、SnO、Y等の酸化物、GdMgB10、(Y,Gd)BO等の硼酸塩、Ca10(PO(F,Cl)、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl等のハロリン酸塩、Sr、(La,Ce)PO等のリン酸塩等を挙げることができる。
【0037】
ただし、上記の結晶母体及び付活元素又は共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。
【0038】
(橙色ないし赤色蛍光体)
橙色ないし赤色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「橙色ないし赤色蛍光体」という。)としては、以下のものが挙げられる。橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常580nm以上、好ましくは585nm以上、また通常780nm以下、好ましくは700nm以下の波長範囲にあることが好適である。このような橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)S:Euで表わされるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。更に、特開2004−300247号公報に記載された、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も、本発明に用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
【0039】
また、その他、赤色蛍光体としては、(La,Y)S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O:Eu、Y:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Mn、(Ba,Mg)SiO:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、LiW:Eu、LiW:Eu,Sm、Eu、Eu:Nb、Eu:Sm等のEu付活タングステン酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、LiY(SiO:Eu、Ca(SiO:Eu、(Sr,Ba,Ca)SiO:Eu、SrBaSiO:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)Al12:Ce、(Tb,Gd)Al12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)SiN:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu等のEu付活窒化物蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN:Ce等のCe付活窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、BaMgSi:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)(Zn,Mg)Si:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La):Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn):Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)WO:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)SiNz:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数を表わす。)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−x−yScCe(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGe12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
【0040】
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、又は、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等を用いることも可能である。
【0041】
また、赤色蛍光体のうち、ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上、また、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲内にあるものは、橙色蛍光体として好適に用いることができる。このような橙色蛍光体の例としては、(Sr,Ba,Ca)SiO:Eu、SrBaSiO:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Mg)(PO:Sn2+等のSn付活リン酸塩蛍光体等が挙げられる。
【0042】
以上例示した赤色蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
以上の例示の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Ce、(La,Y)S:Euが好ましく、(Sr,Ca)AlSiN:Eu、(La,Y)S:Euが特に好ましい。
また、以上例示の中でも、橙色蛍光体としては(Sr,Ba)SiO:Euが好ましい。
【0043】
(緑色蛍光体)
緑色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「緑色蛍光体」という。)としては、以下のものが挙げられる。緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常490nm以上、好ましくは510nm以上、より好ましくは515nm以上、また、通常560nm以下、好ましくは540nm以下、より好ましくは535nm以下の波長範囲にあることが好適である。
【0044】
このような緑色蛍光体として、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)SiO:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
【0045】
また、その他、緑色蛍光体としては、SrAl1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu、(Ba,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Si:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)(Sc,Y,Lu,Gd)(Si,Ge)24:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、YSiO:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr−Sr:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi−2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、ZnSiO:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、YAl12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Tb、LaGaSiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y(Al,Ga)12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)(Al,Ga)12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、CaScSi12:Ce、Ca(Sc,Mg,Na,Li)Si12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、SrSi:Eu、(Mg,Sr,Ba,Ca)Si:Eu、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO:Ce,Tb、NaGd:Ce,Tb、(Ba,Sr)(Ca,Mg,Zn)B:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、CaMg(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、MSi:Eu、MSi:Eu、MSi10:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表わす。)等のEu付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
【0046】
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
【0047】
(青色蛍光体)
青色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「青色蛍光体」という。)としては以下のものが挙げられる。青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは470nm以下、より好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
【0048】
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なうBaMgAl1017:Euで表わされるユウロピウム付活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)(POCl:Euで表わされるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al:Eu又は(Sr,Ca,Ba)Al1425:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
【0049】
また、その他、青色蛍光体としては、Sr:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al:Eu又は(Sr,Ca,Ba)Al1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaAl13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa:Ce、CaGa:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu、(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAlSi:Eu、(Sr,Ba)MgSi:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、YSiO:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO・nB:Eu、2SrO・0.84P・0.16B:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi・2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
【0050】
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラゾリン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。以上の例示の中でも、青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Ca,Mg)SiO:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Euが好ましく、BaMgAl1017:Euが特に好ましい。
【0051】
(黄色蛍光体)
黄色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「黄色蛍光体」という。)としては、以下のものが挙げられる。黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
【0052】
このような黄色蛍光体としては、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)やM12:Ce(ここで、Mは2価の金属元素、Mは3価の金属元素、Mは4価の金属元素を表わす。)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Si、及び/又はGeを表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体が挙げられる。
【0053】
また、その他、黄色蛍光体としては、CaGa:Eu、(Ca,Sr)Ga:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al):Eu等の硫化物系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のSiAlON構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体を用いることも可能である。また、黄色蛍光体としては、例えば、brilliant sulfoflavine FF (Colour Index Number 56205)、basic yellow HG (Colour Index Number 46040)、eosine (Colour Index Number 45380)、rhodamine 6G(Colour Index Number 45160)等の蛍光染料等を用いることも可能である。
【0054】
<1−2−2.蛍光体の物性>
本発明に用いる(B)蛍光体の粒径には特に制限はないが、中央粒径(D50)が通常0.1μm以上、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。中央粒径(D50)が小さすぎると、蛍光体含有組成物の硬化物の輝度が低下したり、蛍光体含有組成物中で蛍光体が凝集してしまう場合がある。一方、中央粒径(D50)が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる場合がある。
【0055】
また(B)蛍光体の粒度分布(QD)は、蛍光体含有組成物中での粒子の分散状態をそろえるために小さい方が好ましいが、小さくするためには分級収率が下がってコストアップにつながるので、通常0.03以上、好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.07以上である。また、通常0.4以下、好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である。また、(B)蛍光体の形状は、特に限定されず、任意の形状のものを用いることが可能である。なお、上記中央粒径(D50)、及び粒度分布(QD)は、上述した(A)フィラーと同様の測定方法により測定することができる。
【0056】
また本発明における(B)蛍光体の使用量として、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、その適用形態により自由に選定できる。白色LEDや白色照明等の用途に用いる白色発光の半導体発光装置に用いる蛍光体含有組成物の例を挙げる。例えば(B)蛍光体を均一に分散して半導体発光素子を含むパッケージの凹部全体を埋めてポッティングする場合には、蛍光体含有組成物の固形分中における(B)蛍光体の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。また通常35重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは28重量%以下である。
【0057】
また、例えば同用途で(B)蛍光体を高濃度に分散したものを、半導体発光装置の半導体発光素子の発光面より遠方(例えば、半導体発光素子を含む凹部を透明封止剤で埋めたパッケージ開口面や、LED気密封止用ガラス蓋体、レンズ、導光板等の外部光学部材の出光面など)に薄膜状に塗布する場合には、蛍光体含有組成物の固形分中における(B)
蛍光体の含有量は、通常5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。また、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
【0058】
また、一般に、半導体発光素子の発光色と(B)蛍光体の発光色とを混色して白色を得る場合、半導体発光素子の発光色を一部透過させることになるため、蛍光体含有率は低濃度となり、上記範囲の下限近くの領域となる。一方、半導体発光素子の発光を全て蛍光体発光色に変換して白色を得る場合には、高濃度の(B)蛍光体が好ましいため、蛍光体含有率は上記範囲の上限近くの領域となる。蛍光体含有率がこの範囲より多いと塗布性能が低下したり、光学的な干渉作用により蛍光体の利用効率が低くなり、半導体発光装置の輝度が低くなったりする可能性がある。また、蛍光体含有率がこの範囲より少ないと、(B)蛍光体による波長変換が不十分となり、目的とする発光色を得られなくなる場合がある。
以上白色発光の半導体発光装置の用途について例示したが、具体的な蛍光体含有率は目的色、(B)蛍光体の発光効率、混色形式、蛍光体比重、塗布膜厚、装置形状により多様であり、この限りではない。
【0059】
本発明に使用する蛍光体は、更に耐水性を高める目的で、表面処理が行われていてもよい。上記表面処理の例としては、例えば特表2006−523245号公報に記載されるような、蛍光体に熱処理などを行うことにより、蛍光体の元来の成分を化学的に変性させることによって被覆物を形成させる等の公知の表面処理が挙げられる。
【0060】
また、金属リン酸塩を被覆する表面処理も有効である。具体的には、例えば以下の(i)〜(iii)の手順で進められる表面処理方法が挙げられる。
(i)所定量のリン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどの水溶性のリン酸塩と塩化カルシウム、硫酸ストロンチウム、塩化マンガン、硝酸亜鉛等のアルカリ土類金属、Zn及びMnの中の少なくとも1種の水溶性の金属塩化合物とを蛍光体懸濁液中に混合し、攪拌する。
(ii)アルカリ土類金属、Zn及びMnの中の少なくとも1種の金属のリン酸塩を懸濁液中で生成させると共に、生成したこれらの金属リン酸塩を蛍光体表面に沈積させる。
(iii)水分を除去する。
【0061】
<1−3.(C)液状媒体>
次に、本発明に用いる(C)液状媒体について説明する。(C)液状媒体とは、上記(A)フィラー、及び(B)蛍光体を均一に分散させることが可能な液状の媒体であり、蛍光体含有組成物を硬化した際に上記蛍光体を担持する機能を有するバインダー成分のみからなるもの、または上記バインダー成分及び溶剤を含有するもの、また上記バインダー成分に必要な添加剤を含有させたもの等とすることができる。以下、それぞれの成分について説明する。
【0062】
<1−3−1.バインダー成分>
上記(C)液状媒体に含有されるバインダー成分としては、無機系材料および/または有機系材料が使用できる。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
【0063】
また(C)液状媒体に含有される有機系材料としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0064】
本発明においては、上記無機系材料及び/または有機系材料を1種単独で、また2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることが可能である。
(C)液状媒体中におけるバインダー成分の含有量としては、通常60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。また通常100重量%以下である。また溶剤は硬化物のひずみや発泡につながる場合があるため、最低限の量使用することが好ましく、上記の中でも特に無溶剤とすることが好ましい。
【0065】
上記の中でも特に本発明により製造される蛍光体含有組成物が、照明装置等、大出力の半導体発光装置の半導体発光デバイス用部材に用いられる場合等には、蛍光体含有組成物の硬化物の耐熱性や耐光性等を考慮すると珪素含有化合物を使用することが好ましい。
【0066】
珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。上記の中でも、ハンドリングの容易さ等の点から、シリコーン系材料が好ましい。以下、このシリコーン系材料について説明する。
【0067】
(シリコーン系材料)
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば下記一般組成式で表される化合物及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
ここで、RからRは同じであっても異なってもよく、有機官能基、水酸基、水素原子からなる群から選択される。またM、D、T及びQは0から1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。
【0068】
例えばシリコーン系材料を含有する蛍光体含有組成物を半導体発光素子の封止に用いる場合、液状の蛍光体含有組成物により半導体発光素子を封止した後、熱や光によって硬化させて用いることができる。
【0069】
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン系材料)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン系材料)、及び紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
【0070】
a.付加型シリコーン系材料
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシラン等の(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物と、例えばヒドロシラン等の(C2)ヒドロシリル基を含有する珪素化合物とをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。
【0071】
(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、下記一般式
SiO〔(4−n)/2〕
(但し、式中Rは同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、又は水酸基で、nは1≦n<2を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
上記式のRにおいて、アルケニル基とはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基などの炭素数2〜8のアルケニル基である。Rが炭化水素基である場合はメチル基、エチル基などのアルキル基、ビニル基、フェニル基等の炭素数1〜20の1価炭化水素基から選択される。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。それぞれは異なっても良いが、耐UV性が要求される場合にはRの80%以上はメチル基であることが好ましい。Rが炭素数1〜8のアルコキシ基や水酸基であってもよいが、アルコキシ基や水酸基の含有率は(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物の重量の3%以下であることが好ましい。またnは1≦n<2を満たす正数であるが、この値が2以上であると蛍光体含有組成物を封止剤等に用いる際に十分な強度が得られなくなる可能性があり、1未満であると合成上このオルガノポリシロキサンの合成が困難になる可能性がある。
【0072】
上記アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、例えばビニルシラン、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0073】
分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンとして具体的には、例えばGelest社製の両末端ビニルポリジメチルシロキサン
DMS−V00、
DMS−V03、
DMS−V05、
DMS−V21、
DMS−V22、
DMS−V25、
DMS−V31、
DMS−V33、
DMS−V35、
DMS−V41、
DMS−V42、
DMS−V46、
DMS−V52、
両末端ビニルジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー
PDV−0325、
PDV−0331、
PDV−0341、
PDV−0346、
PDV−0525、
PDV−0541、
PDV−1625、
PDV−1631、
PDV−1635、
PDV−1641、
PDV−2331、
PDV−2335、
両末端ビニルフェニルメチルシロキサン
PMV−9925、
トリメチルシリル基封鎖ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー
VDT−123、
VDT−127、
VDT−131、
VDT−153、
VDT−431、
VDT−731、
VDT−954、
ビニルT−構造ポリマー
VTT−106、
MTV−124、
等が挙げられる。
【0074】
また、(C2)ヒドロシリル基を有する珪素含有化合物としては、例えばヒドロシラン、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0075】
分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンとして具体的には、例えばGelest社製の両末端ヒドロシリルポリジメチルシロキサン
DMS−H03、
DMS−H11、
DMS−H21、
DMS−H25、
DMS−H31、
DMS−H41、
両末端トリメチルシリル封鎖メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー
HMS−013、
HMS−031、
HMS−064、
HMS−071、
HMS−082、
HMS−151、
HMS−301、
HMS−501、
などが挙げられる。
【0076】
本発明における上記(C2)ヒドロシリル基を有する珪素化合物の使用量は、(C1)ビニルシリル基を有する珪素化合物1molに対して通常0.5mol以上であり、好ましくは0.7mol以上、より好ましくは0.8mol以上である。また通常2.0mol以下であり、好ましくは1.8mol以下、より好ましくは1.5mol以下である。これにより硬化後の未反応末端基の残存量を低減し、点灯使用時の着色や剥離等の経時変化が少ない硬化物を得ることができる。
【0077】
また、(C3)付加縮合触媒としては、(C1)成分中のアルケニル基と(C2)成分中のヒドロシリル基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加縮合触媒の例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この(C3)付加縮合触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(C1)成分及び(C2)成分の合計重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常500ppm以下、好ましくは100ppm以下である。これにより触媒活性を高いものとすることができる。
【0078】
b.縮合型シリコーン系材料
縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。具体的には、下記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
【0079】
m+m−1 (1)
【0080】
(式(1)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Yは、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
【0081】
(Ms+s−t−1 (2)
【0082】
(式(2)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Yは、1価の有機基を表わし、Yは、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
また、硬化触媒としては、例えば金属キレート化合物などを好適なものとして用いることができる。金属キレート化合物は、Ti、Ta、Zrのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましい。
【0083】
縮合型シリコーン系材料は公知のものを使用することができ、例えば、特開2006−77234号公報、特開2006−291018号公報、特開2006−316264号公報、特開2006−336010号公報、特開2006−348284号公報、および国際公開2006/090804号パンフレットに記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
【0084】
c.紫外線硬化型液状シリコーンゴム
紫外線硬化型液状シリコーンゴムは、その硬化機構によりいくつかの種類があるが、中でもシリコーンにアクリル基を導入してラジカル開始剤のもとで重合させたもの;紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これでエポキシ基を開環させて架橋させたもの;ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋させたもの;等が、低エネルギーの照射にて硬化可能であり、生産性高く有用である。これら紫外線硬化型液状シリコーンゴムは硬化に高温を必要とせず短時間に硬化完了させることができ、熱に弱い部材と共に硬化しても部材を劣化させることが無い長所がある。一方高濃度の(A)フィラーや(B)蛍光体を含有する場合や硬化厚みが厚い場合には照射光が深部まで届きにくく硬化しにくくなるので、蛍光体含有組成物の透明度、硬化厚みには制限がある。紫外線硬化型液状シリコーンゴムは、透明度、厚み、重合開始剤の選択により通常照射1時間以内、好ましくは30分以内、さらに好ましくは20分以内に目標硬度に到達するものが望ましい。
【0085】
d.特に好ましいシリコーン系材料
シリコーン系材料の中で、特に好ましい材料について、以下に説明する。
シリコーン系材料は、一般に半導体発光装置に用いた場合、半導体発光素子や半導体素子を配置する基板、パッケージ等との接着性が弱いことがあるが、これらと密着性が高いシリコーン系材料とするため、特に、以下の[1]〜[3]のうち1つ以上の特徴を有するシリコーン系材料が好ましい。
【0086】
[1]ケイ素含有率が20重量%以上である。
[2]後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
[3]シラノール含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である。
【0087】
本発明においては、上記の特徴[1]〜[3]のうち、特徴[1]を有するシリコーン系材料が好ましい。さらに好ましくは、上記の特徴[1]及び[2]を有するシリコーン系材料が好ましい。特に好ましくは、上記の特徴[1]〜[3]を全て有するシリコーン系材料が好ましい。また、上記の特徴を有するシリコーン系材料の中でも、縮合型シリコーン系材料が本発明により製造される蛍光体含有組成物の硬化物の耐熱性、耐光性等の観点からは好ましい。
また、上記の特徴を有するシリコーン系材料の中でも、大型素子や紫外発光素子に用いる場合には、縮合型シリコーン系材料が本発明により製造される蛍光体含有組成物の硬化物の耐熱性、耐光性等の観点からは好ましい。
【0088】
なお、発光素子が20mA以下の小型であったり、発光素子の発光色が青色であったりして、耐熱、耐光性が大きく必要とされない場合には、付加型、縮合型、紫外硬化型いずれのシリコーン材料も用いることができる。中でも長期にわたり輝度を維持することが必要である場合には黄変や着色による透過率低下の起きにくい縮合型及び付加型が好ましい。
【0089】
<1−3−2.(C)液状媒体に用いられる溶剤>
上記(C)液状媒体には、溶剤が含有されていてもよい。本発明でいう溶剤とは、上記バインダー成分を分散または溶解させることが可能なものをいうこととする。
【0090】
上記溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭素数1以上3以下の低級アルコール類、炭素数6以上10以下の炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤などを挙げることが出来る。上記溶剤は1種単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。上記の中でも不飽和結合を含む沸点150℃以下の溶剤が硬化時の発泡や点灯時の着色を抑制できる点から好ましい。
【0091】
上記(C)液状媒体中に含有される溶剤の量は、通常0重量%より大きく、また好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記(C)液状媒体中に溶剤を含有することにより、(C)液状媒体の粘度を調整したり、保存時の反応性を制御したりすることができる。
【0092】
<1−3−3.その他の成分>
(C)液状媒体中には、上記バインダー成分、及び溶剤以外に、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を1種、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで含有させることができる。このような成分としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂の含有量は、通常、バインダー成分に対して25重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0093】
また上記(C)液状媒体中には、例えば、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを本発明の目的および効果を損なわない範囲において混合することができる。なお、カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0094】
<1−3−4.(C)液状媒体の使用量>
本発明における(C)液状媒体の使用量は、製造される蛍光体含有組成物中に、通常40重量%以上であり、好ましくは45重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上である。また通常90重量%以下であり、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
【0095】
(C)液状媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、蛍光体含有組成物の硬化物の色度や、演色性、発光効率等を良好なものとするためには、通常上記範囲内とされる。また少なすぎると流動性がなく取り扱いにくいことがある。
【0096】
<1−4.(D)その他の成分>
本発明においては、上記(A)フィラー、(B)蛍光体、(C)液状媒体の他に、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて(D)その他の成分を1種、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで含有させることができる。このような成分としては、例えばフュームドシリカなどのチキソトロープ剤、色素、酸化防止剤、安定化剤(燐系加工安定化剤などの加工安定化剤、酸化安定化剤、熱安定化剤、紫外線吸収剤などの耐光性安定化剤等)、光拡散材、フィラーなど、当該分野で公知の添加物のいずれをも用いることができる。
【0097】
[2.製造方法]
蛍光体含有組成物の硬化物中に気泡が生じると、光の屈折や散乱が生じたり、硬化物の密着性が低くなったり、また、熱によって気泡が膨張し、クラックが生じたりすることがあった。気泡の原因の一つとして、蛍光体含有組成物の各材料が含有するガスや、材料の混合操作によって巻き込まれる気泡、吸湿等が挙げられる。
本発明の蛍光体含有組成物の製造方法によれば、これらのガスや気泡を蛍光体含有組成物から分離(以下、「脱気」ということがある。)することができる。以下具体的に本発明の蛍光体含有組成物の製造方法について説明する。
【0098】
<2−1.本発明の製造方法>
本発明の蛍光体含有組成物の製造方法は、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を含有する蛍光体含有組成物の製造方法であって、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を、円筒状の内側面がなめらかな曲面で底面につながった形状を有する容器中で混合撹拌する(以下、「混合撹拌工程」ということがある。)。なお、このとき(D)その他の成分を含有させてもよい。
図47は、該容器の一例について説明した図であり、容器の底面中心を通る垂直面における模式的な断面図である。図47のうち、符号aで表わされる部分は内側面、符号bで表わされる部分は内側面と底面とをつなぐなめらかな曲面、符号cで表わされる部分は底面を表わしている。
【0099】
容器は、その内側の表面積に対して、なめらかな曲面bの面積が広いほど、混合撹拌を行なうときに対流が起きやすくなり脱気の効率が向上するため好ましいが、広すぎると内容積が小さくなり生産性が低下する傾向にある。
具体的には、容器の底面からの高さを100とした場合に、なめらかな曲面を有する部分の底面からの高さが通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上、また、通常40以下、好ましくは35以下、さらに好ましくは30以下である。この範囲を下回ると、内側面と底面の境界部分において対流しにくい死角部分が生じ、蛍光体含有組成物を塗布、硬化した場合に発泡するという可能性がある。また、この範囲を上回ると、内容積が小さくなり生産性が低下するという可能性がある。
【0100】
また容器は、底面の中心部が、円筒状の内側面に対して同心状になめらかに隆起した形状(いわゆるハット型)に形成されている容器であることがより好ましい。
図48は、上記の該容器の一例について説明した図であり、容器の底面中心を通る垂直面における模式的な断面図である。図48のうち、符号dで表わされる部分は円筒状の内側面に対して同心状になめらかに隆起した部分、符号Hは該隆起した部分dの高さ、符号Hは容器の内側の高さ(底面から容器の口までの高さ)、符号Wは容器の口の大きさ(口径)を表わしている。なお、図47と共通の構造を有する部分に関しては、同じ符号を付してある。
【0101】
このとき、底面cの全面が隆起しているのではなく、底面cの中心が最も高くなるように中心部が隆起している方が好ましい。すなわち、ドーナツ状に隆起していない底面cが存在することが好ましい。
隆起の高さHは、容器の内側の高さHを100とした場合、通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上、また、通常50以下、好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。この範囲を下回ると、中央部に対流の起こりにくい死角の部分が出来るため混合脱気が不十分になる可能性がある。また、この範囲を上回ると、格段の混合効率向上が認められなくなる他、内容積が少なくなり生産性が低下する可能性がある。
【0102】
容器の材質は、蛍光体含有組成物、及びその各材料と化学反応や不純物溶出を起こさないものが好ましい。具体的には、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、テフロン、ステンレス、ガラス等が挙げられる。
【0103】
容器の内容量は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常3mL以上、好ましくは4mL以上、さらに好ましくは5mL以上、また、通常5L以下、好ましくは3L以下、さらに好ましくは1L以下である。この範囲を下回ると、蛍光体含有組成物の自重が少ないため撹拌不能となる可能性がある。また、この範囲を上回ると、混合時に容器から内容液があふれやすくなったり、気液界面が少なくなり混合脱泡が不十分になりやすいという可能性がある。
【0104】
また、容器は、広口ならば作業性が向上するが、狭口ならば異物混入を避けることができ、さらに減圧下で混合撹拌工程を行なう場合には真空度が高まる。そのため、容器の口の大きさは、容器の開口直径と深さの比(開口直径/深さ)が通常0.25以上、好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.5以上、また、通常2.0以下、好ましくは1.9以下、さらに好ましくは1.8以下である。
【0105】
容器の具体例としては、軟膏壺(例えば、馬野化学社製、エムアイケミカル社製、サンケミカル社製、シントウ化学社製、シンリョウ社製、KM化学社製、金鵄社製等が挙げられる。)が好ましい。該容器で撹拌することによって、各材料のガスの分離がより効率よく行なうことができるためである。
【0106】
混合撹拌工程において、各材料((A)フィラー、(B)蛍光体、(C)液状媒体、また混合する場合は(D)その他の成分)の混合順序に制限はなく、全ての材料を容器にいれてから混合撹拌を開始してもよいし、順次材料を追加しながら混合撹拌を行なってもよい。
【0107】
撹拌速度は液量や粘度、撹拌装置にもよるが、通常30rpm以上、好ましくは40rpm以上、さらに好ましくは50rpm以上、また、通常3000rpm以下、好ましくは2500rpm以下、さらに好ましくは2000rpm以下である。この範囲を下回ると、軽沸成分の気液界面への移動が律速となり、除去に時間を要するという可能性がある。また、この範囲を上回ると、撹拌によりかえって泡を巻き込み脱気効率が上がらなったり、粘度高い液状媒体では液面上昇により撹拌の継続が困難になる、また液状媒体とフィラー及び蛍光体との比重差が大きな場合には比重大きな粒子が沈降するなどの可能性がある。撹拌速度は必ずしも一定である必要はなく、高速と低速を交互に繰り返したり、徐々に速度を上げる、或いは下げる、撹拌を一時停止する等の工程を含んでいても良い。
【0108】
また、撹拌時間は、通常1分以上、好ましくは5分以上、さらに好ましくは10分以上、また、通常3時間以下、好ましくは2時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。この範囲を下回ると、脱泡・脱気が不十分で硬化時に発泡するという可能性がある。また、この範囲を上回ると、生産性に劣り、撹拌熱により蛍光体含有組成物の温度が上昇して液状媒体の増粘や分解が起きるという可能性がある。また、フィラーとしてヒュームドシリカを使用し、高せん断の撹拌装置を使用したり高濃度のフィラーを添加撹拌した場合には、上記範囲を超える長時間の撹拌を行った場合にフィラーの過度の分散や表面変質を誘起し、目的とするチキソ性を得ることが出来ない場合がある。
【0109】
混合撹拌工程は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは25℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下の温度下で行なう。この範囲を下回ると、混合中に大気中の水分による結露や液状媒体内の含有水分による氷結が発生し、脱泡・脱気効率が上がらなくなる、という可能性がある。また、この範囲を上回ると、液状媒体の分解が起きたり、蛍光体含有組成物が経時的に増粘するという可能性がある。
【0110】
混合撹拌工程は、通常0kPa以上、好ましくは0.1kPa以上、さらに好ましくは0.5kPa以上、また、通常40kPa以下、好ましくは30kPa以下、さらに好ましくは20kPa以下の圧力下で行なう。この範囲を下回ると、減圧度の維持が困難で高精度の装置を要し、経済的ではないという可能性がある。また、この範囲を上回ると、含有されるガスや水分が残存し硬化時に発泡が起こるため、塗布対象物との密着性低下やクラックの原因となったり、発光装置に用いた場合には目的の輝度を得ることができないという可能性がある。
また、雰囲気は蛍光体含有組成物と反応を起こさないことが好ましく、大気;窒素、希ガスなど不活性ガス;等の環境下で行なうことが好ましい。
【0111】
さらに、撹拌しながら遠心操作を同時に行なう(自転・公転式ミキサーや、自転・公転式真空ミキサー等を用いた遠心撹拌)を行なうことが好ましい。遠心撹拌することで、各材料中のガスがより効率よく分離され、また撹拌操作による気泡の巻き込みを防ぐことができるためである。
【0112】
撹拌装置としては、自転・公転式真空ミキサー(具体的には、シンキー社製AR−100、ARE300、AR−500、ARV310、EME社製V−mini300V、クラボウ社製マゼルスター等が挙げられる。)が好ましい。なお、ミキサー、高速ディスパー、ホモジナイザー、3本ロール、ニーダー、ビーズミル等で混合する等、従来公知の方法を用いることもできるが、これら何れかの方法で撹拌した場合、該撹拌の後に自転・公転式ミキサーや、自転・公転式真空ミキサー等を用いて遠心撹拌することが好ましい。なお、(A)フィラーや(B)蛍光体が凝集しやすいものである場合には、自転・公転式ミキサーや、自転・公転式真空ミキサー等による遠心撹拌の前に、ビーズミルや、三本ロール等を用いて凝集粒子を解砕し、分散を行うことが好ましい。
【0113】
(A)フィラーがヒュームドシリカのように凝集しやすいものである場合には、高濃度のフィラーを(B)蛍光体を除く(C)液状媒体と混合撹拌したマスターバッチを準備し、ついで(C)液状媒体を追加して(A)フィラーを目的濃度に希釈する方法をとっても良い。このような混合方法を取ることにより、ヒュームドシリカの凝集粒子同士の衝突により凝集粒子が効率良く解砕され、一段の工程で混合分散した場合よりも最終的に得られる液の透明度が高くなり、短時間に混合分散を完了することが出来るという利点がある。混合機としてせん断力のかかりにくい遠心脱泡装置を用いる場合には特にマスターバッチ法が有効であり、脱泡しつつ混合撹拌できる利点もある。この場合、マスターバッチのヒュームドシリカ所要量は液状媒体の初期粘度にもよるが、溶媒を除く液状媒体に対し、通常15重量%以上、好ましくは17重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、また通常35重量%以下、好ましくは33重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。この範囲より高濃度になると、フィラーを含有した液状媒体が非常に高粘度となり、流動性が低下するため撹拌混合することが出来なくなる可能性がある。また、この範囲より低濃度となると、フィラー同士の衝突頻度が低くなるため、長時間の混合撹拌を行っても1μmを超える粗大な凝集粒子が多く残留し、得られる液の透明度が低くなる可能性がある。
【0114】
その他(A)フィラーを遠心脱泡機を用いて混合撹拌時する場合には、必要に応じて混合容器内にジルコニアなどのビーズを封入し撹拌しても良い。この場合、ビーズを使用しない場合と比較してより撹拌熱が発生しやすくなるため、撹拌時間及び撹拌温度は撹拌中に液状媒体が過度の粘度上昇や分解を起こさない範囲、通常150℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下に制御することが望ましい。
【0115】
<2−2.その他の工程>
本発明の製造方法においては、少なくとも上述の混合撹拌工程を有していれば、他の工程を有していてもよい。
【0116】
例えば、(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(D)その他の成分が、固体の状態で材料となる場合には、乾燥させる工程(以下、適宜「乾燥工程」という場合がある。)を経てから遠心撹拌工程を行なうことが好ましい。
【0117】
蛍光体含有組成物中における水分の量は、該組成物の増粘効果に影響を与える。そのため、混合撹拌工程において(A)フィラーが水分を吸着したり、他の材料から水分が持ち込まれたりすると、増粘効果に変動が生じる。粘度が上昇するとディスペンサー使用時に吐出量が変動したり、糸引きが生じて糸切れまでに時間を要し、生産性が低下するという可能性があり、低下するとシリンジ中や保存容器中で(B)蛍光体が沈降し、蛍光体濃度に日内誤差や日間誤差が生じる可能性がある。一方で、(A)フィラーに一度吸着した水は分離しづらい。斯かる観点からも混合撹拌工程に水分を持ち込まない方が好ましい。
【0118】
混合撹拌の前に(A)フィラーを乾燥させる工程を行なう場合、その方法には制限はなく、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、通気乾燥等、公知の何れの方法を用いることができる。中でも加熱乾燥が好ましい。また、上記の方法のうち1種類を単独で行なってもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で行なってもよい。
【0119】
(A)フィラーの加熱乾燥を行なう場合には、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下で乾燥する。この範囲を下回ると、乾燥に長時間を要するという可能性がある。また、この範囲を上回ると、(A)フィラーの粒子構造が変化したり、乾燥状態にムラが生じたりするという可能性がある。
【0120】
(A)フィラーの加熱乾燥を行なう場合の雰囲気の相対湿度は、加熱前の25℃において通常0%以上、好ましくは5%以上、また、通常90%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下で乾燥する。この範囲を下回ると、水分の除去効率は上がるものの特殊なデシカント装置が必要となり、不経済かつ生産性に劣るという可能性がある。また、この範囲を上回ると、水分の除去が不十分になり、大型の装置では局所的な水分の再吸着が起きたり、脱水に長時間を要したりするという可能性がある。
【0121】
(A)フィラーの乾燥時間は、通常1分以上、好ましくは5分以上、さらに好ましくは10分以上、また、通常6時間以下、好ましくは4時間以下、さらに好ましくは3時間以下である。この範囲を下回ると、乾燥が不十分になるという可能性がある。また、この範囲を上回ると、生産性が低下し、粒子構造が変化したり粒子が化学的に変性するという可能性がある。
【0122】
また、(A)フィラーの乾燥は、乾燥中の質量変化が、1重量%/時間以下になるまで乾燥する。中でも0.7重量%/時間以下に乾燥することが好ましく、0.5重量%/時間以下に乾燥することがさらに好ましい。
【0123】
以上乾燥工程について(A)フィラーを中心に説明したが、(B)蛍光体等の蛍光体含有組成物の各材料に施してもよいし、後述する半導体発光デバイスに用いるカップ等に施してもよい。これらの材料等に乾燥工程を行なうことによって、上述した効果がより顕著に得られる傾向にある。なお、樹脂材料など劣化しやすい部材を含むものを乾燥する場合には加熱温度が200℃を超えないようにして樹脂劣化を防止し、必要に応じて減圧として乾燥温度を低くしても良い。
【0124】
乾燥工程は、混合撹拌工程より前に行なえばよい。ただし、乾燥した材料が再び吸湿する前に混合撹拌工程に移ることが好ましい。
【0125】
また、上記の混合撹拌工程、及び乾燥工程以外にも、本発明の効果を著しく損なわない限り別の工程を行なってもよい。
【0126】
[3.蛍光体含有組成物]
本工程により製造される蛍光体含有組成物について、以下説明する。
【0127】
<3−1.物性>
本発明により製造される蛍光体含有組成物は、上記各成分を含有するものであれば特に制限はないが、粘度が通常500mPa・s以上、好ましくは1000mPa・s以上、さらに好ましくは2000mPa・s以上であり、通常15000mPa・s以下、10000mPa・s以下、好ましくは8000mPa・s以下である。粘度が高すぎると蛍光体含有組成物を塗布装置に充填する際等に、配管の閉塞などトラブルの原因となる場合がある。また粘度が低すぎると(B)蛍光体の沈降が起こることがある。
【0128】
なお本発明により製造される蛍光体含有組成物は、取り扱い性等の観点や、(C)液状媒体を硬化させる前に(B)蛍光体が沈降しないために、チキソトロープ性を示すものが好ましい。チキソトロープ性を示すことは、ローター回転数を1rpmおよび5rpmとした場合のB型粘度計における粘度が1rpmの粘度が5rpmの粘度より大きいことで確認することができる。
【0129】
<3−2.用途>
本発明により製造される蛍光体含有組成物は、公知の半導体発光装置の半導体発光デバイス用部材の形成に用いられるもの等とすることができるが、この限りではない。またポッティング、スピンコート、印刷などの各種塗布方法に柔軟に対応したものとすることができる。
【0130】
上記蛍光体含有組成物を半導体発光デバイス用部材の形成に用いた場合、(B)蛍光体の分散性が良好であり、半導体発光デバイス用部材中に気泡が生じること等が少ないことから、従来の半導体発光デバイス用部材と比較して、光取り出し効率が高く、密着性及び耐熱性を示し、クラックや剥離が起きにくく、輝度の低下が少ない。したがって、長期にわたって信頼性の高い部材を提供することができる。
以下、本発明により製造される蛍光体含有組成物を半導体発光デバイス用部材の形成に用いた半導体発光装置について説明する。
【0131】
<3−2−1.半導体発光装置の基本概念>
上記半導体発光デバイス用部材を用いた半導体発光装置は、例えば、以下の適用例がある。本発明の半導体発光デバイス用部材は、上記適用例において、従来の半導体発光デバイス用部材と比較して、優れた耐光性、密着性及び耐熱性を示し、クラックや剥離が起きにくく、輝度の低下が少ない。したがって、本発明により製造される蛍光体含有組成物を用いた半導体発光デバイス用部材によれば、長期にわたって信頼性の高い部材を提供することができる。
【0132】
(適用例)発光素子の近傍に、蛍光体含有する半導体発光デバイス用部材(以下適宜、「蛍光体部」という)を配設し、発光素子からの光により蛍光体部中の(B)蛍光体や蛍光体成分を励起させ、蛍光を利用して所望の波長の光を発光する半導体発光装置。
【0133】
この適用例においては、上記半導体発光デバイス用部材の高い耐久性、透明性および封止材性能を生かし、高耐久性で光取り出し効率の高い蛍光体部を形成することができる。さらに、上記半導体発光デバイス用部材に、(B)蛍光体や蛍光体成分に加えて透明高屈折成分を併せて保持させた場合、上記半導体発光デバイス用部材の屈折率を発光素子や(B)蛍光体の屈折率近傍にすることで、界面反射を低減し、より高い光取り出し効率を得ることができる。
【0134】
以下に、上記半導体発光デバイス用部材を適用した基本概念について、図1を参照しながら説明する。なお、図1は上記実施形態の基本概念の説明図である。発光装置1B(半導体発光装置。以下、半導体発光装置を単に「発光装置」ということがある。)は、図1に示すように、LEDチップからなる発光素子2と、発光素子2の近傍に配設された上記半導体発光デバイス用部材3Bとを備えている。
【0135】
図1に示すような半導体発光装置1Bは半導体発光デバイス用部材3Bに(B)蛍光体や蛍光体成分を含む。この場合、半導体発光デバイス用部材3Bは、発光素子2の封止、光取り出し機能、機能性成分保持機能や、波長変換機能を発揮できる。なお、以下の説明において、(B)蛍光体や蛍光体成分を含有する半導体発光デバイス用部材3Bを、適宜「蛍光体部」と呼ぶ。また、蛍光体部は、その形状や機能などに応じて、適宜、符号33,34などで示す場合もある。
【0136】
発光素子2は、例えば、青色光ないし紫外光を放射するLEDチップにより構成されるが、これら以外の発光色のLEDチップであってもよい。
【0137】
蛍光体部3Bは、発光素子2の高耐久性封止材、光取出し膜、諸機能付加膜などの機能を発揮しうると共に、発光素子2からの光により励起されて所望の波長の光を発光する波長変換機能を発揮するものである。蛍光体部3Bは、発光素子2からの光により励起されて所望の波長の光を発光する蛍光物質を少なくとも含んでいればよい。このような蛍光物質の例としては、上に例示した各種の(B)蛍光体が挙げられる。蛍光体部3Bの発光色としては、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色は勿論のこと、蛍光灯のような白色や電球のような黄色も可能である。要するに、蛍光体部3Bは、励起光とは異なる所望の波長の光を放射する波長変換機能を有している。
【0138】
図1に示す発光装置1Bでは、発光素子2から放射された光の一部4aは蛍光体部3Bをそのまま透過し、発光装置1Bの外部へ放射される。また、発光装置1Bでは、発光素子2から放射された光の他の一部4bが蛍光体部3Bに吸収されて蛍光体部3Bが励起され、蛍光体部3Bに含有される蛍光体粒子、蛍光イオン、蛍光染料等の蛍光成分特有の波長の光5が発光装置1Bの外部へ放射される。
【0139】
したがって、発光装置1Bからは、発光素子2で発光して蛍光体部3Bを透過した光4aと蛍光体部3Bで発光した光5との合成光6が、波長変換された光として放射されることになり、発光素子2の発光色と蛍光体部3Bの発光色とで発光装置1B全体としての発光色が決まることになる。なお、発光素子2で発光して蛍光体部3Bを透過する光4aは必ずしも必要ではない。
【0140】
<3−3.実施形態>
〔実施形態1〕
本実施形態の発光装置1Bは、図2(a)に示すように、LEDチップからなる発光素子2と、透光性の透明な材料を砲弾形に成形したモールド部11とを備えている。モールド部11は発光素子2を覆っており、発光素子2は導電性材料により形成したリード端子12,13に電気的に接続されている。リード端子12,13はリードフレームにより形成されている。
【0141】
発光素子2は、窒化ガリウム系のLEDチップであり、図2(a)における下面側にn形半導体層(図示せず)、上面側にp形半導体層(図示せず)が形成されており、p形半導体層側から光出力を取り出すから図2の上方を前方として説明する。発光素子2の後面はリード端子13の前端部に取り付けられたミラー(カップ部)14に対してダイボンドによって接合されている。また、発光素子2は、上述のp形半導体層及びn形半導体層それぞれに導電ワイヤ(例えば、金ワイヤ)15,15がボンディングにより接続され、この導電ワイヤ15,15を介して発光素子2とリード端子12,13とが電気的に接続されている。なお、導電ワイヤ15,15は発光素子2から放射される光を妨げないように断面積の小さいものが用いられている。
【0142】
ミラー14は発光素子2の側面及び後面から放射された光を前方に反射する機能を有し、LEDチップから放射された光及びミラー14により前方に反射された光は、レンズとして機能するモールド部11の前端部を通してモールド部11から前方に放射される。モールド部11は、ミラー14、導電ワイヤ15,15、リード端子12,13の一部とともに、発光素子2を覆っており、発光素子2が大気中の水分などと反応することによる特性の劣化が防止されている。各リード端子12,13の後端部はそれぞれモールド部11の後面から外部に突出している。
【0143】
ところで、発光素子2は、図2(b)に示すように、窒化ガリウム系半導体からなる発光層部21が、蛍光体部3B上に半導体プロセスを利用して形成されており、蛍光体部3Bの後面には反射層23が形成されている。発光層部21からの発光による光は全方位に放射されるが、蛍光体部3Bに吸収された一部の光は蛍光体部3Bを励起し、上記蛍光成分特有の波長の光を放射する。この蛍光体部3Bで発光した光は反射層3によって反射されて前方へ放射される。したがって、発光装置1Bは、発光層部21から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光との合成光が得られることになる。
【0144】
しかして、本実施形態の発光装置1Bは、発光素子2と、発光素子2からの光により励起されて所望の波長の光を発光する蛍光体部3Bとを備えてなる。ここで、蛍光体部3Bとして透光性に優れたものを用いれば、発光素子2から放射された光の一部がそのまま外部へ放射されるとともに、発光素子2から放射された光の他の一部によって発光中心となる蛍光成分が励起されて当該蛍光成分特有の発光による光が外部へ放射されるから、発光素子2から放射される光と蛍光体部3Bの蛍光成分から放射される光との合成光を得ることができ、また、従来に比べて光色むらや光色ばらつきを少なくすることができるとともに、外部への光の取り出し効率を高めることができる。即ち、蛍光体部3Bとして、曇りや濁りがなく透明性が高いものを用いれば、光色の均一性に優れ、発光装置1B間の光色ばらつきもほとんどなく、発光素子2の光の外部への取り出し効率を従来に比べて高めることができる。また、発光物質の耐候性を高めることができ、従来に比べて発光装置1Bの長寿命化を図ることが可能となる。
【0145】
また、本実施形態の発光装置1Bでは、蛍光体部3Bが発光素子2を形成する基板に兼用されているので、発光素子2からの光の一部により蛍光体部中の発光中心となる(B)蛍光体を効率良く励起することができ、当該蛍光成分特有の発光による光の輝度を高めることができる。
【0146】
〔実施形態2〕
本実施形態の発光装置1Bは、図3に示すように、プリント配線17が施された絶縁基板16上に発光素子2が表面実装されている。ここにおいて、発光素子2は、実施形態1と同様の構成であって、窒化ガリウム系半導体からなる発光層部21が蛍光体部3B上に形成され、蛍光体部3Bの後面に反射層23が形成されている。また、発光素子2は発光層部21のp形半導体層(図示せず)及びn形半導体層(図示せず)それぞれが、導電ワイヤ15,15を介してプリント配線17,17に電気的に接続されている。
【0147】
また、絶縁基板16上には発光素子2を囲む枠状の枠材18が固着されており、枠材18の内側には発光素子2を封止・保護する封止部19を設けてある。
【0148】
しかして、本実施形態の発光装置1Bにおいても、実施形態1と同様に、発光素子2と、発光素子2からの光により励起されて所望の波長の光を発光する蛍光体部3Bとを備えてなるので、発光素子2からの光と蛍光体からの光との合成光を得ることができる。また、実施形態1と同様、従来に比べて光色むらや光色ばらつきを少なくすることができるとともに、外部への光の取り出し効率を高めることができ、長寿命化を図ることも可能となる。
【0149】
〔実施形態3〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態2と略同じであって、実施形態2で説明した枠材18(図3参照)を用いておらず、図4に示すように、封止部19の形状が異なる。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0150】
本実施形態における封止部19は、発光素子2を封止する円錐台状の封止機能部19aと封止部19の前端部においてレンズとして機能するレンズ状のレンズ機能部19bとで構成されている。
【0151】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態2に比べて部品点数を少なくすることができ、小型化及び軽量化を図ることができる。しかも、封止部19の一部にレンズとして機能するレンズ機能部19bを設けたことにより、指向性の優れた配光を得ることができる。
【0152】
〔実施形態4〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態22と略同じであって、図5に示すように、絶縁基板16の一面(図5における上面)に発光素子2を収納する凹所16aが設けられており、凹所16aの底部に発光素子2が実装され、凹所16a内に封止部19を設けている点に特徴がある。ここにおいて、絶縁基板16に形成されたプリント配線17,17は凹所16aの底部まで延長され、導電ワイヤ15,15を介して発光素子2の窒化ガリウム系半導体からなる発光層部21に電気的に接続されている。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0153】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは封止部19が絶縁基板16の上面に形成された凹所16aを充填することで形成されているので、実施形態2で説明した枠材18(図3参照)や実施形態3で説明した成形用金型を用いることなく封止部19を形成することができ、実施形態2,3に比べて発光素子2の封止工程を簡便に行なえるという利点がある。
【0154】
〔実施形態5〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態4と略同じであって、図6に示すように、発光素子2が絶縁基板16に所謂フリップチップ実装されている点に特徴がある。すなわち、発光素子2は、発光層部21のp形半導体層(図示せず)及びn形半導体層(図示せず)それぞれの表面側に導電性材料からなるバンプ24,24が設けられており、発光層部21がフェースダウンでバンプ24,24を介して絶縁基板16のプリント配線17,17と電気的に接続されている。したがって、本実施形態における発光素子2は、絶縁基板16に最も近い側に発光層部21が配設され、絶縁基板16から最も遠い側に反射層23が配設され、発光層部21と反射層23との間に蛍光体部3Bが介在することになる。なお、実施形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0155】
本実施形態の発光装置1Bでは、反射層23で図6における下方(後方)へ反射された光は、凹所16aの内周面で反射されて同図における上方(前方)へ放射される。ここにおいて、凹所16aの内周面であってプリント配線17,17以外の部位には、反射率の高い材料からなる反射層を別途に設けることが望ましい。
【0156】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは絶縁基板16に設けられたプリント配線17,17と発光素子2とを接続するために実施形態4のような導電ワイヤ15,15を必要としないので、実施形態4に比べて機械的強度及び信頼性を向上させることが可能となる。
【0157】
〔実施形態6〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態5と略同じであって、図7に示すように、実施形態5で説明した反射層23を設けていない点が相違する。要するに、本実施形態の発光装置1Bでは、発光層部21で発光した光及び蛍光体部3Bで発光した光が封止部19を透過してそのまま前方へ放射されることになる。なお、実施形態5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0158】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態5に比べて部品点数を削減できて製造が容易になる。
【0159】
〔実施形態7〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態1と略同じであって、図8に示すように、発光素子2を覆うモールド部11を備えており、モールド部11を蛍光体部と一体に形成している点に特徴がある。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0160】
本実施形態の発光装置1Bの製造にあたっては、モールド部11を設けていない仕掛品を蛍光体含有組成物を溜めた成形金型の中に浸漬し、蛍光体含有組成物を硬化させる方法などによってモールド部11を形成している。
【0161】
しかして、本実施形態では、モールド部11が蛍光体部と一体に形成されているので、蛍光体部として後述するように上記半導体発光デバイス用部材を用いることにより、モールド部11の耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性等を高めたり、長期間使用に伴うクラックや剥離を抑制したりすることが可能となる。
【0162】
〔実施形態8〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態1と略同じであって、図9に示すように、モールド部11の外面に後面が開口されたカップ状の蛍光体部3Bが装着されている点に特徴がある。すなわち、本実施形態では、実施形態1のように発光素子2に蛍光体部3Bを設ける代わりに、モールド部11の外周に沿う形状の蛍光体部3Bを設けているのである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0163】
本実施形態における蛍光体部3Bは、実施形態7で説明した蛍光体含有組成物を硬化させる方法により薄膜として形成してもよいし、あるいは予め固体の蛍光体部をカップ状に成形加工した部材をモールド部11に装着するようにしてもよい。
【0164】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態7の発光装置1Bのようにモールド部11全体を蛍光体部と一体に形成する場合に比べて、蛍光体部の材料使用量の削減を図ることができ、低コスト化を図れる。
【0165】
〔実施形態9〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は、実施形態2と略同じであって、図10に示すように、絶縁基板16の一面(図10の上面)側において発光素子2を囲むように配設された枠状の枠材18を備えており、枠材18の内側の封止部19を実施形態2で説明した蛍光体部3Bと同様の蛍光体部により形成している点に特徴がある。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0166】
しかして、本実施形態では、封止部19が蛍光体部により形成されているので、蛍光体部として後述するように上記半導体発光デバイス用部材を用いることにより、封止部19の耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性等を高めたり、長期間使用に伴うクラックや剥離を抑制したりすることが可能となる。
【0167】
〔実施形態10〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は、実施形態2と略同じであって、図11に示すように、絶縁基板16の一面(図11の上面)側において発光素子2を囲むように配設された枠状の枠材18を備えており、枠材18の内側の封止部19を実施形態2で説明した蛍光体部3Bと同様の蛍光体部により形成している点に特徴がある。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0168】
しかして、本実施形態では、封止部19が蛍光体部により形成されているので、蛍光体部として後述するように上記半導体発光デバイス用部材を用いることにより、封止部19の耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性等を高めたり、長期間使用に伴うクラックや剥離を抑制したりすることが可能となる。
【0169】
また、本実施形態では、発光素子2の発光層部21の後面に蛍光体部3Bが形成され、発光素子2を覆う封止部19が蛍光体部により形成されているので、発光素子2の発光層部21の全方位に蛍光体部が存在することになり、蛍光体部の励起、発光を実施形態9に比べてより一層効率的に行なえるという利点がある。
【0170】
〔実施形態11〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態2と略同じであって、図12に示すように、透光性材料よりなる封止部19の上面に、あらかじめレンズ状に成形した蛍光体部33を配設している点に特徴がある。ここにおいて、蛍光体部33は、実施形態2で説明した蛍光体部3Bと同様の材質よりなり、発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0171】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、蛍光体部33が波長変換機能だけでなく、レンズとしての機能を有することになり、レンズ効果による発光の指向性制御を行なうことができる。
【0172】
〔実施形態12〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態2と略同じであって、図13に示すように、透光性材料よりなる封止部19の上面に、あらかじめレンズ状に成形した蛍光体部33を配設している点に特徴がある。ここにおいて、蛍光体部33は、実施形態2で説明した蛍光体部3Bと同様と同様の材質よりなり、発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0173】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、蛍光体部33が波長変換機能だけでなく、レンズとしての機能を有することになり、レンズ効果による発光の指向性制御を行なうことができる。また、本実施形態では、発光素子2の発光層部21の後面に蛍光体部3Bが形成されているので、蛍光体部の励起、発光を実施形態11に比べてより一層効率的に行なえるという利点がある。
【0174】
〔実施形態13〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態3と略同じであって、図14に示すように、絶縁基板16の上面側において発光素子2を覆う封止部19を備えており、封止部19が蛍光体部により形成されている点に特徴がある。ここに、封止部19は、実施形態3と同様に、発光素子2を封止する円錐台状の封止機能部19aと封止部19の前端部においてレンズとして機能するレンズ状のレンズ機能部19bとで構成されている。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0175】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、封止部19が発光素子2を封止・保護する機能だけでなく、発光素子2からの光を波長変換する波長変換機能、発光の指向性を制御するレンズ機能を有することになる。また、封止部19の耐候性を高めることができ、長寿命化を図ることができる。また、本実施形態では、発光素子2の発光層部21の後面に蛍光体部3Bが形成され、発光素子2を覆う封止部19が蛍光体部により形成されているので、発光素子2の発光層部21の全方位に蛍光体部が存在することになり、蛍光体部の励起、発光を実施形態12に比べてより一層効率的に行なえるという利点がある。
【0176】
〔実施形態14〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態3と略同じであって、図15に示すように、絶縁基板16の一面(図15の上面)側において発光素子2を覆う封止部19を備えており、封止部19が蛍光体部3Bにより形成されている点に特徴がある。ここに、封止部19は、実施形態3と同様に、発光素子2を封止する円錐台状の封止機能部19aと封止部19の前端部においてレンズとして機能するレンズ状のレンズ機能部19bとで構成されている。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0177】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、封止部19が発光素子2を封止・保護する機能だけでなく、発光素子2からの光を波長変換する波長変換機能、発光の指向性を制御するレンズ機能を有することになる。また、封止部19の耐候性を高めることができ、長寿命化を図ることができる。
【0178】
〔実施形態15〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態3と略同じであって、図16に示すように、絶縁基板16の上面側において発光素子2を覆うドーム状の蛍光体部34を配設し、蛍光体部34の外面側に透光性樹脂からなる封止部19が形成されている点に特徴がある。ここに、封止部19は、実施形態3と同様に、発光素子2を封止する封止機能部19aと封止部19の前端部においてレンズとして機能するレンズ状のレンズ機能部19bとで構成されている。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0179】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態13,14に比べて蛍光体部34の材料使用量を低減することができる。また、本実施形態では、発光素子2を覆うドーム状の蛍光体部34が配設されているので、蛍光体部32に水蒸気を透過しにくい樹脂又はガラス等の材料を選択し、その内側に上記半導体発光デバイス用部材を形状とすることで、外部からの水分による発光素子2の劣化をより確実に防止することができる。
【0180】
〔実施形態16〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態3と略同じであって、図17に示すように、絶縁基板16の上面側において発光素子2を覆うドーム状の蛍光体部34を配設し、蛍光体部34の外面側に封止部19が形成されている点に特徴がある。ここに、封止部19は、実施形態3と同様に、発光素子2を封止する封止機能部19aと封止部19の前端部においてレンズとして機能するレンズ状のレンズ機能部19bとで構成されている。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0181】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態13,14に比べて蛍光体部34の材料使用量を低減することができる。また、本実施形態では、発光素子2を覆うドーム状の蛍光体部34が配設されているので、蛍光体部32に水蒸気を透過しにくい樹脂又はガラス等の材料を選択し、その内側に上記半導体発光デバイス用部材を形状とすることで、外部からの水分による発光素子2の劣化をより確実に防止することができる。また、本実施形態では、発光素子2の発光層部21の後面に蛍光体部3Bが形成され、発光素子2を覆う封止部19が蛍光体部により形成されているので、発光素子2の発光層部21の全方位に蛍光体部が存在することになり、蛍光体部の励起、発光を実施形態15に比べてより一層効率的に行なえるという利点がある。
【0182】
〔実施形態17〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態4と略同じであって、図18に示すように、絶縁基板16の一面(図18における上面)に設けた凹所16aの底部に配設された発光素子2を封止する封止部19を備えており、封止部19が蛍光体部により形成されている点に特徴がある。ここにおいて、蛍光体部は実施形態1で説明した蛍光体部3Bと同様に発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0183】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、封止部19が蛍光体部により形成されているので、蛍光体部として後述するように上記半導体発光デバイス用部材を用いることにより、封止部19の耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性等を高めたり、長期間使用に伴うクラックや剥離を抑制したりすることが可能となる。また、本実施形態では、発光素子2の発光層部21の後面に蛍光体部3Bが形成され、発光素子2を覆う封止部19が蛍光体部3Bにより形成されているので、発光素子2の発光層部21の全方位に蛍光体部が存在することになり、蛍光体部の励起、発光を実施形態15に比べてより一層効率的に行なえるという利点がある。
【0184】
〔実施形態18〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態4と略同じであって、図19に示すように、絶縁基板16の一面(図19における上面)に設けた凹所16aの底部に配設された発光素子2を封止する封止部19を備えており、封止部19が蛍光体部3Bにより形成されている点に特徴がある。ここにおいて、蛍光体部3Bは実施形態1で説明した蛍光体部3Bと同様に発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0185】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、封止部19が蛍光体部により形成されているので、蛍光体部3Bとして後述するように上記半導体発光デバイス用部材を用いることにより、封止部19の耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性等を高めたり、長期間使用に伴うクラックや剥離を抑制したりすることが可能となる。
【0186】
〔実施形態19〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態4と略同じであって、図20に示すように、封止部19の上面(光取り出し面)に予めレンズ状に成形した蛍光体部33を配設している点に特徴がある。ここにおいて、蛍光体部33は実施形態1で説明した蛍光体部3Bと同様に発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0187】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、蛍光体部33が波長変換機能だけでなく、レンズとしての機能を有することになり、レンズ効果による発光の指向性制御を行なうことができる。
【0188】
〔実施形態20〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態4と略同じであって、図21に示すように、封止部19の上面(光取り出し面)に予めレンズ状に成形した蛍光体部33を配設している点に特徴がある。ここにおいて、蛍光体部33は実施形態1で説明した蛍光体部3Bと同様に発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0189】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、蛍光体部33が波長変換機能だけでなく、レンズとしての機能を有することになり、レンズ効果による発光の指向性制御を行なうことができる。また、本実施形態では、発光素子2の発光層部21の後面にも蛍光体部3Bが配設されているので、実施形態19に比べて蛍光体部の励起、発光がより一層効率的に行なわれるという利点がある。
【0190】
〔実施形態21〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態5と略同じであって、図22に示すように、絶縁基板16の一面(図22における上面)に設けた凹所16aの底部に配設された発光素子2を封止する封止部19を備えており、封止部19が蛍光体部3Bにより形成されている点に特徴がある。ここにおいて、封止部19は、予め、図23に示すように、外周形状が凹所16aに対応する形状であって発光素子2に対応する部位に発光素子2を収納するための凹部19cを有する形状に加工したものを、発光素子2が実装された絶縁基板16の凹所16aに装着しているので、封止工程を簡便化することができる。また、封止部19を形成する蛍光体部3Bは実施形態1で説明した蛍光体部3Bと同様に発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0191】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、封止部19が蛍光体部により形成されているので、蛍光体部3Bとして後述するように上記半導体発光デバイス用部材を用いることにより、封止部19の耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性等を高めたり、長期間使用に伴うクラックや剥離を抑制したりすることが可能となる。また、本実施形態では、発光素子2の発光層部21から前方へ放射された光が反射層23によって一旦、凹所16aの内底面側に向けて反射されるので、凹所16aの内底面及び内周面に反射層を設けておけば、凹所16aの内底面及び内周面でさらに反射されて前方へ放射されることになって光路長を長くとれ、蛍光体部3Bにより効率的に励起、発光を行なうことができるという利点がある。
【0192】
〔実施形態22〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態5と略同じであって、図24に示すように、絶縁基板16の一面(図24における上面)に設けた凹所16aの底部に配設された発光素子2を封止する封止部19を備えており、封止部19が蛍光体部3Bにより形成されている点に特徴がある。ここにおいて、封止部19は、予め、図25に示すように、外周形状が凹所16aに対応する形状であって発光素子2に対応する部位に発光素子2を収納するための凹部19cを有する形状に加工したものを、発光素子2が実装された絶縁基板16の凹所16aに装着しているので、封止工程を簡便化することができる。また、封止部19を形成する蛍光体部3Bは実施形態1で説明した蛍光体部3Bと同様に発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0193】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、封止部19が蛍光体部3Bにより形成されているので、蛍光体部3Bとして後述するように上記半導体発光デバイス用部材を用いることにより、封止部19の耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性等を高めたり、長期間使用に伴うクラックや剥離を抑制したりすることが可能となる。
【0194】
〔実施形態23〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態6と略同じであって、図26に示すように、発光素子2の上面に、予めロッド状に加工した蛍光体部3Bを配設している点に特徴がある。ここにおいて、発光素子2及び蛍光体部3Bの周囲には透光性材料からなる封止部19が形成されており、蛍光体部3Bは一端面(図26における下端面)が発光素子2の発光層部21に密着し他端面(図26における上端面)が露出している。なお、実施形態6と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0195】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、上記一端面が発光素子2の発光層部21に密着する蛍光体部3Bがロッド状に形成されているので、発光層部21で発光した光を蛍光体部3Bの上記一端面を通して蛍光体部3Bへ効率的に取り込むことができ、取り込んだ光により励起された蛍光体部3Bの発光を蛍光体部3Bの上記他端面を通して外部へ効率的に放射させることができる。なお、本実施形態では、蛍光体部3Bを比較的大径のロッド状に形成して1つだけ用いているが、図27に示すように蛍光体部3Bを比較的小径のファイバ状に形成して複数本の蛍光体部3Bを並べて配設するようにしてもよい。また、蛍光体部3Bの断面形状は円形に限らず、例えば四角形状に形成してもよいし、その他の形状に形成してもよいのは勿論である。
【0196】
〔実施形態24〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態23と略同じであって、図28に示すように、絶縁基板16の凹所16a内に設けた封止部19を備え、封止部19が蛍光体部3Bにより形成されている点に特徴がある。ここにおいて、封止部19は、予め、図29に示すように、外周形状が凹所16aに対応する形状であって発光素子2に対応する部位に発光素子2を収納するための貫通孔19dを有する形状に加工したものを、発光素子2が実装された絶縁基板16の凹所16aに装着しているので、封止工程を簡便化することができる。また、封止部19を形成する蛍光体部3Bは実施形態1で説明した蛍光体部3Bと同様に発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。なお、実施形態23と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0197】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、封止部19も蛍光体部3Bにより形成されているので、長寿命化及び発光の高効率化を図ることができる。なお、本実施形態では、蛍光体部3Bを比較的大径のロッド状に形成して1つだけ用いているが、図30に示すように蛍光体部3Bを比較的小径のファイバ状に形成して複数本の蛍光体部3Bを並べて配設するようにしてもよい。また、蛍光体部3Bの断面形状は円形に限らず、例えば四角形状に形成してもよいし、その他の形状に形成してもよいのは勿論である。
【0198】
〔実施形態25〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態2と略同じであって、図31に示すように絶縁基板16の一面(図31における上面)側に配設された枠材18を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、枠材18の内側の封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散されている点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bとして、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0199】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。
【0200】
したがって、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。本実施形態では、蛍光体部3Bから青色光が放射されるとともに、蛍光体粉末から黄色光が放射され、いずれの発光色とも異なる白色光を得ることができる。
【0201】
なお、既存の蛍光体粉末や蛍光体部の蛍光体粒子ではそれぞれに発光可能な材料が限定されており、いずれか一方だけでは所望の光色が得られないこともあり、このような場合には本実施形態は極めて有効である。つまり、蛍光体部3Bだけで所望の光色特性が得られない場合には、蛍光体部3Bに欠けている適当な光色特性を有する蛍光体粉末を併用して補完することにより、所望の光色特性の発光装置1Bが実現できる。また、本実施形態では、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。ここに、蛍光体部3Bと蛍光体粉末とで発光色を略同色とする場合には、例えば、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として赤色光を発光するP・SrF・BaF:Eu3+を用いるとともに、蛍光体粉末として赤色光を発光するYS:Eu3+を用いれば、赤色発光の高効率化を図れる。この蛍光体部3Bと蛍光体粉末との組み合わせは一例であって他の組み合わせを採用してもよいことは勿論である。
【0202】
〔実施形態26〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態3と略同じであって、図32に示すように、絶縁基板16の一面(図32の上面)側において発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP
・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0203】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0204】
〔実施形態27〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態4と略同じであって、図33に示すように、絶縁基板16の上面に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0205】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0206】
〔実施形態28〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態5と略同じであって、図34に示すように、絶縁基板16の一面(図34における上面)に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0207】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0208】
〔実施形態29〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態6と略同じであって、図35に示すように、絶縁基板16の一面(図35における上面)に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態6と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0209】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0210】
〔実施形態30〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態1と略同じであって、図36(a),(b)に示すように、砲弾形のモールド部11を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、モールド部11として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、モールド部11が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0211】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末がモールド部11に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bとモールド部11中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0212】
〔実施形態31〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態8と略同じであって、図37に示すように、砲弾形のモールド部11を備え、発光素子2の発光層部21(図37では図示を略している。)がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、モールド部11として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、モールド部11が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態8と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0213】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末がモールド部11に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bとモールド部11中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0214】
〔実施形態32〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態11と略同じであって、図38に示すように、絶縁基板16の一面(図38の上面)側において発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部33の蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態11と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0215】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部33から放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部33と封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部33の発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部33の発光色に揃えておけば、蛍光体部33の発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0216】
〔実施形態33〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態15と略同じであって、図39に示すように、絶縁基板16の一面(図39上面)側において発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部34の蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態15と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0217】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部34から放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部34と封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部34の発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部34の発光色に揃えておけば、蛍光体部34の発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0218】
〔実施形態34〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態19と略同じであって、図40に示すように、絶縁基板16の一面(図40における上面)に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部33の蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態19と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0219】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部33から放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部33と封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部33の発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部33の発光色に揃えておけば、蛍光体部33の発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0220】
〔実施形態35〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態12,22と略同じであって、図41に示すように、絶縁基板16の一面(図41における上面)に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部33の蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態12,22と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0221】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部33から放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部33と封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部33の発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部33の発光色に揃えておけば、蛍光体部33の発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0222】
〔実施形態36〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態12と略同じであって、図42に示すように、絶縁基板16の上面側において発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態12と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0223】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0224】
〔実施形態37〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態16と略同じであって、図43に示すように、絶縁基板16の一面(図43の上面)側において発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部34の蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態16と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0225】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部34から放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部34と封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部34の発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部34の発光色に揃えておけば、蛍光体部34の発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0226】
〔実施形態38〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態20と略同じであって、図44に示すように、絶縁基板16の一面(図44における上面)に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態20と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0227】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0228】
〔実施形態39〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態5,12と略同じであって、図45に示すように、絶縁基板16の一面(図45における上面)に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態5,12と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0229】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0230】
〔実施形態40〕
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態20,21と略同じであって、図46に示すように、絶縁基板16の一面(図46における上面)に形成された凹所16aに充填されて発光素子2を封止する封止部19を備え、発光素子2の発光層部21がAlGaN系で近紫外光を発光するものであり、封止部19として用いる透光性材料中に蛍光体粉末(例えば、近紫外光により励起されて黄色光を発光するYAG:Ce3+蛍光体の粉末)が分散され、封止部19が蛍光体部として機能している点に特徴がある。また、本実施形態では、蛍光体部3Bの蛍光体粒子として、フツリン酸塩系ガラス(例えば、近紫外光により励起されて青色光を発光するP・AlF・MgF・CaF・SrF・BaCl:Eu2+)を用いている。なお、実施形態20,21と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0231】
しかして、本実施形態の発光装置1Bでは、実施形態25と同様、発光素子2からの光により励起されて発光する蛍光体粉末が封止部19に分散されているので、発光素子2から放射された光と蛍光体部3Bから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との合成光からなる光出力が得られる。つまり、実施形態25と同様に、発光素子2の発光層部21の材料として近紫外光を発光する材料を選んでおけば、発光素子2から放射された光によって蛍光体部3Bと封止部19中の蛍光体粉末との双方が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光が得られることになる。また、本実施形態においても、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色と異ならせてあるが、蛍光体粉末の発光色を蛍光体部3Bの発光色に揃えておけば、蛍光体部3Bの発光に蛍光体粉末の発光が重畳され、光出力を増加することができ、発光効率を高めることができる。
【0232】
ところで、上記各実施形態では、蛍光体部3Bを所望の形状に加工したりゾルゲル法で形成したりしているが、図46に示すように、蛍光体部3Bを直径が可視波長よりもやや大きな球状に形成して多数の蛍光体部3Bを透光性材料からなる固体媒質35中に分散させて上記各実施形態における蛍光体部の代わりに用いるようにすれば、可視波長域での蛍光体部の透明性を維持しながらも蛍光体部の材料使用量の低減化を図ることができ、低コスト化を図れる。
【0233】
また、上記各実施形態の発光装置1Bは1個の発光素子2しか備えていないが、複数個の発光素子2により1単位のモジュールを構成し、モジュールの少なくとも一部に発光物質としての蛍光体部を近接して配設するようにしてもよいことは勿論である。なお、例えば実施形態1で説明したような砲弾形のモールド部11を備える発光装置の場合には複数個の発光装置を同一プリント基板に実装して1単位のモジュールを構成するようにしてもよい。また、例えば実施形態2で説明したような表面実装型の発光装置については複数個の発光素子2を同一の絶縁基板16上に配設して1単位のモジュールを構成するようにしてもよい。
【0234】
〔半導体発光デバイス用部材の適用〕
以上説明した各実施形態1〜40の発光装置1B(半導体発光装置)において、上記半導体発光デバイス部材を適用する箇所は特に制限されない。上記の各実施形態においては、蛍光体部3B,33,34などを形成する部材として上記半導体発光デバイス部材を適用した例を示したが、これ以外にも、例えば上述のモールド部11、枠材18、封止部19等を形成する部材として好適に用いることができる。これらの部材のうち一部又は全てとして上記半導体発光デバイス部材を用いることにより、上述した優れた耐光性、密着性、封止性、透明性、耐熱性、成膜性、長期間使用に伴うクラックや剥離の抑制等の各種の効果を得ることが可能となる。さらに、必要に応じて他の樹脂及びガラス等の材料と組み合わせることも可能であり、その場合にも、高機能且つ高寿命な半導体発光装置を得ることができる。
【0235】
また、上記半導体発光デバイス部材を適用する場合には、本発明を適用する箇所に応じて、適宜変形を加えるのが好ましい。例えば、蛍光体部3B,33,34に本発明を適用する場合には、上述した(B)蛍光体と併せて蛍光体イオンや蛍光染料等の蛍光成分を上記半導体発光デバイス用部材を形成する蛍光体含有組成物に混合してもよい。これによって、上に挙げた各種効果に加え、(B)蛍光体の保持性をより高めるという効果を得ることができる。
【0236】
また、例えば無機粒子を上記半導体発光デバイス用部材の形成に用いる蛍光体含有組成物中に混合して用いれば、上に挙げた各種効果に加え、光取り出し効率の向上やクラックの発生防止等、種々の効果を得ることが可能となる。特に、無機粒子を併用することにより、発光素子の屈折率と近い屈折率となるように調整したものは、好適な光取り出し膜として作用する。
【0237】
〔半導体発光装置の用途等〕
半導体発光装置は、例えば、発光装置に用いることができる。半導体発光装置を発光装置に用いる場合、当該発光装置は、赤色蛍光体、青色蛍光体及び緑色蛍光体の混合物を含む蛍光体部を、光源上に配置すればよい。この場合、赤色蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、青色蛍光体と緑色蛍光体を含有する層の上に赤色蛍光体を含有する層が積層されていてもよい。
【0238】
発光装置において、蛍光体部は光源の上部に設けることができる。蛍光体部は、例えば、光源と封止部との間の接触層として、または、封止部の外側のコーティング層として、または、外部キャップの内側のコーティング層として提供できる。また、封止材中に(B)蛍光体を含有させた形態をとることもできる。
【0239】
使用される封止材としては、上記半導体発光デバイス用部材を用いることができる。また、その他の封止材を併用することもできる。そのような封止材としては、通常、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料を用いることができる。また、LEDチップに直接触れず外付け可能な封止部(例えば、外部キャップ、ドーム状の封止部など)であれば、溶融法ガラスも用いることができる。なお、封止材は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0240】
封止材に対する(B)蛍光体の使用量は特に限定されるものではないが、通常、封止材100重量部に対して0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、また、通常100重量部以下、好ましくは80重量部以下、より好ましくは60重量部以下である。
【0241】
また、封止材に(B)蛍光体や無機粒子以外の成分を含有させることもできる。例えば、色調補正用の色素、酸化防止剤、燐系加工安定剤等の加工・酸化および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤およびシランカップリング剤を含有させることができる。なお、これらの成分は、1種で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0242】
上記半導体発光装置に用いる光源は、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用される。本発明においては、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する光源を使用することが特に好ましい。
【0243】
前記光源の発光波長の具体的数値としては、通常200nm以上が望ましい。このうち、近紫外光を励起光として用いる場合には、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常420nm以下、好ましくは410nm以下、より好ましくは400nm以下のピーク発光波長を有する発光体を使用することが望ましい。また、青色光を励起光として用いる場合には、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下のピーク発光波長を有する発光体を使用することが望ましい。何れも、発光装置の色純度の観点からである。
【0244】
前記光源としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光LEDや半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。その他、光源として使用できる発光体としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。但し、光源として使用できるものは本明細書に例示されるものに限られない。
【0245】
その中でも、光源としては、GaN系化合物半導体を使用した、GaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlGaN発光層、GaN発光層、またはInGaN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInGaN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましく、GaN系LDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。
【0246】
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
【0247】
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、および基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、またはInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが発光効率がさらに高く、より好ましい。
【0248】
発光装置は、白色光を発するものであり、装置の発光効率が20lm/W以上、好ましくは22lm/W以上、より好ましくは25lm/W以上であり、特に好ましくは28lm/W以上であり、平均演色評価指数Raが80以上、好ましくは85以上、より好ましくは88以上である。
【0249】
発光装置は、単独で、又は複数個を組み合わせることにより、例えば、照明ランプ、液晶パネル用等のバックライト、超薄型照明等の種々の照明装置、画像表示装置として使用することができる。
【0250】
さらに、上記半導体発光デバイス用部材形成液はLED素子封止用、特に青色LED及び紫外LEDの素子封止用として有用なものである。また、青色発光素子又は紫外発光素子を励起光源とし、蛍光体により波長変換した白色LED及び電球色LEDなどの高出力照明光源用蛍光体保持材として好ましく使用することが出来る。その他にもその優れた耐熱性、耐紫外線性、透明性等の特性から下記のディスプレイ材料等の用途に用いることができる。
【0251】
ディスプレイ材料としては、例えば、液晶ディスプレイの基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等の液晶表示装置周辺材料、次世代フラットパネルディスプレイであるカラープラズマディスプレイ(PDP)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材・前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着材等、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイの基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイの前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等、フィールドエミッションディスプレイ(FED)の各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等が挙げられる。
【0252】
上記半導体発光デバイス用部材形成液は密着性に優れ、公知の付加縮合型シリコーン樹脂では困難な重ね塗りによる積層が可能である。この特性を生かし、例えばメチル基主体の上記半導体発光デバイス用部材形成液を低屈折率層とし、フェニル基などの高屈折有機基やジルコニアナノ粒子などを導入した高屈折率層と積層することにより、屈折率差のある層構造を形成し、高耐久かつ密着性及び可撓性に優れた導光層を容易に形成することができる。
【実施例】
【0253】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0254】
[実施例1]
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を385g、メチルトリメトキシシランを10.28g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を0.791gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた500ml三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌する。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間500rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行う。
【0255】
続いて留出をリービッヒコンデンサ側に接続し、窒素をSV20で液中に吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を窒素に随伴させて留去しつつ100℃、500rpmにて1時間攪拌する。窒素をSV20で液中に吹き込みながらさらに130℃に昇温、保持しつつ5.5時間重合反応を継続し、粘度389mPa・sの反応液を得る。なお、ここで「SV」とは「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの吹き込み体積量を指す。よって、SV20とは、1時間に反応液の20倍の体積のNを吹き込むことをいう。
【0256】
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、1kPaで20分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、粘度584mPa・sの無溶剤の液状媒体(縮合型シリコーン系材料)を得る。
【0257】
下記表1に示すように、上述の液状媒体1.0g、無機フィラーとして、日本アエロジル社製疎水性ヒュームドシリカ「アエロジルRX−200」0.12g、および赤色、緑色、及び青色蛍光体を馬野化学容器株式会社製軟膏壺に入れ、液温35℃で0.7kPa程度に減圧し、シンキー社製自転・公転式真空ミキサー「ARV310」を用いて真空遠心脱泡を行い、蛍光体含有組成物を作製する。
【表1】

【0258】
クリー社製の900μm角チップ「C405−XB900」(発光波長405nm)を、Au−Sn共晶半田でサブマウント上に固着後、サブマウントをAu−Sn共晶半田にて、9mmφエムシーオー社製メタルパッケージ上に固着させる。チップ上の電極から金線にてメタルパッケージ上のピンにワイヤボンディングする。このチップを搭載したパッケージに、前述で得られた蛍光体含有組成物40μlを、手動ピペットにて注液し、通風式オーブン内で微風下、150℃、3時間硬化して封止を行う。
このようにして得られる蛍光体含有組成物の硬化物は、発泡が少ないため、結果として、良好な半導体発光装置を得ることができる。
【0259】
[実施例2]
実施例1の液状媒体の代わりに、東レ・ダウコーニング社製の1液型付加型シリコーン系材料「JCR6101UP」1.0gを用いて、同様に蛍光体含有組成物を作製する。
実施例1と同様に、この蛍光体含有組成物を、チップをのせたパッケージ上に封止すると、得られる蛍光体含有組成物の硬化物は、発泡が少ないため、結果として、良好な半導体発光装置を得ることができる。
【0260】
[本発明の作用効果]
実施例1、2のように、容器としては軟膏壷などの側面と底面が滑らかな曲面で底面につながった形状を有するものを使用すると、液状媒体の撹拌による対流が効率よく行われ、短時間の撹拌でも発泡の少ない硬化物を得ることが出来ると考えられる。また、自転・公転式ミキサーでは容器の底面中央は対流が起きにくく死角となる場所であるので、特に粘度の高い液状媒体を使用する場合や、フィラー及び蛍光体の添加量が多い場合には底面中央が内側に隆起した形状の容器を使用すると撹拌が十分行われ硬化物の発泡を低減できると考えられる。
【0261】
また、好ましくは液状媒体、フィラー、及び蛍光体を混合した蛍光体含有組成物を加熱硬化前に脱泡処理することにより発泡の無い硬化物を得ることが出来る。
脱泡処理は各成分の混合と同時に行ってもよいが、混合後に行っても良い。また常圧で自転・公転式真空ミキサーを用いて遠心脱泡を行ってもよく、粘度が高い場合には減圧下で遠心脱泡を行っても良い。各種フィラーや蛍光体を分散した後に同様の真空遠心脱泡を行う場合には撹拌熱を生じやすいので、冷却機能を有する撹拌装置を使用すると熱による増粘や分解を抑えることができると考えられる。
【0262】
通常液状媒体は粘度が高く脱ガスはガス成分の気液界面への移動速度が律速となるため、脱ガス・脱泡処理する場合には例えば自転・公転式真空ミキサーを用いて撹拌しながら減圧すると効率よく軽沸成分を除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0263】
本発明の蛍光体含有組成物の製造方法によれば、硬化物に気泡を含むことが少なく、また蛍光体を均一に分散することが可能である。したがって、例えば照明装置、画像表示装置、薄型テレビなどの液晶バックライト用光源などの広範な分野における半導体発光装置等に好適に使用することが出来る。特に光取り出し効率や、密着性、耐熱性等に優れる特徴から、従来適切な封止剤の無かった近紫外光・紫外光を発する半導体発光装置、並びにそれが適用されうる照明装置、及び画像表示装置等の各分野において、その産業上の利用可能性は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0264】
【図1】本発明により製造された蛍光体含有組成物の用途である半導体発光半導体発光装置の基本概念の説明図である。
【図2】実施形態1を示し、(a)は概略断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図3】実施形態2を示す概略断面図である。
【図4】実施形態3を示す概略断面図である。
【図5】実施形態4を示す概略断面図である。
【図6】実施形態5を示す概略断面図である。
【図7】実施形態6を示す概略断面図である。
【図8】実施形態7を示す概略断面図である。
【図9】実施形態8を示す概略断面図である。
【図10】実施形態9を示す概略断面図である。
【図11】実施形態10を示す概略断面図である。
【図12】実施形態11を示す概略断面図である。
【図13】実施形態12を示す概略断面図である。
【図14】実施形態13を示す概略断面図である。
【図15】実施形態14を示す概略断面図である。
【図16】実施形態15を示す概略断面図である。
【図17】実施形態16を示す概略断面図である。
【図18】実施形態17を示す概略断面図である。
【図19】実施形態18を示す概略断面図である。
【図20】実施形態19を示す概略断面図である。
【図21】実施形態20を示す概略断面図である。
【図22】実施形態21を示す概略断面図である。
【図23】実施形態21について示す要部断面図である。
【図24】実施形態22を示す概略断面図である。
【図25】実施形態22について示す要部断面図である。
【図26】実施形態23を示す概略断面図である。
【図27】実施形態23について示す要部斜視図である。
【図28】実施形態24を示す概略断面図である。
【図29】実施形態24について示す要部断面図である。
【図30】実施形態24について示す要部斜視図である。
【図31】実施形態25を示す概略断面図である。
【図32】実施形態26を示す概略断面図である。
【図33】実施形態27を示す概略断面図である。
【図34】実施形態28を示す概略断面図である。
【図35】実施形態29を示す概略断面図である。
【図36】実施形態30を示し、(a)は概略断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図37】実施形態31を示す概略断面図である。
【図38】実施形態32を示す概略断面図である。
【図39】実施形態33を示す概略断面図である。
【図40】実施形態34を示す概略断面図である。
【図41】実施形態35を示す概略断面図である。
【図42】実施形態36を示す概略断面図である。
【図43】実施形態37を示す概略断面図である。
【図44】実施形態38を示す概略断面図である。
【図45】実施形態39を示す概略断面図である。
【図46】実施形態40を示す概略断面図である。
【図47】円筒状の内側面がなめらかな曲面で底面につながった形状を有する容器の一例について説明した図であり、容器の底面中心を通る垂直面における模式的な断面図である。
【図48】底面の中心部が、円筒状の内側面に対して同心状になめらかに隆起した形状に形成されている容器の一例について説明した図であり、容器の底面中心を通る垂直面における模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0265】
1,1B 発光装置(半導体発光装置)
2 発光素子
3B 蛍光体部(半導体発光デバイス用部材)
4a,4b 発光素子から放射された光の一部
5 蛍光体部に含有される蛍光体粒子、蛍光イオン、蛍光染料などの蛍光成分特有の波長の光
11 モールド部
12,13 リード端子
14 ミラー(カップ部)
15 導電ワイヤ
16 絶縁基板
16a 凹所
17 プリント配線
18 枠材
19 封止部
19a 封止機能部
19b レンズ機能部
19c 凹部
19d 貫通孔
21 発光層部
23 反射層
24 バンプ
33,34 蛍光体部
35 固体媒質
a 内側面
b 内側面と底面とをつなぐなめらかな曲面
c 底面
d 円筒状の内側面に対して同心状になめらかに隆起した形状
隆起した形状dの高さ
容器の内側の高さ(底面から容器の口までの高さ)
W 容器の口の大きさ(口径)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を含有する蛍光体含有組成物の製造方法であって、
(A)フィラー、(B)蛍光体、及び(C)液状媒体を、円筒状の内側面がなめらかな曲面で底面につながった形状を有する容器中で混合撹拌する
ことを特徴とする、蛍光体含有組成物の製造方法。
【請求項2】
前記混合攪拌を、底面の中心部が、円筒状の内側面に対して同心状になめらかに隆起した形状に形成されている容器中で行なう
ことを特徴とする、請求項1記載の蛍光体含有組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2010−100743(P2010−100743A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273847(P2008−273847)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】