説明

蛍光体塗布装置

【課題】スプレー噴射時には、蛍光体含有液を安定してスプレーノズル12に供給し、スプレー非噴射時には、不純物を混入させることなく蛍光体含有液を移動させ、これによって、蛍光体含有液が塗布される発光素子の部分的な点欠陥を低減する。
【解決手段】蛍光体塗布装置10は、蛍光体含有液の移動を調節する移動調節部18を有している。移動調節部18は、スプレーノズル12によるスプレー噴射時には、圧力タンク15の内部に空気を供給することによって、圧力タンク15から蛍光体含有液を押し出してスプレーノズル12に供給する一方、スプレー非噴射時には、上記空気の供給によって圧力タンク15から蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズル12を介して貯蔵タンク14に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子(例えばLED(発光ダイオード))の表面にスプレーノズルによって蛍光体含有液をスプレー噴射する蛍光体塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、青色を発光する青色LEDの表面(発光面を含む)に、黄色の蛍光を発する蛍光体層を形成した発光装置が知られている。この発光装置では、青色LEDから出射される青色光と、蛍光体が青色光を受けて二次発光することにより出射される黄色光との混色により、白色光を得ることができる。つまり、青色LEDと蛍光体層との組み合わせにより、白色光を発する発光装置(白色LED)を実現することができる。
【0003】
ここで、LEDの表面に蛍光体層を形成するにあたっては、例えば以下のような手法が採られる。まず、固体の粉末である蛍光体を、アルコールを含む所定の溶液に混ぜ、蛍光体含有液(第1液)を作製する。そして、この蛍光体含有液を、スプレーノズルを用いてLEDの表面に吹き付ける。その後、有機金属化合物と有機溶媒とを混合した混合液(第2液)を、吹き付けた蛍光体含有液の上からさらに塗って焼成し、固める。これにより、上記の蛍光体層が形成される。
【0004】
ところで、上記の蛍光体含有液は予めタンクに充填されており、スプレー噴射時に、タンクからポンプによってスプレーノズルに供給され、そこからスプレー噴射される。なお、蛍光体含有液をスプレー噴射するものではないが、ポンプを使用してタンクからスプレーノズルに溶液を供給する構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
一方、スプレー非噴射時に蛍光体含有液をそのまま放置しておくと、蛍光体は比重が大きいため、スプレーノズル内や配管内で沈殿する。そこで、従来の蛍光体塗布装置では、循環ポンプを使用し、スプレー非噴射時には、配管内の蛍光体含有液を循環ポンプによって循環させ、移動させることにより、蛍光体の沈殿を抑えるようにしている。なお、上記の特許文献1は、循環ポンプを使用して溶液中に含まれる物質の沈殿を抑えるようにしている点で、上記従来の蛍光体塗布装置と共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−185565号公報(段落〔0010〕、〔0067〕〜〔0068〕、図2、図7等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、スプレー噴射時に、タンクからスプレーノズルに蛍光体含有液をポンプによって供給する構成では、ポンプの脈動の影響で、スプレー噴射による蛍光体含有液の塗布量が安定しない。したがって、ポンプ以外の方法で、タンクからスプレーノズルに蛍光体含有液を供給することが望まれる。
【0008】
また、スプレー非噴射時に、蛍光体の沈殿を抑えるべく、配管内の蛍光体含有液を循環ポンプによって循環、移動させる構成では、蛍光体含有液中の蛍光体が硬い粒子であるために、循環ポンプ内のダイヤフラム(隔膜)等が蛍光体で削られて、その削りカスが不純物(コンタミナント、コンタミ)として蛍光体含有液に混入してしまう。その結果、蛍光体含有液をスプレー噴射してLED表面に蛍光体層を形成し、LEDを点灯させたときに、上記の不純物に起因する部分的な点欠陥が生じ、これがLEDの照度バラツキの原因となる。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、スプレー噴射時には、蛍光体含有液を安定してスプレーノズルに供給する一方、スプレー非噴射時には、不純物を混入させることなく蛍光体含有液を移動させることができ、これによって、蛍光体含有液が塗布される発光素子の部分的な点欠陥を低減して照度バラツキを低減することができる蛍光体塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の蛍光体塗布装置は、発光素子の表面に蛍光体含有液をスプレー噴射するスプレーノズルを備えた蛍光体塗布装置であって、前記蛍光体含有液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記スプレーノズルに供給する前記蛍光体含有液を前記貯蔵タンクから受ける圧力タンクと、前記蛍光体含有液の移動を調節する移動調節部とをさらに備え、前記移動調節部は、前記スプレーノズルによるスプレー噴射時には、前記圧力タンクの内部に空気を供給することによって、前記圧力タンクから前記蛍光体含有液を押し出して前記スプレーノズルに供給する一方、スプレー非噴射時には、前記空気の供給によって前記圧力タンクから前記蛍光体含有液を押し出し、前記スプレーノズルを介して前記貯蔵タンクに移動させることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、蛍光体含有液は、貯蔵タンクに貯蔵されており、この貯蔵タンクから圧力タンクを介してスプレーノズルに供給され、スプレーノズルから発光素子(例えばLED)の表面にスプレー噴射される。これにより、発光素子の表面に蛍光体が塗布される。
【0012】
ここで、移動制御部は、スプレー噴射時に、圧力タンクへの空気の供給によって圧力タンクから蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズルに供給する。このように、圧力タンクへの空気の供給によって、圧力タンクからスプレーノズルへの蛍光体含有液の供給を行うので、蛍光体含有液の供給を安定して行うことができる。つまり、ポンプを使用して圧力タンクからスプレーノズルに蛍光体含有液を供給する場合のように、ポンプの脈動によって蛍光体含有液の供給量が変動するということはない。
【0013】
また、移動調節部は、スプレー非噴射時に、上記空気の供給によって圧力タンクから蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズルを介して貯蔵タンクに移動させる。これにより、スプレーノズル内やスプレーノズルと各タンクとを結ぶ流路(配管)内で、蛍光体含有液中の蛍光体が沈殿するのを抑えることができる。しかも、蛍光体含有液の移動を、圧力タンク内部への空気の供給によって行っており、上記の移動に循環ポンプを使用していないので、循環ポンプのダイヤフラムが蛍光体含有液中の蛍光体によって削られるということはなく、蛍光体含有液中に削りカス(不純物)が混入するのを防止することができる。その結果、蛍光体が塗布された後の発光素子において、発光時に上記の不純物による部分的な点欠陥が生じるのを抑えることができ、照度バラツキを低減することができる。
【0014】
本発明の蛍光体塗布装置において、前記移動調節部は、前記圧力タンクの内部に空気を供給する空気供給部と、前記空気供給部から前記圧力タンクへの空気の供給を制御する空気制御バルブと、前記貯蔵タンクから前記圧力タンクへの前記蛍光体含有液の供給を制御する液供給制御バルブと、前記スプレーノズルから前記貯蔵タンクへの前記蛍光体含有液の移動を制御する液移動制御バルブとを有しており、前記移動調節部は、前記スプレー噴射時には、前記液供給制御バルブおよび前記液移動制御バルブを両方とも閉じ、かつ、前記空気制御バルブを開いた状態で、前記空気供給部によって前記圧力タンクの内部に空気を供給する一方、前記スプレー非噴射時には、前記液供給制御バルブを閉じ、かつ、前記液移動制御バルブおよび前記空気制御バルブを開いた状態で、前記空気供給部によって前記圧力タンクの内部に空気を供給してもよい。
【0015】
スプレー噴射時には、液供給制御バルブおよび液移動制御バルブは両方とも閉じており、空気制御バルブは開いているので、空気供給部から空気制御バルブを介して圧力タンクに空気を供給して、圧力タンクから蛍光体含有液を確実に押し出すことができるとともに、押し出された蛍光体含有液を、スプレーノズルのみに供給してスプレー噴射させることができる。一方、スプレー非噴射時には、液供給制御バルブは閉じており、液移動制御バルブおよび空気制御バルブは開いているので、空気供給部から空気制御バルブを介して圧力タンクに空気を供給して、圧力タンクから蛍光体含有液を確実に押し出すことができるとともに、押し出された蛍光体含有液を、スプレーノズルおよび液移動制御バルブを介して貯蔵タンクに移動させることができる。
【0016】
本発明の蛍光体塗布装置において、前記貯蔵タンクは、前記圧力タンク内の前記蛍光体含有液の液面よりも上方に位置しており、前記移動調節部は、前記スプレー非噴射時において、前記空気制御バルブを開状態から閉状態に切り替え、前記液供給制御バルブを閉状態から開状態に切り替えることにより、前記貯蔵タンク内の蛍光体含有液を前記圧力タンクに供給してもよい。
【0017】
この場合、貯蔵タンク内の蛍光体含有液をその自重によって圧力タンクに供給(補充)することができる。
【0018】
本発明の蛍光体塗布装置において、前記空気制御バルブは、その閉状態において、前記空気供給部から前記圧力タンクへの空気の供給を止めると同時に、前記圧力タンク内の空気を外部に抜く三方弁で構成されていてもよい。
【0019】
この構成では、空気制御バルブが閉じると、空気供給部から圧力タンクへの空気の供給が止まると同時に、圧力タンク内が大気圧にすぐに戻る。これにより、貯蔵タンクから圧力タンクに蛍光体含有液をスムーズに供給(補充)することができる。
【0020】
本発明の蛍光体塗布装置は、前記スプレーノズルによるスプレー噴射およびその停止を指示するためのスプレー指示部と、前記スプレー指示部での指示に基づいて、前記液供給制御バルブ、前記液移動制御バルブおよび前記空気制御バルブの開閉を制御するバルブ制御部とをさらに備えており、前記バルブ制御部は、前記スプレー指示部にてスプレー噴射が指示されたときに、前記液供給制御バルブおよび前記液移動制御バルブを閉じ、前記空気制御バルブを開く一方、前記スプレー指示部にてスプレー噴射の停止が指示されたときに、前記液供給制御バルブを閉じ、前記液移動制御バルブおよび前記空気制御バルブを開いてもよい。
【0021】
このようなスプレー指示部での指示に基づくバルブ制御部の各バルブの制御により、スプレー噴射時とスプレー非噴射時とで、使用者が各バルブの切り替え操作(開閉操作)を行う必要がなくなる。
【0022】
本発明の蛍光体塗布装置は、前記圧力タンクの内部の前記蛍光体含有液の残量を検知する残量検知センサをさらに備えており、前記バルブ制御部は、前記残量検知センサにて前記蛍光体含有液の残量が所定値以下であることが検知されたときに、前記空気制御バルブを閉じ、前記液供給制御バルブを開いてもよい。
【0023】
残量検知センサにて圧力タンク内の蛍光体含有液の残量が所定値以下であることが検知されたときに、空気制御バルブを閉じて、液供給制御バルブを開くことにより、貯蔵タンクから圧力タンクへの蛍光体含有液の供給(補充)を自動的に行うことができる。
【0024】
本発明の蛍光体塗布装置は、前記貯蔵タンク内の前記蛍光体含有液を撹拌する撹拌装置をさらに備えており、前記撹拌装置は、前記貯蔵タンクの内面と非接触となるように前記貯蔵タンク内に位置して前記蛍光体含有液を撹拌する撹拌部材を有していてもよい。
【0025】
撹拌装置によって貯蔵タンク内の蛍光体含有液が撹拌されるので、蛍光体含有液中の蛍光体が貯蔵タンク内で沈殿するのを低減することができる。また、撹拌装置の撹拌部材は、貯蔵タンクの内面と非接触となるように設けられているので、例えば、撹拌部材と貯蔵タンクの内壁との距離を適切に設定することにより、撹拌部材と貯蔵タンクの内壁とで挟まれた領域に位置する蛍光体含有液中の蛍光体で貯蔵タンクの内面または撹拌部材が削られるのを防ぐことができ、その削りカスが不純物として蛍光体含有液に混入するのを防ぐことができる。
【0026】
本発明の蛍光体塗布装置において、前記貯蔵タンクは、透明容器で構成されていてもよい。
【0027】
この場合、貯蔵タンク内の蛍光体含有液の状態(撹拌状態)を目視で容易に確認することができる。
【0028】
本発明の蛍光体塗布装置において、前記貯蔵タンクは、セラミックで構成されていてもよい。
【0029】
この構成では、貯蔵タンク内での蛍光体含有液の撹拌時に、蛍光体含有液中の蛍光体で貯蔵タンクの内面が削られて、その削りカスが不純物として蛍光体含有液に混入するのを抑えることができる。
【0030】
本発明の蛍光体塗布装置は、前記貯蔵タンク内の空気に圧力を加えることにより、前記貯蔵タンク内の前記蛍光体含有液を前記圧力タンクに押し出す押出部をさらに備えていてもよい。
【0031】
この場合、蛍光体含有液が比較的高粘度のものであっても、その蛍光体含有液を押出部によって貯蔵タンクから圧力タンクに押し出して供給することができる。
【0032】
本発明の蛍光体塗布装置は、前記スプレーノズルから前記貯蔵タンクに移動する前記蛍光体含有液の流量を絞る流量調整バルブをさらに備えていてもよい。
【0033】
スプレー非噴射時に、スプレーノズルから貯蔵タンクに移動する蛍光体含有液の流量を抑えて、貯蔵タンク内の蛍光体含有液と穏やかに混ぜ合わせることができ、蛍光体含有液の混合時の泡立ちを抑えることができる。
【0034】
本発明の蛍光体塗布装置は、前記スプレー非噴射時における前記圧力タンクへの空気の供給量を、前記スプレー噴射時よりも減少させる空気供給量調整バルブをさらに備えていてもよい。
【0035】
この場合、スプレー非噴射時に、空気の供給によって圧力タンクから押し出される蛍光体含有液の量を、スプレー噴射時よりも少なくすることができる。これにより、スプレー非噴射時に、圧力タンクからスプレーノズルを介して貯蔵タンクに移動する蛍光体含有液が、貯蔵タンク内の蛍光体含有液にゆっくりと混合される。したがって、蛍光体含有液の混合時の泡立ちを抑えることができる。
【0036】
また、スプレー非噴射時に、圧力タンクから押し出す時点で蛍光体含有液の量がスプレー噴射時よりも少なくなるので、例えば、圧力タンクからスプレーノズルを介して貯蔵タンクに至る流路の途中で蛍光体含有液の流量をバルブで絞る構成に比べて、蛍光体含有液に含まれる蛍光体がバルブ内で詰まるということがない。これにより、スプレー非噴射時に、圧力タンクからスプレーノズルを介して貯蔵タンクに蛍光体含有液を確実に移動させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、スプレー噴射時に、圧力タンクへの空気の供給によって、圧力タンクからスプレーノズルへの蛍光体含有液の供給を行うので、ポンプを使用する場合のように、ポンプの脈動によって蛍光体含有液の供給量が変動するということはなく、蛍光体含有液の供給を安定して行うことができる。
【0038】
また、スプレー非噴射時における蛍光体含有液の移動を、圧力タンクへの空気の供給によって行っているので、循環ポンプを使用する場合のように、循環ポンプのダイヤフラムが蛍光体含有液中の蛍光体によって削られて、蛍光体含有液中に不純物が混入するのを防止することができる。その結果、蛍光体が塗布された後の発光素子において、発光時の部分的な点欠陥を抑えることができ、照度バラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の一形態に係る蛍光体塗布装置によって作製される発光装置の概略の構成を示す断面図である。
【図2】上記発光装置のLEDに向けて蛍光体含有液をスプレー噴射している状態を示す説明図である。
【図3】上記蛍光体塗布装置の概略の構成を示す説明図である。
【図4】上記蛍光体塗布装置におけるスプレー噴射時の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】上記蛍光体塗布装置におけるスプレー非噴射時の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】上記蛍光体含有液の補充動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】比較例1の蛍光体塗布装置の概略の構成を示す説明図である。
【図8】比較例2の蛍光体塗布装置の概略の構成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態の蛍光体塗布装置の他の構成であって、主要部の概略の構成を示すブロック図である。
【図10】上記蛍光体塗布装置のさらに他の構成を示す説明図である。
【図11】上記蛍光体塗布装置のさらに他の構成を示す説明図である。
【図12】上記蛍光体塗布装置のさらに他の構成を示す説明図である。
【図13】(a)および(b)は、図12の蛍光体塗布装置が備える空気供給量調整バルブの構成例をそれぞれ示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。まず、本実施形態の蛍光体塗布装置について説明する前に、その蛍光体塗布装置を用いて作製される発光装置について説明する。
【0041】
(発光装置について)
図1は、発光装置1の概略の構成を示す断面図である。この発光装置1は、断面凹状のLED基板2上に、発光素子としてのLED3を配置して構成されている。LED3は、LED基板2上のメタル部4と対向する面に突起電極3aを有しており、突起電極3aを介してメタル部4と接続されている(フリップチップ型)。なお、発光装置1は、1つのLED基板2に対して、LED3を1つだけ設けた構成であってもよいし、LED3を複数設けた構成であってもよい。
【0042】
本実施形態では、LED3として、青色を発光するLED素子(以下、青色LED素子とも称する)を用いている。青色LED素子は、例えばサファイア基板上にn−GaN系クラッド層、InGaN発光層、p−GaN系クラッド層および透明電極を積層して構成されている。
【0043】
また、LED基板2の凹部の内側には、LED3の表面(発光面および側面を含む)を覆うように蛍光体層5が形成されている。蛍光体層5は、LED3から出射される青色光で励起されて、青色光とは異なる波長の光(例えば黄色光)を発する蛍光体を含んで構成されている。これにより、LED3から出射される青色光と、蛍光体が青色光を受けて二次発光することにより出射される黄色光との混色により、白色光を得ることができ、発光装置1を白色光源として使用することができる。
【0044】
LED3の表面に蛍光体層5を形成するにあたっては、図2に示すように、蛍光体塗布装置10の支持部材11により、LED3が下方を向くようにLED基板2を裏面側から支持する。そして、LED3の下方にスプレーノズル12を配置して、スプレーノズル12から蛍光体含有液(第1液)を上方に向けてスプレー噴射する。その後、有機金属化合物と有機溶媒とを混合した混合液(第2液)を、吹き付けた蛍光体含有液の上からさらに塗って焼成し、固める。これにより、LED3の表面に蛍光体層5が形成され、発光装置1が完成する。
【0045】
(蛍光体含有液および混合液について)
次に、上記した蛍光体含有液および混合液の詳細について説明する。
【0046】
第1液としての蛍光体含有液は、蛍光体、層状ケイ酸塩鉱物、無機微粒子を含有している。
【0047】
蛍光体は、LED3からの出射光で励起されて、上記出射光の波長とは異なる波長の蛍光を発光するものであり、本実施形態では、青色LED素子から出射される青色光(波長420nm〜485nm)を黄色光(波長550nm〜650nm)に変換するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体で構成されている。なお、蛍光体は、上記のYAG蛍光体に限定されるわけではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等の他の蛍光体を使用することもできる。
【0048】
層状ケイ酸塩鉱物は、雲母構造、カオリナイト構造、スメクタイト構造等の構造を有する膨潤性粘土鉱物で構成されている。
【0049】
無機微粒子は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物微粒子、フッ化マグネシウム等のフッ化物微粒子等で構成されている。無機微粒子は、第2液中の有機金属化合物と、第1液の蛍光体および層状ケイ酸塩鉱物との界面に生じる隙間を埋める充填効果、加熱前の塗布液(第1液+第2液)の粘性を増加させる増粘効果、加熱後のセラミック層の膜強度を向上させる膜強化効果を提供する。なお、第2液中の有機金属化合物としてポリシロキサン等の含ケイ素有機化合物を用いる場合、形成されるセラミック層に対する安定性の観点から、無機微粒子としては、酸化ケイ素の微粒子を用いることが好ましい。
【0050】
また、第1液は、さらに有機溶媒と水とを含有している。有機溶媒としては、添加される水との相溶性に優れたメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類を用いることが好ましい。第1液に水が含まれていることにより、層状ケイ酸塩鉱物の層間に水が入り込んで第1液の粘性が増加するため、蛍光体の沈降を抑制することができる。なお、水に不純物が含まれていると、重合反応を阻害するおそれがあるため、添加する水は不純物を含まない純水とすることが必要がある。
【0051】
第2液としての混合液は、上述したように、有機金属化合物と有機溶媒とを混合して構成されている。
【0052】
上記の有機金属化合物は、第1液の蛍光体、層状ケイ酸塩鉱物、無機微粒子を封止するバインダーとしての役割を果たす。本実施形態で用いる有機金属化合物としては、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート等が挙げられるが、特に、加水分解と重合反応とによりゲル化し易い金属アルコキシドを用いることが好ましい。また、金属アルコキシドは、テトラエトキシシランのような単分子のものでもよいし、有機シロキサン化合物が鎖状または環状に連なったポリシロキサンでもよいが、粘性が増加する点では、後者のポリシロキサンが好ましい。
【0053】
なお、有機金属化合物に含まれる金属の種類に特に制限はないが、形成される蛍光体層5の安定性や製造の容易性の観点から、有機金属化合物は、ケイ素を含有していることが好ましい。また、有機金属化合物は、複数種の金属を含有していてもよい。
【0054】
第2液の有機溶媒としては、第1液の有機溶媒と同様に、水との相溶性に優れたメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類を用いることが好ましい。
【0055】
第1液としての蛍光体含有液をスプレー塗布後、第2液としての混合液をスプレー塗布し、加熱、焼成することにより、発光装置1の蛍光体層5として透光性のセラミック層を得ることができる。
【0056】
(蛍光体塗布装置について)
次に、上記した蛍光体含有液をスプレー噴射してLED表面に塗布する蛍光体塗布装置について説明する。図3は、蛍光体塗布装置10の概略の構成を示す説明図である。蛍光体塗布装置10は、支持部材11と、スプレーノズル12と、液供給部13とを備えている。支持部材11は、上述したように、塗布対象を支持するものである。
【0057】
スプレーノズル12は、LED3の表面に蛍光体含有液をスプレー噴射するものであり、ノズルを開閉するためのニードル12aを有している。つまり、ノズルを塞いでいるニードル12aを前後動させることにより、ノズルの隙間を開閉することができ、スプレー噴射のON/OFFを行うことができる。
【0058】
液供給部13は、スプレーノズル12に蛍光体含有液を供給するものであり、貯蔵タンク14と、圧力タンク15と、撹拌装置16と、残量検知センサ17と、移動調節部18とを有している。スプレーノズル12、貯蔵タンク14および圧力タンク15は、相互に配管によってつながっている。
【0059】
貯蔵タンク14は、蛍光体含有液を貯蔵するタンクであり、圧力タンク15内の蛍光体含有液の液面(上面)よりも常に上方に位置している。圧力タンク15は、スプレーノズル12に供給する蛍光体含有液を貯蔵タンク14から受ける。本実施形態のように、蛍光体含有液を保持するタンクを、貯蔵タンク14と圧力タンク15とに分けることにより、後述するように、圧力タンク15に空気を供給することで、スプレーノズル12からの蛍光体含有液のスプレー噴射と、スプレー非噴射時の蛍光体含有液の移動(循環)とを実現することができる。
【0060】
本実施形態では、貯蔵タンク14は、透明容器で構成されている。このような透明容器は、例えば透明樹脂、透明なガラス、透明なセラミックで構成することが可能である。このように、貯蔵タンク14が透明であることにより、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液の状態(撹拌装置16による撹拌状態)を目視で容易に確認することができる。
【0061】
なお、貯蔵タンク14を透明容器で構成できるのは、圧力タンク15とは別個に貯蔵タンク14を設けていることによる。つまり、圧力タンク15には、後述する空気供給部19からの空気の供給による圧力がかかるため、耐圧性が要求されるが、貯蔵タンク14には、そのような圧力はかからず、耐圧性は要求されないので、貯蔵タンク14を透明容器で構成することが可能となる。
【0062】
また、貯蔵タンク14は、セラミックで構成されていてもよい。このときのセラミックは、透明セラミックであってもよいし、不透明なセラミックであってもよいが、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液を目視で確認できる点では、前者の透明セラミックであることが望ましい。
【0063】
このように、貯蔵タンク14がセラミックで構成されていることにより、撹拌装置16による貯蔵タンク14内の蛍光体含有液の撹拌時に、蛍光体含有液中の蛍光体で貯蔵タンク14の内面が削られて、その削りカスが不純物として蛍光体含有液に混入するのを抑えることができる。
【0064】
撹拌装置16は、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液を撹拌するものであり、例えばプロペラのような複数の羽根を有する撹拌部材16aと、その撹拌部材16aを駆動するための駆動部16bとで構成されている。撹拌部材16aは、貯蔵タンク14の内面と非接触となるように、貯蔵タンク14内に位置しており、駆動部16bによって回転駆動されることで蛍光体含有液を撹拌する。
【0065】
このように、撹拌装置16によって貯蔵タンク14内の蛍光体含有液が撹拌されるので、蛍光体含有液中の蛍光体が貯蔵タンク14内で沈殿するのを低減することができる。また、撹拌部材16aは、貯蔵タンク14の内面と非接触となるように設けられているので、撹拌部材16aと貯蔵タンク14の内壁との距離を適切に設定しさえすれば、撹拌部材16aと貯蔵タンク14の内壁とで挟まれた領域に位置する蛍光体含有液中の蛍光体が研磨材となって、貯蔵タンク14の内面または撹拌部材16aを削り、その削りカスが不純物として蛍光体含有液に混入するのを防ぐことができる。
【0066】
残量検知センサ17は、圧力タンク15の内部の蛍光体含有液の残量を検知するものである。このような残量検知センサ17は、光学方式、超音波方式、静電容量方式、フロート式などの公知の液面検知センサで構成することができる。
【0067】
ちなみに、光学方式とは、液面に光(レーザー)を照射して反射光を検知し、そのときの反射光の強さや、レーザーを照射してから反射光を検知するまでの時間に基づいて、液面までの距離を測定する方式である。超音波方式とは、液面に発射した超音波の反射波を検知し、反射波の強さや反射波を検知するまでの時間に基づいて、液面までの距離を測定する方式である。静電容量方式とは、検出位置の電気的な変化を検知することで、液面の位置を測定する方式である。フロート式とは、液面に追従するフロートにマグネットを内蔵し、液面を検出したい位置のステムにリードスイッチを設けておき、液面の変化によるフロートの上下動により、リードスイッチがマグネットの磁界内に入ったときにONの信号を出力し、磁界外のときにOFFの信号を出力することで、液面の位置を検出する方式である。
【0068】
いずれの方式の液面検知センサであっても、圧力タンク15の内部の蛍光体含有液の液面の位置を検知できるので、これによって、圧力タンク15の蛍光体含有液の残量を検知することができる。なお、図3では、例として、残量検知センサ17を静電容量方式の液面検知センサで構成した場合を図示している。
【0069】
残量検知センサ17にて検知された蛍光体含有液の残量が所定値以下である場合には図示しない報知部により使用者に報知される。なお、報知部は、例えば表示部や音声出力部で構成可能である。つまり、残量が少ない旨を表示部で表示したり、音声出力部から音声出力(ブザー鳴動)を行うことで、残量が所定値以下であることを使用者に報知することができる。
【0070】
移動調節部18は、圧力タンク15の内部に空気を供給することによって、圧力タンク15の内部の蛍光体含有液を外部に押し出すとともに、蛍光体含有液の移動を調節するものであり、空気供給部19と、空気制御バルブV1と、液供給制御バルブV2と、液移動制御バルブV3とを有している。
【0071】
空気供給部19は、圧力タンク15の内部に空気を供給するものであり、配管を通じて圧力タンク15とつながっている。この空気供給部19は、空気を圧縮して圧力タンク15の内部に供給するコンプレッサで構成されてもよい。
【0072】
空気制御バルブV1は、空気供給部19から圧力タンク15への空気の供給を制御するバルブである。液供給制御バルブV2は、貯蔵タンク14から圧力タンク15への蛍光体含有液の供給を制御するバルブである。液移動制御バルブV3は、スプレーノズル12から貯蔵タンク14への蛍光体含有液の移動を制御するバルブである。これらのバルブの開閉は、手動によって行うこともできるし、自動制御で行うこともできるが、自動制御の例については後述する。
【0073】
(蛍光体塗布装置の動作について)
次に、上記構成の蛍光体塗布装置10の動作について説明する。蛍光体塗布装置10の動作は、スプレーノズル12によるスプレー噴射時の動作と、スプレー非噴射時の動作とに大きく分けられる。以下、各動作について順に説明する。なお、以下での説明において、圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量の大小の判断は、残量検知センサ17の検知結果に基づくものとする。
【0074】
〈スプレー噴射時〉
図4は、蛍光体塗布装置10におけるスプレー噴射時の動作の流れを示すフローチャートである。まず、貯蔵タンク14から圧力タンク15に蛍光体含有液の補充動作を行う(S1)。なお、この補充動作の詳細については後述する。なお、圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量が所定値以上である場合には、S1の工程を省略することができる。
【0075】
次に、液移動制御バルブV3および液供給制御バルブV2を閉じ(S2,S3)、空気制御バルブV1を開いた状態で(S4)、空気供給部19から空気制御バルブV1を介して圧力タンク15の内部に空気を供給する(S5)。このときの圧力タンク15内の空気圧は、例えば0.1〜0.5MPaである。
【0076】
そして、スプレーノズル12を開状態とする(S6)。これにより、空気供給部19からの空気の供給によって、圧力タンク15から蛍光体含有液が押し出されてスプレーノズル12に供給され、スプレーノズル12から塗布対象(LED3)に向かってスプレー噴射される。この結果、LED3の表面に蛍光体が分散された状態で塗布される。
【0077】
スプレー噴射が終了するまで、空気の供給による圧力タンク15からの蛍光体含有液の押し出しが続けられる(S7にてNo)。スプレー噴射を終了させる場合は(S7でYes)、スプレーノズル12を閉状態とする(S8)。これにより、スプレー噴射が終了し、次のスプレー非噴射時の動作に入る。
【0078】
〈スプレー非噴射時〉
図5は、蛍光体塗布装置10におけるスプレー非噴射時の動作の流れを示すフローチャートである。まず、スプレー噴射時に閉じていた液移動制御バルブV3を開く(S11)。そして、液供給制御バルブV2は閉じたままとし(S12)、空気制御バルブV1は開いたままとする(S13)。
【0079】
この状態で、空気供給部19から空気制御バルブV1を介して圧力タンク15の内部に空気を供給する(S14)。このときの圧力タンク15内の空気圧は、例えば0.1〜0.5MPaである。この時点では、スプレーノズル12のノズルは閉状態であり、液移動制御バルブV3は開いているので、圧力タンク15内の蛍光体含有液は、空気供給部19から圧力タンク15への空気の供給によって押し出されて、スプレーノズル12をそのまま通り抜け、液移動制御バルブV3を介して貯蔵タンクに移動する。
【0080】
このように蛍光体含有液が圧力タンク15からスプレーノズル12を介して貯蔵タンク14に移動している最中に、スプレー噴射に移行する場合は(S15でYes)、本フローを終了し、図4で示したスプレー噴射時の動作に入る。一方、S15でNoの場合において、つまり、S15でスプレー噴射に移行せず、蛍光体含有液の移動を継続する場合において、圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量が所定値以下であれば(S16でYes)、蛍光体含有液の補充動作を行う(S17)。なお、このときの補充動作は、図4のS1と同じであるが、その詳細については後述する。一方、S16でNoの場合、つまり、圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量が所定値を超えていれば、S14以降の工程を繰り返す。
【0081】
S17の後、スプレー噴射に移行する場合は(S18でYes)、本フローを終了し、図4で示したスプレー噴射時の動作に入る。一方、S18でNoの場合、上記の補充動作によって空気制御バルブV1が閉じており、液供給制御バルブV2が開いているので、S12に移行し、S12以降の動作を繰り返す。
【0082】
〈液補充動作〉
次に、スプレー噴射時のS1およびスプレー非噴射時のS17における、蛍光体含有液の圧力タンク15への補充動作について説明する。図6は、蛍光体含有液の補充動作の流れを示すフローチャートである。
【0083】
まず、空気制御バルブV1を閉じて、空気供給部19による圧力タンク15への空気の供給を停止させる(S21)。そして、この状態で、液供給制御バルブV2を開く(S22)。これにより、圧力タンク15内の空気が液供給制御バルブV2を介して貯蔵タンク14に移動するのと引き換えに、貯蔵タンク14から液供給制御バルブV2を介して圧力タンク15に蛍光体含有液が移動し、圧力タンク15に蛍光体含有液が補充される(S23)。このとき、上述したように、貯蔵タンク14は、圧力タンク15内の蛍光体含有液の液面よりも常に上方に位置しているので、蛍光体含有液は、貯蔵タンク14から圧力タンク15に自重で移動する。
【0084】
なお、スプレー非噴射時において、圧力タンク15から押し出されてスプレーノズル12を介して貯蔵タンク14に移動した蛍光体含有液は、結果的に圧力タンク15に戻ることになり、装置内を循環したのと同じことになる。
【0085】
蛍光体含有液の補充は、圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量が所定値を超えるまで行われる(S24でNo)。圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量が所定値を超えると(S24でYes)、液供給制御バルブV2を閉じ、貯蔵タンク14から圧力タンク15への蛍光体含有液の補充を終了させる(S25)。
【0086】
(効果について)
以上のように、本実施形態では、スプレー噴射時には、圧力タンク15の内部に空気を供給して、圧力タンク15の内部の蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズル12に供給している。一方、スプレー非噴射時には、上記空気の供給によって圧力タンク15から蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズル12を介して貯蔵タンク14に移動させている。
【0087】
このように、スプレー噴射時における、圧力タンク15からスプレーノズル12への蛍光体含有液の供給を、圧力タンク15への空気の供給によって行うことにより、ポンプを使用してノズルに蛍光体含有液を供給する場合のように、ポンプの脈動によって蛍光体含有液の供給量が変動するということはない。その結果、スプレーノズル12への蛍光体含有液の供給を安定して行うことができ、蛍光体含有液をLED3の表面にムラなく均一に塗布することができる。
【0088】
また、スプレー噴射時には、液供給制御バルブV2および液移動制御バルブV3は両方とも閉じており、空気制御バルブV1は開いているので、空気供給部19は空気制御バルブV1を介して圧力タンク15に空気を供給して、圧力タンク15から蛍光体含有液を確実に押し出すことができるとともに、押し出された蛍光体含有液を、スプレーノズル12のみに供給してスプレー噴射させることができる。
【0089】
一方、スプレー非噴射時には、圧力タンク15への空気の供給によって圧力タンク15から蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズル12を介して貯蔵タンク14に移動させるので、スプレーノズル12内や配管内で、蛍光体含有液中の蛍光体が沈殿するのを抑えることができる。しかも、蛍光体含有液の移動を、圧力タンク15内部への空気の供給によって行うため、循環ポンプを使用して蛍光体含有液を移動させる場合のように、循環ポンプのダイヤフラムが蛍光体含有液中の蛍光体によって削られるということはなく、蛍光体含有液中に削りカス(不純物)が混入するのを防止することができる。その結果、蛍光体が塗布された後のLED3において、発光時に上記の不純物による部分的な点欠陥が生じるのを抑えることができ、照度バラツキを低減することができる。
【0090】
また、スプレー非噴射時には、液供給制御バルブV2は閉じており、液移動制御バルブV3および空気制御バルブV1は開いているので、空気供給部19は空気制御バルブV1を介して圧力タンク15に空気を供給して、圧力タンク15から蛍光体含有液を確実に押し出すことができるとともに、押し出された蛍光体含有液を、スプレーノズル12および液移動制御バルブV3を介して貯蔵タンク14に移動させることができる。
【0091】
また、スプレー非噴射時において、圧力タンク15から、スプレーノズル12および液移動制御バルブV3を介して蛍光体含有液が貯蔵タンク14に移動することにより、圧力タンク15内の蛍光体含有液の量は徐々に減少する。しかし、貯蔵タンク14は、圧力タンク15内の蛍光体含有液の液面よりも上方に位置しており、スプレー非噴射時において、空気制御バルブV1を開状態から閉状態に切り替え、液供給制御バルブV2を閉状態から開状態に切り替えることにより、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液をその自重によって圧力タンク15に補充することができる。
【0092】
ところで、上記した空気制御バルブV1は、その閉状態において、空気供給部19から圧力タンク15への空気の供給を止めると同時に、圧力タンク15内の空気を外部に抜く三方弁で構成されていることが望ましい。この場合、空気制御バルブV1は、圧力タンク15内の空気を抜くエアベントの役割を果たし、空気供給部19から圧力タンク15への空気の供給を止めると同時に、圧力タンク15内が大気圧にすぐに戻る。これにより、貯蔵タンク14から圧力タンク15に蛍光体含有液をスムーズに供給(補充)することができる。
【0093】
つまり、例えば、空気制御バルブV1が三方弁でない場合、圧力タンク15内に残圧が残ると、その残圧と蛍光体含有液の自重による圧力との押し合いになって、貯蔵タンク14から圧力タンク15に蛍光体含有液がスムーズに移動しない可能性がある。これに対して、空気制御バルブV1が三方弁で構成される場合は、空気供給部19から圧力タンク15への空気の供給を止めると、上記の残圧がリセットされるとともに、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液が圧力タンク15に入る分だけ、圧力タンク15内の空気が三方弁の排気口から抜けるので、貯蔵タンク14から圧力タンク15に蛍光体含有液をスムーズに供給することができる。
【0094】
(点欠陥の評価について)
次に、蛍光体が塗布された後のLED3の点欠陥の評価について説明する。この点欠陥の評価は、以下のようにして行った。まず、上述した本実施形態の蛍光体塗布装置10において、スプレー非噴射状態で、圧力タンク15内の蛍光体含有液を所定時間(例えば1時間)移動および循環させた後、スプレー噴射によってLED3の表面に蛍光体含有液(第1液)を塗布し、その後、混合液(第2液)を塗布して蛍光体層5を形成し、白色光を発光する発光装置1を完成させた。そして、発光装置1を点灯させて3m前方の黒板を照明し、黒板の照明領域の中に点欠陥(この場合は黒点)が生じているか否かを目視で確認した。このような点欠陥の確認を、同様の条件で作製される100個の発光装置1の各々に対して行い、欠陥率を算出した。なお、このときの欠陥率(%)は、((点欠陥が確認された発光装置の数)/(全発光装置の数))×100によって算出した。
【0095】
また、本実施形態との比較のため、比較例1および2の蛍光体塗布装置100・200を用いて上記と同様の条件で発光装置を作製し、上記と同様の評価を行った。なお、初期状態における蛍光体含有液の組成は、本実施形態、比較例1および2で同じものとした。
【0096】
なお、比較例1および2の蛍光体塗布装置100・200の構成は、以下の通りである。図7は、比較例1の蛍光体塗布装置100の概略の構成を示す説明図である。蛍光体塗布装置100は、蛍光体含有液を収容するタンク101と、スプレーノズル102と、循環ポンプ103と、バルブ104とを備えている。タンク101とスプレーノズル102とは、並列に配置される2本の配管でつながっている。循環ポンプ103は、一方の配管に位置しており、バルブ104は、他方の配管に位置している。
【0097】
この構成では、スプレーノズル102によるスプレー噴射時には、バルブ104を閉じた状態で、循環ポンプ103を作動させることにより、タンク101内の蛍光体含有液がスプレーノズル102に供給される。したがって、スプレーノズル102を開状態とすることにより、スプレーノズル102から塗布対象に向かって蛍光体含有液がスプレー噴射される。
【0098】
スプレー非噴射時には、バルブ104を開いた状態で、循環ポンプ103を作動させることにより、タンク101内の蛍光体含有液がスプレーノズル102およびバルブ104を介してタンク101に移動し、循環する。
【0099】
このように、比較例1の蛍光体塗布装置100は、スプレー噴射時におけるタンク101からスプレーノズル102への蛍光体含有液の供給、および、スプレー非噴射時の蛍光体含有液の移動、循環を、両方とも循環ポンプ103によって行う構成である。
【0100】
一方、図8は、比較例2の蛍光体塗布装置200の概略の構成を示す説明図である。蛍光体塗布装置200は、蛍光体含有液を収容するタンク201と、スプレーノズル202と、空気供給部203と、第1のバルブ204と、循環ポンプ205と、第2のバルブ206とを備えている。タンク201とスプレーノズル202とは、並列に配置される2本の配管でつながっている。空気供給部203は、上記2本の配管とは別経路で、第1のバルブ204を介してタンク201の内部に空気を供給する。循環ポンプ205および第2のバルブ206は、上記2本の配管のうちの一方に設けられている。
【0101】
この構成では、スプレーノズル202によるスプレー噴射時には、第2のバルブ206を閉じた状態で、第1のバルブ204を開き、空気供給部203から第1のバルブ204を介してタンク201内に空気を供給する。これにより、タンク201内の蛍光体含有液がスプレーノズル202に供給され、スプレーノズル202を開状態とすることにより、スプレーノズル202から塗布対象に向かって蛍光体含有液がスプレー噴射される。
【0102】
スプレー非噴射時には、第1のバルブ204を閉じ、第2のバルブ206を開いた状態で、循環ポンプ205を作動させることにより、タンク201内の蛍光体含有液がスプレーノズル202および第2のバルブ206を介してタンク201に移動し、循環する。なお、循環ポンプ205による蛍光体含有液の循環の向きは、上記と逆向きであってもよい。
【0103】
このように、比較例2の蛍光体塗布装置200は、スプレー噴射時におけるタンク201からスプレーノズル202への蛍光体含有液の供給を、空気供給部201からタンク201への空気の供給によって行う一方、スプレー非噴射時の蛍光体含有液の移動、循環を、循環ポンプ205によって行う構成である。
【0104】
本実施形態の蛍光体塗布装置10、比較例1および2の蛍光体塗布装置100・200を用いた場合の点欠陥の評価の結果を表1に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
表1より、比較例1および2の蛍光体塗布装置100・200を用いた場合、欠陥率は、それぞれ10%以上、1%以上10%未満であるが、本実施形態の蛍光体塗布装置10を用いた場合、欠陥率は1%未満であった。このことから、本実施形態の蛍光体塗布装置10を用いることにより、発光装置1の点欠陥を格段に抑えることができると言える。これは、本実施形態では、スプレー非噴射時の蛍光体含有液の移動を、圧力タンク15内部への空気の供給によって行っており、比較例1および2のように循環ポンプを使用していないため、循環ポンプのダイヤフラムが蛍光体で削られるということがなく、その削りカスが蛍光体含有液に混入されないことによるものと考えられる。
【0107】
(蛍光体塗布装置の他の構成)
図9は、本実施形態の蛍光体塗布装置10の他の構成であって、主要部の概略の構成を示すブロック図である。蛍光体塗布装置10は、上述した各バルブの開閉を自動制御で行う構成であってもよい。このような蛍光体塗布装置10は、上述した構成に加えて、スプレー指示部20と、バルブ制御部21とをさらに有して構成されている。
【0108】
スプレー指示部20は、スプレーノズル12によるスプレー噴射およびその停止を指示するための指示部である。このスプレー指示部20は、例えば、装置の使用者が手動でスプレー噴射およびその停止を切り替えるスイッチで構成することができる。なお、このようなスイッチは、スプレーノズル12を有するスプレーガンに設けられていてもよいし、スプレーガン以外の場所に設けられていてもよい。
【0109】
また、スプレー指示部20は、支持部材11によって塗布対象がスプレーノズル12の上方に搬送されたことを検知するセンサで構成することもできる。例えば、上記のセンサが、スプレーノズル12の上方に塗布対象が搬送されたことを検知したときに、スプレー噴射を指示する信号を出力し、塗布対象が搬送されてスプレーノズル12の上方から外れたことを検知したときに、スプレー噴射の停止を指示する信号を出力するようにすれば、上記のセンサをスプレー指示部20として用いることができる。
【0110】
バルブ制御部21は、スプレー指示部20での指示に基づいて、液供給制御バルブV2、液移動制御バルブV3および空気制御バルブV1の開閉を制御するとともに、空気供給部19による圧力タンク15への空気の供給を制御するものであり、例えばCPUなどの中央演算処理装置で構成されている。
【0111】
バルブ制御部21は、スプレー指示部20にてスプレー噴射が指示されたときに、液移動制御バルブV3および液供給制御バルブV2を閉じ、空気制御バルブV1を開く(図4のS2〜S4に対応)。一方、バルブ制御部21は、スプレー指示部20にてスプレー噴射の停止が指示されたときに、液供給制御バルブV2を閉じ、液移動制御バルブV3および空気制御バルブV1を開く(図5のS11〜S13に対応)。
【0112】
このような、スプレー指示部20での指示に基づくバルブ制御部21の各バルブの制御により、スプレー噴射時には、空気制御バルブV1を介して圧力タンク15内に空気を供給して、圧力タンク15内から蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズル12に供給することができる。一方、スプレー非噴射時には、空気制御バルブV1を介して圧力タンク15内に空気を供給して、圧力タンク15内から蛍光体含有液を押し出し、スプレーノズル12および液移動制御バルブV3を介して貯蔵タンク14に移動させることができる。したがって、スプレー噴射時とスプレー非噴射時とで、使用者が各バルブの切り替え操作(開閉操作)を行う必要がなくなる。
【0113】
また、バルブ制御部21は、残量検知センサ17にて圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量が所定値以下であることが検知されたときに、空気制御バルブV1を閉じ、液供給制御バルブV2を開くようにしてもよい。
【0114】
例えば、スプレー非噴射時に液移動制御バルブV3を開いて蛍光体含有液が貯蔵タンク14に向かって移動している状態で、残量検知センサ17にて、圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量が所定値以下であることが検知されたときに、空気制御バルブV1を閉じて(空気の供給による蛍光体含有液の圧力タンクからの押し出しを止めて)、液供給制御バルブV2を開くことにより、貯蔵タンク14から圧力タンク15への蛍光体含有液の供給(補充)を自動的に行うことができ、圧力タンク15内の蛍光体含有液の残量不足を自動的に解消することができる。
【0115】
以上、上記したようなバルブ制御部21による制御(スプレー噴射時およびスプレー非噴射時における各バルブの開閉制御)により、図4〜図6で示したフローを自動制御で行うことができる。
【0116】
(蛍光体塗布装置のさらに他の構成)
図10は、蛍光体塗布装置10のさらに他の構成を示す説明図である。同図に示すように、蛍光体塗布装置10は、押出部22をさらに備えていてもよい。この押出部22は、貯蔵タンク14から圧力タンク15への蛍光体含有液の供給(補充)の際に、貯蔵タンク14内の空気に圧力を加えることにより、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液を圧力タンク15に押し出すものである。この押出部22は、例えば貯蔵タンク14の上部に設けられて、貯蔵タンク14の内部に空気を供給するピストンで構成されている。
【0117】
なお、上述した空気供給部19は、圧力タンク15への蛍光体含有液の補充の際には、空気を圧力タンク15に供給しないので(空気制御バルブV1が閉じるため)、このときに空気供給部19から貯蔵タンク14の内部に空気が供給されるように配管を工夫すれば、空気供給部19が押出部22を兼ねる構成とすることも可能である。
【0118】
上記のように押出部22を設けることにより、貯蔵タンク14から圧力タンク15への蛍光体含有液の補充の際に、蛍光体含有液が比較的高粘度のものであっても、その蛍光体含有液を押出部22によって貯蔵タンク14から押し出して圧力タンク15に確実に供給することができる。また、用いる蛍光体含有液の粘度の幅が広がるため、蛍光体含有液の組成のバリエーションも増大する。
【0119】
また、図11は、蛍光体塗布装置10のさらに他の構成を示す説明図である。同図に示すように、蛍光体塗布装置10は、流量調整バルブ23をさらに備えていてもよい。この流量調整バルブ23は、スプレーノズル12から貯蔵タンク14に移動する蛍光体含有液の流量を絞る流量絞りとして機能するものである。
【0120】
この構成では、スプレー非噴射時に、流量調整バルブ23によって蛍光体含有液の流量を絞ることにより、スプレーノズル12から貯蔵タンク14に移動する蛍光体含有液が、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液に少しずつ混合される。これにより、貯蔵タンク14内での蛍光体含有液の混合時の泡立ちを抑えることができ、次の貯蔵タンク14から圧力タンク15への供給に直ちに備えることができる。
【0121】
また、図12は、蛍光体塗布装置10のさらに他の構成を示す説明図である。同図に示すように、蛍光体塗布装置10は、空気供給量調整バルブ24をさらに備えていてもよい。空気供給量調整バルブ24は、スプレー非噴射時における圧力タンク15への空気の供給量を、スプレー噴射時よりも減少させるためのバルブである。
【0122】
ここで、図13(a)(b)は、空気供給量調整バルブ24の構成例をそれぞれ示している。同図(a)に示すように、空気供給部19から圧力タンク15に至る空気の流路が1本で構成される場合、空気供給量調整バルブ24は、単一の流路に設けられて、ニードル24aを移動させることにより、圧力タンク15への空気の供給量を、スプレー噴射時とスプレー非噴射時とで変化させてもよい。
【0123】
また、同図(b)に示すように、空気供給部19から圧力タンク15に至る空気の流路が、流量の異なる2本の流路L1・L2が並列に設けられて構成される場合、空気供給量調整バルブ24は、方位弁25によって空気の流れる方向を流路L1・L2とで切り替えることにより、スプレー噴射時とスプレー非噴射時とで、圧力タンク15への空気の供給量を変化させてもよい。例えば、スプレー非噴射時には、方位弁25によって流路L2に切り替えることで、空気の流量を抑える構成としてもよい。
【0124】
このように、空気供給量調整バルブ24を設けることにより、スプレー非噴射時における圧力タンク15への空気の供給量が、スプレー噴射時よりも減少するので、上記空気の供給によって圧力タンク15から押し出される蛍光体含有液の量を、スプレー噴射時よりも少なくすることができる。これにより、スプレー非噴射時に、圧力タンク15からスプレーノズル12を介して貯蔵タンク14に移動する蛍光体含有液が、貯蔵タンク14内の蛍光体含有液にゆっくりと混合される。したがって、蛍光体含有液の混合時の泡立ちを抑えることができ、次の貯蔵タンク14から圧力タンク15への供給に直ちに備えることができる。
【0125】
また、上述した流量調整バルブ23によって蛍光体含有液の流量を蛍光体含有液の移動途中で絞る構成では、流量調整バルブ23の内径が絞られることにより、その絞り具合いによっては、蛍光体含有液に含まれる蛍光体が流量調整バルブ23内で詰まるということも想定される。
【0126】
この点、上記のように空気供給量調整バルブ24を設けることにより、スプレー非噴射時に圧力タンク15から押し出す時点で蛍光体含有液の量がスプレー噴射時よりも少なくなる。これにより、バルブによって蛍光体含有液の流量を移動途中で絞る構成のように、蛍光体含有液に含まれる蛍光体がバルブ内で詰まるということがない。その結果、スプレー非噴射時に、圧力タンク15からスプレーノズル12を介して貯蔵タンク14に蛍光体含有液を確実に移動させることができる。
【0127】
(その他)
上述した本実施形態の蛍光体塗布装置10において、各バルブの切り替え時に発生する配管内の蛍光体含有液の逆流を防ぐため、スプレーノズル12やその周辺の配管よりも、貯蔵タンク14および圧力タンク15を高い位置に配置することが望ましい。
【0128】
本実施形態では、蛍光体含有液として、青色光で励起されて黄色の蛍光を発する蛍光体を含むものを用いているが、このような蛍光体含有液に限定されるわけではない。LEDの出射光で励起されて上記出射光とは異なる色(波長)の蛍光を発する蛍光体を含む蛍光体含有液であれば、本実施形態の蛍光体塗布装置10を適用することができる。
【0129】
本実施形態では、第1液としての蛍光体含有液と、第2液としての混合液とを分離し、第1液を蛍光体塗布装置10でスプレー噴射する例について説明したが、第1液と第2液とを混合した状態でスプレー噴射するようにしてもよい。ただし、この場合は、第1液と第2液とを混合することによって溶液がゲル化するため、混合後に直ちにスプレー噴射して溶液を使い切ることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の蛍光体塗布装置は、例えば、青色LEDの表面に蛍光体含有液をスプレー噴射して蛍光体層を形成し、白色を発光する発光装置を製造する場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0131】
3 LED(発光素子)
10 蛍光体塗布装置
12 スプレーノズル
14 貯蔵タンク
15 圧力タンク
16 撹拌装置
16a 撹拌部材
17 残量検知センサ
18 移動調節部
19 空気供給部
20 スプレー指示部
21 バルブ制御部
22 押出部
23 流量調整バルブ
24 空気供給量調整バルブ
V1 空気制御バルブ
V2 液供給制御バルブ
V3 液移動制御バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の表面に蛍光体含有液をスプレー噴射するスプレーノズルを備えた蛍光体塗布装置であって、
前記蛍光体含有液を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記スプレーノズルに供給する前記蛍光体含有液を前記貯蔵タンクから受ける圧力タンクと、
前記蛍光体含有液の移動を調節する移動調節部とをさらに備え、
前記移動調節部は、前記スプレーノズルによるスプレー噴射時には、前記圧力タンクの内部に空気を供給することによって、前記圧力タンクから前記蛍光体含有液を押し出して前記スプレーノズルに供給する一方、スプレー非噴射時には、前記空気の供給によって前記圧力タンクから前記蛍光体含有液を押し出し、前記スプレーノズルを介して前記貯蔵タンクに移動させることを特徴とする蛍光体塗布装置。
【請求項2】
前記移動調節部は、
前記圧力タンクの内部に空気を供給する空気供給部と、
前記空気供給部から前記圧力タンクへの空気の供給を制御する空気制御バルブと、
前記貯蔵タンクから前記圧力タンクへの前記蛍光体含有液の供給を制御する液供給制御バルブと、
前記スプレーノズルから前記貯蔵タンクへの前記蛍光体含有液の移動を制御する液移動制御バルブとを有しており、
前記移動調節部は、前記スプレー噴射時には、前記液供給制御バルブおよび前記液移動制御バルブを両方とも閉じ、かつ、前記空気制御バルブを開いた状態で、前記空気供給部によって前記圧力タンクの内部に空気を供給する一方、前記スプレー非噴射時には、前記液供給制御バルブを閉じ、かつ、前記液移動制御バルブおよび前記空気制御バルブを開いた状態で、前記空気供給部によって前記圧力タンクの内部に空気を供給することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体塗布装置。
【請求項3】
前記貯蔵タンクは、前記圧力タンク内の前記蛍光体含有液の液面よりも上方に位置しており、
前記移動調節部は、前記スプレー非噴射時において、前記空気制御バルブを開状態から閉状態に切り替え、前記液供給制御バルブを閉状態から開状態に切り替えることにより、前記貯蔵タンク内の蛍光体含有液を前記圧力タンクに供給することを特徴とする請求項2に記載の蛍光体塗布装置。
【請求項4】
前記空気制御バルブは、その閉状態において、前記空気供給部から前記圧力タンクへの空気の供給を止めると同時に、前記圧力タンク内の空気を外部に抜く三方弁で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体塗布装置。
【請求項5】
前記スプレーノズルによるスプレー噴射およびその停止を指示するためのスプレー指示部と、
前記スプレー指示部での指示に基づいて、前記液供給制御バルブ、前記液移動制御バルブおよび前記空気制御バルブの開閉を制御するバルブ制御部とをさらに備えており、
前記バルブ制御部は、前記スプレー指示部にてスプレー噴射が指示されたときに、前記液供給制御バルブおよび前記液移動制御バルブを閉じ、前記空気制御バルブを開く一方、前記スプレー指示部にてスプレー噴射の停止が指示されたときに、前記液供給制御バルブを閉じ、前記液移動制御バルブおよび前記空気制御バルブを開くことを特徴とする請求項3または4に記載の蛍光体塗布装置。
【請求項6】
前記圧力タンクの内部の前記蛍光体含有液の残量を検知する残量検知センサをさらに備えており、
前記バルブ制御部は、前記残量検知センサにて前記蛍光体含有液の残量が所定値以下であることが検知されたときに、前記空気制御バルブを閉じ、前記液供給制御バルブを開くことを特徴とする請求項5に記載の蛍光体塗布装置。
【請求項7】
前記貯蔵タンク内の前記蛍光体含有液を撹拌する撹拌装置をさらに備えており、
前記撹拌装置は、前記貯蔵タンクの内面と非接触となるように前記貯蔵タンク内に位置して前記蛍光体含有液を撹拌する撹拌部材を有していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の蛍光体塗布装置。
【請求項8】
前記貯蔵タンクは、透明容器で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の蛍光体塗布装置。
【請求項9】
前記貯蔵タンクは、セラミックで構成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の蛍光体塗布装置。
【請求項10】
前記貯蔵タンク内の空気に圧力を加えることにより、前記貯蔵タンク内の前記蛍光体含有液を前記圧力タンクに押し出す押出部をさらに備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の蛍光体塗布装置。
【請求項11】
前記スプレーノズルから前記貯蔵タンクに移動する前記蛍光体含有液の流量を絞る流量調整バルブをさらに備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の蛍光体塗布装置。
【請求項12】
前記スプレー非噴射時における前記圧力タンクへの空気の供給量を、前記スプレー噴射時よりも減少させる空気供給量調整バルブをさらに備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の蛍光体塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−12550(P2013−12550A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143452(P2011−143452)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】