説明

蛍光偏光法による遺伝子の検知方法およびVero毒素生産菌の検出方法

【課題】 試料中の複数種の遺伝子の検知において、蛍光偏光法を利用して再現性良く、正確かつ短時間迅速に検知する方法、および該方法を用いてO−157等のVero毒素生産菌の有無を迅速に検出する方法を提供する。
【解決手段】 試料中に含まれる特定の遺伝子を遺伝子増幅法によって増幅し、該増幅産物中の該特定遺伝子量を蛍光偏光法にて測定することによって該特定遺伝子の有無を検知する方法において、試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、該複数種の遺伝子に対してそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬を用いて該複数種の遺伝子のそれぞれの量を同時に測定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光偏光法による遺伝子の検知方法およびVero毒素生産菌の検出方法に関し、特に複数種の遺伝子を同時に増幅して、該複数種の遺伝子の有無を検知することができる方法、並びに、該方法を用いた複数種のVero毒素生産菌の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、特定の微生物の有無を検知する必要性が高まっており、その一方法として該微生物が特異的に有する遺伝子を検知する方法が採られている。この方法としては、従来の免疫測定法をモデルとして、放射性標識や酵素標識を用いる検知法が研究され一部実用化されている。これらに代表される従来の特定遺伝子の検知法はほとんどの場合、不均一系の検知系として構成されている。すなわち検知対象遺伝子を含む試料と検知に用いる試薬(検知試薬)とを混合し反応させた後、未反応の検知対象遺伝子または検知試薬を既反応のそれらと分離した上で、標識に起因して発生する信号を計測する方法である。上述の分離操作は通常、B/F分離とよばれる。このようなB/F分離の方法としては、反応容器やフィルム等に固定化されたDNA試薬を用いる方法、磁性微粒子を用いる方法または電気泳動を用いる方法などがあるが、いずれの場合も煩雑なあるいは長時間の操作を必要とする。
【0003】このようなB/F分離が不要な検知法として、均一系の検知系に適用できる蛍光偏光法が知られている。該方法は、従来から試料中の薬物等の簡便かつ迅速な検知法として知られているが、また同様に、特定の遺伝子の検知法として応用可能であると考えられている(特開平5−123196号公報など)。該方法により特定遺伝子を測定するためには、検出すべき遺伝子の塩基配列と相補的な塩基配列を含む核酸に蛍光物質を標識し、これを試薬として用いる。ここで上記試薬を蛍光標識試薬(標識プローブ)とよぶ。通常、該試薬には1本鎖の核酸が用いられる。
【0004】蛍光偏光法による特定遺伝子の測定法のプロセスの例を以下に示す。まず、測定すべき試料に蛍光標識試薬を加える。該試料中に標的とする塩基配列を含む遺伝子またはその一部(以下、標的遺伝子とよぶ)が存在する場合、該試薬は、ある反応時間で標的とする塩基配列を有する遺伝子と、互いに相補的な配列同士が会合し結合する。この反応をハイブリダイゼーションとよぶ。ここで試料中の標的遺伝子を有する核酸は、温度あるいは薬品等の処理によって1本鎖の状態に前処理されているものとする。ハイブリダイゼーションにより、蛍光標識試薬が標的とする遺伝子部位と結合すると、該試薬の見かけ上の分子量は結合前より増大する。一般に溶液中での分子運動は分子の体積が大きいほど緩慢である。そこで反応前後の蛍光偏光度をモニターすると、ハイブリダイゼーションによる結合後の値は結合前より大きくなる。これは標的遺伝子とのハイブリダイゼーションにより、蛍光標識試薬の見かけ上の体積が増大するからである。蛍光標識試薬の量を一定とすれば、この変化の程度は標的とする遺伝子の量に対応する。そこで反応前後の蛍光偏光度の変化により、標的とする遺伝子の量を測定することができる。(軽部、民谷編(1994)「バイオエレクトロニクス」、朝倉書店、p.p.62−78.参照)
【0005】なお通常、蛍光偏光度は、励起側、蛍光側ともに偏光素子をセットし、蛍光側の偏光素子を回転させ励起光の偏光面と平行および垂直の偏光面を有する蛍光を測定することによって得られるので、1分以内の短時間で1回の測定を終了することができる。以上説明したように、蛍光偏光法はB/F分離操作が不要であり、迅速・簡便な特定遺伝子検知法に応用することが可能である。しかし、同法の測定感度は、基本的に蛍光標識物質(ラベル)の検出感度に依存しているため、高感度とはいい難い。一方、たとえば、患者からの検体や食品中の微生物が特異的に有する遺伝子を検知する場合、その量は微量であることが多く、蛍光偏光法によると感度的に検知困難な場合がある。
【0006】そこで、これらの微生物や細胞等が特異的に有する遺伝子を高感度に検知する為には、予めPCR(たとえば、 Erlich, H. A., Gelfand, D. H. and Saiki, R.K. (1988) Specific DNA amplification. Nature 331, 461-462.参照)等の遺伝子増幅法により、微生物の遺伝子(核酸)の量を増幅させておき、増幅した遺伝子量を蛍光偏光法によって測定すればよいだろうということは容易に想像される。また、すでに、蛍光標識したオリゴDNAを遺伝子の増幅用プライマーとして用い、増幅の進行とともに蛍光偏光度が増大することを利用して、特定の遺伝子を測定する方法も提唱されている(Tamiya, E. and Karube, I. (1993) New Functionality Materials B, 99-104. 参照)。前項の従来の技術に記したように、DNA等からなる特定の遺伝子を測定する場合、感度上の理由から、あらかじめ遺伝子増幅法により該遺伝子の量を増幅し、この増幅産物量を蛍光偏光法により測定することが想像される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、デオキシリボ核酸(DNA)量を測定した実験によると、測定試料に対して通常のPCR操作(たとえば、 Erlich, H. A., Gelfand, D. H. and Saiki, R. K. (1988) Specific DNA amplification. Nature 331,Nature 331(1988) 461-462参照)を行い、該産物中のDNAをそのまま蛍光偏光法によって測定した場合、未だに検出感度が不十分であったり、結果の再現性が低い等の問題が見られることがあった。また、有無を検知しようとする特定の微生物や、該微生物が特異的に有する遺伝子がしばしば複数種に及ぶ場合がある。この場合、特定遺伝子を1種類ずつのみ増幅してから蛍光偏光法で検出する従来の方法では、該複数種の遺伝子に対して増幅操作をそれぞれかつ順次行わなければならず、多大な労力と時間を必要とする問題があった。
【0008】従って、本発明は、従来の技術の欠点を克服し、試料中の複数種の遺伝子の検知において、蛍光偏光法を利用して再現性良く、正確かつ短時間迅速に検知する方法、および該方法を用いてO−157等のVero毒素生産菌の有無を迅速に検出する方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の結果、以下の方法を採ることにより前記従来技術の欠点を克服したものである。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)試料中に含まれる特定の遺伝子を遺伝子増幅法によって増幅し、該増幅産物中の該特定遺伝子量を蛍光偏光法にて測定することによって該特定遺伝子の有無を検知する方法において、試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、該複数種の遺伝子に対してそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬を用いて該複数種の遺伝子のそれぞれの量を同時に測定することを特徴とする遺伝子の検知方法。
【0010】(2)試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、得られた遺伝子増幅産物を複数に分割し、分割したそれぞれの遺伝子増幅産物に、該複数種の遺伝子に対してそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬をそれぞれ適用することを特徴とする上記(1)記載の遺伝子の検知方法。
(3)複数種の遺伝子が含まれる試料を複数に分割し、分割したそれぞれの試料にユニバーサルプライマーを適用して該複数種の遺伝子を同時に増幅した後、複数のそれぞれの遺伝子増幅産物に、該複数種の遺伝子とそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬をそれぞれ適用することを特徴とする上記(1)記載の遺伝子の検知方法。
【0011】(4)試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅する際に、非対称遺伝子増幅法を用いて増幅することを特徴とする上記(1)記載の遺伝子の検知方法。
(5)試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、増幅遺伝子に対し該ユニバーサルプライマーのアニール処理を行い、蛍光標識試薬の該増幅遺伝子への結合を容易にすることを特徴とする上記(1)記載の遺伝子の検知方法。
(6)増幅した遺伝子の量を蛍光偏光法にて測定する際に、増幅遺伝子および蛍光標識試薬を含む反応溶液中の無機酸塩または有機酸塩の塩濃度を0.01〜5mol/リットルの範囲に維持することを特徴とする上記(1)記載の遺伝子の検知方法。
【0012】(7)蛍光標識試薬が、蛍光物質で標識したDNAまたはRNAであることを特徴とする上記(1)記載の遺伝子の検知方法。
(8)蛍光標識試薬が、蛍光物質で標識したPNAであることを特徴とする上記(1)記載の遺伝子の検知方法。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかの方法を用いたVero毒素生産菌の検出方法。
(10) 配列表の配列番号1に示す配列を有するものと配列番号2に示す配列を有するものとをユニバーサルプライマーとして用いることを特徴とする上記(9)記載のVero毒素生産菌の検出方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明でいう遺伝子とは、一般的にDNA(デオキシリボ核酸)またはRNA(リボ核酸)からなり、特定の塩基配列すなわち特定の遺伝情報またはゲノムとしての情報を有するものを示す。遺伝子の有無、量などを検知する試料としては、例えば食品、血清、尿、糞便、細胞、その他各種培養液などを挙げることができる。基本的には、遺伝子の有無などを検知する必要のある対象物であれば、範囲に限定はない。検知対象の遺伝子としては、例えばO−157などの細菌類が有するVero(ベロ)毒素生産遺伝子等を挙げることができる。基本的には、蛍光偏光法を応用できる対象体であれば、その範囲は問題にならない。
【0014】本発明の方法における遺伝子増幅は、ユニバーサルプライマーを用いて試料に含まれる複数種の遺伝子を同時に増幅させるものである。ユニバーサルプライマーとは、複数種の遺伝子に対して共通にアニーリングして増幅を行うことができる共通プライマーと、複数種の遺伝子のそれぞれにアニーリングして増幅させることができるそれぞれのプライマーの混合物(混合プライマーともいう)を総称していうものである。
【0015】遺伝子増幅法(PCR)には対称(通常)増幅法と非対称増幅法とがある。対称(通常)増幅法とは、相補する2本鎖からなる核酸を熱またはアルカリ等による変性処理によって1本鎖とし、2種類のプライマーを等量添加し、検知対象遺伝子の塩基配列からなる互いに相補な2本の核酸鎖をほぼ同量に増幅するものである。非対称増幅法とは、2本鎖からなる複製元の核酸の、ある1本鎖側の配列のみを選択的に増幅するか、ある1本鎖側の配列を他の1本鎖側の配列よりも多くなるように増幅する方法である。この場合、2種類のプライマーのうちの1種のみを添加するか、あるいは、2種類のプライマーのうち1種のプライマーの量をもう1種のプライマーの量より多く添加して行う(例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(1988) 7652-7656 参照)。一例として、2種類のプライマーの量を2〜10倍の比率で変化させることで、非対称増幅法を行うことが好ましい。
【0016】遺伝子増幅に際して非対称増幅法を用い、蛍光標識試薬が相補的に結合する塩基配列を有する側の1本鎖核酸を選択的に増幅することにより、該1本鎖核酸が他方の1本鎖核酸よりも多くなり、該蛍光標識試薬のこれと相補的に結合する塩基配列を有する1本鎖核酸とのハイブリダイゼーション効率を向上することができると考えられる。
【0017】また、遺伝子増幅の最終の段階で、DNA合成に適する温度(通常約70〜75℃)でなく、プライマーのアニーリングに適する温度に保持して、増幅反応を終了させてもよい。この場合、増幅反応を終了した後、さらにプライマーをアニーリングするプロセスを付加する等の方法でよい。この増幅に用いたプライマーのアニール処理を行うことにより、蛍光標識試薬をハイブリダイゼーションさせる時に、変性させた互いに相補な二本の核酸が再びハイブリダイゼーションすることを避け、該蛍光標識試薬の検知対象一本鎖核酸とのハイブリダイゼーション効率を向上することができると考えられる。
【0018】本発明は、試料中の複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーで増幅し、増幅したその遺伝子産物に対し蛍光標識試薬(プローブ)のハイブリダイゼーションを図る。蛍光標識試薬は予め準備しておく。本発明において蛍光標識試薬とは、検知対象の遺伝子に特異的にハイブリダイゼーションさせるために用いられるのであり、同様に、該検知対象遺伝子に対して特異的にハイブリダイゼーションする性質を有する物質に蛍光物質を標識したものである。検知対象遺伝子に対して特異的にハイブリダイゼーションする性質を有する物質としては、DNAまたはRNAの他、この代替として例えばPNA(peptide nucleic acid, PerSeptive Biosystems, U.S.A.)等を用いることも原理的に可能である。
【0019】本発明において使用する蛍光物質としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどがある。核酸に蛍光物質を結合させる方法としては、例えばチオカルバミド結合などの共有結合によるものがある。例えばオリゴヌクレオチドをホスホアミダイト法によって合成し、蛍光標識、例えばフルオレセインを標識する。本発明に使用する蛍光標識試薬としては、塩基数は20ないし30塩基程度あれば、ある特定の遺伝子を特異的に検出できる(たとえば、Eur. J. Clin. Microbiol. Infect, Dis., 10 (1991) 1048-1055 ; Nei, M. and Li, W. H. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 76(1979), 5269-5273 参照)。
【0020】なお検知対象の遺伝子が複数種ある場合の検知方法の態様例としては、検知対象となる試料を容器でそれと同じ数小分けする。小分けした容器で遺伝子核酸を増幅する。あるいは、遺伝子核酸を十分増幅してから同じ数に容器を小分けする。小分けは、試料の液量だけを単純に分ける。次いで、塩基配列が異なる複数種の蛍光標識試薬を、試料を小分けしたこの各容器それぞれに対し、蛍光標識試薬が有する塩基配列の相違に基づいて分別し、添加する。
【0021】本発明では、増幅した遺伝子と蛍光標識試薬とをハイブリダイゼーションさせ、生じる蛍光偏光度の変化を確認する。増幅した遺伝子産物が、検出対象の微生物等が有する固有の遺伝子と同一であれば、蛍光標識試薬は増幅したその遺伝子核酸と反応しハイブリダイゼーションする。その際、蛍光標識試薬は、事実上分子量または実効体積が大きく変化し、それが蛍光偏光度の変化となって現れる。蛍光の偏光測定は、ハイブリダイゼーション反応の前後を通じて継続的に行うとよい。増幅した遺伝子産物に蛍光標識試薬をハイブリダイゼーションさせる際、固定化担体を使う方法と、固定化担体を使わない方法がある。固定化担体を使わない方法としては、例えば次のような方法がある。すなわち、蛍光標識試薬として、標的遺伝子に相補的な関係にある塩基配列を有する物質を用い、増幅した一本鎖遺伝子核酸にこれを添加して蛍光偏光度の変化を測定するという方法である。
【0022】固定化担体を使う場合は、検知対象となる一本鎖遺伝子塩基配列に対し、相補的な関係にある一本鎖遺伝子配列を固定化担体に固定する。相補的な一本鎖遺伝子塩基配列を固定した固定化担体と、蛍光標識試薬と、検知目的で増幅した一本鎖遺伝子配列とを混合し、蛍光偏光度の変化を測定する。
【0023】相補的な関係にある一本鎖遺伝子配列を固定化する担体としては、ポリスチレン、ナイロンなどの合成樹脂ビーズを挙げることができる。ラテックス粒子、ガラスビーズを挙げることができ、金や銀などの金属粒子なども挙げることができる。また、タンパク質などの高分子物質を用いることもできる。固定化担体の実効的な分子量または実効体積は、蛍光偏光法の原理に基づき、蛍光標識核酸の分子量または実効体積に対して十分に大きくなるように選択される。固定化担体の実効的分子量は蛍光標識試薬の分子量よりも5倍以上であることが好ましい。遺伝子核酸を担体に結合させる方法としては、吸着法、共有結合法、アビジンとビオチンとの特異的結合を利用する方法などがある。
【0024】蛍光の偏光測定は次のようにして行う。所定の光源に発し光検知器に至る光路上に第一の偏光フィルターと第二の偏光フィルターを設け、2つの偏光フィルターの間にハイブリダイゼーション化反応用セルを設ける。光源から発した光は、第一の偏光フィルターで濾過され、特定方向の偏光面の光だけが通過する。第一の偏光フィルターを通過した光は、反応セル中の蛍光物質を刺激し、特定の蛍光波長光が第二の偏光フィルター方向に向かい、偏光面が特定方向の光だけがそこを通過する。ハイブリダイゼーション化反応によって蛍光物質が実効的分子量を増加させていれば、蛍光物質のブラウン運動が緩慢になる。分子量に変化がなければ、ブラウン運動にも変化はない。ブラウン運動の変化の度合いで第二の偏光フィルターを通過する光の量は増減する。光量を光検知器により電気的に測定すれば、2本鎖化反応の有無を確認でき、特定遺伝子の有無、量を知ることができる。
【0025】以下に蛍光偏光測定の原理について簡単に説明すると、光源から出る光はフィルターによって試薬に含まれる蛍光物質の励起波長に濾過され、偏光板によって直線偏光とされる。この励起波長の偏光は測定物質(サンプル)および試薬を入れたセルに投射され、試薬の蛍光物質を励起する。励起された蛍光物質は、物質に応じた波長の蛍光を発するが、この際ブラウン運動の激しさに対応して、該蛍光は偏光面の分散を起こす。該蛍光はその波長を透過するフィルターを透過し、偏光板を透過し、光検知器によって電気信号に変換される。偏光板を回転することにより、サンプルの蛍光に対して励起偏光と同じ向きの偏光成分Iaとこれと垂直の偏光成分Ibを求める。これらの値を用いて、次に示す測定物質の蛍光偏光度Pが求められる。
【0026】
【数1】


【0027】Iaは励起偏光と同じ向きの偏光成分を示す。Ibは上記Iaに垂直な偏光成分を示す。この場合、蛍光物質または蛍光物質を結合する物質のブラウン運動が激しいほど、励起偏光と垂直な向きの偏光成分Ibは大きく、同時にこれと平行の偏光成分Iaは小さくなり、したがってPは小さくなる。また偏光素子を回転させながら光検知器の信号を連続的に読み取っても、同様に偏光の分散を知ることができる。
【0028】本発明では、サンプルセルに蛍光標識(蛍光標識相補)核酸配列を含む溶液を入れ、検知対象遺伝子塩基配列を含む溶液を加え、続いて必要により固定化相補(固定化)核酸断片を含む溶液を加える。ただし、これらの2(必要により3種)の溶液を加える順序は限定しない。しかし試料中の遺伝子増幅産物と蛍光標識試薬とのハイブリダイゼーション反応を行わせるに際し、蛍光標識試薬の混合前、同時あるいは混合後に、無機酸塩または有機酸塩を添加する。加える蛍光標識核酸配列および固定化核酸配列(必要により)の濃度は、測定対象核酸配列の測定濃度範囲に応じて適切に選択される。ただし、蛍光偏光法は蛍光偏光解消法とよばれることがあるが、事実上同じ方法を意味すると考えてよい。また、多くの場合それぞれの指標として用いられる蛍光偏光度および蛍光偏光解消度に関しても同様である。
【0029】増幅した遺伝子産物と蛍光標識試薬とのハイブリダイゼーション反応を行う緩衝液としては、Tris緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液などがある。該緩衝液には無機酸塩または有機酸塩のほかに、アジ化ナトリウムやEDTA等を含んでいてもよい。ハイブリダイゼーション化反応に関与する緩衝剤水溶液には、更に無機酸塩、有機酸塩を含んでいるとよい。緩衝剤水溶液中に導入する無機酸塩としては、塩酸、炭酸、リン酸などの酸、このような各酸のアルカリ金属塩等を挙げることができる。アルカリ金属塩等としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などがある。具体的には例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛等の塩化物、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸化物、リン酸ナトリウムなどのリン酸化物が挙げられる。有機酸塩としては、酢酸、クエン酸、安息香酸、フェノールなど、各酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などがある。
【0030】ハイブリダイゼーション化反応を行う塩水溶液中の塩濃度は、0.01〜5mol/リットルが好ましい。塩の導入時期はほとんど問題にならない。検知対象遺伝子配列、固定化担体、あるいは蛍光標識試薬のいずれかに予め混合しておいて、混合しておいた反応物とともに反応液中に導入してもよい。塩は、検知対象遺伝子配列、蛍光標識試薬などを水相中に導入後、当該水相中に追加的に添加してもよい。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1.DNAの抽出広島市衛生研究所により、PCR法および電気泳動法を用いて、ベロ毒素遺伝子1型(VT1)またはベロ毒素遺伝子2型(VT2)陽性と判定されたヒト由来の糞便試料を用いた。この試料を液体培地で培養し、この培養液に対して約100℃の熱処理を行い、ベロ毒素産生性大腸菌のDNAを抽出した。
【0032】2.遺伝子の増幅1回の非対称PCR法を用いて遺伝子増幅を行った。核酸増幅用のユニバーサルプライマーMK1およびMK2の塩基配列を配列表の配列番号1と2にそれぞれ示す。核酸の増幅区間の長さは、228塩基である。実施例に用いた非対称PCR法の条件を以下に示す。
■使用機器PERKlN ELMER Gene Amp PCR System 2400■ 反応液の組成およびPCR反応サイクル耐熱性DNAポリメラーゼであるTaq(Wako Gene)を用い、以下の表1に示す組成の反応液と、PCR反応サイクルでPCR反応を行った。
【0033】
【表1】


【0034】PCR反応サイクル94℃、2分間の熱変性により増幅対象DNAの1本鎖化を行い、次いで、下記の■〜■の操作を35サイクル行った後、25℃に放置した。
■熱変性による1本鎖化:94℃、30秒間■プライマーMK1およびMK2の増幅対象DNAヘのアニーリング:48℃、1分間■TaqポリメラーゼによるDNAの伸張:72℃、30秒間
【0035】3.蛍光偏光度の測定前記の増幅法により得られた遺伝子増幅サンプル80μlと蛍光標識試薬800μlとを混合し、10分後の蛍光偏光度を測定した。なお、蛍光標識試薬は以下のように調製した。腸管出血性大腸菌の有するベロ毒素遺伝子の一部の塩基配列である、21塩基長のオリゴヌクレオチド(VT1型遺伝子検出用はPBVT1、およびVT2型遺伝子検出用はPBVT2 と称する。塩基配列は、配列表の配列番号3および4に示す)をDNA合成装置により合成し、各合成オリゴヌクレオチドの5’末瑞にフルオレセイン標識を行った。この蛍光標識オリゴヌクレオチドをTE緩衝液(10mM Tris‐HCl(pH8.0),1mM EDTA, 0.8M NaCl)で濃度0.5nMに希釈し、蛍光標識試薬を調製した。偏光度の測定には、日本分光製分光光度計FP-777と自動偏光解消装置ADP-301を用いた。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】


【0037】表2において、それぞれのプローブと同じ長さの合成の相補DNAに対し、それぞれのプローブが結合したときの偏光度をPcとすると、各サンプルとそれぞれのプローブを加えた場合の偏光度がPcより大きいときを+、これより小さいときを−と表記した。本結果において、VT1用のプローブすなわちPBVT1を用いた場合、VT1陽性およびVT1&2陽性の試料については、プラスと判定され、VT2陽性の試料については、マイナスと判定されている。VT2用プローブすなわちPBVT2を用いた場合、VT1陽性の試料については、いずれもマイナスと判定され、VT1&2およびVT2陽性の試料に対しては、プラスと判定された。すなわち、PCR法および電気泳動法を用いた判定結果と本測定法を用いた判定結果は完全に一致した。本実施例では、非対称のPCR反応を35サイクル行ったのみで、VT1およびVT2の遺伝子の型別が可能であった。
【0038】すなわち、35サイクルのPCR反応による1回の遺伝子増幅によって、その増幅産物をVT1用プローブおよびVT2用プローブそれぞれと混合することによって、非常に迅速に型別を行うことが可能である。蛍光偏光度の測定自体は1分以内に終了することができるので、本発明の方法によれば、1回の遣伝子増幅でそれぞれ異なる遺伝子の塩基配列を迅速かつ正確に検出することが可能であり、複数種の遣伝子の検出時間は大幅に短縮される。
【0039】[実施例2]広島市衛生研究所により、PCR法および電気泳動法を用いて、ベロ毒素遺伝子1型(VT1)またはベロ毒素遺伝子2型(VT2)陽性と判定されたヒト由来の糞便試科を用いた。DNAの抽出、蛍光偏光度の測定は実施例1と同様に行った。但し、遺伝子の増幅操作は、2段階のPCR法にて順次行った。初めに、通常の対称PCR法にてある程度の増幅を行い、次いで非対称PCR法にて増幅を行った。増幅に用いたユニバーサルプライマーは、実施例1と同じくMK1およびMK2である。使用機器についても実施例1と同じである。本実施例で行う2段階のPCR反応の反応液組成(下記表3および4)と反応サイクルを以下に示す。
【0040】
【表3】


【0041】1段階目のPCR反応サイクル94℃、2分間の熱変性により増幅対称DNAの1本鎖化を行い、次いで、下記の■〜■の操作を25サイクル行った後、25℃に放置した。
■熱変性による1本鎖化:94℃、30秒間■プライマーMK1およびMK2の増幅対象DNAヘのアニーリング:47℃、1分間■TaqポリメラーゼによるDNAの伸張:72℃、30秒間
【0042】
【表4】


【0043】2段階目のPCR反応サイクル94℃、2分間の熱変性により増幅対象DNAの1本鎖化を行い、次いで、下記の■〜■の操作を10サイクル行った後、94℃で30秒保持し、続いて47℃で1時間保持した後、氷冷(4℃)した。
■熱変性による1本鎖化:94℃、30秒間■プライマーMK1およびMK2の増幅対象DNAへのアニーリング:47℃、1分間■TaqポリメラーゼによるDNAの伸張:72℃、30秒間
【0044】測定結果を表5に示す。表記法は実施例1と同様である。表5に示すように、従来の遺伝子増幅および電気泳動法における検査結果と全く矛盾なく、測定結果は完全に一致している。すなわち、従来、電気泳動法によって、VT1のみ陽性と判定されたサンプルについては、本発明の方法によってもVT1用プローブのみ+と判定され、同様にVT2のみ陽性と判定されたサンプルについては本発明による場合も、VT2用プローブのみ+と判定されている。また、VT1およびVT2双方に陽性とされたサンプルについては、本発明による場合もVT1用プローブおよびVT2用プローブ双方において、+と判定されている。
【0045】
【表5】


【0046】なお、表5に示した+および−の決め方を図1により説明する。図1ではNo1からNo4までの4つのVT1陽性サンプルを用いている。図1には、VT1用プローブPBVT1とその合成相補DNAを加えたときの偏光度、VT2用プローブPBVT2とその合成相補DNAを加えたときの偏光度、No.1からNo.4までのVT1陽性サンプルとPBVT1あるいはPBVT2を加えたときの偏光度を示している。図1のようにPBVT1またはPBVT2と合成相補DNAを加えたときより大きな偏光度を示す場合は+とし、小さい偏光度を示す場合には−とした。図1では、VT1陽性サンプルに対し、VT1用プローブ(PBVT1)が全て+と判定され、VT2用プローブ(PBVT2)については、全て−と判定されることがわかった。
【0047】[実施例3]VT1およびVT2陰性と判定された食品〔食肉(牛肉、豚肉)〕由来の試料を用い、この試料に、予め調製した2.3〜3.8×104個/PCRtubeの鋳型テンプレートDNAを加えて本発明の方法を応用した。DNAの抽出、遺伝子の増幅、蛍光偏光度の測定は実施例2と同様に行った。測定結果を表6に示す。表記法は実施例1と同様である。
【0048】
【表6】


【0049】牛肉においても、豚肉においても、添加テンプレートがVT1のみのときは、VT1プローブのみ+であり、添加テンプレートがVT2のみのときは、VT2プローブのみ+である。添加テンプレートがVT1とVT2のときは、VT1用プローブおよびVT2用プローブともに+である。テンプレートを添加していないものは、すべて−であった。すなわち、該食肉サンプルにおいて良好にベロ毒素遺伝子を型式の相違にもとづいて区別ができた。
【0050】従来、ユニバーサルプライマーを用いてPCRを行い、電気泳動法で陽性バンドが確認された場合、さらにVT1、VT2のそれぞれに特異的なプライマーを用意し、再度PCRおよび電気泳動を行っていた。今回の方法では、ユニバーサルプライマーによるPCRの後、同じプライマーを用い、数サイクルのPCR(1時間以内)で電気泳動することなく確実に型別が可能であることが分かった。さらに本発明によれば、実施例1に示すように、ユニバーサルプライマーを用いて一度の遺伝子増幅のみで、VT1、VT2の型別が可能であることが示された。実施例1〜3で示されたように、本発明の方法によると、一度の遺伝子増幅またはごく短時間の二度目の遺伝子増幅によって、VT1、VT2の遺伝子の型式を同時に区別できる。すなわち、本発明では、ユニバーサルプライマーを用いて、複数の種類の遺伝子が同時に増幅されたサンプルにおいて、それぞれの遺伝子に対応するDNAプローブを用意し、その遺伝子増幅産物と混合することによって、ほとんど同時にそれら複数種の遺伝子の検出を行うことができる。
【0051】
【発明の効果】本発明は、試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、該複数種の遺伝子に対してそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬を用いて該複数種の遺伝子のそれぞれの量を同時に測定するから、検知対象遺伝子の種類や型式ごとにPCR増幅セルを別にし、該遺伝子の型式ごとに改めて増幅処理を行う必要がない。従来は、遺伝子の種類や型式ごとに増幅セルを別にし、それぞれに増幅処理を行う手間が必要だった。従って従来に比べ手間数が少なくなり、より短時間にかつ簡便に正確に特定の微生物を検出できる遺伝子の検知方法および、ベロ毒素生産菌の検出方法を提供できる。ユニバーサルプライマーにより増幅された複数種の遺伝子について、これを再度増幅することなく、ほぼ同時に遺伝子の同定を行うことができる。これにより、食品中の細菌や臨床診断等の検査における効率を大きく改善し、また検査の情報を増やし、検査内容の質を大幅に向上することができる。
【0052】
【配列表】
<110> MAKOTO TURUOKA, ISAO KARUBE, and NISHIKAWA RUBBER CO., LTD.<120> A Process for Detection of genes and A Process for Detection of Strains Produce Verotoxine<130> P-29499<160> 2
【0053】
<210> 1<211> 20<212> DNA<213> Artificial Sequence<220><223> Synthesized oligonucleotide to use as a primer in PCR amplification of both Vero-toxin-I gene and Vero-toxin-II gene.<300><301> HELGE KARCH et al.<302> Single Primer Pair for Amplifying Segments of Distinct Shiga-Like-Toxin Genes by Polymerase Chain Reaction.<303> Journal of Clinical Microbiology<304> 27<305> 12<306> 2751-2757<307> 1989-12<400> 1tttacgatag acttctcgac 20
【0054】
<210> 2<211> 21<212> DNA<213> Artificial Sequence<220><223> Synthesized oligonucleotide to use as a primer in PCR amplification of both Vero-toxin-I gene and Vero-toxin-II gene.<300><301> HELGE KARCH et al.<302> Single Primer Pair for Amplifying Segments of Distinct Shiga-Like-Toxin Genes by Polymerase Chain Reaction.<303> Journal of Clinical Microbiology<304> 27<305> 12<306> 2751-2757<307> 1989-12<400> 2cacatataaa ttatttcgct c 21
【0055】
<210> 3<211> 21<212> DNA<213> Artificial Sequence<220><223> Synthesized oligonucleotide to use as a probe in hybridazation with Vero-toxin-I gene.<400> 3atagatccag aggaagggcg g 21
【0056】
<210> 4<211> 21<212> DNA<213> Artificial Sequence<220><223> Synthesized oligonucleotide to use as a probe in hybridazation with Vero-toxin-II gene.<400> 4caggc gcgtt ttgac catct t 21
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2におけるVT1陽性サンプルの蛍光偏光度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 試料中に含まれる特定の遺伝子を遺伝子増幅法によって増幅し、該増幅産物中の該特定遺伝子量を蛍光偏光法にて測定することによって該特定遺伝子の有無を検知する方法において、試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、該複数種の遺伝子に対してそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬を用いて該複数種の遺伝子のそれぞれの量を同時に測定することを特徴とする遺伝子の検知方法。
【請求項2】試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、得られた遺伝子増幅産物を複数に分割し、分割したそれぞれの遺伝子増幅産物に、該複数種の遺伝子に対してそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬をそれぞれ適用することを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検知方法。
【請求項3】複数種の遺伝子が含まれる試料を複数に分割し、分割したそれぞれの試料にユニバーサルプライマーを適用して該複数種の遺伝子を同時に増幅した後、複数のそれぞれの遺伝子増幅産物に、該複数種の遺伝子とそれぞれ特異的に結合する複数種の蛍光標識試薬をそれぞれ適用することを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検知方法。
【請求項4】試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅する際に、非対称遺伝子増幅法を用いて増幅することを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検知方法。
【請求項5】 試料中に含まれる複数種の遺伝子をユニバーサルプライマーを用いて同時に増幅した後、増幅遺伝子に対し該ユニバーサルプライマーのアニール処理を行い、蛍光標識試薬の該増幅遺伝子への結合を容易にすることを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検知方法。
【請求項6】 増幅した遺伝子の量を蛍光偏光法にて測定する際に、増幅遺伝子および蛍光標識試薬を含む反応溶液中の無機酸塩または有機酸塩の塩濃度を0.01〜5mol/リットルの範囲に維持することを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検知方法。
【請求項7】 蛍光標識試薬が、蛍光物質で標識したDNAまたはRNAであることを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検知方法。
【請求項8】 蛍光標識試薬が、蛍光物質で標識したPNAであることを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検知方法。
【請求項9】 請求項1〜8のいずれかの方法を用いたVero毒素生産菌の検出方法。
【請求項10】 配列表の配列番号1に示す配列を有するものと配列番号2に示す配列を有するものとをユニバーサルプライマーとして用いることを特徴とする請求項9記載のVero毒素生産菌の検出方法。

【図1】
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【特許番号】第2990514号
【登録日】平成11年(1999)10月15日
【発行日】平成11年(1999)12月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−4271
【出願日】平成11年(1999)1月11日
【審査請求日】平成11年(1999)1月14日
【出願人】(597116207)
【出願人】(591086706)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【参考文献】
【文献】特開 平7−177899(JP,A)
【文献】特開 平10−211000(JP,A)