蛍光原基質とpH−感受性フルオロフォアとの組合せを使用する蛍光による微生物検出用増殖培地

本発明は、蛍光原基質とpH−感受性フルオロフォアとを組合せた増殖培地、特に4−メチルウンベリフェロンとフルオレセイン誘導体との組合せに関する。この増殖培地は、pH−感受性フルオロフォアに関する蛍光測定値と微生物による(1つ以上の)蛍光原基質の活性化に関する蛍光測定値とを組合せることによって蛍光による微生物検出に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、特に医薬品および医療用具の製造において使用される水性または気体性の流体の無菌性を検査するための方法および手段に関する。
【0002】
より特定的には本出願は、蛍光原基質とpH−感受性フルオロフォアとの組合せ(特に4−メチルウンベリフェロン(4−MU)とフルオレセイン誘導体との組合せ)を使用する増殖培地に関する。この増殖培地は、特にpH−感受性フルオロフォアに関する蛍光測定値と微生物による(1つ以上の)蛍光原基質の活性化に関する蛍光測定値とを組合せることによって蛍光による微生物検出に有用である。
【背景技術】
【0003】
医薬産業は、無菌制限が極めて厳重で、製品の品質およびこれらの製品を取り巻くすべての活動について不断の監視が必要な分野の1つである。
【0004】
微生物による汚染に関しては、薬局方に明記されている規定および基準に準拠する微生物学的方法を使用して試験が行われる。
【0005】
欧州または米国の薬局方は医薬製剤の微生物学的品質についていくつかのレベルを定義している。
【0006】
非経口製剤(注射用製品、注入用製剤など)および眼科用製品のような無菌性が要求される製品は、単独でまたは宿主生物体内で繁殖能力をもつ微生物が全く存在しないことを特徴とするものである。
【0007】
無菌性が要求されない製品は、汚染微生物が薬局方の基準に従って定義されたある閾値未満で含まれているという付帯条件を満たしているならばある程度の数の微生物を含有してもよい。これら微生物が存在しても、たとえば経口や経直腸で投与される薬剤であるため、患者への危険はない。微生物の数が上記に挙げた薬局方によって勧告された基準を超過さえしなければ、胃の微生物フローラおよび酸性pHは微生物の増殖を阻止する。無菌製品の様々な部門が薬局方に定義されており、各部門の製品はそれらの最終目的に従って微生物試験に関するそれぞれの要件を有している。
【0008】
なお、試験すべき製品は固体または液体などの様々な形態で存在し、また、大きさおよび包装も多様である。これに関しては、膜濾過によって微生物試験を実行できる濾過可能製品と濾過不可能製品とに区分されており、後者に関して薬局方は被験対象を増殖培地に直接接種する方法を勧奨している。
【0009】
増殖培地への直接接種によって試験できる製剤は一般的には固体であるが流体粘稠度を有するものでもよく、たとえば、10g/lのポリソルベート80が補充された培地を添加した油状液体、ならびに、適当な希釈剤もしくは乳化剤を添加した軟膏およびクリームでもよい。被験対象の容量が増殖培地の容量の10%を超過しないのが慣例である。
【0010】
規定された要件次第で、厳密な無菌性試験から特定微生物の標的検出を含む好気性およびは嫌気性の主要微生物の具体的な計数までの範囲の様々な型式の微生物品質試験を実行できる。
【0011】
一般的に、観察された微生物のタイプについて完全に正確な知識を獲得したいと望むとき、微生物学者は、寒天内または寒天上にマイクロコロニーを形成した微生物の存在を視認できる寒天増殖培地における培養を選ぶ。この方法は、必要ならばこれらのコロニーを形成する微生物のサンプルを採取して検証用の追加分析を実行することが可能である。したがって、微生物の種類が多様であるとき、観察された様々なタイプの微生物の相対的割合をある程度まで決定することが可能である。
【0012】
そうは言うものの、寒天増殖培地上の培養には時間と人手がかかる。たとえば、塩素処理によって刺激した微生物を増殖させることを意図したR2A培地のような増殖培地上でゆっくりと増殖する微生物たとえばMethylobacter sp.の分裂時間は48から72時間であろう[(Gallego V.,Garcia M.T.and Ventosa A.(2006),Methylobacterium adhaesivum sp. nov.,a methylotrophic bacterium isolated from drinking water.Int.J.Syst.Evol Microbiol 56,339−342)]。また、サンプル中の微生物の不在を実際に検証するために14日間という最小インキュベーション期間が必要であることが試験によって示されている[Bathgate,H.ら(1993)Journal of Parenteral Science and Technology 47(5):254−257]。
【0013】
連続的工業生産の現場で点検試験を実行するという状況で、汚染を迅速に処理するためにはこの期間はあまりにも長い。このため、製品の製造の数日後に汚染が確認された場合、検証のためにこの製品をリコールすることになり莫大な財政的損失が生じる。処理後に速やかに配給される飲料水の品質試験に関する場合には問題が公衆衛生の問題にもなるであろう。
【0014】
一方で、液体培地中の培養は微生物を培養するための人手および時間をある程度まで節減できる。しかしながら、フィルター膜および/または寒天皿の取扱いに関連する擬陽性の危険性が増す。
【0015】
液体または気体サンプルの濾過後の無菌試験を実行するための透明な無菌調製ユニットとしては、たとえば出願人によって開発されたもの(Steritest EZ,Millipore Corporation,Billerica,MA 01821,USA)が数年前から存在している。その原理は、濾過されるサンプルがもしかすると含有している汚染物質を膜の表面に係留し、次に、サンプルの濾過を実行した後で、無菌増殖培地を満たしたフィルターユニットでフィルター膜をインキュベートすることである。
【0016】
1種以上の汚染物質が存在する場合、透明な培地は細胞の増殖が原因で混濁する。このようにしてフィルターユニット内の微生物の存在が視認によって確認される。
【0017】
増殖培地が混濁するためには増殖培地中の細胞が十分な濃度に達することが必要なので液体培地中の検出は一般に寒天増殖培地上の検出よりもやや長い時間を要する。しかしながら、好気性または嫌気性の微生物の増殖には一般に液体培地中の培養のほうが有利である。
【0018】
他方で、液体培地中の試験にはいくつかの弱点がある。そのうちでも被験サンプル中に最初から存在していた汚染物質の数、種類および割合の評価ができないことが特に問題である。
【0019】
これに関連するが、液体増殖培地中で実行された試験は警告メッセージを提供できるだけであり、関与する微生物の種類に関する情報を提供することはできない。
【0020】
これらの様々な理由から、より迅速に行うことができかつ同定した微生物の種類に関する最初の指標を提供できるような液体培地中の試験を手に入れることが要望されてきた。
【0021】
技術者が汚染の程度を認識しその原因を判断できるように、最低限でも観察された微生物のタイプ(1つ以上の種、好気性または嫌気性、遅速増殖性または高速増殖性、グラム陽性またはグラム陰性、など)に関する情報が早期段階で得られるのが有利であろう。
【0022】
より迅速に汚染を検出するためにいくつかの方法は増殖培地に組込まれた蛍光原基質を使用している。
【0023】
蛍光原基質は微生物によって合成された酵素に接触したときに開裂されて蛍光性になる複合分子である。UVまたは可視スペクトルの光線を使用して増殖培地を照射することによって、細胞が増殖培地を混濁させる十分な密度になる前に、発光した蛍光を分光光度計で容易に検出できる。したがって蛍光原基質は汚染のより迅速な検出を可能にする。
【0024】
蛍光原基質のいくつかのファミリーが存在する。
【0025】
しかしながら基質のこれらのファミリーは無菌性試験に関するそれらの使用に制限を加えるような固有の欠点を有している。
【0026】
たとえば、フルオレセイン誘導体(CFA、CFDA)は広範囲の微生物によって活性化される蛍光原基質である。したがってCFDAは原核細胞または真核細胞の生存力マーカーであると共通認識されている。これらの基質は大抵の微生物に存在する酵素のエステラーゼ活性に感受性である。しかしながらこのエステラーゼ活性は、薬局方に規定されている多くの増殖培地、特に酵母エキスまたはタンパク質エキスを含む培地中で残留発現される。その結果、これらの基質はしばしば無視できない非生物的加水分解を生じ[Clarke,J.M.ら,2001,Journal of microbiological methods,46:261−267]、従って、液体培地中の検出試験における使用にはあまり適していない。さらに、これらの基質から発光された蛍光の強度は増殖培地のいくつかの物理的パラメーター、特にpHに感受性であり、検出の信頼度に影響を及ぼしかねない。
【0027】
メチルウンベリフェロン誘導体(メチルウンベリフェリル)は、それらのアセテートまたはラクテート誘導体のいくつかを除いて、フルオレセイン誘導体よりも非生物的加水分解にはるかに低感受性であるが、はるかに狭いスペクトルをもつ基質である。しかしながら、いくつかのありふれた細菌株の特異的検出に適した様々な基質は比較的広い選択範囲で存在する[Manafi,M.,Kneifel,W.and Bascomb,S.(1991)Flurogenic and chromogenic substrates used in bacterial diagnostics.Microbiol Mol Biol Rev.55(3):335−348]。
【0028】
にもかかわらず、これらの様々なメチルウンベリフェリル基質の蛍光発光スペクトルはたがいに重なり合い易く、同一増殖培地中に同時に存在する様々なタイプの微生物の識別を目的とした同時使用には限界がある。
【0029】
Biosynth社によってより最近に開発された蛍光原基質の別のファミリーがAldol(商標)である。
【0030】
これらの基質はメチルウンベリフェロン誘導体と同様の特性を有している。
【0031】
特に、aldol類は、メチルウンベリフェリル化合物に極めて近い蛍光発光スペクトルを有している。その結果として、それらもまた同一増殖培地に存在する微生物を識別することもその相対的割合を決定することもできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Gallego V.,Garcia M.T.and Ventosa A.(2006),Methylobacterium adhaesivum sp. nov.,a methylotrophic bacterium isolated from drinking water.Int.J.Syst.Evol Microbiol56,339−342
【非特許文献2】Bathgate,H.ら(1993)Journal of Parenteral Science and Technology 47(5):254−257
【非特許文献3】Clarke,J.M.ら,2001,Journal of microbiological methods,46:261−267
【非特許文献4】Manafi,M.,Kneifel,W.and Bascomb,S.(1991)Flurogenic and chromogenic substrates used in bacterial diagnostics.Microbiol Mol Biol Rev.55(3):335−348
【発明の概要】
【0033】
液体培地中で実行される無菌性試験の特異性および迅速性を改善するという目的で本発明の発明者らは、上記に言及した基質の様々なファミリーの特異性を利用し、検出された微生物のタイプに関する情報をより迅速に提供できる無菌性試験に到達するためにそれらを組合せるという着想を抱いた。
【0034】
この目的で発明者らは、常用の増殖培地中で安定なAldolまたはメチルウンベリフェリルを蛍光原基質として選択し同時に使用し、それらを、逆にフルオレセイン誘導体またはHPTSのような増殖培地のpH変化に感受性の蛍光を有する基質に組合せた。
【0035】
意外なことに発明者らは、一方で蛍光原基質(メチルウンベリフェリルまたはaldol誘導体)によっておよび他方でpH−感受性フルオロフォア(フルオレセインまたはHPTS)によって発光された蛍光の測定によって、汚染を早期に検出しかつ汚染に関与した微生物のタイプをある程度まで評価するのが可能であることを知見した。
【0036】
従って概論的には本発明は、微生物の早期の全般的な検出を目的としたpH−感受性およびpH−不感受性フルオロフォアの同時使用を含んでおり、pH−感受性フルオロフォアおよび生存細胞によって活性化されたフルオロフォアからそれぞれ得られた蛍光測定値を組合せることによって、観察された微生物の固有特徴を認識できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】本発明の予備的実験結果。種々のグラフは、大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)およびカンジダ・アルビカンス(C.albicans)の培養中に、種々のpH−感受性フルオロフォアの各分子を種々の濃度で使用して24時間行った蛍光測定の結果を表す。1A:HPTS。
【図1B】本発明の予備的実験結果。種々のグラフは、大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)およびカンジダ・アルビカンス(C.albicans)の培養中に、種々のpH−感受性フルオロフォアの各分子を種々の濃度で使用して24時間行った蛍光測定の結果を表す。1B:ナフトフルオレセイン。
【図1C】本発明の予備的実験結果。種々のグラフは、大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)およびカンジダ・アルビカンス(C.albicans)の培養中に、種々のpH−感受性フルオロフォアの各分子を種々の濃度で使用して24時間行った蛍光測定の結果を表す。1C:フルオレセイン。
【図1D】本発明の予備的実験結果。種々のグラフは、大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)およびカンジダ・アルビカンス(C.albicans)の培養中に、種々のpH−感受性フルオロフォアの各分子を種々の濃度で使用して24時間行った蛍光測定の結果を表す。1D:カルボキシナフトフルオレセイン。
【図2】本発明の予備的実験結果。グラフは、種々の微生物の存在下で24時間培養中にHPTSによって発光された蛍光の記録である。
【図3】図4から7のグラフに示した実験データを得るために本発明に従って行った種々の培養アッセイの一覧表である。
【図4A】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、4− 4MU−HPTSの組合せであった。
【図4B】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、4− 4MU−HPTSの組合せであった。
【図4C】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、4− 4MU−HPTSの組合せであった。
【図4D】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、4− 4MU−HPTSの組合せであった。
【図4E】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、4− 4MU−HPTSの組合せであった。
【図4F】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、4− 4MU−HPTSの組合せであった。
【図4G】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、4− 4MU−HPTSの組合せであった。
【図5A】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、5− 4MU−CFの組合せであった。
【図5B】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、5− 4MU−CFの組合せであった。
【図5C】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、5− 4MU−CFの組合せであった。
【図5D】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、5− 4MU−CFの組合せであった。
【図5E】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、5− 4MU−CFの組合せであった。
【図5F】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、5− 4MU−CFの組合せであった。
【図5G】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、5− 4MU−CFの組合せであった。
【図6A】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、6− Aldol−HPTSの組合せであった。
【図6B】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、6− Aldol−HPTSの組合せであった。
【図6C】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、6− Aldol−HPTSの組合せであった。
【図6D】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、6− Aldol−HPTSの組合せであった。
【図6E】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、6− Aldol−HPTSの組合せであった。
【図6F】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、6− Aldol−HPTSの組合せであった。
【図6G】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、6− Aldol−HPTSの組合せであった。
【図7A】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、7− Aldol−CFの組合せであった。
【図7B】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、7− Aldol−CFの組合せであった。
【図7C】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、7− Aldol−CFの組合せであった。
【図7D】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、7− Aldol−CFの組合せであった。
【図7E】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、7− Aldol−CFの組合せであった。
【図7F】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、7− Aldol−CFの組合せであった。
【図7G】使用した蛍光化合物の種々の組合せの経時的な蛍光測定の結果を表す。使用した蛍光化合物はそれぞれ、7− Aldol−CFの組合せであった。
【0038】
これらのグラフに記録された測定値について、
Lm1はAldolによって発光された蛍光に対応し、
Lm2はHPTSによって発光された蛍光に対応し、
Lm3は4−MUによって発光された蛍光に対応し、
Lm4はカルボキシフルオレセイン(CF)によって発光された蛍光に対応する。
【0039】
グラフAからFはそれぞれ、以下に示す微生物の培養に対応する:
A −大腸菌(E.coli)
B −緑膿菌(P.aeruginosa)
C −枯草菌(B.subtilis)
D −黄色ブドウ球菌(S.aureus)
E −黒コウジカビ(A.brasiliensis)
F −カンジダ・アルビカンス(C.albicans)
【0040】
グラフGは対照(上記に言及した組合せを含む非汚染増殖培地)の測定値に対応する。
【0041】
図4:
メチルウンベリフェリル誘導体(4−MUホスフェート、4−MUベータ−グルコピラノシド、4−MUアルファ−グルコピラノシド、4−MUベータ−ガラクトピラノシド)と8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸との混合物の存在下の種々の微生物の増殖の比較。(4−MU−HPTSの組合せ)
【0042】
図5:
メチルウンベリフェリル誘導体(4−MUホスフェート、4−MUベータ−グルコピラノシド、4−MUアルファ−グルコピラノシド、4−MUベータ−ガラクトピラノシド)と5,6−カルボキシフルオレセインとの混合物の存在下の種々の微生物の増殖の比較。(4MU−CFの組合せ)
【0043】
図6:
Aldol誘導体(Aldol 470ホスフェート、Aldol 470アセテート、Aldol 455ベータ−グルコピラノシド、Aldol 455ベータ−ガラクトピラノシド)と8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸(HPTS)との混合物の存在下の種々の微生物の増殖の比較。(Aldol−HPTSの組合せ)
【0044】
図7:
Aldol誘導体(Aldol 470ホスフェート、Aldol 470アセテート、Aldol 455ベータ−グルコピラノシド、Aldol 455ベータ−ガラクトピラノシド)と5,6−カルボキシフルオレセインとの混合物の存在下の種々の微生物の増殖の比較。(Aldol−CFの組合せ)
【発明を実施するための形態】
【0045】
したがって本発明は、特に液体増殖培地中の無菌性試験を実行するために有用な微生物検出方法を含み、方法は、生存微生物で汚染されているか否かの判定を要するサンプルを適当な培地中で培養する段階を含むことを特徴とする。
【0046】
この方法は、特に予め滅菌した増殖培地にサンプルを直接接種することによって濾過可能または濾過不可能ないかなる形態のサンプルにも適用できる。
【0047】
この場合、水のような液体サンプルまたは空気のような気体サンプルは膜を用いて濾過することが可能である。次に、この膜が固体サンプルを形成するかのように液体増殖培地に接種する。
【0048】
本発明によれば、検出方法は以下の段階、すなわち
(i)−微生物の少なくとも1つの酵素によって活性化され得る少なくとも1つの蛍光原基質または蛍光原基質の組合せと、
−上記増殖培地のpHを標示する蛍光を有する少なくとも1つのフルオロフォアと、
を含む増殖培地に、検出対象微生物が増殖可能な条件下で、上記に定義のサンプルを配置する段階、
(ii)増殖培地に含有させた蛍光原基質の微生物による活性化に関連した蛍光を決定するため、および、フルオロフォアによって発光された増殖培地のpHを標示する蛍光を決定するために上記増殖培地を蛍光に関して分析する段階、
(iii)pHを標示する蛍光を有するフルオロフォア由来と決定された蛍光測定値および蛍光原基質由来と決定された蛍光測定値を分析し、増殖培地中の検出対象微生物の1つのタイプまたは複数のタイプが存在するか否かを判定する段階、
の1つ以上を含む。
【0049】
“蛍光原基質”という用語は、光エネルギーを吸収できこのエネルギーの全部または一部を蛍光発光スペクトルの形態で放出できるフルオロフォア基を含み、さらに、該フルオロフォア基の蛍光を遮蔽する“クエンチャー”基を含む分子を意味する。
【0050】
蛍光原基質は、微生物の特異的酵素に接触したとき異なる形態になりフルオロフォアに蛍光を発光させる。この活性化の結果、基質形成分子のコンホメーションの変化または蛍光残基形成分子の開裂が生じる。
【0051】
様々な蛍光原基質を本発明に考察できる。本発明に好ましい蛍光原基質は酵素活性化後に4−メチルウンベリフェロン化合物になり、その蛍光発光は励起波長約360±10nmで約460±10nmである。本発明に好ましいこのような蛍光原基質はたとえば、メチルウンベリフェリル(4−MU)誘導体であり、特に以下、
【0052】
【化1】


から選択される1つ以上の基質である。
【0053】
これらの基質は微生物の部門に比較的特異的なので、すなわち、全微生物中には存在しないある種の酵素によってのみ活性化されるので、検出スペクトルを拡大するために数種類の基質を選択するのが本発明に有利である。
【0054】
発明者らはより特定的に、上記化合物から選択された4種類のメチルウンベリフェリル誘導体の組合せ、特に、4−MUホスフェート、4−MUアルファ−D−グルコピラノシド(または、アルファ−D−グルコシド)、4−MUベータ−D−グルコピラノシド(または、ベータ−D−グルコシド)、および、4−MUベータ−D−ガラピラノクトシド(またはベータ−D−ガラクトシド)を含む組合せが有利であると判断した。この組合せによって、特に大腸菌(E.coli)および緑膿菌(P.aeruginosa)のようなグラム陰性菌、枯草菌(B.subtilis)および黄色ブドウ球菌(S.aureus)のようなグラム陽性菌ならびに真菌類カンジダ・アルビカンス(C.albicans)および黒コウジカビ(A.brasiliensis)などの普通に検出対象となるたいていの微生物を検出することが可能である。
【0055】
しかしながら本発明はこれらの種だけに限定されるものではなく、“微生物”という用語は自律増殖できるすべての生存細胞を意味すると理解されたい。“細胞”という用語は膜によって囲まれた細胞質を意味しており遺伝子を含むものとする。
【0056】
Aldol(商標)(Biosynth AG,Rietlisstrasse 4,9422 Staad,Switzerland)の名称で販売されている化合物、特に化合物Aldol 470(1−[2−(2,4−ジメトキシベンゾイル)フェニル]−1H−インドール−3−イル)およびAldol 455(1−(2−ベンゾイルフェニル)−6−クロロ−1H−インドール−3−イル)ならびにそれらの誘導体、特に上記化合物のアセテート、ホスフェート、ベータ−ガラクトシドおよびベータ−グルコシド誘導体は、前述の基質と同様に本発明に好ましい基質である。これらの化合物は欧州特許出願No.09159639に記載されている。これらの化合物は微生物に対していかなる毒性も生じることなく好気性条件中でも嫌気性条件中とまったく同様に活性化できるという利点を有している。
【0057】
本発明において“上記増殖培地のpHを標示する蛍光を有するフルオロフォア”という表現は、培地中の分子の濃度が実質的に一定に維持されているとき、蛍光発光の強度が増殖培地中のpHの変化に応じて変化するか、または、一定の励起波長に対するその発光波長が同じくpHの変化に応じて変化する分子を意味する。好ましくはこの蛍光変化が、3から10、好ましくは5から9、より好ましくは6から8のpH範囲で観察される。これらの蛍光変化をpHの関数として説明する分子メカニズムはたとえばいくつかのシアニン誘導体について記載されている[Briggs M.S.ら(2000)Chem.Commun.2323−2324]。
【0058】
“蛍光変化”という用語は、1単位のpH変化に対して少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%のRFU(相対的蛍光単位)の変化を意味するものとする。
【0059】
本発明に好ましい上記増殖培地のpHを標示する蛍光を有するフルオロフォアは、8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸もしくはその塩、シアニン化合物もしくはその誘導体特にペンタメチンシアニン、または、フルオレセインを含む化合物もしくはその誘導体、塩もしくはエステルから選択される。
【0060】
フルオレセインを含む化合物のうちではカルボキシフルオレセイン、特に5(6)−カルボキシフルオレセイン(CAS72088−94−9)が好ましい。
【0061】
本発明の好ましいフルオロフォアはまた8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸三ナトリウム塩(HPTS)(CAS27928−00−3)である。
【0062】
CFと4−MUとの組合せが本発明に好ましい。具体的には、これらの化合物の蛍光発光スペクトルの片方ずつに関して行った蛍光測定値を組合せることによって微生物の早期特異的検出が可能になった。
【0063】
4−MU化合物は一般にpH指示物質としては信頼性が低いので、本発明では4−MU化合物がpHを標示する蛍光分子として使用されないのが好ましい。
【0064】
この出願に後出する実験的実施例から明らかになるように、蛍光化合物の一方または他方にそれぞれ関連した蛍光の経時変化は微生物のタイプ毎に異なっており、これが、微生物検出方法の早期段階で検出できる各微生物の固有特徴を形成する。
【0065】
1種以上のAldol化合物とカルボキシフルオレセインとの組合せ、または、HPTSと1種以上のメチルウンベリフェレル誘導体との組合せも微生物の固有特徴を検出および探知するのに適していることが判明した。得られたプロフィルは少なくとも部分的には様々な微生物種間の物質代謝の違いによって説明できる(培地のpHに対する影響、増殖速度、蛍光性基質活性化の強度、など)。
【0066】
その基本的目的の1つにおいて本発明は、増殖培地中に存在する微生物のタイプを同定するために、同一増殖培地中の蛍光原基質およびpH−感受性フルオロフォアのそれぞれの活性化に起因する蛍光の測定値を組合せることに関する。“組合せる”という用語は、蛍光原基質の活性化に起因する蛍光の測定値と増殖培地のpH変化に起因する別の蛍光測定値との関係を決定することを意味する。好ましくはこの関係は、計算によってまたはグラフ表示の形態で時変数(t)に従って提示される。本発明の好ましい特徴によれば、これらのデータを組合せることによってpH、時間および微生物の酵素活性などの変数を統合した微生物の様々なタイプに特有の増殖培地の変化の説明が得られる。
【0067】
したがって、本発明による微生物の検出方法は、上記に記載の段階(ii)において、蛍光の変化が時間の関数として得られるように蛍光を定期的間隔で測定する作業を含む。好ましくは30秒毎、より好ましくは1分毎、もっと好ましくは2分毎に蛍光を測定する。また、段階(iii)においては、蛍光測定値がデータベースに参照された標準測定値に比較され、微生物の様々なタイプをよりはっきりと識別できる。
【0068】
その目的の1つにおいて本発明は、本発明の方法をより具体的に実行できる増殖培地に関する。増殖培地は液体または固体の栄養支持体から構成され、その中に、上記にそれぞれ定義したような少なくとも1つの蛍光原基質またはこれらの基質の組合せと、上記増殖培地のpHを標示する蛍光を有する少なくとも1つのフルオロフォアとが均等に溶解している。
【0069】
栄養支持体はもっとも普通には、既述のように蛍光剤を含有しない慣用の培地である。
【0070】
さらに、栄養支持体の固有蛍光は、増殖培地のpH変化にも増殖培地への微生物の導入にも感受性でないのが好ましい。言い換えると、増殖培地自体がフルオロフォアによって発光された蛍光と干渉し得る蛍光変化を生じないことを優先的に配慮しなければならない。
【0071】
微生物の培養条件は、慣用の培地に関して文献特に薬局方に記載されている条件と実質的に同じである。
【0072】
最初の計画は液体培地中の培養であるが、本発明を寒天増殖培地で実行することに全く問題はなく、当業者に公知の適当な蛍光測定デバイス(たとえば走査型サイトメーター)を使用できる。
【0073】
本発明の増殖培地は好ましくは、(1種以上の)蛍光原基質および(1種以上の)フルオロフォアとして上記に詳述した化合物またはその組合せを含む。
【0074】
本発明の好ましい特徴によれば、微生物の検出方法が、(i)(1種以上の)微生物を培養開始前に予め膜で濾過する段階を含む。
【0075】
本発明の目的はまた微生物検出用キットであり、キットは、本発明の増殖培地を含むか、または、
−慣用の微生物増殖培地と、
−上記微生物増殖培地に可溶性の少なくとも1つの蛍光原基質または蛍光原基質の組合せと、
−上記微生物増殖培地に可溶性で上記増殖培地のpHを標示する蛍光を有する少なくとも1つのフルオロフォアと、
を混合目的の個別包装の形態で含むことを特徴とする。
【0076】
保管または利便性の要件に合うように増殖培地が脱水形態で包装されてもよい。
【0077】
このような検出キットはさらに、無菌性試験に先立って濾過段階を実行するための膜を含んでもよい。このようなフィルター膜は単層でもよくまたは多層でもよい。一般的に膜は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、アセチルセルロースおよびニトロセルロースから選択される1種以上の材料から構成されている。この種の膜の一例が出願人によって商品銘柄HAWG Milliflex,Milliporeで販売されている。
【0078】
本発明のキットはさらに、無菌性試験の実行に使用する増殖培地を収容するための好ましくは滅菌されたフィルターユニット、ボトルまたはバッグを含み得る。
【0079】
以下の実施例は本発明の記載を補足することを意図しており、本発明に何らかの制限を加えるものではない。
【実施例】
【0080】
1/増殖培地の調製
100mLの液体TSB(Biomerieux)培地を準備し製造業者の指示に従って滅菌した。次に、以下に定義の様々な組合せに従ってpH−感受性フルオロフォアおよび蛍光原基質の溶液を無菌条件でTSB培地に添加した。
【0081】
pH−感受性フルオロフォアとして
HTPS:
−10mMの8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸の30μLの無菌予製液、または、
CF:
−100μMの5,6−カルボキシフルオレセインの20μLの無菌予製液。
【0082】
蛍光原基質として
Aldol:
各誘導体の予製液濃度を25mg/mLにして調製したAldol誘導体(Aldol 470ホスフェート、Aldol 470アセテート、Aldol 455ベータ−D−グルコピラノシド、Aldol 455ベータ−D−ガラクトピラノシド)の200μLの無菌混合液、または、
4−MU:
各誘導体の予製液濃度を50mg/mLにして調製した4−メチルウンベリフェリル誘導体(4−MUホスフェート、4−MUベータ−D−グルコピラノシド、4−MUアルファ−D−グルコピラノシド、4−MUベータ−D−ガラクトピラノシド)(4MU)の200μLの無菌混合液。
【0083】
フルオロフォア溶液および蛍光原基質を、開孔0.22μmのフィルター膜を有するStericupフィルターユニットを使用して予め滅菌し増殖培地に組込んで被験増殖培地を形成した。
【0084】
使用した物質の商品銘柄(カタログ参照#):
TSB:Biomerieux #41146
HPTS:Fluka #56360
5,6−カルボキシフルオレセイン:Sigma #21877
Aldol 470ホスフェート:Biosynth #A−4678
Aldol 470アセテート:Biosynth #A−4680
Aldol 455ベータ−D−グルコピラノシド:Biosynth #A−4689
Aldol 455ベータ−D−ガラクトピラノシド:Biosynth #A−4684
4−MUホスフェート:Glycosynth #44093
4−MUベータ−D−グルコピラノシド:Glycosynth #44059
4−MUアルファ−D−グルコピラノシド:Glycosynth #44051
4−MUベータ−D−ガラクトピラノシド:Glycosynth #44045
【0085】
2/微生物の懸濁液の調製
以下の微生物について試験を実施した。
【0086】
【表1】

各微生物の菌株を10から10細胞/mLの範囲の初期濃度(黒コウジカビ(A.brasiliensis)の場合は10細胞/mL)に達するまで希釈した。
【0087】
3/96ウェルプレート上の培養物の調製
参照番号655090を有している96ウェルのGreiner Bio−One μClear Plateをアッセイに使用した。
【0088】
各菌株接種物を各増殖培地シリーズの第一列に導入し、次に1/10まで系列希釈した。
【0089】
図3は実施した種々の培養アッセイの総括である。このアッセイは以下に示す増殖培地を用いて行われる。
【0090】
4MU−HPTS組合せとして、
−TSB
−メチルウンベリフェリル誘導体(4−MUホスフェート、4−MUベータ−グルコピラノシド、4−MUアルファ−グルコピラノシド、4−MUベータ−ガラクトピラノシド)の混合物、および
−8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸。
【0091】
4MU−CF組合せとして、
−TSB
−メチルウンベリフェリル誘導体(4−MUホスフェート、4−MUベータ−グルコピラノシド、4−MUアルファ−グルコピラノシド、4−MUベータ−ガラクトピラノシド)の混合物、および
−5,6−カルボキシフルオレセイン(CF)。
【0092】
Aldol−HPTS組合せとして、
−TSB
−Aldol誘導体(Aldol 470ホスフェート、Aldol 470アセテート、Aldol 455ベータ−グルコピラノシド、Aldol 455ベータ−ガラクトピラノシド)の混合物、および
−8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸(HPTS)。
【0093】
Aldol−CF組合せとして、
−TSB
−Aldol誘導体(Aldol 470ホスフェート、Aldol 470アセテート、Aldol 455ベータ−グルコピラノシド、Aldol 455ベータ−ガラクトピラノシド)の混合物、および、
−5,6−カルボキシフルオレセイン(CF)。
【0094】
上記の培地のそれぞれについて異なる3つの希釈度で各微生物を試験する。
【0095】
商標Geminiの96−ウェルプレートリーダーは30分毎に1回のデータ収集を72時間にわたって実行するように、すなわち145の測定点を収集するようにプログラムした。
【0096】
蛍光値のデータ収集はウェルの底部から光学リーダーによって行った。
【0097】
各ウェルを10回の測定の対象とし、平均値を記録する。
【0098】
各ウェルに対して4種類の測定を実行する:
1−Lm1:励起:355nm 発光:555nm カットオフ:530nm
2−Lm2:励起:403nm 発光:451nm カットオフ:435nm
3−Lm3:励起:360nm 発光:455nm カットオフ:435nm
4−Lm4:励起:485nm 発光:525nm カットオフ:595nm。
【0099】
Lm1チャンネルのデータ収集からAldolの蛍光を測定できる。
【0100】
Lm2チャンネルのデータ収集からHPTSの蛍光を測定できる。
【0101】
Lm3チャンネルのデータ収集から4−MUの蛍光を測定できる。
【0102】
Lm4チャンネルのデータ収集からCFの蛍光を測定できる。
【0103】
データ収集キネティクスはsoftmax Proソフトウェアを使用して作成した。
【0104】
4/得られた結果の分析
蛍光測定の結果を図4から7にグラフの形態で示す。
【0105】
図4Aから4Gは4−MU+HPTSの組合せに関する。
【0106】
図5Aから5Gは4−MU+CFの組合せに関する。
【0107】
図6Aから6GはAldol+HPTSの組合せに関する。
【0108】
図7Aから7GはAldol+CFの組合せに関する。
【0109】
Gで示すグラフは非汚染の陰性対照に対応する。
【0110】
すべての場合に、pH低下(HPTSまたはCF)を測定できるチャンネルおよび代謝活性(4−MUまたはAldol)を測定できるチャンネルで微生物に関する特性プロフィルが得られる。特に、緑膿菌(P.aeruginosa)の場合には極めて異型のプロフィルが観察され、pHが低下しているのにHPTSの使用に関連したシグナルが増加している(図4Bおよび6B)。
【0111】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)の場合も同様に、4−MUの使用に関連したシグナルがピークを形成し、その後、実質的に直線状に増加している(図4Dおよび5D)。
【0112】
カルボキシフルオレセイン(CF)の使用に関しては菌株によって異なるpH低下のプロフィルが観察される(図5および7)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物の存在を検出するための増殖培地であって、前記増殖培地が、
−微生物の少なくとも1つの酵素によって活性化され得る少なくとも1つの蛍光原基質または蛍光原基質の組合せと、
−前記増殖培地のpHを標示する蛍光を有する少なくとも1つのフルオロフォアと、
が均一に溶解している液体栄養支持体から形成され、
前記支持体自体の蛍光が好ましくは増殖培地のpH変化、および、増殖培地への前記微生物の導入に感受性でないことを特徴とする増殖培地。
【請求項2】
4−メチルウンベリフェロンまたはその誘導体から選択される少なくとも1つの蛍光原基質を含むことを特徴とする請求項1に記載の増殖培地。
【請求項3】
蛍光原基質が4−メチルウンベリフェロン(4−MU)の誘導体の混合物から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の増殖培地。
【請求項4】
1種または複数の4−メチルウンベリフェロン誘導体が、個別にまたは混合物として増殖培地に導入される以下の化合物、すなわち、4−MUホスフェート、4−MUブチレート、4−MUアセテート、4−MUアルファ−グルコシド、4−MUベータ−グルコシド、4−MUベータ−ガラクトシド、4−MU N,N ジアセチルシトビオシド、4−MU N,N,N トリアセチルシトトリオシド、4−MUカプリレート、から選択されることを特徴とする請求項3に記載の増殖培地。
【請求項5】
蛍光原基質が、以下の4−メチルウンベリフェロン誘導体化合物、すなわち、4−MUホスフェート、4−MUアルファ−グルコシド、4−MUベータ−グルコシドおよび4−MUベータ−ガラクトシドの混合物から構成されることを特徴とする請求項4に記載の増殖培地。
【請求項6】
以下の化合物:
1−(2−ベンゾイルフェニル)−6−クロロ−1H−インドール−3−イル−ベータ−グルコピラノシド、
1−(2−ベンゾイルフェニル)−6−クロロ−1H−インドール−3−イル−ベータ−ガラクトピラノシド、
1−(2−ベンゾイルフェニル)−6−クロロ−1H−インドール−3−イル−アセテート、または、
1−(2−ベンゾイルフェニル)−6−クロロ−1H−インドール−3−イル−ホスフェート
から選択される少なくとも1つの蛍光原基質を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の増殖培地。
【請求項7】
増殖培地のpHを標示する蛍光を有する前記フルオロフォアが、8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸(HPTS)、シアニン化合物もしくはその誘導体のいずれか、または、フルオレセイン化合物もしくはその誘導体、塩もしくはエステルのいずれかから選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の増殖培地。
【請求項8】
蛍光が増殖培地のpHに従って変化する前記フルオロフォアがカルボキシフルオレセインまたはその塩もしくはエステルのいずれかであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の増殖培地。
【請求項9】
生存微生物によって汚染されているか否かを判定するサンプルを請求項1から8のいずれか一項に記載の増殖培地において培養する段階を含むことを特徴とする微生物の検出(無菌性試験)方法。
【請求項10】
被験サンプルがある容量の水または気体の濾過に予め使用されたフィルターまたは膜である請求項9に記載の微生物の検出方法。
【請求項11】
下記段階を含むことを特徴とする1種または複数の微生物の検出方法:
(i)−微生物の少なくとも1つの酵素によって活性化され得る少なくとも1つの蛍光原基質または蛍光原基質の組合せ、および、
−前記増殖培地のpHを標示する蛍光を有する少なくとも1つのフルオロフォア、
を含む増殖培地に、検出対象微生物が増殖できる条件下でサンプルを配置する段階、
(ii)増殖培地に含有させた蛍光原基質の前記微生物による活性化に関連する蛍光を決定するためおよび増殖培地のpHを標示する蛍光を有するフルオロフォアによって発光された蛍光を決定するために前記増殖培地を蛍光に関して分析する段階、
(iii)pHを標示する蛍光を有するフルオロフォアの決定蛍光測定値および蛍光原基質の決定蛍光測定値を分析し、増殖培地中に検出対象微生物の1つのタイプまたは複数のタイプが存在するか否かを判定する段階。
【請求項12】
前記増殖培地が請求項1から8のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
段階(i)において、培養開始前に前記微生物を予め膜で濾過することを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
段階(ii)において、蛍光変化を時間の関数として得るために蛍光を定期的間隔で測定することを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項15】
段階(iii)において、蛍光測定値を参照データベースの標準測定値と比較することを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項16】
−微生物増殖培地と、
−前記増殖培地に可溶性の少なくとも1つの蛍光原基質または蛍光原基質の組合せと、
−前記増殖培地に可溶性で前記増殖培地のpHを標示する蛍光を有する少なくとも1つのフルオロフォアと、
を含むことを特徴とする微生物検出用キット
【請求項17】
増殖培地が脱水型で包装されていることを特徴とする請求項16に記載の検出用キット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【公表番号】特表2013−517790(P2013−517790A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550536(P2012−550536)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050234
【国際公開番号】WO2011/092610
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】