説明

蛍光増強剤および蛍光増強法並びにそれらの利用

【課題】蛍光を増強することができる薬剤および方法、蛍光消光を抑制することができる薬剤および方法、それらの薬剤を用いた蛍光検出方法、それらの薬剤を含む蛍光検出キット、並びに、蛍光を増強する薬剤の濃度決定方法などを提供すること。
【解決手段】多数の蛍光色素で標識した核酸鎖の、溶液中での蛍光を、溶液に塩基性タンパク質を添加することによって増強させることができる。従って、塩基性タンパク質は、蛍光増強、蛍光消光の抑制、蛍光色素標識核酸鎖を用いた蛍光の検出などに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光の検出強度を増強する薬剤および方法、蛍光消光を抑制する薬剤および方法、それらの薬剤を用いた蛍光検出方法、それらの薬剤を含む蛍光検出キット、並びに、蛍光の検出強度を増強する薬剤の濃度決定方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、核酸鎖を標識するという蛍光色素の利用方法が数多く開発されてきた(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/049289号パンフレット
【特許文献2】特開2010−6788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、核酸鎖を多数の蛍光色素で標識する際、標識する蛍光色素、特に疎水性が強い蛍光色素が多すぎると、色素同士が近接することにより蛍光強度が低下する現象(蛍光消光;コンタクト・クエンチング現象)が起こり、効率よく蛍光を検出することができない。
そこで、本発明は、蛍光の検出強度を増強することができる薬剤および方法、蛍光消光を抑制することができる薬剤および方法、それらの薬剤を用いた蛍光検出方法、それらの薬剤を含む蛍光検出キット、並びに、蛍光の検出強度を増強する薬剤の濃度決定方法などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、多数の蛍光色素で標識した核酸鎖を利用することにより生じる蛍光消光を、核酸鎖溶液に塩基性タンパク質を添加することによって抑制することができ、もって核酸鎖を標識した蛍光を効率よく検出することができることを見出した。さらに、同じ方法によって、蛍光消光の抑制だけではなく、蛍光消光を生じない核酸鎖においては、検出される蛍光が増強することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光増強剤であって、塩基性タンパク質を有効成分として含有する蛍光増強剤。
(2)蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光増強法であって、前記溶液に塩基性タンパク質を添加する工程を含む蛍光増強法。
(3)蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光消光抑制剤であって、塩基性タンパク質を有効成分として含有する蛍光消光抑制剤。
(4)蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光消光抑制法であって、前記溶液に塩基性タンパク質を添加する工程を含む蛍光消光抑制法。
(5)蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光測定法であって、前記溶液に塩基性タンパク質を添加する工程と、前記溶液における蛍光を検出する工程と、を含む蛍光検出方法。
(6)核酸鎖を標識する蛍光色素あるいは蛍光色素標識核酸鎖と、塩基性タンパク質とを含む蛍光検出キット。
(7)所定濃度の塩基性タンパク質が、蛍光色素で標識した核酸鎖を含有する溶液の蛍光を増強するかどうかを検定する検定方法であって、前記所定濃度の前記塩基性タンパク質を含有する前記溶液と、前記塩基性タンパク質を含有しない前記溶液の蛍光強度を比較する工程、を含む方法。
(8)蛍光色素で標識した核酸鎖を含有する溶液の蛍光を増強する、塩基性タンパク質の有効濃度を決定する方法であって、複数の濃度の前記塩基性タンパク質を含有する前記溶液と、前記塩基性タンパク質を含有しない前記溶液の蛍光強度を比較する工程と、前記塩基性タンパク質を含有しない前記溶液に比べ、前記塩基性タンパク質を含有する核酸鎖溶液の蛍光強度が強い場合に、前記塩基性タンパク質の濃度を前記有効濃度とする工程と、を含む方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蛍光の検出強度を増強することができる薬剤および方法、蛍光消光を抑制することができる薬剤および方法、それらの薬剤を用いた蛍光検出方法、それらの薬剤を含む蛍光検出キット、並びに、蛍光の検出強度を増強する薬剤の濃度決定方法などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例において、多数の蛍光色素で標識したDNAの溶液に、ウシ胸腺由来未分画ヒストンを添加することにより、蛍光強度が増加することを示す図である。
【図2】本発明の一実施例において、多数の蛍光色素で標識したDNAの溶液に、ウシ胸腺由来ヒストンH1サブユニットを添加することにより、蛍光強度が増加することを示す図である。
【図3】本発明の一実施例において、多数の蛍光色素で標識したDNAの溶液に、ウシ胸腺由来ヒストンH3サブユニットを添加することにより、蛍光強度が増加することを示す図である。
【図4】本発明の一実施例において、多数の蛍光色素で標識したDNAの溶液に、BSAを添加しても、蛍光強度が増加しないことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記知見に基づき完成した本発明を実施するための形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.等の標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
【0010】
==塩基性タンパク質の蛍光検出強度に対する作用==
核酸鎖溶液に塩基性タンパク質を添加することにより、多数の蛍光色素、特に疎水性が強い蛍光色素で標識した核酸鎖を用いることにより生じる蛍光消光を抑制して蛍光の検出強度を増強することができるのみならず、蛍光消光を起こさない核酸鎖に対しても、蛍光の検出強度を増強することができる。(なお、本明細書で、「蛍光の検出強度を増強する」ことを、「蛍光を増強する」とも記載する。)
【0011】
これは、核酸鎖が塩基性タンパク質に結合することにより、核酸鎖を標識した蛍光色素が安定に保持されることによるものであると考えられる。また、蛍光消光に対しては、蛍光色素が安定に保持されることにより、蛍光色素同士が近接するのが阻害されたために、蛍光消光が抑制されると考えられる。従って、塩基性タンパク質は、蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光増強剤や、蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光消光抑制剤として有用である。
【0012】
==本発明に係る蛍光検出方法==
本発明に係る蛍光検出方法は、蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液に塩基性タンパク質を添加する工程と、その溶液における蛍光を検出する工程とを含む。塩基性タンパク質の溶液への添加は、核酸鎖を溶液に添加する前でも後でも同時でもよい。最終的に、核酸鎖と塩基性タンパク質を含有する溶液を作製すればよい。この蛍光検出方法は、核酸鎖溶液中に塩基性タンパク質を含有させることにより、蛍光色素からの蛍光の検出強度を増強したり、蛍光消光を抑制したりして、高感度で蛍光を検出することができるようになるという効果を有する。
【0013】
標識のために用いる蛍光色素は、特に限定されないが、例えば、AMCA、Marina Blue、Cascade Blue、Cascade Yellow、Pacific Blue、Qdot(R)605、Rhodamine-123、CFSE、TexasRed、TRITC、APC、Hoechst33342、DAPI、Chromomycin A3、PI、YOYO-1、CPO、Pyronin Y、7-AAD、Ethidium homodimer-1、SYTO9、SYBR Green I、LDS751、TO-PRO-3、Indo-1、Fluo-3、Fluo-4、Fura Red、BCECF、mClB、 SNARF-1、R110、EBFP、ECFP、EGFP、EYFP、DsRed、CMFDA、JC-1、DiOC2(3)、DiBAC4(3)、PKH26、DCFH-DA、DHR、FDA、Calcein AM、Nile Red、cy3、cy5、cy5.5、cy7、cy3B、cy3.5、Alexa Fluor350、Alexa Fluor488、Alexa Fluor532、Alexa Fluor546、Alexa Fluor555、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor633、Alexa Fluor647、Alexa Fluor680、Alexa Fluor700、Alexa Fluor750、フルオレセインおよびフルオレセイン−4−イソチオシアネート(FITC)ならびにそれらの組み合わせを例示できる。
【0014】
蛍光色素で標識する核酸鎖は、DNAであってもRNAであってもよい。また、その長さに制限は無い。さらに核酸鎖は、一本鎖または二本鎖であってもよい。なお、蛍光色素標識核酸鎖は、制限酵素によって切り離すことができる切断部位を含んでもよく、それによって、tag、磁気ビーズ、アビジン類、ビオチン、抗体、アダプター分子などに結合している場合、それらの結合分子から、蛍光色素標識核酸鎖を切断し、回収することができるようになる。
【0015】
蛍光色素で標識する核酸鎖の配列は、特に限定されず、例えば、核酸鎖がDNAである場合には、配列番号1、2又は3に示される塩基配列からなるDNAなどを具体的に挙げることができる。
【0016】
塩基性タンパク質としては、塩基性であればどのようなタンパク質であってもよいが、例えば、ヒストン(H1、H2A、H2B, H3、H4、またはいずれかの混合物)、ヒストン様蛋白質HU、プロタミン、IHF、H-NSなどのDNA結合タンパク質や、ファージλNタンパク質、FRGY2(frog Y-box protein 2)、HIV-1のVifタンパク質、hnRNP(A1、A2/B1)などのRNA結合タンパク質を挙げることができる。
【0017】
添加する塩基性タンパク質の最終濃度としては、1ng/mL以上が好ましく、10ng/mL以上がより好ましく、100ng/mL以上がさらに好ましく、1μg/mL以上がさらに好ましく、10μg/mL以上がさらに好ましく、100μg/mL以上がさらに好ましい。特に、ウシ胸腺由来未分画ヒストンの場合は10μg/mL以上、ウシ胸腺由来ヒストンH1サブユニットの場合は100μg/mL以上、ウシ胸腺由来ヒストンH3サブユニットの場合は5μg/mL以上が好ましい。
【0018】
なお、蛍光色素標識核酸鎖の溶液に添加する塩基性タンパク質の種類や量は、当業者が通常の手段で適切に決定することができる。すなわち、所定濃度の塩基性タンパク質が、蛍光色素で標識した核酸鎖を含有する溶液の蛍光を増強するかどうかを検定するには、当該濃度の塩基性タンパク質を含有する溶液と、塩基性タンパク質を含有しない対照溶液の蛍光強度を測定して、それらの強度を比較し、塩基性タンパク質を含有する溶液が対照溶液より強度が強ければ、その量の塩基性タンパク質は、蛍光色素で標識した核酸鎖を含有する溶液の蛍光を増強すると判定できる。その結果によって、塩基性タンパク質の種類や量を、適切に決定することができる。
【0019】
同様に、蛍光色素で標識した核酸鎖を含有する溶液の蛍光を増強する、塩基性タンパク質の有効濃度を決定することができる。すなわち、複数の濃度の塩基性タンパク質を含有する溶液と、塩基性タンパク質を含有しない対照溶液の蛍光強度を比較し、対照溶液に比べ、塩基性タンパク質を含有する溶液の強度が強い場合に、その溶液の濃度を有効濃度とするする。なお、対照溶液は、塩基性タンパク質を含有しないこと以外は、核酸鎖溶液と成分が同じであることが好ましい。
【0020】
==本発明の蛍光検出方法の利用方法==
本発明に係る蛍光検出方法は、高度に改善された検出感度を有するため、様々な応用方法がある。例えば、本発明に係る蛍光検出方法を用いて、蛍光色素で標識した核酸鎖で抗体を標識することにより、特定の抗原を、高感度に検出することができる。
【0021】
抗体の標識には、蛍光色素で標識した核酸鎖を、検出対象である抗原に特異的に結合する抗体に直接結合させてもよいし、アダプター分子を介して抗体に結合させてもよい。アダプター分子は、蛍光色素で標識した核酸鎖と、検出対象である抗原に特異的に結合する抗体とに結合し、蛍光色素標識核酸鎖と抗体とを間接的に結合させるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、蛍光色素標識核酸鎖と抗体にそれぞれ結合させたビオチンとアビジン類による複合体を含有するものであってもよい。また、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのいずれかのイムノグロブリン結合ドメインを含有するもの、より具体的には、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLの野生型タンパク質、イムノグロブリン結合活性を有する変異型タンパク質、それらのイムノグロブリン結合ドメインと他のペプチドの融合タンパク質、抗イムノグロブリン抗体などであってもよい。
【0022】
アダプター分子を用いた場合の抗原検出方法は、様々な態様が考えられる。例えば、ビオチン又はアビジン類が結合した抗体と、アビジン類又はビオチンが結合した蛍光色素標識核酸鎖とを用いて、抗原に抗体を結合させた後、アビジン類とビオチンとの複合体形成により蛍光色素標識核酸鎖を抗体に間接的に結合させてもよいし、あるいは、1次抗体と、アビジン類又はビオチンが結合した2次抗体と、ビオチン又はアビジン類が結合した蛍光色素標識核酸鎖とを用いて、抗原に1次抗体を結合させ、1次抗体に2次抗体を結合させた後、アビジン類とビオチンとの複合体形成により蛍光色素標識核酸鎖を抗原に間接的に結合させてもよい。あるいは、蛍光色素で標識した核酸鎖にプロテインAやプロテインGなどを結合させ、抗原に結合した抗体に結合させてもよいし、予め2次抗体と結合させておき、抗原に結合した1次抗体に結合させてもよい。
【0023】
抗原は、支持体に固定化されていても、されていなくてもよい。支持体としては、例えば、プラスティックの底面やビーズなどを用いることができるが、抗原が組織切片などに固定されていてもよい。支持体に固定化する場合、支持体に直接結合させても、間接的に結合させてもかまわない。直接結合させる場合は、抗原を含む緩衝液を支持体と接触させればよく、間接的に結合させる場合は、支持体に、抗原が結合する物質(例えば、抗体等)を予め結合させ、そこに抗原を含む緩衝液を支持体と接触させればよい。このように抗原を支持体に固定化する場合には、蛍光色素標識核酸鎖を直接結合した抗体、あるいは、蛍光色素標識核酸鎖をアダプター分子を介して間接的に結合した抗体を、抗原に結合させた後、緩衝液で洗浄することにより、抗原に未反応の該抗体を除去することができ、高純度の抗原抗体複合体を得ることができる。
【0024】
蛍光色素標識核酸鎖を抗原に結合させた後は、そのままの状態で塩基性タンパク質を結合させてもよいが、抗原分子に結合した蛍光色素標識核酸鎖が二重鎖で、上述のような切断部位を有する場合には、切断部位で切断してから回収してもよく、あるいは、抗原と抗体を解離させることによって抗体との複合体の形態で回収してもよい。また、蛍光色素標識核酸鎖は、酸処理、アルカリ処理、熱処理、プロテアーゼ処理等を行って、抗体等のペプチドやタンパク質を変性・分解させ、回収してもよい。こうして核酸鎖を回収後、塩基性タンパク質を添加してもよい。そして、当業者に公知の、適切な方法で蛍光を検出する。
【0025】
このような抗原検出方法を用いることにより、電気泳動により分離して膜に転写した抗原や、組織や細胞における抗原などを高感度で検出・定量することができるようになる。
【0026】
(4)MUSTagに対する応用
抗原を高感度に検出する方法として、MUSTagを用いるものがある。
【0027】
MUSTagは、標識としての蛍光色素標識核酸鎖、検出対象である抗原に特異的に結合する抗体、及び核酸鎖と抗体を結合するアダプター分子を含有する。アダプター分子と抗体とは、化学的に架橋されていてもよい。
【0028】
蛍光色素標識核酸鎖は、DNAであってもRNAであっても構わないが、検出を容易にするため、DNAであることが好ましい。また、その長さに制限は無いが、切断や検出の際に酵素などが作用し易いように短い方が好ましいが、検出し易いように、十数塩基〜数十塩基の長さのオリゴヌクレオチドが好ましい。さらに、一本鎖または二本鎖であってもよいが、安定性の面から二本鎖であることが好ましい。この核酸鎖をPCRなどで検出するために、核酸鎖の塩基配列は、できるだけ特異的であることが好ましい。
【0029】
抗体複合体に含まれる核酸鎖と抗体はアダプター分子を介して結合している。それによりオリゴヌクレオチド複合抗体の構造安定性を一層高めることができ、得られる複合体の収率をより向上させるとともに、ひいては検出感度や検出効果を高める等の効果が得られる。
【0030】
アダプター分子は、蛍光色素で標識した核酸鎖と、検出対象である抗原に特異的に結合する抗体とに結合し、蛍光色素標識核酸鎖と抗体とを間接的に結合するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、蛍光色素標識核酸鎖と抗体にそれぞれ結合/修飾させたビオチンとアビジン類による複合体を含有するものであってもよい。また、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのいずれかのイムノグロブリン結合ドメインを含有するもの、より具体的には、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLの野生型タンパク質、イムノグロブリン結合活性を有する変異型タンパク質、それらのイムノグロブリン結合ドメインと他のペプチドの融合タンパク質、抗イムノグロブリン抗体などであってもよい
【0031】
イムノグロブリン結合ドメインは、それぞれ、プロテインG(GenBank accession number cDNA: X06173, protein: CAA29540)の場合、303-357番目、373-427番目、443-497番目のアミノ酸の領域であり、プロテインA(GenBank accession number cDNA: M18264, protein: AAA26677)の場合、39-88番目、100-149番目、158-207番目、216-265番目、274-323番目のアミノ酸の領域であり、プロテインL(GenBank accession number cDNA: M86697, protein: AAA25612)の場合、115-173番目、185-245番目、257-317番目、329-389番目、400-462番目のアミノ酸の領域である。なお、アダプター分子は、製造する際に必要なtagを含んでもよい。tagの種類は、特に限定されず、GST-tagやMBP-tag、myc-tagやflag-tag等でもよいが、低分子のニッケルに結合できるため、化学架橋工程で影響が無いという点から、tagはHis-tagであることが好ましい。
【0032】
アダプター分子に含まれるイムノグロブリン結合ドメインは、抗体には直接結合しているが、蛍光色素標識核酸鎖に対して、直接的に結合していても、間接的に結合していてもよい。間接的に結合する場合、例えば、アビジン類のビオチン結合ドメインと、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのイムノグロブリン結合ドメインとがリンカー化合物を介して結合するか、あるいは融合タンパク質になっており、一方、塩基性タンパク質が結合した核酸鎖がビオチンと結合していて、ビオチン結合ドメインとビオチンが結合する場合や、イムノグロブリン結合ドメインと塩基性タンパク質が結合した核酸鎖とが共にビオチンを結合していて、これらのビオチン同士がアビジン類を介して結合する場合など、様々な態様が考えられる。リンカー化合物としては、例えば「Sulhsuccinimidy1-4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate(Sulfo・SMCC)」等を用いることができる。
【0033】
ここで、アビジン類は通常ホモ4量体を形成しており、1つのサブユニットにつき1つのビオチン結合ドメインを有するため、タンパク全体で4つのビオチン結合ドメインを有していることになるが、本発明で用いるビオチン結合ドメインは、1つのサブユニットがあればよく、また4量体を形成していてもよい。しかし、蛍光色素標識核酸鎖を溶液中に曝すような構造にするため、プロテインG1分子に蛍光色素標識核酸鎖1分子を結合させることが好ましく、そのためには、4量体を形成せずビオチン結合ドメインを1つだけ有するような単量体のアビジン類変異体(ストレプトアビジンの39-183番目のアミノ酸配列を有し、ビオチンとの結合活性を失わないペプチド)を使用するのが好ましい。
【0034】
また、アビジン類とは、アビジン、ストレプトアビジンやニュートラアビジンなどのビオチン結合タンパク質のことである。例えば、アビジン(RefSeq accession number cDNA: NM_205320, protein: NP_990651)及びニュートラアビジン(アビジンと配列は同じで脱グリコシル処理したもの)の場合、ビオチン結合ドメインは、アミノ酸28-146番目の領域であり、ストレプトアビジン(GenBank accession number cDNA: X03591, protein: CAA27265)の場合は、アミノ酸39-156番目の領域である。
【0035】
アダプター分子と抗体が結合性を有する場合にはアダプター分子と抗体とが直接結合していてもよいが、アダプター分子と抗体は化学的に架橋されていてもよい。架橋の種類については、特に限定されない。例えば、アミノ基間架橋、カルボキシル基間架橋、チオール基間架橋などが挙げられる。アダプター分子の中で、抗体と架橋されるアミノ酸残基は特に限定されないが、抗体と直接結合しているイムノグロブリン結合ドメイン中の残基であることが好ましい。
【0036】
抗体は、検出対象である抗原に特異的に結合できれば、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であっても構わない。また、抗体の種類に制限は無く、例えばIgGであってもIgMであってもよい。
【0037】
なお、MUSTagは、国際公開第2006/049289号、特開2010−6788号公報等に記載の方法に準じて製造することができる。これらの文献を引用することにより、その内容を本明細書に組み込むものとする。
【0038】
検出対象となる抗原は、その種類・存在様式など、特に限定されないが、抗体で認識できれば、タンパク質でも糖でも核酸鎖でもよく、精製物であっても抽出物であってもよい。また、ウイルスや細胞に存在していてもよく、その場合、ウイルスや細胞をそのまま検出に用いてもよい。従って、被験試料は、例えば、生体成分(組織や血液)やその抽出物、食肉や野菜等の食品類、土壌や河川水などであってもよい。
【0039】
抗原抗体複合体の作製方法は特に限定されず、抗原を支持体に固定化してもしなくても良いが、例えば、抗原を支持体に固定化し、抗体複合体を抗原に結合させることにより、抗体複合体を支持体に結合させる。その後、緩衝液で洗浄することにより、未反応の抗体複合体を除去することができ、高純度の抗原抗体複合体を得ることができる。この支持体には、プラスティックの底面やビーズなどを用いることができる。また、抗原を支持体に固定化するのに、抗原を支持体に直接結合させても、間接的に結合させても構わない。直接結合させる場合は、抗原を含む緩衝液を支持体と接触させればよく、間接的に結合させる場合は、支持体に、抗原が結合する物質(例えば、抗体等)を予め結合させ、そこに抗原を含む緩衝液を支持体と接触させればよい。特異性を高めるためには、後者の間接結合が好ましい。
【0040】
抗原に結合した抗体複合体を検出するために、核酸を回収する。核酸は、抗体複合体ごと回収してもよく、例えば、常法に従って、抗原と抗体を解離させることによって架橋型抗体複合体を回収することができる。あるいは、核酸だけを回収してもよく、酸処理、アルカリ処理、熱処理、プロテアーゼ処理等を行って、架橋型抗体複合体を変性させたり、分解させたりすればよい。あるいは、抗体複合体に核酸鎖を、制限酵素処理や光処理等の穏やかな処理で切り離すことができる切断部位を設け、この切断部位で抗原抗体複合体から核酸鎖を切り離し、回収する。この回収工程によって、核酸鎖の検出前に濃縮することができ、より少量の核酸鎖も検出可能になる。そして、このようにして回収された核酸鎖溶液に塩基性タンパク質を加え、蛍光を検出する。
【0041】
==本発明に係る蛍光検出キット==
本発明に係る蛍光検出方法を容易に実施するために、必要な試薬を蛍光検出キットとして含ませてもよい。本発明に係る蛍光検出キットは、核酸鎖とその核酸鎖を標識するための1又は2種以上の蛍光色素と、塩基性タンパク質とを含有してもよいが、予め蛍光色素で標識した核酸鎖を含有させるのが好ましい。また、抗原検出用キットとして、検出対象である抗原に特異的に結合する抗体に核酸鎖を結合させるための化学結合試薬(Dimethyl pimelimidate、Disuccinimidyl suberate、Sulfo-SMCC、Sulfo-KMUS等)を含有させてもよいが、さらに核酸鎖と抗体を結合させるためのアダプター分子を含有してもよい。なお、その抗体自体を含有してもよいが、その場合、化学結合試薬を含有させるのではなく、核酸鎖と抗体が結合している複合体を含有させる方が好ましい。核酸鎖と抗体は、アダプター分子によって結合した複合体として含有させてもよいが、アダプター部位と抗体を架橋されているのがより好ましい。さらに、このキットは、抗原定量に用いるための標準抗原や、バッファーなどを含有してもよい。その他の構成要素としては、既述した具体例を利用できる。なお、蛍光色素標識核酸鎖としては、1種類含まれていればよいが、異なる核酸鎖を同じ蛍光色素で標識した2種以上のものが含まれていてもよいし、異なる核酸鎖をそれぞれ波長や色が異なる複数の蛍光色素で標識した2種以上のものが含まれていてもよい。
【0042】
その他、イムノクロマトグラフィーの抗原検出用キットとして、抗原捕捉用抗体、コントロール用捕捉用抗体、MUSTag用に複合体化された蛍光標識検出用抗体が各所定場所に塗布されたクロマトグラフィー用メンブレン(イムノクロマトストリップ)、及び塩基性タンパク質を含有してもよい。また、ELISA用キットとして、検出対象である抗原に特異的に結合する抗体を固相化したプレート(イムノプレート)、MUSTag用に複合体化された検出用抗体、及び塩基性タンパク質などを含有してもよい。また、免疫組織染色用キットとして、スライドグラス、染色切片封入剤、MUSTag用に複合体化された検出用抗体、及び塩基性タンパク質などを含有してもよい。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例及び図を用いてより具体的に説明する。
【0044】
<実施例1>
5’末端がビオチン化された以下の塩基配列からなるDNAを用い、一定の任意の間隔で多数の蛍光色素Alexa Fluor 680により標識した。
【0045】
==アミノ基修飾ヌクレオチドを導入したDNA鎖の合成(DNA#1)==
配列番号1の配列を有するDNAをインサートしたpcDNA3プラスミド(Invitrogen社製)を鋳型DNAとし、アミノ基修飾ヌクレオチドである5-aminohexylacrylamido-dUTP(aha-dUTP、Invitrogen社製)を含むdNTP mixture存在下で、ビオチン化プライマー(配列番号4)を含む下記プライマー(配列番号4及び5)及びEX Taq polymerase(Takara社製)を使用して〈95℃30秒-53℃30秒-72℃30秒を40サイクル〉の反応条件でPCRを行うことにより、DNA配列のチミン(T)塩基部分、及びアデニン(A)塩基部分の相補鎖にアミノ基修飾ウラシルを含み、片側鎖の5'末端がビオチン化されたオリゴヌクレオチド鎖#1(配列番号1)を合成した。

DNA#1(塩基数 161 bp):
5'-CACTGCTTACTGGCTTATCGAAATGGAATTCTGCATGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATAGCATAGTGTCACCTA
AATGCTAGGCAACCGACAATTGCATGAAGAACTCGCACATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCACCACCAAACGTGG
CTTGCC-3' (配列番号1)
#1 Forward Primer-Bio(塩基数 23 base):
5'-[Biotin]-CACTGCTTACTGGCTTATCGAAA-3' (配列番号4)
#1 Reverse Primer(塩基数 18 base):
5'-GGCAAGCCACGTTTGGTG-3' (配列番号5)
【0046】
==アミノ基修飾ヌクレオチドを導入したDNA鎖の合成(DNA#2、DNA#3)==
配列番号2及び3の配列を有する1本鎖DNAを鋳型DNAとし、アミノ基修飾ヌクレオチドである5-aminohexylacrylamido-dUTP(aha-dUTP、Invitrogen社製)を含むdNTP mixture存在下で、ビオチン化プライマー(配列番号6)及びKlenow fragment(New England Biolabs社製)を使用して〈37℃3時間〉の反応条件で相補鎖の合成を行うことにより、相補鎖のチミン(T)塩基部分にアミノ基修飾ウラシルを含み、5'末端がビオチン化された2本鎖オリゴヌクレオチド#2、#3(配列番号2及び3)を合成した。

DNA#2(塩基数 100 bp):
5'-ACCCTGTCTCAGCGTGTGTATGTGTGTGATGTGTGTGTATGTGTGTGATGTGTGTGATGTGTGTGTATGTGTGTG
ATGTGTGTGACCTAAATCGTATGTG-3' (配列番号2)
DNA#3(塩基数 100 bp):
5'-ACCCAGTCGAGGCATGTGATGTATGTGATGTATGTGATGTATGTGATGTATGTATGTGATGTATGTATGTGATGT
ATGTGATGTACCTAAATCGTATGTG-3' (配列番号3)
#2#3 Primer-Bio(塩基数 15 base):
5'-[Biotin]-CACATACGATTTAGG-3' (配列番号6)

【0047】
==アミノ基修飾ヌクレオチドを導入したDNA鎖へのAlexa Fluor 680の標識==
上述のようにして合成を行ったアミノ基修飾ウラシルを含む各種DNA鎖(#1、#2、#3)を反応バッファー(300 mM NaHCO3)に終濃度300 ng/μLで溶解し、NHSエステル化Alexa Fluor 680色素(Invitrogen社製)を終濃度7 mMで添加し、室温で一晩振盪することで、ウラシルに修飾されたアミノ基を介してDNA鎖に蛍光色素を架橋した。反応終了後、分画分子量30,000の限外ろ過フィルター(Millipore社製)及び排除限界40,000ダルトンのゲルろ過スピンカラム(Bio-Rad社製)により未反応の色素を除去し、蛍光標識DNA鎖を精製した。
【0048】
蛍光標識した各DNAの1分子あたりの色素数を、最大吸収波長の吸光度測定(NanoDropによる測定)又は蛍光強度測定(SPECTRAmax Gemini XSによる測定)により算出した結果を表1に示す。
【表1】

【0049】
DNA#1においては、吸光度によって算出した色素数は、実際に結合している色素数を反映しているが、蛍光強度によって算出した色素数は、実際に結合している色素数より数値がかなり低下していることがわかる。これは、コンタクト・クエンチング(蛍光消光)によるものであると考えられる。DNA#2及び#3においては、両方の測定結果が、ほぼ一致している。
<実施例2>
本実施例では、多数の蛍光色素で標識したDNAにおいて生じる蛍光強度の低下が、DNAに非特異的に結合する塩基性タンパク質によって抑制できるのみならず、蛍光強度が低下しないDNAに関しても、蛍光強度が増強することを示す。
反応溶液[20 mM Tris-HCl (pH 7.4), 200 mM NaCl, 1 mM EDTA, 0.2% Triton X-100]に、実施例1で作製した蛍光標識DNAを最終濃度で250pMとなるように、ヒストン[ウシ胸腺由来未分画ヒストン(Sigma;H1、H2A、H2B、H3、H4の全てのサブユニットを含む)、ウシ胸腺由来のヒストンH1サブユニット(Sigma)、又はウシ胸腺由来のヒストンH3サブユニット(Sigma)]又はBSA(ネガティブコントロール;酸性タンパク質)を最終濃度で1 mg/ml、100 μg/ml、10 μg/ml、1 μg/ml、100 ng/ml、25 ng/ml又は5 ng/mlとなるように、それぞれ加えて混合した。また、コントロールとして、反応溶液に、蛍光色素(最終濃度3.75nM)と、さらにヒストン又はBSAを最終濃度で1 mg/ml、100 μg/ml、10 μg/ml、1 μg/ml、100 ng/ml、25 ng/ml又は5 ng/mlとなるように加え、混合した。
混合直後に、各混合液80μlを96ウェルアッセイプレート(プロテオセーブSS・丸底, SUMILON)に注入し、Odyssey Infrared Imaging Systemにより700 nmの蛍光強度計測を行った。その後、ヒストンおよびBSAを添加していない混合液(コントロール)における蛍光強度を1として、コントロールに対する各濃度のヒストン又はBSAを含む混合液の蛍光強度の割合を算出した。その結果を図1〜4に示す。なお、4℃で1晩静置した後に測定した場合も、同様の結果が得られた。
【0050】
図4に示すように、蛍光標識DNA溶液にBSAを添加した場合には、蛍光強度は増強しなかったが、図1〜3に示すように、蛍光標識DNA溶液に、ウシ胸腺由来未分画ヒストン、ヒストンH1サブユニット、またはヒストンH3サブユニットの塩基性タンパク質を添加することにより蛍光強度が増強した。より具体的には、蛍光標識DNA#1は、20000ng/ml以上のウシ胸腺由来未分画ヒストン、200000ng/ml以上のヒストンH1サブユニット、4000ng/ml以上のヒストンH3サブユニットと組み合わせることにより蛍光強度が増強した。また、蛍光標識DNA#2は、3000ng/ml以上のウシ胸腺由来未分画ヒストン、30000ng/ml以上のヒストンH1サブユニット、200ng/ml以上のヒストンH3サブユニットと組み合わせることにより蛍光強度が増強した。さらに、蛍光標識DNA#3は、2000ng/ml以上のウシ胸腺由来未分画ヒストン、20000ng/ml以上のヒストンH1サブユニット、200ng/ml以上のヒストンH3サブユニットと組み合わせることにより蛍光強度が増強した。
以上のことから、塩基性タンパク質を溶液に添加することにより、多数の蛍光色素で標識したDNAの、溶液中での蛍光強度が増強することが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光増強剤であって、塩基性タンパク質を有効成分として含有する蛍光増強剤。
【請求項2】
蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光増強法であって、前記溶液に塩基性タンパク質を添加する工程を含む蛍光増強法。
【請求項3】
蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光消光抑制剤であって、塩基性タンパク質を有効成分として含有する蛍光消光抑制剤。
【請求項4】
蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光消光抑制法であって、前記溶液に塩基性タンパク質を添加する工程を含む蛍光消光抑制法。
【請求項5】
蛍光色素で標識した核酸鎖の溶液中での蛍光測定法であって、
前記溶液に塩基性タンパク質を添加する工程と、
前記溶液における蛍光を検出する工程と、
を含む蛍光検出方法。
【請求項6】
核酸鎖を標識するための蛍光色素または蛍光色素標識核酸鎖と、塩基性タンパク質とを含む蛍光検出キット。
【請求項7】
所定濃度の塩基性タンパク質が、蛍光色素で標識した核酸鎖を含有する溶液の蛍光を増強するかどうかを検定する検定方法であって、
前記所定濃度の前記塩基性タンパク質を含有する前記溶液と、前記塩基性タンパク質を含有しない前記溶液の蛍光強度を比較する工程、を含む方法。
【請求項8】
蛍光色素で標識した核酸鎖を含有する溶液の蛍光を増強する、塩基性タンパク質の有効濃度を決定する方法であって、
複数の濃度の前記塩基性タンパク質を含有する前記溶液と、前記塩基性タンパク質を含有しない前記溶液の蛍光強度を比較する工程と、
前記塩基性タンパク質を含有しない前記溶液に比べ、前記塩基性タンパク質を含有する核酸鎖溶液の蛍光強度が強い場合に、前記塩基性タンパク質の濃度を前記有効濃度とする工程と、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−103014(P2012−103014A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249143(P2010−249143)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(591063394)財団法人 東京都医学総合研究所 (69)
【Fターム(参考)】