説明

蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体及び蛍光標識プローブ

【課題】高い親和性と選択性を有する蛍光標識の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物。


(R1はアルキル基、X1〜X4はH、アルキル基、蛍光基等を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末梢性ベンゾジアゼピン受容体に親和性を有する蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体及びこれを有効成分とする蛍光標識プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾジアゼピン(BZ)受容体は、中枢性ベンゾジアゼピン受容体と末梢性ベンゾジアゼピン受容体(以下、PBRという。)に分類される。PBRは発見当初、末梢組織で確認されたため、このように称されているが、その後の研究により中枢組織にもその存在が認められている。中枢組織のPBRは、脳内のグリア細胞に高密度に存在している。さらに、さまざまな疾患に伴って、脳内のグリア細胞の活性化が引き起こされ、PBRの密度が上昇することも知られている。
【0003】
これまでの研究により、PBRは、アルツハイマー型痴呆、前頭側頭葉型痴呆、瀰漫性レビー小体病、血管障害、パーキンソン病関連疾患、大脳基底核変性症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多系統萎縮症、多発性硬化症、てんかん、髄膜炎、脳炎、末梢神経損傷、喉頭がん、乳癌、卵巣腫瘍、肝癌、大腸がん、胃癌、副腎腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、繊維芽腫、神経肉腫、肺がん、子宮癌、リンパ腫、前立腺癌、メラノーマ、精巣腫瘍、アストロサイトーマ、異所性ホルモン産生腫瘍等の疾患と関わることが報告されている。
【0004】
PBRに特異的に結合するリガンド(PBRリガンド)として、N−メチル−N−(1−メチルプロピル−)−1−(2−クロロフェニル)−イソキノリン−3−カルボキサミド(以下、PK11195という。)が知られており、Positron emission tomograph(PET)などの核医学診断装置によって、生きたヒトの脳内のPBRの分布を画像化する際は、PK11195を11Cで標識した[11C]PK11195が広く用いられている。
【0005】
他方、特許文献1には、N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−(5−フルオロ−2−フェノキシフェニル)アセトアミド(以下、DAA1106という。)が記載されている。また、特許文献2には、N−(2−フルオロメチル−5−メトキシベンジル)−N−(5−フルオロ−2−フェノキシフェニル)アセタミド(以下FMDAA1106)、及びN−[2−(2−フルオロ)エチル−5−メトキシベンジル]−N−(5−フルオロ−2−フェノキシフェニル)アセトアミド(以下、FEDAA1106という。)が記載されている。
【0006】
そして、特許文献1、2には、DAA1106、FMDAA1106及びFEDAA1106がPBRに対して強い親和性と高い選択性を有することが記載されており、現在、これらの化合物の放射性標識体、例えば、11Cで標識した[11C]DAA1106、18Fで標識した[18F]FMDAA1106と[18F]FEDAA1106が、脳内のPBRの分布を画像化するトレーサーとして用いられている。
【0007】
また、N−(2−ヨード−5−メトキシベンジル)−N−(5−フルオロ−2−フェノキシフェニル)アセトアミド(以下、IDAA1106という。)等もPBRリガンドとして機能すると期待されており、現在、131Iで標識した[131I]IDAA1106をSingle photon emission computed tomography(SPECT)などの核医学診断に用いるための研究が行われている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−171844号
【特許文献2】特開平2004−231647号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、[11C]PK11195、[11C]DAA1106、[18F]FMDAA1106、[18F]FEDAA1106、[131I]IDAA1106などはいずれも核医学診断装置のトレーサーとして開発されたものである。そのため、これらの試薬を使用するにあたって、試薬を作製するためのサイクロトロンや被曝を防止するための被曝防止設備といった特別な設備が必要となるという問題がある。
また、11C、18F、131Iは半減期が短いために、例えば、実験や研究で使用する際の取り扱いが非常に困難であり、試薬をストックしておくことができないという問題もある。
【0010】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、PBRに対して高い親和性と高い選択性を有し、且つ使用にあたって特別な設備を必要とせず、実験や研究で用いる場合に取り扱いが容易でストックしておくことができ、試薬として用いることができる蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体及び蛍光標識プローブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究した結果、特開平11−171844号に記載の化合物に蛍光基を導入することによって、PBRに対して高い親和性を示す試薬を作出することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】
(1)すなわち、本発明は、下記式(1)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体である。
【0013】
【化1】

【0014】
但し、前記式(1)中、R1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、X1、X2、X3及びX4は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェノキシ基、トリフルオロメチル基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、ハロゲン原子を示し、且つX1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示す。
【0015】
(2)本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、前記式(1)において、R1が、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、X1及びX2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、且つX1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示すのが好ましい。
【0016】
(3)本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、前記式(1)において、R1が、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、X1及びX2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、X3は、ハロゲン原子を示し、X4は、水素原子を示し、且つX1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示すのが好ましい。
【0017】
(4)本発明に係る及び蛍光標識プローブは、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を有効成分とする、アルツハイマー型痴呆、前頭側頭葉型痴呆、瀰漫性レビー小体病、血管障害、パーキンソン病関連疾患、大脳基底核変性症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多系統萎縮症、多発性硬化症、てんかん、髄膜炎、脳炎、末梢神経損傷、喉頭がん、乳癌、卵巣腫瘍、肝癌、大腸がん、胃癌、副腎腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、繊維芽腫、神経肉腫、肺がん、子宮癌、リンパ腫、前立腺癌、メラノーマ、精巣腫瘍、アストロサイトーマ及び異所性ホルモン産生腫瘍用の蛍光標識プローブである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、標識体として蛍光基を用いているので、使用にあたってサイクロトロンや被曝防止設備などを必要とせず、実験や研究で用いる場合に取り扱いが容易で長期間ストックしておくことができる。
また、本発明の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、PBRに対して高い親和性と高い選択性を有するため、例えば、実験や研究において蛍光標本を容易に作製することができる。
【0019】
特に、本発明の蛍光標識プローブは、前記した蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を有効成分としているので、PBRの増減と関係するアルツハイマー型痴呆、前頭側頭葉型痴呆、瀰漫性レビー小体病、血管障害、パーキンソン病関連疾患、大脳基底核変性症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多系統萎縮症、多発性硬化症、てんかん、髄膜炎、脳炎、末梢神経損傷、喉頭がん、乳癌、卵巣腫瘍、肝癌、大腸がん、胃癌、副腎腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、繊維芽腫、神経肉腫、肺がん、子宮癌、リンパ腫、前立腺癌、メラノーマ、精巣腫瘍、アストロサイトーマ、異所性ホルモン産生腫瘍などの疾患の蛍光標本の作製や生検を容易に行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体及びこれを有効成分とする蛍光標識プローブについて詳細に説明する。
本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、下記式(1)で表される。
【0021】
【化2】

【0022】
但し、前記式(1)中、R1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示す。
また、X1、X2、X3及びX4は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェノキシ基、トリフルオロメチル基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、ハロゲン原子を示し、且つこれらX1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基(−O(CH2nO−)或いはアルコキシアミノ基(−O(CH2nN−)と結合した蛍光基を示す(nは1〜10の自然数を示す。)。このように、前記式(1)に示したフェニルオキシアニリン誘導体と蛍光基との間にジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基を介在させることにより、蛍光基によるフェニルオキシアニリン誘導体への立体障害等を防止することができる。そのため、PBRへの結合力の低下を防ぐことができる。また、炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基を結合させたフェニルオキシアニリン誘導体と蛍光基とを結合させる際に、ジアルコキシ基の水酸基やアルコキシアミノ基のアミノ基と、当該蛍光基の反応基との化学反応を好適に行わしめることが可能となる。
【0023】
好ましくは、前記式(1)において、R1が、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、X1及びX2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、且つX1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示す蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体である。
【0024】
より好ましくは、前記式(1)において、R1が、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、X1及びX2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、X3は、ハロゲン原子を示し、X4は、水素原子を示し、且つX1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示す蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体である。
【0025】
なお、本発明において、炭素数1〜5のアルキル基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、シクロブチルメチル基、1−エチルプロピル基などである。
【0026】
本発明において、炭素数1〜5の置換アルキル基とは、ハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、例えば、フロオロメチル、フロオロエチル、フロオロプロピル基などである。
【0027】
本発明において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0028】
そして、本発明において、蛍光基とは、例えば、ローダミン、NBD、DPS、fluorescenin、Physyl、ABD、DBPM、NAM、SBD、DDB、DTBN、Fluoral−P、MDB、BHBT、DMEQ、DMEQ、OMB及びこれらの塩である。これらの中でも、ローダミンやNBDを好適に用いることができる。
なお、蛍光基は、前記したように、前記式(1)中のX1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つに結合するものであり、その結合位置は、蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を生成する際の保護基の付け方等により任意に変更することができる。
【0029】
例えば、下記反応式(2)の下式に表される本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、下記反応式(2)の上式に表されるN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物に、例えば、ローダミンなどの蛍光基を導入することで得ることができる。
【0030】
【化3】

【0031】
また例えば、下記反応式(3)の下式に表される本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、下記反応式(3)の上式に表されるN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物に、例えば、NBDなどの蛍光基を導入することで得ることができる。
【0032】
【化4】

【0033】
以上に説明した本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、下記式(4)で表される化合物がPBRリガンドとして機能するため、PBRの高密度化を伴う疾患、例えば、アルツハイマー型痴呆、前頭側頭葉型痴呆、瀰漫性レビー小体病、血管障害、パーキンソン病関連疾患、大脳基底核変性症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多系統萎縮症、多発性硬化症、てんかん、髄膜炎、脳炎、末梢神経損傷、喉頭がん、乳癌、卵巣腫瘍、肝癌、大腸がん、胃癌、副腎腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、繊維芽腫、神経肉腫、肺がん、子宮癌、リンパ腫、前立腺癌、メラノーマ、精巣腫瘍、アストロサイトーマ又は異所性ホルモン産生腫瘍に対して高い親和性を有する。
また、X1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが蛍光基であるため、蛍光基を励起させることによって、例えば、前記疾患の関連部位の組織片などを容易に蛍光染色し、観察することができる。
そのため、蛍光標識プローブとして用いることができるため、PBRの増減を伴う前記疾患の実験や研究、早期診断、生検等に用いることができる。
【0034】
【化5】

【0035】
なお、本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体及び蛍光標識プローブは、必要に応じて、生理食塩水に溶解したり、常用の増量剤、結合剤、pH調節剤、溶解剤などを添加したりすることができる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明に係る蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体の実施例について説明する。
なお、以下に説明する実施例で用いたジメチルホルムアミドはシグマ−アルドリッチ社製のものを用いた。トリエチルアミン、ジクロロメタン、メタノール、ヘキサン、及びジエチルエーテルは和光純薬社製のものを用いた。CDCl3は東京化成社製のものを用いた。また、NBD−Clはシグマ−アルドリッチ社製のものを用い、ローダミンはAcros Organics社製のものを用いた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーに用いたシリカゲルカラムは、ガラス管にメルク社製のシリカゲルを充填したものを用いた。
【0037】
[実施例1]
予め合成し、準備しておいた下記式(5)で表されるN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物(261mg、0.45mmol)に、ジメチルホルムアミド(2mL)と、トリエチルアミン(0.31mL=2.2mmol≒5等量)を加え、室温で約5分間撹拌した。
均一な溶液になったことを確認してから、下記式(6)で表されるNBD−Cl(114mg≒0.3等量)を加え、アルミホイルで遮光した状態で室温にて終夜撹拌し、反応混合物を得た。
【0038】
【化6】

【0039】
【化7】

【0040】
得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンを溶出溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。なお、精製の際にはグラジエント条件としてメタノールを0〜1%まで変化させた。
得られた褐色のオイル状の精製物をヘキサン及びジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥することによって下記式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を得た。収量は140.3mg、収率は50.8%であった。
また、得られた蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を1H−NMR(300MHz,CDCl3)を用いて分析した。
1H-NMR(300MHz, CDCl3): 1.23(2H,m), 1.72(2H,m), 1.86(2H,m), 1.98(3H,s), 3.51-3.72(4H,m), 3.63(3H,s), 4.75(1H,d,J=14.3Hz), 5.12(1H,d,J=14.3Hz), 6.19(1H,br), 6.62-6.71(3H,m), 6.78-6.95(5H,m), 7.11(1H,t,J=7.5Hz), 7.28-7.33(2H,m), 7.61(1H,br), 8.47(1H,d,J=8.7Hz)
【0041】
【化8】

【0042】
[実施例2]
下記式(8)で表されるN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物(266mg、0.46mmol)に、ジメチルホルムアミド(2mL)と、トリエチルアミン(0.31mL=2.2mmol≒5等量)を加え、室温で約5分間撹拌した。
均一な溶液になったことを確認してから、下記式(9)で表されるNBD−Cl(114mg≒0.3等量)を加え、アルミホイルで遮光した状態で室温にて終夜撹拌し、反応混合物を得た。
【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンを溶出溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。なお、精製の際にはグラジエント条件としてメタノールを0〜1%まで変化させた。
得られた褐色のオイル状の精製物をヘキサン及びジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥することによって下記式(10)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を得た。収量は164.5mg、収率60.6%であった。
得られた蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を1H−NMR(300MHz,CDCl3)を用いて分析した。
1H-NMR(300MHz, CDCl3): 1.27(2H,m), 1.51(2H,m), 1.66(2H,m), 1.82(2H,m), 2.02(3H,s), 3.64(3H,s), 4.67(1H,d,J=14.3Hz), 5.17(1H,d,J=14.3Hz), 6.17(1H,d,J=8.6Hz), 6.62-6.91(8H,m), 7.11(1H,t,J=7.2Hz), 7.27-7.33(2H,m), 7.63(1H,br), 8.46(1H,d,J=8.6Hz)
【0046】
【化11】

【0047】
[実施例3]
予め合成し、準備しておいた下記式(11)で表されるN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物(224mg、0.386mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、トリエチルアミン(10等量、0.54mL)を加えた。そして、氷冷下で、下記式(12)で表されるLissamine-Rhodamine-Sulfonyl chloride(1.2等量、267mg)を加え、室温で終夜反応させた。
【0048】
【化12】

【0049】
【化13】

【0050】
薄層クロマトグラフィー(TLC)でN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物の消失を確認した後、得られた反応混合物を、トリエチルアミン0.1%含有させたジクロロメタンを溶出溶液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的のフラクション部分を濃縮し、粗結晶を得た。なお、精製の際にはグラジエント条件としてメタノールを0〜1%まで変化させた。
得られた粗結晶を、n−ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥することによって下記式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を得た。収量は333mg、収率は85.6%であった。
得られた蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を1H−NMR(300MHz,CDCl3)を用いて分析した。
1H-NMR(300MHz, CDCl3): 1.28(12H, t, J=7.0Hz), 1.40(6H,t,J=7.3Hz), 1.99(3H,s), 3.08-3.17(6H,m), 3.52-3.58(6H,m), 3.63(3H,s), 4.73(1H,d,J=14.3Hz), 5.03(1H,d,J=14.3Hz), 6.13(1H,t,J=5.9Hz), 6.62-6.70(4H,m), 6.76-6.84(8H,m), 6.85-6.91(1H,m), 7.10(1H,t,J=7.3Hz), 7.19(1H,d,J=8.1Hz), 7.27-7.32(3H,m), 8.01(1H,dd,J=1.8, 8.1Hz), 8.83(1H,d,J=1.8Hz)(calcd for 59H)
【0051】
【化14】

【0052】
[実施例4]
予め合成し、準備しておいた下記式(14)で表されるN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物(251mg、0.432mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、トリエチルアミン(10等量、0.54mL)を加えた。そして、氷冷下で、下記式(15)で表されるLissamine-Rhodamine-Sulfonyl chloride(1.2等量、267mg)を加え、室温で終夜反応させた。
【0053】
【化15】

【0054】
【化16】

【0055】
薄層クロマトグラフィー(TLC)でN−(2−ベンジルオキシ−5−アルコキシベンジル)−N−(フェノキシフェニル)アシルアミド化合物の消失を確認した後、得られた反応混合物を、トリエチルアミン0.1%含有させたジクロロメタンを溶出溶液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的のフラクション部分を濃縮し、粗結晶を得た。なお、精製の際にはグラジエント条件としてメタノールを0〜1%まで変化させた。
得られた粗結晶を、n−ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥することによって下記式(16)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を得た。収量は388mg、収率は88.0%であった。
得られた蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を1H−NMR(300MHz,CDCl3)を用いて分析した。
1H-NMR(300MHz, CDCl3): 1.29(12H,t,J=7.1Hz), 1.37-1.44(4H,m), 1.41-1.61(4H,m), 1.98(3H,s), 3.04-3.15(6H,m), 3.44-3.56(6H,m), 3.64(3H,s), 4.70(1H,d,J=14.3Hz), 5.04(1H,d,J=14.7Hz), 5.52(1H,t,J=5.9Hz), 6.66(4H,d,J=2.2Hz), 6.78-6.96(9H,m), 7.10(1H,t,J=7.2Hz), 7.20(1H,d,J=7.9Hz), 7.27-7.32(3H,m), 7.99(1H,dd,J=1.56 ,8.0Hz), 8.83(1H,d,J=1.7Hz)
(calcd for 61H)
【0056】
【化17】

【0057】
[PBRに対する親和性]
Zhang, M.-RらのNucl. Med. Biol. 2002, 29, 469.及びJ. Med. Chem. 2004, 47, 2228に記載の従来法により、インビトロにおけるPBRに対する親和性を調べた。
エーテル麻酔下で雄Wistarラット(150−170g,6匹)を屠殺後、脳を素早く取り出し、ドライアイス中で凍結させた。Cryostat microtome(MICROM HM560, Carl Zeise GmbH, Germany)を使い、ラットの脳の矢状型切片を36枚作製した。予めこれらの切片を50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中にて30分間インキュベーションを行った。
その後、これらの切片を取り出し、下記の種々の試薬を含めた50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中に個別に入れ、それぞれ30分間インキュベーションを行った。
【0058】
試薬:
1. [11C]DAA1106(1 nM)
2. [11C]DAA1106(1 nM)+DAA1106(1 μM)
3. [11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(0.1 nM)
4. [11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 nM)
5. [11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 nM)
6. [11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(100 nM)
7. [11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(500 nM)
8. [11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 μM)
9. [11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(5 μM)
10.[11C]DAA1106(1 nM)+式(7)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 μM)
11.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(0.1 nM)
12.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 nM)
13.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 nM)
14.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(100 nM)
15.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(500 nM)
16.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 μM)
17.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(5 μM)
18.[11C]DAA1106(1 nM)+式(10)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 μM)
19.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(0.1 nM)
20.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 nM)
21.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 nM)
22.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(100 nM)
23.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(500 nM)
24.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 μM)
25.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(5 μM)
26.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(8.25 μM)
27.[11C]DAA1106(1 nM)+式(13)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 μM)
28.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(0.1 nM)
29.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 nM)
30.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 nM)
31.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(100 nM)
32.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(500 nM)
33.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1 μM)
34.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(5 μM)
35.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(8.25 μM)
36.[11C]DAA1106(1 nM)+式(16)の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(10 μM)
【0059】
2回目のインキュベーションが終了した後、それぞれ切片を取り出し、氷冷した50mM Tris-HCl buffer(pH7.4)中に2分間2回浸した。そして、これらの切片を氷冷した蒸留水に浸した後、乾燥した。これらの切片をイメージングプレート(BAS-MS2025,富士写真フィルム社製)に1時間コンタクトした後、FUJIX BAS-1800II bioimaging analyzer(富士写真フィルム工業社製)にて切片上の放射能分布を調べた。関心領域(ROI)を小脳と定め、放射能をPhoto-Stimulated-Luminescence(PSL)/mm2regionに表した。[11C]DAA1106(1μM)存在下における式(7)、式(10)、式(13)、式(16)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体の結合量を非特異結合とし、それぞれの結合量から差し引くことにより[11C]DAA1106の特異結合を求め、プロビット法によってこれらの薬物のIC50(μM)を算出した。その結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1に示すように、式(7)、式(10)、式(13)及び式(16)で表されるいずれの蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体もIC50はμMオーダーであることが分かった。
また、ローダミンを結合させた蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(式(13)、式(16))よりも、NBDを結合させた蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(式(7)、式(10))の方が、PBRへの親和性がやや高いことも分かった。
【0062】
[蛍光イメージング(1)]
前記と同様にしてWistarラットの脳の矢状型切片を作製し、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を用いて、PBR密度が非常に高い脳室の蛍光イメージングを試みた。
脳室の蛍光イメージングは、以下のようにして行った。予めこれらの切片を50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中にて30分間インキュベーションを行った。
その後、これらの切片を取り出し、50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中に式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)を加えて調製した試薬と、50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中に式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)及びPK11195(10μM)を加えて調製した試薬と、50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中にローダミン(10μm)を加えて調製した試薬とを個別に用意し、それぞれの試薬の中に切片を入れて30分間インキュベーションを行った。その後、蛍光顕微鏡(オリンパス社製FLUOROVIEW FV1000)を用いて撮影し、蛍光イメージングを行った。
【0063】
図1は、脳室の蛍光イメージングによって得られた写真であって、(a)は、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)を用いた脳室の蛍光イメージングの写真であり、(b)は、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)及びPK11195(10μM)を用いた脳室の蛍光イメージングの写真であり、(c)は、ローダミン(10μm)のみを用いた脳室の蛍光イメージングの写真である。
【0064】
図1(a)に示すように、PBR密度が非常に高いラットの脳室においては、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体が多く集積する部位を確認することができる。他方、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、脳室以外の領域には集積しないことが分かった。
【0065】
図1(b)に示すように、PBR特異的なリガンドであるPK11195を大量に添加することによって、脳室における式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体の取り込みがほぼ消失することが分かった。
また、図1(c)に示すように、ローダミンのみを用いた場合では、脳室を特異的に描出することができなかった。
これらから、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、PBRに特異的な蛍光標識プローブとして機能することが分かった。
【0066】
[蛍光イメージング(2)]
[蛍光イメージング(1)]と同様にしてWistarラットの脳の矢状型切片を作製し、式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を用いて、PBR密度が非常に高い脳室の蛍光イメージングを試みた。
脳室の蛍光イメージングは、以下のようにして行った。予めこれらの切片を50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中にて30分間インキュベーションを行った。
その後、これらの切片を取り出し、50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中に式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)を加えて調製した試薬と、50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中に式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)及びPK11195(10μM)を加えて調製した試薬と、50mM Tris-HCl buffer(pH7.4、室温)中にローダミン(10μm)を加えて調製した試薬とを個別に用意し、それぞれの試薬の中に切片を入れて30分間インキュベーションを行った。その後、蛍光顕微鏡(オリンパス社製FLUOROVIEW FV1000)を用いて撮影し、蛍光イメージングを行った。
【0067】
図示はしないが、式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体も、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体と同様の結果を確認することができた。すなわち、図1(a)と同様に、PBR密度が非常に高いラットの脳室において、当該式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体が多く集積する部位を確認することができた。他方、式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、脳室以外の領域には集積しないことも確認することができた。
【0068】
また、図1(b)と同様に、PBR特異的なリガンドであるPK11195を大量に添加することによって、脳室における式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体の取り込みがほぼ消失することを確認することができた。
さらに、図1(c)と同様に、ローダミンのみを用いた場合では、脳室を特異的に描出することができないことを確認することができた。
これらから、式(7)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体は、PBRに特異的な蛍光標識プローブとして機能することが分かった。
【0069】
以上、本発明の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体及び蛍光標識プローブについて、発明を実施するための最良の形態及び実施例により詳細に説明したが、本発明の趣旨はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】脳室の蛍光イメージングによって得られた写真であって、(a)は、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)を用いた脳室の蛍光イメージングの写真であり、(b)は、式(13)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体(1μM)及びPK11195(10μM)を用いた脳室の蛍光イメージングの写真であり、(c)は、ローダミン(10μm)のみを用いた脳室の蛍光イメージングの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体。
【化1】

(但し、前記式(1)中、
1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、
1、X2、X3及びX4は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェノキシ基、トリフルオロメチル基、カルバモイル基、アミノスルホニル基、ハロゲン原子を示し、且つ
1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示す。)
【請求項2】
前記式(1)において、
1が、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、
1及びX2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、且つ
1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示す請求項1に記載の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体。
【請求項3】
前記式(1)において、
1が、置換若しくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基を示し、
1及びX2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、
3は、ハロゲン原子を示し、
4は、水素原子を示し、且つ
1、X2、X3及びX4のうちの少なくとも一つが炭素数1〜10のジアルコキシ基或いはアルコキシアミノ基と結合した蛍光基を示す請求項1に記載の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光標識フェニルオキシアニリン誘導体を有効成分とする、アルツハイマー型痴呆、前頭側頭葉型痴呆、瀰漫性レビー小体病、血管障害、パーキンソン病関連疾患、大脳基底核変性症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多系統萎縮症、多発性硬化症、てんかん、髄膜炎、脳炎、末梢神経損傷、喉頭がん、乳癌、卵巣腫瘍、肝癌、大腸がん、胃癌、副腎腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、繊維芽腫、神経肉腫、肺がん、子宮癌、リンパ腫、前立腺癌、メラノーマ、精巣腫瘍、アストロサイトーマ又は異所性ホルモン産生腫瘍用の蛍光標識プローブ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−298725(P2009−298725A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154533(P2008−154533)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【Fターム(参考)】