説明

蛍光標識及び可溶性消光体を使用する標的変異体の検出

選択された潜在的変異体から標的核酸変異体の存在又は非存在を検出するための方法、反応混合物、及びキットが記述されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択された潜在的変異体から標的核酸変異体の存在又は非存在を検出するための方法、反応混合物、及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸増幅技術の開発は、遺伝子分析及び遺伝子工学科学に革命をもたらした。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、選択されたプライマー核酸を使用して特定の標的核酸を増幅して、例えば、診断への応用、法医学への応用、又は他の応用の一部として標的核酸の検出を容易にするために一般的に使用されている。プライマーは、典型的には、選択された標的領域を包含するために互いに向かって伸長するように設計されており、対で機能する。典型的なPCRサイクルには、その間に二本鎖核酸が互いに分離する高温(例えば、85℃以上)変性ステップ、その間にプライマーが、分離した一本鎖にハイブリダイズする低温(例えば、45〜65℃)アニーリングステップ、及びその間に核酸ポリメラーゼがプライマーを伸長する中温(例えば、約72℃)伸長ステップが含まれる。二温度熱サイクル手順も使用される。これらには、一般的に、高温変性ステップ及び低温アニーリング−伸長ステップが含まれる。
【0003】
PCRについては、例えば、1987年7月28日にMullisらに交付された「PROCESS FOR AMPLIFYING, DETECTING, AND/OR-CLONING NUCLEIC ACID SEQUENCES」と題する米国特許第4,683,195号、1987年7月28日にMullisに交付された「PROCESS FOR AMPLIFYING NUCLEIC ACID SEQUENCES」と題する米国特許第4,683,202号、及び1990年10月23日にMullisらに交付された「PROCESS FOR AMPLIFYING, DETECTING, AND/OR CLONING NUCLEIC ACID SEQUENCES USING A THERMOSTABLE ENZYME」と題する米国特許第4,965,188号を含む多数の様々な米国特許にも記述されている。更に、PCR関連の技術に関しては、Innis et al. (Eds.) PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Elsevier Science & Technology Books (1990)、Innis et al. (Eds.) PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press (1999)、Edwards et al., Real-Time PCR, Taylor & Francis, Inc. (2004)、及びRapley et al., Molecular Analysis and Genome Discovery, John Wiley & Sons, Inc. (2004)等の種々の他の出版物にも記述されている。
【0004】
PCRの多数の変法、並びに他の核酸増幅技術も開発されている。それらの例には、以下のものが含まれる:逆転写PCR(RT−PCR)(Joyce (2002) “Quantitative RT-PCR. A review of current methodologies” Methods Mol Biol. 193:83-92及びEmrich et al. (2002) “Quantitative detection of telomerase components by real-time, online RT-PCR analysis with the LightCycler,” Methods Mol Biol. 191:99-108)、リガーゼ連鎖反応(Lee (1996) “Ligase chain reaction,” Biologicals 24(3):197-9)、ポリメラーゼリガーゼ連鎖反応(Barany et al. (1991) “The ligase chain reaction in a PCR world,” PCR Methods Appl. 1(1):5-16)、ギャップ−LCR(Abravaya et al. (1995) “Detection of point mutations with a modified ligase chain reaction (Gap-LCR),” Nucleic Acids Res. 23(4):675-82)、鎖置換増幅(Walker (1993) “Empirical aspects of strand displacement amplification,” PCR Methods Appl. 3(1):1-6)、連鎖線形増幅(LLA、linked linear amplification)(Killeen et al. (2003) “Linked linear amplification for simultaneous analysis of the two most common hemochromatosis mutations,” Clin Chem. 49(7):1050-7)、ローリングサークル型増幅(RCA)(Nilsson et al. (2002) “Real-time monitoring of rolling-circle amplification using a modified molecular beacon design,” Nucleic Acids Res. 30(14):e66)、転写媒介性増幅(TMA、transcription-mediated amplification)(Emery et al. (2000) “Evaluation of performance of the Gen-Probe human immunodeficiency virus type 1 viral load assay using primary subtype A, C, and D isolates from Kenya,” J Clin Microbiol 38:2688-2695)、核酸配列に基づく増幅(NASBA、nucleic-acid-sequence-based amplification )(Mani et al. (1999) “Plasma RNA viral load as measured by the branched DNA and nucleic acid sequence-based amplification assays of HIV-1,” J Acquir Immune Defic Syndr 22:208-209及びBerndt et al. (2000) “Comparison between a nucleic acid sequence-based amplification and branched DNA test for quantifying HIV RNA load in blood plasma,” J Virol Methods 89:177-181)、及び自家持続配列複製(3SR)(Mueller et al. (1997) “Self-sustained sequence replication (3SR): an alternative to PCR,” Histochem Cell Biol 108:431-7)。
【0005】
増幅産物を検出するための種々の戦略が開発されており、それらには、特に5’ヌクレアーゼプローブ、分子ビーコン、又はSCORPION(登録商標)プライマーが関与する戦略が含まれる。例えば、5’ヌクレアーゼアッセイでは、典型的には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)中に、ある種のDNAポリメラーゼの5’から3’へのヌクレアーゼ活性を使用して、5’ヌクレアーゼプローブが切断される。これらアッセイは、一般的に、増幅産物を複数ステップで取り扱うことに頼ることなく、標的を増幅すること及び標識を検出のために放出することの両方を可能にする。ある種の5’ヌクレアーゼプローブには、蛍光リポーター染料及び消光体染料等の標識化部分が含まれる。プローブが完全である場合、リポーター染料が消光体染料と接近していることにより、その結果として一般的にリポーター蛍光の抑制がもたらされる。しかしながら、多くの場合、完全なプローブは、残留蛍光又は基線蛍光をある程度は発生させる。5’ヌクレアーゼ反応中にプローブが切断されると、リポーター染料及び消光体染料が互いから分離され、リポーターからの蛍光が検出可能に増加する結果となる。PCR産物又は増幅産物の蓄積は、典型的には、この蛍光増加をリアルタイムでモニターすることにより間接的に検出される。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、標的核酸が少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある場合に、試料中の標的核酸変異体の存在又は非存在を検出する方法を提供する。幾つかの実施形態では、本方法は、
(a)第1の標識を含む少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで第1の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、標的核酸の少なくともサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で標識オリゴヌクレオチドが標的核酸とハイブリダイズし、
(b)少なくとも1つの可溶性発光変更物質を準備すること、ここで変更物質が、標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAと非共有結合で結合する際に、可溶性発光変更物質の存在下で標識オリゴヌクレオチドが一本鎖である時の第1の標識の発光と比較して、第1の標識からの発光を変更し、
(c)選択された条件下での増幅反応において標識オリゴヌクレオチド及び可溶性発光変更物質の存在下で試料中の標的核酸を増幅すること、そのため標識オリゴヌクレオチドが伸長されて、標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている少なくとも第1の標識増幅産物(又はテンプレートの変異体が複数存在する場合、2つ又は3つ以上の異なる標識増幅産物)が産生され、第1の標識増幅産物が、少なくとも2つの標的核酸変異体のうちどれが増幅されるか応じて、異なる融解温度を有し、
(d)温度を変化させながら標識のシグナルをモニターすることにより、増幅産物の融解温度を検出すること、及び
(e)融解温度を、少なくとも2つの標的変異体のうちの1つの存在と相関させ、それにより試料中の標的核酸変異体の存在又は非存在を検出することを含む。
【0007】
本発明による好ましい実施形態では、本方法は、
第2の標識を含む第2の標識オリゴヌクレオチドを準備することを更に含み、第2の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、第2の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある標的核酸の少なくとも第2のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で第2の標識オリゴヌクレオチドが第2の標的核酸とハイブリダイズし、第2の標識からのシグナルを、第1の標識のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートする際に、第2の標識オリゴヌクレオチドが、可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の第2の標識の発光と比較して、第2の標識からの発光を変更し、
試料が、標的核酸の少なくとも1つの(及び随意に、2つ又は3つ以上の)変異体を含み、増幅ステップ(c)が、増幅反応において第2の標識オリゴヌクレオチドの存在下で試料中の核酸を増幅することを更に含み、そのため第2の標識オリゴヌクレオチドが伸長されて、第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている第2の標識増幅産物(又は、テンプレートの変異体が複数存在する場合は、2つ又は3つ以上の異なる標識増幅産物)が産生され、第2の標識増幅産物が、少なくとも2つの標的核酸変異体のうちどれが増幅されるかに応じて、異なる融解温度を有し、
検出ステップ(d)が、温度を変化させながら第2の標識のシグナルをモニターすることにより、第2の標識増幅産物の融解温度を検出することを更に含み、
相関ステップ(e)が、第2の標識増幅産物の融解温度を、第2の標的核酸変異体の存在と相関させることを更に含む。
【0008】
本発明による更なる好ましい実施形態では、本方法は、
第3の標識を含む第3の標識オリゴヌクレオチドを準備することを更に含み、第3の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、第3の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある標的核酸の少なくとも第3のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で第3の標識オリゴヌクレオチドが第3の標的核酸とハイブリダイズし、第3の標識からのシグナルを、第1及び第2の標識のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、第3の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートする際に、第3の標識オリゴヌクレオチドが可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の第3の標識の発光と比較して、第3の標識からの発光を変更し、
試料が、標的核酸の少なくとも1つの(及び随意に、2つ又は3つ以上の)変異体を含み、増幅ステップ(c)が、増幅反応において第3の標識オリゴヌクレオチドの存在下で試料中の核酸を増幅することを更に含み、そのため第3の標識オリゴヌクレオチドが伸長されて、第3の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている第3の標識増幅産物(又は、テンプレートの変異体が複数存在する場合は、2つ又は3つ以上の異なる標識増幅産物)が産生され、第3の標識増幅産物が、少なくとも2つの標的核酸変異体のうちどれが増幅されるかに応じて、異なる融解温度を有し、
検出ステップ(d)が、温度を変化させながら第3の標識のシグナルをモニターすることにより、第3の標識増幅産物の融解温度を検出することを更に含み、
相関ステップ(e)が、第3の標識増幅産物の融解温度を、第3の標的核酸変異体の存在と相関させることを更に含む。
【0009】
本発明によると、第2の標識増幅産物は、第1の標識増幅産物と比較して異なる標的核酸変異体配列を含むことが好ましい。
【0010】
更なる好ましい実施形態では、変更物質は、ジアジン染料又はチアジン染料である。
【0011】
他の好ましい実施形態では、変更物質は、アゾカルミン染料、フェナジン染料、オキサジン染料、ジエチルサフラニンアゾジメチルアニリンクロリド、メチレンブルー、メチレングリーン、チオニン、1,9−ジメチルメチレンブルー、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO、ニューメチレンブルー、メチレンバイオレットベルントゼン(methylene violet bernthsen)、アズールA、アズールB、及びアズールCからなる群から選択される。
【0012】
幾つかの好ましい実施形態では、第1の標識は蛍光染料を含む。
【0013】
幾つかの好ましい実施形態では、第1の標識は、ローダミン染料、フルオレッセイン染料、及びシアニン染料からなる群から選択される。
【0014】
幾つかの好ましい実施形態では、第2の標識は、ローダミン染料、フルオレッセイン染料、及びシアニン染料からなる群から選択される。
【0015】
幾つかの好ましい実施形態では、標的核酸は病原体核酸である。
【0016】
幾つかの好ましい実施形態では、標的核酸はウイルス核酸である。
【0017】
幾つかの好ましい実施形態では、少なくとも2つの変異体の増幅産物の融解温度は、少なくとも5℃異なる。
【0018】
本発明は、本明細書に記述されているような反応混合物も提供する。幾つかの実施形態では、反応混合物は、
標的核酸と、
第1の標識を含む少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドであり、第1の標識が少なくとも1つの発光部分を含み、標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、標的核酸の少なくともサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で標識オリゴヌクレオチドが標的核酸とハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチドと、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質であり、変更物質が、標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAと結合する際に、可溶性発光変更物質の存在下で標識オリゴヌクレオチドが一本鎖である時の第1の標識の発光と比較して、第1の標識からの発光を変更する可溶性発光変更物質とを含み、
長さが100ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドが全て標識される。
【0019】
本発明は、
標的核酸と、
第1の標識を含む少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドであり、第1の標識が少なくとも1つの発光部分を含み、標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、標的核酸の少なくともサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で標識オリゴヌクレオチドが標的核酸とハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチドと、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質であり、変更物質が、標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAと結合する際に、可溶性発光変更物質の存在下で標識オリゴヌクレオチドが一本鎖である時の第1の標識の発光と比較して、第1の標識からの発光を変更する可溶性発光変更物質と、
一本鎖又は二本鎖の第2の増幅産物ポリヌクレオチド(又はテンプレートの変異体が複数存在する場合は、2つ又は3つ以上の異なる標識増幅産物)であり、第1の増幅産物ポリヌクレオチドが、標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む第2の増幅産物ポリヌクレオチドとを含む反応混合物も提供する。
【0020】
幾つかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは全て標識される。
【0021】
幾つかの好ましい実施形態では、第1の標識は蛍光染料を含む。
【0022】
幾つかの実施形態では、反応混合物は、緩衝液、塩、金属イオン、ヌクレオチド組み込み生体触媒、又はデオキシリボヌクレオチドの1つ又は複数を更に含む。
【0023】
幾つかの実施形態では、変更物質は、ジアジン染料又はチアジン染料である。
【0024】
幾つかの実施形態では、変更物質は、アゾカルミン染料、フェナジン染料、オキサジン染料、ジエチルサフラニンアゾジメチルアニリンクロリド、メチレンブルー、メチレングリーン、チオニン、1,9−ジメチルメチレンブルー、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO、ニューメチレンブルー、メチレンバイオレットベルントゼン、アズールA、アズールB、及びアズールCからなる群から選択される。
【0025】
幾つかの実施形態では、第1の標識は、ローダミン染料、フルオレッセイン染料、及びシアニン染料からなる群から選択される。
【0026】
幾つかの実施形態では、標的核酸は病原体核酸である。
【0027】
幾つかの実施形態では、標的核酸はウイルス核酸である。
【0028】
幾つかの実施形態では、反応混合物は、
第2の標識を含む第2の標識オリゴヌクレオチドを更に含み、第2の標識は、少なくとも1つの発光部分を含み、第2の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列は、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある標的核酸の少なくとも第2のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で第2の標識オリゴヌクレオチドが第2の標的核酸とハイブリダイズし、第2の標識からのシグナルを、第1の標識のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートする際に、第2の標識オリゴヌクレオチドが可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の第2の標識の発光と比較して、第2の標識からの発光を変更する。
【0029】
幾つかの実施形態では、反応混合物は、
第2の標識を含む第2の標識オリゴヌクレオチドであり、第2の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、第2の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある標的核酸の少なくとも第2のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で第2の標識オリゴヌクレオチドが第2の標的核酸とハイブリダイズし、第2の標識からのシグナルを、第1の標識のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートする際に、第2の標識オリゴヌクレオチドが可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の第2の標識の発光と比較して、第2の標識からの発光を変更する第2の標識オリゴヌクレオチドと、
一本鎖又は二本鎖の第2の増幅産物ポリヌクレオチド(又はテンプレートの変異体が複数存在する場合は、2つ又は3つ以上の異なる標識増幅産物)であり、第1の増幅産物ポリヌクレオチドが、第2の標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む第2の増幅産物ポリヌクレオチドとを更に含む。
【0030】
第3、第4、第5等の標識オリゴヌクレオチド/標識増幅産物も、必要な又は所望の標識オリゴヌクレオチドの数に応じて、及び適切なテンプレートの存在又は非存在に応じて存在してよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、HPV16テンプレートに対するHPV16プライマー、HPV45テンプレートに対するHPV45プライマー、又は両セットのプライマー及びテンプレートの混合物を使用して産生された増幅産物の融解曲線を例示する図である。
【図2】図2は、HPV31テンプレートに対するHPV31プライマー、HPV39テンプレートに対するHPV39プライマー、又は両セットのプライマー及びテンプレートの混合物を使用して産生された増幅産物の融解曲線を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
「増幅産物」は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、又は他の核酸増幅技術等の核酸増幅反応で生じるような、核酸分子の増幅により製作される分子を指す。 典型的には、増幅産物は、選択された核酸(例えば、テンプレート又は標的核酸)、その部分(例えば、標的核酸の少なくとも50、100、200、500、1000塩基対以上)の複製であるか、又はそれに相補的である。
【0033】
「増幅反応」は、1つ又は複数の標的核酸配列又はその相補体の複製に関与する反応を指す。例示的な増幅反応には、特にPCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)が含まれる。
【0034】
核酸の「相補体」は、例えば「ワトソン−クリック塩基対」として、その核酸の少なくともサブ配列と逆平行結合で結合又はハイブリダイズすることができる核酸断片を指す。逆平行結合は、分子内、例えば核酸内でのヘアピンループの形成であってもよく、又は2つ以上の一本鎖核酸が互いにハイブリダイズする場合等の分子間であってもよい。天然核酸に一般的には見出されないある種の塩基が、本明細書で参照されている核酸に含まれていてもよく、それらには、例えば、イノシン、7−デアザグアニン、及び下記で考察されているものが含まれる。相補性は完全である必要はなく、例えば、ポリヌクレオチドの安定した二本鎖は、不適正塩基対又は非対応塩基を含有していてもよく、そのため相補領域及び非相補領域が存在する。核酸技術の当業者であれば、例えば、相補性領域の長さ、相補性領域のヌクレオチドの塩基組成及び配列、イオン強度、及び不適正塩基対の出現率を含む多くの変数を経験的に考慮することにより、二本鎖の安定性を決定することができる。
【0035】
「ジアジン染料」は、炭素原子の2つが窒素原子に置換されたベンゼン環を含有する有機化学物質化合物の種類のいずれかを指す。例示的なジアジン染料には、アゾカルミン染料、フェナジン染料、オキサジン染料、及びジエチルサフラニンアゾジメチルアニリンクロリド(ヤーヌスグリーンB又はジアジングリーン5)が含まれる。
【0036】
核酸は、核酸対の相補性一本鎖が二本鎖核酸配列を生じさせる場合、「ハイブリダイズ」するという。ハイブリダイゼーションは、水素結合、溶媒排除、及び塩基の積み重ねを含む、様々な十分に特徴付けられている力により生じる。核酸ハイブリダイゼーションの詳細な指針は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes、第I部、第2章、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」、Elsevier (1993)に見出される。
【0037】
「標識」又は「標識化部分」は、ある分子に結合された(共有結合又は非共有結合で)部分又は結合可能な部分を指し、該部分は、該分子関する情報(例えば、該分子に関する記述的、識別的情報等)、又は該標識分子が相互作用(例えば、ハイブリダイズ等)する別の分子に関する情報を提供するか又は提供可能である。例示的な標識には、蛍光標識(例えば、消光体又は吸収体を含む)、非蛍光標識、発色標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、質量修飾基、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、及び酵素等(例えば、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ等を含む)が含まれる。更なる例では、蛍光標識には、フルオレセインファミリーの染料等の負に荷電した染料、又はローダミンファミリーの染料等の電荷が中性の染料、又はシアニンファミリーの染料等の正に荷電した染料が含まれていてもよい。フルオレセインファミリーの染料には、例えば、FAM、HEX、TET、JOE、NAN、及びZOEが含まれる。ローダミンファミリーの染料には、例えば、テキサスレッド、ROX、R110、R6G、及びTAMRAが含まれる。FAM、HEX、TET、JOE、NAN、ZOE、ROX、R110、R6G、及びTAMRAは、例えばPerkin Elmer,Inc.社(ウェルズリー、マサチューセッツ州、米国)から商業的に入手可能であり、テキサスレッドは、例えばMolecular Probes,Inc.社(ユージーン、オレゴン州)から商業的に入手可能である。シアニンファミリーの染料には、例えば、Cy2、Cy3、Cy5、及びCy7が含まれ、例えば、Amersham Biosciences Corp.社(ピスカタウエイ、ニュージャージー州、米国)から商業的に入手可能である。更なる標識は、本明細書で参照されているか、又はそうでなければ当技術分野で公知である。
【0038】
「発光変更物質」は、混合物中の核酸と非共有結合で結合し(例えば、非共有結合で、例えば副溝又は主溝に結合、インターカレート、吸着する等)、該物質が放射源と接近している場合に、核酸に結合している放射源(例えば、蛍光部分)からの検出可能な放射の放出を変更する物質を指す。幾つかの実施形態では、例えば、本明細書に記述されているある発光変更物質は、発光変更物質がこれらオリゴヌクレオチドと接触した際に、そうでなければ少なくとも1つの発光部分(例えば、プライマー)を含むオリゴヌクレオチドから放射されるだろう発光(例えば、基線発光)を低減又は消光する。発光変更物質は、典型的には可溶性であり、これら実施形態では、「可溶性消光体」又は「可溶性発光変更物質」とも呼ばれる。加えて、任意の特定の理論により束縛されないが、発光変更物質は、一般的に、鎖長依存的な様式で核酸に結合し、一本鎖核酸と比較して二本鎖核酸に対してよりいっそう強く結合すると考えられる。すなわち、発光変更物質は、典型的には、比較的より短い核酸より長い核酸とより強い程度で結合する。従って、発光変更物質が、所与の標識核酸からの発光を変更する程度は、標識核酸が一本鎖か又は二本鎖かどうかに依存するだろう。例示的な発光変更物質には、種々のジアジン染料及びチアジン染料が含まれ、それらは本明細書に更に記述されている。
【0039】
「発光標識化部分」は、検出可能な放射又は光を発生するか、又は発生可能な標識化部分を指す。ある発光標識化部分は、例えば、蛍光、化学発光、又は生物発光等により、光を発生させる。
【0040】
「混合物」は、2つ以上の異なる成分の組合せを指す。「反応混合物」は、所与の反応に関与する及び/又は所与の反応を促進することができる分子を含む混合物を指す。例えば、増幅反応混合物は、一般的に、増幅反応を実施するのに必要な試薬を含有する溶液を含んでおり、典型的には、好適な緩衝液中にプライマー、核酸ポリメラーゼ、dNTP、及び二価金属陽イオンを含有している。反応混合物は、反応を実施するのに必要な試薬を全て含有している場合、「完全」と呼ばれ、必要な試薬のサブセットのみを含有している場合、「不完全」と呼ばれる。当業者であれば、反応成分は、簡便さのため、保管安定性のため、又は応用に応じた成分濃度の調整を可能にするために、各々が全成分のサブセットを含有する個別の溶液として日常的に保管されており、反応成分は、完全な反応混合物を生成するために反応前に混合されることを理解するだろう。また、反応成分は、乾燥形態、例えば錠剤に製剤されていてもよく、その後使用前に再構成されてもよい。
【0041】
「部分」又は「基」は、分子等の何らかのものが分割される部分(例えば、官能基又は置換基等)の1つを指す。例えば、プローブは、消光体部分又は標識化部分等を随意に含むオリゴヌクレオチドを考慮することができる。
【0042】
「核酸」という用語は、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボース核酸(DNA)ポリマーに対応し得るモノマーのポリマー、又はその類似体を指す。これには、RNA及びDNA等のヌクレオチドのポリマー、並びにその修飾形態、ペプチド核酸(PNA)、及びロックド核酸(LNA(商標))等が含まれる。ある応用では、核酸は、複数のモノマータイプ、例えばRNA及びDNAの両サブユニットを含むポリマーであってもよい。核酸は、例えば、染色体又は染色体セグメント、ベクター(例えば、発現ベクター)、発現カセット、裸の(naked)DNA又はRNAポリマー、増幅産物、オリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ等であってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。核酸は、例えば、一本鎖であってもよく、又は二本鎖であってもよい。別様の指定がない限り、特定の核酸配列は、明示的に示された任意の配列に加えて、随意に相補的配列を含むか又はコードする。
【0043】
核酸は、典型的には一本鎖又は二本鎖であり、一般的にはリン酸ジエステル結合を含有しているが、ある場合には、本明細書で概説されているように、例えば、限定ではないが以下のものを含む代替的骨格を含んでいてもよい核酸類似体が含まれる:ホスホラミド(Beaucage et al. (1993) Tetrahedron 49(10):1925及びその中の参考文献;Letsinger (1970) J. Org. Chem. 35:3800;Sprinzl et al. (1977) Eur. J. Biochem. 81:579;Letsinger et al. (1986) Nucl. Acids Res. 14: 3487;Sawai et al. (1984) Chem. Lett. 805;Letsinger et al. (1988) J. Am. Chem. Soc. 110:4470;及びPauwels et al. (1986) Chemica Scripta 26:1419)、ホスホロチオアート(Mag et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:1437及び米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオアート(Briu et al. (1989) J. Am. Chem. Soc. 111:2321)、ホスホロチオアー(Mag et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:1437及び米国特許第5,644,048号)、O−メチルホホロアミジット(O-methylphophoroamidite)結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Press (1992))、並びにペプチド核酸骨格及び結合(Egholm (1992) J. Am. Chem. Soc. 114:1895;Meier et al. (1992) Chem. Int. Ed. Engl. 31:1008;Nielsen (1993) Nature 365:566;及びCarlsson et al. (1996) Nature 380:207)。他の核酸類似体には、以下のものが含まれる:正に荷電された骨格を有するもの(Denpcy et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6097);非イオン性骨格(米国特許第5,386,023号、第5,637,684号、第5,602,240号、第5,216,141号、及び第4,469,863号;Angew (1991) Chem. Intl. Ed. English 30: 423;Letsinger et al. (1988) J. Am. Chem. Soc. 110:4470;Letsinger et al. (1994) Nucleoside & Nucleotide 13:1597;第2章及び第3章、ASC Symposium Series 580, “Carbohydrate Modifications in Antisense Research”, Ed. Y. S. Sanghvi and P. Dan Cook;Mesmaeker et al. (1994) Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4: 395;Jeffs et al. (1994) J. Biomolecular NMR 34:17;Tetrahedron Lett. 37:743 (1996))、並びに米国特許第5,235,033号及び第5,034,506号、並びに第5章及び第6章、ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y. S. Sanghvi and P. Dan Cookに記述されているものを含む非リボース骨格。1つ又は複数の炭素環式糖を含有する核酸も、核酸の定義内に含まれる(Jenkins et al. (1995) Chem. Soc. Rev. pp169-176)。幾つかの核酸類似体は、例えば、Rawls, C & E News Jun. 2, 1997 page 35にも記述されている。 リボース−リン酸骨格のこのような修飾を実施して、標識化部分等の追加的な部分の付加を容易にするか、又は生理的環境でそのような分子の安定性及び半減期を変更することができる。
【0044】
核酸に典型的に見出される天然ヘテロ環式塩基(例えば、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシル)に加えて、核酸類似体には、非天然ヘテロ環式塩基又は他の修飾塩基も含まれており、それらの多くは本明細書に記述されているか、又はそうでなければ参照されている。特に、多くの非天然塩基が、例えばSeela et al. (1991) Helv. Chim. Acta 74:1790、Grein et al. (1994) Bioorg. Med. Chem. Lett. 4:971-976、及びSeela et al. (1999) Helv. Chim. Acta 82:1640に記述されている。更なる例では、融解温度(Tm)変更物質として作用するヌクレオチドに使用されるある種の塩基が、随意に含まれる。例えば、これらの幾つかには、7−デアザプリン(例えば、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン等)、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、及びプロピニル−dN(例えば、プロピニル−dU、プロピニル−dC等)等が含まれる。例えば、1999年11月23日にSeelaに交付された「SYNTHESIS OF 7-DEAZA-2'-DEOXYGUANOSINE NUCLEOTIDES」と題する米国特許第5,990,303号を参照されたい。他の代表的なヘテロ環式塩基には以下のものが含まれる:例えば、ヒポキサンチン、イノシン、キサンチン;2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシン、及びキサンチンの8−アザ誘導体;アデニン、グアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシン、及びキサンチンの7−デアザ−8−アザ誘導体;6−アザシトシン;5−フルオロシトシン;5−クロロシトシン;5−ヨードシトシン;5−ブロモシトシン;5−メチルシトシン;5−プロピニルシトシン;5−ブロモビニルウラシル;5−フルオロウラシル;5−クロロウラシル;5−ヨードウラシル;5−ブロモウラシル;5−トリフルオロメチルウラシル;5−メトキシメチルウラシル;5−エチニルウラシル;及び5−プロピニルウラシル等。
【0045】
修飾塩基及びヌクレオチドの更なる例は、以下にも記述されている:例えば、1996年1月16日にFroehlerらに交付された「OLIGONUCLEOTIDES CONTAINING 5-PROPYNYL PYRIMIDINES」と題する米国特許第5,484,908号、1997年7月8日にFroehlerらに交付された「ENHANCED TRIPLE-HELIX AND DOUBLE-HELIX FORMATION WITH OLIGOMERS CONTAINING MODIFIED PYRIMIDINES」と題する米国特許第5,645,985号、1998年11月3日にFroehlerらに交付された「METHODS OF USING OLIGOMERS CONTAINING MODIFIED PYRIMIDINES」と題する米国特許第5,830,653号、2003年10月28日にKochkineら交付された「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO NUCLEOSIDES」と題する米国特許第6,639,059号、2001年10月16日にSkouvに交付された「ONE STEP SAMPLE PREPARATION AND DETECTION OF NUCLEIC ACIDS IN COMPLEX BIOLOGICAL SAMPLES」と題する米国特許第6,303,315号、及び2003年5月15日に公開されたKochkineらによる「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO NUCLEOSIDES」と題する米国特許出願公開第2003/0092905号。
【0046】
「ヌクレオチド組み込み生体触媒」は、核酸へのヌクレオチドの組み込みを触媒する触媒を指す。ヌクレオチド組み込み生体触媒は、典型的には酵素である。「酵素」は、他の化合物又は「基質」に関する化学反応の活性化エネルギーを低減するように作用する、タンパク質に基づく触媒である。「ヌクレオチド組み込み酵素」は、核酸へのヌクレオチドの組み込みを触媒する酵素を指す。例示的なヌクレオチド組み込み酵素には、例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、逆転写酵素、テロメラーゼ、及びポリヌクレオチドホスホリラーゼ等が含まれる。他の生体触媒は、DNAに基づいていてもよく(「DNAザイム」)、又はRNAに基づいていてもよい(「リボザイム」)。「熱安定酵素」は、熱に対して安定しており、耐熱性であり、選択された期間高温にさらされた際に十分な触媒能力を保持する酵素を指す。例えば、熱安定ポリメラーゼは、二本鎖核酸の変性を達成するのに必要な期間高温にさらされた際、その後のプライマー伸長反応を達成するために十分な活性を保持する。核酸変性に必要な加熱条件は、当技術分野で周知であり、以下に例示されている:1987年7月28日にMullisに交付された「PROCESS FOR AMPLIFYING NUCLEIC ACID SEQUENCES」と題する米国特許第4,683,202号、及び1987年7月28日にMullisらに交付された「PROCESS FOR AMPLIFYING, DETECTING, AND/OR-CLONING NUCLEIC ACID SEQUENCES」と題する米国特許第4,683,195号。本明細書で使用される場合、熱安定ポリメラーゼは、典型的には、PCR又は5’−ヌクレアーゼ反応等の温度サイクル反応に使用するに好適である。熱安定ポリメラーゼの場合、酵素活性は、テンプレート核酸に相補的なプライマー伸長産物を形成するのに適切な様式で、ヌクレオチドを重合させる触媒作用を指す。
【0047】
「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は、少なくとも2つの核酸モノマー単位(例えば、ヌクレオチド)、典型的には3つを超えるモノマー単位、及びより典型的には10個を超えるモノマー単位を含む核酸を指す。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、一般的に、オリゴヌクレオチドの最終的な機能又は使用を含む種々の要因に依存する。オリゴヌクレオチドは、随意に、これらに限定されないが以下のものを含む任意の好適な方法により調製される:既存配列又は天然配列の単離、DNA複製又は増幅、逆転写、適切な配列のクローニング及び制限消化、又はNarang et al. (1979) Meth. Enzymol. 68:90-99のホスホトジエステル法等の方法による直接的化学合成;Brown et al. (1979) Meth. Enzymol. 68:109-151のホスホトジエステル法;Beaucage et al. (1981) Tetrahedron Lett. 22:1859-1862のジエチルホスホラミダイト法;Matteucci et al. (1981) J. Am. Chem. Soc. 103:3185-3191のトリエステル法;自動合成法;又は1984年7月3日にCaruthersらに交付された「PROCESS FOR PREPARING POLYNUCLEOTIDES」と題する米国特許第4,458,066号の固体支持体法、又は当技術分野で公知の他の方法。
【0048】
「チアジン染料」は、中央環の炭素の2個が窒素原子及び硫黄原子と置換されている三環式芳香族融合環系を含有する有機化学物質化合物の種類のいずれかを指す。例示的なチアジン染料には、メチレンブルー、メチレングリーン、チオニン、1,9−ジメチルメチレンブルー、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO、ニューメチレンブルー、メチレンバイオレットベルントゼン、アズールA、アズールB、及びアズールCが含まれる。
【0049】
「テンプレート核酸」又は「標的核酸」という用語は、増幅、検出、又はそうでなければ分析しようとする核酸を指す。「標的核酸変異体」は、試料中に生じることか知られているか又は生じる可能性が考えられ、比較的少数のヌクレオチド変化を除いて、標的核酸配列に又は互いに類似しているか又はほとんど同一である核酸配列である。この変化は、挿入又は欠失として生じてもよく、又は点突然変異であってもよい。一例として、感染性ウイルス(例えば、HIV、HBV、HCV等)核酸の変異体は、標的核酸変異体である。幾つかの実施形態では、標的核酸配列における2つの変異体間の差異は、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のヌクレオチド位置で生じるに過ぎないだろう。本明細書でより詳細に記述されているように、幾つかの実施形態では、標的核酸は、プライマー配列が増幅条件下でハイブリダイズすることができ、その位置に隣接している(つまり、その結果生じる増幅産物内にあり、直接的に隣接している必要はない)配列の領域を有しており、配列変異は、プライマーが伸長されて増幅産物が形成される際に増幅産物が少なくとも1つの変異位置を含むように生じることになる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「Tm」という用語は、「融解温度」に関して使用される。融解温度は、ホモ二本鎖又はヘテロ二本鎖の二本鎖ポリヌクレオチド又は核酸塩基オリゴマー(例えば、ハイブリダイゼーション複合体)の集団の片方が、一本鎖に解離する温度である。二重鎖ポリヌクレオチドのTmを予測するには、塩基配列、並びにオリゴマー結合の構造的及び配列的な特徴及び性質を含む他の要因が考慮される。Tmを予測し、実験的に決定するための方法は、当技術分野で公知である。
【0051】
例えば、Tmは、伝統的には、二重鎖核酸分子を温度プログラムで制御して加熱し、二本鎖になっている2本の一本鎖の結合/解離の状態を、2本の鎖が完全に解離する温度に達するまでモニター及びプロットする融解曲線により決定される。Tmは、この融解曲線から読み取られる。
【0052】
或いは、二重鎖核酸分子をTmは2本の鎖が完全に解離する温度に加熱するアニーリング曲線により決定することができる。その後、温度プログラムで制御して温度を低下させ、二本鎖になっている2本の一本鎖の結合/解離の状態を、2本の鎖が完全にアニーリングする温度に達するまでモニター及びプロットする。Tmは、このアニーリング曲線から読み取られる。
【0053】
本発明が、Tmを決定するための任意の特定の方法に限定されるとは意図されていない。Tmを実験的に決定するための方法は、当技術分野で広く知られており、以下の様々な文献に記述されている:例えばLiew et al., "Genotyping of Single-Nucleotide Polymorphism by High-Resolution Melting of Small Amplicons," Clinical Chemistry 50(7):1156-1164 (2004);Reed and Wittwer "Sensitivity and Specificity of Single-Nucleotide Polymorphism Scanning by High-Resolution Melting Analysis," Clinical Chemistry 50(10):1748-1754 (2004);Zhou et al., "Closed-Tube Genotyping with Unlabeled Oligonucleotide Probes and a Saturating DNA Dye," Clinical Chemistry 50(8):1328-1335 (2004);及びZhou et al., "High-resolution DNA melting curve analysis to establish HLA genotypic identity," Tissue Antigens 64:156-164 (2004)。融解/アニーリング曲線分析装置は、様々な製造業者から商業的に入手可能である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、その最も広い意味で使用されており、分析にかけるあらゆる物質を指す。「試料」という用語は、典型的には、任意のタイプの生物由来物質、例えば動物又は植物から得られる任意のタイプの物質を指す。試料は、例えば血液又は血清等の任意の液体又は組織であってもよく、更にヒト血液又はヒト血清であってもよい。試料は、培養細胞若しくは培養組織、微生物(原核生物又は真核生物)の培養物、又は生体物質(生存しているか又はかつて生存していた)から産生若しくは導出される任意の画分若しくは産物であってもよい。随意に、試料は、精製されてもよく、部分的に精製されてもよく、未精製であってもよく、濃縮されてもよく、又は増幅されてもよい。試料が精製又は濃縮される場合、試料は、1つの成分、例えば核酸を主に含むことができる。より具体的には、例えば、精製又は増幅された試料は、全細胞RNA、全細胞mRNA、cDNA、cRNA、又はそれらに由来する増幅産物を含んでいてもよい。
【0055】
本発明の方法で使用される試料は、任意の供給源に由来してよく、限定されない。そのような試料には、これらに限定されないが以下を含む1つ又は複数の個体から単離されたある量の組織又は液体であってもよい:例えば、皮膚、血漿、血清、全血、血液製剤、髄液、唾液、腹水、リンパ液、房水又は硝子体液、関節液、尿、涙、血球、血液製剤、精液、精漿、膣液、肺浸出液、漿膜液、器官、気管支肺胞上皮洗浄液、腫瘍、パラフィン包埋組織等。また、試料は、これらに限定されないが、細胞培養培地、組換え細胞、細胞成分等の中での細胞増殖からその結果としてもたらされる馴化培地を含むin vitro細胞培養の成分及び構成要素を含んでいてもよい。
【0056】
I.序論
本出願は、標的核酸の存在又は非存在を効率的に検出するための方法を提供し、該標的核酸は多くの異なる変異体を有する場合がある。本発明の方法は、標的核酸変異体の検出を可能にし、変異体間の区別を可能にし、従ってどの標的核酸変異体が試料中に存在するかを決定することを可能にする。本発明の1つの利点は、リアルタイム増幅反応で典型的に使用されるような「プローブ」を使用せずに、比較的多くの潜在的標的核酸変異体を検出及び区別することができることである。従って、幾つかの実施形態では、本発明の方法、反応混合物、及びキットは、「プローブ」(つまり、ポリメラーゼにより伸長されないが、ハイブリダイズし、テンプレート又は増幅産物の存在又は非存在を検出するために使用される標識オリゴヌクレオチド)を含んでいない。
【0057】
本発明は、分子診断、病原体、癌、若しくは他の遺伝子型同定、一塩基多型(SNP)の検出、耐薬物性病原体の検査、又は核酸検出が望ましい他の応用に有用である。
【0058】
幾つかの実施形態では、本発明は、発光標識で標識されたプライマーオリゴヌクレオチドが、試料に由来するポリヌクレオチドと接触し、もし存在する場合は、試料に由来する標的核酸を増幅するために使用される方法を提供する。プライマー配列は、プライマーが増幅反応中に標的核酸配列にハイブリダイズし、それにより標的核酸の増幅が可能になるように設計される。その結果生じる増幅産物は、適格な標的核酸変異体間で変動する場合がある標的配列内の配列を含むように設計される。一例として、幾つかの実施形態では、C型肝炎ウイルス(HCV)核酸配列は、3つの変異体で生じる可能性があることが知られていてもよい。プライマーは、その結果生じる増幅産物が、テンプレートに存在する場合がある3つの潜在的変異体のいずれかを含むように設計される。従って、幾つかの実施形態では、少なくとも2つのテンプレート変異体存在する場合、2つ以上の増幅産物変異体が、1つの標識オリゴヌクレオチドから産生される場合がある。そのような場合、幾つかの実施形態では、同じ標識オリゴヌクレオチドから産生される増幅産物のTmは、互いに十分に(例えば、5℃)異なり、そのため2つ以上の増幅産物を、融解曲線分析で識別することができるだろう。
【0059】
本発明は、その結果生じる増幅産物の融解温度を検出することにより、異なる標的核酸変異体に由来する増幅産物(プライマーに存在する発光標識を含む)の存在を区別することを提供し、そこでは各標的変異体に由来する潜在的増幅産物は、異なる融解温度を有することにより識別することができる。増幅産物の融解温度は、二本鎖核酸とは結合するが、一本鎖核酸とは著しくは結合しない可溶性発光変更物質の存在により容易に決定される。可溶性発光変更物質は、発光標識で標識された二本鎖核酸(例えば、増幅産物)と結合した際に、その標識からのシグナルを変更し、そのため一本鎖核酸に組み込まれている時の標識のシグナルを、二本鎖核酸に組み込まれている時の同じ標識のシグナルと識別することができ、それにより融解温度の決定が可能になる。例えば、幾つかの実施形態では、可溶性発光変更物質は、増幅産物が二本鎖である場合は標識からのシグナルを消光するが、増幅産物が一本鎖である場合はシグナルを著しくは消光しない。
【0060】
本発明の方法の1つの利点は、比較的多数の異なる潜在的変異体を識別することができるということである。検出される変異体の数は、本方法では、少なくとも2つの方法:(1)融解温度を使用して、各々が同じ標識を有する異なる潜在的増幅産物を識別することにより、及び(2)異なる標識を有するプライマーを使用することにより対応することができる。これら選択肢は、多数の異なる潜在的変異体の検出を可能にするために、組み合わせて使用することができる。
【0061】
選択肢(1)の簡単な例では、2つの変異体は、2つの潜在的変異体のいずれかを含んでいる可能性がある増幅産物の産生を可能にする標識プライマーを使用することにより検出することができる。どの変異体(1つだけが存在すると仮定して)が試料中に生じるかは、増幅産物の融解温度(Tm)を検出することにより決定され、変異体1が存在する場合、Tm1が増幅産物の融解温度であり、変異体2が存在する場合、Tm2が増幅産物の融解温度であり、Tm1及びTm2は異なっており、Tm決定法を使用することにより識別可能である。幾つかの実施形態では、標識プライマーは、各々がTmにより互いに区別される3、4、5、6、又は7つ以上の異なる変異体を検出するように設計される。選択肢(1)により検出することができる変異体の数は、検出される変異体を使用して識別することができる異なる融解温度の数により制限される。複数の変異体テンプレートが試料中にあってもよく、幾つかの実施形態では、両変異体は、もし存在するとすれば、各増幅産物の特徴的なTmを検出することにより各変異体の増幅産物の存在又は非存在を検出することによって選択することができることに留意されたい。
【0062】
上記で考察されている同じ2つの変異体に関する選択肢(2)の簡単な例では、第1の発光標識で標識された第1のプライマー、及び識別可能な第2の発光標識で標識された第2のプライマーを使用して、試料中のポリヌクレオチドを増幅する。2つの異なるプライマーは、第1のプライマーのみが、変異体1標的核酸を有する増幅産物に組み込まれるが、変異体2標的核酸を有する増幅産物には組み込まれないように異なる標的配列にハイブリダイズするように設計される。同様に、第2のプライマーのみが、変異体2標的核酸を有する増幅産物に組み込まれるが、変異体1標的核酸を有する増幅産物には組み込まれない。その後、変異体1及び変異体2は、二本鎖増幅産物中のプライマー1の標識又はプライマー2からのシグナルの存在により識別される。選択肢(2)により検出することができる変異体の数は、使用及び検出することができる異なるプライマー標識の数により制限される。
【0063】
本発明の方法は、選択肢(1)及び(2)を組み合わせると、特に有用である。例えば、2つを超える(例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個等、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも8つ等の)変異体を検出できることが所望の場合、ある数の変異体を第1の標識プライマーに「割当て」ることができ(つまり、プライマーは、ある数の変異体を増幅するように設計することができ、ここでは「プライマー1変異体」として便宜的に指定される)、異なる「プライマー1変異体」を含む増幅産物のTmの各々は異なっており、従って識別することができる。異なる標識で標識された第2のプライマーは、第2のセットの変異体(「プライマー2変異体」)に割当てられ、ここでも、これらプライマー2変異体に由来する増幅産物の各々は、異なるTmを有する。可溶性発光変更物質の存在下でプライマー標識のシグナルを融解温度決定アッセイで増幅及び検出した後、どの変異体が存在したかは、どのプライマー標識が検出されるか、及び何℃の溶融温度で標識シグナルの変更が生じたかに基づいて決定することができる。従って、この「選択肢(1)/(2)」の実施形態は、以前に実際に可能であったよりいっそう多数の変異体の効率的な検出を可能にすることにより、従来技術方法より優れている。「1/2」選択肢は、そうでなければ標準的多重反応を使用して多数セットの変異体を検出するのに必要であろうプライマーの数及び異なる標識の数の低減を可能にすることに留意されたい。
【0064】
II.プライマーオリゴヌクレオチド
本発明のプライマーオリゴヌクレオチドは、所望の変異体配列が、適切な標的核酸変異体配列の存在下で増幅反応中に増幅産物に組み込まれるように設計される。従って、例えば、プライマーは、特定の変異(例えば、SNP又は他の識別可能な変異)が標的核酸に生じる上流で増幅反応中にハイブリダイズすることができる。幾つかの実施形態では、プライマーは、関連する変異配列にハイブリダイズするように設計することができる。幾つかの実施形態では、増幅反応条件は、一般的に、ハイブリダイゼーション及びプライマー伸長がその結果としてもたらされるために、完全な相補性が必要とされないように設定される。他の実施形態では、増幅反応条件は、テンプレートとの相補性が完全である場合のみに、プライマーがハイブリダイズするように設定される。
【0065】
使用される増幅反応のタイプに応じて、順方向及び逆方向プライマーは、各増幅産物が産生されるように提供される。従って、幾つかの実施形態では、標識順方向プライマー及び未標識逆方向プライマーを使用して増幅産物を産生する。例えば、順方向及び逆方向プライマーにより産生される増幅産物は、どの標的変異体が増幅されるかに応じて増幅産物が異なるTmを有するように、任意の数の変異体配列から産生することができる。この考察の場合、「順方向」及び「逆方向」は、互いに置き換えることができる。
【0066】
複数の標識プライマーが使用される場合(例えば、多数の潜在的変異体を検出するため)、各標識プライマーは、対応する逆方向プライマーを有することもできる。或いは、標識プライマーは、増幅反応において標的核酸の異なる配列にハイブリダイズするように設計することができるが、にもかかわらず同じ逆方向プライマーを使用することができる。当業者であれば、使用される差別的標識プライマーの数、検出しようとする標的核酸変異体の数等に応じて、種々の組合せの順方向及び逆方向プライマーを使用することができることを理解するだろう。
【0067】
プライマーは、一般的に長さ及び相補性が十分であり、そのため、選択された条件下で標的核酸と選択的に結合し、重合非依存的切断又は重合依存的切断の進行を可能にする。プライマーの正確な長さ及び組成は、アニーリング反応の温度、供給源、及びプライマーの組成等を含む多数の要因に依存するだろう。例えば、標的配列の複雑さに応じて、プライマーは、典型的には約15〜30個のヌクレオチドを含むが、より多数の又はより少数のヌクレオチドを含有していてもよい。
【0068】
ある実施形態では、修飾ヌクレオチドが、プライマーに含まれている。例えば、修飾ヌクレオチド置換をオリゴヌクレオチド配列に導入することにより、例えば、オリゴヌクレオチドの融解温度を増加させることができる。幾つかの実施形態では、これにより、標的核酸と特定のオリゴヌクレオチドとの間の配列に1つ又は複数の不適合が存在する場合でさえ、対応する未修飾オリゴヌクレオチドと比べて高い感度をもたらすことができる。オリゴヌクレオチドに置換又は付加することができる例示的な修飾ヌクレオチドには、例えば、C5−エチル−dC、C5−エチル−dU、2,6−ジアミノプリン、C5−プロピニル−dC、C7−プロピニル−dA、C7−プロピニル−dG、C5−プロパルギルアミノ−dC、C5−プロパルギルアミノ−dU、C7−プロパルギルアミノ−dA、C7−プロパルギルアミノ−dG、7−デアザ−2−デオキシキサントシン、ピラゾロピリミジン類似体、プソイド−dU、ニトロピロール、ニトロインドール、2’−0−メチルリボ−U、2’−0−メチルリボ−C、8−アザ−dA、8−アザ−dG、7−デアザ−dA、7−デアザ−dG、N4−エチル−dC、N6−メチル−dA等が含まれる。更なる例として、修飾オリゴヌクレオチドの他の例には、1つ又は複数のLNA(商標)モノマーを有するものが含まれる。これら等のヌクレオチド類似体は、例えば、2003年10月28日にKochkineらに交付された米国特許第6,639,059号、2001年10月16日にSkouvに交付された米国特許第6,303,315号、及び2003年5月15日に公開されたKochkineらによる米国特許出願公開第2003/0092905号にも記述されている。LNA(商標)モノマーを含むオリゴヌクレオチドは、例えばExiqon A/S社(ヴェドベック(Vedbaek)、デンマーク)から商業的に入手可能である。
【0069】
III.標識及び可溶性発光変更物質
可溶性発光変更物質の存在下で標識が一本鎖核酸に組み込まれる時と比較して、可溶性発光変更物質の存在下で標識が二本鎖核酸に組み込まれる時に、それらの組合せが標識シグナルの変更(例えば、消光)を可能にするように、広範囲の異なる発光標識及び可溶性発光変更物質を使用することができる。
【0070】
標識
本明細書に記述されているように、各増幅反応の少なくとも1つのプライマーは標識されており、標識プライマー配列を含むその結果生じる増幅産物の検出を可能にする。一般的に、標識は、核酸に結合させることができ検出可能なシグナル(例えば、定量化可能なシグナル)を提供することができる任意の部分であり得る。標識のシグナルは、標識が二本鎖核酸に組み込まれるか又は一本鎖核酸に組み込まれるかに応じて識別することができる。標識は、当技術分野で公知の様々な技術により、オリゴヌクレオチドに直接的又は間接的に結合させることができる。例えば、使用される標識のタイプに応じて、標識を、末端ヌクレオチド(オリゴヌクレオチドプライマーの5’又は3’末端)又は非末端ヌクレオチドに結合させることができ、種々のサイズ及び組成のリンカー又はスペーサーアームを介して間接的に結合させることができる。市販のホスホラミダイト試薬を使用して、適切に保護されたホスホラミダイトを介して5’又は3’末端のいずれかに官能基(例えば、チオール又は一級アミン)を含有するオリゴヌクレオチドを生成することができ、そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、Innis et al. (Eds.) PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Elsevier Science & Technology Books (1990)(Innis)に記述されているプロトコールを使用して標識することができる。
【0071】
本質的にあらゆる発光標識化部分が、当技術分野で周知の技術によりプライマーを標識するために随意に使用される。幾つかの実施形態では、例えば、標識には、以下のものが含まれる:蛍光染料(例えば、ローダミン染料(例えば、R6G、R110、TAMRA、ROX等)、フルオレセイン染料(例えば、JOE、VIC、TET、HEX、FAM等)、ハロフルオレセイン染料、シアニン染料(例えば、CY3、CY3.5、CY5、CY5.5等)、BODIPY(登録商標)染料(例えば、FL、530/550、TR、TMR等)、ALEXA FLUOR(登録商標)染料(例えば、488、532、546、568、594、555、653、647、660、680等)、ジクロロローダミン染料、エネルギー移動染料(例えば、BIGDYE(商標)v1染料、BIGDYE(商標)v2染料、BIGDYE(商標)v3染料等)、ルシファー染料(例えば、ルシファーイエロー等)、CASCADE BLUE(登録商標)、及びオレゴングリーン等。蛍光染料の更なる例は、例えば、Haugland, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Products, Ninth Ed. (2003)及びその最新版に提供されている。蛍光染料は、一般的に、種々の商業的供給業者、例えばMolecular Probes,Inc.社(ユージーン、オレゴン州)、Amersham Biosciences Corp.社(ピスカタウエイ、ニュージャージー州)、Applied Biosystems社(フォスターシティ、カリフォルニア州)等から容易に入手可能である。他の標識には、以下のものが含まれる:例えば、ビオチン、弱蛍光標識(Yin et al. (2003) Appl Environ Microbiol. 69(7):3938、Babendure et al. (2003) Anal. Biochem. 317(1):1、及びJankowiak et al. (2003) Chem Res Toxicol. 16(3):304)、非蛍光標識、発色標識、化学発光標識(Wilson et al. (2003) Analyst. 128(5):480及びRoda et al. (2003) Luminescence 18(2):72)、ラマン標識、電気化学的標識、生物発光標識(Kitayama et al. (2003) Photochem Photobiol. 77(3):333、Arakawa et al. (2003) Anal. Biochem. 314(2):206、及びMaeda (2003) J. Pharm. Biomed. Anal. 30(6):1725)、及び例えば、2007年5月22日にBodepudiら交付された「DETECTABLE LABELED NUCLEOSIDE ANALOGS AND METHODS OF USE THEREOF」と題する米国特許第7,220,847号に記述されているようなアルファ−メチル−PEG標識化試薬。
【0072】
更なる例として、本質的にあらゆる核酸(及び実質的にあらゆる標識核酸、標準的か又は非標準的かに関わらず)は、The Midland Certified Reagent Company社、The Great American Gene Company社、ExpressGen Inc.社、Operon Technologies Inc.社、Proligo LLC社、及びその他多数等の様々な商業的供給業者のいずれかに特別注文又は通常注文することができる。
【0073】
可溶性発光変更物質
本発明の反応混合物及び他の態様で使用される発光変更物質は、典型的には、種々のタイプの核酸増幅反応及びアッセイにおいて、それ自体を標識オリゴヌクレオチドからの発光を調節するのに十分に適したものにする様々な特性を含んでいる。幾つかの実施形態では、これら発光変更物質は、一本鎖核酸(例えば、一本鎖プローブ)及び二本鎖核酸(例えば、標的核酸とハイブリダイズした一本鎖プローブ)の両方と非共有結合で結合する。しかしながら、発光変更物質は、二本鎖核酸よりもいっそう弱く一本鎖核酸と結合する。例えば、幾つかの可溶性発光変更物質は、二本鎖核酸にインターカレートする。その結果、発光変更物質は、一本鎖核酸と比較して標識二本鎖核酸のシグナルを著しく変更し、それにより核酸が一本鎖又は二本鎖のいずれであるかを決定することが可能になる。幾つかの実施形態では、所与の発光変更物質は、様々な異なる発光部分からの発光を効果的に変更することができる。言いかえれば、これら発光変更物質により達成される変更(例えば、消光)は、一般的に、スペクトル重複非依存性であるか又は普遍的であり、任意の特定の作用理論に束縛されないが、基底状態複合体形成により生じる可能性が高い。これにより、1つの発光変更物質を有する複数標識の使用が可能になる。無論、必要に応じて複数の発光変更物質を使用することができる。
【0074】
多数の様々な発光変更物質が、本発明の反応混合物及び他の態様で使用するのに好適である。発光変更物質は、例えば蛍光標識で標識された標識オリゴヌクレオチドからの発光を、リアルタイムPCR反応ステップを実施するのに一般的に使用される、少なくとも約40℃のアニーリング温度等の反応温度で、随意に変更可能な可溶性核酸結合化合物である。幾つかの実施形態では、例えば、本発明の発光変更物質には、種々のジアジン染料及びチアジン染料が含まれる。発光変更物質として使用することができる例示的なジアジン染料には、例えば、アゾカルミン染料(例えばアゾカルミンA、アゾカルミンB(C2817393Na2)、アゾカルミンG(C2818362Na)等)、フェナジン染料、オキサジン染料(例えば、セレスチンブルー(C1718ClN34)等)、ジエチルサフラニンアゾジメチルアニリンクロリド(つまり、ヤーヌスグリーンB又はジアジングリーン5(C30316Cl))等が含まれる。これらジアジン染料の幾つかの化学構造は、表Iに示されている。
【0075】
【表1】

【0076】
更なる例として、発光変更物質として使用することができる例示的なチアジン染料には、例えば、メチレンブルー(C1618ClN3S)、メチレングリーン(C1617ClN42S)、チオニン(C1210ClN3S)、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO(C15163SCl)、ニューメチレンブルー(C1822ClN3S)、メチレンバイオレットベルントゼン、アズールA(C1414ClN3S)、アズールB(C1516ClN3S)、及びアズールC(C1312ClN3S)等が含まれる。これらチアジン染料の幾つかの化学構造は、表IIに示されている。
【0077】
【表2】

【0078】
所与の反応混合物に含まれる特定の発光変更物質の量は、典型的には、求められる変更の程度に依存する。典型的には、発光変更の程度は、反応混合物中に存在する発光変更物質の量に比例する。他の量が随意に使用されるものの、幾つかの実施形態では、発光変更物質は、約5μg/mL反応混合物〜約100μg/mL反応混合物、例えば、約10μg/mL反応混合物〜約75μg/mL反応混合物、例えば、約15μg/mL反応混合物〜約50μg/mL反応混合物(例えば、約20μg/mL、約30μg/mL、約40μg/mL等)で存在する。幾つかの実施形態では、反応混合物は、増幅産物濃度より過剰な濃度の発光変更物質を含む。幾つかの実施形態では、複数の発光変更物質を、同じ反応混合物中で使用することができる。これら実施形態では、異なる発光変更物質は、随意に、特定の反応混合物中に同じ又は異なる濃度で存在する。1つの例として、反応混合物は、1mLの反応混合物当たり20μgのニューメチレンブルー、及び1mLの反応混合物当たり30μgのメチレンブルーを含んでいてもよい。発光変更物質は、例えばSigma−Aldrich Corp.社(セントルイス、ミズーリ州、アメリカ)を含む種々の商業的供給業者から容易に入手可能である。
【0079】
IV.標的核酸
標的核酸は、生物学的供給源に由来してもよく又は合成供給源に由来してもよい。例えば、標的はDNAであってもよく、又はRNAであってもよい。一般的に、増幅産物が産生される場合、増幅産物はDNAで構成されることになるが、リボヌクレオチド又は合成ヌクレオチドを増幅産物に組み込むこともできる。RNAを検出したい場合は、増幅プロセスには、典型的には、例えば逆転写PCR(RT−PCR)を含む逆転写の使用が伴うことになる。
【0080】
特定の標的配列には、例えば、ウイルス核酸(例えば、HIV、HBV、HCV、HPV)、細菌核酸(例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、クラミジア・ムリダルム(Chlamydia muridarum)、クラミジア・トラコマーティス(Chlamydia trachomatis)、真菌核酸、又は動物若しくは植物由来の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、標的核酸はヒト核酸である。幾つかの実施形態では、標的核酸は、例えば、疾患(例えば、癌(癌遺伝子及び癌抑制遺伝子を含むがこれらに限定されない)、糖尿病等)に関連する変異体を含む可能性があるヒト遺伝子領域である。
【0081】
V.増幅
本発明の方法を実施する際には、分子生物学の多くの従来技術が随意に利用される。これらの技術は周知であり、以下の文献に説明されている:例えば、Ausubel et al. (Eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I, II, and III, (1997) (Ausubel 1)、Ausubel et al. (Eds.), Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, 5th Ed., John Wiley & Sons, Inc. (2002) (Ausubel 2)、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (2000) (Sambrook)、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques: Methods in Enzymology, Volume 152, Academic Press, Inc. (Berger)、Vorbruggen et al., Handbook of Nucleoside Synthesis, Organic Reactions Series, #60, John Wiley & Sons, Inc. (2001)、Gait (Ed.) Oligonucleotide Synthesis, Oxford University Press (1984)、Hames and Higgins, Nucleic Acid Hybridization, Practical Approach Series, Oxford University Press (1997)、及びHames and Higgins (Eds.) Transcription and Translation, Practical Approach Series, Oxford University Press (1984)。
【0082】
本発明の反応混合物中にあるか又は本発明の混合物に由来する標的核酸を分析するために使用又は適合することができる一般的なタイプの核酸分析技術の例には、種々の核酸増幅アッセイが含まれる。核酸増幅試験は、核酸分析の他の手法より高い感度を示すことができる。本発明の発光変更物質の使用により更に向上されるこの感度は、典型的には、それらが、標的核酸のわずか単一コピーから確かなシグナルを生成することができることに起因する。標的核酸を検出するために随意に使用又は適合される増幅方法には、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、NASBA、TMA、及びSDA等の種々のポリメラーゼ、リガーゼ、又は逆転写酵素媒介性増幅法が含まれる。これら及び他の増幅方法の使用、及びこれらアッセイ用の試料を調製する種々の手法に関する更なる詳細は、例えば上記で参照されているBerger、Sambrook、Ausubel 1及びAusubel 2、Innisを含む様々な標準的文献のいずれかに見出すことができる。本発明の発光変更物質及び方法による使用に随意に適合される種々の市販の核酸増幅アッセイは、一般的に、それらの増幅方法及びそれらの標的核酸配列が異なる。これら市販試験の例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用するAMPLICOR(登録商標)及びCOBAS AMPLICOR(登録商標)アッセイ(Roche Diagnostics Corporation社、インディアナポリス、インディアナ州、米国);リガーゼ連鎖反応(LCR)を使用するLCx(登録商標)試験(Abbott Laboratories社、アボットパーク、イリノイ州、米国);鎖置換増幅(SDA)を使用するBDProbeTec(商標)ET試験(Becton,Dickinson and Company社、フランクリンレイクス、ニュージャージー州、米国);核酸配列に基づく増幅(NASBA)を使用するNucliSens EasyQアッセイ(bioMerieux社、ダーラム、ノースカロライナ州);及び転写媒介性増幅(TMA)を使用するAPTIMA(商標)アッセイ(Gen−Probe, Inc.社、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)が含まれる。核酸増幅及び検出は、下記で更に記述されている。
【0083】
プライマーのテンプレート依存的伸張は、一般的に、発光変更物質及び適切な塩、金属陽イオン、及び緩衝液も含む反応混合液中に、適当量の4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)又は類似体の存在下で、ヌクレオチド組み込み生体触媒(例えば、ポリメラーゼ等)により触媒される。反応混合物は、上記で更に記述されている。好適なヌクレオチド組み込み生体触媒は、プライマー及びテンプレート依存的DNA合成を触媒し、5’から3’のヌクレアーゼ活性を有することが知られている酵素である。このタイプの例示的なDNAポリメラーゼには、大腸菌DNAポリメラーゼI、Tth DNAポリメラーゼ、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、サーマス種ZO5 DNAポリメラーゼ、サーマトガ・マリティマ(Thermatoga maritima)DNAポリメラーゼ、サーマトガ・ネアポリタナ(Thermatoga neopolitana)DNAポリメラーゼ、及びサーモシホ・アフリカナス(Thermosipho africanus)DNAポリメラーゼが含まれる。これらDNAポリメラーゼを用いるDNA合成を触媒するための反応条件は、当技術分野で周知である。典型的には、ヌクレオチド組み込み生体触媒は、プローブを効率的に切断し、標識断片を放出し、そのため検出可能なシグナルが直接的又は間接的に生成される。
【0084】
合成産物は、一般的に、テンプレート鎖及びプライマー伸長鎖を含む二本鎖分子である。合成副産物は、モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、及びより大型のヌクレオチド断片の混合物を含んでいる場合があるプローブ断片である。変性、プローブ及びプライマーアニーリング、並びにプライマー伸長及びプローブ切断のサイクルを繰り返すことにより、その結果としてプライマーにより定義される領域の指数関数的な蓄積、及び標識断片の指数関数的な産生がもたらされる。十分なサイクルを実行して、一般的にはバックグラウンドシグナルより桁が幾つか大きい検出可能な量のプローブ断片を達成する。本明細書に記述されているような発光変更物質を使用することにより、これらバックグラウンドシグナルを低減しないアッセイと比べて、検知可能なシグナルが生成されるまでに実行されるサイクルの回数を効果的に低減することができる。
【0085】
ある実施形態では、PCR反応は、熱安定酵素を使用する自動化プロセスとして実施される。このプロセスでは、反応混合物のサイクルは、変性ステップ、プライマー(随意に、プローブ)アニーリングステップ、並びに切断及び置換がプライマー依存的テンプレート伸張と同時に生じる合成ステップにより行われる。幾つかの実施形態では、本明細書に記述されている方法は、ある種のシステムを使用して実施される。そのようなシステムは、下記でより詳しく記述されている。随意に、例えば、Applied Biosystems社(フォスターシティ、カリフォルニア州、米国)から商業的に入手可能なもの等の、熱安定酵素と共に使用できるように設計されているサーマルサイクラーを使用することができる。
【0086】
熱安定ポリメラーゼは、典型的には、PCRサイクル中に高温(例えば、約95℃)さらすことにより、二本鎖伸張産物の変性が達成される自動化プロセスで使用される。例えば、1989年12月26日にGelfandらに交付された「PURIFIED THERMOSTABLE ENZYME」と題する米国特許第4,889,818号では、サーマス・アクアチクス(Thermus aquaticus)から単離された代表的な熱安定酵素が開示されている。更なる代表的な熱安定ポリメラーゼには、例えば、熱安定細菌サーマス・フラバス(Thermus flavus)、サーマス・ルベル(Thermus ruber)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(これは、列挙されている他のものより幾らか低い最適温度を有する)、サーマス・ラクテウス(Thermus lacteus)、サーマス・ルベンス(Thermus rubens)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、サーマトガ・ネアポリタナ、サーモシホ・アフリカナス、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus littoralis)、及びメタノテルムス・フェルビダス(Methanothermus fervidus)から抽出されたポリメラーゼが含まれる。
【0087】
プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションは、適切なハイブリダイゼーション条件を選択することにより達成することができる。プローブ:標的核酸ハイブリッドの安定性は、典型的には、安定している検出可能なハイブリッドが、プローブと標的核酸との間にのみ形成されるように、アッセイ及び洗浄条件と適合するように選択される。異なるアッセイパラメーターの1つ又は複数を操作することにより、特定のハイブリダイゼーションアッセイの的確な感度及び特異性が決定される。
【0088】
より具体的には、DNA、RNA、PNA、又はDNA、RNA、及びPNAの組合せの相補的塩基間のハイブリダイゼーションは、温度、塩濃度、静電気強度、及び緩衝液組成等が異なる多種多様な条件下で生じる。これら条件の例及びそれらを適用する方法は、例えば、Tijssen, Hybridization with Nucleic Acid Probes, Vol. 24, Elsevier Science (1993)及び上記のHames and Higginsに記述されている。ハイブリダイゼーションは、一般的に、ハイブリダイズされる配列の性質及びその長さに応じて、約0℃〜約70℃、約1分〜約1時間の期間で生じる。しかしながら、ハイブリダイゼーションは、反応条件次第では、数秒又は数時間で生じる可能性があることが認識されている。例えば、2つの20量体の混合物の典型的なハイブリダイゼーション条件は、2マイクロリットルの混合物を68℃にして、その後5分間室温(22℃)又は2℃等の非常に低い温度に冷却する。核酸間のハイブリダイゼーションは、トリス−EDTA(TE)、トリス−HCl、及びHEPES等の緩衝液、塩溶液(例えば、NaCl、KC1、CaC12)又は他の水溶液、試薬、及び化学薬品を使用して促進することができる。これら試薬の例には、Rec Aタンパク質、T4遺伝子32タンパク質、大腸菌一本鎖結合タンパク質、及び核酸主溝又は副溝結合タンパク質等の一本鎖結合タンパク質が含まれる。そのような試薬及び化学薬品の他の例には、二価イオン、多価イオン、並びに臭化エチジウム、アクチノマイシンD、ソラレン、及びアンゲリシン等のインターカレート物質が含まれる。
【0089】
VI.融解温度
本発明は、ハイブリダイゼーション複合体の融解温度(Tm)を決定するための方法を提供し、これら方法では、本明細書で教示されている可溶性発光変更物質技術が使用される。Tm決定では、可溶性発光変更物質(つまり、可溶性消光体)系を使用して、二重鎖融解曲線又はアニーリング曲線がモニターされる。
【0090】
好適な発光部分(例えば、ドナー)で標識されたプライマーが、二本鎖増幅産物に組み込まれる。任意の核酸二本鎖が、所与のハイブリダイゼーション条件セットでの特定のTmにより特徴付けられる。この特徴により、Tm決定が、診断等(例えば、SNP検出、突然変異検出、及び突然変異の走査、ウイルス遺伝子型決定、多剤耐性菌の検査等)の応用に有用となり、変異体間の区別が可能になる。
【0091】
二本鎖の形成前、形成中、又は形成後のいずれかで、反応物を、好適な可溶性発光変更物質(例えば、消光体)と混合する。この可溶性消光体は、チアジン染料又はジアジン染料を含み、可溶性消光体は、増幅産物に組み込まれた発光部分(従って、ドナー−アクセプター対を形成する)を消光可能である。チアジン、フェノチアジン、陽イオン性チアジン、チアジニウム、及びフェノチアジニウムは全て、中央環に窒素及び硫黄を含有する融合3環芳香族系を有する染料ファミリーの一般名の同義語であることに留意されたい。更に、本明細書で教示されている特定のチアジン及びジアジン構造に加えて、可溶性消光体の特性を保持するこれら分子の関連構造変異体も、本発明の方法で使用することができ、それらは本発明の範囲内に包含される。
【0092】
チアジン染料又はジアジン染料可溶性消光体は、一本鎖及び二本鎖核酸の両方に結合することにより作用するが、一本鎖核酸に対する親和性の低減を示す。一本鎖核酸への結合は、二次構造が部分的にランダムコイル状態であることよる可能性があることが企図される。任意の特定の理論には束縛されないが、主な結合様式はインターカレーションによると考えられているが、配列の状況及びハイブリダイゼーションの条件によっては、副溝及び主溝結合も可能であると考えられる(Rohs et al. (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:2860-2866;及びTuite et al. (1994) J. Am. Chem. Soc., 116:7548-7556を参照)。 従って、標的ポリヌクレオチドとハイブリダイゼーション複合体を形成するプライマーに結合された蛍光ドナー標識は、増幅産物(組み込まれたプライマーに由来する)のドナー部分に消光体が近接近することにより、二本鎖核酸に対して親和性を有するインターカレート可溶性消光体による消光効果を受ける。しかしながら、消光現象の分子機序に関する理解は、本発明を製作又は使用するためには必要ではない。
【0093】
ハイブリダイゼーション複合体を含有する溶液が加熱される場合(融解曲線Tm分析でのように)、増幅産物は、最終的に標的ポリヌクレオチドから解離し(つまり、もはや二本鎖でない)、それにより核酸に対する消光体の親和性を低減させ、その結果として可溶性消光体とドナーとの近接性が低減され、ドナーからの蛍光の増加が観察される。従って、反応におけるハイブリダイゼーション複合体の形成/解離は、可溶性消光体を有する系を使用することによりモニターすることができる。
【0094】
塩基対合が生じ得る条件下で二本鎖を形成させた後、標的ハイブリダイゼーション複合体反応の温度を上昇させ、ドナーからの発光をある範囲の温度にわたって測定及びモニターし、それにより融解曲線を作成する。温度範囲は、例えば、約20℃〜約95℃を使用することができる。或いは、増幅産物及び可溶性消光体を、高温(例えば、約95℃)で開始することができ、反応の温度を低下(例えば、約20℃へと)させながらドナー発光をモニターし、それによりアニーリング曲線を作成する。
【0095】
アニーリング曲線又は融解曲線のいずれの場合でも、ドナーからの発光測定値を、特定の二本鎖結合/解離値と相関させ、Tmを導出し、Tmはハイブリダイゼーション複合体集団の半分が一本鎖に解離する温度である。
【0096】
可溶性発光変更物質及び二本鎖標識核酸を使用するTm決定の例は、例えば、2007年1月25日に公開された米国特許出願公開第2007/0020664号の実施例19〜22に見出すことができる。
【0097】
VII.反応混合物
本発明の反応混合物は、典型的には、本明細書に記述されているように、選択された量の発光変更物質及び標識オリゴヌクレオチドを含んでいる。加えて、反応混合物は、一般的に、リアルタイムPCRモニタリング等の核酸増幅又は検出反応を実施するのに有用な種々の試薬も含んでいる。例示的な核酸増幅試薬には、例えば、プライマー核酸、テンプレート又は標的核酸、ヌクレオチド組み込み生体触媒(例えば、DNAポリメラーゼ等)、伸長可能なヌクレオチド、ターミネーターヌクレオチド、緩衝液、塩、増幅産物、グリセロール、金属イオン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びポリrA(低コピー標的用のキャリア核酸)等が含まれる。反応混合物中のヌクレオチド組み込み生体触媒(例えば、DNAポリメラーゼ)は、生体触媒が、好適な増幅条件下の増幅反応においてプライマーを伸長させることが可能である限り、種々の活性(例えば、5’→3”ヌクレアーゼ活性)を有していてもよく、又は欠損していてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、これら反応混合物を使用して核酸増幅反応を実施して試料中の標的核酸の検出を達成し、例えば、疾患の診断及び/又は予後を支援する。
【0098】
反応混合物は、一般的に、選択された発光変更物質及び標識オリゴヌクレオチドを、選択された特定の核酸増幅法を実施するのに十分な量の核酸増幅試薬と混合することにより産生される。所与の反応混合物に含まれる核酸増幅試薬の量は、選択された核酸増幅法を考慮すれば、当業者にとって周知である。しかしながら、例えば、ある実施形態では、プライマー核酸及び伸長可能なヌクレオチド(例えば、4種のdNTP(dGTP、dCTP、dATP、dTTP))は、各々が反応混合物中に大量のモル過剰で存在する。本発明の反応混合物に使用することができるプローブ及びプライマー核酸は、本明細書に記述されている。好適な伸長可能なヌクレオチドは、例えば、Roche Diagnostics Corporation社(インディアナポリス、インディアナ州、米国)、Amersham Biosciences Corp.社(ピスカタウエイ、ニュージャージー州、米国)、及びApplied Biosystems社など(フォスターシティ、カリフォルニア州、米国)含む多数の様々な商業的供給業者から容易に入手可能である。
【0099】
本発明の他の態様及び反応混合物中に使用されるヌクレオチド組み込み生体触媒には、典型的には、ポリメラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、逆転写酵素、テロメラーゼ、及びポリヌクレオチドホスホリラーゼ等の酵素が含まれる。例えば、ある実施形態では、酵素は、5’−3’ヌクレアーゼ活性、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を含み、及び/又は熱安定酵素である。酵素は、随意に以下の生物に由来する:サーマス・アントラニキアニ(Thermus antranikianii)、サーマス・アクアチクス、サーマス・カルドフィラス(Thermus chliarophilus)、サーマス・クリアロフィラス(Thermus chliarophilus)、サーマス・フィリホルミス(Thermus filiformis)、サーマス・フラバス、サーマス・イグニテラエ(Thermus igniterrae)、サーマス・ラクテウス、サーマス・オシマイ(Thermus oshimai)、サーマス・ルベル、サーマス・ルベンス、サーマス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)、サーマス・シルバヌス(Thermus silvanus)、サーマス種Z05(Thermus species Z05)、サーマス種sps17(Thermus species sps 17)、サーマス・サーモフィラス、サーモトガ・マリティマ、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)、サーモシホ・アフリカナス、アナエロセルム・サーモフィラム(Anaerocellum thermophilum)、バチルス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)、又はバチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)等。
【0100】
ある実施形態では、更なる試薬も本発明の反応混合物に添加される。例えば、反応混合物は、随意に、加ピロリン酸分解を最小限にするために使用されるピロホスファターゼ(例えば、熱安定ピロホスファターゼ)、例えば持ち越し汚染等から保護するためのdUTP及びウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)(例えば、熱安定UNG)も含む。
【0101】
本発明による好ましい幾つかの実施形態では、反応混合物は、少なくとも1つの標的核酸及び以下を含む:
(1)第1の標識を含む少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドであり、第1の標識が少なくとも1つの発光部分を含み、標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、標的核酸の少なくともサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で標識オリゴヌクレオチドが標的核酸とハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質であり、変更物質が、標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAと結合する際に、可溶性発光変更物質の存在下で標識オリゴヌクレオチドが一本鎖である時の第1の標識の発光と比較して、第1の標識からの発光を変更する(例えば、消光する)可溶性発光変更物質、及び
一本鎖又は二本鎖の第1の増幅産物ポリヌクレオチドであり、第1の増幅産物ポリヌクレオチドが、標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む(例えば、増幅産物鎖の5’末端に)増幅産物ポリヌクレオチド;並びに随意に、
(2)第2の標識を含む第2の標識オリゴヌクレオチドであり、第2の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、第2の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある標的核酸の少なくとも第2のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で第2の標識オリゴヌクレオチドが第2の標的核酸とハイブリダイズし、第2の標識からのシグナルを、第1の標識(並びに、もし存在するとすれば、第3及び第4の標識)のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートする際に、第2の標識オリゴヌクレオチドが可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の第2の標識の発光と比較して、第2の標識からの発光を変更する(例えば、消光する)第2の標識オリゴヌクレオチド、及び
一本鎖又は二本鎖の第2の増幅産物ポリヌクレオチドであり、第2の増幅産物ポリヌクレオチドが、第2の標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む(例えば、増幅産物鎖の5’末端に)第2の増幅産物ポリヌクレオチド;並びに随意に、
(3)第3の標識を含む第3の標識オリゴヌクレオチドであり、第3の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、第3の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある標的核酸の少なくとも第3のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で第3の標識オリゴヌクレオチドが第3の標的核酸とハイブリダイズし、第3の標識からのシグナルを、第1及び第2の標識のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、第3の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートした際に、第3の標識オリゴヌクレオチドが可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の第3の標識の発光と比較して、第3の標識からの発光を変更する(例えば、消光する)第3の標識オリゴヌクレオチド、及び
一本鎖又は二本鎖の第3の増幅産物ポリヌクレオチドであり、第3の増幅産物ポリヌクレオチドが、第3の標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む(例えば、増幅産物鎖の5’末端に)第3の増幅産物ポリヌクレオチド;並びに随意に、
(4)第4の標識を含む第4の標識オリゴヌクレオチドであり、第4の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、第4の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある標的核酸の少なくとも第4のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で第4の標識オリゴヌクレオチドが第4の標的核酸とハイブリダイズし、第4の標識からのシグナルを、第1及び第2及び第3の標識のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、第4の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートした際に、第4の標識オリゴヌクレオチドが可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の第4の標識の発光と比較して、第4の標識からの発光を変更する(例えば、消光する)第4の標識オリゴヌクレオチド、及び
一本鎖又は二本鎖の第4の増幅産物ポリヌクレオチドであり、第4の増幅産物ポリヌクレオチドが、第4の標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む(例えば、増幅産物鎖の5’末端に)第4の増幅産物ポリヌクレオチド。
【0102】
本発明による好ましい幾つかの他の実施形態では、上述の標識オリゴヌクレオチドのいずれか1つ(又は2、3、若しくは4つ)の配列及び標識を含む少なくとも2つ以上の異なる増幅産物が存在する。例えば、これらは、反応混合物中に2つの変異体テンプレートが存在し、そのため2つの増幅産物が産生された場合に産生されることになる。同じ標識オリゴヌクレオチドから産生された複数の増幅産物が存在する幾つかの実施形態では、異なる増幅産物変異体は、少なくとも5℃互いに異なる融解温度を有しており、それにより融解曲線分析で各々の検出が可能になる。
【0103】
本発明による好ましい幾つかの更なる実施形態では、異なる標識オリゴヌクレオチドに由来する増幅産物は、少なくとも5、10、15、又は20個以上の連続した共通のヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、異なる標識オリゴヌクレオチドに由来する増幅産物は、共通の遺伝子又はウイルス供給源若しくは細菌供給源から産生される(例えば、各増幅産物は、増幅されたHPV核酸である)。これら実施形態の幾つかでは、異なる標識オリゴヌクレオチドに由来する増幅産物は、少なくとも5、10、15、又は20個以上の連続した共通のヌクレオチドを含んでいない。
【0104】
VIII.キット
本発明の方法で使用される反応混合物又はそれらの成分(例えば、プライマー及び/又は発光変更物質)は、随意にキットに包装される。加えて、キットは、標的核酸ハイブリダイゼーション、増幅、及び検出に必要とされる適切に包装にされた試薬及び物質、そのような緩衝液、酵素、DNA標準物質、塩、金属イオン、プライマー、伸長可能なヌクレオチド又はターミネーターヌクレオチド、グリセロール、ジメチルスルホキシド、ポリrA等、並びに特定のアッセイを実施するための説明書を含むこともできる。プローブ及び発光変更物質等のキット構成要素は、典型的には1つ又は複数の容器で提供される。これら実施形態の幾つかでは、キットは、例えば加ピロリン酸分解を最小限にするために使用される少なくとも1つのピロホスファターゼ(例えば、熱安定ピロホスファターゼ)及び/又は例えばキャリーオーバー汚染からの保護が望ましい応用で使用されるウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)を更に含む。キット構成要素の2つ以上を、同じ容器内に包装してもよい。
【0105】
IX.システム
幾つかの実施形態では、本発明は、Tm決定を行うための統合型システムを提供する。本システムは、収集したデータを解釈及び分析するための装置及び手段を含むことができ、特に、Tmを導出するための手段は、アルゴリズム及び/又は電子的に格納された情報(例えば、収集した蛍光データ、予測Tm相関性等)を含む。本統合型システムの各部分は、機能的に相互接続することができ、ある場合には物理的に接続することができる。幾つかの実施形態では、本統合型システムは自動化されており、Tm分析を開始した後は、操作者による試料又は装置の操作が全く必要とされない。
【0106】
本発明のシステムは、装置を含むことができる。例えば、本発明は、蛍光検出器(例えば、蛍光分光光度計)等の検出器を含むことができる。例えばTmプローブの発光部分からの発光をモニター/測定するために、1つ又は複数の検出器を本発明と共に使用することができる。検出器は、Tmアッセイのハイスループット能力を促進するために、マルチウエルプレート読み取り器の形態であってもよい。
【0107】
幾つかの実施形態では、本統合型システムは、Tm融解分析の温度を制御するための熱サイクルデバイス又はサーモサイクラーを含む。幾つかの実施形態では、熱サイクルデバイス及び検出器は、熱サイクル及び発光検出(例えば、蛍光検出)が同じデバイスで行われる統合型装置である。
【0108】
検出器、例えば蛍光分光光度計は、分光光度計の操作パラメーター(例えば、励起波長及び/又は検出発光の波長)を制御するための及び/又は検出器から収集されたデータ(例えば、融解曲線分析中の蛍光測定)を保存するためのコンピューターに接続することができる。コンピューターは、本システムの温度、温度変化のタイミング及び/又は速度を制御する熱サイクルデバイスに作働可能に接続することもできる。統合型コンピューターは、検出器から収集されたデータが分析され、標的ハイブリダイゼーション複合体のTmが決定される(電子的に)「相関モジュール」を含有することもできる。幾つかの実施形態では、相関モジュールは、検出器からの蛍光測定に基づいてTmを計算し、ある場合には、随意に、Tm結果に基づいて試料のウイルス遺伝子型情報を導出するコンピュータープログラムを含む。幾つかの実施形態では、相関モジュールは、試料のTmを、既知変異体タイプ(例えば、既知ウイルス変異体、既知SNP等)のTm値のデータベース(又は表)と比較して、未知試料のTmと未知試料の変異体遺伝子型とを相関させる。
【0109】
幾つかの態様では、ハイブリダイゼーション複合体のTmを決定するための本発明のシステムは、本明細書に記述されているような反応混合物を含む。本システムは、ある範囲の温度にわたって融解反応の温度を制御するための熱制御デバイスも含んでおり、その温度範囲は、本質的に全てのプローブ分子が所与のハイブリダイゼーション条件セット下でハイブリダイゼーション標的とアニーリングする温度、標的ハイブリダイゼーション複合体の50%が解離する温度、及びプローブ分子がハイブリダイゼーション標的と本質的にアニーリングせず、ハイブリダイゼーション複合体がハイブリダイゼーション条件化で本質的に存在しない温度を含む。本システムは、その温度範囲にわたって融解反応からのシグナルを測定するため検出器、及び作働可能に検出器に接続されており、その温度範囲にわたるシグナル測定を受け取る相関モジュールも更に含むことができ、相関モジュールは、温度の関数として、信号強度を、可溶性発光変更物質との混合物中のプローブ及びハイブリダイゼーション標的を含むハイブリダイゼーション複合体の存在と関連させて、それにより標的ハイブリダイゼーション複合体のTmを決定する。幾つかの態様では、プローブの発光部分は、FRETドナー部分である。
【0110】
本発明は、標的核酸を検出するためにシステムも提供する。本システムは、本明細書に記述されているような1つ又は複数の標識オリゴヌクレオチド及び1つ又は複数の発光変更物質を含む。ある実施形態では、オリゴヌクレオチドは固体支持体に配置されているが、他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば溶液中で実施されるアッセイの場合、1つ又は複数の容器で提供される。本システムは、試料に由来する核酸及び/又はその増幅産物を検出する少なくとも1つの検出器(例えば、分光計等)も含む。加えて、本システムは、容器又は固体支持体に作働可能に接続されており容器又は固体支持体の温度を調節する少なくとも1つの熱モジュレーター(例えば、熱サイクルデバイス等)、並びに/又は例えば1つ若しくは複数の核酸増幅技術及び/若しくは核酸ハイブリダイゼーションアッセイを容器及び固体支持体で実施するために、液体を容器若しくは固体支持体に及び/又は容器若しくは固体支持体から移動させる少なくとも1つの液体移動構成部分(例えば、自動化ピペッター等)も随意に含む。
【0111】
検出器は、典型的には、例えば、所与のアッセイシステムの別の構成部分に又はその近傍に(例えば、容器中、固体支持体上等に)、生成された検知可能なシグナルを検出するように構築されている。本明細書で随意に使用されるか又は使用に適合される好適なシグナル検出器は、例えば、蛍光、リン光、放射能、吸光度、屈折率、ルミネセンス、又は質量等を検出する。検出器は、随意に、例えば所与のアッセイステップの実施の上流及び/又は下流からの1つ又は複数のシグナルをモニターする。例えば、検出器は、随意に複数の光学シグナルをモニターし、これは「リアルタイム」結果に次ぐもの相当する。検出器又はセンサーの例には、光電増倍管、CCDアレイ、光学センサー、温度センサー、圧力センサー、pHセンサー、導電率センサー、又は走査検出器等が含まれる。本発明の方法を実施する際に随意に使用されるより具体的な例示的検出器には、例えば、共鳴光散乱検出器、発光分光器、蛍光分光器、リン光分光器、ルミネセンス分光器、分光光度計、及び光度計等が含まれる。検出器は、Skoog et al., Principles of Instrumental Analysis, 5th Ed. , Harcourt Brace College Publishers (1998)、及びCurrell, Analytical Instrumentation: Performance Characteristics and Quality, John Wiley & Sons, Inc. (2000)にも記述されている。
【0112】
本発明のシステムは、典型的には、構成部分の作働を制御するために、システムの1つ又は複数の構成部分(例えば、検出器、熱モジュレーター、液体移動構成部分等)に作働可能に接続されているコントローラーも含む。より具体的には、コントローラーは、一般的に、例えば、検出器からデータを受け取るために、容器の温度を達成及び/又は制御するために、及び/又は選択された容器への又はからの流量を達成及び/又は制御する等のために使用される分離型又は統合型システム構成部分のいずれかとして含まれる。コントローラー及び/又は他のシステム構成部分は、随意に、適切にプログラムされたプロセッサー、コンピューター、デジタルデバイス、又は他の情報機器(例えば、必要に応じて、アナログ‐デジタル又はデジタル‐アナログ変換器を含む)に接続されており、あらかじめプログラムされているか又は使用者が入力した指示に従って、これら装置の作働を指示し、これら装置からのデータ及び情報を受け取り、この情報を解釈し、操作し、使用者に報告するように機能する。好適なコントローラーは、当技術分野で一般的に知られており、種々の商業的供給業者から入手可能である。
【0113】
任意のコントローラー又はコンピューターは、随意にモニターを含んでおり、モニターは、陰極線管(「CRT」)ディスプレイ、平面パネルディスプレイ(例えば、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイ等)又はその他であることが多い。コンピューター回路は、箱に設置されていることが多く、箱は、マイクロプロセッサー、メモリ、インターフェース回路、及びその他等の多数の集積回路チップを含む。箱は、随意に、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、書込可能なCD−ROM等の高容量リムーバブルドライブ、及び他の一般的な周辺部品も含む。キーボード又はマウスなどの入力デバイスが、随意に、使用者からの入力用に備えられている。これらの構成部分は、下記に更に例示されている。
【0114】
コンピューターは、典型的には、使用者が一組のパラメーターフィールドに入力する形態、例えばGUI、又は指示があらかじめプログラムされている形態、例えば、様々な異なる特定の操作のためにあらかじめプログラムされている形態のいずれかで、使用者の指示を受け取るための適切なソフトウェアを含む。その後、ソフトウェアは、これら指示を適切な言語に変換して、1つ又は複数のコントローラーに操作を指示し、所望の操作を実行する。その後、コンピューターは、例えばシステム内に含まれているセンサー/検出器からデータを受け取り、データを解釈し、それを使用者に理解される形式で提供するか、又は例えば重量計等から受け取った液体重量データに応じて流量レギュレーターを制御する等のプログラミングに従って、更なるコントローラー指示を開始するためにそのデータを使用するかのいずれかである。
【0115】
実施例
ニューメチレンブルーを用いた増幅産物融解用の物質及び方法
プライマー
このアッセイでは、遺伝子型特異的標識プライマーのみを使用し、プローブは使用しなかった。プライマーは、一般的に、上流プライマー、下流プライマー、又は両プライマーのいずれかの5’末端を、FAM、HEX、JA270、又はCy5.5で標識する。中間部が標識されたプライマーを使用することもできる。プライマーは、一般的に16塩基対以上の長さであり、様々な長さ及び溶融温度の増幅産物を産生するように設計する。
【0116】
基本混合物
0.00625μg/μlのニューメチレンブルーを、液体消光体としてPCR基本混合物に添加した。ZO5 Goldポリメラーゼを、60Uの終濃度で使用した。上流及び下流プライマーを、各々0.25μMの等量で使用した。
【0117】
PCR及び溶解プロファイル
実験は、以下のプロファイルを用いてZ480で実施した。ステップ1、55℃で2分間、ステップ2、95℃で9分間、ステップ3、95℃で30秒間、その後55℃で45秒間×60サイクル、ステップ4、95℃で10秒間、その後40℃で2分間、及び90℃、1℃当たり連続3回測定。
【0118】
グラフの説明
HEX45及びHEX16
HPVタイプ45及び16を、上記で言及した条件下で実施した。図1を参照されたい。A1:HEX45は、一方のプライマーの5’末端がHEXで標識され、HPV45プラスミドのバックグラウンドで増幅されたHPV45プライマーを表す。C1:16HEXは、一方のプライマーの中間部がHEXで標識され、HPV16プラスミドのバックグラウンドで増幅されたHPV16プライマーである。E11:HEX16/45+FAM31/39は、HPV16、45、31、及び39プラスミドのバックグラウンドと混合及び増幅されたHPV16、45、31、及び39プライマーである。B2及びD2は、無テンプレート対照である。
【0119】
結果
HPV16及び45の溶解ピークは、FAM標識プライマーと多重化した際、正確なTmで視認される。
【0120】
FAM31及びFAM39
HPVタイプ31及び39を、上記で言及した条件下で実施した。図2を参照されたい。E3:FAM31は、一方のプライマーの5’末端がFAMで標識され、HPV31プラスミドで増幅されたHPV31プライマーを表す。G1:FAM39は、一方のプライマーの5’末端がFAMで標識され、HPV39プラスミドで増幅されたHPV39プライマーである。E11:HEX HEX16/45+FAM31/39は、HPV16、45、31、及び39プラスミドのバックグラウンドで混合及び増幅されたHPV16、45、31、及び39プライマーである。F2及びH2は、無テンプレート対照である。
【0121】
結果
HPV31及び39は、別々に増幅された際、別個の溶解ピークを示す。しかしながら、溶解ピークTmは非常に接近しており、そのため、一緒に増幅すると小さな幅広いピークをもたらす。2つの別個のピークが好ましい結果であるが、この幅広いピークは、これら両方のHPVタイプの存在に固有な特徴である。
【0122】
全体的な多重化結果
現行技術では、1チャネル当たり4つの異なる増幅産物を、68℃〜83℃の範囲で溶解させ、4チャネルシステムで合計16個の溶解、5チャネルシステムでは20個の溶解を得ることができることが示唆された。
【0123】
本明細書に記述されている例及び実施形態は、例示を目的としているに過ぎず、本明細書に照らした種々の改変又は変更が、当業者に示唆されており、本出願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれることになることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸が少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある場合に、試料中の標的核酸変異体の存在又は非存在を検出する方法であって、
(a)第1の標識を含む少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで前記第1の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、前記標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、前記標的核酸の少なくともサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で前記標識オリゴヌクレオチドが前記標的核酸とハイブリダイズし、
(b)少なくとも1つの可溶性発光変更物質を準備すること、ここで前記変更物質が、前記標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAと非共有結合で結合する際に、前記可溶性発光変更物質の存在下で前記標識オリゴヌクレオチドが一本鎖である時の前記第1の標識の発光と比較して、前記第1の標識からの発光を変更し、
(c)選択された条件下での増幅反応において前記標識オリゴヌクレオチド及び前記可溶性発光変更物質の存在下で前記試料中の前記標的核酸を増幅すること、そのため、前記標識オリゴヌクレオチドが伸長されて、前記標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている第1の標識増幅産物が産生され、前記第1の標識増幅産物が、少なくとも2つの標的核酸変異体のうちどれが増幅されるか応じて、異なる融解温度を有し、
(d)温度を変化させながら前記標識のシグナルをモニターすることにより、前記増幅産物の融解温度を検出すること、及び
(e)前記融解温度を、少なくとも2つの標的変異体のうちの1つの存在と相関させ、それにより試料中の標的核酸変異体の存在又は非存在を検出することを含む方法。
【請求項2】
第2の標識を含む第2の標識オリゴヌクレオチドを準備することを更に含み、前記第2の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、前記第2の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある前記標的核酸の少なくとも第2のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で前記第2の標識オリゴヌクレオチドが前記第2の標的核酸とハイブリダイズし、前記第2の標識からのシグナルを、前記第1の標識のシグナルと区別することができ、
前記少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、前記第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートした際に、前記第2の標識オリゴヌクレオチドが、前記可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の前記第2の標識の発光と比較して、前記第2の標識からの発光を変更し、
前記試料が、前記標的核酸の少なくとも1つの変異体を含み、前記増幅ステップ(c)が、前記増幅反応において前記第2の標識オリゴヌクレオチドの存在下で前記試料中の核酸を増幅することを更に含み、そのため前記第2の標識オリゴヌクレオチドが伸長されて、前記第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている第2の標識増幅産物が産生され、前記第2の標識増幅産物が、少なくとも2つの標的核酸変異体のうちどれが増幅されるかに応じて、異なる融解温度を有し、
前記検出ステップ(d)が、温度を変化させながら前記第2の標識のシグナルをモニターすることにより、前記第2の標識増幅産物の融解温度を検出することを更に含み、
前記相関ステップ(e)が、前記第2の標識増幅産物の融解温度を、第2の標的核酸変異体の存在と相関させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変更物質が、ジアジン染料、チアジン染料、アゾカルミン染料、フェナジン染料、オキサジン染料、ジエチルサフラニンアゾジメチルアニリンクロリド、メチレンブルー、メチレングリーン、チオニン、1,9−ジメチルメチレンブルー、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO、ニューメチレンブルー、メチレンバイオレットベルントゼン(bernthsen)、アズールA、アズールB、及びアズールCからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の標識及び/又は前記第2の標識が、ローダミン染料、フルオレッセイン染料、及びシアニン染料からなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記標的核酸が、ヒト、動物、癌遺伝子、細菌、又はウイルス核酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの変異体の増幅産物の融解温度が、少なくとも5℃異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
標的核酸と、
第1の標識を含む少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドであり、前記第1の標識が少なくとも1つの発光部分を含み、前記標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、前記標的核酸の少なくともサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で前記標識オリゴヌクレオチドが前記標的核酸とハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチドと、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質であり、前記変更物質が、前記標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAと結合する際に、前記可溶性発光変更物質の存在下で前記標識オリゴヌクレオチドが一本鎖である時の前記第1の標識の発光と比較して、前記第1の標識からの発光を変更する可溶性発光変更物質と、
一本鎖又は二本鎖の第2の増幅産物ポリヌクレオチドであり、前記第1の増幅産物ポリヌクレオチドが、前記標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む第2の増幅産物ポリヌクレオチドとを含む反応混合物。
【請求項8】
100ヌクレオチド未満の長さを有する前記オリゴヌクレオチドが全て標識される、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項9】
前記反応混合物中の前記オリゴヌクレオチドが全て標識される、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項10】
前記反応混合物が、緩衝液、塩、金属イオン、ヌクレオチド組み込み生体触媒、又はデオキシリボヌクレオチドの1つ又は複数を更に含む、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項11】
前記変更物質が、ジアジン染料、チアジン染料、アゾカルミン染料、フェナジン染料、オキサジン染料、ジエチルサフラニンアゾジメチルアニリンクロリド、メチレンブルー、メチレングリーン、チオニン、1,9−ジメチルメチレンブルー、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO、ニューメチレンブルー、メチレンバイオレットベルントゼン(bernthsen)、アズールA、アズールB、及びアズールCからなる群から選択される、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項12】
前記第1の標識が、ローダミン染料、フルオレッセイン染料、及びシアニン染料からなる群から選択される、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項13】
前記標的核酸が、ヒト、動物、癌遺伝子、細菌、又はウイルス核酸である、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項14】
第2の標識を含む第2の標識オリゴヌクレオチドであり、前記第2の標識が、少なくとも1つの発光部分を含み、前記第2の標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列は、少なくとも2つの変異体で生じる可能性がある前記標的核酸の少なくとも第2のサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で前記第2の標識オリゴヌクレオチドが前記第2の標的核酸とハイブリダイズし、前記第2の標識からのシグナルを、前記第1の標識のシグナルと区別することができ、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質が、前記第2の標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAにインターカレートした際に、前記第2の標識オリゴヌクレオチドが、前記可溶性発光変更物質の存在下で一本鎖である時の前記第2の標識の発光と比較して、前記第2の標識からの発光を変更する第2の標識オリゴヌクレオチドと、
一本鎖又は二本鎖の第2の増幅産物ポリヌクレオチドであり、前記第1の増幅産物ポリヌクレオチドが、前記標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む第2の増幅産物ポリヌクレオチドとを更に含む、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の方法により試料中の標的核酸変異体の存在又は非存在を検出するためのキットであって、
第1の標識を含む少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドであり、前記第1の標識が少なくとも1つの発光部分を含み、前記標識オリゴヌクレオチドの少なくともサブ配列が、前記標的核酸の少なくともサブ配列と十分に相補的であり、そのため、選択された条件下で前記標識オリゴヌクレオチドが前記標的核酸とハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチドと、
少なくとも1つの可溶性発光変更物質であり、前記変更物質が、前記標識オリゴヌクレオチドが組み込まれている二本鎖DNAと結合する際に、前記可溶性発光変更物質の存在下で前記標識オリゴヌクレオチドが一本鎖である時の前記第1の標識の発光と比較して、前記第1の標識からの発光を変更する可溶性発光変更物質と、
一本鎖又は二本鎖の第2の増幅産物ポリヌクレオチドであり、前記第1の増幅産物ポリヌクレオチドが、前記標識オリゴヌクレオチドの標識及び配列を含む第2の増幅産物ポリヌクレオチドとを含むキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−502638(P2012−502638A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527239(P2011−527239)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006688
【国際公開番号】WO2010/031539
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】