説明

蛍光灯カバー、蛍光灯の保護構造およびその設置方法

【課題】蛍光灯の破損に対してガラスの破片の飛散を確実に防止でき、蛍光灯のサイズや設置状態に容易に対応でき、設置、交換が容易で、かつ衝撃等では外れにくく、リサイクル時の蛍光灯との分別が行いやすく、さらに部材数が少なく部材の構造が単純で製造しやすく製造コストも低い蛍光灯カバーを提供する。
【解決手段】透光性を有する素材で蛍光灯とその両端のソケットまでの長さに成形される断面ほぼU字形を呈するカバー本体20と、前記カバー本体20のU字形の長さ方向両側端部に沿って外径方向に折曲可能に延長される対の固定用支片30とを備え、前記固定用支片30を長さ方向両側端部から外方へ折曲して固定するときに、前記カバー本体20が蛍光灯を跨ぐと同時にソケットに密着することを特徴とする蛍光灯カバー10、それを用いた蛍光灯の保護構造およびその設置方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯の飛散防止のための蛍光灯カバー、蛍光灯の保護構造とその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯は、蛍光管部分がガラス管で作られているため、簡単に破損してしまい、割れたガラス管の破片が飛散することが懸念されている。例えば電車車両には大量の蛍光灯が使用されているが、電車車両には多数の乗客があり、出入りも激しいために、蛍光灯と衝突する事故が起こりやすい。破片が飛散した場合、車内では危険が大きく、破片の対処にも危険と非常な時間、手間を伴う。そのため、蛍光灯の飛散防止の手段が望まれている。また、その手段は特に電車車両での大量の蛍光灯への設置、交換が容易であることが望まれる。
【0003】
そこで現在、例えば蛍光灯のガラス管に対して、樹脂製のフィルムを被せる手段が用いられている。こうした樹脂製のフィルムには、本発明者が特許文献1に示すものがある。また、こうしたフィルムは真空パックでガラス管に密着させることで、ガラス管の破損で発生した破片の飛散を防止することも行われている。
【0004】
なお、蛍光灯にカバーを設ける手段としては、特許文献2に示す蛍光灯フィルタが提案されている。この蛍光灯フィルタは、有色透明の合成樹脂材を蛍光管に直接着脱可能に成形したものである。
【0005】
また、特許文献3に示す蛍光灯用紫外線遮断カバーが提案されている。この透明樹脂製カバーは、本体の内側にばね弾性を有する開環状嵌合片が取付けられ、この嵌合片が蛍光灯に着脱自在に嵌合されてカバー本体が蛍光灯を覆うようになされており、上記カバー本体は表面に紫外線カット層が設けられるか又は内部に紫外線カット剤が含有されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−152696号公報
【特許文献2】実開平2−49013号公報
【特許文献3】実開平6−28926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示すような樹脂製のフィルムを、真空パックでガラス管に密着して用いている場合には、蛍光灯をリサイクルする必要が生じた場合に樹脂を分別するためにフィルムを除去する手間を伴う。また、安全対策をさらに完全とするには、フィルムよりも強度が高く、ガラスの破片で破れる可能性も低い安全性の高い飛散防止手段も望まれる。
【0008】
特許文献2に示す蛍光灯フィルタは、合成樹脂材がガラス管に密着しており、ガラス管の太さなどの蛍光灯のサイズごとに成形しなくてはならない。サイズに合致しない場合、蛍光灯フィルタがガラス管に密着せず、サイズのわずかな誤差によってガラス管から外れやすい。ガラス管にはめ込まれる形であるため、衝撃で外れやすい。また蛍光灯を完全に被う形状とはなっていないため、ガラス管の破損が生じた場合は飛散を完全に防止できない。また蛍光灯フィルタに覆われていない蛍光灯の上部に埃などがたまることがあり、汚れの元となり、特に食品加工工場などでは異物混入の原因にもなる。
【0009】
特許文献3に示す蛍光灯用紫外線遮断カバーは、開環状嵌合片は蛍光灯のガラス管に対して保持するために、カバーに与えられた外部の衝撃はガラス管に直接伝わり、ガラス管の破損のおそれが大きく、ガラス管が破損した際にはカバーも脱落するので、飛散を防止できない。また、開環状嵌合片やカバーをガラス管の太さにあわせて成形しなくてはならず、特許文献2と同様にサイズのわずかな誤差によって外れやすい問題がある。また特許文献2同様に衝撃で外れやすい問題もある。開環状嵌合片を設けるため部材数が増えてカバー一個ごとのコストが増加し、リサイクル時には金属部品の分別を要する。さらに、この蛍光灯用紫外線遮断カバーも、蛍光灯を完全に被う形状とはなっていないため、ガラス管の破損が生じた場合は飛散を完全に防止できない。この蛍光灯用紫外線遮断カバーも、カバーに覆われていない蛍光灯の上部に埃などがたまることがある。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、蛍光灯の破損に対してガラスの破片の飛散を確実に防止でき、蛍光灯のサイズや設置状態に容易に対応でき、設置、交換が容易で、かつ衝撃等では外れにくく、蛍光灯を天井壁部との間で完全に覆うことができ、リサイクル時の蛍光灯との分別が行いやすく、さらに部材数が少なく部材の構造が単純で製造しやすく製造コストも低い蛍光灯カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の蛍光灯カバーは、透光性を有する素材で蛍光灯とその両端のソケットまでの長さに成形される断面ほぼU字形を呈するカバー本体と、前記カバー本体のU字形の長さ方向両側端部に沿って外径方向に折曲可能に延長される対の固定用支片とを備え、前記固定用支片を長さ方向両側端部から外方へ折曲して固定するときに、前記カバー本体が蛍光灯を跨ぐと同時にソケットに密着することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の蛍光灯の保護構造は、前記蛍光灯カバーによって蛍光灯が被覆されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の蛍光灯カバーの設置方法は、透光性を有する素材で蛍光灯とその両端のソケットまでの長さに成形される断面ほぼU字形を呈するカバー本体と、前記カバー本体のU字形の長さ方向両側端部に沿って外径方向に折曲可能に延長される対の固定用支片とを備えた蛍光灯カバーを用意し、前記固定用支片を外径方向に折り曲げ、前記蛍光灯を前記ソケットに密着する前記カバー本体で被覆し、前記固定用支片を壁面に接着することを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、カバー本体は光を遮らずに蛍光灯を被覆可能で、両端の端部がソケットに密着し、断面U字型のカバー本体がソケットよりも径の小さいガラス管を跨ぎ、ガラス管とカバー本体の間に空隙を備えて被覆する。
カバー本体が蛍光灯を被覆した状態では、前記固定用支片が壁面に対向する。前記固定用支片を天井などの壁面に固定することで、カバー本体と固定用支片とソケットとで、蛍光灯が収納、密閉される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蛍光灯が破損しても、カバー本体と固定用支片とソケットとで密閉、収納されているので、破片の飛散を確実に防止できる。カバー本体とガラス管との間に空隙があり、ガラス管の太さによらず被覆できる。空隙のため蛍光灯からの発熱による蛍光灯カバーの破損が起こりにくい。蛍光灯を天井壁部との間で完全に覆うことができ、蛍光灯の上部に埃などの異物が蓄積するといったことがない。蛍光灯のサイズや設置状態に容易に対応でき、設置、交換が容易で、かつ固定用支片の面積による種々の固定手段を採ることで衝撃等では外れにくく、リサイクル時の蛍光灯との分別が行いやすい。さらに部材数が少なく部材の構造が単純で製造しやすく製造コストも低い蛍光灯カバーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る蛍光灯カバーの斜視図である。
【図2】図1の蛍光灯カバーの設置を示す概略図である。
【図3】図1の蛍光灯カバーの設置時の端面断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る蛍光灯カバーの要部断面図である。
【図5】第3の実施形態に係る蛍光灯カバーの要部断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る蛍光灯カバーの要部断面図である。
【図7】図6の蛍光灯カバーの設置を示す概略図である。
【図8】第5の実施形態に係る蛍光灯カバーの断面図である。
【図9】図8の蛍光灯カバーの設置を示す概略図である。
【図10】第6の実施形態に係る蛍光灯カバーの斜視図である。
【図11】図10の蛍光灯カバーの使用時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る封止筒及び蛍光灯の飛散防止構造について、図面を参照して説明する。
【0018】
〔基本的構成〕
まず、蛍光灯カバー10は、図1に示すように、透光性を有する素材で蛍光灯40とその両端のソケット41までの長さに成形される断面ほぼU字形を呈するカバー本体20と、カバー本体20のU字形の長さ方向両側端部に沿って外径方向に折曲可能に延長される対の固定用支片30と、からなる。
【0019】
蛍光灯カバー10の透光性を有する素材とは、透明もしくは半透明の素材を指す。こうした性質を有し得る素材に、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂がある。また、蛍光灯カバー10の素材はある程度の保形性を有することが望まれる。ここで言う保形性とは、外部から衝撃が加わっても容易に変形して破れたりしない特性を指し、素材によっても左右されるが、少なくともガラス管42のガラスの破片や外的衝撃等で破損しない程度のものが望まれる。
なお、カバー本体20は紫外線遮蔽性を有することが好ましい。カバー本体20に配合される紫外線防止剤としては、例えばベンゾフェノン系、あるいはベンゾトリアゾール系、あるいはシアノアクリレート系の材料から選ばれることが望ましい。これによって、紫外線は約99%カットされ、褪色抑制や防虫効果を得ることができる。
【0020】
カバー本体20が断面ほぼU字形を呈するとは、断面が半円、半楕円、多角などをなし、使用時にU字の底面が下になるような形をなしていることを指す。
【0021】
次に、固定用支片30は、前記カバー本体20のU字形の長さ方向両側端部に沿って外径方向に折曲可能に延長されるよう構成されている。
【0022】
外径方向に折曲可能とは、力を加えると容易に折り曲げや変形などを行うことのできる可撓性を有することを差す。図2(a)に示した例では、折曲可能とするために、カバー本体20のU字形の長さ方向両側端部に沿って、薄型に成形された折曲部31が設けられている。折曲部31は、厚みが薄いことで、力を加えたときに曲がり、折り目が生じやすくなっている箇所であり、長さ方向両側端部に沿って設けられていることで、U字形の長さ方向に沿って折り目が生じやすくなっている。
【0023】
カバー本体20の厚みDと、薄型に成形された折曲部31の厚みdの関係は、カバー本体20が300〜1000μmで、折曲部31の厚みはその20〜80%程度であると、カバー本体20の保形性と折曲部31の折り曲げやすさの両立の関係から望ましい。折曲部31が薄すぎると強度が弱くなり、分厚すぎると柔軟性が低く折り曲げにくく、形状が戻りやすいので、蛍光灯40を覆う際に外径方向に折曲された形状を保持しにくくなる。特にカバー本体20の厚みは400〜600μm、折曲部31の厚みはカバー本体20の40〜60%であると、適切な強度があり、かつ折り曲げた際に接着剤やテープ等で形状を保持できる程度の柔軟性を持つ。
【0024】
折曲部31は、蛍光灯カバー10に図5のような段差や図1、4、6のような溝が設けられていてもよい。段差や溝は、蛍光灯カバー10の表裏どちらに設けられていても折り曲げることができる。例えば表側に設けると、折り曲げた際に溝の縁同士がぶつかることで折り曲げの角度が一定に固定される。溝の形状も半円や多角状、V字型などでもよく、例えば蛍光灯カバー10の表側にV字型の溝を設けると、V字型の角度の設定によって折り曲げの角度を調整することができる。一方で、溝が裏側に設けられていると、縁がぶつからないので折り曲げの操作自体が行いやすい利点がある。
折曲部31は、蛍光灯カバー10が蛍光灯40を被覆した際にソケット41に密着するよう、折曲部31の位置はトンネル状の高さがソケット41の高さLに等しくなるよう設けられていることが望ましいが、さまざまな大きさの蛍光灯40、ソケット41に対応できるよう、折曲部31が広範囲に設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
【0025】
次に、蛍光灯カバー10は、固定用支片30を長さ方向両側端部から外方へ折曲して固定するときに、前記カバー本体20が蛍光灯40を跨ぐと同時にソケット41に密着するよう構成されてなる。
【0026】
蛍光灯40は、図2(a)に示すように、蛍光灯40を取付ける壁や天井などの、壁面50に設けられた一対のソケット41にはめ込まれる形で設置されているものである。ソケット41は、例えば図2(a)に示すように、断面が略半角丸長方形や略半円状をなして、その外径が蛍光灯40の径よりも大きく形成された状態で、壁面50から突出している場合がある。カバー本体20は、この蛍光灯40を跨ぐよう形成され、蛍光灯40の長さ以上の長さを有し、カバー本体20の端部20a、20bが蛍光灯40を壁面50に固定するソケット41に密着可能なよう構成されている。このとき、カバー本体20は、蛍光灯40よりも長いことで一対のソケット41の間を渡し、U字型は端部20a、20bが図3(a)に示すようにソケット41にかぶさり、ソケット41の曲面に密着する。図3(b)に示すように、蛍光灯40の径がソケット41の外径よりも小さいので、U字型が蛍光灯40をまたぐ形をなし、カバー本体20とガラス管42との間には空隙Gを備える。
【0027】
次に、この構成の蛍光灯カバー10の設置方法について説明する。まず、図2(a)に示すように、蛍光灯カバー10を用意し、固定用支片30を前記トンネル状の外側に向けて折り曲げ、壁面50に固定された前記蛍光灯40を前記カバー本体20で被覆する。
【0028】
ついで、固定用支片30を前記壁面50に接着する。すなわち、図2(b)に示すように、壁面50に対向している固定用支片30を壁面50に当接したあと、テープや接着剤などの手段で接着する。交換を容易とするため、テープ、接着剤ともに再剥離が可能なものが望ましい。
【0029】
この蛍光灯の保護構造60は、固定用支片30の面積が壁面50に対して固定されることで、蛍光灯カバー10の固定が確保され、衝撃等では外れにくくなり、またソケット41と端部20a、20bとの密着も確保されているので、蛍光灯40が破損した場合もガラス片の飛散が防止される。
【0030】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明の第1の実施形態に係る蛍光灯カバーの斜視図、図2は図1の蛍光灯カバーの設置を示す概略図、図3は図1の蛍光灯カバーの設置時の端面断面図である。
【0031】
この実施形態では、蛍光灯カバー10は、カバー本体20の厚みは500μm、固定用支片30の厚みはその略半分に成形されている。カバー本体20は、トンネル状の内径の高さLがソケット41の高さLと同じになるよう形成されている。
【0032】
折曲部31は、蛍光灯カバー10の表側の面のカバー本体20と固定用支片30の接合部に設けられた溝となっている。
【0033】
固定用支片30には、カバー本体20のU字型の内径方向に接着手段が設けられている。接着手段は、固定用支片30を外径方向に折り曲げ、壁面50に当接するようにした場合、壁面50に対して接着可能な手段である。図に示した例では、粘着性のある薬剤が設けられた層である接着層32と、接着層32から剥離可能で接着前に粘着性の薬剤を保護する接着層保護シート33が設けられている。なお、接着層32は両面テープなどであってもよい。
【0034】
この蛍光灯カバー10を設置する際には、図2(a)に示すように、固定用支片30を外径方向に折り曲げた後、接着層保護シート33を剥がし、接着層32を介して固定用支片30を壁面50に接着する。図3に示すように、固定用支片30は接着層32を介して全面が壁面50に密着する。
【0035】
さらに、この実施形態では、図2(b)に示すようにソケット41とカバー本体20の端部20a、20bの密着部に粘着テープ34を貼り付けてシーリングすることもできる。粘着テープ34は、塩化ビニールテープやフッ素テープが好適である。粘着テープ34によるシーリングで、蛍光灯40を密閉し、破損した蛍光灯40の飛散防止効果を高めることができる。
なお、図示しないが、カバー本体20の端部20a、20bにも同様に接着層32、接着層保護シート33が設けられていてもよく、カバー本体20を接着層32によってソケット41に接着し、密着することができる。
【0036】
上記構成によれば、固定用支片30を折り曲げる際に折曲部31の溝から曲がりやすいので、折り曲げる位置が決めやすい。特に、あらかじめソケット41のサイズが決まっている場合にこの形で形成されていれば、極めて設置がしやすい。
【0037】
上記構成によれば、接着層32によって固定用支片30を容易に、高い密着力によって壁面50に密着させることができる。
【0038】
〔第2の実施形態〕
図4は本発明の第2の実施形態に係る蛍光灯カバーの要部断面図である。この蛍光灯カバー10aは、折曲部31が溝となっており、複数設けられている。さらに、接着層保護シート33には、折曲部31と同位置の裏側にあたる部分にミシン目が設けられており、ミシン目の切れ目35で一部を千切って剥がせるように分断されている。
【0039】
上記構成によれば、固定用支片30を折り曲げる際に折曲部31の溝から曲がりやすいので、折り曲げる位置が決めやすいが、折曲部31が複数設けられているので、何段階かのソケット41のサイズに対して対応が可能となっている。また、接着層保護シート33にミシン目が設けられているので、折り曲げる位置にしたがって一部のシートだけを除去し一部の接着層32を使用することができる。
【0040】
その他の構成は、第1の実施形態に係る蛍光灯カバー10と相違しないので、同一符号を付して説明を省略する。作用・効果についても、第1の実施形態の場合と同一部分については説明を省略する。
【0041】
〔第3の実施形態〕
図5は本発明の第3の実施形態に係る蛍光灯カバーの要部断面図である。この実施形態では、折曲部31bが、蛍光灯カバー10の外径側の面の固定用支片30aの全面に設けられている。すなわち、カバー本体20に対して厚みの薄い固定用支片30aが段差状に設けられている。
【0042】
上記構成によれば、固定用支片30aを折り曲げる際、段差状の部分から容易に折り曲げることができるが、固定用支片30aはどの部分でも折り曲げることができるので、サイズが異なるソケット41に対して用いることもできる。また、蛍光灯カバー10の加工が容易である。なお、第2の実施形態と同様に接着層保護シート33には折曲部31bと同位置の裏側にあたる部分にミシン目の切れ目35を設けられ、使用する部分の接着層保護シート33のみを剥がすことができる。
【0043】
その他の構成は、第1の実施形態に係る蛍光灯カバー10と相違しないので、同一符号を付して説明を省略する。作用・効果についても、第1の実施形態の場合と同一部分については説明を省略する。
【0044】
〔第4の実施形態〕
図6は本発明の第4の実施形態に係る蛍光灯カバーの要部断面図、図7は図6の蛍光灯カバーの設置を示す概略図である。この実施形態では、蛍光灯カバー10cは固定用支片30の接着層32が省略されている。
【0045】
この実施形態では、固定用支片30を前記壁面50に接着する際に、粘着テープ34cを用いて接着する蛍光灯カバー10cの設置方法を採用する。図7に示すように、壁面50に対向している固定用支片30を壁面50に当接し密着するよう、長手方向の辺30Lの全長にそって、および短手方向の辺30lに対しても少なくとも一部に粘着テープ34cがかぶさって固定するよう貼り付ける。なお、蛍光灯カバー10cの固定と折曲部31の折り曲げを確保するため、辺30lのすべてに渡って貼り付けられていることが望ましい。さらに、短手方向の辺30lから少なくとも0.5cm以上に張り出して壁面50に貼り付けられ、長手方向の辺30Lからは少なくとも固定用支片30の短手方向の長さの半分以上は張り出して壁面50に貼り付けられ、固定用支片30の固定を確保していることが望ましい。さらに、この実施形態では、ソケット41とカバー本体20の端部20a、20bの密着部にも粘着テープ34を貼り付けてシーリングしている。
【0046】
上記構成によれば、粘着テープ34cによる強固な固定を確保することができる。また、蛍光灯40を交換する際には、蛍光灯カバー10cを取り外す必要があるが、このとき粘着テープ34、34cを取り替えれば接着する力を失わないので、蛍光灯40を取り替えても蛍光灯カバー10cは再利用できる。
【0047】
その他の構成は、第1の実施形態に係る蛍光灯カバー10と相違しないので、同一符号を付して説明を省略する。作用・効果についても、第1の実施形態の場合と同一部分については説明を省略する。
【0048】
〔第5の実施形態〕
図8は第5の実施形態に係る蛍光灯カバーの断面図、図9は図8の蛍光灯カバーの設置を示す概略図である。この実施形態では、蛍光灯カバー10dは端部20a、20bの近傍にカバー本体孔20cを備えている。
【0049】
この実施形態は、ソケット41の外装が、車両内で蛍光灯40とソケット41の接合部などを保護するソケットカバー43になっている場合に対応するものである。ソケットカバー43には、壁面50と係止する装置の操作スイッチなどの、ソケットカバー突起44が設けられている。図に示した例では、ソケットカバー突起44は蛍光灯40の長手方向に移動可能なスイッチである。
【0050】
カバー本体孔20cは、カバー本体20がソケットカバー43を外装とするソケット41に密着する際に、ソケットカバー突起44の位置にあたるよう設けられている。カバー本体孔20cは、カバー本体20が被さった時にソケットカバー突起44がカバー本体孔20cを貫通するようになっている。カバー本体孔20cは、このときソケットカバー突起44のスイッチを移動させることができるように、またはある程度位置の調整が可能なように、長手方向に長径な、角丸長方形、長方形、長楕円などに成形されている。図に示した例ではカバー本体孔20cは角丸長方形となっている。
【0051】
その他の構成は、第1の実施形態に係る蛍光灯カバー10と相違しないので、同一符号を付して説明を省略する。作用・効果についても、第1の実施形態の場合と同一部分については説明を省略する。
【0052】
〔第6の実施形態〕
図10は第6の実施形態に係る蛍光灯カバーの断面図、図11は図10の蛍光灯カバーの使用時の斜視図である。この実施形態では、蛍光灯カバー10eは成形時は平らな板状であり、蛍光灯カバー10eの裏側の面の長さ方向の全長に渡って溝状に、本体折曲部21dが設けられている。この本体折曲部21dを折り曲げることで、カバー本体20dは角柱状となり、トンネル状を形成する。上記構成によれば、ソケット41の形状が角状である場合に適している。また、成形時に平らな板状であるため、輸送等の取り扱いが容易である。
【0053】
その他の構成は、第1の実施形態に係る蛍光灯カバー10と相違しないので、同一符号を付して説明を省略する。作用・効果についても、第1の実施形態の場合と同一部分については説明を省略する。
【0054】
〔その他の実施形態〕
本発明は、前記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
10、10a、10b、10c、10d、10e 蛍光灯カバー
20、20d カバー本体
20a、20b 端部
20c カバー本体孔
21c、21d 本体折曲部
30、30a 固定用支片
30L、30l 辺
31、31a、31c 折曲部
32 接着層
33 接着層保護シート
34、34a 粘着テープ
35 切れ目
40 蛍光灯
41 ソケット
42 ガラス管
43 ソケットカバー
44 ソケットカバー突起
50 壁面
60 蛍光灯の保護構造
d、D 厚み
L 高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する素材で蛍光灯とその両端のソケットまでの長さに成形される断面ほぼU字形を呈するカバー本体と、前記カバー本体のU字形の長さ方向両側端部に沿って外径方向に折曲可能に延長される対の固定用支片とを備え、
前記固定用支片を長さ方向両側端部から外方へ折曲して固定するときに、前記カバー本体が蛍光灯を跨ぐと同時にソケットに密着することを特徴とする蛍光灯カバー。
【請求項2】
前記固定用支片の裏面に接着層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光灯カバー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛍光灯カバーによって蛍光灯が被覆されていることを特徴とする蛍光灯の保護構造。
【請求項4】
透光性を有する素材で蛍光灯とその両端のソケットまでの長さに成形される断面ほぼU字形を呈するカバー本体と、前記カバー本体のU字形の長さ方向両側端部に沿って外径方向に折曲可能に延長される対の固定用支片とを備えた蛍光灯カバーを用意し、
前記固定用支片を外径方向に折り曲げ、前記蛍光灯を前記ソケットに密着する前記カバー本体で被覆し、前記固定用支片を壁面に接着することを特徴とする蛍光灯カバーの設置方法。
【請求項5】
前記固定用支片を前記壁面に接着する際に、前記固定用支片の裏側の面に設けられた接着層によって接着することを特徴とする請求項4に記載の蛍光灯カバーの設置方法。
【請求項6】
前記固定用支片を前記壁面に接着する際に、粘着テープを用いて接着することを特徴とする請求項5に記載の蛍光灯カバーの設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−257716(P2010−257716A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105569(P2009−105569)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(507120773)中川化成株式会社 (4)
【Fターム(参考)】