説明

蛍光灯清掃具

【課題】照明器具に装着された蛍光灯を清掃する蛍光灯清掃具において、全体構造の簡素化を図りつつ、清掃時の作業性の改善を図る。
【解決手段】先端側において対向する一対の抱囲片23を有し、これら抱囲片23が近接ないし離間することによって、蛍光灯Fを抱囲する使用状態、および蛍光灯に対して着脱可能な不使用状態に切り替え可能とされたヘッド2と、ヘッド2を支持する支持体1と、を備えた蛍光灯清掃具A1であって、ヘッド2は、一対の抱囲片23につながる基部21を基端側に含んで弾性変形可能に一体形成されたものであり、かつ基部21が支持体1の先端部に嵌挿支持されるとともに、支持体1に対してその軸線O1に沿って移動可能とされている。一対の抱囲片23は、ヘッド2が支持体1に近接すると、相互間の距離が縮小して上記使用状態をとる一方、ヘッド2が支持体1から離間すると、相互間の距離が拡大して上記不使用状態をとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に装着された蛍光灯を清掃するための蛍光灯清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの天井等に設置された蛍光灯について、照明器具に装着された状態のまま清掃可能とされた蛍光灯清掃具が知られている(たとえば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された蛍光灯清掃具は、同文献の図2および図3によく表れているように、蛍光灯の表面に摺接させるためのふき具4と、ふき具4を支持するシャフト(杆2,3)とを有している。ふき具4は、2つの分割片(固定側ふき具4aおよび開閉側ふき具4b)からなり、これら分割片は、ヒンジ8を介して開閉可能とされている。ヒンジ8にはスプリングバネ16が巻装されており、このスプリングバネ16によって、開閉側ふき具4bは閉方向に常時付勢されている。また、開閉側ふき具4bには、杆2,3の内部を挿通する開閉紐24の一端が連結されており、開閉紐24の他端は、杆2の基端において操作部材5に連結されている。
【0003】
蛍光灯を清掃する際には、操作部材5を押し下げることによって開閉紐24が引張られた状態となり、開閉紐24に連結された開閉側ふき具4bを、上記スプリングバネ16の付勢力に抗して開いた状態にすることができる。この開状態において、ふき具4は蛍光灯に対して着脱可能となっている。このような構成の蛍光灯清掃具によれば、作業者の手元における遠隔操作によって、開閉側ふき具4bを開閉操作可能であるので、通常では手の届かない天井等に設置された蛍光灯についても、照明器具に装着したまま清掃することができる。
【0004】
しかしながら、上記構成の蛍光灯清掃具を用いて蛍光灯を清掃する際には、操作部材5の操作が必要であり、その操作が比較的に煩わしい。このため、上記蛍光灯清掃具を用いて行う清掃作業は、その作業性が悪いものとなっていた。また、上記従来の蛍光灯清掃具では、手元の操作部材5によって開閉側ふき具4bを遠隔操作できる反面、開閉側ふき具4b、操作部材5、およびこれらをつなぐ開閉紐24を連係させる必要があることから、全体構造が複雑になり、その結果、重量の増加や製造コストの上昇を招いていた。
【0005】
【特許文献1】特開平7−111144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、照明器具に装着された蛍光灯を清掃する蛍光灯清掃具において、全体構造の簡素化を図りつつ、清掃時の作業性の改善を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明によって提供される蛍光灯清掃具は、先端側において対向配置させられた一対の抱囲片を有し、これら抱囲片が近接ないし離間させられることによって、蛍光灯を抱囲する使用状態、および蛍光灯に対して着脱可能な不使用状態に切り替え可能に構成されたヘッドと、このヘッドを支持する支持体と、を備えた蛍光灯清掃具であって、上記ヘッドは、上記一対の抱囲片のそれぞれにつながる基部を基端側に含んで弾性変形可能に一体形成されたものであり、かつ上記基部が上記支持体の先端部に嵌挿支持されるとともに、上記支持体に対して上記支持体の軸線に沿って移動可能とされており、上記一対の抱囲片は、上記ヘッドが上記支持体に対して近接すると、相互間の距離が縮小して上記使用状態をとる一方、上記ヘッドが上記支持体に対して離間すると、相互間の距離が拡大して上記不使用状態をとるように構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、一対の抱囲片が離間させられた不使用状態にあるヘッドを、支持体に対して近接移動させることにより、ヘッドが弾性変形して一対の抱囲片が互いに近接する使用状態をとることができる。すなわち、支持体に対してヘッドを相対移動させるといった簡単な操作によって、ヘッドを、蛍光灯を抱囲する使用状態にすることができる。したがって、上記構成によれば、全体構造の簡素化を図るともに、清掃時の作業性を改善することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ヘッドの上記基部は、上記一対の抱囲片にそれぞれつながる一対の中間部を有する二股状とされており、上記支持体は、その先端部に設けられ、上記ヘッドが相対的に近接させられるのにともなって上記一対の中間部に対してそれぞれその外側において圧接しうる一対のガイド部を有している。このような構成によれば、ヘッドは、一対のガイド部に案内されてスムーズに弾性変形する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ヘッドおよび上記支持体において凹凸嵌合することにより、上記ヘッドの上記使用状態を維持するロック機構が設けられている。このような構成によれば、ヘッドおよび支持体において凹凸嵌合させてロック機構を機能させることにより、ヘッドの使用状態が維持される。このため、蛍光灯の清掃作業時には、ヘッドを支持体に近接させる力を付与し続ける必要がなく、使い勝手がより良好となる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ヘッドは、上記使用状態において、上記軸線に対してほぼ垂直な回動軸を中心として所定角度範囲内で回動可能とされている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ロック機構は、上記ヘッドの上記一対の中間部にそれぞれ設けられた嵌合穴と、上記支持体の上記一対のガイド部から内側にそれぞれ突出させられた嵌合突部とを備えて構成されており、上記ヘッドは、上記嵌合穴と上記嵌合突部とがそれぞれ嵌合する状態において、上記嵌合突部周りに回動する。このような構成によれば、ロック機構を機能させると、支持体に対するヘッドの回動動作も同時に可能となる。したがって、全体構造の簡素化を図りつつ、ロック機構および回動動作機能などの付加機能を適切に具備することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ロック機構は、上記ヘッドが上記使用状態にあるときに、上記ヘッドに対して上記支持体を上記軸線周りに回動操作すると、上記嵌合穴と上記嵌合突部との嵌合状態が解除されるように構成されている。このような構成によれば、簡単な操作によってロック機構を解除することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ヘッドが上記支持体に対して上記回動軸周りに回動させられた状態において、上記ヘッドと上記支持体との上記回動軸周りの回動を抑制する回動抑制手段が設けられている。このような構成によれば、回動抑制手段によってヘッドの回動軸周りの回動状態が維持される。したがって、ヘッドの角度をつけて清掃作業を行う際に、当該ヘッドを蛍光灯の長手方向に倣うようにスムーズに移動させることができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記回動抑制手段は、上記ヘッドの外側に突出するヘッド側突起と、上記支持体の内側に突出する支持体側突起とを備え、上記ヘッド側突起および上記支持体側突起が係合することによって上記ヘッドと上記支持体との上記回動軸周りの回動が制限される一方、所定の回動操作力をもって上記ヘッド側突起および上記支持体側突起の係合状態が解除されて上記ヘッドと上記支持体との上記回動軸周りの回動が許容される。このような構成によれば、回動抑制手段を比較的簡単な構造とすることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記一対の抱囲片の先端縁は、上記使用状態において所定の間隙を有している。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記一対の抱囲片には、払拭材を保持するための払拭材保持穴が設けられている。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1〜図7は、本発明に係る蛍光灯清掃具の一例を示している。本実施形態の蛍光灯清掃具A1は、支持体1、およびヘッド2を備えて構成されており、直管型の蛍光灯の清掃に使用するものである。
【0022】
支持体1は、ヘッド2を支持するためのものであり、本実施形態では、図1〜図3に表れているように、ベース部材11と、リング部材12の2部材から構成されている。ベース部材11は、全体として垂直方向の軸線O1に沿って延びており、基端側に設けられ、柄3を連結するための筒状の連結部111と、先端側に設けられたヘッド支持部112とを有している。ベース部材11は、たとえばポリプロピレンなどの所定の強度を有する合成樹脂により一体形成されたものである。
【0023】
連結部111には、係止孔111aが設けられており、この係止孔111aに対して柄3に設けられた係止凸部31が嵌まることによって柄3の抜け止めが図られている。柄3の係止凸部31は、その周囲の適所にスリット32が形成されていることによって、図3において仮想線で表されているように、内向きの押圧力によって可動させられる。これにより、柄3は、連結部111から容易に取り外すことができるようになっている。このような連結部111と柄3との連結構造としては、たとえばモップヘッド取付用の柄などに採用されている一般的な構造を採用することができる。
【0024】
ヘッド支持部112は、図2によく表れているように、ほぼ一定厚さの帯板が適宜湾曲形成された形状とされており、基端側から先端側に向けて二股状に延びている。ヘッド支持部112の先端部には、先端側に向かうにつれて相互間の距離が増大するように傾斜させられた一対のガイド部112aが設けられている。各ガイド部112aには、厚み方向に貫通する貫通穴112bが設けられており、この貫通穴112bに、後述するリング部材12の嵌合突部121が嵌挿されている。これにより、各嵌合突部121は、各ガイド部112aから内側に向けて突出している(図5参照)。
【0025】
各ガイド部112aの下方にはまた、内側に突出する突起112cが設けられている(図4参照)。これら突起112cは、図7によく表れているように、軸線O1に対して回転対称となる位置に設けられている。
【0026】
リング部材12は、図2、図3および図7から理解できるように、平面視矩形のリング状とされており、たとえばナイロン6などの合成樹脂により一体形成されたものである。リング部材12には、内側に突出する一対の嵌合突部121が対向して設けられている。
【0027】
ヘッド2は、基端側の基部21と、この基部21から二股状に繋がった一対の中間部22を介して先端側に設けられた一対の抱囲片23とを備えている。このヘッド2は、図2によく表れているように、ほぼ一定厚さの板材が適宜湾曲させられた形状とされている。基部21は、支持体1のヘッド支持部112ないしリング部材12に嵌挿支持されている。基部21の側縁部には、ヘッド2の支持体1(リング部材12)からの抜け出しや不使用時のヘッドのぐらつきを防止するための抜け止め凸部21aが設けられている。
【0028】
一対の中間部22は、図2に表れているように、基端側から先端側に向かうにつれて相互間の距離が増大する形状である。各中間部22は、図3に表れているように、上下方向に延びる側縁部が円弧状とされており、この側縁部の上下両端には、段部22aが設けられている。また、各中間部22の中央には、支持体1の嵌合突部121が嵌合し得る嵌合穴22bが設けられている。
【0029】
各中間部22の下方にはまた、外側に突出する突起22cが設けられている(図4参照)。これら突起22cは、図7によく表れているように、支持体1の軸線O1に対して回転対称となる位置に設けられている。
【0030】
一対の抱囲片23は、清掃時に蛍光灯を抱囲するためのものであり、図4に表れているように、蛍光灯Fの表面にほぼ沿うように湾曲させられている。各抱囲片23には、厚み方向に貫通する払拭材保持穴23aが設けられている。この払拭材保持穴23aは、蛍光灯に付着した汚れを拭き取る図示しない払拭材(たとえばウェットティッシュ)を掛け止めて保持するためのものである。
【0031】
このような構成のヘッド2は、たとえばナイロン6などの所定の強度を有する合成樹脂により一体形成されている。また、このヘッド2において、二股状とされた基部21ないし中間部22は、側面視における左右方向に比較的容易に弾性変形可能となっている。
【0032】
上記構成の蛍光灯清掃具A1においては、ヘッド2は、支持体1に対して、軸線O1に沿って移動可能とされている。図1〜図3は、ヘッド2が支持体1から離間した状態を表している。このとき、一対の抱囲片23の相互間の距離が最大となっており、一対の抱囲片23の先端縁どうしの間隙は、蛍光灯Fの外径寸法と同程度となっている。したがって、図2に示す状態においては、一対の抱囲片23は、蛍光灯Fに対して着脱することが可能であり、本発明でいう不使用状態にある。
【0033】
その一方、上述したように、ヘッド2の一対の中間部22は基端側から先端側に向かうにつれて相互間の距離が増大する形状であることから、ヘッド2を、支持体1に対して軸線O1に沿って近接移動させると、上記一対の中間部22は、支持体1の一対のガイド部112aによって外側から内側に向けて圧接される。これにより、一対の中間部22は、互いに近接させられ、一対の抱囲片23についても相互間の距離が縮小する。そして、図4および図5に示すように、支持体1の嵌合突部121がヘッド2の嵌合穴22bに嵌まると、支持体1およびヘッド2間の軸線O1に沿う移動が阻止される。このとき、本発明でいうロック機構が機能した状態であり、嵌合突部121および嵌合穴22bは、上記ロック機構を担うものである。ここで、一対の抱囲片23が蛍光灯を抱囲する姿勢となっており、本発明でいう使用状態にある。また、このとき、一対の抱囲片23の先端縁どうしは、当接することはなく、所定の間隙を有している。
【0034】
使用状態にあるヘッド2は、支持体1に対して、一対の嵌合突部121周り(別言すると、軸線O1にほぼ垂直な回動軸O2周り)に回動可能となっている。図6において、ヘッド2が支持体1に対して中立位置にある状態を実線および点線で表し、ヘッド2が支持体1に対して最も回動させられた位置にある状態を仮想線で表す。この回動状態においてヘッド2の段部22aが支持体1のリング部材12の上面あるいは下面に当接することにより回動範囲が規制される。このようなことから理解できるように、ヘッド2は、支持体1に対し、回動軸O2を中心として所定角度範囲内で回動可能である。
【0035】
また、図6の仮想線で表された状態においては、支持体1の突起112cとヘッド2の突起22cとが係合しており、このことによりヘッド2と支持体1との回動軸O2周りの回動が制限されている。このとき、本発明でいう回動抑制手段が機能した状態であり、突起112cおよび突起22cは、上記回動抑制手段を担うものである。ここで、ヘッド2が支持体1に対して中立状態に向かうようにして比較的小さな回動操作力が加えられると、突起112cおよび突起22cの係合状態が解除され、実線および点線で表された中立状態に戻すことができる。なお、図6においては、一対のガイド部112aおよび一対の中間部22にそれぞれ設けられた突起112cおよび突起22cのうち、一方(同図における手前側)のガイド部112aおよび中間部22に設けられたものだけを表している。したがって、ヘッド2が図6の仮想線とは反対側に回動した状態になると、他方のガイド部112aおよび中間部22に設けられた図示しない突起112c,22cによって、回動抑制手段が機能する。
【0036】
ヘッド2が中立状態にあるときに、ヘッド2に対して支持体1を軸線O1周りに平面視時計回り(右回り)に回動させると、突起112cによってヘッド2の中間部22が外側から内向きに押圧され、図7(b)に表されるように、ヘッド2は、一対の中間部22の相互間の距離が縮小するように変形する。そうすると、上述の嵌合突部121と嵌合穴22bとの嵌合状態が解除され、上記ロック機構が解除される。次いで、ヘッド2は、弾性復元力によって、図1〜図3に示す不使用状態に戻る。
【0037】
次に、上記した蛍光灯清掃具A1の作用について説明する。
【0038】
上記構成の蛍光灯清掃具A1を用いて、たとえば天井に設置されている蛍光灯Fの清掃作業を行う際には、まず、図2に示すように、不使用状態にあるヘッド2の先端を照明器具Lに当接させたうえで、支持体1を上方に押し上げる。これにより、ヘッド2は、支持体1に対して近接移動するにつれて、一対のガイド部112aに案内されてスムーズに弾性変形し、図4に表れているように、一対の抱囲片23が互いに近接する使用状態をとることができる。すなわち、支持体1を押し上げるといった簡単な操作によって、ヘッド2を、蛍光灯Fを抱囲する使用状態にすることができる。したがって、本実施形態の蛍光灯清掃具A1によれば、全体構造の簡素化を図るとともに、蛍光灯Fに対する清掃具の装着作業性を改善することができる。
【0039】
図4のようにヘッド2が使用状態にあるときに、一対の抱囲片23を図外の柄3の操作によって蛍光灯の長手方向に沿って移動させることにより、蛍光灯Fの表面を清掃することができる。ここで、図示しない払拭材を、あらかじめ一対の抱囲片23の内面に沿わせるとともに払拭材保持穴23aに引っ掛けておけば、蛍光灯Fに付着した汚れを効率よく拭き取ることができる。なお、一対の抱囲片23の先端縁は所定の間隙を有しているため、蛍光灯Fの清掃時において、たとえば照明器具Lに設けられた図示しないグロー球などとの干渉を適切に回避することができる。
【0040】
本実施形態においては、ヘッド2の嵌合穴22bに支持体1の嵌合突部121を嵌合させることにより、ロック機構が機能してヘッド2の使用状態が維持される。このため、蛍光灯の清掃作業時にヘッド2を支持体1に近接させる力を付与し続ける必要がなく、使い勝手が良好である。また、このように使用状態にあるヘッド2が、支持体1に対し水平な回動軸O2周りに回動可能であることから、支持体1の軸線O1を鉛直方向に対して傾斜させることが可能である。したがって、支持体1に連結された柄3についても傾斜角度をつけて清掃作業を行うことができ、かかる点においても使い勝手がよい。
【0041】
本実施形態では、回動抑制手段の作用によって、支持体1に対してヘッド2が回動した状態が維持される。したがって、柄3に傾斜角度をつけて清掃作業を行う際に、ヘッド2(一対の抱囲片23)を蛍光灯Fの長手方向に倣うようにスムーズに移動させることができ、使い勝手がよい。
【0042】
図7を参照して上述したように、ヘッド2が中立状態にあるときに、ヘッド2に対して支持体1を軸線O1周りに回動させると、嵌合突部121と嵌合穴22bとの嵌合状態が解除され、ロック機構が解除される。したがって、本実施形態によれば、簡単な操作によってロック機構を解除することができ、使い勝手がよい。
【0043】
図8および図9は、本発明に係る蛍光灯清掃具の他の例を示している。なお、図8以降の図面においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0044】
図8に示された蛍光灯清掃具A2は、支持体1が1つの部材によって一体形成されている点において、上記実施形態の蛍光灯清掃具A1と異なっている。支持体1のヘッド支持部112においては、一対のガイド部112aの両側縁どうしが連絡部113によってつながっており、横断面リング状の部分を有している。また、本実施形態では、上記実施形態の嵌合突部121に代えて、各ガイド部112aの内側に突出形成された嵌合突部112dを有している。蛍光灯清掃具A2においては、ヘッド2を支持体1に対して近接させると、ヘッド2の嵌合穴22bに支持体1の嵌合突部112dが嵌合し、ロック機構が機能する。このとき、ヘッド2は、一対の抱囲片23が近接する使用状態にあり、嵌合突部112d周りに回動可能である。このような構成の蛍光灯清掃具A2によれば、上記実施形態の蛍光灯清掃具A1に関して上述したのと同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
図9に示された蛍光灯清掃具A3は、支持体1が1つの部材によって一体形成され、かつ、ヘッド2が支持体1に対して回動不能とされている点において、上記実施形態の蛍光灯清掃具A1と異なっている。支持体1のヘッド支持部112は、全体として筒状とされており、その先端には平行な一対のガイド部112aが設けられている。本実施形態では、上述した蛍光灯清掃具A1の嵌合突部121に代えて、各ガイド部112aの内側に突出形成された嵌合突部112dを有している。また、ヘッド2の基部21の幅方向中央には、外側に突出する抜け止め凸部21aが設けられている。この抜け止め凸部21aが嵌合突部112dと係合することにより、ヘッド2の支持体1からの抜け出しが防止される。蛍光灯清掃具A3においては、ヘッド2を支持体1に対して近接させると、ヘッド2の嵌合穴22bに支持体1の嵌合突部112dが嵌合し、ロック機構が機能する。このとき、ヘッド2は、一対の抱囲片23が近接しており、使用状態にある。
【0046】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係る蛍光灯清掃具の各部の具体的な形状や材質なども、上記実施形態に限定されるものではない。
【0047】
上記実施形態では、一対の抱囲片23の払拭材保持穴23aに払拭材を掛け止めて使用する場合を例に挙げて説明したが、これに代えて、各抱囲片の内面に払拭材をあらかじめ貼着しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る蛍光灯清掃具の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す蛍光灯清掃具の側面図である。
【図3】図1に示す蛍光灯清掃具の正面図である。
【図4】図1に示す蛍光灯清掃具の使用状態の一例を示す要部側面図である。
【図5】図1に示す蛍光灯清掃具の使用状態の一例を示す要部縦断面図である。
【図6】図1に示す蛍光灯清掃具の使用状態の一例を示す要部正面図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿う断面図であり、(a)はロック機構が機能した状態を表し、(b)は、ロック機構が解除された状態を表す。
【図8】本発明に係る蛍光灯清掃具の他の例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る蛍光灯清掃具の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
A1,A2,A3 蛍光灯清掃具
F 蛍光灯
L 照明器具
O1 軸線
O2 回動軸
1 支持体
2 ヘッド
3 柄
11 ベース部材
12 リング部材
111 連結部
111a 係止孔
112 ヘッド支持部
112a ガイド部
112b 貫通穴
112c 突起(支持体側突起)
112d 嵌合突部
113 連絡部
121 嵌合突部
21 基部
21a 抜け止め凸部
22 中間部
22a 段部
22b 嵌合穴
22c 突起(ヘッド側突起)
23 抱囲片
23a 払拭材保持穴
31 係止凸部
32 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側において対向配置させられた一対の抱囲片を有し、これら抱囲片が近接ないし離間させられることによって、蛍光灯を抱囲する使用状態、および蛍光灯に対して着脱可能な不使用状態に切り替え可能に構成されたヘッドと、このヘッドを支持する支持体と、を備えた蛍光灯清掃具であって、
上記ヘッドは、上記一対の抱囲片のそれぞれにつながる基部を基端側に含んで弾性変形可能に一体形成されたものであり、かつ上記基部が上記支持体の先端部に嵌挿支持されるとともに、上記支持体に対して上記支持体の軸線に沿って移動可能とされており、
上記一対の抱囲片は、上記ヘッドが上記支持体に対して近接すると、相互間の距離が縮小して上記使用状態をとる一方、上記ヘッドが上記支持体に対して離間すると、相互間の距離が拡大して上記不使用状態をとるように構成されていることを特徴とする、蛍光灯清掃具。
【請求項2】
上記ヘッドの上記基部は、上記一対の抱囲片にそれぞれつながる一対の中間部を有する二股状とされており、
上記支持体は、その先端部に設けられ、上記ヘッドが相対的に近接させられるのにともなって上記一対の中間部に対してそれぞれその外側において圧接しうる一対のガイド部を有している、請求項1に記載の蛍光灯清掃具。
【請求項3】
上記ヘッドおよび上記支持体において凹凸嵌合することにより、上記ヘッドの上記使用状態を維持するロック機構が設けられている、請求項1または2に記載の蛍光灯清掃具。
【請求項4】
上記ヘッドは、上記使用状態において、上記軸線に対してほぼ垂直な回動軸を中心として所定角度範囲内で回動可能とされている、請求項1ないし3のいずれかに記載の蛍光灯清掃具。
【請求項5】
上記ロック機構は、上記ヘッドの上記一対の中間部にそれぞれ設けられた嵌合穴と、上記支持体の上記一対のガイド部から内側にそれぞれ突出させられた嵌合突部とを備えて構成されており、
上記ヘッドは、上記嵌合穴と上記嵌合突部とがそれぞれ嵌合する状態において、上記嵌合突部周りに回動する、請求項3に記載の蛍光灯清掃具。
【請求項6】
上記ロック機構は、上記ヘッドが上記使用状態にあるときに、上記ヘッドに対して上記支持体を上記軸線周りに回動操作すると、上記嵌合穴と上記嵌合突部との嵌合状態が解除されるように構成されている、請求項5に記載の蛍光灯清掃具。
【請求項7】
上記ヘッドが上記支持体に対して上記回動軸周りに回動させられた状態において、上記ヘッドと上記支持体との上記回動軸周りの回動を抑制する回動抑制手段が設けられている、請求項4に記載の蛍光灯清掃具。
【請求項8】
上記回動抑制手段は、上記ヘッドの外側に突出するヘッド側突起と、上記支持体の内側に突出する支持体側突起とを備え、上記ヘッド側突起および上記支持体側突起が係合することによって上記ヘッドと上記支持体との上記回動軸周りの回動が制限される一方、所定の回動操作力をもって上記ヘッド側突起および上記支持体側突起の係合状態が解除されて上記ヘッドと上記支持体との上記回動軸周りの回動が許容される、請求項7に記載の蛍光灯清掃具。
【請求項9】
上記一対の抱囲片の先端縁は、上記使用状態において所定の間隙を有している、請求項1ないし8のいずれかに記載の蛍光灯清掃具。
【請求項10】
上記一対の抱囲片には、払拭材を保持するための払拭材保持穴が設けられている、請求項1ないし9のいずれかに記載の蛍光灯清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−118213(P2010−118213A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289686(P2008−289686)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000133928)株式会社テラモト (62)