説明

蛍光灯

本発明は蛍光灯に関連し、前記蛍光灯の蛍光層は1乃至3の蛍光体を有し、前記蛍光灯は赤色、緑色及び深赤色の波長領域のそれぞれでピーク波長を有し、前記深赤色の蛍光体は非活性化緑色、親水性蛍光体から引き出される。蛍光層は、望ましくは赤色、Eu3+活性化蛍光体、緑色、Tb3+活性化蛍光体及び深赤色、Mn2+活性化蛍光体を有し、前記深赤色、Mn2+活性化蛍光体は、Tb3+,Mn2+活性化蛍光体である。Tb3+,Mn2+活性化蛍光体は、望ましくは(GdMg)B10:Ce3+,Tb3+,Mn2+活性化蛍光体である。このような蛍光体は、蛍光灯の製造工程において水性懸濁物として適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1乃至3の親水性蛍光体の蛍光層を有し、赤色、緑色及び深赤色の波長領域にピーク波長を有する蛍光灯に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のランプは、特に、パン屋及び肉屋での利用に適し、商品の外観を向上させる。また出願人により、色21TL(D)ランプとして市販されている。前記蛍光灯は赤色蛍光体、緑色蛍光体及び深赤色蛍光体を有する蛍光体ブレンドを含む。この既知のランプの深赤色蛍光体は、Mn2+活性化蛍光体であり、より具体的には、MgGeO5,5:Mnであり、本願明細書ではMGMとして規定され、ピーク波長は625乃至670nmの範囲内に位置する。
【0003】
この既知のブレンドの欠点は、MGMは親水性ではない事である。従って、蛍光体ブレンドは、酢酸ブチルの懸濁物として沈殿する。
【0004】
それでもなお、処理はより環境に優しく実施されるよう、水性懸濁物のような蛍光体を用いてランプを塗被することが望ましい。
【0005】
蛍光体の水性懸濁物は、利用される深赤色蛍光体が、緑色、親水性蛍光体と非活性状態で同一の基本構造を有している場合に、生成されることが分かっている。
【特許文献1】米国特許A―6,157,126
【特許文献2】米国特許A―4,602,188
【特許文献3】米国特許B―6,489,716
【特許文献4】欧州特許0023068
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従って、赤、緑及び深赤色の波長領域のそれぞれでピーク波長を有する、1乃至3の蛍光体から成る蛍光層を有する蛍光灯に関する。前記蛍光体は親水性であり、前記深赤色の蛍光体は非活性の緑色、親水性蛍光体と同一の基本構造を有する。
【0007】
驚いたことに、前記ランプの出力は、上述の既知のランプと比較して最大10%増大することが、更に分かっている。
【0008】
本発明の蛍光灯に利用されるべき好ましい蛍光体は、請求項2から6に請求される。それらの蛍光体に関し、以下に説明する。
【0009】
赤色蛍光体は、望ましくはEu3+活性化蛍光体であり、より望ましくはY:Eu3+であり、本願明細書ではYOXとして規定され、ピーク波長は600nm乃至620nmの範囲内に位置する。緑色蛍光体は、望ましくはTb3+活性化蛍光体であり、より望ましくは本願明細書ではCBTとして規定される(GdMg)B10:Ce3+,Tb3+,本願明細書ではCATとして規定される(CeGdMg)Al1119:Tb3+,本願明細書ではLAPとして規定されるLaPO:Ce3+,Tb3+,であり、これらの蛍光体は540乃至548nmの範囲内にピーク波長を有する。
【0010】
深赤色蛍光体は、望ましくは本願明細書ではCBMとして規定される(GdMg)B10:Ce3+,Mn2+,及び最も望ましくは更に活性化され、緑色波長領域にピーク波長を示す、例えばTb3+,Mn2+活性化蛍光体、例えば本願明細書ではCBTMと規定される(GdMg)B10:Ce3+,Tb3+,Mn2+,である。
【0011】
YOX、CBT及びCBTM等の蛍光体を有する蛍光灯は、特許文献1から既知である。特許文献1によると、利用される蛍光体ブレンドは、400乃至460nmの光を生成する蛍光体を有し、青色蛍光体が示されることを意味する。この既知の文献では、蛍光体の組合せが、蛍光灯の製造工程で水性懸濁物として利用できる青色蛍光体を用いずに生成でき、肉屋及びパン屋に特に適するランプを得る事に関して提案していない。
【0012】
更に、(CeGdMg)B10:Tb3+,Mn2+,から成る蛍光体CBTMは、特許文献2から既知である。特許文献2に示されるように、蛍光体は、深赤色のMn2+放出及び緑色のTb3+放出を供する。本発明で提案される、赤色及び緑色の放出を有する少なくとも1つの蛍光体を有するこの既知の蛍光体の組合せは、説明も提案もされていない。
【0013】
更に、特許文献3は、蛍光体CBTを利用する蛍光灯を記述している特許文献4を参照している。この蛍光体は、蛍光体CAT(アルミン酸セリウムマグネシウム:Tb)及びLAP(リン酸ランタン:Ce,Tb)と比べて良い放出特性及び高い安定性を有する。全ての3つの蛍光体は、本発明で緑色蛍光体として利用され得る。
【0014】
特許文献3は、3つの蛍光体:第1の蛍光体としてBSCT(ホウケイ酸ガドリニウムマグネシウム、セリウム及びテルビウムで活性化されている)、第2の蛍光体としてYOX、及び第3の蛍光体として二価ユウロピウムで活性化されているSAPE発光層を備えたランプを開示している。
【0015】
二価ユウロピウムで活性化されている蛍光体は、青色蛍光物質である。本発明で請求される赤色、緑色及び深赤色の放出を有する蛍光体の組は、特許文献3に開示されていない。
【0016】
本発明のランプの好適な実施の形態は、請求項7から10に定義される。
【0017】
本発明の蛍光体ブレンドの構成に関連し、主要成分が赤色蛍光体YOXの場合、生成されるランプは高い光出力と低い赤色の割合を有する。CBTMが主要成分の場合、より低い光出力を有し、より高い赤色の割合を有する。これを以下に説明する。蛍光灯の赤色の割合を顧客の希望に応じて適用することは、CBTMの量を変化させることにより可能である。
【0018】
蛍光体の本発明の組は、水性懸濁物として、従って単一層として、ランプの壁面に蒸着できるので、行程制御は改善され、ロジスティックは簡易化され、その結果、原価低減が実現される。
【0019】
本発明はまた、蛍光灯の製造において、以上に示された3つの蛍光体の水性懸濁物の利用に関連する。
【0020】
このような利用の好適な実施の形態は、請求項7に定義される。
【実施例】
【0021】
本発明は、以下の、限定されない例を用いて更に説明される。
【0022】
例1を説明する。
【0023】
YOXを70.5%、CBTMを17.6%、及びCBTを11.9%有する蛍光体ブレンドの水性懸濁物(懸濁物1)を用意した。この蛍光体ブレンドは、約280から385の何れかの値の色点を有するランプを生成すると想定された。実際の値は、予想された値より約10ポイント低かったので、CBTの約3%b.w.が懸濁物に加えられた。
【0024】
これらの懸濁物を適用することにより生成された18Wのランプから、蛍光体としてYOX、CBT及びMGMを有する既知のランプと同様に、酢酸ブチルを利用することにより適用され、光強度の関連パラメータ、色点のx及びy値が、赤色%と同様に決定された。この結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

CBTを加えられた蛍光体ブレンドを用いることにより得られた、色点(y)が所望の色点であることは、表1から明らかである。
【0026】
例2を説明する。
【0027】
YOXを36.2%、CBTMを54.3%、及びCBTを9.5%有する蛍光体ブレンドの水性懸濁物(懸濁物2)から開始して、例1を繰り返した。再び、実際の値は、予想された値より約10ポイント低く、つまりCBTの約3%b.w.が懸濁物に加えられた。従って生成されたランプのパラメータが生成された。この結果は表2に示される。
【0028】
【表2】

余分のCBTを加えられた蛍光体ブレンドを用いることにより得られた、色点(y)が所望の色点であることは、表2から明らかである。
【0029】
例3を説明する。
【0030】
この例では、以下の表3に示される成分を有する蛍光体ブレンドを有する多くの水性懸濁物が用意された。これらの蛍光体で生成された18Wの蛍光灯から、光強度、色点のパラメータ及び赤色%TLが測定された。この結果を以下の表3(結果は赤色%TLにより並べられている)に纏めた。
【0031】
【表3】

表3から明らかなように、ランプ番号13は、5.77%の赤色%TL、x=0.484及びy=0.399を有し、既知の色番号21のTL(D)18Wランプと完全に同等なランプである。ランプ番号13で利用された蛍光体ブレンドの組合せは、YOXが47%b.w.、CBTMが32%b.w.及び、CBTが21%b.w.であった。従って、蛍光体CBTMは、蛍光灯の製造においてMGMの代わりに用いることができることが明らかである。更にこれは、光強度を10%より増加させる。
【0032】
本発明は、特定の実施例を用いて説明された。しかしながら、これらの実施例は、単なる説明のためのものであり、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではないと理解されるべきである。種々の変更及び変形は、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、行われて良い。本発明の範囲は上述の説明によるというよりむしろ請求項により示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光灯であって、前記蛍光灯の蛍光層は1乃至3の蛍光体を有し、前記蛍光灯は赤色、緑色及び深赤色の波長領域のそれぞれでピーク波長を有し、前記蛍光体は親水性であり、前記深赤色の蛍光体は非活性化緑色、親水性蛍光体と同一の基本構造を有する、蛍光灯。
【請求項2】
赤色波長領域にピーク波長を有する前記蛍光体は、Eu3+活性化蛍光体であり、望ましくはY:Eu3+である、請求項1記載の蛍光灯。
【請求項3】
緑色波長領域にピーク波長を有する前記蛍光体は、Tb3+活性化蛍光体であり、望ましくは(CeGdMg)Al1119:Tb3+;GdMgB10:Ce3+,Tb2+及びLaPO:Ce3+,Tb3+を有するグループから選択される、請求項1記載の蛍光灯。
【請求項4】
深赤色波長領域にピーク波長を有する前記蛍光体は、Mn2+活性化蛍光体であり、望ましくは(GdMg)B10:Ce2+,Mnである、請求項1記載の蛍光灯。
【請求項5】
深赤色波長領域にピーク波長を有する前記蛍光体は、更に活性化され、緑色波長領域にピーク波長を示す、請求項4記載の蛍光灯。
【請求項6】
前記蛍光体は、Tb3+,Mn2+活性化蛍光体であり、望ましくは(GdMg)B10:Ce3+,Tb3+,Mn2+である、請求項5記載の蛍光灯。
【請求項7】
前記蛍光体は、
40−70%の、望ましくは50%b.w.の赤色、Eu3+活性化蛍光体、
10−30%の、望ましくは17%b.w.の緑色、Tb3+活性化蛍光体、
10−50%の、望ましくは35%b.w.の深赤色、Mn2+活性化蛍光体、
を有する、請求項1記載の蛍光灯。
【請求項8】
Mn2+活性化蛍光体は、少なくとも部分的にTb3+,Mn2+活性化蛍光体により置き換えられる、請求項7記載の蛍光灯。
【請求項9】
前記蛍光灯は、色点(x,y)を有し、xは0.475から0.495の範囲の値、望ましくは0.484であり、yは0.390から0.405の範囲の値、望ましくは0.399である、請求項1記載の蛍光灯。
【請求項10】
前記蛍光灯は、4から8の範囲、望ましくは6.4の赤色の割合LDを有する、請求項1記載の蛍光灯。
【請求項11】
赤色、Eu3+活性化蛍光体、緑色、Tb3+活性化蛍光体及び深赤色、Tb3+,Mn2+活性化蛍光体の水和性懸濁物の蛍光灯の製造における利用。
【請求項12】
前記水和性懸濁物は、
40−70%、望ましくは50%b.w.のY:Eu3+
10−30%、望ましくは17%b.w.の(GdMg)B10:Ce3+,Tb3+,及び
10−50%、望ましくは35%b.w.の(GdMg)B10:Ce3+,Tb3+,Mn2+
を有する、請求項11の利用。

【公表番号】特表2007−507833(P2007−507833A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527540(P2006−527540)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051781
【国際公開番号】WO2005/030902
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】