説明

蛍光管ホルダおよびその製造方法

【課題】 複数の蛍光管を保持する蛍光管ホルダにおいて、全体を薄型にでき、しかも個々のソケットの支持状態を安定させ、またソケットを構成する電極保持片の弾性変形力を十分に発揮できるようにする。
【解決手段】 複数のソケット31と第1の帯板32および第2の帯板33は同じ金属板から形成されている。ソケット31では、ソケット基部34から電極保持片群37が上方へ向けて曲げられている。ソケット基部34から延びる突出片35a,35bが180度折り返されて、支持板部36がソケット基部34の下側に密着して配置されている。支持板部36が絶縁ベース20内に埋設されてソケット31が支持されるとともに、絶縁ベース20に開口部22が形成され、電極保持片群37は、開口部22から絶縁ベース20の拘束力を受けることなく上方へ延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用のバックライト装置などに使用される複数本の蛍光管の電極部を保持する蛍光管ホルダおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョンやパーソナルコンピュータのディスプレイに使用されている液晶表示装置は、透過型の液晶セルの背部にバックライト装置が設けられている。このバックライト装置は、液晶セルの背部に配置される本体ベースの両側部のそれぞれに蛍光管ホルダが取り付けられている。蛍光管ホルダは長尺形状であり、複数のソケットが、長手方向に沿って間隔を空けて複数支持されている。蛍光管の一方の端部に設けられた電極部が、一方の蛍光管ホルダのソケットに保持され、蛍光管の他方の端部に設けられ電極部が、他方の蛍光管ホルダのソケットに保持される。その結果、複数の蛍光管が、互いに平行で且つ蛍光管ホルダの長手方向に間隔を空けて設置される。
【0003】
以下の特許文献1に記載されている従来の蛍光管ホルダは、長方形の板材で形成された基板の表面に、それぞれが独立して組み立てられたソケットが、間隔を空けて個別に固定されている。ソケットはプラスチック材料で形成されたハウジングに金属製の接点保持部が取り付けられているものであり、それぞれのハウジングの底部に設けられた凸部が前記基板に形成された取付け穴に嵌合されることで、基板上でソケットが位置決めされて固定されている。
【0004】
また、それぞれのソケットへ通電するための導電路は、基板の表面に形成された導電性金属の薄膜で構成されている。
【特許文献1】特開2006−344602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の蛍光管ホルダは、長尺形状で薄い基板の表面に、個別に組み立てられた複数のソケットが固定された構造であるため、隣り合うソケットの間において強度が低く、作業中などにおいて基板が折れる心配がある。
【0006】
また、従来の蛍光管ホルダは、ソケットが独立して組み立てられるものであり、それぞれのソケットを基板に位置決めして取り付けることが必要であるため、組み立て作業に時間を要する。また、それぞれのソケットがハウジングを有し、このハウジングが基板に固定された構造であるため、薄型化ができない欠点がある。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、複数のソケットが高精度に位置決めされて取り付けられた薄型の蛍光管ホルダを提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、ソケット間の絶縁を確保でき、しかもソケットを構成する電極保持片の変形の余裕度を確保できる蛍光管ホルダを提供することを目的としている。
【0009】
さらに、本発明は、前記蛍光管ホルダを少ない工程で効率よく製造できる蛍光管ホルダの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、蛍光管の端部に設けられた電極部を保持する一対の電極保持片を有する導電性のソケットが、複数個配列する蛍光管ホルダにおいて、
合成樹脂材料で形成された長尺状の絶縁ベースが設けられて、前記ソケットが前記絶縁ベースの長手方向に沿って間隔を空けて配置されており、
それぞれのソケットは、金属板で形成された基部と、前記基部から上方へ曲げられた前記電極保持片と、前記基部と一体に形成され且つ前記基部の下側に折り返されて前記電極保持片の下側に位置する支持板部とを有し、前記支持板部が前記絶縁ベース内に埋設されて支持されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の蛍光管ホルダは、基部から延びる金属板が基部の下側に折り曲げられて支持板部が形成されているため、電極保持片の下側において支持板部が基部の両側へ張り出すように広い面積で形成される。この支持板部を絶縁ベースに埋設させることで、電極保持片の基部を絶縁ベースに安定して支持させることが可能になる。
【0012】
また、合成樹脂材料で形成された長尺状の絶縁ベースに、ホルダの基部が埋設された構造であるため、蛍光管ホルダを薄型に構成できる。
【0013】
本発明は、前記絶縁ベースの表面に開口部が形成され、前記基部と前記電極保持片との曲げ境界部および前記支持板部の一部が、前記開口部内に露出していることが好ましい。
【0014】
絶縁ベースの開口部内に支持板部が現れ、電極保持片が支持板部から上方へ延びていると、電極保持片と基部との曲げ境界部が絶縁ベースに埋もれなくなり、電極保持片の基部から先端までを変形領域として使用できるようになる。そのため、絶縁ベースで拘束されずに電極部を確実に保持する電極保持片を構成できる。
【0015】
本発明は、複数の前記基部および前記電極保持片が同じ金属板から形成されており、隣り合う前記ソケットの間の金属板の一部が折り曲げられて前記支持板部が形成されているものとして構成できる。
【0016】
または本発明は、複数の前記ソケットの並び方向に延びる帯板が、前記基部および前記電極保持片と同じ金属板で形成されており、前記ソケットと前記帯板との間の金属板の一部が折り曲げられて前記支持板部が形成されているものとして構成できる。
【0017】
上記のように、隣り合うソケットの間の金属板で支持板部を形成し、またはソケットと帯板の間の金属板で支持板部を形成することにより、金属板を無駄にすることなく、材料の使用効率が良くなる。
【0018】
本発明は、蛍光管の端部に設けられた電極部を保持する一対の電極保持片を有する導電性のソケットが、複数個配列する蛍光管ホルダの製造方法において、
(a)基部とこの基部から上方に曲げられた前記電極保持片を有する複数の前記ソケットを同じ金属板で形成するとともに、それぞれの前記基部から連続する前記金属板の一部を前記基部の下側に折り返えして前記電極保持片の下側に位置する支持板部を形成する工程と、
(b)複数の前記ソケットに設けられた前記支持板部が埋設される絶縁ベースを合成樹脂材料で形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明は、前記蛍光管ホルダの製造方法において、前記(b)の工程で、前記絶縁ベースの表面に、前記基部と前記電極保持片との曲げ境界部および前記支持板部の一部が露出する開口部を形成することが好ましい。
【0020】
さらに、本発明は、前記蛍光管ホルダの製造方法において、前記(a)の工程で、隣り合う前記ソケットの間の金属板の一部を折り曲げて前記支持板部を形成することができる。あるいは、前記(a)の工程で、複数の前記ソケットの並び方向に延びる帯板を前記金属板で形成するとともに、前記ソケットと前記帯板との間の金属板の一部を折り曲げて前記支持板部を形成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の蛍光管ホルダは、ソケットの下側に電極保持片の対向間隔よりも広い面積で張り出す支持板部を設け、この支持板部を絶縁ベースに埋設して支持しているため、絶縁ベースにソケットの基部を高精度に位置決めして且つ安定させて支持することが可能になる。また、共通の絶縁ベースに複数のソケットの基部が埋設されているため、蛍光管ホルダを薄型に構成できる。
【0022】
また、絶縁ベースの表面に支持板部を露出させる開口部を形成すると、電極保持片が、基部から先端まで絶縁ベースに拘束されることなく弾性変形できるようになる。
【0023】
本発明の製造方法は、薄型で、ホルダが高精度に位置決めされた蛍光管ホルダを、少ない工程で効率よく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1はバックライト装置の平面図、図2は、図1のバックライト装置をII−II線で切断した断面を示す拡大断面図である。図3は前記バックライト装置に使用されている第1の実施の形態の蛍光管ホルダを示す斜視図、図4は、図3に示す蛍光管ホルダの絶縁ベース内に埋設されている金属部を示す斜視図、図5は前記金属部を形成するための金属板を示す斜視図である。図6(A)は、図3に示す蛍光管ホルダをVI矢視方向から見た拡大正面図、図6(B)は、図6(A)の断面図である。
【0025】
図2に示すように、バックライト装置1は液晶セル5の背面に配置される。液晶セル5はフルカラー表示が可能な透過型である。バックライト装置1から発せられる光によって、液晶セル5の映像を鮮明に目視することが可能になる。
【0026】
図1と図2に示すように、バックライト装置1は金属製の本体ベース2を有している。本体ベース2は圧延鋼板などの鉄板を折り曲げて形成されている。本体ベースは浅い箱型であり、長方形の底板2aと、底板2aのそれぞれの長辺から直角に折り曲げられた長側板2b,2cと、底板2aのそれぞれの短辺から直角に折り曲げられた短側板2d,2eを有している。
【0027】
本体ベース2を構成している金属板は、表面がメッキされまたは表面が塗装されたものであるが、さらに底板2aの蛍光管70に向く内面2fが反射面として機能できるように処理されている。例えば、前記内面2fに、薄い白色シートが敷設され、または薄い金属シートが敷設され、または白色や金属色の塗装が施されている。
【0028】
図1に示すように、前記本体ベース2の底板2aの内面2fには、一対の長尺形状の蛍光管ホルダ10,10が固定されている。一方の蛍光管ホルダ10は、本体ベース2の短側板2dのすぐ内側において前記底板2aに固定されており、他方の蛍光管ホルダ10は、本体ベースの短側板2eのすぐ内側において前記底板2aに固定されている。短側板2dの内側に配置されている蛍光管ホルダ10と、短側板2dの内側に配置されている蛍光管ホルダ10は、全く同じものであるが、その配置の向きが180度相違している。
【0029】
蛍光管ホルダ10は、図3に示す合成樹脂材料で形成された絶縁ベース20の内部に、図4に示す金属部30が埋設されて構成されている。前記金属部30の一部によってソケット31が形成されている。前記ソケット31は、絶縁ベース20の表面21に形成された開口部22から上方へ露出しており、ソケット31は、絶縁ベース20の長手方向へ一定の間隔を空けて設けられている。
【0030】
図1に示すように、短側板2dの内側に設けられた蛍光管ホルダ10と短側板2eの内側に設けられた蛍光管ホルダ10は、それぞれソケット31が左右の同じ位置に対向するように配置される。そして両側の蛍光管ホルダ10の間に蛍光管70が保持される。蛍光管70は、発光管71とその両側に設けられた電極部72,72とを有している。両側の電極部72,72が、図1に示す右側の蛍光管ホルダ10のソケット31と左側の蛍光管ホルダ10のソケット31に嵌着されることで、図2に示すように、蛍光管70は、本体ベース2の底板2aの内面2fから少し離れた位置に配置される。
【0031】
複数の蛍光管70のそれぞれの電極部72が、蛍光管ホルダ10に設けられた全てのソケット31に嵌着される。図1に示す実施の形態では、本体ベース2内に、合計で12本の蛍光管70が取り付けられている。
【0032】
図1と図3に示されている蛍光管70は、EEFL型であり、点灯時の電圧を発生するコンデンサが電極部72の内部に組み込まれており、蛍光管ホルダ10にコンデンサを取り付ける必要はない。
【0033】
図4に示す金属部30は、フープ材30Aから折り曲げられて形成される。図5に示すように、フープ材30Aは、側方に連結板30Bを有しており、フープ材30Aと連結板30Bとが一定の間隔でリブ30Dで一体に接合されている。連結板30Bには長手方向へ一定の間隔で送り穴30Eが形成されている。
【0034】
フープ材30Aと連結板30Bを構成する金属板は導電性であり且つ強度の高い圧延鋼板などの鉄板である。この鉄板の表面に金などの低抵抗金属材料のメッキが施されたものが好ましく使用される。
【0035】
前記送り穴30Eに移送力が与えられることで、連結板30Bとフープ材30Aが一体となって長手方向(Y1方向)へ送り出される。フープ材30Aが長手方向へ移送されプレス工程へ送られると、各部が折り曲げられて図4に示す金属部30が形成される。さらに、前記送り穴30Eに移送力が与えられることで、金属部30がインサート射出成型工程へ送られ、金属部30がインサートされた絶縁ベース20が合成樹脂材料で形成されて蛍光管ホルダ10が完成する。その後、リブ30Dが切断され、蛍光管ホルダ10が連結板30Bから分離される。
【0036】
図5に示すように、フープ材30Aは、蛍光管ホルダ10の長手方向に向けて平行に延びる第1の帯板32と第2の帯板33とを有しており、前記リブ30Dは第2の帯板33に連結されている。フープ材30Aには、第1の帯板32と第2の帯板33との間を連結する基部連結片34Aが設けられている。基部連結片34Aは、フープ材30Aの長手方向へ一定の間隔を空けて形成されている。第1の帯板32と第2の帯板33との間には、前記基部連結片34AからY2方向へ延びる一対の保持板片37A,37Cと、前記基部連結片34AからY1方向へ延びる一対の保持板片37B,37Dが一体に形成されている。
【0037】
図5に示すように、フープ材30Aには、Y2方向に延びる保持板片37A,37Cと、Y2方向に延びる保持板片37B,37Dとの間に位置する金属板の一部によって、支持板片36Aが形成されている。この支持板片36Aには突出板片35Aが一体に形成されており、この突出板片35Aが、保持板片37Aと保持板片37Cとの間において、前記基部連結片34Aと一体に連結されている。
【0038】
前記プレス工程では、前記基部連結片34AからY2方向へ突出する保持板片37A,37Cが上方へ曲げられて、図4に示す電極保持片37a,37cが形成され、前記基部連結片34AからY1方向へ突出する保持板片37B,37Cが上方へ曲げられて電極保持片37b,37dが形成され、個々のソケット31が形成される。図4および図6(B)に示すように、ソケット31は、第1の帯板32と第2の帯板33とを連結するソケット基部34を有し、このソケット基部34のY2側から電極保持片37a,37cが立ち上がり、ソケット基部34のY1側から電極保持片37b,37dが立ち上がる形状である。なお、前記ソケット基部34は、Y1−Y2方向の幅寸法が、折り曲げる前の前記基部連結片34Aの幅寸法とほぼ同じである。
【0039】
また、プレス工程では、図5に示す突出板片35Aが途中で180度折り返されて、図4に示すように、上側突出片35aとその下に重ねられた下側突出片35bとなる。そして、図5に示す支持板片36Aが、図4および図6(B)に示すように、ソケット31の下に重ねられ、ソケット基部34の下面に密着する支持板部36が形成される。
【0040】
図5に示すように、支持板部36AのX1−X2方向の幅寸法W1は、保持板片37Aと保持板片37Cとを合成した幅寸法(保持板片37Bと保持板片37Dとを合成した幅寸法)W2よりも大きい。したがって、図4の金属部30では、ソケット31の下側に位置する支持板部36は、電極保持片37a,37bよりもX1側へ突出し、電極保持片37c,37dよりもX2方向へ突出している。また、図4および図6(B)に示すように、支持板部36は、電極保持片37a,37cとソケット基部34との曲げ境界部よりもY2側へ突出しており、また電極保持片37b,37dとソケット基部34との曲げ境界部よりもY1側へ突出している。
【0041】
図4では、1つのソケット31に設けられた電極保持片37a,37b,37c,37dを1組の電極保持片群37として示している。金属部30は、長手方向に1組の電極保持片群37が一定の間隔を空けて配置されているとともに、隣り合うソケット31の間には、前記電極保持片37a,37b,37c,37dおよび支持板部36を切り抜いた後の、切欠き部38が形成されている。
【0042】
図4と図5に示すように、電極保持片37a,37b,37c,37dや支持板部36は、第1の帯板32と第2の帯板33との間の金属板を切断して折り曲げることで形成されているため、金属材料の使用効率がよい。
【0043】
図4に示すように、第1の帯板32の端部には、コネクタ電極39が設けられている。このコネクタ電極39は、ループ材30Aを形成する金属板とは別の導電性の金属板で折り曲げ形成されており、前記第1の帯板32の上面に溶接により固定されている。
【0044】
前記インサート射出成型工程では、図4に示す金属部30が射出成型用の金型の内部に保持されて、金型内に合成樹脂材料が射出されて絶縁ベース20が形成される。その結果、図2に示すように、金属部30の第1の帯板32および第2の帯板33が、絶縁ベース20の内部に埋設される。さらに、図6(B)に示すように、それぞれのソケット31の基部に配置されている支持板部36の一部ならびに上側突出片35aと下側突出片35bが、絶縁ベース20の内部に埋設される。
【0045】
それぞれのソケット31が設けられている部分では、絶縁ベース20の表面21に、長方形の開口部22が形成されている。この開口部22内は、その全域に支持板部36の一部が位置している。
【0046】
図6(B)に示すように、電極保持片37b,37dとソケット基部34との曲げ境界部と、前記開口部22のY1側の内縁との間には隙間Waが形成され、電極保持片37a,37cとソケット基部34との折り曲げ境界部と、前記開口部22のY2側の内縁との間に隙間Waが形成されている。さらに、電極保持片37a,37bと、前記開口部22のX1側の内縁との間にも隙間が形成され、電極保持片37c,37dと、前記開口部22のX2側の内縁との間にも隙間が形成されている。
【0047】
上記インサート射出成型工程では、金属部30が金型内に保持されたときに、長方形の枠状の入子をキャビティ内に挿入し、電極保持片37a,37b,37c,37dを前記入子の枠内に入り込ませて、入子の先端部を前記支持板部36の表面に突き当てる。この状態で、キャビティ内に合成樹脂を供給することで、開口部22が形成される。そして、この開口部22の底部には、その全域に支持板部36の上面が現れており、またそれぞれの電極保持片37a,37b,37c,37dは、絶縁ベース20によって拘束力を受けることなく、絶縁ベース20の表面21よりも上方へ突出している。
【0048】
図3に示すように、長尺状の絶縁ベース20は、本体ベース2の短側板2dに対向する対向側縁部20aと、ソケット31に保持された蛍光管70が延出する延出側縁部20bを有している。
【0049】
絶縁ベース20の表面21には、前記対向側縁部20a側においてほぼ垂直に立ち上がる絶縁壁23が一体に形成される。図6(A)にも示すように、複数の絶縁壁23は、それぞれ、ソケット31に対して対向側縁部20aの側から対向している。よって、ソケット31の電極保持片群37に蛍光管70の電極部72が装着されると、電極部72の端面72aが、絶縁壁23に対向する。
【0050】
図3に示すように、絶縁ベース20の表面21には、端部から上方へ隆起するコネクタ部24が一体に形成されている。コネクタ部24はコネクタハウジング24aと、コネクタハウジング24a内に形成された差込み空間24bとを有しており、前記差込み空間24bの内部に、図4に示すコネクタ電極39が現れている。
【0051】
また、絶縁ベース20には、表裏を貫通する複数の取付け穴25が形成されている。
この蛍光管ホルダ10は、第1の帯板32と第2の帯板33が、絶縁ベース20の内部においてそのほぼ全長にわたって埋設されており、第1の帯板32と第2の帯板33が、全てのソケット31に連結され且つ全てのソケット31の側部を通過している。
【0052】
図2に示すように、第1の帯板32と第2の帯板33は、その全長にわたって絶縁ベース20の表面21と裏面27に露出していない。さらに、第1の帯板32は、その全長にわたって絶縁ベースの対向側縁部20aの端面28から露出していない。すなわち、裏面27において第1の帯板32と第2の帯板33は合成樹脂で完全に覆われており、前記端面28において第1の帯板32が合成樹脂で覆われている。
【0053】
図1に示すように、前記蛍光管ホルダ10は長尺形状で絶縁ベース20が合成樹脂で形成されているが、その内部に長手方向にわたって第1の帯板32と第2の帯板33が埋設されているため、第1の帯板32と第2の帯板33とで長尺形状の絶縁ベース20の強度を高めることができる。特に、第1の帯板32と第2の帯板33は、複数のソケット31の側部を通過し、隣り合うソケット31とソケット31との間には、必ず金属製の帯板が形成されているため、作業中などに絶縁ベース20が曲げ応力により損傷する確率をきわめて低くできる。
【0054】
また、個々のソケット31では、広い面積の支持板部36がソケット基部34の下面に密着するように折り曲げられて設けられており、この支持板部36が絶縁ベース20を構成する合成樹脂材料の内部に埋設されている。そのため、それぞれのソケット31の基部が絶縁ベースに正確に位置決めされて且つ十分な強度で支持されている。よって、金属製のソケット31が絶縁ベース20から外れるような故障が発生しにくい。
【0055】
また、ソケット31の基部において、絶縁ベース20の表面21に開口部22が形成され、それぞれの電極保持片37a,37b,37c,37dの基部が開口部22内から上方へ突出している。そのため電極保持片37a,37b,37c,37dが絶縁ベース20で拘束されず、その全体を変形領域として使用できるようになり、蛍光管70の電極部72が電極保持片で確実に保持される。また、電極保持片37a,37b,37c,37dが変形する力で絶縁ベース20にクラックなどを与えることがない。
【0056】
また、電極保持片37a,37b,37c,37dが絶縁ベース20の厚みの中間部から上方へ延びている構造であるため、蛍光管ホルダ10を薄型に構成できる。
【0057】
図1に示すように、蛍光管ホルダ10は、本体ベース2の底板2aの上に設置され、複数の取付け穴25に挿通された取付けねじが前記底板2aに螺着されて固定される。そして、電力供給用のプラグがコネクタ部24に装着されて、コネクタ電極39に電力が供給される。コネクタ電極39に与えられた電力は、第1の帯板32および第2の帯板33を介してそれぞれのソケット31に与えられる。第1の帯板32と第2の帯板33が、それぞれの通電路として機能するように、図4に示す金属部30を、コネクタ電極39を除いて全て同じ金属板からプレス成形しているため製造が容易である。なお、前記コネクタ電極39を、第1の帯板32または第2の帯板33から一体に折り曲げ成形してもよい。
【0058】
蛍光管ホルダ10は、絶縁ベース20の表面21からソケット31を構成する電極保持片37a,37b,37c,37dが露出しているが、絶縁ベース20の裏面27では、第1の帯板32と第2の帯板33が露出しておらず、本体ベース2の底板2aと2つの帯板32,33との間には、全長にわたって合成樹脂の層が存在しているため、前記底板2aと2つの帯板32,33との絶縁耐圧を高く確保することができる。
【0059】
さらに、図2に示すように、絶縁ベース20の対向側縁部20aでは、第1の帯片32が端面28から露出していない。よって、第1の帯板32と本体ベース2の短側板2dとの絶縁耐圧も高く維持できる。さらに、ソケット31に装着される蛍光管70の電極部72の端面72aと金属製の短側板2dとの間に、合成樹脂製の絶縁壁23が立ち上がっているため、電極部72と本体ベース2との絶縁も十分に確保できるようになる。
【0060】
図7は本発明の第2の実施の形態の蛍光管ホルダ110を示す斜視図、図8は前記蛍光管ホルダ110の絶縁ベース120内に埋設されている金属部130の斜視図である。図9は図7の蛍光管ホルダ110をIX−IX線で切断した断面図である。
【0061】
第2の実施の形態の蛍光管ホルダ110は、図8に示す金属部130が図7に示す合成樹脂製の絶縁ベース120の内部に埋設され、絶縁ベース120の表面121に、長手方向に間隔を空けて金属製のソケット131が現れている。
【0062】
蛍光管ホルダ110には、CCFL型の蛍光管170が装着される。この蛍光管170は、細長い発光管171と、この発光管171の両端部から突出する線状の電極部172とを有している。CCFL型の蛍光管170は電極部にコンデンサを有していないため、蛍光管ホルダ110には、通電部とそれぞれのソケット131との間に介在するコンデンサ160を設置することが必要である。図7には、右側の2つのソケット131に接続されるコンデンサ160が図示されているが、実際は、蛍光管ホルダ110の全てのソケット131にコンデンサ160が接続されている。
【0063】
図8に示すように、金属部130は、蛍光管ホルダ110の長手方向(Y1−Y2)に連続して延びる帯板133と、この帯板133から右側(X1側)へ少し距離を空けて配置されたソケット131とを有している。ソケット131は、蛍光管ホルダ110の長手方向(Y1−Y2方向)に向けて一定の間隔で配置されている。
【0064】
ソケット131は支持板部136とその上に配置された電極保持片群137とを有している。支持板部136と電極保持片群137および帯板133は、同じ金属材料のフープ材から切り出されて形成されている。このフープ材は、第1の実施の形態のフープ材30Aと同様に、鋼板などの導電性金属板の表面に金などの低抵抗材料がメッキされているもので形成される。
【0065】
電極保持片群137は、ソケット基部134と、ソケット基部134のY1側から上向きに一体に曲げられた電極保持片137a,137cと、ソケット基部134のY2側から上向きに一体に曲げられた電極保持片137b,137dとを有している。ソケット基部134にはX2方向に延びる突出片135が一体に形成され、突出片135に前記支持板部136が一体に連結されている。
【0066】
図8に示すように曲げ形成される前のフープ材では、ソケット基部134と帯板133との間に支持板部136が位置し、ソケット基部134と電極保持片群137と支持板部136および帯板133が平坦な金属板で一体化されている。このフープ材をプレス加工することで、電極保持片137a,137cおよび電極保持片137b,137dがソケット基部134から上向きに曲げられるとともに、支持板部136と帯板133との境界部が切断されて、突出片135が180度折り曲げられ、支持板部136がソケット基部134の下面に密着するようになる。
【0067】
帯板133は、絶縁ベース120の内部で長手方向に延びて埋設されている。また、それぞれのソケット131の基部では、支持板部136が絶縁ベース120を構成する絶縁材料の内部に埋設されている。図9に示すように、ソケット131が設けられている部分では、絶縁ベース120の表面121に開口部122が形成されており、この開口部122の底部に支持板部136が現れている。また開口部122の縁部は、それぞれの電極保持片137a,137b,137c,137dの基部からX1−X2方向およびY1−Y2方向へ離れており、電極保持片137a,137b,137c,137dは、絶縁ベース120の拘束を受けることなく変形することが可能である。
【0068】
また、ソケット基部134と帯板133との間にある金属板を切断し折り曲げることで支持板部136を形成しているため、金属板の使用効率が良く材料の歩留まりが良くなる。
【0069】
図8に示すように、帯板133には複数の電極部133aが形成されており、支持板部136にも電極部136aが形成されている。図7に示すように、帯板133の電極部133aと支持板部136の電極部136aが、絶縁ベース120の表面121の開口部123に現れている。それぞれの開口部123内にコンデンサ160が設置され、コンデンサ160の一方の端子が電極部133aに半田付けされ、他方の端子が電極部136aに半田付けされる。
【0070】
図8に示すように、帯板133にはコネクタ電極139が設けられている。このコネクタ電極139は、帯板133とは別体のばね性の高い導電性の板ばね材料で形成され、コネクタ電極139は、帯板133の上面に溶接手段などで固定されている。
【0071】
図7に示す蛍光管ホルダ110は、電極保持片群137よりも左側(X2側)に、絶縁ベース120と一体の管保持部124が突出形成されている。この管保持部124は、U字状の保持溝を有している。図7に示すように、蛍光管170の発光管171の端部が合成樹脂製の前記管保持部124に保持されるとともに、線状の電極部172が板ばね材料で形成された電極保持片群137に挟持されて保持される。
【0072】
さらに、絶縁ベース120には、その上面から突出する対を成す挟持片125a,125bが一体に形成されている。片方の挟持片125aは、電極保持片137a,137cの外側に設けられ、他方の挟持片125bは電極保持片137b,137dの外側に設けられている。蛍光管170の電極部172が電極保持片137a,137cと電極保持片137b,137dとの間に挟持された後に、挟持片125aと挟持片125bでそれぞれの電極保持片137a,137b,137c,137dを挟み込むようにして、挟持片125aの上部と挟持片125bの上部とを凹凸嵌合させる。これにより、電極保持片137a,137cと電極保持片137b,137dとによる電極部172の保持状態が安定させられる。
【0073】
図7に示すように、絶縁ベース120の表面121には通電用のコネクタ部126が一体に形成されており、このコネクタ部126に、前記コネクタ電極139が現れている。さらに、絶縁ベース120には、複数箇所に取付け穴128が貫通して形成されている。
【0074】
図7に示す蛍光管ホルダ110も、長尺形状の絶縁ベース120内に金属製の帯板133が埋設されているため、長手方向の曲げ強度が高くなっている。また、電極保持片137a,137b,137c,137dの基部の支持板部136が絶縁ベース120に埋設されているため、それぞれのソケット131の支持強度を高くできる。さらに、図9に示すように、絶縁ベース120の表面121に開口部122が形成され、それぞれの電極保持片137a,137b,137c,37dが、絶縁ベース120で拘束されることなく開口部122から上方へ延びているため、電極保持部137a,137b,137c,137dが拘束されることなく弾性力を発揮することができる。
【0075】
蛍光管ホルダ110は、コネクタ電極139に通電されると、その電力が帯板133に伝達され、それぞれのコンデンサ160を介してソケット131の電極保持部137に与えられる。
【0076】
図3に示した蛍光管ホルダ10と同様に、帯板133は絶縁ベース120内に埋設されており、絶縁ベース120の裏面127には、帯板133が露出していない。よって、蛍光管ホルダ10が、金属製の本体ベース2の底板2aの上に設置されたときに、帯板133と底板2aとの絶縁耐圧を高く確保できる。
【0077】
また、帯板133は、それぞれのソケット131よりも左側、すなわち、ソケット131よりも蛍光管170の発光管171が延出する側に配置されている。よって、通電路である帯板133と、本体ベース2の短側板2dとの距離を長く保つことができ、帯板133と短側板2dとの絶縁を保ちやすくなる。また、図8に示すように、帯板133が1つだけ左側に配置され、ソケット131が長手方向に間隔を空けて配置されているため、隣り合うソケット131の間のスペースを有効利用でき、この部分に取付け穴などを形成しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】液晶表示装置の背部に配置されるバックライト装置の平面図、
【図2】図のバックライト装置をII−II線で切断した拡大断面図、
【図3】本発明の第1の実施の形態の蛍光管ホルダを示す斜視図、
【図4】第1の実施の形態の蛍光管ホルダの絶縁ベースに埋設されている金属部を示す斜視図、
【図5】第1の実施の形態の蛍光管ホルダの金属部を形成するためのフープ材を示す斜視図、
【図6】(A)は図3に示す蛍光管ホルダをVI矢視方向から見た拡大側面図、(B)は(A)の断面図、
【図7】本発明の第2の実施の形態の蛍光管ホルダを示す斜視図、
【図8】第2の実施の形態の蛍光管ホルダの絶縁ベースに埋設されている金属部を示す斜視図、
【図9】図7に示す蛍光管ホルダをIX−IX線で切断した断面図、
【符号の説明】
【0079】
1 バックライト装置
2 本体ベース
2a 底板
2d,2e 短側板
5 液晶セル
10 蛍光管ホルダ
20 絶縁ベース
21 表面
22 開口部
23 絶縁壁
24 コネクタ部
27 裏面
30 金属部
30A フープ材
31 ソケット
32 第1の帯板
33 第2の帯板
34 ソケット基部
36 支持板部
37 電極保持片群
37a,37b,37c,37d 電極保持片
39 コネクタ電極
70 蛍光管
72 電極部
110 蛍光管ホルダ
120 絶縁ベース
121 表面
124 管保持部
130 金属部
133 帯板
131 ソケット
134 ソケット基部
136 支持板部
137 電極保持片群
137 コネクタ電極
170 蛍光管
172 電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光管の端部に設けられた電極部を保持する一対の電極保持片を有する導電性のソケットが、複数個配列する蛍光管ホルダにおいて、
合成樹脂材料で形成された長尺状の絶縁ベースが設けられて、前記ソケットが前記絶縁ベースの長手方向に沿って間隔を空けて配置されており、
それぞれのソケットは、金属板で形成された基部と、前記基部から上方へ曲げられた前記電極保持片と、前記基部と一体に形成され且つ前記基部の下側に折り返されて前記電極保持片の下側に位置する支持板部とを有し、前記支持板部が前記絶縁ベース内に埋設されて支持されていることを特徴とする蛍光管ホルダ。
【請求項2】
前記絶縁ベースの表面に開口部が形成され、前記基部と前記電極保持片との曲げ境界部および前記支持板部の一部が、前記開口部内に露出している請求項1記載の蛍光管ホルダ。
【請求項3】
複数の前記基部および前記電極保持片が同じ金属板から形成されており、隣り合う前記ソケットの間の金属板の一部が折り曲げられて前記支持板部が形成されている請求項1または2記載の蛍光管ホルダ。
【請求項4】
複数の前記ソケットの並び方向に延びる帯板が、前記基部および前記電極保持片と同じ金属板で形成されており、前記ソケットと前記帯板との間の金属板の一部が折り曲げられて前記支持板部が形成されている請求項1または2記載の蛍光管ホルダ。
【請求項5】
蛍光管の端部に設けられた電極部を保持する一対の電極保持片を有する導電性のソケットが、複数個配列する蛍光管ホルダの製造方法において、
(a)基部とこの基部から上方に曲げられた前記電極保持片を有する複数の前記ソケットを同じ金属板で形成するとともに、それぞれの前記基部から連続する前記金属板の一部を前記基部の下側に折り返えして前記電極保持片の下側に位置する支持板部を形成する工程と、
(b)複数の前記ソケットに設けられた前記支持板部が埋設される絶縁ベースを合成樹脂材料で形成する工程と、
を有することを特徴とする蛍光管ホルダの製造方法。
【請求項6】
前記(b)の工程で、前記絶縁ベースの表面に、前記基部と前記電極保持片との曲げ境界部および前記支持板部の一部が露出する開口部を形成する請求項5記載の蛍光管ホルダの製造方法。
【請求項7】
前記(a)の工程で、隣り合う前記ソケットの間の金属板の一部を折り曲げて前記支持板部を形成する請求項5または6記載の蛍光管ホルダの製造方法。
【請求項8】
前記(a)の工程で、複数の前記ソケットの並び方向に延びる帯板を前記金属板で形成するとともに、前記ソケットと前記帯板との間の金属板の一部を折り曲げて前記支持板部を形成する請求項5または6記載の蛍光管ホルダの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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