説明

蛍光管保護具

【課題】直管状蛍光管への取り付けが容易であり、設置後には、直管状蛍光管からの紫外線の漏れを無くすことができると共に直管状蛍光管から容易には外れない蛍光管保護具を提供する。
【解決手段】直管状蛍光管1の端部に設置され、直管状蛍光管1を覆うための筒状の保護部材3の長手方向の端部を支持する蛍光管保護具5において、筒状に形成され、保護部材3の長手方向の端部からこの近傍にかけての環状の内壁面にのみ接触して保護部材3を支持するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光管保護具に係り、特に、直管状蛍光管の端部に設置されて使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直管状蛍光管の両端部に取り付けられ、前記直管状蛍光管を内側に入れて被う筒状部(円筒状の保護部材)をこの両端部で支持する蛍光灯用飛散防止具(蛍光管保護具)が知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の従来の蛍光管保護具は、前記筒状部の端部からこの近傍にかけての部位を、前記筒状部の内側および外側から面接触して支持するようになっている。
【0004】
また、特許文献2に記載の従来の蛍光管保護具は、前記筒状部の端部からこの近傍にかけての内周の部位に接触して前記筒状部を支持するようになっている一方で、外径が多少異なる直管状蛍光管にも取り付け可能なように、前記筒状部に接触する部位の近傍から前記直管状蛍光管の外周に接触する部位までの間の部位を放射状に形成して十分な弾性を持たせている。
【特許文献1】特許第3418179号公報
【特許文献2】実用新案登録第3065944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の従来の蛍光管保護具は、円筒状の保護部材をこの内側および外側から支持しているので、蛍光管保護具と円筒状の保護部材との間の接触面積が大きく摩擦抵抗が大きくなっている。したがって、直管状蛍光管への蛍光管保護具や円筒状の保護部材の取り付けが困難であるという問題がある。
【0006】
すなわち、前記従来の蛍光管保護具は、前述したように、直管状蛍光管の両端部にそれぞれ取り付けられ、直管状蛍光管の両端部で円筒状の保護部材を支持する構成になっているが、直管状蛍光管の一端部で前記直管状蛍光管に取り付けられた蛍光管保護具への円筒状の保護部材の取り付けや、前記直管状蛍光管に取り付けられた前記円筒状の保護部材への蛍光管保護具の取り付け(前記直管状蛍光管の他端部での取り付け)が、前記直管状蛍光管保護具と前記円筒状の保護部材との間の摩擦力が大きいことにより困難になっている。
【0007】
また、特許文献2に記載の従来の蛍光管保護具は、筒状部に面接触する部位から直管状蛍光管の外周に接触する部位までの間の部位を放射状に形成してあるので、この放射状の部位の隙間から直管状蛍光管の光(紫外線)が漏れ出すという問題がある。
【0008】
さらに、前記放射状の部位を直管状蛍光管に付勢しこの付勢力による摩擦力で直管状蛍光管に固定される構成であるので、前記放射状の部位の弾性係数が小さく直管状蛍光管への密着度が弱くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、直管状蛍光管への取り付けが容易であり、設置後には、直管状蛍光管からの紫外線の漏れを無くすことができると共に直管状蛍光管から容易には外れない蛍光管保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、直管状蛍光管の端部に設置され、前記直管状蛍光管を覆うための筒状の保護部材の長手方向の端部を支持する蛍光管保護具において、筒状に形成され、前記保護部材の長手方向の端部からこの近傍にかけての環状の内壁面にのみ接触して前記保護部材を支持するように構成されている蛍光管保護具である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、直管状蛍光管の端部に設置され、前記直管状蛍光管を覆うための筒状の保護部材の長手方向の端部を支持する筒状の蛍光管保護具において、軸方向の一端部から第1の中間部にかけての内径が前記直管状蛍光管のガラス管の外径よりも僅かに小さく形成されており、前記軸方向の一端部から第2の中間部にかけての外径が前記保護部材の内径よりも僅かに大きく形成されている蛍光管保護具である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の蛍光管保護具において、軸方向の他端部から前記第2の中間部よりも前記他端部側に位置している第3の中間部にかけての外周には、前記他端部側で小径になっているテーパ部が設けられている蛍光管保護具である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、直管状蛍光管への取り付けが容易であり、設置後には、直管状蛍光管からの紫外線の漏れを無くすことができると共に直管状蛍光管から容易には外れない蛍光管保護具を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る蛍光管保護具5の概略構成を示す斜視図であり、図2は、蛍光管保護具5の断面図であり、図3は、保護部材3と蛍光管保護具5とを直管状蛍光管1に取り付けた状態を示す断面図である。
【0015】
蛍光管保護具5は、直管状蛍光管(長手方向の両端部に給電用の口金ピンが設けられている円柱状の蛍光管;以下、単に「蛍光管」という場合がある。)1の長手方向の端部に設置されて使用されるものである。
【0016】
蛍光管保護具5は、たとえば、モールド成形により形成されており、シリコンゴム等の合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂等の弾性体で構成されており、材質で満たされて筒状(たとえば短い円環状)に形成されている。そして、直管状蛍光管1の端部に設置され蛍光管1を覆うための筒状(たとえば円筒状)の保護部材3の長手方向の端部を支持するようになっている。保護部材3は、ポリカーボネイト等の透明体であって紫外線が透過しにくい材料で構成されている。
【0017】
より詳しく説明すると、蛍光管保護具5では、この軸CL1方向(軸CL1の延伸方向)の一端部7から中間部(たとえば、中央部よりも他端部側に位置している部位)9にかけての内径d1が、蛍光管1のガラス管11の外径d3よりも僅かに小さく形成されており、中間部9から軸方向の他端部13にかけての内径d5が直管状蛍光管の口金(ガラス管11の外径d3よりも僅かに小さい外径の口金)15の外径d7よりも僅かに小さく形成されており、中間部9から他端部13までの長さL1が、口金15の長さL3よりも短く形成されている。
【0018】
また、蛍光管保護具5では、軸CL1方向の一端部7から中間部(たとえば、ほぼ中央部)17にかけての外径d9が保護部材3の内径d11よりも僅かに大きく形成されており、中間部17から軸CL1方向の他端部13側にかけての外径d13が保護部材3の内径d11よりも大きく形成されている。たとえば、外径d13が、保護部材3の外径d15とほぼ等しいか、僅かに大きくまたは僅かに小さく形成されている。
【0019】
なお、蛍光管保護具5は、直管状蛍光管1のサイズ(特に、ガラス管11の外径d3、口金15の外径d7)に応じて様々なサイズが用意され、直管状蛍光管1のサイズに合致したものが使用されるようになっており、ガラス管11の外径d3や口金15の外径d7が異なる場合には、異なるサイズの蛍光管保護具5が使用されるようになっている。換言すれば、ある1つのサイズの蛍光管保護具5を、ガラス管11の外径d3や口金15の外径d7が異なる蛍光管に兼用させて使用することはない。また、保護部材3も、蛍光管保護具5のサイズや直管状蛍光管1の長さに合致したものが使用されるようになっている。
【0020】
また、蛍光管保護具5では、軸CL1方向の他端部13から中間部17よりも他端部13側に位置している中間部19にかけての外周に、他端部13側で小径になっているテーパ部21が設けられている(面取りがされている)。
【0021】
蛍光管保護具5のモールド成形は、軸CL1方向の一端部側に一方の金型を配置し、軸CL1方向の他端部側に他方の金型を配置して行われ、蛍光管保護具5の外周においては、リング状の中間部17の部位がパーティングラインになっており、蛍光管保護具5の内周においては、リング状の中間部9の部位がパーティングラインになっている。
【0022】
したがって、中間部17から軸CL1方向の一端部7にかけて抜き勾配が形成されており、中間部17から軸方向の一端部7の間における蛍光管保護具5の外周は、肉眼ではほぼ円柱側面形状に見えるが、実際には、軸CL1方向の一端部7側が小径で中間部17側が大径である円錐台側面形状に形成されている。同様にして、中間部9から軸CL1方向の一端部7にかけて抜き勾配が形成されており、中間部9から軸方向の一端部7の間における蛍光管保護具5の内周は、軸CL1方向の一端部7側が大径で中間部9側が小径である円錐台側面形状に形成されている。
【0023】
次に、保護部材3と蛍光管保護具5との蛍光管1への取り付け方について、例を掲げて説明する。
【0024】
まず、図3の左側の蛍光管保護具5Aを蛍光管1の左側の端部近傍に設置する。この際、蛍光管保護具5Aの内壁の中間部9が、蛍光管1のガラス管11と口金15との境界のところに位置するまで、蛍光管1を蛍光管保護具5Aに対して相対的に挿入する。このように設置された状態では、蛍光管保護具5Aが僅かに弾性変形し、蛍光管保護具5Aの内壁が蛍光管1のガラス管11と口金15とを押圧し、摩擦力により蛍光管1から蛍光管保護具5Aが容易には、はずれないようになっている。また、中間部9がガラス管11の左端部に当接することで、ガラス管11の左端が蛍光管保護具5Aの左端より左側へ出ることがないため、取り付け時において位置決めする煩わしさがない。
【0025】
続いて、図3の右側から、蛍光管1が内側に入るようにして、保護部材3の左側の端部が蛍光管保護具5Aの外壁の中間部17のところに位置するまで、保護部材3を蛍光管1に対して相対的に移動する。この移動が終えた状態では、蛍光管保護具5Aの一端部7と中間部17との間の部位が僅かに弾性変形し、蛍光管保護具5Aの外壁が保護部材3の内壁を押圧し、摩擦力により保護部材3の左側の端部が蛍光管保護具5Aで支持されている。
【0026】
続いて、図3の右側から、前記1つの目の蛍光管保護具5Aと同様に、2つ目の蛍光管保護具5Bを設置し、蛍光管1への保護部材3と各蛍光管保護具5A、5Bの設置を終了する。このとき、ガラス管11は、蛍光管保護具5A、5Bの両中間部9間に収まるため、蛍光管保護具5A、5Bと保護部材3とからなる密閉空間の外へ露出することがない。このため、前記設置終了状態において蛍光管1が落下した場合でも、粉砕したガラス管11の破片は前記密閉空間の中に収められる。
【0027】
次に、保護部材3と各蛍光管保護具5とが設置された蛍光管1を、部屋の天井等に設置する場合について説明する。
【0028】
図4は、保護部材3と各蛍光管保護具5とが設置された蛍光管1を、部屋の天井等に設置する場合について説明する図である。
【0029】
部屋の天井31には、たとえば、蛍光管1を設置するための凹部33が設けられており、この凹部33の側壁35には、蛍光管1を支持すると共に蛍光管1に電力を供給するソケット37が設けられている。ソケット37は弾性体で適宜付勢され、蛍光管を取り付ける際には、その位置および姿勢が適宜変化するようになっている。
【0030】
保護部材3と各蛍光管保護具5とが設置された蛍光管(設置済み蛍光管)1を、部屋の天井等に設置する場合、設置済み蛍光管1を斜めにし、設置済み蛍光管1を図4に示すよりもさらに左方向に移動して、設置済み蛍光管1の一方の側をソケット37に設置する。一方の側の設置が終了したら、設置済み蛍光管1を水平にし、図4の右方向に蛍光管1を移動し、設置済み蛍光管1の他方の側をソケット(図示せず)に設置し、設置済み蛍光管1の設置を終了する。なお、設置済み蛍光管1を取りはずす場合には、前記動作と逆の動作を行えばよい。
【0031】
蛍光管保護具5によれば、軸CL1方向の一端部7から中間部9の間の円柱側面形状の部位のみを保護部材3の円柱側面形状の内面のみに面接触させて保護部材3を支持しているので、蛍光管保護具5(5A)に保護部材3を設置する場合や、保護部材3に蛍光管保護具5(5B)を設置する場合における摩擦力を小さくすることができ、直管状蛍光管1への蛍光管保護具5や保護部材3の取り付けが容易になっている。
【0032】
また、蛍光管保護具5が材質で満たされて筒状に形成されているので、特許文献2のように放射状になっているものとは異なり、設置後に直管状蛍光管1からの紫外線の漏れ(蛍光管保護具5を通過する紫外線の漏れ)を無くすことができ、設置後における剛性が高く(大きな面圧力で直管状蛍光管1に接触し)、直管状蛍光管1から容易には、はずれないようになっていると共に、保護部材3と蛍光管保護具5とを蛍光管1に設置した状態で、蛍光管1のガラス管11が割れてしまっても、割れたガラスの破片等を保護部材3等の内部に閉じ込めることができ、割れたガラスの破片等が散乱することを防止することができる。
【0033】
また、前述したように、保護部材3の長手方向の端部からこの近傍にかけての環状の内壁面(たとえば円柱側面形状の内壁面)のみに接触して保護部材3を支持するように構成されているので、すなわち、蛍光管保護具5は保護部材3の外側からは保護部材3を支持していないので、保護部材3の外径を大きくした場合であっても蛍光管保護具5の外径を大きくする必要がなく、直管状蛍光管1の外径に対して従来よりも大きな外径・内径の保護部材3を支持することができるようになっている。したがって、直管状蛍光管1と保護部材3との隙間を大きくすることができ、保護部材3と蛍光管保護具5とが設置された直管状蛍光管1が落下しても直管状蛍光管1が破損しにくくなっている。
【0034】
また、図4を用いて説明したような設置をする場合、蛍光管保護具5にテーパ部21が設けられているので、蛍光管保護具5が天井31に対して邪魔になりにくくなっており、直管状蛍光管1を設置しやすくなっている。
【0035】
さらに、蛍光管保護具5によれば、前述したように、抜き勾配が形成されているので、蛍光管保護具5を直管状蛍光管1に設置しやすくなっていると共に、蛍光管保護具5への保護部材3の設置も容易になっている。
【0036】
なお、蛍光管保護具5は、直管状蛍光管の長手方向の端部に設置され、前記直管状蛍光管を覆うための筒状の保護部材の長手方向の端部を支持する蛍光管保護具であって、筒状に形成され、前記保護部材の長手方向の端部からこの近傍にかけての環状の内壁面にのみ接触して前記保護部材を支持するように構成されている蛍光管保護具の例である。
【0037】
また、前述した実施形態では、保護部材3として円筒状のものを例に掲げているが、店舗等での使用のためにデザインを変えて、軸方向に垂直な平面による断面が円でなく、正方形等の矩形や、正六角形の多角形である保護部材を採用してもよい。このような形状の保護部材であっても、保護部材の内壁の端部のみを支持する構成であるので、蛍光管保護具の構成が煩雑化することを防止することができると共に、保護部材の設置も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る蛍光管保護具の概略構成を示す斜視図である。
【図2】蛍光管保護具の断面図である。
【図3】保護部材と蛍光管保護具とを直管状蛍光管に取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】保護部材と各蛍光管保護具とが設置された蛍光管を、部屋の天井等に設置する場合について説明する図である。
【符号の説明】
【0039】
1 直管状蛍光管
3 保護部材
5 蛍光管保護具
7 一端部
9 中間部
11 ガラス管
13 他端部
15 口金
17 中間部
19 中間部
31 天井
33 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管状蛍光管の端部に設置され、前記直管状蛍光管を覆うための筒状の保護部材の長手方向の端部を支持する蛍光管保護具において、
筒状に形成され、前記保護部材の長手方向の端部からこの近傍にかけての環状の内壁面にのみ接触して前記保護部材を支持するように構成されていることを特徴とする蛍光管保護具。
【請求項2】
直管状蛍光管の端部に設置され、前記直管状蛍光管を覆うための筒状の保護部材の長手方向の端部を支持する筒状の蛍光管保護具において、
軸方向の一端部から第1の中間部にかけての内径が前記直管状蛍光管のガラス管の外径よりも僅かに小さく形成されており、
前記軸方向の一端部から第2の中間部にかけての外径が前記保護部材の内径よりも僅かに大きく形成されていることを特徴とする蛍光管保護具。
【請求項3】
請求項2に記載の蛍光管保護具において、
軸方向の他端部から前記第2の中間部よりも前記他端部側に位置している第3の中間部にかけての外周には、前記他端部側で小径になっているテーパ部が設けられていることを特徴とする蛍光管保護具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−294218(P2007−294218A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120261(P2006−120261)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)